JP2001029012A - プロセスチーズ又はチーズフード - Google Patents

プロセスチーズ又はチーズフード

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JP2001029012A JP11207386A JP20738699A JP2001029012A JP 2001029012 A JP2001029012 A JP 2001029012A JP 11207386 A JP11207386 A JP 11207386A JP 20738699 A JP20738699 A JP 20738699A JP 2001029012 A JP2001029012 A JP 2001029012A
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 加熱により軟化し、適度なオイルオフが
生じて均一に溶融し、良好な糸曳き性を有し、かつ、冷
却後、再度加熱しても良好な糸曳き性を呈するプロセス
チ−ズ又はチ−ズフ−ドの提供。 【解決手段】 熟度指標が12%以下、又は熟度指標を
12%以下に調整した原料チ−ズに、溶融塩を0.1〜
0.8重量%、ガム類を0.1〜0.7重量%及び微細
結晶セルロースを0.2〜1.0重量%添加し、400
〜1,400rpmの中速から高速で加熱乳化してプロ
セスチーズ又はチーズフードを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱軟化性を有し、
糸曵き性の良好なプロセスチーズ又はチーズフード、及
びその製造方法に関する。本発明のプロセスチーズ又は
チーズフードは、加熱により軟化し、適度なオイルオフ
が生じて均一に溶融し、良好な糸曵き性を有するもので
あり、冷却後、再度加熱した際にも良好な糸曵き性を呈
し、凍結保存可能で、シュレッド適性の良好なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、ナチュラルチーズは加熱により
軟化し、適度なオイルオフを生じて溶融し、良好な糸曵
き性を有することが知られている。従来より、このよう
なナチュラルチーズの特性を有するプロセスチーズ又は
チーズフードを製造する試みがなされており、例えば、
原料チーズに安定剤を添加し、溶融塩を添加することな
く、これを加熱殺菌し、次いで50〜100rpmの低
速で撹拌して乳化する曵糸性チーズの製造方法(特開昭
62−285755号公報)、ナチュラルチーズに安定
剤と乳化調整剤を添加して、常法により撹拌しながら加
熱、溶融、殺菌することを特徴とする熱軟化性及び曵糸
性に優れたチーズの製造方法(特開平4−218334
号公報)、原料チーズに溶融塩及びW/O乳化型の乳化
に適した乳化剤を用いて加熱、溶融、乳化後、冷却、成
形する曵糸性の良好な加工チーズの製造方法(特開平5
−91834号公報)、原料チーズに安定剤及び溶融塩
を添加し、これを30〜100rpmの低速で撹拌しな
がら混合、加熱、殺菌、乳化する曵糸性チーズの製造方
法(特開平5−123104号公報)が提案されてい
る。上述のように、通常、プロセスチーズ又はチーズフ
ードの製造は、ナチュラルチーズを粉砕し、溶融塩を添
加して、加熱、溶融、乳化して得られた乳化物を冷却す
る工程を包含するものであり、加熱、溶融、乳化の工程
によりその保存性は高められているものの、乳化によっ
てナチュラルチーズ由来のタンパク質の構造が失われる
ため、ナチュラルチ−ズと同等の糸曵き性は発現されな
い。さらに、上述の従来技術によって得られるプロセス
チーズ又はチーズフードは糸曳き性は改善されているも
のの、加熱後、冷却したものを再度加熱した場合に、軟
化して適度なオイルオフを生じて溶融しないため、良好
な糸曳き性を示さず、さらにチーズが粘性を有している
ためカットやシュレッドが容易でなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような現状におい
て、プロセスチーズ又はチーズフードには、ナチュラル
チーズが有するような、加熱により軟化し、適度なオイ
ルオフを生じて溶融し、良好な糸曵き性を示すことが求
められている。さらに、一度加熱し、冷却したチーズを
再度加熱した場合にも熱軟化性を有し、良好な糸曵き性
を示すことや良好なシュレッド適性を有することが求め
られている。そこで、本発明は、加熱により軟化し、適
度なオイルオフを生じて溶融し、良好な糸曵き性を呈す
るチーズ、また加熱後、冷却したものを再度加熱した場
合にも熱軟化性を有し、良好な糸曵き性を示し、さらに
良好なシュレッド適性を有するプロセスチーズ又はチー
ズフードを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した課
題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、熟度指数12%以下の
ナチュラルチーズを原料チーズとし、これに溶融塩、ガ
ム類及び微細結晶セルロースを添加し、回転数400〜
1,400rpmで加熱乳化することにより得られるプ
ロセスチーズ又はチーズフードが、熱軟化性を有し、糸
曵き性が良好であることを見出した。さらに、このよう
にして得られるプロセスチーズ又はチーズフードは、加
熱後、冷却したものを再度加熱した場合にも熱軟化性を
有し、良好な糸曳き性を示し、シュレッド適性が良好で
あり、さらに凍結保存後も良好な糸曵き性を示すことを
見出し、本発明を完成させるに至った。本発明におい
て、熱軟化性とは、加熱によって軟化し、適度なオイル
オフを生じて溶融する状態をいう。なお、プロセスチー
ズ又はチーズフードは加熱により軟化し、適度なオイル
オフを生じて均一に溶融することにより、良好な糸曵き
性を示すようになる。
【0005】また、本発明においてオイルオフとは、加
熱によりチーズの組織から油脂が遊離し表面に油膜が形
成される状態をいい、オイルオフにより油膜が形成され
ることにより、チーズの表面には、いわゆる皮が生じな
いため、均一に溶融し、良好な糸曵き性を示すようにな
る。また、本発明において糸曵き性とは、プロセスチー
ズ又はチーズフードを加熱、溶融して引き伸ばした時に
糸を曳く性質をいう。また、本発明においてシュレッド
適性とは、プロセスチーズ又はチーズフードを切断した
時に粘らずに、機械に付着することがなく、チーズ同士
も結着しない性質をいう。先にも述べたように、ナチュ
ラルチーズに溶融塩を添加して加熱乳化すると、乳化に
よりナチュラルチーズ由来のタンパク質構造が失われ
る。このため、プロセスチーズ又はチーズフードでは、
ナチュラルチーズの有する良好な熱軟化性及び糸曵き性
は十分に発現できないが、本発明では、乳化時に回転数
を400〜1,400rpmの中速から高速で撹拌する
ことにより、ナチュラルチーズ由来のタンパク質構造を
維持しつつ、均質な組織を有するプロセスチーズ又はチ
ーズフードを得ることができる。また、本発明では、溶
融塩、ガム類とともに微細結晶セルロースを添加するこ
とにより、微細結晶セルロースがチーズ中に存在する水
分を吸収し保持するため、加熱による水分の分離、蒸発
を抑制でき、加熱後、冷却しても再加熱可能なプロセス
チーズ又はチーズフードを得ることができる。また、本
発明では、微細結晶セルロースを用い、さらに熟度指標
が特定の値を示す原料チーズを用いて乳化することによ
り、良好なシュレッド適性を有し、凍結保存可能なプロ
セスチーズ又はチーズフードを得ることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のプロセスチーズ又はチー
ズフードは、熟度指標が12%以下の原料チーズ、又は
熟度指標を12%以下に調整した原料チーズに、溶融
塩、ガム類及び微細結晶セルロースを添加し、加熱乳化
することにより得ることができる。本発明において、乳
化は、通常プロセスチーズ又はチーズフードの乳化に用
いることのできる乳化機、例えば、カッタータイプのス
テファン乳化釜等を用い、400〜1,400rpm、
好ましくは、500〜1,300rpmの中速から高速
で撹拌することが好ましい。加熱乳化時の回転数が40
0rpm未満では、乳化が十分に行われないことがある
ので好ましくなく、回転数が1,400rpmを超える
と乳化が進み過ぎ、加熱時に熱軟化性及び糸曵き性を示
さないことがあるため好ましくない。本発明において、
原料チーズとしては、熟度指標が12%以下であるナチ
ュラルチーズ、又は熟度指標を12%以下に調整したナ
チュラルチーズを用いる。このような原料チーズとして
は、通常プロセスチーズ又はチーズフードの製造に用い
ることのできるナチュラルチーズであれば、いずれのも
のも用いることができ、例えば、ゴーダチーズ、チェダ
ーチーズ、モツァレラチーズ、ステッペンチーズ、エダ
ムチーズ等を挙げることができる。この中でもゴーダチ
ーズ、チェダーチーズ等の良好な糸曳き性を有する半硬
質又は硬質チーズであって、低熟度のチーズを用いるこ
とが好ましい。本発明において、溶融塩としては、通常
プロセスチーズ又はチーズフードの製造に用いることの
できる溶融塩であれば、いずれのものも用いることがで
き、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエ
ン酸ナトリウム、モノリン酸ナトリウム等を挙げること
ができる。この中でも乳化作用が弱いクエン酸ナトリウ
ム、モノリン酸ナトリウム等を用いることが好ましい。
溶融塩の添加量は、原料チーズに対して0.1〜0.8
重量%添加することが好ましい。添加量が0.1重量%
未満では、乳化が良好に行われないことがあるため好ま
しくなく、添加量が0.8重量%を超えると乳化が進み
過ぎ、熱軟化性及び糸曵き性を発現しなくなることがあ
るため好ましくない。
【0007】本発明において、ガム類としては、例え
ば、ローカストビーンガム、グアガム、キサンタンガム
等を挙げることができる。ガム類の添加量は、原料チー
ズに対して0.1〜0.7重量%添加することが好まし
く、特に好ましくは0.2〜0.6重量%である。添加
量が0.1重量%未満では、乳化時に離水が生じ、又加
熱時に油膜が形成されないことがあるため好ましくな
く、添加量が0.7重量%を超えると、水分離が生じた
り、加熱時のオイルオフによる油膜が形成されないこと
があるため好ましくない。本発明において、微細結晶セ
ルロースとしては、例えば、ソルカフロック300FC
C(カルタ−・フ−ドサイエンス社製)、アビセルRC
−N81(旭化成工業社製)等を挙げることができる。
微細結晶セルロースの添加量は、原料チーズに対して
0.2〜1.0重量%、好ましくは0.2〜0.8重量
%である。添加量が0.2重量%未満では、チーズ中の
水分を保持することができず、再加熱したときに熱軟化
性及び糸曳き性を示さないことがあるため好ましくな
く、添加量が0.8重量%を超えると組織が粗く、やや
粉っぽい食感となり、好ましくない。この外、得られる
最終製品の目的に合わせ、例えば風味を調製する目的で
香料等を添加することができる。
【0008】
【実施例】実施例1(熟度指標に関する実施例) ゴ−ダチ−ズ及びオ−ストラリアモツァレラチ−ズを原
料チ−ズとして用い、粉砕、混合して熟度指標を8%、
12%、15%、に調整した。混合チ−ズ50kgをス
テファン乳化釜(ステファン社製,カッタ−タイプ)に
投入し、これに溶融塩としてクエン酸ナトリウム250
g、ガム類としてロ−カストビ−ンガム150g、微細
結晶セルロ−スとしてソルカフロック(カルタ−・フ−
ドサイエンス社製)200gをそれぞれ添加した後、回
転数1,200rpmで15秒間予備乳化を行い、さら
に、加熱しながら20秒間乳化し、その後回転数を60
0rpmに下げて80℃に到達するまで本乳化を行い、
乳化物を得た。得られた乳化物を10kgずつカ−トン
に充填し、冷蔵庫で48時間以上冷却し、製品とした。
なお、チーズの熟度指標は以下に示す式及び方法で測定
した。 熟度指標(%)=(可溶性窒素量/全窒素量)×100 測定は、先ず試料液を調製する。原料チーズ10gを採
取し、それに0.5Nクエン酸ナトリウム40mlと蒸
留水40mlを加え、ホモブレンダーで5分間磨砕後、
メスフラスコに移し、蒸留水を加えて200mlに定容
し、試料液とする。次いで試料液10mlを採取し、ケ
ルダール法で全窒素量を測定する。さらに、試料液10
mlに1.41N塩酸を10ml加えた後、蒸留水で1
25mlに定容し、生成したタンパク質沈殿物を濾過
し、濾液10mlを採取し、ケルダール法で可溶性窒素
量を測定する。
【0009】試験例1 実施例1で得られたプロセスチーズについて、(1)熱
軟化性とオイルオフ、(2)糸曵き性、(3)冷凍保存
適性、(4)シュレッド適性について以下に示す方法で
試験を行った。 (1)熱軟化性とオイルオフ チ−ズを8mm×30mmにシュレッドし、予め切れ目
を入れた角食パンの上に80g乗せ、電気オ−ブント−
スタ−(950W、商品名:三菱BO−A3型、三菱電
機社製)で2分15秒加熱後、チ−ズの表面に滲みでた
油(オイルオフ)及びチ−ズの熱軟化性を目視で評価し
た。さらに、一度加熱したチ−ズを密封し、10℃の冷
蔵庫に24時間放置後、上記と同様にして電気オ−ブン
ト−スタ−で再度2分15秒加熱してオイルオフ及び熱
軟化性を評価した。なお、評価は、適度にオイルオフが
生じて軟化しているものを大変好ましい:5点とし、こ
れを最高点として、好ましい:4点、どちらともいえな
い:3点、好ましくない:2点、全く好ましくない:1
点とし、その平均点で示した。 (2)糸曵き性 (1)の熱軟化性とオイルオフの試験において加熱した
パンの両端を引っ張り、チ−ズの切れるまでの距離を測
定した。 (3)冷凍保存適性 チ−ズを8mm×30mmにシュレッドし、−20℃で
1週間凍結保存後、上記(1)及び(2)の試験を行っ
た。 (4)シュレッド適性 チ−ズを8mm×30mmにシュレッドし、10℃で1
ヶ月間保存後チ−ズ同士の結着状態を評価した。なお、
評価は、チ−ズ同士が結着しないものを大変好ましい:
5点とし、これを最高点として、好ましい:4点、どち
らともいえない:3点、好ましくない:2点、全く好ま
しくない:1点とし、その平均点で示した。以上の結果
を表1に示す。
【0010】
【表1】 ────────────────────────────────── 熟 度 指 標(%) ──────────── 8 12 15 ─────────────────────────────────── 熱軟化性とオイルオフ(点) 加熱後 4.9 3.8 1.1 再加熱後 4.0 3.6 1.2 ─────────────────────────────────── 糸曵き性(cm) 加熱後 80 65 15 再加熱後 60 45 10 ─────────────────────────────────── 冷凍保存適性 熱軟化性とオイルオフ(点) 4.8 3.9 1.0 糸曳き性(cm) 80 60 15 ─────────────────────────────────── シュレッド適性(点) 4.9 3.9 4.1 ───────────────────────────────────
【0011】さらに、市販品のシュレッドナチュラルチ
ーズ(市販品A、B)及びプロセスチーズ(市販品C)
についても同様の試験を行った。その結果を表2に示
す。
【0012】
【表2】 ──────────────────────────────────── 市販品A 市販品B 市販品C ──────────────────────────────────── 熱軟化性とオイルオフ(点) 加熱後 4.8 4.7 1.1 再加熱後 2.5 2.6 1.2 ──────────────────────────────────── 糸曵き性 (cm) 加熱後 25 45 − 再加熱後 20 25 − ──────────────────────────────────── 冷凍保存適性 熱軟化性とオイルオフ(点) 4.6 4.7 1.1 糸曳き性(cm) 25 45 − ──────────────────────────────────── シュレッド適性(点) 2.6 2.7 2.5 ────────────────────────────────────
【0013】熱度指標が12%以下の場合、加熱時及び
再加熱時に軟化し、適度なオイルオフが生じて溶融し、
良好な糸曳き性を有し、シュレッド適性が良好で、冷凍
保存可能なプロセスチーズが得られた。また、市販のナ
チュラルチーズは加熱時の熱軟化性、糸曳き性は良好な
ものの、再加熱時では、熱軟化性及び糸曳き性が低下
し、冷凍保存適性及びシュレッド適性も好ましい評価が
得られなかった。
【0014】実施例2 熟度指標が8.5%のゴーダチーズ25kg及び熟度指
標が10%であるオーストラリアモツァレラチーズ25
kgを粉砕、混合し、ステファン乳化釜に投入し、溶融
塩としてクエン酸ナトリウムを250g、ガム類として
ローカストビーンガム150g及び微細結晶セルロース
としてソルカフロック(カルタ−・フ−ドサイエンス社
製)200gを添加した後、表3に示す回転数で15秒
間予備乳化を行い、さらに加熱しながら20秒間乳化
し、その後回転数を下げて80℃に到達するまで本乳化
を行い、乳化物を得た。得られた乳化物を10kgずつ
カートン充填し、冷蔵庫で48時間以上冷却し、製品と
した。
【0015】試験例2 試験例1と同様の方法で、熱軟化性とオイルオフ、糸曳
き性、冷凍保存適性及びシュレッド適性について試験を
行った。結果を表3に示す。
【0016】
【表3】 ─────────────────────────────────── 回転数(rpm) ───────────────────── 予備乳化 1,100 1,200 1,400 1,500 本乳化 600 500 400 300 ─────────────────────────────────── 熱軟化性とオイルオフ(点) 加熱後 2.8 4.9 4.7 1.2 再加熱後 2.3 4.5 4.6 1.1 ─────────────────────────────────── 糸曳き性(cm) 加熱後 40 80 80 10 再加熱後 20 70 70 - ─────────────────────────────────── 冷凍保存適性 熱軟化性とオイルオフ(点) 1.9 4.8 4.4 1.2 糸曳き性(cm) 30 80 70 10 ─────────────────────────────────── シュレッド適性(点) 2.9 4.8 4.5 3.9 ───────────────────────────────────
【0017】予備乳化時の回転数が1,200〜1,5
00rpmであり、本乳化時の回転数が400〜500
rpmであるとき、加熱時又は再加熱時に軟化し、適度
なオイルオフが生じて溶融し、良好な糸曳き性を有し、
シュレッド適性が良好で、冷凍保存可能なプロセスチー
ズが得られた。なお、この乳化条件での乳化時間は約3
分と短時間であった。一方で、予備乳化時の回転数が
1,100rpm、本乳化時の回転数が600rpmで
あるとき、加熱時又は再加熱時に軟化して適度なオイル
オフが生じることがなく、良好な糸曳き性を示さなかっ
た。また、チ−ズが結着してしまい、冷凍保存後も糸曳
き性が悪かった。さらに、予備乳化時の回転数が1,5
00rpm、本乳化時の回転数が300rpmであると
き、加熱時又は再加熱時に軟化して適度なオイルオフを
生じることがなく、良好な糸曳き性を示さなかった。さ
らにまた、チーズが結着してしまい、冷凍保存後も糸曳
き性が悪かった。
【0018】実施例3 熟度指標が8.5%のゴーダチーズ25kg及び熟度指
標が10%のオーストラリアモツァレラチーズ25kg
を粉砕し、混合し、ステファン乳化釜に投入し、溶融塩
としてクエン酸ナトリウムを25g、50g、200
g、400g、500g、ガム類としてロ−カストビ−
ンガム150g及び微細結晶セルロ−スとしてソルカフ
ロック(カルタ−・フ−ドサイエンス社製)200gを
添加した後、1,200rpmで15秒間予備乳化を行
い、さらに加熱しながら20秒間乳化し、その後回転数
を600rpmに下げて80℃に到達するまで本乳化を
行い、乳化物を得た。得られた乳化物を10kgずつカ
ートンに充填し、冷蔵庫で48時間以上冷却し、製品と
した。
【0019】試験例3 試験例1と同様の方法で、熱軟化性とオイルオフ、糸曳
き性、冷凍保存適性及びシュレッド適性について試験を
行った。結果を表4に示す。
【0020】
【表4】 ─────────────────────────────────── クエン酸ナトリウム添加量 (重量%) ──────────────────────────── 0.05 0.1 0.4 0.8 1.0 ─────────────────────────────────── 熱軟化性とオイルオフ(点) 加熱後 2.4 4.9 4.8 4.0 1.3 再加熱後 2.3 3.9 3.8 2.6 1.1 ─────────────────────────────────── 糸曵き性(cm) 加熱後 15 80 80 65 15 再加熱後 10 60 60 50 10 ─────────────────────────────────── 冷凍保存適性 熱軟化性とオイルオフ(点)2.1 4.9 4.8 4.1 1.2 糸曳き性(cm) 15 80 80 60 40 ─────────────────────────────────── シュレッド適性(点) 2.8 4.8 4.9 4.8 2.4 ───────────────────────────────────
【0021】クエン酸ナトリウム添加量が0.1〜0.
8重量%では,加熱時又は再加熱時に軟化し、適度なオ
イルオフが生じて溶融し、良好な糸曳き性を有し、シュ
レッド適性が良好で、冷凍保存可能なプロセスチ−ズが
得られた。一方で、クエン酸ナトリウム添加量が0.0
5重量%では、良好に乳化を行うことができず、得られ
たプロセスチーズも加熱時又は再加熱時に軟化して適度
なオイルオフを生じることがなく、良好な糸曳き性を示
さなかった。また、チーズが結着してしまい、冷凍保存
後も糸曳き性は悪かった。さらに、クエン酸ナトリウム
添加量が1.0重量%では、加熱時又は再加熱時に軟化
して適度なオイルオフを生じることがなく、良好な糸曳
き性を示さなかった。さらにまた、チーズが結着してし
まい、冷凍保存後も糸曳き性が悪かった。
【0022】実施例4 熟度指標が8.5%のゴーダチーズ25kg及び熟度指
標が10%のオーストラリアモツァレラチーズ25kg
を粉砕し、混合し、ステファン乳化釜に投入し、溶融塩
としてクエン酸ナトリウムを250g、ガム類としてロ
ーカストビーンガムを25g、50g、150g、35
0g、400g及び微細結晶セルロースとしてソルカフ
ロック(カルタ−・フ−ドサイエンス社製)200gを
添加した後、1,200rpmで15秒間に予備乳化を
行い、さらに加熱しながら20秒間乳化し、その後回転
数を600rpmに下げて80℃に到達するまで本乳化
を行い、乳化物を得た。得られた乳化物を10kgずつ
カートンに充填し、冷蔵庫で48時間以上冷却し、製品
とした。
【0023】試験例4 試験例1と同様の方法で、熱軟化性とオイルオフ、糸曳
き性、冷凍保存適性及びシュレッド適性について試験を
行った。結果を表5に示す。
【0024】
【表5】 ────────────────────────────────── ローカストビーンガム添加量(重量%) ───────────────────────── 0.05 0.1 0.3 0.7 0.8 ────────────────────────────────── 熱軟化性とオイルオフ(点) 加熱後 2.1 4.4 4.9 4.8 3.1 再加熱後 2.2 4.2 4.5 4.6 2.9 ─────────────────────────────────── 糸曵き性(cm) 加熱後 15 65 80 60 20 再加熱後 10 50 60 45 10 ────────────────────────────────── 冷凍保存適性 熱軟化性とオイルオフ(点)2.2 4.7 4.9 4.9 3.1 糸曳き性(cm) 15 75 80 65 35 ─────────────────────────────────── シュレッド適性(点) 2.1 4.8 4.9 4.9 2.8 ──────────────────────────────────
【0025】ロ−カストビーンガム添加量が0.1〜
0.7重量%では、加熱時又は再加熱時に軟化し、適度
なオイルオフが生じて溶融し、良好な糸曳き性を有し、
シュレッド適性が良好で、冷凍保存可能なプロセスチー
ズが得られた。一方で、ローカストビーンガムの添加量
が0.05重量%では、得られたプロセスチーズが加熱
時又は再加熱時に軟化して適度なオイルオフを生じるこ
とがなく、良好な糸曳き性を示さなかった。また、チー
ズ同士が結着してしまい、冷凍保存後も糸曳き性が悪か
った。さらに、ローカストビーンガム添加量が0.8重
量%では、加熱時又は再加熱時に軟化して適度なオイル
オフを生じることがなく、良好な糸曳き性を示さなかっ
た。さらにまた、チーズが結着してしまい、冷凍保存後
も糸曳き性が悪かった。
【0026】実施例5 熟度指標が8.5%のゴーダチーズ25kg及び熟度指
標が10%のオーストラリアモツァレラチーズ25kg
を粉砕し、混合し、ステファン乳化釜に投入し、溶融塩
としてクエン酸ナトリウムを250g、ガム類としてロ
ーカストビーンガムを150g及び微細結晶セルロース
としてソルカフロック(カルタ−・フ−ドサイエンス社
製)50g、100g、250g、500g、600g
を添加した後、1,200rpmで15秒間予備乳化を
行い、さらに加熱しながら20秒間乳化し、その後回転
数を600rpmに下げて80℃に到達するまで本乳化
を行い、乳化物を得た。得られた乳化物を10kgずつ
カートンに充填し、冷蔵庫で48時間以上冷却し、製品
とした。
【0027】試験例5 試験例1と同様の方法で、熱軟化性とオイルオフ、糸曳
き性、冷凍保存適性及びシュレッド適性について試験を
行った。結果を表5に示す。
【0028】
【表6】 ────────────────────────────────── 微細結晶セルロ−ス添加量(重量%) ─────────────────────────── 0.1 0.2 0.5 1.0 1.2 ────────────────────────────────── 熱軟化性とオイルオフ(点) 加熱後 3.2 4.5 4.9 4.5 3.1 再加熱後 1.6 4.3 4.8 4.6 2.9 ─────────────────────────────────── 糸曵き性(cm) 加熱後 50 75 80 75 40 再加熱後 20 70 75 70 20 ─────────────────────────────────── 冷凍保存適性 熱軟化性とオイルオフ(点)2.1 4.5 4.8 4.7 3.1 糸曳き性(cm) 20 70 80 75 30 ──────────────────────────────────── シュレッド適性(点) 2.1 4.7 4.9 4.8 4.2 ───────────────────────────────────
【0029】微細結晶セルロ−ス添加量が0.2〜1.
0重量%では、加熱時又は再加熱時に軟化し、適度なオ
イルオフが生じて溶融し、良好な糸曳き性を有し、シュ
レッド適性が良好で、冷凍保存可能なプロセスチ−ズが
得られた。一方で、微細結晶セルロ−ス添加量が0.1
重量%では、得られたプロセスチ−ズが加熱時又は再加
熱時に軟化して適度なオイルオフを生じることがなく、
良好な糸曳き性も示さなかった。また、チ−ズ同士が結
着してしまい、冷凍保存後も糸曳き性は悪かった。特
に、再加熱した際にはプロセスチ−ズの水分が蒸発して
しまい、熱軟化性を示さず、糸曳き性が悪く、チ−ズ同
士が結着し、シュレッド適性も悪かった。さらに、微細
結晶セルロ−ス添加量が1.2重量%では、プロセスチ
−ズの組織が粗くなり、加熱時又は再加熱時に軟化して
適度なオイルオフを生じることがなく、良好な糸曳き性
を示さなかったが、シュレッド適性は向上した。
【0030】実施例6 熟度指標が8.5%のゴーダチーズ25kg及び熟度指
標が10%のオーストラリアモツァレラチーズ25kg
を粉砕し、混合し、ステファン乳化釜に投入し、これに
乳蛋白質2.5kg、植物性油脂2.5kg、溶融塩と
してクエン酸ナトリウム250g、ガム類としてローカ
ストビーンガム150g及び微細結晶セルロースとして
ソルカフロック(カルタ−・フ−ドサイエンス社製)2
00gをそれぞれ添加した後、回転数1,200rpm
で15秒間に予備乳化を行い、さらに加熱しながら20
秒間乳化し、その後回転数を600rpmに下げて80
℃に到達するまで本乳化を行い、乳化物を得た。得られ
た乳化物を10kgずつカートンに充填し、冷蔵庫で4
8時間以上冷却し、製品とした。
【0031】試験例6 試験例1と同様の方法で、熱軟化性とオイルオフ、糸曳
き性、冷凍保存適性及びシュレッド適性について試験を
行った。結果を表7に示す。
【0032】
【表7】 ────────────────────────────────── 熱軟化性とオイルオフ(点) 加熱後 4.9 再加熱後 4.8 ────────────────────────────────── 糸曵き性(cm) 加熱後 70 再加熱後 60 ────────────────────────────────── 冷凍保存適性 熱軟化性とオイルオフ(点) 4.9 糸曳き性(cm) 75 ────────────────────────────────── シュレッド適性(点) 4.8 ──────────────────────────────────
【0033】実施例6では、加熱時又は再加熱時に軟化
し、適度なオイルオフが生じて溶融し、良好な糸曳き性
を有し、シュレッド適性が良好で、冷凍保存可能なチ−
ズフ−ドが得られた。
【0034】
【本発明の効果】本発明によれば、熱軟化性を有し、糸
曳き性の良好なプロセスチ−ズ又はチ−ズフ−ドを提供
することができる。本発明のプロセスチ−ズ又はチ−ズ
フ−ドは、加熱により軟化し、適度なオイルオフが生じ
ても均一に溶融し、良好な糸曳き性を示すものであり、
冷却後、再度加熱した際にも良好な糸曳き性を示し、シ
ュレッド適性が良好であり、さらに凍結保存が可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 勉 兵庫県伊丹市昆陽字佐藤前22−21−1− 508 Fターム(参考) 4B001 AC40 AC44 BC02 BC06 BC07 BC08 EC04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熟度指標が12%以下であり、溶融塩、
    ガム類及び微細結晶セルロースを含有せしめることを特
    徴とするプロセスチーズ又はチーズフード。
  2. 【請求項2】 原料チ−ズに対して溶融塩を0.1〜
    0.8重量%、ガム類を0.1〜0.7重量%及び微細
    結晶セルロ−スを0.2〜1.0重量%含有せしめるこ
    とを特徴とする請求項1記載のプロセスチ−ズ又はチ−
    ズフ−ド。
  3. 【請求項3】 熟度指標が12%以下、又は熟度指標を
    12%以下に調整した原料チーズに、溶融塩を0.1〜
    0.8重量%、ガム類を0.1〜0.7重量%及び微細
    結晶セルロースを0.2〜1.0重量%添加し、400
    〜1,400rpmの中速から高速で加熱乳化すること
    を特徴とするプロセスチーズ又はチーズフードの製造方
    法。
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