JP4894108B2 - 透明蒸着用ポリエステルフィルム及び透明蒸着ポリエステルフィルム - Google Patents

透明蒸着用ポリエステルフィルム及び透明蒸着ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、酸素および水蒸気の遮断性に優れた透明蒸着用フィルムを得るに好適なポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
食品や薬品を長期間保存するためには、腐敗や変質を促進する外気からの酸素や水蒸気の浸入を遮断する効果を持った、いわゆるガスバリア性に優れた包装を行う必要がある。この目的に使用されるガスバリア性に優れたフィルム包装に、近年特に内容物の状態を確認できる透明性が要求される傾向が強くなっている。
【0003】
透明なガスバリア性フィルムとしてポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体を積層したものが知られている。また、金属酸化物を高分子フィルム上に形成したものがガスバリア性と透明性が良好であることが、従来よりよく知られている。
【0004】
しかし従来の透明ガスバリア性フィルムは以下のような課題を有していた。ポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール積層フィルムは酸素、水蒸気のガスバリア性が十分ではなく、特に高温での殺菌処理においてその低下が著しい。さらにポリ塩化ビニリデンは焼却時の塩素ガスの発生があり地球環境への影響が懸念されている。
【0005】
一方、特開平6−278240や特開平11−10725に示される通り、蒸着により酸素珪素膜や酸化アルミニウム膜を形成したポリエステルフィルムは良好なバリア性を示すが、近年、食生活が豊かとなり、様々な食品や菓子類が市場に登場するに従い、バリア性など特性向上や、品質の長期保存性がより一層重視されるようになってきた。特にスナック菓子や食品等の包装においては、内容物の酸化や湿りを防止し、できたての品質をより長期間確保するため、これまで以上のガスバリア性が要求されはじめた。また、かかる製品を蒸着する設備は、大型化、高速化の傾向があり、蒸着性能ひいてはガスバリア性能を安定化させるために、ポリエステルフイルムの要求も高度になってきた。
【0006】
本発明は、かかる要求に対応して、透明蒸着用ポリエステルフィルムの酸素および水蒸気のガスバリア性に対する格段の向上を目的とし、優れたガスバリア性を発現させる蒸着用ポリエステルフィルムを提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題に鑑み鋭意検討した結果、特定の物性を有するポリエステルフイルムを基材として用いれば、上記問題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、厚さ5〜50μmの二軸配向ポリエステルフィルムであって、190℃、20分の熱収縮率が縦方向で2〜6%、横方向で−0.5〜+3%であり、縦方向の温度寸法変化曲線の勾配が負から正に変化する点が存在し、該点における温度が210℃以上であり、かつ該点におけるフィルムの原長に対する寸法変化率が、−10〜−3%であり、少なくとも片面のヌレ張力が50mN/m以上であり、ヘイズが1〜6%であり、さらに120℃30分間処理した時のヘイズ変化が3%以内であることを特徴とする透明蒸着用ポリエステルフィルムである。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のポリエステルとは、二塩基酸とグリコールを構成成分とするポリエステルであり、芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジブロモテレフタル酸などを用いることができる。脂環族二塩基酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などを用いることができる。また、脂肪族二塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などを用いることができる。グリコールとしては、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどを用いることができ、芳香族ジオールとして、ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイドロキノン、テトラプロモビスフェノールAなどを用いることができ、脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどを用いることができる。
【0010】
さらに、ポリエステルが実質的に線状である範囲内で3官能以上の多官能化合物、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸などを共重合してもよく、また単官能化合物、例えばo−ベンゾイル安息香酸、ナフトエ酸等を添加反応させてもよい。またポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルやポリカプロラクトンに代表される脂肪族ポリエステルなどを共重合してもよい。
【0011】
ポリエステルは2種以上のものをブレンドしてもよく、例えば50%以上がポリエステルであれば、ポリエステル以外のものをブレンドしてもよい。
【0012】
ポリエステルは、耐熱性、製膜性の点から、融点が240℃以上280℃以下であることが望ましい。
【0013】
上述したポリエステルフィルムの極限粘度(25℃オルソクロロフェノール中で測定)は0.40〜1.20dl/g、好ましくは0.50〜0.85dl/gの範囲にあるものが本発明の内容に適したものである。
【0014】
本発明のポリエステル中には、ポリエステルに不活性な粒子を含有してもよい。不活性粒子とは、ポリエステルに不活性であれば特に限定されないが、内部粒子や無機粒子および/または有機粒子などの外部粒子の中から任意に選定される粒子であり、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.02〜1重量%含有されていることが好ましい。含有される粒子の平均粒子径は好ましくは0.001〜10μmであり、更に好ましくは0.01〜2μmである。平均粒子径が10μmを越える粒子を使用するとフィルムの欠陥が生じ易くなるので好ましくない。無機粒子および/または有機粒子としては、例えば湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレ−等の無機粒子およびスチレン、シリコ−ン、アクリル酸類等を構成成分とする有機粒子等を挙げることができる。なかでも湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子が好ましい。これらの内部粒子、無機粒子および/または有機粒子は二種以上を併用してもよい。
またポリエステル中に本発明の効果を阻害しない範囲で公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、核剤などを配合しても良い。
【0015】
さらに本発明のフィルムは各種コーティングを施しても良く、特に限定するものではないが、製造面、環境面を考慮すると水系または水分散系塗剤をフィルム製膜中に塗布したものが好ましい。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムの厚みは5〜50μmであり、好ましくは5〜30μmであるが、その中でも好適な範囲は用途によって任意に選べばよい。
【0017】
フィルム構成としては、単層、A/Bの2層、B/A/BあるいはA/B/Cの3層、さらには3層より多層の積層構成であってもよく、積層厚み比も任意に設定してよい。さらに、これら以外の層を積層してもよく、具体的には、帯電防止層、マット層、ハードコート層、易滑コート層、易接着層、粘着層などが例示される。
【0018】
本発明のポリエステルフイルムの190℃ 20分における熱収縮率は、縦方向で2〜6%であり、好ましくは2.5〜5%である。また横方向は−0.5〜+3%であり、好ましくは0〜2%である。ポリエステルフイルムは蒸着工程を経て、さらに印刷や粘着剤塗工、あるいはラミネート加工が施されるが、いずれも熱履歴を受けるわけであり、特開平6−278240に記載の通り、その際のフイルムの寸法変化は、小さい方がよいというのが一般的ではあり、縦方向の収縮率が6%を越えたり、横方向の熱収縮率が3%を越えるとそれぞれの加工工程においてフイルムにシワが発生したり、フイルムの走行性が不安定になって生産速度を上げられないという問題が生じる。また逆に熱収縮率が小さすぎても障害が発生することがわかってきた。すなわち、縦方向の熱収縮率が2%未満であったり、横方向の熱収縮率が−0.5%未満となった場合、ガスバリア性能が低下してしまう。
【0019】
本発明のポリエステルフイルムにおいて、縦方向の温度寸法変化曲線を測定した時、曲線の勾配が負から正に変化する点が存在し、該点における温度が210℃以上であり、望ましくは220℃以上、かつ該点におけるフイルムの原長に対する寸法変化率が、−10〜−3%、望ましくは−9〜−4%、更に望ましくは−8〜−5%である。該点における温度が210℃よりも低いと、印刷乾燥工程やラミネート工程においてシワが発生しやすくなり、また、印刷インキとの接着性やラミネート強度が低下する。また、該点における寸法変化率が−10%未満であると、同様に印刷乾燥工程やラミネート工程においてシワが発生しやすくなり、また寸法変化率が−3%を越えると、ガスバリア性能が低下してしまう。
【0020】
本発明のポリエステルフイルムの結晶サイズXcは5.5〜7.0nmが好ましく、更に好ましくは5.7〜6.9nm、更には5.9〜6.8nmが好ましい。結晶サイズが5.5nmよりも低い場合は、例えば印刷するインクや蒸着層との接着性が低下したり、ラミネート性が低下する。また、結晶サイズが7.0nmを越えると、フイルムの強度が低下してしまい、破れやすくなる。
【0021】
本発明のポリエステルフイルムの少なくとも片面のヌレ張力は50mN/m以上であることが望ましく、更には52mN/m以上が望ましい。ヌレ張力が50mN/m未満となると蒸着層との密着性が低下し、ガスバリア性やラミネート性が悪化する。
【0022】
本発明のポリエステルフイルムの引張弾性率が縦方向で4.5GPa以上、望ましくは4.7GPa以上であり、横方向は4.0GPa以上、望ましくは4.3GPa以上である。引張弾性率が縦方向で4.5GPa未満、横方向で4.0GPa未満の場合は、加工時にシワが発生しやすくなったり、ガスバリア性能が低下する。
【0023】
本発明のポリエステルフイルムのヘイズは1〜6%であり、望ましくは1〜4%である。その中でも好適な範囲は用途によって任意に選べばよい。ヘイズは低い方すなわち透明性が良好な方が、包装用途としては望ましいが、ヘイズが1%未満となると、フイルムの巻き取り性が低下し生産性を落とすだけでなく、滑り性の悪化でフイルム表面に擦れキズが発生しやすい。また、ヘイズが6%を越えると、包装用フイルムとしての外観が悪くなるだけでなく、フイルム表面が粗面化するためガスバリア性能が低下してしまう。また、本発明のポリエステルフイルムを120℃の熱風オーブン中で30分間処理した時のヘイズの変化は3%以内であり、望ましくは2.5%以内である。ヘイズが変化するのは、熱処理によってポリマー中に残存するオリゴマーや添加物が表面に析出するためであり、その量が多い、すなわちヘイズの変化量が3%を越えると、ガスバリア性は低下し、また印刷性やラミネート性も低下する。
【0024】
また、本発明に係るポリエステルフイルムは、縦方向の屈折率が1.655以上が好ましく、更には1.660〜1.690の範囲の屈折率を有することが好ましい。屈折率が1.655未満では、加工時や使用時の張力でフイルムが著しく変形するおそれがある。また、屈折率が1.690を越えると、熱収縮率が大きくなり、加工時の生産性や使用時の品質が悪化するおそれがある。またフイルムの幅方向の屈折率は1.650以上が好ましい。1.650未満では、加工時にフイルムにシワが発生しやすくなる。またフィルム厚み方向の屈折率が1.485〜1.505であることが好ましく、更に好ましくは1.490〜1.500である。厚み方向の屈折率が1.485未満であるとフィルムの劈開等による加工時のトラブルが生じるため好ましくない。また1.505を越えると加工特性や印刷性が悪化し好ましくない。
【0025】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、少なくとも片面の中心線平均粗さ(SRa)が5〜80nmであることが好ましいが、さらには10〜50nmが好ましい。中心線平均粗さ(SRa)が大きいと例えば蒸着時にピンホールが生じやすくなり、ガスバリア性を低下させる原因となる。また中心線平均粗さ(SRa)が小さいとフィルムの滑り性が低下し、巻き特性や加工適性が低下し好ましくない。
【0026】
次に本発明に係るポリエステルフイルムの製造方法について説明するが、かかる例に限定されるものではない。乾燥したポリマーチップを押出機に供給し、該ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをスリット状の吐出口を有するTダイから押し出し、冷却ロールに密着固化してキャストフイルムを得る。溶融シートと冷却ロールの密着性を向上させるには、通常、静電印加密着法および/または液面塗布密着法を採用することが好ましい。該キャストフイルムは更に二軸に延伸される。好ましくは、ポリマーのガラス転移温度以上、例えば40〜130℃に加熱したロール群で長手方向(縦方向)に2.3〜7倍延伸し、次いで幅方向(横方向)に好ましくは45〜130℃で3〜7倍に延伸する。なお、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を用いることができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上記範囲に入ることが好ましい。また、前記キャストフイルムを、面積倍率が6〜30倍になるように同時二軸延伸することも可能である。
【0027】
かくして得られたフイルムを熱処理するが、必要に応じ熱処理を行う前または後に再度縦及び/または横方向に延伸してもよい。熱処理温度は150〜250℃、好ましくは200〜240℃であり、熱処理時間は通常1秒〜5分である。この熱処理条件で熱収縮特性を調整することができる。また、熱処理後のフイルムの冷却速度も熱収縮特性に影響する。例えば、熱処理後、フイルムを急冷あるいは徐冷、あるいは中間冷却ゾーンを設けることで加熱収縮応力を調整することができる。また、特に特定の熱収縮特性を付与するために、熱処理時あるいはその後の徐冷ゾーンにおいて縦方向及び/または横方向に弛緩してもよい。
【0028】
フイルムには必要に応じコーティングを施すこともできる。本発明の場合、フイルムに塗布層を設けることにより、特に蒸着層やインク層との接着性を向上できる。塗液には防爆性や環境汚染の点で水溶解、乳化または懸濁したものが用いられる。塗布層は結晶配向完了後の二軸延伸フイルムに塗布する方法あるいは結晶配向完了前のフイルムに塗布した後延伸する方法があるが、本発明の効果をより顕著に発現させるためには後者の方法が特に好ましい。塗布する方法は特に限定されないが、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、キスコーター、バーコーター等を用いて塗布するのが好ましい。また、塗布する前に必要に応じて塗布面に空気中その他種々の雰囲気中でコロナ放電処理を施しておいてもよい。
【0029】
また、本発明における塗布層には、必要に応じて消泡剤、塗布性架橋剤、増粘剤、有機系潤滑剤、無機系粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発砲剤、染料、顔料等を含有せしめてもよい。
【0030】
また、本発明のフィルム表面には更に公知の表面処理、すなわち低温プラズマ処理やコロナ放電処理等が行われても良い。
【0031】
このようにして得られた2軸配向ポリエステルフイルムに蒸着層を設ける。金属の蒸着膜を設けるには、真空プロセスが用いられる。真空プロセスは、真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法などが、その代表例として挙げられる。好ましい方法としては、真空蒸着法が挙げられる。
【0032】
金属酸化物の蒸着膜を設けるには、真空プロセスが用いられる。真空プロセスは、真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法,化学気相蒸着法などが適宜用いられ、いずれも限定されないが、反応性蒸着法が生産性,コストの点でより好ましく用いることができる。反応性蒸着法において酸化アルミニウムを蒸着させるには、アルミニウム金属やアルミナを抵抗加熱のボート方式やルツボの高周波誘導加熱、電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下で2軸配向ポリエステルフイルム上に酸化アルミニウムを堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成するための反応性ガスとして酸素を主体に水蒸気や希ガスを加えたりしても良い。更にオゾンを加えたりイオンアシストなどの反応を促進する手法も採用されて良い。これら真空プロセス中での2軸配向ポリエステルフイルム表面のプラズマ処理を併用すると、ガスバリア性,透湿性が向上しより好ましい。
【0033】
酸化珪素を反応性蒸着法で蒸着するには、Si金属,SiOやSiO2を電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下で2軸配向ポリエステルフイルム上に酸化珪素を堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成する方法は、上記の方法が用いられる。
<物性の測定方法および効果の評価方法>
(1)熱収縮率
フィルムサンプル標線間を200mmにとり、フィルムを10mmに切断し、フィルムサンプルを長さ方向に吊るし、1gの荷重を長さ方向に加えて、予め所定温度に設定した熱風オーブンを用い所定時間加熱した後、標線間の長さを測定し、フィルムの収縮量を原寸法に対する割合として百分率で表した。
(2)温度寸法変化曲線
PERKIN ELMER社製のTMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて室温より昇温して測定した。ただし、昇温速度は10℃/分、測定サンプル長さは14mm、幅は5mm、初期張力は100mNとした。
(3)結晶サイズXc
PHILIPS社製PW1729 X線回折装置を用いて測定した。X線回折装置の測定条件は次の通りである。試料は、厚みが約100μmになるように重ね合わせて、フイルム面が回折面に並行になるようにセットする。常温、常圧下で、35kV、15mAのCuKα線にて、θが18°〜32°の範囲で回折ピークを得た。得られた(100)の回折ピークの半値幅h(°)より下記式にて結晶サイズXcを求めた。
【0034】
Xc=43.06/h
(4)ぬれ張力
JIS−K−6768−1995に記載された方法に従い、フイルム表面の濡れ張力を測定した。
(5)引張弾性率
フイルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして引張速度10mm/分でインストロタイプの引張試験機にて測定した。得られた荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線により計算した。なお、測定は25℃、65%RHにて行った。
(6)ヘイズ
ASTM D1003に記載された方法に従い測定した。
(7)屈折率
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて測定した。
(8)中心線平均粗さ(SRa)
3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。
【0035】
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5(μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±5(nm)
基準面積 0.1(mm2
(9)ガスバリア性
A.水蒸気透過率
蒸着48時間後に、モダンコントロール社製水蒸気透過率計PERMATRAN−W1Aを用いてJIS−K−7129−1992に記載されたB法に従い、40℃90RH%の条件で測定した。
【0036】
B.酸素透過率
蒸着48時間後に、モダンコントロール社製酸素透過率測定装置OX−TRAN100を用いてJIS−K−7126−1987に記載されたB法に従い、20℃、0%RHの条件にて酸素透過率を測定した。
(10)蒸着膜密着性(ラミネート強度)
東洋モートン社製アドコート503(AD503)と硬化剤CAT−10と酢酸エチルを100:5:100WT%の割合で調合した接着剤を#12のメイヤリングバーにて試料の蒸着面に塗布した。塗布後70℃の熱風オーブンにて30秒間乾燥後、ポリプロピレンフィルム、東レ製トレファンZK62(60μm)のコロナ処理面と貼合せ、熱風オーブンを用い40℃で72時間エージングを行った。貼合せサンプルを15mm幅にカットし、テンシロン(引っ張り試験機)にてポリプロピレンフィルムとポリエステルフィルム間を剥離角度90°にて剥離させ、その時の応力を測定した。また、ボイル処理後のラミネート強度は、200mm×200mmの貼合せサンプルを95℃の水中にて30分処理後測定した。測定値は次のように評価した。
【0037】
◎:600g/15mm幅 以上
○:500g/15mm幅 以上,600g/15mm幅 未満
×:500g/15mm幅 未満
【0038】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づいて説明するが必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
実施例1
平均粒径約1.8μmの二酸化珪素粒子を0.04重量%含有するのポリエチレンテレフタレート(極限粘度0.63dl/g)を水分率20ppmに真空乾燥した後、押出機に供給して、280℃で溶融押出し、10μmカットのフィルターで濾過した後、T字型口金からシート状に押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに静電密着法で冷却固化せしめた。このようにして得られた未延伸フイルムを、115℃に加熱した後縦方向に1.2倍延伸し、さらに125℃にて1.45倍、次に113℃にて2.72倍に延伸して1軸延伸フイルムとした。この1軸延伸フイルムを100℃で予熱し、次いで108℃に加熱しつつ横方向に4.1倍に延伸した。このフイルムを232℃の熱風中に導き入れ、3秒間緊張熱固定した後、同じ雰囲気温度内で横方向に元のフイルム幅の5%リラックスを施し冷却する。最終的に室温まで冷却した後、20W・min/m2の処理強度でコロナ放電処理を行い、これを巻取り機に導いて巻き上げてミルロールとした。このようにして得られた12μmのフイルムに、酸化アルミニウム蒸着を行った。この2軸配向ポリエステルフイルムの表面へ酸化アルミニウムを蒸着する方法は、フイルムを連続式真空蒸着機の巻き出し装置にセットし、冷却金属ドラムを介して走行させフイルムを巻き取る。この時連続式真空蒸着機を10-4Torr以下に減圧し、冷却ドラムの下部よりアルミナ製ルツボに純度99.99%の金属アルミニウムを装填して金属アルミニウムを加熱蒸発させ、その蒸気中に酸素を供給し酸化反応させながらフイルム上に付着堆積させ、厚さ30nmの酸化アルミニウム膜を形成した。
【0040】
実施例2
実施例1の中で、縦方向の延伸を、114℃で1.2倍、125℃にて1.45倍、111℃にて2.72倍に変更し、また緊張熱固定温度を236℃に変更した。
【0041】
実施例3
実施例2の中で、緊張熱固定温度を227℃に変更した。
【0042】
実施例4
原料として、平均粒径約1.4μmの二酸化珪素粒子を0.06重量%含有するのポリエチレンテレフタレート(極限粘度0.61dl/g)を用いる他は、実施例3と同様の方法で行った。
【0043】
実施例5
原料は実施例4と同様のものを使用し、実施例1と同様に未延伸フイルムを得た後、同時二軸延伸機を用いて、110℃で縦方向に4.1倍、横方向に4.1倍の延伸を同時に行い、232℃、3秒間緊張熱固定した後、同じ雰囲気温度内で縦方向に1.5%、横方向に3.5%リラックスを施し冷却した。その後は実施例と同じくコロナ放電処理と酸化アルミニウムの蒸着を行った。
【0044】
比較例1
実施例1の中で、縦方向の延伸を、114℃で1.2倍、125℃にて1.30倍、114℃にて2.35倍に変更し、また緊張熱固定温度を240℃に変更した。
【0045】
比較例2
実施例2の中で、緊張熱固定温度を215℃に変更した。
【0046】
比較例3
実施例3の中で、コロナ放電処理を行わなかった。
【0047】
比較例4
原料として、平均粒径約2.5μmの二酸化珪素粒子を0.06重量%含有するのポリエチレンテレフタレート(極限粘度0.72dl/g)を用い、縦方向の延伸を114℃で1.2倍、125℃にて1.30倍、114℃にて2.35倍で行った他は、実施例1と同様の方法で行った。
各実施例、比較例の結果は以下の表1、表2の通りである。
【0048】
【表1】
Figure 0004894108
【0049】
【表2】
Figure 0004894108
【0050】
【発明の効果】
本発明によって得られた透明蒸着ポリエステルフィルムは、薄い蒸着膜厚さで高いガスバリア性能を安定して付与でき、かつ蒸着膜の密着性が良く、高い生産性を得られるという特徴を持つ。
【0051】
本発明によって得られた透明蒸着ポリエステルフィルムは、単独でも用いることができるが、更に、印刷を施したり、蒸着膜の上から保護層などをコーティングしたり、ヒートシール層を積層したり、他のフイルムと積層したり、あるいはこれらを組み合わせたりするなど、更に加工して用いることもできる。また、非蒸着面にヒートシール層を積層したり、他のフイルムと積層したり、あるいはこれらを組み合わせたりすることもできる。

Claims (5)

  1. 厚さ5〜50μmの二軸配向ポリエステルフィルムであって、190℃、20分の熱収縮率が縦方向で2〜6%、横方向で−0.5〜+3%であり、縦方向の温度寸法変化曲線の勾配が負から正に変化する点が存在し、該点における温度が210℃以上であり、かつ該点におけるフィルムの原長に対する寸法変化率が、−10〜−3%であり、少なくとも片面のヌレ張力が50mN/m以上であり、ヘイズが1〜6%であり、さらに120℃30分間処理した時のヘイズ変化が3%以内であることを特徴とする透明蒸着用ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステルフィルムの結晶サイズXcが5.5〜7.0nmであることを特徴とする請求項1記載の透明蒸着用ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルフィルムの引張弾性率が縦方向で4.5GPa以上、横方向で4.0GPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明蒸着用ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルムの少なくとも片面に透明蒸着層を設けてなることを特徴とする透明蒸着ポリエステルフィルム
  5. ポリエステルフィルムの延伸方法が同時2軸延伸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明蒸着用ポリエステルフィルム及び透明蒸着ポリエステルフィルム
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