JPH10323929A - ガスバリアフィルム及び包装材料 - Google Patents

ガスバリアフィルム及び包装材料

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JPH10323929A
JPH10323929A JP7632698A JP7632698A JPH10323929A JP H10323929 A JPH10323929 A JP H10323929A JP 7632698 A JP7632698 A JP 7632698A JP 7632698 A JP7632698 A JP 7632698A JP H10323929 A JPH10323929 A JP H10323929A
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JP
Japan
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water
film
gas barrier
coating
soluble
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JP7632698A
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English (en)
Inventor
Yutaka Harada
裕 原田
Masahiro Kimura
将弘 木村
Kokichi Hashimoto
幸吉 橋本
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高湿度下でのガスバリア性、伸長バリア性及び
塗膜の密着性を保有するガスバリアフィルムを提供する
ことを目的とする。 【解決手段】熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面上に無
機板状粒子及び水溶性または水分散性ポリマーを主たる
構成成分とする塗膜を形成したフィルムにおいて、該塗
膜の水分率が3mg/cm3以下であるフィルムとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスバリアフィルム
及び包装材料に関するものであり、さらに詳しくは高湿
度下での高いガスバリア性、伸長バリア性及び基材との
密着性に優れたガスバリアフィルムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】食品や薬品などの包装分野では、外気か
らの酸素などの侵入があると内容物の変質によって長期
保存ができないことから、外気の混入を防ぐことができ
るガスバリア性をもったフィルムの開発が行われてい
る。
【0003】ポリマー エンジアニアリング アンド
サイエンス、20巻、22号、1543〜1546頁
(1986年 12月)によると、従来より開発された
ガスバリア性フィルムとしては、ポリ塩化ビニリデン、
ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコールなどがあ
る。しかし、ポリ塩化ビニリデンは塩素原子、ポリアク
リロニトリルは−CN基を含有しているため、廃棄の際
に環境に対する問題が近年持ち上がっている。また、ポ
リビニルアルコールは−OH基を含有しているため、ガ
スバリア性の湿度依存性が大きく、高湿度ではガスバリ
ア性が著しく低下してしまう。ポリビニルアルコールの
湿度依存性を改良したエチレンービニルアルコール共重
合体においても、高湿度でのガスバリア性はまだ十分と
は言えない。
【0004】一方、酸化珪素(特公昭53−12953
号公報等)や酸化アルミニウム(特開昭62−1799
35号公報等)などの無機物を基材の表面に蒸着したフ
ィルムが開発されている。しかし、これらのフィルムに
は、無機被膜の可とう性の無さ、基材との接着性が悪い
等によるフィルムとしての取り扱いにくさ、蒸着面に直
接印刷するとガスバリア性などの特性が悪化するといっ
た点などの加工後の特性変化の問題が生じている。
【0005】これらの問題を解決する手段として、基材
に金属酸化物及びポリビニルアルコールからなる塗膜を
設けたフィルム(特開昭56−4563号公報等)が開
発されているが、高湿度下でのガスバリア性に関しては
まだ満足のいくレベルではない。また、無機層状化合物
及び高水素結合性化合物からなるガスバリア層を有する
フィルム(特開平6−93133公報、特開平7−41
685公報等)があるがハイバリア性を得るにはガスバ
リア層を形成する過程において長時間の乾燥または熱処
理が必要であるので生産性点で大きく不利であり、伸長
バリア性や塗膜と基材との密着性も低い。なお、伸長バ
リア性とは、フィルムに伸びを与えたときのバリア性で
あり、これが優れていると印刷、ドライラミネートや製
袋工程においてフィルムが伸長したりしてもガスバリア
性があまり低下しない。基材との密着性が高いと、包装
袋などに加工した際に、破袋や、袋の変形などを生じ
ず、ラミネート後のバリア性もあまり低下しない。これ
らの特性に優れると信頼性の高い包装材料が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以上
述べた従来のガスバリアフィルムの問題点を解消し、か
つ高湿度下でもガスバリア性を有するとともに伸長バリ
ア性及び基材との密着性を有するガスバリアフィルムを
提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面上
に無機板状粒子及び水溶性または水分散性ポリマーを主
たる構成成分とした塗膜を形成したフィルムにおいて、
該塗膜の水分率が3mg/cm3以下であることを特徴
とするガスバリアフィルムからなるものである。
【0008】また、熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面
上に、無機板状粒子及び水溶性または水分散性ポリマー
を主たる構成成分とした塗膜層と、金属及び/または金
属酸化物からなる層を、2層以上形成したフィルムにお
いて、該塗膜の水分率が3mg/cm3以下であること
を特徴とするガスバリアフィルム、である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、無機板状粒子と水溶性
または水分散性ポリマーからなる塗膜を形成し該塗膜の
水分率を規定することにより、高湿度下での高いガスバ
リア性、基材との密着性、特に伸長バリア性を兼ね備え
たガスバリアフィルムを開発したものであり、保存性に
高い信頼性を有する包装材料として有望である。
【0010】本発明における無機板状粒子とは極薄の単
位結晶層が1枚または数枚重なって一つの板状の粒子を
形成している無機粒子のことであり、粘土鉱物が好まし
く用いられる。本発明における粘土鉱物とは極薄の単位
結晶層間に水を配位、吸収する性質を持つ粘土化合物で
あり、一般にはSi4+がO2-対して配位し4面体構造を
構成する層とAl3+、Mg2+、Fe2+、Fe3+、Li+
等がO2-およびOH-に対して配位し8面体構造を構成
する層とが1対1あるいは2対1で結合し積み重なって
板状構造を構成しており、天然のものであっても合成さ
れたものでも良い。代表的なものとしては、モンモリロ
ナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、カ
オリナイト、ハロイサイト、バーミキュライト、ディッ
カイト、ナクライト、アンチゴライト、パイロフィライ
ト、マーガライト、タルク、テトラシリリックマイカ、
白雲母、金雲母、緑泥石等が挙げられる。中でも特に、
スメクタイト群と呼ばれているモンモリロナイト、バイ
デライト、ヘクトライトやサポナイトが好ましく用いら
れる。無機板状粒子の粒子径は特に限定されないが、粒
子径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、よ
り好ましくは0.05μm以下であれば密着性が向上
し、粒子径が0.5μm以上、好ましくは1μm以上、
より好ましくは5μm以上であればガスバリア性が向上
する。また、粒子径が異なる2種類以上の無機板状粒子
が含まれているとこれらの特性が両立するため好まし
い。
【0011】本発明における水溶性または水分散性ポリ
マーとは、常温で水に完全に溶解もしくは微分散可能な
な高分子を指し、例えば、ポリビニルアルコール系重合
体またはその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、酸
化でんぷん、エーテル化でんぷん、デキストリンなどの
でんぷん類、ポリビニルピロリドン、スルホイソフタル
酸等の極性基を含有する共重合ポリエステル、ポリヒド
ロキシエチルメタクリレートまたはその共重合体などの
ビニル系重合体、アクリル系高分子、ウレタン系高分
子、エーテル系高分子あるいはこれらの各種重合体のカ
ルボキシル基、アミノ基、メチロール基など官能基変性
重合体などが挙げられる。好ましくはポリビニルアルコ
ール系重合体またはその誘導体であり、特に好ましくは
けん化度80モル%以上のポリビニルアルコール、ビニ
ルアルコール単位が60モル%以上の共重合ポリビニル
アルコールである。
【0012】ポリビニルアルコール系重合体またはその
誘導体の重合度は特に限定されないが、100〜500
0が好ましく、200〜2500がさらに好ましく,3
00〜1200が特に好ましい。重合度が100以下で
あれば塗膜としての強度が不足する場合があり,500
0以上であれば塗膜を形成するときの塗剤粘度が高くな
りすぎて均一な塗膜が形成できなくなる場合がある。
【0013】本発明において、該塗膜の水分率が3mg
/cm3以下であることが必要である。好ましくは2.
5mg/cm3以下、より好ましくは2.0mg/cm3
以下、特に好ましくは1.5mg/cm3以下である。
水分率がこの範囲内の場合には、ガスバリア性のみなら
ず、伸長バリア性、密着性が向上する。これは、塗膜中
の水分率を低くすることにより塗膜の強度が強くなった
ためと考えられる。また、耐ブロッキング性も向上す
る。
【0014】水分率を3mg/cm3以下にする方法と
しては、塗剤の溶媒に水との親和性のある揮発性の高い
低沸点溶媒を加える方法、塗膜の乾燥温度を水の沸点を
越える温度で行う方法等が好ましく用いられる。上記低
沸点溶媒としては低級アルコールが好ましく用いられ
る。低級アルコールとはメチルアルコール、エチルアル
コール、n−またはisoープロピルアルコールなどの
炭素数が1〜3の直鎖または分岐鎖の脂肪族基を有する
アルコール性化合物のことである。低沸点溶媒は塗剤の
全溶媒に対して重量比で、1%以上が好ましく、5%以
上がより好ましく、10%以上含有していることが特に
好ましい。また、上記低沸点溶媒が全溶媒に対して重量
比で80%以上含有すると、塗剤中における無機板状粒
子、水溶性または水分散性ポリマーの分散性が悪化する
ので好ましくない。
【0015】また、塗膜表面の赤外吸収スペクトルにお
いて下記一般式で表される相対強度比Pが35未満であ
ることが好ましい。より好ましくは30以下、特に好ま
しくは25以下である。ここで、Pwは湿潤状態での水
溶性または水分散性ポリマーの極性基に起因するピーク
の相対強度、Pdは乾燥状態での水溶性または水分散性
ポリマーの極性基に起因するピークの相対強度である。
【0016】P=(Pw−Pd)/Pd×100
【0017】相対強度比Pは主に塗膜中において水溶性
または水分散性ポリマーの極性基と水素結合している水
分子の量と関係している。Pが上記範囲内の場合には、
ガスバリア性のみならず、伸長バリア性及び耐ブロッキ
ング性が向上する。これは、塗膜中におけるポリマーと
水素結合している水分子が少なくなった結果として、塗
膜の強度が強くなったと考えられる。相対強度比Pを3
5未満にする方法としては、耐水性の高いポリマーを用
いる、前述の塗剤の溶媒に低沸点溶媒を加える方法等が
好ましく用いられる。ポリビニルアルコール系ポリマー
が用いられる場合には、けん化度が80モル%以上が好
ましい。
【0018】。
【0019】さらに、本発明では塗膜中に架橋剤を含ん
でいてもよい。混合比は塗膜構成成分に対して重量比で
0.01〜10%、好ましくは0.05〜8%である。
用いられる架橋剤としては、水溶性または水分散性ポリ
マーと反応性を有するものであればとくに限定されない
が、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラ
ミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、シランカップリ
ング剤などが使用される。
【0020】本発明における無機板状粒子/水溶性また
は水分散性ポリマーの混合比率は、重量比で1/99〜
60/40の範囲内が好ましい。1/99より小さいと
きはガスバリア性が低下し、60/40より大きいとき
は密着性が低下する。
【0021】また本発明においては、未延伸プロピレン
フィルムなどと接着剤を介在させてラミネートする際の
工程耐摩耗性が向上しガスバリア性が向上するので、該
塗膜面の表面粗さパラメータがRt/Raが25以下が
好ましく、20以下であることがより好ましく、15以
下がさらに好ましい。また、Rpが1.4μm以下であ
ることが好ましく、より好ましくは1.2μm以下であ
る。Rtは最大高さであり表面粗さ曲線の最大の山と最
深の谷との距離、Raは中心線平均粗さ、Rpは表面粗
さ曲線の中心線から最大高さまでの距離であり、下記条
件で20回測定した平均値をそれぞれの値とすることが
できる。
【0022】触針先端半径:0.5μm 触針荷重 :5mg 測定長 :1mm カットオフ :0.08mm
【0023】表面粗さパラメータを上記範囲内にする方
法としては、無機または有機の均一な粒径の粒子を含ま
せて平滑な基材を製膜し、かつ該塗膜構成成分をより均
一に分散させた塗剤をオフラインコートし、かつ該基材
に180℃以下の温度で30秒以内の短時間で乾燥させ
た塗膜を形成する方法等が好ましく用いられる。塗膜構
成成分を均一に分散させるためには、塗剤をせん断力、
ずり応力のかかるホモミキサー、ジェットアジター、ボ
ールミル、ニーダー、サンドミル、3本ロール等を用い
て機械的な強制分散処理を行う方法、中でも板状粒子を
二次凝集が無いように均一に分散させることが特に重要
であり、粒子分散液を前記装置を用いて機械的な強制分
散処理を行う方法が好ましく用いられる。ホモミキサ
ー、ジェットアジター等が用いられる場合には1000
rpm以上で行うことがさらに好ましい。なお、パラメ
ータの詳細は奈良治朗著「表面粗さの測定法・評価法」
(総合技術センター、1983)等に示されている。
【0024】本発明においては、塗膜中に下記一般式で
表されるアミン化合物を含んでいると密着性が向上する
ので好ましい。
【0025】
【化1】 式中におけるR1は水素または炭素数が1〜6のアルキ
ル鎖またはアリール鎖、好ましくは水素、メチル基、エ
チル基、プロピル基またはフェニル基である。R2は水
素または炭素数が1以上のアルキル鎖またはその置換
体、あるいはアリール鎖またはその置換体、好ましくは
水素、炭素数が1〜4のアルキル鎖またはその置換体で
ある。R3は炭素数が1以上のアルキル鎖またはその置
換体、あるいはアリール鎖またはその置換体、好ましく
は炭素数が1〜4のアルキル鎖またはその置換体であ
る。
【0026】前記置換体の置換基としては、アミノ基、
イミノ基、アルコキシ基、カルボキシル基、スルホン
基、シアノ基、メチロール基、ビニル基、水酸基、塩素
基等、もしくはアルコキシシラン、アルコキシチタン、
アルコキシアルミニウム等の金属アルコキシ基もしくは
その加水分解基があげられる。R2の置換基としてはア
ミノ基、ビニル基、塩素基が好ましく、R3の置換基と
しては、アルコキシ基、カルボキシル基、水酸基、スル
ホン基、メチロール基、金属アルコキシ基もしくはその
加水分解基が好ましい。置換体としてはこれら置換基の
一つ以上で置換されたアルキル鎖またはアリール鎖が好
ましく用いられる。具体的なアミン化合物としては、プ
ロピルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ヘキシ
ルアミン等のアルキルアミン類、アミノエチルアルコー
ル、アミノヘキシルアルコール、アミノエチルアミノエ
タノール等のアミノアルコール類、エチレンジアミン、
プロピレンジアミン等のジアミン類、アミノ酢酸、アミ
ノヘキサン酸、アミノドデカン酸等のアミノ酸、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエ
チル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−
アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−ア
ニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロ
ピルトリエトキシシラン等の分子内に易加水分解性のア
ルコキシシラン基を有するアミノ基含有シランカップリ
ング剤があげられ、中でもプロピルアミン、ジエチルア
ミン、ブチルアミン等の炭素数が1〜4のアルキルアミ
ン、アミノ酢酸、アミノヘキサン酸等の炭素数1〜7の
アミノ酸、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ
−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン等の分子内の末端にアミノ基と易加水
分解性のアルコキシシラン基を有するアミノ基含有シラ
ンカップリング剤が特に好ましく用いられる。
【0027】また、該塗膜が少なくとも1方向に配向し
ているとガスバリア性が向上するため好ましい。少なく
とも1方向に配向させるにはインラインコート法が好ま
しく用いられる。塗膜の配向状態は公知の技術、例え
ば、屈折率法、全反射赤外スペクトル法、全反射ラマン
スペクトル法等を用いて分析できる。
【0028】本発明における該塗膜の厚さは特に限定さ
れないが、ガスバリア性フィルムの観点から、0.01
〜10μmが好ましく、インラインコートの場合は0.
01〜0.5μmがより好ましく、オフラインコートの
場合は0.3〜6μmがより好ましい。また、金属及び
/または金属酸化物からなる層が形成される場合の該塗
膜の厚さは、0.05〜3μmがより好ましい。
【0029】また本発明は無機板状粒子及び水溶性また
は水分散性ポリマーを主たる構成成分を塗膜とするフィ
ルムであり、主たる構成成分とは塗膜構成全成分に対し
て無機板状粒子及び水溶性または水分散性ポリマーの重
量が70%以上であることを示す。ガスバリア性及び透
明性を損なわない範囲内であれば各種の添加剤を重量比
で30%以下含まれていても良い。該各種の添加剤とし
ては、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑剤、結晶核
剤、紫外線吸収剤、着色剤等である。また、透明性及び
ガスバリア性を損なわない程度であれば、無機または有
機の粒子を重量比で20%以下含まれていても良い。例
えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化珪素、フッ化
カルシウム、フッ化リチウム、アルミナ、硫酸バリウ
ム、ジルコニア、リン酸カルシウム、架橋ポリスチレン
系粒子などである。
【0030】さらに、該塗膜を形成させる上で板状粒子
−ポリマー間、ポリマー間または板状粒子間等の相互作
用を高めるために、2価以上の金属塩、触媒成分などを
添加しても良い。カルシウム、マグネシウム、アルミニ
ウム元素などを有する酢酸塩、硫酸塩、または硝酸塩な
どを用いると耐湿性が向上するので望ましい。その量と
しては、塗膜に対して1〜10000ppm程度であ
る。
【0031】本発明において用いられる熱可塑性樹脂基
材は、主として機械的性質やフィルムの加工性等を付与
するために必要であり、一般に市販されている各種の熱
可塑性樹脂フィルムが含まれる。特に限定されないが代
表的なものとして、ポリエチレン、ポリプロピレンなど
のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン12
などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体またはそのけん化物、ポリスチレン、ポリカ
ーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ポリアミド、
ポリイミド、ポリアミドイミド、セルロース、酢酸セル
ロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、
ポリビニルアルコールなど、およびこれらの共重合体が
挙げられる。コストパフォーマンス、透明性、ガスバリ
ア性等の観点から、ポリエチレンテレフタレートなどの
ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポ
リオレフィンが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレ
ンなどのポリオレフィンが特に好ましい。
【0032】熱可塑性樹脂基材としてポリオレフィン樹
脂が用いられる場合には、塗膜面側表面の窒素と炭素の
原子数比N/C値が0.001〜0.1、より好ましく
は0.0015〜0.08、特に好ましくは0.002
〜0.05であると密着性が向上するので好ましい。N
/C値は、X線光電子分光法(XPS)によって求める
ことができる。塗膜を形成したフィルムのN/Cの値を
求めるには、熱水処理やスパッタリング等で塗膜を除去
し該基材表面のスペクトルを測定しても良い。また、2
次イオン質量分析計(SIMS)を用いて深さ方向への
組成分布を測定してもよい。
【0033】N/C値を上記の範囲内とするには、塗膜
層形成前の基材表面にコロナ放電処理あるいは減圧下に
おいて希薄ガス中でのプラズマ処理を施して行われる。
コロナ放電処理時の雰囲気は窒素ガス(酸素濃度が3v
ol%以下)、炭酸ガスあるいは窒素/炭酸ガスの混合
ガスが好ましく、窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=
95/5〜50/50)がさらに好ましい。また、プラ
ズマ処理は1〜100Pa程度の真空度の容器内に少量
のアルゴン、ヘリウム、炭酸ガスなどを導入しながら高
電圧を印加した電極からフィルム表面に向けてグロー状
放電させながら処理する。この時、処理効果及び経済性
の点で炭酸ガスが好ましい。処理強度は、電圧×電流/
(電極幅×フィルム走行速度)(W・min/m2)か
ら算出するが、5〜400が好ましく、10〜200が
より好ましく、15〜100がさらに好ましい。また、
塗膜形成したフィルムの120℃における熱収縮率が1
%以下であることがガスバリア性、伸長バリア性を安定
させる上で好ましい。
【0034】これらの熱可塑性樹脂基材は、未延伸、一
軸延伸、二軸延伸のいずれでもよいが、寸法安定性およ
び機械特性の観点から、二軸延伸されたものが特に好ま
しい。また熱可塑性樹脂基材には、各種の添加剤が含ま
れていても良い。例えば、酸化防止剤、耐候剤、熱安定
剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、着色剤等である。
また、透明性を損なわない程度であれば、無機または有
機の粒子を含んでいても良い。例えば、タルク、カオリ
ナイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化珪素、フッ
化カルシウム、フッ化リチウム、アルミナ、硫酸バリウ
ム、ジルコニア、マイカ、リン酸カルシウム、架橋ポリ
スチレン系粒子などである。平均粒子径としては好まし
くは0.001〜10μm、さらに好ましくは0.00
3〜5μmである。なお、平均粒子径は透過型顕微鏡な
どを用いて10000〜100000倍の写真を撮影
し、数平均により求めた粒子径である。
【0035】さらに、これらの熱可塑性樹脂基材は、透
明であることが好ましい。光線透過率が、40%以上が
好ましく、60%以上がさらに好ましい。また熱可塑性
樹脂基材は、平滑であることが好ましい。熱可塑性樹脂
基材の厚さは、特に限定されないが2〜1000μmが
好ましい。
【0036】本発明において、熱可塑性樹脂基材の少な
くとも片面上に形成された金属及び/または金属酸化物
からなる層表面上に該塗膜を形成することが、ガスバリ
ア性、密着性、特に伸長バリア性、印刷性の観点から好
ましい。金属及び/または金属酸化物は特に限定されな
いが、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウムなど
の金属及び/または金属酸化物であることが好ましい。
透明性が要求される場合には、金属酸化物であることが
好ましく、中でもアルミニウム、ケイ素の酸化物である
ことがガスバリア性、伸長バリア性、生産性の点で特に
好ましい。さらに、ガスバリア性、伸長バリア性の点で
不完全酸化の酸化アルミニウム(不完全酸化アルミナ)
が好ましい。ここで不完全酸化アルミナとは、少量のア
ルミニウム金属(Al)と完全酸化アルミニウム(Al
23)より構成され、その比率により蒸着層を設けたフ
ィルムの光線透過率が変化する。完全酸化アルミニウム
を蒸着したフィルムは、基材フィルムと同程度の光線透
過率(例えば、ポリエステルフィルムでは88%、ポリ
プロピレンフィルムでは92%程度)が得られ着色は無
いが、ガスバリア性に劣る場合がある。金属を蒸着した
フィルムは、光線透過率が1%前後と低く透明性に劣る
ので、包装材料として用いた場合の内容物の確認性に劣
り用途が限定される場合がある。不完全酸化アルミナか
らなる蒸着膜を設けたガスバリアフィルムの光線透過率
は40%以上で、(基材フィルムの光線透過率−0.
5)%以下が好ましい。金属及び/または金属酸化物か
らなる層の厚さは5〜200nmが好ましく、10〜1
00nmがより好ましい。
【0037】本発明における熱可塑性樹脂基材上に形成
された該塗膜上に金属及び/または金属酸化物からなる
層を形成されたガスバリアフィルムは、ガスバリア性が
向上するので好ましい。また、該金属及び/または金属
酸化物からなる層上にさらに該塗膜を形成されたガスバ
リアフィルムは、ガスバリア性、密着性、特に伸長バリ
ア性、印刷性が向上するので特に好ましい。
【0038】なお、本発明において、塗膜層と金属及び
/または金属酸化物からなる層を形成して2層以上とす
る場合、その順序および数に特に制限はない。
【0039】本発明のガスバリアフィルムが包装材料と
して用いられる場合は、該ガスバリアフィルム単独で使
用されても良いし、他素材と積層されていても良い。他
素材としては一般に使用されている素材であれば特に限
定されず、紙、アルミニウム、ケイ素等の金属またはそ
の酸化物、不織布、樹脂層等があげられる。樹脂層に
は、無延伸または2軸延伸フィルム、共押出フィルム、
コーティングフィルム、蒸着フィルム、溶融押出レジン
等が用いられ、その原料としてはポリエチレン、ポリプ
ロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、
ナイロン12などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニルまたはそのけん化物、
エチレン酢酸ビニル共重合体またはそのけん化物、ポリ
スチレン、芳香族ポリアミド、アイオノマー樹脂、ポリ
カーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリア
ミドイミド、セルロース、酢酸セルロース、ポリアクリ
ロニトリルなど、およびこれらの共重合体があげられ
る。また積層構成も特に限定されず、該フィルムと他素
材との間に印刷層、接着剤層、アンカー層があってもか
まわない。
【0040】次に、本発明のガスバリアフィルムの代表
的製造方法について述べるが、下記に限定されるもので
はない。
【0041】熱可塑性樹脂基材上に塗膜を形成する方法
は特に限定されず、押し出しラミネート法、メルトコー
ティング法を用いても良いが、高速で薄膜コートする事
が可能である点で、塗膜の構成成分を各種溶媒に分散さ
せた分散溶液をグラビアコート、リバースコート、スプ
レーコート、キッスコート、コンマコート、ダイコー
ト、ナイフコート、エアーナイフコートあるいはメタリ
ングバーコートするのが好適である。熱可塑性樹脂基材
は塗布前に公知の接着促進処理、例えば空気中、窒素ガ
ス中、窒素/炭酸ガスの混合ガス、その他の雰囲気下で
のコロナ放電処理、減圧下でのプラズマ処理、火炎処
理、紫外線処理等を施していても良い。もちろん、ウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンイミンなどの公
知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施しておい
ても良い。
【0042】また、熱可塑性樹脂基材として、ポリエチ
レンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレ
ンなどのポリオレフィンの二軸延伸フィルムを用いる場
合には、2軸延伸フィルム製膜行程後にコートするオフ
ラインコート、2軸延伸フィルム製膜工程内にコートす
るインラインコートのどちらの方法でもよい。インライ
ンコートが用いられる場合には、フィルムが熱固定され
る前にコーティングを行うことが好ましい。熱固定と
は、公知の技術により延伸されたフィルムを延伸温度よ
り高くまたフィルムの融点より低い温度でフィルムを保
持したまま熱処理することによってフィルムを結晶化さ
せることである。したがって、熱固定前とは熱処理前の
ことであるので、未延伸、長手方向または横手方向への
一軸延伸直後、2軸延伸直後のフィルムへのコーティン
グが好ましい。より好ましくは一軸延伸直後のフィルム
へのコーティングであり、その後にさらに一軸以上に延
伸、熱固定されることが特に好ましい。
【0043】塗膜の乾燥方法は特に限定されず、熱ロー
ル接触法、熱媒(空気、オイル等)接触法、赤外線加熱
法、マイクロ波加熱法等が利用できる。塗膜の乾燥は、
ガスバリア性の観点から、オフラインコートの場合には
60℃〜180℃、インラインコートの場合には80〜
250℃の範囲内で行われることが好ましく、乾燥の時
間としては1〜60秒、好ましくは3〜30秒である。
【0044】塗膜の構成成分を含んだ塗剤は、溶媒に無
機板状粒子が均一に分散もしくは膨潤しかつ水溶性また
は水分散性ポリマーが均一に溶解もしくは分散した溶液
が好ましい。溶媒としては、水または水/低級アルコー
ル混合溶液が用いられるが、水/低級アルコール混合溶
液を用いることが好ましい。
【0045】塗剤の濃度は特に限定されないが、塗剤の
粘度、乾燥効率等の生産性の観点から2.5%以上で行
うことが好ましい。2.5%未満の低濃度塗剤を持ちい
る場合は、塗剤の溶媒に水との親和性のある揮発性の高
い低沸点溶媒を加える方法、塗膜の乾燥を水の沸点以上
の温度で行う方法等が用いられる。
【0046】また、フィルムへの塗布性を付与するため
に、分散溶液の安定性が維持される範囲内であれば、混
合溶媒中に第3成分として他の水溶性有機化合物が含ま
れていても良い。上記水溶性有機化合物としては例え
ば、メタノール、エタノール、n−またはイソ−プロパ
ノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、
エチルセロソルブ、n−ブチルセルソルブ等のグリコー
ル誘導体、グリセリン、ワックス類等の多価アルコール
類、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステ
ル類、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。
また、分散溶液のpHは溶液の安定性の面から2〜11
が好ましい。
【0047】該塗剤の調整方法は特に限定されないが、
板状粒子を溶媒に均一に分散させた後に水溶性または水
分散性ポリマーを溶媒に均一に溶解させた溶液と混合す
る方法等が有効に用いられるが、塗剤中で水溶性または
水分散性ポリマーと板状粒子が極めて均一に分散してい
ることが好ましい。特に無機板状粒子は、分散液液中で
二次凝集している可能性があるために、板状粒子を溶媒
に分散させた後に、せん断力、ずり応力のかかるホモミ
キサー、ジェットアジター、ボールミル、ニーダー、サ
ンドミル、3本ロール等の装置を用いて機械的な強制分
散処理を行う方法が好ましく用いられる。例えば、板状
粒子を数%の濃度で水に均一に分散させた後にホモミキ
サー等を用いて分散処理を行い、数%濃度に水に均一に
分散させたポリマー水溶液と混合した後に再度分散処理
を行い、低級アルコール及び水を加えて濃度を調整する
方法等が好ましく用いられる。さらに、この塗剤に架橋
剤、粒子等を含有させてもよい。
【0048】また本発明においては、従来公知の蒸着法
により金属及び/または金属酸化物からなる層を形成す
ることにより、ガスバリア性に優れるガスバリアフィル
ムを得ることができる。具体的には、次に述べる方法等
が好ましく用いられる。フィルム走行装置を具備した真
空蒸着装置内にフィルムをセットし、冷却ドラムを介し
て走行させる。この時、アルミニウム金属を加熱蒸発さ
せ、走行フィルム表面に凝集堆積させ、アルミニウム金
属層を形成する。不完全酸化アルミナ層を形成するには
アルミニウム金属の堆積箇所付近に酸素ガスを供給し、
アルミニウムを酸化させながら不完全酸化アルミナ層を
付設して巻き取る。この時のアルミニウムの蒸発量と供
給酸素ガス量の比率を変更することで、不完全酸化アル
ミナ蒸着フィルムの光線透過率を変更することができ
る。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧にもどして巻き取っ
たフィルムをスリットし、30℃以上の温度で1日以上
エージングすることがガスバリア性が安定するので好ま
しい。
【0049】熱可塑性樹脂基材上に形成された金属及び
/または金属酸化物からなる層表面上に塗膜を形成する
ときは、まず熱可塑性樹脂基材上に金属及び/または金
属酸化物からなる層を形成した後に該塗膜を形成するこ
とにより達成できる。熱可塑性樹脂基材上に形成された
該塗膜上に金属及び/または金属酸化物からなる層を形
成するときは、熱可塑性樹脂基材上に上記方法にて塗膜
を形成した後に金属及び/または金属酸化物からなる層
を形成することにより達成できる。
【0050】
【特性の評価方法】本発明にて用いた特性の評価方法は
以下の通りである。
【0051】(1)ガスバリア性 ASTM D−3985に準じて酸素透過率測定装置
(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/20)
を用いて酸素透過率を測定した。測定条件は温度23
℃、相対湿度75%RHである。
【0052】(2)伸長バリア性 フィルムを15cm×20cm四方にサンプリングし、
長尺方向に5%ほど伸長させた後のガスバリア性を前述
の方法で測定した。
【0053】(3)塗膜と基材の密着性 塗膜に1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバ
ン製“セロハンテープ”をその上に貼り付け指で強く押
しつけた後、90°方向に急速に剥離し、残存した被膜
の個数により4段階評価(◎:100、○:80〜9
9、△:50〜79×:0〜49)した。(◎、○)を
接着性良好とした。
【0054】(4)印刷性 東洋インキ製ニトロセルロース製インキCCSTをグラ
ビアロールで得られたフィルムの塗膜層、もしくは金属
及び/または金属酸化物からなる層表面に印刷後、仕上
がりを調べて以下の基準に従い評価した。
【0055】○:しわ、印刷むらが発生しない。
【0056】△:極まれに発生するが、問題ない。
【0057】×:しわ、印刷むらがかなり発生し、問題
である。
【0058】(5)水分率 サンプルを23℃、80%RHの条件下で2日間保管し
た後、熱重量ー重量同時測定装置(島津製作所製、TG
−41M GCMS−QP100)のサンプルセル内に
素早くセットし、23℃、20分間、乾燥ヘリウムガス
中で放置したときに発生する水分量を測定し、塗膜1c
3当りに換算した値を用いた。なお、熱可塑性樹脂基
材から発生する水分量をあらかじめ測定しておき補正し
た。測定条件は下記の通りである。
【0059】サンプル量:面積12cm2 MS感度 :GAIN2.1 質量数範囲:m/z10〜500 試料容器 :石英容器 雰囲気 :ヘリウム流(100ml/min)
【0060】(6)相対強度比P サンプルを23℃、80%RHの条件下で2日間保管し
た後、FT−IR(Bruker製、IFS−120H
R)のサンプルセル内に素早くセットした直後に、塗膜
表面の水溶性または水分散性ポリマーの極性基に相当す
るピークの相対強度をFT−IR透過法により測定し、
その値をPwとした。その後、窒素ガスパージを行った
後に真空系で1時間放置後のピークの相対強度を測定
し、その値をPdとした。ポリマーがPVOHの場合
は、−COHの伸縮振動に起因するピーク(3350c
ー1付近)の強度を用いた。測定条件は下記の通りであ
る。
【0061】光源:SiC 検知器 :MCT(HgCdTe) ビームスプリッター:Ge/KBr 分解能 :4cmー1 積算回数 :16回 アポダイゼーション:三角形 ゼロフィリング :2倍 位相補正 :Merts法 参照試料 :Si
【0062】(7)粒子径 堀場製作所(株)製、遠心沈降式粒度分布測定装置CA
PA−700を用いて、塗膜の形成に使用する塗剤と同
じ溶媒組成の溶液中に無機板状粒子を分散させ、23℃
にて測定した。
【0063】(8)基材表面の窒素と炭素の原子数比
(N/C) ESCAスペクトロメータ(島津製作所製、ESCA7
50)を用い、励起X線MgKα 1.2線(284.
6eV)、光電子脱出角度90°で窒素1S軌道
(N1S)スペクトルと炭素の1S軌道(C1S)スペクト
ルを測定し、各々のピークの積分強度比をもとに、基材
表面の窒素原子数と炭素の原子数の比を求めた。
【0064】(9)フィルムの熱収縮率 フィルムの長手方向及び横手方向それぞれの熱収縮率を
JIS−K−6782に基づいて、120℃、15分間
の測定を行った後、長手方向と横手方向の平均値を算出
した。
【0065】(10)光線透過率 金属及び/または金属酸化物からなる層を形成したフィ
ルムの光線透過率を、日立(株)製分光光度計324型
を用いて波長550nmでの透過率で求めた。
【0066】
【実施例】
実施例1 無機板状粒子として粒子径2μmの合成ヘクトライト
(トピー工業製、Na−HT)、溶媒として水を用い、
固形分濃度5wt%になるように分散させA1液を作成
した。A1液をさらに粒子の凝集物が無くなるようにホ
モミキサー(回転数3500rpm)により機械的な分
散処理を行いA2液を作成した。水溶性または水分散性
ポリマーとしてけん化度98.5モル%、重合度170
0のポリビニルアルコール(以下PVOHと略す)、溶
媒として水を用い、固形分濃度5wt%になるように分
散させB液を作成した。粒子/PVOHの混合比が重量
比で40/60になるようにA2液とB液を混合し再度
ホモミキサーにより分散処理を行い、イソプロピルアル
コール(以下IPA)が全溶媒に対して15wt%、固
形分濃度3wt%になるように塗剤を調製した。熱可塑
性樹脂基材として2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東
レ製トレファン、厚さ20μm)にコロナ放電処理(炭
酸ガス/窒素混合ガス(体積比83:17)中、処理強
度=60W・min/m2)したフィルム表面(N/C
値:0.004)を用い、前記塗剤を該基材の処理面に
リバースコーター(塗工速度12m/分)にて塗布後、
熱風乾燥式ドライヤー内に導き低張力下で120℃、2
0秒間乾燥し、フィルムを得た。フィルムの塗膜厚さは
0.8μm、熱収縮率は0.8%、その他の特性は表1
に示す。ガスバリア性、伸長バリア性、密着性に優れる
フィルムが得られ、ブロッキングもしていなかった。
【0067】実施例2 無機板状粒子として粒子径0.7μmのモンモリロナイ
ト(クニミネ工業製、クニピア−F)、溶媒として水を
用いて固形分濃度3.5wt%にし、ホモミキサーによ
り分散処理を行った。アミン化合物として、γ−(2−
アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランを
3.5wt%になるよう水に分散させた。粒子分散液と
アミン化合物分散液を固形分重量比で95/5に混合し
分散処理を行った後、実施例1で用いたB液と混合比
(重量)で38/2/60(無機板状粒子/アミン化合
物/水溶性または水分散性ポリマー)で混合・分散処理
を行い、エチルアルコールが全溶媒に対して重量比で2
0%、固形分濃度3%になるように塗剤を調製した。該
塗剤を実施例1と同様の方法でポリプロピレンフィルム
上に塗布、乾燥しフィルムを得た。得られたフィルムの
塗膜厚さは0.85μm、熱収縮率は0.8%、その他
の特性は表1に示す。ガスバリア性、伸長バリア性、密
着性に優れるフィルムが得られた。
【0068】実施例3 水溶性または水分散性ポリマーとしてけん化度78モル
%、重合度500のPVOHを用い、塗剤の固形分比を
30/70(粒子/ポリマー)に変更したこと以外は実
施例1と同様にしてフィルムを得た。密着性に優れるフ
ィルムが得られた。
【0069】実施例4 オキサゾリン系架橋剤(日本触媒製、K−1010E)
を塗剤の固形分に対して10%添加したこと以外実施例
1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの熱
収縮率は0.7%であった。ガスバリア性、伸長バリア
性に優れ、かつ密着性に特に優れるフィルムが得られ
た。
【0070】実施例5 熱可塑性樹脂基材として厚さ12μmのポリエステルフ
ィルム(東レ製、ルミラー)のコロナ放電処理面に塗剤
を塗布したこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを
得た。ガスバリア性、伸長バリア性、密着性に優れるフ
ィルムが得られた。
【0071】実施例6 粒子径0.035μmの合成ヘクトライト(日本シリカ
工業製、ラポナイトRDS)を用い、固形分の組成比を
重量比で15/85(無機板状粒子/水溶性高分子)に
変更したこと以外は実施例1と同様にして塗剤を作成し
た。
【0072】平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを
0.015重量%、および平均粒径1.5μmのコロイ
ダルシリカを0.005重量%含有するポリエチレンテ
レフタレートペレット(極限粘度0.62dl/g)を
充分に真空乾燥した後、押出機に供給し285℃で溶融
し、T字型口金よりシート状に押出し、静電印加キャス
ト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラ
ムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルム
を95℃に加熱して長手方向に3.2倍延伸し、一軸延
伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電
処理を施し、その処理面に前記塗剤をバーコート方式で
塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把
持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で15秒間乾燥
後、引き続き連続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に
3.2倍延伸し、更に230℃の加熱ゾーンで熱処理を
施し、フィルムを得た。得られたフィルムの塗膜厚さは
0.2μmであった。ガスバリア性、伸長バリア性に優
れ、かつ密着性に特に優れるフィルムが得られた。
【0073】実施例7 実施例5で用いたポリエステルフィルム上にAl金属を
電子ビーム加熱式蒸着機を用いて高真空下で蒸着厚みが
40nmになるように蒸着した上に、さらに実施例1と
同様にして塗膜を形成しフィルムを得た。光線透過率は
0.8%であった。表2に示したように、ガスバリア
性、伸長バリア性に優れるフィルムが得られた。
【0074】比較例1 該塗膜を形成しないこと以外は実施例1と同様にしてフ
ィルムを得た。ガスバリア性、伸長バリア性、耐久バリ
ア性に劣るフィルムが得られた。
【0075】比較例2 水溶性または水分散性ポリマーのみからなる塗膜を形成
したこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
ガスバリア性、伸長バリア性、耐久バリア性、密着性に
劣るフィルムが得られた。
【0076】比較例3 無機板状粒子の代わりに粒子径0.03μmの球状シリ
カ粒子(日産化学工業製、ST−O)を用いたこと以外
は実施例1と同様にしてフィルムを得た。ガスバリア
性、伸長バリア性、耐久バリア性に劣るフィルムが得ら
れた。
【0077】比較例4 塗剤の溶媒として水のみを用い、塗剤の固形分濃度を1
%、塗膜の乾燥温度を60℃に変更したこと以外は実施
例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムは
ブロッキングしており、フィルムの熱収縮率は1.2%
であった。ガスバリア性、伸長バリア性に劣るフィルム
が得られた。
【0078】実施例8 実施例1で用いたポリプロピレンフィルム上に、電子ビ
ーム加熱式蒸着機を用いてアルミニウム金属を高真空下
で酸素ガスを供給しながら厚み30nmの不完全酸化ア
ルミナ蒸着層を形成した。そのフィルムをスリットした
後、蒸着層上に実施例1と同様の方法で塗剤を塗布、乾
燥しフィルムを巻き取った。そのフィルムを50℃で1
日エージングした。得られたフィルムの塗布厚さが0.
2μm、熱収縮率0.7%、光線透過率85%、その他
の特性は表3に示す。透明性があり、ガスバリア性、伸
長バリア性に優れるフィルムが得られた。
【0079】比較例5 塗膜を形成しないこと以外は実施例8と同様にしてフィ
ルムを得た。表3に示したように、実施例8に比較して
伸長バリア性が大きく劣るフィルムが得られた。
【0080】実施例9 実施例1で得られたフィルム上に、ポリウレタン系接着
剤を用いて未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、東
レ合成フィルム(株)製T3501、50μm)を本フ
ィルムの塗剤面とドライラミネーターにより貼り合わせ
40℃で48時間エージングした後、縦型製袋機により
CPP側を張り合わせた、外観の優れた袋(20cm×
20cm)を作成した。得られた袋を切開し、ガスバリ
ア性は11.9であり、製袋後もガスバリア性に優れる
包装材料が得られた。
【0081】実施例10 実施例8で得られたフィルムを用いたこと以外は実施例
9と同様にして袋を作成した。得られたフィルムのガス
バリア性は11.6であり、製袋後もガスバリア性に優
れる包装材料が得られた。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【発明の効果】本発明で得られたフィルムは、ガスバリ
ア性に優れるだけでなく、伸長バリア性及び塗膜の密着
性を有することからあらゆる包装材料として使用するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/32 B32B 27/32 Z B65D 65/40 B65D 65/40 A

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面上に
    無機板状粒子及び水溶性または水分散性ポリマーを主た
    る構成成分とした塗膜を形成したフィルムにおいて、該
    塗膜の水分率が3mg/cm3以下であることを特徴と
    するガスバリアフィルム。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面上
    に、無機板状粒子及び水溶性または水分散性ポリマーを
    主たる構成成分とした塗膜層と、金属及び/または金属
    酸化物からなる層を、2層以上形成したフィルムにおい
    て、該塗膜の水分率が3mg/cm3以下であることを
    特徴とするガスバリアフィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面上に
    形成された無機板状粒子及び水溶性または水分散性ポリ
    マーを主たる構成成分とした塗膜上に、金属及び/また
    は金属酸化物からなる層を設けたことを特徴とする請求
    項2記載のガスバリアフィルム。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面上に
    形成された金属及び/または金属酸化物からなる層上
    に、無機板状粒子及び水溶性または水分散性ポリマーを
    主たる構成成分とした塗膜を形成したことを特徴とする
    請求項2記載の積層ガスバリアフィルム。
  5. 【請求項5】 該塗膜表面の赤外吸収スペクトルにおい
    て水溶性または水分散性ポリマーの極性基に起因するピ
    ークの相対強度比Pが下記一般式を満たすことを特徴と
    する請求項1〜4いずれかに記載のガスバリアフィル
    ム。 P=(Pw−Pd)/Pd×100≦35 Pw:湿潤状態での水溶性または水分散性ポリマーの極
    性基に起因するピークの相対強度 Pd:乾燥状態での水溶性または水分散性ポリマーの極
    性基に起因するピークの相対強度
  6. 【請求項6】 該水溶性または水分散性ポリマーがポリ
    ビニルアルコール系重合体またはその誘導体であること
    を特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のガスバリア
    フィルム。
  7. 【請求項7】 該塗膜中に架橋剤を塗膜構成成分に対す
    る重量比で0.01〜10%含有させることを特徴とす
    る請求項1〜6いずれかに記載のガスバリアフィルム。
  8. 【請求項8】 該熱可塑性樹脂基材がポリオレフィンで
    あることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のガ
    スバリアフィルム。
  9. 【請求項9】 該熱可塑性樹脂基材の塗膜層側表面の窒
    素と炭素の原子数比(N/C)が0.001〜0.1で
    あること特徴とする請求項8記載のガスバリアフィル
    ム。
  10. 【請求項10】 120℃における熱収縮率が1%未満
    であることを特徴とする請求項8または9記載のガスバ
    リアフィルム。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載のガ
    スバリアフィルムを少なくとも1層以上有することを特
    徴とする包装材料。
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