JP2001031529A - 毛髪化粧料 - Google Patents

毛髪化粧料

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JP2001031529A
JP2001031529A JP11199885A JP19988599A JP2001031529A JP 2001031529 A JP2001031529 A JP 2001031529A JP 11199885 A JP11199885 A JP 11199885A JP 19988599 A JP19988599 A JP 19988599A JP 2001031529 A JP2001031529 A JP 2001031529A
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和則 丸山
Megumi Yonekura
めぐみ 米倉
Tomoaki Hiwatari
智章 樋渡
Yoshiyo Ito
佳代 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘア・スプレー用毛髪化粧料において、揮発
性有機化合物の使用量を削減し、かつ噴霧特性に優れ、
セット力も良好な毛髪化粧料の提供。 【解決手段】 両性イオン基を含有する構成単位、親水
性単量体由来の構成単位、及び疎水性単量体由来の構成
単位を含有する重量平均分子量5,000〜1,00
0,000の両性イオン基含有重合体が水及び揮発性有
機溶媒からなる分散媒中で自己乳化してなる毛髪化粧
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は毛髪セット力と風合
いの良好な被膜を形成することができる毛髪用化粧料に
関するものであり、特にスプレー用に適した毛髪用化粧
料に関する。
【0002】
【従来の技術】全世界的な環境や安全に対する意識が高
まっている中、揮発性の有機物(以下「VOC」と略記
する)の使用量を削減することが求められている。毛髪
用化粧料、中でもスプレー用の化粧料においてもVOC
量を削減することが検討されている。しかしながら、こ
の化粧料の主成分は重合体であり、VOC成分、即ち有
機溶剤成分を少なくして水を多くした場合は、溶解しな
くなったり、或いは溶解したとしても溶液の粘度が著し
く高くなって、スプレーした場合の液滴が粗大化し、ま
た噴霧の広がりも不十分となって、良好な噴霧状態が得
られなかったり、或いは毛髪上でビース状になったりし
て、スプレーむらが起こり、毛髪表面に白く析出したり
することがあった。
【0003】これを防ぐために重合体の分子量や水溶性
を調整することにより、粘度上昇を抑える方法が提案さ
れているが、被膜となった後の耐湿性や弾力性が劣り、
また被膜強度が低いため毛髪上でフケ状にフレーキング
を起こすことがあるという問題点があった。一方、水へ
の分散を改良するために界面活性剤を添加する方法も提
案されているが、スプレー後の乾燥性が悪かったり、被
膜にベタつきが残ったりし、また被膜の耐水性も劣って
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】毛髪用化粧料、特にヘ
ア・スプレー用化粧料において、低VOC処方を実現し
つつ、かつスプレーの液滴粒径が微細で、良好なセット
力を有するような毛髪用化粧料の提供。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために、種々の検討を行ない、特定の両性イ
オン基含有重合体を用い、かつこれを水と揮発性溶媒と
からなる分散媒中で自己乳化させることにより良好な結
果が得られることを見出し、本発明を完成した。 即
ち、本発明の要旨は、(A)(a)両性イオン基を含有
する構成単位、(b)親水性単量体由来の構成単位、及
び(c)疎水性単量体由来の構成単位を含有する、重量
平均分子量5,000〜1,000,000の両性イオ
ン基含有重合体(以下「成分(A)」と記す)、(B)
水及び(C)揮発性有機溶媒を含み、かつ成分(A)が
上記(B)水と(C)揮発性有機溶媒とからなる分散媒
中で自己乳化してなる毛髪化粧料、に存している。本発
明の他の要旨は、成分(A)の両性イオン基含有重合体
が、(a)両性イオン基を含有する構成単位10〜80
重量%、(b)親水性単量体由来の構成単位0.1〜4
0重量%、及び(c)疎水性単量体由来の構成単位10
〜80重量%からなるものである上記の毛髪化粧料に存
している。本発明のもう一つの要旨は、成分(A)の両
性イオン基含有重合体中の、(a)両性イオン基を含有
する構成単位が、式(1)〜(6)で表される単量体の
少なくとも一種類を重合させて得られる構造で示される
ものである上記の毛髪化粧料にも存している。
【0006】
【化10】
【0007】式中、R1 は水素原子又はメチル基、
2 、R5 はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキレン
基、R3 、R4 はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル
基、X1 は酸素原子又はイミノ(NH)基、YはCOO
基、PHO3 基又はSO3 基である。また、R6 〜R9
は同一でも異っていてもよい炭素原子数1〜24のアル
キル基、炭素原子数6〜24のアリール基又は炭素原子
数7〜24のアラルキル基を、X2 は2価の結合基を、
mは0又は1の整数を、nは0〜4の整数を、pは0〜
3の整数を、Zは下記式(7)で示される2価の結合基
を、R10〜R17の内少なくとも1つは、下記式(8)で
示される不飽和基を、他のR10〜R17及びR18は水素原
子、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜
24のアリール基、又は炭素原子数7〜24のアラルキ
ル基を、aとbは1〜10の整数を、それぞれ示す。
【0008】
【化11】
【0009】
【化12】
【0010】本発明の他の要旨は、成分(A)の両性イ
オン基含有重合体中の(b)親水性単量体由来の構成単
位が、式(9)〜(13)で表される単量体の少なくと
も一種類を重合させて得られる構造を示すものである上
記の毛髪化粧料、
【0011】
【化13】
【0012】式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R
6 〜R9 は同一でも異っていてもよい炭素原子数1〜2
4のアルキル基、炭素原子数6〜24のアリール基又は
炭素原子数7〜24のアラルキル基を、X2 は2価の結
合基を、mは0又は1の整数を、nは0〜4の整数を、
pは0〜3の整数を、Zは下記式(7)で示される2価
の結合基を、R11〜R17の内少なくとも1つは、下記式
(8)で示される不飽和基を、他のR11〜R17及びR18
は水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原
子数6〜24のアリール基、又は炭素原子数7〜24の
アラルキル基を、aとbは1〜10の整数を、それぞれ
示す。
【0013】
【化14】
【0014】
【化15】
【0015】成分(A)の両性イオン基含有重合体中の
(c)疎水性単量体由来の構成単位が式(14)で表さ
れる単量体を重合させて得られる構造で示されるもので
ある上記の毛髪化粧料、及び
【0016】
【化16】
【0017】式中、R1 は水素原子又はメチル基を、X
1 は酸素原子又はイミノ(NH)基を、R19は炭素原子
数1〜24のアルキル基、炭素原子数3〜24のシクロ
アルキル基又は炭素原子数7〜24のアラルキル基を示
す。成分(A)の両性イオン基含有重合体中の(a)両
性イオン基を含有する構成単位が、式(15)又は式
(16)で表される単量体を重合させて得られる構造で
示されるものであり、(b)親水性単量体由来の構成単
位が、式(17)で表される単量体を重合させて得られ
る構造で示されるものであり、かつ(c)疎水性単量体
由来の構成単位が式(18)で表される単量体を重合さ
せて得られる構造で示されるものである上記の毛髪化粧
料、に存している。
【0018】
【化17】
【0019】式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R
2 、R5 はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキレン基
を、R3 、R4 はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル
基を、R6 、R7 は同一でも異なっていてもよい炭素原
子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜24のアリ
ール基、又は炭素原子数7〜24のアラルキル基を、R
20は炭素原子数10〜24のアルキル基、アリール基又
はアラルキル基を、それぞれ示す。
【0020】本発明の、また別の要旨は、成分(A)の
両性イオン基含有重合体が、前記(a)〜(c)の構成
単位に加えて、式(19)で表わされる単量体を重合さ
せて得られる構造で示される構成単位((c′)と記
す)を含むものである前記の毛髪化粧料、
【0021】
【化18】
【0022】式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R
21は炭素原子数1〜9のアルキル基を、それぞれ示す。
成分(A)の両性イオン基含有重合体中の前記(a)〜
(c)及び(c′)の構成単位の含有比率が(a)の構
成単位10〜80重量%、(b)の構成単位0.1〜4
0重量%、(c)の構成単位10〜80重量%、及び
(c′)の構成単位0〜70重量%である前記の毛髪化
粧料、及び成分(A)の両性イオン基含有重合体が窒素
を含有する前駆体単量体を含む単量体混合物を重合した
後、両性イオン化して得られたものである前記の毛髪化
粧料、にも存している。更に、本発明のまた別の要旨
は、上述の毛髪化粧料を含有するスプレー用毛髪化粧
料、にも存しており、更に(C)揮発性有機溶媒とし
て、ジメチルエーテル又はジメチルエーテルとエタノー
ルとの混合物を用いる上記のスプレー用毛髪化粧料、及
び成分(A)〜(C)の合計量を100重量部とした時
に、成分(A)0.1〜15重量部、成分(B)(水)
1〜80重量部、(C)ジメチルエーテル5〜70重量
部、及び(C)エタノール0〜93.9重量部をそれぞ
れ含有し、更に酸を、成分(A)に対し0.01〜10
重量%含有する上記のスプレー用毛髪化粧料、にも存し
ている。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。成分(A)両性イオン基含有重合体の組成 本発明の毛髪化粧料において成分(A)として用いられ
る両性イオン基含有重合体は、(a)両性イオン基を含
有する構成単位、(b)親水性単量体由来の構成単位、
及び(c)疎水性単量体由来の構成単位を含有する、重
量平均分子量5,000〜1,000,000の共重合
体である。このような共重合体は、上記(a)〜(c)
に対応する不飽和結合含有単量体を共重合することによ
っても、又はその前駆体である窒素含有単量体を重合し
た後、両性化剤やオキシド化剤を用いて両性化すること
によっても得ることができる。この(a)両性イオン基
を含有する構成単位としては、以下の式(1)〜(6)
で表される単量体の少なくとも一種類を重合させて得ら
れる構造で示されるものが好ましい。
【0024】
【化19】
【0025】式中、R1 は水素原子又はメチル基、
2 、R5 はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキレン
基、R3 、R4 はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル
基、X1 は酸素原子又はイミノ(NH)基、YはCOO
基、PHO3 基又はSO3 基である。また、R6 〜R9
は同一でも異っていてもよい炭素原子数1〜24のアル
キル基、炭素原子数6〜24のアリール基又は炭素原子
数7〜24のアラルキル基を、X2 は2価の結合基を、
mは0又は1の整数を、nは0〜4の整数を、pは0〜
3の整数を、Zは下記式(7)で示される2価の結合基
を、R10〜R17の内少なくとも1つは、下記式(8)で
示される不飽和基を、他のR10〜R17及びR18は水素原
子、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜
24のアリール基、又は炭素原子数7〜24のアラルキ
ル基を、aとbは1〜10の整数を、それぞれ示す。
【0026】
【化20】
【0027】
【化21】
【0028】このような単量体の具体例としては、次の
ようなものが挙げられる。一般式(1)で示される単量
体としては、両性イオン基を有するアクリル酸又はメタ
クリル酸(以下まとめて「(メタ)アクリル酸」と記
す。またアクリレートとメタクリレートをまとめて
「(メタ)アクリレート」、アクリロイルとメタクリロ
イルをまとめて「(メタ)アクリロイル」、アクリルと
メタクリルをまとめて「(メタ)アクリル」とそれぞれ
記す。)誘導体が例示できる。
【0029】具体的には、N−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルN,N−ジメチルアンモニウムN−メチルカ
ルボキシレート、N−(メタ)アクリロイルアミノプロ
ピルN,N−ジメチルアンモニウムN−メチルカルボキ
シレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルN,
N−ジエチルアンモニウムN−プロパンスルホネート等
を挙げることが出来る。中でも、N−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウムN−メ
チルカルボキシレートを用いると、化粧料として用いた
場合の風合いに優れるので好ましい。
【0030】一般式(2)で示される単量体としては、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピオ
ン酸ビニル、p−ジメチルアミノメチルスチレン、p−
ジメチルアミノエチルスチレン、p−ジエチルアミノメ
チルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン等の
アミンオキシド化物、或いは、無水マレイン酸、無水イ
タコン酸、無水クロトン酸等の不飽和基含有酸無水物
と、これら酸無水物と反応可能な基及び第三級アミノ基
を同時に持つN,N−ジメチル−1,3−プロパンアミ
ン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン等との
反応物、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有
単量体と、これらエポキシ基と反応可能な基及び第三級
アミノ基を同時に持つN,N−ジメチル−1,3−プロ
パンアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミ
ン等の化合物との反応物、等のアミンオキシド化物が例
示される。
【0031】また、グリシジルメタクリレート等のエポ
キシ基含有単量体とヒドロキシエチル−N,N−ジメチ
ルアミンオキシドのようにエポキシ基と反応可能な基を
含有したアミンオキシド基含有化合物との反応生成物、
2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等のイソ
シアネート基含有単量体とヒドロキシエチル−N,N−
ジメチルアミンオキシド等のイソシアネート基と反応可
能な基を含有したアミンオキシド基含有化合物との反応
生成物も例示できる。
【0032】一般式(3)で示される単量体としては2
−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピ
リジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−メチル
−5−ビニルピリジン、4−メチル−5−ビニルピリジ
ン、6−メチル−5−ビニルピリジン、2−メチル−4
−ビニルピリジン、3−メチル−4−ビニルピリジン、
2−ラウリル−5−ビニルピリジン、2−ラウリル−4
−ビニルピリジン、2−(t−ブチル)−5−ビニルピ
リジン、2−(t−ブチル)−4−ビニルピリジン、等
及び、これらにアルキル、アリール、又はアラルキル基
を置換基として有する化合物等のアミンオキシド化物が
例示される。
【0033】一般式(4)で示される単量体としては1
−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダ
ゾール、4−メチル−1−ビニルイミダゾール、5−メ
チル−1−ビニルイミダゾール、2−ラウリル−1−ビ
ニルイミダゾール、4−(t−ブチル)−1−ビニルイ
ミダゾール等のアミンオキシド化物が例示される。一般
式(5)で示される単量体としては4−ビニルモルホリ
ン、2−メチル−4−ビニルモルホリン、4−アリール
モルホリン、1−ビニルピペリジン、4−メチル−4−
ビニルピペリジン、2−ラウリル−1−ビニルピペラジ
ン、4−メチルピペラジノエチルメタクリレート、等の
アミンオキシド化物が例示される。一般式(6)で表さ
れる単量体としては、ジアリルアミン、ジアリルメチル
アミン、ジアリルエチルアミン等のジアリルアミン類の
アミンオキシド化物が例示される。これらの中で、一般
式(2)で示される単量体が好ましく、特に(メタ)ア
クリロイルオキシアルキレン化合物であって、一般式
(2)のR6 とR7 が炭素原子数1〜4のアルキル基で
あるものが特に好ましい。
【0034】前述の通り、この構成単位は、前駆体であ
る窒素含有単量体を重合した後、両性化剤やオキシド化
剤を用いて両性化することによっても得られる。この場
合に前駆体として用いることのできる単量体としては次
の構造式で示されるものが例示できる。なお、ここで例
示されている単量体は後述の(b)親水性単量体由来の
構成単位、を与える単量体としても好ましく用いられ
る。
【0035】
【化22】
【0036】式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R
6 〜R9 は同一でも異っていてもよい炭素原子数1〜2
4のアルキル基、炭素原子数6〜24のアリール基又は
炭素原子数7〜24のアラルキル基を、X2 は2価の結
合基を、mは0又は1の整数を、nは0〜4の整数を、
pは0〜3の整数を、Zは下記式(7)で示される2価
の結合基を、R11〜R17の内少なくとも1つは、下記式
(8)で示される不飽和基を、他のR11〜R17及びR18
は水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原
子数6〜24のアリール基、又は炭素原子数7〜24の
アラルキル基を、aとbは1〜10の整数を、それぞれ
示す。
【0037】
【化23】
【0038】
【化24】
【0039】式(9)で示される単量体としては、例え
ばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミ
ノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド等が挙げられる。式(10)〜(1
3)で示される単量体としては、上記(2)〜(6)の
アミンオキシド化前の単量体として列挙されたものを用
いることができる。
【0040】両性化剤としては、例えば、モノブロム酢
酸ナトリウム、モノクロル酢酸カリウム、モノクロルプ
ロピオン酸リチウム、もしくはモノクロル酢酸とアンモ
ニア、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ま
たはトリエタノールアミン等との中和物等のモノハロゲ
ン化脂肪酸の塩;プロピオラクトン等のラクトン類;プ
ロパンサルトン等のサルトン類;プロピオホスファイト
等のホスファイト類等が挙げられる。
【0041】また、オキシド化剤としては、過酸化物や
オゾン等の酸化剤が使用できる。過酸化物としては、過
酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過
酢酸、メタクロロ過安息香酸、ベンゾイルパーオキシ
ド、t−ブチルハイドロパーオキシド等が挙げられる
が、一般的には過酸化水素が用いられる。両性化剤やオ
キシド化剤の使用量は前駆重合体中に含まれる両性化又
はオキシド化可能な官能基に対して、0.2〜3倍モル
当量の割合で使用し、0.5〜2倍モル当量使用するの
がより好ましい。また、両性化又はオキシド化反応後に
残存した塩、対イオン又は過酸化物は未処理のままでも
よいが、例えば還元剤添加又は金属触媒添加による処
理、ロ過処理、イオン交換処理、活性炭処理等によって
除去しておくこともできる。
【0042】両性化又はオキシド化処理は、前駆重合体
の溶液に、両性化剤又はオキシド化剤を加えて20〜1
00℃で、0.1〜100時間、好ましくは1〜50時
間反応させることによって行うのが好ましく、これによ
って両性イオン基又はアミンオキシド基含有重合体を得
ることができる。本発明の成分(A)を構成する(b)
親水性単量体由来の構成単位を与える親水性単量体と
は、25℃における水への溶解度が5g/100g・水
以上のものを言う。
【0043】このような親水性単量体の具体例として
は、前記の(a)両性イオン基を含有する構成単位を与
えるための前駆単量体となる式(9)〜(13)で表さ
れるような窒素含有単量体や、ノニオン性、アニオン性
又はカチオン性の水溶性単量体が挙げられる。このよう
な単量体のうち、ノニオン性単量体の具体例としては
(メタ)アクリロニトリル、N−シクロヘキシルマレイ
ミド、N−フェニルマレイミド、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルアセトアミド、N−(メタ)アクリロイ
ルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メ
トキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコー
ル)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、N−ポリオキシアルキレン
(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸又は
(メタ)アクリルアミドと炭素数2〜4のアルキレンオ
キシドとから誘導される単量体及び(メタ)アクリルア
ミド等の親水性モノマーが例示される。
【0044】アニオン性単量体の具体例としては、(メ
タ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコ
ン酸、フマル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸単量
体、不飽和多塩基酸無水物(例えば無水コハク酸、無水
フタル酸等)とヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとの半エ
ステル、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)ア
クリレート等のスルホン酸基を有する単量体、アシッド
ホスホオキシエチル(メタ)アクリレート等のリン酸基
を有する単量体等が例示される。
【0045】これらのアニオン性不飽和単量体は、酸の
まま、又は塩基性化合物で部分中和又は完全中和して使
用することができ、或いは、酸のまま共重合に供した後
に、塩基性化合物で部分中和又は完全中和することもで
きる。中和に使用する塩基性化合物としては、例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の
水酸化物;アンモニア水等の無機塩基性化合物;エタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メ
チル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−
1,3−プロパンジオール、アミノメルカプトプロパン
ジオール等のアルカノールアミン類;リジン、アルギニ
ン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸化合物等を使用する
ことができる。
【0046】カチオン性単量体の具体例としては、N,
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,
N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,
N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルア
ミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)
アクリルアミド、p−ジメチルアミノメチルスチレン、
p−ジメチルアミノエチルスチレン、p−ジエチルアミ
ノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン
等の第三級アミノ基含有単量体を、カチオン化剤、例え
ば塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン
化アルキル類、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸類、N
−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N,
N−トリメチルアンモニウムクロリド等の第三級アミン
鉱酸塩のエピクロルヒドリン付加物、塩酸、臭化水素
酸、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸等のカルボン酸等でカチオン化したカチオン性単量体
が例示される。
【0047】本発明の成分(A)を構成する(c)疎水
性単量体由来の構成単位を与える疎水性単量体とは、2
5℃における水への溶解度が5g/100g・水未満の
ものを言う。このような疎水性単量体としては、例えば
アルキル基の炭素原子数が1〜24の(メタ)アクリル
酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、
p−クロロスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルシ
クロヘキシルエーテル、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチ
ル、マレイン酸ジブチル等の疎水性ビニルモノマー、グ
リシジル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル
酸のフルオロアルキルエステル等の単量体や、ラジカル
重合性不飽和基を含有するシリコン系マクロモノマー等
のマクロモノマーを挙げることができる。
【0048】上記のアルキル基の炭素原子数1〜24の
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア
クリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)ア
クリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸sec−ペンチ
ル、(メタ)アクリル酸1−エチルプロピル、(メタ)
アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソ
ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メ
タ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキ
シル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メ
タ)アクリル酸4−メチルペンチル、(メタ)アクリル
酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−ヘプチル、
(メタ)アクリル酸3−ヘプチル、(メタ)アクリル酸
オクチル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)
アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イ
ソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アク
リル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、
(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エ
イコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アク
リル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロ
ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)
アクリル酸ノルボニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、
(メタ)アクリル酸フェネチル等が挙げられる。これら
の化合物の中でも、特に下記式(8)で示される(メ
タ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸イミド
が好ましい。
【0049】
【化25】
【0050】式中R1 は水素原子又はメチル基を、X1
は酸素原子又はイミノ(NH)基を、R19は炭素原子数
1〜24のアルキル基、炭素原子数3〜24のシクロア
ルキル基又は炭素原子数7〜24のアラルキル基を示
す。
【0051】成分(A)の両性イオン基含有共重合体中
のこれらの(a)〜(c)の各構成単位の含有割合は、
(a)両性イオン基を含有する構成単位10〜80重量
%、(b)親水性単量体由来の構成単位0.1〜40重
量%、及び(c)疎水性単量体由来の構成単位10〜8
0重量%とするのが好ましい。(a)両性イオン基を含
有する構成単位の含有割合が10重量%未満の場合、得
られる共重合体の親水性溶媒に対する溶解度が低下し、
また洗髪等の際の洗浄除去が困難となるとともに、毛髪
との親和性が減少してフレーキングが発生することがあ
る。一方、この含有割合が80重量%を越えると耐湿性
が低下して、ベタツキ感を示したり、高温多湿条件での
セット力が低下したりする。
【0052】共重合体中の(b)親水性単量体由来の構
成単位の含有割合が0.1重量%未満では親水性の低下
による水洗除去性の悪化が起きやすく、一方40重量%
を越えた場合、ベタツキ感が出たり、セット力が不足す
ることが多い。共重合体中の(c)疎水性単量体由来の
構成単位の含有割合が10重量%未満ではベタツキ感が
出やすく、またセット力や被膜強度も低下する傾向とな
り、一方80重量%を越えると得られる被膜の平滑性、
透明性が低下したり、水による洗浄除去が困難となる場
合がある。
【0053】成分(A)の共重合体における各構成単位
のより好ましい組合せは、(a)両性イオン基を含有す
る構成単位が、式(15)又は式(16)で表わされる
単量体を重合させて得られる構造で示されるものであ
り、(b)親水性単量体由来の構成単位が、式(17)
で表わされる単量体を重合させて得られる構造で示され
るものであり、かつ(c)疎水性単量体由来の構成単位
が式(18)で表わされる単量体を重合させて得られる
構造で示されるものである。
【0054】
【化26】
【0055】式中R1 は水素原子又はメチル基を、
2 、R5 はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキレン
基、R3 、R4 はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル
基、R6 、R7 は同一でも異なっていてもよい炭素原子
数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜24のアリー
ル基、又は炭素原子数7〜24のアラルキル基を、R20
は炭素原子数10〜24のアルキル基、アリール基又は
アラルキル基を、それぞれ示す。
【0056】また、この(c)疎水性単量体由来の構成
単位として、上記の各単位に加えて、式(19)で示さ
れる単量体由来の構成単位((c′))を含むのが更に
好ましい。
【0057】
【化27】
【0058】式中R1 は水素原子又はメチル基を、R21
は炭素原子数1〜9のアルキル基を、それぞれ示す。な
お、上記好ましい組合せにおける、各構成単位の含有割
合としては、(a)の構成単位10〜80重量%、
(b)の構成単位0.1〜40重量%、(c)の構成単
位10〜80重量%及び(c′)の構成単位0〜70重
量%とするのが好適である。上記(c′)成分を含有さ
せることにより、生成共重合体に弾力性が付与されて、
セット接続力が向上するという効果が得られるが、その
量が70重量%を越えて多くなると、共重合体が分散媒
中で自己乳化し難くなり、本発明の目的である粘度の低
下やスプレー時の噴霧状態の改良ができなくなり、好ま
しくない。
【0059】成分(A)両性イオン基含有重合体の製造 本発明において使用する成分(A)の両性イオン基含有
重合体は、上記の各構成単位を与えるような単量体又は
前駆体単量体の混合物を通常はラジカル重合開始剤の存
在下で、溶液重合、塊状重合、乳化重合及び懸濁重合等
の方法によって重合させることによって得ることができ
る。これらの重合方法の内では、溶液重合法が好まし
く、例えば各単量体成分を溶媒中に溶解した上で、重合
開始剤を添加して、窒素気流下で加熱・撹拌する等の方
法で重合を行うことができる。
【0060】溶液重合法において用いることのできる溶
媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、エチレングリコール、及びブチルセロソルブ等
のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エ
チル等の酢酸エステル類の一種又は二種以上の混合物が
挙げられる。溶媒の使用量は、得られる共重合体溶液の
重合体濃度が10〜65重量%となる量とするのがよ
い。
【0061】上記の重合において用いることのできるラ
ジカル重合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブ
チロニトリル(AIBN)、2,2′−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス
(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、2,
2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,
1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)
等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパ
ーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイル
パーオキシド等の過酸化物等が挙げられる。これらの重
合開始剤は単量体成分に対して、通常0.01〜5重量
%用いられる。
【0062】重合は通常窒素やアルゴン等の不活性ガス
雰囲気下で30〜120℃、好ましくは40〜100℃
で1〜20時間の範囲で行われる。単量体はその全種類
及び全量を重合当初から存在させるのが一般的である
が、単量体の種類及び又は量に応じて分割添加を行うこ
ともできる。本発明において使用する成分(A)の両性
共重合体の重量平均分子量は、5,000〜1,00
0,000の範囲にある必要がある。重量平均分子量が
5,000未満では被膜になった時の形状保持性が不十
分となりやすく、一方1,000,000を超えると、
水への溶解性が低下したり、溶液粘度が高くなったりし
て、化粧料としての使用に際して問題を生じることがあ
る。
【0063】なお、この共重合体の分子量の制御は重合
温度、重合開始剤の種類・量、エタノール、イソプロパ
ノール等の連鎖移動性のある溶媒の使用量、ブチルメル
カプタン、ラウリルメルカプタン等の連鎖移動剤の使用
量、等の重合条件を適宜選択することにより行うことが
できる。前述の通り、この両性イオン基含有重合体は両
性イオン基を与えることができる前駆体単量体を用いて
重合した後、両性化剤等による処理を行って得ることも
できる。
【0064】これら種々の方法によって得られた両性イ
オン基含有重合体は、溶液として得られた場合はそのま
ま使用してもよく、また溶媒を除去したり重合体の貧溶
媒中での沈殿生成によって固体の重合体を得た上で使用
してもよい。なお、必要に応じて再沈殿や溶媒洗浄等に
よって精製を加えてもよい。特に、重合体が着臭してい
る場合は、溶液の場合は臭気成分を溶媒と共沸除去した
り、活性炭、ゼオライト、活性白土等の吸着剤によって
処理したりすることによって臭気を除去することができ
る。重合体が固体の場合は、加温下での減圧処理やエー
テル等の溶媒による抽出処理を行えばよい。
【0065】毛髪化粧料 本発明の毛髪化粧料は、上述のようにして得られた成分
(A)の両性イオン基含有重合体、(B)水及び(C)
揮発性有機溶媒を含有してなり、かつ成分(A)が、
(B)水と(C)揮発性有機溶媒とからなる分散媒中で
自己乳化しているものである。ここで「自己乳化」と
は、界面活性剤等の乳化剤を加えることなく、これらの
成分の混合物を撹拌・混合することにより乳化液を得る
ことができ、かつその乳化液が24時間静置後も分離・
沈殿することなく、安定な分散状態が保たれていること
を言う。乳化液の安定状態が72時間静置後も維持され
るような成分(A)の組成及び、これと(B)水及び
(C)有機溶媒との種類・量の組み合わせを用いるの
が、本発明の目的には更に好ましい。
【0066】なお、ここでの撹拌・混合は、いわゆるホ
モジナイザー等の乳化機を用いて行なうことを要しない
が、化粧料の製造に際しては、このような乳化・分散機
を用いることは、より微細で安定な乳化液を得る上で好
ましい。この成分(A)の両性イオン基含有重合体が自
己乳化性を有する理由は明確ではないが、重合体中に両
性イオン基、親水性及び疎水基を有しているため、分散
媒及び溶液のpHを適切に選択することにより、溶液中
での電荷バランスが適正化されて、安定な分散状態が得
られるためと考えられる。
【0067】このように自己乳化することによって、重
合体が溶媒中に溶解している場合と異なり、分散液の粘
度が極めて低くなり、良好なスプレー噴霧性が得られ
て、頭髪への均一な塗布が可能となる。塗布後は分散媒
が速やかに揮発して、頭髪を均一に覆う樹脂被膜が形成
されるので、耐湿性やセット力に優れた良好な整髪性が
得られる。また、界面活性剤も使用しないか、又は使用
するとしても少量で済むので、ベタツキ感も少なくする
ことができる。
【0068】なお、本発明の毛髪化粧料に用いられる
(C)揮発性有機溶媒としては、例えばエタノール、イ
ソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類
や、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル
類、パラフィン類や環状シリコン類等の疎水性溶剤が用
いられる。
【0069】本発明の毛髪化粧料には、上記の必須成分
に加えて、液のpHを6〜8に調整することを目的とし
て、乳酸やクエン酸等の酸を添加したり、或いは乳化・
分散状態の安定化のために、本発明の効果を損わない範
囲で、アニオン性、ノニオン性、両性、カチオン性等の
界面活性剤を添加してもよい。また、頭髪へ塗布した際
の発泡防止やビーズ状の凝塊の形成防止のために、シリ
コンオイルやその誘導体、エステル油、炭化水素油等
を、例えば化粧料中に0.1〜3重量%程度添加しても
よい。これらの添加剤に加えて、本発明の毛髪化粧料に
は、本発明の目的・効果を損わない範囲で通常の化粧料
に用いられているコンディショニング剤、油脂、保湿
剤、可塑剤、染料、顔料、殺菌剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、香料等や、合成樹脂、天然樹脂等を添加しても
よい。
【0070】スプレー用毛髪化粧料 本発明の毛髪化粧料は上述の通り、スプレー用として用
いるのが特に好適である。この場合、上記(C)揮発性
有機溶媒としてジメチルエーテル又はジメチルエーテル
とエタノールとの混合物を用いると、噴霧特性、媒体の
粘度及び揮発性が優れていて好ましい。 また、スプレ
ー用毛髪化粧料としての各成分の配合割合は、上記成分
(A)〜(C)の合計量を100重量部とした時に、成
分(A)0.1〜15重量部、成分(B)(水)1〜8
0重量部、(C)ジメチルエーテル5〜70重量部、及
び(C)エタノール0〜93.9重量部とし、更に酸
を、成分(A)に対し0.01〜10重量%含有させる
ようにするのが好ましい。この場合、用いる酸は乳酸と
するのが更に好ましい。
【0071】スプレー用に使用するにあたっては、噴射
剤として、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2
−テトラフルオロエタン等のフルオロアルカン;アルカ
ン類よりなる液化石油ガス;二酸化炭素ガス、窒素ガス
等の圧縮ガスを単独で又は混合して使用することができ
る。
【0072】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明を更に具体的
に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の部及び%は、特記する場合以外は重量部及び重量
%を示す。
【0073】<成分(A)の両性イオン基含有重合体の
製造例1>還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス
導入管及び攪拌装置付きの反応器内にN,N−ジメチル
アミノエチルメタクリレート50部、ステアリルメタク
リレート50部、及び無水エタノール150部を仕込
み、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.6部を
添加して、窒素雰囲気下、80℃に昇温して8時間反応
後、60℃に冷却し、共重合体溶液を得た。
【0074】次に、N,N−ジメチルアミノエチルメタ
クリレートの80モル%相当量の過酸化水素の31%水
溶液を滴下ロートにて上記で得られた溶液に1時間かけ
て滴下し、更に20時間攪拌を続けてジメチルアミノ基
のオキシド化を行なった。なお、上記のオキシド化反応
の終点は、反応液のアミン価測定により確認した。得ら
れた重合体を「P−1」とする。ポリスチレンを標準物
質とするGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ
ィー)により測定した生成重合体の重量平均分子量は1
10,000であった。また、赤外吸収スペクトルより
N−Oの吸収が認められ、アミンオキシド基の生成を確
認した。また、この重合体(P−1)中の(a)両性/
(b)親水性/(c)疎水性の構成単位の含有割合(以
下「(a)/(b)/(c)」で表す)は、40/10
/50であった。
【0075】<成分(A)の両性イオン基含有重合体の
製造例2>製造例1において、N,N−ジメチルアミノ
メタクリレートに代えてN,N−ジメチルアミノプロピ
ルメタクリルアミドに、ステアリルメタクリレート50
部の内の10部を、t−ブチルメタクリレートにそれぞ
れ変更し、また反応時間を10時間として、オキシド化
反応時の過酸化水素水溶液の使用量をN,N−ジメチル
アミノプロピルメタクリルアミドの70モル%相当量と
したこと以外は、上記製造例1と同様にして両性重合体
を得た。この重合体を「P−2」とする。この「P−
2」の重量平均分子量は、100,000であった。こ
の重合体(P−2)中の(a)/(b)/(c)は、3
5/15/50であった。
【0076】<成分(A)の両性イオン基含有重合体の
製造例3>製造例1において、N,N−ジメチルアミノ
メタクリレート及びステアリルメタクリレートの仕込量
をそれぞれ40部、30部とし、更にメチルメタクリレ
ート30部を仕込んだこと、及び無水エタノールの使用
量を100部としたこと以外は製造例1と同様にして重
合を実施した。重合後の共重合体溶液に、N,N−ジメ
チルアミノエチルメタクリレートの70モル%相当量の
モノクロロ酢酸カリウムのエタノール溶液を滴下し、更
に12時間撹拌を行ってジメチルアミノ基の両性イオン
化反応を行った。生成した懸濁液をロ過後、ロ液を再生
済みカチオン交換樹脂を充てんしたカラムに、次いで再
生済みアニオン交換樹脂を充てんしたカラムに順次通し
て、重合体「P−3」を得た。この「P−3」の重量平
均分子量は100,000であった。重合体(P−3)
中の(a)/(b)/(c)は、28/12/60であ
った。
【0077】<成分(A)の両性イオン基含有重合体の
製造例4>製造例3において、N,N−ジメチルアミノ
メタクリレートの仕込量を70部とし、ステアリルメタ
クリレートとメチルメタクリレートとに代えてベヘニル
メタクリレート30部を用い、更に無水エタノールの使
用量を70部としたこと以外は、上記製造例3と同様に
して、重合体「P−4」を調製した。「P−4」の重量
平均分子量は140,000であった。重合体(P−
4)中の(a)/(b)/(c)は、49/21/30
であった。
【0078】<実施例1〜4>上記で得られた重合体
「P−1」〜「P−4」を用いて、それぞれ、重合体
(固形分)5部、エタノール20部、水40部を配合
し、これに乳酸を添加して、pHが約7になるように調
整し、スプレー原液を作成した。この原液をガラス製の
耐圧容器に充てんし、ジメチルエーテル35部を注入し
て混合し、スプレーを作製し、乳化安定性、スプレー液
滴径及び頭髪に適用した場合のセット力を下記により評
価した。表1に処方の評価及び評価結果をまとめて示
す。
【0079】<比較例1,2>重合体「P−1」〜「P
−4」に代えて、下記の市販重合体を用い、また乳酸を
添加しなかった事以外は上記実施例と同様にしてスプレ
ー原液及びスプレーを作製し、評価を行った。結果を表
1に併せて示す。
【0080】「P−5」(比較例) Amarchol社「Amerhold DR−25」
(25%水溶液)(「DR−25」と記す) アクリル酸アルキル共重合体を水酸化ナトリウム溶液に
て中和したもの。 「P−6」(比較例2) National Starch社「Amphomer
28−4910」(「28−4910」と記す) アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロ
ピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体をアミ
ノメチルプロパノール溶液にて中和したもの。
【0081】<評価方法> (1)乳化安定性 スプレーを23℃の恒温室中に3日間静置した後の状態
を目視観察し、次の基準で判定した。 ○:乳化・白濁しており、相分離や沈殿は見られない。 △:半透明〜透明の液状であり、相分離・沈殿は見られ
ない。 ×:沈殿が生成しているか、相分離している。 (2)噴霧液滴の粒径測定 市販のスプレー缶に充てんしたスプレー液を23℃の室
内で噴霧し、ノズル口から20cm離れた位置での平均
スプレー液滴径を粒径分布測定装置CDSA−3400
(東日コンピュータアプリケーション社製)を用いて測
定した。 (3)セット力 スプレーを頭髪に噴霧・塗布し、23℃、相対湿度60
%の条件で、3時間経過後、毛髪の感触を下記の基準で
評価した。 ○:髪型が良好に持続している。 △:触れると髪型が崩れやすく、持続性が劣る。 ×:髪型が崩れている。
【0082】
【表1】
【0083】<結果の評価> (1)実施例1〜4のスプレー液は3日(72時間)経
過後も良好な乳化状態を保っており、またスプレー液滴
径も微細で、頭髪への均一な付着性が確認できた。 (2)また実施例1〜4のスプレー液から得られる被膜
は、乾燥性も良好で、ゴワツキやべたつきもない優れた
セット力を示している。 (3)両性イオン基を含まない重合体を用いた比較例1
では乳化安定性は良好であったが、液粘度が高いため
か、スプレー液滴径が粗大で、頭髪への均一な塗布は困
難であった。また塗布後もゴワツキやべたつきがあり、
セット力も不十分であった。 (4)本発明の範囲外の両性イオン基含有重合体を用い
た比較例2では、乳化分散せず、非常に粘度が高いた
め、スプレー液滴の粒径も粗大で、毛髪のセット力も不
十分であった。
【0084】
【発明の効果】本発明の毛髪化粧料は、自己乳化するた
め界面活性剤を用いないか、用いるとしても極く少量で
乳化液を形成し、低粘度のスプレー液が得られる。この
ようなスプレー液は、水系で使用できるため、有機溶剤
の使用量を著しく削減することが可能であり、VOCの
削減に有効である。また、スプレー特性やセット力につ
いても良好である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樋渡 智章 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 (72)発明者 伊藤 佳代 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 4C083 AC102 AC302 AD011 AD091 BB32 BB35 BB36 CC32 DD08

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)両性イオン基を含有する構
    成単位、(b)親水性単量体由来の構成単位、及び
    (c)疎水性単量体由来の構成単位を含有する、重量平
    均分子量5,000〜1,000,000の両性イオン
    基含有重合体(以下「成分(A)」と記す)、(B)水
    及び(C)揮発性有機溶媒を含み、かつ成分(A)が上
    記(B)水と(C)揮発性有機溶媒とからなる分散媒中
    で自己乳化してなる毛髪化粧料。
  2. 【請求項2】 成分(A)の両性イオン基含有重合体
    が、(a)両性イオン基を含有する構成単位10〜80
    重量%、(b)親水性単量体由来の構成単位0.1〜4
    0重量%、及び(c)疎水性単量体由来の構成単位10
    〜80重量%からなるものである請求項1に記載の毛髪
    化粧料。
  3. 【請求項3】 成分(A)の両性イオン基含有重合体中
    の、(a)両性イオン基を含有する構成単位が、式
    (1)〜(6)で表される単量体の少なくとも一種類を
    重合させて得られる構造で示されるものである請求項1
    又は2に記載の毛髪化粧料。 【化1】 式中、R1 は水素原子又はメチル基、R2 、R5 はそれ
    ぞれ炭素原子数1〜4のアルキレン基、R3 、R4 はそ
    れぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基、X1 は酸素原子
    又はイミノ(NH)基、YはCOO基、PHO3 基また
    はSO3 基である。また、R6 〜R9 は同一でも異って
    いてもよい炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子
    数6〜24のアリール基又は炭素原子数7〜24のアラ
    ルキル基を、X2 は2価の結合基を、mは0又は1の整
    数を、nは0〜4の整数を、pは0〜3の整数を、Zは
    下記式(7)で示される2価の結合基を、R10〜R17
    内少なくとも1つは、下記式(8)で示される不飽和基
    を、他のR10〜R17及びR18は水素原子、炭素原子数1
    〜24のアルキル基、炭素原子数6〜24のアリール
    基、又は炭素原子数7〜24のアラルキル基を、aとb
    は1〜10の整数を、それぞれ示す。 【化2】 【化3】
  4. 【請求項4】 成分(A)の両性イオン基含有重合体中
    の(b)親水性単量体由来の構成単位が、式(9)〜
    (13)で表される単量体の少なくとも一種類を重合さ
    せて得られる構造を示すものである請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の毛髪化粧料。 【化4】 式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R6 〜R9 は同
    一でも異っていてもよい炭素原子数1〜24のアルキル
    基、炭素原子数6〜24のアリール基又は炭素原子数7
    〜24のアラルキル基を、X2 は2価の結合基を、mは
    0又は1の整数を、nは0〜4の整数を、pは0〜3の
    整数を、Zは下記式(7)で示される2価の結合基を、
    11〜R17の内少なくとも1つは、下記式(8)で示さ
    れる不飽和基を、他のR11〜R17及びR18は水素原子、
    炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜24
    のアリール基、又は炭素原子数7〜24のアラルキル基
    を、aとbは1〜10の整数を、それぞれ示す。 【化5】 【化6】
  5. 【請求項5】 成分(A)の両性イオン基含有重合体中
    の(c)疎水性単量体由来の構成単位が式(14)で表
    される単量体を重合させて得られる構造で示されるもの
    である請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪化粧
    料。 【化7】 式中、R1 は水素原子又はメチル基を、X1 は酸素原子
    又はイミノ(NH)基を、R19は炭素原子数1〜24の
    アルキル基、炭素原子数3〜24のシクロアルキル基又
    は炭素原子数7〜24のアラルキル基を示す。
  6. 【請求項6】 成分(A)の両性イオン基含有重合体中
    の(a)両性イオン基を含有する構成単位が、式(1
    5)又は式(16)で表される単量体を重合させて得ら
    れる構造で示されるものであり、(b)親水性単量体由
    来の構成単位が、式(17)で表される単量体を重合さ
    せて得られる構造で示されるものであり、かつ(c)疎
    水性単量体由来の構成単位が式(18)で表される単量
    体を重合させて得られる構造で示されるものである請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。 【化8】 式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R2 、R5 はそ
    れぞれ炭素原子数1〜4のアルキレン基を、R3 、R4
    はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基を、R6 、R
    7 は同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜24の
    アルキル基、炭素原子数6〜24のアリール基、又は炭
    素原子数7〜24のアラルキル基を、R 20は炭素原子数
    10〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基
    を、それぞれ示す。
  7. 【請求項7】 成分(A)の両性イオン基含有重合体
    が、前記(a)〜(c)の構成単位に加えて、式(1
    9)で表わされる単量体を重合させて得られる構造で示
    される構成単位((c′)と記す)を含むものである請
    求項6に記載の毛髪化粧料。 【化9】 式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R21は炭素原子
    数1〜9のアルキル基を、それぞれ示す。
  8. 【請求項8】 成分(A)の両性イオン基含有重合体中
    の前記(a)〜(c)及び(c′)の構成単位の含有比
    率が(a)の構成単位10〜80重量%、(b)の構成
    単位0.1〜40重量%、(c)の構成単位10〜80
    重量%、及び(c′)の構成単位0〜70重量%である
    請求項6又は7に記載の毛髪化粧料。
  9. 【請求項9】 成分(A)の両性イオン基含有重合体が
    窒素を含有する前駆体単量体を含む単量体混合物を重合
    した後、両性イオン化して得られたものである請求項1
    〜8のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    毛髪化粧料を含有するスプレー用毛髪化粧料。
  11. 【請求項11】 (C)揮発性有機溶媒として、ジメチ
    ルエーテル又はジメチルエーテルとエタノールとの混合
    物を用いる請求項10に記載のスプレー用毛髪化粧料。
  12. 【請求項12】 成分(A)〜(C)の合計量を100
    重量部とした時に、成分(A)0.1〜15重量部、成
    分(B)(水)1〜80重量部、(C)ジメチルエーテ
    ル5〜70重量部、及び(C)エタノール0〜93.9
    重量部をそれぞれ含有し、更に酸を、成分(A)に対し
    0.01〜10重量%含有する請求項11に記載のスプ
    レー用毛髪化粧料。
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JP2015189916A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 大阪有機化学工業株式会社 カチオン性増粘剤

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