JP2001031877A - 分散安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液およびその用途 - Google Patents

分散安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液およびその用途

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JP2001031877A
JP2001031877A JP11322970A JP32297099A JP2001031877A JP 2001031877 A JP2001031877 A JP 2001031877A JP 11322970 A JP11322970 A JP 11322970A JP 32297099 A JP32297099 A JP 32297099A JP 2001031877 A JP2001031877 A JP 2001031877A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ナノメートルオーダーの無機微粒子を水溶性
または水分散性高分子化合物と凝集・分離等を起こさず
安定に分散させた有機重合体/無機微粒子分散水溶液及
びその製造方法、用途を提供する。 【解決手段】 カルボキシル基を含む水溶性または水分
散性の合成高分子化合物(A)の存在下に、(a)周期
表2族元素化合物と(b)有機酸、無機酸及びそれらの
塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応させることに
より合成された粒径500nm以下の水難溶性無機微粒
子(B)とを、(A):(B)=10:90〜99.9
9:0.01(重量比)で含有する有機重合体/無機微
粒子分散水溶液である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散安定性に優れ
る有機重合体/無機微粒子分散水溶液および複合体なら
びにその製造方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】有機、無機、金属などの素材は、複合化
により一つの素材のみでは実現不可能な特性をもつ材料
を作り出すことができ、現代の材料開発ではごく当り前
の手法となっている。例えば、ガラス繊維とポリマーと
を複合化した繊維強化プラスチック材料(FRP)は、
ポリマー単独では到達できない強度をもつ。一方、この
材料をガラス繊維側から見れば、単独では脆く加工性に
乏しいガラス繊維が、ポリマーとの複合化により成形性
を備えた材料となるという見方もできる。このように、
複合化により各々の素材の特徴を生かし、あるいは欠点
を補うことにより、単独の素材では達成できない機能・
性能の発現が可能になるのである。従来の複合材料は、
マトリックス(分散媒)中の異種材料(分散相)の大き
さはマイクロメートル以上のオーダーであり、その大き
さでの複合化で期待される効果がもたらされてきた。
【0003】走査プローブ顕微鏡(SPM)等を代表と
する微小領域を解析する技術の進歩と相俟って、複合材
料の分散相の大きさをナノメートルオーダーまで微小化
することにより、従来の複合材料では達成できなかった
高機能・多機能化した材料あるいは新しい機能をもつ材
料を作ることが可能であることが多数報告されるように
なり、注目を集めている。
【0004】有機素材と無機素材とをナノメートルオー
ダーで複合化した材料(以下ナノ複合体)の例として
は、クレイや合成層状ケイ酸塩等の層状粘土鉱物とナイ
ロン等のポリマーとを組合わせたナノ複合体や、ゾル−
ゲル法を利用したシリカとポリマーのナノ複合体等が知
られている。前者のナノ複合体は、(1)層状化合物の
層間に有機モノマーを挿入させて重合を行う手法、
(2)ポリマーの重合及びフィラーの生成・分散を同時
に行うin−situ重合法、(3)有機カチオン存在
下に混練・分散する方法が検討されている。これらは基
本的に有機物のインターカレートに伴うフィラーの劈開
現象を利用しているため、無機物質はナノメートルオー
ダーの構造に分散できる層状粘土鉱物に限られる。後者
のナノ複合体は、無機物質をゾル−ゲル法により低温度
で合成することにより有機物質とのナノ複合化が可能に
なったものである。精製した無機原料が使用できるメリ
ットがある反面原料が高価であり、反応に伴って体積が
収縮する等の欠点がある。
【0005】有機ポリマーと無機物質とのナノ複合体
は、インターカレート法やゾル−ゲル法以外でも、無機
物質を機械的にナノメートルオーダーまで粉砕した後
に、有機ポリマーと混練して有機無機ナノ複合体を得る
方法も考案されているが、無機物質をナノメートルオー
ダーまで粉砕することは一般に困難とされており、また
粉砕できた場合でも再凝集を抑えながら異種材料である
有機ポリマーに、ナノメートルオーダーで均一に混合す
ることも容易ではない。
【0006】本発明者らは、ヒドロキシアパタイト(以
下HApと略称する)やリン酸三カルシウム(以下TC
Pと略称する)のような生物学的に毒性がなく、有機物
との親和性の高いリン酸カルシウム類を有機無機ナノ複
合体の構成材料として使用すれば、非常に有用な材料と
なる可能性があることに着目した。HApは、脊椎動物
の硬組織を構成する無機成分であり、人工骨、人工歯
根、人工関節などの硬組織代替材料として実用化が研究
されている。HAp焼結体は、それ単独では圧縮に強い
が引張りに弱い脆性材料であり、成形性に乏しい欠点が
あった。この欠点を改良するための方策として、乳酸系
ポリエステルと混練することにより成形加工時の安定性
を向上させ、柔軟性、強度、弾性率、再現性、成形加工
性についてバランスのよい有機無機複合体を得る技術
が、特開平10−229号公報に開示されている。この
技術は、生体内ではHApは生体高分子であるコラーゲ
ンとの複合体で存在することを考慮して、より生体に近
い材料を提供するという思想のもとに考案されたもので
ある。この方法では、HApあるいはTCPのようなリ
ン酸カルシウム化合物を湿式法で合成し、得られた沈澱
物を焼成・粉砕した後、ミキサーでポリマーと混練する
ことにより複合体を得ている。ここで用いられるリン酸
カルシウム粒子は5mm以下の大きさであり、また、有
機ポリマーは乳酸系ポリエステルに限定されている。こ
の材料は、各々の素材の特長を生かして骨誘導能ないし
は伝導能と生体親和性を実現化したものであり、ナノメ
ートルオーダーで均一に分散した材料ではない。
【0007】一方、特開平7−101708号公報によ
れば、結晶粒径が0.5μm(500nm)以下のHA
p粉末とコラーゲン等の有機物からなる生物の骨や歯に
近似した複合体が開示されている。この技術では、水酸
化カルシウムの懸濁液を激しく攪拌しながら、コラーゲ
ンとリン酸混合液を加えて生じた沈澱を濾過・乾燥した
含水物に40℃、200MPaの圧力を加えることによ
り高ヤング率の複合体を得ている。このHAp−コラー
ゲン複合体は、コラーゲン繊維(30nm)に沿ってH
Ap粒子(数nm)がc軸配向したナノ複合体となって
いることが田中らにより明らかにされている〔BIO INDU
STRY, Vol.13(N0.8), 28(1996)〕。しかし、生体骨に近
い材料を製造する目的では、生体骨に近い強度を自由に
コントロールできる合成法の確立が必要であることや、
コラーゲンの抗原性を減少する方法を確立する必要があ
るなどの課題が挙げられている。また、この材料は配向
構造を持つためか、ナノ複合体に特徴的な透明性の高い
材料とはなっていない。
【0008】リン酸カルシウムや炭酸カルシウムなど、
液相法で合成できる無機物質の多くは、低結晶質、微細
結晶になりやすく、通常はゲル状の沈澱物となる。通常
はこの沈澱物を濾過し、乾燥、焼結した後に粉砕したも
のが利用されるが、一次粒子まで粉砕させることは困難
であり、またポリマーの中にナノオーダー粒子に分散・
混練することも容易ではなく、従来の技術では液相法で
合成されるリン酸カルシウムをはじめとする無機物質を
ナノメートルオーダーで均一に分散させた複合体を製造
する実用的な方法はなかった。
【0009】製紙工業は、原料として森林資源を大量に
消費し、パルプの製造や抄紙工程などにおいて多大なエ
ネルギーを必要とする産業であるが、近年地球レベルで
の環境問題が深刻化するなかで、環境への負荷をできる
だけ低減するための努力が精力的に行われている。特に
古紙を資源として再利用することは一段とその重要性を
増しており、衛生紙や図書用などの回収不可能な紙を除
くと、その限界に近い水準までリサイクルが進んでいる
と言われている。しかしながら、古紙は切断・摩耗など
により短繊維化した原料であるため、その使用比率が高
くなると紙の強度の低下を招くことになる。このような
紙強度の低下は、従来酸化デンプンやカチオン化デンプ
ンなどの澱粉類や、ポリビニルアルコール(PVA)、
(メタ)アクリルアミド系重合体などで代表される水溶
性の高分子化合物を添加あるいは塗工することにより補
われてきた。一方、省資源の観点から、パルプの使用量
を減らす目的で、無機顔料を中心とした種々の添加剤を
紙に抄き込むような場合にも、紙力の低下を補うために
上記水溶性高分子化合物からなる紙力増強剤が用いられ
ている。
【0010】それらの紙力増強剤のなかでも(メタ)ア
クリルアミド系重合体は、微量の使用で大きな効果をも
たらす高性能の薬品として知られている。しかしなが
ら、環境問題は、今や地球規模で考慮しなければならな
い重要な課題であり、原料の悪化やパルプ使用量を減ら
す課題に対して、以前にも増して高性能な薬品に対する
要望が高まっている。
【0011】(メタ)アクリルアミド系重合体に高い紙
力増強能を付与する方法として、官能性モノマーとを共
重合する方法や後変性により官能基を導入する方法、あ
るいは架橋構造を導入する方法が従来より検討されてき
た。しかしながら、今後さらに高い性能が求められるな
かで、従来の重合体を改質する手法のみでは到達できる
性能に限界があり、新規のコンセプトに基づいた製紙用
薬品の出現が望まれている。インクジェット記録方式に
よるプリントは、騒音が少なく静粛である、高速印刷が
可能である、印字コストが低い、カラー化が容易であ
る、記録が鮮明である、大判の記録が可能である等の利
点を有するため広く普及している。インクジェット記録
方式は、種々の作動方法によりインク液滴を微細なノズ
ルより噴射し、紙等の記録シートに付着させて文字また
は画像としての情報を得る記録方式である。インクジェ
ット記録方式に使用されるシートとしては、該方式の原
理により、シート表面に付着したインク液滴が速やかに
シート内に吸収されること、表面でのインクの広がりや
滲みが抑えられること、発色濃度を高めるためにできる
限りシート表面近傍にインクがとどまること等の特性が
要求される。
【0012】従来より、インクジェット記録用シートに
これらの特性を与える方法として、シート表面にインク
吸収性の塗工層を設ける提案がなされてきた。例えば、
インク吸収性の高いシリカ粉末またはアルミナ粉末とポ
リビニルアルコール等の水溶性高分子のバインダーを主
成分とし、さらにインク定着性や耐水性等を改良するた
めに各種添加剤を混合した塗工層が提案されている。
【0013】このように、無機填料としてシリカ粉末や
アルミナ粉末を用いた塗工層を有するインクジェット記
録用シートは、インク吸収性等について大きく改善さ
れ、高画質の画像を得ることが可能となるが、長期保存
することにより該塗工層が黄色に変色してしまうという
耐光性に関する欠点を生じる。近年においては、インク
ジェットプリンターのめざましい進歩により、フルカラ
ーで高画質の画像が容易に得られるようになってきてお
り、その記録シートとしては白色度の高いことが必要で
あるため、経時で黄変してしまう前述の耐光性に関する
欠点は大きな問題となる。さらに、該塗工層を有する記
録シートには粘着テープを貼付すると、粘着テープを貼
付した部分から著しく黄変を起こしてしまう問題があ
る。固定等のために該記録シートに粘着テープを貼付す
ると、黄変により著しく外観を損なう欠点があった。
【0014】本発明者らは、上記HApを含むリン酸カ
ルシウムやその他の無機物質をポリマーと複合化する過
程で、沈澱を生じることがなく、また、高い圧力を加え
なくても成形体にできる材料を開発できれば、生体材料
以外にも製紙用薬品など多方面で有用な材料になると考
えた。しかしながら、ポリマーとのナノ複合化には、前
述したインターカレート法やゾル−ゲル法による複合化
法を適用できない無機物質もある。そこで本発明者ら
は、無機物質の中にはゾル−ゲル法以外の液相法によ
り、水媒体中で合成できるものがあることに着目し、そ
れらの無機物質と水溶性または水分散性のポリマーとの
ナノ複合化が可能ではないかとの考えに至った。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の手法では困難であったナノメートルオーダーの無機微
粒子を水溶性または水分散性高分子化合物と凝集・分離
などを起こさず安定に分散させることにより、成形加工
性に優れ、透明なフイルムをつくり、各種用途に利用可
能な有機重合体/無機微粒子分散水溶液及びその用途を
提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カルボキ
シル基を含む水溶性または水分散性の合成高分子化合物
と、粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子、特に周
期表2族元素化合物と有機酸、無機酸およびそれらの塩
類から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られる
粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子とを組合わせ
た複合材料は、上記の目的にかなう材料であることを見
出し、本発明に至った。
【0017】すなわち、本発明は、(1)カルボキシル
基を含む水溶性または水分散性の合成高分子化合物
(A)と、粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子
(B)とを、(A):(B)=10:90〜99.9
9:0.01(重量比)で含有することを特徴とする、
分散安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶
液、(2)粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子
(B)が、周期表2族元素化合物の微粒子であることを
特徴とする、上記(1)記載の分散安定性に優れる有機
重合体/無機微粒子分散水溶液、(3)粒径500nm
以下の水難溶性無機微粒子(B)が、カルボキシル基を
含む水溶性または水分散性の合成高分子化合物(A)の
存在下に、(a)周期表2族元素化合物と(b)有機
酸、無機酸およびそれらの塩類から選ばれる1種以上の
化合物を反応させることにより合成されるものであるこ
とを特徴とする、上記(1)記載の分散安定性に優れる
有機重合体/無機微粒子分散水溶液、(4)(b)有機
または無機酸が、オキソ酸およびハロゲン化水素酸から
選ばれる1種以上の酸である、上記(3)記載の分散安
定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液、
(5)(a)周期表2族元素化合物がカルシウム化合物
である、上記(3)記載の分散安定性に優れる有機重合
体/無機微粒子分散水溶液、(6)カルボキシル基を含
む水溶性または水分散性の合成高分子化合物(A)が、
エチレン性不飽和化合物の重合体である、上記(3)記
載の分散安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水
溶液、(7)エチレン性不飽和化合物の重合体が、(メ
タ)アクリルアミド系重合体、カルボキシル基変性ポリ
ビニルアルコール、及びビニルピロリドン系重合体のい
ずれかである上記(6)記載の分散安定性に優れる有機
重合体/無機微粒子分散水溶液、(8)エチレン性不飽
和化合物の重合体が、 エチレン性の不飽和カルボン酸アミド化合物1〜10
0重量%と、共重合可能なエチレン性の不飽和化合物0
〜99重量%との重合体である(メタ)アクリルアミド
系重合体、 エチレン性の不飽和カルボン酸と、酢酸ビニルとの重
合体をケン化して製造されたものであるカルボキシル基
変性ポリビニルアルコール、及び N−ビニル−2−ピロリドン1〜99.9重量%と、
共重合可能なエチレン性の不飽和化合物0.1〜99重
量%との重合体であるビニルピロリドン系重合体のいず
れかである上記(6)記載の分散安定性に優れる有機重
合体/無機微粒子分散水溶液、(9)水難溶性無機微粒
子(B)がリン酸カルシウムである、上記(6)〜
(8)のいずれかに記載の分散安定性に優れる有機重合
体/無機微粒子分散水溶液、
【0018】(10)カルボキシル基を含む水溶性また
は水分散性の合成高分子化合物(A)の存在下に、
(a)周期表2族元素化合物と(b)有機酸、無機酸お
よびそれらの塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応
させることにより粒径500nm以下の水難溶性無機微
粒子(B)を製造することを特徴とする、分散安定性に
優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液の製造方法、
【0019】(11)カルボキシル基を含む水溶性また
は水分散性の合成高分子化合物(A)と、(a)周期表
2族元素化合物と(b)有機酸、無機酸およびそれらの
塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られ
た粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子(B)と
を、(A):(B)=10:90〜99.99:0.0
1(重量比)で含有する透明性に優れる有機重合体/無
機微粒子複合体、(12)上記(1)〜(9)のいずれ
かに記載の分散安定性に優れる有機重合体/無機微粒子
分散水溶液から得られる、カルボキシル基を含む水溶性
または水分散性の合成高分子化合物(A)と、粒径50
0nm以下の水難溶性無機微粒子(B)とを、(A):
(B)=10:90〜99.99:0.01(重量比)
で含有する透明性に優れる有機重合体/無機微粒子複合
体、(13)複合体が、透明性に優れるフィルムであ
る、上記(11)又は(12)記載の透明性に優れる有
機重合体/無機微粒子複合体、(14)カルボキシル基
を含む水溶性または水分散性の合成高分子化合物(A)
が、(メタ)アクリルアミド系重合体、カルボキシル基
変性ポリビニルアルコール、及びビニルピロリドン系重
合体のいずれかである上記(11)記載の透明性に優れ
る有機重合体/無機微粒子複合体、(15)水難溶性無
機微粒子(B)がリン酸カルシウムである、上記(1
1)又は(14)記載の透明性に優れる有機重合体/無
機微粒子複合体、
【0020】(16)カルボキシル基を含む水溶性また
は水分散性の合成高分子化合物(A)と、(a)周期表
2族元素化合物と(b)有機酸、無機酸およびそれらの
塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られ
た粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子(B)と
を、(A):(B)=10:90〜99.99:0.0
1(重量比)で含有してなる製紙用薬品、(17)上記
(1)〜(9)のいずれかに記載の分散安定性に優れる
有機重合体/無機微粒子分散水溶液から得られる製紙用
薬品、(18)カルボキシル基を含む水溶性または水分
散性の合成高分子化合物(A)と、(a)周期表2族元
素化合物と(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類か
ら選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られた粒径
500nm以下の水難溶性無機微粒子(B)とを、
(A):(B)=10:90〜99.99:0.01
(重量比)で含有してなるインクジェット記録シート用
薬品、(19)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の
分散安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液
から得られるインクジェット記録シート用薬品、
【0021】(20)カルボキシル基を含む水溶性また
は水分散性の合成高分子化合物(A)が、(メタ)アク
リルアミド系重合体、カルボキシル基変性ポリビニルア
ルコール、及びビニルピロリドン系重合体のいずれかで
ある上記(16)又は(18)記載の薬品、(21)水
難溶性無機微粒子(B)がリン酸カルシウムである、上
記(16)又は(18)記載の薬品、(22)上記(1
6)〜(21)のいずれかに記載の薬品を用いて得られ
る紙、(23)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の
分散安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液
を含有する化粧品、(24)上記(11)〜(15)の
何れかに記載の透明性に優れる有機重合体/無機微粒子
複合体を含有する化粧品からなる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、カルボキシル基を含む
水溶性または水分散性の合成高分子化合物(A)と、粒
径500nm以下の水難溶性無機微粒子、特に周期表2
族元素化合物と有機酸、無機酸およびそれらの塩から選
ばれる1種以上の化合物を反応させて得られる粒径50
0nm以下の水難溶性無機微粒子(B)とを含有する有
機重合体/無機微粒子から構成される分散水溶液、複合
体およびそれらの製造方法ならびに用途である。
【0023】本発明の特徴は、有機重合体にカルボキシ
ル基を含む水溶性または水分散性の合成高分子化合物を
用いることにより、水難溶性無機微粒子(B)を有機重
合体(A)の水系媒体中に安定に分散することが可能に
なり、この分散液を乾燥するだけで、ナノメートルオー
ダーの水難溶性無機微粒子が有機ポリマー中に凝集ある
いは分離等を起こさず均一に分散した、新規な有機重合
体/無機微粒子複合体が得られる点にある。
【0024】本発明で使用される水溶性または水分散性
の合成高分子化合物は、原料に化学的な反応処理を行う
ことにより合成される化合物を意味し、天然高分子材料
を変性したもの(半合成高分子化合物)も含まれる。本
発明で使用される半合成高分子化合物は、分子内にカル
ボキシル基を含むことが必須であり、それらの例として
カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチ
ン、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸プロピレン
グリコールなどがあげられる。一方、モノマーを原料と
して重合反応により合成される合成高分子化合物は、主
鎖構造の違いにより、ポリオレフィン鎖、ポリエーテル
鎖、ポリエステル鎖、ポリアミン鎖、ポリアミド鎖、ポ
リウレタン鎖、ポリシリルエーテル鎖、ポリスルホン鎖
などに分類される。これらの主鎖構造の側鎖にカルボキ
シル基を含むもの、または末端にカルボキシル基を含む
ものが、本発明の対象とする合成高分子化合物の基本構
造である。これらの基本構造を持つ高分子化合物の中
で、水溶性あるいは水分散性を示すものが本発明の対象
とする合成高分子化合物である。本発明で用いられる合
成高分子化合物の主鎖構造は、上記基本構造を持つもの
であれば特に限定されない。一般的に水溶性あるいは水
分散性を示す合成高分子化合物の中で広く使用されてい
るものの一つに、ポリオレフィン鎖を主鎖にもつ化合物
があげられる。これらの化合物は、エチレン性不飽和化
合物をラジカル重合またはイオン重合することにより合
成できる。何れの方法も使用することができるが、経済
的な観点から見ればラジカル重合が有利である。
【0025】水溶性または水分散性を示すポリオレフィ
ン鎖を主鎖に持つ高分子化合物には、アクリルアミド類
やN−ビニル−2−ピロリドンに代表されるような親水
性モノマーを重合したものと、ポリビニルアルコール類
に代表されるような、重合体を得た後で化学反応により
親水基を生成するものとがある。前者の例として、使用
可能な親水性モノマーには、エチレン性の非イオン性親
水性不飽和化合物とエチレン性のイオン性不飽和化合物
がある。
【0026】エチレン性の非イオン性親水性不飽和化合
物の例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−
エチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルア
ミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−プロピ
ルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−
アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリ
ン、N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N−n
−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘキシルアクリルア
ミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、ジアセトン
アクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N
−n−オクチルメタクリルアミド、N−tert−オクチル
アクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−n
−ドデシルメタクリルアミド、N,N−ジグリシジルア
クリルアミド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミ
ド、N−(4−グリシドキシブチル)アクリルアミド、
N−(4−グリシドキシブチル)メタクリルアミド、N
−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−
(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミド、N,
N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレ
ンビスアクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス
アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−
メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルアク
リルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、マ
レイン酸ジアミド、マレイン酸モノアミド、フマル酸ジ
アミド、フマル酸モノアミド、イタコン酸ジアミド、イ
タコン酸モノアミド等の不飽和カルボン酸アミド化合物
類、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルオキサゾ
リドン、N−ビニル−5−メチルオキサゾリドン、N−
ビニルスクシンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−
ビニルアセトアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコ
ール、メタリルアルコール等をあげることができる。
【0027】不飽和カルボン酸アミド化合物の中では、
下記の一般式(1)又は(2)で表されるものが好まし
い。
【0028】
【化1】
【0029】エチレン性の親水性不飽和化合物のイオン
性化合物のなかで、アニオン性を示す化合物の例として
は、不飽和カルボン酸化合物、不飽和スルホン酸化合
物、その他のアニオン性不飽和化合物等からなる群より
選択された一種以上の化合物である。本発明では、その
中で不飽和カルボン酸化合物は必須成分であるが、不飽
和カルボン酸化合物だけでなく、不飽和カルボン酸アミ
ド化合物や不飽和カルボン酸エステル化合物などのよう
に、加水分解等の後反応によりカルボキシル基を生成す
ることが可能なものを共重合成分として含有するもので
もよく、後反応によりカルボキシル基を生成させても良
い。不飽和カルボン酸化合物は不飽和化合物総量に対し
て概ね0.1〜80モル%または0.1〜80重量%、
好ましくは0.5〜50モル%または0.5〜50重量
%共重合される。
【0030】不飽和カルボン酸化合物としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、チグ
リン酸、2−ペンテン酸、β−メチルクロトン酸、β−
メチルチグリン酸、α−メチル−2−ペンテン酸、β−
メチル−2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、無水
マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、
グルタコン酸、α−ジヒドロムコン酸、2,3−ジメチ
ルマレイン酸、2−メチルグルタコン酸、3−メチルグ
ルタコン酸、2−メチル−α−ジヒドロムコン酸、2,
3−ジメチル−α−ジヒドロムコン酸等の酸およびそれ
らのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等
をあげることができる。
【0031】不飽和スルホン酸化合物としては、ビニル
スルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド
−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン
酸、メタリルスルホン酸等のスルホン酸およびそれらの
アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等をあ
げることができる。その他のアニオン性不飽和化合物と
しては、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリ
ルエステル等のリン酸およびそのアルカリ金属塩、アン
モニウム塩、有機アミン塩等をあげることができる。
【0032】エチレン性の親水性不飽和化合物のイオン
性化合物のなかで、カチオン性を示す化合物の例として
は、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(D
A)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
(DM)、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DM
APAA)、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミド(DMAPMA)等の塩基性ビニル化合物とそ
れらの塩および、アリルアミン、N−メチルアリルアミ
ン、2−メチルアリルアミン、ジアリルアミン等のアリ
ルアミン類とそれらの塩等がある。さらには、DA、D
M、DMAPAA、DMAPMA等をジメチル硫酸、メ
チルクロライドやメチルブロマイド等のハロゲン化アル
キル類、アリルクロライド、ベンジルクロライドやベン
ジルブロマイド等のハロゲン化ベンジル類、エピクロロ
ヒドリンやエピブロモヒドリン等のエピハロヒドリン
類、プロピレンオキシドやスチレンオキシド等のエポキ
シ類で四級化したビニル化合物や、ジメチルジアリルア
ンモニウムクロリドなどをあげることができる。
【0033】上記エチレン性の親水性不飽和化合物に
は、水溶性あるいは水分散性を損なわない程度にエチレ
ン性の疎水性不飽和化合物を共重合することが可能であ
る。疎水性不飽和化合物の共重合比率は、モノマーの種
類や共重合の組み合わせ等により変わるので特定できな
いが、比率が高くなると水溶性を失うため、疎水性不飽
和化合物の量は概ね99〜0重量%の範囲であって、し
かも共重合体の水溶性を失わない程度に抑える必要があ
る。
【0034】エチレン性の疎水性不飽和化合物の例とし
ては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、ジ
エン化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物、ビニル
アルキルエーテル化合物、その他のビニル化合物、およ
び疎水性アリル化合物からなる群より選択された一種以
上の化合物である。
【0035】芳香族ビニル化合物は、スチレン、α−メ
チルスチレン、α−クロロスチレン、p−tert−ブ
チルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレ
ン、o−クロロスチレン、2,5−ジクロロスチレン、
3,4−ジクロロスチレン、ジメチルスチレン、ジビニ
ルベンゼン等をあげることができる。シアン化ビニル化
合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−
クロロアクリロニトリル等をあげることができる。ジエ
ン化合物は、アレン、ブタジエン、イソプレン等のジオ
レフィン化合物および、クロロプレン等をあげることが
できる。
【0036】不飽和カルボン酸エステル化合物は、メチ
ルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリ
レート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレー
ト、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブ
チルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアク
リレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルアクリレ
ート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリ
レート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリ
コールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチ
レングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコ
ールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタク
リレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールアクリレート、テトラエチレ
ングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリ
コールジメタクリレート、ポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、イソプロポキシポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリ
エチレングリコール(メタ)アクリレート、およびエポ
キシアクリレート類やウレタンアクリレート類のジビニ
ル化合物等をあげることができる。
【0037】ビニルアルキルエーテル化合物は、ビニル
メチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソプ
ロピルエーテル、ビニルn−プロピルエーテル、ビニル
イソブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテ
ル、ビニルn−オクタデシルエーテル等をあげることが
できる。その他のビニル化合物としては、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、
プロピレン、ブテン、α−オレフィン等のオレフィン
類、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン
化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、
フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、アジピ
ン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステ
ル類、ジエチルフマレート、ジメチルイタコネート等の
カルボン酸ジアルキルエステル類、マレイミド、N−フ
ェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を
あげることができる。
【0038】さらに、疎水性のアリル化合物としては、
ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジ
エチレングリコールジアリルカーボネート、トリアリル
シアヌレート等をあげることができる。
【0039】本発明に用いられる親水性モノマーの重合
体を製造する方法は、公知の重合方法、例えば水溶液重
合、沈殿重合、乳化重合等を用いることが出来る。回分
重合、半回分重合の何れの組み合わせでもよく、重合方
法は何等制限されない。
【0040】ラジカル重合を行う場合、通常はラジカル
重合開始剤の存在下、重合溶液を所定温度に保つことに
より重合を行う。重合中同一温度に保つ必要はなく、重
合の進行にともない適宜変えてよく、必要に応じて加熱
あるいは除熱しながら行う。重合温度は、使用するモノ
マーの種類や重合開始剤の種類などにより異なり、単一
開始剤の場合には概ね30〜100℃の範囲であり、レ
ドックス系重合開始剤の場合にはより低く、一括で重合
を行う場合には概ね−5〜50℃であり、逐次添加する
場合には概ね30〜90℃である。重合器内の雰囲気は
特に限定はないが、重合を速やかに行わせるには窒素ガ
スのような不活性ガスで置換した方がよい。重合時間は
特に限定はないが、概ね1〜40時間である。
【0041】重合溶媒としては水を用いるが、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール等の有機溶剤を併
用してもよい。重合濃度は、モノマー濃度で1〜40重
量%、好ましくは2〜30重量%である。
【0042】ラジカル重合開始剤としては、一般の水溶
性の開始剤が使用できる。過酸化物系では、例えば過硫
酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、ter
t−ブチルパーオキサイド等があげられる。この場合、
単独でも使用できるが、還元剤と組み合わせてレドック
ス系重合剤としても使える。還元剤としては、例えば亜
硫酸塩、亜硫酸水素塩、鉄、銅、コバルト等の低次のイ
オンの塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩、N,N,N',N'-
テトラメチルエチレンジアミン等の有機アミン、更には
アルドース、ケトース等の還元糖等をあげることができ
る。また、アゾ化合物系では、2,2'−アゾビス−2−
アミジノプロパン塩酸塩、2,2'−アゾビス−2,4−
ジメチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス-4-シアノ
バレイン酸及びその塩等を使用することができる。更に
上記した重合開始剤を2種以上併用してもよい。重合開
始剤の添加量は、単量体に対して0.0001〜10重
量%の範囲であり、好ましくは0.01〜8重量%であ
る。また、レドックス系の場合には、重合開始剤に対し
て還元剤の添加量はモル基準で0.1〜100%、好ま
しくは0.2〜80%である。
【0043】親水性モノマーの重合は、分子量あるいは
重合速度を調整するなどの目的で、必要に応じてpH調
整剤、連鎖移動剤等を使用してもよい。pH調整剤とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム,アンモニア
等の無機塩基類、エタノールアミン、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン等の有機塩基類、及び炭酸水素ナ
トリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸二
水素ナトリウム等の塩類等があげられる。
【0044】連鎖移動剤としては、イソプロピルアルコ
ール、α−チオグリセロール、メルカプトコハク酸、チ
オグリコール酸、トリエチルアミン、次亜リン酸ナトリ
ウム等のなかから1種または2種以上の混合物を適宜使
用することができる。また、金属イオンを封止するある
いは重合速度を調整する等の目的で、エチレンジアミン
4酢酸ナトリウム(EDTA−Na)や尿素、チオ尿素
等の化合物を併用してもよい。pH調整剤、連鎖移動剤
等の使用量は、使用目的に応じて異なるが、概ねモノマ
ー重量に対してpH調整剤は100ppm〜10%、連鎖
移動剤やその他の添加剤は1.0ppm〜5.0%の範囲
にある。
【0045】本発明で使用される(メタ)アクリルアミ
ド系重合体やビニルピロリドン系重合体のような、親水
性モノマーを重合して得た重合体の分子量は、ポリマー
構造(直鎖/分岐など)により異なるが、概ね1.0×
103〜5.0×106の範囲に及ぶ。これは、本発明の
複合体が様々な用途で使用されるためであり、粒子の分
散性が重視される用途では概ね1.0×103〜1.0
×105、各種添加剤、フイルムなどの強度を要求され
る用途では1.0×104〜1.0×106、その他凝集
剤や製紙用薬品などの用途では5.0×104〜5.0
×106の範囲が好ましい。1.0×103以下の分子量
ではポリマー自体の特性低下に加えて、無機微粒子への
吸着力が低いため安定な分散溶液とならず、5.0×1
6以上の分子量では粒子間の架橋反応が優先するた
め、安定な分散溶液とならない。また、重合体に含まれ
るカルボキシル基量は、概ね0.1〜80モル%または
0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜50モル%ま
たは0.5〜50重量%の範囲にある。
【0046】次に、重合体を得た後で化学反応により親
水基を生成する例には、ポリビニルアルコール(PV
A)やポリビニルアミンなどがあるが、カルボキシル基
を分子内に持つ高分子化合物であれば、何れも使用でき
る。それらの中でもPVAが最も好ましい。PVAとし
ては、分子内にカルボキシル基を有するポリビニルアル
コール系重合体(カルボキシル基変性ポリビニルアルコ
ール)が用いられ、通常はビニルエステル化合物とエチ
レン性不飽和カルボン酸との共重合体をケン化したも
の、および/または末端にチオール基を有するポリビニ
ルアルコール系重合体の存在下、エチレン性不飽和カル
ボン酸をラジカル共重合したものが使用される。
【0047】上記のビニルエステル化合物としては、酢
酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニ
ル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリル酸ビ
ニル等をあげることができるが、工業的には酢酸ビニル
が好ましい。
【0048】上記エチレン性不飽和カルボン酸として
は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アンゲリ
カ酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、β−メチルクロト
ン酸、β−メチルチグリン酸、α−メチル−2−ペンテ
ン酸、β−メチル−2−ペンテン酸等の不飽和モノカル
ボン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタ
コン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコ
ン酸、メサコン酸、グルタコン酸、α−ジヒドロムコン
酸、2,3−ジメチルマレイン酸、2−メチルグルタコ
ン酸、3−メチルグルタコン酸、2−メチル−α−ジヒ
ドロムコン酸、2,3−ジメチル−α−ジヒドロムコン
酸等の不飽和ジカルボン酸およびそれらのアルカリ金属
塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等をあげることがで
きる。
【0049】また、エチレン性不飽和カルボン酸の代り
に、ケン化反応時にカルボキシル基を生成するエチレン
性不飽和カルボン酸エステル、エチレン性不飽和ジカル
ボン酸モノエステル、エチレン性不飽和ジカルボン酸ジ
エステル、エチレン性不飽和カルボン酸アミドなどを共
重合してもよい。また、エチレン性不飽和カルボン酸と
これらのケン化反応時にカルボキシル基を生成する化合
物を一緒に共重合しても差し支えない。さらには、カル
ボキシル基変性ポリビニルアルコールの水溶性や安定性
等に支障をきたさない程度に他の共重合可能なモノマー
と共重合させることも可能である。
【0050】重合およびケン化方法は特に制限はなく、
例えば特開昭53−91995号公報に開示されている
ような、公知の方法に従ってカルボキシル基変性ポリビ
ニルアルコールを製造することができる。
【0051】末端にチオール基を有するポリビニルアル
コール系重合体は、チオ酢酸のようなチオール基を含有
する連鎖移動剤の存在下にビニルエステル化合物を重合
し、その後ケン化反応を行うことにより得られる。重合
の際には、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールの
水溶性や安定性等に支障をきたさない程度に共重合可能
なモノマーと共重合させることも可能である。この末端
にチオール基を有するポリビニルアルコール系重合体存
在下にエチレン性不飽和カルボン酸をラジカル共重合す
れば、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(ブロ
ック共重合体)が製造される。これらのブロック重合の
際にも、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールの水
溶性や安定性等に支障をきたさない程度に共重合可能な
モノマーを共重合させることが可能である。その量は使
用するモノマーの種類により異なるが、ケン化反応前の
ビニルエステル化合物に対して概ね1〜50重量%の範
囲にある。
【0052】共重合可能なモノマーには、エチレン性不
飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステ
ル、エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル、エチ
レン性不飽和ジカルボン酸ジエステル、エチレン性不飽
和カルボン酸アミド、アニオン性のエチレン性不飽和化
合物、カチオン性のエチレン性不飽和化合物、非イオン
性のエチレン性親水性不飽和化合物、エチレン性疎水性
不飽和化合物がある。
【0053】エチレン性不飽和カルボン酸エステルは、
メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルア
クリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレ
ート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、
ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアク
リレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルアクリレ
ート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリ
レート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリ
コールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチ
レングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコ
ールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタク
リレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールアクリレート、テトラエチレ
ングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリ
コールジメタクリレート、ポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、イソプロポキシポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリ
エチレングリコール(メタ)アクリレート、およびエポ
キシアクリレート類やウレタンアクリレート類のジビニ
ル化合物等をあげることができる。
【0054】本発明で使用されるエチレン性不飽和ジカ
ルボン酸モノエステルは、マレイン酸モノアルキルエス
テル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノ
アルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル
等が例示される。エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエス
テルは、マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジア
ルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、シト
ラコン酸ジアルキルエステル等が例示される。
【0055】エチレン性不飽和カルボン酸アミドの例と
しては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチ
ルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,
N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタク
リルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメ
タクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、
N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−プロピルアク
リルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリ
ロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼ
ピン、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジ−n−
プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミ
ド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシ
ルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−
n−オクチルアクリルアミド、N−n−オクチルメタク
リルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−
ドデシルアクリルアミド、N−n−ドデシルメタクリル
アミド、N,N−ジグリシジルアクリルアミド、N,N
−ジグリシジルメタクリルアミド、N−(4−グリシド
キシブチル)アクリルアミド、N−(4−グリシドキシ
ブチル)メタクリルアミド、N−(5−グリシドキシペ
ンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキ
シル)アクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリ
ルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、
N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルア
ミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキ
シメチルメタクリルアミド、マレイン酸ジアミド、マレ
イン酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸モノア
ミド、イタコン酸ジアミド、イタコン酸ミノアミド等を
あげることができる。
【0056】前記したエチレン性不飽和カルボン酸以外
のアニオン性のエチレン性不飽和化合物には、エチレン
性不飽和スルホン酸、およびその他のアニオン性不飽和
化合物があげられ、これらの群より選択される一種以上
の化合物が用いられる。
【0057】エチレン性不飽和スルホン酸としては、ビ
ニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルア
ミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホ
ン酸、メタリルスルホン酸等のスルホン酸およびそれら
のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等を
あげることができる。その他のアニオン性不飽和化合物
としては、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタク
リルエステル等のリン酸およびそのアルカリ金属塩、ア
ンモニウム塩、有機アミン塩等をあげることができる。
【0058】カチオン性のエチレン性不飽和化合物は、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DA)、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(D
M)、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N
−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPA
A)、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミ
ド(DMAPMA)等の塩基性ビニル化合物とそれらの
塩および、アリルアミン、N−メチルアリルアミン、2
−メチルアリルアミン、ジアリルアミン等のアリルアミ
ン類とそれらの塩等がある。さらには、DA、DM、D
MAPAA、DMAPMA等をジメチル硫酸、メチルク
ロライドやメチルブロマイド等のハロゲン化アルキル
類、アリルクロライド、ベンジルクロライドやベンジル
ブロマイド等のハロゲン化ベンジル類、エピクロヒドリ
ンやエピブロモヒドリン等のエピハロヒドリン類、プロ
ピレンオキシドやスチレンオキシド等のエポキシ類で四
級化したビニル化合物や、ジメチルジアリルアンモニウ
ムクロリドなどをあげることができる。
【0059】非イオン性のエチレン性親水性不飽和化合
物は、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルオキサ
ゾリドン、N−ビニル−5−メチルオキサゾリドン、N
−ビニルスクシンイミド、N−ビニルホルムアミド、N
−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル
メタクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコー
ル等をあげることができる。
【0060】また、エチレン性不飽和カルボン酸エステ
ルおよびビニルエステル化合物以外のエチレン性疎水性
不飽和化合物は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル
化合物、ジエン化合物、ビニルアルキルエーテル化合
物、その他のビニル化合物、および疎水性アリル化合物
からなる群より選択された一種以上の化合物である。
【0061】芳香族ビニル化合物は、スチレン、α−メ
チルスチレン、α−クロロスチレン、p−tert−ブ
チルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレ
ン、o−クロロスチレン、2,5−ジクロロスチレン、
3,4−ジクロロスチレン、ジメチルスチレン、ジビニ
ルベンゼン等をあげることができる。シアン化ビニル化
合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−
クロロアクリロニトリル等をあげることができる。
【0062】ジエン化合物は、アレン、ブタジエン、イ
ソプレン等のジオレフィン化合物および、クロロプレン
等をあげることができる。ビニルアルキルエーテル化合
物は、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、
ビニルイソプロピルエーテル、ビニルn−プロピルエー
テル、ビニルイソブチルエーテル、ビニル2−エチルヘ
キシルエーテル、ビニルn−オクタデシルエーテル等を
あげることができる。
【0063】その他のビニル化合物としては、エチレ
ン、プロピレン、ブテン、α−オレフィン等のオレフィ
ン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フ
ッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、アジピン
酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル
類、ジエチルフマレート、ジメチルイタコネート等のカ
ルボン酸ジアルキルエステル類、マレイミド、N−フェ
ニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等をあ
げることができる。疎水性のアリル化合物としては、ジ
アリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジエ
チレングリコールジアリルカーボネート、トリアリルシ
アヌレート等をあげることができる。
【0064】本発明で使用されるカルボキシル基変性ポ
リビニルアルコールの重合度は、概ね100〜500
0、好ましくは200〜3000、ケン化度はケン化前
のビニルエステル化合物に対して60〜100モル%、
カルボキシル基含量は0.05〜50モル%、好ましく
は0.1〜30モル%の範囲にある。
【0065】水分散性の合成高分子化合物のなかには、
所謂合成ラテックス、エマルションの形態をとるものも
含まれる。ポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタ
ジエン系ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系
ラテックス、メチルメタアクリレート−ブタジエン系ラ
テックス、2−ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン
ラテックス、クロロプレンラテックス、イソプレンラテ
ックス、ポリスチレンエマルション、ウレタンエマルシ
ョン、アクリルエマルション、酢酸ビニル系エマルショ
ン、酢酸ビニル−エチレン(EVA)系エマルション、
アクリレート−スチレン系エマルション、塩化ビニルラ
テックス、塩化ビニリデンラテックス、エポキシ系エマ
ルション等で称されるもののなかで、カルボキシル基変
性されているものが本願の水分散性の合成高分子化合物
に該当する。
【0066】本発明において、好ましくは用いられるカ
ルボキシル基を含む合成高分子化合物は、エチレン性不
飽和化合物の重合体、特に(メタ)アクリルアミド系重
合体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、及び
ビニルピロリドン系重合体が好ましく、さらに エチレン性の不飽和カルボン酸アミド化合物1〜10
0重量%と、共重合可能なエチレン性の不飽和化合物0
〜99重量%との重合体である(メタ)アクリルアミド
系重合体、 エチレン性の不飽和カルボン酸と、酢酸ビニルとの重
合体をケン化して製造されたものであるカルボキシル基
変性ポリビニルアルコール、 N−ビニル−2−ピロリドン1〜99.9重量%と、
共重合可能なエチレン性の不飽和化合物0.1〜99重
量%との重合体であるビニルピロリドン系重合体が好ま
しい。
【0067】本発明の水難溶性無機微粒子は、粒径50
0nm以下であれば制限はないが、好ましくは周期表2
族元素化合物の微粒子、さらに好ましくは周期表2族元
素化合物と有機酸、無機酸およびそれらの塩類から選ば
れる1種以上の化合物を反応することにより得られるも
のである。周期表2族元素には、ベリリウム、マグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウ
ムがあり、化学的性質が類似しているため、これらのな
かから選ばれる1種以上の元素を使用することができる
が、その中でもマグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウム、バリウムが好ましい。さらに好ましくは、カルシ
ウムである。
【0068】無機微粒子の合成方法としては、液相合成
法が好ましい。いわゆる沈殿法と称される方法であり、
水に可溶あるいは難溶な周期表2族元素化合物の水溶液
あるいは懸濁液に、有機酸、無機酸およびそれらの塩類
を反応することにより水難溶性無機微粒子が合成され
る。沈殿法と称せられるように、通常は生成した水難溶
性無機微粒子は沈澱し、濾過後乾燥あるいは熱分解する
ことにより粉末を得る方法であるが、本発明において
は、前記したカルボキシル基を含む水溶性または水分散
性の合成高分子化合物を存在させておくことにより、沈
澱することなく、コロイド状に均一に分散した分散安定
性に優れた有機重合体/無機微粒子分散水溶液となるの
である。なぜこのような分散安定性に優れた有機重合体
/無機微粒子分散水溶液が生成するのか、必ずしも完全
に解明された訳ではないが、無機微粒子を構成する周期
表2族元素と合成高分子化合物中のカルボキシル基がイ
オン的な相互作用により結合することが本発明者らの実
験結果から示唆されており、そのために結晶成長が抑制
され、500nm以上に粒子径が増大しないとともに、
結合した高分子化合物の保護コロイド的な作用のために
粒子間の凝集を抑制していることが理由としてあげられ
る。
【0069】本発明の水難溶性無機微粒子は、20℃に
おける水への溶解度が概ね3.0(重量%)以下のもの
であり、水不溶性無機微粒子も含まれる。周期表2族元
素の種類により異なり、例えばマグネシウムの場合、水
酸化物、フッ化物、炭酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩な
ど、カルシウムの場合、フッ化物、硫酸塩、リン酸塩、
炭酸塩、ケイ酸塩、シュウ酸塩、水酸化物など、ストロ
ンチウムの場合、フッ化物、炭酸塩、シュウ酸塩、硫酸
塩、リン酸塩、水酸化物など、バリウムの場合、炭酸
塩、硫酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩などが例示される。
【0070】本発明の水難溶性無機微粒子の合成に使用
される周期表2族元素化合物の例としては、酢酸マグネ
シウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、ケイフ
ッ化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシ
ウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カル
シウム、リン酸二水素カルシウム、乳酸カルシウム、ク
エン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、チオ硫酸カルシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸
ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチ
ウム、酢酸バリウム、塩化バリウム、硝酸バリウム、硫
酸バリウム、水酸化バリウム、フッ化バリウムなどから
選ばれる1種以上の化合物があげられる。
【0071】本発明で使用される無機酸、有機酸および
それらの塩類は、周期表2族元素化合物と反応して水難
溶性無機微粒子を生成するものであればよい。なかでも
オキソ酸とハロゲン化水素酸およびそれらの塩類が好ま
しい。
【0072】オキソ酸の例としては、ホウ酸、メタホウ
酸、炭酸、イソシアン酸、雷酸、オルトケイ酸、メタケ
イ酸、硝酸、亜硝酸、リン酸(オルトリン酸)、ピロリ
ン酸(二リン酸)、メタリン酸、ホスホン酸(亜リン
酸)、ジホスホン酸(二亜リン酸)、ホスフィン酸(次
亜リン酸)、硫酸、二硫酸、チオ硫酸、亜硫酸、クロム
酸、二クロム酸、過塩素酸、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ
酸、酒石酸、安息香酸、フタル酸などがあげられる。
【0073】ハロゲン化水素酸の例には、フッ化水素
酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などがあ
る。オキソ酸とハロゲン化水素酸の塩類の例としては、
それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモ
ニウム塩、有機アミン塩などがある。
【0074】動物骨殻の無機成分として、貝殻等に含ま
れる炭酸カルシウムや骨、歯、魚燐等に含まれるリン酸
カルシウムは、生体内に見られる有機/無機複合体の主
要な構成成分であり、本発明の水難溶性微粒子の中で
も、これらのリン酸カルシウムや炭酸カルシウムをはじ
めとしたカルシウム化合物は有機物との親和性が高いた
め、特に好適に使用される。
【0075】水難溶性無機微粒子がリン酸カルシウムの
場合について以下詳細に記述するが、基本的な操作など
に関しては、カルシウム化合物の場合使用する原料が異
なるだけであり、同様に実施すれば良い。また、その他
2族元素化合物の場合も、使用する原料が異なるだけで
あり、同様にすれば良い。本発明の分散水溶液中に含ま
れるリン酸カルシウムは、リン酸に由来する部分とカル
シウム原子の合計が50重量%以上含まれるものであ
る。例としてはヒドロキシアパタイト、フッ素アパタイ
ト、塩素アパタイト、炭酸含有アパタイト、マグネシウ
ム含有アパタイト、鉄含有アパタイト等のアパタイト化
合物、リン酸三カルシウム等が挙げられる。
【0076】本発明のリン酸カルシウムに含まれるアパ
タイト化合物は、基本組成がMx(RO4yzで表され
る。Mサイトがカルシウムイオン(Ca2+)、RO4
イトがリン酸イオン(PO4 3-)、Xサイトが水酸化イ
オン(OH-)の場合には、x=10、y=6、z=2
となり、一般的にヒドロキシアパタイトと呼ばれる化合
物である。M、RO4、Xの各サイトは、種々のイオン
等と置換が可能であり、また、空孔ともなり得るもので
ある。置換量および空孔量は、そのイオン等の種類によ
り異なるが、リン酸に由来する部分とカルシウム原子の
合計が50重量%以上含まれていれば、他のイオン等と
置換されていても、空孔であっても差し支えない。
【0077】リン酸に由来する部分とカルシウム原子の
合計が50重量%を下回るとリン酸カルシウムとしての
特性が失われることがあるために好ましくない。Mサイ
トは基本的にCa2+であるが、置換可能なイオン種の例
として、H+、Na+、K+、H3+、Sr2+、Ba2+
Cd2+、Pb2+、Zn2+、Mg2+、Fe2+、Mn2+、N
2+、Cu2+、Hg2+、Ra2+、Al3+、Fe3+
3+、Ce3+、Nd3+、La3+、Dy3+、Eu3+、Zr
4+等があげられる。RO4サイトは基本的にPO4 3-であ
るが、置換可能なイオン種の例として、SO4 2-、CO3
2-、HPO4 2-、PO32-、AsO4 3-、VO4 3-、Cr
4 3-、BO3 3-、SiO4 4-、GeO4 4-、BO4 5-、A
lO4 5-、H44 4-等があげられる。Xサイトに入るイ
オン種や分子の例として、OH-、F-、Cl-、Br-
-、O2-、CO3 2-、H2O等があげられる。
【0078】本発明の分散水溶液中に含まれるリン酸カ
ルシウムの粒径は500nm以下である。粒径が500
nmを越えると粒子が分散水溶液から沈降分離しやすく
なり、分散水溶液の安定性に欠けるため適当ではない。
また、リン酸カルシウム結晶構造についてはいかなるも
のでもよく、非晶質でもよい。さらに、リン酸カルシウ
ムの形状についても特に制限はなく、球形、針状、柱
状、不定形等いかなる形状でもかまわない。粒径分布に
ついても、粒径が500nm以下であれば特に制限はな
い。ここで用いる粒径とは、粒子の長軸径を示す。
【0079】カルボキシル基を含む水溶性または水分散
性の高分子化合物/リン酸カルシウム微粒子分散水溶液
を製造する方法(複合化)のなかで、分散安定性の優れ
た分散液を得るためには、リン酸カルシウムをカルボキ
シル基を含有する水溶性または水分散性の高分子存在下
に製造するのが特に好ましく、その点に本発明の特徴が
ある。リン酸カルシウムの製造方法は、カルボキシル基
を含む水溶性または水分散性の高分子化合物存在下に製
造可能な方法であれば、いかなる製造方法でもかまわな
いが、所謂湿式法(液相法/沈殿法)が好ましい。湿式
法は、カルシウム化合物(懸濁)水溶液とリン酸あるい
はリン酸塩水溶液を混合することによりリン酸カルシウ
ムを合成する方法であり、一般的には両液を同時滴下
か、一方の溶液の中へ他方の溶液を滴下する方式がとら
れる。滴下時間については特に制限はないが、概ね5分
〜24時間である。反応は滴下終了後、必要に応じて熟
成させる。
【0080】カルボキシル基を含む水溶性または水分散
性の高分子化合物はリン酸カルシウムが生成する反応液
中に存在させればよく、カルシウム化合物(懸濁)水溶
液、リン酸あるいはリン酸塩水溶液いずれかに混合して
おいてもよいし、両方に混合しておいてもよい。また、
両者とは別に独立して反応器の中へ連続的あるいは断続
的に添加してもよい。但し、未ケン化部含量が多い(概
ね5〜60モル%)カルボキシル基変性ポリビニルアル
コールを複合化する場合など、アルカリ加水分解反応を
うける成分を高分子化合物の中に含有するものに関して
は、特に原料として水酸化カルシウム等のアルカリ性の
高い物質をカルシウム源として用いる場合には注意が必
要である。例えば、水酸化カルシウムとカルボキシル基
変性ポリビニルアルコールとを混合しておくと、未ケン
化部の加水分解反応が副反応として生じるため問題とな
ることがある。このような場合には、水酸化カルシウム
が加水分解反応で消費される分量のリン酸が過剰になる
ため反応液のpH低下を招き、リン酸カルシウムの生成
が不完全になるとともに、複合化が不良になり、反応液
の分離、沈降を生じることがある。この問題を解決する
には、水酸化カルシウムとカルボキシル基変性ポリビニ
ルアルコールを分けて、両者あるいは一方を滴下すれば
よく、リン酸カルシウムの反応が優先するため副反応を
抑えることができる。この方法により未ケン化部を含有
するカルボキシル基変性ポリビニルアルコール/リン酸
カルシウム分散水溶液が製造できる。ケン化により生じ
る酢酸ナトリウム等の影響が問題にならない場合には、
未ケン化部に相当する量のアルカリを添加して、予めケ
ン化反応を行った後に複合化反応を行ってもよいが、不
純物による着色などの影響を抑えることができるため、
完全ケン化タイプのカルボキシル基変性ポリビニルアル
コールを用いるほうが好ましい。しかしながら、(メ
タ)アクリルアミド系重合体のように、加水分解反応に
よりカルボキシル基を生成するものは、複合化反応の際
に加水分解反応をむしろ積極的に起こしても良いことが
ある。
【0081】合成に用いるカルシウム塩としては、塩化
カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化
カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム・2水和
物等があげられる。リン酸塩としては、リン酸2水素ア
ンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、およびアンモ
ニウム塩以外のこれらのナトリウム、カリウム塩等があ
げられる。目的とする化合物以外の、反応に伴ない副生
する有機あるいは無機塩は、用途によっては除去する必
要があり、その際は透析など既知の方法で脱塩する。リ
ン酸カルシウムを目的化合物とする場合には、水酸化カ
ルシウムとリン酸を原料にすれば副生塩は発生しないた
め特に好ましい。また、リン酸カルシウムの中でもアパ
タイト構造をとるものはその構造の柔軟さから前述のよ
うに各種イオンと置換できることが知られており、必要
に応じてカルシウムおよびリン酸以外のイオン種を含む
化合物を併用することもできる。
【0082】カルボキシル基を含む水溶性または水分散
性の高分子化合物とリン酸カルシウムの重量比は10:
90〜99.99:0.01、好ましくは20:80〜
99.99:0.01、さらに好ましくは30:70〜
99:1の範囲である。リン酸カルシウムの量が0.0
1%より少ないとリン酸カルシウムを添加する効果が乏
しく、90%を越えると分散安定性が不良で沈降、分離
を起こしやすくなり、均一な複合体を形成できなくなる
ため好ましくない。
【0083】通常は反応溶液を所定温度に保つことによ
り反応を行う。反応中同一温度に保つ必要はなく、反応
の進行にともない適宜変えてよく、必要に応じて加熱あ
るいは冷却しながら行う。反応温度により生成するリン
酸カルシウム粒子の大きさが変化するため、反応温度を
変えることにより粒径を変えることができ、その結果分
散水溶液から作成されるフイルムの透明性を加減するこ
とも可能である。反応温度は概ね5〜95℃の範囲にあ
る。反応器内の雰囲気は特に限定はなく通常は空気中で
行われるが、リン酸カルシウムの組成をコントロールす
るには窒素ガスのような不活性ガスで置換した方がよ
い。合成時間は特に限定はないが、滴下、熟成時間を合
わせて概ね1〜120時間である。
【0084】攪拌方法については、均一に混合される方
法であれば特に制限はなく、例として回転による方法、
超音波による方法等があげられる。攪拌羽根を用いたバ
ッチ式の反応容器を用いる場合、攪拌羽根の形状や溶液
粘度等に影響されるため一概にはいえないが、攪拌速度
は概ね30〜10000rpmの範囲である。
【0085】反応溶媒としては水を用いるが、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の
有機溶剤を併用してもよい。
【0086】合成する際の濃度は特に制限はないが、リ
ン酸カルシウムとカルボキシル基を含む水溶性または水
分散性の高分子化合物の固形分を合わせて概ね0.5〜
60重量%の範囲であり、好ましくは1〜50重量%の
範囲にある。50重量%を越えると分散液の粘度が高く
なり、取り扱いが困難となる場合がある。
【0087】リン酸カルシウムは、反応時のpHにより
生成するリン酸カルシウムの種類が異なるため、特定の
種を製造する場合にはpHを調整しながら行うこともあ
る。pH調整は、アンモニアガス、アンモニア水、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等により行うことができ
る。特に、目的化合物がpH変化により溶解する場
合、カルボキシル基の解離状態変化により複合体が分
離するような場合には厳密にpH調整を行う必要があ
る。例えば、ヒドロキシアパタイト(リン酸カルシウ
ム)の場合には、反応後はの理由からpH5以下にな
らないように適宜アルカリを添加して調整する。
【0088】かくして得られる安定性に優れるカルボキ
シル基を含む水溶性または水分散性の高分子化合物/リ
ン酸カルシウム微粒子分散水溶液は、均一なエマルショ
ン溶液であり、長時間静置しておいても沈降、分離を起
こさない。ここで言う安定性に優れるものとは、製造直
後に混在する沈降粒子(一夜放置で沈降)を除いて、製
造後沈降あるいは分離する固形物重量が、1ケ月経過し
た時点で1重量%以下のもの、あるいは2000rpm
で10分間遠心処理を行っても沈降や分離を起こさない
ものを言う。
【0089】水難溶性無機微粒子が炭酸カルシウムの場
合にもリン酸カルシウムと同様の方法で製造される。こ
の場合には、カルシウム源としては、リン酸カルシウム
と同一の原料が使用でき、炭酸源には、炭酸ガス、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
水素カリウム、炭酸アンモニウムなどが適宜使用され
る。リン酸カルシウムの場合と同様に、副生塩を発生さ
せないためには、水酸化カルシウムと炭酸(ガス)の組
み合わせが好ましい。
【0090】本発明の透明性に優れるカルボキシル基を
含む水溶性または水分散性の高分子化合物/リン酸カル
シウム複合体は、このようにして得られる分散安定性に
優れるカルボキシル基を含む水溶性または水分散性の高
分子化合物/リン酸カルシウム微粒子分散溶液から水を
除去することにより固形化される。複合体は用途によ
り、公知の方法や機器を用いてフィルム状、シート状、
粉末状、発泡体状、糸状など任意の形状に加工すること
ができる。また、温度変化により物理的に架橋構造をつ
くる方法や、架橋剤を用いて化学的な結合(イオン結
合、共有結合)で架橋構造をつくる方法により、ゲル状
の複合体に加工することも可能である。
【0091】例えば、フィルムに加工する場合には、分
散水溶液をそのまま、あるいは濃縮処理やpH調整、必
要に応じてエチレングリコールやグリセリン等の公知の
可塑剤や、架橋剤、増粘剤、充填剤、着色剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の添加剤を混合した後
に、ガラス、石英、金属、セラミックス、プラスチッ
ク、ゴム等の基板、ロール、ベルト等の上に上記の安定
な分散液を塗布・製膜し、必要に応じて加熱、減圧、送
気、赤外線照射、極超短波照射等の処理を行って水およ
び/または水系の溶剤を蒸発させることにより製造する
ことができる。塗布方法は特に制限はなく、流し塗り
法、浸漬法、スプレー法等があり、バーコーター、スピ
ンコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、カー
テンコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等
の公知の塗工機を使用できる。塗布厚み(乾燥前の厚
み)は概ね1μm〜10mmで、塗布法の選択により任
意に厚みを設定できる。水および/または水系の溶剤を
蒸発させる温度は0〜150℃の温度範囲で行い、常圧
あるいは減圧下に行う。その際に乾燥空気あるいは乾燥
窒素を流通させて乾燥時間を短縮することができる。さ
らに、耐水性を付与する等の目的で架橋反応を促進する
場合には、40〜200℃で数秒〜数十分間熱処理を行
う。このフィルムを基材から剥がして使用する場合に
は、プラスチック製の基材を用いると離型性が良好であ
るが、その他の基材を用いる場合にも必要に応じて各素
材に公知の離型剤を予め塗布するとよい。このようにし
て製造されるフィルムは透明性に優れる特徴を有する。
これは、リン酸カルシウム微粒子のサイズが可視光の波
長領域以下であり、個々の粒子が凝集を起こすことなく
ポリマーマトリックス中に均一に分散していることを示
す。透明性については、400nmと700nmでの可
視光透過率により定量的に評価できる。ここでいう透明
性に優れるとは膜厚が30〜300μmにおける700
nm波長の光透過率が50%以上を示すものをいう。こ
のフイルムは水分を吸収すると白濁し、乾燥すると透明
になる。この変化は可逆的であり、透明性に優れるとの
表現は乾燥条件下(含水量10重量%以下)についての
記述である。
【0092】さらに、この透明なフイルムは架橋など特
別な処理を行わないものは水に再分散する。再分散性は
特に(メタ)アクリルアミド系重合体に顕著である。な
ぜこのようにいったんフイルム化したものが再分散する
など、分散安定性にきわめて優れるのか理由は定かでは
ないが、前述したような高分子と粒子間でのイオン的な
結合を介在した吸着作用と、保護コロイド的な作用の存
在を裏付けるものであると考えられる。
【0093】フィルムは非常に親水性が高いため、耐水
性に問題が生じる場合があるが、このような場合、(1)
物理的に水や湿気の侵入を防ぐ方法と、(2)フィルム作
製時に耐水性を付与する方法がある。(1)は、疎水性の
フィルムをラミネートする方法が有効である。(2)は、
カルボキシル基を含む水溶性または水分散性の高分子化
合物/無機微粒子の水分散溶液自身に架橋反応性を持た
せる方法と、耐水化剤を添加する方法がある。具体的に
は、前者は(I)カルボキシル基を含む水溶性または水分
散性の高分子化合物を製造する際に共重合により架橋性
の官能基を導入する方法、(II)カルボキシル基を含む水
溶性または水分散性の高分子化合物と反応可能な架橋剤
を添加する方法がある。(I)では官能基として、カルボ
キシル基、アミノ基、エポキシ基、水酸基、オキサゾリ
ン基などが用いられ、これらの官能基同士の反応あるい
は多価金属イオンによる架橋反応により耐水性がもたら
される。(II)は、ホルマリンや尿素−ホルマリン樹脂、
ポリアミド−ポリアミン樹脂やそれらの変性物などが挙
げられる。また、後者は分散水溶液に硬化性のエマルシ
ョン樹脂を混合する方法などがあり、公知のアクリル
系、ポリエステル系、ポリウレタン系のエマルションが
利用できる。
【0094】カルボキシル基を含む水溶性または水分散
性の高分子化合物/無機微粒子の水分散溶液から複合体
を粉末化する方法は、フィルム加工と同様に複合体の分
散水溶液をそのまま、あるいは濃縮処理やpH調整、必
要に応じてエチレングリコールやグリセリン等の公知の
可塑剤や、架橋剤、増粘剤、充填剤、着色剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の添加剤を混合した後
に、スプレードライ、凍結乾燥のように溶媒を分散液か
ら直接気化する方法や、あるいは水と混和するが複合体
を溶解しないメタノールのような有機溶剤または硫酸ナ
トリウムのような塩析効果の高い化合物を用いることに
より固体分離処理を行い、乾燥後粉末化する方法も可能
であるが、本発明の主旨から言えば前者の方が好まし
い。
【0095】その他の形状加工についても、フィルム加
工と同様に、複合体の分散水溶液をそのまま、あるいは
濃縮処理やpH調整、必要に応じてエチレングリコール
やグリセリン等の公知の可塑剤や、架橋剤、増粘剤、充
填剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等
の添加剤を混合した後に、公知の方法により実施でき
る。
【0096】本発明のカルボキシル基を含む水溶性また
は水分散性の高分子化合物/無機微粒子複合体は、特に
ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンなどに関
しては安全性の高いポリマー材料であることが知られて
おり、その複合化相手がリン酸カルシウムや炭酸カルシ
ウムの場合には、「生体親和性の高い粒子がナノメート
ルサイズで均一に混合分散しているポリマー複合材料」
という点で特徴づけられ、種々の用途がある。これらの
複合体は前述のように種々の形状に加工可能である点か
ら、特に医用あるいは化粧用材料として非常に有用な材
料である。医用材料としては人工骨材料、骨充填剤、歯
科材料、DDS担体、皮膚疾患治療薬等に利用できる。
さらに、前述のようにこれらの複合体フィルムは水を吸
収すると白濁し、乾燥すると透明なフィルムに戻るとい
う特徴も有する。これは粒子水和に伴なう散乱によるも
のであり、フイルムに限った現象ではない。この性質を
利用すれば、UV遮光性の高い化粧品や湿度により透明
性が可逆的に変化する窓材、湿度センサーなどへの利用
が可能である。
【0097】このように、前記分散安定性に優れる高分
子化合物/無機微粒子分散水溶液を含有するものや透明
性に優れる高分子化合物/無機微粒子複合体を含有する
化粧品も本発明の1つである。
【0098】本発明のカルボキシル基を含む水溶性また
は水分散性の高分子化合物/無機微粒子複合体は、複合
前のポリマー単独のフイルムに比べて、引張強度、硬
度、熱特性、ガスバリア性などが向上する。例えば、ポ
リビニルアルコールはガスバリア性の高い材料として知
られているが、それに比べても複合化によりバリア性が
大幅に向上する。これらの特性を利用するには、耐水性
に劣るポリビニルアルコールを中間層とした多層フイル
ムとすることで解決できるが、耐水性があまり問題とな
らない用途では必要に応じて耐水化処理を施すことで表
面層にコートしてもよい。また、フイルム自体の強度が
上がる利点もあるが、これを種々の基材に塗布、含浸さ
せることにより、基材の強度を向上させる目的でも使用
することができ、それらの中でも、紙に適用した場合に
有用であり、製紙用薬品も本発明の1つである。
【0099】本発明の製紙用薬品は、前記分散安定性に
優れる高分子化合物/無機微粒子分散水溶液から得られ
るものである。また、本発明の製紙用薬品は、カルボキ
シル基を含む水溶性または水分散性の合成高分子化合物
(A)と、周期表2族元素化合物と有機酸、無機酸およ
びそれらの塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応さ
せて得られた粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子
(B)とを、(A):(B)=10:90〜99.9
9:0.01(重量比)で含有してなる製紙用薬品であ
る。
【0100】本発明の製紙用薬品を使用して得られる紙
は、紙力性能が向上する。特に、本発明の製紙用薬品を
紙の表面に塗工(外添)することにより、紙力強度が大
幅に向上する。紙に塗工する際の塗工液濃度は、0.0
1〜20.0重量%、好ましくは0.10〜10.0重
量%の範囲にある。その塗工量は、0.001〜20.
0g/m2、好ましくは0.005〜10.0g/m2の範囲に
ある。紙への塗工は、含浸、サイズプレス、ゲートロー
ルコーター、カレンダー、ブレードコーター、スプレー
等の一般的な方法が用いられる。塗工後の乾燥温度は、
水が蒸発する温度であればよく、好ましくは100℃か
ら180℃の範囲にある。さらに本発明の製紙用薬品
は、澱粉系、カルボキシメチルセルロース系、PVA
系、PAM系等の従来公知の表面塗工用の薬品類と組み
合わせることにより、表面強度や内部強度を一層向上さ
せることもできる。
【0101】本発明の製紙用薬品は、硫酸アルミニウ
ム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムや、ポリ
エチレンイミン、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性
物やホフマン変性物、ポリアルキレンポリアミン、カチ
オン化澱粉などのカチオン基を持つ水溶性高分子などと
の相互作用によりパルプへの定着が可能であり、抄紙用
の内添薬品としても利用可能である。内添薬品として使
用する場合には、パルプ重量に対して0.01〜5.0
重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%添加され、
種箱やマシンチェストなどの通常の内添薬品と同様の場
所で添加すればよい。本発明の製紙用薬品は必要に応じ
て、消泡剤、防腐剤、防錆剤、防滑剤などを混合する、
あるいは使用時に併用してもよい。
【0102】リン酸カルシウム、炭酸カルシウムは生体
に限らず有機物との親和性が高いことが知られている。
本発明の複合体中のナノメートルサイズのリン酸カルシ
ウム微粒子は従来のものと異なって凝集構造を作らずに
複合体中に均一に分散していることから、比表面積は大
幅に向上し、水中に含まれる有機物との相互作用が大き
くなるため、例えばインクジェット記録材用途などにも
好適に使用することができ、インクジェット記録シート
薬品も本発明の1つてある。
【0103】本発明のインクジェット記録シート用薬品
は、前記分散安定性に優れる高分子化合物/無機微粒子
分散水溶液から得られるものである。また、本発明のイ
ンクジェット記録シート用薬品は、カルボキシル基を含
む水溶性または水分散性の合成高分子化合物(A)と、
周期表2族元素化合物と有機酸、無機酸およびそれらの
塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られ
た粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子(B)と
を、(A):(B)=10:90〜99.99:0.0
1(重量比)で含有してなるインクジェット記録シート
用薬品である。本発明のインクジェット記録シート用薬
品は、従来使用されてきた無機填料がもつ長期保存に対
して紙が黄色く変色する黄変性の問題に対して、非常に
優れた特長をもつ。
【0104】本発明のインクジェット記録シート用薬品
は、シート基材に塗布することにより耐黄変性に優れた
インクジェット記録用シートを製造することができる。
シート基材としては特に制限はなく、パルプおよびパル
プを主原料とした紙、再生紙、合成紙、布、不織布、ポ
リオレフィンやアクリル系ポリマー、ポリエステルを主
原料にしたフイルムや板、ガラス板等があげられる。
【0105】本発明のインクジェット用記録シート用薬
品は、単独でも使用し得る以外に、耐黄変性を損なわな
い範囲で必要に応じて公知の無機填料、有機填料、バイ
ンダー、その他各種添加剤を使用することができる。無
機填料としては炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タ
ルク、マイカ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化
チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイ
ト、ゼオライト、スメクタイト、ケイソウ土、ケイ酸カ
ルシウム、ケイ酸アルミニウム、非晶質シリカ、アルミ
ナ等があげられ、有機填料としてはスチレン系や尿素樹
脂系のプラスチックピグメント等があげられる。バイン
ダーとしてはポリビニルアルコール、カルボキシメチル
セルロースやヒドロキシエチルセルロース等のセルロー
ス誘導体、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル樹
脂、カゼイン、大豆蛋白、ゼラチン、澱粉、スチレン−
ブタジエン系ラテックスやアクリル系エマルション等が
あげられる。その他の添加剤としてはインク定着剤、耐
水化剤、ドット調整剤、湿潤剤、pH調整剤、蛍光増白
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、消泡剤、増粘
剤、顔料分散剤、離型剤などがあげられる。
【0106】本発明のインクジェット記録シート用薬品
を基材上に塗布する手段としては特に制限はなく、目的
に応じて適宜選択することができる。各種公知の方法、
例えばブレードコーター、ロールコーター、エアーナイ
フコーター、バーコーター、カーテンコーター、スプレ
ーコーター、サイズプレス、含浸等の方法が用いられ
る。必要に応じてスーパーカレンダー、ソフトカレンダ
ー等の平滑化装置で平滑化処理することもできる。塗工
層は用途、目的に応じて2層以上の積層構造にしてもよ
い。塗工層の塗布量については特に制限はないが、複合
体の固形分で3〜30g/m2が好ましい。30g/m2より多
く塗布しても特性が更に向上するものではなく、また、
3g/m2より少ないとインク吸収性が不十分となるおそれ
がある。
【0107】本発明のカルボキシル基を含む水溶性また
は水分散性の高分子化合物/リン酸カルシウム複合体は
透明性が高い点と、有機体・生体に対して親和性の高い
リン酸カルシウムを幅広い比率で含有させることができ
る特徴を持つことから、上記以外にも塗料、接着剤、顔
料バインダー、セラミックス粘結剤、経糸剤、乳化剤、
クロマトグラフィー用充填剤、フィルター材料、樹脂改
質剤、排水処理剤、抗菌剤、難燃剤、湿度や炭酸ガス等
のセンサー材料、細胞培養用基材、分離膜、食品添加剤
等の広い分野にわたって使用することができる。
【0108】
【実施例】以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ま
た、以下の例において用いる%は特記のない限り重量基
準を示す。粘度は25℃においてB型粘度計〔(株)トキ
メック社製〕により計測した値である。X線回折による
分析は、RINT X-ray Diffractometer (理学電機
社製)を用いて行った。FT−IR測定は、日本分光社
製のFT/IR−8300フーリエ変換赤外分光光度計
を用いて行った。光透過率測定は、島津自記分光光度計
UV−2200A(島津製作所社製)を用いて行った。
透過型電子顕微鏡(TEM)観察は、H−300型日立
電子顕微鏡(日立製作所社製)およびJEM−2010
型透過型電子顕微鏡(日本電子社製)を用いて行った。
超微小硬度測定は、島津ダイナミック超微小硬度計DU
H−201型(島津製作所社製)を用いて行った。
【0109】〔重合体製造例1〕攪拌機、還流冷却管、
温度計、窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコにアク
リルアミド30.00g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.15
g 、蒸留水266.85g を混合溶解し、pHを4.5 に調整し
た。窒素ガスを液面上部から一定流量で流しながら溶液
の温度を80℃に調整した後、過硫酸アンモニウム0.30g
を溶解した水溶液3.0gを添加し、3時間重合反応を行な
った。30℃以下に冷却して反応を終了させ、25℃におけ
るブルックフィールド粘度が114.4mPa・s の(メタ)ア
クリルアミド系重合体(重合体A)水溶液(不揮発分1
1.12%)を得た。重量平均分子量は、337,000 であっ
た。
【0110】〔重合体製造例2〜5〕アクリルアミド、
共重合モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤などを表1に
記載した量を使って重合体製造例1と同様に反応を行
い、(メタ)アクリルアミド系重合体(重合体B〜E)
水溶液を得た。重合結果は表1に記載した。
【0111】〔重合体製造例6〕攪拌機、還流冷却管、
温度計、窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコにN,
N−ジメチルアクリルアミド(DMA)30.00g、次亜リ
ン酸ナトリウム一水和物0.15g 、蒸留水266.85g を混合
溶解し、pHを4.5 に調整した。窒素ガスを液面上部か
ら一定流量で流しながら溶液の温度を80℃に調整した
後、過硫酸アンモニウム0.30g を溶解した水溶液3.0gを
添加し、3時間重合反応を行なった。30℃以下に冷却し
て反応を終了させ、25℃におけるブルックフィールド粘
度が37.5mPa・ s の(メタ)アクリルアミド系重合体
(重合体F)水溶液(不揮発分10.58%)を得た。重量
平均分子量は、232,200 であった。
【0112】〔重合体製造例7〜20〕DMA、共重合
モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤などを表1に記載し
た量を使って重合体製造例6と同様に反応を行い、(メ
タ)アクリルアミド系重合体(重合体G〜P:組成の同
じ物は等の添字で区別した)を得た。重合結果は表1
に記載した。
【0113】〔重合体製造例21〕攪拌機、還流冷却
管、温度計、窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに
N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)22.12g、イタコ
ン酸2.88g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.13g 、蒸
留水218.84g を混合溶解し、pHを4.5 に調整した。窒
素ガスを液面上部から一定流量で流しながら溶液の温度
を80℃に調整した後、4,4’−アゾビス(2−シアノ
吉草酸)(V−501:和光純薬社製)0.25gを溶解し
た水溶液2.5gを添加し、3時間重合反応を行なった。30
℃以下に冷却して反応を終了させ、25℃におけるブルッ
クフィールド粘度が54.5mPa ・ s のビニルピロリドン系
重合体(重合体R)水溶液(不揮発分11.28%)を得
た。重量平均分子量は、251,000 であった。
【0114】〔重合体製造例22〜24〕NVP、共重
合モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤などを表2に記載
した量を使って重合体製造例21と同様に反応を行い、
ビニルピロリドン系重合体(重合体S〜U)を得た。重
合結果は表2に記載した。
【0115】〔重合体製造比較例1〕攪拌機、還流冷却
管、温度計、窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに
N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)30.00g、蒸留水
268.50g を混合溶解し、pHを4.5 に調整した。窒素ガ
スを液面上部から一定流量で流しながら溶液の温度を80
℃に調整した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプ
ロパン)二塩酸塩(V−50:和光純薬社製)0.15g を
溶解した水溶液1.5gを添加し、3時間重合反応を行なっ
た。30℃以下に冷却して反応を終了させ、25℃における
ブルックフィールド粘度が36.0mPa ・ s のビニルピロリ
ドン系重合体(重合体V)水溶液(不揮発分10.57%)
を得た。重量平均分子量は、149,800 であった。
【0116】〔重合体製造比較例2〜4〕NVP、共重
合モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤などを表2に記載
した量を使って重合体製造比較例1と同様に反応を行
い、ビニルピロリドン系重合体(重合体W〜Y)を得
た。重合結果は表2に記載した。
【0117】〔複合化実施例〕重合体とリン酸カルシウ
ムとの複合化は以下の複合化実施例に示した。水酸化カ
ルシウム懸濁液に重合体とリン酸の混合液をフィードす
る方法をI、水酸化カルシウムと重合体の混合懸濁液に
リン酸をフィードする方法をIIと表し、表3〜5に示し
た。
【0118】得られた有機重合体/リン酸カルシウム微
粒子分散溶液の安定性は製造後1日静置した後の分散状
態を目視で確認する方法(静置分散性)と、2,000
rpmで10分間遠心処理を行った後の分散状態を目視で
確認する方法(遠心分散性)を、それぞれ1〜5の5段
階で評価した。 1:分離なし 2:分離なし、微量初期沈降物あり 3:分離上澄液<10% 4:分離上澄液10〜25% 5:分離上澄液>25% なお、2はごく微量、製造一夜放置後に沈降物が認めら
れるもので、必要に応じて濾過処理を行うことで本発明
の分散水溶液となる。1、2が本発明の安定な分散溶液
に含まれる領域である。
【0119】<(メタ)アクリルアミド系重合体との複
合化(1)> 〔複合化実施例1〕攪拌機、温度計を備えた丸底セパラ
ブルフラスコに水酸化カルシウム 4.61g、蒸留水 145.3
9gを入れ、激しく攪拌して懸濁液とした。懸濁液の温度
を40℃に調整し、攪拌速度200rpmで攪拌しながら、11.1
%リン酸水溶液33.01g、pHを10.0に調整した重合体製
造例1で得られた水溶性ポリマー(重合体A)水溶液5
6.21g、蒸留水10.78gを混合溶解した水溶液
を、ミクロチューブポンプを用いて連続的に2時間かけ
て添加した(反応方法I)。添加後さらに40℃で1時間
反応を行ない、1日静置しても分離等を起こさない、安
定性に優れる(メタ)アクリルアミド系重合体/リン酸
カルシウム微粒子(50:50)分散水溶液(a−1)
を得た。得られた分散水溶液のpHは8.75であり、沈降
物の生成はほとんど認められず、数週間室温にて静置し
ても分離、沈降等の変化を起こさずに安定であった。さ
らに、得られた微粒子分散液を2,000rpmで10分間遠心
処理を行ったが、分離、沈降等の変化は認められなかっ
た。
【0120】〔複合化実施例2〜33〕表3に記載した
各種(メタ)アクリルアミド系重合体B−Pを用い、表
3に示す条件で複合化実施例1と同様に反応を行い、微
粒子分散水溶液b−1〜p−1を得た。複合化比率、仕
込量、反応条件、反応方法、反応結果は表3に記載し
た。なお、方法I、IIにおいて、重合体水溶液は予めp
H10.0に調整後、リン酸または水酸化カルシウムと混合
した。フィード液量は反応液全体の40%量を標準とし
た。また、複合化実施例は反応濃度(固形分)5%、反
応温度40℃を標準とたが、反応濃度を10%に上げた
例(複合化実施例10、11)、反応温度を20−80
℃に設定した例(複合化実施例13〜16)において
も、問題なく複合化できることを示した。なお、重合体
A、C、D、E、Fは共重合モノマーにカルボキシル基
を含まない重合体ではあるが、複合化反応過程でポリマ
ー主成分であるアクリルアミド、あるいはN,N−ジメ
チルアクリルアミドのアミド結合がアルカリ(水酸化カ
ルシウム)による加水分解反応を受けてカルボキシル基
を生成しており(加水分解反応で生成するアンモニア、
及びジメチルアミンを検出)、その結果として複合化が
良好になっているのである。
【0121】<(メタ)アクリルアミド系重合体との複
合化(2)> 〔複合化実施例34〜38〕カルボキシル基含有ポリア
クリルアミド(ホープロン−3150B、三井化学社
製)を用い、表4に示す条件で複合化実施例1と同様に
反応を行い、微粒子分散水溶液q−1〜q−5を得た。
複合化比率、仕込量、反応条件、反応方法、反応結果は
表4に記載した。
【0122】<ビニルピロリドン系重合体との複合化> 〔複合化実施例39〜42〕表2に記載したビニルピロ
リドン系重合体R〜Uを用い、表4に示す条件で複合化
実施例1と同様に反応を行い、微粒子分散水溶液r−1
〜u−1を得た。複合化比率、仕込量、反応条件、反応
方法、反応結果は表4に記載した。
【0123】〔複合化比較例1〜5〕重合体を添加しな
いブランク(比較例1)、および表2に記載した水溶性
重合体V〜Yを用い、表4に示す条件で複合化実施例1
と同様に反応を行ったが、何れも攪拌を止めて静置する
と直ちに沈降分離した。複合化比率、仕込量、反応条
件、反応方法および反応結果は表4に記載した。
【0124】複合化実施例39〜42と複合化比較例1
〜5とを対比させると明らかなように、ビニルピロリド
ン系重合体の場合、カルボキシル基をもつ共重合体成分
が安定な複合分散液をつくるために必要であることが判
る。ポリマーの主成分であるN−ビニル−2−ピロリド
ンは本発明の複合化条件下ではアルカリによる加水分解
反応を受けず、複合化反応過程においてもカルボキシル
基を生成しない。その点で前記したアミド系のポリマー
とは異なるため、比較例のようにカルボキシル基を含有
しない共重合体を用いると安定な分散溶液とはならない
のである。
【0125】<カルボキシル基変性PVAとの複合化例
> 〔複合化実施例43〕攪拌機、温度計を備えた丸底セパ
ラブルフラスコに予め蒸留水で溶解しておいたカルボキ
シル基変性ポリビニルアルコール(PVA KM−11
8;(株)クラレ社製、ケン化度 97.4モル%、重合度
1,800 )水溶液(9.35%)127.01g 、蒸留水20.91gを入
れ、10%水酸化ナトリウム1.62g を加えた後に、水酸化
カルシウム0.461gを攪拌しながら加えて懸濁液とした。
懸濁液の温度を40℃に調整し、攪拌速度200rpmで攪拌し
ながら、10.5%リン酸水溶液3.50g 、蒸留水96.50gを混
合溶解した水溶液をミクロチューブポンプを用いて連続
的に2時間かけて添加した。添加後さらに40℃で2時間
反応を行ない、カルボキシル基変性ポリビニルアルコー
ル/リン酸カルシウム微粒子(95:5)分散水溶液
(z−1)を得た。得られた分散水溶液のpHは6.55で
あり、沈降物の生成はほとんど認められず、数週間静置
しても分離、沈降等の変化を起こさずに安定であった。
さらに、得られた微粒子分散液を2,000rpmで10分間遠
心処理を行ったが、分離、沈降等の変化は認められなか
った。反応液の固形分濃度は5.2 %であった。
【0126】〔複合化実施例44〜66〕カルボキシル
基変性ポリビニルアルコール(Z1〜Z13)を用い、
表5に示す条件で複合化実施例43と同様に反応を行っ
た。複合化比率、仕込量、反応条件、反応方法および反
応結果は表5に記載した。複合化に用いたカルボキシル
基変性ポリビニルアルコールは、Z1:KM−118
(ケン化度 97.4モル%)、Z2:KM−618(ケン
化度 93.7モル%)、Z3:KL−118(ケン化度 9
7.4モル%)(Z3’は予め未ケン化相当量のNaOH
で加水分解処理)、Z4:K−5112(ケン化度 95.
1モル%)、Z5:SK−5102(ケン化度 97.6モル
%)(以上クラレ社製)、Z6:UFA170(ケン化
度 >96.5モル%)、Z7:UFA170M(ケン化度
92−95モル%)、Z8:UPA170(ケン化度 88−
92モル%)(以上ユニチカ社製)、Z9:T−330H
(ケン化度 >99.0モル%)、Z10:T−330(ケ
ン化度 95.0−98.0モル%)、Z11:T−350(ケ
ン化度 93.0−95.0モル%)、Z12:T−230(ケ
ン化度 95.0−98.0モル%)、Z13:T−215(ケ
ン化度 95.0−98.0モル%)(以上日本合成化学社製)
である。
【0127】〔複合化比較例6〕攪拌機、温度計を備え
た丸底セパラブルフラスコに、予め蒸留水で溶解してお
いた高純度ポリビニルアルコール(PVA 103C;
(株)クラレ社製、ケン化度 98.6モル%、重合度300
)水溶液(10.0%)62.50g、蒸留水82.89gを入れ、10
%水酸化ナトリウム0.05g を加えた後に、水酸化カルシ
ウム4.61g を攪拌しながら加えて懸濁液とした。懸濁液
の温度を40℃に調整し、攪拌速度200rpmで攪拌しなが
ら、10.5%リン酸水溶液34.97g、蒸留水65.03gを混合溶
解した水溶液をミクロチューブポンプを用いて連続的に
2時間かけて添加した。添加後さらに40℃で2時間反応
を行ない、ポリビニルアルコール/リン酸カルシウム微
粒子(50:50)分散水溶液(Z14−1)を得た。
得られた分散水溶液のpHは7.61であり、一夜静置する
と反応液の約20%が透明な上澄液となって分離した(静
置分散性4)。反応液の固形分濃度は5.0%であった。
【0128】〔複合化比較例7〜11〕各種ポリビニル
アルコールZ14−Z16を用い、表5に示す条件で複
合化比較例6と同様に反応を行ったが、何れも攪拌を止
めて静置すると沈降分離した。複合化比率、仕込量、反
応条件、反応方法および反応結果は表5に記載した。複
合化に用いたポリビニルアルコールは、Z14:103
C(高純度ポリビニルアルコール、ケン化度 98.6モル
%)、Z15:205C(高純度ポリビニルアルコー
ル、ケン化度 88.1モル%)、Z16:CM−318
(カチオン性ポリビニルアルコール、ケン化度 96.4モ
ル%)、Z17:205S(部分ケン化型ポリビニルア
ルコール、ケン化度 88.0モル%)(Z14’、16’
は予め未ケン化相当量のNaOHで加水分解処理)(以
上クラレ社製)である。
【0129】複合化比較例6〜11から明らかなよう
に、分子内にカルボキシル基をもたないPVAでは、安
定な微粒子分散水溶液とはならない。複合化比較例7、
10では完全ケン化処理を行い、未ケン化部による影響
をなくしたが、それでも複合化は不良であり、複合化に
及ぼすカルボキシル基の効果は明らかである。
【0130】〔複合化分散水溶液の安定性〕 (1)pH効果 複合化実施例10で得られた分散水溶液(h−3)に蒸
留水を加えて希釈し、濃度を0.5wt%に調整した。この
分散液約30mlに、攪拌しながら11.1wt%リン酸水溶液を
マイクロシリンジで少量ずつ添加して、pHを6.51、5.
93、5.52、5.01に調整した。添加直後には何れも変化が
認められなかったが、pH5.01に調整したものは一夜放
置すると完全に二層分離した。その他のものは目視での
変化は認められなかった。また、0.5wt%希釈溶液に11.
1wt%リン酸を継続して添加すると、pH4.5付近でリン
酸を消費して、白濁分散水溶液が完全に透明化した。二
相分離を起こすpH領域は、重合体のカルボキシル基の
pKa領域であり、pH低下に伴ってカルボン酸陰イオ
ンが部分的または全体にわたってイオン性を失うこと
が、複合化分散液の安定性に影響を及ぼしているものと
考えられる。さらにpHを下げると、ヒドロキシアパタ
イトの溶解に伴なって、複合体は消失するため透明化す
るのである。
【0131】(2)無機塩添加効果 複合化実施例10で得られた分散水溶液を(1)と同様
に、濃度を0.5wt%に調整した。この際に、塩濃度が0.0
5〜2.0mol/lになるようにNaCl、Na2SO4を添加
して分散液の安定性を評価した。この濃度範囲ではNa
Cl添加による変化は認められなかったが、Na2SO4
添加系は0.25mol/l以上の濃度で完全に2層に分離し、
0.05mol/l濃度では1ケ月経た後も変化はなかった。以
上のpHおよび塩添加効果は、分散安定化にはイオン的
な作用が重要な役割を果たしていることを示しており、
それはカルボン酸陰イオンによる作用であることが強く
示唆された。
【0132】〔電子顕微鏡観察/分散液〕 ・ポリ(メタ)アクリルアミド(PAM)系複合体 複合化実施例9で得られた(メタ)アクリルアミド系重
合体/リン酸カルシウム微粒子分散水溶液(h−2)を
希釈し、コロジオン膜張銅メッシュ上で乾燥して撮影し
た透過型電子顕微鏡写真を図1(a)に示した。図1(a)を
見ると明らかなように、リン酸カルシウム微粒子は細長
い楕円状粒子となっており、これらの1次粒子が凝集す
ることなくコロジオン膜上に均一に分散している。図1
から求めた長軸方向の粒径分布を図3に示した。
【0133】・カルボキシル基変性PVA系複合体 複合化実施例50で得られたカルボキシル基変性ポリビ
ニルアルコール/リン酸カルシウム微粒子分散水溶液
(z1−8)を希釈し、コロジオン膜張銅メッシュ上で
乾燥して撮影した透過型電子顕微鏡写真を図1(b)に示
した。図1(b)も図1(a)とほぼ同様にリン酸カルシウム
微粒子は細長い楕円状粒子となっており、これらの1次
粒子が凝集することなくコロジオン膜上に均一に分散し
ている。
【0134】・ブランク 複合化比較例1で得られたブランクのリン酸カルシウム
分散水溶液(blank)は、沈降・分離しているた
め、良く攪拌してサンプリングを行った後希釈し、コロ
ジオン膜張銅メッシュ上で乾燥して撮影した透過型電子
顕微鏡写真を図2に示した。図2を見ると、細長い針状
の結晶が多数凝集している構造となっており、安定な分
散水溶液である図1(a)、(b)とは著しく異なっているこ
とが判る。
【0135】〔フィルム作成〕 〔フィルム作成例1〕複合化実施例1〜66で得られた
安定な分散水溶液(a−1〜z13−1)を直径90mmの
ポリメチルペンテン樹脂製のシャーレに入れ、水平台上
にのせて乾燥窒素を流すことによって、透明性に優れる
カルボキシル基含有重合体/リン酸カルシウム複合フィ
ルムを製造した。全ての試料が透明なフィルムとなっ
た。さらに110℃の送風乾燥機で2時間乾燥処理を行
ったフィルムについても透明性に変化が認められなかっ
た。シャーレに入れる液量を調節することにより、種々
の厚みを持つフイルムを作成した。とくに複合化実施例
43〜66で得られたPVA系複合分散水溶液(z1−
1〜z13−1)から作成されるフイルムは強靭かつ柔
軟なフィルムであり、ハサミによる裁断加工性を備えて
いた。さらに、これらの分散液に、固形分重量に対して
10%、20%、30%のグリセリンを可塑剤として添
加することで、50%リン酸カルシウムを含有する複合
体において完全に乾燥したフイルムでも柔軟性に富み、
折り曲げても割れないようになった。複合化比較例2〜
10で得られた分散水溶液(v−1〜y−1、z14−
1〜z16−2)は沈降・分離しているため、良く攪拌
した後に直径90mmのポリメチルペンテン樹脂製のシャー
レに入れ、水平台上にのせて乾燥窒素を流すことによっ
て、カルボキシル基を含有しないポリビニルアルコール
/リン酸カルシウム複合フィルムを製造しようとした
が、透明なポリマーフィルムと白色固体に完全に分離
し、均一な複合体フィルムにはならなかった。
【0136】〔フイルム作成例2〕必要に応じて濾布ま
たは金属メッシュで濾過処理を行った複合化実施例1〜
66で得られた安定な分散水溶液(a−1〜z13−
1)をポリエチレンテレフタレート(PET)フイルム
の上にバーコーターで塗布し、フイルムを固定して風乾
することで透明性に優れるカルボキシル基含有重合体/
リン酸カルシウム複合体を表面層にもつフイルムを作成
した。
【0137】〔フイルム作成例3〕必要に応じて、濾布
または金属メッシュで濾過処理を行った複合化実施例1
〜66で得られた安定な分散水溶液(a−1〜z13−
1)をガラス上に流し塗り、水平台上にのせて乾燥窒素
を流すことによって、透明性に優れるカルボキシル基含
有重合体/リン酸カルシウム複合フイルムを表面層にも
つガラス板を作成した。
【0138】〔フイルム引張り強度測定〕 ・カルボキシル基変性PVA系複合体 複合化実施例51で得られた分散水溶液(z1−9)
(重合体:リン酸カルシウム=50:50複合体)から
フイルム作成例1で得られた、平均膜厚64μmのフイル
ムと、複合化に使用した原料PVA(Z1:KM−11
8)水溶液から同様の方法で製膜化した平均膜厚75μm
のフイルムを用い、23±2℃、50±5%RHの条件下で1
週間調湿した各試料について、JIS K7113 2(1
/2)号形の試験片で50.0mm/minの速度で引張り試験を行
った。PVA単独系での引張強度(破断)65.3MPaに
対し、複合フイルムの引張強度は116.8MPaと、約80%
近く強度の向上が認められた。
【0139】〔超微小硬度測定〕 ・カルボキシル基変性PVA系複合体 ダイナミック超微小硬度計DUH−201型(島津製作
所製)を使用して、複合化実施例51の分散水溶液(z
1−9)(重合体:リン酸カルシウム=50:50複合
体)からフイルム作成例1で得られたフイルムと、複合
化に使用した原料PVA(Z1:KM−118)単独の
フイルムについて測定を行った。各々のフイルム厚は引
張り試験で使用したフイルムと同程度のものを使用し、
23±2℃、50±5%RHの条件下で1週間調湿した試料に
ついて、No-2モードにて、試験荷重9.8mN、保持時間5
秒、負荷速度1.428mN/sec、変位フルスケール10μmの
条件で試験を行った。9.8mN5秒保持時および除荷後の
押込み深さ(D1、D2(μm))は10点計測した平均値を
取ると、PVA単独系でそれぞれ1.42、1.04に対し、複
合系では1.06、0.77であった。この数値より計算される
ダイナミック硬さ(DHT115-1、DHT115-2)は、P
VA単独系でそれぞれ19.0、35.4に対し、複合系では3
3.8、65.2であり、複合化により表面硬度が増加するこ
とが判った。なお、ダイナミック硬さは以下の計算式よ
り算出される。三角錐圧子(115°)を用いた場合、α=
3.8584である。 ダイナミック硬さ={9.8(mN)/D2}×α
【0140】〔ガス透過性〕複合化実施例51の分散水
溶液(z1−9)(重合体:リン酸カルシウム=50:
50複合体)からフイルム作成例1で得られたフイルム
と、複合化に使用した原料PVA(Z1:KM−11
8)単独のフイルムについてヘリウムガスのフイルム透
過率測定を行った。透過率測定は、4重極型質量分析計
を検出器とした特開平6−241978に開示されてい
るフイルム用ガス透過率測定装置を用いた。PVC単独
フイルムの厚さは82μmで、ヘリウムガスの透過量10.7
cc/m2・day(透過係数:13.3*10-13cc*cm/cm2・sec・cmH
g)に対して、複合化フイルムの厚さは55μmで、透過
量7.5cc/m2・day(透過係数:6.3*10-13cc*cm/cm2・sec・c
mHg)であった。複合化により透過係数は50%以下にな
り、ガスバリア性が大幅に向上することが確認された。
【0141】〔FT−IR測定〕 ・PAM系複合体 複合化実施例12で製造した分散水溶液(h−5)をK
RS−5の窓板にキャストして薄膜とした試料のFT−
IRスペクトルを図4(a)に示す。(メタ)アクリルア
ミド系重合体に由来するピークとヒドロキシアパタイト
に由来するピークの両方が観測された。また、このフィ
ルムを電気炉中で800℃で3時間熱処理を行うと白色
固体が残り、その重量は熱処理前の50%であった。そ
の白色固体のIRスペクトルを図4(b)に示す。熱処理
によりポリマー成分は焼失し、結晶化が進んだヒドロキ
シアパタイトが定量的に残ったことが確認された。
【0142】・カルボキシル基変性PVA系複合体 複合化実施例49で製造した分散水溶液(z1−7)を
KRS−5の窓板にキャストして薄膜とした試料のFT
−IRスペクトルを図5(a)に示す。カルボキシル基変
性ポリビニルアルコールに由来するピークとヒドロキシ
アパタイトに由来するピークの両方が観測された。ま
た、このフィルムを電気炉中で800℃で9時間熱処理
を行うと白色固体が残り、その重量は熱処理前の50%
であった。その白色固体をKBr錠剤法により測定した
FT−IRスペクトルを図5(b)に示す。熱処理により
ポリマー成分は焼失し、結晶化が進んだヒドロキシアパ
タイトが定量的に残ったことが確認された。
【0143】・ポリビニルピロリドン系複合体 複合化実施例42で製造した分散水溶液(u−1)をK
RS−5の窓板にキャストして薄膜とした試料のFT−
IRスペクトルを図6に示す。ビニルピロリドン系重合
体に由来するピークとヒドロキシアパタイトに由来する
ピークの両方が観測された。
【0144】〔X線回折分析(XRD)〕 ・PAM系複合体 複合化実施例12で製造した分散水溶液(h−5)を凍
結乾燥により粉末とした試料のXRDスペクトルを図7
(a)に、及び同一の分散水溶液をフイルム作成例3で示
した方法によりガラス基板上にキャストしてフィルム化
した試料のXRDスペクトルを図7(b)に示す。なお、
(h,k,0)面に対応するピークに*を印した。粉末
のスペクトルパターンはヒドロキシアパタイトと一致し
たが、フィルムのスペクトルは(h,k,0)面のピー
クは観測されるものの、それ以外のピークは強度が大き
く低下するか消失していることから、フィルム中のヒド
ロキシアパタイト粒子はc軸がガラス面に対して平行に
配向しているものと推測される。
【0145】・カルボキシル基変性PVA系複合体 複合化製造例49で製造した分散水溶液(z1−7)を
凍結乾燥により粉末とした試料のXRDスペクトルのス
ペクトルパターンはヒドロキシアパタイトとほぼ一致し
た(図8(a))。ヒドロキシアパタイトの(h,k,
0)面のピークは観測されるものの、それ以外のピーク
は強度が大きく低下するか消失していた。同一の分散水
溶液をガラス基板上にキャストしてフィルム化した試料
のXRDスペクトルを図8(a)に示した。(メタ)アク
リルアミド系重合体との複合体と同様に、フィルム中の
ヒドロキシアパタイト粒子はc軸がガラス面に対して平
行に配向しているものと推測された。
【0146】〔電子顕微鏡観察/フイルム〕 ・PAM系複合体 複合化実施例12で得られた(メタ)アクリルアミド系
重合体/リン酸カルシウム微粒子分散水溶液(h−5)
から、キャスト法により製造した複合フィルム(フィル
ム作成例1)を、超薄切片法によりフィルムの平面方向
と断面方向から透過型電子顕微鏡(TEM)により観察
した。平面方向の結果を図9(a)に、断面方向の結果を
図9(b)に示す。平面方向(a)には長軸が70−200n
m、短軸が25−50nm程度の細長い楕円状粒子が観
察された。一方、断面方向(b)にはその細長い粒子を輪
切りにしたような像が多数観察され、一部には中空構造
を示すものも観察された。平面方向に長軸が配向してい
ることを示す電子顕微鏡像は、XRDの結果と良く一致
する。UTW(Ultra Thin Window)型EDS検出器(E
nergy Dispersive Spectroscopy:エネルギー分散型分
光法)による粒子の局所元素分析の結果、Ca/Pの元
素比は3点の平均で1.43の値を示した。ヒドロキシ
アパタイトのCa/P比は1.67であることから、フ
ィルム中のリン酸カルシウム粒子はカルシウム欠損型の
ヒドロキシアパタイトであることが、XRDとIRおよ
びTEMの結果から示された。
【0147】〔フイルム光透過率測定〕 ・PAM系複合体 安定性に優れる分散液a−1〜u−1から、フイルム作
成例1の方法でつくられた複合フィルム(フィルムの平
均膜厚は230μm−270μmの範囲にあった)の光透過率
の波長依存性は似通ったパターンを示し、何れも700
nmでの透過率は50%を越え、高い透明性を示した。
それらの中から、重合体/リン酸カルシウム複合フィル
ムと重合体単独フィルムの比較を図10に示した。図1
0から明らかなように、複合フィルムのほうが重合体単
独フィルムに比べて透明性が良好であった。また、複合
化温度が透明性に及ぼす効果を図11に示した〔分散水
溶液h−7から作成したフイルム(複合化温度:40
℃)、分散水溶液h−8から作成したフイルム(複合化
温度60℃)、分散水溶液h−9から作成したフイルム
(複合化温度80℃)〕。図11からは複合化温度によ
りフィルムの透明性が変化することが判った。
【0148】フィルム中に含まれる水分量の影響を図1
2に示した。分散水溶液h−7から作成した複合フイル
ムを水中に浸漬し、その後風乾して含水量を変化させ
た。含水量がフイルム重量に対してそれぞれ3%、50
%、65%、85%、122%のフイルムについて測定
した。なお、フイルムを120℃で4時間乾燥したもの
を含水量0%とした。図12からはフィルム中の水分量
により透明性が変化することが判り、この変化は可逆的
であった。この現象は特に紫外光領域での変化幅が大き
く、UV遮光性の化粧品へ利用できることを示す。
【0149】・カルボキシル基変性PVA系複合体 安定性に優れる微粒子分散水溶液(z1−1〜z13−
1)から、フイルム作成例1の方法でつくられた複合フ
ィルムの光透過率の波長依存性は、似通ったパターンを
示し、何れも700nmでの透過率は50%を越え、高
い透明性を示した。測定に用いたフィルムは、平均膜厚
が90μm〜150 μmの範囲にあり、図13に示す分散水
溶液z1−3(90:10複合体)、z1−5(70:
30複合体)からフイルム作成例1でつくられたフィル
ムはそれぞれ約120 、140 μm、分散水溶液z1−6
(60:40複合体)、z1−7(50:50複合体)
から同様につくられたフイルムは約90μmであった。
【0150】〔紙への塗工試験〕以下の塗工実施例およ
び塗工比較例には、被塗工原紙として中質紙(坪量58g/
m2)を用いた。表面強度は、RI−3型(明製作所社
製)を用いてRIピックを(10点法の相対評価で点数
が高いほど表面強度が高い)、Z軸強度はインターナル
ボンドテスター(熊谷理機工業社製)を用いて測定し
た。
【0151】〔塗工実施例1〜5〕複合化実施例34〜
38で得られた微粒子分散水溶液(q−1〜q−5)に
被塗工原紙を1秒間浸漬し、2本のロールで搾った後に
吸収された液量を秤量して塗工量を求めた。塗工量は
(メタ)アクリルアミド系重合体とリン酸カルシウムの
不揮発分で 1.0および1.8g/m2となるように予め塗工液
の濃度を調製した(分散水溶液濃度:2.0〜3.5wt%)。
また、塗工液のpHは7.8〜8.2に調整した。塗工後直ち
に表面温度を110℃に設定したドラムドライヤーで9
0秒間乾燥し、恒温恒湿室(20℃、65%RH)中で
24時間調湿後の紙力強度を測定した。結果は表6に示
した。
【0152】〔塗工比較例1〕塗工液を(メタ)アクリ
ルアミド系重合体(ホープロン3150B;三井化学社
製)の単独水溶液に変えた以外には塗工実施例1〜5と
同様の操作を行って塗工紙を作り、紙力強度を測定し
た。結果は表6に示した。
【0153】表6の結果から、分散水溶液の紙力向上能
は従来の(メタ)アクリルアミド重合体に比べて極めて
優れていることが明らかである。特に、(メタ)アクリ
ルアミド重合体/リン酸カルシウム比が95/5の分散
液では、ブランクである被塗工原紙からのZ軸強度向上
率は、塗工比較例1に対して20〜35%もアップして
おり、重合体単独で用いる場合に比べて非常に良好な結
果を与える。これらの結果は、重合体単独で到達できる
紙力強度の限界を、リン酸カルシウム微粒子を分散させ
て重合体と複合化することにより更に引き上げることが
可能であることを意味するものである。
【0154】〔インクジェット(IJ)用塗工試験〕以
下の塗工実施例および塗工比較例には、被塗工原紙とし
て上質紙(OK−プリンス、坪量104.7g/m2:王子製紙
(株)社製)を用いた。
【0155】〔IJ塗工実施例1〕実施例11で得られ
た(メタ)アクリルアミド系重合体/リン酸カルシウム
微粒子分散水溶液(h−4)を10%に調整後、被塗工原
紙上に塗工量5.0g/m2になるようにワイヤーバーにて塗
工した。塗工後、120℃で90秒乾燥し、インクジェット
記録用シートを得た。
【0156】〔IJ塗工比較例1〕微粉末ヒドロキシア
パタイト(HCA−3000:三井化学(株)社製)1
0部と水90部を、ホモジナイザー(日本精機製作所
製)を用いて3000rpm、3分間攪拌して得られた10%分
散液と10%に調整した重合体製造例で得られた重合体A
水溶液を1:1で混合し、塗工液とした。得られた塗工
液を被塗工原紙上に乾燥塗工量が5.0g/m2になるように
ワイヤーバーにて塗工した後、120℃で90秒乾燥し、イ
ンクジェット記録用シートを得た。
【0157】〔IJ塗工比較例2〕微粉末シリカ(ミズ
カシルP−78A:水澤化学工業(株)社製)10部と
水90部をホモジナイザーを用いて3000rpm、3分間攪
拌して得られた10%分散液とポリビニルアルコール(P
VA−117S:(株)クラレ社製)の10%水溶液を
1:1で混合し、塗工液とした。得られた塗工液を被塗
工原紙上に塗工量5.0g/m2になるようにワイヤーバーに
て塗工した後、120℃で90秒乾燥し、インクジェット記
録用シートを得た。
【0158】〔IJ塗工比較例3〕ポリビニルアルコー
ルをポリビニルピロリドン(K−90:ISP社製)に
変えた以外はIJ塗工比較例2と同様の操作を行い、イ
ンクジェット記録用シートを得た。
【0159】〔IJ塗工比較例4〕微粉末シリカを微粉
末アルミナ(カタロイドAP−3:触媒化成(株)社
製)に変えた以外はIJ塗工比較例2と同様の操作を行
い、インクジェット記録用シートを得た。
【0160】〔IJ塗工比較例5〕ポリビニルアルコー
ルをポリビニルピロリドン(K−90:ISP社製)
に、微粉末シリカを微粉末アルミナ(カタロイドAP−
3:触媒化成(株)社製)に変えた以外はIJ塗工比較
例2と同様の操作を行い、インクジェット記録用シート
を得た。
【0161】上記の方法で作成したインクジェット記録
用シートについて、印刷適性および耐黄変性について以
下のように調べた。印刷適性については、市販のインク
ジェットプリンター(PM−2000C:セイコーエプ
ソン(株)社製)で印刷し、印字濃度、ドット形状(真
円性)について評価した。印字濃度はマクベス濃度計
(RD−918)を用いてブラック、シアン、マゼン
ダ、イエローのベタ部分を測定し、印字濃度がかなり高
く優秀な「◎」、印字濃度が高い「○」、普通の
「△」、印字濃度が低い「×」の4段階評価した。ドッ
ト形状(真円性)はルーペで拡大観察し、目視により、
真円性の高い優秀な「◎」、良好な「○」、やや滲みを
生じる「△」、真円性のない「×」の4段階評価した。
評価結果を表7に示す。
【0162】耐黄変性については、以下のように評価し
た。作成したインクジェット記録用シートに粘着テープ
(セロテープ:ニチバン(株)製)を貼付し、20℃で4
週間または40℃で2週間放置した。分光色彩計(カラー
ガイド:ビック−ガードナー社製)にてL、a、b値を
測定して全色差△E(△E={(△L)2+(△a)2
(△b)21/2)を算出し、△Eの値が小さくほとんど
黄変しない場合を「◎」、黄変が進み、△Eの値が大き
くなるにつれて「○」、「△」、「×」とする4段階評
価をした。
【0163】表7に示す通り、(メタ)アクリルアミド
系重合体/リン酸カルシウム微粒子分散水溶液を塗工し
たシートは粘着テープを貼付しても黄変せず、耐黄変性
に優れていることがわかる。さらに、印刷適性について
もトータルバランスに優れていることから優れたインク
ジェット記録用薬品となっていることがわかる。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
【表3】
【0167】
【表4】
【0168】
【表5】
【0169】
【表6】
【0170】
【表7】
【0171】
【発明の効果】本発明により、種々の用途に利用可能な
分散安定性に優れるカルボキシル基を含む水溶性または
水分散性の合成高分子化合物/無機微粒子分散水溶液、
およびカルボキシル基を含む水溶性または水分散性の合
成高分子化合物/無機微粒子複合体を提供することがで
きる。本発明のカルボキシル基を含む水溶性または水分
散性の合成高分子化合物/無機微粒子からなる製紙用薬
品は、紙力増強剤として従来より用いられている(メ
タ)アクリルアミド系重合体に比べ、さらに高い紙力増
強能を有する製紙用薬品および該製紙用薬品を使用して
得られる紙を提供することができる。さらに、本発明の
カルボキシル基を含む水溶性または水分散性の合成高分
子化合物/無機微粒子からなるインクジェット記録用薬
品は、従来よりインクジェット記録用薬品として用いら
れている微粉末シリカや微粉末アルミナに比べて塗工層
の耐黄変性に優れており、耐黄変性に優れたインクジェ
ット記録用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)複合化実施例9で得られた(メタ)アク
リルアミド系重合体/リン酸カルシウム微粒子分散水溶
液(h−2)を希釈し、コロジオン膜張銅メッシュ上で
乾燥して撮影した透過型電子顕微鏡写真。 (b)複合化実施例50で製造したカルボキシル基変性
ポリビニルアルコール/リン酸カルシウム微粒子分散水
溶液(z1−8)を希釈し、コロジオン膜張銅メッシュ
上で乾燥して撮影した透過型電子顕微鏡写真。
【図2】複合化比較例1で製造したリン酸カルシウム微
粒子分散液を希釈し、コロジオン膜張銅メッシュ上で乾
燥して撮影した透過型電子顕微鏡写真
【図3】図1(a)から求めた長軸方向の粒径分布図
【図4】(a)複合化実施例12で製造したPAM系分散
水溶液(h−5)をKRS−5の窓板にキャストして薄
膜とした試料のFT−IRスペクトルを示す図 (b)このフィルムを電気炉中で800℃、3時間熱処理
を行って得られた白色固体のKBr錠剤法によるFT−
IRスペクトルを示す図
【図5】(a)複合化実施例49で製造したカルボキシル
基変性PVA系分散水溶液(z1−7)をKRS−5の
窓板にキャストして薄膜とした試料のFT−IRスペク
トルを示す図 (b)このフィルムを電気炉中で800℃、9時間熱処理
を行って得られた白色固体のKBr錠剤法によるFT−
IRスペクトルを示す図
【図6】複合化実施例42で製造したポリビニルピロリ
ドン系分散水溶液(u−1)をKRS−5の窓板にキャ
ストして薄膜とした試料のFT−IRスペクトルを示す
【図7】(a)複合化実施例12で製造したPAM系分散
水溶液(h−5)を凍結乾燥により粉末とした試料のX
RDスペクトルを示す図 (b)複合化実施例12で製造したPAM系分散水溶液を
ガラス基板上にキャストしてフイルム化した試料のXR
Dスペクトルを示す図〔(h,k,0)面に対応するピ
ークに*を印した〕
【図8】(a)複合化実施例49で製造したカルボキシル
基変性PVA系分散水溶液(z1−7)を凍結乾燥によ
り粉末とした試料のXRDスペクトルを示す図 (b)複合化実施例49で製造したカルボキシル基変性P
VA系分散水溶液をガラス基板上にキャストしてフイル
ム化した試料のXRDスペクトルを示す図
【図9】複合化実施例12で得られた(メタ)アクリル
アミド系重合体/リン酸カルシウム微粒子分散水溶液
(h−5)からフイルム作成例1によりつくられたフィ
ルムを超薄切片法によりフィルムの平面方向(a)と断面
方向(b)を撮影した透過型電子顕微鏡写真
【図10】複合化実施例14で得られた(メタ)アクリ
ルアミド系重合体/リン酸カルシウム微粒子分散水溶液
(h−7)からフイルム作成例1によりつくられたフイ
ルムと、(メタ)アクリルアミド系重合体Hの単独フ
イルムの光透過率の波長依存性を示す図
【図11】複合化温度の異なる(メタ)アクリルアミド
系重合体/リン酸カルシウム複合フイルムの光透過率の
波長依存性を示す図〔分散水溶液h−7(複合化温度:
40℃)、分散水溶液h−8(複合化温度:60℃)、
分散水溶液h−9(複合化温度:80℃)からつくられ
たフイルム〕
【図12】含水率が異なる(メタ)アクリルアミド系重
合体/リン酸カルシウム複合フイルム(分散水溶液h−
7から作製)の光透過率の波長依存性を示す図(含水量
がフイルム重量に対してそれぞれ3%、50%、65
%、85%、122%のフイルムについて測定した。な
お、フイルムを120℃で4時間乾燥したものを含水量
0%とした。)
【図13】複合化比率の異なるカルボキシル基変性PV
A/リン酸カルシウム複合フイルム(分散水溶液z1−
3、z1−5、z1−6、z1−7から得られたフイル
ム)の光透過率の波長依存性を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/32 C08K 3/32 9/04 9/04 C08L 29/04 C08L 29/04 A 33/26 33/26 39/06 39/06 D21H 19/20 D21H 19/20 A (31)優先権主張番号 特願平11−87813 (32)優先日 平成11年3月30日(1999.3.30) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平11−139932 (32)優先日 平成11年5月20日(1999.5.20) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平11−139933 (32)優先日 平成11年5月20日(1999.5.20) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 伊藤 博 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 大柳 俊樹 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 Fターム(参考) 4C083 AD071 AD072 AD091 AD092 AD111 BB23 BB26 BB36 CC01 DD01 DD39 EE01 FF01 4F071 AA29 AA35 AA37 AB25 AE17 AH19 BA07 BC02 4G065 AA05 AB11X AB38X BA07 BB01 BB03 CA11 DA09 EA01 4J002 AA001 AA031 AA061 AB031 BE021 BG071 BG131 BH021 BJ001 DD066 DE076 DE086 DE236 DF036 DG056 DH046 DJ006 EG036 FB086 FD016 4L055 AG06 AG56 AG64 AG70 AG72 AH02 AH37 AJ04 BE07 BE08 FA30 GA09

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を含む水溶性または水分
    散性の合成高分子化合物(A)と、粒径500nm以下
    の水難溶性無機微粒子(B)とを、(A):(B)=1
    0:90〜99.99:0.01(重量比)で含有する
    ことを特徴とする、分散安定性に優れる有機重合体/無
    機微粒子分散水溶液。
  2. 【請求項2】 粒径500nm以下の水難溶性無機微粒
    子(B)が、周期表2族元素化合物の微粒子であること
    を特徴とする、請求項1記載の分散安定性に優れる有機
    重合体/無機微粒子分散水溶液。
  3. 【請求項3】 粒径500nm以下の水難溶性無機微粒
    子(B)が、カルボキシル基を含む水溶性または水分散
    性の合成高分子化合物(A)の存在下に、(a)周期表
    2族元素化合物と(b)有機酸、無機酸およびそれらの
    塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応させることに
    より合成されるものであることを特徴とする、請求項1
    記載の分散安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散
    水溶液。
  4. 【請求項4】 (b)有機または無機酸が、オキソ酸お
    よびハロゲン化水素酸から選ばれる1種以上の酸であ
    る、請求項3記載の分散安定性に優れる有機重合体/無
    機微粒子分散水溶液。
  5. 【請求項5】 (a)周期表2族元素化合物がカルシウ
    ム化合物である、請求項3記載の分散安定性に優れる有
    機重合体/無機微粒子分散水溶液。
  6. 【請求項6】 カルボキシル基を含む水溶性または水分
    散性の合成高分子化合物(A)が、エチレン性不飽和化
    合物の重合体である、請求項3記載の分散安定性に優れ
    る有機重合体/無機微粒子分散水溶液。
  7. 【請求項7】 エチレン性不飽和化合物の重合体が、
    (メタ)アクリルアミド系重合体、カルボキシル基変性
    ポリビニルアルコール、及びビニルピロリドン系重合体
    のいずれかである請求項6記載の分散安定性に優れる有
    機重合体/無機微粒子分散水溶液。
  8. 【請求項8】 エチレン性不飽和化合物の重合体が、 エチレン性の不飽和カルボン酸アミド化合物1〜10
    0重量%と、共重合可能なエチレン性の不飽和化合物0
    〜99重量%との重合体である(メタ)アクリルアミド
    系重合体、 エチレン性の不飽和カルボン酸と、酢酸ビニルとの重
    合体をケン化して製造されたものであるカルボキシル基
    変性ポリビニルアルコール、及び N−ビニル−2−ピロリドン1〜99.9重量%と、
    共重合可能なエチレン性の不飽和化合物0.1〜99重
    量%との重合体であるビニルピロリドン系重合体のいず
    れかである請求項6記載の分散安定性に優れる有機重合
    体/無機微粒子分散水溶液。
  9. 【請求項9】 水難溶性無機微粒子(B)がリン酸カル
    シウムである、請求項6〜8のいずれかに記載の分散安
    定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液。
  10. 【請求項10】 カルボキシル基を含む水溶性または水
    分散性の合成高分子化合物(A)の存在下に、(a)周
    期表2族元素化合物と(b)有機酸、無機酸およびそれ
    らの塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応させるこ
    とにより粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子
    (B)を製造することを特徴とする、分散安定性に優れ
    る有機重合体/無機微粒子分散水溶液の製造方法。
  11. 【請求項11】 カルボキシル基を含む水溶性または水
    分散性の合成高分子化合物(A)と、(a)周期表2族
    元素化合物と(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類
    から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られた粒
    径500nm以下の水難溶性無機微粒子(B)とを、
    (A):(B)=10:90〜99.99:0.01
    (重量比)で含有する透明性に優れる有機重合体/無機
    微粒子複合体。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9のいずれかに記載の分散
    安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液から
    得られる、カルボキシル基を含む水溶性または水分散性
    の合成高分子化合物(A)と、粒径500nm以下の水
    難溶性無機微粒子(B)とを、(A):(B)=10:
    90〜99.99:0.01(重量比)で含有する透明
    性に優れる有機重合体/無機微粒子複合体。
  13. 【請求項13】 複合体が、透明性に優れるフィルムで
    ある、請求項11又は12記載の透明性に優れる有機重
    合体/無機微粒子複合体。
  14. 【請求項14】 カルボキシル基を含む水溶性または水
    分散性の合成高分子化合物(A)が、(メタ)アクリル
    アミド系重合体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコ
    ール、及びビニルピロリドン系重合体のいずれかである
    請求項11記載の透明性に優れる有機重合体/無機微粒
    子複合体。
  15. 【請求項15】 水難溶性無機微粒子(B)がリン酸カ
    ルシウムである、請求項11又は14記載の透明性に優
    れる有機重合体/無機微粒子複合体。
  16. 【請求項16】 カルボキシル基を含む水溶性または水
    分散性の合成高分子化合物(A)と、(a)周期表2族
    元素化合物と(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類
    から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られた粒
    径500nm以下の水難溶性無機微粒子(B)とを、
    (A):(B)=10:90〜99.99:0.01
    (重量比)で含有してなる製紙用薬品。
  17. 【請求項17】 請求項1〜9のいずれかに記載の分散
    安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液から
    得られる製紙用薬品。
  18. 【請求項18】 カルボキシル基を含む水溶性または水
    分散性の合成高分子化合物(A)と、(a)周期表2族
    元素化合物と(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類
    から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られた粒
    径500nm以下の水難溶性無機微粒子(B)とを、
    (A):(B)=10:90〜99.99:0.01
    (重量比)で含有してなるインクジェット記録シート用
    薬品。
  19. 【請求項19】 請求項1〜9のいずれかに記載の分散
    安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液から
    得られるインクジェット記録シート用薬品。
  20. 【請求項20】 カルボキシル基を含む水溶性または水
    分散性の合成高分子化合物(A)が、(メタ)アクリル
    アミド系重合体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコ
    ール、及びビニルピロリドン系重合体のいずれかである
    請求項16又は18記載の薬品。
  21. 【請求項21】 水難溶性無機微粒子(B)がリン酸カ
    ルシウムである、請求項16又は18記載の薬品。
  22. 【請求項22】 請求項16〜21のいずれかに記載の
    薬品を用いて得られる紙。
  23. 【請求項23】 請求項1〜9のいずれかに記載の分散
    安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液を含
    有する化粧品。
  24. 【請求項24】 請求項11〜15の何れかに記載の透
    明性に優れる有機重合体/無機微粒子複合体を含有する
    化粧品。
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