JP2001089243A - 窒化アルミニウム質セラミックス - Google Patents

窒化アルミニウム質セラミックス

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JP2001089243A
JP2001089243A JP27329899A JP27329899A JP2001089243A JP 2001089243 A JP2001089243 A JP 2001089243A JP 27329899 A JP27329899 A JP 27329899A JP 27329899 A JP27329899 A JP 27329899A JP 2001089243 A JP2001089243 A JP 2001089243A
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Hiroshi Aida
比呂史 会田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、強度や耐食性に優れ、かつ脱粒の少
ない窒化アルミニウム質セラミックスを提供する。 【解決手段】窒化アルミニウムを主成分とし、Ceを酸
化物(CeO2)換算で2〜20モル%含有し、Ce化
合物からなる粒界相を有し、窒化アルミニウム主結晶の
周囲に前記粒界相の存在しない領域の面積が全体の5%
以下またはX線透過写真で観察される亀甲模様におい
て、Ceの存在しない領域によって囲まれた一つの亀甲
部の平均長径が2mm以下であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
質セラミックス、特に熱伝導性、耐摩耗性、耐食性、耐
プラズマ性に優れたセラミックスであって、主に半導体
装置や液晶装置などの製造工程における抵抗体セラミッ
クス、例えば、半導体ウエハやガラス基板などの被固定
物を静電気力によって吸着保持する静電チャック等に使
用される窒化アルミニウム質セラミックスに関するもの
である。
【0002】
【従来技術】従来、半導体製造工程において、半導体ウ
エハ(以下、ウエハと称す)に微細加工を施すためのエ
ッチング工程や、薄膜を形成するための成膜工程、又は
フォトレジストを行うための露光処理工程等において、
ウエハを保持するために静電チャックが使用されてい
る。
【0003】静電チャックは、吸着面にウエハを載置し
て静電吸着用電極とウエハとの間に電圧を印加すること
で誘電分極によるクーロン力やジョンソン・ラーベック
力等の静電気力を発現させてウエハを吸着保持するもの
である。ここで、クーロン力は、誘電体層を構成する材
質の誘電率に依存し、ジョンソン・ラーベック力は、誘
電体層を構成する材質の体積固有抵抗値に依存する。
【0004】具体的には、誘電体層の体積固有抵抗値が
1015Ω・cmより大きい時の吸着力はクーロン力によ
り支配され、誘電体層の体積固有抵抗値が低下するにし
たがってジョンソン・ラーベック力が発現し、誘電体層
の体積固有抵抗値が1012Ω・cm以下になると吸着力
はクーロン力に比べて大きな吸着力が得られるジョンソ
ン・ラーベック力により支配されることが知られてい
る。
【0005】この種の静電チャックとしては、静電吸着
用の電極板上にアルミナ、サファイアなどからなる誘電
体層を形成したもの(特開昭60−261377号公
報)が提案されている。
【0006】また、近年、半導体素子における集積回路
の集積度が向上し、半導体製造工程に過酷な条件が負荷
されるに伴って、吸着面を構成する誘電体層には、ウエ
ハの脱着に対する耐摩耗性と、各種処理工程で使用され
る腐食性ガスに対する耐食性に加え、耐プラズマ性に優
れるとともに、高い熱伝導率を有する材料が望まれるよ
うになり、このような材料として高純度の窒化アルミニ
ウム質焼結体や、焼結助剤として主にY23やEr23
を含有した窒化アルミニウム質焼結体を用いることが提
案されている。
【0007】しかし、高純度の窒化アルミニウム質焼結
体や焼結助剤として主にY23やEr23を含有した窒
化アルミニウム質焼結体は、250℃以上の高温下にお
いては高い吸着力が得られるものの、200℃以下の温
度下で行われる成膜工程や露光処理工程、あるいはエッ
チング工程などでは十分な吸着力が得られないといった
課題があった。
【0008】そこで、本出願人は、特開平10−154
746号公報において、窒化アルミニウムに窒化チタン
を10〜30モル%と、CeをCeO2換算で2〜10
モル%の範囲で含有させることにより、200℃以下で
の体積固有抵抗値をジョンソン・ラーベック力を発現さ
せることができる抵抗値である108〜1012Ω・cm
にまで小さくできることを提案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
10−154746号公報によれば、200℃以下での
体積固有抵抗値をジョンソン・ラーベック力を発現させ
ることができる抵抗値にまで小さくできるものの、Al
NおよびCeO2から焼成時に形成される液相成分が、
冷却時に固化してCeAlO3等の結晶を形成する際
に、必然的に体積収縮が起こってボイドが発生しやすい
という問題があった。
【0010】そのため、焼結体の強度や耐食性が低下す
るとともに、脱粒しやすいために耐摩耗性が低く、パー
ティクルが発生してウエハが汚染されるという問題があ
った。
【0011】したがって、本発明は、強度・耐食性に優
れ、脱粒の少ない窒化アルミニウム質セラミックスを提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化アルミニウ
ム質セラミックスは、窒化アルミニウムを主成分とし、
Ceを酸化物(CeO2)換算で2〜20モル%含有す
る窒化アルミニウム質セラミックスであって、少なくと
もCeを含む化合物からなる粒界相を有し、前記窒化ア
ルミニウム質セラミックスをX線透過写真で観察したと
きに、Ceの存在しない領域が亀甲模様を形成し、Ce
の存在しない領域によって囲まれた一つの亀甲部の平均
長径が2mm以下であることを特徴とする。
【0013】また、本発明の窒化アルミニウム質セラミ
ックスは、窒化アルミニウムを主成分とし、Ceを酸化
物(CeO2)換算で2〜20モル%含有する窒化アル
ミニウム質セラミックスであって、少なくともCeを含
む化合物(以下Ce化合物と称す)からなる粒界相を有
し、窒化アルミニウム主結晶の周囲に前記粒界相の存在
しない領域があり、該領域の面積が全体の5%以下であ
ることを特徴とする。
【0014】本発明の窒化アルミニウム質セラミックス
によれば、主結晶である窒化アルミニウムと粒界結晶で
あるCe化合物とが存在するが、Ce化合物は焼成時に
液相を形成しており、冷却時に結晶化して、CeAlO
3を主体とし、CeO2、Ce 23または所望によって添
加した材料との化合物結晶を形成する。ところが、この
液相が固化するときに体積収縮を伴うために、Ceの存
在しない領域、すなわち、粒界結晶相のない領域が焼結
体中に形成されてしまい、その領域は実際にはボイドと
して観察される。
【0015】本発明によれば、X線透過写真観察におい
て、Ceの存在しない領域が亀甲模様を形成しており、
そのCeが存在しない領域によって囲まれた一つの亀甲
部の平均長径を2mm以下にすることによって、強度や
耐食性を高めることができる。
【0016】また、本発明によれば、走査電子顕微鏡観
察において、窒化アルミニウム主結晶粒子の周囲におけ
る粒界相の存在しない領域の面積を全体の5%以下にす
ることで、強度や耐食性を高め、脱粒を抑制できる。
【0017】さらに、本発明の窒化アルミニウム質セラ
ミックスは、CeAlO3結晶粒子を粒界に含有し、該
CeAlO3結晶粒子の平均粒径が3μm以下であるこ
とが好ましい。これは、結晶粒子径が大きいと体積収縮
により形成されるボイドが大きくなるからである。
【0018】したがって、本発明では、強度が高く、耐
食性が高く、かつ脱粒が少なく、吸着装置の吸着面に好
適に使用できる窒化アルミニウム質セラミックスを提供
することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の窒化アルミニウム質セラ
ミックスは、窒化アルミニウムを主成分とし、Ceを酸
化物(CeO2)換算で2〜20モル%含有するととも
に、Ce化合物からなる粒界相を有する。
【0020】すなわち、Ceが酸化物(CeO2)換算
で2モル%より少ないと焼結性が低下するとともに、粒
界相として存在するCeAlO3が焼結体中において3
次元的に連続的に分布しにくくなり、導電パスが確保さ
れにくくなるために、抵抗が高くなったり、再現性が得
にくくなる。また、CeO2が20モル%より多いと粒
成長しやすく、大きな粒径となって粒界相欠落によるボ
イドの発生原因となりやすい。
【0021】焼成中は液相焼結により窒化アルミニウム
粒子は焼結して窒化アルミニウム主結晶粒子からなる骨
格を形成し、主結晶粒子の間隙に液相が満たされてい
る。焼成が終了して冷却の段階で、液相は結晶化してC
e化合物からなる粒界相、例えばCeAlO3結晶相
が、AlN結晶相の間隙すなわち粒界に形成される。
【0022】この時、AlN結晶粒子同士の3次元的結
合によって形成される骨格の寸法変化は小さいにもかか
わらず、液相は結晶化に伴い大きな体積収縮を起こす結
果、最終的に生成されたCeAlO3結晶はAlN結晶
粒子による骨格のすべての間隙を埋めることができず、
CeAlO3の結晶が集中して存在する領域が形成され
ると同時に、CeAlO3結晶がAlN結晶の粒界に存
在しない領域(以下粒界相不在領域と称す)、すなわち
Ceの存在しない領域(以下Ce不在領域と称す)が形
成される。
【0023】このCe不在領域にAlNは存在するが、
その粒界相にはCeAlO3はないため、換言すれば、
窒化アルミニウム主結晶の連なった骨格は存在するが、
粒界はボイドとなっているため、強度低下および耐食性
の低下を招くとともに、脱粒しやすい状態となってい
る。
【0024】本発明における窒化アルミニウム質セラミ
ックスは、X線透過写真によるマクロ観察によれば、図
1に示すように、Ce不在領域1ではX線は透過し、C
eが多く存在する緻密なCe存在領域2ではX線は透過
しないので、コントラストが生じる。この観察方法によ
ると、Ce不在領域1が連なり、図1に示すような亀甲
模様が観察される。Ce不在領域1によって囲まれた一
つの亀甲部3の中心部付近にはCe存在領域2が存在
し、亀甲部3の外周へ近づくに従ってCeが少なくな
り、亀甲部3の外周にはCe不在領域1があって全体と
して亀甲模様を形成している。
【0025】本発明によれば、この亀甲部3の平均長径
を2mm以下、特に1mm以下とすることにより、強
度、耐食性および脱粒性を改善することができる。X線
透過写真観察における亀甲模様において一つの亀甲部の
平均長径が2mmを越えると焼結体強度が顕著に低くな
る。
【0026】また、走査電子顕微鏡(SEM)によるミ
クロ観察、例えば反射電子像の観察によれば、図2に示
すように、CeはAlに比べて質量が大きいので、Ce
は白く分布して観察されるが、このCeの少ない部分に
は、Ce化合物からなる粒界結晶相が欠乏し、窒化アル
ミニウム主結晶5の周囲に黒い模様となって粒界相不在
領域6が観察できる。
【0027】したがって、窒化アルミニウム主結晶5の
周囲に存在する粒界相不在領域(黒い領域)6の面積を
全体の5%以下、特に2%以下とすることにより、強
度、耐食性および脱粒性を改善することができる。SE
M観察において粒界相不在領域6の占有面積が全体の5
%を越えると焼結体強度が顕著に低くなる。
【0028】ここで、Ce不在領域または粒界相不在領
域は、液相の固化時に液相がこの領域から領域外へ移動
するため、その一部が粒界相に残留していてもその領域
全体としてCeまたは粒界相が実質上存在していなけれ
ば、これらの領域を不在領域と見なすことができる。例
えば、Ceまたは粒界相の無い領域に対して残留してい
るCeまたは粒界相が5%以下であれば、これをCe不
在領域または粒界相不在領域と見なしうる。
【0029】本発明の窒化アルミニウム質セラミックス
において、粒界相を形成するCeを含有する化合物とし
て、例えば、CeAlO3結晶粒子が平均粒径3μm以
下、特に2μm以下であることが好ましい。すなわち、
焼成中に窒化アルミニウム粒子はお互いに焼結して窒化
アルミニウム結晶の連なった骨格を形成し、その骨格間
に液相が存在するので、CeAlO3の粒径を3μm以
下にすることにより、焼結体における窒化アルミニウム
骨格の間隙を狭くできるために、粒界相欠落によるボイ
ドは小さくなり、安定した抵抗値を得ることができる。
【0030】また、窒化アルミニウム主結晶粒子の平均
結晶粒子径は0.5〜50μm、特に3〜30μmが望
ましい。これは、窒化アルミニウムの平均結晶粒子径が
50μmより大きくなると焼結体の強度や硬度等が大き
く低下するため、被固定物との脱着に伴う摺動によって
吸着面が摩耗したり、成膜工程やエッチング工程等にお
けるプラズマや腐食性ガスによって腐食摩耗し易くなる
ために、静電チャックの寿命が短くなるとともに、被固
定物にパーティクルが付着するからであり、逆に、窒化
アルミニウムの平均結晶粒子径を0.5μmより小さく
することは製造上難しいからである。
【0031】さらに、本発明の窒化アルミニウム質セラ
ミックスを抵抗体セラミックスとして用いた場合の使用
温度域における体積固有抵抗値を108〜1012Ω・c
mとし、これに電圧を印加することによってジョンソン
・ラーベック力による吸着力を得ることができ、かかる
窒化アルミニウム質セラミックスの吸着力が飛躍的に向
上する。
【0032】なお、本発明の窒化アルミニウム質セラミ
ックスは、少なくともAl、Ce、NおよびOを含有し
ているが、抵抗値を調整するために導電性粒子を添加し
てもかまわない。例えば、窒化チタン、酸化ニッケル、
モリブデン、タングステンなどを添加してもよい。
【0033】ここで、添加する導電性粒子は均一に分散
されていれば良いが、主として窒化アルミニウム粒子の
3重点に配置していることが好ましく、これらの導電粒
子間をCeAlO3結晶が連結して導電性を発現するた
めに、窒化アルミニウム質セラミックスの抵抗値が安定
しやすい。しかも、CeAlO3の連続性が導電性粒子
によって切断されるため、大きく連続したボイドが発生
しにくくなる。
【0034】なお、耐食性を高める上で、焼結体の相対
密度は95%以上、特に98%以上、さらには99%以
上であることが望ましく、また、熱伝導率は、15W/
mK以上、特に30W/mK以上、さらには50W/m
K以上であることが望ましい。また、本発明の窒化アル
ミニウム質セラミックスは、厚さ1mm以下の薄板とし
て使用されることもあるため、強度は機械的信頼性の点
で100MPa以上が、好適には200MPaであるこ
とが望ましく、強度を向上することにより、さらに機械
部品などへ応用することができる。例えば、熱伝導率が
大きく導電性を有するため、チャージアップを嫌う構造
部品などに使用することもできる。
【0035】本発明の窒化アルミニウム質セラミックス
は以下のように製造できる。
【0036】まず、出発原料である純度99%以上、平
均粒径0.4μm〜5.5μmの窒化アルミニウム粉末
に対し、CeAlO3粉末を、Ceの含有量が酸化物換
算量で2〜20モル%の範囲となるように添加混合す
る。ここで、本発明によればCeAlO3粉末として平
均粒径が3μm以下、特に2μm以下の微細粉末を用い
ることにより、Ce不在領域又は粒界相不在領域が少な
くなり、強度や耐食性に優れ、脱粒しにくい窒化アルミ
ニウム質セラミックスを得ることができる。
【0037】この時、CeAlO3は、市販の粉末でも
よいが、予めアルミナ(Al23)と酸化セリウム(C
eO2)とを窒素やArなどの還元雰囲気において、1
450℃以上の温度で反応させてCeAlO3を合成
し、粉砕して平均粒子径を3μm以下にして使用するこ
とができる。
【0038】また、所望によりTiN粉末などの導電性
材料の粉末を添加することができる。これは、窒化アル
ミニウムの結晶の粒界や三重点などに存在し、CeAl
3がこれらの導電性材料を連結して導電性経路を確保
することによって、セラミックスの体積固有抵抗を低下
しやすくするとともに、CeAlO3の連続性が導電性
粒子によって切断されるために大きく、連続したボイド
が発生しにくくなる。
【0039】また、本発明においては、セリウム(C
e)以外の焼結助剤としてイットリウム(Y)、エルビ
ウム(Er)、イッテルビウム(Yb)等の希土類酸化
物を2モル%以下の範囲で添加してもよく、これにより
焼結体の密度をさらに向上させることができる。これに
より、セラミックスの緻密化がさらに促進されるため、
耐食性および耐摩耗性が向上し、静電チャックとして用
いた場合、セラミックス表面から発生する脱粒等による
パーティクルの発生を低減でき、静電チャックとしての
信頼性が向上する。
【0040】上記混合粉末に対し、所望により有機バイ
ンダを添加した後、所定形状に周知の成形手段、例え
ば、金型プレス、冷間静水圧プレス、ドクターブレード
法、圧延法等のテープ成形法、押し出し成形等により成
形する。その後、この成形体を所望により真空中または
窒素中で脱脂した後、窒素等の非酸化性雰囲気中、17
00℃〜1950℃、特に1750℃〜1900℃で1
〜数時間焼成することにより窒化アルミニウム質セラミ
ックスを作製することができる。
【0041】焼成方法としては、常圧焼成、ホットプレ
ス法あるいはガス圧焼成法等が用いることができるが、
冷却時にガス圧を加えることによりボイドの発生がさら
に抑制できるのでガス圧焼成法又はホットプレス法が好
ましい。また、焼結体の密度を高めるために、焼結体に
対してHIP処理を施すこともできる。
【0042】
【実施例】実施例1 まず、出発原料として純度99%以上、平均粒径0.7
μmの窒化アルミニウム粉末と、純度99%以上、平均
粒径0.8μmのCeAlO3粉末と、所望により純度
99%以上、平均粒径1.5μmのTiN粉末と、純度
99%以上、平均粒径1.0μmのNiO粉末とを表1
に示す量となるように秤量した。
【0043】次に、この混合粉末にバインダと溶媒を加
えてアルミナボールを用いたボールミルで12時間湿式
混合した。次いで、この混合物を乾燥した後、この粉末
にポリビニルアルコール(PVA)などのバインダーを
混合して造粒した。得られた粉末を1.0t/cm2
圧力でプレス成形した。これらの成形体を、50気圧の
窒素雰囲気において1825℃で3時間焼成し、所定の
形状に研削加工した。
【0044】耐食性試験は、20×20×1mmのサイ
ズに加工した焼結体の表面を表面粗さRaが0.6μm
以下の鏡面加工ししたものを試料とした。試験は、リア
クティブイオンエッチング(RIE)装置を用いてCF
4ガスによるプラズマエッチングテストを行って、テス
ト前後の重量変化からエッチング率を算出した。
【0045】また、強度は、JISR1601に従い、
室温における4点曲げ強度を測定した。さらに、粒界相
不在領域の面積は、鏡面研磨した試料表面のSEM写真
において粒界相不在領域の面積を画像処理により算出
し、また、X線写真観察から亀甲模様中100個の亀甲
部の最大長径をそれぞれ測定し、その平均値を算出し
た。また、得られた焼結体を直径150mm×厚み1m
mのセラミック板に加工し、ウエハ接触面をラッピング
によりRaが0.1μmの鏡面とした。このセラミック
板を導電性接着剤にてアルミニウム基板に接着し、テス
ト用の静電チャックとして吸着テストを行った。
【0046】吸着テストは、真空装置内のヒーター上に
上記の作製した静電チャックを固定した。この静電チャ
ックの上に25mm×25mm×10mmのSi単結晶
板を置き、1mPa以下の真空度で250℃、1時間の
加熱後に冷却して25℃とし、Si単結晶板と静電チャ
ックとの間に300Vの電圧を印加してSi単結晶板を
吸着面に吸着保持させ、この状態でSi単結晶板を剥が
すのに必要な力を吸着力として測定した。温度25℃で
吸着力を静電チャックの5カ所の異なるた吸着面で測定
し、平均値を算出した。結果を表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】本発明の試料No.2〜5は、強度が10
0MPa以上、耐食性が50Å/min以下で、吸着力
は300g/cm2以上であった。また、TiNを含む
試料No.7〜11は、強度が200MPa以上、耐食
性が20Å/min以下、吸着力が400g/cm2
上とすぐれたものであった。さらに、NiOを添加した
試料No.12でも同様の特性が得られた。なお、添加
したTiNは焼結体中にそのままTiNとして存在して
いたが、添加したNiOはNiAl3となって存在して
いた。
【0049】一方、Ce量が2モル%より少ない試料N
o.1は、焼結体の密度が低く強度は69MPaと低
く、耐食性は165Å/minと大きかった。また、C
e量が20モル%よりも多い試料No.6は、強度が9
8MPaと低く、吸着力は測定限界値以下であった。 実施例2 実施例1と同様の方法で試料を作製した。ただし、組成
は、窒化アルミニウムが80モル%、CeAlO3が1
0モル%、TiNが10モル%とし、粉末として種々の
平均粒径のものを用いた。焼成は、窒素50気圧下、1
825℃、3時間保持で行った。得られた焼結体に対し
て実施例1と同様にしてCe不在領域の比率、亀甲部の
平均長径、強度とともにパーティクルテストを行った。
【0050】パーティクルテストは、直径150mm×
厚み2mmの円板にSiバージンウエハの鏡面側を接触
させ、Siウエハ接触面の凹凸をレーザー散乱によって
検出し、パーティクルカウンターで0.3μm以上のパ
ーティクル数を計数した。それ以外の評価は実施例1と
同様であった。結果を、表2に示した。
【0051】
【表2】
【0052】本発明の試料13〜16は、CeAlO3
の粒径が3μm以下であり、その結果Ce不在領域の占
める面積が全体の5%以下であり、亀甲部の長径が2m
m以下であり、強度が100MPa以上であり、パーテ
ィクルの数が200ヶ以下であった。
【0053】これに対して、原料として平均粒径が3μ
mを越える粉末を用いた試料17,18では不在領域
は、全体の5%を越え、亀甲部の長径も2mmを越えた
ため、強度は100MPa未満、パーティクル数は20
0ヶを越えた。 実施例3 実施例1と同様の方法で試料を作製した。ただし、組成
は、窒化アルミニウムが80モル%、CeAlO3が1
0モル%、TiNが10モル%であった。また、焼成は
ガス圧焼成炉またはHIP炉を用い、冷却時に表3に示
すガス圧に設定した。
【0054】
【表3】
【0055】本発明の試料19〜25は、強度は100
MPa以上、パーティクルは200個以下であった。圧
力が高いほど特性が向上した。
【0056】
【発明の効果】本発明の窒化アルミニウム質セラミック
スでは、粒界相にセリウムを含む化合物の存在しない領
域の面積を全体の5%以下とすることで、1mm以下の
厚みへの加工にも耐えうる強度が実現でき、高強度で耐
食性に優れ、かつ脱粒によるウエハ汚染の少ない窒化ア
ルミニウム質セラミックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線透過写真によるCe不在領域によって形作
られる亀甲模様を示す図である。
【図2】走査電子顕微鏡(SEM)による粒界相不在領
域の分布を示す図である。
【符号の説明】
1・・Ce不在領域 2・・Ce存在領域 3・・亀甲部 5・・窒化アルミニウム主結晶 6・・粒界相不在領域

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウムを主成分とし、セリウム
    を酸化物(CeO2)換算で2〜20モル%含有する窒
    化アルミニウム質セラミックスであって、少なくともC
    eを含む化合物からなる粒界相を有し、前記窒化アルミ
    ニウム質セラミックスをX線透過写真で観察したとき
    に、Ceの存在しない領域が亀甲模様を形成し、Ceの
    存在しない領域によって囲まれた一つの亀甲部の平均長
    径が2mm以下であることを特徴とする窒化アルミニウ
    ム質セラミックス。
  2. 【請求項2】窒化アルミニウムを主成分とし、セリウム
    を酸化物(CeO2)換算で2〜20モル%含有する窒
    化アルミニウム質セラミックスであって、少なくともC
    eを含む化合物からなる粒界相を有し、窒化アルミニウ
    ム主結晶の周囲に前記粒界相の存在しない領域があり、
    該領域の面積が全体の5%以下であることを特徴とする
    窒化アルミニウム質セラミックス。
  3. 【請求項3】CeAlO3結晶粒子を含有し、該CeA
    lO3結晶粒子の平均粒径が3μm以下であることを特
    徴とする請求項1又は2記載の窒化アルミニウム質セラ
    ミックス。
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