JP2001048576A - 紫外線遮蔽用ガラス、紫外線遮蔽ガラス容器、および紫外線遮蔽用ガラスの製造方法 - Google Patents

紫外線遮蔽用ガラス、紫外線遮蔽ガラス容器、および紫外線遮蔽用ガラスの製造方法

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JP2001048576A
JP2001048576A JP11226304A JP22630499A JP2001048576A JP 2001048576 A JP2001048576 A JP 2001048576A JP 11226304 A JP11226304 A JP 11226304A JP 22630499 A JP22630499 A JP 22630499A JP 2001048576 A JP2001048576 A JP 2001048576A
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ultraviolet shielding
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Yoshiaki Kamiya
義明 神谷
Shinobu Kanamaru
忍 金丸
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Koa Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線遮蔽性や透明性に優れ、しかも安価な
紫外線遮蔽用ガラスおよびその製造方法等を提供する。 【解決手段】 SiO2と、紫外線遮蔽成分と、消色剤
とを含んでなる紫外線遮蔽用ガラスにおいて、前記紫外
線遮蔽成分として、CeO2およびV25あるいはいず
れか一方の無機化合物を含むとともに、前記消色剤とし
て、MnO2、CoOおよびNiOからなる群から選択
される少なくとも一つの無機化合物を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線遮蔽用ガラ
ス、紫外線遮蔽ガラス容器、および紫外線遮蔽用ガラス
の製造方法に関する。より詳しくは、化粧ビンや化粧ガ
ラス、あるいはガラス容器(ガラス食器)等として好適
な紫外線遮蔽性および透明性に優れた紫外線遮蔽用ガラ
ス、紫外線遮蔽ガラス容器、および紫外線遮蔽用ガラス
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、紫外線遮蔽用ガラスやこれから得
られる紫外線遮蔽ガラス容器が知られており、ガラス容
器等の内容物に対する、紫外線劣化、変色、においの発
生等の防止が図られている。そこで、ガラス成分と、紫
外線遮蔽成分とから構成された紫外線遮蔽効果を有する
ガラス容器や紫外線遮蔽ガラス用フリットが、例えば、
特開平2−38339号公報、特開平2−48427号
公報および特公昭44−14824号公報に開示されて
いる。
【0003】また、特公昭45−17794号公報に
は、紫外線遮蔽成分として0.2〜0.5重量%のCe
2を添加する一方、消色剤としてネオジウム酸化物を
0.05〜0.3重量%添加した紫外線遮蔽効果を有す
るガラス容器が開示されている。さらに、特開平11−
60269号公報には、紫外線遮蔽成分として0.3〜
0.6重量%のCeO2を添加する一方、消色剤として
酸化エルビニウムを0.02〜0.07重量%添加した
紫外線遮蔽用ガラスが開示されている。一方、従来か
ら、ガラスの透明性を向上させるために添加される消色
剤として、Seも広く用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−38339号公報、特開平2−48427号公報お
よび特公昭44−14824号公報に開示された紫外線
遮蔽用のガラス容器や紫外線遮蔽ガラス用フリットは、
消色剤を用いていないために、紫外線遮蔽成分であるV
25やCeO2に起因した着色が発生し、紫外線遮蔽用
ガラスの透明性に欠けるという問題が見られた。特に、
紫外線遮蔽成分としてV25を用いた場合には、着色性
が大きく、透明性に欠けやすい一方、気泡が発生しやす
く、紫外線遮蔽用ガラスの外観性にも乏しいという問題
が見られた。また、これらに開示された紫外線遮蔽ガラ
スは、紫外線遮蔽効果に乏しく、紫外線吸収端が最大で
310nm程度であり、したがって、適用されるガラス
の肉厚や、最大長が過度に制限されるという問題もあっ
た。
【0005】また、特公昭45−17794号公報に開
示されたガラス容器は、消色剤として、酸化ネオジウム
を用いているものの、透明性が未だ不十分であったり、
透明性を向上させるために酸化ネオジウムを比較的多量
に添加する必要があった。また、消色剤としての酸化ネ
オジウムは、比較的高価であるため、得られる紫外線遮
蔽用ガラスが高価になるという問題も見られた。
【0006】さらに、特開平11−60269号公報に
開示された紫外線遮蔽用ガラスは、消色剤として極めて
高価な酸化エルビニウムを比較的多量に用いており、得
られる紫外線遮蔽用ガラスの製造コストが極めて高いと
いう問題が見られた。一方、従来から消色剤として用い
られているSeは、還元雰囲気でのみ消色効果を発揮す
ることができ、紫外線遮蔽成分であるV25やCeO2
は酸化性であることから、使用することができないとい
う問題も見られた。
【0007】このような状況下、発明者らは、上述した
問題を鋭意検討し、SiO2と、CeO2等の紫外線遮蔽
成分を用いた場合であっても、特定の消色剤を含んで紫
外線遮蔽用ガラスを構成することにより、安価な紫外線
遮蔽用ガラスが得られるとともに、特異的に紫外線遮蔽
性や透明性が向上することを見出し、本発明を完成させ
たものである。すなわち、本発明の目的は、紫外線遮蔽
性や透明性に優れ、しかも安価な紫外線遮蔽用ガラスを
提供すること、およびこのような紫外線遮蔽用ガラスを
用いた紫外線遮蔽ガラス容器を提供すること、さらには
このような紫外線遮蔽用ガラスを効率的に製造可能な紫
外線遮蔽用ガラスの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手投】本発明の紫外線遮蔽用ガ
ラスは、SiO2と、紫外線遮蔽成分と、消色剤とを含
んでなり、紫外線遮蔽成分が、CeO2およびV25
るいはいずれか一方の無機化合物であり、消色剤が、M
nO2、CoOおよびNiOからなる群から選択される
少なくとも一つの無機化合物であることを特徴としてい
る。このように構成すると、酸化ネオジウムや酸化エル
ビニウム等の高価な消色剤を用いず、しかも少量の添加
で優れた透明性が得られるため、安価で、優れた紫外線
遮蔽性を有する紫外線遮蔽用ガラスを提供することがで
きる。
【0009】また、本発明の紫外線遮蔽用ガラスを構成
するにあたり、全体量を100重量%としたときに、S
iO2の含有量を40〜82重量%の範囲内の値とし、
かつ、紫外線遮蔽成分の含有量を0.01〜1.0重量
%の範囲内の値とすることが好ましい。このように構成
すると、所定の耐水性や機械的特性を有するとともに、
優れた紫外線遮蔽効果を有する紫外線遮蔽用ガラスを提
供することができ、しかもより優れた透明性を得ること
ができる。
【0010】また、本発明の紫外線遮蔽用ガラスを構成
するにあたり、全体量を100重量%としたときに、消
色剤の含有量を0.000002〜1.0重量%の範囲
内の値とすることが好ましい。このように紫外線遮蔽用
ガラスを構成すると、より安価となり、しかも幅広い吸
収波長において優れた紫外線遮蔽性や透明性を得ること
ができる。
【0011】また、本発明の紫外線遮蔽用ガラスを構成
するにあたり、分光光度計で測定される紫外線吸収端が
320nm以上の値とすることが好ましい。このように
紫外線吸収端を制限することにより、ガラス容器等の内
容物に対する、紫外線劣化の主原因となる320nm程
度の波長の紫外線を有効に吸収することができ、ガラス
容器等の内容物に対する耐紫外線性を著しく向上させる
ことができる。
【0012】また、本発明の別の態様は、上述した紫外
線遮蔽用ガラスからなる紫外線遮蔽ガラス容器である。
このように酸化ネオジウムや酸化エルビニウム等の高価
な消色剤を用いていない紫外線遮蔽用ガラスを使用する
ことから、安価なガラス容器を提供することができ、し
かも特異的に優れた紫外線遮蔽性や透明性を得ることが
できる。
【0013】また、本発明の別の態様は、紫外線遮蔽用
ガラスの製造方法であり、紫外線遮蔽用ガラス原料とし
て、SiO2と、紫外線遮蔽成分としてのCeO2および
25あるいはいずれか一方の無機化合物と、消色剤と
してのMnO2、CoOおよびNiOからなる群から選
択される少なくとも一つの無機化合物とを使用するとと
もに、当該紫外線遮蔽用ガラス原料を溶融窯を用いて溶
解後、成形することを特徴とすることを特徴としてい
る。このように紫外線遮蔽用ガラスを製造すると、安価
に、しかも優れた紫外線遮蔽性を有し、気泡等の巻き込
みが少なく、透明性に優れた紫外線遮蔽用ガラスを効率
的に得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明における紫外線遮蔽用ガラ
ス、および紫外線遮蔽用ガラスの製造方法に関する実施
形態を具体的に説明する。
【0015】[第1の実施形態]第1の実施形態は、ガ
ラス網目成分と、ガラス網目修飾成分と、紫外線遮蔽成
分と、消色剤とを含んでなる紫外線遮蔽用ガラスであ
る。以下、各構成成分および組成例につき、具体的に説
明する。
【0016】(1)ガラス網目成分 ガラス網目成分は、紫外線遮蔽用ガラスの骨格となる構
成物である。このようなガラス網目成分としては、具体
的にSiO2が挙げられる。また、ガラス網目成分の添
加量を、全体量を100重量%としたときに、40〜8
2重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由
は、ガラス網目成分の添加量が40重量%未満となる
と、耐水性や機械的特性が著しく低下する場合があるた
めであり、一方、ガラス網目成分の添加量が82重量%
を超えると、溶融性が低下して、気泡を巻き込みやすく
なる場合があるためである。したがって、機械的特性や
溶融性のバランスがより良好となることから、ガラス網
目成分の添加量を、全体量に対して、40〜65重量%
の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜60重
量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0017】(2)ガラス網目修飾成分 ガラス網目修飾成分として、アルカリ金属酸化物やアル
カリ土類金属酸化物を添加するのが好ましい。具体的
に、Na2O、K2O、Li2O、CaO、MgO、Ba
O、B23、Al23等の一種単独または二種以上のガ
ラス網目修飾成分からなる組み合わせを挙げることがで
きる。
【0018】これらのガラス網目修飾成分のうち、Na
2O、K2OおよびLi2Oは、アルカリ金属酸化物であ
り、融剤として、紫外線遮蔽用ガラス原料の溶解性を向
上させるために添加される。これらのアルカリ金属酸化
物の添加量を、全体量を100重量%としたときに、1
0〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましく、1
1〜20重量%の範囲内の値とすることがより好まし
い。この理由は、アルカリ金属酸化物の添加量が10重
量%未満となると、融剤としての効果が発揮されない場
合があるためであり、一方、アルカリ金属酸化物の添加
量が30重量%を超えると、耐水性や耐候性が低下する
場合があるためである。
【0019】また、上述したガラス網目修飾成分のう
ち、CaO、MgOおよびBaOは、アルカリ土類金属
酸化物であり、安定な紫外線遮蔽用ガラスを得るために
添加される。これらのアルカリ土類金属酸化物の添加量
を、全体量を100重量%としたときに、5〜30重量
%の範囲内の値とすることが好ましく、7〜20重量%
の範囲内の値とすることがより好ましい。この理由は、
アルカリ土類金属酸化物の添加量が5重量%未満となる
と、ガラス安定剤としての効果が発揮されない場合があ
るためであり、一方、アルカリ土類金属酸化物の添加量
が30重量%を超えると、得られる紫外線遮蔽用ガラス
が失透しやすくなる場合があるためである。
【0020】また、上述したガラス網目修飾成分のう
ち、B23およびAl23は、紫外線遮蔽用ガラスの耐
水性や耐候性をより向上させるために添加される。これ
らの無機酸化物の添加量を、全体量を100重量%とし
たときに、0.1〜20重量%の範囲内の値とすること
が好ましく、0.2〜10重量%の範囲内の値とするこ
とがより好ましい。この理由は、これらの無機酸化物の
添加量が0.1重量%未満となると、添加効果が発揮さ
れない場合があるためであり、一方、これらの無機酸化
物の添加量が20重量%を超えると、得られた紫外線遮
蔽用ガラスの透明性が低下する場合があるためである。
【0021】(3)紫外線遮蔽成分 第1の実施形態で使用する紫外線遮蔽成分は、CeO2
およびV25あるいはいずれか一方の無機化合物であ
る。これらの無機化合物は、紫外線遮蔽効果に優れてい
るという特徴がある。
【0022】ただし、CeO2は、V25と比較して、
少量の添加で優れた紫外線遮蔽効果が得られる一方、溶
融窯で溶解させた場合にも着色性が少ないことから、第
1の実施形態で使用する紫外線遮蔽成分としてより好ま
しい。具体的に、CeO2の紫外線遮蔽効果について、
図2および図3を参照しながら説明する。図2は、横軸
に紫外線の波長(nm)を採って示してあり、縦軸に厚
さ4mmの紫外線遮蔽用ガラスの透過率(%)を採って
示してある。そして、図2に示すチャート中の紫外線吸
収スペクトルは、後述する実施例1〜5および比較例1
に該当するものである。また、図3は、図2のデータを
一部プロットしたものであり、横軸に紫外線遮蔽用ガラ
ス中のCeO2の添加量(重量%)を採って示してあ
り、縦軸に紫外線遮蔽用ガラスの紫外線吸収端(吸収可
能な紫外線の最大波長)の値(nm)を採って示してあ
る。これらの図2および図3から明らかなように、紫外
線遮蔽ガラス中のCeO2の添加量が多いもの程、紫外
線吸収端(吸収可能な紫外線の最大波長)の値が大きい
ことが理解される。また、紫外線遮蔽ガラス中のCeO
2の添加量を0.1〜0.2重量%とすると、紫外線吸
収端の値が急に大きく増加する、すなわち、吸収可能な
紫外線領域が著しく広がることになる。そして、CeO
2の添加量を0.3重量%以上の値とすることにより、
紫外線吸収端の値がさらに増加する一方、飽和してくる
傾向も見られた。よって、CeO2は、比較的少量の添
加で優れた紫外線吸収効果が得られることが確認され、
CeO2は、本発明で使用する紫外線遮蔽成分としてよ
り好ましい材料である。
【0023】また、紫外線遮蔽成分の添加量は、得られ
る紫外線遮蔽用ガラスの紫外線遮蔽効果を考慮して定め
られるが、例えば、全体量を100重量%としたとき
に、0.01〜1.0重量%の範囲内の値とすることが
好ましい。この理由は、紫外線遮蔽成分の添加量が0.
01重量%未満となると、紫外線遮蔽効果が発揮されな
い場合があるためであり、一方、紫外線遮蔽成分の添加
量が1.0重量%を超えると、得られた紫外線遮蔽用ガ
ラスが逆に着色したり、あるいは高価となる場合がある
ためである。したがって、消色効果やコストのバランス
がより良好となることから、紫外線遮蔽成分の添加量
を、全体量に対して、0.05〜0.5重量%の範囲内
の値とすることがより好ましく、0.2〜0.4重量%
の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0024】(4)消色剤 第1の実施形態で使用する消色剤は、MnO2、CoO
およびNiOからなる群から選択される少なくとも一つ
の無機化合物である。これらのうち、特にMnO2、あ
るいはとMnO2とCoOとの組合わせが好ましい。こ
の理由は、MnO2は、少量の添加で優れた消色効果が
得られるためであり、しかも、酸化ネオジウムや酸化エ
ルビニウム等と比較して、極めて安価なためである。ま
た、MnO2とCoOとを組合わせて使用すると、さら
に優れた消色効果が得られるためである。
【0025】また、消色剤の添加量は、得られる紫外線
遮蔽用ガラスの透明性を考慮して定められるが、例え
ば、全体量の0.000002〜1.0重量%の範囲内
の値とすることが好ましい。この理由は、消色剤の添加
量が0.000002重量%未満となると、消色効果が
発揮されない場合があるためであり、一方、消色剤の添
加量が1.0重量%を超えると、得られた紫外線遮蔽用
ガラスが高価となったり、あるいは逆に着色する場合が
あるためである。したがって、消色効果やコストのバラ
ンスがより良好となることから、消色剤の添加量を、全
体量に対して、0.001〜0.1重量%の範囲内の値
とすることがより好ましく、0.002〜0.05重量
%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0026】また、MnO2とCoOとを組合わせて使
用する場合、MnO2の添加量を、全体量を100重量
%としたときに、0.0001〜0.05重量%の範囲
内の値とするとともに、CoOの添加量を、全体量に対
して、1×10-6〜1×10-4重量%の範囲内の値とす
ることが好ましく、2×10-6〜1×10-5重量%の範
囲内の値とすることがより好ましい。すなわち、MnO
2 100重量部に対して、CoOを1/50000重
量部〜1重量部の割合で添加するのが好ましい。
【0027】(5)その他の添加剤 第1の実施形態における紫外線遮蔽用ガラスには、用途
等に応じて、抗菌剤、防カビ剤、電磁波遮蔽剤、清澄
剤、発泡剤、還元剤等を添加することも好ましい。特に
清澄剤を添加することにより、気泡の巻き込みが少な
く、透明性により優れた紫外線遮蔽用ガラスが得られる
ことから好ましい。このような清澄剤としては、硫酸
塩、例えば、Na2SO4、K2SO4、BaSO4、Ca
SO4等や、弗化物、例えば、蛍石、ケイフッ素化合物
等が挙げられる。また、清澄剤の添加量を、全体量に対
して、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることが好ま
しい。
【0028】さらに、第1の実施形態における紫外線遮
蔽用ガラスには、Fe23が含まれる場合があるが、そ
の場合でも透明性を向上させるため、Fe23の含有量
を全体量に対して、0.5重量%以下の値とすることが
好ましく、0.4重量%以下の値とすることがより好ま
しい。この理由は、Fe23が多量に含まれていると、
紫外線遮蔽成分と反応し、より大きく着色する場合があ
るためである。
【0029】(6)紫外線遮蔽用ガラス 第1の実施形態における紫外線遮蔽用ガラスの組成とし
て、例えば、SiO2、Na2O、K2O、CaO、Mg
O、B23、Al23、CeO2およびMnO2の組み合
わせや、SiO2、Na2O、K2O、CaO、MgO、
23、Al23、CeO2、MnO2およびCoOの組
み合わせが挙げられる。このように組み合わせることに
より、安価で、しかも優れた紫外線遮蔽性や透明性を有
する紫外線遮蔽用ガラスを得ることができる。
【0030】また、紫外線遮蔽用ガラスの形態について
も任意であり、例えば、板状、球状、多角形状、円柱
状、棒状あるいは異型状とすることが好ましい。さらに
は、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹
脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ
カーボーネート系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系
樹脂等の高分子に分散させるのが容易なように、紫外線
遮蔽用ガラスの形態を、平均粒子径が0.001〜1m
mの範囲内の粒子状とすることも好ましい。
【0031】[第2の実施形態]第2の実施形態は、紫
外線遮蔽用ガラスの製造方法であり、紫外線遮蔽用ガラ
ス原料を溶解させて、紫外線遮蔽用ガラス融液を作成す
る工程(第1の工程)と、紫外線遮蔽用ガラス融液を移
送する移送工程(第2の工程)と、紫外線遮蔽用ガラス
融液からガラスを成形する成形工程(第3の工程)とを
含んでいる。以下、図1を参照しながら第2の実施形態
の製造方法を具体的に説明する。なお、紫外線遮蔽用ガ
ラスの構成成分等については、第1の実施形態で説明し
た内容と同様とすることができるため、ここでの説明は
省略する。
【0032】(1)第1の工程 第1の工程は、SiO2等のガラス網目成分、Na2Oや
2O等のガラス網目修飾成分、CeO2等の紫外線遮蔽
成分、およびMnO2やCoO等の消色剤等の紫外線遮
蔽用ガラス原料を加熱溶融させて、紫外線遮蔽用ガラス
用融液を作成する工程である。この溶解工程は、図1に
示す溶解炉12およびそれに連結された作業室14にお
いて行われる。具体的には、断熱部材(図示せず。)で
覆われた溶解炉12の、例えば側方に設けられた投入口
10から、矢印Aで示すように、紫外線遮蔽用ガラス原
料を投入し、次いで、これらのガラス原料を加熱部材
(図示せず。)で加熱することにより、均一に溶解させ
て、紫外線遮蔽用ガラス融液を得ることができる。ま
た、具体的な紫外線遮蔽用ガラス原料としては、けい
砂、ソーダ灰、石灰、カレット、CeO2、およびMn
2等を使用することが好ましい。
【0033】ここで、溶解炉12の加熱温度を加熱部材
で調節し、1300〜1800℃の範囲内の温度とする
のが好ましく、1400〜1600℃の範囲内の温度と
するのがより好ましい。このような加熱温度とすること
により、比較的短時間に、かつ、均一に溶融した紫外線
遮蔽用ガラスを作成することができる。また、溶解炉1
2における溶解時間についても特に制限されるものでは
ないが、例えば、5〜120時間の範囲内の値とするの
が好ましく、10〜72時間の範囲内の値とするのがよ
り好ましく、20〜48時間の範囲内の値とするのがさ
らに好ましい。さらに、紫外線遮蔽用ガラス原料からな
る融液を溶解炉12中で、撹拌、循環させながら溶解さ
せるとともに、融液が作業室14に到達したときには、
通常、すでにガラス化されている状態とするのが好まし
く、また、融液の温度を、例えば、1200〜1300
℃の範囲内の値に制御することが好ましい。
【0034】なお、溶解炉12と作業室14との間に
は、スロート16を設けることが好ましい。この理由
は、紫外線遮蔽用ガラス原料融液を、上下方向に屈曲さ
せたスロート16を通過させることにより、未溶解物に
ついては流出させないとともに、内部で発生した気泡等
を効率的に脱泡できるためである。したがって、紫外線
遮蔽成分として、CeO2等の気泡が発生しやすい材料
を用いたとしても、次々工程のガラス成形工程におい
て、透明性や外観性に優れた紫外線遮蔽用ガラスを得る
ことができる。
【0035】(2)第2の工程 第2の工程は、得られた紫外線遮蔽用ガラス融液を、温
度を所定範囲に制御しながらガラス成形機(金型等)ま
で移送する移送工程である。この移送工程には、通常、
図1に示すようなフォアハース18が用いられている。
このフォアハ−ス18は、第1工程における作業室14
に連結されており、通常、5〜20mの長さを有してい
る。そして、このフォアハ−ス18には、バーナー等の
加熱装置や温度制御装置(それぞれ図示せず。)が設け
てあり、第3の工程において容易に成形できるように、
例えば1000〜1400℃の範囲内の温度に制御する
ことが可能である。なお、このフォアハ−ス18の例で
は、カラーフィーダー方式に適用可能に、フリット投入
口20と、3セットの一対の撹拌装置22とが設けられ
ているが、このような設備については、第2実施形態で
は省略することができる。また、フォアハ−ス18にお
ける紫外線遮蔽用ガラス融液の移送速度についても調節
可能であり、成形するガラス容器の種類によるが、例え
ば、0.1〜20m/分の範囲内の値とすることが好ま
しい。
【0036】(3)第3の工程 第3の工程は、フォアハ−ス18から、紫外線遮蔽用ガ
ラス融液を取り出し、ガラス成形機(図示せず。)を用
いて、直接的に所望形状のガラス容器あるいはガラス板
等に成形する工程である。第2の実施形態において、か
かるガラス成形機としては、一般的に常用されているも
のを用いることができる。
【0037】なお、第2の実施形態において、図1に示
すように、フォアハ−ス18から紫外線遮蔽用ガラス融
液を取り出し、次いで、ゴブカットしたのち、矢印Bで
示す方向に移送させ、ガラス成形機により、間接的にガ
ラス容器等を成形することも好ましい。ただし、ゴブカ
ットする場合には、ガラス成形機において気泡を発生し
やすい場合があるため、成形温度を厳格に調整等する必
要がある。
【0038】[第3の実施形態]第3の実施形態は、第
2の実施形態における紫外線遮蔽用ガラスの製造方法の
変形例であり、カラーフィーダー方式と、溶解窯方式を
組み合わせた紫外線遮蔽用ガラスの製造方法である。よ
り具体的には、紫外線遮蔽成分の一部を含んで紫外線遮
蔽用ガラス融液を作成した後(第1の工程)、図1に示
すように、紫外線遮蔽用ガラス融液を移送するフォアハ
−ス18に、紫外線遮蔽成分の残りの一部をフリットと
して添加するとともに、フォアハ−ス18の後端に設け
たカラーフィーダー28により、紫外線遮蔽用ガラス融
液をゴブカットし(第2の工程)、さらに、得られたゴ
ブを用いてガラス成形機により間接的にガラス容器等を
成形する(第3の工程)製造方法である。このように紫
外線遮蔽成分を第1の工程と、第2の工程とに分けて添
加することにより、紫外線遮蔽成分に起因した第2の工
程での発泡を効率的に低下させることができる。したが
って、カラーフィーダー方式と、溶解窯方式を組み合わ
せることにより、少量ロット品であっても、ガラス容器
等を経済的に成形することができる。また、このように
紫外線遮蔽成分を第1の工程と、第2の工程とに分けて
添加することにより、紫外線遮蔽成分の添加量の制御が
さらに容易となるという利点もあり、その他、消色剤の
添加量を出来る限り少なくできるという利点もある。
【0039】ここで、カラーフィーダー方式とは、ガラ
ス容器等に用いられる着色ガラス等の連続的製造方法の
一つとして知られているものであり、一般に、溶解炉に
接続されたフォアハースにおいて、高濃度の着色成分を
含む、粉末、粒子、粉砕物状等のフリットを元素地ガラ
スに添加し、次いで、ゴブカットおよび成形して、少量
多品種の着色ガラスを製造する生産方式である。また、
溶解窯方式とは、無色透明ガラス等の連続的製造方法の
一つとして知られているものであり、一般に、溶解炉に
おいて、元素地ガラスとともに、他の添加成分を予め添
加し、多量少品種の無色透明ガラスを製造する生産方式
である。
【0040】そして、第3の実施形態において、紫外線
遮蔽成分の添加量を、第1の実施形態で説明したのと同
様に、紫外線遮蔽用ガラスの全体量に対して、0.1〜
1.0重量%の範囲内の値とすることが好ましいが、そ
のうち、第1の工程では、10〜90重量%の割合を添
加することが好ましく、20〜80重量%の割合を添加
することがより好ましく、30〜70重量%の割合を添
加することがさらに好ましい。よって、第2の工程にお
いては、その第1の工程で添加した残りの割合の紫外線
遮蔽成分を添加することが好ましい。なお、第3の実施
形態における、紫外線遮蔽用ガラスの構成成分や溶融条
件等については、第1および第2の実施形態で説明した
内容と同様とすることができる。
【0041】
【実施例】以下実施例をもとに、さらに本発明を説明す
る。ただし、言うまでもなく、本発明の範囲は実施例の
記載に制限されるものではない。
【0042】[実施例1] (1)紫外線遮蔽用ガラスの作成 第1の工程において、溶解炉に、全体量に対して、Si
2の添加量が73重量%、Na2O+K2Oの添加量が
14重量%、CaO+MgOの添加量が11重量%、A
23の添加量が1.8重量%、CeO2の添加量が
0.1重量%、MnO2の添加量が0.015重量%、
CoOの添加量が0.00006重量%となるように、
けい砂、ソーダ灰、石灰、カレット、CeO2、MnO2
およびCoO等の紫外線遮蔽用ガラス原料をそれぞれ投
入した。次いで、温度1470℃、48時間の条件で溶
解炉にて溶解させて、紫外線遮蔽用ガラス融液とした。
この紫外線遮蔽用ガラス融液を、溶解炉およびこれに連
結された作業室から、フォアハ−スである第2の工程に
供した。
【0043】第2の工程において、長さ約10mのフォ
アハ−ス内に紫外線遮蔽用ガラス融液を供給し、その
後、紫外線遮蔽用ガラス融液の温度を、バーナーを用い
て1250〜1300℃に保持しながら、移送速度10
m/分で、ガラス成形機まで移送した。また、第3の工
程として、第2の工程により移送された紫外線遮蔽用ガ
ラス用融液を、紫外線遮蔽ガラス容器の成形工程に供し
た。そして、胴部高さ80mm、首部高さ20mm、胴
直径40mm、首部直径20mm、厚さ4mmのボトル
ネック型の紫外線遮蔽ガラス容器をガラス成形機にて成
形した。
【0044】(2)紫外線遮蔽ガラス容器の評価 紫外線遮蔽性1 得られた紫外線遮蔽ガラス容器の紫外線遮蔽性を、フェ
ードメーター(スガ試験機製)を用いて測定した。具体
的に、紫外線遮蔽ガラス容器の内部に、濃度が0.00
04重量%(pH=3)となるように青色1号と水を収
用した後、波長628nmの紫外線を4時間照射した。
そして、青色1号の残存率(残存重量/初期重量×10
0)を測定し、以下の基準で評価した。評価した結果を
表1に示す。 ◎:残存率が90%以上である。 〇:残存率が80%以上である。 △:残存率が50%以上である。 ×:残存率が50%未満である。
【0045】紫外線遮蔽性2 得られた紫外線遮蔽ガラス容器の一部を板状(厚さ4m
m)に切り出し、その光透過率(波長250〜450n
m)を、分光光度計を用いて測定した。図2に得られた
紫外線吸収スペクトルを曲線で示す。そして、この紫
外線吸収スペクトルから、紫外線吸収端を算出し、以下
の基準で評価した。評価した結果を表1に示す。 ◎:紫外線吸収端が330nm以上である。 〇:紫外線吸収端が310nm以上である。 △:紫外線吸収端が300nm以上である。 ×:紫外線吸収端が300nm未満である。
【0046】透明性1 得られた紫外線遮蔽ガラス容器の着色に関する透明性
を、以下の基準により、目視にて評価した。評価した結
果を表1に示す。 ◎:無色透明である。 〇:わずかに着色している。 △:着色している。 ×:顕著に着色している。
【0047】透明性2 得られた紫外線遮蔽ガラス容器の発泡に関する透明性
を、以下の基準により、目視にて評価した。評価した結
果を表1に示す。 ◎:直径0.1mm以上の気泡が0個/10cm2であ
る。 〇:直径0.1mm以上の気泡が5個以下/10cm2
である。 △:直径0.1mm以上の気泡が10個以下/10cm
2である。 ×:直径0.1mm以上の気泡が10個超/10cm2
である。
【0048】[実施例2〜5]実施例1におけるCeO
2の添加量を、全体量に対して0.1重量%から、0.
2重量%(実施例2)、0.3重量%(実施例3)、
0.4重量%(実施例4)、0.5重量%(実施例5)
に増加させたほかは、実施例1と同様に紫外線遮蔽用ガ
ラス容器を作成するとともに、紫外線遮蔽性等を評価し
た。得られた結果を、表1および図2に示す。なお、実
施例2の透過率曲線を、実施例3の透過率曲線を、
実施例4の透過率曲線を、実施例5の透過率曲線を
でそれぞれ示す。
【0049】[比較例1]実施例1において紫外線遮蔽
成分としてのCeO2を添加しなかったほかは、実施例
1と同様にガラス容器を作成するとともに、紫外線遮蔽
性等を評価した。得られた結果を、表1および図2に曲
線で示す。
【0050】[比較例2]実施例1において消色剤とし
てのMnO2およびCoOをそれぞれ添加しなかったほ
かは、実施例1と同様にガラス容器を作成するととも
に、紫外線遮蔽性等を評価した。得られた結果を、表1
に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明の紫外線遮蔽用ガラスおよびそれ
から得られる紫外線遮蔽ガラス容器によれば、紫外線遮
蔽性や透明性に優れており、しかも安価に提供できるよ
うになった。また、本発明の紫外線遮蔽用ガラスの製造
方法によれば、紫外線遮蔽性や透明性に優れ、しかも安
価な紫外線遮蔽用ガラスを効率的に製造することが可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】紫外線遮蔽用ガラスの製造方法を説明するため
に供する図である。
【図2】紫外線遮蔽用ガラスにおける紫外線吸収スペク
トルを示す図である。
【図3】紫外線遮蔽用ガラスにおけるCeO2の添加量
と、紫外線吸収端との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 投入口 11 仕切り板 12 溶解炉 14 作業室 16 スロート 18 フォアハース 20 フリット投入口 22 撹拌装置 24 ガラス流動部 26 底部 28 カラーフィーダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G062 AA01 BB01 DA05 DA06 DA07 DB02 DB03 DB04 DC02 DC03 DC04 DD01 DE01 DF01 EA01 EA02 EA03 EA04 EA10 EB01 EB02 EB03 EB04 EC01 EC02 EC03 EC04 ED01 ED02 ED03 ED04 EE01 EE02 EE03 EE04 EF01 EG01 EG02 EG03 EG04 FA01 FA10 FB01 FC01 FD01 FE01 FF01 FF02 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 FL02 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH10 HH11 HH12 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM01 NN13 NN16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO2と、紫外線遮蔽成分と、消色剤
    とを含んでなる紫外線遮蔽用ガラスにおいて、 前記紫外線遮蔽成分が、CeO2およびV25あるいは
    いずれか一方の無機化合物であり、前記消色剤が、Mn
    2、CoOおよびNiOからなる群から選択される少
    なくとも一つの無機化合物であることを特徴とする紫外
    線遮蔽用ガラス。
  2. 【請求項2】 全体量を100重量%としたときに、前
    記SiO2の含有量を40〜82重量%の範囲内の値と
    し、かつ、前記紫外線遮蔽成分の含有量を0.01〜
    1.0重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求
    項1に記載の紫外線遮蔽用ガラス。
  3. 【請求項3】 全体量を100重量%としたときに、前
    記消色剤の含有量を0.000002〜1.0重量%の
    範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に
    記載の紫外線遮蔽用ガラス。
  4. 【請求項4】 分光光度計で測定される紫外線吸収端が
    320nm以上の値であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽用ガラス。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の紫
    外線遮蔽用ガラスからなる紫外線遮蔽ガラス容器。
  6. 【請求項6】 紫外線遮蔽用ガラス原料として、SiO
    2と、紫外線遮蔽成分としてのCeO2およびV25ある
    いはいずれか一方の無機化合物と、消色剤としてのMn
    2、CoOおよびNiOからなる群から選択される少
    なくとも一つの無機化合物とを使用するとともに、 当該紫外線遮蔽用ガラス原料を溶融窯を用いて溶解後、
    成形することを特徴とする紫外線遮蔽用ガラスの製造方
    法。
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