JP2001019848A - 防汚剤組成物、防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法 - Google Patents
防汚剤組成物、防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法Info
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Abstract
R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル基、フ
ェニル基またはX:「(CH2)pO(C2H4O) q(C3
H6O)rR4」を示し、mは1〜1000の数を示し、
nは0〜50の数を示す。但し、nが0のとき、R1お
よび/またはR2は上記Xである。]で表されるオキシ
アルキレン基含有オルガノポリシロキサンを含有し、該
オルガノポリシロキサンは、エチレンオキシ基(C2H4
O)に基づくHLBEO=[(オルガノポリシロキサン中
のC2H4Oの合計量(重量%)/5]が1〜2.5であ
り、かつプロピレンオキシ基(C3H6O)に基づくHL
BPO =[(オルガノポリシロキサン中のC3H6Oの合
計量(重量%)/5]が1〜10である防汚剤組成物、
その防汚被膜、該被膜にて基材が被覆された防汚処理基
材、並びに基材の防汚方法。 【効果】防汚性に優れる。
Description
基材、並びに基材の防汚処理方法に関し、さらに詳しく
は漁網、漁具、船舶または水中構造物など、海水または
真水と接触する基材に含浸・塗布すれば優れた防汚性能
を発揮し得るような防汚剤組成物、防汚処理基材、並び
に基材の防汚処理方法に関する。
特に海水中で長期に亘って使用されるため、海水との接
触部分に、ヒドロ虫、フサコケムシ、アオサ、アオノ
リ、セルプラ、カキなど多数の海中生物が付着、繁殖す
ると、漁網等の本来の機能が損なわれる恐れがある。漁
網のなかでも、養殖網や定置網は長期間海水中に静置さ
れるため海中生物の腐食、繁殖が顕著であり、頻繁に取
り替えなければならず、経済的損失が大きい。
物の付着防止を目的として、漁網などの表面への防汚剤
ないし防汚塗料の塗装が広く行われている。海中生物付
着防止法としては、亜酸化銅あるいは有機防汚剤に、こ
れらの防汚剤を適正に溶出させるための展色剤として、
ロジンとビニル樹脂あるいはアクリル樹脂とを配合した
防汚剤組成物、または亜酸化銅あるいは有機防汚剤に、
展色剤として加水分解性樹脂(アクリル酸ポリマーのケ
イ素、銅、亜鉛、錫のアルキルエステルまたはアルコキ
シエステル)を配合した防汚剤組成物が広く使用されて
いる。また、防汚性を有する展色剤、たとえば室温硬化
性シリコーンゴム等は、防汚剤としても使用されてい
る。しかしながら、これらの防汚剤組成物では、満足で
きる防汚性が得られていない。
(対応する特許:特許第2140275号)には、高分
子中のポリオキシエチレン量(重量%)に基づく親水性
親油性バランス(HLB)が2〜10のシリコーンオイ
ルであるオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロ
キサンを含有する防汚塗料が開示され、該公報には、こ
のHLBが2以下では塗膜そのものが撥水性を示し防汚
耐久性に劣ると記載されている。しかしながら該公報に
記載の防汚塗料を用いると、海草の付着防止効果を有す
る塗膜を得ることができるが、ヒドロ虫等の腔腸動物の
付着防止効果には劣る。
は、非シリコーン系皮膜形成性樹脂と、高分子中のポリ
オキシエチレン量(重量%)に基づくHLBが3〜12
のオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン
とを特定量比で含有する防汚塗料が開示され、該公報に
は、このHLBが3より小さいと防汚効果が劣り、長期
に亙る防汚効果の保持が困難となると記載されている。
また、該公報に記載の組成物を用いると、特に漁網など
に対して有用な防汚塗膜を得ることができる旨記載され
ている。しかしながら、漁網、水中構造物等に対する水
中生物の付着防汚性の点でさらなる改良の余地があっ
た。
て、本願出願人は、特開平9−176576号公報に
おいて、高分子中のポリオキシエチレンに基づく親水性
親油性バランス(HLB)が2〜7のオキシアルキレン
基含有鎖状オルガノポリシロキサンと、ビスジメチルジ
チオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメー
トとを特定量比で含有する水中防汚剤組成物を提案して
おり、該組成物からなる塗膜は、漁網、水中構造物等に
対するヒドロ虫等の腔腸動物の付着を有効に防止でき
る。
577号において、上記特開平9−176576号公報
に記載のオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロ
キサンと、亜酸化銅とを特定量比で含有する水中防汚剤
組成物を提案しており、該組成物からなる塗膜は、漁
網、水中構造物等に対する貝類、ヒドロ虫、藻類等の水
中生物の付着防汚性に優れている。
ら公報に記載の防汚塗料においても、漁網、水中構造物
等に対する貝類、ヒドロ虫、藻類等の水中生物の付着防
汚性の点でさらなる改良の余地があった。そこで本発明
者らはさらに鋭意研究したところ、上記各公報に示すよ
うなエチレンオキシ基量に基づくHLB値が特定の範囲
にあり、かつプロピレンオキシ基(C3H6O)に基づく
親水性親油性バランス(HLBPO)も特定の範囲にある
ようなオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサン
を用いると、腔腸動物(例:セルプラ、ヒドロ虫等)、
フジツボ、海草などの各種海中生物に対し優れた防汚性
を示す防汚塗膜を形成できる防汚剤組成物が得られるこ
となどを見出して本発明を完成するに至った。
ピレンオキシ基量に基づくHLBについては、何ら記載
も示唆もされていない。
問題点を解決しようとするものであって、ヒドロ虫等の
腔腸動物や海草などの水中生物に対して優れた防汚性を
発揮しうる防汚塗膜を形成できる防汚剤組成物を提供す
ることを目的としている。
腔腸動物や海草などの水中生物に対して優れた防汚性を
発揮しうる防汚塗膜を有する漁網、船舶、水中構造物な
どの防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法を提供す
ることを目的としている。
記式[I]:
ル基を示し、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にア
ルキル基、フェニル基またはX:「(CH2)pO(C2
H4O) q(C3H6O)rR4(R4は、水素原子またはそ
れぞれ炭素数が1〜15のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基またはアシル基を示し、pは0〜5の数を示
し、qおよびrはそれぞれ独立に1〜50の数を示
す。)」を示し、mは1〜1000の数を示し、nは0
〜50の数を示す。但し、nが0のとき、R1および/
またはR2は上記Xである。]で表されるオキシアルキ
レン基含有オルガノポリシロキサンを含有し、該オルガ
ノポリシロキサンは、上記オルガノポリシロキサンのエ
チレンオキシ基(C2H4O)に基づく下記式(A)で表
される親水性親油性バランスHLBEOが1〜2.5であ
り、かつプロピレンオキシ基(C3H6O)に基づく下記
式(B)で表される親水性親油性バランスHLBPOが1
〜10であることを特徴としている。 (A): HLBEO =[(オルガノポリシロキサン中のエチレン
オキシ基(C2H4O)の合計量(重量%)/5] (B): HLBPO =[(オルガノポリシロキサン中のプロピレ
ンオキシ基(C3H6O)の合計量(重量%)/5]。
およびプロピレンオキシ基に基づく下記式(C)で表さ
れる、オルガノポリシロキサンの親水性親油性バランス
HLBEO+POが2〜12であることが好ましい。 (C): HLBEO+PO =[(オルガノポリシロキサン中のエチレ
ンオキシ基とプロピレンオキシ基との合計量(重量
%))/5]。
式[I]で表されるオキシアルキレン基含有オルガノポリ
シロキサンを含有し、該オルガノポリシロキサンは、エ
チレンオキシ基(C2H4O)に基づく上記式(A)で表
される親水性親油性バランスHLBEOが1〜2.5であ
り、かつエチレンオキシ基(C2H4O)とプロピレンオ
キシ基(C3H6O)に基づく上記式(C)で表される、
オルガノポリシロキサンの親水性親油性バランスHLB
EO+POが2〜12であることを特徴としている。
まとめて単に「本発明」ともいう。)においては、上記
オキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサン[I]
を、組成物中に1〜50重量%の量で含有することが好
ましい。また、本発明においては、さらに、(b)銅お
よび/または無機銅化合物を含有することが好ましく、
特にこの銅および/または無機銅化合物(b)は、亜酸
化銅またはロダン銅であることが望ましい。本発明にお
いては、このような銅および/または無機銅化合物
(b)を、組成物中に1〜50重量%の量で含有するこ
とが好ましい。
ても、さらに、(c)有機防汚剤を含有することが好ま
しい。本発明においては、上記有機防汚剤(c)が、金
属ピリチオン塩系化合物、ビスジメチルジチオカルバモ
イルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、トリフェ
ニルボランのアミン錯体、テトラエチルチウラムジスル
フィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オン、アルキルフェニルジクロロマ
レイミド、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッ
ド、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,
6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−
4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSト
リアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニ
トリルからなる群から選択される1種または2種以上で
あることが望ましい。
銅ピリチオンおよび/またはジンクピリチオンであるこ
とが望ましい。また、上記トリフェニルボランのアミン
錯体は、トリフェニルボランピリジン錯体および/また
はトリフェニルボランアルキルアミン錯体であることが
好ましい。本発明においては、上記有機防汚剤(c)
を、該組成物中に1〜20重量%の量で含有することが
好ましい。
記載の防汚剤組成物から形成されたことを特徴としてい
る。本発明に係る防汚処理基材は、海水または真水と接
触する漁網、漁具、船舶または水中構造物に代表される
基材の表面が、上記の何れかに記載の防汚剤組成物から
なる塗膜、すなわち、該防汚剤組成物を塗布あるいは含
浸し、硬化してなる被膜にて被覆されていることを特徴
としている。
は真水と接触する基材の表面に、上記の何れか記載の防
汚剤組成物を塗布あるいは含浸させ、該基材の表面に防
汚塗膜を形成させることを特徴としている。本発明によ
れば、漁網、漁具、船舶または水中構造物など、海水ま
たは真水と接触する基材に含浸・塗布すれば、ヒドロ虫
等の腔腸動物や海草などの各種海中生物に対し優れた防
汚性を示す防汚塗膜を形成できる防汚剤組成物が提供さ
れる。本発明に係る防汚処理基材は上記のような防汚塗
膜で被覆されており、上記防汚性能を発揮できる。本発
明によれば、環境への安全性に優れ、効率的に上記防汚
塗膜付き基材を得ることのできる、基材の防汚処理方法
が提供される。
物、防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法について
具体的に説明する。 <防汚剤組成物>本発明に係る防汚剤組成物は、下記式
[I]で表されるオキシアルキレン基含有オルガノポリシ
ロキサンを含有している。また、その好ましい態様にお
いては、この防汚剤組成物は、後述するような防汚剤す
なわち、銅および/または無機銅化合物(b)、有機防
汚剤(c)などをも含有している。
リシロキサン[I]、防汚剤などについて順次説明する。<オキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサン[I]
> 式[I]:
素数1〜5さらには炭素数1〜3の下記例示中の各アル
キル基、またはフェニル基を示し、R1、R2およびR3
は、それぞれ独立にアルキル基好ましくは炭素数1〜5
さらには炭素数1〜3の下記例示中の各アルキル基、フ
ェニル基またはX:「(CH2)pO(C2H4O)q(C3
H6O)rR4[R4は、水素原子またはそれぞれ炭素数が
1〜15のアルキル基、アリール基好ましくは炭素数が
6〜15のアリール(aryl)基、アラルキル基好ましく
は炭素数が7〜15のアラルキル基(アリールアルキル
基)またはアシル基好ましくは炭素数が1〜15のアシ
ル基を示し、pは0〜5の数を示し、qおよびrはそれ
ぞれ独立に1〜50の数を示す。]」を示す。
には、これらXは互いに同一でもよく異なっていてもよ
い。炭素原子数1〜15の上記アルキル基としては、直
鎖状、分岐状の何れでもよく、具体的には、例えば、メ
チル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-
ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-
ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペン
チル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル
基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、
n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル
基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、ペンタデシル
基などが挙げられる。これらのアルキル基のうちでは、
炭素数が1〜5のものが好ましく、具体的には、メチル
基が望ましい。
しては、未置換の芳香族基の他、その水素原子の一部が
炭素数1〜3程度のアルキル基で置換されていても良い
芳香族基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル
基、トリル基(CH3C6H4−)、キシリル基(CH3)
2C6H3−)、ビフェニリル基(C6H5C6H4−)、ナ
フチル基(C10H7−)、アントリル基(C14H9−)、
フェナントリル基(C14H9−)等が挙げられる。これ
らのアリール基のうちでは、炭素数が6〜10のものが
好ましく、具体的には、フェニルが望ましい。
ルアルキル基)としては、具体的には、例えば、ベンジ
ル基(C6H5CH2−)、フェネチル基(C6H5CH2C
H2−)等が挙げられる。または炭素数が1〜15のア
シル基としては、具体的には、例えば、ホルミル基(H
CO−)、アセチル基(CH3CO−)、プロピオニル
基(C2H5CO−)、ブチリル基(C3H7CO−)、バ
レリル基(C4H9CO−)等の脂肪族系のアシル基;ベ
ンゾイル基(C6H5CO−)、トルオイル基(CH3−
C6H4−CO−)、サリチロイル基(HO−C6H4−C
O−)、シンナモイル基(C6H5−CH=CHCO
−)、ナフトイル基(C10H7CO−)、フタロイル基
(CO−C6H4−CO−)等の芳香族系のアシル基など
が挙げられる。これらのアシル基のうちでは、炭素数が
7〜13程度の上記アシル基が好ましい。
しい。また上記式[I]中、mは1〜1000、好ましく
は、10〜200の数を示し、nは0〜50、好ましく
は、2〜20の数を示す。但し、nが0のとき、R1お
よび/またはR2は上記Xである。なお、本発明におい
ては、式[I]中に存在する各成分単位−[Si(R5)2
O]−(ジメチルシリレンオキシ基)と、−[SiR3
(R5)O]−との結合順序は任意であり、例えば、配
列したm個の−[Si(R5)2O]−単位の間の任意の
位置に、n個の−[SiR3(R5)O]−単位が0〜5
0個の範囲の任意の個数で結合して、その合計個数がn
個となるように存在していてもよい。
キサン[I]は、エチレンオキシ基(C2H4O)に基づく
下記式(A)で表される親水性親油性バランスHLBEO
が1〜2.5、好ましくは、1.5〜2.5であり、か
つプロピレンオキシ基(C3H6O)に基づく下記式
(B)で表される親水性親油性バランスHLBPOが1〜
10、好ましくは2〜5である。 (A): HLBEO =[(オルガノポリシロキサン中のエチレン
オキシ基(C2H4O)の合計量(重量%)/5] (B): HLBPO =[(オルガノポリシロキサン中のプロピレ
ンオキシ基(C3H6O)の合計量(重量%)/5] このようなHLBEOおよびHLBPOを有するオルガノポ
リシロキサン[I]を含有する防汚剤組成物は、ヒドロ
虫、フサコケムシ、アオサ、アオノリ、セルプラ、カキ
など種々の海中生物に対する防汚性に優れた塗膜を形成
できる。なお、このHLBEOが上記範囲(1〜2.5)
にあっても、HLBPO が上記範囲(1〜10)を外れ
ると、防汚性が低下する傾向がある。
エチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基に基づく下
記式(C)で表される、オルガノポリシロキサンの親水
性親油性バランスHLBEO+POが2〜12、さらに好ま
しくは、3.5〜7.5であることが望ましい。 (C): HLBEO+PO =[(オルガノポリシロキサン中のエチレ
ンオキシ基とプロピレンオキシ基との合計量(重量
%))/5] オルガノポリシロキサンのHLBEOおよびHLBPOが上
記範囲にあり、さらに好ましくは、HLBEO+POも上記
範囲にあると、ヒドロ虫等の腔腸動物や海草などの各種
海中生物に対して、より優れた防汚性を示す防汚塗膜を
形成できる防汚剤組成物が得られる。
は、上記オルガノポリシロキサン[I]は、エチレンオキ
シ基(C2H4O)に基づく式(A)で表される親水性親
油性バランスHLBEOが1〜2.5、好ましくは1.5
〜2.5であり、かつエチレンオキシ基およびプロピレ
ンオキシ基に基づく上記式(C)で表される、オルガノ
ポリシロキサンの親水性親油性バランスHLBEO+POが
2〜12、好ましくは3.5〜7.5であってもよい。
有オルガノポリシロキサン[I]の数平均分子量(Mn)
は、通常、800〜50000、好ましくは、1000
〜10000である。このような数平均分子量のオキシ
アルキレン基含有オルガノポリシロキサン[I]を用いる
と、得られる防汚剤組成物(水中防汚剤組成物)を塗布
硬化してなる塗膜では、塗膜表面への該ポリシロキサン
[I]の移行が徐々に行われ、このポリシロキサン[I]の移
行に伴い、塗膜中の防汚剤も塗膜表面へ徐々に移行する
ため、この塗膜は、長期に亘って優れた防汚性を示す。
/または無機銅化合物、(c)有機防汚剤等が挙げられ
る。上記「銅および/または無機銅化合物」(b)のうち
で無機銅化合物(単に銅化合物とも言う。)としては、
無機系の銅化合物の何れであってもよく、例えば、亜酸
化銅、チオシアン化銅(チオシアン酸第一銅、ロダン
銅)、塩基性硫酸銅、塩基性酢酸銅、塩基性炭酸銅、水
酸化第二銅などが挙げられ、好ましくは亜酸化銅、ロダ
ン銅が用いられる。このような銅化合物は、特に白色塗
料以外の着色塗料に好ましく用いられる。
あるいは銅と共に1種または2種以上組合わせて用いる
ことができる。このような銅および/または無機銅化合
物(b)は、本発明の防汚剤組成物中のオキシアルキレン
基含有オルガノポリシロキサン[I](塗膜形成性固形
分)100重量部に対して、通常、50〜5000重量
部、好ましくは200〜2000重量部の量で含まれて
いることが望ましい。また防汚剤組成物(塗料組成物)
100重量%中に、該銅および/または無機銅化合物
(b)は、合計で通常、1〜50重量%、好ましくは5〜
40重量%の量で含まれていることが望ましい。
含有量が上記の範囲にあると、得られる防汚塗膜は防汚
性に優れる傾向がある。上記有機防汚剤(c)として
は、金属ピリチオン塩系化合物、カーバメイト系の化合
物、トリフェニルボランのアミン錯体、テトラメチルチ
ウラムスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィ
ド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチ
アゾリン−3−オン、アルキルフェニルジクロロマレイ
ミド、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、
N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−
トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−
tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリア
ジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリ
ル等が挙げられる。
しては、より具体的には、下記式[II]で示される金属
−ピリチオン類[式中R1 〜R4は、それぞれ独立に水
素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基
を示し、Mは、Cu、Zn、Na、Mg、Ca、Ba、
Pb、Fe、Al等の金属を示し、nは価数を示す]:
チオン、ジンクピリチオンが好ましい。カーバメート系
の化合物としては、例えば、ビスジメチルジチオカルバ
モイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、ジンク
ジメチルジチオカーバメート、マンガン-2-エチレンビ
スジチオカーバメート等が挙げられ、ビスジメチルジチ
オカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト
が好ましく用いられる。
ては、具体的には、例えば、トリフェニルボランピリジ
ン錯体、トリフェニルボランアルキルアミン錯体(アル
キル基の炭素数:通常3〜30)、が挙げられ、なかで
も、トリフェニルボランピリジン錯体、上記トリフェニ
ルボランアルキルアミン錯体が好ましい。これらの有機
防汚剤(c)のうちでは、金属ピリチオン塩系化合物、ビ
スジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチ
オカーバメイト、トリフェニルボランのアミン錯体、テ
トラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ア
ルキルフェニルジクロロマレイミド(アルキル基の炭素
数:通常1〜5)、クロロメチル−n−オクチルジスル
フィッド、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、
2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチ
ルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロ
ピルSトリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソ
フタロニトリルが好ましい。
種以上組み合わせて用いられる。このような有機防汚剤
(c)を含む防汚剤組成物においては、銅および/または
無機銅化合物(b)と共に、あるいは銅および/または無
機銅化合物(b)に代えて、上記有機防汚剤(c)が通常、
1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%の量で含ま
れていることが望ましい。またこの有機防汚剤(c)は、
本発明の防汚剤組成物中のオキシアルキレン基含有オル
ガノポリシロキサン[I](塗膜形成性固形分)100重
量部に対して、通常、10〜2000重量部、好ましく
は100〜1000重量部の量で含まれていることが望
ましい。このような量で、銅および/または無機銅化合
物(b)と共に上記有機防汚剤(c)が防汚剤組成物中に含
まれていると、得られる防汚塗膜は、広範な船舶付着生
物に対していっそう優れた防汚性能を長期継続的に発揮
できる傾向がある。<その他の成分> 本発明に係る防汚剤組成物中に、上述
したオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサン
[I]および前記防汚剤の他に、展色剤を本発明の目的を
損なわない範囲で配合することができる。この展色剤と
しては、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、変性ビニ
ル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、ポリエステ
ル樹脂などが挙げられ、好ましくはアクリル樹脂が用い
られる。これらの展色剤用の樹脂は、防汚剤組成物(水
中防汚剤組成物)の塗膜に強度を与えるとともに防汚剤
の溶出を抑制する効果がある。したがって、これらの樹
脂は、防汚剤組成物の塗膜に長期に亘って防汚性を発揮
させる場合などに有効である。
状ないし固形であって、何れも撥水性を有するポリオレ
フィン類、パラフィン類およびロジンから選ばれる少な
くとも1種の成分を、本発明の目的を損なわない範囲で
配合することができる。上記液状ないし固形の撥水性を
有するポリオレフィン類としては、具体的には、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどが挙げられ
る。中でも、数平均分子量が200〜1000のポリブ
テンが好ましい。このようなポリブテンは、たとえば日
本石油株式会社よりLV−5、LV−10、LV−2
5、LV−50、LV−100等の商品名で市販されて
いる。このようなポリオレフィン類は、1種または2種
以上組み合わせて用いることができる。
は、具体的には、流動パラフィン、パラフィンワック
ス、塩化パラフィンなどが挙げられる。これらのパラフ
ィン類は、1種または2種以上組み合わせて用いること
ができる。上記のようなポリオレフィン類、パラフィン
類およびロジンの少なくとも1種の成分を、本発明に係
る防汚剤組成物中に配合すると、防汚剤とオキシアルキ
レン基含有オルガノポリシロキサン[I]のみからなる防
汚剤組成物からなる塗膜が発揮する優れた防汚性能を維
持でき、しかも防汚剤組成物のコストダウンを図ること
ができる。
要に応じて、一般の防汚塗料に配合される体質顔料、着
色顔料、タレ止め剤、溶剤等を配合してもよい。防汚剤組成物の調製 本発明に係る防汚剤組成物は、常法に従って調製するこ
とができる。例えば、本発明に係る防汚剤組成物は、オ
キシアルキレン基含有オルガノポリシロキサン[I]、必
要に応じて防汚剤、有機溶剤、アクリル樹脂、ビニル樹
脂、変性ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹
脂、ポリエステル樹脂、液状ないし固形の撥水性を有す
るポリオレフィン類(例:ポリブテン、ポリイソブチレ
ン)、塩素化されていても良いパラフィン類、ワック
ス、ロジン、体質顔料、着色顔料、タレ止め剤などを、
ボールミル等を用いて混合分散することにより得ること
ができる。
ボ等の蔓脚類、イガイ等の貝類および腔腸動物の1種で
あるヒドロ虫類等に対して優れた防汚性を発揮する塗膜
を形成することができるため、釣り糸等の漁具、漁網に
対する防汚処理に適している。
に係る防汚剤組成物中に漁具、漁網などを浸漬したり、
漁具、漁網に防汚剤組成物を塗布することにより行なわ
れる。このような防汚処理を行うと、防汚剤組成物を漁
具、漁網内部に含浸させることができるとともに漁具、
漁網表面に付着させることができる。船体および水中構造物 本発明に係る防汚剤組成物は、フジツボ等の蔓脚類、イ
ガイ等の貝類、および腔腸動物例えばヒドロ虫類等に対
して優れた防汚性を発揮する塗膜を形成することができ
るため、船体および水中構造物に対する防汚処理への利
用も期待できる。
または水中構造物表面に、本発明に係る防汚剤組成物を
塗布することにより行なわれる。
ンオキシ基とプロピレンオキシ基とが特定の割合で存在
するオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサンが
配合されており、この防汚剤組成物は、前記特公平6−
104793号公報に記載の発明等とは異なりエチレン
オキシ基に基づく親水性親油性バランス(HLBEO)が
3未満の1〜2.5と低い値であるにも拘わらず、この
本発明に係る防汚剤組成物を用いれば、藻類、フジツ
ボ、貝類(例:イガイ等)および腔腸動物(例:ヒドロ
虫類)などの水中生物に対して優れた防汚性を示す塗膜
を基材例えば、漁具、漁網、船体、水中構造物などの表
面に形成することができる。上記のような効果を有す
る、本発明に係る防汚剤組成物は、漁具、漁網の防汚処
理に好適であり、船体、水中構造物などの防汚処理への
利用も期待できる。
ば、海水または真水と接触する基材の表面、例えば、漁
具、漁網、水中構造物などの表面に、上記防汚剤組成物
を含浸、塗布させて、環境汚染を引き起こすことなく効
率的かつ経済的に被膜を形成させることができ、藻類、
フジツボ、イガイに代表される貝類、および、ヒドロ虫
類に代表される腔腸動物などの水中生物の付着を有効に
防止することができる。
説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限され
るものではない。以下の実施例、比較例で用いたオキシ
アルキレン基含有オルガノポリシロキサンS1〜S4
は、式[I]においてR5、R1、R2、R3、m、nの値及
び数平均分子量がそれぞれ下記表1に示すようなもので
ある。またそれらのHLBEO、HLBPOは、それぞれ下
記のものである。なお、HLBEO、HLBPOなどは、プ
ロトンNMRにより、Si、オキシエチレン(EO)、
オキシプロピレン(PO)の定量により求めた。
す防汚剤組成物を調製した。
れポリエチレン製無結節網(7節400デニール/50
本)に浸漬塗布して風乾(乾燥塗着量は、網重量100
重量部に対して12〜14重量部)した後に平成10年
6月1日から12月1日までの6ヶ月間高知県宿毛湾の
海面下1mに浸漬保持し、該網への海中生物の付着状況
を調査した。
剤組成物を含浸塗布していない網についても海中生物の
付着状況を調査した(参考例1)。なお表2中の注記号
はそれぞれ以下の通り。 *1、2:楠本化成製、沈殿防止剤 *3:アクリル樹脂(メチルメタクリレート・ブチルア
クリレート共重合体、Tg:−10度、固形分50%) A:生物の付着なし B:生物の付着ややあり C:生物の付着かなりあり D:生物の付着著しい。
成物は、海中の生物に対し、非常に優れた防汚性を示し
た。
Claims (16)
- 【請求項1】下記式[I]: 【化1】 [式[I]中、R5はアルキル基またはフェニル基を示し、
R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル基、フ
ェニル基またはX:「(CH2)pO(C2H4O) q(C3
H6O)rR4(R4は、水素原子またはそれぞれ炭素数が
1〜15のアルキル基、アリール基、アラルキル基また
はアシル基を示し、pは0〜5の数を示し、qおよびr
はそれぞれ独立に1〜50の数を示す。)」を示し、m
は1〜1000の数を示し、nは0〜50の数を示す。
但し、nが0のとき、R1および/またはR2は上記Xで
ある。]で表されるオキシアルキレン基含有オルガノポ
リシロキサンを含有し、該オルガノポリシロキサンは、
上記オルガノポリシロキサンのエチレンオキシ基(C2
H4O)に基づく下記式(A)で表される親水性親油性
バランスHLBEOが1〜2.5であり、かつプロピレン
オキシ基(C3H6O)に基づく下記式(B)で表される
親水性親油性バランスHLBPOが1〜10であることを
特徴とする防汚剤組成物; (A): HLBEO =[(オルガノポリシロキサン中のエチレン
オキシ基(C2H4O)の合計量(重量%)/5] (B): HLBPO =[(オルガノポリシロキサン中のプロピレ
ンオキシ基(C3H6O)の合計量(重量%)/5]。 - 【請求項2】エチレンオキシ基およびプロピレンオキシ
基に基づく下記式(C)で表される、オルガノポリシロ
キサンの親水性親油性バランスHLBEO+POが2〜12
である請求項1に記載の防汚剤組成物; (C): HLBEO+PO =[(オルガノポリシロキサン中のエチレ
ンオキシ基とプロピレンオキシ基との合計量(重量
%))/5]。 - 【請求項3】上記式[I]で表されるオキシアルキレン基
含有オルガノポリシロキサンを含有し、 該オルガノポリシロキサンは、エチレンオキシ基(C2
H4O)に基づく上記式(A)で表される親水性親油性
バランスHLBEOが1〜2.5であり、かつエチレンオ
キシ基(C2H4O)とプロピレンオキシ基(C3H6O)
に基づく上記式(C)で表される、オルガノポリシロキ
サンの親水性親油性バランスHLB EO+POが2〜12で
ある防汚剤組成物。 - 【請求項4】上記オキシアルキレン基含有オルガノポリ
シロキサン[I]を、組成物中に1〜50重量%の量で含
有する請求項1〜3の何れかに記載の防汚剤組成物。 - 【請求項5】さらに、(b)銅および/または無機銅化
合物を含有する請求項1〜4に記載の防汚塗料組成物。 - 【請求項6】上記銅および/または無機銅化合物(b)
が、亜酸化銅またはロダン銅である請求項5に記載の防
汚剤組成物。 - 【請求項7】上記銅および/または無機銅化合物(b)
を、組成物中に1〜50重量%の量で含有する請求項5
〜6の何れかに記載の防汚剤組成物。 - 【請求項8】さらに、(c)有機防汚剤を含有する請求
項1〜7の何れかに記載の防汚剤組成物。 - 【請求項9】上記有機防汚剤(c)が、金属ピリチオン
塩系化合物、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエ
チレンビスジチオカーバメイト、トリフェニルボランの
アミン錯体、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,
5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン
−3−オン、アルキルフェニルジクロロマレイミド、ク
ロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N−ジ
メチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロ
フェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−
ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、2,
4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルからなる
群から選択される1種または2種以上である請求項8に
記載の防汚剤組成物。 - 【請求項10】上記金属ピリチオン塩系化合物が、銅ピ
リチオンおよび/またはジンクピリチオンである請求項
9に記載の防汚剤組成物。 - 【請求項11】上記トリフェニルボランのアミン錯体
が、トリフェニルボランピリジン錯体および/またはト
リフェニルボランアルキルアミン錯体である請求項9〜
10の何れかに記載の防汚剤組成物。 - 【請求項12】上記有機防汚剤(c)を、組成物中に1
〜20重量%の量で含有する請求項8〜11の何れかに
記載の防汚剤組成物。 - 【請求項13】請求項1〜12の何れかに記載の防汚剤
組成物から形成されたことを特徴とする防汚被膜。 - 【請求項14】海水または真水と接触する基材の表面
が、請求項1〜12の何れかに記載の防汚剤組成物から
なる被膜にて被覆されていることを特徴とする防汚処理
基材。 - 【請求項15】上記基材が、漁網、漁具、船舶または水
中構造物である請求項14に記載の防汚処理基材。 - 【請求項16】海水または真水と接触する基材の表面
に、請求項1〜12の何れかに記載の防汚剤組成物を塗
布あるいは含浸させ、防汚塗膜を形成させることを特徴
とする、基材の防汚方法。
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