JP2001015120A - 高分子固体電解質型燃料電池用触媒及び高分子固体電解質型燃料電池 - Google Patents
高分子固体電解質型燃料電池用触媒及び高分子固体電解質型燃料電池Info
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Abstract
触媒被毒性が優れた高分子固体電解質型燃料電池用触媒
及び高分子固体電解質型燃料電池を提供すること。 【解決手段】 本発明は、炭素粉末担体上に白金と2種
以上の金属とが担持された高分子固体電解質型燃料電池
用触媒において、白金とルテニウムとモリブデンとが
1:1〜4:0.2〜0.5(モル比)の比率で担持さ
れていることを特徴とする。特に、この比率は白金とル
テニウムとモリブデンとが1:1.5〜2.5:0.2
5〜0.4とするのが好ましい。また、両貴金属粒子を
更に近接させて合金化した状態で担持させたとき、触媒
の耐一酸化炭素触媒被毒性は更に向上することとなる。
Description
燃料電池用触媒、特に、耐一酸化炭素触媒被毒性が向上
された高分子固体電解質型燃料電池用触媒に関するもの
である。
大いに期待されるものであり、その中で高分子固体電解
質を電解質として用いる高分子固体電解質型燃料電池
は、他の型の燃料電池と比較して低い温度で電力を取り
出せ、かつコンパクトであることから、電気自動車用電
源として有望視されている。
び空気極の2つの電極層と、これら電極に挟持される高
分子固体電解質層とからなる積層構造として形成され、
水素極に水素を空気極には酸素又は空気を供給し、それ
ぞれの電極で生じる酸化、還元反応により電力を取り出
すようにしている。そして、高分子固体電解質型燃料電
池の両電極としては、電気化学的反応を促進させるため
の貴金属触媒、特に、白金を担持させた白金触媒と、水
素極で発生する水素イオンを空気極まで伝達させるため
の固体電解質、との混合体が一般に適用されている。
水素極へ燃料として供給される水素としては、その取り
扱い性や、経済性等の観点から、メタノール等の液体燃
料を改質して得られる水素の適用が検討されている。し
かしながら、この改質によって得られる水素中には微量
ながら不純物として一酸化炭素が含まれており、これが
触媒を失活させるという問題がある。これは、一酸化炭
素が水素に比して白金に対する吸着能が高いことから、
優先的に白金に吸着し水素の吸着・反応を阻害すること
によるものである。そして、このような燃料中の一酸化
炭素による触媒被毒は、今後の燃料電池の普及に影響を
及ぼすものである。
しては、白金粒子が単独で担持されるものに替えて、更
にルテニウムを担持させた2元系触媒が有効であること
が知られている。これは、ルテニウムの親水性を利用し
て、このルテニウムと結合したOH−が近接する白金上
に吸着した一酸化炭素を酸化、除去させることにより達
成されるものと考えられている。そして、この白金とル
テニウムとが複合的に担持された触媒については、様々
の検討例があり、その有効性についても確認されてい
る。
固体電解質型燃料電池の今後の活用を考えると、より耐
一酸化炭素被毒性に優れた高分子固体電解質型燃料電池
用触媒の開発が望まれる。特に、高分子固体電解質型燃
料電池の自動車への適用を考えるならば、なるべくメン
テナンスフリーの電源としての高分子固体電解質型燃料
電池の必要性は大きい。
ことなく、より耐一酸化炭素触媒被毒性が優れた高分子
固体電解質型燃料電池用触媒及び高分子固体電解質型燃
料電池を提供することを目的とするものである。
の白金とルテニウムとが担持された高分子固体電解質型
燃料電池用触媒について検討を行い、その問題点を明ら
かにし、これを改良することで上記目的を達成するに至
った。
元系触媒において、ルテニウムの担持比率を変化させた
とき、触媒の耐一酸化炭素触媒被毒性はルテニウムの割
合を増加させるに従い向上するが、その効果には限界点
がある。このような現象は次のような理由による。即
ち、ルテニウムの担持比率を増加させることで、ルテニ
ウム粒子が担体上の白金粒子近傍で析出する確率が増加
するため、ルテニウム粒子が白金粒子に近接して担持さ
れ易くなり、上述したルテニウムの一酸化炭素除去効果
が有効に発揮される。しかし、この傾向は一定比率まで
で現れるものであり、それ以上にルテニウムを添加して
も担体上のほとんどの白金粒子近傍にルテニウム粒子が
既に担持されていることから、余剰のルテニウム粒子は
孤立した状態で担持され、このようなルテニウムは水素
の酸化反応にも一酸化炭素の除去にも何の影響も及ぼさ
ない。
ルテニウム2元系触媒の問題点を基に鋭意研究を行った
結果、白金/ルテニウム2元系触媒に更に別の金属粒子
を所定の比率で担持させることで、白金/ルテニウム2
元系触媒の有する限界点以上の耐一酸化炭素触媒被毒性
を示すことを見出したのである。即ち、本発明は、炭素
粉末担体上に白金と2種以上の金属とが担持された高分
子固体電解質型燃料電池用触媒について、白金とルテニ
ウムとモリブデンとが1:1〜4:0.2〜0.5(モ
ル比)の比率で担持することとしたものである。このモ
リブデンを更に担持させることにより、従来以上の耐一
酸化炭素触媒被毒性を示すメカニズムは必ずしも明確で
はないが、本発明者らによる幾度もの試行の結果、白金
とルテニウムとモリブデンとを1:1〜4:0.2〜
0.5の範囲にすることで、従来の2元系触媒にはない
著しい耐一酸化炭素触媒被毒性が発揮されることを見出
した。
ンとの担持比率については、白金:ルテニウム:モリブ
デン=1:1.5〜2.5:0.25〜0.4とするの
が特に好ましい。この範囲で特に触媒の耐一酸化炭素触
媒被毒性が高くなるからであり、更に、この範囲にして
ルテニウムの比率を極力低減させることで触媒のコスト
ダウンに繋がるからである。
料電池用触媒は、各金属が合金化した状態である方が耐
一酸化炭素触媒被毒性に優れる。この白金とルテニウム
とモリブデンとが合金化した触媒は、触媒に熱処理を施
すことで製造することができる。そして、この熱処理に
よる合金化は600℃〜900℃の範囲で行うのが好ま
しい。600℃以下では貴金属粒子の合金化が不完全で
ある一方、900℃以上では触媒粒子の凝集が進んで粒
径が過大となり、触媒の活性に影響を与えるからであ
る。
白金/ルテニウム2元系触媒に更に第3の金属としてモ
リブデンを所定比率で担持させることで、従来にない優
れた耐一酸化炭素触媒被毒性を示すものである。本発明
者らは、この触媒をより有効に機能させるため、これら
貴金属を担持させる担体についても検討を行った。その
結果、直径60オングストローム以下の細孔を全細孔に
対して20%以下の割合で有し、比表面積が600〜1
200m2/g の炭素粉末が担体として特に好ましいと
の結論に至った。その理由としては以下のようなものが
考えられている。
電池の水素極の電極は、電極反応を促進させる触媒と電
極反応により生じる水素イオンを伝達させる固体電解質
との混合体である。そして、触媒の担体となる炭素微粉
末は無数の細孔を有し貴金属粒子はこの細孔の内部にま
で担持されている。しかし、固体電解質粒子は貴金属粒
子に比べて粒径が過大であり、直径60オングストロー
ム以下の極微小細孔には侵入することができない。従っ
て、このような極微小細孔中にある貴金属粒子上で生じ
た水素イオンは固体電解質に伝達されない。即ち、高分
子固体電解質型燃料電池用触媒にあっては、担体中の極
微小細孔が全細孔に占める割合と触媒の利用効率とに密
接な関係がある。そこで、本発明では、担体の細孔分布
を細孔の全細孔に対する割合を20%以下と制限し、触
媒の利用効率を確保することとしたものである。
m2/gの範囲とするのは、比表面積を600m2/g以
上とし、触媒が付着する面積を増加させることができる
ので貴金属粒子を高い状態で分散することができる一
方、比表面積1200m2/g以上とあまりに大きくす
ると、触媒の利用効率を低下させる極微小細孔の割合が
増加するからである。即ち、比表面積を上記の範囲とす
ることで、貴金属粒子を高い状態で分散させ触媒単位質
量あたりの活性を向上させる一方、触媒の利用効率を確
保することができるのである。
質型燃料電池用触媒は、耐一酸化炭素触媒被毒性に優
れ、この高分子固体電解質型燃料電池用触媒を含んでな
る電極を水素極として備える高分子固体電解質型燃料電
池は、一酸化炭素による電極性能の悪化も少なく良好な
電池性能を維持することができる。
較例と共に示す。
持させた白金触媒を作製し、ルテニウムを担持させるこ
とで、まず白金/ルテニウム2元系触媒を製造し、更に
この2元系触媒をモリブデン化合物溶液に含浸させるこ
とでモリブデンを担持させることにより製造している。
その詳細は以下の通りであるが、このように白金、ルテ
ニウム及びモリブデンの担持工程を別々にするのは、白
金とルテニウムとをなるべく近接した状態で担持させる
ためである。
用した炭素微粉末(商品名:ケッチェンブラックEC)
の細孔分布を図1に示す。細孔分布の測定はガス吸着法
により行っている。この図で示されるように、本実施形
態で使用した本発明に係る触媒の担体となる炭素粉末
は、数十オングストロームオーダーの微小径細孔の全細
孔に対する比率が低い。また、この担体の比表面積をB
ET1点法にて測定したところ、800m2/gであっ
た。
有する白金溶液2233g(白金含有量:6.70g)
に前記炭素粉末を10g混合させ攪拌後、還元剤として
100%エタノール250ml添加した。この溶液を沸
点(約95℃)で6時間、攪拌、混合し、白金を炭素粉
末に担持させ、白金触媒を製造した。
ウムを含有するルテニウム溶液1553g(ルテニウム
含有量:4.66g)に、上記白金触媒15gを浸漬さ
せた。さらに100%エタノール170mlを添加し、
この混合溶液を沸点(約95℃)で6時間、攪拌させて
反応させた。反応終了後、ろ過、洗浄して60℃で乾燥
させて触媒を得た。
ブデンを含有するモリブデン溶液218g(モリブデン
含有量:0.87g)に、以上の操作により製造した白
金/ルテニウム2元系触媒17.4gを浸漬させた。そ
してこの混合溶液を1時間、攪拌し、ろ過、洗浄して6
0℃で乾燥させて触媒を得た。
の合金化熱処理は、50%水素ガス(窒素バランス)中
で、1時間、900℃に保持することにより行った。
ニウム/モリブデン触媒の各担持金属の比率は1:1.
5:0.33である。この比率は、混合溶液のルテニウ
ム含有量及びモリブデン含有量を変化させることにより
容易に制御することができる。
触媒の耐一酸化炭素触媒被毒性を確認するために、従来
の白金/ルテニウム2元系触媒を製造した。但し、その
製造方法については本実施形態とほぼ同様である。即
ち、白金とルテニウムとの担持工程を別々とし、予め上
記炭素粉末に白金を担持させた白金触媒を作製し、これ
をルテニウム化合物水溶液に浸漬し、さらに還元剤を添
加して、ルテニウムイオンを還元、担持させて白金/ル
テニウム2元系触媒を製造した。また、ルテニウムの担
持比率もルテニウム水溶液の量を変化させることで行っ
た。
率を0.33に固定し、ルテニウムの担持比率を変化さ
せて製造した、白金/ルテニウム/モリブデン触媒及び
白金/ルテニウム2元系触媒について、ハーフセルにお
ける水素極の分極値を測定し各触媒の耐一酸化炭素触媒
被毒性の評価を行った。測定は、100ppmの一酸化
炭素を混合した水素ガス中で行っている。その測定結果
を図2に示す。図2では、縦軸に電流密度500mA/
cm2における分極値を、横軸には白金を1としたとき
のルテニウムの担持比をとり、各比で作製した触媒の分
極値をプロットした。
触媒においては、ルテニウムを白金の1.5倍(白金:
ルテニウム=1:1.5)担持した段階で、分極値は約
40mVの飽和点に達していることがわかる。即ち、白
金/ルテニウム2元系触媒においては、ルテニウムの比
率を白金に対し1.5倍以上としても耐一酸化炭素触媒
被毒性の向上は見られない。
リブデン3元系触媒は、この2元系触媒でみられる分極
値の飽和点よりも低い分極値を示すことがわかる。即
ち、本発明に係る白金/ルテニウム/モリブデン3元系
触媒は白金/ルテニウム2元系触媒に比べて優れた耐一
酸化炭素触媒被毒性を示すことが確認された。
の比率についての検討結果を図3に示す。図3は、モリ
ブデンの比率を変化させた触媒でのハーフセルにおける
水素極の分極値を測定した結果である。測定は、上記と
同様、100ppmの一酸化炭素を混合した水素ガス中
で行った。図3では、縦軸に電流密度500mA/cm
2における分極値を、横軸には白金を1としたときのモ
リブデンの担持比率をとり、各比率で作製された電極触
媒の分極値をプロットした。また、この実験例では、ル
テニウム比率を1.5(白金を1とする)とした。これ
は、上述のように従来の白金/ルテニウム2元系触媒で
は、ルテニウムの比率を1.5としたときに分極値が最
小となるからである。
白金/ルテニウム2元系触媒にモリブデンを更に添加す
ることで、従来の白金/ルテニウム2元系触媒における
最小値(40mV)以下の分極値が得られることがわか
った。特に、モリブデンの比率を0.25〜0.4の範
囲にすることで分極値は極小となり、本発明の3元系触
媒は、この範囲において耐一酸化炭素触媒被毒性が著し
く優れていることが確認された。
来の白金/ルテニウム2元系触媒より耐一酸化炭素触媒
被毒性が著しく優れた高分子固体電解質型燃料電池用触
媒を得ることができる。また、本発明の触媒は、適当な
炭素微粉末を担体として用い、金属担持後に熱処理を施
すことで担持された金属を合金化させることができ、よ
り高い耐一酸化炭素触媒被毒性を有する触媒を製造する
ことができる。
示すグラフ。
=3:1に固定)で担持させた複合触媒の水素極ハーフ
セル電池性能の比較を示すグラフ。
ルテニウム/モリブデン触媒の水素極ハーフセル電池性
能の比較を示すグラフ。
Claims (5)
- 【請求項1】炭素粉末担体上に白金と2種以上の金属と
が担持された高分子固体電解質型燃料電池用触媒におい
て、白金とルテニウムとモリブデンとが1:1〜4:
0.2〜0.5(モル比)の比率で担持されていること
を特徴とする高分子固体電解質型燃料電池用触媒。 - 【請求項2】白金とルテニウムとモリブデンとが1:
1.5〜2.5:0.25〜0.4(モル比)の比率で
担持されている請求項1記載の高分子固体電解質型燃料
電池用触媒。 - 【請求項3】白金とルテニウムとモリブデンとが合金化
した状態で担持されている請求項1又は請求項2のいず
れかに記載の高分子固体電解質型燃料電池用触媒。 - 【請求項4】担体は、直径60オングストローム以下の
細孔を全細孔に対して20%以下の割合で有し、比表面
積が600〜1200m2/gの炭素粉末である請求項
1〜請求項3のいずれかに記載の高分子固体電解質型燃
料電池用触媒。 - 【請求項5】請求項1〜請求項4のいずれかに記載の高
分子固体電解質型燃料電池用触媒を含んでなる電極を水
素極として備える高分子固体電解質型燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11185018A JP2001015120A (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | 高分子固体電解質型燃料電池用触媒及び高分子固体電解質型燃料電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11185018A JP2001015120A (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | 高分子固体電解質型燃料電池用触媒及び高分子固体電解質型燃料電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001015120A true JP2001015120A (ja) | 2001-01-19 |
Family
ID=16163341
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11185018A Pending JP2001015120A (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | 高分子固体電解質型燃料電池用触媒及び高分子固体電解質型燃料電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001015120A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006057080A1 (ja) * | 2004-11-25 | 2006-06-01 | Ricoh Company, Ltd. | 電極触媒、その製造方法、直接アルコール型燃料電池 |
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-
1999
- 1999-06-30 JP JP11185018A patent/JP2001015120A/ja active Pending
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