JP2001029076A - タンパク質の安定性を高めるための金属イオン結合部位における静電的相互作用の操作 - Google Patents

タンパク質の安定性を高めるための金属イオン結合部位における静電的相互作用の操作

Info

Publication number
JP2001029076A
JP2001029076A JP2000175500A JP2000175500A JP2001029076A JP 2001029076 A JP2001029076 A JP 2001029076A JP 2000175500 A JP2000175500 A JP 2000175500A JP 2000175500 A JP2000175500 A JP 2000175500A JP 2001029076 A JP2001029076 A JP 2001029076A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino acid
metal ion
subtilisin
binding site
protease
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000175500A
Other languages
English (en)
Inventor
Michael W Pantoliano
マイケル・ダブリュー・パントリアーノ
Barry C Finzel
バリー・シー・フィンゼル
N Brian Philippe
フィリップ・エヌ・ブライアン
Robert C Ladner
ロバート・シー・ラドナー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Novo Nordisk AS
Original Assignee
Novo Nordisk AS
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=21879773&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2001029076(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Novo Nordisk AS filed Critical Novo Nordisk AS
Publication of JP2001029076A publication Critical patent/JP2001029076A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
    • C12N9/52Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from bacteria or Archaea
    • C12N9/54Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from bacteria or Archaea bacteria being Bacillus
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • C12P21/02Preparation of peptides or proteins having a known sequence of two or more amino acids, e.g. glutathione

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Detergent Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属イオン結合部位を有するタンパク質の安
定性を高めるべくタンパク質を再設計する方法の提供。 【解決手段】 以下の工程 1.金属イオン結合部位をタンパク質安定性についてあ
る種のパラメーターと相関させること、および 2.該部位に極めて近接して存在するアミノ酸残基の置
換、挿入、または欠失により該部位を変化させ、該アミ
ノ酸と金属イオンとの間の静電誘引相互作用を増加させ
ることからなる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンパク質の二価
金属イオン結合部位に変更を加えることにより安定性の
高められたタンパク質の設計に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】タン
パク質は、アミノ酸の直線状ポリマーである。タンパク
質を生成する重合反応からは各アミノ酸から水1分子が
失われる結果となるので、タンパク質はしばしばアミノ
酸「残基」からなると言われる。天然のタンパク質分子は
20種もの異なるタイプのアミノ酸残基を有しており、
各タイプのアミノ酸残基は特有の側鎖を含有している。
タンパク質中のアミノ酸配列は、タンパク質の一次構造
を決定する。
【0003】タンパク質は3次元構造に畳み込まれる。
畳み込みは、アミノ酸配列およびタンパク質の環境によ
り決定される。タンパク質の注目すべき性質は、その3
次元コンホメーションに直接依存している。従って、こ
のコンホメーションが、酵素の活性または安定性、結合
タンパク質の結合能および特異性、およびレセプター分
子の構造的貢献度を決定する。タンパク質分子の3次元
構造はそれほど重要であるので、タンパク質の3次元構
造を安定化するための手段が非常に望ましいと長い間認
識されてきた。
【0004】タンパク質の3次元構造は、多くの方法に
より決定することができる。タンパク質の構造を決定す
るのに知られたおそらく最も優れた方法には、X線結晶
学の技術を用いることが含まれる。この技術の優れた一
般的な概説は、Physical Bio−chemistry、バン・ホ
ールド(Van Holde,K.E.)(プレンティス・ホール(P
rentice−Hall)、NJ(1971)、221〜239頁)
に示されており、該文献を参照のためここに引用する。
この技術を用いて3次元構造を相当正確に解明すること
が可能である。また、円偏光二色性、光散乱を用い、ま
たは放射エネルギーの吸収および発光を測定することに
よってもタンパク質の3次元構造を究明することが可能
である(バン・ホールド、Physical Biochemistry、プ
レンティス・ホール、NJ(1971))。加えて、タン
パク質構造は、中性子回折の技術を用いることによっ
て、または核磁気共鳴によって決定することもできる
(Physical Chemistry、第4版、ムーア(Moore,W.
J.)、プレンティス・ホール、NJ(1972)、該文献
を参照のためここに引用する)。
【0005】数多くの天然のタンパク質を調べることに
より、幾つかの繰り返しパターンがあることがわかっ
た。α−ヘリックス、平行β−シート、および逆平行β
−シートが最も一般的に観察されるパターンである。そ
のようなタンパク質パターンに関する優れた記載が、デ
ィッカーソン(Dickerson,R.E.)らのザ・ストラクチ
ャー・アンド・アクション・オブ・プロテインズ(The
Structure and Actionof Proteins)、ダブリュー・
エイ・ベンジャミン(W.A.Benjamin,Inc.,)、CA
(1969)に見られる。各アミノ酸をこれらパターンの
1つに割り当てるとタンパク質の二次構造が定められ
る。ヘリックス、シートおよびタンパク質二次構造の折
り返しが一緒になってタンパク質の3次元構造を生成す
る。多くのタンパク質の3次元構造は、内部表面(タン
パク質が通常見出だされる水性環境からは離れて存在)
および外部表面(水性環境に極めて近接して存在)を有す
ることで特徴付けられる。多くの天然タンパク質を研究
した結果、研究者らは、疎水性残基(トリプトファン、
フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシ
ン、バリン、またはメチオニンなど)がタンパク質分子
の内部表面上に非常にしばしば見られることを発見し
た。これとは対照的に、親水性残基(アスパラギン酸
塩、アスパラギン、グルタミン酸塩、グルタミン、リジ
ン、アルギニン、ヒスチジン、セリン、トレオニン、グ
リシン、およびプロリン)は、タンパク質の外部表面上
に非常にしばしば見られる。アミノ酸のアラニン、グリ
シン、セリンおよびトレオニンは、タンパク質の内部表
面および外部表面の両方で同じ位の頻度で見出だされ
る。
【0006】タンパク質は、畳み込まれた秩序ある状態
と畳み込まれていない無秩序な状態との間での動的平衡
で存在する。この平衡は、一部、ポリペプチド鎖の異な
る部分間での短距離相互作用(タンパク質構造を安定化
する傾向)を反映し、一方において、熱力学的な力(分子
の無秩序化を促進する傾向)を反映する。
【0007】金属イオンは、タンパク質の3次構造中の
特定部位に結合することによりタンパク質を安定化する
ものとして長い間知られてきた。確かに、好熱性菌から
単離した多くのタンパク質は、カルシウムイオン結合部
位を含有することが示されている。これらの部位は、好
熱性菌の存在する上昇温度環境でこれらタンパク質が機
能するために必要な高められた安定性に寄与している。
たとえば、好熱性菌バシラス・サーモプロテオリティッ
クス(Bacillus thermoproteolytichs)からの中性プロ
テアーゼであるサーモリシンは、4つのカルシウム結合
部位を含有していることがわかった。熱的不活化の度合
に対するカルシウムイオンの依存性を調べることによ
り、畳み込まれないGに対するこれら部位の総貢献度が
8.1〜9.2Kcal/モルであると推定することが可能
となった(ボルドウ(Vorrdouw)らのBiochemistry 1
5:3716−3724(1976))。
【0008】たとえば、サーパース(Serpersu)ら(Bio
chemistry 26:1289〜1300(1987))は、ブ
ドウ状球菌ヌクレアーゼのカルシウム結合部位にある残
基アルパラギン酸40のカルボン酸塩リガンドをグリシ
ンで置き換えて、カルシウムイオンに対する親和性が
7.4倍増加するという結果を得た。同様に、ツズ(Tsu
ju)ら(Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA、83:810
7〜8111(1986))は、発光タンパク質エクオリ
ン中のカルシウム結合ループ付近に存在するグリシンを
正に荷電したアルギニンに変えて、これら部位における
金属結合親和性の減少を起こさせた。しかしながら、特
定のアミノ酸置換によってタンパク質の特定の部位にお
いて二価金属カチオンの結合親和性を増加させることに
より、安定性の高められたタンパク質を設計することが
望ましい。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、タンパク質の
金属イオン結合部位に極めて近接して存在するアミノ酸
残基を変えることにより、タンパク質の安定性を高める
べくタンパク質を再設計する方法を提供するものであ
る。詳しくは、この発明の方法は、以下の工程を含む。 1.金属イオン結合構造部位をタンパク質安定性につい
てある種のパラメーターと相関させること、および 2.該部位に極めて近接して存在するアミノ酸残基の置
換、挿入、または欠失により該部位を変化させ、該アミ
ノ酸と金属イオンとの間の静電誘引相互作用を増加させ
ること。
【0010】タンパク質安定性のパラメーターとの相関
のために金属イオン結合部位を同定するに当たって、所
望のタンパク質の3次元構造を分析するかまたは進化的
に関連したある種の変異体を分析することができる。そ
のような3次元構造は出版物から入手することもできる
し、またはX線結晶学の公知方法により決定することも
できる。
【0011】アミノ酸残基の置換、挿入、または欠失に
より金属イオン結合部位を変えるに当たって、この発明
の方法において以下の工程を考慮する。 (a)置換、挿入、または欠失のためのアミノ酸として金
属イオン結合部位にできるだけ近接したアミノ酸を選択
するが、立体障害をもたらさないようにすること、(b)
置換、挿入、または欠失のためのアミノ酸として、進化
的に関連した相同タンパク質中に保存されていないアミ
ノ酸を優先して選択すること、(c)結合金属イオンに近
接して存在する正に荷電したアミノ酸残基を非荷電また
は負に荷電したアミノ酸残基に変えること、および
(d)新しいアミノ酸残基の導入をシミュレートするため
にコンピューターグラフィックスを優先して用いるこ
と。
【0012】さらに、本発明は、この発明の方法に従っ
て安定性が高められるように再設計されたタンパク質に
も関する。
【0013】定義 本発明の記載に際し以下の定義を使用する。 タンパク質 生きた細胞によって作られアミノ酸からなるヘテロポリ
マー。典型的なアミノ酸は、100〜1000個のアミ
ノ酸からなる。アミノ酸の正確な配列は、タンパク質の
構造および機能を決定する。
【0014】アミノ酸 タンパク質の構築ブロックである天然に存在する20種
の化合物の1つ。天然のアミノ酸は、第I表に従って3
文字かまたは1文字に略される。アミノ酸は、頭部と尾
部が結合して長い主鎖を形成する。各アミノ酸は、異な
る側鎖基を有する。
【表1】 第I表 アミノ酸名および略語 アミノ酸 3文字コード 1文字コード アラニン Ala A アルギニン Arg R アスパラギン酸 Asp D アスパラギン Asn N システイン Cys C グルタミン酸 Gly E グルタミン Gln Q グリシン Gly G ヒスチジン His H イソロイシン Ile I ロイシン Leu L メチオニン Met M フェニルアラニン Phe F プロリン Pro P セリン Ser S トレオニン Thr T トリプトファン Trp W チロシン Tyr Y バリン Val V
【0015】原子名 すべてのアミノ酸は主鎖には同じ原子を有し、側鎖にお
いてのみ異なる。主鎖の原子は、1個の窒素原子、2個
の炭素原子、および1個の酸素原子である。第一の原子
は窒素であって、単純にNと呼ぶ。つぎの原子は炭素で
あって、α−炭素と称す。側鎖はこのα−炭素に結合し
ている。α−炭素は、Cと称されるカルボニル炭素に結
合している。Cはカルボニル酸素(Oと称す)および隣の
残基のNに結合している。側鎖基は、元素(C、O、
N、S)、ギリシャ文字(α、β、γ、δ、ε、ζおよび
η)、および側鎖基が分岐しているときはおそらくアラ
ビア数字からなる名前で示される。
【0016】自由エネルギー 動的平衡における系の挙動を記載する熱力学的量。記号
Gは、ギブズ自由エネルギーを表す。
【0017】静電誘引相互作用 静電誘引相互作用は、クーロンの法則:
【数1】ΔE=ZaZb e2/Deffab (式中、ΔEは、最初に無限大に離れていた2つの電荷a
およびbをある距離、rabにもってきた結果によるエネル
ギー変化である)により定義される。ZaおよびZbは、
単位電荷のそれぞれの数であり、eは電荷の1単位であ
る。電荷aおよびbが反対の符号であるときは、クーロン
相互作用は誘引性となる。正の電荷が二価の金属イオン
であり、負の電荷がタンパク質構造中の点の配列からく
るものであるときは、タンパク質の折り畳みを解くため
にこの誘引相互作用に係る同じエネルギーに打ち勝たな
ければならない。このことは、金属イオン結合の自由エ
ネルギーが折り畳み解消のための全自由エネルギー変
化、ΔGμに加えられること、従って、この後者のパラ
メーターが一層増加し平衡が折り畳み状態へシフトする
ことを意味している。
【0018】金属イオン結合部位 二価金属イオン結合のために適当な幾何学的配列および
静電的配置をとるように畳み込まれたポリペプチド鎖の
構造部分。これは結合金属イオンの回りのタンパク質原
子の物理的配列である。
【0019】タンパク質安定性 タンパク質は、ここでは畳み込み解消のGにより定義さ
れる。ΔGが大きくなればなるほど、畳み込み⇔畳み込
み解消の平衡は畳み込み状態の方へシフトする。走査熱
量測定により測定した畳み込み解消転移の中間点、Tm
からΔGμを推定することができる。別のやり方とし
て、熱的不活化の度合からタンパク質の動力学的安定性
を測定することもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】この発明は、正しく畳み込まれ生
物学的および/または触媒的に活性なタンパク質の状態
の安定性を高めるために、タンパク質の3次構造を再設
計する方法に関する。この発明の方法は、金属イオン結
合の結合定数を大きくするためにタンパク質と二価金属
カチオンとの間の静電相互作用をいかにして増加させる
かを示すものである。解離の自由エネルギー、ΔGel
増加により測定されるタンパク質と金属イオンとの間の
静電的誘引の増加は、所望のタンパク質の畳み込み解消
の自由エネルギー、ΔGμの増加として直接表され、畳
み込みまれたタンパク質構造の安定性が高められる。
【0021】アミノ酸残基の置換、欠失、または挿入に
より金属イオン結合部位の変更を設計するための指導原
理となるのはクーロンの法則:
【数2】ΔE=ZaZb e2/Deffab (式中、ΔEはKcal/モルで測定され、2点電荷aおよ
びbからなる系において、これら電荷をその隔離距離、r
abの関数として一緒にもってきたときのエネルギー変化
である)である。ZaおよびZbは、単位電荷のそれぞれ
の数であり、eは電荷の1単位(4.8032×10-10es
u)であり、Dは比誘電率である。二価金属カチオンの場
合は、Za=2+である。Zbが反対の符号の電荷である
ときは相互作用は誘引性であり、系のエネルギーは減少
する。しかし、Zbの符号が正であるときは相互作用は
反発性となり、系のエネルギーは増大する。タンパク質
のような天然の系では電荷が点電荷ではなく、立体障害
が生じる前にrabがどれほど小さくなるかについて限界
がある。それゆえ、rabの下限は低分子量モデル金属イ
オン錯体で2〜3Åの範囲であることがわかっている。
【0022】静電相互作用が金属イオンと負に荷電した
または双極子リガンドとの間のものである特別の場合に
ついては、ベス(H.Bethe)によって1929年に最初
に説明された静電結晶場理論(CFT)を使用することに
より充分研究され理解されている。この理論は、金属イ
オンとリガンドとの間の相互作用を純粋に静電的な問題
として扱っており、リガンドは点電荷(または点双極子)
として扱われている。この理論は、幾つかの金属−リガ
ンド相互作用の共有結合的性質を的確に説明することが
できなかったので、共有原子価が可能となるように修正
結晶場理論(ACFT)またはリガンド場理論(LFT)に
修正されてきている(コットン&ウイルキンスン(Cotto
n&Wilkinson)のアドバンスト・インオーガニック・ケ
ミストリー(Advanced Inorganic Chemistry)、イン
ターサイエンス、ジョン・ウイリー刊、NY、第3版
(1972))。しかしながら、等式中の二価金属イオン
が第II族金属、たとえばMg2+、Ca2+、Sr2+、およ
びBa2+である場合は、CFTはこれら金属イオン錯体
の幾何配列、親和性(Kd)、および他の物理化学的パラ
メーターを予測するのに充分役立つ。これらの場合にC
FTがうまくいく理由は、遷移金属イオン錯体の共有原
子価に係るd電子軌道が第II族二価金属イオン錯体で
は空であるために、実験結果を理論と相関させることが
極めて簡単になるという事実によるものである。
【0023】タンパク質における静電相互作用でみられ
る不確実さの主要な要因の1つは、比誘電率である。比
誘電率は、遮蔽効果および荷電効果に依存して一様でな
く変化する。畳み込まれたタンパク質の3次構造内の静
電電荷の効果的なスクリーニング(誘電値)を擬態するた
めに多くの試みがなされてきている(マシュー(Matthe
w)のAnn.Rev.Biophys.Chem.,14:387〜417
(1985))。しかしながら、最も精巧なモデルでさえ
もタンパク質内部のイオン化し得る基の固有pKa値を計
算しようとすると5kcal/モルの誤差の範囲が出てしま
う(ラッセル&ウォーシェル(Russel&Warshel)、J.
Mol.Biol.,185:389〜404(1985))。にも
かかわらず、静電相互作用は、並のスクリーニングにお
いてさえも比較的長い距離にわたって重要であると期待
されており、直線距離に反比例して変化する。
【0024】上記静電力はまた非荷電だが極性の分子間
での相互作用にも関与するが、相互作用のエネルギーは
単純なイオン間のものに比べて一層複雑である。そのよ
うな相互作用のエネルギー発現もまた、一般にそのよう
な分子間の距離に反比例し、通常は1よりは大きいが6
よりは小さい力まで上昇する(クレイトン(Creighto
n)、プロテインズ:ストラクチャー・アンド・モレキュ
ラー・プロパティーズ(Proteins:Structure and Mol
ecular Properties)、フリーマン(Freeman&Co)、
N.Y.(1984))。これは、静電場、すなわち第II
族金属、M2+に近接しているときの双極子の分極性によ
るものである。従って、荷電イオンの結果を予測するこ
とは一層容易である。このような理由から、この発明に
おいては第II族金属、M2+、およびアミノ酸残基の荷
電側鎖;AspおよびGluのCOO-.リジンおよびアミノ
末端のNH3+、およびArgのグアニジンカチオン基を用
いるのが好ましい。
【0025】この発明の方法に従えば、二価金属イオン
に対するタンパク質中の金属イオン結合部位の親和性を
高めることができる。一般に、この発明の方法は以下の
工程からなる。
【0026】A.)金属イオン結合構造部位をタンパク質
安定性についてある種のパラメーターと相関させること
−このパラメーターは、上昇温度および金属イオンの種
々の濃度での動力学的実験から得られた熱的不活化の度
合であってよい。別のやり方として、熱量測定または畳
み込み解消転移の他の物理的評価から得られた、融点温
度、Tm、の熱力学的測定法を用いることもできる。こ
れらの測定により、所望の仕方で安定性が首尾よく得ら
れた程度を推定することができるだけでなく、この部位
の二価金属イオンに対する親和性を推定することもでき
る。
【0027】タンパク質安定性についてのパラメーター
と相関させるために金属イオン結合部位を同定するに当
たって、所望のタンパク質の3次元構造を分析するかま
たはある種の進化的に関連する変異体を分析することが
できる。そのような3次元構造は、出版物から入手する
こともできるし、またはX線結晶学の公知方法により決
定することができる。構造的情報を得るための他の方法
としては、円偏光二色性、光散乱、放射エネルギーの吸
収および発光を測定すること、中性子回折、および核磁
気共鳴が挙げられる。
【0028】B,)金属イオン結合部位に極めて近接して
存在するアミノ酸の置換、挿入、または欠失により該部
位を変化させ、アミノ酸と金属イオンとの間の静電誘引
相互作用を増加させること−これらのアミノ酸変化は、
オリゴヌクレオチド部位での(site−directed)インビト
ロ突然変異誘発の技術により、該タンパク質のクローン
された配列遺伝子中へ導入することができる。この方法
は、ブライアン(Bryan)らのProc.Nat'l.Acad.Sci.
USA83:3743〜3745(1986)中に詳細に
記載されており、該文献を参照のためここに引用する。
【0029】部位突然変異誘発による置換、挿入、また
は欠失のために、結合金属イオンに極めて近接して存在
するアミノ酸を選択する基準は以下の通りである。
【0030】置換、挿入、または欠失のためのアミノ酸
として結合金属イオンにできるだけ近接したアミノ酸を
選択するようにするが、立体障害を招かないようにする
こと。置換、挿入、または欠失のためのアミノ酸は、結
合部位における静電誘引力の距離と幾何配列を最適にす
るものを選択する。
【0031】(a)アミノ酸を置換するに当たって、進化
的に関連した相同タンパク質中に保存されていないアミ
ノ酸を優先して変化させるべきである。進化的に関連し
た相同タンパク質中に保存されているアミノ酸は、一般
に、これら保存アミノ酸がタンパク質にとって有利なも
のであり保持されるべきであることを示している。一
方、変化させようとするタンパク質と進化的に関連した
相同タンパク質との間で金属イオン結合部位領域が異な
っているアミノ酸置換を評価すべきである。従って、た
とえば、変化させようとするタンパク質が結合領域に中
性残基を含有しており、関連するタンパク質がAspまた
はGlu(負に荷電している)を含有しているときは、この
中性残基をAspまたはGluで置換することは優先的に行
うべきである。
【0032】(b)アミノ酸残基を挿入および/または欠
失させるに当たって、リガンド相互作用の距離および幾
何配列を最大にするアミノ酸を優先させるべきである。
一般に、このことには、アミノ酸と金属イオンとの間の
半径をできるだけ2.5Åに近付けることが含まれ、こ
れは立体障害を起こさずに行うことが可能である。たと
えば、AspまたはGluに変化させたときに金属イオンか
らの位置が最適(2.5Å)でないときは、この近接に挿
入または欠失を導入することによりAspまたはGluを最
適とわかっている距離に近くなるように回転させること
ができる。
【0033】(c)結合金属イオンに近接して存在する正
に荷電した残基は、中性または負に荷電した残基に変え
るべきである。正に荷電した残基はまた、単純に欠失さ
せてしまってもよい。中性または負に荷電した残基を挿
入してもよい。この発明の方法に従って、挿入、欠失、
および置換を組合わせることも想起される。二価金属イ
オンは正の電荷を有しているので、正に荷電した残基を
中性または負に荷電した残基に変えることは金属イオン
結合部位の親和性を高めることになる。
【0034】ついで、上記基準により選択した候補アミ
ノ酸置換を、VAX 11/780のような適当な構成
のコンピューターと接続したエバンス・サザーランド・
モデル(Evans Sutheland Model)PS330のような
高解析コンピューターグラフィックシステムでシミュレ
ートする。そのようなグラフィックシステムにより、企
図した変化をグラフで表すことができ、ポリペプチド折
り畳みの主鎖原子の移動がないものと仮定して、新たな
アミノ酸残基により明らかな立体障害がもたらされなか
ったかどうかを試験することができる。そのような分析
に用いられる基準は以下の通りである。
【0035】a)企図した残基の側鎖のほとんどの原子に
おける原子間距離を、タンパク質構造中で最も近接して
存在するほとんどの原子における原子間距離とともに測
定する。
【0036】b)いずれかの原子のファンデルワールス半
径に重大な障害があったり、いずれかの負の荷電間に激
しい静電反発があるときは、1または2以上の結合を回
転させてこれらの作用を減少させる。a)かまたはb)によ
って構造にそれほどひどいファンデルワールス半径障害
や静電反発がもたらされないときは、該タンパク質中に
企図した変化を部位突然変異により導入する。重大なフ
ァンデルワールス障害や静電反発が持続するときは、そ
の変化には試験評価に対し低い優先性を付与する。
【0037】この発明の方法により再設計することので
きるタンパク質には、M2+金属結合部位を有するものが
含まれる。カルシウム以外の二価金属イオン結合部位を
有する酵素も知られてはいるけれども、二価金属イオン
結合部位を有するタンパク質の大部分はカルシウムイオ
ン結合部位を有する酵素である。再設計すべきタンパク
質の選択は、もちろん、再設計タンパク質の最終的な使
用目的に依存する。さらに、本明細書において使用する
タンパク質なる語はまた、ポリペプチドのようなタンパ
ク質断片をも意味することを意図している。
【0038】天然に存在するタンパク質の最大の部類は
酵素からなる。一般に各酵素は異なる種類の化学反応を
触媒し、通常、その機能は極めて特異的である。生物の
一定の種内においては、天然に存在する酵素の個々のタ
イプにおいてはわずかな変異があるものの、同種生物に
よって産生される特定のタイプの酵素は、基質特異性、
熱安定性、種々の条件下(たとえば、熱およびpH)での
活性レベル、酸化安定性などに関して実質的に同一であ
る。天然に存在する、または「野生型」酵素のそのような
特性は、酵素の天然環境の範囲を越えて利用するために
最適化することは必ずしもできない。従って、酵素のあ
る種の性質を特定の使用目的のために最適化するため
に、あるいはこの発明に従って特定の環境中で使用する
ために酵素の天然の特性を変えることが望ましい。
【0039】この発明による方法は、セリンプロテアー
ゼを変異させ、ある種の特性、特に熱安定性を高めるた
めに使用するのが好ましい。プロテアーゼは、ペプチド
結合を開裂させる触媒である。セリンプロテアーゼは活
性部位に本質的なセリン残基を有する酵素であり、ペプ
チド結合の加水分解を触媒する。セリンプロテアーゼ
は、フェニルメタンスルホニルフルオリドにより、また
はジイソプロピルフルオロホスフェートにより阻害する
ことができる。サブチリシンは、グラム陽性細菌または
真菌により産生されるセリンプロテアーゼである。これ
らのセリンプロテアーゼには、バシラス・アミロリケフ
ァシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)からのサブ
チリシンBPN'、バシラス・リシェニフォルミス(Bac
illus licheniformis)からのサブチリシンカールスバー
グ(Carlsberg)、バシラスDYからのサブチリシンD
Y、バシラス・アミロサッカリチクス(Bacillus amylo
sachariticus)からのサブチリシンアミロサッカリチク
ス、およびメセンテリコペプチダーゼ(mesentericopept
idase)のようなバシラス種からのものが含まれるが、こ
れらに限られるものではない。プロテアーゼK、サーモ
ミコラーゼ(thermomycolase)、およびサーミターゼ(the
rmitase)(サーモアクチノマイセス・ブルガリス(Therm
oactinomyces vulgaris)から)のような真菌プロテアー
ゼもまた、細菌宿主中で産生される哺乳動物プロテアー
ゼと同様、本発明に従って高めることができる。
【0040】この発明の方法に従って再設計すべき他の
好ましいタンパク質としては、弱い二価金属イオン結合
部位を有するタンパク質が挙げられる。そのようなタン
パク質の例には、α−アミラーゼ、グルコースイソメラ
ーゼ、テモリシン(themolysin)、および中性プロテアー
ゼが含まれる。カルシウム以外の二価金属との結合部位
も知られてはいるが、野生型タンパク質における二価金
属は一般にカルシウムである(クレイトン、プロテイン
ズ:ストラクチャー・アンド・モレキュラー・プロパテ
ィーズ、フリーマン、N.Y.(1984)).
【0041】アミノ酸置換、欠失、および挿入は、部位
(すなわち、オリゴヌクレオチド)突然変異誘発により行
うことができる。部位突然変異誘発は当該技術分野でよ
く知られており、詳細はブライアンらのPro.Nat'l A
cad.Sci.USA 83:3743〜3745(1986)
に記載されており、該文献を参照のためここに引用す
る。
【0042】さらに、この発明の他の態様において、領
域での(regional directed)インビトロランダム突然変
異誘発を用いることにより、所望のタンパク質の金属イ
オン結合に係るループ中のアミノ酸残基を変えることが
できる。インビトロランダム突然変異誘発の好ましい手
順は、米国特許出願第828,545号およびPCT出
願第PCT/US87/00348号各明細書に詳細に
記載されており、両文献を参照のためここに引用する。
この手順により生成する新たな変異体は、タンパク質安
定性の高められた所望のパラメーターを示す変異体につ
いてスクリーニグし選択することができる。これらのス
クリーニグし選択した変異体を、ついで、まず遺伝子操
作によりアミノ酸残基の変化を同定してさらに特徴付け
を行うことができる。加えて、安定性を動力学的および
熱力学的に特徴付けることにより、これらのスクリーニ
グし選択した変異体をさらに同定することができる。最
後にこれらの変異体タンパク質を結晶化させ、X線結晶
学的構造を高解析で得て、増大した安定性を知られたタ
ンパク質構造情報と相関させることができる。
【0043】これらの変異体タンパク質の安定性をさら
に高めるために、この発明の上記方法に従って金属イオ
ン結合部位に極めて近接して存在するアミノ酸残基の修
飾をさらに行うことができる。
【0044】一般に、所望の酵素をコードする遺伝子を
突然変異させるに先立って、一般に遺伝子をまずその天
然源から単離し、クローニングベクターにてクローニン
グする。別法として、所望の遺伝子から転写したmRN
Aを細胞源から単離し、クローニングベクター中に挿入
するために逆転写によりcDNAに変換することができ
る。クローニングベクターはファージまたはプラスミド
であってよく、一般に微生物のゲノムとは独立して該微
生物中でベクターの自律複製を行うためのレプリコンを
含んでいる。クローニングベクターは、該ベクターによ
り形質転換した微生物の選択を容易にするために、抗生
物質耐性をコードするDNAのような1または2以上の
表現型マーカーを含んでいるのが有利である。
【0045】クローニングのためにDNAまたはcDN
Aをベクター中に挿入する手順は、当該技術分野でよく
知られている。一般にこれらの手順には、ベクターの制
限エンドヌクレアーゼ開裂部位に所望の遺伝子を挿入す
ることが含まれ、またデオキシヌクレオチドのポリマー
末尾を該遺伝子の末端に付加し、それと相補的なポリマ
ー末尾を有するクローニングベクターの開裂末端に該遺
伝子を結合させることが含まれる。
【0046】部位突然変異により変えようとする所望の
遺伝子は、発現ベクター中に存在してもよい。発現ベク
ターは、通常、典型的なクローニングベクターの要素、
すなわち1または2以上の上記レプリコン、および1ま
たは2以上の選択用表現型マーカーを含んでいるので、
一般にクローニングベクターの定義の中に含まれる。加
えて、発現ベクターは、プロモーター、オペレーター、
リボソーム結合部位、および翻訳開始シグナルをコード
する調節配列を含んでいる。調節配列の指揮の元に発現
するために、本発明に従って処理すべき標的遺伝子を該
調節配列と適当な解読枠で作動するように結合させる。
目的のDNA配列を含む発現ベクターはファージであっ
てもプラスミドであってもよいが、プラスミドであるの
が好ましい。
【0047】この発明の方法を用いることにより、Pro
172をAspにアミノ酸置換したサブチリシン717
2を生成した。図4に示すように、この新規なサブチリ
シン7172は、野性型サブチリシンBPN'と比べて
カルシウムに対する親和性が5倍増加している。Pro
172をGluにアミノ酸置換したサブチリシン8312
もまた生成した。サブチリシン8312はサブチリシン
7172と同様であることがわかった。Gly 131を
Aspにアミノ酸置換したサブチリシン7148もまた生
成した。図5は、新規なサブチリシン7148が野性型
サブチリシンBPN'と比べてカルシウムに対する親和
性が2倍増加している。実施例で論述するように、この
結合力の相異は置換物と結合部位との間の距離によるも
のと思われ、サブチリシン7172および8312では
二価金属カチオンから5Å、サブチリシン7148では
10Å離れている。
【0048】この発明は、種々の条件下で他種類のタン
パク質の安定化のために有用であることを意図してい
る。たとえば、微生物のセリンプロテアーゼは、界面活
性剤の性能を高めるために界面活性剤組成物の活性成分
として用いる。サブチリシン様プロテアーゼは、現在、
衣類から血液やミルクのようなタンパク質のしみの除去
を改善するために界面活性剤組成物中で用いられてい
る。これらの界面活性剤組成物のpH、温度、遊離金属
イオン濃度、および界面活性剤含量(疎水性)などの条件
は、しばしば、正しく畳み込まれた状態の酵素、すなわ
ちサブチリシン様プロテアーゼに対し有利なものではな
い。それゆえ、本発明は、これらの応用例に使用できる
安定性の高められたサブチリシン酵素を提供するもので
ある。
【0049】とりわけ、この発明のサブチリシン酵素
は、液体界面活性剤、特に、織物のクリーニングに用い
るクエン酸ベース液体界面活性剤のような洗浄剤組成物
の添加剤として用いることができる。この発明のサブチ
リシン酵素は野性型サブチリシンよりも熱的に安定であ
るので、界面活性剤とともに溶液中に貯蔵したりクリー
ニングに使用中に高熱にさらされたときでも野性型のも
のほど急速に活性を失うことはない。この発明のサブチ
リシン酵素を洗浄剤組成物中で添加剤として使用するこ
とにより、織物上のタンパク質性のしみの除去が向上す
る。洗浄剤組成物の添加剤として使用するサブチリシン
酵素の量は、当該技術分野でよく知られており、または
日常的な実験により容易に確かめることができる。酵素
濃度の最適範囲は、もちろん、酵素コストおよび必要な
クリーニングの量と関係するであろう。一般に、洗浄剤
組成物に添加するサブチリシン酵素の量は、約2000
〜約4000アルカリデルフトユニット(Alkaline De
lft Units)/g(ADU/g)洗浄剤組成物であろう。
【0050】以下の実施例は、本発明を説明するための
ものであるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
【実施例】実施例I サブチリシンBPN'の再設計 1.3Å解析でのサブチリシンBPN'のX線結晶学的構
造を図1に示す。この球状タンパク質の反対側の端部に
2つの金属イオン結合部位があるのがわかった。一方の
部位はNH2末端の近くに位置しており、この部位は4
℃でEDTAが存在しているときでもカルシウムイオン
に優先的に結合することがわかったのでカルシウム部位
Aと名付ける。この部位の一層詳細な観察を図2に示し
てある。2つのAsp 41酸素リガンドを1つの部位と
して考えるならば、7つのタンパク質由来酸素リガンド
が部位Aの周囲におよそ八面体の幾何学構造で配置され
ている。これらリガンドのうち3つは主鎖カルボニル酸
素原子であり、Ile 79、Val 81、およびLeu 7
5に由来する。他の4つはAsp 41、Gln 2、および
Asn 77の側鎖に由来する。7つのすべては、2.4Å
の酸素−カルシウム平均距離を有する。
【0052】第二の金属結合部位はカルシウム部位Bと
表示され、部位Aから約20Åのところに位置してい
る。この第二の部位は、ポリペプチド鎖の2つの部分で
定められる裂け目に位置する。このうち第一の部分は、
リガンドとしての3つの主鎖カルボニル酸素原子:Gly
169、Tyr 171、およびVal 174(図3参照)を
付与し、また第二の部分は、側鎖カルボキシル基(Asp
197)に由来する酸素原子とともにさらに別の主鎖酸
素原子(Glu 195)を付与する。2つの水分子が、7
座配位球を完成させる。この部位は表面に位置するの
で、部位Aよりも一層溶媒にさらされる。カチオン−酸
素リガンドの平均距離もまた部位Bの方が長い(部位A
の2.9Åに対して2.4Å)。これら2つの部位での実
際のカルシウム−リガンド距離については第II表を参
照のこと。
【表2】 第II表 13Å解析X線モデルからのカチオン−リガンド* 距離 カルシウム部位A カルシウム部位B 残基 リガンド 距離 残基 リガンド 距離 Gln−2 OE1 2.37Å Gly−169 O 2.66Å Asp−41 OD1 2.42Å Tyr−171 O 2.97Å Asn−41 OD2 2.52Å Val−174 O 2.66Å Leu−75 O 2.29Å Glu−195 O 3.00Å Asn−77 OD1 2.41Å Asp−197 OD1 2.84Å Ile−79 O 2.29Å 水 1 O 2.71Å Val−81 O 2.37Å 水 2 O 2.97Å 平均 2.39Å 平均 2.89Å *リガンドとは、金属イオンの第一の配位球中に存在し、名目上の負電荷また は部分的な負電荷を有する原子として定義される。
【0053】これら2つの部位の化学的性質は、それら
の構造が示唆するほどの相異を示す。たとえば、野性型
サブチリシンの単一結晶を4℃近くの5mM EDTA中
に24時間浸漬し、回折データを2.0Å解析まで集め
た。示差フーリエ(Difference Fourier)[F(天然)−
F(EDTA)]分析により、部位Aでは変化が生じなか
ったことがわかった。この結果は、4℃で1mM EDT
A溶液(20mM Hepes)に対して充分に透析した後の野
性型タンパク質の金属イオン分析の結果と一致するもの
である。これらの条件下で該タンパク質は、酵素1モル
当たりなおカルシウム0.45モルを結合させたことが
わかった。これと同様の結果はボードゥー(Voordouw)
ら、Biochemistry、15:3716〜37(1976)に
よって報告されており、彼等は、25℃においてカルシ
ウムのサブチリシンBPN'に対する結合のKdはEDT
Aに対するKd(Kd 10-11)よりも小さいと推定した。
本発明者らは、異なる金属イオンキレートの存在下での
示差走査熱量測定により判断されるように、この部位に
対するカルシウム結合のKdは60℃近くで10-8〜1
-12であると推定した。
【0054】カルシウム結合部位Bの化学的性質は、若
干異なる。F(天然)−F(EDTA)示差フーリエ分析に
より、結晶を5mM EDTAで処理した後に部位Bにお
けるイオン環境の再配列が示された。この電子密度差異
を他のサブチリシン結晶調製物で行った観察とともに解
釈することにより、部位Bにおけるカルシウムイオンは
ナトリウムのような小さな一価カチオンにより容易に置
換されることが示唆された。この置換には、配位数が7
から5に減少するように、イオン位置の小さなシフトと
該イオンの周囲の溶媒の再構成が伴う。他の一価カチオ
ン(K+、およびTl+)の結合もまたドレンス(Drenth)
ら、Eur.J.Biochem.,26:177〜181(197
2)によって報告されている。
【0055】弱いカルシウム結合部位についての最初の
証拠は、遊離カルシウムイオン濃度の関数として行った
熱的不活化の速度論的実験から得られた。カルシウム濃
度が0.1mMよりも増加すると、65℃における熱的不
活化速度の半減期は、カルシウムイオン濃度の100m
Mから300mMにつれて約1分から約200分に増加
することが観察された(図4参照)。このデータは、単一
のカルシウムイオンに対して32mMのKd値を有する結
合部位についての理論的な滴定曲線とぴったりと一致す
ることがわかった。Mg2+、Ba2+、およびSr2+のよう
な他の第II族金属イオンもまた同様に試験した。前者
の2つの金属イオンについては、図4に示したこの同じ
濃度範囲でサブチリシンの安定化に有効でないことがわ
かった。しかしながら、Sr2+イオンはこの酵素の熱的
安定性を増大させることがわかったが、効果を示すため
により高い濃度が必要であることから、この部位に対し
て遥かに弱い親和性を有することを示唆された。CaCl
2と等しい安定化をもたらすのに必要なSrCl2濃度は約
20倍高く、Sr2+の結合に対するKdが0.7Mの範囲
にあることが示唆された。これらの結果はタンパク質に
おけるカルシウム結合部位には典型的なことであり(ス
チュアート(Stuart)らのNature 324:84〜87
(1986))、サイズ優先性に基づく選択性を反映す
る。Mg2+のイオン半径、0.78Å(ラッド半径(Ladd
radius);コットン&ウイルキンスン、Advanced Inorg
anic Chemistry、インターサイエンス、ジョン・ウイ
リー、N.Y.第3版(1972))は明らかに小さすぎ、
Ba2+のイオン半径、1.43Åは明らかに大きすぎる。
Sr2+のイオン半径、1.27Åは収容することができる
が、Ca2 +のイオン半径、1.06Åが明らかに最もよく
フィットする。筋小胞体からの精製Ca−ATPaseにつ
いて、ホルギン(Holguin)(Arch.Biochem.Biophys.,
251:9〜16(1986))により同様の結果が得られ
ている。
【0056】示差走査熱量測定法(DSC)を用いること
により、遊離のカルシウムイオン濃度がサブチリシンB
PN'の熱的安定性に及ぼす効果を測定することもまた
可能である。カルシウムイオン濃度を0.1mMよりも増
大させると、熱的に誘発された畳み込み解消転移の中
点、Tmが、単離したときに1モルカルシウム/モルタ
ンパク質と結合するタンパク質についての約69.5℃
から、150mM CaCl2の存在下での該タンパク質に
ついての約80℃まで高くなる。
【0057】つぎにとった必要な手順は、図4のデータ
をX線結晶学により同定した2つの構造部位のうちの1
つと相関させることであった。入手し得るすべての上記
化学的または物理学的情報に基づいて、野性型サブチリ
シンBPN'について図4に示した弱いカルシウム結合
に寄与する可能性の最も高い部位としてカルシウム部位
Bを指定することが可能であった。
【0058】変えるべきアミノ酸残基の選択についての
上記規則を使用することにより、Pro 172をAspに
変えることに決定した。Pro 172は、カルシウム部
位Bを含むループの1つの一部をなす。シミュレートし
たカルボキシル鎖は、結合金属イオンから約5Åの位置
にある。この特定のアミノ酸残基は、関連するサブチリ
シン配列において若干変わり得る。(該アミノ酸はサブ
チリシンカールスバーグ中でAspとして存在する。) 最
後にグラフスクリーン上のシミュレーションにより、フ
ァンデルワールス半径障害をきたすことなく適合すべき
ことがわかった。この変化は、本質的に上記およびブラ
イアンら、Proc.Nat'l Acad.Sci.USA、83:3
743〜3745(1986)(参照のためにここに引用
する)により記載された部位突然変異誘発により導入
し、変化したサブチリシン遺伝子を含有するバシラス・
サブチリス(B.Subtilis)の新規株をGX7172と称
した。該遺伝子の変異体タンパク質生成物を精製し、高
められた金属イオン結合能および安定性について分析し
た。その結果を図4に野性型タンパク質についての結果
と比較して示す(新規なタンパク質を7172と称す
る)。
【0059】サブチリシン7172の熱的不活化の半減
期(t1/2)に対するカルシウムイオン依存性は、明ら
かに低カルシウムイオン濃度の方へシフトする。該デー
タを最もよく近似する理論的な滴定曲線は、Kd=6mM
の単一部位に対するものである。それゆえ、Pro 17
2をAspに変えることは、部位Bのカルシウムに対する
親和性を野性型のものに比べて約5倍増加させるものと
思われる。この変化の大きさ、ΔpK=0.7は、タンパ
ク質への静電理論の適用に現在付随する知られた困難を
仮定して、金属カチオンから約5Åの位置に負の電荷を
導入するための理論的な考慮と矛盾しない。この仮定の
さらに別の支持がスタヒロコッカスのヌクレアーゼを用
いた突然変異誘発実験から得られ、Asp 40カルボキ
シレートリガンドをGlyに変えることにより、このタン
パク質中の弱いカルシウム部位へのカルシウム結合が8
倍減少(Kd=1mM)することがわかった(スーパースら
のBiochemistry 26:1289〜1300(198
7))。それゆえ、これらの結果は、熱的不活化により測
定した弱いカルシウム結合部位がX線結晶学により同定
したカルシウムB部位に対応するという説得力のある証
拠を提供する。さらに、これらの結果は、該部位の金属
結合親和性を高めることにより、減少濃度のカルシウム
の存在下でサブチリシンBPN'を安定化させることが
できるということを明らかに示している。部位Bの連続
した変化の外挿結果が滴定曲線の最終的なシフトであ
り、Kdが極めて小さいために、野性型タンパク質に対
して100mMのCaで得られる安定性を得るために過剰
の金属イオン(または急激に減少させた量)を必要としな
い。
【0060】Pro 172をAspに変えることに加え
て、Pro 172をGluにも変えた。この新たな変異体
(8312)に対しても、熱的不活化の速度に対するカル
シウムの依存性を調べた。その結果は、サブチリシン7
172の結果とほとんど同じであることがわかった。
【0061】カルシウム部位Aにおけるアミノ酸をも変
化させて熱的安定性を増大させた。株8347ではAsn
76をAspに変えた。株8364ではSer 78をAsp
に変えた。株8374ではこれらの変異、AspへのAsn
76およびAspへのSer 78をオリゴヌクレオチド−
突然変異誘発により組み合わせた。第III表に示すよ
うに、8374のカルシウム結合親和性は、各変異単独
のものに比べて付加的に増加した。3つのすべての株
は、野性型(BPN')およびサブチリシンカールスバー
グに比べて増加した安定性を示した。
【0062】さらに、安定性を増大させるために、カル
シウムB結合部位で行った変化をカルシウムA結合部位
で行った変化と組み合わせてもよい。従って、たとえ
ば、Asn 76のAspへの変異およびPro 172のAsp
(またはGlu)への変異を行うことができる。さらにその
他の例としては、Asn 76→Asp、Ser 78→Asp、
Pro 172→Asp(またはGlu)およびGly 131→A
sp;Asn 76→AspおよびGly 131→Asp;Ser 7
8→AspおよびGly 131→Asp;Ser 78→Aspお
よびPro 172→Asp(またはGlu);およびSer 78
→Asp、Gly 131→AspおよびPro 172→Asp
(またはGlu)が挙げられる。
【表3】第III表 37℃のクエン酸ベース界面活性剤中での安定性 酵素 変化 半減期(hr) 野性型(BPN') − 7 GX 8347 Asn 76→Asp 30 GX 8364 Ser 78→Asp 24 GX 8374 Asn 76→Aspおよび 〜80 Ser 78→Asp サブチリシン カールスバーグ 82変化 12
【0063】実施例II アミノ酸残基の挿入および/または欠失 アミノ酸残基の置換に加えて、所望の結合部位に近接し
て位置するアミノ酸残基の挿入および/または欠失をさ
らに別の試みにおいて行い、該部位での静電力に影響を
及ぼすことができる。これは、リガンド相互作用の距離
および幾何構造を最適にするための方法として考えるこ
とができる。たとえば、サブチリシン7172中でカル
シウムB部位を含むループの1つにおいて、残基172
のAspを結合金属に一層近接するように移動させてこれ
を正式のリガンドとし、可能なら結合した水分子の1つ
を置換するために、該残基172と173との間に挿入
を行うことができる。
【0064】残基168から残基175のサブチリシン
BPN'ループの部分と一致するコンフォメーション構
造を有するペプチド配列を得るためにブルックヘブン・
プロテイン・データ・バンク(Brookhaven Protein D
eta Bank)を調査している際に、残基170−171お
よび残基173−174ではよく一致するが1個余分な
アミノ酸残基が挿入されている幾つかの配列が見つかっ
た。これらのペプチドはすべて、残基172の側鎖がカ
ルシウム結合部位の方へ先端が一層向くように主鎖が変
形されていた。カルシウムに結合するカルボニル酸素
は、このコンピューターシミュレーションにおいては有
為には妨害されていなかった。挿入された残基がたまた
まAspまたはGluであるときは、この部位における静電
相互作用にさらに影響を与える別の機会を得ることがで
きるであろう。
【0065】アミノ酸欠失もまた、電荷間距離および隣
接する残基の幾何構造を変えることにより金属イオン結
合のためのより有利な環境を生じさせることができる。
【0066】実施例III ランダム突然変異誘発を用いて安定性を高めること 全サブチリシン遺伝子を突然変異原にさらすランダム突
然変異誘発の方法により、サブチリシンの7142変異
体を生成させ同定した。(米国特許出願第828,545
号およびPCT出願第PCT/US87/00348号
各明細書参照。) この特定の場合において突然変異原は
重硫酸ナトリウムであり、フィルターアッセイによりこ
のタンパク質を安定な変異体として同定した。DNAシ
ークエンシングによりサブチリシン7142は2つのア
ミノ酸変化:Gly 131→Asp、およびAla 116→
Thrを有していることがわかった。ついで、個々のアミ
ノ酸置換の物理的性質を調べるために、部位突然変異誘
発によりこれらの変化を個々に導入した。Gly 131
→Asp単独変化のみが、観察された安定性に寄与するこ
とがわかった。この新しい変異体をサブチリシン714
8と名付けた。Ala 116→Thr変化は、熱的不活化
の速度に何等影響を及ぼさないことがわかった。Gly
131→Gluの変化によっても、熱的不活化の速度に対
するカルシウム依存性の結果はAspへのアミノ酸置換の
場合と同様である。
【0067】サブチリシン7148の速度論的安定性に
ついてカルシウムイオン濃度の関数として分析したとこ
ろ、図5に示すようにカルシウムイオンに対する親和性
がわずかに増大したことがわかった。この場合、このデ
ータは、単一結合部位についてのKdが15mMの理論的
滴定曲線により最もよく近似されることがわかった。金
属イオン親和性におけるこの見掛けの2倍の増加、また
はΔpK=0.33は、サブチリシン7142のX線結晶
学的データと非常によく相関する。サブチリシン714
2の1.8Å解析結晶構造は、この新しいAsp 131残
基のカルボキシレート基がカルシウムB部位で金属イオ
ンから約10Åに位置することを示している。それゆ
え、観察された金属イオン親和性の増加の大きさは、こ
の電荷間距離からおよそ予想できたものである。たとえ
ば、トーマス(Thomas)ら、Nature318:375〜3
76(1985)は、Asp 99を14Å離れたSerに変
えた後にサブチリシンBPN'のHis 64のpKaが0.
29±0.04シフトするのを観察した。さらに、カル
シウムB部位に結合した金属イオンから5Å離れた位置
に負荷電を導入することによりΔpK=0.7が得られる
とすれば、該部位から10Åのところに負荷電基を導入
することによりΔpK=0.33が得られるという理論
(等式1)と完全に一致する。
【0068】オリゴヌクレオチド突然変異誘発により、
Gly 131→AspおよびPro 172→Aspの変異を組
み合わせて株8331を創成した。8331のカルシウ
ム結合親和性は付加的に増加する。
【0069】熱的安定性を高めるようサブチリシンBP
N'を変えるために、領域インビトロランダム突然変異
誘発を用いることができる。ランダム突然変異誘発のこ
の特定の適用においては、サブチリシン遺伝子のうち金
属イオン結合に係るループ中のアミノ酸残基をコードす
る部分のみを突然変異誘発に供した。ランダム突然変異
誘発に用いる方法は、米国特許出願第828,545号
およびPCT出願第PCT/US87/00348号各
明細書に記載されており、両明細書を参照のためここに
引用する。
【0070】サブチリシンBPN'において、カルシウ
ムB部位はポリペプチド鎖の2つの短い伸び(残基16
9〜174および195〜197)のみからなる。この
ため、この領域を特異的に狙ってインビトロランダム突
然変異誘発を引き起こすには比較的都合がよい。このこ
とは、この2つの標的領域の側面に位置する配列にてク
ローニングサブチリシン遺伝子中に制限エンドヌクレア
ーゼ認識領域を創成することにより行った。たとえば、
B−部位の残基169〜174ループを標的として、オ
リゴヌクレオチド突然変異誘発を用いて残基162にX
hoI切断部位を、残基176にBglI部位を創成した。
遺伝暗号の重複を利用することにより、該遺伝子により
特定されたアミノ酸配列を変えることなくこれらの制限
部位を導入した。該遺伝子をXhoIおよびBglIで開裂
し、ついでこの2つの制限酵素により該遺伝子中に生成
した裂け目に合成DNA断片をライゲートすることによ
り、標的領域中にランダム突然変異誘発を生じさせた。
天然DNA配列からの変化がランダムに起こるようにD
NA断片を合成した。この手順を用いることにより、天
然配列からは非常に少ない変異から完全にランダムな配
列に至るまであらゆる頻度で突然変異が起こるように挿
入DNAの合成をコントロールすることができる。
【0071】明瞭および理解の目的のために説明および
実施例によりある程度詳細に上記発明を記載したが、本
発明の範囲内で変化および変更を行うことは可能であ
り、添付の請求の範囲によってのみ限定されることは明
白であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サブチリシンBPN'の1.3Å解像X線立体
構造を示す。2つのカルシウム結合部位をCaAおよび
CaBで表してある。
【図2】 カルシウムA(CaA)結合部位の詳細な立体
構造情報を示す。
【図3】 カルシウムB(CaB)結合部位の詳細な立体
構造情報を示す。
【図4】 65℃におけるサブチリシンの熱的不活化の
度合に対するカルシウムイオンの依存度を示す。サブチ
リシン7172に関するデータは(▲)で、野生型サブチ
リシンBPN'に関するデータは(■)で示す。(●)はサ
ブチリシンBPN'に及ぼすMgCl2の影響を示す。実線
は、図示した親和性(Kd)を有する単一の金属イオン結
合部位についての理論的な滴定曲線を示す。
【図5】 65℃におけるサブチリシン7148の熱的
不活化の度合に対するカルシウムイオンの依存度を示
す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月12日(2000.7.1
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 9/54 C12R 1:125) (72)発明者 バリー・シー・フィンゼル アメリカ合衆国デラウェア19702、ニュー アーク、コブル・クリーク・カーブ721番 (72)発明者 フィリップ・エヌ・ブライアン アメリカ合衆国メリーランド20902、シル バー・スプリング、ダブリン・ドライブ 1720番 (72)発明者 ロバート・シー・ラドナー アメリカ合衆国メリーランド21754、イジ ャムスビル、グリーン・バレー・ロード 3827番

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオン結合部位を含有するセリンプ
    ロテアーゼの安定性を、対応する野生型プロテアーゼの
    安定性と比較して増大させる方法であって、 下記工程 (i)該プロテアーゼの金属イオン結合部位を、プロテ
    アーゼ安定性のパラメーターと相関させること、および
    (ii)該金属結合部位に存在するおよび/または極めて
    近接して存在する、少なくとも1つのアミノ酸残基の置
    換、挿入、および/または欠失により、該金属イオン結
    合部位の構造を変化させ、該金属イオン結合部位のアミ
    ノ酸残基と該金属イオンとの間の静電誘引を増大させる
    こと、からなり、 該プロテアーゼが、以下の6つのサブチリシンBPN’
    変異体 (1)Ser218およびAsp131 (2)Ser218、Asp131およびAla254 (3)Thr116およびAsp131 (4)Asp131 (5)Ala169、および (6)Ser169 以外であることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 該金属イオン結合部位とプロテアーゼ安
    定性の該パラメーターとの間の相関を、該プロテアーゼ
    または進化的に関連のある相同変異体の、3次元構造の
    分析による金属イオン結合部位の同定によって行うもの
    である、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 オリゴヌクレオチドインビトロ突然変異
    誘発により該変化を行う、請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 インビトロランダム突然変異誘発を行
    い、変異体をスクリーニングまたは選択することにより
    該変化を行う、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 さらに、金属イオン結合構造部位のアミ
    ノ酸残基の位置を調べること、および許容できない立体
    障害を起こすことなく結合した金属イオンにできるだけ
    近接して存在し、且つ該金属イオンとの距離と該金属イ
    オン結合部位における静電誘引力の幾何学とを最適にし
    得る残基を、置換、挿入、または欠失のために選択する
    ことを含む、請求項1、2または4のいずれかに記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 置換、挿入、または欠失のために選択し
    たアミノ酸残基が、進化的に関連のある相同タンパク質
    において保存されていないアミノ酸残基である、請求項
    1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 (a)正に荷電したアミノ酸を、負に荷
    電したアミノ酸に置換すること;(b)負に荷電したア
    ミノ酸を、金属イオン結合部位に挿入すること;および
    (c)正に荷電したアミノ酸を金属イオン結合部位から
    欠失させることの内のいずれかまたは全てを含む、請求
    項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 プロテアーゼの金属結合部位に存在する
    および/または極めて近接して存在するアミノ酸残基を
    変化させて金属イオン結合部位のアミノ酸残基と金属イ
    オンとの間の静電誘引を増大させることにより得られ
    る、野生型プロテアーゼに対し増大した安定性を有す
    る、金属イオン結合部位を含有するセリンプロテアーゼ
    であって、 該プロテアーゼが、以下の6つのサブチリシンBPN’
    変異体 (1)Ser218およびAsp131 (2)Ser218、Asp131およびAla254 (3)Thr116およびAsp131 (4)Asp131 (5)Ala169、および (6)Ser169 以外のものであるセリンプロテアーゼ。
  9. 【請求項9】 該金属イオン結合部位が二価金属イオン
    結合部位であり、該金属イオンがCa2+、Mg2+、Ba2+
    またはSr2+である、請求項8に記載のプロテアーゼ。
  10. 【請求項10】 サブチリシンである、請求項8または
    9に記載のプロテアーゼ。
  11. 【請求項11】 野生型サブチリシンがサブチリシンB
    PN'、サブチリシンカールスバーグ、サブチリシンD
    Y、サブチリシンアミロサッカリチクス、またはメセン
    テリコペプチダーゼである、請求項10に記載のプロテ
    アーゼ。
  12. 【請求項12】 金属イオン結合部位が、カルシウム結
    合部位A、カルシウム結合部位B、またはカルシウム結
    合部位AとB両方である、請求項10または11に記載
    のプロテアーゼ。
  13. 【請求項13】 サブチリシンBPN’に関して、Asn
    76→Asp、Ser78→Asp、Gly131→AspとPro
    172→AspまたはGluのうちの、1またはそれ以上の
    アミノ酸置換、またはサブチリシンBPN’以外の野生
    型サブチリシンについては対応する置換、を有し、置換
    の結果得られたサブチリシンが、以下の6つのサブチリ
    シンBPN’変異体 (1)Ser218およびAsp131 (2)Ser218、Asp131およびAla254 (3)Thr116およびAsp131 (4)Asp131 (5)Ala169、および (6)Ser169 以外のものである、請求項10〜12のいずれかに記載
    のプロテアーゼ。
  14. 【請求項14】 突然変異させたサブチリシン遺伝子に
    よってコードされる、請求項10〜13のいずれかに記
    載のプロテアーゼ。
  15. 【請求項15】 サブチリシンBPN’に関して、Pro
    172→Aspのアミノ酸置換を有するサブチリシン7
    172、Pro172→Gluのアミノ酸置換を有するサブ
    チリシン8312、Gly131→AspとPro172→A
    spのアミノ酸置換を有するサブチリシン8331、Asn
    76→Aspのアミノ酸置換を有するサブチリシン834
    7、Ser78→Aspのアミノ酸置換を有するサブチリシ
    ン8364、またはAsn76→AspとSer78→Aspの
    アミノ酸置換を有するサブチリシン8374。
  16. 【請求項16】 金属イオン結合部位のアミノ酸配列
    が、野性型金属イオン結合部位含有プロテアーゼの金属
    イオン結合部位のアミノ酸配列と、少なくとも1つのア
    ミノ酸で相違している、請求項8〜14のいずれかに記
    載のプロテアーゼ。
  17. 【請求項17】 アミノ酸配列の相違が、 (a)アミノ酸の置換; (b)アミノ酸の欠失;または (c)アミノ酸の付加 によるものである、請求項16に記載のプロテアーゼ。
  18. 【請求項18】 請求項8〜17のいずれかに記載のプ
    ロテアーゼを、2,000〜4,000アルカリデルフト
    ユニットの濃度で含有する洗浄用組成物。
  19. 【請求項19】 織物上のタンパク質性のしみの除去を
    向上させる方法であって、該織物を請求項18に記載の
    洗浄用組成物と接触させ、ついで該しみのついた織物を
    該洗浄用組成物で洗浄することを含んでなる方法。
JP2000175500A 1987-04-06 2000-06-12 タンパク質の安定性を高めるための金属イオン結合部位における静電的相互作用の操作 Pending JP2001029076A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US3496587A 1987-04-06 1987-04-06
US034,965 1987-04-06

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50363388A Division JP3155984B2 (ja) 1987-04-06 1988-04-06 タンパク質の安定化のための金属イオン結合部位における静電的相互作用の操作

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001029076A true JP2001029076A (ja) 2001-02-06

Family

ID=21879773

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50363388A Expired - Lifetime JP3155984B2 (ja) 1987-04-06 1988-04-06 タンパク質の安定化のための金属イオン結合部位における静電的相互作用の操作
JP2000175500A Pending JP2001029076A (ja) 1987-04-06 2000-06-12 タンパク質の安定性を高めるための金属イオン結合部位における静電的相互作用の操作

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50363388A Expired - Lifetime JP3155984B2 (ja) 1987-04-06 1988-04-06 タンパク質の安定化のための金属イオン結合部位における静電的相互作用の操作

Country Status (6)

Country Link
EP (2) EP0353250B1 (ja)
JP (2) JP3155984B2 (ja)
AT (2) ATE184316T1 (ja)
DE (3) DE3856362T2 (ja)
DK (1) DK175917B1 (ja)
WO (1) WO1988008028A1 (ja)

Families Citing this family (77)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4914031A (en) * 1987-04-10 1990-04-03 Amgen, Inc. Subtilisin analogs
DK6488D0 (da) * 1988-01-07 1988-01-07 Novo Industri As Enzymer
US5324653A (en) * 1988-02-11 1994-06-28 Gist-Brocades N.V. Recombinant genetic means for the production of serine protease muteins
CN1056187C (zh) * 1988-02-11 2000-09-06 金克克国际有限公司 新的蛋白水解酶及其在洗涤剂中的应用
US6287841B1 (en) 1988-02-11 2001-09-11 Genencor International, Inc. High alkaline serine protease
AU618675B2 (en) * 1989-05-17 1992-01-02 Amgen, Inc. Multiply mutated subtilisins
BR9006832A (pt) * 1989-06-26 1991-08-06 Unilever Nv Composicao detergente enzimatica
JPH04500385A (ja) * 1989-06-26 1992-01-23 ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ 酵素洗剤組成物
US5665587A (en) 1989-06-26 1997-09-09 Novo Nordisk A/S Modified subtilisins and detergent compositions containing same
US5115102A (en) * 1989-07-21 1992-05-19 Monsanto Company Variant proteins and polypeptides possessing enhanced affinity for immobilized-metal affinity matrices
US6271012B1 (en) * 1989-10-11 2001-08-07 Genencor International, Inc. Protease muteins and their use in detergents
ES2253733T3 (es) * 1990-01-04 2006-06-01 Genencor International, Inc. Nuevas glucosa isomerasas con un ph optimo alterado.
DE69133632D1 (de) * 1990-01-04 2010-05-27 Danisco Us Inc Glukose-Isomerasen mit geänderter Substratspezifität
US5340735A (en) 1991-05-29 1994-08-23 Cognis, Inc. Bacillus lentus alkaline protease variants with increased stability
US5567601A (en) * 1993-06-01 1996-10-22 University Of Maryland Subtilisin mutants lacking a primary calcium binding site
US6440717B1 (en) * 1993-09-15 2002-08-27 The Procter & Gamble Company BPN′ variants having decreased adsorption and increased hydrolysis
US6436690B1 (en) * 1993-09-15 2002-08-20 The Procter & Gamble Company BPN′ variants having decreased adsorption and increased hydrolysis wherein one or more loop regions are substituted
MA23346A1 (fr) 1993-10-14 1995-04-01 Genencor Int Variantes de la subtilisine
BR9407833A (pt) * 1993-10-14 1997-05-13 Procter & Gamble Composições alvejantes compreendendo enzimas protease
CA2173105C (en) * 1993-10-14 2003-05-27 Andre Baeck Protease-containing cleaning compositions
US6599730B1 (en) * 1994-05-02 2003-07-29 Procter & Gamble Company Subtilisin 309 variants having decreased adsorption and increased hydrolysis
US5922082A (en) 1994-06-16 1999-07-13 Procter & Gamble Company Detergent composition containing wool compatible high alkaline proteases
EP0687733A1 (en) * 1994-06-16 1995-12-20 The Procter & Gamble Company Detergent composition containing wool compatible high alkaline proteases
US6066611A (en) * 1994-10-13 2000-05-23 The Procter & Gamble Company Bleaching compositions comprising protease enzymes
US6455295B1 (en) * 1995-03-08 2002-09-24 The Procter & Gamble Company Subtilisin Carlsberg variants having decreased adsorption and increased hydrolysis
IL117350A0 (en) * 1995-03-09 1996-07-23 Procter & Gamble Proteinase k variants having decreased adsorption and increased hydrolysis
US6475765B1 (en) * 1995-03-09 2002-11-05 Procter & Gamble Company Subtilisin DY variants having decreased adsorption and increased hydrolysis
US6682924B1 (en) * 1995-05-05 2004-01-27 Novozymes A/S Protease variants and compositions
BR9712473B1 (pt) 1996-11-04 2009-08-11 variantes de subtilase e composições.
ATE409743T1 (de) 1996-11-04 2008-10-15 Novozymes As Subtilase varianten und verbindungen
AU9061798A (en) 1997-08-29 1999-03-22 Novo Nordisk A/S Protease variants and compositions
BR9811248B1 (pt) 1997-08-29 2011-10-04 variante de enzima subtilase derivada de uma subtilase originária selecionada a partir do sub-grupo i-s1 ou do sub-grupo i-s2, dita variante tendo melhorado desempenho de lavagem em detergentes em comparação com a subtilase originária, sequência de dna isolada, vetor de expressão, célula hospedeira microbiana, processo para produzir uma variante, composição, uso de uma variante de subtilase.
US6773907B2 (en) 1997-11-21 2004-08-10 Peter Kamp Hansen Subtilase enzymes
US6780629B2 (en) 1997-11-21 2004-08-24 Novozymes A/S Subtilase enzymes
CA2310454C (en) 1997-11-21 2012-01-24 Novo Nordisk A/S Protease variants and compositions
CA2324422A1 (en) * 1998-03-26 1999-09-30 The Procter & Gamble Company Serine protease variants having amino acid deletions and substitutions
US6908757B1 (en) 1998-03-26 2005-06-21 The Procter & Gamble Company Serine protease variants having amino acid deletions and substitutions
AU2742499A (en) 1998-03-26 1999-10-18 Procter & Gamble Company, The Serine protease variants having amino acid substitutions
DE60040149D1 (de) 1999-05-20 2008-10-16 Novozymes As Subtilase-enzyme der i-s1 und i-s2 untergruppen mit wenigstens einem zusätzlichen aminosäurerest zwischen positionen 126 und 127
DE60039693D1 (de) 1999-05-20 2008-09-11 Novozymes As Subtilase-enzyme der i-s1 und i-s2 untergruppen mit wenigstens einem zusätzlichen aminosäurerest zwischen positionen 125 und 126
EP1183337B1 (en) 1999-05-20 2008-09-17 Novozymes A/S Subtilase enzymes of the i-s1 and i-s2 sub-groups having at least one additional amino acid residue between positions 132 and 133
AU4393000A (en) 1999-05-20 2000-12-12 Novozymes A/S Subtilase enzymes of the i-s1 and i-s2 sub-groups having at least one additionalamino acid residue between positions 128 and 129
EP1183341B2 (en) 1999-05-20 2012-05-02 Novozymes A/S Subtilase enzymes of the i-s1 and i-s2 sub-groups having at least one additional amino acid residue between positions 127 and 128
WO2000071687A1 (en) 1999-05-20 2000-11-30 Novozymes A/S Subtilase enzymes of the i-s1 and i-s2 sub-groups having at least one additional amino acid residue between positions 129 and 130
US6946128B1 (en) 1999-07-22 2005-09-20 The Procter & Gamble Company Protease conjugates having sterically protected epitope regions
KR20020021397A (ko) 1999-07-22 2002-03-20 데이비드 엠 모이어 규정된 에피토프 영역에 아미노산 결실 및 치환을 갖는서브틸리신 프로테아제 변이체
WO2001007578A2 (en) 1999-07-22 2001-02-01 The Procter & Gamble Company Subtilisin protease variants having amino acid substitutions in defined epitope regions
EP1196548A2 (en) 1999-07-22 2002-04-17 The Procter & Gamble Company Protease conjugates having sterically protected clip sites
WO2001027227A2 (en) * 1999-10-14 2001-04-19 Novozymes A/S Detergent compositions having improved wash performance comprising a subtilase variant and a surfactant
US6727085B2 (en) 1999-12-15 2004-04-27 Fanoe Tina Sejersgaard Subtilase variants having an improved wash performance on egg stains
US6777218B1 (en) 2000-03-14 2004-08-17 Novozymes A/S Subtilase enzymes having an improved wash performance on egg stains
GB0013643D0 (en) 2000-05-31 2000-07-26 Unilever Plc Targeted moieties for use in bleach catalysts
DE10163884A1 (de) 2001-12-22 2003-07-10 Henkel Kgaa Neue Alkalische Protease aus Bacillus sp. (DSM 14392) und Wasch- und Reinigungsmittel enthaltend diese neue Alkalische Protease
EP1623029B1 (en) 2003-05-07 2008-09-03 Novozymes A/S Variant subtilisin enzymes (subtilases)
EP1678296B1 (en) 2003-10-23 2011-07-13 Novozymes A/S Protease with improved stability in detergents
DE10360805A1 (de) 2003-12-23 2005-07-28 Henkel Kgaa Neue Alkalische Protease und Wasch- und Reinigungsmittel, enthaltend diese neue Alkalische Protease
EP2305821A3 (en) * 2004-02-13 2011-04-13 Novozymes A/S Protease variants
DE102004019751A1 (de) 2004-04-23 2005-11-17 Henkel Kgaa Neue Alkalische Proteasen und Wasch- und Reinigungsmittel, enthaltend diese neuen Alkalischen Proteasen
EP1598367A1 (en) * 2004-05-18 2005-11-23 ZLB Behring GmbH Modified coagulation factors with enhanced stability and their derivatives
US20100029538A1 (en) 2006-04-14 2010-02-04 Anna-Liisa Auterinen One-Step Treatment of Textiles
EP2013339B1 (en) 2006-04-20 2013-09-11 Novozymes A/S Savinase variants having an improved wash performance on egg stains
CA2685690A1 (en) 2007-04-30 2008-11-06 Danisco Us Inc. Use of protein hydrolysates to stabilize metalloprotease detergent formulations
SG148934A1 (en) 2007-06-11 2009-01-29 Novozymes As A process for combined biopolishing and bleach clean-up
DE102007032111B4 (de) 2007-07-09 2017-07-20 Henkel Ag & Co. Kgaa Neue Proteasen und Wasch- und Reinigungsmittel enthaltend diese Proteasen
DE102007036756A1 (de) 2007-08-03 2009-02-05 Henkel Ag & Co. Kgaa Neue Proteasen und Wasch- und Reinigungsmittel, enthaltend diese neuen Proteasen
US20130224757A1 (en) 2010-08-19 2013-08-29 Novozymes A/S Induced sporulation screening method
WO2013004635A1 (en) 2011-07-01 2013-01-10 Novozymes A/S Liquid detergent composition
WO2014152674A1 (en) 2013-03-14 2014-09-25 Novozymes A/S Enzyme and inhibitor containing water-soluble films
WO2014177709A1 (en) 2013-05-03 2014-11-06 Novozymes A/S Microencapsulation of detergent enzymes
EP3397061A1 (en) 2015-12-28 2018-11-07 Novozymes BioAG A/S Heat priming of bacterial spores
EP3688150A1 (en) 2017-09-27 2020-08-05 Novozymes A/S Lipase variants and microcapsule compositions comprising such lipase variants
CN111868239A (zh) 2018-02-08 2020-10-30 诺维信公司 脂肪酶、脂肪酶变体及其组合物
WO2019154955A1 (en) 2018-02-08 2019-08-15 Novozymes A/S Lipase variants and compositions thereof
CN111770788B (zh) 2018-03-13 2023-07-25 诺维信公司 使用氨基糖低聚物进行微囊化
WO2020099491A1 (en) 2018-11-14 2020-05-22 Novozymes A/S Oral care composition comprising a polypeptide having dnase activity
WO2021001400A1 (en) 2019-07-02 2021-01-07 Novozymes A/S Lipase variants and compositions thereof
JP2023539234A (ja) 2020-08-24 2023-09-13 ノボザイムス アクティーゼルスカブ フルクタナーゼを含む口腔ケア組成物

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NZ208612A (en) * 1983-06-24 1991-09-25 Genentech Inc Method of producing "procaryotic carbonyl hydrolases" containing predetermined, site specific mutations
EP0260299A4 (en) * 1986-02-12 1988-11-24 Genex Corp MUTAGENESIS AND SCREENING PROCESS AND PRODUCT OBTAINED.
US5260207A (en) * 1987-04-06 1993-11-09 Enzon Labs Inc. Engineering of electrostatic interactions at metal ion binding sites for the stabilization of proteins
US4914031A (en) * 1987-04-10 1990-04-03 Amgen, Inc. Subtilisin analogs
AU618675B2 (en) * 1989-05-17 1992-01-02 Amgen, Inc. Multiply mutated subtilisins

Also Published As

Publication number Publication date
ATE371029T1 (de) 2007-09-15
JP3155984B2 (ja) 2001-04-16
DK496489A (da) 1989-10-06
DK175917B1 (da) 2005-06-27
DE3856362T2 (de) 2000-05-18
EP0916732A1 (en) 1999-05-19
JPH02502874A (ja) 1990-09-13
WO1988008028A1 (en) 1988-10-20
DE3856362D1 (de) 1999-10-14
EP0916732B1 (en) 2007-08-22
DE3856593D1 (de) 2007-10-04
EP0353250A4 (en) 1990-09-05
EP0353250B1 (en) 1999-09-08
ATE184316T1 (de) 1999-09-15
EP0353250A1 (en) 1990-02-07
DK496489D0 (da) 1989-10-06
DE353250T1 (de) 1998-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3155984B2 (ja) タンパク質の安定化のための金属イオン結合部位における静電的相互作用の操作
US5260207A (en) Engineering of electrostatic interactions at metal ion binding sites for the stabilization of proteins
Pantoliano et al. The engineering of binding affinity at metal ion binding sites for the stabilization of proteins: subtilisin as a test case
JP3444422B2 (ja) 変異型タンパク質分解酵素およびその製法
EP0804592B1 (en) Calcium free subtilisin mutants
Várallyay et al. Two mutations in rat trypsin confer resistance against autolysis
US6197589B1 (en) Enzymes for detergents
Fontana Structure and stability of thermophilic enzymes studies on thermolysin
EP0409878A1 (en) Subtilisin mutations
WO1989009819A1 (en) Combining mutations for stabilization of subtilisin
US5470733A (en) Calcium free subtilisin mutants
Gilboa et al. Interactions of Streptomyces griseus aminopeptidase with a methionine product analogue: a structural study at 1.53 Å resolution
WO2002026956A9 (en) Calcium free subtilisin mutants
Kawamura et al. Contribution of a salt bridge to the thermostability of DNA binding protein HU from Bacillus stearothermophilus determined by site-directed mutagenesis
US6541234B1 (en) Calcium free subtilisin mutants
Gallagher et al. Subtilisin BPN'at 1.6 Å resolution: analysis for discrete disorder and comparison of crystal forms
Dieckmann et al. The Adenylation Domain of Tyrocidine Synthetase 1: Structural and Functional Role of the Interdomain Linker Region and the (S/T) GT (T/S) GXPKG Core Sequence
US6518054B1 (en) Metallo-endopeptidases
TW472085B (en) Mutant type subtilisin YaB and its application
EP1321513A1 (en) Subtilisin variants with improved characteristics
EP2767547B1 (en) Proteinaceous protease inhibitor and protein solution and detergent composition containing it
CN114302961A (zh) 用于测序反应的聚合酶
JP4406298B2 (ja) アミノペプチダーゼ
US20030157645A1 (en) Subtilisin variants with improved characteristics
JP2020195375A (ja) 5−アミノレブリン酸シンテターゼ変異体およびその宿主細胞と応用