JP2001030454A - 化粧材 - Google Patents

化粧材

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JP2001030454A
JP2001030454A JP11203014A JP20301499A JP2001030454A JP 2001030454 A JP2001030454 A JP 2001030454A JP 11203014 A JP11203014 A JP 11203014A JP 20301499 A JP20301499 A JP 20301499A JP 2001030454 A JP2001030454 A JP 2001030454A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柄が異なる複数の化粧材を繋ぎ合わせた様な
意匠を、一つの化粧材で表現し、意匠表現上の繋ぎ目に
曲線も可能とする。 【解決手段】 基材B上に、部分的に絵柄調整層1を形
成した後に、絵柄調整層の形成領域Pa及び未形成領域
Pbの上に、絵柄調整層が透視可能で形成領域及び未形
成領域上にわたって同一柄の絵柄層2を形成する。例え
ば、化粧金属板として、金属基板の基材上にべースコー
ト層を形成後、上記絵柄調整層と上記絵柄層を形成し、
更にトップコート層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドア等に用いる金
属化粧板等の化粧材に於いて、元は一つの柄であるが、
あたかも二種類、或いはそれ以上の種類の柄を組み合わ
せた様な意匠表現ができる化粧材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、樹脂板、木質板、金属板等の
各種板材、或いは樹脂シート等の基材に、絵柄を印刷し
て装飾した化粧板や化粧シート等の化粧材が、種々の用
途で使用されている。
【0003】例えば、マンション等の集合住宅、或いは
その他建築物の出入口のドア等に使用される化粧金属板
として、表面をメッキ処理した鋼板にグラビアオフセッ
ト印刷等で絵柄を印刷したり、樹脂シートに絵柄を印刷
した化粧シートを鋼板に貼り付けた化粧材がある。木質
系部材を組み合わせて造るドアの場合、その意匠表現と
して例えば、図4の正面図で概念的に示す如く、中央の
面材11の周囲を枠材12a、12b、12c、及び1
2d(「框(かまち)」と言う)で囲い、更に通常は枠
材12a、12b、12c、及び12dと面材11とは
段差を付けた、いわゆる框ドア10等がある。なお、面
材や枠材等とする木質系部材としては、例えば、木質合
板、或いは、樹脂シートに木目等を印刷した化粧シート
を木質合板やMDF(中密度繊維板)等に貼り合わせた
化粧板や化粧部材等が使用される。また、化粧金属板で
造るドアの場合では、表裏各面に一枚板を使用しても良
いが意匠表現が単調になる為に、例えば図5の如く、柄
が互いに異なる2枚の化粧金属板を繋ぎ合わせる事で、
面Aと面Bとで柄を変えたドア等がある。柄として、例
えば、柄パターンの無い全面ベタ柄で互いに色が異なる
柄を使用すれば、ツートーン(2色)柄のドアとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ドアを
木質系部材で造るにしろ、化粧金属板で造るにしろ、複
数のものを組み合わせて造る場合には、当然にそれらを
繋ぎ合わせる加工が必要である。しかも、化粧金属板を
使用する場合は、該化粧金属板の切断端面には金属基板
が露出しているので、繋いだ隙間から水が進入して腐食
しない様に腐食防止策が必要であった。この為、図6に
示す如く、繋ぎ部分を「L」字状にプレスで折り曲げ加
工した化粧金属板20a、20b同士を、それら切断端
面21a、21bをドア内部(図面下側)に隠す構造で
繋いでいた。また、表側の繋ぎ部分には、装飾の意味も
込めてモール22を適宜あてがう等して繋ぎ目を覆い隠
したりしていた。ところが、この様に曲げ加工して繋い
だものは、曲げ加工の特質から、図5に示す如く、繋ぎ
目13は直線に限定され、繋ぎ目が曲線となる様な意匠
表現は出来ない上〔図1(B)の符号13a参照〕、曲
げ加工やモール処理等に手間もかかった。これに対し
て、化粧板や化粧部材として木質系のものを使用する場
合には、曲げ加工等は当然必要無い為に、繋ぎ目を曲線
とする事も可能ではあるが、切削加工がその分、複雑に
なった。
【0005】そこで、本発明の課題は、例えばドア等に
用いる金属化粧板等の化粧材に於いて、柄が異なる複数
の化粧材を繋ぎ合わせた如き意匠表現を、一つの化粧材
で表現できる化粧材を提供することである。また、その
意匠表現上の繋ぎ目が直線のみならず、曲線も可能な化
粧材を提供する事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の化粧材では、基材上に、部分的に絵柄
調整層を形成した後に、該絵柄調整層の形成領域及び未
形成領域の上に、該絵柄調整層が透視可能で該形成領域
及び未形成領域上にわたって同一柄の絵柄層を形成し構
成した。この様な構成とすることで、絵柄調整層の形成
領域と未形成領域とで異なった絵柄に見え、柄が異なる
複数の化粧材を繋ぎ合わせた様な意匠表現が可能とな
る。また、複数の化粧材を繋ぎ合わせた部分(境界線)
に相当する意匠表現上の繋ぎ目を、直線のみならず曲線
も表現できる。
【0007】また、本発明の化粧材は化粧金属板とし
て、上記構成に対して更に、基材が金属基板から成り、
該基材上にべースコート層を全面に形成後、絵柄調整層
を形成し、次いで、絵柄層を形成した後、トップコート
層を全面に形成して成る構成とした。この様な構成とす
ることで、上記した化粧材の作用効果が化粧金属板に於
いて得られる。また、べースコート層によって金属から
なる基材色の影響を無くし、トップコート層によって表
面艶や表面物性等を付与した化粧材に出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化粧材を、図面を
参照しながら実施の形態を説明する。なお、図1は本発
明の化粧材の一形態を示し、図1(A)は断面図、図1
(B)は平面図である。また、図2は本発明の化粧材の
他の形態例を示す断面図、図3は本発明の化粧材の意匠
表現の或る一例を示す平面図である。
【0009】〔概要〕先ず、本発明の化粧材は、図1
(A)の断面図で例示する化粧材Dの如く、基材B上
に、部分的に絵柄調整層1を形成した後に、該絵柄調整
層1の形成領域Pa及び未形成領域Pb上に、該絵柄調
整層1が透視可能で該形成領域Pa及び未形成領域Pb
上にて同一柄の絵柄層を形成した構成である。絵柄調整
層1は例えば濃いめの色の全ベタ柄(全面ベタ層)とし
て、絵柄層2によって表現される絵柄が、該絵柄層2の
下の絵柄調整層1の有り無しの部分によって濃さの異な
る柄として、異なった柄に見える様になる。例えば、絵
柄調整層1が、その未形成領域Pb(にて絵柄層を形成
する面)の色(=絵柄調整層を形成する面の色)に対し
て、濃い色とした全面ベタ層の場合、絵柄調整層1の形
成領域Paでは、絵柄層によって表現される絵柄は相対
的に濃い色の柄となり、未形成領域Pbの部分では相対
的に薄い色の柄となる。なお、絵柄調整層の色は、該絵
柄調整層の形成面の色とは異なる色とする事はもちろん
である。これらが全く同一色(色相、彩度、及び明度)
ならば、絵柄調整層の意味が無い。また、絵柄調整層の
形成面の色は、基材の色の事もあるが、基材上に予め形
成したべースコート層等の色の事もある。
【0010】図1(B)は、本発明の化粧材で表現し得
る絵柄の一例を示す平面図であり、図1(B)中のA−
A線での断面図が、図1(A)の断面図に該当する様な
柄の一例として描いてある。図1(B)に示す化粧材D
の平面図は、例えば、化粧金属板としてそれ一枚でドア
の表面或いは裏面の全面を担う事が出来る様な柄として
あり、ドア全体を正面から見た外観に該当する。また、
ノブ14の取り付け位置例を破線で示してある。絵柄は
例えば木目柄であるが、これ以外の柄、例えば石目柄等
でも良い。絵柄層2自体の絵柄は、全面にわたって同一
柄パターンの絵柄(例えば一枚板の木目柄)であるが、
絵柄調整層1の色が反映される形成領域Paとそうで無
い未形成領域Pbとでは、同一の柄の絵柄層であるが、
異なった絵柄に見える事になる。形成領域Paでは絵柄
層2の柄とその下の絵柄調整層1との色が組み合わさっ
た柄となり、未形成領域Pbでは絵柄層2の柄と絵柄層
2の下の層の色が組み合わさった柄となる。絵柄層の下
の層は図1に示す化粧材Dの場合は基材Bである。ま
た、下記する図2示す構成の化粧材Dの場合は、べース
コート層3である。しかも、異なって見える絵柄同士の
境界線となる繋ぎ目も、図1(B)に示す如く曲線の繋
ぎ目13aも、形成領域Paの輪郭線が曲線になる様に
絵柄調整層を印刷法等で形成する事で、容易に表現でき
る。
【0011】また、本発明の化粧材Dは、図2に例示す
る本発明の化粧材Dの如く、基材B上にプライマー層5
とベースコート層3とをこの順に全面に形成後、絵柄調
整層1を部分的に形成し、次いで絵柄層2を形成した上
で、更にトップコート層4を全面に形成した構成等でも
良い。プライマー層4は密着性向上が必要なければ、省
略する事もできる。基材Bに金属基板を使用すれば、化
粧材Dは化粧金属板となる。
【0012】以下、更に本発明を詳述する。
【0013】〔基材〕基材Bとしては、特に制限はな
い。用途に応じた物を使用すれば良い。基材の材料は、
例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料、陶器、磁
器、硝子、琺瑯等の無機質材料、杉、檜、樫等の各種樹
種からなる単板や合板、パーティクルボード等の木質材
料、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂材料、或い
は、紙、不織布等の繊維質材料等である。基材の形態
は、板材の他にシートの形態でも良い。基材の厚みは用
途により10μm〜1cm程度だがこの範囲外でも良
い。
【0014】また、化粧材を化粧金属板等とする場合、
その基材となる金属基板(金属材料)としては、例え
ば、軟鋼板、電鋳鉄箔、アルミニウム板、銅板等の板
材、或いはこれらに亜鉛、錫、鉛、アルミニウム、銅、
クロム、ニッケル等の一種又は二種以上をメッキしたも
の等を使用できる。二種以上のメッキとしては、鉄と亜
鉛の合金メッキ、アルミニウムと亜鉛の合金メッキ等が
ある。具体的には、例えば、電気亜鉛メッキ鋼板、合金
溶融亜鉛メッキ鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミ合金
溶融亜鉛メッキ鋼板、合金電気メッキ鋼板、制振鋼板等
が使用できる。化粧金属板に於ける基材の厚さは用途に
よるが、例えば0.6mm、1.2mm厚等である。
【0015】〔べースコート層〕なお、基材は、絵柄調
整層、絵柄層を形成する前に、図2の化粧材Dで例示す
る如く、べースコート層3等を形成しておいても良い。
べースコート層3は、基材の色や模様が意匠表現に支障
を来す場合に、基材を隠蔽したり、下地色を所望の色に
調整する等の為に設ける。べースコート層は、通常は絵
柄を表現する領域全面に設ける。例えば、べースコート
層としては、白色の隠蔽性の層を全面に塗工形成する。
なお、これに対して絵柄調整層の形成面は、絵柄を表現
する領域の一部である。
【0016】べースコート層の形成は公知の形成方法に
よれば良く、ロールコート、カーテンフローコート等の
塗工方法の他、或いは、グラビア印刷、シルクスクリー
ン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷等の
印刷方法でも良い。また、べースコート層形成に用いる
塗液(或いはインキ)のビヒクルを構成するバインダー
樹脂としては、用途に応じたものを使用すれば良い。例
えば、バインダー樹脂には、軟質塩化ビニル樹脂、硬質
塩化ビニル樹脂、軟質アクリル樹脂、硬質アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、電
子線硬化型ポリエステル樹脂等を用いる。また、バイン
ダー樹脂は、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、ポリウ
レタン樹脂等の硬化性樹脂でも良いが、例えば化粧金属
板等で耐久性等が要求される場合は、ポリエステル系樹
脂、アミノアルキド系樹脂、熱硬化性アクリル系樹脂等
の熱硬化性樹脂、或いは電子線硬化型ポリエステル樹脂
等の電離放射線硬化性樹脂が好ましい。また、上記ビヒ
クルには従来公知の顔料や染料等の着色剤、その他、必
要に応じて適宜、体質顔料等の各種添加剤が添加され
る。
【0017】〔プライマー層〕また、図2に例示する化
粧材Dの如く、基材には予め、上記べースコート層、絵
柄調整層、或いは絵柄層と、基材との接着性向上の為
に、プライマー層5を必要に応じて適宜、上記べースコ
ート層で列記した様な塗工法、印刷法等の公知の形成方
法と、公知の材料で設けも良い。例えば、プライマー層
に、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系
樹脂等の熱硬化性樹脂を用いれば耐久性も良い。
【0018】〔絵柄調整層〕絵柄調整層1は、その形成
領域Paによって、その上の絵柄層が表現する絵柄の色
を調整して、絵柄調整層の形成領域Paと未形成領域P
bの部分とで、元は絵柄層による一つの絵柄であるが、
あたかも2種類、或いはそれ以上の種類の柄を組み合わ
せた様な意匠表現を可能にする。絵柄調整層1は、適宜
樹脂をバインダー樹脂とするビヒクルに、顔料や染料等
の着色剤を添加し、更に必要に応じ適宜、体質顔料等の
各種添加剤を添加した従来公知のインキで印刷形成すれ
ば良い。バインダー樹脂としては、アクリル樹脂等の熱
可塑性樹脂、或いはポリウレタン樹脂等の硬化性樹脂で
も良いが、化粧金属板等で耐久性等の点で、ポリエステ
ル系樹脂、アミノアルキド系樹脂、熱硬化性アクリル系
樹脂等の熱硬化性樹脂は好ましい。印刷方法は、グラビ
ア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラ
ビアオフセット印刷等の公知の印刷手段で良い。中で
も、シルクスクリーン印刷は、グラビア印刷やグラビア
オフセット印刷等に比べて、版製造が容易で多品種少量
印刷に向いている為に、絵柄層の方はグラビア印刷やグ
ラビアオフセット印刷等で共通に印刷して、絵柄調整層
のみを各種パターン形状に変えた化粧材を容易に製造す
る事ができ、低コストな化粧材にできる利点が有る。も
ちろん、絵柄調整層の形成は、部分的に形成できる方法
であれば、スプレー塗装等の塗工法で形成しても良い。
なお、絵柄調整層の厚みは特に制限は無いが、例えば2
〜20μm程度である。
【0019】なお、絵柄調整層を、基材上に部分的に2
以上の複数の領域に形成する場合、形成される全ての絵
柄調整層は必ずしも同一色とする必要は無い。多色刷り
で、分離独立した各領域の絵柄調整層を互いに異なる複
数の色で形成しても良い。例えば、図3に例示の如く、
絵柄調整層の形成領域Pa1と形成領域Pa2同士で、
互いに異なる色の絵柄調整層を形成すれば、最終的に化
粧材として表現される絵柄は、形成領域Pa1、形成領
域Pa2、未形成領域Pbの、それぞれで異なる3種類
の絵柄となる。多色刷りでは、色相等が異なる絵柄調整
層も形成できるが、色相が同じで色の濃さが異なる場合
には、絵柄調整層を、網点、或いは砂目や梨地等の微視
的に部分的に形成した層(細かい柄の層)として形成す
れば、1色刷りでも濃淡を表現できる。この様にすれ
ば、刷り数も増やさずに、容易により複雑な意匠表現が
可能となる。もちろん、1刷りで濃淡を出す必要がなけ
れば、絵柄調整層は全ベタ層で良い。
【0020】〔絵柄層〕絵柄層2は、その下側の絵柄調
整層による絵柄の調整効果が失われない様に、該絵柄調
整層が透視可能な様に形成する。絵柄層を下側の絵柄調
整層を透視可能な様に形成するには、絵柄層自体を微視
的に散在して(例えば、木目導管溝柄等の木目柄、網点
状等)形成したり、絵柄層を形成するインキの着色剤に
染料や透明顔料を使用したり、着色剤の含有量を少なめ
に調整したり、絵柄層の厚みを薄くしたり、或いはこれ
らの組み合わせで形成したりすれば良い。絵柄層の絵柄
は、特に制限は無いが、例えば、木目、石目、布目、皮
絞模様、幾何学図形、文字、記号等である。木目や石目
等の絵柄は、その絵柄自体が絵柄層自体を微視的に散在
させる様な柄にでき、この為、絵柄層について絵柄調整
層を透視可能に出来る点で、好適である。
【0021】絵柄層の形成は、従来公知のインキで印刷
形成すれば良い。インキは、例えば前記絵柄調整層で説
明したインキを使用することができる。絵柄層の印刷方
法は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセッ
ト印刷、グラビアオフセット印刷等の公知の印刷手段で
良いが、絵柄層自体を微視的に散在させたり、木目柄等
の細かい絵柄を表現したりする場合には、グラビア印刷
やグラビアオフセット印刷等が好ましい。
【0022】なお、前記絵柄調整層を透明層として形成
するならば、この絵柄層を形成した後で、絵柄層の上に
絵柄調整層を形成しても、本発明の構成と同じ様な作用
効果は、一応は得られる。しかし、木目や石目柄等で細
かい柄を表現した絵柄層の上を(部分形成する)全ベタ
層等として着色透明の絵柄調整層が覆うと、絵柄層の細
かい柄が暈け気味の感じになる等、柄を活かせないこと
がある点で、本発明の様に絵柄調整層の上に絵柄層を形
成した方が好ましい。
【0023】〔トップコート層〕トップコート層4を、
艶調整、塗装感付与等の意匠性付与、或いは、化粧材の
表面保護、帯電防止、耐汚染性等の機能付与等の為に、
必要に応じて、適宜、最外層として設けても良い〔図2
参照〕。艶調整は、サテン調(砂地模様)、リンクル調
(縮み模様)、グロスマット(艶有りと艶無し)調等と
高艶から艶消しまで、用途に応じた艶とする。なお、ト
ップコート層は透明層であり、通常は無着色透明である
が、透明とは意匠表現次第では着色透明でも良い。トッ
プコート層としては特に限定は無く、要求物性、用途等
に応じて、従来公知の材料及び形成方法で設ければ良
く、樹脂を含んだ塗液を塗工して形成すれば良い。トッ
プコート層に用いる樹脂としては、軟質塩化ビニル樹
脂、硬質塩化ビニル樹脂、軟質アクリル樹脂、硬質アク
リル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹
脂等を用いる事ができる。トップコート層に用いる樹脂
は、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、ポリウレタン樹
脂等の硬化性樹脂でも良いが、表面物性、耐久性等の点
で、ポリエステル系樹脂、アミノアルキド系樹脂、熱硬
化性アクリル系樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂
は好ましい。塗液は、例えば、グラビアオフセット印刷
等の印刷法、ロールコート、カーテンフローコート等の
塗工法等の公知の形成方法で形成すれば良い。なお、上
記樹脂液中には、必要に応じ適宜、艶消顔料(シリカ
等)やビーズ顔料等の艶調整剤、充填剤、体質顔料、着
色剤、減摩剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種
の添加剤を添加する。なお、トップコート層の厚みは、
用途に応じたものとすれば良いが、例えば20〜30μ
m程度である。
【0024】なお、上述した、プライマー層、べースコ
ート層、絵柄調整層、絵柄層、トップコート層等を重ね
て形成する場合、重ねる複数の層それぞれに加熱硬化が
必要なときは、各層毎に加熱硬化しても良いが、2層、
3層等と層を重ねてから纏めて加熱硬化しても良い。纏
めて硬化する事で、密着性等が向上する。
【0025】また、上述絵柄層等による意匠表現の他
に、化粧材表面には、エンボス加工等の公知の賦形法に
より、凹凸模様を形成しても良い。凹凸模様は、木目、
皮目、梨地、ヘアライン等である。
【0026】〔化粧材の用途〕化粧材の用途は特に制限
は無い。各種ドアの他に、壁面、天井、床等の建築物内
装材、冷蔵庫、空調器、暖房機等の家電製品表面材、ユ
ニットバス、厨房等の住設機器表面材、エレベータ内装
材、間仕切り表面材、自動車、電車、航空機、船舶等の
乗物内装材等である。化粧材は基材の種類によって化粧
板、或いは化粧シート等として使用される。
【0027】なお、基材に樹脂シートを使用すれば、得
られる本発明の化粧材は、化粧シートとなるが、この化
粧シートを金属基板に貼り付ければラミネ−ト化粧金属
板となる。但し、一旦化粧シートとしたものを貼り付け
るよりは、直接に基材(金属基板)に絵柄調整層や絵柄
層等を形成した方が、工程的に少なくて済む。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、更に具体的
に説明する。
【0029】化粧金属板として、図2の如き構成の化粧
材Dを次の様にして製造した。先ず、基材Bとして、鉄
板の表裏両面に各々20g/m2 となる厚さで電気亜鉛
メッキを施した電気亜鉛メッキ鋼板(厚み0.6mm)
を用意した。そして、この基材を脱脂処理後、熱硬化性
ポリエステル系樹脂からなるプライマー塗料をロールコ
ート法により塗布後、乾燥炉で加熱し乾燥・硬化させて
プライマー層5を全面に形成した。次いで、プライマー
層5の上に、熱硬化性ポリエステル系樹脂をバインダー
樹脂に用いたビヒクルに白色顔料を添加してなる白色の
塗液を、カーテンフローコート法により塗布した後、加
熱し乾燥、硬化させて、白色のベースコート層3を全面
に形成した。
【0030】次いで、ベースコート層3の上に、熱硬化
性ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂に用いたビヒク
ルに着色顔料を添加してなる着色インキを、図1(B)
の平面図で示す様な形状の形成領域Paに部分的にシル
クスクリーン印刷した後、乾燥炉で加熱し乾燥・硬化さ
せて、濃茶色の絵柄調整層1を形成した。
【0031】更に次に、絵柄調整層1上を含む基材B面
(べースコート層3面)全面に、熱硬化性ポリエステル
系樹脂をバインダー樹脂として用いたビヒクルに着色顔
料を添加してなる着色インキを用いて、3色刷りのグラ
ビアオフセット印刷を行った後、乾燥炉で加熱し乾燥・
硬化させて、全面同一柄で薄茶色の木目柄を表現した絵
柄層2を形成した。なお、絵柄層2を構成する3色の各
柄は全て全ベタ層では無く、木目の細かい柄を表現した
微視的に部分形成された層である。
【0032】そして、最後にトップコート層として、熱
硬化性ポリエステル系樹脂からなり艶調整剤としてアク
リル樹脂ビーズを含有する透明塗料をカーテンフローコ
ート法で塗布した後、乾燥炉で加熱し乾燥・硬化させ
て、表面がサテン調(砂目模様)で厚さ20μmのトッ
プコート層4を形成し、化粧金属板として断面図は図2
の如き構成で、平面図は図1(B)の如き外観の意匠表
現を有する化粧材Dを得た。
【0033】得られた化粧材は、絵柄調整層1の形成領
域Paと未形成領域Pbとで、異なった絵柄に見え、異
なる木質系化粧部材を繋ぎ合わせた様に見えた。また、
複数の化粧材を繋ぎ合わせた部分(境界線)に相当する
意匠表現上の繋ぎ目として、直線の繋ぎ目以外に、曲線
の繋ぎ目13aを有する化粧材となった。
【0034】
【発明の効果】本発明の化粧材によれば、絵柄調整層
の形成領域と未形成領域とで異なった絵柄に見え、柄が
異なる複数の化粧材を繋ぎ合わせた様な意匠表現が可能
となる。この為、元は一つの柄であるが、あたかも二種
類、或いはそれ以上の種類の柄を組み合わせた様な意匠
表現ができる。また、複数の化粧材を繋ぎ合わせた部分
に相当する意匠表現上の繋ぎ目を、直線のみならず曲線
も表現できる。 また、基材が金属基板から成り、該基材上にべースコ
ート層を全面に形成後、絵柄調整層を形成し、次いで、
絵柄層を形成した後、トップコート層を全面に形成して
成る構成では、上記した化粧材の効果が化粧金属板に於
いて得られる。また、べースコート層によって金属から
なる基材色の影響を無くし、トップコート層によって表
面艶や表面物性等を付与した化粧材に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材の一形態を例示する平面図と断
面図。
【図2】本発明の化粧材の他の形態例を示す断面図。
【図3】本発明の化粧材の意匠表現の他の一例を示す平
面図。
【図4】ドア装飾の一例として、框(かまち)ドアを概
念的に示す正面図。
【図5】ドア装飾の別の一例を例示する正面図。
【図6】化粧金属板の繋ぎ部分の処理を概念的に示す断
面図。
【符号の説明】
1 絵柄調整層 1a、1b 絵柄調整層 2 絵柄層 3 べースコート層 4 トップコート層 5 プライマー層 11 面材 12a〜12d 枠材 13 繋ぎ目(境界線) 13a 曲線の繋ぎ目(境界線) 14 ノブ 20a、20b 化粧金属板 21a、21b 切断端面 22 モール B 基材 D 化粧材(化粧金属板等) Pa 絵柄調整層の形成領域 Pb 絵柄調整層の未形成領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾羽林 邦夫 神奈川県愛甲郡愛川町中津4013番地 大日 本エリオ株式会社内 (72)発明者 佐々木 邦雄 神奈川県愛甲郡愛川町中津4013番地 大日 本エリオ株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AB01A AB03 AB18 AK25 AK44 AT00A BA03 BA05 BA07 BA10A BA10C BA10E CA13 CA13B CA13C CC00D CC00E EH46 EH46D EH46E EH71 GB07 GB08 GB31 GB33 GB48 HB00 HB00C HB01 HB31 HB31B HB31C HB31D HB31E HB35B HB35C JN01C

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に、部分的に絵柄調整層を形成し
    た後に、該絵柄調整層の形成領域及び未形成領域の上
    に、該絵柄調整層が透視可能で該形成領域及び未形成領
    域上にわたって同一柄の絵柄層を形成して成る化粧材。
  2. 【請求項2】 基材が金属基板から成り、該基材上にべ
    ースコート層を全面に形成後、絵柄調整層を形成し、次
    いで、絵柄層を形成した後、トップコート層を全面に形
    成して成る、請求項1記載の化粧材。
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