JP2001025856A - ダイカスト品の製法およびそれに用いるダイカスト用金型 - Google Patents

ダイカスト品の製法およびそれに用いるダイカスト用金型

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JP2001025856A
JP2001025856A JP11199160A JP19916099A JP2001025856A JP 2001025856 A JP2001025856 A JP 2001025856A JP 11199160 A JP11199160 A JP 11199160A JP 19916099 A JP19916099 A JP 19916099A JP 2001025856 A JP2001025856 A JP 2001025856A
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Isao Miyagi
功 宮城
Wataru Taniguchi
亘 谷口
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Maizuru Corp
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Maizuru Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塩浴処理等により金型構成部品に対し、クロム
炭窒化物層等の表面硬化層を安定的に形成させることに
より、金型寿命を大幅に向上させ、ダイカスト品の品質
の安定化と金型コストの削減を可能にしたダイカスト品
の製法およびそれに用いるダイカスト用金型を提供す
る。 【解決手段】金型内に溶融金属を圧入して凝固させたの
ち脱型し、所定形状のダイカスト品を製造するダイカス
ト品の製法であって、上記金型として、金型構成部品の
溶融金属との接触面に、クロム窒化物およびクロム炭窒
化物の少なくとも一方を有する表面硬化層が形成された
ものを用いるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金型構成部品の溶
融金属との接触面に、クロム窒化物もしくはクロム炭窒
化物の化合物層(以下、単に「クロム炭窒化物層」とい
う)等の表面硬化層を形成させることにより、金型構成
部品の耐摩耗性,耐熱性,耐酸化性,耐疲労性等を向上
させて金型の寿命を延長し、長期間にわたって品質のよ
いダイカスト品を生産することができるダイカスト品の
製法およびそれに用いるダイカスト用金型に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ダイカストは、金型内に溶融金属を大気
圧以上の圧力で圧入して凝固させたのち、脱型する精密
鋳造法の一種であり、エンジン部品を始め、機械部品の
量産に広く行われている。このダイカストに使用される
金型は、一般に、耐熱鋼や合金工具鋼等の合金鋼が用い
られ、つぎのような構造になっている。すなわち、図1
に示すように、固定金型11と、この固定金型11に合
わさり、図示の左右方向に進退してキャビティ14を開
閉する可動金型12とからなる。そして、上記可動金型
12には、複数のピン挿通穴13が穿設され、これらピ
ン挿通穴13にそれぞれ押し出し棒(以下、「鋳抜きピ
ン」という)15が挿通されている。図において、16
はダイカスト品に中空部を設ける中子16であり、10
は湯口である。上記金型を使用し、ダイカスト品は、つ
ぎのようにして製造される。すなわち、固定金型11と
可動金型12とが合わせられた状態で、湯口10から溶
融金属が圧入され、キャビティ14内に充満されて凝固
される。ついで、可動金型12が後退するとともに、鋳
抜きピン15がキャビティ14内に突出し、キャビティ
14内のダイカスト品を上記鋳抜きピン15で押し出し
て脱型させる。
【0003】このようなダイカストでは、高温の溶融金
属が20〜50m/sの高速と、最高2800kg/c
2 程度の高圧で金型内に繰り返し鋳込まれる。このた
め、ダイカスト用の金型は、キャビティ14内面や中子
16表面に浸食や亀裂が生じたり、鋳抜きピン15の先
端部に摩耗等が生じ、これらの溶融金属と接触する金型
構成部品が短期間で寿命になりやすいという問題があ
る。すなわち、金型に浸食や亀裂があると、ダイカスト
品が肌荒れし、外観品質等を悪化させる原因となる。ま
た、鋳抜きピン15の先端エッジ部は摩耗が速く、そこ
が摩耗すると、ピン挿通穴13との間に隙間や凹みがで
き、この隙間や凹みに溶融金属が入り込んでバリが生じ
る。このため、上記鋳抜きピン15は、特に、短期間で
交換する必要がある。
【0004】そこで、上記鋳抜きピン15等の金型構成
部品は、単なる焼き入れ焼き戻し等の熱処理だけでな
く、浸炭や窒化もしくは物理蒸着(PVD)等の表面硬
化処理を施すことが行われているが、これらによって
も、まだまだ充分な寿命を得るには至っていない。この
ような状況の下、金型構成部品の耐摩耗性,耐熱性,耐
酸化性,耐疲労性等の機械的性質を向上させ、金型寿命
を延長させるためには、金型構成部品の表面にクロム炭
窒化物等の硬質皮膜を形成させることが極めて有効であ
ると考えられている。
【0005】このようなクロム炭窒化物層を合金鋼等の
表面に形成させる方法としては、例えば、めっき拡散法
や、クロマイジング処理法(特公昭42−24967号
公報,米国特許第4242151号)ならびに塩浴法
(特公平3−65435号公報,特公平4−24422
号公報,特公平4−24423号公報,特公平4−47
028号公報,特公平4−47029号公報,特開平2
−159361号公報,特開平3−202460号公
報)等、各種の方法が提案されている。
【0006】上記各方法のうち、例えば、特公平3−6
5435号公報に示される方法は、塩浴等による方法で
あって、鉄合金材料の表面に窒化処理を施して窒素化合
物層を形成させた後、この鉄合金材料と、純クロム,ク
ロム合金,クロム化合物等のクロム材料と、アルカリ金
属またはアルカリ土類金属の塩化物、弗化物、ホウ弗化
物、酸化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、硝酸塩、硼酸
塩あるいはハロゲン化アンモニウム塩または金属ハロゲ
ン化物からなる処理剤とを共存させて加熱処理し、クロ
ムを拡散させることにより、鉄合金材料の表面にクロム
炭窒化物層を形成させるものである。
【0007】上記方法では、塩浴剤としてアルカリ金属
またはアルカリ土類金属の塩化物、弗化物、ホウ弗化
物、酸化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、硝酸塩、硼酸
塩等、多くの塩類を列挙し、これらを単独または混合し
て使用することにより、クロム炭窒化物層が形成される
としている。しかしながら、上記各塩類のうち、塩化物
以外は、塩浴の酸化性に及ぼす影響や熱力学的な観点を
考慮すると、現実的には全く使用に適さない塩浴剤であ
る。また、これらの塩類は、逆に処理部品の腐食を引き
起こす等のマイナス作用も大きく、クロム炭窒化物層を
生成するのはかえって困難である。
【0008】また、上記方法は、クロム材料としても、
フェロクロムやCrCl3 ,CrF 6 ,Cr2 3 ,K
2 CrO3 等、クロムの塩化物,弗化物,酸化物等のク
ロム化合物等を列挙している。しかしながら、クロムの
塩化物は、水和物を多く含むため、塩浴中の露点を高め
てしまうという不都合がある。また、弗化物や酸化物で
は、熱力学的な観点からクロム炭窒化物層の生成に必要
な化学平衡が得られないという問題がある。したがっ
て、これらは、クロム炭窒化物層を生成させるための処
理剤としては不適当であり、上記方法には疑問点が多
い。
【0009】さらに、上記方法には、塩浴の粘性を調整
する目的で、Al2 3 やZrO2等の酸化物や、Na
CN等のシアン化物等の添加を行う旨が記載されてい
る。しかしながら、本願発明者らによる実験,研究によ
り、Al2 3 やZrO2 を添加しても塩浴の粘性の調
整には効果が薄いだけでなく、それらを添加すること
は、クロム炭窒化物層の生成をかえって阻害することが
確認されている。また、シアン化物の添加により、溶融
クロムおよび鉄合金材料の窒化や錯塩生成を促進し、ク
ロム炭窒化物層が全く生成しなくなるうえ、生成した錯
塩は爆発的な燃焼を起こしやすく、非常に危険であるこ
とから、これらも使用に適さないことがわかったのであ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の塩
浴法は、塩浴物性に対する基本的な解明が不充分であ
り、実験室的には合金鋼等の表面にクロム炭窒化物層を
形成させることができたとしても、生成皮膜がばらつい
たり塩浴寿命が短い等、品質の安定性や経済性の面で数
々の問題を有している。このため、安定した品質でクロ
ム炭窒化物層を形成させることができず、工業生産を実
施するには至っていない。したがって、ダイカスト用の
金型や中子,鋳抜きピン等の金型構成部品についても、
クロム炭窒化物層による表面硬化は行われていない。こ
のため、依然として金型構成部品の摩耗等によるダイカ
スト品の品質低下の問題等が未解決で、短期間で交換さ
れているのが実情である。このため、ダイカスト品に占
める金型コストも依然として高く、コスト低下の面から
も改善が強く要望されている。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、塩浴処理等により金型構成部品に対し、クロム
炭窒化物層等の表面硬化層を安定的に形成させることに
より、金型寿命を大幅に向上させ、ダイカスト品の品質
の安定化と金型コストの削減を可能にしたダイカスト品
の製法およびそれに用いるダイカスト用金型の提供をそ
の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のダイカスト品の製法は、金型内に溶融金属
を圧入して凝固させたのち脱型し、所定形状のダイカス
ト品を製造するダイカスト品の製法であって、上記金型
として、金型構成部品の溶融金属との接触面に、クロム
窒化物およびクロム炭窒化物の少なくとも一方を有する
表面硬化層が形成されたものを用いることを要旨とす
る。
【0013】また、本発明のダイカスト用金型は、ダイ
カスト品を製造するためのダイカスト用金型であって、
金型構成部品の溶融金属との接触面に、クロム窒化物お
よびクロム炭窒化物の少なくとも一方を有する表面硬化
層が形成されていることを要旨とする。
【0014】本発明者らは、ダイカスト品の品質の安定
化,コスト低減等を図るため、ダイカスト用金型の金型
構成部品に対し、クロム炭窒化物層等の表面硬化層を安
定的に形成させることを中心に、一連の研究を重ねた。
そして、塩浴中に、酸化珪素を主成分とするガラス粉末
を含有させて塩浴の塩基度を適正に保ち、塩浴中のクロ
ムイオンの熱力学的な活性と平衡を維持することによ
り、クロム炭窒化物層等の表面硬化層を安定的に生成さ
せることができるという知見を得、これに基づきさらに
実験を繰り返した。その結果、金型構成部品の溶融金属
との接触面に、上記塩浴によりクロム窒化物およびクロ
ム炭窒化物の少なくとも一方を有する表面硬化層を安定
的に形成させ、その金型構成部品を使用した金型を用い
てダイカスト品を製造すると、高温高圧で繰り返し溶融
金属が鋳込まれても、摩耗や侵食等が著しく少なくてす
み、金型寿命が大幅に向上し、得られるダイカスト品の
品質の安定化と金型コストの削減が可能になることを突
き止め、本発明に到達した。
【0015】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0016】本発明は、金型構成部品の溶融金属との接
触面に、クロム窒化物およびクロム炭窒化物の少なくと
も一方を有する表面硬化層が形成されているダイカスト
用金型を用い、ダイカスト品を生産するものである。
【0017】本発明の金型の金型構成部品に使用される
鋼材としては、特に限定されるものではなく、各種の材
質のものが用いられる。例えば、ニッケル・クロム鋼,
ニッケル・クロム・モリブデン鋼,クロム鋼,クロム・
モリブデン鋼等の機械構造用炭素鋼、高炭素クロム鋼,
タングステン・クロム鋼,タングステン・バナジウム鋼
等の工具鋼、タングステン・クロム・バナジウム鋼等の
高速度鋼,クロム・モリブデン・バナジウム鋼等の耐熱
鋼の他、ばね鋼,マンガン鋼,H鋼,窒化鋼,高張力
鋼,快削鋼,ダイス鋼,軸受鋼,ボロン鋼等の各種合金
鋼や、各種鋳鉄,鋳鋼等があげられる。また、炭素鋼,
合金鋼等に浸炭処理を行ったものでもよい。さらに、溶
製鋼に限らず、粉末冶金法によって得られる焼結合金で
もよい。これらの中でも、特に、SKD,SKT,SK
H,SKS等は、ダイカスト用金型の鋼材として好適に
用いられる。これらには、あらかじめ焼き入れ,焼き戻
し等の各種熱処理を行ってもよい。
【0018】本発明は、ダイカスト用金型として、上記
鋼材からなる金型構成部品の溶融金属との接触面(例え
ば、湯道表面,キャビティ内面,中子表面,鋳抜きピン
先端部等)に、クロム窒化物およびクロム炭窒化物の少
なくとも一方を有する表面硬化層を形成させたものを用
いる。
【0019】上記表面硬化層は、つぎのようにして形成
される。すなわち、まず、未処理の金型構成部品に窒化
処理を施して表面に鉄窒化物および鉄炭窒化物ならびに
窒素拡散層のうち少なくともひとつからなる窒化層を形
成させる。つぎに、この金型構成部品を、アルカリ金属
の塩化物とアルカリ土類金属の塩化物とのうち少なくと
もひとつを主成分とし、酸化珪素を主成分とするガラス
およびクロムを含有させた処理剤中で、500〜700
℃の温度に加熱保持し、上記窒化層中にクロムを拡散さ
せる。これにより、クロム窒化物およびクロム炭窒化物
の少なくとも一方を有する表面硬化層が形成される。
【0020】まず、未処理の金型構成部品に窒化処理を
施して表面に窒化層が形成される。上記窒化処理として
は、特に限定されるものではなく、各種の方法が行われ
る。例えば、塩浴窒化法,塩浴軟窒化法,ガス窒化法,
ガス軟窒化法,イオン窒化法,浸炭窒化法,酸窒化法,
フッ化とガス軟窒化の複合処理法等があげられる。これ
ら各窒化処理の条件としては、金型構成部品の表面に所
定厚みの窒化層が形成される条件であれば、採用する窒
化法によっても異なり、特に限定されるものではない。
【0021】上記各窒化処理のなかでも、特に、金型構
成部品をあらかじめフッ素系ガス雰囲気中に加熱保持し
て表面にフッ化物膜を生成したのち、窒化雰囲気中で加
熱して窒化層を形成させる、フッ化とガス軟窒化の複合
処理法が最も好適に行われる。
【0022】上記複合処理法におけるフッ素系ガスとし
ては、NF3 ,BF3 ,CF4 ,CF,SF6 ,C2
6 ,WF6 ,CHF3 ,SiF4 等からなるフッ素化合
物ガスがあげられ、単独でもしくは併せて使用される。
また、これら以外に、分子内にFを含む他のフッ素化合
物ガスや、上記フッ素化合物ガスを熱分解装置で熱分解
させて生成させたF2 ガスや、あらかじめつくられたF
2 ガスも用いることができる。このようなフッ素化合物
ガスとF2 ガスとは、場合により混合使用される。そし
て、上記フッ素化合物ガス,F2 ガス等のフッ素系ガス
は、それのみで用いることもできるが、通常は、N2
ス等の不活性ガスで希釈されて使用される。このような
希釈されたガスにおけるフッ素系ガス自身の濃度は、例
えば10000〜100000ppmであり、好ましく
は20000〜70000ppm、より好ましくは30
000〜50000ppmである。このフッ素系ガスと
して最も実用性を備えているのはNF3 である。上記N
3 は、常温でガス状であり、化学的安定性が高く、取
扱いが容易だからである。
【0023】上記濃度のフッ素系ガス雰囲気下に、金型
構成部品を加熱状態で保持し、フッ化処理する。この場
合、加熱温度は、例えば300〜550℃の温度に設定
される。そして、加熱保持時間は、金型構成部品の種類
や形状寸法,加熱温度等に応じて適当な時間を設定すれ
ばよく、通常は十数分〜数十分に設定される。金型構成
部品をこのようなフッ素系ガス雰囲気下でフッ化処理す
ることにより、「N」原子が金型構成部品の表面から内
部に浸透しやすくなる。この理由は、金型構成部品の表
面には、FeO,Fe3 4 ,Cr2 3 等の酸化物皮
膜等が形成されているが、この酸化物皮膜等が形成され
た金型構成部品を上記のようにフッ化処理すると、上記
酸化物がフッ素ガスと反応し、FeF2 ,FeF3 ,C
rF2 ,CrF4 等の化合物を含む薄いフッ化膜に変換
して活性化し、「N」原子の浸透の容易な表面状態にな
ると考えられる。したがって、このような「N」原子の
浸透の容易な表面状態となっている金型構成部品を、後
述するように、窒化雰囲気中において加熱保持すると、
窒化ガス中の「N」原子が母材中に、表面から一定の深
さで均一に拡散し、深く均一な窒化層が形成されると考
えられる。
【0024】上記のように、フッ化処理により「N」原
子の浸透しやすい状態となっている金型構成部品は、つ
ぎに窒化雰囲気下において加熱状態で保持されガス軟窒
化処理される。この場合、窒化雰囲気をつくる窒化ガス
としては、NH3 のみからなる単体ガスが用いられ、ま
たNH3 と炭素源を有するガス(例えばRXガス)との
混合ガス、例えばNH3 とCOとCO2 との混合ガスも
用いられる。両者を混合使用することも行われる。通常
は、上記単体ガス、混合ガスにN2 等の不活性ガスを混
合して使用される。場合によっては、これらのガスにH
2 ガスをさらに混合して使用することも行われる。窒化
処理時間は、通常は数時間〜数十時間に設定される。
【0025】このフッ化とガス軟窒化の複合処理によれ
ば、金型構成部品表面におけるNの吸着拡散が均一かつ
迅速に行われ、均一な窒化層が形成されるとともに、ポ
ーラス層の生成が少ないため、耐久性に優れたクロム炭
窒化物層を得ることができるという利点がある。
【0026】これらの窒化処理法により、金型構成部品
の表面に窒素が拡散し、最表面に鉄窒化物および鉄炭窒
化物の少なくとも一方からなる窒素化合物層が形成さ
れ、その下側に窒素拡散層が形成される。本発明では、
これら窒素化合物層ならびに窒素拡散層を総称して窒化
層という。すなわち、図2に、窒化処理後の金型構成部
品の表面層部分の断面硬度分布の一例を示す。図におい
て、表面の最も硬い層が鉄炭窒化物等からなる窒素化合
物層であり、この窒素化合物層の下側(図では右側)で
徐々に硬度が低下している部分が窒素拡散層である。
【0027】そして、窒化処理によって形成される窒化
層の厚みは、金型構成部品に使用される鋼種等によって
異なる。すなわち、普通鋼(S10C〜S55C,SM
n,SK1〜SK7,FC,FCD等)の場合には、上
記窒素化合物層厚さが15〜25μm程度で、窒素拡散
層の厚みが300〜600μmに形成され、表面硬度は
Hv400〜700程度になる。また、低合金鋼(SC
M,SNC,SNCM,SCr等)の場合には、窒素化
合物層厚さが5〜15μm程度で、窒素拡散層の厚みが
100〜300μmに形成され、表面硬度はHv600
〜900程度になる。また、高合金鋼(SKD,SK
S,SKH等)の場合には、窒素化合物層厚さが2〜1
0μm程度で、窒素拡散層の厚みが50〜100μmに
形成され、表面硬度はHv800〜1200程度にな
る。窒素化合物層の厚みが上記各値よりも薄い場合に
は、形成されるクロム炭窒物層の厚みが薄くなり、上記
各値を越えると、窒化処理自体に時間がかかり、処理コ
ストが高くなるほか、ポーラス層の増加や表面粗さの増
加を招くため、かえって機械的性質を低下させるおそれ
がある。
【0028】つぎに、上記窒化処理後の金型構成部品
を、アルカリ金属の塩化物とアルカリ土類金属の塩化物
のうち少なくともひとつを主成分とし、酸化珪素を主成
分とするガラスおよびクロムを含有させた処理剤中で加
熱保持する。
【0029】アルカリ金属の塩化物としては、LiC
l,NaCl,KCl,RbCl,CsClがあげら
れ、アルカリ土類金属の塩化物としては、BeCl2
MgCl 2 ,CaCl2 ,SrCl2 ,BaCl2 ,R
aCl2 があげられる。これらは、単独でもしくは併せ
て使用することができる。これらは、主として粉末状も
しくは粒状で使用され、加熱溶融させて塩浴とするのが
処理が行いやすく好適である。これらは、塩浴処理の
際、金型構成部品の表面にクロムを拡散させる媒介とな
るものである。
【0030】上記クロムとしては、工業用金属クロムが
使用される。この金属クロムは、粉末状,粒状,繊維状
等各種の形状で使用することができるが、特に、粉末状
のものは、入手が容易で安価であるとともに、塩浴への
溶解,混入も容易に行えることから、好適に用いられ
る。上記粉末の粒径としては50メッシュ以下が好まし
く、200メッシュ以下であれば、一層好適である。5
0メッシュを越えると、塩浴中への溶解,分散が均一に
行われなくなるため、安定したクロム炭窒化物層等の生
成が困難となるからである。また、粉末状等に限らず、
棒状や板状のクロム材を、陽極として溶融塩浴中に浸漬
させ、電解溶融させるようにしてもよい。上記クロム
は、塩浴中に溶融し、金型構成部品表面の窒化層に拡散
することにより、上記窒化層中の鉄と置換され、クロム
炭窒化物層等の表面硬化層が形成されるのである。
【0031】処理剤中のクロムの含有量としては、3〜
30重量%が好ましく、15〜20重量%であれば、一
層好ましい。3重量%未満では、クロムと鉄の置換反応
が起こりにくく、クロム炭窒化物層等が形成されにくく
なり、30重量%を越えると、未溶解のクロムが処理槽
内に溜まって効果が頭打ちになるほか、塩浴の流動性が
悪くなることから均一なクロム炭窒化物層等の生成が困
難となる。また、処理部品への処理剤の付着が増加する
ため、持ち出し量も増えて非常に不経済になるからであ
る。
【0032】上記酸化珪素を主成分とするガラスとして
は、酸化珪素(SiO2 )を主成分として含有するガラ
スであれば、各種のものが用いられ、特に限定するもの
ではない。例えば、ケイ酸ガラス,ケイ酸アルカリガラ
ス,ソーダ石灰ガラス,カリ石灰ガラス,鉛ガラス,バ
リウムガラス,ホウケイ酸ガラス等の各種ケイ酸塩ガラ
スや、工業用の純酸化珪素等があげられる。これらは、
単独でもしくは併せて使用される。また、主成分である
酸化珪素の含有量としては、80重量%以上が好まし
く、95重量%以上であれば一層好ましい。80重量%
未満では、他の不純物の混入が多くなり、塩浴の塩基度
を安定化させるという効果が減少するほか、クロムイオ
ンの活性化に悪影響を及ぼすことから、クロム炭窒化物
層等が形成されにくくなるからである。これらのなかで
も、塩基度の安定化が顕著に現れるほか、入手しやすく
取扱いも容易である等の理由から、特に、純度99重量
%以上の純酸化珪素が好適に用いられる。
【0033】また、酸化珪素を主成分とするガラスは、
粉末状,粒状,繊維状,液状等で使用することができる
が、特に、粉末状のものは、入手が容易で安価であると
ともに、処理剤への混入も均一に行えるうえ、取り扱い
も容易であることから、好適に用いられる。上記塩浴中
での粉末の粒径としては1000μm以下が好ましく、
50μm以下であれば、一層好適である。1000μm
を越えると、処理剤中に均一分散しにくくなるほか、塊
状の酸化珪素が処理部品に付着し、処理ばらつきの原因
となるからである。上記酸化珪素を主成分とするガラス
は、アルカリ金属等の塩化物とクロムからなる塩浴に含
有させることにより、塩浴の塩基度を安定化させて熱力
学的にクロムイオン活量を維持増進させ、クロム炭窒化
物層等を安定的に生成させることができる。
【0034】上記処理剤中の酸化珪素を主成分とするガ
ラスの含有量としては、1〜40重量%が好ましく、1
0〜20重量%であれば、一層好ましい。1重量%未満
では、酸化珪素を加えることによる塩基度安定化の効果
が充分得られないため、クロム炭窒化物層等の生成が困
難となるからである。また、40重量%を越えると、塩
浴の粘性が高くなりすぎて処理剤の持ち出しが多くなる
ほか、処理ムラや穴詰まり等の原因となるからである。
【0035】上記処理剤には、さらに、金属炭化物,ア
ルカリ金属の炭化物,アルカリ土類金属の炭化物,アル
カリ金属の水素化物,アルカリ土類金属の水素化物,ア
ルカリ金属の水酸化物,アルカリ土類金属の水酸化物,
マンガン粉末,シリコン粉末,チタン粉末等の化合物を
添加することができる。これらは単独でもしくは併せて
用いられる。
【0036】上記各化合物のうち、特に、金属炭化物,
アルカリ金属の炭化物,アルカリ土類金属の炭化物,ア
ルカリ金属の水素化物,アルカリ土類金属の水素化物,
アルカリ金属の水酸化物,アルカリ土類金属の水酸化物
が好適に用いられる。これらは単独でもしくは併せて用
いられる。これらの化合物を含有させることにより、塩
浴の塩基度をさらに安定化させ、クロム炭窒化物層等の
生成を安定化させるとともにその成長速度を速め、緻密
で良質なクロム炭窒化物層等を経済的に得ることができ
る。
【0037】また、上記各化合物のうち、特に、金属炭
化物,アルカリ金属の炭化物,アルカリ土類金属の炭化
物,アルカリ金属の水素化物,アルカリ土類金属の水素
化物,マンガン粉末,シリコン粉末,チタン粉末が好適
に用いられる。これらは、単独でもしくは併せて用いら
れる。これらの化合物を添加することにより、大気から
塩浴中に溶け込んでくる酸素の濃度を低く保ち、一層長
期間にわたって塩基度を安定化させ、クロム炭窒化物層
等の安定生成を長期にわたって維持し、塩浴寿命の長期
化ができる。
【0038】上記金属炭化物としては、例えば、Cr3
2 ,Cr236 ,Cr7 3 ,Fe3 C,TiC,C
3 C,MoC,Mo2 C,W2 C,WC,NbC,T
aC,VC,ZrC,Mn3 C,Mn236 ,Mn7
3 等各種のものがあげられるが、特に限定されるもので
はない。これらは、単独でもしくは併せて使用される。
【0039】また、アルカリ金属の炭化物としては、L
2 2 ,Na2 2 ,K2 2 ,RbC8 ,Rb
16,CsC8 ,CsC16等があげられ、アルカリ土類
金属の炭化物としては、Be2 C,MgC2 ,Mg2
3 ,CaC2 ,SrC2 ,BaC 2 等があげられる。こ
れらは、単独でもしくは併せて使用される。
【0040】また、アルカリ金属の水素化物としては、
LiH,NaH,KH,RbH,CsHがあげられ、ア
ルカリ土類金属の水素化物としては、BeH2 ,MgH
2 ,CaH2 ,SrH2 ,BaH2 ,RaH2 があげら
れる。これらは、単独でもしくは併せて使用される。
【0041】また、アルカリ金属の水酸化物としては、
LiOH,NaOH,KOH,RbOH,CsOHがあ
げられ、アルカリ土類金属の水酸化物としては、BeO
2,MgOH2 ,CaOH2 ,SrOH2 ,BaOH
2 ,RaOH2 があげられる。これらは、単独でもしく
は併せて使用される。
【0042】上記各化合物のうち、アルカリ金属の炭化
物,アルカリ土類金属の炭化物,アルカリ金属の水酸化
物,アルカリ土類金属の水酸化物のうち少なくともひと
つを、合計で0.1〜10重量%になるように含有する
ことが好ましく、0.5〜2.0重量%であれば、なお
好ましい。0.1重量%未満では、塩浴の塩基度および
酸素濃度を調節する効果が薄くなるため、クロム炭窒化
物層等の生成が困難となり、10重量%を越えると、こ
れら化合物が窒素と反応してしまい、クロム炭窒化物層
等の生成が阻害されるほか、塩浴の粘性が高くなり過ぎ
て、処理剤の持ち出しが多くなり、処理むらや穴詰まり
を起こしやすくなるからである。
【0043】また、上記各化合物のうち、金属炭化物,
アルカリ金属の水素化物,アルカリ土類金属の水素化
物,マンガン粉末,シリコン粉末,チタン粉末のうち少
なくともひとつを、合計で0.0001〜1重量%にな
るように含有するのが好ましく、0.001〜0.01
重量%であれば、なお好ましい。0.0001重量%未
満では、塩浴の塩基度および酸素濃度を調節する効果が
薄くなるため、クロムのイオン化が阻害され、クロム炭
窒化物層等の生成が困難となり、1重量%を越えると、
添加剤のイオン濃度が高くなり過ぎて自らが窒素と反応
を引き起こす等の弊害が発生し、クロム炭窒化物層等の
生成にとってマイナスとなるからである。
【0044】本発明の金型に使用する金型構成部品は、
上記処理剤を使用し、例えば、図3に示す塩浴炉で処理
を行うことができる。この塩浴炉は、炉の外側を覆う炉
体1の内部に、処理剤4が投入される有底四角筒状の処
理槽2が配設されている。上記炉体1と処理槽2の間の
隙間に、上記処理槽2を外側から加熱して処理槽2内の
処理剤4を加熱溶融させるヒーター3が設けられてい
る。また、処理槽2内で溶融した処理剤4を攪拌するイ
ンペラー5が処理槽2内に装入されている。図におい
て、6はインペラー5の保持装置である。そして、上記
処理槽2の底部が一方に向かって下り傾斜する傾斜面に
なっており、上記インペラー5の下端部が、処理槽2底
部の傾斜面下方側の底の深い部分7に位置するように配
設されている。また、上記処理槽2は、インコネル(イ
ンコネル600),ハステロイ,モネル,イリウム等の
ニッケル合金からなっている。
【0045】上記塩浴炉によれば、上記処理槽2の底部
が一方に向かって下り傾斜する傾斜面になっており、上
記インペラー5の下端部が、処理槽2底部の傾斜面下方
側の底の深い部分7に配設されているため、クロム等の
金属粉末を含む処理剤4によって溶融塩浴処理を行う場
合に、上記底の深い部分7に上記金属粉末が集まりやす
くなり、この集まった金属粉末がインペラー5によって
吸い上げられるように攪拌されるため、処理槽2内の処
理剤4の攪拌効率が向上し、塩浴処理が均一化安定化す
るという効果を奏する。また、処理槽2がニッケル合金
からなっていることから、処理剤4によって侵食されに
くいため、処理剤4中に不純物として溶出しにくく、安
定した処理が継続できるという利点がある。
【0046】なお、上記処理槽2は、全体をニッケル合
金で形成したが、内側だけをニッケル合金によってライ
ニングするようにしてもよい。また、処理槽2の底部
は、一方に向かって傾斜する傾斜面に形成したが、中央
付近の1か所が深くなるようなすり鉢状の傾斜にしても
よいし、四角筒状の処理槽2の角部が最も深くなるよう
な傾斜を設けてもよい。いずれにしても、底の深い部分
にインペラー5の下端部が配設されていれば、同様の作
用効果を奏する。なお、図3の塩浴炉では、攪拌手段と
してインペラー5を使用したが、これに限定するもので
はなく、塩浴剤をポンプで吸い上げて攪拌するポンプ式
のものや、攪拌羽根を上下に揺動させて攪拌する揺動式
のものや、ガスを吹き込むことにより攪拌する吹き込み
式のもの等、各種のものが用いられる。また、上記処理
槽2は、四角筒状のものを用いたが、これに限定するも
のではなく、円筒状や六角筒状等各種の形状のものを用
いることができる。これらの場合も、同様の作用効果を
奏する。
【0047】そして、上記塩浴炉を使用して、例えば、
つぎのようにして金型構成部品の表面処理が行われる。
まず、アルカリ金属等の塩化物と、酸化珪素を主成分と
するガラスおよびクロムを所定の配合割合で混合して処
理剤を調整する。この、処理剤には、金属炭化物、アル
カリ金属等の炭化物,水素化物,水酸化物およびマンガ
ン粉末,シリコン粉末,チタン粉末等を混合させること
が行われる。
【0048】ついで、上記のようにして調整した処理剤
を、塩浴炉の処理槽2内に投入し、ヒーター3によって
加熱溶融させ、塩浴を建浴する。そして、上記塩浴に、
窒化層を形成させた金型構成部品を浸漬し、所定時間加
熱保持する。このときの、加熱温度としては、500〜
700℃に設定するのが好ましい。500℃以下では、
処理効率が悪くなって安定したクロム炭窒化物層等が形
成されにくくなるほか、処理剤4が溶融しないため、塩
浴処理が行いにくくなるからである。一方、700℃を
越えると、処理槽2の侵食が激しくなるほか、金型構成
部品が過剰に焼き戻されて軟化し、強度が低下してしま
うからである。処理時間は、処理温度や形成させるクロ
ム炭窒化物層等の厚み等によっても異なるが、おおむ
ね、数時間〜数十時間程度である。
【0049】このようにして塩浴処理することにより、
あらかじめ窒化処理によって形成された金型構成部品表
面の窒化層内に、処理剤中に溶融したクロムが拡散し、
窒化層内の鉄とクロムとの置換反応が起こるのである。
【0050】まず、金型構成部品表面に鉄窒化物,鉄炭
窒化物の窒素化合物層からなる窒化層が形成されている
場合には、クロムと鉄との置換反応により、上記鉄窒化
物および鉄炭窒化物が表面から徐々にクロム窒化物およ
びクロム炭窒化物に変化する。処理時間が比較的短いう
ちは、窒素化合物層の表面近傍では、クロム窒化物およ
びクロム炭窒化物の割合が多く、母材近傍では鉄窒化物
および鉄炭窒化物の割合が多い状態である。そして、処
理を続けると、最終的には、鉄窒化物および鉄炭窒化物
がほとんど存在しないクロム窒化物およびクロム炭窒化
物だけの化合物層が形成されるのである。上述のように
して得られた化合物層を、X線回折に供した結果を図4
に示す。このX線回折により、Cr(N,C)およびC
2 (N,C)のピークが明瞭に認められ、上記化合物
層は、クロム炭窒化物であることがわかる。なお、本発
明の金型の金型構成部品に形成されるクロム炭窒化物層
とは、鉄窒化物および鉄炭窒化物がほとんど存在しない
クロム窒化物およびクロム炭窒化物だけの状態だけでな
く、母材近傍に鉄窒化物および鉄炭窒化物が残存してい
る状態も含むものである。
【0051】本発明は、金型構成部品の溶融金属との接
触面(キャビティ内面や中子表面,鋳抜きピン先端部
等)に、上記クロム炭窒化物層からなる表面硬化層を形
成させ、この金型構成部品を使用した金型を用いて、上
記金型内に溶融金属を圧入して凝固させたのち脱型し、
所定形状のダイカスト品を製造する。
【0052】本発明が対象とするダイカスト用の鋳造金
属としては、特に限定されるものではなく、各種のもの
が用いられる。例えば、シルミン,ガンマーシルミン,
含銅シルミン,ローエックス,ラウタル,Y合金,ヒド
ロナリウム等のアルミニウム合金や、マグネシウム合
金,亜鉛合金等があげられる。これらの鋳造金属は、加
熱溶融され、その溶融金属が上記金型内に圧入される。
なお、本発明において、上記溶融金属とは、半溶融状態
のものも含むものとする。また、ダイカストの条件とし
ては、特に限定されるものではなく、鋳造金属の材質
や、ダイカスト品の形状,大きさ等によって各種の温
度,圧力に設定される。また、使用されるダイカスト機
も、特に限定されるものではなく、ホットチャンバ式,
コールドチャンバ式等各種のものが用いられる。
【0053】本発明によれば、金型構成部品の溶融金属
との接触面に、上記クロム炭窒化物層からなる表面硬化
層が形成されていることにより、溶融金属が高温高圧で
金型内に繰り返し鋳込まれても、金型のキャビティ内面
や中子表面に浸食や亀裂が生じにくくなり、鋳抜きピン
先端部の摩耗も非常に少なくなる。そして、浸食や亀裂
による肌荒れや、鋳抜きピンの先端エッジ部の摩耗よる
バリ等の品質不良が生じにくくなるうえ、金型構成部品
の交換周期も長くなる。
【0054】なお、クロム炭窒化物層からなる表面硬化
層は、溶融金属との接触面に限らず、鋳抜きピンの外周
面等の摺動部分や、型面の露出部に適用させてもよい。
これにより、摺動摩耗が減少したり、異物の噛み込み等
によって傷がつきにくくなったりする。
【0055】また、上記塩浴処理により、窒素化合物層
へのクロムの拡散だけでなく、窒素化合物層の下に存在
する窒素拡散層にまでクロムが拡散するのである。すな
わち、上記窒素化合物層は、鉄窒化物の場合で説明する
と、主としてFe3 N,Fe 4 N等の化合物から構成さ
れており、上記窒素拡散層は、FeとFe4 Nが混在し
た状態であると考えられる。そして、上記塩浴処理を行
うことにより、クロムは、窒素化合物層へ拡散するだけ
でなく、その下の窒素拡散層へも拡散し、上記FeとF
4 Nが混在した窒素拡散層のFeとクロムとの置換反
応が起こり、上記窒素拡散層がクロムリッチな材質に変
質するのである。
【0056】さらに、窒素化合物層が形成されず、窒素
拡散層だけの窒化層が形成されるような条件で窒化処理
を施したり、あるいは、窒素化合物層と窒素拡散層とか
らなる窒化層を形成させたのち、機械加工や化学研磨等
の方法で、表面の窒素化合物層を除去し、窒素拡散層だ
けを残した状態にした金型構成部品に対して塩浴処理を
することによっても、表面からクロムを拡散させて耐摩
耗性,耐酸化性,耐疲労性等の機械的性質を向上させる
ことができる。この場合は、上述したようなクロム炭窒
化物層は形成されないが、窒素拡散層中にクロムが拡散
することによって上記窒素拡散層中のFeとクロムとの
置換反応が起こり、窒素およびクロムの濃化層が形成さ
れるのである。図5に、窒素拡散層だけを形成させたの
ち、塩浴処理によってクロムを拡散させたものの表層部
のEPMA分析結果を示す。図5から明らかなように、
窒素濃度の高い窒素拡散層の表面部に、高濃度でクロム
が拡散し、窒素およびクロムの濃化層が形成されている
ことがわかる。そして、クロム炭窒化物層を形成させた
ものと、クロム炭窒化物層を形成させず、窒素およびク
ロムの濃化層を形成させたものとについて、ファレック
ス摩耗試験に供した結果を図6に示す。比較品として、
タフトライド処理品を使用した。図6から明らかなよう
に、窒素およびクロムの濃化層を形成させたサンプル
も、クロム炭窒化物層を形成させたサンプルと同等の非
常に高い耐摩耗性を得ることができることがわかる。す
なわち、従来は、窒化処理により窒素化合物層を形成さ
せることが表面硬化層を形成させる前提であったが、上
述のように、窒素化合物層がなくても、高い耐摩耗性を
得ることができるのである。
【0057】本発明では、上記のような窒素およびクロ
ムの濃化層からなる表面硬化層を、金型構成部品の溶融
金属との接触面に形成させ、この金型構成部品を使用し
た金型を用いてダイカスト品を製造する。この場合であ
っても、上記クロム炭窒化物層を形成させた場合と同様
に、金型構成部品の浸食,亀裂,摩耗等が非常に少なく
なるという同様の作用効果を奏する。
【0058】さらに、クロム炭窒化物層を形成させず、
窒素およびクロムの濃化層を形成させた場合には、特
に、高い精度が必要な金型構成部品の場合に効果的であ
る。すなわち、窒化処理ののち、研磨,研削等の方法で
高精度に機械加工仕上げを行い、その後塩浴によってク
ロムを拡散させることで、高い耐摩耗性を持つ高精度な
金型構成部品の製作が可能となる。したがって、精密鋳
造法としてのダイカスト用の金型として非常に優れたも
のになる。また、衝撃荷重や曲げ荷重が著しく高くかか
る金型や、鉄鋼部品の処理にも効果的であり、耐摩耗
性,耐熱性等の機械的性質を向上させ、かつ、クラック
(亀裂)や割れ等の発生を防止する対策上で非常に有効
な手段となる。
【0059】そして、処理剤中に酸化珪素を主成分とす
るガラスを含有させていることから、上記クロム炭窒化
物層の形成や窒素拡散層中へのクロムの拡散が安定する
のである。この理由については、現在のところ必ずしも
明らかではないが、上記酸化珪素がアルカリ金属等の塩
化物の塩浴中において、その一部がxNaOySiO 2
を形成し、塩浴の塩基度を安定に保つ働きを果たすとと
もに、さらに、その一部がイオン解離し、イオン化した
クロムの過度の酸化を防止する役割を果たすからではな
いかと考えられる。すなわち、上記酸化珪素を含有させ
ることにより、塩浴の塩基度の安定化が達成できるので
あり、酸化珪素は、塩浴法によって安定したクロム炭窒
化物層等の表面硬化層の生成を可能にするうえで欠かせ
ない添加物の一種なのである。
【0060】また、塩浴は、時間の経過とともに、大気
中の酸素や水分が溶け込み、塩基度が低下して酸化性が
高まっていくとともに、処理剤中のクロムが酸化されて
消費される。このような塩基度の低下にともなって、表
面処理によって形成されるクロム炭窒化物層等は次第に
薄くなり、さらに酸化性が進むと、全くクロム炭窒化物
層等は生成しなくなり、金型構成部品の表面に肌荒れ状
の腐食を引き起こすことになる。すなわち、良好なクロ
ム炭窒化物層等を安定して生成させるためには、塩浴の
塩基度が高く維持されるとともに、酸素濃度が低く維持
される必要がある。したがって、塩浴処理を安定的に行
おうとすれば、塩浴の塩基度と酸素濃度とを常に適正な
状態に調節する必要がある。
【0061】そして、処理剤に、金属炭化物,アルカリ
金属の炭化物,アルカリ土類金属の炭化物,アルカリ金
属の水素化物,アルカリ土類金属の水素化物,アルカリ
金属の水酸化物,アルカリ土類金属の水酸化物のうち少
なくともひとつを含有させることにより、塩浴の塩基度
がさらに安定化し、緻密で良質なクロム炭窒化物層等が
形成されるとともに、クロム炭窒化物層等の生成速度が
速くなり、一層経済的に処理することができるようにな
るのである。
【0062】さらに、処理剤に、金属炭化物,アルカリ
金属の炭化物,アルカリ土類金属の炭化物,アルカリ金
属の水素化物,アルカリ土類金属の水素化物,マンガン
粉末,シリコン粉末,チタン粉末のうち少なくともひと
つを含有させることにより、塩浴中の酸素濃度を低く保
つことができる。すなわち、酸化物を形成しやすいクロ
ムに対し、大気から処理剤中に溶け込んでくる酸素濃度
を低く保つことができ、一層長期間にわたって塩基度を
安定化させ、クロム炭窒化物層等を長期間にわたって安
定して生成させ、塩浴寿命の長期化が図れるのである。
この理由については、必ずしも明らかにはなっていない
が、マンガン,シリコン,チタン等の金属が、クロムに
比較して酸素との結合力が高いこと等によるものと推定
される。
【0063】また、上記実施の形態では、処理剤を加熱
溶融させて金型構成部品を浸漬する、いわゆる溶融塩浴
処理について説明したが、これに限定されるものではな
く、上記溶融塩浴中に金型構成部品を陰極として浸漬し
て電解することによるいわゆる溶融塩電解法や、金型構
成部品を粉末状態のままの処理剤中に保持して加熱する
ことによるいわゆる粉末パック法や、粉末状の処理剤を
バインダーと混合させてペースト状にし、このペースト
を金型構成部品の処理部分に塗布してから加熱するいわ
ゆるペースト法や、粉末状態のままの処理剤を流動層炉
中に充填してガスを吹き込み流動させ、その中に金型構
成部品を加熱保持させることによりいわゆる流動層法
等、各種の方式で行うことができ、これら各方式によっ
て金型構成部品の表面処理を行ってもよい。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明は、金型構成部品
の溶融金属との接触面に、クロム窒化物およびクロム炭
窒化物の少なくとも一方を有する表面硬化層が形成され
たものを使用した金型を用い、ダイカスト製品を製造す
る。このため、溶融金属が高温高圧で繰り返し金型内に
鋳込まれても、金型のキャビティ内面や中子表面等に浸
食や亀裂が生じにくく、鋳抜きピン先端部等の摩耗も非
常に少なくなる。このため、浸食や亀裂によるダイカス
ト品の肌荒れや、鋳抜きピン先端部の摩耗によるバリの
発生が減少し、ダイカスト品の品質が安定化する。その
うえ、金型構成部品の交換周期も長くなり、金型コスト
も削減されるという効果を奏する。
【0065】つぎに、実施例について説明する。
【0066】
〔窒化処理条件〕
雰囲気 :フッ化+ガス軟窒化複合処理(RXガス:NH3 =1:1) 温度×時間 :570℃×3時間 窒素化合物層厚み:10〜15μm 〔塩浴処理条件〕 処理剤 :CaCl2 :NaCl:SiO2 =5.4:2.6:2.0 クロム粉(100〜300メッシュ) =15〜20重量% アルカリ金属,アルカリ土類金属の炭化物,水酸化物 =総量0.1〜10重量% アルカリ金属,アルカリ土類金属の水素化物およびMn,Si, Ti等の金属粉末 =総量0.0001〜1重量% 温度×時間 :570℃×4時間処理後、空冷
【0067】なお、上記処理において、塩浴の建浴は、
つぎのようにして行った。すなわち、まず、CaC
2 ,NaCl,SiO2 を所定割合で混合し、図3に
示す塩浴炉に入れて大気中で570℃に加熱溶融させ、
溶融後塩浴を攪拌しながらクロム粉末を添加し、つい
で、アルカリ金属,アルカリ土類金属の炭化物,水酸化
物,水素化物およびMn,Si,Tiの金属粉末を添加
する。つぎに、塩浴の塩基度を鋼箔テスト(厚み0.0
1mm×幅30mmの純鉄鋼箔を塩浴中に10分間浸漬
し、その酸化の程度や腐食減量により塩浴の塩基度を判
定する。塩基度が低く、酸化性が高ければ鋼箔の腐食が
大きいが、浸漬後も外観上ほとんど鋼箔に腐食がなく光
沢のある状態で処理が行われる。)によってチェック
し、粘性を調整した。
【0068】同一チャージに、同じ材質のテストピース
を処理し、これをX線回折することによってクロム炭窒
化物〔Cr(N,C),Cr2 (N,C)〕層が形成さ
れていることが確認された。
【0069】上記鋳抜きピンを使用した金型を用い、下
記の条件でアルミダイカスト品の製造を行った。その結
果、イオン窒化により表面硬化処理を行っていた従来品
では約150ショットで寿命に達していたが、実施例の
鋳抜きピンは、450ショット以上の耐久性を発揮し、
従来品と比べ、寿命を約3倍以上に延長することができ
た。 〔製造条件〕 ダイカスト品:シリンダーヘッド 鋳造材料 :ACD12 鋳造温度 :660〜670℃ 鋳造圧力 :600〜700kg/cm2
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイカスト用金型の一例を示す説明図である。
【図2】窒化層を形成させた金型構成部品の表層部の断
面硬度分布を示す線図である。
【図3】本発明に使用する金型構成部品を処理する塩浴
炉を示す断面図である。
【図4】本発明に用いる金型構成部品のX線回折結果で
ある。
【図5】窒素拡散層を形成させたのち塩浴処理を行った
もののEPMA分析結果を示す線図である。
【図6】摩耗試験結果を示すグラフ図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型内に溶融金属を圧入して凝固させた
    のち脱型し、所定形状のダイカスト品を製造するダイカ
    スト品の製法であって、上記金型として、金型構成部品
    の溶融金属との接触面に、クロム窒化物およびクロム炭
    窒化物の少なくとも一方を有する表面硬化層が形成され
    たものを用いることを特徴とするダイカスト品の製法。
  2. 【請求項2】 表面硬化層が、クロム窒化物およびクロ
    ム炭窒化物の少なくとも一方からなる化合物層である請
    求項1記載のダイカスト品の製法。
  3. 【請求項3】 表面硬化層が、母材中に窒素とクロムが
    拡散された窒素およびクロムの濃化層である請求項1記
    載のダイカスト品の製法。
  4. 【請求項4】 表面硬化層が形成された金型構成部品
    が、金型の押し出し棒である請求項1〜3のいずれか一
    項に記載のダイカスト品の製法。
  5. 【請求項5】 ダイカスト品を製造するためのダイカス
    ト用金型であって、金型構成部品の溶融金属との接触面
    に、クロム窒化物およびクロム炭窒化物の少なくとも一
    方を有する表面硬化層が形成されていることを特徴とす
    るダイカスト用金型。
  6. 【請求項6】 表面硬化層が、クロム窒化物およびクロ
    ム炭窒化物の少なくとも一方からなる化合物層である請
    求項5記載のダイカスト用金型。
  7. 【請求項7】 表面硬化層が、母材中に窒素とクロムが
    拡散された窒素およびクロムの濃化層である請求項5記
    載のダイカスト用金型。
  8. 【請求項8】 表面硬化層が形成された金型構成部品
    が、金型の押し出し棒である請求項5〜7のいずれか一
    項に記載のダイカスト用金型。
  9. 【請求項9】 金型構成部品の表面硬化層が、未処理の
    金型構成部品に窒化処理を施して表面に鉄窒化物および
    鉄炭窒化物ならびに窒素拡散層のうち少なくともひとつ
    からなる窒化層を形成させ、この金型構成部品を下記の
    処理剤(A)中で、500〜700℃の温度に加熱保持
    し、上記窒化層中にクロムを拡散させることにより形成
    されたものである請求項5〜8のいずれか一項に記載の
    ダイカスト用金型。 (A)アルカリ金属の塩化物とアルカリ土類金属の塩化
    物とのうち少なくともひとつを主成分とし、酸化珪素を
    主成分とするガラスおよびクロムを含有させた処理剤。
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