JP4147820B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建装部材である扉、ドア、クローゼットや家電製品の表面装飾用、或いは壁面等の表面化粧材料として用いる、通常グロスマットシートと呼称される化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、化粧シートとして基材シートに透明或いは半透明の塩化ビニル樹脂シート等を使用してその表面に印刷による絵柄層を設けると共に、押し出し同時成形により導管部としての凹部を形成してなる表面化粧材としての化粧シートが知られている。近年、塩化ビニル系樹脂シートについては廃棄や焼却時に生じる塩化水素等の有害ガスが発生する環境問題があることから、近年、ポリオレフィン系樹脂シート等に代わる化粧シートが開発されている。
【0003】
しかしながら、塩化ビニル系樹脂シートについては廃棄や焼却時に生じる塩化水素等の有害ガスが発生する環境問題がある。また、押し出し同時成形による導管部を形成した場合に、この凹部の耐候性が他の部分より弱くなる傾向が見られる。この理由は、導管形成時の凹部に対する紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤(HALS)の絶対量が少なくなる傾向があるからである。これに対して同時成形による導管の凹凸は印刷と異なり立体的で意匠的に優れているので、建装部材用の化粧シートによっては前記の物理的凹凸によるものも使用されている。すなわち、導管部を印刷により単層のフラットにすると化粧シートに立体感が失われ意匠性が著しく劣る問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、樹脂フィルムの表面に光沢を抑えたグロスマットインキを用いて印刷による導管印刷層を設け、その裏面側に光沢を有するインキによる絵柄層や隠蔽層を施して、凹凸を形成しなくとも透明な樹脂フィルムとトップコート層を介して表面の木目柄等の導管部を立体的に見せる意匠性に優れた化粧シートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面に光沢を有する木目柄等の絵柄層と、裏面にプライマーコート層を設けてなる着色樹脂フィルムの、前記絵柄層上に、表面にトップコート層と、このトップコート層上に光沢を調整したインキを用いて導管印刷層を設けた透明な樹脂フィルムとを積層して構成される化粧シートである。
前記構成の化粧シートは、光沢を有する木目絵柄層は裏面の着色フィルムと透明な樹脂フィルムとトップコート層により光沢が調整され、かつ光沢を調整したインキを用いて導管印刷部によりグロスマット調の立体感が得られる。すなわち、着色フィルム上の木目絵柄層が透明な樹脂フィルムを介して最表面の導管印刷層と合成され沈み込むように(埋め込まれたように)視認することができる。
【0007】
また、前記樹脂フィルムが、厚みの異なる透明なフィルムを基材としたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
グロスマット調の立体感が得られる化粧シートは、例えば、透明な樹脂フィルムの一方の面に絵柄層と、この絵柄層を覆うように隠蔽ベタインキ層を設け、この透明な樹脂フィルムの他方の面にはトップコート層と、この上に光沢を調整したインキを用いて導管印刷層を設けた単層で構成された凹凸がなくとも立体的に導管が見える化粧シートである。
さらに、前記立体感効果を向上させた化粧シートとして、表面に光沢を有する絵柄層と、裏面にプライマーコート層を設けてなる着色樹脂フィルムの、前記絵柄層表面に、トップコート層と、このトップコート層上に光沢を調整したインキを用いて導管印刷層を設けた透明な樹脂フィルムとを積層した化粧シートである。
前記構成の化粧シートは、着色樹脂フィルムの絵柄層の上面と前記樹脂フィルムの裏面側とを重ね合わせラミネートしたにより、立体的に導管が見える効果を向上させることができる。
【0009】
本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の参考例における単層構成の化粧シートを示す断面で表した説明図である。また、図2は、本発明の実施例における複層構成の化粧シートを示す断面で表した説明図である。
【0010】
【実施例】
グロスマット調の立体感が得られる化粧シートは、先ず、図1に示すように、樹脂フィルム(11)の一方の面に木目柄等の絵柄層(12)と、この絵柄層を被覆する隠蔽ベタインキ層(13)とを設け、前記樹脂フィルムの他方の面にはトップコート層(14)と、この上に光沢を調整したインキを用いて導管印刷層(15)を設けた単層の化粧シート(10)である。
【0011】
この化粧シート(10)は、ベースフィルムに透明な樹脂フィルム(11)を用いるもので、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂フィルムを用いることができ、厚みは50μm〜120μm程度の範囲が望ましい。また、このフィルムの片面に設ける木目柄等の絵柄層(12)にはウレタン系のインキを用いた。さらに、この絵柄層(12)上から隠蔽ベタインキ層(13)を設けるもので、無機系の不透明顔料(非重金属製)を混合したインキを用いて隠蔽すると良い。次に、前記透明な樹脂フィルム(11)の他の面上に二液硬化タイプのトップコート層(14)を設け、この上に光沢を調整したインキを用いて導管印刷層(15)を設けることにより、グロスマット効果を有する化粧シートを得た。
【0012】
得られた化粧シート(10)は、透明な樹脂フィルム(11)とトップコート層(14)を介して裏面の隠蔽された木目柄による絵柄層(12)中に表面の導管印刷層(15)が沈み込むように(埋め込まれたように)グロスマット調で、かつ立体的に視認することができる。
【0013】
次に、図2に示すように、表面に光沢を有する木目柄等の絵柄層(22)と、裏面にプライマーコート層(25)を設けてなる着色樹脂フィルム(23)と、表面にトップコート層(24)と、この上に光沢を調整したインキを用いて導管印刷層(15)を設けた透明な樹脂フィルム(21)とを貼り合わせた複層構成の化粧シート(20)である。
【0014】
この着色フィルム(23)は、適宜な色を選択することが可能で、厚みは60μm〜70μmの範囲が好ましい。この表面側には前記同様に木目柄等の絵柄層(22)を設け、この裏面側にはプライマーコート層(25)を設けたもので、ポリエステルやポリウレタン、アクリル等の公知の樹脂を適宜選択することが可能である。貼り合わせる一方の樹脂シートは、同様に、ポリプロピレン、ポリエチレン等の透明な樹脂フィルム(21)を使用するもので、厚みは60μm〜70μm範囲が良い。この透明な樹脂フィルム(21)の表面側に二液硬化タイプのトップコート層(24)を設け、さらにこの表面に光沢を調整したインキを用いて導管印刷層(15)を設けたものである。
【0015】
次に、前記絵柄層を設けた着色フィルム(23)と前記導管印刷層(15)を設けた透明樹脂フィルム(21)とを、絵柄層と透明樹脂フィルムの裏面側とを合わせてアンカーコート層を介してドライラミネート、或いは押し出しラミネートにより貼り合わせることで、複層で構成される化粧シートを得た。
【0016】
得られた化粧シート(20)は、着色フィルム上の木目柄等による光沢を有する絵柄層(22)中に透明樹脂シート(21)とトップコート層(24)を介して光沢が調整された表面の導管印刷層(15)が沈み込むように(埋め込まれたように)目視され、凹凸がないフラット印刷であっても立体的に視認することができる。
【0017】
なお、前記化粧シートにおける絵柄層、隠蔽層、導管印刷層等の印刷はグラビア印刷、オフセット印刷スクリーン印刷等公知の印刷方法を適宜選択することができる。
【0018】
<参考例>図1に基づき参考例を説明する。先ず、ロール状に形成された厚み120μmのポリプロピレン樹脂による透明な樹脂フィルムを基材として、このフィルムの一方の面にグラビア印刷によりウレタン系のインキによるオーク材の木目絵柄層を印刷し、さらにこの上から無機顔料を添加した不透明インキにより隠蔽ベタインキ層を設け絵柄層を隠蔽したものである。一方このフィルムの他の面には、二液硬化型のトップコート層を設け、この上に光沢を調整したインキを用いて導管印刷部を施し、総厚が約120μm程度の単層構成による化粧シートを得た。なお、この化粧シートは、光沢を有する木目絵柄層は透明な樹脂フィルムとトップコート層により光沢が調整され、かつ光沢を調整したインキを用いて導管印刷部によりグロスマット調の立体感が得られる。
【0019】
<実施例>図2に基づき実施例を説明する。先ず、ロール状に形成された厚み60μmのポリエチレン樹脂による茶色系の着色フィルムの表面側にウレタン系のインキによりオーク材の木目絵柄層を印刷し、この着色フィルムの裏面側にプライマーコート層を厚み1μm程度にコーティングして1層目の基材とした。
次に、ロール状に形成された厚み60μmのポリエチレン樹脂による透明な樹脂フィルムの表面側に、二液硬化型のトップコート層を設け、さらにこの上に光沢を調整したインキを用いて導管印刷部を施し、このフィルムの裏面側にはアンカーコート層を付与して2層目の基材とした。
次に、前記1層目の着色フィルムの絵柄層側と前記2層目の透明な樹脂フィルムのアンカーコート層側を重ね合わせてドライラミネートにより貼り合わせて、総厚みが120μm程度の複層構成の化粧シートを得た。
この化粧シートは、光沢を有する木目絵柄層は裏面の着色フィルムと透明な樹脂フィルムとトップコート層により光沢が調整され、かつ光沢を調整したインキを用いて導管印刷部によりグロスマット調の立体感が得られる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。すなわち、複層構成の化粧シートは、物理的な凹凸形成は無いフラットシートであるがグロスマット処理(光沢を有する木目絵柄層は透明な樹脂フィルムとトップコート層により光沢が調整され、かつ光沢を調整したインキを用いて導管印刷部)により木目柄中に導管の凹凸が形成されているように立体的に視認することができる化粧シートである。複層構成の化粧シートは、光沢を有する木目絵柄層は裏面の着色フィルムと透明な樹脂フィルムとトップコート層により光沢が調整され、かつ光沢を調整したインキを用いて導管印刷部によりグロスマット調の立体感が得られる。すなわち、着色フィルム上の木目絵柄層が透明な樹脂フィルムを介して最表面の導管印刷層と合成され沈み込むように(埋め込まれたように)視認することができ、さらに加えて立体的な意匠性が得られる等の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例における単層構成の化粧シートを示す断面で表した説明図である。
【図2】本発明の実施例における二層構成の化粧シートを示す断面で表した説明図である。
【符号の説明】
10……一層構成の化粧シート
11,21……透明な樹脂フィルム
12,22……木目絵柄層
13……隠蔽ベタインキ層
14,24……トップコート層
15……導管印刷層
20……二層構成の化粧シート
25……プライマーコート層
Claims (2)
- 表面に光沢を有する木目柄等の絵柄層と、裏面にプライマーコート層を設けてなる厚みが60〜70μmの着色樹脂フィルムの、前記絵柄層上に、表面にトップコート層と、このトップコート層上に光沢を調整したインキを用いて導管印刷層を設けた厚みが60〜70μmの透明な樹脂フィルムとを積層して構成されることを特徴とする化粧シート。
- 前記透明な樹脂フィルムは、下面にアンカーコート層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
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