JP2001031446A - 低融点ガラス組成物 - Google Patents
低融点ガラス組成物Info
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Abstract
て、PDPの背面基板の誘電体層及び隔壁形成素材とし
て有用なガラス組成物を提供。 【解決手段】 無鉛低融点ガラス組成物であって、その
組成が、P2O520〜40%(重量%、以下同じ)、A
l2O310〜20%、B2O320〜30%、SiO20
〜10%、ZnO0〜20%、MgO0〜10%、Ca
O0〜20%、BaO0〜15%、SnO20〜5%、
ZrO20〜5%、TiO20〜10%、Li2O+Na2
O+K2O0〜10%、F20〜3%であることを特徴と
するP 2O5系低融点ガラス組成物。
Description
点ガラス組成物、特にプラズマディスプレイパネル(以
下「PDP」という)背面板上に誘電体層及び隔壁を形
成するのに適した上記ガラス組成物及びこれを利用して
上記PDPの背面板を製造する方法に関する。
の平面表示装置の分野においては、PDPが汎用されつ
つある。該PDPは、2枚の基板ガラス間に、隔壁にて
仕切られた多数のセル(微小放電空間)を形成させ、各
セル内表面に蛍光体を配し、該セル中に放電ガスを充填
した構造を有しており、上記セル内の電極間放電によっ
て放電ガスを励起し、その際発する紫外線により基底状
態にある蛍光体を発光させて画像を形成させるものであ
る。
の片面(背面基板と向き合う面)に複数の透明電極とこ
れを被覆する誘電体ガラス層と保護層とを設け、また背
面ガラス基板の片面(前面基板と向き合う面)に、上記
透明電極と直交するように複数のアドレス電極を形成
し、該電極部分を含む基板上面全面を誘電体ガラス層で
被覆し、非電極部分に相当する上記誘電体ガラス層上
に、形成されるセル間でのクロストークを防止するため
の隔壁を設置し、最終的に該隔壁の側面及び底面に蛍光
体を配置して製造されている。
要素の形成には、専ら低融点のガラスが粉末形態で用い
られている。即ち、該低融点ガラス粉末を通常500〜
600℃程度の温度で焼成メルトして一体化させてい
る。該ガラス粉末としては、所望の低融点特性を満足
し、しかもガラス特性を幅広く選択できることから、鉛
を含有するPbO−SiO2−B2O3系ガラスが汎用さ
れてきた。
Pの各要素の形成用ガラスとしては優れた性質を有する
ものであったが、昨今の環境問題を考慮すると、有害な
鉛成分を多量に含む点より、その利用は好ましくなく、
回避すべきものである。更に、電極とガラス中の鉛成分
との接触による不具合が発生するおそれがあったり、例
えばサンドブラスト法による隔壁形成にこれを利用する
場合には、基板上全面にガラスペーストを塗布し、乾燥
し、その後ブラスト処理により上記ガラスのおよそ60
%をブラスト材と共に廃棄しなければならないことを考
慮すると、その廃棄処理には細心の注意が必要となり、
しかもその利用がコスト上昇の原因ともなる不利があ
る。
含有するガラスに代替できる鉛成分を含まない低融点ガ
ラスの開発が要望されており、この要望に合わせて、種
々の鉛不含ガラスが、特に隔壁形成用ガラスとして提
案、示唆されている。
の、鉛不含のガラス組成物は、未だその組成の詳細につ
いては具体的に検討はされていないが、例えば一般に
は、ビスマス系ガラスが示唆されている(特開平10−
188825号公報、特開平10−302651号公
報、特開平11−86736号公報参照)。これらは、
ガラス成分としてのビスマスが、鉛と類似した性質をガ
ラスに与えることを利用するものであるが、ビスマス化
合物については、その毒性についてもなお不明な部分が
多く残されており、また資源としても量が少なく高価で
あることから、今後益々量産されるであろうPDPの材
料としての利用は得策とは考えられない。
組成物として提案された具体例としては、例えば特開平
8−301631号公報のP2O5系ガラス、特開平9−
283035号公報のZnO−BaO系ガラス、特開平
10−167758号公報、特開平10−228869
号公報のBi2O3−SiO2系ガラス、特開平10−1
88825号公報のBaO−B2O3−Al2O3系ガラ
ス、特開平11−92168号公報のSiO2−Al2O
3−B2O3系ガラス等が挙げられる。
も尚、PDPの隔壁形成用ガラスとして要求される性能
を充分に満足するものではない。
301631号公報に記載のものの他、特開平5−13
2339号公報、特開平9−188544号公報等が知
られているが、それらの組成はいずれも実質的にP2O5
とZnOとを主成分としており、PDPの隔壁形成用ガ
ラスに要求される耐水性等の性能についての組成上の考
慮は払われていない。しかも、PDPの隔壁形成用ガラ
スとして提案された上記特開平8−301631号公報
に記載のガラスは、その熱膨張係数があまりに高すぎ、
そのため比較的多量の低膨張性無機フィラーの併用を必
須とし、これによって、得られるガラス層はポーラスと
なり、形成されるセル内の放電が不安定となり、PDP
の寿命が短くなる不利が予想される。
壁のための鉛不含のガラス組成物であって、従来汎用さ
れてきた鉛を含有するPbO−SiO2−B2O3系ガラ
スに匹敵する性能を奏し得るものは、未だ開発されてい
ない現状にある。
望、特に各要素(電極、誘電体、隔壁、蛍光体など)を
できるだけ一括焼成して、工程数を減少し、ひいてはコ
スト低減をはかる要望(例えば、特開平10−3347
93号公報参照)をも考慮すれば、PDPの背面板用の
ガラス組成物(誘電体層用及び隔壁用)は、同一の低融
点ガラスであるのが望ましいが、かかる要望に合致する
ガラス組成物は、未だ開発されていない現状にある。
のPDP背面板の隔壁形成材料及び誘電体形成材料とし
て汎用されてきた鉛を含むガラス組成物に代わって、毒
性が問題とならず、しかも該鉛系ガラスと同等もしくは
これをも凌ぐ特性を発揮し得る新しい鉛不含の低融点ガ
ラス組成物、及びこれを利用したPDP背面基板の製造
技術(誘電体層及び隔壁の形成法)を提供することにあ
る。
鋭意研究を重ねる過程において、上記PDPの各要素用
のガラスに要求される性能として次のものを掲げ、かか
る要求性能をできるだけ多く満足するガラス組成につい
て、更に引き続き検討を行なった。 (1)軟化点が550℃以下であること、(2)線熱膨張係数
(ガラス単体)が75〜85×10-7の範囲であるこ
と、(3)鉛、ビスマスをガラス成分として含有しないこ
と、(4)誘電率が7.0以下であること、(5)耐電圧が1
KV以上であること、(6)耐水性、耐アルカリ性等の耐
薬品性に優れること。
ス及びZnO−SiO2−B2O系ガラス中に、上記目的
に合致するガラス組成を見出し、該ガラス組成物に係る
発明を完成した(特願平11−30324号及び特願平
11−30330号)。本発明者らは引き続く研究の結
果、上記ガラスとは系統を異にするP2O5−Al2O3−
B2O3系ガラス中にも、上記目的に合致するガラス組成
が存在することを見出し、ここに本発明を完成するに至
った。
であって、その組成が重量%で以下のものであることを
特徴とするP2O5系低融点ガラス組成物が提供される。 P2O5 20〜40 Al2O3 10〜20 B2O3 20〜30 SiO2 0〜10 ZnO 0〜20 MgO 0〜10 CaO 0〜20 BaO 0〜15 SnO2 0〜 5 ZrO2 0〜 5 TiO2 0〜10 Li2O+Na2O+K2O 0〜10 F2 0〜 3 尚、F2は、原料フッ素化合物由来のガラス成分をF2に
換算して表示するものとする。
2O5/Al2O3重量比が3以下である上記ガラス組成物
が提供される。
60〜100重量%と無機顔料及び/又は無機フィラー
0〜40重量%とからなる、PDPの背面板上に設けら
れたアドレス電極を被覆するための、誘電体層用ガラス
組成物が提供される。
0〜100重量%と無機顔料及び/又は無機フィラー0
〜40重量%とからなる、PDPの背面板上に設けられ
る隔壁を形成するための、隔壁形成用ガラス組成物が提
供される。
造する方法であって、パターン化したアドレス電極を設
けた背面基板上に、上記ガラス組成物を用いて誘電体層
を形成する工程及び上記ガラス組成物を用いて隔壁を形
成する工程と共に、両ガラス組成物を焼成する工程を含
むことを特徴とするPDPの背面板の製造方法、特に上
記焼成が一度で同時に行なわれるPDPの背面板の製造
方法が提供される。
としたことに基づいて、前記した要求性能を満足する。
即ち、該組成物は、550℃以下の低温で基板ガラスに
焼き付けることができ、所望の低熱膨張係数、透明性、
誘電率、耐電圧、耐水性、耐アルカリ性等の耐薬品性を
有するガラス皮膜を形成できる。
2−B2O3系ガラスと同様に、粉末化後、必要に応じて
白色顔料を混合してペースト化して、PDPの背面基板
のアドレス電極上に塗布し、焼成して、誘電体ガラス層
乃至は反射層を形成させることができる。また、本発明
ガラス組成物は、粉末化、必要に応じて白色顔料又は黒
色顔料、無機質フィラー粉末と混合し、ペースト化し、
背面基板上に隔壁形状にパターニング後、焼成すること
によって、隔壁を形成させることができる。
ガラス組成物につき詳述する。本発明ガラス組成物は上
記特定の組成(重量%、以下同じ)を有することを特徴
とする。
のネットワークフォーマーであり、本発明ガラス組成物
を形成するのに必須の成分であり、20〜40%の範囲
内で配合される。またこれは耐薬品性(耐水性、耐アル
カリ性等)、熱的特性を抑制するのにも必須の成分であ
る。これが20%未満では安定したガラスが得られにく
くなり、40%を越えると耐薬品性が劣り、ガラスの軟
化点が600℃以上となる不利がある。
ガラスの軟化点、熱膨張係数を制御するための必須成分
であり、10〜20%の範囲内で配合される。またこれ
は耐薬品性を向上させる効果も奏し得る。これが10%
未満では、ガラスの急冷時に結晶化が起こり、失透しや
すくなる不利があり、また耐薬品性を低下させ、水中に
リン成分やアルカリ成分を溶出させてしまう不利もあ
る。20%を越える配合では、ガラスの軟化点が600
℃以上となる不利がある。
配合範囲から換算して1〜4の範囲にあるが、得られる
ガラスの軟化点、耐薬品性、熱膨張係数等を適切なもの
とするために好ましくは3以下、より好ましくは1〜2
の範囲とするのがよい。
係数を下げる効果があり、20〜30%の範囲内から適
宜選択して配合される。これが20%未満では、ガラス
が安定しにくくなり、逆に30%を越える場合は、ガラ
スの軟化点が600℃より高くなる不利がある。
0%までの範囲で配合することができ、これによってガ
ラスの軟化点、熱膨張係数を制御することができる。
までの範囲での配合によって、熱膨張係数を低下させ、
ガラスの軟化点を低下させる効果を奏し得る。
までの配合によって、熱膨張係数を低下させ、ガラスを
安定化させる作用がある。
0%までの配合によってガラスを安定化させる作用を奏
し得る。之等MgO及びCaO成分を多量に配合すれ
ば、ガラスの分相が起こりやすくなる不利がある。
て、ガラスの軟化点を低下させる作用を奏し得る。15
%を越える配合では熱膨張係数が高くなりすぎる。
ことができ、これによってガラスの軟化点を低下させる
効果があり、また酸化剤としてガラスの消色に効果があ
る。5%を越える配合の場合は、熱膨張係数が高くなり
すぎたり、ガラス化が困難となる不利がある。
の耐熱性を向上させ得るが、5%を越える配合ではガラ
ス化を困難とするため好ましくない。
ることができ、熱膨張係数を低下させる効果がある。1
0%を越える配合ではガラスの結晶性が増大し、軟化点
も高くなる不利がある。
リ成分)は、その総量が10%までの範囲で配合するこ
とができ、これによってガラスの軟化点を低下させ、ガ
ラスの分相を抑制する働きがある。全10%を越える配
合では、熱膨張係数が高くなりすぎ、ガラスの結晶性が
増大し、また後の溶融ガラスの水中粉砕時にアルカリが
溶出して工程の不具合を生じるおそれがある。
フッ化アルカリ土類化合物を原料としてガラス成分とさ
れる。本明細書においては、便宜上、之等原料化合物を
F2に換算してガラス中の含有量とする。かかるF2成分
は、その配合によってガラスの軟化点を下げ、耐水性を
向上させる効果を奏するが、3%を越える配合では、ガ
ラスの粘性が低くなり、失透現象を生じる不利がある。
を提供し得る公知の各原料化合物を所定割合で組合せて
利用することに基づいて、前記した特性、即ち、軟化点
550℃以下、線熱膨張係数75〜85×10-7、誘電
率7.0以下、耐電圧1KV以上、良好な耐水性、耐ア
ルカリ性等の耐薬品性等を有するのである。
成分の所定量を必須成分として含有することを前提とし
て、更に必要に応じて、他の適当なガラス成分を含有す
ることもできる。この必要に応じて添加配合できるガラ
ス成分及びその配合量は、得られるガラスの特性に悪影
響を与えないもの及び範囲から適宜選択できる。該ガラ
ス成分の具体例としては、例えばSnO、WO3、Mo
O3、Tl2O3、V2O5、La2O3等を例示できる。こ
れらは一種又は二種以上用いることができ、その添加配
合量は、いずれも3重量%以内であるのが望ましい。こ
れらの配合は融着温度、耐薬品性の微調整に役立つ場合
がある。
て、本発明ガラス組成物は粉末化される。該粉末化は常
法に従うことができる。例えば本発明に従うガラス粉末
は、以下のようにして製造することができる。即ち、ま
ず前記成分組成となるように、各原料化合物を混合し、
得られた混合バッチを約1150〜1250℃で溶融
し、融液状ガラスを水冷ロールに挟んで冷却してフレー
ク状ガラスを得る。このガラスフレークをボールミル等
の適当な粉砕機を用いて、湿式又は乾式粉砕し、湿式粉
砕の場合は、次いで得られたスラリーより液分を除去
し、乾燥することにより所望のガラス粉末を調製でき
る。尚、湿式粉砕を水中で行なう場合は、水分を濾去し
て得られるケーキ状物を低温で真空乾燥するのが特に望
ましい。
粉末は、特に限定されるわけではないが、通常約0.1
〜30μmの範囲の粒度を有しているのが望ましい。か
かる粒度は慣用される方法、例えば粉砕工程の条件を適
宜調整することにより容易に調整できる。また上記に従
い得られる粉末粒子は、更に必要に応じて分級して、適
当な粒度、より好ましくは約0.5〜10μmの範囲の
粒度に調整することができる。
背面板上のアドレス電極を被覆する方法及びこれに利用
する誘電体層用ガラス組成物につき詳述し、次いで隔壁
を形成する方法及びこれに利用する隔壁形成用ガラス組
成物につき詳述する。
PDPの代表例の概略図を図1に示す。以下の記載にお
いては、該図1の符号を引用する。該図においては、A
C型の前面ガラス基板(1)として、透明電極(2)
(ITO膜)とバス電極(3)がパターニング配置さ
れ、この電極(3)が全面に亘って誘電体ガラス層
(4)及び保護層(5)で被覆された基板を用いてい
る。 (1) アドレス電極上への誘電体ガラス層の形成 アドレス電極上への誘電体ガラス層の形成は、基本的に
は従来より知られている各種方法に従うことができる。
ばシリコン酸化膜のパッシベーション膜上に前面基板
(1)の透明電極(2)と直交する形となるようにスト
ライプ状のアドレス電極(8)が、厚膜銀ペースト、厚
膜アルミニウムペースト、Cr−Cu−Crのスパッタ
膜等により形成され、該電極を被覆するように背面板全
面に誘電体ガラス層(7)が形成される。
ークを防止するための絶縁層としての役目と放電時の輝
度向上のための反射板としての役目を有するものである
ため、該ガラス層には、輝度向上のために適当な無機顔
料や無機フィラー等が配合されるのが好ましい。之等無
機顔料等は、本発明ガラス組成物中にその適当量を添加
することにより行ない得る。
例示できる。その利用によれば、放電発光時にPDPの
背面を白色とすることによって光の反射を良好なものと
して、PDPの輝度の向上をはかり得る。かかる白色系
無機顔料としては、通常この種ガラス組成物に配合され
ることのよく知られている各種のもの、例えばTiO 2
(酸化チタン)系顔料や、ZnO(酸化亜鉛)系顔料等
を例示できる。無機顔料の配合量は、得られるガラスの
焼成皮膜の着色に必要な最小限に止めるのが好ましい。
それは、無機顔料自体が本来焼成時にメルトしないもの
であり、その添加は焼成皮膜をポーラスなものとし、耐
電圧を低下させる傾向があるためである。該無機顔料の
配合量は、後記する無機フィラーとの総和として、通
常、本発明P2O5系ガラス組成物重量の40重量%ま
で、より好ましくは30重量%までから選ばれるのがよ
い。
添加配合することのできる無機フィラーとしては、一般
に、この種誘電体ガラス層に、添加配合できることの知
られている各種のもの、例えばAl2O3、SiO2、Z
rO2、ZrSiO2、MgO等の焼成温度を調整するも
のや、β−ユークリプトタイト、β−スポジューメン、
溶融シリカ、コージェライト等の得られるガラス層の熱
膨張係数を微調整するためのものを挙げることができ
る。之等はその一種を単独で用いることもでき、また二
種以上を混合して用いることもできる。それらの粒径
は、一般には約0.1〜10μmの範囲から選ばれるの
が好ましい。之等の無機フィラーの本発明ガラス組成物
中への配合量は、これが増加するにつれて得られるガラ
ス組成物の焼成皮膜がポーラスとなりまた耐電圧が低下
する傾向にあるため、必要最小量とするのが好ましく、
通常は、上記無機顔料との合計量として、ガラス組成物
重量の40重量%まで、好ましくは30重量%までとさ
れるのがよい。
は、各アドレス電極上の誘電体ガラス層に蓄積される電
荷を適度にリークして誤放電を防止するための、Ni、
Cr等の金属微粒子を挙げることができる。之等の配合
量は、各アドレス電極間の絶縁性を損うおそれのない範
囲から適宜選択することができる。
はこれを有機ビヒクルと混合して適当なペースト状物と
して、上記アドレス電極を被覆する誘電体ガラス層の形
成のために利用される。
は、一般にこの種ガラスペーストに利用されている各種
のもののいずれでもよく、これらは通常樹脂の溶剤溶液
からなっている。該樹脂としては、セルロース系樹脂及
びアクリル系樹脂が好ましいものとして例示できる。該
セルロース系樹脂には、エチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ニトロセルロース等が、アクリル系
樹脂には、ポリブチルアクリレート、ポリイソブチルメ
タクリレート等が含まれる。上記樹脂は、一般には調整
されるガラスペースト組成物中にその1種を単独で又は
2種以上を併用して、合計量が0.5〜20重量%程度
の範囲で配合されるのがよい。また該ガラスペーストに
は、更に必要に応じて、通常添加配合できることの知ら
れている添加剤、例えば沈殿防止剤、分散剤、基板ガラ
スとの接着性向上剤等を適宜配合することができる。
知られている各種のものでよく、特に限定されない。一
般には、樹脂の溶解性に優れ、粘稠性のオイルを形成し
得るものが好ましい。これには中沸点及び高沸点のエス
テル系溶剤、エーテル系溶剤、石油系溶剤等が含まれ
る。具体例としては、例えばブチルセロソルブアセテー
ト、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶
剤、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤、ナフサ、
ミネラルターペン等の石油系溶剤等が例示できる。之等
は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用することも
できる。
用いた誘電体ガラス層の形成方法につき詳述すれば、ま
ず上記樹脂を比較的高沸点の溶剤に溶解したオイル中
に、所定量の本発明ガラス組成物を、三本ロール、ボー
ルミル、サンドミル等の分散機で分散させて、スラリー
状乃至ペースト状物(ガラスペースト)を調製し、次い
でこのガラスペーストを、例えばドクターブレード法、
ロールコート法、スクリーン印刷法、テーブルコータ
ー、リバースコーター、スプレー法等の各種方法に従
い、アドレス電極を設けた背面基板上に塗布施工する。
また、予め、本発明ガラス組成物にてドライなグリーン
シートを形成させた後、このシートをアドレス電極を設
けた背面基板上にラミネートすることもできる。
ラス組成物は、次いで加熱炉中で、約500〜600℃
の温度で焼成することにより、所望の誘電体層とするこ
とができる。
膜厚20〜30μmとされ、この膜圧で充分な電気絶縁
性及び放電特性を有する。その耐電圧は、通常1kV以
上、誘電率は7.0以下である。特に、該ガラス層は、
鉛不含のために電極とガラスとの反応がなく、このこと
からも優れた誘電特性を有している。 (2) 隔壁の形成 本発明ガラス組成物は、PDPの隔壁形成のための材料
としても利用することができる。特に該ガラス組成物を
構成するガラスは、鉛不含にもかかわらず、充分に良好
な放電特性を有する緻密な隔壁を形成可能とする程度に
軟化点が低く、しかも隔壁形成工程で用いられる各種薬
品類にも充分に耐え得る優れた耐薬品性を有している。
に隣接する形で、多数形成され、各隔壁毎に赤、青、緑
の蛍光体(9)がアドレス電極(8)上及び隔壁(6)
側面に形成される。
組成物に必要に応じて適当な無機顔料及び/又は無機フ
ィラーを配合して得られる隔壁材料を、例えばペースト
状形態でPDP背面基板(10)上又は誘電体(7)上
に、約100〜300μmの高さにパターニング施工
し、これを常法に従い焼成することにより実施できる。
上に単一の隔壁用層を形成させることもでき、また2層
構造の隔壁用層を形成させることもできる。例えば形成
される隔壁用ガラス層の大部分を発光輝度を向上させる
ために白色顔料を用いたものとし、該層の最上部分を黒
色顔料を用いたものとする、いわゆるブラックストライ
プ的な隔壁用ガラス層とすることもできる。
例えばTiO2(酸化チタン)、ZnO(酸化亜鉛)等
の白色顔料や、CuO−Cr2O3、CuO−MnO−C
r2O3、Cr2O3−CoO−Fe2O3等の焼成黒色顔料
を適宜添加配合して、隔壁用ペーストとすることができ
る。また、該ペーストには、その焼成時の隔壁の形状保
持性向上のために、適当な無機フィラー、例えばアルミ
ナ、シリカ等、好ましくはアルミナの適当量を添加する
ことができる。更には、β−ユークリプトタイト、β−
スポジューメン、溶融シリカ、コージェライト等のガラ
ス層の熱膨張係数を調整する粉末も上記無機フィラーと
して添加することもできる。上記無機顔料及び無機フィ
ラーの添加量は、本発明ガラス粉末に対して通常総量が
40重量%以下となる量、好ましくは30重量%以下と
なる量から選ばれるのがよく、この程度の添加配合で
は、焼成後の隔壁内部がポーラスとなって、放電特性や
寿命に悪影響を与える弊害はない。
に調製するに当たっては、該隔壁の形成方法に応じて、
前記(1)の項において例示した有機ビヒクル、樹脂、溶
剤及び添加剤のそれぞれが、その種類及び量を適宜選択
して、同様にして使用できる。 また、調製されるペー
ストは、従来より慣用されている各種の方法、例えばス
クリーン印刷法により直接塗布してパターニングする方
法、ドクターブレード法、ロールコート法、スクリーン
印刷法、テーブルコーター、リバースコーター、スプレ
ー法、グリーンシートの転写等により塗布施工した後、
公知の各種の方法、例えばサンドブラストによりパター
ニングする方法や、フォトリソ埋め込み方法、ガラスペ
ースト中の樹脂に感光性樹脂を使用したフォトリソグラ
フィー方法、金型よりの転写方法、凸部を有するロール
による加圧法等のパターニング方法に従って隔壁形状と
され、次いで常法に従い、約550〜600℃程度の温
度で焼成されて、所望の隔壁を形成できる。
度、収縮率、耐薬品性等において、非常に優れたもので
ある。
上記アドレス電極上の誘電体層と隔壁とは、それぞれ別
個に、ガラス材料(ペースト)塗布工程と焼成工程とを
採用して形成されていたが、本発明では、同一組成のガ
ラス材料を用いるため、両者のメルト開始の温度、熱線
膨張係数、昇温−粘度曲線を容易に同一又は近似するも
のに調整でき、従って、同時に焼成しても、隔壁の一部
欠損、反り返り、密着不良、蛇行等の不具合が発生する
おそれを解消できる利点がある。本発明では特にこの同
時焼成を可能としたことに基づいて、工程を簡略化で
き、コストを大幅に削減でき、且つ製品の歩留まりを向
上できる利点がある。
度、耐熱性、耐電圧性、放出ガス特性、加工性(寸法精
度、成型の自由度)等に優れているので、表示伝導型電
子放出素子を用いた表示パネルのスペイサーとしてや、
また電界放出型電子放出素子を用いた表示パネルの陰極
板上のエミッター間の絶縁層としても、有効に利用する
ことができる。
施例を挙げる。尚、例中、%はいずれも重量基準による
ものである。
ミニウム、硼酸、無水硼砂、含水硼砂、珪砂、亜鉛華、
炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ジルコン、炭酸リチ
ウム、硝酸ソーダ及びリン酸カルシウムの各原料を、溶
融後に表1に示す所定のガラス組成となる量で、それぞ
れ混合してバッチ原料混合物を調製し、1200℃で溶
融した。取り出した溶融ガラスを水冷ロールに挟んで急
冷して、フレーク状のガラスを得た。
アルミナボールを用いて水湿式粉砕し、得られたスラリ
ーを乾燥、ふるい分けし、その後分級して、粒径0.2
〜10μmの本発明P2O5系ガラス組成物粉末を得た。
られるガラス組成が、下記表1に示される通り本発明範
囲を外れるものとなるように、バッチ原料混合物を調製
する以外は、同様にして、比較ガラス粉末を得た。
び比較ガラス組成物粉末の特性を以下の通り試験した。 (1)線膨張係数 ガラス粉末試料を棒状に加工成形し、600℃にて焼成
し、所定長さに切断した後、理学電気株式会社製熱機械
分析装置TAS−100を用いて、50〜350℃の温
度範囲での伸び率を測定算出した。 (2)軟化点 ガラス粉末試料を白金セル中に投入し、上記装置を用い
た示差熱分析により、常温〜700℃の温度範囲で軟化
点を求めた。 (3)誘電率 酸化膜を形成させたステンレススチール板上に、ガラス
粉末試料の層を印刷、焼成して作成(30〜50μm)
し、該層上に直径18mmの電極を銀ペーストを用いて
作成し、1MHz時の誘電率を横河ヒューレットパッカ
ード株式会社製4197Aインピーダンス/ゲインフェ
ーズアナライザーを用いて測定、算出した。 (4)耐電圧 Cr−Cu−Cr層を形成させたソーダライムガラス板
上に焼成後の膜厚が20μmとなるようにガラス粉末試
料のメルト層を形成させ、その上に銀電極層を形成さ
せ、菊水電子工業株式会社製耐電圧試験器875A2を
用いて、両電極間に電圧をかけリークする電圧を測定し
た。 (5) 耐薬品性 隔壁形成法の内でサンドブラスト法及びフォトリソグラ
フィー法においては、その工程中、マスク樹脂及びガラ
スペーストの現像、脱離にアルカリ水溶液が用いられる
ため、かかるアルカリ水溶液に対するガラスの耐性を以
下の通り試験した。即ち、ガラス粉末試料を用いて、ソ
ーダライムガラス板上に約20μmのガラス層を、印
刷、焼成し、得られる焼成ガラスを10%炭酸ソーダ水
溶液中に、30℃、10分間浸漬し、焼成ガラス層表面
の変化を肉眼で観察し、以下の基準により評価した。 ◎:変化なし、○:僅かにラスター色発生、×:白化 (6) クラック 2mm厚の高歪み点ガラス(線膨張係数84〜85×1
0-7)基板上に、ガラス粉末試料をペースト化、印刷し
て530〜550℃で焼成し、ガラス層−ガラス基板界
面の状態を顕微鏡(倍率:50倍)にて観察し、以下の
基準により評価した。 ◎:クラックが全く観察されなかった、○:クラックが
僅かに観察された、×:全体に亘ってクラックが観察さ
れた 得られた結果を下記表2に示す。
て、本発明ガラス組成物粉末及び比較ガラス粉末は、そ
れぞれ、ガラス粉末70%と、エチルセルロース3%及
びポリイソブチルメタクリル樹脂2%をパインオイル9
5%に溶解した有機ビヒクル30%とを混練りしてガラ
スペーストとした。
の背面基板の誘電体ガラス層としての基本特性を全て満
足しており、該ガラス層形成に有効利用できることが明
らかである。
製した本発明P2O5系ガラス粉末のいずれかに表3に示
す無機顔料又は無機フィラーを添加して誘電体層用本発
明ガラス組成物(ガラス混合物粉末)を得た。
5%を、α−ターピネオール90%にエチルセルロース
8%及びポリイソブチルメタクリル樹脂2%を溶解した
有機ビヒクル25%と乳鉢で混練りし、3本ロールで固
形分を分散させてペースト状に調製して、誘電体層形成
に利用した。
末に無機顔料及び無機フィラーを本発明範囲を外れる量
で混合して比較ガラス組成物を調製した。
5%を、α−ターピネオール90%にエチルセルロース
8%及びポリイソブチルメタクリル樹脂2%を溶解した
有機ビヒクル25%と乳鉢で混練りし、3本ロールで固
形分を分散させてペースト状に調製して、誘電体層形成
に利用した。
得た各試料につき、上記(3)及び(4)と同様にして
誘電率及び耐電圧を測定した。
の利用によれば、優れた特性を有するPDPの誘電体を
形成できることが判る。
調製した本発明P2O5系ガラス粉末のいずれかに表3に
示す無機顔料又は無機フィラーを添加して隔壁形成用本
発明ガラス組成物を得た。
0%を、α−ターピネオール90%にエチルセルロース
6%及びポリイソブチルメタクリル樹脂4%を溶解した
有機ビヒクル20%と乳鉢で混練りし、3本ロールで固
形分を分散させてペースト状に調製して、隔壁形成に利
用した。
末に無機顔料及び無機フィラーを本発明範囲を外れる量
で混合して比較ガラス組成物を調製した。
0%を、α−ターピネオール90%にエチルセルロース
6%及びポリイソブチルメタクリル樹脂4%を溶解した
有機ビヒクル20%と乳鉢で混練りし、3本ロールで固
形分を分散させてペースト状に調製して、隔壁形成に利
用した。
で得た各試料につき、上記(3)と同様にして誘電率を
測定すると共に、以下の通り(7)隔壁の緻密性及び
(8)隔壁の強度を測定した。 (7) 隔壁の緻密性 隔壁形成用ガラス組成物試料を用いて、スクリーン印刷
法にて250μm高さの隔壁パターンを形成し、580
〜590℃で焼成後、断面を走査型電子顕微鏡にて観察
し以下の通り評価した。 ◎:充分にガラス化して発泡は認められない、○:ガラ
ス化しているがやや発泡が認められる、×:発泡が顕著
である。 (8) 隔壁の強度 先端をナイフ状にしたウレタンゴム(硬度:70)を敷
設したクロスカット試験器を用いて、隔壁形成用ガラス
組成物試料にてストライプ状に形成させた隔壁10本に
対して垂直に、荷重500g下にナイフを走らせ、隔壁
表面の損傷の程度を、強度の指標として、以下の基準に
より評価した。 ◎:全く損傷は認められない、○:1〜2本の隔壁のエ
ッジ部分がかける、×:隔壁全体に亘って損傷が認めら
れる。
の利用によれば、優れた特性を有するPDPの隔壁を形
成できることが判る。
板上に誘電体ガラス層と、パターン化した隔壁を形成
し、乾燥後同時に焼成してPDPの背面基板を作成した
例であり、以下の通り実施された。
ースト化物を、アドレス電極を設けた基板上全面にスク
リーン印刷にて、乾燥膜厚35μmとなるように塗布
し、乾燥後、その上に、実施例11に示す組成の隔壁形
成用ペースト化物をスクリーン印刷を10回繰り返し
て、乾燥後に幅100μm、ピッチ250μm、高さ2
50μmとなるパターンを形成させた。次に最高温度5
70℃で10分間保持し、イン−アウト時間1時間を要
して焼成した。
良、蛇行等の不具合は認められなかった。特に問題とな
る隔壁端部の応力集中に起因する密着不良による反り返
りの不具合も全く認められなかった。
の概略図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 無鉛低融点ガラス組成物であって、その
組成が重量%で P2O5 20〜40 Al2O3 10〜20 B2O3 20〜30 SiO2 0〜10 ZnO 0〜20 MgO 0〜10 CaO 0〜20 BaO 0〜15 SnO2 0〜 5 ZrO2 0〜 5 TiO2 0〜10 Li2O+Na2O+K2O 0〜10 F2 0〜 3 であることを特徴とするP2O5系低融点ガラス組成物。 - 【請求項2】 ガラス組成物中のP2O5/Al2O3重量
比が3以下である請求項1に記載のガラス組成物。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載のガラス組成物6
0〜100重量%と無機顔料及び/又は無機フィラー0
〜40重量%とからなる、プラズマディスプレイパネル
の背面板上に設けられたアドレス電極を被覆するため
の、誘電体層用ガラス組成物。 - 【請求項4】 請求項1又は2に記載のガラス組成物6
0〜100重量%と無機顔料及び/又は無機フィラー0
〜40重量%とからなる、プラズマディスプレイパネル
の背面板上に設けられる隔壁を形成するための、隔壁形
成用ガラス組成物。 - 【請求項5】 プラズマディスプレイパネルの背面板を
製造する方法であって、パターン化したアドレス電極を
設けた背面基板上に、請求項3に記載のガラス組成物を
用いて誘電体層を形成する工程及び請求項4に記載のガ
ラス組成物を用いて隔壁を形成する工程と共に、両ガラ
ス組成物を焼成する工程を含むことを特徴とするプラズ
マディスプレイパネルの背面板の製造方法。 - 【請求項6】 焼成工程が両ガラス組成物を同時に焼成
するものである請求項5に記載のプラズマディスプレイ
パネルの背面板の製造方法。
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