JP4406298B2 - アミノペプチダーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、アミノペプチダーゼに関する。さらに詳しくは、本発明は、単離されたアミノペプチダーゼ、該アミノペプチダーゼをコードする核酸、該核酸を含有した発現ベクター、該核酸を保持した形質転換体、組換えアミノペプチダーゼ、該アミノペプチダーゼに対する抗体、該核酸を検出するためのプローブ及び該核酸を増幅するプライマーに関する。
アミノペプチダーゼは、ペプチド又はタンパク質基質のN末端からのアミノ酸残基の加水分解を触媒する。
前記アミノペプチダーゼは、調味料の製造時の反応の触媒〔特許文献1〜3を参照のこと〕、タンパク質の配列決定における分子ツール、エンドペプチダーゼのtwo−stageアッセイにおける添加剤〔非特許文献1を参照のこと〕、組換えタンパク質及び融合産物のプロセシングにおけるキュアリング試薬〔非特許文献2を参照のこと〕、光学活性アミノ酸製造〔非特許文献3を参照のこと〕として用いられている。
しかしながら、従来用いられているアミノペプチダーゼは、安定性、反応性、補因子の要求性、基質特異性等の点から、使用条件が限定される場合があるという欠点がある。
特開2002−355047号公報 特開2000−325090号公報 特開2000−232885号公報 オロウスキー(Orlowski, M.)ら,Biochemistry,18,4942−4950(1981) ベン−バサット(Ben−Bassat, A.)ら,J.Bacteriol.,169,751−757(1987) ヤムスコフ(I.A.Yamskov)ら、Enzyme Microb.Technol.,3,137−140(1981)
本発明の1つの側面は、触媒等に応用するに十分に高い熱安定性を有すること、触媒等に応用するに十分に高い至適反応温度を有すること、触媒等に応用するに適した条件下で反応性を示すこと、カルシウムイオンにより反応性に影響が見られず、カルシウムイオンの非存在下においても高い基質特異性を示すこと、触媒等に応用するに適した基質特異性を示すこと、加水分解活性により種々の産物を得ること等の少なくとも1つを解決しうる、アミノペプチダーゼを提供することにある。
また、本発明の別の側面は、前記アミノペプチダーゼを効率よく発現させること、前記アミノペプチダーゼを大量に供給すること、前記アミノペプチダーゼの性質を改変させること、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出すること、実質的に高い純度の前記アミノペプチダーゼを得ること等の少なくとも1つを解決しうる、アミノペプチダーゼをコードする核酸を提供することにある。
さらに、本発明の他の側面は、実質的に高い純度であること、触媒等に応用するに十分に高い熱安定性を有すること、触媒等に応用するに十分に高い至適反応温度を有すること、触媒等に応用するに適した条件下で反応性を示すこと、触媒等に応用するに適した基質特異性を示すこと、加水分解活性により種々の産物を得ること等の少なくとも1つを解決しうる、組換えアミノペプチダーゼを提供することにある。
また、本発明の別の側面は、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出すること、前記アミノペプチダーゼを有する生物供給源を検出すること等の少なくとも1つを解決しうる、プローブ及びプライマー対を提供することにある。
さらに、本発明の他の側面は、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出すること、前記アミノペプチダーゼを有する生物供給源を検出すること等の少なくとも1つを解決しうる、アミノペプチダーゼの検索方法を提供することにある。
また、本発明の別の側面は、前記アミノペプチダーゼ又は該アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出すること、前記アミノペプチダーゼ又は該アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼの機能を阻害すること等の少なくとも1つを解決しうる、抗体又はその断片を提供することにある。
さらに、本発明の他の側面は、前記アミノペプチダーゼを効率よく発現させること、前記アミノペプチダーゼを大量に供給すること、実質的に高い純度の前記アミノペプチダーゼを得ること、アミノペプチダーゼの製造に適した細胞に前記核酸を導入すること、前記核酸を効率よく導入すること等の少なくとも1つを解決しうる、前記アミノペプチダーゼの発現用担体を提供することにある。
また、本発明は、前記アミノペプチダーゼを大量に供給すること、実質的に高い純度の前記アミノペプチダーゼを得ること等の少なくとも1つを解決しうる形質転換細胞を提供することにある。
さらに、本発明の他の側面は、前記アミノペプチダーゼを効率よく発現させること、前記アミノペプチダーゼを大量に供給すること、実質的に高い純度の前記アミノペプチダーゼを得ること等の少なくとも1つを解決しうる、前記アミノペプチダーゼの製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、
〔1〕 下記性質:
(1)至適反応pH:
pH7.5〜10.5
(2)基質特異性:
L−ロイシン−p−ニトロアニリド、L−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド、L−メチオニン−p−ニトロアニリド、L−リジン−p−ニトロアニリド、L−アラニン−p−ニトロアニリド及びL−プロリン−p−ニトロアニリドに対して加水分解活性を示す、
(3)至適反応温度:
5℃、
(4)熱安定性:
50%熱不活性化温度として、78℃
(5)カルシウムイオンによる触媒活性の影響が実質的にない、
(6)分子量:
SDS−PAGEにおいて33kDa、
を有するアミノペプチダーゼ、
〔2〕 ストレプトマイセス セプタタス TH−2(FERM P−17329)により産生されるものである、前記〔1〕記載のアミノペプチダーゼ、
〔3〕 (A)配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、
(B)配列番号:1に示される塩基配列、
(C)前記(B)の塩基配列において、1個又は数個のヌクレオチド残基の置換、欠失、付加又は挿入を有する塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
(D)前記(B)の塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、及び
(E)前記配列番号:2に示されるアミノ酸配列に対し、BLASTアルゴリズムで、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして得られた配列同一性が少なくとも80%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
からなる群より選ばれた塩基配列を含有してなり、コードされるポリペプチドが、カルシウムイオンの非存在下で、アミノアシル−p−ニトロアニリドに対して、加水分解活性を示すものである、アミノペプチダーゼをコードする核酸、
〔4〕 前記〔3〕記載の核酸を含有してなる、アミノペプチダーゼの発現用担体、
〔5〕 前記〔3〕記載の核酸を保持してなる形質転換細胞、
〔6〕 1)前記〔5〕記載の形質転換細胞を培養して、培養物を得る工程、及び
2)前記工程1)で得られた培養物からアミノペプチダーゼを回収する工程、
を含む、組換えアミノペプチダーゼの製造方法、
〔7〕 前記〔3〕記載の核酸によりコードされる組換えアミノペプチダーゼ、
〔8〕 (i)配列番号:に示される塩基配列中の塩基番号:268〜274、325〜334、534〜558からなる群より選ばれたヌクレオチド残基を含む連続した少なくとも20ヌクレオチド残基からなる塩基配列若しくは該塩基配列に対する実質的に相補的な塩基配列
含有してなる、前記〔3〕記載の核酸を検出するためのプローブ、
〔9〕 A.(I)配列番号:に示される塩基配列中の塩基番号:268〜274、325〜334、534〜558からなる群より選ばれたヌクレオチド残基を含む連続した少なくとも20ヌクレオチド残基からなる塩基配列
含有したオリゴヌクレオチドと、
B.配列番号:に示される塩基配列中、前記Aのオリゴヌクレオチドに対応する塩基配列の3’末端のヌクレオチド残基から少なくとも100ヌクレオチド残基離れたヌクレオチド残基を含む連続した少なくとも20ヌクレオチド残基からなる塩基配列に対する実質的に相補的な配列を含有したオリゴヌクレオチドと
からなる、前記〔3〕記載の核酸若しくはその一部を増幅するためのプライマー対、
〔10〕 前記〔8〕記載のプローブを用いたハイブリダイゼーション及び/又は前記〔9〕記載のプライマー対を用いたPCRにより、
(A)配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、
(B)配列番号:1に示される塩基配列、
(C)前記(B)の塩基配列において、1個又は数個のヌクレオチド残基の置換、欠失、付加又は挿入を有する塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
(D)前記(B)の塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、及び
(E)前記配列番号:2に示されるアミノ酸配列に対し、BLASTアルゴリズムで、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして得られた配列同一性が少なくとも80%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
からなる群より選ばれた塩基配列中の該プローブに対応する領域及び/又は該プライマー対を用いて得られたPCR増幅産物に対応する領域を検出し、カルシウムイオンの非存在下で、アミノアシル−p−ニトロアニリドに対して、加水分解活性を示すアミノペプチダーゼをスクリーニングすることを特徴とする、アミノペプチダーゼの検索方法、並びに
〔11〕 前記〔1〕若しくは〔2〕記載のアミノペプチダーゼ又は前記〔4〕若しくは〔5〕記載の組換えアミノペプチダーゼに対する抗体又はその結合性断片、
に関する。
本発明のアミノペプチダーゼによれば、触媒等に応用するに十分に高い熱安定性及び至適反応温度で用いることができるという優れた効果を奏する。また、本発明のアミノペプチダーゼは、触媒等に応用するに適した条件下で反応性を示し、カルシウムイオンの非存在下においても高い基質親和性を示し、カルシウムイオンによる触媒活性の影響が実質的になく、触媒等に応用するに適した基質特異性を示すという優れた効果を奏する。さらに、本発明のアミノペプチダーゼによれば、加水分解活性により種々の産物を得ることができるという優れた効果を奏する。
また、本発明の核酸によれば、前記アミノペプチダーゼを効率よく発現させ、大量に供給することができ、実質的に高い純度の前記アミノペプチダーゼを得ることができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の核酸によれば、前記アミノペプチダーゼの性質を改変させることができるという優れた効果を奏する。また、本発明の核酸によれば、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出することができるという優れた効果を奏する。
さらに、本発明の組換えアミノペプチダーゼは、実質的に高い純度であるという優れた性質を発現する。本発明の組換えアミノペプチダーゼによれば、触媒等に応用するに十分な高い熱安定性、高い至適反応温度を示すという優れた性質を発現する。また、本発明の組換えアミノペプチダーゼによれば、触媒等に応用するに適した条件下で反応性を示し、カルシウムイオンの非存在下においても高い基質親和性を示し、カルシウムイオンによる触媒活性の影響が実質的にないという優れた性質を発現する。さらに、本発明の組換えアミノペプチダーゼによれば、触媒等に応用するに適した基質特異性を示すという優れた性質を発現する。したがって、本発明の組換えアミノペプチダーゼによれば、適した条件下で解析を行なうことができ、加水分解活性により種々の産物を得ることができるという優れた効果を奏する。
また、本発明のプローブ及びプライマー対によれば、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出でき、前記アミノペプチダーゼを有する生物供給源を検出することができるという優れた効果を奏する。
さらに、本発明のアミノペプチダーゼの検索方法によれば、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出でき、前記アミノペプチダーゼを有する生物供給源を検出することができるという優れた効果を奏する。
また、本発明の抗体又はその断片によれば、前記アミノペプチダーゼ又は該アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出できるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の抗体又はその断片によれば、前記アミノペプチダーゼ又は該アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼの機能を阻害することができるという優れた効果を奏する。
さらに、本発明のアミノペプチダーゼの発現用担体によれば、実質的に高い純度の前記アミノペプチダーゼを大量に供給することができるという優れた効果を奏する。また、本発明のアミノペプチダーゼの発現用担体によれば、アミノペプチダーゼの製造に適した細胞に前記核酸を効率よく導入し、前記アミノペプチダーゼを効率よく発現させることができるという優れた効果を奏する。また、本発明のアミノペプチダーゼの発現用担体によれば、前記核酸を効率よく導入することができるという優れた効果を奏する。
また、本発明の形質転換細胞によれば、前記アミノペプチダーゼを実質的に高い純度で大量に供給することができるという優れた効果を奏する。
さらに、本発明のアミノペプチダーゼの製造方法によれば、前記アミノペプチダーゼを実質的に高い純度で大量に供給することができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明のアミノペプチダーゼの製造方法によれば、前記アミノペプチダーゼを効率よく発現させることができるという優れた効果を奏する。
本発明の1つの側面は、アミノペプチダーゼである。
本発明のアミノペプチダーゼは、カルシウムイオンの非存在下であっても、基質に対する親和性が高く、カルシウムイオンによる触媒活性への影響が実質的にないという性質を有することに1つの大きな特徴がある。したがって、本発明のアミノペプチダーゼによれば、反応に際して、カルシウムイオンに由来する沈殿の発生、白濁化等を抑制することができるという優れた効果が発揮される。そのため、解析、触媒等への応用に好適である。
本発明のアミノペプチダーゼの活性測定、具体的には、加水分解活性の測定は、例えば、測定対象の酵素を含む反応液〔組成:80mM Tris−HCl、pH8.0〕に、最終濃度 3.2mMとなるように基質としてアミノアシル−p−ニトロアニリドを添加し、37℃で、405nmでの連続光学測定を行なって、p−ニトロアニリンの遊離を検出することにより行なわれうる。酵素反応の初速度は、光学密度プロファイルの直線部分から決定されうる。なお、本明細書において、アミノペプチダーゼ活性の1単位は、1分あたり1μmolのp−ニトロアニリンを遊離させる酵素量として定義される。
本発明のアミノペプチダーゼの活性測定に用いられる基質としては、例えば、L−ロイシン−p−ニトロアニリド(L−Leu−pNA)、L−ファニルアラニン−p−ニトロアニリド(L−Phe−pNA)、L−リジン−p−ニトロアニリド(L-Lys-pNA)、L−メチオニン−p−ニトロアニリド(L−Met−pNA)等が挙げられる。
本発明のアミノペプチダーゼは、pH6〜10.5、好ましくは、pH7〜10、より好ましくは、pH8〜9、さらに好ましくは、約pH8.0の至適反応pHを有することに1つの大きな特徴がある。本発明のアミノペプチダーゼは、触媒等に応用するに適した条件下で反応性を示す。また、本発明のアミノペプチダーゼは、広い範囲のpH条件下で加水分解が可能であるため、合成基質を用いたプロテアーゼの検出、光学活性化合物の合成等に有用であるという優れた性質を発揮する。なお、前記至適反応pHは、前記アミノペプチダーゼの活性測定において、反応液に用いられる80mM Tris−HClの代わりに、適宜、緩衝能に応じた緩衝液を用いることにより、活性を測定することにより評価されうる。
本発明のアミノペプチダーゼは、L−ロイシン−p−ニトロアニリド、L−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド、L−メチオニン−p−ニトロアニリド、L−リジン−p−ニトロアニリド、L−アラニン−p−ニトロアニリド及びL−プロリン−p−ニトロアニリドに対して加水分解活性を示すという基質特異性を示すことに1つの大きな特徴がある。また、本発明のアミノペプチダーゼは、例えば、5、5−ジメチル−1、3−4 アゾリジン、4−カルボキシリックアシッド−メチルエステル(DMTAメチルエステル)、ε−ポリリジン、これらの誘導体等に対しても加水分解活性を示す。したがって、本発明のアミノペプチダーゼは、触媒等に応用するに好適である。さらに、本発明のアミノペプチダーゼは、前記基質特異性を呈するため、加水分解活性により種々の産物を得るのに用いられうる。本発明のアミノペプチダーゼは、アミド以外にもメチルエステル等に対し、加水分解が可能であるため、医薬の中間体化合物の合成、高付加価値化合物の合成等に有用であるという優れた性質を発揮する。さらに、本発明のアミノペプチダーゼは、基質特異性が広く、特に塩基性アミノ酸への触媒反応を効率よく行なうことができるという点に1つの大きな特徴がある。なお、前記基質特異性は、前記アミノペプチダーゼの活性測定と同様に活性を測定することにより評価されうる。
本発明のアミノペプチダーゼは、至適反応温度が、10℃以上、好ましくは、25℃以上、より好ましくは、37℃以上、さらに好ましくは、70〜75℃、よりさらに好ましくは、約75℃であることに1つの大きな特徴がある。本発明のアミノペプチダーゼは、解析、触媒等に応用するに適した高い反応温度で用いることができる。本発明のアミノペプチダーゼは、低温条件(例えば、10℃以上)下においても触媒活性を保持しているため、熱に不安定な化合物の加水分解、熱に不安定なプロテアーゼの合成基質を用いた検出等に有用であるという優れた性質を発揮する。なお、前記至適反応pHは、前記アミノペプチダーゼの活性測定において、反応温度37℃を適宜変化させ、活性を測定することにより評価されうる。
本発明のアミノペプチダーゼは、50%熱不活性化温度として、約78℃であり、100%熱不活性化温度として、約90℃であり、低温から約70℃までの範囲で、未処理の場合の活性の100%を保持できるという熱安定性を示すことに1つの大きな特徴がある。したがって、本発明のアミノペプチダーゼは高い熱安定性を有するため、触媒等を安定して行なうことができる。なお、前記熱安定性は、前記アミノペプチダーゼの活性測定に先立って、種々の温度で、30分間、アミノペプチダーゼをインキュベーションし、得られたアミノペプチダーゼを用いて、活性を測定することにより評価されうる。
また、本発明のアミノペプチダーゼは、各pH条件下で30分間インキュベーションした場合、pH5〜10の幅広いpH条件下においても、未処理の場合と同等の活性を示すため、様々な条件での化合物の加水分解等に有用であるという優れた性質を発揮する。
本発明のアミノペプチダーゼとしては、ストレプトマイセス セプタタス TH−2より産生されるアミノペプチダーゼが挙げられる。
なお、前記ストレプトマイセス セプタタス TH−2は、Streptomyces sp. TH−2と命名・表示され、寄託番号:FERM P−17329(寄託日:1999年3月24日)として、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1−1)に寄託されている。
本発明のアミノペプチダーゼは、1つの側面では、商品名:Superdex 200ゲル濾過AKTA ファスト(fast)タンパク質液体クロマトグラフィーシステム〔ファルマシア バイオテック(Pharmacia Biotech)社製〕による分子量として、約30kDa、15重量%ポリアクリルアミドを含むゲル上、変性条件下でのSDS−PAGEによる分子量として、約33kDaである酵素である。
本発明のアミノペプチダーゼは、他の側面では、例えば、アミノ末端(N末端)アミノ酸配列:AGAPAIPVANVKAHLNQL(配列番号:2中、アミノ酸番号:65〜80に対応;配列番号:3)、トリプシン分解部分ペプチドのN末端アミノ酸配列:AGPGINDN(配列番号:2中、アミノ酸番号:155〜161に対応;配列番号:4)を有する酵素である。
本発明のアミノペプチダーゼは、特に限定されないが、例えば、4℃で、下記ステップ:
− 前記ストレプトマイセス セプタタス TH−2を、培地〔組成:0.5重量% グルコース、0.5重量% クエン酸、0.2重量% K2HPO4、0.05重量% MgSO4・7H2O、0.5重量% ポリペプトン及び0.5重量% 酵母エキス〕中28℃で72時間、定常期になるまで、好気的に培養し、
− 得られた培養物を、40000×g、10分間の遠心分離若しくは濾紙で濾過して、培地濾過物(上清)を得、
− 得られた培地濾過物を、撹拌しながら、65℃で30分間加熱し、生じた沈殿を除去し、
− 得られた溶液を、緩衝液A〔組成:10mM Tris−HCl緩衝液、pH8.0〕に対して透析し、
− 透析後の溶液を緩衝液Aで平衡化した陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、具体的には、DEAE−セファロース(Amersham社製)カラム(内径1.6×10cm、20ml)に負荷し、結合したタンパク質を、緩衝液0−0.5M NaClのリニアグラジェントで平均流速2ml/mlで溶出させ、
− 得られた溶出画分のうち、高比活性を示す画分を集め、80% 飽和硫酸アンモニウムによる塩析でタンパク質を沈殿させ、
− 得られた沈殿物を、200mM NaClを含む緩衝液Aに溶解させ、得られた溶液を、200mM NaClを含む緩衝液Aに対して透析し、
− 透析後に得られた溶液を、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー、具体的には、商品名:Superdex 200ゲル濾過カラム〔ファルマシア バイオテック(Pharmacia Biotech)社製、内径1.6×60cm、60ml〕に負荷し、200mM NaClを含む緩衝液Aにより、平均流速1ml/分でタンパク質を溶出させること
を行なうことにより得られうる。
なお、本発明のアミノペプチダーゼは、ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseus)のアミノペプチダーゼとの配列同一性が、約70%であるにもかかわらず、カルシウムイオンによる活性化、安定化等の影響を実質的に受けず、基質親和性が高く熱に安定であるという予想外の性質を有する。
また、本発明のアミノペプチダーゼは、アミノペプチダーゼに対する慣用の阻害剤に対して親和性が低い、すなわち、阻害剤による影響が小さいという点に1つの大きな特徴がある。
本発明の他の側面は、前記アミノペプチダーゼ、すなわち、前記性質を有するアミノペプチダーゼをコードする核酸である。
本発明のアミノペプチダーゼをコードする核酸としては、(A)配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列が挙げられる。
前記(A)において、配列番号:2に示されるアミノ酸配列は、ストレプトマイセス セプタタス TH−2より産生されるアミノペプチダーゼのアミノ酸配列である。
前記配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸の一例としては、具体的には、(B)配列番号:1に示される塩基配列が挙げられる。なお、本発明においては、配列番号:1に示される塩基配列と縮重を介して異なる塩基配列も含まれる。
また、本発明においては、コードされるポリペプチドが、前記(A)又は(B)の核酸によりコードされるアミノペプチダーゼと同等の活性、具体的には、アミノペプチダーゼ活性を示すものであり、アミノアシル−p−ニトロアニリドに対して、カルシウムイオンによる影響を実質的に受けず、加水分解活性を示すものであれば、前記(A)又は(B)の塩基配列を含有する核酸のバリアントであってもよい。
なお、バリアントの核酸によりコードされるポリペプチドのアミノペプチダーゼ活性、具体的には、カルシウムイオンの非存在下での加水分解活性は、前記アミノペプチダーゼの活性測定に従って評価されうる。
本明細書においては、前記「アミノペプチダーゼと同等の活性」は、基質として、L−ロイシン−p−ニトロアニリドを用いた場合、前記(A)又は(B)の核酸によりコードされるアミノペプチダーゼと同じ活性又は少なくとも10〜100%の活性、好ましくは、前記(A)又は(B)の核酸によりコードされるアミノペプチダーゼと同じ活性又は少なくとも50〜100%の活性であればよい。また、前記「アミノペプチダーゼと同等の活性」は、カルシウムイオンの非存在下で、アミノアシル−p−ニトロアニリドに対して、加水分解活性を示す性質を少なくとも有することをも包含する。
前記バリアントの塩基配列としては、1つの側面では、
(C)前記(A)又は(B)の塩基配列において、少なくとも1つのヌクレオチド残基の置換、欠失、付加又は挿入を有する塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
が挙げられる。
本明細書において、「置換、欠失、付加又は挿入を有する塩基配列」とは、天然由来の変異を有する塩基配列であってもよく、人為的な変異を導入された塩基配列であってもよい。
また、本明細書において、「少なくとも1つ」とは、1若しくは複数個、又はそれ以上、好ましくは、1個又は数個をいう。
前記(C)において、「ヌクレオチド残基の置換、欠失、付加又は挿入」は、慣用の部位特異的変異導入法等で前記(A)又は(B)の塩基配列からなる核酸に対して生じさせうる。得られた塩基配列を含有した核酸が、前記アミノペプチダーゼの活性測定により、コードされるポリペプチドが、前記(A)又は(B)の核酸によりコードされるアミノペプチダーゼと同等の活性を示すものであればよい。
前記(C)の塩基配列を含有した核酸は、配列番号:2に示されるアミノ酸配列において、保存的置換を有するポリペプチドをコードする核酸であってもよい。前記「保存的置換」とは、類似した性質(すなわち疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴)を有するアミノ酸との置換;本来のポリペプチドの生理活性を維持する程度にのみしか該ポリペプチドの立体構造、折り畳み構造を変化させ得ないアミノ酸との置換を包含することを意味する。保存的置換としては、例えば、1つの特定のアミノ酸を、下記グループI〜VI:
I. グリシン、アラニン;
II. バリン、イソロイシン、ロイシン;
III. アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン;
IV. セリン、スレオニン;
V. リジン、アルギニン;及び
VI. フェニルアラニン、チロシン
のそれぞれグループ内の他のアミノ酸に置換することが挙げられる。
前記(C)の核酸の具体例としては、特に限定されないが、例えば、配列番号:2に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:81のセリンがスレオニンであるアミノ酸配列、アミノ酸番号:234のチロシンがフェニルアラニンであるアミノ酸配列等が挙げられる。
また、前記バリアントの塩基配列としては、他の側面では、
(D)前記(A)又は(B)の塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列
が挙げられる。
前記(D)において、「ストリンジェントな条件」とは、中ストリンジェンシーの条件、好ましくは、高ストリンジェンシーの条件をいい、具体的には、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー発行、ザンブルーク(Sambrook)ら、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第3版及び第2版(Molecular Cloning : A Laboratory Manual 3rd ed.(2001発行)、2nd ed.(1989発行))等に記載された条件が挙げられる。具体的には、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)と0.5% SDSと5×デンハルトと100mg/ml ニシン精子DNAとを含む溶液中、プローブとともに65℃で一晩インキュベーションするという条件が挙げられる。なお、前記「ストリンジェントな条件」下におけるハイブリダイゼーションにおいて、より精度を高める観点から、より低イオン強度、例えば、5×SSC、よりストリンジェントには、2×SSC等の条件及び/又はより高温、例えば、前記(A)又は(B)の塩基配列を含有した核酸のTm値(80〜90)の25℃下、よりストリンジェントには、22℃下、さらにストリンジェントには、20℃下、よりさらにストリンジェントには、10℃下、特にストリンジェントには、5℃下等の条件下でのハイブリダイゼーション;より厳しい洗浄条件、具体的には、低イオン強度の緩衝液、例えば、6×SSC、よりストリンジェントには、5×SSC、よりストリンジェントには、2×SSC等を使用し、より高い温度、例えば、前記Tm値の55℃下、よりストリンジェントには、50℃下、さらにストリンジェントには、30℃下、よりさらにストリンジェントには、25℃下等の条件下での洗浄等を行なうことにより、例えば、前記配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも75%、よりストリンジェントには、80%以上、さらにストリンジェントには、85%以上、よりさらにストリンジェントには、90%以上、より一層ストリンジェントには、95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸を得ることが可能になる。
すなわち、前記(D)の塩基配列を含有した核酸は、前記(A)又は(B)の塩基配列からなる核酸を用いて、前記「ストリンジェントな条件」下にハイブリダイゼーションを行なうことによりハイブリダイズし、かつ得られた塩基配列を含有した核酸が、前記アミノペプチダーゼの活性測定により、コードされるポリペプチドが、前記(A)又は(B)の核酸によりコードされるアミノペプチダーゼと同等の活性を示すものであればよい。
前記バリアントの塩基配列としては、別の側面では、
(E)前記配列番号:2に示されるアミノ酸配列に対し、BLASTアルゴリズムで、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして得られた配列同一性が少なくとも75%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
が挙げられる。
なお、本明細書において、「配列同一性」とは、2つの分子間の残基の配列類似性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象の配列の領域にわたって、BLASTアルゴリズムで、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定されうる。ここで、比較対象の分子は、2つの配列の最適なアラインメントのための参考配列(例えば、コンセンサス配列等)と比べて、付加又は欠失(例えば、ギャップ等)を有していてもよい。配列同一性の数値(パーセンテージ)は、両方の配列に存在する同一の残基を決定して、適合部位の数を決定し、ついで、比較対象の配列領域内の残基の総数で、前記適合部位の数を割、得られた数値に100をかけることにより、算出されうる。なお、前記BLASTアルゴリズムは、BLASTN又はBLASTPとして、ウェブページアドレス:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTにおいて、一般に利用可能である。
前記配列同一性は、少なくとも75%、好ましくは、80%以上、さらに好ましくは、85%以上、よりさらに好ましくは、90%以上、より一層好ましくは、95%以上であればよい。
本発明の核酸は、本発明のアミノペプチダーゼをコードしているため、本発明の核酸によれば、前記アミノペプチダーゼを効率よく発現させ、大量に供給することができ、実質的に高い純度の前記アミノペプチダーゼを得ることができる。
また、本発明の核酸によれば、前記アミノペプチダーゼの性質を改変させることができる。また、本発明の核酸によれば、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出することができる。
本発明の核酸は、例えば、配列番号:1に示される塩基配列に基づき、ストレプトマイセス セプタタス TH−2のゲノムDNAから、慣用の手段、例えば、適切なプローブを用いたハイブリダイゼーション、適切なプライマー対を用いたPCR等により単離することができる。
本発明の核酸の供給源としては、特に限定されないが、例えば、ストレプトマイセス セプタタス TH−2、他の微生物、具体的には、特に限定されないが、例えば、ストレプトマイセス グリセウス、ストレプトマイセス セリカラー、ストレプトマイセス アヴェルミティリス等、植物、動物等が挙げられる。
本発明の別の側面は、組換えアミノペプチダーゼである。
本発明の組換えアミノペプチダーゼは、本発明の核酸によりコードされる酵素である。
より具体的には、本発明の組換えアミノペプチダーゼは、例えば、
(a)配列番号:2に示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号:2において、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、欠失、付加又は挿入を有する、アミノペプチダーゼ活性を示すポリペプチドのアミノ酸配列
、及び
(c)前記配列番号:2に示されるアミノ酸配列に対し、BLASTアルゴリズムで、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして得られた配列同一性が少なくとも75%、好ましくは、80%以上、さらに好ましくは、85%以上、よりさらに好ましくは、90%以上、より一層好ましくは、95%以上であるアミノ酸配列
からなる群より選ばれたアミノ酸配列を含有してなり、カルシウムイオンの非存在下で、アミノアシル−p−ニトロアニリドに対して、加水分解活性を示すポリペプチドが挙げられる。
本発明の組換えアミノペプチダーゼは、他のアミノペプチダーゼが実質的に含まれない高い純度である。また、本発明の組換えアミノペプチダーゼは、本発明のアミノペプチダーゼと同様に、触媒等に応用するに十分な高い熱安定性、高い至適反応温度を示し、解析、触媒等に応用するに適した条件下で反応性を示し、カルシウムイオンの非存在下に反応性を示す。さらに、本発明の組換えアミノペプチダーゼは、解析、触媒等に応用するに適した基質特異性を示す。したがって、本発明の組換えアミノペプチダーゼによれば、適した条件下で解析を行なうことができ、加水分解活性により種々の産物を得ることができる。
本発明の組換えアミノペプチダーゼは、例えば、
− 本発明の核酸を、アミノペプチダーゼを発現させる対象となる細胞への導入に適した担体に保持させ、
− 得られた担体(以下、アミノペプチダーゼの発現用担体)を前記細胞に導入し、
− 得られた形質転換細胞を培養し、
− 得られた培養物から、適切な手段でアミノペプチダーゼを回収すること
により製造することができる。
すなわち、本発明の他の側面は、アミノペプチダーゼの発現用担体、形質転換細胞、及び組換えアミノペプチダーゼの製造方法である。
本発明のアミノペプチダーゼの発現用担体は、本発明の核酸を含有する。したがって、本発明のアミノペプチダーゼの発現用担体によれば、実質的に高い純度の前記アミノペプチダーゼを大量に供給することができ、アミノペプチダーゼの製造に適した細胞に前記核酸を効率よく導入し、前記アミノペプチダーゼを効率よく発現させることができる。また、本発明のアミノペプチダーゼの発現用担体によれば、前記核酸を効率よく導入することができる。
本発明の発現用担体は、具体的には、アミノペプチダーゼを発現させる対象となる細胞への導入に適した担体に、本発明の核酸が保持されたものである。
前記細胞としては、例えば、慣用の宿主細胞が挙げられ、具体的には、例えば、大腸菌、枯草菌、放線菌等の細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、動物細胞、植物細胞等が挙げられる。より具体的には、前記大腸菌としては、BL21(DE3)、JM109等が挙げられる。前記細胞のなかでは、精製の容易化、大量調製、安全性等の観点から、好ましくは、大腸菌BL21(DE3)、JM109が望ましい。
前記担体としては、生物担体、具体的には、前記細胞に適したベクター等、非生物担体、例えば、金粒子、デキストラン等が挙げられる。
前記「細胞に適したベクター」としては、組換えDNAの使用目的に応じて適当なベクターを選択すればよく、プラスミドベクター、ファージベクター等が挙げられる。導入対象となる細胞が、大腸菌の細胞である場合、前記「細胞に適したベクター」としては、例えば、pET22b、pTrc99A、pQE32、pETKmS2〔ミシマ(Mishima,N)ら、Biotechnol Prog.,13,846〜868(1997)〕等が挙げられる。かかるベクターには、プロモーター(具体的には、例えば、誘導可能なプロモーター、構成的プロモーター等)、選択用マーカー遺伝子、ターミネーター等の転写エレメントを適宜有していてもよい。
誘導可能なプロモーターとしては、特に限定されないが、例えば、T7プロモーター、T5プロモーター、Lacプロモーター、Tacプロモーター等が挙げられる。
選択用マーカー遺伝子としては、例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン等が挙げられる。
かかるベクターには、アミノペプチダーゼの精製を容易にするための因子、例えば、細胞外分泌シグナル、融合パートナー(Hisタグ、pelBシグナル等)等を含有してもよい。
担体が、前記「細胞に適したベクター」である場合、本発明の発現用担体は、前記ベクター上の制限酵素部位(例えば、クローニングサイト等)に、本発明の核酸を作動可能に連結させることにより作製されうる。
担体が、前記非生物担体である場合、必要に応じて、本発明の核酸を、前記プロモーターの制御下に作動可能に連結させて得られた核酸構築物を、該非生物担体に担持させることにより作製されうる。なお、前記核酸構築物は、複製開始起点、ターミネーター等をさらに含有してもよい。
なお、本明細書において、「作動可能に連結」とは、核酸によりコードされるポリペプチドの発現が、転写エレメントによる制御下に生物学的活性を示す状態で発現するように連結されていることを意味する。
本発明の形質転換細胞は、本発明の核酸を保持する細胞である。本発明の形質転換細胞によれば、本発明の核酸を保持し、該核酸から組換えアミノペプチダーゼを発現するため、前記アミノペプチダーゼを実質的に高い純度で大量に供給することができる。
本発明の形質転換細胞は、本発明の発現用担体を、前記細胞に導入して、該細胞を形質転換することにより得られうる。
細胞への発現用担体の導入方法としては、特に限定されないが、例えば、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法等が挙げられる。
本発明の組換えアミノペプチダーゼの製造方法は、1)本発明の形質転換細胞を培養して、培養物を得る工程、及び
2)前記工程1)で得られた培養物からアミノペプチダーゼを回収する工程、
を含む方法である。本発明のアミノペプチダーゼの製造方法によれば、本発明の形質転換細胞を用いているため、本発明のアミノペプチダーゼの製造方法によれば、前記アミノペプチダーゼを効率よく発現させることができ、前記アミノペプチダーゼを実質的に高い純度で大量に供給することができる。
前記工程1)において、形質転換細胞は、用いた細胞、担体、転写エレメント等に応じた培養条件下、必要により、発現誘導条件下に培養すればよい。
前記工程2)において、本発明の形質転換細胞が、組換えアミノペプチダーゼを細胞内に蓄積する場合、前記工程1)で得られた培養物を遠心分離等に供して、形質転換細胞を回収すればよい。この場合、得られた形質転換細胞から、慣用のタンパク質精製法、例えば、超音波破砕法、溶菌法、凍結破砕法、遠心分離、限外濾過、塩析、透析、イオン交換カラムクロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー等を適宜組み合わせ、アミノペプチダーゼ活性測定、タンパク質定量、SDS-PAGE等による純度検定等を行なうことにより、組換えアミノペプチダーゼを実質的に単離することができる。
一方、前記工程2)において、本発明の形質転換細胞が、組換えアミノペプチダーゼを細胞外に分泌する場合、前記工程1)で得られた培養物から、遠心分離、濾過等により培養上清を回収すればよい。この場合、用いた細胞により異なるが、得られた培養上清を、熱処理、前記タンパク質精製法等を適宜組み合わせ、アミノペプチダーゼ活性測定、タンパク質定量、SDS-PAGE等による純度検定等を行なうことにより、組換えアミノペプチダーゼを実質的に単離することができる。例えば、大腸菌、枯草菌等の中温性細菌を用いた場合、得られた培養上清を熱処理することにより、組換えアミノペプチダーゼを実質的に単離することができる。
なお、本発明の形質転換細胞の作製の際、細胞として、大腸菌BL21 DE3を用い、担体として、pETKmS2〔ミシマ(Mishima,N.)ら、Biotehnol Prog.,13,864−868(1997)〕を用いて得られた形質転換細胞は、該形質転換細胞の培養上清に本発明の組換えアミノペプチダーゼが分泌されるため、該培養上清を熱処理することにより、実質的に単離された組換えアミノペプチダーゼを簡便に得ることができる点で有利である。この場合、例えば、
− 上記形質転換細胞を、0.5重量% KH2PO4、0.5% K2HPO4、0.44重量% Na2HPO4、0.3重量% (NH42SO4、0.5重量% グルコース、0.3重量% MgSO4・7H2O、0.004重量% FeSO4・7H2O、0.004重量% CaCl2、0.00029重量% CoCl2・6H2O、0.0003重量% CuSO4・5H2O、0.000036重量% Na2MoO・2H2O、0.001重量% H3BO3、0.001重量% ZnSO4・7H2O、0.2重量% グリセロール及び50μg/ml カナマイシンを含む合成培地中、26℃で12時間培養し、
− 得られた培養物に、IPTGを、終濃度0.5mMとなるように添加し、
− 培養物を、振とうしながら、18℃で36時間培養する
ことにより、組換えアミノペプチダーゼを発現させることができる。
本発明の他の側面は、本発明の核酸を検出するためのプローブ及び本発明の核酸若しくはその一部を増幅するためのプライマー対である。
本発明のプローブの1つの態様は、(i)配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸の配列中の塩基番号:268〜274、325〜334、534〜558からなる群より選ばれたヌクレオチド残基を含む連続した少なくとも20ヌクレオチド残基からなる塩基配列若しくは該塩基配列に対する実質的に相補的な塩基配列
を含有したプローブ〔プローブ(i)という〕である。かかるプローブによれば、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出できる。また、本発明のプローブによれば、前記アミノペプチダーゼを有する生物供給源を検出することができる。
本発明のプローブ(i)においては、配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸の配列中の塩基番号:268〜274、325〜334、534〜558からなる群より選ばれたヌクレオチド残基を含むことに1つの大きな特徴がある。したがって、本発明のプローブによれば、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼ及び前記アミノペプチダーゼを有する生物供給源を検出することができる。
ここで、「前記ヌクレオチド残基を含む連続した(塩基配列)」とは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸の配列上、前記ヌクレオチド残基と、その隣接配列を意味する。
本発明のプローブ(i)の長さは、少なくとも20ヌクレオチド長、好ましくは、20〜200ヌクレオチド長、好ましくは、50〜200ヌクレオチド長、より好ましくは、100〜200ヌクレオチド長である。
本発明のプローブの他の態様は、
(ii)配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸に対して、前記(i)の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと同等の相補性を示すオリゴヌクレオチドの塩基配列若しくは該塩基配列に対する実質的に相補的な塩基配列、
を含有したプローブ〔プローブ(ii)という〕。
ここで、本明細書において、「同等の相補性」とは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸との結合力が、比較対象となるオリゴヌクレオチドと同等であることをいう。前記結合力は、例えば、ハイブリダーゼーション、共鳴プラズモン相互作用解析等により評価されうる。ハイブリダーゼーションによる評価の場合、結合力は、例えば、配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸と共に、6×SSCと0.5% SDSと5×デンハルトと100mg/ml ニシン精子DNAとを含む溶液中、プローブとともに55℃で12時間インキュベーションし、5×SSCで10分間の洗浄した後にも、該核酸とのハイブリッドが検出できる程度であればよい。
また、本明細書において、「実質的に相補的」とは、完全に相補的であることを意味する。
プローブ(ii)の長さも、前記プローブ(i)と同様であればよい。
本発明のプローブの具体例としては、本発明の核酸の全長、配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸の塩基番号:259〜303、534〜558等が挙げられる。
本発明のプライマー対は、
A. (I)配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸の配列中の塩基番号:268〜274、325〜334、534〜558からなる群より選ばれたヌクレオチド残基を含む連続した少なくとも20ヌクレオチド残基からなる塩基配列、又は
(II)配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸に対して、前記(I)の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと同等の相補性を示すオリゴヌクレオチドの塩基配列、
を含有したオリゴヌクレオチドと、
B. 配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸の配列中、前記Aのオリゴヌクレオチドに対応する塩基配列の3’末端のヌクレオチド残基から少なくとも100ヌクレオチド残基離れたヌクレオチド残基を含む連続した少なくとも20ヌクレオチド残基からなる塩基配列に対する実質的に相補的な配列を含有したオリゴヌクレオチドと
からなるプライマー対である。本発明のプライマー対によれば、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼ及び前記アミノペプチダーゼを有する生物供給源を検出することができる。
本発明のプライマー対の各プライマーの長さは、少なくとも20ヌクレオチド長、好ましくは、20〜30ヌクレオチド長、好ましくは、25〜30ヌクレオチド長、より好ましくは、28〜30ヌクレオチド長である。
配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸の配列中、Aのオリゴヌクレオチドと、Bのオリゴヌクレオチドの距離は、前記Aのオリゴヌクレオチドに対応する塩基配列の3’末端のヌクレオチド残基から少なくとも100ヌクレオチド長、好ましくは、200〜800ヌクレオチド長、好ましくは、500〜800ヌクレオチド長、より好ましくは、700〜800ヌクレオチド長である。
本発明のプライマー対の具体例としては、例えば、5'-CC(GC)GC(GC)ATCCC(GC)GT(GC)GC(GC)AACGT-3'(配列番号:5)に示される塩基配列を含有したプライマーと5'-CCGTTGTCGTTGAT(GC)CC(GC)GG(GC)CC-3'(配列番号:6)を含有したプライマーとからなるプライマー対、5'-CAAGGGCCACGTCAGGACCATGGCCGGCGC-3'(配列番号:7)に示される塩基配列を含有したプライマーと5'-CTTGAGGATCCGAGGTCAAACCCCGCAG-3'(配列番号:8)に示される塩基配列を含有したプライマーとからなるプライマー対等が挙げられる。
本発明の別の側面は、アミノペプチダーゼの検索方法である。
本発明のアミノペプチダーゼの検索方法は、本発明のプローブを用いたハイブリダイゼーション及び/又は本発明のプライマー対を用いたPCRにより、前記(A)〜(E)からなる群より選ばれた塩基配列中の該プローブに対応する領域及び/又は該プライマー対を用いて得られたPCR増幅産物に対応する領域を検出し、アミノアシル−p−ニトロアニリドに対して、加水分解活性を示すアミノペプチダーゼをスクリーニングすることを1つの大きな特徴とする。したがって、本発明のアミノペプチダーゼの検索方法によれば、前記アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼ及び前記アミノペプチダーゼを有する生物供給源を検出することができる。
本発明の検索方法において、被験試料としては、微生物、植物細胞、動物細胞等、それらの核酸試料等が挙げられる。
本発明の検索方法において、ハイブリダーゼーションの条件は、前記「結合力」の評価のハイブリダイゼーション条件等が挙げられる。なお、本発明の検索方法においては、より精度を高める観点から、必要に応じて、より低イオン強度、例えば、6×SSC、よりストリンジェントには、5×SSC等の条件及び/又はより高温、例えば、用いるプローブのTm値(80〜90)の10℃下、よりストリンジェントには、5℃下等の条件下でのハイブリダイゼーション;より厳しい洗浄条件、具体的には、低イオン強度の緩衝液、例えば、6×SSC、よりストリンジェントには、5×SSC、よりストリンジェントには、2×SSC等を使用し、より高い温度、例えば、前記Tm値の55℃下、よりストリンジェントには、50℃下、さらにストリンジェントには、30℃下、よりさらにストリンジェントには、25℃下等の条件下での洗浄等を行なってもよい。
なお、前記ハイブリダイゼーション条件は、例えば、配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸を対照として用いて、設定してもよい。
前記Tm値は、プローブの長さが、18ヌクレオチド長以上である場合、例えば、下記の式:
Tm=81.5−16.6(log10[Na+]+0.41(%G+C)−(600/N)
(式中、Nはプローブの鎖長であり、%G+Cはプローブ中のグアニン及びシトシン残基の含有量である)
により求められ、プローブの長さが18ヌクレオチド長より短い場合、例えば、A+T(アデニン+チミン)残基の含有量と2℃との積と、G+C残基の含有量と4℃との積との和〔(A+T)×2+(G+C)×4〕により求められうる。
前記PCRの条件は、用いるプライマーのTm値等に応じて、適宜設定することができる。前記PCRの条件は、例えば、配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸を対照として用いて、設定してもよい。
ハイブリダイゼーション及びPCRにより検出された領域が、アミノペプチダーゼの部分断片をコードする核酸断片であった場合、かかる核酸断片を用いて、慣用の手法(例えば、コロニーアイブリダイゼーション)により全長のアミノ酸配列をコードする核酸を単離することができる。
ハイブリダイゼーション及びPCRにより、アミノペプチダーゼの存在が示唆された場合、被験試料の供給源が本発明のアミノペプチダーゼを含むかどうかを評価すればよい。かかる評価は、アミノアシル−p−ニトロアニリドを基質として、前記アミノペプチダーゼ活性測定を行なえばよい。活性測定の結果、加水分解活性を示す場合、被験試料の供給源が本発明のアミノペプチダーゼを含むことの指標となる。
本発明のさらに他の側面は、本発明のアミノペプチダーゼ又は本発明の組換えアミノペプチダーゼに対する抗体又はその断片である。本発明の抗体又はその断片によれば、前記アミノペプチダーゼ又は該アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼを検出できる。また、本発明の抗体又はその断片によれば、前記アミノペプチダーゼ又は該アミノペプチダーゼと同等の性質を有する他のアミノペプチダーゼの機能を阻害することができる。
本発明の抗体は、本発明のアミノペプチダーゼ又は本発明の組換えアミノペプチダーゼに特異的に結合する能力を有するものであれば、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれでもよい。
本発明の抗体は、慣用の方法により、例えば、本発明のアミノペプチダーゼ又は本発明の組換えアミノペプチダーゼの全部又は一部を用いてウサギやマウス等を免疫することにより、容易に作製され得る。また、遺伝子工学的に抗体を作製することもできる。本発明の抗体には、本発明のアミノペプチダーゼ又は本発明の組換えアミノペプチダーゼのある部分断片に特異的に結合しうる抗体、公知技術により修飾された抗体、抗体の誘導体等も含まれる。
本発明の抗体の断片は、ペプチダーゼ等により処理することにより得られうる。本発明の抗体の断片の具体例としては、Fabフラグメント、Fc’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント等が挙げられる。
以下、実施例等により本発明を詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。本明細書において、特に明記しない限り、各種操作は、モレキュラークローニング ア ラボラトリー マニュアル第2版〔ザンブルーク(Sambrook,J)ら、Molecular Cloning A Laboratory Manual 2nd Edition、(1989)〕に従って行なった。
ストレプトマイセス セプタタス TH−2〔Streptomyces sp. TH−2と命名・表示され、寄託番号:FERM P−17329(寄託日:1999年3月24日)として、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1−1)に寄託されている〕〔ハギシタ(Hagishita,T.)ら,Biotechnol.Lett.,22,1587−1590(2000);畑中(Hatanaka,T.)ら,Enzyme Microb.Tech.,31,233−241,(2002)〕を、培地〔組成:0.5重量% グルコース、0.5重量% クエン酸、0.2重量% K2HPO4、0.05重量% MgSO4・7H2O、0.5重量% ポリペプトン及び0.5重量% 酵母エキス〕中34℃で26時間好気的に培養した。培養中、経時的に培養物 1mlを採取し、得られた培養物を遠心分離して、培地上清を得た。得られた培地上清を、ホスファチジル−パラ−ニトロフェノールの加水分解反応に供し、培地上清中における細胞外ホスホリパーゼDを検出した。その後、SDS−PAGE及び抗PLD抗体を用いたウエスタンブロットハイブリダイゼーションにより、培地上清中における細胞外ホスホリパーゼDを解析した。
その結果、培養開始から20時間(OD660=6)の時点以降、ホスホリパーゼDが分解されることが見出された。したがって、かかる培地濾過物中に、タンパク質を分解する酵素が存在することが示唆された。
そこで、72時間培養後に得られた培地濾過物 0.1mlを、L−ロイシン−p−ニトロアニリド(L−Leu−pNA)を基質とし、反応液〔組成:80mM Tris−HCl、pH8.0〕中、37℃で、405nmでの連続光学測定により、p−ニトロアニリンの遊離を検出することにより、アミノペプチダーゼ活性を測定した。
酵素反応は、基質の添加により開始させた。初速度は、光学密度プロファイルの直線部分から決定した。アミノペプチダーゼ活性の1単位は、1分あたり1μmolのp−ニトロアニリンを遊離させる酵素量として定義した。
その結果、アミノペプチダーゼ活性が見出された。
以下の操作は、特に断りのない限り、4℃で行なった。
ストレプトマイセス セプタタス TH−2を、培地〔組成:0.5重量% グルコース、0.5重量% クエン酸、0.2重量% K2HPO4、0.05重量% MgSO4・7H2O、0.5重量% ポリペプトン及び0.5重量% 酵母エキス〕中28℃で72時間、好気的に培養した。培養中、経時的に培養物 0.1mlを採取し、得られた培養物を濾紙で濾過し、培地濾過物(上清)を得た。
培地濾過物(10mg/ml タンパク質溶液)を、時々撹拌しながら、65℃で30分間加熱した。沈殿を除去した後、得られた溶液を、緩衝液A〔組成:10mM Tris−HCl緩衝液、pH8.0〕に対して透析した。透析後の溶液を緩衝液Aで平衡化したDEAE−セファロース(Amersham社製)カラム(内径1.6×10cm、20ml)に負荷した。結合したタンパク質を、緩衝液0−0.5M NaClのリニアグラジェントで平均流速2ml/mlで溶出させた。得られた溶出画分のうち、高比活性を示す画分を集めた。得られた画分に、80% 飽和硫酸アンモニウムとなるように、硫酸アンモニウムを添加して、タンパク質を沈殿させた。得られた沈殿物を、200mM NaClを含む緩衝液Aに溶解させた。得られた溶液を、200mM NaClを含む緩衝液Aに対して透析した。透析後に得られた溶液を、商品名:Superdex 200ゲル濾過カラム〔ファルマシア バイオテック(Pharmacia Biotech)社製、内径1.6×60cm、60ml〕に負荷し、200mM NaClを含む緩衝液Aにより、平均流速1ml/分でタンパク質を溶出させた。タンパク質の溶出を280nmでモニターした。
なお、アミノペプチダーゼ活性は、3.2mM L−Leu−pNAを基質とし、反応液〔組成:80mM Tris−HCl、pH8.0〕中、37℃で、405nmでの連続光学測定により、p−ニトロアニリンの遊離を検出することにより測定した。
酵素反応は、基質の添加により開始させた。初速度は、光学密度プロファイルの直線部分から決定した。アミノペプチダーゼ活性の1単位は、1分あたり1μmolのp−ニトロアニリンを遊離させる酵素量として定義した。
表1に精製表を示す。
Figure 0004406298
また、精製タンパク質の分子量(未変性)を、商品名:Superdex 200ゲル濾過AKTA ファスト(fast)タンパク質液体クロマトグラフィーシステム〔ファルマシア バイオテック(Pharmacia Biotech)社製〕を用いて決定した。
その結果、精製タンパク質の未変性状態における分子量は、分子量約30kDaであった。
各精製段階で得られた試料を、15重量%ポリアクリルアミドを含むゲル上、変性条件下でのSDS−PAGE〔ラエムリ(Laemmli,U.,K.)、Nature、15,680−685(1970)〕で解析した。得られたゲルをクマシーブリリアントブルーで染色した。図1に、各精製段階で得られた試料のSDS-PAGEの結果を示す。
その結果、図1に示されるように、ゲル濾過後に得られたタンパク質(以下、アミノペプチダーゼ標品という)は、実質的に均一であることがわかる。また、図1のパネルBに示されるように、SDS−PAGEによる精製タンパク質の分子量は、約33kDaであることがわかる。したがって、ストレプトマイセス セプタタス TH−2のアミノペプチダーゼは、モノマーであることが示唆される。
ついで、前記アミノペプチダーゼ標品 10μg相当量に、トリプシンを添加し、1% SDS、pH8.0、37℃の条件でインキュベーションした。得られた産物を、メンブランにブロッティングし、トリプシン分解部分ペプチドを得た。
前記アミノペプチダーゼ標品及びトリプシン分解部分ペプチドのそれぞれのN末端アミノ酸配列を、エドマン分解により解析した。前記N末端アミノ酸配列の解析には、アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製の商品名:sequanatorsを用いた。
その結果、アミノペプチダーゼのN末端アミノ酸配列は、AGAPAIPVANVKAHLNQL(配列番号:3)であり、トリプシン分解部分ペプチドのN末端アミノ酸配列は、AGPGINDN(配列番号:4)であった。以下、ストレプトマイセス セプタタス TH−2のアミノペプチダーゼを、SSAPとも表記する。また、かかるアミノペプチダーゼをコードする遺伝子をSsapとも表記する。
ストレプトマイセス セプタタス TH−2を、培地〔組成:0.5重量% グルコース、0.5重量% クエン酸、0.2重量% K2HPO4、0.05重量% MgSO4・7H2O、0.5重量% ポリペプトン及び0.5重量% 酵母エキス〕中28℃で72時間、好気的に培養した。得られた培養物を、40000×g、10分間遠心分離することにより、菌体を得た。
得られた菌体から、ストレプトマイセス セプタタス TH−2 ゲノムDNAをサイトウ・ミウラ法〔サイトウ(Saito,H.)ら、Biochem.Biophys.Acta.,72、619−629(1963)〕により調製した。
配列番号:3に示されるN末端アミノ酸配列と配列番号:4に示されるトリプシン分解部分ペプチドのN末端アミノ酸配列とを用いて、フォワードプライマー(5'-CC(GC)GC(GC)ATCCC(GC)GT(GC)GC(GC)AACGT-3';配列番号:5)とリバースプライマー(5'-CCGTTGTCGTTGAT(GC)CC(GC)GG(GC)CC-3';配列番号:6)を設計し、合成した。
前記ストレプトマイセス セプタタス TH−2 ゲノムDNAを鋳型とし、前記プライマーを用いて、PCR増幅を行なった。なお、PCRは、GC−RICH PCR System(Roche)を用い、95℃3分 1サイクル、95℃30秒と58℃30秒と72℃1分とを1サイクルとして10サイクル、95℃30秒と58℃30秒と72℃(20秒からはじめ、1サイクルごとに5秒ずつ増加)とを1サイクルとする20サイクル、72℃7分 1サイクル、4℃の条件で行なった。得られたPCR産物を、商品名:pGEM−T Easy〔プロメガ(Promega)社製〕に連結した。得られたプラスミドを用いて大腸菌JM109を形質転換した。
なお、大腸菌形質転換体は、50μg/ml アンピシリンを含むLB培地〔1% NaCl、1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス〕中37℃で培養した。
得られた形質転換体から、アルカリ抽出法〔バーンボイム(Birnboim,H.C.)ら、Nucleic Acids Res.,24,1513−1523(1979)〕でプラスミドを抽出した。
得られたプラスミドの挿入断片を用い、PCR DIG Probe synthesis kit〔ロシュ モレキュラー バイオケミカルズ(Roche Molecular Biochemicals)社製〕を用いて、(DIG)−標識PCRプローブを合成した。
また、前記ゲノムDNAを、SacIで部分消化し、ついで、4〜6kbのSacI制限断片を回収した。
前記4〜6kbのSacI制限断片と、SacI−消化pUC19とを用いてゲノムライブラリーを構築した。
ついで、(DIG)−標識PCRプローブを用いたコロニーハイブリダイゼーションにより、前記ライブラリーをスクリーニングした。
前記ゲノムライブラリーのコロニーを、メンブラン〔Amersham社製、商品名:Nylon membrane Hybond-N〕に移行させ、ついで、アルカリ変性液(組成:0.5M NaOH、1.5M NaCl)を用いて、メンブラン上の核酸を変性させた。その後、中和液〔組成:0.5M Tris−HCl(pH7.5)、1.5M NaCl〕を用いて、メンブランを中和させた。
前記メンブランを、商品名:DIG Easy Hyb(Roche社製)中、前記(DIG)−標識PCRプローブと共に、55℃で24時間インキュベーションし、その後、2×SSC;0.1% SDSにより、メンブランを洗浄し、洗浄後のメンブランを、商品名:DIG Wash and Block Buffer Set(Roche社製)、商品名:抗ジゴキシゲニンAP標識抗体(Roche社製)、商品名:NBT−BCIP solution(Roche社製)を用い、発色による検出を行なった。
その結果、全長Ssap遺伝子(pUC−SSAP)を有するプラスミド〔以下、pUC−SSAP1という〕を保持する陽性コロニーが得られた。
得られた陽性コロニーから、pUC−SSAP1を抽出し、該pUC−SSAP1の挿入断片の塩基配列を解析した。なお、塩基配列は、ダイデオキシチェーンターミネーション法〔サンガー(Sanger,F.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463−5467(1977)〕により決定した。
その結果、pUC−SSAP中におけるSsap遺伝子の決定された塩基配列は、1つのオープンリーディングフレームを含んだ(図2)。精製SSAP及びトリプシン分解ペプチドのN末端解析により得られたアミノ酸配列を、推定アミノ酸配列中に示す(図2中の太字)。
また、推定アミノ酸配列について、BLASTプログラム〔アルチュル(Altschul,S.F.)ら、Nucleic Acid Res.,25,3389−3402(1997)〕を用い、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件で、データベース検索を行なった。
その結果、図3に示されるように、SSAPとストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseus)のアミノペプチダーゼ(以下、SGAPともいう)との間の配列同一性が、71%であり、SSAPと他のストレプトマイセスアミノペプチダーゼとの間の配列同一性が、65〜70%であることが示された。
また、図3に示されるように、2つの亜鉛原子の配位に関与するアスタリスクで印を付けられたSGAPの5つのアミノ酸残基が、SSAP及び他のストレプトマイセスアミノペプチダーゼに見出された。
図1パネルB及び図3に示されるように、SSAPのアミノ酸配列解析及びSDS−PAGE解析により、SGAPと類似していることが示された。しかしながら、驚くべきことに、SSAPは、カルシウムイオンにより全く活性化されなかった。
Ssap遺伝子産物の発現プラスミドを構築するため、PCRによりSsap遺伝子上の推定転写開始コドンに、Nco I部位とBam HI部位とを導入した。推定シグナルペプチド領域を欠くSsap遺伝子を、センスプライマー(5'-CAAGGGCCACGTCAGGACCATGGCCGGCGC-3'、配列番号:7)とアンチセンスプライマー(5'-CTTGAGGATCCGAGGTCAAACCCCGCAG-3'、配列番号:8)とを用いて、PCRにより増幅した。なお、PCRは、GC−RICH PCR System(Roche)を用い、95℃3分 1サイクル、95℃30秒と58℃30秒と72℃1分とを1サイクルとして10サイクル、95℃30秒と58℃30秒と72℃(20秒からはじめ、1サイクルごとに5秒ずつ増加)とを1サイクルとする20サイクル、72℃7分 1サイクル及び4℃でのインキュベーションの条件で行なった。
得られたPCR産物を、商品名:pGEM−T Easy〔プロメガ(Promega)社製〕に連結した。得られたプラスミドについて、配列を確認した。ついで、得られたプラスミドの挿入断片を、pETKmS2〔ミシマ(Mishima,N.)ら、Biotechnol Prog.,13,864−868(1997)〕に連結した。得られたプラスミドを用いて、大腸菌BL21 DE3を形質転換した。
前記pET−SSAP1を保持する大腸菌BL21 DE3細胞を、50μg/ml カナマイシンを含むLB培地 3ml中、37℃で12時間培養した。培養後の細胞を、滅菌水で洗浄した。洗浄後の細胞を、0.5重量% KH2PO4、0.5% K2HPO4、0.44重量% Na2HPO4、0.3重量% (NH42SO4、0.5重量% グルコース、0.3重量% MgSO4・7H2O、0.004重量% FeSO4・7H2O、0.004重量% CaCl2、0.00029重量% CoCl2・6H2O、0.0003重量% CuSO4・5H2O、0.000036重量% Na2MoO・2H2O、0.001重量% H3BO3、0.001重量% ZnSO4・7H2O、0.2重量% グリセロール及び50μg/ml カナマイシンを含む合成培地 100mlに播種した。その後、細胞を26℃で12時間培養し、得られた培養物に、IPTGを、終濃度0.5mMとなるように添加した。ついで、培養物を、振とうしながら、18℃で36時間培養した。その結果、組換えSSAPは、全細胞外タンパク質の最大約50%に相当する濃度まで細胞外画分に分泌された。
得られた培養物を遠心分離して、細胞を除去し、得られた上清を65℃で30分間、必要により攪拌させながら65℃で30分間培養した。遠心分離により沈殿を除去した後、この溶液を限外濾過で濃縮し、緩衝液Aに対して透析した。透析後の溶液を、以下の実施例において組換えSSAP標品として用いた。
図1のパネルBに示されるように、組換えSSAPは、精製野生型SSAPと全く同じく分子量約33kDaであった。また、商品名:Superdex200を用いたゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより、分子量約30kDaの1つのタンパク質ピークが見られたことから、SSAPは、モノマー酵素であることが示唆された。
組換えアミノペプチダーゼ活性におけるpHの影響を調べた。
pH4〜6.5の80mM 酢酸ナトリウム緩衝液、pH6.5〜9.0の80mM Tris−HCl緩衝液及びpH9.0〜11.0の80mM 炭酸緩衝液、それぞれを用い、L−Leu−pNAを基質とし、37℃で、405nmでの連続光学測定により、p−ニトロアニリンの遊離を検出することにより、アミノペプチダーゼ活性を測定した。なお、比較対照として、SGAPを用いた。酵素反応は、基質の添加により開始させた。初速度は、光学密度プロファイルの直線部分から決定した。アミノペプチダーゼ活性の1単位は、1分あたり1μmolのp−ニトロアニリンを遊離させる酵素量として定義した。結果を図4及び表2に示す。
Figure 0004406298
図4に示されるように、組換えSSAPは、至適反応pHが、pH7.0付近であり、一方、SGAPは、至適反応pHが、pH8〜9付近であることがわかる。また、図4のパネルA及びパネルCのV対pHのプロット及びV/Km対pH(Dixonプロット)から、表2に示されるように、4つのpKaが決定された。かかる結果より、酵素への基質の結合及び反応は、少なくとも2つのイオン性残基により制御されることが示唆される。
pNA誘導体に対する組換えSSAPの加水分解活性を調べた。1〜2000μg/ml 組換えSSAP 50μlと0.2−3.2mM アミノアシル−pNA 50μlと100mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0) 400μlとを含む反応液中、37℃で、405nmでの連続光学測定により、p−ニトロアニリンの遊離を検出することにより測定した。酵素反応は、基質の添加により開始させた。初速度は、光学密度プロファイルの直線部分から決定した。アミノペプチダーゼ活性の1単位は、1分あたり1μmolのp−ニトロアニリンを遊離させる酵素量として定義した。
前記アミノアシル−pNAとして、L−ロイシン p−ニトロアニリド(Leu−pNA)〔シグマケミカル(Sigma Chemical Co.)社製〕、L−フェニルアラニン p−ニトロアニリド(Phe−pNA)〔シグマケミカル(Sigma Chemical Co.)社製〕、L−メチオニン p−ニトロアニリド(Met−pNA)〔シグマケミカル(Sigma Chemical Co.)社製〕、L−リジン p−ニトロアニリド(Lys−pNA)〔シグマケミカル(Sigma Chemical Co.)社製〕、L−プロリン p−ニトロアニリド(pro−pNA)〔シグマケミカル(Sigma Chemical Co.)社製〕、L−アラニン p−ニトロアニリド(Ala−pNA)〔シグマケミカル(Sigma Chemical Co.)社製〕及びL−グルタミン酸 p−ニトロアニリド(Glu−pNA)〔ペプチド研究所製〕を用いた。
なお、比較対照として、SGAPを用いた。
組換えSSAP及びSGAPそれぞれについて、種々のアミノアシル−pNAの加水分解の触媒能を調べた結果を表3に示す。
Figure 0004406298
その結果、SSAPは、L−Leu−pNAに対して、最も高い加水分解活性を示した。SSAPのkcat/Km値は、125mM-1・s-1であり、SGAPのkcat/Km値は、345mM-1・s-1 であり、SSAPとSGAPとの間に、顕著な差異が見られた。
組換えSSAPの熱安定性を調べた。酵素試料(5μg/ml タンパク質) 100μlを、10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)中で30分間、30℃〜85℃の温度でインキュベーションした。その後、得られた酵素試料について、L−Leu−pNAを基質とし、反応液〔組成:80mM Tris−HCl、pH8.0〕中、37℃で、405nmでの連続光学測定により、p−ニトロアニリンの遊離を検出することによりアミノペプチダーゼ活性を測定した。酵素反応は、基質の添加により開始させた。初速度は、光学密度プロファイルの直線部分から決定した。アミノペプチダーゼ活性の1単位は、1分あたり1μmolのp−ニトロアニリンを遊離させる酵素量として定義した。なお、比較対照として、SGAPを用い同様に調べた。その結果を、図5に示す。図5中、数値は、最大値に対するパーセンテージ(残存活性)として示す。
その結果、図5に示されるように、組換えSSAPの50%熱不活性化温度は、約78℃であり、一方、SGAPの50%熱不活性化温度は、1mM CaCl2非存在下で、約70℃であり、1mM CaCl2存在下で、約80℃であった。
ついで、組換えSSAPにおける温度の影響を調べた。L−Leu−pNAを基質とし、80mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)中、30〜85℃の温度範囲で、405nmでの連続光学測定により、p−ニトロアニリンの遊離を検出することによりアミノペプチダーゼ活性を測定した。酵素反応は、基質の添加により開始させた。初速度は、光学密度プロファイルの直線部分から決定した。アミノペプチダーゼ活性の1単位は、1分あたり1μmolのp−ニトロアニリンを遊離させる酵素量として定義した。なお、比較対照として、SGAPを用い、80mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)中で同様に活性測定を行ない、温度の影響を調べた。活性化エネルギー及びΔH値を、セゲル〔Segel,I.H.、Biochemical Calculations,John Wiley and Sons,New York,277−281(1976)〕に従って決定した。結果を図6に示す。
その結果、図6のパネルAに示されるように、組換えSSAPは、至適反応温度75℃でベル型曲線を示した。また、図6のパネルBに示されるように、30〜70℃の温度範囲におけるL−Leu−pNAの加水分解のArrheniusダイアグラムより、活性化エネルギーが、46.6kJ/molであることが算出された。図6のパネルDに示されるように、25〜50℃の温度範囲における基質の加水分解に対するKm値のVan’t Hoffダイアグラム(図6のパネルC)より、ΔHが−61.9kJ/molであることが算出された。
一方、SGAPは、図6のパネルAに示されるように、至適反応温度が、65℃付近であった。また、図6のパネルBに示されるように、30〜50℃の温度範囲におけるL−Leu−pNAの加水分解のArrheniusダイアグラムより、活性化エネルギーが、1mM CaCl2存在下では、38.6kJ/molであり、1mM CaCl2非存在下では、27.7kJ/molであることが算出された。図6のパネルDに示されるように、25〜50℃の温度範囲で基質の加水分解のKm値のVan’t Hoffダイアグラム(図6のパネルC)により、ΔHが、1mM CaCl2存在下では、−34.6kJ/molであり、1mM CaCl2非存在下では、−46.6kJ/molであることが算出された。
各酵素(1μg/ml、37℃)と、SSAPについて、100mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)溶解させたインヒビター、SGAPについて、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.0)、1mM CaCl2に溶解させたインヒビターとを混合して、5分間、プレインキュベーションし、得られた混合物に基質を添加することにより、ベスタチン〔塩酸ベスタチン、シグマケミカル(Sigma Chemical Co.)社製〕、アマスタチン〔ペプチド研究所製〕、D−Leu及びL−Leuによる組換えSSAP及びSGAPの阻害を決定した。全アッセイを、基質としてL−Leu−pNAの濃度を変え、前記手順で行なった。結果を表4に示す。
Figure 0004406298
表4に示されるように、アマスタチンは、SGAPに対し、Ki=0.011μM、ベスタチンは、Ki=3.9μMのより弱いインヒビターであることがわかる。組換えSSAPは、アマスタチン及びベスタチンによる阻害について、それぞれ、0.79μM及び65μMであった。遊離L−Leuの阻害定数は、組換えSSAP及びSGAPで、それぞれ、100mM以上及び29mMである。さらに、D−Leuの阻害定数は、SGAPについて、Ki=40mMであった。対照的に、組換えSSAPについて、D−Leuの阻害定数は、100mM以上であった。
本発明によれば、適した条件下でのアミノ酸解析、種々のリード化合物の合成反応等の触媒等が可能になる。
図1は、SSAPをSDS−PAGEによるSSAPの電気泳動図である。パネルAは、ストレプトマイセス セプタタス TH−2の野生型アミノペプチダーゼの各精製段階における精製度を示す。パネルBは、精製野生型SSAP、熱処理組換えSSAP及びSGAPの電気泳動図である。マーカーは、低分子量マーカー(分子量:94,000、67,000、43,000、30,000、20,100及び14,400)である。
図2は、SSAP遺伝子の塩基配列及び推定アミノ酸配列を示す図である。図中、塩基配列の下線部は、推定リボソーム結合部位(図中、「s.d.」)、−35配列(図中、「−35」)及び−10配列(図中、「−10」)のそれぞれを示し、アスタリスクは、終止コドンを示し、矢印は、転写終結因子を示す。また、精製アミノペプチダーゼ及びトリプシン分解部分ペプチドを用いて決定されたアミノ酸配列を、太字で示す。
図3は、ストレプトマイセス セプタタス TH−2のアミノペプチダーゼ(SSAP)のアミノ酸配列を解析した結果を示す図である。図中、「SSAP」は、ストレプトマイセス セプタタス TH−2のアミノペプチダーゼ(配列番号:2)、「SAAP」は、ストレプトマイセス アヴェルミティリス(Streptomyces avermitilis)のアミノペプチダーゼ(配列番号:9)、「SGAP」は、ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseus)のアミノペプチダーゼ(配列番号:10)、「SCAP」は、ストレプトマイセス セリカラー(Streptomyces coelicolor)のアミノペプチダーゼ(配列番号:11)を示す。図中、アスタリスクは、亜鉛配位部位を示し、「C」は、カルシウム結合部位を示す。アラインメントには、商品名:GENETIXプログラムを、デフォルト値で用いた。
図4は、組換えSSAPの活性におけるpHの影響を示す図である。比較対照として、SGAPを用いた。パネルAは、基質加水分解速度〔V(μmol/min/mg)〕におけるpHの影響、パネルBは、Km(mM)におけるpHの影響、パネルCは、V/Km(μmol/分/mg/mM)におけるpHの影響を示す。図中、白丸は、SSAP、白四角は、CaCl2非存在下でのSGAP、黒四角は、1mM CaCl2 存在下でのSGAPを示す。反応は、pH4.0、4.5、5.0、5.5、6.0及び6.5のそれぞれでは、80mM 酢酸ナトリウム緩衝液、pH6.5、7.0、7.5、8.0、8.5及び9.0のそれぞれでは、80mM Tris−HCl緩衝液、pH9.0、9.5、10.0、10.5及び11.0のそれぞれでは、80mM 炭酸緩衝液を用い、37℃で行なった。なお、SGAPの反応の場合、1mM CaCl2存在下でも反応を行なった。基質の加水分解速度(V)は、終濃度3.2mM L−Leu−pNAで行なった。
図5は、組換えSSAPの熱安定性を調べた結果を示す。比較対照として、SGAPを用いた。図中、数値は、最大値に対するパーセンテージとして示す(組換えSSAP、1mM CaCl2存在下でのSGAP及びCaCl2非存在下でのSGAPのそれぞれの100%=0.23、1.60及び0.53μM/分)。また、図中、白丸は、SSAP、白四角は、CaCl2非存在下でのSGAP、黒四角は、1mM CaCl2 存在下でのSGAPを示す。各酵素は、1μg/mlで用いた。酵素活性は、各酵素を各温度で30分間インキュベーションした後、pH8.0で測定した。
図6は、組換えSSAPによるL−Leu−pNAの加水分解の温度依存性を調べた結果を示す図である。比較対照として、SGAPを用いた。パネルAは、kcat(s-1)における温度の影響、パネルBは、Arrheniusプロット、パネルCは、Km(mM)のvan’t Hoffプロット、パネルDは、SSAPによるL−Leu−pNA加水分解のエネルギーダイアグラムを示す。図中、白丸は、SSAP、白四角は、CaCl2非存在下でのSGAP、黒四角は、1mM CaCl2存在下でのSGAPを示す。
配列番号:5は、プライマーの配列である。
配列番号:6は、プライマーの配列である。
配列番号:7は、プライマーの配列である。
配列番号:8は、プライマーの配列である。

Claims (11)

  1. 下記性質:
    (1)至適反応pH:
    pH7.5〜10.5
    (2)基質特異性:
    L−ロイシン−p−ニトロアニリド、L−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド、L−メチオニン−p−ニトロアニリド、L−リジン−p−ニトロアニリド、L−アラニン−p−ニトロアニリド及びL−プロリン−p−ニトロアニリドに対して加水分解活性を示す、
    (3)至適反応温度:
    5℃、
    (4)熱安定性:
    50%熱不活性化温度として、78℃
    (5)カルシウムイオンによる触媒活性の影響が実質的にない、
    (6)分子量:
    SDS−PAGEにおいて33kDa、
    を有するアミノペプチダーゼ。
  2. ストレプトマイセス セプタタス TH−2(FERM P−17329)により産生されるものである、請求項1記載のアミノペプチダーゼ。
  3. (A)配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、
    (B)配列番号:1に示される塩基配列、
    (C)前記(B)の塩基配列において、1個又は数個のヌクレオチド残基の置換、欠失、付加又は挿入を有する塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
    (D)前記(B)の塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、及び
    (E)前記配列番号:2に示されるアミノ酸配列に対し、BLASTアルゴリズムで、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして得られた配列同一性が少なくとも80%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
    からなる群より選ばれた塩基配列を含有してなり、コードされるポリペプチドが、カルシウムイオンの非存在下で、アミノアシル−p−ニトロアニリドに対して、加水分解活性を示すものである、アミノペプチダーゼをコードする核酸。
  4. 請求項3記載の核酸を含有してなる、アミノペプチダーゼの発現用担体。
  5. 請求項3記載の核酸を保持してなる形質転換細胞。
  6. 1)請求項5記載の形質転換細胞を培養して、培養物を得る工程、及び
    2)前記工程1)で得られた培養物からアミノペプチダーゼを回収する工程、
    を含む、組換えアミノペプチダーゼの製造方法。
  7. 請求項3記載の核酸によりコードされる組換えアミノペプチダーゼ。
  8. (i)配列番号:に示される塩基配列中の塩基番号:268〜274、325〜334、534〜558からなる群より選ばれたヌクレオチド残基を含む連続した少なくとも20ヌクレオチド残基からなる塩基配列若しくは該塩基配列に対する実質的に相補的な塩基配列
    含有してなる、請求項3記載の核酸を検出するためのプローブ。
  9. A.(I)配列番号:に示される塩基配列中の塩基番号:268〜274、325〜334、534〜558からなる群より選ばれたヌクレオチド残基を含む連続した少なくとも20ヌクレオチド残基からなる塩基配列
    含有したオリゴヌクレオチドと、
    B.配列番号:に示される塩基配列中、前記Aのオリゴヌクレオチドに対応する塩基配列の3’末端のヌクレオチド残基から少なくとも100ヌクレオチド残基離れたヌクレオチド残基を含む連続した少なくとも20ヌクレオチド残基からなる塩基配列に対する実質的に相補的な配列を含有したオリゴヌクレオチドと
    からなる、請求項3記載の核酸若しくはその一部を増幅するためのプライマー対。
  10. 請求項8記載のプローブを用いたハイブリダイゼーション及び/又は請求項9記載のプライマー対を用いたPCRにより、
    (A)配列番号:2に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、
    (B)配列番号:1に示される塩基配列、
    (C)前記(B)の塩基配列において、1個又は数個のヌクレオチド残基の置換、欠失、付加又は挿入を有する塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
    (D)前記(B)の塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の塩基配列であり、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、及び
    (E)前記配列番号:2に示されるアミノ酸配列に対し、BLASTアルゴリズムで、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして得られた配列同一性が少なくとも80%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドが、アミノペプチダーゼ活性を示すものである塩基配列、
    からなる群より選ばれた塩基配列中の該プローブに対応する領域及び/又は該プライマー対を用いて得られたPCR増幅産物に対応する領域を検出し、カルシウムイオンの非存在下で、アミノアシル−p−ニトロアニリドに対して、加水分解活性を示すアミノペプチダーゼをスクリーニングすることを特徴とする、アミノペプチダーゼの検索方法。
  11. 請求項1若しくは2記載のアミノペプチダーゼ又は請求項4若しくは5記載の組換えアミノペプチダーゼに対する抗体又はその結合性断片。
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