JP2001017324A - 断熱蓋とそれを用いた電気湯沸かしポット - Google Patents

断熱蓋とそれを用いた電気湯沸かしポット

Info

Publication number
JP2001017324A
JP2001017324A JP19801899A JP19801899A JP2001017324A JP 2001017324 A JP2001017324 A JP 2001017324A JP 19801899 A JP19801899 A JP 19801899A JP 19801899 A JP19801899 A JP 19801899A JP 2001017324 A JP2001017324 A JP 2001017324A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
lid
heat insulating
thermoplastic polyester
expanded particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19801899A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshio Hirobe
義男 広部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Plastics Co Ltd filed Critical Sekisui Plastics Co Ltd
Priority to JP19801899A priority Critical patent/JP2001017324A/ja
Publication of JP2001017324A publication Critical patent/JP2001017324A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thermally Insulated Containers For Foods (AREA)
  • Cookers (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間に亘って繰り返し使用しても断熱性が
著しく低下せず、高い断熱性を維持することができる断
熱蓋と、それを用いた電気湯沸かしポットとを提供す
る。 【解決手段】 断熱蓋1は、上蓋体11と下蓋体12と
の間に、熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を
型内発泡成形して形成された、120℃で24時間加熱
した際の熱収縮が、100mmあたり1mm以下である
発泡成形体からなる断熱材13を装着した。また電気湯
沸かしポットは、液体を収容する内容器などを有するポ
ット本体に、上記の断熱蓋1を組み込んだ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば電気湯沸
かしポット、電気炊飯ジャー、クーラーボックスその他
の、内容物を外部と断熱した状態で収容する器具に組み
込まれる断熱蓋と、それを用いた電気湯沸かしポットと
に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】上記断熱
蓋としては、たとえば硬質樹脂などで形成された上蓋体
と下蓋体との間に、断熱性にすぐれた断熱材を装着した
ものが一般的である。また断熱材としては、たとえば特
開平11−28157号公報に記載されているように発
泡ポリウレタンなどが広く用いられる。
【0003】ところが、とくに電気湯沸かしポットは、
お湯などの液体をいつでも沸騰した状態で、あるいはそ
れに近い高温の状態で供給できることを目的とするもの
ゆえ、断熱蓋は、電気湯沸かしポットを使用している間
中、長時間に亘って高温の水蒸気にさらされることにな
る。このため、前記発泡ポリウレタンなどの従来の断熱
材では耐熱性が不十分であり、長期間に亘って繰り返し
使用するうちに大きく熱収縮して、前記上蓋体、下蓋体
との間に隙間を生じ、それによって断熱蓋の断熱性が著
しく低下するおそれがある。
【0004】そして、このように断熱蓋の断熱性が著し
く低下した状態では、内容物の温度を維持すべくヒータ
が頻繁に作動するために、電気湯沸かしポットの電力消
費量が増加するといった問題を生じる。本発明の目的
は、長期間に亘って繰り返し使用しても断熱性が著しく
低下せず、高い断熱性を維持することができる断熱蓋
と、それを用いた電気湯沸かしポットとを提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者らは、断熱蓋に装着する断熱材について種
々、検討を行った。その結果、たとえばテレフタル酸と
エチレングリコールとを重縮合反応させるなどして合成
されるポリエチレンテレフタレート(PET)に代表さ
れる、熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型
内発泡成形して形成された発泡成形体が、耐熱性にすぐ
れ、高温にさらされても大きく熱収縮しないために、長
期間に亘って高い断熱性を維持できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、上蓋体と下蓋体との間
に断熱材が装着された断熱蓋であって、上記断熱材が、
熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡
成形して形成された、120℃で24時間加熱した際の
熱収縮が、100mmあたり1mm以下である発泡成形
体からなることを特徴とするものである。また本発明の
電気湯沸かしポットは、液体を収容する上端広口で有底
筒状の内容器と、当該内容器の外側に配置された液体加
熱用のヒータと、内容器中の液体を外部へ吐出する吐出
機構と、上記各部を囲む外装体とを備えたポット本体
の、外装体の上端部に、上記本発明の断熱蓋を、内容器
の上端開口を覆うように開閉自在に取り付けるととも
に、当該断熱蓋の、上記内容器の開口に対向する下蓋体
の下面に、耐食性の覆板を装着したことを特徴とするも
のである。
【0007】かかる本発明の電気湯沸かしポットは、前
記のように断熱蓋が、長期間に亘って高い断熱性を維持
するために、電力消費量の増加などを生じない良好なも
のとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】〈断熱蓋とそれを用いた電気湯沸
かしポット〉以下に本発明を、電気湯沸かしポットの一
例を示す図1ないし図3を参照しつつ説明する。図の例
の電気湯沸かしポットは、液体を収容する上端広口で有
底筒状の内容器21と、当該内容器21の下面外側(下
側)に配置された液体加熱用のヒータ22と、内容器2
1中の液体を外部へ吐出する吐出機構23と、上記各部
を囲んでポットの外形を形成する外装体24とを備えた
ポット本体2の、上記外装体24の上端部に、ヒンジ1
1aを介して、断熱蓋1を、図中実線の矢印で示すよう
に開閉自在に取り付けたものである。
【0009】また断熱蓋1は、当該断熱蓋1や内容器2
1を洗浄する際の便などを考慮して、ポット本体2に対
して、上記ヒンジ11aの部分で着脱自在にとしておく
のが好ましい。断熱蓋1は、主に図1にみるように、そ
の一端部に上記ヒンジ11aを有し、断熱蓋1の上面を
形成する上蓋体11と、この上蓋体11の下面に組み合
わされる下蓋体12と、上記両蓋体11、12を組み立
てた際に、当該両蓋体11、12間に形成される収容部
(図2中の符号1a)内に収容される断熱材13と、上
記下蓋体12の下面に、断熱板15を介して装着される
耐食性の覆板14と、この覆板14の下面に装着される
シール用パッキン16とを備えている。
【0010】このうち上蓋体11は、その全体が、耐熱
性の硬質樹脂などで一体に形成されたもので、ヒンジ1
1aの近傍に水蒸気抜きのための孔11bを有し、かつ
ヒンジ11aと反対側の端部近傍に、断熱蓋1を開閉操
作するための把手用の凹部11cを備えた略円盤状に形
成されているとともに、その上面が、図2に2点鎖線
で、また図3に実線で示すように断熱蓋1を閉じた状態
において、前記外装体24のうち肩部材24bと連続す
る曲面状に形成されて、前記のように断熱蓋1の上面を
形成している。
【0011】なお凹部11c内には、図2に実線で示す
ように断熱蓋1を開く際に、同図に示したロック爪17
aの、ポット本体2への係合を解除するための操作レバ
ー(図示せず)が配置される。上記上蓋体11の下面に
組み合わされる下蓋体12は、これもその全体が耐熱性
の硬質樹脂などで一体に形成されたもので、その上面
に、補強のためのリブ12a…を配置した略円盤状に形
成されている。
【0012】またこの下蓋体12のうち、前記孔11b
に対応する位置には、ポットが転倒しても内容器21内
の液体を通さず、正常な使用状態において内容器21内
から発生する水蒸気のみを透過して、上記孔11bから
外部へ放出するための転倒流水弁12bが設けられてい
る。なお図中符号12cは、前述したロック爪17a
を、スプリングの弾力性などによって、図2に示すよう
に下蓋体12内から外方へ突出させるための通孔であ
る。
【0013】断熱材13は、その全体が、前述したよう
に熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内発
泡成形して形成された、120℃で24時間加熱した際
の熱収縮が、100mmあたり1mm以下である発泡成
形体からなるもので、上記転倒流水弁12bに対応する
一角と、それと円の中心を挟んで反対側に位置する、ロ
ック爪17aに関する機構が収容される一角とが略扇形
に切り欠かれた、厚みのある円盤状に形成されている。
また断熱材13の下面には、下蓋体12の上面のリブ1
2a…と嵌合する多数の凹溝13a…が形成されてい
る。
【0014】断熱材13としての発泡成形体の熱収縮が
前記の範囲に限定されるのは、熱収縮がこの範囲を超え
るものは、使用するうちに大きく熱収縮して、上蓋体1
1、下蓋体12との間に大きな隙間を生じて、断熱材1
3としての機能が低下するからである。なお発泡成形体
の熱収縮は、上記の範囲内でも、小さければ小さいほど
好ましく、全く熱収縮しない、すなわち120℃で24
時間加熱した際の熱収縮が、100mmあたり0mmで
あるのがさらに好ましい。
【0015】発泡成形体の熱収縮は、当該発泡成形体の
結晶化度に依存するので、熱収縮を上記の範囲に調整す
るには、その結晶化度を調整してやればよい。具体的に
は、発泡成形体の結晶化度をおよそ20〜40%程度に
調整することによって、120℃で24時間加熱した際
の熱収縮が、100mmあたり1mm以下の範囲に調整
される。
【0016】なお熱可塑性ポリエステル系樹脂製の発泡
成形体は、結晶化度が上記の範囲より小さい特定の領域
では熱収縮が負、つまり加熱されると逆に膨張する性質
を有しており、本発明では、かかる負の熱収縮性(=熱
膨張性)を有する発泡成形体を、上蓋体11と下蓋体1
2との間に装着したのち加熱して、結晶化度を上記の範
囲内に調整したものを断熱材13として使用することも
できる。
【0017】すなわち上蓋体11と下蓋体12とを組み
立てた際に、当該両蓋体11、12間に形成される収容
部1aを、外部から完全に閉塞されるように形成すると
ともに、上記のように熱膨張性を有する発泡成形体に
て、上記収容部1aの内部形状に対応した外形を有する
断熱材13を形成して収容部1a内に収容し、両蓋体1
1、12を組み立てて、当該収容部1aを外部から完全
に閉塞したのち加熱すると、断熱材13が熱膨張して、
当該断熱材13を収容部1aにスムースに収容するため
に設けたクリアランスを埋めて、収容部1a内に隙間な
く充てんされる。
【0018】このため断熱性の低下の原因となる、両蓋
体11、12と断熱材13との間の隙間の発生を遅らせ
て、より一層、断熱性にすぐれた断熱蓋1を形成するこ
とが可能となる。本発明において、とくに後述するよう
な結晶化の速度を抑制した熱可塑性ポリエステル系樹脂
を使用した場合には、上記の効果が顕著であり、より長
期間に亘って良好な断熱性を維持することが可能であ
る。
【0019】なお断熱材13を加熱して熱膨張させて、
収容部1a内に隙間なく充てんする工程は、前記のよう
に電気湯沸かしポットなどの製品の出荷前に、工場内な
どで行うのが望ましいが、場合によっては加熱による熱
膨張の処理を行わないで出荷し、その後の電気湯沸かし
ポットの使用時などに、断熱蓋1が高温にさらされるこ
とによって断熱材13を加熱して熱膨張させるようにす
ることも可能である。
【0020】覆板14は、その全体がアルミニウムなど
の耐食性の板材で形成されたもので、その中央に、内容
器21内から発生する水蒸気を通す孔14aが形成され
ている。断熱板15は、上記孔14aを通過した高温の
水蒸気が下蓋体12の下面に直接に吹きつけるのを防止
しつつ、前記転倒流水弁12bに対応する位置に設けた
孔15aに導いて、当該孔15aを通して、転倒流水弁
12bに供給するためのものである。
【0021】シール用パッキン16は、図2に2点鎖線
で示すように断熱蓋1を閉じた際に、内容器21の上端
開口の縁部に圧接されて、水蒸気が、ポット本体2と断
熱蓋1との合わせ面から外部に漏れるのを防止するため
のもので、その全体が、耐熱性、弾力性にすぐれたシリ
コーンゴムなどでリング状に形成されている。上記断熱
蓋1とともに電気湯沸かしポットを構成するポット本体
2のうち内容器21は、従来同様に厚手のアルミ材など
で形成される。またヒータ22として、通常の抵抗加熱
方式でなく電磁誘導加熱方式のものが採用される場合、
上記内容器21を形成する材料としては、鉄などの磁性
体が使用される。内容器21の内面には、いわゆるテフ
ロン加工などを施しておくのが好ましい。
【0022】吐出機構23は、内容器21の下面に設け
た給水口21aに接続された液体吐出用の電動ポンプ2
3aと、外装体24のうち肩部材24bを胴部24aか
ら一方に突出させて形成した嘴部24dの下面に設けた
液体の吐出口23bと、通常の使用状態では液体を通過
させて、配管23dを通して吐出口23bから吐出させ
るが、ポットが転倒した際には液体の流出を防止する転
倒流水機構23cと、上記電動ポンプ23aから転倒流
水機構23cに至る図示しない配管とで構成されてい
る。
【0023】なお図において符号23eは、電動ポンプ
23aから転倒流水機構23c至る配管の一部を構成
し、サイフォンの原理によって内容器21中の液量を表
示する液面計である。なお液面計としては、液面を検知
するセンサと、検知した液面を表示するLEDなどの表
示素子とを組み合わせたものを使用してもよい。上記各
部を囲む外装体24は、筒状の胴部24aと、前述した
肩部24bと、当該肩部に回動自在に設けた把手24c
とで構成されている。これらの各部はそれぞれ、硬質樹
脂などで形成される。
【0024】上記のうち肩部24bの、下面に液体の吐
出口23bを設けた嘴部24dの内部上方には、ヒータ
22、電動ポンプ23aなどを制御するための制御回路
25が内蔵されており、嘴部24dの上面には、上記制
御回路25の操作パネル25aが配置されている。上記
制御回路25や、ヒータ22、電動ポンプ23aなどへ
は、胴部24aの下方背面に形成した給電部26に電源
コード(図示せず)を接続することで、駆動のための電
力が供給される。
【0025】上記各部を備えたこの例の電気湯沸かしポ
ットは、前記のように断熱蓋1内に装着された断熱材1
3が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型
内発泡成形して形成された発泡成形体からなる耐熱性に
すぐれたものであり、内容器21内の高温の液体から発
生する高温の水蒸気などにさらされても大きく熱収縮し
たりしないために、長期間に亘って高い断熱性を維持す
ることができる。したがって電気湯沸かしポットは、長
期間に亘って使用しても、電力消費量の増加などを生じ
ない良好なものとなる。
【0026】なお本発明の構成は、以上で説明した図の
例のものには限定されない。たとえば図の例の電気湯沸
かしポットは、電動ポンプ23aの駆動によって液体を
吐出させる電動式であったが、手で空気ポンプを押して
液体を吐出させる手動式であってもよい。また本発明の
断熱蓋の用途は、上記電気湯沸かしポットには限られ
ず、たとえば電気炊飯ジャーやクーラーボックスなどに
も使用することができる。
【0027】その他、本発明の要旨を変更しない範囲
で、種々の設計変更を施すことができる。 〈熱可塑性ポリエステル系樹脂〉本発明において断熱材
13として使用される発泡成形体を形成する熱可塑性ポ
リエステル系樹脂としては、前記PETに代表される、
従来公知の種々の熱可塑性ポリエステル系樹脂が、いず
れも使用可能である。
【0028】ただし、上記PETなどの従来の熱可塑性
ポリエステル系樹脂は一般にガスバリヤー性が高く、発
泡剤を含浸するのに多大な時間を要するために、樹脂に
発泡剤を含浸させ〔含浸工程〕、ついで加熱して予備発
泡させるとともに、粒子化して予備発泡粒子を得たのち
〔一次発泡工程〕、この予備発泡粒子を型内に充てん
し、加熱膨張させて発泡成形〔型内発泡工程〕する従来
の発泡成形方法によって発泡成形体、すなわちこの場合
は断熱材13を製造したのでは時間、コストおよび手間
がかかるおそれがある。
【0029】さらに上記従来の熱可塑性ポリエステル系
樹脂は加熱によって結晶化が進みやすい、すなわち結晶
化の速度が速いために、上記含浸時や予備発泡時の加熱
によって予備発泡粒子の結晶化度が過度に高くなって、
型内発泡成形時に発泡粒同士の発泡融着性の低下をまね
くという問題もある。このため、とくに汎用の発泡成形
機を使用して、たとえばスチームのゲージ圧が0.5M
Pa以下といった通常の成形条件で発泡成形したので
は、耐熱性にすぐれた発泡成形体が得られるものの、発
泡粒同士が高い融着率でもって良好に融着、一体化し
た、強度にすぐれた発泡成形体を製造することはできな
い。
【0030】したがってPETなどの従来の熱可塑性ポ
リエステル系樹脂を用いて、高い融着率を有する発泡成
形体を製造するには、たとえば多量のスチームを型内に
均一に供給できるなどの特殊な機能を付与した特殊な発
泡成形機を用いて、ゲージ圧が0.5MPaを超えるよ
うな特殊な成形条件で成形を行う必要を生じる。しかし
ながらこのような特殊な成形条件ゆえに、製造される発
泡成形体は、たとえば40%を超えるような、過度に結
晶化度の高いものとなってしまい、耐熱性にはすぐれる
ものの脆くなって、必要とする強度が得られない。
【0031】また結晶化度が40%を超えた発泡成形体
は、前記のように120℃で24時間加熱した際の熱収
縮が、100mmあたり1mm以下の範囲を維持するこ
とができず、断熱蓋1の断熱性が悪化するおそれもあ
る。それゆえ本発明においては、上記熱可塑性ポリエス
テル系樹脂として、とくにその結晶化の速度が抑制され
たものを使用するのが好ましい。
【0032】すなわち結晶化の速度が抑制された熱可塑
性ポリエステル系樹脂は、従来のPETなどと比べて、
たとえ加熱によって高温にさらされても、予備発泡粒子
の結晶化度が過度に高くなることが抑制され、型内発泡
成形時の発泡融着性が著しく低くなることが防止され
る。したがって型内発泡成形時の発泡融着性にすぐれ、
かつ機械的強度にもすぐれるとともに熱収縮が小さい発
泡成形体を、特殊な発泡成形機を使用することなく、汎
用の発泡成形機を使用した通常の成形条件によって、容
易に製造することが可能となる。
【0033】熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化の速
度は、示差走査熱量計(DSC)を使用して、日本工業
規格JIS K7121所載の測定方法に準じて測定し
た樹脂の結晶化のピーク温度(昇温時に結晶化が起こる
ピークの温度)によって評価することができる。すなわ
ち結晶化のピーク温度が高いほど樹脂は、結晶化を促進
させるのに多量の熱を必要とする、つまり結晶化の速度
が遅いと言える。
【0034】具体的には、測定試料としての所定量の熱
可塑性ポリエステル系樹脂をDSCの測定容器に充てん
して、10℃/分の昇温速度で昇温しながら、上記結晶
化ピーク温度が測定される。このようにして測定された
熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピーク温度の範囲
がおよそ130℃以上であれば、前記のように結晶化の
速度が抑制された、好適な熱可塑性ポリエステル系樹脂
であるといえる。
【0035】なお結晶化ピーク温度は、上記の範囲内で
もとくに180℃以下であるのが好ましい。結晶化ピー
ク温度が180℃を超えた場合には、樹脂のガラス転移
点が高くなるために型内発泡成形の条件幅が狭くなって
却って成形が容易でなくなる上、型内発泡成形時に、成
形体の表面に収縮が発生しやすくなって外観の良好な発
泡成形体が得られないという問題を生じるおそれもあ
る。また、製造された発泡成形体が脆くなってしまうと
いう問題も生じうる。
【0036】なお上記各特性のバランスを考慮して、良
好な予備発泡粒子、ならびに良好な発泡成形体を製造す
ることを考慮すると、熱可塑性ポリエステル系樹脂のピ
ーク温度は、上記の範囲内でもとくに132〜175℃
程度であるのが好ましく、135〜170℃程度である
のがさらに好ましい。かかる特性を満足する熱可塑性ポ
リエステル系樹脂としては、これに限定されないがたと
えば、その全成分中に、イソフタル酸、およびシクロヘ
キサンジメタノールからなる群より選ばれた少なくとも
1種の成分を、総量で0.5〜10重量%の範囲で含有
するものがあげられる。
【0037】すなわち、ジカルボン酸として、式(1):
【0038】
【化1】
【0039】で表されるイソフタル酸を使用するか、あ
るいはジオールとしてシクロヘキサンジメタノールを使
用するか、またはこの両者を併用するとともに、いずれ
か一方を単独で使用する場合はその単独での含有割合
を、また両者を併用する場合はその合計の含有割合を、
それぞれ全成分中の、0.5〜10重量%の範囲内とし
た上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、イソフタル酸
および/またはシクロヘキサンジメタノールの持つ、樹
脂の結晶化を抑制する作用によって、結晶化ピーク温度
が130〜180℃の範囲内となるため、前記のような
種々の問題を生じない良好な発泡成形体を製造すること
が可能となる。
【0040】なおイソフタル酸および/またはシクロヘ
キサンジメタノールの含有割合は、上記各特性のバラン
スを考慮して、良好な予備発泡粒子、ならびに良好な発
泡成形体を製造することを考慮すると、上記の範囲内で
もとくに0.6〜9.5重量%程度であるのが好まし
く、0.7〜9重量%程度であるのがさらに好ましい。
上記のうちシクロヘキサンジメタノールとしては、基本
的に、2つのメタノール部分がそれぞれシクロヘキサン
環の1位と4位に置換した、式(2):
【0041】
【化2】
【0042】で表される1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールが使用されるが、2つのメタノール部分がシクロ
ヘキサン環の他の位置に置換した異性体も、少量であれ
ば併用可能である。上記イソフタル酸、およびシクロヘ
キサンジメタノールとともに熱可塑性ポリエステル系樹
脂を構成する他の成分のうちジカルボン酸としては、た
とえばテレフタル酸やフタル酸などがあげられる。
【0043】またジオール成分としては、たとえばエチ
レングリコール、α−ブチレングリコール(1,2−ブ
タンジオール)、β−ブチレングリコール(1,3−ブ
タンジオール)、テトラメチレングリコール(1,4−
ブタンジオール)、2,3−ブチレングリコール(2,
3−ブタンジオール)、ネオペンチルグリコールなどが
あげられる。
【0044】また熱可塑性ポリエステル系樹脂の原料に
は、上記の各成分に加えて、たとえば酸成分として、ト
リメリット酸などのトリカルボン酸、ピロメリット酸な
どのテトラカルボン酸などの、三価以上の多価カルボン
酸やその無水物、あるいはアルコール成分として、グリ
セリンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどの
テトラオールなどの、三価以上の多価アルコールなど
を、前述した、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶性や
結晶化の速度などに影響を及ぼさない範囲で少量、含有
させてもよい。
【0045】上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、上
記の各成分を所定の割合、つまり前記のようにイソフタ
ル酸および/またはシクロヘキサンジメタノールを、総
量で0.5〜10重量%の範囲で含有した原料を、従来
同様に重縮合反応させることによって製造される。また
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂は、イソフタル酸およ
び/またはシクロヘキサンジメタノールの含有割合の異
なる2種以上の熱可塑性ポリエステル系樹脂を、その全
成分中に占めるイソフタル酸および/またはシクロヘキ
サンジメタノールの含有割合が、総量で0.5〜10重
量%の範囲内となるように配合し、たとえば押出機など
を用いて、加熱下で溶融、混合することによっても製造
できる。
【0046】この方法によれば、予備発泡粒子の製造段
階で、イソフタル酸および/またはシクロヘキサンジメ
タノールの含有割合の異なる2種以上の熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂の配合割合を変更するだけで、製造された
予備発泡粒子における上記両成分の含有割合を調整でき
る。このため、樹脂の合成段階で両成分の含有割合を調
整する場合に比べて調整作業を簡略化でき、仕様の変更
などに柔軟に対応できるようになるという利点がある。
【0047】また、たとえば配合する熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の1種として、使用済みのペットボトルなど
から回収、再生した材料などを使用することにより、資
源の有効な再利用化とゴミの減量化、ならびに予備発泡
粒子の低コスト化を図ることが可能となるという利点も
ある。なお上記の方法においては、2種以上の熱可塑性
ポリエステル系樹脂間でのエステル交換反応により各樹
脂がアロイ化して均一な熱可塑性ポリエステル系樹脂と
なるように、加熱下で十分に溶融、混合してやるのが好
ましい。
【0048】なお予備発泡粒子を、後述するように押出
機などを用いて、高圧溶融下、発泡剤と混合したのち予
備発泡させ、ついで切断して製造する場合には、上記の
ように2種以上の樹脂の溶融、混合による均一な熱可塑
性ポリエステル系樹脂の作製を、発泡剤の混合に先だっ
て上記の押出機中で行い、ついで連続して、上記の製造
方法を実施するのが、効率的であり好ましい。
【0049】ただし、あらかじめ別の装置を用いて2種
以上の樹脂を溶融、混合して作製しておいた均一な熱可
塑性ポリエステル系樹脂を押出機に投入して、上記の製
造方法により予備発泡粒子を製造しても構わない。なお
本発明で使用する熱可塑性ポリエステル系樹脂は、予備
発泡粒子を製造する際の溶融、混合性や、製造された予
備発泡粒子を用いて、型内発泡成形によって発泡成形体
を製造する際の成形性などを考慮すると、その固有粘度
(測定温度:35℃、溶媒:オルソクロロフェノール)
が0.6〜1.5程度であるのが好ましい。 〈予備発泡粒子〉予備発泡粒子は、従来同様に、上記の
熱可塑性ポリエステル系樹脂に発泡剤を含浸させたの
ち、加熱して予備発泡させるとともに粒子化して製造し
てもよい。
【0050】ただし、熱可塑性ポリエステル系樹脂に発
泡剤を含浸させる工程を省略して時間、コストおよび手
間を省くとともに、製造される予備発泡粒子の結晶化度
をさらに低くして、型内発泡成形時の発泡融着性の低下
をさらに抑制するためには、前述したように、上記熱可
塑性ポリエステル系樹脂を高圧溶融下、発泡剤と混合
し、予備発泡させて予備発泡体を得たのち、これを切断
して予備発泡粒子を製造するのが好ましい。
【0051】熱可塑性ポリエステル系樹脂を高圧溶融
下、発泡剤と混合して予備発泡させる方法としては、押
出機を用いた押出発泡法が効率的であり、好適に採用さ
れる。使用できる押出機はとくに限定されず、通常この
種の押出発泡成形に使用される単軸押出機、二軸押出機
などであり、さらにはこれらを連結したタンデム型であ
っても良いが、十分な溶融、混合能力を有する押出機が
好ましい。
【0052】押出機の口金としてはいろいろなものを使
用することができる。たとえば、円環状の口金、フラッ
ト口金、ノズル口金、さらには複数のノズルが配置され
たマルチノズル口金などがあげられる。これらの口金を
使用して、シート状、板状、ロッド状などの、種々の形
状の予備発泡体を作ることができる。予備発泡体を、上
述した所定の形状とするためには、いろいろな方法が採
用される。
【0053】たとえばシート状の予備発泡体を得るに
は、円環状の口金から押し出された円筒状の予備発泡体
を、マンドレル上を進行させてシート状としたり、フラ
ット口金より押し出された厚みのある板状の予備発泡体
を、チルロールによりシート状としたりすればよい。ま
た厚みのある板状の予備発泡体を得るためには、一対の
金属板に密接させながら発泡を進行させて、所定の厚み
とする方法などが採用される。
【0054】予備発泡体の冷却方法としては、空冷や水
冷のほか、温度調整された冷却装置に接触させるなど、
いろいろな方法を用いることができる。予備発泡体の冷
却はできる限り速やかに行い、結晶化が過度に進行する
のを抑制することが重要である。このようにして製造し
た各種形状の予備発泡体を適宜、切断して円柱状、角
状、チップ状などとすることで予備発泡粒子が完成す
る。
【0055】上記予備発泡体の冷却と切断は、適宜のタ
イミングで行うことができる。たとえば、口金より押し
出された予備発泡体を、発泡中ないし発泡完了後の任意
の時点で水中に通すなどして冷却した後、ペレタイザ−
などを用いて所定の形状、大きさに切断してもよい。ま
た口金から押し出された、発泡完了直前もしくは発泡完
了直後でかつ冷却前の予備発泡体をすぐさま切断したの
ち、冷却してもよい。
【0056】さらに、シ−ト状に押し出された予備発泡
体は、一旦巻き取り機などによってロール状に巻き取っ
て保管した後、粉砕機や切断機にて切断してもよい。か
くして製造される予備発泡粒子の大きさは、平均粒径で
表しておよそ0.5〜5mm程度が好ましい。また予備
発泡粒子の結晶化度は、前記のように汎用の発泡成形機
を使用して、通常の成形条件で発泡成形した際に、粒子
同士の融着性にすぐれた、機械的強度の高い発泡成形体
を得ることを考慮するとおよそ8%以下程度であるのが
好ましい。
【0057】また、予備発泡粒子をつくる際に、まだ余
熱をもっている予備発泡粒子同士が合着しやすくなるの
を防止するためには、上記結晶化度は、およそ1%以上
であるのが好ましい。なお予備発泡粒子の結晶化度は、
上記の範囲内でもとくに1〜7%程度であるのが好まし
く、1〜6%程度であるのがさらに好ましい。
【0058】結晶化度(%)は、先に述べた結晶化ピー
ク温度の測定と同様に、示差走査熱量計(DSC)を使
用して、日本工業規格JIS K7121所載の測定方
法に準じて測定した冷結晶化熱量と融解熱量とから、次
式によって求められる。
【0059】
【数1】
【0060】なお式中の、完全結晶PETのモルあたり
の融解熱量は、高分子データハンドブック〔培風館発
行〕の記載から26.9kJとする。具体的には、測定
試料としての所定量の予備発泡粒子をDSCの測定容器
に充てんして、10℃/分の昇温速度で昇温しながら冷
結晶化熱量と融解熱量とを測定し、その測定結果から、
上記式に基づいて予備発泡粒子の結晶化度が求められ
る。
【0061】予備発泡粒子の嵩密度は、当該予備発泡粒
子を型内発泡成形して製造される発泡成形体の密度など
に応じて適宜、調整できるが、通常は、発泡成形体とほ
ぼ等しい嵩密度であるのが好ましい。予備発泡粒子に
は、いろいろな添加剤を添加してもよい。添加剤として
は、発泡剤の他に、たとえば気泡調整剤、難燃剤、帯電
防止剤、着色剤などがあげられる。また、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂の溶融特性を改良するために、グリシジ
ルフタレートのようなエポキシ化合物、ピロメリット酸
二無水物のような酸無水物、炭酸ナトリウムのようなI
a、IIa族の金属化合物などを改質剤として単体、もし
くは二種以上混合して添加することができる。とくにこ
れらの改質剤は、予備発泡粒子の発泡性を改善するだけ
でなく、得られた発泡粒子の独立気泡率を向上するた
め、予備発泡粒子の膨張力を大きくできるので有効であ
る。
【0062】本発明で使用できる発泡剤としては、大別
すると、熱可塑性ポリエステル系樹脂の軟化点以上の温
度で分解してガスを発生する固体化合物、加熱すると熱
可塑性ポリエステル系樹脂内で気化する液体、加圧下で
熱可塑性ポリエステル系樹脂に溶解させ得る不活性な気
体などに分類されるが、このいずれを用いてもよい。こ
のうち固体化合物としては、たとえばアゾジカルボンア
ミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾ
ルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどがあげられ
る。また気化する液体としては、たとえばプロパン、n
−ブタン、イソブタン、n−ぺンタン、イソペンタン、
へキサンのような飽和脂肪族炭化水素、べンゼン、キシ
レン、トルエンのような芳香族炭化水素、塩化メチル、
フレオン(登録商標)のようなハロゲン化炭化水素、ジ
メチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテルの
ようなエーテル化合物などがあげられる。さらに不活性
な気体としては、たとえば二酸化炭素、窒素などがあげ
られる。
【0063】なお予備発泡粒子を、前述したように押出
機を用いて高圧溶融下、発泡剤と混合し、押し出して予
備発泡させたのち、切断して熱可塑性ポリエステル系樹
脂予備発泡粒子を製造する場合には、押出機の口金から
押し出された瞬間に気化して溶融樹脂を発泡させるとと
もに、当該溶融樹脂の熱を奪う発泡剤、たとえば飽和脂
肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素などを使用するのが
好ましい。これらの発泡剤は、溶融した熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂を冷却する作用をし、予備発泡粒子の結晶
化度を低く抑える効果があるため好ましい。
【0064】また予備発泡粒子には、熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の結晶性や結晶化の速度に大きな影響を及ぼ
さない範囲で、たとえばポリプロピレン系樹脂などのポ
リオレフィン系樹脂、ポリエステル系などの熱可塑性エ
ラストマー、ポリカーボネート、アイオノマーなどを添
加してもよい。予備発泡粒子を用いて、断熱材13とし
ての発泡成形体を製造する方法としては、閉鎖しうるが
密閉し得ない金型に予備発泡粒子を充てんし、さらに加
熱媒体としてスチームを導入して型内発泡成形する方法
が好ましい。
【0065】このときの加熱媒体としては、スチーム以
外にも熱風やオイルなどを使用することができるが、効
率的に成形を行う上ではスチームが最も有効である。成
形した発泡成形体は、冷却したのち金型から取り出せば
よい。スチームで型内発泡成形する場合には、前述した
ように汎用の発泡成形機を使用して、通常の成形条件で
発泡成形すればよい。すなわち予備発泡粒子を金型へ充
てんした後、まず低圧〔たとえばゲージ圧0.04MP
a程度〕で一定時間、スチームを金型内ヘ吹き込んで、
粒子間のエアーを外部ヘ排出する。ついで、吹き込むス
チームの圧を昇圧〔たとえば0.08MPa程度〕し
て、予備発泡粒子を型内発泡させるとともに粒子同士を
融着せしめて発泡成形体とすることができる。
【0066】また予備発泡粒子を、あらかじめ密閉容器
に入れて、炭酸ガス、窒素、ヘリウム等の不活性ガスを
圧入した後、金型での型内発泡成形に使用する直前ま
で、圧入したガスの雰囲気下に保持することで、予備発
泡粒子の、金型での型内発泡成形時の膨張力をより大き
くして、良好な発泡成形体を得ることもできる。かくし
て得られた発泡成形体における、粒子同士の融着性の基
準となる融着率は40%以上、とくに50%以上、なか
んずく60%以上であるのが好ましく、融着率がこの範
囲で、格別に優れた融着性を示すといえる。
【0067】またその結晶化度は、20〜40%である
のが好ましい。発泡成形体の結晶化度を上記範囲内の所
定の値に調整するには、種々の方法を採用することがで
きる。たとえば、発泡成形後の発泡成形体の結晶化度が
目的とする値よりも低い場合には、発泡成形体を金型か
らすぐに取り出さずにしばらくの間、金型内で保持して
熱処理することなどによって結晶化度を上昇させてやれ
ばよい。
【0068】また、発泡成形直後の発泡成形体の結晶化
度が目的とする値と近い場合には、金型を急冷するなど
して結晶化度の上昇を抑制してやればよい。発泡体の結
晶化度は、先に述べた予備発泡粒子の結晶化度と同じ
く、日本工業規格JIS K7121所載の測定方法に
準じて測定した冷結晶化熱量と融解熱量とから求められ
る。
【0069】上記断熱材13としての発泡成形体は、電
気湯沸かしポットなどに使用したのち分解、回収して、
予備発泡粒子などとして再利用することが可能である。
使用済みの発泡成形体をこのように再利用することによ
り、資源の有効な再利用化とゴミの減量化に貢献できる
とともに、発泡成形体の低コスト化を図ることもでき
る。
【0070】
【実施例】以下、実施例、比較例をあげて、この発明の
すぐれている点を具体的に説明する。なお、使用した熱
可塑性ポリエステル系樹脂における結晶化ピーク温度、
ならびに予備発泡粒子とそれを用いて製造した発泡成形
体の結晶化度は、いずれも前述したように日本工業規格
JIS K7121所載の測定方法に準じて測定した結
果より求めた。
【0071】また、イソフタル酸および/またはシクロ
ヘキサンジメタノールの含有割合、および密度は、それ
ぞれ下記の方法で測定した。 イソフタル酸の含有割合の測定 試料約100mgを耐圧テフロン容器中に秤量後、和光
純薬工業社製の吸光分析用ジメチルスルホキシド10m
lと、5N水酸化ナトリウム−メタノール溶液6mlと
を加えたのち、上記耐圧テフロン容器をSUS製の耐圧
加熱容器に入れて確実に密閉後、100℃で15時間加
熱した。
【0072】つぎに、加熱後の耐圧加熱容器を室温冷却
し、完全に冷却した状態で、耐圧テフロン容器を取り出
し、内容物を200mlビーカーに移して150ml程
度まで蒸留水を加えた。つぎに、内容物が完全に溶解し
たことを確認後、塩酸にてpH6.5〜7.5に中和
し、中和後200mlまでメスアップしたものをさらに
蒸留水で10倍に希釈して試料溶液とした。
【0073】つぎにこの試料溶液と、イソフタル酸標準
溶液とを用いて、高速液体クロマトグラフ(HPLC)
装置にて下記の条件で測定を行った。イソフタル酸標準
溶液としては、東京化成工業社製のイソフタル酸試薬を
蒸留水で溶解したものを使用した。 装置:Waters HPLC LC−module1 カラム:GL社製 Inertsil ODS−2 5
μm(4.6×250) カラム温度:常温 ポンプ温度:常温 移動相:0.1%リン酸/アセトニトリル=80/20 流速:0.5ml/min 分析時間:50分 注入量:50μl 検出波長:210nm つぎに、標準溶液から得たイソフタル酸のピーク面積を
X軸に、濃度をY軸にとって検量線を作成し、得られた
検量線を使用して、試料溶液中のイソフタル酸の濃度
(μg/ml)を算出した。
【0074】そして上記濃度から、次式を使用して熱可
塑性ポリエステル系樹脂中のイソフタル酸(IPA)の
含有割合(重量%)を計算した。
【0075】
【数2】
【0076】シクロヘキサンジメタノールの含有割合の
測定 試料約100mgを耐圧テフロン容器中に秤量後、和光
純薬工業社製の吸光分析用ジメチルスルホキシド10m
lと、5N水酸化ナトリウム−メタノール溶液6mlと
を加えたのち、上記耐圧テフロン容器をSUS製の耐圧
加熱容器に入れて確実に密閉後、100℃で15時間加
熱した。
【0077】つぎに、加熱後の耐圧加熱容器を室温冷却
し、完全に冷却した状態で、耐圧テフロン容器を取り出
し、内容物を100mlビーカーに移して70ml程度
まで特級試薬メタノールを加えた。つぎに、内容物が完
全に溶解したことを確認後、塩酸にてpH6.5〜7.
5に中和し、中和後100mlまでメスアップしたもの
を特級試薬アセトンで10倍に希釈して試料溶液とし
た。
【0078】つぎにこの試料溶液と、シクロヘキサンジ
メタノール標準溶液とを、それぞれ別個に10ml遠沈
管中に採取し、遠心分離しながら溶媒を蒸発乾固させた
のち、東京化成工業社製のTMS化剤0.2mlを加え
て60℃で1時間、加熱した。そして加熱後の液を、ガ
スクロマトグラフ(GC)装置を用いて、下記の条件で
測定した。
【0079】 装置:Perkin Elmer GC AutoSy
stem カラム:DB−5(0.25mmφ×30m×0.25
μm) オーブン温度:100℃(2分間)〜R1〜200℃〜
R2〜320℃(5分間) 昇温速度:R1=10℃/分、R2=40℃/分 分析時間:20分間 注入温度:300℃ 検出器:FID(300℃) ガス圧力:18psi つぎに、標準溶液から得たシクロヘキサンジメタノール
のTMS化物のピーク面積をX軸に、濃度をY軸にとっ
て検量線を作成し、得られた検量線を使用して、試料溶
液中のシクロヘキサンジメタノールの濃度(μg/m
l)を算出した。
【0080】そして上記濃度から、次式を使用して熱可
塑性ポリエステル系樹脂中のシクロヘキサンジメタノー
ル(CHDM)の含有割合(重量%)を計算した。
【0081】
【数3】
【0082】密度の測定 日本工業規格JIS K6767に所載の方法に準拠し
て、次式により、予備発泡粒子の嵩密度(g/c
3)、および発泡成形体としての断熱材13の密度
(g/cm3)を求めた。
【0083】
【数4】
【0084】また、以下の実施例、比較例で製造した断
熱材13について、下記の試験を行って、その特性を評
価した。 融着率の測定 各実施例、比較例の断熱材13を折り曲げて厚み方向に
破断させたのち、破断面に存在する全ての発泡粒子の個
数と、そのうち粒子自体が材料破壊した発泡粒子の個数
とを計数した。そして次式により、粒子同士の融着性の
基準となる融着率(%)を求めた。
【0085】
【数5】
【0086】熱収縮の測定 日本工業規格JIS K6767に所載の方法に準拠し
て、各実施例、比較例の断熱材13の、120℃×24
時間の加熱による100mmあたりの熱収縮が何mmと
なるかを測定した。 実施例1 エチレングリコールと、イソフタル酸およびテレフタル
酸とを重縮合反応させて合成された熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂〔イソフタル酸の含有割合:1.7重量%、
1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有割合:0重
量%、結晶化ピーク温度:135.0℃、IV値:0.
80〕100重量部と、ピロメリット酸二無水物0.3
重量部と、炭酸ソーダ0.03重量部とを押出機〔口
径:65mm、L/D比:35〕に供給し、スクリュー
の回転数50rpm、バレル温度270〜290℃の条
件で溶融、混合ながら、バレルの途中に接続した圧入管
から、発泡剤としてのブタン(n−ブタン/イソブタン
=7/3)を、混合物に対して1.1重量%の割合で圧
入した。
【0087】つぎに、溶融状態の混合物を、バレルの先
端に接続したマルチノズル金型〔直線上に、直径0.8
mmのノズルが15個、配置されたもの〕の、各ノズル
を通して押し出して予備発泡させたのち、直ちに20℃
に保持した冷却水槽で冷却した。そして、冷却されたス
トランド状の発泡体に付着した水を十分に除去しながら
ペレットカッターによって切断して予備発泡粒子を製造
した。嵩密度は0.14g/cm3であった。
【0088】つぎにこの予備発泡粒子を耐圧密閉容器に
入れ、圧縮空気を導入して容器内を0.5MPa(ゲー
ジ圧)に加圧して、常温で5時間保持したのち、発泡粒
子を密閉容器から取り出して発泡槽内に入れ、空気を混
合したスチームを導入して、発泡槽内の温度を65〜7
5℃に保って120秒間、再発泡させた。ここで得られ
た予備発泡粒子は直径2.5mm、長さ2.5mmの略
円柱状であり、嵩密度は0.055g/cm3、結晶化
度は7.4%であった。
【0089】つぎに、この予備発泡粒子を図1に示した
形状を有する直径約115mm×厚み約20mmの断熱
材13を成形するための金型内に充てんして型締めし、
この型内に、ゲージ圧0.04MPaのスチームを10
秒間、ついでゲージ圧0.08MPaのスチームを12
秒間、導入して予備発泡粒子を加熱膨張させると同時に
融着させた。
【0090】スチーム導入終了直後の、発泡成形体に接
する金型の表面温度を測定したところ115℃であっ
た。そしてこの状態で80秒間、保持(金型の表面温度
は108℃まで低下)したのち水冷して、発泡成形体と
しての、前記寸法、形状を有する断熱材13を製造し
た。得られた断熱材13の密度は0.055g/ml、
結晶化度は表皮部で27.6%、中心部で29.0%で
あり、また融着率は70%で良好な融着性を示した。
【0091】また、120℃×24時間の加熱による熱
収縮は、100mmあたり0.7mmであり、耐熱性に
すぐれることが確認された。 実施例2 金型を、実施例1で使用したものと同形状で、かつ断熱
蓋1の収容部1aとの間にクリアランスを設けるべく当
該収容部1a、およびそれと同寸法である実施例1の断
熱材13よりも直径や厚みが1mmずつ小さい断熱材1
3を成形しうるものに変更するとともに、スチームの導
入が終了した後の金型を直ちに水冷して、結晶化度の上
昇を抑制したこと以外は実施例1と同様にして、上記の
ように実施例1と同形状で、かつ実施例1よりも直径や
厚みが1mmずつ小さい断熱材13を製造した。
【0092】得られた断熱材13の密度は0.055g
/ml、結晶化度は表皮部で8.2%、中心部で12.
1%であり、また融着率は70%で良好な融着性を示し
た。つぎに上記の断熱材13を、断熱蓋1を形成する上
蓋体11と下蓋体12との間に形成された、前記のよう
に実施例1の断熱材13と同寸法の、外部と閉塞される
収容部1a内に収容し、両蓋体11、12を組み立てて
当該収容部1aを外部から完全に閉塞した状態で、図2
に示すように他の部材と組み合わせて電気湯沸かしポッ
トを製造した。
【0093】そして電気湯沸かしポットの内容器21内
に水を充てんし、ヒータ22を動作させて水を最初に沸
騰させてから24時間に亘って、制御回路25の働きに
よってヒータ22を断続的に動作させて保温したのち、
動作を停止して断熱蓋1を分解したところ、断熱材13
が熱膨張して、収容部1a内に隙間なく充てんされてい
るのが確認された。
【0094】そこでこの断熱材13を収容部1aから取
り出して熱収縮率を測定したところ、120℃×24時
間の加熱による熱収縮は、100mmあたり0.6mm
であり、耐熱性にすぐれることが確認された。 比較例1 発泡倍率20倍の発泡ポリウレタンにて、実施例1と同
形状、同寸法の断熱材を形成して熱収縮率を測定したと
ころ、120℃×24時間の加熱による熱収縮は、10
0mmあたり2mmであり、耐熱性が不十分であること
が確認された。
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
長期間に亘って繰り返し使用しても断熱性が著しく低下
せず、高い断熱性を維持することができる断熱蓋と、そ
れを用いた電気湯沸かしポットとを提供できるという特
有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の断熱蓋の、実施の形態の一例を示す分
解斜視図である。
【図2】上記断熱蓋が組みこまれる、電気湯沸かしポッ
トの一例を示す部分切り欠き側面図である。
【図3】上記電気湯沸かしポットの正面図である。
【符号の説明】
1 断熱蓋 11 上蓋体 12 下蓋体 13 断熱材 14 覆板 1a 収容部 2 ポット本体 21 内容器 22 ヒータ 23 吐出機構 24 外装体
フロントページの続き Fターム(参考) 4B002 AA18 BA07 CA31 CA43 4B055 AA34 BA13 BA23 CA21 FA09 FB46 FC11 FC12 FD02 4F074 AA66 AB00 BA03 BA13 BA16 BA20 BA32 BA33 BA35 BA36 BA37 BA38 BA39 BA45 BA53 BA75 CA22 CA24 CA38 CA49 CB52 CC03X CC04X CC07X CC22X CC24X CC32Y CC44 CC46 CC62 DA22 DA24 DA32 DA47

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上蓋体と下蓋体との間に断熱材が装着され
    た断熱蓋であって、上記断熱材が、熱可塑性ポリエステ
    ル系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形して形成され
    た、120℃で24時間加熱した際の熱収縮が、100
    mmあたり1mm以下である発泡成形体からなることを
    特徴とする断熱蓋。
  2. 【請求項2】発泡成形体の結晶化度が20〜40%、融
    着率が40%以上である請求項1記載の断熱蓋。
  3. 【請求項3】予備発泡粒子を形成する熱可塑性ポリエス
    テル系樹脂が、その全成分中に、イソフタル酸、および
    シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれた少
    なくとも1種の成分を、総量で0.5〜10重量%の範
    囲で含有するものである請求項1または2記載の断熱
    蓋。
  4. 【請求項4】断熱材が、上蓋体と下蓋体とを組み立てる
    ことで当該両蓋体間に形成された、外部と閉塞された収
    容部内に、隙間なく充てんされている請求項1ないし3
    のいずれかに記載の断熱蓋。
  5. 【請求項5】液体を収容する上端広口で有底筒状の内容
    器と、当該内容器の外側に配置された液体加熱用のヒー
    タと、内容器中の液体を外部へ吐出する吐出機構と、上
    記各部を囲む外装体とを備えたポット本体の、外装体の
    上端部に、請求項1ないし4のいずれかに記載の断熱蓋
    を、内容器の上端開口を覆うように開閉自在に取り付け
    るとともに、当該断熱蓋の、上記内容器の開口に対向す
    る下蓋体の下面に、耐食性の覆板を装着したことを特徴
    とする電気湯沸かしポット。
JP19801899A 1999-07-12 1999-07-12 断熱蓋とそれを用いた電気湯沸かしポット Pending JP2001017324A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19801899A JP2001017324A (ja) 1999-07-12 1999-07-12 断熱蓋とそれを用いた電気湯沸かしポット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19801899A JP2001017324A (ja) 1999-07-12 1999-07-12 断熱蓋とそれを用いた電気湯沸かしポット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001017324A true JP2001017324A (ja) 2001-01-23

Family

ID=16384159

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19801899A Pending JP2001017324A (ja) 1999-07-12 1999-07-12 断熱蓋とそれを用いた電気湯沸かしポット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001017324A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5000991A (en) Process for producing polyester resin foam and polyester resin foam sheet
US6527993B1 (en) Method for producing foamed-in-mold product of aromatic polyester based resin
EP1160274B1 (en) Pre-expanded particles of crystalline aromatic polyester-based resin, and in-mold expanded product and expanded laminate using the same
JP2001031151A (ja) 断熱コンテナ
JP2001027387A (ja) 配管保温材
JP2001017324A (ja) 断熱蓋とそれを用いた電気湯沸かしポット
JP2001010693A (ja) 基板輸送容器
JP3705748B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子の製造方法
JP3594877B2 (ja) 芳香族ポリエステル系樹脂積層体の製造方法
JP3722727B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂の型内発泡成形体、その製造方法及びその用途
JP2001269960A (ja) 芳香族ポリエステル系樹脂による型内発泡成形体の製造方法
JP3527662B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子とその製造方法ならびにそれを用いた発泡成形体
JP3532789B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子
JP3704047B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子及びその製造方法
JP2001026217A (ja) サンバイザー
JP3631940B2 (ja) 芳香族ポリエステル系樹脂予備発泡粒子とそれを用いた発泡成形体
JP2001329101A (ja) 芳香族ポリエステル系樹脂予備発泡粒子の製造方法
JP3488400B2 (ja) 床暖房用断熱材とそれを用いた床暖房装置
JP3453539B2 (ja) 芳香族ポリエステル系樹脂発泡成形体とその成形に用いる芳香族ポリエステル系樹脂予備発泡体
KR0118103B1 (ko) 식품용기
JP2001081793A (ja) 壁面構築材および壁面構造物
JP3640596B2 (ja) 型内発泡成形用芳香族ポリエステル系樹脂予備発泡粒子
JP3721017B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体とその製造方法
JPH0583573B2 (ja)
JP2001019788A (ja) 緩衝体