JP2001041261A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP2001041261A
JP2001041261A JP11216022A JP21602299A JP2001041261A JP 2001041261 A JP2001041261 A JP 2001041261A JP 11216022 A JP11216022 A JP 11216022A JP 21602299 A JP21602299 A JP 21602299A JP 2001041261 A JP2001041261 A JP 2001041261A
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正宏 早渕
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正明 西田
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悟 糟谷
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャンセルプレートの遠心油圧の受圧面積を
確保しながら、回転部材の強度を下げることなくキャン
セル油の排出を可能とする。 【解決手段】 クラッチ装置は、クラッチピストン32
の背後に、ピストンと回転部材31とキャンセルプレー
ト33とにより囲われるキャンセル室Rcを備える。回
転部材の軸部外周に嵌合させたスナップリング35によ
り軸方向移動規制したキャンセルプレートの内周側背面
に、切欠き33aを形成し、回転部材の軸部31aに、
キャンセル室とキャンセルプレートの切欠きを連通する
油路Cを形成し、油路をキャンセルプレートの切欠きの
範囲内とキャンセル室の範囲内に開口部を有するものと
し、キャンセル油を軸部側のスナップリング嵌合溝の深
さ相当の深さの油路Cとキャンセルプレートの背面側の
切欠きを通して排出可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ装置に関
し、特に自動変速機に用いるに適したクラッチ装置にお
いて、遠心油圧をキャンセルする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】湿式多板構成のクラッチ装置において、
動力伝達を行う摩擦係合要素を係脱操作する油圧サーボ
は、ブレーキの油圧サーボと異なり、動力伝達経路を構
成する回転部材と共に回転するため、ピストンシリンダ
機構で構成される油圧サーボのシリンダ室内に供給され
る作動油に遠心力が作用する。このように作動油にかか
る遠心力は、シリンダ室内の油圧を外径側に行く程高め
る遠心油圧を生じさせ、クラッチ係合時の供給油圧の制
御を難しくするばかりでなく、クラッチ解放時の油圧の
排出の妨げとなる。
【0003】こうした遠心油圧の発生に対する一つの対
策として、クラッチピストンの背後に、該ピストンと、
シリンダ側の回転部材と、該回転部材とピストンとに内
外周を嵌合させたキャンセルプレートとにより囲われる
キャンセル室を設け、キャンセル室に発生する遠心油圧
によりシリンダ室内の遠心油圧を相殺する技術がある。
特開平2−296072号公報に開示の技術は、上記キ
ャンセラ機構からの油圧の排出に係るもので、この技術
では、キャンセルプレートの内周側に溝を設け、この溝
を同じくキャンセルプレートの背面に設けた切欠きに連
通させることで、キャンセルプレートの軸方向移動を規
制すべくキャンセルプレートの背面に当接するスナップ
リングを迂回する排出路を確保している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術のキャンセラ機構では、キャンセルプレートの内周に
設けた溝が、キャンセルプレートの遠心油圧の受圧面を
内周側で減少させる要素となり、クラッチピストンの受
圧面積とほぼ同等とされるキャンセルプレートの実際の
受圧面積に対して、有効に作用する受圧面積を減少させ
ることになる。このような排出溝を設けることによる受
圧面積の減少を補うには、キャンセルプレートの嵌合部
位の回転部材の軸径を小さくして、その分だけ受圧面を
内径方向に拡大すればよいと考えられるが、そのように
すると、軸強度の確保が困難になる。
【0005】本発明は、こうした事情に鑑みなされたも
のであり、キャンセルプレートの遠心油圧の受圧面積を
減少させることなく、しかも回転部材の強度を確保しな
がらキャンセル油の排出を可能としたキャンセラを備え
るクラッチ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、回転部材と共に回転するピストンシリン
ダ機構を備えるクラッチ装置であって、クラッチピスト
ンと、回転部材と、該回転部材とピストンとに内外周を
嵌合させたキャンセルプレートとにより囲われるキャン
セル室をクラッチピストンの背後に備えるものにおい
て、前記キャンセルプレートの内周側背面に、少なくと
も1つの切欠きが形成され、前記回転部材の軸部に、キ
ャンセル室とキャンセルプレートの切欠きを連通する油
路が形成され、前記キャンセルプレートは、回転部材の
軸部外周に嵌合させたスナップリングにより軸方向の移
動を規制されたことを特徴とする。
【0007】上記の構成において、前記キャンセルプレ
ートの切欠きは、スナップリングの外周を越えて延在す
る構成とするのが有効である。
【0008】更に、前記スナップリングは、キャンセル
プレートの背面に当接し、キャンセルプレートの背面に
設けた抜け止めにより外周方向への拡径を規制された構
成を採るのが有効である。
【0009】また、前記軸部の油路は、キャンセルプレ
ートの内周径に対して軸径を縮小させた小径部で構成さ
れるのが有効である。
【0010】また、前記軸部の油路の底部と、スナップ
リングが嵌合する軸部外周面とは、テーパ状に連結され
た構成とするのが有効である。
【0011】また、前記回転部材は、自動変速機の動力
伝達部材とされ、軸部の端面に当接させてスラスト軸受
が配設された構成を採るのが有効である。
【0012】
【発明の作用及び効果】上記請求項1記載の構成では、
キャンセル室の油は、クラッチピストンの作動に伴うキ
ャンセル室の縮小、又はキャンセル室に供給される油の
オーバフローにより、回転部材の油路とキャンセルプレ
ートの背面の切欠き通って外部に排出される。この場
合、キャンセル室からキャンセルプレートの背面に至る
油路は、回転部材の軸部に設けられ、キャンセルプレー
トの内周側に溝を設けることなく確保されるため、キャ
ンセルプレートの全受圧面を有効に遠心油圧の受圧面と
して利用することができる。一方、軸部の油路は、キャ
ンセルプレートの軸方向移動を規制するために必須のス
ナップリングを止めるためのスナップ溝部の軸径とほぼ
同様の径で確保されるため、回転部材の強度を減少させ
る要素とはならない。
【0013】次に、請求項2記載の構成では、キャンセ
ルプレートの背面の切欠きが、同じく背面に当接するス
ナップリングの外周を越えて延在するため、キャンセル
室からの油は、スナップリングに妨げられることなく、
確実に排出される。
【0014】更に、請求項3記載の構成では、回転部材
に回転によりスナップリングにかかる遠心力によるスナ
ップリングの拡径をキャンセルプレートの背面で規制す
ることができるため、別途の規制部材を用いずにスナッ
プリングを確実に抜け止めすることができる。
【0015】次に、請求項4記載の構成では、油路を軸
部の小径化により確保しているため、軸部の外周に軸方
向溝を設けて油路とする場合の溝削り加工に比べて、鍛
造のままあるいは旋削といった簡略な加工を採用するこ
とができ、それによりコストダウンを図ることができ
る。
【0016】そして、請求項5記載の構成では、油路の
底部とスナップリングを配設した軸部外周面は、テーパ
状に連結されているため、キャンセル油の排出時の流れ
が滑らかになるので、キャンセル油の排出抵抗が減少す
る。
【0017】更に、請求項6記載の構成では、回転部材
の軸部をキャンセル面積確保のために小径化する必要が
ないので、回転部材にかかるスラスト力を支持する場合
に、スラスト軸受との当接面を確保することができる。
したがって、軸受のスラストレースを薄肉化することが
でき、変速機の軸長を短くすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿い、本発明の実施
形態を説明する。図1及び図2は本発明のクラッチ装置
を自動変速機に適用して具体化した一実施形態をそれぞ
れ軸方向部分断面で示す。図に示すように、このクラッ
チ装置は、回転部材31,11Bと共に回転するピスト
ンシリンダ機構を備えるクラッチ装置を構成しており、
ピストン32,42と、回転部材31,11Bと、回転
部材とピストンとに内外周を嵌合させたキャンセルプレ
ート33,43とにより囲われるキャンセル室Rcをク
ラッチピストン32,42の背後に備えている。
【0019】本発明の特徴に従い、キャンセルプレート
33,43の背面(クラッチハブ39,49に対向した
面)の内周側に、少なくとも1つの切欠き33a,43
aが形成されている。切欠き33a,43aは、キャン
セルプレート33,43の正面(キャンセル室Rc側の
面)と連通しないように、キャンセルプレート内周面3
3c,43cから径方向に延ばされている。回転部材の
軸部31a,11aには、キャンセル室Rcとキャンセ
ルプレート33,43の切欠き33a,43aを連通す
る油路Cが形成され、この油路Cは、少なくともキャン
セルプレート33,43の切欠き33a,43aの範囲
内、すなわち切欠き33a,43aのキャンセルプレー
トの内周面33c,43cに開口した部分の軸方向範囲
と、キャンセル室Rcの範囲内、すなわちピストン3
2,42とキャンセルプレート33,43の軸方向間に
それぞれ開口部を有する。そして、キャンセルプレート
33,43は、回転部材の軸部31a,11a外周に嵌
合させたスナップリング35,45により軸方向の移動
を規制されている。
【0020】キャンセルプレート33,43の切欠き3
3a,43aは、スナップリング35,45の外周を越
えて延在する。スナップリング35,45は、キャンセ
ルプレート33,43の背面に当接し、キャンセルプレ
ート33,43の背面に設けた抜け止め33b,43b
により外周方向への拡径を規制されている。軸部31
a,11aの油路Cは、軸方向溝として構成することも
できるが、この形態では、キャンセルプレート33,4
3の内周径より小径化された小径部31b,11bで構
成されている。そして、軸部31a,11aに設けた油
路Cの底部とスナップリング35,45を配設した面と
はテーパ状に連結されている。この形態では、回転部材
31,11Bは、自動変速機の動力伝達部材としてのク
ラッチドラム36,46に連結された入力側部材とさ
れ、軸部の端部に当接させてスラスト軸受13,14が
配設されている。
【0021】以下、各部の構成について更に詳しく説明
する。図4は、本発明のクラッチ装置が適用された自動
変速機の一例の概略構成をスケルトンで示す。この変速
機は、発進装置としてのトルクコンバータTと、ラビニ
ヨ式のプラネタリギヤセットGを主体とする前進6速・
後進1速の変速機構とから構成されている。変速機構
は、トルクコンバータTのタービンランナに連結した入
力軸11の回転を減速してプラネタリギヤセットGに入
力する減速プラネタリギヤG1と、減速プラネタリギヤ
G1を経て減速された回転をプラネタリギヤセットGの
2つのサンギヤS2,S3にそれぞれ入力する2つのク
ラッチ(C−1,C−3)と、入力軸11の回転をプラ
ネタリギヤセットGのキャリアC2,C3に直接入力す
るクラッチ(C−2)と、プラネタリギヤセットGの一
方のサンギヤS2を変速機ケース10に並列的に係止す
るブレーキ(B−1)及びワンウェイクラッチ(F−
1)とブレーキ(B−2)の組合わせと、プラネタリギ
ヤセットGのキャリアC2を変速機ケース10に並列的
に係止するブレーキ(B−3)及びワンウェイクラッチ
(F−2)とを備える構成とされ、プラネタリギヤセッ
トGのリングギヤR3が出力軸19に連結する出力要素
とされている。
【0022】こうした構成からなる自動変速機は、図5
にその作動を図表化して示すように多段の前進6速・後
進1速を達成することができる。そして、この多段の特
性を有効に発揮させるべく、この変速機では、各変速段
間を自由に飛び変速可能な制御形態が採られ、これに伴
う各クラッチの掴み替えを含む迅速なクラッチ操作を比
較的簡易な油圧操作で実現すべく、クラッチ(C−1)
及びクラッチ(C−2)について、遠心油圧のキャンセ
ル機構を組み込んだクラッチが用いられている。
【0023】本発明が適用された一方のクラッチ装置と
してのクラッチ(C−1)は、図1に示すように、クラ
ッチ(C−3)のハブ21にスプライン係合で連結さ
れ、ドラム36と油圧サーボシリンダを構成する回転部
材31をリベット止めで一体化された入力側回転部材
と、回転部材31の軸部31aの外周面と、外径側を軸
方向後方に延びるシール面の外周面とに内周面と外周側
前方シール面の内周面とを嵌合させて油圧サーボシリン
ダに対して軸方向に摺動自在とされたピストン32と、
同じく回転部材31の軸部31aの外周面と、ピストン
32の外径側後方シール面の内周面とに内外周側シール
面を嵌合させて回転部材31の軸部31aに軸方向移動
を規制されて配設されたキャンセルプレート33と、ピ
ストン32の背面とキャンセルプレート33の前面との
間に配設されたリターンスプリング34とを油圧サーボ
の構成部材として備えている。
【0024】一方、クラッチ(C−1)の動力伝達経路
は、前記ドラム36と、その内周にスプライン連結され
た多数のセパレータプレート37と、各セパレータプレ
ート37の間に挟持された多数のクラッチディスク38
と、クラッチディスク38のの内周側をスプライン係合
で支持するクラッチハブ39とで構成されている。
【0025】回転部材31は、入力軸11Aの外周にブ
ッシュを介して支持され、油圧サーボのシリンダ室Rs
の内周側の軸部31aに形成された径方向油孔31cが
入力軸11A外周の周溝11c及びそれに連なる径方向
油孔11dを介して入力軸11Aの軸内油路11eに連
通して、入力軸11Aからのシリンダ室Rsへの供給油
路が構成されている。回転部材31の軸部31aには、
更にキャンセル室Rcの内周側に位置させて別の径方向
油孔31dが形成され、この油孔31dは、入力軸11
Aの外周側の段差部で構成される環状隙間を経て径方向
油路11fに連通され、更に入力軸11Aと中間軸11
Bの間の隙間を経て中間軸11Bの軸内油路11gに連
結されて潤滑油路が構成されている。
【0026】本発明が適用されたもう一方のクラッチ装
置としてのクラッチ(C−2)は、図2に示すように、
中間軸11Bの大径部に溶接等で連結され、ドラム46
と一体化された油圧サーボシリンダ41を入力側回転部
材とし、回転部材の軸部11aの外周面と、外径側を軸
方向前方に延びるシール面の内周面とに内周面と外周シ
ール面とを嵌合させて油圧サーボシリンダ41に対して
軸方向に摺動自在とされたピストン42と、同じく回転
部材の軸部11aの外周面と、ピストン42の外径側前
方シール面の内周面とに内外周側シール面を嵌合させて
回転部材の軸部11aに軸方向移動を規制されて配設さ
れたキャンセルプレート43と、ピストン42の背面と
キャンセルプレート43の前面との間に配設されたリタ
ーンスプリング44とを油圧サーボの構成部材として備
えている。
【0027】図3に示すように、キャンセルプレート4
3は、この形態では周方向に等間隔に4つの切欠き43
aを備える構成とされ、切欠き43aの間に残されるス
ナップリングとの当接面の外周に、段差で構成される抜
け止め43bが設けられている。
【0028】この場合のクラッチ(C−2)の動力伝達
経路は、油圧サーボシリンダ41と一体のドラム46
と、その内周にスプライン連結された多数のセパレータ
プレート47と、各セパレータプレート47の間に挟持
された多数のクラッチディスク48と、クラッチディス
ク48の内周側をスプライン係合で支持するクラッチハ
ブ49とで構成されている。
【0029】回転部材11Bは、図1に示すように、そ
の前端を入力軸11Aの後端へのスプライン嵌合により
支持され、図2に示すように、後端をローラベアリング
を介して出力軸19に支持されている。このクラッチの
場合、油圧サーボのシリンダ室Rsの内周側の軸部11
aに形成された径方向油孔11hが中間軸11Bの軸内
油路11iに連通して、中間軸11Bからのシリンダ室
Rsへの供給油路が構成されている。回転部材としての
中間軸11Bの軸部11aには、更にキャンセル室Rc
の内周側に位置させて別の径方向油孔11jが形成さ
れ、この油孔11jは、中間軸11Bの軸内油路11k
に連通され、潤滑油路が構成されている。
【0030】こうした構成からなる自動変速機におい
て、クラッチ(C−1)への油圧の供給は、変速機のケ
ース内油路に前側で連通する入力軸11Aの軸内油路1
1eから径方向油路11d、周溝11c及び径方向油路
31cを経て行われる。一方、クラッチ(C−2)への
油圧の供給は、変速機のケース内油路に後側で連通する
中間軸11Bの軸内油路11iから径方向油路11hを
経て行われる。
【0031】これに対して、クラッチ(C−1)のキャ
ンセル室Rcへは、変速機のケース内の潤滑圧の供給油
路に前側で連通する入力軸11Aのもう一本の軸内油路
11m、入力軸11Aと中間軸11Bの連結部の隙間、
入力軸11Aの径方向油孔11f、入力軸11A外周の
段差部の隙間及び回転部材31の軸部31aの径方向油
孔31dを経て行われる。また、クラッチ(C−2)の
キャンセル室Rcへは、変速機のケース内油路に前側で
連通する入力軸11Aのもう一本の軸内油路11m、入
力軸11Aと中間軸11Bの連結部の隙間、中間軸11
Bの軸内油路11g及び中間軸11Bの径方向油孔11
jを経て行われる。
【0032】このようにキャンセル室Rcに供給された
油は、その連続供給により常にキャンセル室Rcを満た
した状態にあり、かつ入力軸11Aに減速プラネタリギ
ヤを介して連結されて常時減速回転を続ける回転部材3
1と、入力軸11Aにスプライン係合で直結すること
で、常時入力回転と同期する回転で回り続ける中間軸1
1Bの回転で遠心力を受け、シリンダ室Rsへの油圧の
供給の有無に関わりなく、それぞれのピストン32,4
2の背後に遠心油圧を負荷する。そして、余剰の油は、
油路C及び切欠き33a,43aを経て外部に排出され
る。
【0033】また、シリンダ室Rsへの油圧の供給が行
われると、ピストンストロークに伴ってキャンセル室R
cの容積が減少するため、キャンセル室Rc内を満たす
油は、同様の経路で強制的に外部に排出される。
【0034】このようにして、本実施形態によれば、キ
ャンセル室Rcの油は、クラッチピストン32,42の
作動に伴うキャンセルRc室の縮小、又はキャンセル室
Rcに供給される潤滑油のオーバフローにより、回転部
材の油路Cとキャンセルプレート33,43の背面の切
欠き33a,43a通って外部に排出され、遠心力で放
射方向に飛散して両クラッチ(C−1,C−2)のハブ
39,49に吹きかけられ、両クラッチ摩擦部材の潤滑
と冷却に充てられる。この場合、キャンセル室Rcから
キャンセルプレート33,43の背面に至る油路Cは、
回転部材の軸部31a,11aの小径部により構成さ
れ、キャンセルプレート33,43の内周側に溝を設け
ることなく確保されるため、キャンセルプレート33,
43の全受圧面を有効に遠心油圧の受圧面として利用す
ることができる。一方、油路Cを構成する軸部の小径部
31b,11bは、キャンセルプレート33,43の軸
方向移動を規制するために必須のスナップリング35,
45を止めるためのスナップ溝部の軸径とほぼ同様の径
で確保されるため、回転部材の強度を減少させる要素と
はならない。
【0035】更に、キャンセルプレート33,43の背
面の切欠き33a,43aが、同じく背面に当接するス
ナップリング35,45の外周を越えて延在するため、
キャンセル室Rcからの油は、スナップリング35,4
5に妨げられることなく、確実に排出される。更に、回
転部材の回転によりスナップリング35,45にかかる
遠心力によるスナップリング35,45の拡径をキャン
セルプレート33,43の背面で規制することができる
ため、スナップリング35,45を確実に抜け止めする
ことができる。次に、油路Cを軸部の小径化により確保
しているため、軸部31a,11aの外周に軸方向溝を
設けて油路とする場合の溝削り加工に比べて、鍛造のま
まあるいは旋削といった簡略な加工を採用することがで
き、それによりコストダウンを図ることができる。一
方、油路Cの底部とスナップリング35,45を配設し
た面は、テーパ状に連結されているため、キャンセル油
の排出時の流れが滑らかになる。更に、回転部材の軸部
31a,11aをキャンセル面積確保のために小径化す
る必要がないので、回転部材にかかるスラスト力を支持
する場合に、スラスト軸受13,14との当接面を確保
することができる。したがって、軸受のスラストレース
13a,14aを薄肉化することができ、変速機の軸長
を短くすることができる。
【0036】以上、本発明を一実施形態に基づき詳説し
たが、本発明は例示の実施形態に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載の事項の範囲内で種々に具体
的構成を変更して実施可能なものである。例えば、回転
部材の軸部は、回転部材と一体であることを必須とする
ものではなく、回転部材に嵌合させた別体のスリーブと
することができる。また、キャンセルプレートの内周側
は特に回転部材の軸部とのシールを要しないため、キャ
ンセルプレートはその外周側に嵌合されたOリングを介
するシール部でピストンに支持する構成を採っている
が、内周側を隙間なく軸部に嵌合する支持方法を採るこ
とも当然に可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクラッチ装置を適用した一実施形
態の自動変速機の軸方向部分断面図である。
【図2】実施形態の自動変速機の他部の軸方向部分断面
図である。
【図3】実施形態のクラッチ装置のキャンセルプレート
の正面図である。
【図4】実施形態の自動変速機の全体構成を示すスケル
トン図である。
【図5】実施形態の自動変速機の作動図表である。
【符号の説明】 Rc キャンセル室 C 油路 11B 中間軸(回転部材) 13,14 スラスト軸受 31 回転部材 31a,11a 軸部 31b,11b 小径部 32,42 ピストン 33,43 キャンセルプレート 33a,43a 切欠き 33b,43b 抜け止め 35,45 スナップリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 正明 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 糟谷 悟 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 Fターム(参考) 3J057 AA04 BB04 CA03 DA06 3J067 AA24 AB11 AC12 BA58 BB11 DB04 FB16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転部材と共に回転するピストンシリン
    ダ機構を備えるクラッチ装置であって、クラッチピスト
    ンと、回転部材と、該回転部材とピストンとに内外周を
    嵌合させたキャンセルプレートとにより囲われるキャン
    セル室をクラッチピストンの背後に備えるものにおい
    て、 前記キャンセルプレートの内周側背面に、少なくとも1
    つの切欠きが形成され、 前記回転部材の軸部に、キャンセル室とキャンセルプレ
    ートの切欠きを連通する油路が形成され、 前記キャンセルプレートは、回転部材の軸部外周に嵌合
    させたスナップリングにより軸方向の移動を規制された
    ことを特徴とするクラッチ装置。
  2. 【請求項2】 前記キャンセルプレートの切欠きは、ス
    ナップリングの外周を越えて延在する、請求項1記載の
    クラッチ装置。
  3. 【請求項3】 前記スナップリングは、キャンセルプレ
    ートの背面に当接し、キャンセルプレートの背面に設け
    た抜け止めにより外周方向への拡径を規制された、請求
    項1又は2記載のクラッチ装置。
  4. 【請求項4】 前記軸部の油路は、キャンセルプレート
    の内周径に対して軸径を縮小させた小径部で構成され
    る、請求項1、2又は3記載のクラッチ装置。
  5. 【請求項5】 前記軸部の油路の底部と、スナップリン
    グが嵌合する軸部外周面とは、テーパ状に連結された、
    請求項1〜4のいずれか1項記載のクラッチ装置。
  6. 【請求項6】 前記回転部材は、軸部の端面に当接させ
    てスラスト軸受が配設されたものである、請求項1〜5
    のいずれか1項記載の記載のクラッチ装置を用いた自動
    変速機。
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