JP2001029883A - 塗装鋼板 - Google Patents

塗装鋼板

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JP2001029883A
JP2001029883A JP11203831A JP20383199A JP2001029883A JP 2001029883 A JP2001029883 A JP 2001029883A JP 11203831 A JP11203831 A JP 11203831A JP 20383199 A JP20383199 A JP 20383199A JP 2001029883 A JP2001029883 A JP 2001029883A
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Japan
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steel sheet
polyester resin
oxide sol
paint
aluminum
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JP11203831A
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English (en)
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Seiji Fujiwara
誠司 藤原
Tsutomu Ikeda
勉 池田
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Daido Steel Sheet Corp
Original Assignee
Daido Steel Sheet Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐汚染性、汚染除去性、耐候(光)性が優れ
ると共に、更に耐食性及び加工性が優れた塗装鋼板を提
供する。 【解決手段】 鋼板の表面に、クロム酸塩を主体とした
防錆顔料が配合されたエポキシ樹脂系塗料にて下塗り塗
装被膜を形成する。この下塗り塗装被膜の表面に無機酸
化物ゾルの分散体が配合されたポリエステル樹脂系塗料
にて上塗り塗装被膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性、耐汚染性
及び汚染除去性に優れ、かつ良好な加工性、耐薬品性を
有する塗装鋼板に鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、大気汚染等の環境変化に伴い、空
気中に含まれる油滴や塵埃等が多くなり、その結果、建
築材料等として使用される塗装鋼板が、以前に比べて汚
染されやすく、しかもその汚れが除去しにくい等の問題
が生じている。従って、塗装鋼板の性能として汚染に対
する耐性、すなわち耐汚染性や、汚染された塗装鋼板か
らの汚染物の除去性、すなわち汚染除去性が望まれるよ
うになってきた。このような事情から、耐汚染性、耐汚
染除去性、耐候(光)性に優れ、かつ光沢、外観、耐水
性、耐薬品性の良好な塗膜を与える上、環境保全性及び
安全性に優れた塗装鋼板の創出が望まれていた。
【0003】従来使用されてきた耐汚染性を有する塗装
鋼板としては、塗料として含フッ素樹脂を主成分とする
ものを使用していたものであり、その耐汚染性は含フッ
素樹脂の高耐候性によるものであった。含フッ素樹脂
は、(1)フッ素原子−炭素原子間の結合エネルギーの
大きさが、水素原子−炭素原子間の結合エネルギーより
も大きいことに起因する安定性、並びに(2)水素原子
よりもフッ素原子の原子半径が大きいこと、及びフッ素
分子間の分極率が低い(0.68×10-24cc)ため
表面エネルギーが低いことに起因する撥水性、撥油性に
よりその機能を発現している。
【0004】しかしながら、含フッ素樹脂は、フッ素原
子の強い電気陰性度に起因し、樹脂設計の範囲が制限さ
れること、含フッ素樹脂の価格が高いこと、含フッ素モ
ノマーの中には溶媒に対する溶解性が制限されるものが
あること、含フッ素樹脂を用いた塗膜を形成した金属板
の廃棄処理の段階においてフッ化水素酸が発生すること
により環境に対する悪影響が懸念されることなどの問題
点があり、従って高機能が発現されるものの、価格、使
用に関する制限、廃棄時の環境への悪影響といった問題
点がクローズアップされている。
【0005】一方、最近、耐汚染性組成物として、有機
ケイ素化合物の部分縮合物と特定のシリカ微粒子を配合
してなるコーティング組成物が提案されている(特開平
2−3468号公報)。しかしながら、この公報におい
ては、コーティング組成物に使用する樹脂成分について
詳細な説明がなされていない。更に、アクリルポリオー
ル樹脂、結合剤、無機質オルガノゾル及び溶剤を含有す
る塗料用組成物が提案されている(特開平4−1738
82号公報)。しかしながら、この塗料用組成物は、耐
汚染性及び耐候(光)性についてはある程度改善されて
いるものの、汚染除去性が不十分であるという欠点を有
している。
【0006】また塗装鋼板を建築材料等に使用するにあ
たっては、耐食性及び加工性に優れることが求められる
ものである。
【0007】しかし、耐汚染性、汚染除去性、耐候
(光)性が優れると共に、更に耐食性及び加工性が優れ
た塗装鋼板は、未だ見いだされていないのが実状であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
みてなされたものであり、耐候(光)性、耐汚染性及び
汚染除去性に優れ、かつ良好な加工性、耐薬品性、耐食
性を有する塗装鋼板を提供することを目的とするもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
塗装鋼板は、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金
めっき鋼板及びステンレス鋼板から選択される鋼板の表
面に、クロム酸塩を主体とした防錆顔料が配合されたエ
ポキシ樹脂系塗料にて下塗り塗装被膜を形成し、この下
塗り塗装被膜の表面に無機酸化物ゾルの分散体が配合さ
れたポリエステル樹脂系塗料にて上塗り塗装被膜を形成
して成ることを特徴とするものである。
【0010】また本発明の請求項2に係る塗装鋼板は、
請求項1の構成に加えて、無機酸化物ゾルの分散体とし
て、シランカップリング剤で表面処理が施された酸化ア
ルミニウムゾル、酸化ケイ素ゾル、酸化ジルコニウムゾ
ル、及び酸化アンチモンゾルから選択された少なくとも
一種以上のものを用い、ポリエステル樹脂系塗料を中の
無機酸化物ゾルの分散体の配合量を、ポリエステル樹脂
系塗料の全量に対して5〜60重量%として成ることを
特徴とするものである。
【0011】また本発明の請求項3に係る塗装鋼板は、
請求項1又は2の構成に加えて、上記ポリエステル樹脂
系塗料として、樹脂として(A)数平均分子量が100
0〜5000、ガラス転移温度が−30〜60℃、水酸
基価が50〜150mgKOH/g、酸価が1〜25m
gKOH/gであるポリエステル樹脂を、硬化剤として
(B)熱解離型ブロックイソシアネート基を一分子中に
少なくとも2個有するポリイソシアネート化合物を含有
し、(A)成分中のヒドロキシル基に対する(B)成分
中のイソシアネート基のモル比が0.9〜1.1の範囲
であり、このポリエステル樹脂系塗料にて形成される上
塗り塗装被膜のガラス転移温度が10〜80℃、破断伸
率が5%以上となるものを用いて成ることを特徴とする
ものである。
【0012】また本発明の請求項4に係る塗装鋼板は、
請求項1乃至3のいずれかの構成に加えて、上記エポキ
シ樹脂系塗料として、クロム酸塩を主体とする防錆顔料
が5〜60重量%配合されたものを用いて成ることを特
徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0014】本発明にて用いる鋼板としては、アルミニ
ウム−亜鉛合金めっき鋼板、亜鉛めっき鋼板及びステン
レス鋼板を挙げることができる。
【0015】亜鉛めっき鋼板は、軟鋼板等の鋼板を溶融
亜鉛めっき浴に浸漬する等して、鋼板表面に亜鉛めっき
層を形成したものである。ここで溶融亜鉛めっき浴中に
おいては、溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性、塗膜等との密
着性等の特性を損なわない他の物質、例えば従来から溶
融亜鉛めっきのための溶融亜鉛浴に許容されている不純
物や、他の意識的な添加物が存在しても良いものであ
り、例えば各原料成分中に含まれる鉛、鉄、銅、カドミ
ウム、スズ等の微量の不純物、鉄、銅、鉛等のような製
造工程上不可避的に混入される不純物、マンガン、ス
ズ、ニッケル、モリブデン、タングステン、コバルト、
クロム、チタン、カドミウム、アンチモン、ランタン、
セレン等の添加物等の成分が含まれても良いものであ
る。これらの不純物や添加物等の混入量は特に制限され
るものではないが、溶融亜鉛めっき層全体に対して1重
量%以下であれば、許容されるものである。また銅、カ
ドミウム、スズ、アンチモン及び鉛の混入量をできるだ
け低減させるようにすることが好ましいものである。
【0016】また鋼板表面に形成する溶融亜鉛めっき層
の付着量は、特に制限されるものではないが、防錆性の
向上の点から、鋼板の表裏両面合わせて180〜280
g/m2とすることが好ましい。
【0017】またアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板
は、軟鋼板等の鋼板の表面に、アルミニウム、亜鉛、及
び必要に応じて添加される他の金属成分を含む合金めっ
き層を形成したものである。この合金めっき層の組成と
しては、特に限定するものではないが、例えば、アルミ
ニウムを4〜10重量%、残りの大半を亜鉛及びCe−
Laを配合した合金めっきを施した、いわゆる低アルミ
ニウム−亜鉛合金めっき鋼板や、鋼板の表面に、25〜
75重量%のアルミニウムと、アルミニウムの含有量に
対して0.5重量%以上のケイ素とを含有し、残部は本
質的に亜鉛からなる合金めっき層を形成したいわゆる高
アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板を用いることができ
る。
【0018】上記のようなめっきを鋼板に施すにあたっ
ては、亜鉛、アルミニウム、ケイ素等を、所望のめっき
層の組成と同一の配合割合で含む溶融金属浴に、基材と
なる鋼板を浸漬させる等の公知の手段を用いることがで
きる。このときのめっき層形成条件は、特に限定するも
のではないが、例えば550〜650℃の溶融金属浴
に、鋼板を1〜10秒間浸漬した後、20〜40℃/秒
の冷却速度で冷却することにより、合金めっき鋼板を得
ることができる。
【0019】ここで合金めっき層中のアルミニウムの割
合を25〜75重量%とした高アルミニウム−亜鉛合金
めっき鋼板においては、合金めっき鋼板を成形する際に
合金めっき層にひび割れが生じたりフレーク化したりす
ることを防ぐことができるものであり、そのためには、
より好ましくはアルミニウムの配合割合を40〜75重
量%とするものである。
【0020】また合金めっき層中にアルミニウム含有量
に対して0.5重量%以上のケイ素を含有させると、鋼
板に合金めっき層を形成するにあたり、鋼板表面と合金
めっきとの界面における、もろい鉄含有合金層が形成さ
れることを抑制して、鋼板表面とめっき層との密着性を
向上することができるものである。ここで、ケイ素の含
有量の上限は限定されるものではないが、特に上限を設
定するとすれば、アルミニウム含有量に対して10重量
%以下とするものであり、10重量%を超えるともろい
鉄含有層の形成を抑制する効果が飽和すると共に、めっ
き層の加工性の低下を招くおそれがある。
【0021】めっき層の組成において、アルミニウム、
ケイ素を除く残部は、本質的に亜鉛であるが、ここで本
質的にとは、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の耐食
性、塗膜等との密着性等の特性を損なわない他の物質、
例えば従来から合金めっきのための溶融金属浴に許容さ
れている不純物や、他の意識的な添加物が存在しても良
いことを示すものであり、例えば各原料成分中に含まれ
る鉛、鉄、銅、カドミウム、スズ等の微量の不純物、
鉄、銅、鉛等のような製造工程上不可避的に混入される
不純物、マンガン、スズ、ニッケル、モリブデン、タン
グステン、コバルト、クロム、チタン、カドミウム、ア
ンチモン、ランタン、セレン等の添加物等の、本発明の
必須成分以外の成分が含まれても良いものである。これ
らの不純物や添加物等の混入量は特に制限されるもので
はないが、合金めっき層全体に対して1重量%以下であ
れば、許容されるものである。また銅、カドミウム、ス
ズ、アンチモン及び鉛の混入量をできるだけ低減させる
ようにすることが好ましいものである。
【0022】また鋼板表面に形成する合金めっき層の付
着量は、特に制限されるものではないが、付着量が少な
いと、合金めっき層に耐食性を付与するための充分な厚
みが得られなくなり、また付着量が多すぎると、屈曲加
工を施した際に発生するクラックが大きくなったり、合
金めっきが鋼板表面から剥離しやすくなって、いずれの
場合も耐食性が低下する傾向が生じるものであり、充分
な耐食性及び合金めっき層の密着性を得るためには、好
ましくは、鋼板の表裏両面合わせて40〜250g/m
2とするものである。
【0023】またステンレス鋼板としては、例えばSU
S304製のものを用いることができる。
【0024】上記のような鋼板表面に下塗り塗装被膜を
形成するために用いる下塗り塗料として、クロム酸塩を
主体とした防錆顔料が配合されたエポキシ樹脂系塗料を
用いるものである。
【0025】この防錆顔料としては、例えばクロム酸ス
トロンチウムとクロム酸カルシウムを併用使用すること
ができ、このときその比率はクロム酸ストロンチウム/
クロム酸カルシウム=80/20〜5/95の重量比で
配合することが好ましい。クロム酸ストロンチウム/ク
ロム酸カルシウムの重量比率が5/95以上にクロム酸
カルシウムの量が多くなると、防錆に対する持続効果が
低下するおそれがあり、80/20以下に量が減ると防
錆効果が低下するおそれがある。
【0026】エポキシ樹脂系塗料は、上記のエポキシ樹
脂ワニスやエポキシウレタン樹脂ワニスに、酸化チタ
ン、微粉末クレー、炭酸カルシウム等の体質顔料、及び
上記防錆顔料を分散させて得たものを用いることができ
る。エポキシ樹脂系塗料中の防錆顔料の配合割合は、エ
ポキシ樹脂系塗料全量に対して5〜60重量%とするこ
とが、防錆性、被覆膜の密着性、及び曲げ加工性の向上
の点で好ましく、この配合割合が5重量%に満たないと
防錆性向上の効果が充分に得られなくなるおそれがあ
り、この配合割合が60重量%を超えると密着性及び曲
げ加工性向上の効果が充分に得られなくなるおそれがあ
って、好ましくないものである。
【0027】このような組成を有するエポキシ樹脂系塗
料を、上記のような金属板の表面に塗布した後乾燥硬化
させて、下塗り塗装被膜を形成するものである。エポキ
シ樹脂系塗料の塗布にあたっては、金属板の表面の油
脂、埃等の汚れを除去した後に、浸漬、スプレー、はけ
塗り、ロールコーター、エアーナイフ、静電塗布等の通
常の塗布手段を用いて塗布を行うことができる。そして
このようにエポキシ樹脂系塗料が塗布された金属板を、
熱風乾燥炉や誘電加熱装置等を通して加熱することによ
って、エポキシ樹脂系塗料から水分を蒸発させて乾燥造
膜させ、金属板の表面に下塗り塗装被膜を形成するもの
である。
【0028】またこの下塗り塗装被膜は、その遊離被膜
(フリーフィルム)を10(mm/min)の変形速度
で引っ張った際の破断伸率が3〜30%となるように形
成することが好ましく、この破断伸率が3%に満たない
と得られる塗装鋼板の加工性が乏しくなるおそれがあ
り、30%を超える被覆膜の塗膜硬度が低下したり、耐
疵付き性が低下するおそれがあって好ましくない。ここ
でこの破断伸率の測定は、例えば株式会社オリエンテッ
ク製の力能静的引張試験機(品番「TENSILON
UTM−III−200」)を用いて測定することができ
る。
【0029】一方、本発明にて、上塗り塗料として用い
るポリエステル樹脂系塗料において、(A)成分として
用いられる樹脂は、ポリエステル樹脂又はシリコーン変
性ポリエステル樹脂であり、それらのポリエステル樹脂
及びシリコーン変性ポリエステル樹脂は、水酸基を有
し、かつ数平均分子量が1000〜5000であること
が好ましい。数平均分子量が1000未満の場合は、こ
のポリエステル樹脂系塗料にて上塗り塗装被膜を形成し
たとき架橋密度が高くなりすぎるため柔軟性が低下し、
加工性に問題を生じるおそれがある。また、数平均分子
量が5000を超えると、溶液の粘度が高くなり、取扱
いが困難となり、上塗り塗料とした場合の塗装作業性に
問題を生じるおそれがある。ポリエステル樹脂又はシリ
コーン変性ポリエステル樹脂の水酸基は、ポリイソシア
ネート化合物又はメラミン樹脂との加熱硬化反応に不可
欠な官能基である。ポリエステル樹脂又はシリコーン変
性ポリエステル樹脂の水酸基価は50〜150mgKO
H/gの範囲が好ましく、水酸基価が50mgKOH/
gに満たないと、ポリエステル樹脂系塗料の硬化性が低
くなって、得られる上塗り塗装被膜に充分な被膜硬度が
得られなくなったり、耐溶剤性が低下するおそれがあ
り、また水酸基価が150mgKOH/gを超えると、
得られる上塗り塗装被膜の塗膜加工性が低下するおそれ
があって好ましくない。またこのポリエステル樹脂又は
シリコーン変性ポリエステル樹脂の酸価は1〜25mg
KOH/gの範囲が好ましい。またポリエステル樹脂又
はシリコーン変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度
は、−30〜60℃であることが好ましく、ガラス転移
温度が−30℃に満たないと、得られる上塗り塗装被膜
の硬度が低下するおそれがあり、ガラス転移温度が60
℃を超えると、得られる上塗り塗装被膜の塗膜加工性が
低下するおそれがあって好ましくない。
【0030】(A)成分として用いられるポリエステル
樹脂は、直接エステル化法、エステル交換法、開環重合
法などの公知の方法を用いて製造することができる。直
接エステル化法の具体例としては、例えば、多価カルボ
ン酸と多価アルコールを重縮合する方法がある。多価カ
ルボン酸としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、
セバチン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、
テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸
などの二塩基酸類及びそれらの無水物類、トリメリット
酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメ
リット酸などの三価以上の多価カルボン酸類及びそれら
の無水物類などが挙げられる。また、多価アルコールと
してはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオー
ル類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトールなどの三価以上の
多価アルコール類などが挙げられる。また、ポリエステ
ル樹脂は、多価カルボン酸の低級アルキルエステルと多
価アルコールとのエステル交換による縮重合によっても
製造することができる。さらに、ポリエステル樹脂は、
β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプ
ロラクトンなどのラクトン類の開環重合によっても製造
することができる。市販されているこのようなポリエス
テル樹脂としては、例えば、「アラキード7055」
(商品名、荒川化学工業株式会社製)、「ベッコライト
M−6003−30」(商品名、大日本インキ化学工
業株式会社製)、「エスペル1612」(商品名、日立
化成工業株式会社製)などを挙げることができる。ま
た、本発明のポリエステル樹脂としては、いわゆるリニ
アポリエステル樹脂と称される直鎖構造の高分子ポリエ
ステル樹脂も含まれる。
【0031】本発明に使用できるシリコーン変性ポリエ
ステル樹脂は、例えば、上記のポリエステル樹脂におい
て使用した多価アルコール及び多塩基酸に、さらに両末
端に水酸基を有する反応性シリコーンオリゴマーなどの
シリコーン中間体を加えて、220〜280℃で縮合重
合させて製造できる。多価アルコール及びシリコーン中
間体の水酸基と多塩基酸のカルボキシル基との当量比
は、1:1〜1.5:1とすることが好ましい。シリコ
ーン中間体としては、例えば、「TSR−165」(商
品名、東芝シリコーン株式会社製)、「SH6018」
(商品名、東レダウコーニングシリコーン株式会社
製)、「KR218」(商品名、信越化学工業株式会社
製)などの市販品を使用することができる。あるいは、
多価アルコール及び多塩基酸に両末端にカルボキシル基
を有する反応性シリコーンオリゴマーのようなシリコー
ン中間体を加えて縮合重合することも可能である。多価
アルコールの水酸基と多塩基酸及びシリコーン中間体の
カルボキシル基の当量比は、1:1〜1.5:1とする
ことが好ましい。
【0032】本発明にて用いるポリエステル樹脂系塗料
において、(B)成分の硬化剤として、熱解離型ブロッ
クイソシアネート基を1分子中に少なくとも2個含有す
るポリイソシアネート化合物を用いることができる。一
分子中の熱解離型ブロックイソシアネート基の個数が2
個未満であると、架橋構造を形成せず、塗膜形成能が発
現しなくなる点で好ましくない。ここで一分子中の熱解
離型ブロックイソシアネート基の個数の上限は特に限定
はされないが、実用上の上限は6個となると考えられ、
この範囲において、架橋構造を形成して充分な塗膜形成
能を発現できるものである。
【0033】このようなポリイソシアネート化合物の例
としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジ
イソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−
ジイソシアネートのようなイソシアネートモノマーと呼
ばれる化合物、これらのビウレット体、イソシアヌレー
ト体、トリメチロールプロパンのアダクト体のようなポ
リイソシアネート誘導体などの、ポリイソシアネート化
合物のイソシアネート基の一部又は全部をブロック剤で
ブロック化して製造したものが挙げられる。このブロッ
ク化剤の例としては、例えば、ε−カプロラクタム、メ
チルエチルケトオキシム、メチルイソアミルケトオキシ
ム、メチルイソブチルケトオキシムなどのケトオキシム
系ブロック化剤、フェノール、クレゾール、カテコー
ル、ニトロフェノールなどのフェノール系ブロック化
剤、イソプロパノール、トリメチロールプロパンなどの
アルコール系ブロック化剤、マロン酸エステル、アセト
酢酸エステルなどの活性メチレン系ブロック化剤などが
挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、1
種用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0034】本発明にて用いるポリエステル樹脂系塗料
においては、(A)成分と(B)成分の配合割合は、
(A)成分のヒドロキシル基に対する(B)成分中の熱
解離型ブロックイソシアネート基のモル比が0.9〜
1.1の範囲であることが好ましい。このモル比が0.
9未満であると、(B)成分のポリイソシアネート化合
物と(A)成分の樹脂との架橋反応に際し、樹脂中のヒ
ドロキシル基が一部未反応で残存することがあり、得ら
れる上塗り塗装被膜の耐水性や耐湿性が低下し、ひいて
は上塗り塗装被膜の耐候性が悪化する原因となることが
ある。一方、モル比が1.1を超えると熱解離型ブロッ
クイソシアネート基が未反応で残存することがあり、こ
の場合も上塗り塗装被膜の耐水性や耐湿性が低下し、ひ
いては上塗り塗装被膜の耐候性が悪化する原因となるこ
とがある。
【0035】本発明のポリエステル樹脂系塗料において
は、無機酸化物ゾルの分散体として、酸化アルミニウ
ム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム及び酸化アンチモン
の無機酸化物のゾルの分散体の中から選ばれた少なくと
も1種の無機酸化物ゾルの分散体が用いられる。これら
の無機酸化物ゾルの好ましいものは、酸化ケイ素ゾルで
ある。これらの無機酸化物ゾルは、一般に水系分散体と
して供給されることが多く、水系分散体の場合、塗料組
成物が水系であれば、そのまま使用することができる
が、有機溶媒系であれば、所望の有機溶媒中に相転換す
る方法等を用いることができる。使用する有機溶媒で好
ましいものは、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノンなどのケトン系溶媒である。この相転換の方法とし
ては、例えば、水系分散体中に水可溶な有機溶媒を添加
し、水を留去させる操作を繰り返すことにより、所望の
有機溶媒中に相転換する方法などを用いることができ
る。
【0036】酸化ケイ素ゾルの分散体は、四ハロゲン化
ケイ素を水中に加える、ケイ酸ナトリウム水溶液に酸を
加える等の方法で得ることができる。また、市販品とし
ては、例えば、水系分散体として、「スノーテックス−
O」(商品名、日産化学工業株式会社製)や「スノーテ
ックス−N」(商品名、日産化学工業株式会社製)など
が、有機溶媒分散体としては、「スノーテックスMIB
K−ST」(商品名、日産化学工業株式会社製)などが
挙げられる。無機酸化物ゾルの分散体は、シランカップ
リング剤で表面処理したものが好適であり、特に酸化ケ
イ素ゾルの分散体をシランカップリング剤で表面処理し
たものが好ましい。この表面処理された無機酸化物ゾル
の分散体は、その粒子表面に種々の官能基を導入するこ
とができるため、本発明にて用いるポリエステル樹脂系
塗料において使用する際、(A)成分の樹脂や(B)成
分のポリイソシアネート化合物などの有機成分と化学的
に結合することが容易になる。このようにセラミック成
分と有機成分とが化学的に結合した場合は、化学的に結
合しない場合に比べて上塗り塗装被膜の架橋が強固にな
り、耐汚染性、汚染除去性、耐候性などが向上する。
【0037】シランカップリング剤としては、例えばビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメト
キシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメ
トキシシラン等が挙げられ、好ましくは、メチルトリメ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシランであり、特に好ま
しくはメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシ
シランである。また、市販品としては、「A−16
2」、「A−163」、「AZ−6122」(いずれも
商品名、日本ユニカー株式会社製)等が挙げられる。こ
れらのシランカップリング剤は、1種又は2種以上を組
合せて用いることができる。シランカップリング剤で表
面処理する場合、シランカップリング剤の配合量は、無
機酸化物ゾルの加熱残分に対して1〜40重量%が好ま
しく、5〜30重量%がより好ましい。
【0038】シランカップリング剤で処理された無機酸
化物ゾルの分散体としては、水系無機酸化物ゾルに含ま
れる水を水との共沸溶剤によって共沸蒸留脱水した後
に、無機酸化物ゾルの分散体をシランカップリング剤で
表面処理することにより得られた共沸溶剤分散無機酸化
物ゾルの分散体を使用することが好ましい。特に無機酸
化物ゾルの分散体が、酸化ケイ素ゾルの分散体であるこ
とが、エポキシ樹脂塗料を構成する樹脂に影響を与え
ず、かつ塗料中の分散安定性に優れ、更に安価で入手し
やすい点で好ましい。この製法で得られた無機酸化物ゾ
ルの分散体は、耐汚染性、汚染除去性、耐候性などが向
上する上に、さらに無機酸化物ゾルの高濃度化が可能で
あるため、塗料化しても高加熱残分化し易い。そのた
め、塗装時に粘度調整用シンナーを選択する幅が広く、
上塗り塗装被膜を厚膜にすることも可能である。共沸溶
剤としては、例えば水可溶なアルコール、カルボン酸エ
ステル、環状エーテルなどが挙げられる。水可溶なアル
コールとしては、例えばエタノール、n−プロピルアル
コール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、t−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、エチル
セロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル
エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル
−3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリ
コールなどが挙げられる。水可溶なカルボン酸エステル
としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチルなどが挙げら
れる。水可溶な環状エーテルとしては、1,4−ジオキ
サンなどが挙げられる。
【0039】これらの共沸溶剤は、1種又は2種以上を
組合せて用いることができる。また、水と混和しない溶
剤でも水と混和する溶剤を仲立ちとして、共沸蒸留脱水
効率を上げる目的で使用しても差し支えない。この溶剤
としては、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、シク
ロヘキサノン、ジフェニルエーテル、ジブチルエーテル
などが挙げられる。これらの溶剤は、1種又は2種以上
を組合せて用いることができる。しかし、その使用量
は、ゾルを凝集させない範囲に限られ、溶剤によっても
異なるが、通常1〜10重量%の範囲が好ましい。共沸
蒸留脱水は、共沸溶剤を滴下しながら行うことが好まし
い。共沸蒸留脱水は、30〜100℃の範囲で行われる
ことが好ましく、特に40〜80℃の範囲で行われるこ
とが好ましい。また、共沸蒸留脱水は、減圧下でも常圧
下でも可能であるが、減圧下で行うことが好ましい。共
沸蒸留脱水後の共沸溶剤分散無機酸化物ゾル中の水分含
量は、通常2重量%以下であることが好ましく、特に1
重量%以下であることが好ましい。共沸蒸留脱水後の共
沸溶剤分散無機酸化物ゾルの分散体の濃度は、加熱残分
が55重量%以下であることが好ましく、特に25〜5
5重量%であることが好ましい。
【0040】シランカップリング剤による表面処理は、
共沸蒸留脱水した後の共沸溶剤分散無機酸化物ゾルの分
散体にシランカップリング剤を混合することにより行う
ことができる。シランカップリング剤による表面処理温
度は、特に制限ないが、通常20〜100℃の範囲で行
われることが好ましく、30〜90℃の範囲で行われる
ことがより好ましく、特に40〜80℃の範囲で行われ
ることが好ましい。また、シランカップリング剤による
表面処理時間は、特に制限ないが、通常30分〜48時
間反応させることにより行うことができる。シランカッ
プリング剤による表面処理後の溶剤分散無機酸化物ゾル
中の水分含量は、通常1重量%以下であることが好まし
く、特に0.5重量%以下であることが好ましい。さら
に、共沸溶剤分散無機酸化物ゾルは、必要に応じて所望
の溶剤にて置換することができる。この溶剤置換に使用
できる溶剤としては、例えば前記のアルコール、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホル
ムアミドなどが挙げられる。溶剤置換は、置換に際し使
用する溶剤の種類にもよるが30〜120℃の範囲で行
われることが好ましく、特に40〜110℃の範囲で行
われることが好ましい。
【0041】本発明にて用いるポリエステル樹脂系塗料
においては、無機酸化物ゾルの分散体は1種用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、そ
の配合量は、無機酸化物ゾルの分散体が、ポリエステル
樹脂系塗料全量に対して、好ましくは5〜60重量%に
なるように選ぶ。無機酸化物ゾルの分散体の配合量が5
重量%未満であると、無機酸化物ゾルの分散体を添加し
た効果が十分に発揮されず、上塗り塗装被膜の耐汚染
性、汚染除去性、耐候性、耐酸性の向上効果があまり認
められないし、60重量%を超えると、上塗り塗装被膜
の加工性、光沢、耐湿性、耐薬品性などが低下する傾向
がみられる。上塗り塗装被膜の耐汚染性、汚染除去性、
耐候性、加工性などのバランスの面から、無機酸化物ゾ
ルの分散体の加熱残分は、全加熱残分に対して5〜40
重量%の範囲が更に好ましい。また、無機酸化物ゾルの
分散体は、平均粒径が100nm以下が好ましく、平均
粒径が50nm以下が特に好ましい。平均粒径が100
nmより大きい場合は、クリヤーフィルムでの透明性が
損なわれる上に、上塗り塗装被膜の耐汚染性、汚染除去
性が低下する。平均粒径の下限は、特に制限ないが、1
nm以上が好ましく、特に5nm以上が好ましい。
【0042】本発明にて用いるポリエステル樹脂系塗料
においては硬化反応触媒を用いてもよい。硬化反応触媒
としては、例えばスズ化合物や亜鉛化合物が挙げられ
る。スズ化合物としては、例えば塩化スズ、臭化スズな
どのハロゲン化スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブ
チルスズジラウレートなどの有機スズ化合物などが、亜
鉛化合物としては、例えば、塩化亜鉛、臭化亜鉛などの
ハロゲン化亜鉛、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛など
の有機酸の亜鉛塩などが挙げられる。硬化反応触媒とし
てのスズ化合物や亜鉛化合物は、1種用いてもよいし、
2種以上を組合せて用いてもよく、また他の硬化反応触
媒と併用してもよい。硬化反応触媒は、塗料組成物中の
全加熱残分に対して、0.01〜5重量%の割合で用い
ることが好ましい。この量が0.01重量%未満である
と、硬化反応の促進効果が十分に発揮されないことがあ
るし、5重量%を超えると、上塗り塗装被膜の耐水性や
耐湿性などが低下し、ひいては上塗り塗装被膜の耐汚染
性、汚染除去性、耐候性などが低下する原因となること
がある。硬化速度及び上塗り塗装被膜の物性のバランス
の面から、この硬化反応触媒のより好ましい配合量は、
組成物中の全加熱残分に対して0.01〜2重量%の範
囲である。
【0043】また、本発明にて用いるポリエステル樹脂
系塗料を調製する際に適切な顔料、染料、さらには光輝
剤を適正量配合させてエナメルとしてもその本来の機能
を失うことはない。そのため、クリヤー塗料だけでな
く、着色顔料を配合して被塗物を着色したりするなどの
意匠性を付与することも可能である。また、体質顔料を
配合して上塗り塗装被膜の物性を調節することも可能で
ある。それらの具体例としては、酸化チタン、カーボン
ブラック、有機顔料、ベンガラなどの着色顔料、ガラス
フレーク、アルミニウムフレーク、マイカフレークなど
の着色剤、タルク、シリカ、アルミナなどのフィラー、
ストロンチウムクロメート、硫酸バリウムなどの体質顔
料などが挙げられる。本発明の塗料組成物において、顔
料を含む場合は、顔料の配合割合は、通常0.1〜40
重量%が好ましく、特に0.5〜35重量%が好まし
い。このポリエステル樹脂系塗料の調製方法については
特に制限はなく、各必須成分及び所望の各種添加剤を任
意の順序で混合する方法や、その他様々な方法を用いる
ことができる。
【0044】このようにして得られたポリエステル樹脂
系塗料を、下塗り塗装被膜が形成されたアルミニウム−
亜鉛合金メッキ鋼板の表面に塗布した後、乾燥硬化させ
ることにより、上塗り塗装被膜を形成して、本発明の塗
装アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板を得ることができ
るものである。塗布にあたっては、下塗り塗装被膜が形
成されたアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の表面の油
脂、埃等の汚れを除去した後に、浸漬、スプレー、はけ
塗り、ロールコーター、エアーナイフ、静電塗布等の通
常の塗布手段を用いて塗布を行うことができる。そして
このようにポリエステル樹脂系塗料が塗布された、下塗
り塗装被膜が形成されたアルミニウム−亜鉛合金めっき
鋼板を、熱風乾燥炉や誘電加熱装置等を通して加熱する
ことによって、ポリエステル樹脂系塗料を乾燥造膜させ
て、下塗り塗装被膜の表面に上塗り塗装被膜を形成する
ものである。このポリエステル樹脂系塗料の硬化に要す
る温度及び時間は、各成分の種類や使用する反応触媒に
より左右されるが、室温〜250℃の範囲の温度で、1
0秒〜10時間程度が一般的である。このポリエステル
樹脂系塗料を塗装することにより得られる上塗り塗装被
膜の厚みは、特に制限ないが、通常乾燥後の膜厚が8〜
100μmが好ましい。この膜厚が8μmに満たない
と、耐候性、耐汚染性、汚染除去性、加工性、耐薬品性
等の性能を発揮しないおそれがあり、100μmに満た
ないと塗膜硬度が低下してキズがつきやすくなるおそれ
がある。またこの膜厚は、より好ましくは8〜60μm
とするものである。またこのようにして形成される上塗
り塗装被膜のガラス転移温度は、10〜80℃となるよ
うにすることが好ましく、このガラス転移温度が10℃
に満たないと、塗膜硬度が低下するおそれがあり、ガラ
ス転移温度が80℃を超えると加工性が低下するおそれ
があり、好ましくない。またこの上塗り塗装被膜は、そ
の遊離被膜(フリーフィルム)を10(mm/min)
の変形速度で引っ張った際の破断伸率が5〜40%とな
るようにすることが好ましく、この破断伸率が5%に満
たないと加工性に乏しくなるおそれがあり、40%を超
えると被覆膜の塗膜硬度が低下し、耐疵付き性が低下す
るおそれがあって好ましくない。ここでこの破断伸率の
測定は、下塗り塗装被膜の場合と同様に、例えば株式会
社オリエンテック製の力能静的引張試験機(品番「TE
NSILON UTM−III−200」)を用いて測定
することができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳述する。 (実施例1乃至15) 〈鋼板〉試験に供する鋼板として、下記の鋼板A乃至D
の4種の鋼板を用意した。
【0046】・鋼板A 0.5mm厚の軟鋼板を、55%アルミニウム−亜鉛の
組成を有する約600℃の溶融合金浴に約1秒間浸漬し
た後、約20℃/秒の冷却速度で冷却して、合金めっき
をこの軟鋼板の表裏両面に施し、55%アルミニウム−
亜鉛合金めっき鋼板を作製した。ここで、鋼板表面への
めっき層の付着量は、表裏両面合わせて約150g/m
2とした。
【0047】・鋼板B 0.5mm厚の軟鋼板を、5%アルミニウム−亜鉛の組
成を有する約460℃の溶融合金浴に約1秒間浸漬した
後、約20℃/秒の冷却速度で冷却して、合金めっきを
この軟鋼板の表裏両面に施し、5%アルミニウム−亜鉛
合金めっき鋼板を作製した。ここで、鋼板表面へのめっ
き層の付着量は、表裏両面合わせて約180g/m2
した。
【0048】・鋼板C 0.5mm厚の、SUS304製のステンレス鋼板を用
意した。
【0049】・鋼板D 0.5mm厚の軟鋼板を、約460℃の溶融亜鉛浴に約
1秒間浸漬した後、約20℃/秒の冷却速度で冷却し
て、亜鉛めっきをこの軟鋼板の表裏両面に施し、溶融亜
鉛めっき鋼板を作製した。ここで、鋼板表面へのめっき
層の付着量は、表裏両面合わせて約180g/m2とし
た。
【0050】〈下塗り塗装被膜の形成〉一方、クロム酸
塩、微粉末クレー、酸化チタン、エポキシウレタン樹脂
ワニス(三井化学社製、品番「EP7931」)、キシ
ロール、セロアセ、ブタノールを混合し、顔料粒度が2
0μm以下となるように分散機にて分散した後、メラミ
ン樹脂(アメリカンシアナミド社製、商品名「サイメー
ル301」)を添加した。更にシンナー(キシロール/
セロアセ/ブタノール=1/1/1)を添加して粘度調
整を行い、表1に示す各合成例のエポキシ樹脂系塗料を
得た。
【0051】各実施例につき、表1に示す各合成例で得
たエポキシ樹脂系塗料を、上記のA乃至Dの各鋼板の表
面にロールコートにより塗布し、約195℃で60秒間
加熱して、厚み5μmの下塗り塗装被膜を形成した。こ
の下塗り塗装被膜の、株式会社オリエンテック製の力能
静的引張試験機(品番「TENSILON UTM−II
I−200」)を用い10mm/minの変形速度で測
定した遊離被膜の破断伸率を表3、4に併せて示す。 〈上塗り塗装被膜の形成〉顔料をポリエステル樹脂の一
部及び溶剤と共にペイントシェーカーで粒度が10μm
以下になるまで分散し、残りのポリエステル樹脂及びポ
リイソシアネート化合物及び触媒を添加した。更に、別
容器に無機酸化物沿ゾル及と残りの溶剤を計り取ったも
のを、徐々に少量ずつ加えながら撹拌し、全て加え終わ
った後、充分に撹拌混合して、表3、4に示す組成を有
するポリエステル樹脂系塗料を調製した。
【0052】ここでポリイソシアネート化合物は、ブロ
ックイソシアネート基含有量が8.1重量%のものを用
いた。
【0053】また無機酸化物ゾルとしては、下記のよう
にして得られたものを用いた。
【0054】・酸化ケイ素ゾル 撹拌装置、温度計、ディーン・スタークトップ付きの還
流管及び滴下ロートを装備した反応容器に、「スノーテ
ックMIBK−ST」(日産化学工業株式会社製、酸化
ケイ素ゾルの分散体(平均粒径:30nm)、加熱残
分:30重量%、溶媒:メチルイソブチルケトン)10
00重量部及び「A−163」(日本ユニカー株式会社
製、シランカップリング剤)40重量部を仕込み、加熱
して80℃で8時間保持することにより、シランカップ
リング剤で表面処理された酸化ケイ素ゾル(分散体の平
均粒径:32nm)1020重量部の45%溶液を得
た。
【0055】・酸化アルミニウムゾル 「スノーテックMIBK−ST」の代わりに「アルミナ
ゾル−200」(日産化学株式会社製、酸化アルミニウ
ム)を用いた以外は酸化ケイ素ゾルの場合と同様にし
て、シランカップリング剤で表面処理された酸化アルミ
ニウムゾルの45%溶液を得た。
【0056】・酸化ジルコニウムゾル 「スノーテックMIBK−ST」の代わりに「NZS−
30」(日産化学株式会社製、酸化ジルコニウムゾル)
を用いた以外は酸化ケイ素ゾルの場合と同様にして、シ
ランカップリング剤で表面処理された酸化ジルコニウム
ゾルの45%溶液を得た。
【0057】・酸化アンチモンゾル 「スノーテックMIBK−ST」の代わりに「サンコロ
イドATL−130」(日産化学株式会社製、酸化アン
チモンゾル)を用いた以外は酸化ケイ素ゾルの場合と同
様にして、シランカップリング剤で表面処理された酸化
アンチモンゾルの45%溶液を得た。
【0058】また触媒としてはジブチル錫ジラウリレー
ト10%溶液を、溶剤としてはシクロヘキサノンを用い
た。
【0059】また顔料としては、表2に示す組成を有す
る4種のものを用いた。
【0060】このポリエステル樹脂系塗料を、アルミニ
ウム−亜鉛合金めっき鋼板上に形成した下塗り塗装被膜
の表面にロールコーターにて塗布し、約235℃で約3
0秒間加熱して、厚み20μmの上塗り塗装被膜を形成
した。この上塗り塗装被膜の、株式会社オリエンテック
製の力能静的引張試験機(品番「TENSILONUT
M−III−200」)を用い10mm/minの変形速
度で測定した遊離被膜の破断伸率を表3、4に併せて示
す。 (比較例1乃至3)実施例と同様にしてアルミニウム−
亜鉛合金めっき鋼板に下塗り塗装被膜を形成した。
【0061】また、顔料を表5に示す樹脂Aの一部及び
溶剤と共にペイントシェーカーで粒度が10μm以下に
なるまで分散し、残りの樹脂A、溶剤、及び樹脂Bを加
え、充分に撹拌混合して、表5に示す組成を有する上塗
り塗料を調製した。溶剤としては、ソルベッツ#100
/シクロヘキサンを7/3の重量比で混合した混合溶剤
を用いた。ここでソルベッツ#100は、日鉱石油株式
会社製のC8〜C10の芳香族炭化水素である。
【0062】この上塗り塗料を、アルミニウム−亜鉛合
金めっき鋼板上に形成した下塗り塗装被膜の表面にロー
ルコーターにて塗布し、235±5℃で約30秒間加熱
して、厚み20μmの上塗り塗装被膜を形成した。この
上塗り塗装被膜の、株式会社オリエンテック製の力能静
的引張試験機(品番「TENSILON UTM−III
−200」)を用い10mm/minの変形速度で測定
した遊離被膜の破断伸率、及びガラス転移温度を表5に
併せて示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】上記のようにして得られた各実施例及び比
較例の塗装鋼板について、下記のような評価試験を行っ
た。 (耐汚染性試験)各実施例及び比較例の塗装アルミニウ
ム−亜鉛合金めっき鋼板を、大同鋼板株式会社尼崎製造
所内にて屋外にて垂直に立てて曝露し、その上方に波形
に成形した板を配置して、雨水が板から塗装アルミニウ
ム−亜鉛合金めっき鋼板表面に3本流れ落ちるように
し、この状態で、平成10年6月1日から3か月間放置
した。そして、この塗装アルミニウム−亜鉛合金めっき
鋼板表面に生じた雨筋汚染を水拭きして、雨筋汚染の除
去性を、目視にて観察した。ここで各実施例及び比較例
の塗装アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板としては、上
塗り塗料中に顔料として、上記のシート2に示す顔料1
乃至4がそれぞれ配合された4種類のものについて、観
察を行った。そして観察結果を下記評価基準にて評価し
た結果を表6に示す。 ◎:雨筋汚染が完全に除去。 ○:雨筋汚染の除去性が比較例1よりも良好。 △:雨筋汚染の除去性が比較例1と同等。 ×:雨筋汚染の除去性が比較例1よりも劣る。
【0069】また特に実施例1及び比較例1乃至3の塗
装アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板として、上塗り塗
料中に顔料として顔料1が配合されたものについて、雨
筋汚染の水拭きを行った状態を撮影した写真を図1に示
す。
【0070】
【表6】
【0071】表6及び図1により、実施例1〜15で
は、比較例1よりも耐汚染性が良好であり、また比較例
2、3と比べても同等以上の耐汚染性を有することが確
認できた。 (加工性試験)各実施例及び比較例の塗装アルミニウム
−亜鉛合金めっき鋼板を、20℃又は5℃の室内に1時
間おいた後、塗面を外側にして180度曲げて、折り曲
げ部分を30倍のスコープで見てワレが発生しなくなる
T数を測定した。T数とは、折り曲げ部分の内側に何も
挟まず、180度折り曲げを行った場合を0T、塗装ア
ルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板と同じ厚さの板を1枚
挟んで折り曲げた場合を1T、2枚、3枚、4枚を挟ん
だ場合をそれぞれ2T、3T、4Tと表した。ここで各
実施例及び比較例の塗装アルミニウム−亜鉛合金めっき
鋼板としては、上塗り塗料中に顔料として顔料2乃至4
がそれぞれ配合された3種類のものについて、測定を行
った。測定結果を下記評価基準にて表7に示す。 ◎:5T折り曲げでクラック発生なし。 ○:7T折り曲げでクラック発生なし。 △:8T折り曲げでクラック発生なし。 ×:8T折り曲げでクラックが発生。
【0072】また特に実施例1及び比較例1乃至3の塗
装アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板として、上塗り塗
料中に顔料として顔料3が配合されたものについて、5
〜20℃における6T折り曲げ及び7T折り曲げを行っ
た際の、折り曲げ部分を撮影した写真を図2に示す。
【0073】
【表7】
【0074】表7及び図2から、実施例1〜15では、
比較例1〜3よりも優れた加工性を有することが確認で
きた。
【0075】(塩水噴霧試験)各実施例及び比較例の塗
装アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板について、上記加
工試験の条件にて6T折り曲げを実施した試料の折り曲
げ部に、5±0.5%の濃度の塩水を噴霧した。この噴
霧試験を1000時間行った場合、及び2000時間行
った場合について、それぞれ折り曲げ部の錆発生の有無
を目視で観察し、下記の評価基準にて評価した。 ・◎:折り曲げ部全面における白錆発生面積1%未満 ・○:折り曲げ部全面における白錆発生面積1%以上3
0%未満 ・△:折り曲げ部全面における白錆発生面積30%以上
70%未満 ・×:折り曲げ部全面における白錆発生面積70%以上 結果を表8に示す。
【0076】
【表8】
【0077】表8から、実施例1〜15では、比較例1
〜3よりも耐食性が優れ、特に溶融亜鉛めっき鋼板及び
アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板において、耐食性の
向上の効果が著しいことが確認された。
【0078】(促進耐候性試験)各実施例及び比較例の
塗装アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板について、サン
シャインカーボンアーク灯式耐候性試験機を用い、JI
S D 0205 5.4に準拠して促進耐候性試験を
行った。ここで温度条件は63℃とした。そして500
時間ごとの光沢の保持率(%)をJIS K‐5400
(1990)7.6に準拠して求め、下記評価基準にて
評価した。 ・◎:76%以上 ・○:51%以上76%未満 ・△:26%以上50%未満 ・×:26%未満 また測定機として日本電色工業株式会社製の品番SE2
000を用いて変退色(ΔE)を測定し、下記評価基準
にて評価した。 ・◎:1.0未満 ・○:1.0以上2.0未満 ・△:2.0以上3.0未満 ・×:3.0以上 ここで各実施例及び比較例の塗装アルミニウム−亜鉛合
金めっき鋼板としては、上塗り塗料中に顔料として顔料
1又は顔料3が配合された2種類のものについて、測定
を行った。試験開始後1500時間経過時、及び200
0時間経過時の測定結果を表9に示す。
【0079】また特に実施例1及び比較例1乃至3のも
のにおける、500時間ごとの測定結果を示すグラフを
図3に示す。ここで図3中、(a)は顔料1を用いた場
合の光沢保持率、(b)は顔料1を用いた場合の変退
色、(c)は顔料3を用いた場合の光沢保持率、(d)
は顔料3を用いた場合の変退色をそれぞれ示すものであ
り、図3(a)乃至(d)中の○は実施例1、●は比較
例1、□は比較例2、△は比較例3における測定結果を
示すものである。
【0080】
【表9】
【0081】表9及び図3から、実施例1〜15では比
較例1〜3よりも耐候性に優れるkとが確認された。 (屋外曝露試験)沖縄県及び静岡県において、各実施例
及び比較例の塗装アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の
屋外暴露試験を2年間行った。そして2年間経過時の光
沢の保持率(%)をJIS K‐5400(1990)
7.6に準拠して求め、また促進耐候性試験の場合と同
様にして変退色(ΔE)を求めて、上記促進耐候性試験
の場合と同一の評価基準にて評価した。
【0082】ここで各実施例及び比較例の塗装アルミニ
ウム−亜鉛合金めっき鋼板としては、上塗り塗料中に顔
料として顔料1が配合されたものについて、測定を行っ
た。この試験結果を表10に示す。
【0083】
【表10】
【0084】表10から、実施例1〜15では、比較例
1〜3よりも耐候性に優れることが確認された。 (耐薬品性試験)各実施例及び比較例の塗装アルミニウ
ム−亜鉛合金めっき鋼板を、5%の塩酸溶液又は5%の
硫酸溶液に浸漬し、ブリスターが発生するまでの時間を
測定し、下記評価基準にて評価した。 ・◎:300時間以上 ・○:200時間以上300時間未満 ・△:100時間以上200時間未満 ・×:100時間未満 ここで各実施例及び比較例の塗装アルミニウム−亜鉛合
金めっき鋼板としては、上塗り塗料中に顔料として顔料
3が配合されたものについて、測定を行った。この試験
結果を表11に示す。
【0085】
【表11】
【0086】表11から、実施例1〜15では、比較例
1〜3よりも耐薬品性(耐酸性)が優れていることが確
認できた。 (鉛筆硬度測定)各実施例及び比較例の塗装アルミニウ
ム−亜鉛合金めっき鋼板の上塗り被膜の硬度を、JIS
K−5400(1990)8.4.2に準拠して求め
た。ここで各実施例及び比較例の塗装アルミニウム−亜
鉛合金めっき鋼板としては、上塗り塗料中に顔料として
顔料3が配合されたものについて、測定を行った。この
測定結果を表12に示す。
【0087】
【表12】
【0088】表12から、実施例1〜15では、比較例
1〜3に劣らない被膜硬度を有し、特に実施例12、1
3、15と他の実施例とを比較することにより、(A)
成分の水酸基価を調整して被膜硬度を向上することがで
きることが確認された。
【0089】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る塗
装鋼板は、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金め
っき鋼板及びステンレス鋼板から選択される鋼板の表面
に、クロム酸塩を主体とした防錆顔料が配合されたエポ
キシ樹脂系塗料にて下塗り塗装被膜を形成し、この下塗
り塗装被膜の表面に無機酸化物ゾルの分散体が配合され
たポリエステル樹脂系塗料にて上塗り塗装被膜を形成す
るものであり、耐汚染性、汚染除去性、耐候(光)性が
優れると共に、更に耐食性及び加工性が優れた耐候性、
耐汚染性及び汚染除去性に優れ、かつ良好な加工性、耐
薬品性を有する塗装鋼板を得ることができるものであ
る。
【0090】また本発明の請求項2に係る塗装鋼板は、
請求項1の構成に加えて、無機酸化物ゾルの分散体とし
て、シランカップリング剤で表面処理が施された酸化ア
ルミニウムゾル、酸化ケイ素ゾル、酸化ジルコニウムゾ
ル、及び酸化アンチモンゾルから選択された少なくとも
一種以上のものを用い、ポリエステル樹脂系塗料を中の
無機酸化物ゾルの分散体の配合量を、ポリエステル樹脂
系塗料全量に対して5〜60%とするものであり、耐候
性、耐汚染性及び汚染除去性が更に優れ、かつ更に良好
な加工性、耐薬品性を有する塗装鋼板を得ることができ
るものである。
【0091】また本発明の請求項3に係る塗装鋼板は、
請求項1又は2の構成に加えて、上記ポリエステル樹脂
系塗料として、樹脂として(A)数平均分子量が100
0〜5000、ガラス転移温度が−30〜60℃、水酸
基価が50〜150mgKOH/g、酸化が1〜25m
gKOH/gであるポリエステル樹脂を、硬化剤として
(B)熱解離型ブロックイソシアネート基を一分子中に
少なくとも2個有するポリイソシアネート化合物を含有
し、(A)成分中のヒドロキシル基に対する(B)成分
中のイソシアネート基のモル比が0.9〜1.1の範囲
であり、このポリエステル樹脂系塗料にて形成される上
塗り塗装被膜のガラス転移温度が10〜80℃、破断伸
率が5%以上となるものを用いるものであり、上塗り塗
装被膜の塗膜加工性、取り扱い性、耐溶剤性、塗膜硬度
をバランス良く向上した塗装鋼板を得ることができるも
のである。
【0092】また本発明の請求項4に係る塗装鋼板は、
請求項1乃至3のいずれかの構成に加えて、上記エポキ
シ樹脂系塗料として、クロム酸塩を主体とする防錆顔料
が5〜60重量%配合されたものを用いるものであり、
塗装鋼板の耐食性を更に向上し、特に塗装鋼板の端面の
腐食によるふくれを抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)乃至(d)はそれぞれ実施例1及び比較
例1乃至3の塗装アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板に
ついて、雨筋汚染の水拭きを行った状態を撮影した写真
の複写物である。
【図2】(a)乃至(d)はそれぞれ実施例1及び比較
例1乃至3の塗装アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板に
ついて6T折り曲げを行った際の、(e)乃至(h)は
それぞれ実施例1及び比較例1乃至3の塗装アルミニウ
ム−亜鉛合金めっき鋼板について7T折り曲げを行った
際の、折り曲げ部分を撮影した写真の複写物である。
【図3】(a)乃至(d)は、実施例1及び比較例1乃
至3のものにおける、促進耐候性試験の500時間ごと
の測定結果を示すグラフである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AE03 CA32 CA34 CA44 DA06 DB04 DB05 DB07 DC02 EA12 EB33 EB35 EB45 EB52 EB53 EB55 EC02 EC15 EC45 EC54 4J038 DB001 DD002 DG302 GA03 GA06 HA216 HA446 KA03 KA08 KA15 MA13 MA14 NA03 PA07 PC02 4K044 AA02 AA03 AB02 BA10 BA12 BA15 BA21 BC02 BC05 CA11 CA53

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合
    金めっき鋼板及びステンレス鋼板から選択される鋼板の
    表面に、クロム酸塩を主体とした防錆顔料が配合された
    エポキシ樹脂系塗料にて下塗り塗装被膜を形成し、この
    下塗り塗装被膜の表面に無機酸化物ゾルの分散体が配合
    されたポリエステル樹脂系塗料にて上塗り塗装被膜を形
    成して成ることを特徴とする塗装鋼板。
  2. 【請求項2】 無機酸化物ゾルの分散体として、シラン
    カップリング剤で表面処理が施された酸化アルミニウム
    ゾル、酸化ケイ素ゾル、酸化ジルコニウムゾル、及び酸
    化アンチモンゾルから選択された少なくとも一種以上の
    ものを用い、ポリエステル樹脂系塗料中の無機酸化物ゾ
    ルの分散体の配合量を、ポリエステル樹脂系塗料全量に
    対して5〜60重量%として成ることを特徴とする請求
    項1に記載の塗装鋼板。
  3. 【請求項3】 上記ポリエステル樹脂系塗料として、樹
    脂として(A)数平均分子量が1000〜5000、ガ
    ラス転移温度が−30〜60℃、水酸基価が50〜15
    0mgKOH/g、酸価が1〜25mgKOH/gであ
    るポリエステル樹脂を、硬化剤として(B)熱解離型ブ
    ロックイソシアネート基を一分子中に少なくとも2個有
    するポリイソシアネート化合物を含有し、(A)成分中
    のヒドロキシル基に対する(B)成分中のイソシアネー
    ト基のモル比が0.9〜1.1の範囲であり、このポリ
    エステル樹脂系塗料にて形成される上塗り塗装被膜のガ
    ラス転移温度が10〜80℃、破断伸率が5%以上とな
    るものを用いて成ることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の塗装鋼板。
  4. 【請求項4】 上記エポキシ樹脂系塗料として、クロム
    酸塩を主体とする防錆顔料が5〜60重量%配合された
    ものを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載の塗装鋼板。
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