JP2001011104A - 塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂の製造方法

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JP2001011104A
JP2001011104A JP11187665A JP18766599A JP2001011104A JP 2001011104 A JP2001011104 A JP 2001011104A JP 11187665 A JP11187665 A JP 11187665A JP 18766599 A JP18766599 A JP 18766599A JP 2001011104 A JP2001011104 A JP 2001011104A
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vinyl chloride
polymerization
acrylate
meth
waste liquid
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JP11187665A
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English (en)
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Yasuhiro Kawaguchi
泰広 川口
Seiji Tawaraya
誠治 俵屋
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Tokuyama Sekisui Co Ltd
Original Assignee
Tokuyama Sekisui Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 品質を低下させることなく、重合廃液の発生
を減少させるか殆ど皆無にすることが可能である塩化ビ
ニル系樹脂の製造方法を提供する。 【解決手段】 アルキル(メタ)アクリレートを主成分
とするアクリル系重合体に、塩化ビニルを懸濁重合によ
りグラフト共重合してグラフト共重合体を製造するに際
し、前期懸濁重合で使用される仕込み水が、アルキル
(メタ)アクリレートを主成分とするアクリル共重合体
に塩化ビニルをグラフトさせた後、反応系から重合物を
除去して得られる重合廃液であるので重合廃液を処理し
て排出する工場排水の発生を減少させるか殆ど皆無にす
ることができる塩ビ系樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系樹脂は、機械的強
度、耐候性、耐薬品性等に優れた特性を有する材料とし
て、幅広い用途に用いられている。しかし、耐衝撃性が
劣るため、その改良方法につき種々の提案がなされてい
る。例えば、特開昭60−255813号公報には、架
橋されたアクリル系共重合体に塩化ビニルをグラフト共
重合することにより、耐衝撃性及び耐候性の優れた塩化
ビニル系樹脂を製造する方法が開示されている。
【0003】しかしながら、このアクリル系共重合体に
塩化ビニルをグラフト共重合する重合方法では、、多量
の分散剤と消泡剤とが必要とされ、更にアクリル系共重
合体の存在下で重合を行うため、通常の塩化ビニル系樹
脂の重合方法に比べて、グラフト共重合後に重合物を分
離した重合廃液には、懸濁性の物質、溶解性の物質等が
多量に含まれ、pHが低く、水質の汚濁度を表すCOD
が高い。尚、CODとは主に有機物質等の汚濁性物質が
酸化剤によって水中で酸化される際に消費される酸素量
を表す化学的酸素要求量である。
【0004】一般にCOD値の高い廃液は、活性汚泥法
・生物膜法・嫌気濾床法等の生物の代謝反応を利用した
生物処理により浄化を行い、COD値を水質基準以下に
下げた後で工場排水として排水される。しかしながら、
本発明に関わるアクリル系重合体に塩化ビニルをグラフ
トさせる塩ビ系樹脂の製造の如きCOD値の高い重合廃
液を処理して工場排水として排水する場合には、通常の
塩化ビニル系樹脂の製造に比べて生物処理での対応が困
難であり、処理後の工場排水のCOD値を水質基準まで
下げるために、更に処理が必要となり、コストアップが
避けられない等の問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、乳化重合で
得られたアクリル系重合体ラテックスに塩化ビニルを懸
濁重合法でグラフト共重合させる方法において、塩化ビ
ニル系樹脂の品質を低下させることなく、重合廃液を処
理して排出する工場排水の発生を減少させるか殆ど皆無
にすることが可能である塩化ビニル系樹脂の製造方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とするアク
リル系共重合体に、塩化ビニルを懸濁重合によりグラフ
ト共重合してグラフト共重合体を製造するに際し、前記
懸濁重合で使用される仕込み水として、アルキル(メ
タ)アクリレートを主成分とするアクリル共重合体に塩
化ビニルをグラフト共重合させた後、反応系から重合物
を除去して得られた重合廃液を用いることを特徴とする
塩化ビニル系樹脂の製造方法。
【0007】請求項2の本発明は、仕込み水として、ア
ルキル(メタ)アクリレートを主成分とするアクリル系
共重合体に、塩化ビニルを懸濁重合によりグラフト共重
合させた後、重合廃液を、ナトリウム化合物、カリウム
化合物、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物、又
はカルシウム化合物から選ばれたpH調整剤で、pHを
4. 0〜9. 0に調整してなるものを用いることを特徴
とする請求項1記載の塩化ビニル系樹脂の製造方法。
【0008】請求項3の本発明は、仕込み水として、ア
ルキル(メタ)アクリレートを主成分とするアクリル系
共重合体に、塩化ビニルを懸濁重合によりグラフト共重
合させた後、重合廃液をカルシウム化合物からなるpH
調整剤でpHを4. 0〜9.0に調整しなるものを使用
することを特徴とする請求項2記載の塩化ビニル系樹脂
の製造方法。
【0009】請求項4記載の本発明は、仕込み水とし
て、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とするアク
リル系共重合体に、塩化ビニルを懸濁重合によりグラフ
ト共重合させた後、重合廃液を、上記請求項2に記載の
pH調整剤でpH調整する際、スラリー状態で一旦pH
調整し、その後、重合物を除去した後にpHが4. 0以
上になるように上記pH調整剤を投入して得たものであ
ることを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法。
【0010】本発明で使用されるアルキル(メタ)アク
リレートを主成分とするアクリル系共重合体は、上記ア
ルキル(メタ)アクリレートを主成分とし、必要に応じ
て、これと共重合可能なビニルモノマー、及び多官能性
モノマーを共重合しても良い。アルキル(メタ)アクリ
レートを主成分とするアクリル系共重合体としては、ア
ルキル(メタ)アクリレートと、多官能性モノマーとか
らなる共重合体等が好ましい。尚、例えば、アルキル(
メタ) アクリレートは、アルキルアクリレート又はアル
キルメタクリレートを意味する。
【0011】上記アルキル(メタ)アクリレートとして
は特に限定されず、例えば、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メ
タ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、
n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル
(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレー
ト、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミ
リスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)ア
クリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げ
られ、これらは単独で用いられても二種以上が併用され
てもよい。
【0012】上記アルキル(メタ)アクリレートと共重
合可能であるビニールモノマーとしては特に限定され
ず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−アクリロイルオキシエチルフタル酸等の極性基含有ビ
ニルモノマー、スチレン、α−メチルスチレン、ビニル
トルエン等の芳香族ビニルモノマー類、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリルモノマー
類、酢酸ビニルプロピオン酸ビニル等のビニルエステル
類等が挙げられ、これらは単独で用いられても、二種以
上が併用されてもよい。
【0013】上記ビニルモノマーの割合は、アルキル
(メタ)アクリレートとビニルモノマーの合計に対して
25重量%以下が好ましい。25重量%を越えると充分
な耐衝撃性が得られなくなる。
【0014】上記多官能性モノマーとしては特に限定さ
れず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイ
ド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ
ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の
多官能( メタ) アクリレート、ジアリルフタレート、ジ
アリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシ
ネート、トリアリルイソシアヌレート等のジまたはトリ
アリル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビ
ニル化合物等が挙げられ、これらは単独で用いられても
よく、二種以上が併用されてもよい。
【0015】上記多官能性モノマーは、上記アクリル系
共重合体を架橋し粒子同士の合着を防止するとともに、
得られる塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性を向上させるため
に添加されるものであり、その割合は、前記アルキル
(メタ)アクリレートとビニルモノマー100重量部に
対して、0.1〜10重量部が好ましい。0. 1重量部
未満であると、架橋密度が低くなるため成形体の衝撃強
度向上の効果が低く、10重量部を超えると、架橋密度
が高くなるため成形体の衝撃強度や引張強度が低下す
る。より好ましくは、0.2〜8重量部である。
【0016】上記アクリル系共重合体は、例えば、上記
アルキル(メタ)アクリレート、上記ビニルモノマー、
上記多官能性モノマーとを、乳化分散剤および重合開始
剤の存在下で乳化重合させることにより得られる。
【0017】上記乳化分散剤としては特に限定されず、
例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性
剤、部分ケン化ポリビニルアルコール、セルロース系分
散剤、ゼラチン等が挙げられ、特に、アニオン系界面活
性剤の市販品としては、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテルサルフェート(ハイテノールN- 08、第
一工業製薬社製) 等が挙げられる。
【0018】上記重合開始剤としては特に限定されず、
例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化
水素水等の水溶性重合開始剤、ベンゾイルパ- オキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物、ア
ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤等が挙
げられる。
【0019】上記乳化重合においては、必要に応じて、
pH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0020】上記乳化重合の方法としては特に限定され
ず、例えば、一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョ
ン滴下法等が挙げられる。上記一括重合法では、例え
ば、ジャケット付重合反応器内に純水、乳化分散剤、重
合開始剤、および上記アクリル系モノマーと上記多官能
性モノマーとからなる混合モノマーを一括して添加し、
窒素気流下において攪拌して充分乳化した後、反応器内
をジャケットで昇温して重合反応を開始させる。
【0021】上記モノマー滴下法では、例えば、ジャケ
ット付重合反応器内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を
入れ、窒素気流下で反応器内を昇温した後、上記アクリ
ル系モノマーと上記多官能性モノマーとからなる混合モ
ノマーを一定量ずつ滴下して重合反応を開始させる。
【0022】上記エマルジョン滴下法では、例えば、上
記アクリル系モノマーと上記多官能性モノマーとからな
る混合モノマー、乳化分散剤および純水を攪拌して乳化
モノマーを予め調整し、ついでジャケット付重合反応器
内に純水および重合開始剤を入れ、窒素気流下で反応器
内を昇温した後、上記乳化モノマーを一定量ずつ滴下し
て重合反応を開始させる。
【0023】本発明の塩化ビニル系樹脂の製造方法は、
上記アルキル(メタ)アクリレートを主成分とするアク
リル系共重合体に、上記塩化ビニルを分散剤および油溶
性重合開始剤の存在下に懸濁重合によりグラフト共重合
させて塩化ビニル系樹脂を得るものである。
【0024】本発明においては、上記塩化ビニル系樹脂
を構成する成分中、上記アクリル系共重合体の占める割
合は、1〜30重量%が好ましい。1重量部未満である
と、耐衝撃性を向上させる効果がなく、30重量部を超
えると、引張強度、曲げ強度等の機械的強度が低下す
る。より好ましくは4〜20重量%である。
【0025】上記分散剤は、上記樹脂の粒度制御を行う
ために添加されるものであり、例えば、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニル
アルコール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプ
ン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられ
る。これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用
されてもよい。
【0026】上記重合開始剤としては一般に塩化ビニル
の懸濁重合に使用される油溶性の開始剤が好適に用いら
れる。このような重合開始剤としては、例えば、ジ−2
−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキ
シエチルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオ
キシネオデカーネート、t−ブチルパーオキシネオデカ
ーネート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ブチ
ルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエ−
ト、アセチルシクロヘキシルスルホニルパ−オキサイ
ド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パ−オキシ
フェノキシアセテ−ト、ラウロイルパ−オキサイド、
2、2´−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられ、
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用され
てもよい。
【0027】本発明においては、乳化重合法により得ら
れた上記アクリル系共重合体を乳化状態そのままの状態
でグラフト共重合してもよいが、上記アクリル系共重合
体を凝集剤で凝集した後、グラフト共重合させた方が工
業的に有利である。前記凝集剤としては特に限定され
ず、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カ
リウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等が挙げ
られる。
【0028】本発明において、上記懸濁重合で使用され
る仕込み水は、上記アルキル(メタ)アクリレートを主
成分とするアクリル共重合体に、上記塩化ビニルを懸濁
重合によりグラフト共重合させた後、反応系から重合物
を分離して得られる重合廃液である。更に好ましくは、
請求項2の如く、前記アルキル( メタ) アクリレートを
主成分とするアクリル共重合体に、上記塩化ビニルを懸
濁重合によりグラフト共重合させた後、pH調整剤を用
いてpHが4. 0〜9. 0に調整された重合廃液であ
る。
【0029】上記pH調整剤としては、水酸化ナトリウ
ム等のナトリウム化合物、水酸化カリウム等のカリウム
化合物、水酸化マグネシウム等のマグネシウム化合物、
アルミン酸ナトリウム等のアルミニウム化合物、水酸化
カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物等が
挙げられるが、好ましくは請求項3記載の如く水酸化カ
ルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物が挙げ
られる。また、上記重合廃液には、分散剤及び凝集剤の
残分が含まれることがあり、そのような重合廃液を仕込
水として再利用する場合は、分散剤及び凝集剤の添加量
は、重合廃液中に含有される量を差し引いて添加する。
【0030】上記重合廃液のpH調整は、反応系から重
合物を分離してから行っても良いし、重合物を分離する
前に行っても良いが、反応系のPHが低いので濾過装置
等の反応系から重合物を分離する設備や配管等を腐食す
るおそれがあるので、重合物を分離する前にpH調整を
行うのが一般的である。
【0031】又、上記グラフト重合時に使用する凝集剤
等の種類によって、廃液がpH調整されにくい場合、ス
ラリー状態で一旦pH調整を行い、次に重合物が除去さ
れた後に、廃液貯蔵タンク内で更にpH調整剤を添加し
て、少なくともpHが4. 0を越えるように調整するこ
とが好ましい。前記のようにpH調整がされ難い場合、
二段階でpHを調整するのは、スラリー状で多量のpH
調整剤を投入すると、樹脂表面等にpH調整剤の金属が
付着し、熱安定性等の品質が劣化する可能性があるため
である。また、スラリー状の反応液から重合物を分離し
た後に廃液タンク内でpH調整剤を一括添加しようとす
ると、反応液のpHが低いため重合物を分離する設備や
廃液タンクまでの配管等が腐食されるおそれがあるため
である。
【0032】上記重合廃液は、例えば、濾過器(フィル
ター)により、反応系から重合物を除去し、廃液中に残
存する微粉(ポリマー)をできるだけ除去して得られる
ものである。濾過方法としては特に限定されず、例え
ば、重力濾過法、加圧濾過法、減圧濾過法、遠心濾過法
等が挙げられる。
【0033】その際に用いられる濾過器としては、特に
限定されず、例えば、重力濾過法の場合には、紙濾過
器、ヒダ濾紙、足長漏斗、足なし漏斗、ひだ付漏斗等が
挙げられる。減圧濾過法の場合には、例えば、アスベス
ト濾過器、アリーン管、ウィットの濾過装置、ガラス濾
過器、吸引漏斗、細菌濾過器、磁性濾過るつぼ、ヒルシ
ュ漏斗、ブフナ−漏斗、膜濾過器、目皿漏斗等が挙げら
れ、加圧濾過法の場合には加圧濾過器等が挙げられる。
また、濾過装置としては特に限定されず、例えば、重力
濾過法の場合には砂層濾過装置等が挙げられ、減圧濾過
法の場合には葉状濾過装置、円盤形・円筒型濾過装置等
が挙げられ、加圧濾過装置の場合にはフィルタープレス
等が挙げられる。
【0034】本発明の塩化ビニル系樹脂の製造方法は、
例えば、攪拌機およびジャケットを備えた耐圧反応容器
に、pH調整された重合廃液、上記アクリル系共重合
体、分散剤及び油溶性重合開始剤、更に必要に応じて、
凝集剤、重合度調節剤等を投入する。その後、真空ポン
プで反応器内の空気を排出し、攪拌しながら塩化ビニル
モノマー、必要に応じて、他のビニルモノマーを添加
し、ジャケットにより反応器内を昇温してグラフト共重
合を開始する。上記グラフト共重合反応は発熱反応であ
り、必要に応じて、ジャケットにより反応器内の温度を
調節する。反応終了後、未反応の塩化ビニルを系外に除
去してスラリー状とし、更に重合物と重合廃液に分離さ
れる。分離された重合物を脱水乾燥することにより塩化
ビニル系樹脂が得られ、重合廃液は必要に応じてpH調
整された後に再度仕込み水として利用される。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を詳
しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定され
るものではない。
【0036】〔アクリル系共重合体の重合〕攪拌機およ
び還流冷却器を備えた反応器に、n−ブチルアクリレー
ト100重量部、純水240重量部、乳化分散剤(ハイ
テノールN−08、第一工業製薬社製)1重量部、過硫
酸アンモニウム0.1重量部およびトリメチロールプロ
パントリアクリレート0.5重量部を入れ、反応器内を
窒素にて置換した後、65℃に昇温して5時間攪拌しな
がら反応させ、アクリル系共重合体ラテックス(固形分
濃度30重量%、表中「ラテックス」と表示)を得た。
【0037】〔塩化ビニル系樹脂の製造〕実施例1 攪拌器およびジャケットを備えた耐圧反応容器に、表1
に示した所定量の、比較例1で得られた重合廃液を仕込
み水として仕込んだ後、凝集剤(CaCl 2 ) および部分ケ
ン化ポリビニルアルコール(クラレポバールL−8、ク
ラレ社製)の3重量%水溶液(表中「PVA水溶液」と
表示)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトロ
ーズ60SH50、信越化学社製)の3重量%水溶液
(表中「セルロース」と表示)を添加し、次に上記アク
リル系共重合体ラテックス及びt−ブチルパーオキシネ
オデカノエート(以下「BPOND」という)を投入し
た後、真空ポンプで重合器内の空気を排除し、表1で示
した所定量の塩化ビニルを加えて30分間攪拌して均一
に混合させ、57℃に昇温して重合を開始した。重合開
始後、重合器内圧が7Kg/cm 2 に低下した段階で重合を
停止し、消泡剤(東レシリコンSH5510、東レ社
製)を加圧添加した後、未反応の塩化ビニルを除去し
た。得られたスラリー状の重合物にCa(OH)2 を添加し
て、pHを7. 0に調整した後に、遠心脱水することに
より重合物と重合廃液を分離した。尚、得られた廃液は
次の重合の仕込み水とした。
【0038】比較例1 仕込み水として純水を使用する以外は実施例1と同様な
方法で行った。
【0039】実施例2 仕込み水として、純水の代わりに比較例2の重合廃液を
使用する以外は比較例2と同様な方法で行った。
【0040】比較例2 CaCl2 の代わりにAl2 (SO 4 ) 3 を使用する以外は比較
例1と同様に重合した後に、スラリータンク内で、Ca(O
H)2 を添加してpHを4. 0に調整した後に、濾紙( 定
性濾紙No. 1、ADVANTEC社製) を用いて減圧濾過を行
い重合物を除去した。重合廃液を廃液タンクに移送した
後に、Ca(OH)2 を添加してpHを45に調整した。
【0041】実施例3 仕込み水を実施例2で得られた廃液を使用し、pH調整
剤としてNaOHを添加する以外は、実施例2と同様に
行った。
【0042】比較例3 実施例2と同様に重合を行った後、スラリータンク内で
Ca(OH)2 を添加して、pHを4. 5に調整する以外は実
施例2と同様に行った。
【0043】
【表1】
【0044】〔塩化ビニル系樹脂の評価- 1〕尚上記実
施例1、2、3及び比較例1、2、3で得られた塩ビ系
樹脂について下記の物性評価を行った。その結果を表2
に示す。 (1)嵩比重(g/cc) JIS K 6721に準拠して測定した。 (2)粒度分布(パス率、重量%) JIS Z 8801に準拠し、♯60、♯100、♯
200、♯500メッシュの各篩を用いてふるい分け
し、パス量(重量%)を計量した。 (3)重合度 JIS K 6721に準拠して粘度平均重合度を測定
し、重合度とした。 (4)重合廃液のCOD値 JIS K 0102に準拠して、上記濾過後の重合廃
液のCOD値(ppm )を測定した。
【0045】〔塩化ビニル系樹脂の評価- 2〕上記実施
例1,2,3及び比較例1,2,3で得られた塩化ビニ
ル系樹脂100重量部、ジオクチル錫メルカプト(ON
Z−142F、三共有機錫社製)3重量部及びモンタン
酸ワックス(WAX−OP、ヘキストジャパン社製)
0.5重量部を混合し、この混合物を190℃のロール
混錬機で3分間混錬した後、温度195℃、圧力75kg
/cm 2 ので6分間プレス成形して厚さ3mmの塩化ビニ
ル樹脂製テストプレートを得た。このテストプレートに
つき、下記の物性を測定し、その結果を表2に示した。
【0046】(5)衝撃値 JIS K 7110に準拠して、23℃におけるIZ
OD衝撃値を測定した。 (6)引張応力 JIS K 7110に準拠して、23℃における引張
応力を測定した。 (7)ビカット軟化温度 JIS K 7206に準拠して、ビカット軟化温度を
測定した。 (8)色調 上記3mmのプレス板を色差計で標準白色板との色差を
測定した。 (9)熱安定性 上記シートをギヤオーブン中で190℃の温度で加熱
し、黒化するまでの時間(分)を測定した。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】請求項1記載の本発明はアルキル(メ
タ)アクリレートを主成分とするアクリル系重合体に塩
化ビニルを懸濁重合により、グラフト共重合してグラフ
ト共重合体を製造するに際し、前期懸濁重合で使用され
る仕込み水が、アルキル(メタ)アクリレートを主成分
とするアクリル共重合に塩化ビニルをグラフトさせた
後、反応系から重合物を除去して得られる重合廃液であ
るので、重合廃液がリサイクル使用されることになり、
COD値の高い重合廃液を処理して排出する工場排水の
量を減少させるか、殆ど皆無にすることができる塩化ビ
ニル系樹脂の製造法である。
【0049】請求項2記載の本発明は、上記重合廃液を
ナトリウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合
物、アルミニウム化合物、又はカルシウム化合物で、p
H=4. 0〜9. 0に調整されてなるものであるので、
上記請求項1記載の効果をより確実に奏することができ
る。
【0050】請求項3記載の本発明は、上記重合廃液を
カルシウム化合物で、pH= 4. 0〜9. 0に調整され
てなるものであるので、上記請求項2記載の効果をより
確実に奏することができる。
【0051】請求項4記載の本発明は、上記重合廃液を
pH調整する際に、廃液が中和されにくい場合、スラリ
ー状で一旦pH調整され、その後、廃液を貯蔵するタン
ク内で少なくともpHが4. 0以上になるように上述p
H調整剤が投入されてなるので、上記請求項1記載の効
果をより確実に奏することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 BB01 BB09 JA06 JB05 JB09 JB14 JB16 JB26 4J026 AA17 AA18 AA37 AA38 AA40 AA45 AA46 AA48 AA49 AA55 AA61 AA68 AA76 AC31 BA10 CA08 DA04 DA09 DA12 DA14 DA15 DB03 DB08 DB10 DB15 DB27 DB30 EA04 4J100 AB02Q AB03Q AB04Q AG02Q AG04Q AG64Q AG70Q AL03P AL04P AL05P AL08P AL08Q AL09Q AL62Q AL63Q AL66Q AM02Q AS02Q BA02Q BA03Q BA16Q BC04P BC43Q CA04 EA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル(メタ)アクリレートを主成分
    とするアクリル系共重合体に、塩化ビニルを懸濁重合に
    よりグラフト共重合してグラフト共重合体を製造するに
    際し、前記懸濁重合で使用される仕込み水として、アル
    キル(メタ)アクリレートを主成分とするアクリル共重
    合体に塩化ビニルをグラフト共重合させた後、反応系か
    ら重合物を除去して得られた重合廃液を用いることを特
    徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 仕込み水として、アルキル(メタ)アク
    リレートを主成分とするアクリル系共重合体に、塩化ビ
    ニルを懸濁重合によりグラフト共重合させた後、重合廃
    液を、ナトリウム化合物、カリウム化合物、マグネシウ
    ム化合物、アルミニウム化合物、又はカルシウム化合物
    から選ばれたpH調整剤で、pHを4. 0〜9. 0に調
    整してなるものを用いることを特徴とする請求項1記載
    の塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 仕込み水として、アルキル(メタ)アク
    リレートを主成分とするアクリル系共重合体に、塩化ビ
    ニルを懸濁重合によりグラフト共重合させた後、重合廃
    液をカルシウム化合物からなるpH調整剤でpHを4.
    0〜9. 0に調整しなるものを使用することを特徴とす
    る請求項2記載の塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 仕込み水として、アルキル(メタ)アク
    リレートを主成分とするアクリル系共重合体に、塩化ビ
    ニルを懸濁重合によりグラフト共重合させた後、重合廃
    液を、上記請求項2に記載のpH調整剤でpH調整する
    際、スラリー状態で一旦pH調整し、その後、重合物を
    除去した後にpHが4. 0以上になるように上記pH調
    整剤を投入して得たものであることを特徴とする塩化ビ
    ニル系樹脂の製造方法。
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