JP2001026478A - MgO製芯材及びその製造方法並びにそのMgO製芯材を用いた有底円筒状セラミックス焼結体の製造方法 - Google Patents

MgO製芯材及びその製造方法並びにそのMgO製芯材を用いた有底円筒状セラミックス焼結体の製造方法

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JP2001026478A
JP2001026478A JP11201456A JP20145699A JP2001026478A JP 2001026478 A JP2001026478 A JP 2001026478A JP 11201456 A JP11201456 A JP 11201456A JP 20145699 A JP20145699 A JP 20145699A JP 2001026478 A JP2001026478 A JP 2001026478A
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cylindrical ceramic
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Hiroki Sugiura
宏紀 杉浦
Satoshi Iio
聡 飯尾
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セラミックス材料との反応を抑制可能なMg
O製治具及びその製造方法を提供するとともに、セラミ
ックス材料が本来持っている諸特性(機械的特性、電気
的特性等)を損なうことのない該MgO性芯材を用いた
有底円筒状セラミックス焼結体の製造法を提供するこ
と。 【構成】 ジルコニウム源を含む粉末、成形体若しくは
焼結体とMgO製芯材を接触させた状態で熱処理を行う
ことにより、ジルコニアをMgO製芯材表面のMgO結
晶粒界に析出させる。かかるMgO製芯材を用いて有底
円筒状セラミックス成形体を焼成することで、諸特性
(機械的特性、電気的特性等)を損なうことのない優れ
た有底円筒状セラミックス焼結体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、MgO製芯材及びその
製造方法並びにそれを用いた有底円筒状セラミックス焼
結体の製造方法に関する。焼成時に発生する円筒の反り
や真円度不良を低減し、寸法精度に優れた有底円筒状セ
ラミックス焼結体を量産するのに好適である。例えば、
ナトリウム硫黄電池に用いられるベータアルミナ等から
なる固体電解質管状体、また保護管や焼成容器用の耐火
材に用いられるアルミナ、ジルコニアセラミックス有底
円筒管等の製造に適用可能である。
【0002】
【従来の技術】有底円筒状のセラミックス焼結体は、保
護管、焼成容器等の耐火物、あるいはナトリウム硫黄電
池に用いられる固体電解質管状体などに用いられる。上
記の用途分野で要求される大型の製品では、特に焼成時
に反りや歪みが発生しやすく、歩留まりの向上が困難で
あった。要求される真円度、反り等の円筒としての寸法
精度を出すことはかなり困難だからである。これは、焼
成収縮に伴い発生する反りや歪みが原因である。
【0003】寸法精度の優れた有底円筒状セラミックス
焼結体を得るために、種々の治具を用いて焼成する方法
が検討されている。例えば、開口端を下向きにしたベ−
タアルミナ有底管にMgO製治具を緩挿し、突き上げた
状態で焼成する方法が特開平10―167839号公報
や特開平10−231179号公報に開示されている。
【0004】しかし、MgO製治具とベ−タアルミナと
の接触部に、MgOとベ−タアルミナとの反応によりM
g系スピネルが生成し、ナトリウムイオン伝導特性が悪
化するという問題があった。同様に、有底円筒状アルミ
ナセラミックスの製造にMgO製治具を用いても、やは
りMgOとの反応によるMg系スピネルの生成が見ら
れ、その結果、耐火材としての機械的強度の低下が問題
となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
の諸問題を解決するものであり、セラミックス材料との
反応を抑制可能なMgO製治具及びその製造方法を提供
するとともに、セラミックス材料が本来持っている諸特
性(機械的特性、電気的特性等)を損なうことのない該
MgO製芯材を用いた有底円筒状セラミックス焼結体の
製造法を提供することを目的とする。例えば、寸法精度
と諸特性(機械的特性、電気的特性等)に優れた有底円
筒状ベータアルミナ質セラミックス焼結体の製造方法と
して好適である。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、有底円筒状セラミックス成形体を緩挿した状態で焼
成するのに用いる円柱状のMgO製芯材であって、該有
底円筒状セラミックスの焼成収縮過程において、該Mg
O製芯材の外表面の少なくとも一部が、該有底円筒状セ
ラミックスの円筒内表面の少なくとも一部と接触した状
態で用いられるとともに、上記MgO製芯材が、以下の
(a)〜(c)の特性を兼備するMgO製芯材を要旨と
する。 (a)熱膨張係数が上記有底円筒状セラミックス焼結体
の熱膨張係数以上 (b)MgO純度が98%以上 (c)MgO結晶粒径が30μm以上
【0007】MgO製芯材をかかる構成にすることで、
形状精度に優れ、且つ、そのセラミックスが本来持って
いる特性を損なわない有底円筒状セラミックス焼結体を
簡便に得ることができる。上記MgO製芯材として
(a)〜(c)の特性を必要とした理由を以下に分説す
る。
【0008】(a)MgO製芯材の熱膨張係数が、有底
円筒状セラミックス焼結体の熱膨張係数以上であるこ
と。MgO製芯材の熱膨張係数が有底円筒状セラミック
ス焼結体の熱膨張係数より小さい場合、焼結終了後の降
温過程で該有底円筒状セラミックス焼結体の収縮が大き
くなってMgO製治具を噛み込んでしまい、取り出し不
可能もしくはセラミックスの割れ等の問題が生じるため
である。
【0009】MgO製芯材と有底円筒状セラミックス焼
結体の熱膨張係数の関係をかかる構成に規定すれば、焼
成収縮によって発生する成形体の円筒内壁面による芯材
への把持が、冷却過程において容易に開放できるように
なり、焼結体の芯材へのかみ込みを効果的に防止でき
る。これは、熱膨張係数がより大きい芯材の方が、冷却
過程で焼結体よりもより多く収縮する性質を利用したも
のである。
【0010】尚、芯材と焼結体の熱膨張係数の差として
は、1.0×10−6/℃以上であることが望ましい。
焼結体の形状精度の向上と芯材へのかみ込み防止をより
効果的に図ることができる。
【0011】MgO製芯材の純度が98%より小さい場
合、不純物として含まれるSi、Al、Ca等の影響に
よって、焼成時にMg成分等とセラミックス中の成分と
が反応して所望の組成と相違した化合物が生ずること
で、本来得られるはずの特性(機械的特性、電気的特
性、熱的特性等)が大幅に劣化する問題が生じるからで
ある。
【0012】例えば、該有底円筒状セラミックスがベー
タアルミナ質セラミックスである場合、ベータアルミナ
中のAl成分と芯材中のMg成分が反応し、ベータアル
ミナ質セラミックス表面にMg系スピネルを生成し、そ
れがナトリウムイオン導電性を劣化させる問題が生じ
る。また該有底円筒状セラミックスがアルミナの場合、
同様の反応が生じ、有底円筒状アルミナセラミックス焼
結体の表面にMg系スピネルを生じ、機械的強度の劣化
を招く。
【0013】(c)MgO製芯材のMgO結晶粒径が3
0μm以上であること。MgO製治具のMgO結晶粒径
が30μmより小さい場合、有底円筒状セラミックスと
の接触面での反応が活性になり、前述したように諸特性
の劣化の原因となる。これは、MgO製芯材中のMg等
成分の有底円筒状セラミックスの接触面への移動が、M
gO結晶粒界を通して起こるものであり、MgO結晶粒
径が小さい程このMgO結晶粒界の面積が大きくなるた
めと推察される。
【0014】以上の(a)〜(c)の3つの構成を兼備
することで、寸法精度と機械的特性や電気的特性等の焼
結体特性とを両立した有底円筒状セラミックス焼結体が
製造可能なMgO製芯材が得られる。
【0015】本発明にいう「有底円筒状」とは、その断
面形状が真円、楕円、規則的な変形を伴う変形円または
不規則的な変形を伴う変形円等からなる一切の円筒状を
含んだ形状をもいう。
【0016】請求項2に記載の発明は、MgO製芯材の
外表面におけるMgO結晶粒界の少なくとも一部にジル
コニア粒子が存在するMgO製芯材を要旨とし、請求項
1に記載のMgO製芯材のより好ましい構成を例示した
ものである。
【0017】Mg成分等のMgO製芯材から有底円筒状
セラミックスの接触面への拡散経路と考えられるMgO
結晶粒界の少なくとも一部にジルコニア粒子を存在させ
ることにより、Mg成分等の有底円筒状セラミックスの
接触面への拡散が抑制され、反応が抑制できる。そのた
め、諸特性(機械的特性、電気的特性、熱的特性等)劣
化のない良好な有底円筒状セラミックスが製造できる。
【0018】MgO結晶粒界に存在するジルコニア粒子
がMg成分等の拡散防止にどのように作用するかの詳細
は不明であるが、以下の2つの理由によるものと推察さ
れる。.ジルコニア粒子そのものがMg成分等の拡散
防止層として機能する。.ジルコニア粒子がMgO製
芯材から微妙に突出することで、MgO製芯材と有底円
筒状セラミックスの円筒内表面との面接触を回避するた
めのマイクロバンプとして機能する。
【0019】請求項3に記載の発明は、焼成後のMgO
製芯材を、大気雰囲気中にて1650℃以上の温度で1
時間以上保持して熱処理するMgO製芯材の製造方法を
要旨とする。かかる熱処理を行うことにより、MgO製
治具の結晶を成長させ、結晶粒径を30μm以上とする
ことができる。
【0020】熱処理条件を大気雰囲気にて温度1650
℃以上−保持時間1時間以上とした理由は、以下のよう
である。温度が1650℃より小さいと十分に結晶の粒
成長が進まないため30μmに達せず、MgO製治具の
結晶粒界面積が大きくなる。その結果、有底円筒状セラ
ミックスとMgO結晶粒界との接触面積も大きくなり、
Mg成分等の拡散、反応が促進され、焼結体の諸特性
(機械的特性、電気的特性、熱的特性等)が劣化するか
らである。
【0021】また、保持時間が1時間より少ないと、十
分にMgO製芯材の結晶粒成長が進まないため30μm
に達せず、その結果、MgO製治具の結晶粒界面積が大
きくなり、上記と同様の理由により、焼結体の諸特性
(機械的特性、電気的特性、熱的特性等)が劣化するか
らである。
【0022】請求項4に記載の発明は、ジルコニウム源
を含むセラミック粉末、成形体、焼結体若しくは液体か
ら選ばれる少なくとも一種に、焼成後のMgO製芯材の
少なくとも一部を接触させて、大気雰囲気中にて140
0℃以上の温度で1時間以上保持して熱処理するMgO
製芯材の製造方法を要旨とし、請求項3に記載のMgO
製芯材の製造方法のより好ましい構成を例示したもので
ある。
【0023】MgO製芯材の表面に、大気雰囲気中での
熱処理によりジルコニアとなるジルコニウム源を含んだ
粉末、成形体、焼結体若しくは液体と接触させて大気雰
囲気にて温度1400℃以上−保持時間1時間以上の条
件で熱処理を行うこと、その接触面のMgO結晶粒界の
少なくとも一部にジルコニアを析出することができる。
【0024】ジルコニウム源を含んだ粉末、成形体若し
くは焼結体とMgO製芯材との接触、熱処理方法は図1
〜図3に例示したような方法が可能である。すなわち、
MgO製芯材をジルコニウム源を含んだ粉末に埋めて熱
処理する方法(図1)、MgO製芯材にジルコニウム源
を含んだ有底円筒状セラミックス成形体を被せて熱処理
する方法(図2)、MgO製芯材にジルコニウム源を含
んだ有底円筒状セラミックス焼結体を被せて熱処理する
方法(図3)であるが、本発明はこれらの方法に限るも
のではない。また、ジルコニウム源を含んだ液体の場
合、MgO製芯材に塗布、熱処理することで対応でき
る。
【0025】ジルコニウム源を含む材料としては、ジル
コニア(粉末、成形体、焼結体)、硝酸ジルコニウム
(粉末、成形体)、アルミナ−ジルコニア混合粉末、ア
ルミナ−ジルコニア混合成形体、ベ−タアルミナ−ジル
コニア混合成形体、アルミナ分散型ジルコニア複合焼結
体材料、ジルコニア分散型ベ−タアルミナ質焼結体、ナ
フテン酸ジルコニウム(液体)等を用いることが可能で
あるが、これらに限るものではない。
【0026】かかる方法を用いて、MgO製芯材と有底
円筒状セラミックスとのMg成分等の拡散経路であるM
gO結晶粒界の少なくとも一部にジルコニアを存在させ
ることにより、Mg成分等の有底円筒状セラミックスへ
の拡散が抑制され、諸特性を劣化させる反応生成物の生
成が抑制できる。そのため、諸特性(機械的特性、電気
的特性、熱的特性等)劣化の少ない、優れた諸特性(機
械的特性、電気的特性、熱的特性等)を持つ有底円筒状
セラミックスが製造できる。
【0027】熱処理条件を大気雰囲気にて温度1400
℃以上−保持時間1時間以上とした理由は、以下のよう
である。温度が1400℃より小さくまた保持時間が1
時間より少ないと、十分にMgO製芯材表面のMgO結
晶粒界にジルコニアが析出しない。そのため、このMg
O製芯材を用いて有底円筒状セラミックスを焼成した場
合、MgO製芯材から拡散したMg成分等と有底円筒状
セラミックスとの反応により、該有底円筒状セラミック
スの内表面(MgO製芯材との接触面)に反応性斑が生
成し、該有底円筒状セラミックスの諸特性が劣化するか
らである。
【0028】請求項5に記載の発明は、有底円筒状セラ
ミックス成形体を円柱状のMgO製芯材に緩挿した状態
で焼成する有底円筒状セラミックス焼結体の製造方法に
おいて、該MgO製芯材として請求項1又は請求項2に
記載のMgO製芯材を用いる有底円筒状セラミックス焼
結体の製造方法を要旨とする。
【0029】請求項1又は請求項2に示したMgO製芯
材を用い、該MgO製芯材に有底円筒状セラミックスを
緩挿した状態で焼成することにより、焼成時に芯材と有
底円筒状セラミックスが実質的に密着し、ソリや変形の
殆ど発生しない寸法精度の優れた有底円筒状セラミック
ス焼結体が得られる。また同時に、MgO製治具と有底
円筒状セラミックスとの接触面での反応が抑制できるた
め、諸特性(機械的特性、電気的特性、熱的特性等)劣
化の少ない有底円筒状セラミックス焼結体が得られる。
【0030】請求項6に記載の有底円筒状セラミックス
焼結体の製造方法は、有底円筒状セラミックス焼結体が
ベータアルミナ質セラミックスであることを要旨とし、
請求項5に記載の有底円筒状セラミックス焼結体の製造
方法の、より好ましい構成を例示したものである。ベー
タアルミナ質セラミックスからなる有底円筒状セラミッ
クス焼結体は、ナトリウム硫黄電池の固体電解質等に用
いられるもので、比較的大型の製品でありながら、要求
される寸法精度は厳しい。同時に、機械的強度、電気的
特性(ナトリウムイオン導電性)の優れた性能が要求さ
れている。これら要求項目を満たす製造方法として本発
明は有効である。
【0031】円柱状のMgO製芯材を用いることによ
り、寸法精度の優れた焼結体を得ることが可能であると
ともに、Mg成分等とベータアルミナ質セラミックスと
の反応が抑制されて、機械的、電気的特性に優れたナト
リウムイオン導電性固体電解質を得ることができる。
【0032】
【実施例】以下に、実施例によって本発明を詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。有底円筒状セラミックスとしては、ベータアルミ
ナ質セラミックスを用いる。
【0033】(1)有底円筒状ベータアルミナ質セラミ
ックス成形体の製作 原料粉末には、純度99.9%のα−アルミナ粉末、試
薬1級品の炭酸ナトリウムおよび炭酸リチウムを用い
る。これらの原料粉末を、酸化アルミニウム、酸化ナト
リウムおよび酸化リチウムに換算したときの重量部で、
それぞれ90.4%、8.85%および0.75%とな
るように混合する。
【0034】この混合物を1250℃で10時間仮焼し
た後、振動ミルで粉砕しベータアルミナ質の原料粉末を
得る。得られた原料粉末をバインダーと共に水溶媒で所
定量混合してスラリとし、スプレードライ法にて造粒粉
末を調製する。
【0035】この造粒粉末をCIP(冷間静水圧プレス
法)により所定寸法の有底円筒状に成形し、円筒内長さ
490mm×円筒内径48mm×肉厚2.0mmの有底
円筒状の成形体を得る。尚、本成形体は、芯材を用いず
に焼成した場合における長さ方向の割りかけ値Wが1.
225、径方向の割りかけ値が1.200になるように
調整されている。
【0036】(2)MgO製芯材の純度と結晶粒径の影
響調査 MgO製芯材は、純度98.5%と97%の2種を用い
る。このMgO製芯材の平均結晶粒径は焼結後は約20
μmである。これを、表1に示すような、未処理を含め
た4種類の熱処理条件で熱処理を行ったMgO製芯材を
用意する。これら純度2種×熱処理条件4種の計8種の
MgO製芯材を用いてベータアルミナ質有底円筒状セラ
ミックスの焼成を行う。
【0037】各MgO製芯材の熱処理後のMgO結晶粒
子径の測定は以下のように行う。熱処理後の各MgO製
芯材の一部を切り取り、鏡面研磨した後、1500℃−
30分大気中で熱エッチングを行い粒界が確認できるよ
うに処理を行う。その試料をSEMにて500倍で写真
撮影し、その写真を用いインタセプト法(直径法)を用
い平均粒子径を算出した。直径法は各結晶粒子の同一方
向の最大長さ(ldn)を測定し、平均を求める方法で
ある。算出された各MgO製芯材の平均粒子径を表1に
示す。また、熱処理を施さない純度98.5%のMgO
製芯材(試料番号1)のSEM組織写真(熱エッチング
品)を図4に、純度98.5%のMgO製芯材を熱処理
条件1650℃−5時間で熱処理したMgO製芯材(試
料番号3)のSEM組織写真を図5に示す。
【0038】MgO製芯材の熱膨張係数は、純度98.
5%ものが13.5×10−6/℃(20〜1000
℃)、純度97%のものが13.1×10−6/℃(2
0〜1000℃)であり、熱処理による差は見られな
い。
【0039】芯材の形状は、外径41mm×長さ445
mmの有底円筒状ベータアルミナ質セラミックスとの緩
挿部を持ち、更に垂直に保持する保持台を有している。
【0040】有底円筒状セラミックス成形体の芯材への
セット状態を図6に示す。すなわち、MgO製芯材
(1)に有底円筒状ベータアルミナ質セラミックス成形
体(7)を緩挿して配置する。さらに、焼成ケース(図
示せず)を台座(6)に被せて、焼成ケース内への成形
体のセットを完了する。
【0041】焼成条件は、最高温度で1600℃×30
分保持とし、各条件ごとに50本ずつ焼成を行う。有底
円筒状セラミックス焼結体のMgO製芯材へのセット状
態を図7に示す。得られたベータアルミナ質焼結体の熱
膨張係数は、7.8×10 /℃である。芯材と焼結
体の熱膨張係数は、JIS R 1618に準じて、2
0〜1000℃の範囲について測定した。また比較例と
して、MgO製芯材を用いずに焼成し、同様の評価を行
った。
【0042】焼成後、焼結体の反り、真円度、ナトリウ
ムイオン伝導の比抵抗値(ナトリウムイオン伝導性の逆
数)の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0043】(3)MgO製芯材の結晶粒界に存在する
ジルコニアの影響 図2に示す構成(ジルコニウム源:有底円筒状成形体)
で、表2に示す熱処理条件を用いMgO製芯材の熱処理
を行う。熱処理を行うMgO製芯材は、純度98.5%
で1650℃−5hの熱処理を行ったもの(粒径約30
μm)を用いる。またジルコニウム源としてはアルミナ
90wt%、ジルコニア10wt%の混合成形体を用い
る。
【0044】MgO製芯材とジルコニウム源を含んだ成
形体との熱処理は表2に示す条件で行う。MgO結晶粒
界へのジルコニアの析出の有無は、芯材の一部を切り出
し、SEMにて観察を行う。
【0045】熱処理を行ったMgO製芯材を用いて焼成
した有底円筒状ベータアルミナ質セラミックス焼結体の
反り、真円度、ナトリウムイオン導電性の評価結果を表
2に示す。尚、焼成条件は(2)と同様である。また、
図8に1550℃−1時間処理してMgO結晶粒界にジ
ルコニアを析出させたMgO製芯材(試料番号13)の
SEM組織写真を示す。
【0046】(4)焼結体の反りの測定 得られた焼結体の反りは、以下のように測定する。すな
わち、図9に示すように、焼結体8を基準となる水平板
9上(以下、基準面という)に置いて接地させたとき、
該基準面から円筒表面までの距離が最も遠い部位の距離
dを測定し、dの焼結体の円筒長さLに対する割合(単
位;%)を反り基準値として算出する。反りの評価は、
反り基準値が0.2%以下のものを合格とし、50本中
の合格率を「反り評価合格率」とする。
【0047】(5)焼結体の真円度検査 焼結体の真円度は、以下のように測定する。すなわち、
得られた焼結体の開口端部の外径の最大値Rと最小値r
をそれぞれ測定し、以下の数式1によって真円度TRを
求める。真円度の評価は、各条件ごとに焼成を行った5
0本の焼結体のうち、真円度が1%以下のものを合格と
し、焼成50本中の合格率を「真円度評価合格率」とし
て記す。
【0048】(6)ナトリウムイオン伝導性は、有底円
筒形状のままNa−Naセルで4端子法で350℃にお
けるナトリウムイオン伝導の比抵抗値(伝導度の逆数)
を測定する。測定は各条件につき3本づつ行い、その平
均値を表1及び表2に記す。
【0049】
【数1】TR=(R−r)/r
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】表1の結果を見ると、MgO製芯材の純度
が98.5%以上で、熱処理条件が1650℃以上、保
持時間5時間以上のものが、ナトリウムイオン伝導の比
抵抗値が3.5Ω-cm以下となり、優れたナトリウムイ
オン伝導特性を有していることがわかる。一方、純度9
7%芯材では、熱処理によるナトリウムイオン伝導特性
の改善は見られなかった。
【0053】また、MgO製芯材を用いない焼成法で
は、ナトリウムイオン伝導特性は極めて優れているが、
焼成収縮時に発生する反り不良や、変形不良が多発して
いることがわかる。
【0054】表2の結果より、1400℃以上、保持時
間1時間以上の条件で、ジルコニウム源を含む成形体と
MgO製芯材を接触させた状態で熱処理を行うことによ
り、ジルコニアをMgO製芯材表面のMgO結晶粒界に
析出させることができることがわかる。そして、MgO
製芯材を用いて有底円筒状ベータアルミナ質セラミック
スを焼成しても、MgO製芯材を用いない場合と同等
の、非常に優れたナトリウムイオン伝導特性が得られる
ことがわかる。
【0055】
【発明の効果】本発明のMgO製芯材及びその製造方法
並びにそのMgO製芯材を用いた有底円筒状セラミック
ス焼結体の製造方法によれば、寸法精度が非常に優れ、
且つ、諸特性(機械的、電気的特性)が優れた有底円筒
状セラミックス焼結体を歩留まり良く量産することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MgO製芯材の結晶粒界にジルコニアを付着さ
せるための熱処理工程の説明図。
【図2】MgO製芯材の結晶粒界にジルコニアを付着さ
せるための熱処理工程の説明図。
【図3】MgO製芯材の結晶粒界にジルコニアを付着さ
せるための熱処理工程の説明図。
【図4】熱処理を施さない純度98.5%のMgO製芯
材(試料番号1)のSEM組織写真(熱エッチング
品)。
【図5】純度98.5%のMgO製芯材を熱処理条件1
650℃−5時間で熱処理したMgO製芯材(試料番号
3)のSEM組織写真。
【図6】有底円筒状セラミックス成形体のMgO製芯材
へのセット状態を示す説明図。
【図7】有底円筒状セラミックス焼結体のMgO製芯材
へのセット状態を示す説明図。
【図8】1550℃−1時間処理してMgO結晶粒界に
ジルコニアを析出させたMgO製芯材(試料番号13)
のSEM組織写真。
【図9】有底円筒状セラミックス焼結体の反りの測定方
法を示す説明図。
【符号の説明】
1 MgO製芯材 2 ジルコニウム源を含む粉末 3 ジルコニウム源を含む成形体 4 ジルコニウム源を含む焼結体 5 耐火材 6 台座(芯材保持部) 7 有底円筒状セラミックス成形体 8 有底円筒状セラミックス焼結体 9 水平板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有底円筒状セラミックス成形体を緩挿し
    た状態で焼成するのに用いる円柱状のMgO製芯材であ
    って、 該有底円筒状セラミックスの焼成収縮過程において、該
    MgO製芯材の外表面の少なくとも一部が、該有底円筒
    状セラミックスの円筒内表面の少なくとも一部と接触し
    た状態で用いられるとともに、 上記MgO製芯材が、以下の(a)〜(c)の特性を兼
    備することを特徴とするMgO製芯材。 (a)熱膨張係数が上記有底円筒状セラミックス焼結体
    の熱膨張係数以上 (b)MgO純度が98%以上 (c)MgO結晶粒径が30μm以上
  2. 【請求項2】 前記MgO製芯材の外表面におけるMg
    O結晶粒界の少なくとも一部にジルコニア粒子が存在す
    ることを特徴とする請求項1に記載のMgO製芯材。
  3. 【請求項3】 焼成後のMgO製芯材を、大気雰囲気中
    にて1650℃以上の温度で1時間以上保持して熱処理
    することを特徴とするMgO製芯材の製造方法。
  4. 【請求項4】 ジルコニウム源を含むセラミック粉末、
    成形体、焼結体若しくは液体から選ばれる少なくとも一
    種に、MgO製芯材の少なくとも一部を接触させて、大
    気雰囲気中にて1400℃以上の温度で1時間以上保持
    して熱処理することを特徴とする請求項3に記載のMg
    O製芯材の製造方法。
  5. 【請求項5】 有底円筒状セラミックス成形体を円柱状
    のMgO製芯材に緩挿した状態で焼成する有底円筒状セ
    ラミックス焼結体の製造方法において、該MgO製芯材
    として請求項1又は請求項2に記載のMgO製芯材を用
    いることを特徴とする有底円筒状セラミックス焼結体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記有底円筒状セラミックスが、ベータ
    アルミナ質セラミックスであることを特徴とする請求項
    5に記載の有底円筒状セラミックス焼結体の製造方法。
JP11201456A 1999-07-15 1999-07-15 MgO製芯材及びその製造方法並びにそのMgO製芯材を用いた有底円筒状セラミックス焼結体の製造方法 Pending JP2001026478A (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001035527A (ja) * 1999-07-22 2001-02-09 Ngk Spark Plug Co Ltd 絶縁リング及びその製造方法

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