JP2001003066A - 脱硫燃料油の製造方法 - Google Patents

脱硫燃料油の製造方法

Info

Publication number
JP2001003066A
JP2001003066A JP11177884A JP17788499A JP2001003066A JP 2001003066 A JP2001003066 A JP 2001003066A JP 11177884 A JP11177884 A JP 11177884A JP 17788499 A JP17788499 A JP 17788499A JP 2001003066 A JP2001003066 A JP 2001003066A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
catalyst
desulfurization
desulfurized
hydrotreating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11177884A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Iino
明 飯野
Mitsuru Yoshida
充 由田
Yasuyuki Suzuki
康之 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP11177884A priority Critical patent/JP2001003066A/ja
Publication of JP2001003066A publication Critical patent/JP2001003066A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料油の硫黄含有量を十分に低減すること
ができ、かつ脱硫後の燃料油の品質を保持したまま、十
分な燃料油の収率を得られる脱硫燃料油の製造方法の提
供。 【解決手段】 それぞれ細孔径を特定した触媒を持つ3
つの水素化処理工程を備えた重質油の直接脱硫装置で生
成した留分を、特定の細孔径を持つ触媒で再度脱硫して
脱硫燃料油を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱硫燃料油の製造
方法、および燃料油の脱硫システムに関し、特に、非常
に硫黄含有量の少ない脱硫軽油の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市部で大気環境汚染が深刻化するな
か、トラック等に用いられるディーゼル燃料油は、該燃
料油中の硫黄含有量を極力少なくすることが要望され、
具体的には、硫黄含有量は現状の500ppmから10
0ppm、さらには50ppm以下とすることが望まれ
ている。
【0003】このため、従来より、原油等を蒸留して得
られる軽油留分を脱硫する軽油脱硫工程において、脱硫
温度を上げて燃料油を処理することにより、燃料油の硫
黄含有量を低減する方法や新しい高活性の触媒を開発し
これにより水素化脱硫を行う方法等が提案されている。
しかしながら、このような従来の方法には、以下のよう
な問題がある。
【0004】すなわち、脱硫温度を上げた場合、触媒等
の耐久性が低下するので、触媒の交換回数が増加し、燃
料油の生産効率上好ましくない。また、脱硫工程におい
て燃料油が高温にさらされることとなるので、燃料油自
体の性状が変化し、品質的に満足できる燃料油を得るこ
とが困難である。また、脱硫工程で用いられる触媒を変
更することにより、脱硫温度を上げることなく燃料油の
硫黄含有量を低下させる方法も考えられるが、触媒によ
っては、十分に硫黄含有量を低下させることができない
触媒や、硫黄含有量を十分に低下することができても、
燃料油の収率が低下してしまう触媒等があり、触媒を変
更するだけで、必ずしも満足できるものではない。ま
た、高活性、高選択性の触媒の開発にも限界があり、簡
単には実用的で画期的な触媒は開発できていないのが現
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、燃料油特に
軽油の硫黄含有量を十分に低減することができ、かつ脱
硫後の燃料油の性状を変化させることなく、十分な燃料
油の収率が得られる脱硫燃料油の製造方法、および燃料
油の脱硫システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、重質油または軽油を含む重質油を直接脱硫して脱
硫重質油を生成し、該脱硫重質油を蒸留して得られる留
分(留出油)を再度脱硫する脱硫燃料油の製造方法にお
いて、前記直接脱硫を少なくとも3つの水素化処理工程
を有し、それぞれの工程における触媒および前記再度脱
硫工程の触媒を特定することにより上記課題を解決でき
ることを見い出し、本発明を完成したものである。
【0007】すなわち、本発明の要旨は以下のとおりで
ある。 (1) 重質油または軽油を含む重質油を直接脱硫して
脱硫重質油を生成し、該脱硫重質油を蒸留して得られる
留分を再度脱硫する脱硫燃料油の製造方法であって、前
記直接脱硫は、平均細孔径が120〜250Åである水
素化処理触媒を用いて水素化処理を行う第1水素化処理
工程と、平均細孔径120〜170Åである水素化処理
触媒を用いて水素化処理を行う第2水素化処理工程と、
全細孔容量に対する細孔径40〜120Åの細孔容量が
占める割合が20〜80%かつ全細孔容量に対する細孔
径500Å以上の細孔容量が占める割合が20〜80%
であり、細孔分布が少なくとも2つの極大値を示す水素
化処理触媒を用いて水素化処理を行う第3水素化処理工
程とを含んで構成され、前記再度の脱硫は平均細孔径4
0〜120Åである水素化処理触媒を用いて水素化処理
を行うことを特徴とする脱硫燃料油の製造方法。
【0008】(2) 第1水素化処理工程、第2水素化
処理工程および第3水素化処理工程で用いられる触媒が
それぞれ無機酸化物担体に少なくとも周期律表第VIA族
および第VIIIA族の金属を担持させたものであり、再度
の脱硫工程で用いられる触媒が無機酸化物担体に周期律
表第VIA族の金属、第VIIIA族の金属、並びにリンおよ
び/またはほう素を担持させたものである(1)記載の
脱硫燃料油の製造方法。
【0009】(3) 第2水素化処理工程および/また
は第3水素化処理工程で用いられる触媒が、それぞれ、
さらに、リンおよび/またはほう素を担持させたもので
ある(2)記載の脱硫燃料油の製造方法。 (4) (1)〜(3)のいずれかに記載の脱硫燃料油
の製造方法において、前記直接脱硫は反応塔を備えた直
接脱硫装置で行われ、該直接脱硫装置の反応塔は少なく
とも前記第1水素化処理工程で用いられる触媒を充填し
た第1触媒層、前記第2水素化処理工程で用いられる触
媒を充填した第2触媒層、および前記第3水素化処理工
程で用いられる触媒を充填した第3触媒層を有し、前記
反応塔内の触媒全量に対して前記第1触媒層の充填比率
が10〜50vol%、前記第2触媒層の充填比率が3
0〜80vol%、および前記第3触媒層の充填比率が
5〜30vol%であることを特徴とする脱硫燃料油の
製造方法。
【0010】(5) (1)〜(4)のいずれかに記載
の脱硫燃料油の製造方法を実施する脱硫システムであっ
て、原油をナフサ等の軽質留分、直留軽油、重質油に蒸
留分離する蒸留装置と、該重質油または軽油を含む該重
質油を直接脱硫する直接脱硫装置と、該直接脱硫装置に
おいて脱硫油を蒸留して得られる脱硫軽油留分と前記直
留軽油とを混合して混合油を得る混合装置と、該混合油
を脱硫する脱硫装置とを備えていることを特徴とする燃
料油の脱硫システム。
【0011】(6) (5)記載の燃料油の脱硫システ
ムを使用した(1)〜(4)のいずれかに記載の脱硫燃
料油の製造方法において、蒸留装置により原油をナフサ
等の軽質留分、直留軽油、重質油に蒸留分離する際、該
直留軽油の蒸留性状のうち90%留出温度が通常の直留
軽油の90%留出温度に対し5%以上低くなるように蒸
留分離することを特徴とする脱硫燃料油の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る脱硫燃料油の製造方
法は、重質油または軽油を含む重質油を直接脱硫して脱
硫重質油を生成し、該脱硫重質油を蒸留して得られる留
分(留出油)を、再度脱硫して燃料油を得ることを特徴
とする。蒸留により得られる重質油は原油の種類や蒸留
温度によって性状が異なり、また蒸留によって明確に軽
油留分と重質油分とを分離することは困難であるので、
重質油中には軽油留分が含まれる場合が多い。また、重
質油であっても、分解によって軽油留分となるものも含
まれる。本発明で言う重質油とは、このように蒸留で分
離できなかった軽油留分を含む重質油でもよい。また、
軽油を含む重質油とは、一旦、蒸留により得られた上記
重質油に蒸留等により得られた軽油または軽油留分を添
加したものである。
【0013】本発明によれば、重質油または軽油を含む
重質油(以後、両者を合わせて重質油と言うことがあ
る。)を直接脱硫して脱硫重質油を生成しているので、
重質油中の軽油留分または分解によって生成する軽油留
分が、該軽油留分よりも高沸点の炭化水素油により希釈
され、軽油留分中に含まれるいわゆる難脱硫性硫黄化合
物が水素化され、その中間体となって含まれている脱硫
重質油を得ることができる。
【0014】そして、この難脱硫性硫黄化合物が水素化
され中間体となって含まれている脱硫重質油を蒸留して
得られる留分(留出油)は、非常に脱硫反応性が高いた
め、これを再度脱硫することで極めて硫黄化合物の少な
い燃料油を得ることが可能となる。上述した脱硫燃料油
の製造方法は、重油、軽油、ガソリン等種々の燃料油に
採用することができるが、好ましくは、軽油の脱硫に際
して本発明を採用するのがよい。すなわち、軽油は、車
両等の中、小型のディーゼル機器の燃料油として用いら
れるが、このような中、小型のディーゼル機器の排ガス
中には、有害な酸化窒素分(NOx)が多く含まれ、こ
のNOxを排ガス処理触媒で処理する必要がある。ここ
で、該排ガス処理触媒は、排気ガス中の酸化硫黄分(S
Ox)により著しく性能が低下するという問題がある。
しかし、排ガス中の酸化硫黄分を完全に除去することは
困難である。従って、本発明に係る脱硫燃料油の製造方
法を軽油に利用することにより、軽油中の硫黄含有量を
少なくすれば、必然的に排気ガス中の酸化硫黄分および
酸化窒素分を低減することが可能となる。
【0015】上述した重質油は、予め蒸留して得られた
重質油に別途蒸留等により得られた軽油を添加して得る
ことができる。ここで、別途添加する軽油としては、直
留軽油(LGO)、減圧軽油(VHLGO)、分解軽油
(LCO)、重質軽油(HGO)等を挙げることができ
る。すなわち、このように重質油に別途軽油を添加して
軽油を含む重質油を調製すれば、軽油留分の種類や軽油
留分に対する重質油分の混合割合を燃料油の種類、性
状、要求性能等に応じて自由に設定できるので、燃料油
の硫黄化合物の含有率についても調整することが容易と
なる。
【0016】さらに、上述した脱硫燃料油の製造方法
が、原油を重質油、および直留軽油等他の留分に分離す
る蒸留工程を備えている場合、好適な重質油は、該蒸留
工程における直留軽油の蒸留性状のうち90%留出温度
(JIS−K−2254法、以下同じ)を調整すること
により得ることもできる。具体的には、好適な重質油
は、蒸留工程における直留軽油の蒸留性状のうち90%
留出温度を、通常の直留軽油の90%留出温度に対し、
5%以上低い温度に設定することによっても得ることが
できる。ここで、通常の蒸留時の蒸留性状の90%留出
温度は、軽油留分中の含有成分や直留軽油の要求性状等
を勘案して製造管理上設定されるもので、通常は夏場に
おいて350℃〜380℃、冬場において320℃〜3
50℃とすることが好ましい。
【0017】そして、蒸留工程における直留軽油の性状
としての90%留出温度は、上述した通常の直留軽油の
90%留出温度に対して5%以上低くなるように設定さ
れた温度であるが、好ましくは、通常の軽油の90%留
出温度に対して8〜20%の値で設定された温度を採用
することが好ましい。尚、前記8%は、脱硫率の効果を
考慮して設定される値であり、前記20%は経済的効果
等を勘案して設定される値である。具体的には、上述し
た蒸留工程における直留軽油の90%留出温度は、30
0℃〜340℃に設定するのが好ましい。
【0018】すなわち、蒸留工程における直留軽油の9
0%留出温度を上記のごとく設定すれば、通常は直留軽
油中に含まれるべき前記難脱硫硫性黄化合物は蒸留工程
により重質油中に含まれることとなる。従って、この重
質油を直接脱硫することにより、これらの難脱硫硫性黄
化合物から硫黄分を効率よく除去することが可能となる
ので、硫黄含有率の極めて小さい軽油を最終製品として
得ることが可能となる。また、蒸留工程における軽油留
分の90%留出温度の設定を変更しているだけなので、
原油蒸留工程の運転条件を調整するだけでよく、従来か
らの石油精製プラントに別途脱硫工程を設けるなどの改
造をすることなく、硫黄含有率の極めて小さい脱硫軽油
を得ることが可能となる。
【0019】さらに、上述した再度の脱硫は、原油蒸留
工程において、直留軽油の蒸留性状のうち90%留出温
度を通常のそれより5%以上低くした直留軽油と、前記
脱硫重質油を蒸留して得られる軽油留分とを混合した後
実施することが好ましい。すなわち、原油蒸留工程にお
いて、直留軽油の蒸留性状のうち90%留出温度を通常
のそれより5%以上低くした直留軽油と、前記脱硫重質
油を蒸留して得られる軽油留分とを混合した後再度脱硫
することにより、極めて硫黄化合物の少ない脱硫軽油を
得ることが可能となる。
【0020】そして、本発明に係る脱硫燃料油の製造方
法は、重質油を直接脱硫して脱硫重質油を生成し、該脱
硫重質油を蒸留して得られる留分(留出油)を再度脱硫
して燃料油を得る脱硫燃料油の製造方法であって、前記
直接脱硫は、平均細孔径120〜250Åの触媒(触媒
はすべて固体触媒である。)を用いて水素化処理を行う
第1水素化処理工程と、平均細孔径120〜170Åの
触媒を用いて水素化処理を行う第2水素化処理工程と、
全細孔容量に対する細孔径40〜120Åの細孔容量が
占める割合が20〜80%かつ全細孔容量に対する細孔
径500Å以上の細孔容量が占める割合が20〜80%
であり、細孔分布が少なくとも2つの極大値を示す水素
化処理触媒を用いて水素化処理を行う第3水素化処理工
程とを含んで構成され、前記再度の脱硫は、平均細孔径
40〜120Åの触媒を用いて水素化処理を行うことを
特徴とする。なお、細孔分布等の測定は水銀圧入法によ
り、測定範囲は50Å〜10000Åである。また、重
質油は、上述した軽油を含む重質油に限られず、原油を
常圧蒸留する際に、通常の直留軽油を蒸留分離した後の
残渣油としての重質油であってもよい。
【0021】すなわち、第1水素化処理工程で重質油の
脱メタルが行われた後、平均細孔径120〜170Åと
いう中細孔の触媒を用いた第2水素化処理工程により、
重質油中の重質分の脱硫が行われ、全細孔容量に対する
細孔径40〜120Åの細孔容量が占める割合が20〜
80%かつ全細孔容量に対する細孔径500Å以上の細
孔容量が占める割合が20〜80%であり、細孔分布が
少なくとも2つの極大値を示すという小細孔およびマク
ロ細孔を持つ触媒を用いた第3水素化処理工程で軽質分
の脱硫が行われる。従って、重質油の直接脱硫におい
て、重質油中の重質分に適した細孔径の触媒で第2水素
化処理工程、重質油中の重質分と軽質分の両者に適した
細孔径の触媒で第3水素化処理工程が実施され、品質の
優れた脱硫重油とともに、さらに、得られた軽質留分を
再度脱硫することで極めて硫黄化合物の少ない燃料油を
得ることが可能となる。
【0022】以上において、第1水素化処理工程で用い
られる触媒としては、無機酸化物担体に周期律表第VIA
族および第VIIIA族の金属を担持させたものを、第2水
素化処理工程および第3水素化処理工程で用いられる触
媒としては、無機酸化物担体に周期律表第VIA族の金
属、第VIIIA族の金属、並びにリンおよび/またはほう
素を担持させたものを、再度の脱硫に用いられる触媒と
しては、無機酸化物担体に周期律表第VIA族の金属、第
VIIIA族の金属、並びにリンおよび/またはほう素を担
持させたものを採用することが好ましい。
【0023】すなわち、上述したように、第2水素化処
理工程では主に重質分の脱硫が行われ、第3水素化処理
工程では主に軽質分の脱硫が行われる。そして、第2水
素化処理工程に用いられる触媒として、無機酸化物担体
に周期律表第VIA族の金属、第VIIIA族の金属、並びに
リンおよび/またはほう素を担持させたものを採用する
ことにより、重質分の脱硫率が向上するうえ、第2水素
化処理工程でリンおよび/またはほう素を担持させた触
媒を採用することにより、次工程である第3水素化処理
工程における軽質分の脱硫および脱窒素効率をも向上す
ることが可能となる。
【0024】また、再度の脱硫においても、リンおよび
/またはほう素を担持させた触媒を採用することによ
り、軽油留分の脱硫率が向上する。また、第3水素化処
理工程で用いられる触媒としては、無機酸化物担体に、
周期律表第VIA族および第VIIIA族の金属を担持させる
他、リンおよび/またはほう素を担持させた触媒を採用
するのが好ましい。
【0025】すなわち、第2水素化処理工程での重質油
の脱硫に伴い、重質油の分解に起因する分解軽油留分が
生成する。この分解軽油留分は、一般に直留軽油留分よ
りも反応性が低いため、リンおよび/またはほう素を担
持させた触媒を添加することにより、脱硫および脱窒素
性能の向上が図られる。さらに、上述した直接脱硫は、
反応塔を備えた直接脱硫装置で行われ、この反応塔が、
第1水素化処理工程で用いられる触媒を充填した第1触
媒層、第2水素化処理工程で用いられる触媒を充填した
第2触媒層、および第3水素化処理工程で用いられる触
媒を充填した第3触媒層を有している場合、反応塔内の
触媒全量に対して、第1触媒層の充填比率が10〜50
vol%、第2触媒層の充填比率が30〜80vol
%、および第3触媒層の充填比率が5〜30vol%で
あることが好ましい。
【0026】原油中に含まれる硫黄化合物、および金属
元素の量は、原油種によって異なるが、一般に硫黄含有
量が0.1〜5wt%であるのに対して、金属元素が約
数百wtppm程度である。従って、脱メタル処理を行
う第1触媒層と、脱硫処理を行う第2および第3触媒層
とを上述の比率で充填することにより、適切な触媒量で
重質油中の硫黄化合物および金属元素を除去することが
できるので、金属元素、硫黄化合物等を確実に除去した
燃料油を得ることが可能となる。
【0027】そして、本発明に係る燃料油の脱硫システ
ムは、原油を重質油、および直留軽油等他の留分に分留
する蒸留装置と、前記重質油を直接脱硫する直接脱硫装
置(生成した脱硫油を蒸留する蒸留塔を含んでいる。)
と、前記直留軽油を脱硫する軽油脱硫装置とを備えた燃
料油の脱硫システムであって、前記蒸留装置における直
留軽油の90%留出温度は、通常の直留軽油の90%留
出温度に対し、5%以上低い温度に設定され、前記軽油
脱硫装置の上流側に設けられるとともに、前記直接脱硫
装置により生成される脱硫重質油を蒸留して得られる軽
油留分と、前記蒸留装置からの直留軽油留分とを混合し
混合油を得られる混合装置と、該混合油を再度脱硫する
脱硫装置とを備えているものである。
【0028】このような本発明によれば、脱硫重質油を
蒸留して得られる軽油留分と、蒸留装置からの直留軽油
留分とを混合可能とする混合装置を備えているので、脱
硫重質油を蒸留して得られる軽油留分を直留軽油と混合
して軽油脱硫装置で脱硫することが可能となる。従っ
て、上述したように、このような混合物を脱硫すること
により硫黄化合物の含有率を極めて低くすることが可能
となる。また、既存の石油精製設備の触媒変更と混合装
置を付与するだけで本発明を実施でき硫黄化合物の含有
率が極めて低い燃料油(軽油)を、設備コストをほとん
どかけることなく製造することが可能となる。
【0029】以下、本発明の実施の一形態を図面に基づ
いて説明する。図1は本発明の燃料油の製造方法に係る
脱硫システムの実施形態である。この燃料油の脱硫シス
テムは、常圧蒸留装置10、直接脱硫装置120、軽油
脱硫装置30、蒸留装置40、50、および混合装置6
0を含んで構成される。常圧蒸留装置10は、原油を常
圧にて蒸留し、軽質留分および常圧残油RCを採取する
装置である。蒸留により留出する軽質留分としては、ナ
フサNAPH、LPガスLPG、および直留軽油留分L
GOの他、図1では図示を略したが、直留灯油留分等が
ある。常圧残油RCは、蒸留により留出した軽質留分を
除いた原油中の成分が含まれ、常圧蒸留装置10におけ
る各軽質留分の留出温度の設定に応じて、常圧残油RC
の成分は変動する。
【0030】直接脱硫装置120は、上記常圧蒸留装置
10の残渣油である重質油RCを直接脱硫する装置であ
り、直接脱硫装置120を構成する反応塔内部には、脱
金属触媒120A、第2触媒層120B、および第3触
媒層120Cという3種類の触媒層が層状に配置されて
いる。そして、重質油RCは、所定の温度に設定された
反応塔に供給され、これらの第1触媒層120A、第2
触媒層120B、および第3触媒層120Cを通ること
により、脱金属処理、脱硫処理が施され、脱硫重油とさ
れる。
【0031】第1触媒層120Aに用いられる触媒は、
脱メタル処理を行うためのものであり、無機酸化物担体
に周期律表第VIA族および第VIIIA族の金属を担持させ
た触媒であって、平均細孔径120〜250Åのものが
採用されている。第2触媒層120Bは、重質油RCの
脱硫処理を行うためのものである。第2触媒層120B
に用いられる触媒は、無機酸化物担体に周期律表第VIA
族の金属、第VIIIA族の金属、並びにおよびリンおよび
/またはほう素を担持させた触媒であって、平均細孔径
120〜170Åのものが採用され、これにより重質油
RC中の重質分の脱硫が行われる。
【0032】一方、第3触媒層120Cに用いられる触
媒は、無機酸化物担体に周期律表第VIA族および第VIII
A族の金属、並びにおよびリンおよび/またはほう素を
担持させた触媒であって、全細孔容量に対する細孔径4
0〜120Åの細孔容量が占める割合が20〜80%か
つ全細孔容量に対する細孔径500Å以上の細孔容量が
占める割合が20〜80%であり、細孔分布が少なくと
も2つの極大値を示すものが採用され、これにより重質
油RC中の軽質分の脱硫が行われる。なお、前述した
が、細孔分布等の測定は水銀圧入法により、測定範囲は
50Å〜10000Åである。
【0033】これらの第1触媒層120A、第2触媒層
120B、および第3触媒層120Cに用いられる触媒
は、上記の条件に適合するもので、所望の炭化水素油の
水素化処理に有効に用いることができる触媒であれば、
公知の炭化水素油の水素化処理触媒等の各種の触媒を対
象とすることができる。前記触媒を構成する前記担体と
しては、公知のこの種の触媒に使用される担体等の各種
の無機物からなるものを挙げることができる。この無機
物よりなる担体あるいは担体を構成する無機物成分とし
ては、例えば、アルミナ、シリカ、ボリア、チタニア、
リン、ジルコニア、マグネシア等の単独酸化物及びこれ
らからなる各種の複合酸化物(具体的には、例えば、シ
リカアルミナ、シリカチタニア、アルミナボリア、アル
ミナリン、シリカマグネシア、シリカジルコニア等)、
さらには結晶質のゼオライトを含む担体を挙げることが
できるが、これらに限定されるものではなく、担持する
金属成分の種類や組成等の種々の条件に応じて、また、
原料油種、目標とする生成油性状に応じて各種の種類、
組成、性状及び形状の担体が適宜使用される。
【0034】例えば、第1触媒層120Aまたは第2触
媒層120Bに用いられる触媒は、前記活性金属成分を
高分散状態に有効に担持して触媒活性を十分に確保する
ためには、通常、多孔質の担体、とりわけ、細孔径50
0オングストローム以下の比較的小さな細孔を有するも
のが好適に使用される。また、担体あるいは触媒体の機
械的強度や耐熱性等の物性を制御するために、担体ある
いは触媒体の形状に際して適当なバインダー成分や添加
剤を含有させることもできる。
【0035】それぞれの触媒に担持する金属のうち、周
期表VIA族金属としては、クロム、モリブデン及びタ
ングステンを挙げることができ、一方、VIIIA族金
属としては、鉄、コバルト、ニッケルを挙げることがで
きる。さらに、これらの触媒は、少なくとも、これらの
例示した金属のうち1種又は2種以上を含有している。
これらのうちどのような種類の金属をどのような組成で
含有しているのがよいかと言う点は、担体の種類等の他
の条件にも依存するし、用途すなわち原料油種及び目標
とする原料油性状によって異なるので、一様に定めるこ
とはできない。例えば、周期表VIA族金属としてモリ
ブデン又はタングステンあるいはこれらの両方を含有し
ているもの、周期表VIIIA族金属としてニッケル又
はコバルトあるいはこれらの両方を含有しているものな
ど挙げることができる。中でもモリブデンとタングステ
ンのうち一方又は両方とニッケルとコバルトのうち一方
又は両方をともに含有しているものが特に好適に使用さ
れる。
【0036】前記触媒における周期表VIA族金属及び
又は周期表VIIIA族金属の担持量としては、特に制
限はないが、通常は、周期表VIA族金属の担持率が
0.1〜40重量%の範囲にある触媒、周期表VIII
A族金属の担持率が0.1〜30重量%の範囲にある触
媒が好適に使用される。中でも特に、モリブデンとタン
グステンのいずれか一方あるいは両方を含有し、これら
の金属の合計担持率が0.5〜20重量%の範囲にある
触媒などが好適に使用される。
【0037】尚、第1触媒層120A、第2触媒層12
0B、第3触媒層120Cは、上記した触媒が採用され
るが、それぞれ脱メタルおよび脱硫性能を維持する範囲
内において、他の触媒を混合したり、それぞれの触媒層
の層間または第1触媒層120Aの前、第3触媒層12
0Cの後に他の触媒を配してもよい。このような3層の
触媒層120A、120B、120Cから構成される反
応塔において、各触媒層の充填比率は、第1触媒層が1
0〜50vol%、第2触媒層30〜80vol%、第
3触媒層5〜30vol%となっている。
【0038】上述した直接脱硫装置120では、常圧蒸
留装置10の残渣油としての重質油RCが直接脱硫装置
120に供給されると、まず、第1触媒層120Aで脱
メタル処理が行われた後、第2触媒層120Bで重質油
RC中の重質分の脱硫処理が行われ、さらに第3触媒層
120Cで重質油RC中の軽質分の脱硫処理が行われる
こととなる。
【0039】直接脱硫装置120における処理条件とし
ては反応温度300〜450℃、好ましくは、330〜
410℃、さらに好ましくは350〜400℃、水素分
圧は、100〜200kg/cm2 G、好ましくは11
0〜170kg/cm2 Gが望しい。さらに、水素/油
比は、100〜2000nm3 /kl好ましくは、60
0〜1000nm3 /kl、液空間速度(LHSV)は
0.05〜5.0h-1、好ましくは0.1〜2.0
-1、さらに好ましくは0.15〜1.0h-1が望まし
い。
【0040】本方法の直接脱硫装置120に用いられる
触媒は上記の水素化処理触媒を適宜組み合わせて用いる
ことができる。直接脱硫装置1 20においては、脱金属
用触媒と重油脱硫用触媒を組み合わせることが好まし
く、脱金属用触媒としては、平均細孔径が120〜25
0Åの範囲のものが好ましく、さらに130〜230Å
の範囲のものが好ましい。
【0041】重油脱硫触媒としては、平均細孔径が70
〜170Åが好ましく、さらには、110〜160Åが
好ましい。蒸留装置40は、直接脱硫装置120により
脱硫された脱硫重質油を蒸留する装置であり、この蒸留
装置40により脱硫油は、直留脱硫装置120における
反応過程で分解生成するナフサNAPH、中間留分DS
GO、および残渣としての脱硫重油DSRCに分けられ
る。
【0042】軽油脱硫装置30は、常圧蒸留装置10か
ら留出した直留軽油留分LGOを脱硫する装置であり、
軽油脱硫装置30を構成する反応塔内部には、脱硫触媒
30Aが配置されている。直留軽油留分LGOは、所定
の温度に設定された反応塔に供給され、この脱硫触媒3
0Aを通ることにより、該直留軽油留分LGO中の硫黄
化合物を除去することができる。
【0043】ここで、軽油脱硫装置30に用いる触媒3
0Aとしては、無機酸化物担体に周期律表第VIA、V
IIIA族金属、およびリンから選ばれる少なくとも1
種を担持した触媒であればよい。通常用いられる炭化水
素油の脱硫触媒のうち上記条件に適合するものであれば
使用することができる。担体となる無機酸化物としては
アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニア、ジルコニ
ア、アルミナ−シリカ、アルミナ−ボリア、アルミナ−
チタニア、チタニア−シリカ、アルミナ−マグネシア、
シリカ−マグネシア、アルミナ−ジルコニアなどを単独
または複数で用いることができる。また、結晶質のゼオ
ライトを含む担体を用いてもよい。
【0044】また、上記操作により得られた無機酸化物
担体に周期率表VIA、VIIIA族金属から選ばれる
少なくとも1種を担持すれば、前記触媒30Aを得るこ
とができる。担持する金属は水素化活性金属であり、2
種以上組み合わせて用いてもよい。担持金属はNi、C
o、Mo、Wの中から選ばれた少なくとも1種以上の金
属であることが好ましい。さらに、担持金属Niおよび
/またはCoが酸化物換算で1〜10wt%、好ましく
は2〜8wt%、並びにMoおよび/またはWが酸化物
換算で5〜30wt%、好ましくは8〜25wt%であ
ることが望ましい。軽油脱硫用触媒としては、平均細孔
径が40〜120Åが好ましく、さらには、50〜90
Åが好ましい。本実施形態の場合、軽油脱硫装置30に
用いられる触媒30Aは、無機酸化物担体に周期律表第
VIA族の金属、第VIIIA族の金属、およびリンを担持さ
せた触媒であって、平均細孔径40〜120Åのものが
採用されている。
【0045】さらに、軽油脱硫装置30における処理条
件としては、反応温度:250〜450℃、好ましくは
300〜400℃、さらに好ましくは320〜380
℃、水素分圧:1.0〜200kg/cm2、好ましくは
10〜150kg/cm2、さら好ましくは30〜80kg
/cm2が望ましい。さらに水素/油(比):10〜
3,000nm3/キロリットル、好ましくは30〜2,00
0nm3/キロリットル、さらにましくは40〜500nm3
キロリットル、液空間速度(LHSV):0.1〜15h-1
好ましくは0.2〜10h-1、さらに好ましくは0.3
〜7h-1が望ましい。
【0046】蒸留装置50は、軽油脱硫装置30で脱硫
された軽油留分を蒸留する装置であり、該軽油留分を、
前記軽油脱硫装置30で分解生成するナフサNAPH
と、脱硫軽油DGOとに分離する。混合装置60は、上
述した蒸留装置40で留出する中間留分DSGOと、常
圧蒸留装置10からの直留軽油留分LGOを混合可能と
する装置であり、軽油脱硫装置30の上流側に設けられ
ている。
【0047】混合装置60は、直留軽油留分LGOを移
送するラインと、中間留分DSGOを搬送するラインと
を接続し、図1では図示を略したが、それぞれの上流側
に配置されるバルブを備えている。そして、このバルブ
の開閉状態を調整することにより、直留軽油留分LGO
および中間留分DSGOを自由な比率で混合することが
できるように構成されている。
【0048】次に、上述した燃料油の脱硫システムの作
用を説明する。 (1) 常圧蒸留装置10における直留軽油留分LGOの9
0%留出温度を、通常の直留軽油留分の留出温度である
360℃よりも約8.3%低い330℃に設定し、常圧
蒸留装置10により原油の蒸留を行う。すると、90%
留出温度が330℃以下の軽油留分は、直留軽油留分L
GOとして留出するが、通常は直留軽油留分LGOとし
て留出するべき一部の軽油留分は、残渣油である重質油
RC中に含まれることとなる。
【0049】(2) 上述した軽油留分を含む重質油RCを
直接脱硫装置120により脱金属処理、脱硫処理した
後、蒸留装置40により分留し、中間留分DSGOを得
る。尚、蒸留装置40における脱硫重油DSRCは、そ
のまま重油製品とされる。 (3) 蒸留装置40から留出する中間留分DSGOと、常
圧蒸留装置10から留出した直留軽油留分LGOとを、
混合装置60により混合した後、軽油脱硫装置30によ
り、再度脱硫を行う。 (4) 軽油脱硫装置30による脱硫後、蒸留装置50によ
りナフサNAPHを分留して脱硫軽油DGOを得る。
【0050】前述のような本発明の実施形態によれば、
次のような効果がある。 (1) 軽油留分を含むRCを直接脱硫装置120により直
接脱硫して脱硫重質油を生成しているので、RCの軽油
留分が、該軽油留分よりも高沸点の炭化水素油により希
釈され、軽油留分中のいわゆる難脱硫性硫黄化合物がよ
り水素化された中間体となって含まれている脱硫重質油
を得ることができる。そして、この難脱硫性硫黄化合物
が水素化された脱硫重質油を蒸留して得られる留分(留
出油)DSGOは非常に反応性が高いので、軽油脱硫装
置30により再度脱硫することにより、極めて硫黄含有
量の少ない脱硫軽油を得ることができる。
【0051】(2) 上述した燃料油の脱硫システムが脱硫
軽油DGOを得るために採用されているので、軽油中の
硫黄化合物の含有量を極力少なくすることができる。従
って、このような軽油を中、小型のディーゼル機器の燃
料として採用すれば、排気ガス中の酸化硫黄分および酸
化窒素分を極めて少なくすることができ、大気汚染を防
止することができる。
【0052】(3) 常圧蒸留装置10における直留軽油留
分LGOの90%留出温度を通常の直留軽油留分の留出
温度である360℃よりも低い、330℃に設定してい
るので、重質油RC中に90%留出温度が330℃を超
える軽油留分は、重質油RC中に含まれた状態で採取さ
れる。従って、常圧蒸留装置10の重質油RCに別途直
留軽油LGOを加えることなく、軽油留分を含む重質油
を生成することができ、そのまま直接脱硫装置120で
脱硫して難脱硫硫黄化合物がより水素化され脱硫し易い
硫黄化合物を含む中間留分DSGOを得ることができ
る。
【0053】(4) 直接脱硫装置120により得られた中
間留分DSGOと、直留軽油留分LGOを混合装置60
により混合した後、軽油脱硫装置30で脱硫を行ってい
るので、難脱硫性硫黄化合物が軽減された状態で脱硫を
行うことができ、硫黄化合物の極めて少ない脱硫軽油D
GOを得ることができる。さらに、難脱硫性硫黄化合物
が水素化された状態で軽油脱硫装置30による脱硫を行
っているので、軽油脱硫装置30における温度条件が緩
和され、触媒等の耐久性が大幅に向上する。
【0054】(5) 直留軽油留分LGOおよび中間留分D
SGOを任意の割合で混合可能とする混合装置60を備
えているので、必要に応じて両者のバランスを取って脱
硫を行うことができ、所望の硫黄化合物含有量の軽油を
得ることができる。また、通常の石油精製システムに混
合装置60を付与するだけで本発明に係る燃料油の脱硫
システムを構築することができるので、硫黄化合物の含
有量が極めて低い軽油を、設備コストをかけることなく
製造することができる。
【0055】(6) 第1触媒層120Aによる第1水素化
処理工程で重質油RCの脱メタル処理が行われた後、平
均細孔径120〜170Åという中細孔の触媒を有する
第2触媒層120Bで第2水素化処理工程が行われ、重
質油RC中の重質分の脱硫が行われ、さらに、全細孔容
量に対する細孔径40〜120Åの細孔容量が占める割
合が20〜80%かつ全細孔容量に対する細孔径500
Å以上の細孔容量が占める割合が20〜80%であり、
細孔分布が少なくとも2つの極大値を示す触媒を有する
第3触媒層120Cで第3水素化処理工程が行われ、重
質油RC中の重質分と軽質分の両者の脱硫脱窒素が行わ
れる。
【0056】従って、軽油留分を含む重質油RCの直接
脱硫において、重質油RC中の重質分に適した細孔径の
第2触媒層120Bで第2水素化処理工程が行われ、重
質分と軽質分に適した細孔径の第3触媒層120Cで第
3水素化処理工程が実施され、さらに、これを軽油脱硫
装置30で再度脱硫することにより、極めて硫黄化合物
の少ない脱硫軽油DGOと良質な脱硫重油の両者を得る
ことができる。
【0057】(7) 第2触媒層120Bにおいて、無機酸
化物担体に周期律表第VIA族の金属、第VIIIA族の金
属、並びにリンおよび/またはほう素を担持させたもの
を有する触媒を用いているので、第2水素化処理工程に
おける脱硫率のみならず、第3水素化処理工程における
脱硫および脱窒素率をも向上することができる。 (8)さらに、直接脱硫装置120の反応塔内における第
1〜第3触媒層120A、120B、120Cの充填比
率が上述した比率に設定されているので、適切な触媒量
で重質油RC中の硫黄化合物および金属元素を除去する
ことができ、金属元素、硫黄化合物等を確実に除去した
燃料油を得ることができる。
【0058】尚、本発明は、前述の実施形態に限定され
るものではなく、次に示すような変形をも含むものであ
る。前記実施形態では、常圧蒸留装置10における直留
軽油の90%留出温度を変更することにより、軽油留分
を含む重質油RCを採取していたがこれに限られない。
すなわち、常圧残油に別途直留軽油を添加して、軽油留
分を含む重質油を生成してもよい。また、常圧残油に添
加するものとしては、直留軽油に限られるものではな
く、減圧軽油(VHLGO)、分解軽油(LCO)、重
質軽油(HGO)等を通常の方法で脱硫した軽油であっ
てもよい。
【0059】また、前記実施形態では、中間留分DSG
Oは、混合装置60により直留軽油留分LGOと混合さ
れた後、軽油脱硫装置30により処理されていたが、こ
れに限らず、中間留分DSGOのみを軽油脱硫装置30
により処理して脱硫軽油DGOを得るようにしてもよ
い。さらに、前記実施形態では、直接脱硫装置120に
供給される重質油RCは、常圧蒸留装置10における直
留軽油留分LGOの90%留出温度を低めに設定し、軽
油留分を含む重質油であったがこれに限られない。すな
わち、常圧蒸留装置における直留軽油留分のカット温度
を通常の温度に設定し、その残渣油として得られる重質
油を用いてもよい。
【0060】そして、前記実施形態では、直接脱硫装置
120の第3触媒層120Cとして、無機酸化物担体に
周期律表第VIA族および第VIIIA族の金属を担持させた
触媒でもよいがこれに限られない。すなわち、第3触媒
層を構成する触媒として、無機酸化物担体に周期律表第
VIA族の金属と、第VIIIA族の金属と、リンおよび/ま
たはほう素を担持させた触媒を採用してもよい。このよ
うな触媒を採用すれば、第2水素化処理工程における重
質油の分解に起因する分解軽油留分の反応性を向上する
ことができるので、分解軽油留分を含む軽油留分の脱硫
率の向上を図ることができる。
【0061】その他、本発明の実施の際の具体的な構造
および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の
構造等としてもよい。
【0062】
【実施例】(実施例1)図1において、常圧蒸留装置1
0を運転して得られる重質油RCに、別の工程で留出し
た直留軽油留分LGOを混合して直接脱硫装置120に
よる直接脱硫、および軽油脱硫装置30による脱硫を行
いその脱硫率の評価を行った。尚、原料油の重質油RC
および直留軽油留分LGOの混合比は体積比でRC/L
GO=65%/35%であり、重質油RCおよび直留軽
油留分LGOの性状は表1に示される通りである。
【0063】直接脱硫装置120における脱硫条件は表
2に示す条件で行っている。また、直接脱硫装置120
の反応塔内の触媒は表3に示される触媒を用い、第1触
媒層120Aとして触媒F、第2触媒層120Bとして
触媒B、第3触媒層120Cとして触媒Gが採用されて
いる。なお、触媒の細孔分布等の測定は水銀圧入法によ
り、測定範囲は50Å〜10000Åである。一方、軽
油脱硫装置30は、第1実施例と同様に表4に示される
条件で脱硫を行い、脱硫処理用の触媒30Aとして表5
における触媒Eを採用している。
【0064】直接脱硫した後の得率は、表6に示される
ような体積割合であり、中間留分DSGOを39vol
%採取できた。表6に示される中間留分DSGOおよび
残油DSRCを分析したところ、表7に示されるような
性状を有することが確認された。表7に示される中間留
分DSGOを、軽油脱硫装置30で再度脱硫したとこ
ろ、得られた脱硫軽油DGOは、表8に示されるような
性状を有することが確認された。硫黄分0.006wt
%と硫黄分の少ない脱硫軽油DGOを得ることができ、
本発明による効果が確認された。
【0065】(比較例1)直接脱硫装置120の反応塔
内の触媒のうち、実施例1において第3触媒層120C
として触媒Gを用いた代わりに触媒Hを用いた以外は実
施例1と同様にして燃料油を得た。結果を表12、表1
3、表14に示した。 (比較例2)直接脱硫装置120の反応塔内の触媒のう
ち、実施例1において第3触媒層120Cとして触媒G
を用いた代わりに触媒Iを用いた以外は実施例1と同様
にして燃料油を得た。結果を表15、表16、表17に
示した。
【0066】(実施例2)実施例1と同様の手順で原料
油を変更して、直接脱硫装置120による直接脱硫、お
よび軽油脱硫装置30による脱硫を行いその脱硫率の評
価を行った。原料油は、表1の重質油RCおよび直留軽
油留分LGOを体積比RC/LGO=80%/20%で
混合したものである。
【0067】直接脱硫装置120の脱硫は、実施例1の
表2に示される条件で行った。触媒層120Cの触媒は
実施例1と同様である。また、軽油脱硫装置30の脱硫
条件および触媒も実施例1と同様である。直接脱硫した
後の得率は、表9に示されるような体積割合であり、中
間留分DSGOを35vol%採取できた。
【0068】表9に示される中間留分DSGOおよび残
油DSRCを分析したところ、表10に示されるような
性状を有することが確認された。表10に示される中間
留分DSGOを、軽油脱硫装置30で再度脱硫したとこ
ろ、得られた脱硫軽油DGOは、表21に示されるよう
な性状を有することが確認された。硫黄分0.006w
t%と、実施例1と同様の極めて硫黄分の少ない脱硫軽
油DGOを得ることができ、本発明による効果が確認さ
れた。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
【表8】
【0077】
【表9】
【0078】
【表10】
【0079】
【表11】
【0080】
【表12】
【0081】
【表13】
【0082】
【表14】
【0083】
【表15】
【0084】
【表16】
【0085】
【表17】
【0086】
【発明の効果】前述のような本発明によれば、重質留分
の脱硫のみならず軽油留分を含む重質油を直接脱硫して
脱硫重質油を生成しているので、重質油中の軽油留分
が、該軽油留分よりも高沸点の炭化水素油により希釈さ
れ、軽油留分中のいわゆる難脱硫性硫黄化合物を効率よ
く除去することができ、燃料油の硫黄含有量を十分に低
減することができ、かつ脱硫後の燃料油の品質を保つこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料油の脱硫システム
の構成の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 蒸留装置 120 直接脱硫装置 30 軽油脱硫装置 40 直接脱硫装置120の蒸留塔 50 軽油脱硫装置30の蒸留塔 60 混合装置 120A 第1触媒層 120B 第2触媒層 120C 第3触媒層 LGO 直留軽油 DGO 脱硫軽油 DSGO 中間留分 RC 重質油 DSRC 脱硫重油
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10G 45/08 C10G 45/08 Z C10L 1/08 C10L 1/08 Fターム(参考) 4G069 AA03 BA01A BA01B BA03A BA03B BB01A BB01B BB04A BB04B BC57A BC59B BC65A BC67B BC68B BC69A BD02A BD02B BD03A BD03B BD07A BD07B CC02 CC03 DA06 EA02Y EC03Y EC07Y EC14X EC14Y EC15X EC15Y EC18X EC18Y EC20 EE09 4H029 CA00 DA00 DA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重質油または軽油を含む重質油を直接脱
    硫して脱硫重質油を生成し、該脱硫重質油を蒸留して得
    られる留分を再度脱硫する脱硫燃料油の製造方法であっ
    て、前記直接脱硫は、平均細孔径が120〜250Åで
    ある水素化処理触媒を用いて水素化処理を行う第1水素
    化処理工程と、平均細孔径120〜170Åである水素
    化処理触媒を用いて水素化処理を行う第2水素化処理工
    程と、全細孔容量に対する細孔径40〜120Åの細孔
    容量が占める割合が20〜80%かつ全細孔容量に対す
    る細孔径500Å以上の細孔容量が占める割合が20〜
    80%であり、細孔分布が少なくとも2つの極大値を示
    す水素化処理触媒を用いて水素化処理を行う第3水素化
    処理工程とを含んで構成され、前記再度の脱硫は平均細
    孔径40〜120Åである水素化処理触媒を用いて水素
    化処理を行うことを特徴とする脱硫燃料油の製造方法。
  2. 【請求項2】 第1水素化処理工程、第2水素化処理工
    程および第3水素化処理工程で用いられる触媒がそれぞ
    れ無機酸化物担体に少なくとも周期律表第VIA族および
    第VIIIA族の金属を担持させたものであり、再度の脱硫
    工程で用いられる触媒が無機酸化物担体に周期律表第VI
    A族の金属、第VIIIA族の金属、並びにリンおよび/ま
    たはほう素を担持させたものである請求項1記載の脱硫
    燃料油の製造方法。
  3. 【請求項3】 第2水素化処理工程および/または第3
    水素化処理工程で用いられる触媒が、それぞれ、さら
    に、リンおよび/またはほう素を担持させたものである
    請求項2記載の脱硫燃料油の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の脱硫燃
    料油の製造方法において、前記直接脱硫は反応塔を備え
    た直接脱硫装置で行われ、該直接脱硫装置の反応塔は少
    なくとも前記第1水素化処理工程で用いられる触媒を充
    填した第1触媒層、前記第2水素化処理工程で用いられ
    る触媒を充填した第2触媒層、および前記第3水素化処
    理工程で用いられる触媒を充填した第3触媒層を有し、
    前記反応塔内の触媒全量に対して前記第1触媒層の充填
    比率が10〜50vol%、前記第2触媒層の充填比率
    が30〜80vol%、および前記第3触媒層の充填比
    率が5〜30vol%であることを特徴とする脱硫燃料
    油の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の脱硫燃
    料油の製造方法を実施する脱硫システムであって、原油
    をナフサ等の軽質留分、直留軽油、重質油に蒸留分離す
    る蒸留装置と、該重質油または軽油を含む該重質油を直
    接脱硫する直接脱硫装置と、該直接脱硫装置において脱
    硫油を蒸留して得られる脱硫軽油留分と前記直留軽油と
    を混合して混合油を得る混合装置と、該混合油を脱硫す
    る脱硫装置とを備えていることを特徴とする燃料油の脱
    硫システム。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の燃料油の脱硫システムを
    使用した請求項1〜4のいずれかに記載の脱硫燃料油の
    製造方法において、蒸留装置により原油をナフサ等の軽
    質留分、直留軽油、重質油に蒸留分離する際、該直留軽
    油の蒸留性状のうち90%留出温度が通常の直留軽油の
    90%留出温度に対し5%以上低くなるように蒸留分離
    することを特徴とする脱硫燃料油の製造方法。
JP11177884A 1999-06-24 1999-06-24 脱硫燃料油の製造方法 Pending JP2001003066A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11177884A JP2001003066A (ja) 1999-06-24 1999-06-24 脱硫燃料油の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11177884A JP2001003066A (ja) 1999-06-24 1999-06-24 脱硫燃料油の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001003066A true JP2001003066A (ja) 2001-01-09

Family

ID=16038751

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11177884A Pending JP2001003066A (ja) 1999-06-24 1999-06-24 脱硫燃料油の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001003066A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001162168A (ja) * 1999-09-29 2001-06-19 Petroleum Energy Center 水素化処理触媒及び該触媒を用いた重質炭化水素油の水素化処理方法
WO2003104359A1 (en) * 2002-06-11 2003-12-18 Nippon Ketjen Co. Ltd. A process for the hydroprocessing of heavy hydrocarbon feeds using at least two reactors
JP2006181562A (ja) * 2004-12-24 2006-07-13 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 重質炭化水素油の水素化処理触媒組成物およびその製造方法
CN102876361A (zh) * 2012-09-28 2013-01-16 西南石油大学 一种石脑油脱芳烃-车用燃料油脱硫的耦联技术

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001162168A (ja) * 1999-09-29 2001-06-19 Petroleum Energy Center 水素化処理触媒及び該触媒を用いた重質炭化水素油の水素化処理方法
WO2003104359A1 (en) * 2002-06-11 2003-12-18 Nippon Ketjen Co. Ltd. A process for the hydroprocessing of heavy hydrocarbon feeds using at least two reactors
JP2006181562A (ja) * 2004-12-24 2006-07-13 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 重質炭化水素油の水素化処理触媒組成物およびその製造方法
CN102876361A (zh) * 2012-09-28 2013-01-16 西南石油大学 一种石脑油脱芳烃-车用燃料油脱硫的耦联技术

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5622736B2 (ja) 高エネルギー留出燃料組成物及びそれを作製する方法
EP1349905B1 (en) Method for forming a low-sulfur, high-octane naphtha for gasoline blending
RU2394875C2 (ru) СПОСОБ ПРЕДВАРИТЕЛЬНОЙ ОЧИСТКИ СЫРОЙ НЕФТИ ДЛЯ ПРОИЗВОДСТВА ПО МЕНЬШЕЙ МЕРЕ ДВУХ НЕФТЕЙ Pa, Pb, НЕ СОДЕРЖАЩИХ АСФАЛЬТЕНОВ, И ОДНОЙ НЕФТИ Pc, СОДЕРЖАЩЕЙ АСФАЛЬТЕНЫ
US5011593A (en) Catalytic hydrodesulfurization
EP1600491A1 (en) Catalytic hydrorefining process for crude oil
JPH05247474A (ja) 炭化水素の改質方法
JP2010539253A (ja) ディーゼル沸点範囲原料の固体酸補助高度脱硫
JPH08209154A (ja) 接触分解ガソリンの脱硫処理方法
JP4496647B2 (ja) 非常に高品質の基油および場合によっては中間留分の適応性のある(フレキシブルな)製造方法
CN107109255A (zh) 最大化高质量馏出物的方法
KR20040002776A (ko) 가솔린의 황 및 올레핀 함량 저감 방법
JP2001003066A (ja) 脱硫燃料油の製造方法
JP4217336B2 (ja) 燃料油の脱硫方法および燃料油の脱硫システム
EP0584369B1 (en) Process for hydrotreating heavy hydrocarbon oil
JP2003183676A (ja) 低硫黄分ガソリンの製造方法
CN114437786B (zh) 一种劣质原料油的加氢裂化方法
JP2008138185A (ja) ガソリン組成物
KR20040019984A (ko) 가솔린으로부터 메르캅탄을 제거하기 위한 수소화 방법
US9528052B2 (en) Two stage diesel aromatics saturation process using base metal catalyst
JPH0753968A (ja) 重質炭化水素油の水素化処理方法
CN1331989C (zh) 一种加氢改质异构降凝生产柴油的方法
US9683182B2 (en) Two-stage diesel aromatics saturation process utilizing intermediate stripping and base metal catalyst
JP4216624B2 (ja) 深度脱硫軽油の製造方法
JP4766940B2 (ja) 炭化水素油の製造方法
JPH05311179A (ja) 低硫黄分高性能軽油の製造方法