JP2001002957A - 架橋性(メタ)アクリルシラップを含む被覆材用組成物 - Google Patents

架橋性(メタ)アクリルシラップを含む被覆材用組成物

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JP2001002957A
JP2001002957A JP17151899A JP17151899A JP2001002957A JP 2001002957 A JP2001002957 A JP 2001002957A JP 17151899 A JP17151899 A JP 17151899A JP 17151899 A JP17151899 A JP 17151899A JP 2001002957 A JP2001002957 A JP 2001002957A
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metal
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acrylic
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Akihiko Fukada
亮彦 深田
Mari Otani
真理 大谷
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート、金属等の基材との密着性に優
れ、かつ靭性、耐熱性、耐溶剤性、耐磨耗性、速硬化
性、表面硬度、作業時の取り扱い性が良好な架橋性(メ
タ)アクリルシラップを含む被覆材用組成物を提供す
る。 【解決手段】 重合性二重結合を分子内に複数個有する
(メタ)アクリル系重合体(A)と重合性単量体(B)
を含み、(A)と(B)に含まれるカルボキシル基の量
の総和が、(A)と(B)の混合物1gに対して1×1
-6モル〜30×10-4モルである事を特徴とする架橋
性(メタ)アクリルシラップを含む被覆材用組成物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート、金
属、プラスチック、ガラス等の各種基材との密着性に優
れ、かつ被覆塗膜としての靭性、耐熱性、耐溶剤性、耐
磨耗性、速硬化性、表面硬度にも優れ、かつ作業時の取
り扱い性が良好な架橋性(メタ)アクリルシラップを含
む被覆材用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各分野における被覆材用の樹
脂としてはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビ
ニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、アクリ
ルシラップなどが用いられている。
【0003】例えば、エポキシ樹脂は優れた耐薬品性と
強度物性から、土木建築分野での被覆材として、床面ラ
イニングや、コンクリート防蝕コーティング材などとし
て広く用いられている。しかしながら、エポキシ樹脂の
硬化反応は逐次重合であるため速度が非常に遅く、最終
物性に到達するまでに常温で数日かかることがある。実
際の問題としては冬場の低温条件では施工ができなかっ
たり、水分の影響によって硬化性が影響されるため、工
期が長くなってコスト高になることや、硬化不良による
クレームが発生することがある。
【0004】不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル
樹脂、ウレタンアクリレート樹脂も床面ライニング材と
して用いられている。これらの樹脂の場合、ラジカル重
合によって硬化が進行するため最終到達物性に到るまで
の速度は速いが、耐候性や耐アルカリ性が十分ではな
く、耐久性に問題がある。
【0005】また、これらの樹脂は硬化性、ハンドリン
グ性の良さからバスタブ、キッチンカウンタートップ、
防水パン等の成形品の被覆層すなわちゲルコートとして
広く用いられている。しかし、樹脂骨格または単量体中
に芳香環を有するため、耐候性や耐熱変色性が劣る傾向
にある。
【0006】アクリルシラップは(メタ)アクリレート
の重合速度がスチレンよりも速いために、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレー
ト樹脂よりもさらに速硬化かつ低温硬化が達成される。
また、ポリマーの構造の特徴として、耐候性が良好であ
り、かつ耐薬品性にも優れているが、得られる硬化物が
架橋されていないため耐溶剤性や耐熱性に劣る。一方、
架橋構造を持たせるために多官能重合性単量体を添加す
ることも可能であるが、この方法では硬化物に堅脆い性
質が出て靭性が低下する。床ライニング等コンクリート
に接するような用途で、寒暖の差の大きい場所ではコン
クリートの伸縮によるクラックなどが発生しないよう
に、伸縮に追従できる靭性が必要であり、それを達成で
きる架橋していないアクリルシラップでは十分な耐溶剤
性や耐熱性が得られない。また、バスタブ、キッチンカ
ウンタートップ、防水パン等の成形品のゲルコート材と
しても、耐溶剤性、耐熱性、高靭性が必要であり、十分
な靭性と十分な耐溶剤性、耐熱性を両立させることは困
難である。
【0007】耐溶剤性、耐熱性などを保持し、かつ高靭
性を達成できる分子構造として側鎖に重合性二重結合を
有するアクリル系重合体が考えられている。特開昭63
−37112号公報にはそのような重合体が記載されて
いるが、十分なカルボキシル基が含有されていないた
め、接着性、靭性、耐熱性が十分な被覆材が得られな
い。また、特開平8−217819号公報、特開平9−
302010号公報、特開平10−139512号公報
には、成形材料として、上記の側鎖に重合性二重結合を
有するアクリル系重合体の技術が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、コンクリー
ト、金属等の基材との密着性に優れ、かつ靭性、耐熱
性、耐溶剤性、耐磨耗性、速硬化性、表面硬度、作業時
の取り扱い性が良好な架橋性(メタ)アクリルシラップ
を含む被覆材用組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意検討の結果、以下の構成を取り、本発明を完成
させるに至った。
【0010】本発明の架橋性(メタ)アクリルシラップ
を含む被覆材用組成物は、上記の課題を解決するため
に、重合性二重結合を分子内に複数個有する(メタ)ア
クリル系重合体(A)と重合性単量体(B)を含み、
(A)と(B)に含まれるカルボキシル基の量の総和
が、(A)と(B)の混合物1gに対して1×10−6
モル〜30×10−4モルである事を特徴とする架橋性
(メタ)アクリルシラップを含む被覆材用組成物であ
る。上記、被覆材組成物中に含まれる(メタ)アクリル
系重合体(A)と重合性単量体(B)の合計量が5〜1
00重量%である事はさらに好ましい形態である。
【0011】また、さらに、重合性二重結合を分子内に
複数個有する(メタ)アクリル系重合体(A)の二重結
合1つ当たりの分子量が500〜20,000であるこ
と、さらに上記重合性単量体(B)の中に、沸点が14
0℃以上の高沸点の重合性単量体を、重合性単量体
(B)の総量に対して20重量%以上含有していること
が好ましい形態である。
【0012】上記の構成によれば、コンクリート、金属
等の基材との密着性に優れ、かつ靭性、耐熱性、耐溶剤
性、耐磨耗性、速硬化性、表面硬度、作業時の取り扱い
性が良好な架橋性(メタ)アクリルシラップを含む被覆
材用組成物を提供することができる。
【0013】以下に本発明の詳細を説明する。
【0014】本発明において用いられる架橋性(メタ)
アクリルシラップは、重合性二重結合を分子内に複数個
有する(メタ)アクリル系重合体(A)と重合性単量体
(B)を含む混合物を意味する。
【0015】重合性二重結合を分子内に複数個有する
(メタ)アクリル系重合体(A)に導入される重合性二
重結合の当量、即ち重合性二重結合1つあたりの分子量
は、500〜20,000の範囲内であることが好まし
く、3,000〜15,000の範囲内であることがよ
り好ましく、4,000〜10,000の範囲内である
ことが最も好ましい。なお、上記の重合性二重結合当量
は、重合性二重結合を分子内に複数個有する(メタ)ア
クリル系重合体(A)の重量平均分子量/該重合体1分
子に含まれる重合性二重結合の数により求められる。重
合性二重結合当量が500未満であると、重合性二重結
合を分子内に複数個有する(メタ)アクリル系重合体
(A)を含む(メタ)アクリルシラップを硬化させて得
られる硬化物にクラックが発生する場合があり、一方、
重合性二重結合当量が20,000を超えると、重合性
二重結合を分子内に複数個有する(メタ)アクリル系重
合体(A)を含む(メタ)アクリルシラップを硬化させ
て得られる硬化物の耐熱性や耐溶剤性等の性能が低下す
る場合がある。
【0016】本発明の被覆材用組成物は、組成物中に、
重合性二重結合を分子内に複数個有する(メタ)アクリ
ル系重合体(A)と重合性単量体(B)を含み、(A)
および/または(B)に含まれるカルボキシル基の量の
総和が、(A)と(B)の混合物1gに対して1×10
-6モル〜30×10-4モルである事を特徴としている。
上記カルボキシル基は、上述の総和のカルボキシル基の
量を満足すれば、(メタ)アクリル系重合体(A)と重
合性単量体(B)のどちらに存在するかは特に限定され
るものではない。(メタ)アクリル系重合体(A)と重
合性単量体(B)のそれぞれにのみ存在する事もできる
し、また(メタ)アクリル系重合体(A)と重合性単量
体(B)の両方に存在することもできる。少なくとも、
(メタ)アクリル系重合体(A)に存在することが好ま
しい。また(メタ)アクリル系重合体(A)と重合性単
量体(B)の双方に存在することが好ましい。
【0017】重合性二重結合を分子内に複数個有する
(メタ)アクリル系重合体(A)中に含まれるカルボキ
シル基の濃度は特に規定されるものではないが、(A)
成分1g中に0.01×10-5モル〜60×10-4モル
であることが好ましい。(A)中のカルボキシル基濃度
が(A)成分1g中に60×10-4モルより大きくなる
と、樹脂の粘度が高くなって作業性が低下する。また後
でも詳細に述べるが、重合性単量体(B)中に含まれる
カルボキシル基の濃度は特に規定されるものではない
が、(B)成分1g中に0.01×10-4モル〜100
×10-4モルであることが好ましい。(B)成分中のカ
ルボキシル基濃度が(B)成分1g中に100×10-4
モルより大きくなると、得られる架橋性(メタ)アクリ
ルシラップの取扱い安全性が低下する。
【0018】重合性二重結合を分子内に複数個有する
(メタ)アクリル系重合体(A)の分子量は、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換
算での重量平均分子量が3,000〜1,000,00
0の範囲内が好ましく、5,000〜100,000の
範囲内がより好ましく、10,000〜60,000の
範囲内であることが最も好ましい。重量平均分子量が
3,000未満であると、重合性二重結合を分子内に複
数個有する(メタ)アクリル系重合体(A)を含む(メ
タ)アクリルシラップを硬化させた硬化物の性能が低下
し、一方、重量平均分子量が1,000,000を超え
ると、重合性二重結合を分子内に複数個有する(メタ)
アクリル系重合体(A)を含む(メタ)アクリルシラッ
プの粘度が高くなり、硬化剤の混合や塗工等の作業性に
支障をきたす場合がある。
【0019】重合性二重結合を分子内に複数個有する
(メタ)アクリル系重合体(A)の製造方法としては、
特に限定しないが、例えば(メタ)アクリル系重合体の
合成時に官能基を有する不飽和単量体を共重合させるこ
とにより分子中に官能基を有する(メタ)アクリル系重
合体をまず合成し、続いてその官能基と反応性を有する
別の官能基を有する重合性単量体を反応させることによ
り重合性二重結合を分子内に複数個有する(メタ)アク
リル系重合体(A)を得ることができる。
【0020】反応性を有する2つの官能基の組み合わせ
の例としては、カルボキシル基とグリシジル基、カルボ
キシル基とヒドロキシル基、カルボキシル基とアミノ
基、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボキシル基
とアジリジン基、ヒドロキシル基と酸無水物、ヒドロキ
シル基とイソシアネート基などがあげられるが、これら
に限定されるものではない。これらの官能基の組み合わ
せのどちらの官能基を有する重合性単量体を(メタ)ア
クリル系単量体およびそれ以外の重合性単量体と共重合
させるかは特に限定されない。ただし、(メタ)アクリ
ル系重合体中に重合性二重結合とカルボキシル基の両方
を含有させる場合には、カルボキシル基と重合性二重結
合を導入するための官能基の反応性が高いと共重合中に
重合体間の架橋結合が形成され、ゲル化する恐れがあ
る。従って、そのような場合はカルボシキル基と反応性
の低い官能基を持った重合性単量体を(メタ)アクリル
系単量体、(メタ)アクリル系単量体以外の重合性単量
体およびカルボキシル基含有の重合性単量体と共重合さ
せた後、導入された官能基と反応性の高い官能基を有す
る重合性単量体と反応させて(メタ)アクリル系重合体
中にカルボキシル基と重合性二重結合の両方を導入する
方法が好ましい。さらに、反応の簡便性、利便性から
は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体
の一部のカルボキシル基のみにグリシジル基を含む重合
性単量体を反応させる方法が好ましい。
【0021】重合性二重結合を分子内に複数個有する
(メタ)アクリル系重合体(A)の製造に用いられる単
量体としては、従来公知の(メタ)アクリル系単量体が
使用可能である。具体的には、例えば、(メタ)アクリ
ル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n―
ブチル(メタ)アクリレート、i―ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ラウリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メ
タ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベ
ンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール
(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール
(メタ)アクリレート、エトキシプロピレングリコール
(メタ)アクリレート、ブトキシプロピレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコー
ル(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコ
ール(メタ)アクリレート、ブトキシジプロピレングリ
コール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレング
リコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロ
ピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリ
プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ
トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メト
キシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エ
トキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリ
レート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)ア
クリレート、ブトキシポリプロピレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレ
ート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、アリル(メタ)アクリレート、アリルアル
コールのオリゴエチレンオキサイド付加物の(メタ)ア
クリレート、アリルアルコールのポリプロピレンオキサ
イド付加物の(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸エステル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等
の塩基性(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルア
ミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、
N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メ
タ)アクリルアミド類;エチルー2−シアノー3,5−
ジフェニルアクリレート等の紫外線吸収性基を有する
(メタ)アクリレート類、その他(メタ)アクリロニト
リル、(メタ)アクロレイン等が使用できる。
【0022】これらの(メタ)アクリル系単量体の使用
量は重合性二重結合を分子内に複数個有する(メタ)ア
クリル系重合体(A)を構成する成分の50重量%以上
であることが好ましく、70重量%以上であることが更
に好ましく、80重量%以上であることが最も好まし
い。
【0023】上記(メタ)アクリル系単量体以外に、そ
れらと共重合可能な不飽和単量体も使用可能である。具
体的には例えば、スチレン、α―メチルスチレン、ビニ
ルトルエン、クロロスチレン等のスチレン類;酢酸ビニ
ル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチ
ルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル類;アリルアルコール、アリルグリシジルエーテ
ル、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレ
ングリコールモノアリルエーテル等のアリル化合物;
N−フェニルマレイミド、N−シクロへキシルマレイミ
ド、N−イソプロピルマレイミド等のN−置換マレイミ
ド類等を用いることができる。
【0024】これらの(メタ)アクリル系単量体以外の
それらと共重合可能な不飽和単量体の使用量は、重合性
二重結合を分子内に複数個有する(メタ)アクリル系重
合体(A)を構成する成分の50重量%未満であること
が好ましく、30重量%未満であることが更に好まし
く、20重量%未満であることが最も好ましい。
【0025】上記重合性単量体成分を重合させる際に
は、重合開始剤を使用することが望ましい。上記の重合
開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパー
オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチル
ケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ -2-エチル
ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-
ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキ
サイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパ
ーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パー
オキシジカーボネート等の有機過酸化物; 2,2'-アゾビ
スイソブチロニトリル、2-フェニルアゾ -2,4-ジメチル
-4-メトキシバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げら
れるが、特に限定されるものではない。これら重合開始
剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混
合して用いてもよい。重合性単量体成分に対する重合開
始剤の添加量等は、特に限定されるものではない。
【0026】上記重合性単量体成分を重合させる際に
は、重合体の平均分子量等を調節するために、連鎖移動
剤を添加するのがより望ましい。上記連鎖移動剤として
は、重合性単量体成分の重合反応を極めて容易に制御で
きることから、チオール化合物が特に好適に用いられる
が、特に限定されるものではなく、α−メチルスチレン
ダイマー、四塩化炭素等を用いることもできる。上記チ
オール化合物としては、具体的には、例えば、t-ブチル
メルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメ
ルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオフェノー
ル、チオナフトール等の芳香族メルカプタン;チオグリ
コール酸;チオグリコール酸オクチル、エチレングリコ
ールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリ
ス-(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラ
キス-(チオグリコレート)等のチオグリコール酸アルキ
ルエステル;β−メルカプトプロピオン酸;β−メルカ
プトプロピオン酸オクチル、1,4-ブタンジオールジ(β
−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリ
ス-(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトール
テトラキス-(β−チオプロピオネート)等のβ−メルカ
プトプロピオン酸アルキルエステル等が挙げられるが、
特に限定されるものではない。これら連鎖移動剤は、一
種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合
して用いてもよい。
【0027】連鎖移動剤の使用量は、該連鎖移動剤の種
類や(メタ)アクリル酸エステル等との組み合わせ等に
応じて選択すればよく、特に限定されるものではない
が、重合性単量体成分に対して 0.1重量%〜15重
量%の範囲内が好適である。
【0028】単量体成分の重合方法については、特に限
定されるものではないが、重合性単量体成分の重合を途
中で停止させる方法、即ち、部分重合が好ましい。これ
により(メタ)アクリル系重合体と未反応の重合性単量
体成分との混合物が得られ、一段階で(メタ)アクリル
シラップを得ることができる。重合性単量体成分の重合
を途中で停止させる時期であるが、例えば上記製法の途
中で、重合体と単量体の混合物であるアクリルシラップ
をサンプリングし、その固形分を測定することで所望の
部分重合したシラップを得ることができる。例えばその
好ましい固形分の範囲は、好ましくは10〜90%であ
る。より好ましくは20〜80%、さらに好ましくは3
0〜70%である。アクリルシラップの固形分が10%
以下であると被覆材用組成物の収縮率が大きくなるため
に、接着剤層の残留歪みが大きく、硬化時にクラック等
が発生することがある。また、90%以上だとアクリル
シラップの粘度が大きくなり被覆材組成物とした時の塗
工性等の作業性が低下する。
【0029】また、重合性単量体成分の重合方法として
は、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合
等の公知の重合方法が挙げられるが、塊状重合が特に好
ましい。懸濁重合を採用する場合には、ポリビニルアル
コール等の分散安定剤を用いて、水等の分散媒中に懸濁
させればよい。上記の重合を行う際の反応温度や反応時
間等の反応条件は、特に限定されるものではなく、例え
ば、公知の反応条件を採用することができる。尚、上記
の重合は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0030】上記カルボキシル基を有する重合性単量体
としては、一分子中に、重合可能な二重結合と、カルボ
キシル基とを含有する化合物であればよく、特に限定さ
れるものではない。具体的には、例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸等の不飽和
モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジ
カルボン酸のモノエステル;酸無水物のモノエステル等
の長鎖カルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
【0031】上記の不飽和ジカルボン酸のモノエステル
としてはマレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチ
ル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、
フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モ
ノブチル、フマル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエ
チル等が挙げられる。上記の酸無水物のモノエステルと
しては、コハク酸モノエステル、フタル酸モノエステ
ル、ヘキサフタル酸モノエステル等が挙げられる。これ
らカルボキシル基含有単量体は、単独で用いてもよく、
また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0032】尚、上記の長鎖カルボキシル基含有単量体
は、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エス
テルのヒドロキシル基を、酸無水物でエステル化するこ
とによって得られる。上記酸無水物としては、無水コハ
ク酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸等が挙
げられる。上記のヒドロキシル基を含有する(メタ)ア
クリル酸エステルとしては、2-ヒドロキシルエチル(メ
タ)アクリレート、2-ヒドロキシルエチル(メタ)アク
リレートへのε−カプロラクトン開環付加物または2-ヒ
ドロキシルエチル(メタ)アクリレートへのγ−ブチロ
ラクトンの開環付加物等を用いることができる。
【0033】上記酸無水物と反応性を有する官能基を有
する重合性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレートへのε―カプロラクトン開環付加物、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレートへのγ―ブチロラク
トン開環付加物等のヒドロキシル基含有重合性単量体;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有重
合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等
のオキサゾリン基含有重合性単量体、2−(1−アジリ
ジニル)エチル(メタ)アクリレート等のアジリジン基
含有単量体等が挙げられる。
【0034】また上記酸無水物としては無水フタル酸、
無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等
が挙げられる。
【0035】上記のカルボキシル基とグリシジル基を反
応させる方法において、反応を迅速に進行させるために
エステル化触媒を用いることができる。上記触媒として
はトリエチルアミンなどアミン類、テトラエチルアンモ
ニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩類、トリフ
ニルホスフィンなどのリン化合物など一般的によく用い
られるものでよい。また、上記エステル化触媒は、Z
n、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも
1つの元素を含有する金属化合物(以下、単に金属化合
物と記す)および/または4級ホスホニウム塩であるこ
とが好ましい。上記金属化合物および/または4級ホス
ホニウム塩は、触媒活性が高く、主にカルボキシル基含
有(メタ)アクリルシラップが有するカルボキシル基と
不飽和エポキシ化合物との反応を促進することができ、
また、得られる架橋性(メタ)アクリルシラップを着色
させることがない。より好ましくは、得られる架橋性
(メタ)アクリルシラップのハーゼンが0〜50の範囲
が好ましい。より好ましくは0〜30である。
【0036】さらに、上記金属化合物および/または4
級ホスホニウム塩を用いることにより、エステル化触媒
による得られる架橋性(メタ)アクリルシラップの貯蔵
安定性の低下を防止することができる。
【0037】上記金属化合物としては、Zn、Snおよ
びZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を
含有する無機金属化合物、オキソ酸金属塩、ポリオキソ
酸金属塩、有機金属化合物、有機酸金属塩、金属錯塩等
を用いることができる。
【0038】上記無機金属化合物としては、Zn、Sn
およびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの金
属の金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ
化物等の金属ハロゲン化物;金属酸化物、金属硫化物等
の金属カルコゲン化物;金属窒化物;金属リン化物;金
属砒化物;金属炭化物;金属ケイ化物;金属ホウ化物;
金属シアン化物;金属水酸化物;金属塩化酸化物等を用
いることができる。上記無機金属化合物としては、具体
的には、塩化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化スズ等が挙
げられる。
【0039】上記オキソ酸金属塩としては、Zn、Sn
およびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの金
属の硫酸金属塩、硝酸金属塩、リン酸金属塩、ホスフィ
ン酸金属塩、ホスホン酸金属塩、メタリン酸金属塩、ホ
ウ酸金属塩、塩素酸金属塩、臭素酸金属塩、ヨウ素酸金
属塩、ケイ酸金属塩等を用いることができる。上記オキ
ソ酸金属塩としては、具体的には、硫酸スズ、リン酸亜
鉛、硝酸ジルコニウム等が挙げられる。尚、オキソ酸金
属塩には、リン酸水素亜鉛のような水素塩も含まれるも
のとする。
【0040】上記ポリオキソ酸金属塩としては、Zn、
SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つ
の金属のポリリン酸金属塩、ポリホウ酸金属塩、ポリニ
オブ酸金属塩、ポリタンタル酸金属塩、ポリモリブデン
酸金属塩、ポリバナジン酸金属塩、ポリタングステン酸
金属塩等を用いることができる。上記ポリオキソ酸金属
塩としては、具体的には、ポリリン酸亜鉛等が挙げられ
る。
【0041】上記有機金属化合物としては、一般式
(1) M−(R)n…(1) (上記式中、Mは、Zn、SnおよびZrからなる群よ
り選ばれる少なくとも1つの元素であり、Rは、メチ
ル、エチル、メトキシ、エトキシ等の有機基であり、n
は1〜6の整数である。)で表される有機金属化合物を
用いることができる。上記有機金属化合物としては、具
体的には、ジエチル亜鉛、テトラエトキシジルコニウム
等が挙げられる。
【0042】上記有機酸金属塩としては、金属石鹸を用
いることができる。上記金属石鹸としては、Zn、Sn
およびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの金
属の脂肪酸金属塩(ラウリル酸金属塩、ミリスチン酸金
属塩、パルミチン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、オレ
イン酸金属塩等)、ナフテン酸金属塩、オクチル酸金属
塩、スルホン酸金属塩、硫酸エステル金属塩、リン酸エ
ステル金属塩等を用いることができる。上記金属石鹸と
しては、具体的には、オクチル酸亜鉛、ステアリンスズ
等が挙げられる。
【0043】上記有機酸金属塩は、金属石鹸以外であっ
てもよい。金属石鹸以外の有機酸金属塩としては、Z
n、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも
1つの金属の酢酸金属塩、安息香酸金属塩、サリチル酸
金属塩、シュウ酸金属塩、酒石酸金属塩、乳酸金属塩、
クエン酸金属塩等を用いることができる。金属石鹸以外
の有機酸金属塩としては、具体的には、酢酸亜鉛、サリ
チル酸スズ等が挙げられる。
【0044】上記金属錯塩としては、一般式(2) M−(L)n…(2) (上記式中、Mは、Zn、SnおよびZrからなる群よ
り選ばれる少なくとも1つの元素であり、Lは、アセチ
ルアセトン等の配位子、nは1〜6の整数である。)で
表される金属錯塩を用いることができる。上記有機金属
化合物としては、具体的には、アセチルアセトン亜鉛等
が挙げられる。
【0045】上記4級ホスホニウム塩としてはテトラフ
ェニルホスニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニ
ウムクロライド、テトラブチルホスニウムブロマイド、
ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等が挙げら
れるが、特にテトラフェニルホスホニウム塩が好まし
い。
【0046】上記エステル化触媒の使用量は、その種類
やカルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体との組
み合わせ等に応じて設定すればよく、特に限定されるも
のではないが、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系
重合体 100重量部に対して、0.005重量部〜5重量部の
範囲内が好ましく、 0.05重量部〜3重量部の範囲内が
より好ましい。また、これらエステル化触媒は、一種類
のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して
用いてもよい。
【0047】上記エステル化反応を行う際には、重合禁
止剤を共存させてもよい。上記重合禁止剤としては、ハ
イドロキノン、メチルハイドロキノン、メトキシハイド
ロキノン、tert-ブチルハイドロキノン等を用いること
ができる。上記エステル化反応を行う際には、溶媒を用
いることができる。上記溶媒としては、水および/また
は有機溶媒を用いることができる。
【0048】上記エステル化反応においてカルボキシル
基含有(メタ)アクリル系重合体、不飽和エポキシ化合
物、および金属化合物を混合する順序や方法は、特に限
定されるものではなく、カルボキシル基含有(メタ)ア
クリル系重合体と不飽和エポキシ化合物との反応時に金
属化合物が存在していればよい。
【0049】重合性二重結合を分子内に複数個有する
(メタ)アクリル系重合体(A)の製造方法としては上
記のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体
の一部のカルボキシル基のみにグリシジル基を含む重合
性単量体を反応させる方法以外に、例えば、(メタ)ア
クリル系単量体、カルボキシル基含有単量体、ヒドロキ
シル基含有単量体を共重合させた後、有機錫化合物など
のウレタン化触媒を用いてイソシアネート基含有重合性
単量体を重合体中のヒドロキシル基に反応させる方法、
(メタ)アクリル系単量体、ヒドロキシル基含有単量体
を共重合させた後、不飽和酸無水物を重合体中のヒドロ
キシル基に反応させる方法等があるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0050】重合性単量体(B)としては、先記の重合
性二重結合を分子内に複数個有する(メタ)アクリル系
重合体(A)の原料として使用できる重合性単量体、す
なわち(メタ)アクリル系単量体;スチレン類;ビニル
エステル類;ビニルエーテル類;アリル化合物; N−
置換マレイミド類を適宜用いることができる。また、
(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有(メタ)ア
クリレート;不飽和ジカルボン酸およびそれらの酸の無
水物;不飽和カルボン酸エステル類などのカルボキシル
基含有重合性単量体を含んでいてもよい。更に、硬化物
の耐熱性・耐薬品性等の性能向上のため、多官能の重合
性単量体を使用しても良い。多官能の重合性単量体の種
類は特に限定されないが、具体的には、例えば、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングエリコ
ールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート等の多官能(メタ)アクリレート類;エポキシ
(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジビニル
エーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ト
リエチレングリコールジビニルエーテル、シクロへキサ
ンジメタノールジビニルエーテル等の多官能ビニルエー
テル類;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジア
リルイソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリア
リルイソシアヌレート等の化合物が挙げられる。以上の
重合性単量体は、それぞれ単独で、または2種類以上を
併用して使用してもよい。
【0051】これらの(メタ)アクリル系単量体および
それ以外の重合性単量体は1種類のみを混合してもよ
く、また2種類以上を適宜組み合わせて混合してもよ
い。(メタ)アクリル系単量体に(メタ)アクリル系単
量体以外の重合性単量体を混合する場合における両者の
混合割合、すなわち上記単量体成分における(メタ)ア
クリル系単量体以外の不飽和単量体の含有率は、所望に
より調整が可能であり、特に限定されるものではない。
【0052】重合性単量体(B)中に含まれるカルボキ
シル基の濃度は特に規定されるものではないが、(B)
成分1g中に0.01×10-4モル〜100×10-4
ルであることが好ましい。(B)成分中のカルボキシル
基濃度が(B)成分1g中に100×10-4モルより大
きくなると、得られる架橋性(メタ)アクリルシラップ
の取扱い安全性が低下する。
【0053】特に被覆材組成物の低臭気性を求められる
用途または作業時の架橋性(メタ)アクリルシラップの
皮張りを嫌う用途においては、例えば前記のアルコキシ
オリゴエチレン(またはプロピレン)グリコールジ(メ
タ)アクリレート等の、常圧(760mmHg)におけ
る沸点が140℃以上の、いわゆる高沸点の重合性単量
体を重合性単量体(B)に含有していることが好まし
い。さらに好ましくは沸点が150℃以上の高沸点重合
性単量体を、最も好ましくは沸点が180℃以上の高沸
点の重合性単量体を重合性単量体(B)として含有して
いることが好ましい。
【0054】上述の高沸点の重合性単量体の含有量であ
るが、重合性単量体(B)の総量に対して、20重量%
以上含有することが好ましい。さらに好ましくは30重
量%である。さらに好ましくは50重量%であり、より
好ましくは60重量%である。最も好ましくは70重量
%である。高沸点成分が20重量%未満である場合には
架橋性(メタ)アクリルシラップを大気にさらすことに
よって皮張りしやすくなる。また、他の重合性単量体
量、すなわち高沸点の重合性単量体以外の単量体が、多
くなるので臭気が強くなってくる。
【0055】上記の高沸点の重合性単量体としては、オ
リゴアルキレングリコールの、アクリル酸等の不飽和酸
単量体のエステルである。具体的にはエチレングリコー
ルオリゴエチレングリコールやオリゴプロピレングリコ
ールのアクリル酸、またはメタクリル酸エステルであ
る。より具体的には、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(分子量が好ましくは800以下、さらに好ましくは6
00以下)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート(分子量が好ましくは800以下、さらに好ま
しくは600以下)、トリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート等があり、これらの単量体から選択さ
れる少なくとも1種の単量体を使用することができる。
特に好ましくは、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
である。
【0056】重合性二重結合を分子内に複数個有する
(メタ)アクリル系重合体(A)と重合性単量体(B)
との混合物が架橋性(メタ)アクリルシラップとなる
が、このアクリル系重合体(A)と重合性単量体(B)
との混合割合は、良好な作業粘度と硬化塗膜の物性バラ
ンスの観点から(A)/(B)=90/10〜10/9
0が好ましく、(A)/(B)=70/30〜30/7
0がより好ましい。(A)の混合割合が90%を超える
と、被覆材組成物の粘度が上昇し、硬化剤の混合や塗工
等の作業性が低下する。また、(A)の混合割合が10
%未満の場合は、硬化物が熱可塑性の傾向を示し、耐熱
性や耐薬品性能が低下する場合がある。上記配合割合に
て得られた架橋性アクリルシラップは、通常は室温付近
にて0.1〜100ポイズの粘度を有しており、用途に
応じて重合性二重結合を分子内に複数個有するアクリル
系重合体(A)と重合性単量体(B)の配合割合を任意
に変えることにより、所望の粘度に調製することが可能
である。
【0057】重合性二重結合を分子内に複数個有する
(メタ)アクリル系重合体(A)と重合性単量体(B)
を含む架橋性(メタ)アクリルシラップに含まれるカル
ボキシル基の濃度の上限は、(A)と(B)の混合物1
gに対して30×10-4モル以下であることが好まし
く、20×10-4モル以下であることが更に好ましく、
15×10-4モル以下であることが最も好ましい。ま
た、重合性二重結合を分子内に複数個有する(メタ)ア
クリル系重合体(A)と重合性単量体(B)を含む架橋
性(メタ)アクリルシラップに含まれるカルボキシル基
の濃度の下限は、(A)と(B)の混合物1gに対して
1×10-6モル以上であることが好ましく、1×10-5
モル以上であることが更に好ましく、1×10-4モル以
上であることが最も好ましい。上記カルボキシル基の濃
度が(A)と(B)の混合物1gに対して1×10-4
ル以下であると基材との密着性が十分でなく、また30
×10-4モル以上であると硬化物の耐水性が低下しやす
い傾向にある。
【0058】さらに、本発明の被覆材組成物には、本発
明の効果を阻害しない範囲で、硬化触媒、紫外線吸収
剤、各種熱重合抑制剤、レベリング剤、増粘剤、減粘
剤、パラフィン、チキソトロピー付与剤(揺変化剤)、
艶消し剤、着色顔料、希釈剤、充填材、強化材、熱可塑
性樹脂等を含んでいてもよい。また、他の重合性樹脂、
例えばアクリルウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリ
レート樹脂、エポキシ樹脂を含んでいても良い。
【0059】本発明の被覆材組成物は、重合性二重結合
を分子内に複数個有する(メタ)アクリル系重合体
(A)と重合性単量体(B)を必須的に含んでいる。該
被覆材組成物中に含まれるアクリル系重合体(A)と重
合性単量体(B)の合計量の割合は、5〜100重量%
が好ましく、さらに好ましくは10〜100重量%であ
る。より好ましくは、15〜100重量%である。上記
の添加してもよい添加剤や樹脂の量は特に限定されず、
所望により調整することができる。
【0060】上記の硬化触媒としては、具体的には、例
えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキ
サイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチル
パーオキシ -2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオ
キシオクトエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、
クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオ
キサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチル
シクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過
酸化物; 2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2-フェニ
ルアゾ -2,4-ジメチル -4-メトキシバレロニトリル等の
アゾ化合物等が挙げられるが、特に限定されるものでは
ない。これら硬化触媒は、単独で用いてもよく、また、
二種類以上を適宜混合して用いてもよい。単量体成分に
対する硬化触媒の添加量等は、特に限定されるものでは
ない。例えば、本発明の(A)と(B)を合せた量を10
0部として、0.1〜10部が好ましい。さらに好まし
くは0.5〜6部である。さらに好ましくは1〜3部で
ある。
【0061】また、紫外線吸収剤としては、市販の紫外
線吸収剤を添加することが可能である。例えば、ベンゾ
トリアゾール類、ベンゾエート類、シアノアクリレート
類、ベンゾフェノン類、フェニルサリチレート、p−t
−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニル
サリチレート等のサリチル酸エステル類;TINUVI
N 770,123,144,622(以上、Ciba
Geigy社製品名)、SANOL LS−770,
765,292,2626(以上、三共(株)製品
名)、アデカスタブ LA−52,57,62(以上、
旭電化(株)製品名)等のヒンダードアミン類が使用可
能である。
【0062】本発明の架橋性アクリルシラップを含む被
覆材用組成物にパラフィンを添加することで、被覆材物
性として優れた塗膜硬度、強度、耐熱性に合せて、良好
な空気乾燥性がえられるので、特に土木・建築材用の被
覆材用途で、空気乾燥性が必要なコーティング材用途に
最適な被覆材組成物とすることができる。
【0063】上述のパラフィンとしては、シラップ樹脂
が硬化する際にシラップ樹脂表面に析出し、空気との遮
断層を塗膜上に形成できるものであれば特に限定されな
い。市販のパラフィンを使用することができる。パラフ
ィンの融点としては、好ましくは40〜130℃、さら
に好ましくは50〜110℃、最も好ましくは60〜1
00℃である。またパラフィンの添加量としては、本発
明の重合性二重結合を分子内に複数個有する(メタ)ア
クリル系重合体(A)と重合性単量体(B)の合計量で
ある液状樹脂成分を100部とした場合、0.01〜5
部が好ましい。さらに好ましくは0.05〜2部、最も
好ましくは0.1〜1部である。
【0064】また、本発明の被覆材組成物を用いてゲル
コート材とする場合、液状樹脂成分が、例えば吹き付け
面上で垂れることや、移動することを防止するために、
本発明の被覆材組成物は、チキソトロピー性を有してい
ることが好ましい。本発明の被覆材組成物に、チクソ性
付与剤や揺変化剤を含ませる事で、良好にチクソトロピ
ー性を付与することができる。上記、チクソ性付与剤や
揺変化剤としては、コロイダルシリカ、フィームドシリ
カ、シリカエーロゲル、有機改質粘土、クレー、シリカ
パウダー、酢酸セルロース、アエロジル(日本アエロジ
ル社製)、チクソゲル(横浜化成社製)、ディスパロン
(楠本化成社製)、レオロシール(徳山ソーダ社製)、
ユリヤウレタン樹脂等から選択される少なくとも1つ以
上のチクソ性付与剤や揺変化剤を使用することができ
る。このチクソ性付与剤や揺変化剤の好ましい添加量
は、本発明の被覆材組成物中に液状樹脂成分100部に
対して、0.1〜5部が好ましい。さらに好ましくは
0.5〜3部、最も好ましくは1〜2部である。
【0065】本発明の被覆材組成物の好ましい実施形態
としては、上述のチクソ性付与剤や揺変化剤を添加する
ことで得られるゲルコートである。所望により、各色の
顔料や酸化チタン等も所定量添加することができる。
【0066】本発明の被覆材組成物からなるゲルコート
材は、良好なチクソ性と共に、本発明の架橋性アクリル
シラプ特有の良好な塗膜物性(耐熱性、耐溶剤性、じん
性等)を保有している。上記、本発明の好ましい形態で
ある空気乾燥性を有する被覆材や、ゲルコートは、勿論
その他の添加剤を添加することができる。例えば、硬化
剤や硬化促進剤や充填剤等である。
【0067】このようにして得られた本発明の被覆材用
組成物は、木材、セルロース系基材、コンクリート、ア
スファルト、金属、プラスチック、ガラス等の各種基材
との密着性に優れ、かつ塗膜として靭性、耐熱性、耐溶
剤性、耐磨耗性、速硬化性、表面硬度、表面硬度のも優
れ、合せて作業時の取り扱い性等がいずれも良好であ
る。
【0068】従って、本発明の架橋性(メタ)アクリル
シラップを含む被覆材用組成物は、土木・建築分野の被
覆材として、具体的には床面のライニング材、塗り床
材、コンクリートの防蝕コーティング材、道路マーキン
グ材等に好ましく使用することができる。また、各種成
形品、例えば、バスタブ、洗面カウンタートップ、キッ
チンカウンタートップ、防水パン等に適したゲルコート
材、化粧板のトップコート材としても好ましく使用する
ことができる。また、UV硬化塗料などにも使用するこ
とができる。
【0069】また、上記ゲルコート材とした時に適応で
きる、成形品のバックアップ材の材質は特に限定される
ものではない。例えば、熱可塑性樹脂のバックアップ材
でもよい。具体的には、アクリル系樹脂、ポリオレフィ
ン系樹脂、ABS系樹脂、ナイロン系樹脂等であり、特
に限定されない。また、熱硬化性樹脂のバックアップ材
でもかまわない。例えば、不飽和ポリエステル樹脂や、
人工大理石等によく用いられるアクリルシラップ、ビニ
ルエステル樹脂、エステルメタクリレート樹脂等が用い
ることができ、特に限定されない。これら熱可塑性樹脂
や熱硬化性樹脂は、単独で使用することもできるし、ガ
ラス繊維や充填剤等の各種添加剤が入った樹脂組成物で
あってもいい。
【0070】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限
り「重量部」を意味する。
【0071】(合成例1)架橋性メタアクリルシラップ
(1)の合成 温度計、冷却管、ガス導入管、および攪拌機を備えた反
応器に、メタアクリル酸メチル93部、メタアクリル酸
7部とを仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。次に
上記の混合物を攪拌しながら80℃に昇温し、アゾビス
イソブチロニトリル1部と、n−ドデシルメルカプタン
4部とを添加して4時間共重合反応を行った後、系内に
空気を吹き込むと同時にハイドロキノン0.01部を添
加して重合を停止した。
【0072】次いでグリシジルメタアクリレート5.8
部、トリエチルアミン0.1部を内容物に添加した後1
00℃に昇温し、空気雰囲気下で5時間反応して固形分
濃度が51%、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーによる固形分のポリスチレン換算の重量平均分子量が
17,000、粘度が40ポイズ、ハーゼン色数が10
0の架橋性メタアクリルシラップを合成した。得られた
架橋性メタアクリルシラップ中に含まれる重合体成分と
単量体成分を再沈によって分離し、各々の成分の酸価を
測定して各成分中のカルボキシル基濃度を計算したとこ
ろ、重合体成分中には3.9×10-4モル/重合体1g
のカルボキシル基が、単量体成分中には3.9×10-4
モル/単量体1gのカルボキシル基が含まれていた。ま
た、重合体に含まれる重合性二重結合1つ当たりの分子
量を計算したところ2,300であった。得られた架橋
性メタアクリルシラップを(1)とし、以上の結果をま
とめて表1に示す。
【0073】(合成例2)架橋性メタアクリルシラップ
(2)の合成 合成例1と同様の反応器に、メタアクリル酸メチル9
4.1部、メタアクリル酸グリシジル5.9部とを仕込
み、反応器内を窒素ガスで置換した。次に上記の混合物
を攪拌しながら80℃に昇温し、アゾビスイソブチロニ
トリル1部と、n−ドデシルメルカプタン4部とを添加
して4時間共重合反応を行った後、系内に空気を吹き込
むと同時にハイドロキノン0.01部を添加して重合を
停止した。次いでメタクリル酸3.5部、トリエチルア
ミン0.1部を内容物に添加した後100℃に昇温し、
空気雰囲気下で5時間反応して架橋性メタアクリルシラ
ップ(2)を合成した。得られた架橋性メタアクリルシ
ラップ(2)の特性を表1にまとめて示す。
【0074】(合成例3)架橋性メタアクリルシラップ
(3)の合成 合成例1と同様の反応器に、メタアクリル酸メチル82
部、メタアクリル酸18部とを仕込み、反応器内を窒素
ガスで置換した。次に上記の混合物を攪拌しながら80
℃に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル1部と、n−
ドデシルメルカプタン4部とを添加して4時間共重合反
応を行った後、系内に空気を吹き込むと同時にハイドロ
キノン0.01部を添加して重合を停止した。次いでメ
タクリル酸グリシジル2.8部、トリエチルアミン0.
1部を内容物に添加した後100℃に昇温し、空気雰囲
気下で5時間反応して架橋性メタアクリルシラップ
(3)を合成した。得られた架橋性メタアクリルシラッ
プ(3)の特性を表1にまとめて示す。
【0075】(合成例4)架橋性メタアクリルシラップ
(4)の合成 合成例1と同様の反応器に、メタアクリル酸メチル93
部、メタアクリル酸7部とを仕込み、反応器内を窒素ガ
スで置換した。次に上記の混合物を攪拌しながら80℃
に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル1部と、n−ド
デシルメルカプタン1.5部とを添加して3時間共重合
反応を行った後、系内に空気を吹き込むと同時にハイド
ロキノン0.01部を添加して重合を停止した。次いで
メタアクリル酸グリシジル5.8部、トリエチルアミン
0.1部を内容物に添加した後100℃に昇温し、空気
雰囲気下で5時間反応して架橋性メタアクリルシラップ
(4)を合成した。得られた架橋性メタアクリルシラッ
プ(4)の特性を表1にまとめて示す。
【0076】(合成例5)架橋性メタアクリルシラップ
(5)の合成 合成例1と同様の反応器に、メタアクリル酸メチル93
部、メタアクリル酸7部とを仕込み、反応器内を窒素ガ
スで置換した。次に上記の混合物を攪拌しながら80℃
に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル1部と、n−ド
デシルメルカプタン4部とを添加して4時間共重合反応
を行った後、系内に空気を吹き込むと同時にハイドロキ
ノン0.01部を添加して重合を停止した。次いでメタ
アクリル酸グリシジル5.8部、オクチル酸亜鉛0.0
4部を内容物に添加した後100℃に昇温し、空気雰囲
気下で5時間反応して架橋性メタアクリルシラップ
(5)を合成した。得られた架橋性メタアクリルシラッ
プ(5)の特性を表1にまとめて示す。
【0077】(合成例6)架橋性メタアクリルシラップ
(6)の合成 合成例1と同様の反応器に、メタアクリル酸メチル93
部、メタアクリル酸7部とを仕込み、反応器内を窒素ガ
スで置換した。次に上記の混合物を攪拌しながら80℃
に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル1部と、n−ド
デシルメルカプタン4部とを添加して4時間共重合反応
を行った後、系内に空気を吹き込むと同時にハイドロキ
ノン0.01部を添加して重合を停止した。次いでメタ
アクリル酸グリシジル5.8部、テトラフェニルホスホ
ニウムブロマイド0.04部を内容物に添加した後10
0℃に昇温し、空気雰囲気下で4時間反応して架橋性メ
タアクリルシラップ(6)を合成した。得られた架橋性
メタアクリルシラップ(6)の特性を表1にまとめて示
す。
【0078】(合成例7)架橋性メタアクリルシラップ
(7)の合成 合成例1と同様の反応器に、メタアクリル酸メチル9
4.1部、メタアクリル酸グリシジル5.9部とを仕込
み、反応器内を窒素ガスで置換した。次に上記の混合物
を攪拌しながら80℃に昇温し、アゾビスイソブチロニ
トリル1部と、n−ドデシルメルカプタン4部とを添加
して4時間共重合反応を行った後、系内に空気を吹き込
むと同時にハイドロキノン0.01部を添加して重合を
停止した。次いでメタアクリル酸1.7部、トリエチル
アミン0.1部を内容物に添加した後100℃に昇温
し、空気雰囲気下で6時間反応して架橋性メタアクリル
シラップ(7)を合成した。得られた架橋性メタアクリ
ルシラップ(7)の特性を表1にまとめて示す。
【0079】(合成例8)非架橋性メタアクリルシラッ
プ(8)の合成 合成例1と同様の反応器に、メタアクリル酸メチル93
部、メタアクリル酸7部とを仕込み、反応器内を窒素ガ
スで置換した。次に上記の混合物を攪拌しながら80℃
に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル1部と、n−ド
デシルメルカプタン4部とを添加して4時間共重合反応
を行った後、系内に空気を吹き込むと同時にハイドロキ
ノン0.01部を添加して重合を停止した。
【0080】これを非架橋性メタアクリルシラップ
(8)とした。得られた非架橋性メタアクリルシラップ
(8)の特性を表1にまとめて示す。
【0081】(実施例1〜10)上記合成例1〜6によ
って得られたメタアクリルシラップ(1)〜(6)に、
表2に示す割合(但し、表中の数字は重量部である)で
各成分を混合した被覆材用組成物を調製し、被覆材用組
成物100重量部に対してジメチルアニリン0.5重量
部、ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂(株)製ナイ
パーBO)2重量部を添加して硬化させた。常温で8時
間放置後の各被覆材用組成物の圧縮強度試験の結果を表
2示す。また、塗り床材としての塗工性、耐熱性、耐溶
剤性の試験結果も表2に示す。なお、以下の実施例にお
ける被覆材用組成物の各種試験方法については以下の通
りである。
【0082】[圧縮強度]JIS7208に準ずる方法で、直径
18mm、高さ45mmの円柱状の試験片で圧縮強度試
験を行った。
【0083】[塗り床材としての塗工性]被覆材用組成物
100重量部に対して融点130Fのパラフィン0.5
重量部、2−ヒドロキシエチルパラトルイジン0.4重
量部とベンゾイルパーオキサイド(日本油脂(株)製ナ
イパーBO)2重量部を添加してよく撹拌したものを、
900cm2のスレート板の上に20g塗布してその塗
工性を調べた。塗工表面のレベリング性は目視で評価
し、良好な場合を◎、やや光沢ムラがある場合を○、若
干の凹凸が見られる場合を△、凹凸が著しい場合を×と
した。また、表面乾燥性は、表面を指触で評価し、完全
にタックフリーの場合を◎、ややべたつく場合を○、指
紋がつく程度べたつく場合を△、完全にべたつく場合を
×とした。
【0084】[耐熱性]上記の方法でスレート板上に塗布
した塗膜の上から150℃に加熱した重さ400gの金
属片を5分間乗せた後、塗膜の外観を目視により評価し
た。外観に変化のない場合を◎、変色が生じた場合を
○、変色が生じ、表面の平滑性が低下した場合を×とし
て評価を行った。
【0085】[耐溶剤性]上記の方法でスレート板上に塗
布した塗膜の上にアセトンを含ませた脱脂綿を30分間
乗せた後、塗膜の外観を目視により評価した。外観に変
化のない場合を◎、表面白化のみが生じた場合を○、塗
膜がアセトンによって膨潤した場合を×として評価を行
った。
【0086】[基材への接着性]上記の方法でスレート板
上に塗布した塗膜をカッターナイフで剥がすことによっ
て基材への接着性を評価した。接着性が大きく、塗膜ま
たは基材の破壊を起こす場合を◎、塗膜または基材の破
壊は起こらないが剥がしにくい場合を○、簡単に剥がれ
る場合を×として評価を行った。
【0087】(比較例1〜4)上記合成例7〜8によっ
て得られたメタアクリルシラップ(7)〜(8)に、表
3に示す割合(但し、表中の数字は重量部である)で各
成分を混合した被覆材用組成物を調製し、被覆材用組成
物100重量部に対してジメチルアニリン0.5重量
部、ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂(株)製ナイ
パーBO)2重量部を添加して硬化させた。常温で8時
間放置後の各被覆材用組成物の圧縮強度試験の結果を表
3に示す。また、塗り床材、ゲルコート材としての塗工
性、被覆材としての耐熱性、耐溶剤性の試験結果も表3
に示す。
【0088】(参考比較例5〜14)実施例1〜10で
用いたアクリルシラップに、表2の様に実施例1〜10
で行った各成分の配合を行った。但し、塗り床材の塗工
性評価で用いた融点130Fのパラフィンを配合から除
いた。これら塗膜を硬化させ塗工性、特に表面の乾燥性
や塗膜物性を評価した。その結果、硬化後の塗膜表面の
硬化性(表面乾燥性)はいずれも悪くべたついていた。
評価は×であった。その結果得られた硬化塗膜の耐溶剤
性もアセトンで容易に塗膜が膨潤し、いずれも評価は×
であった。よって、パラフィンを添加しない本発明の被
覆材組成物は、空気乾燥性を所望する被覆材用組成物と
しては、空気乾燥性が付与されていないので、あまり適
さない。しかし、その他の塗膜物性(圧縮強度、耐熱
性、基材への密着性)は、実施例1〜10の被覆材組成
物と同等であるので、空気乾燥性を必要としない場合
は、パラフィンを添加することなく、良好な物性の塗膜
を得る被覆材組成物として使用可能であることも判明し
た。
【0089】(実施例11)上記合成例(6)によって
得られたメタクリルシラップ80重量部に対して、メタ
アクリル酸メチル20重量部、揺変化剤(日本アエロジ
ル社製、RY−200)3重量部、消泡剤(ビックケミ
ー社製、BYK A−515)0.5重量部、オクテン
酸コバルト0.2重量部とメチルエチルケトンパーオキ
サイド1重量部を添加してよく撹拌したものを、スプレ
ーで箱の形状をした型に厚さ300ミクロンになるよう
に塗布した。室温で30分放置することによって表面は
タックフリーとなり、更にその上から不飽和ポリエステ
ル樹脂とガラス繊維をスプレーアップ法により積層し
た。室温で1日放置後、脱型したところゲルコート面の
光沢は型の鏡面を良好に転写しており、また耐溶剤性、
耐熱性も良好であった。ゲルコート材として良好に使用
できる事が判った。
【0090】(実施例12)上記合成例(6)によって
得られたメタクリルシラップ80重量部に対して、メタ
アクリル酸メチル20重量部、2−ヒドロキシエチルパ
ラトルイジン0.4重量部とベンゾイルパーオキサイド
(日本油脂(株)製ナイパーBO)2重量部を添加して
よく撹拌したものを、化粧紙の表面に厚さ300ミクロ
ンになるように塗布し、さらにその上にビニロンフィル
ムをかぶせた。室温で30分放置することによって硬化
させ、ビニロンフィルムを剥がして外観を調べたところ
表面の光沢は良好であり、また耐溶剤性、耐熱性も良好
であった。化粧版のトップコート材として良好に使用で
きる事が判った。
【0091】(実施例13)上記合成例(6)によって
得られたメタクリルシラップ80重量部に対して、アク
リル酸ブチル20重量部、酸化チタン20重量部、炭酸
カルシウム20重量部、7号硅砂50重量部、2−ヒド
ロキシエチルパラトルイジン0.5重量部とベンゾイル
パーオキサイド(日本油脂(株)製ナイパーBO)2重
量部を添加してよく撹拌したものを、コンクリートブロ
ックの表面に厚さ3mmになるように塗布した。これを
室温で30分放置することによって硬化させ、外観を調
べたところ表面の光沢は良好であり、また耐溶剤性、耐
熱性も良好であった。また、粗さ1000番のサンドペ
ーパーを先端に巻き付けた角材に200g/cm2の荷
重をかけた状態で塗布物に1000回こすり付け、耐摩
耗性を調べたところ、試験後も表面状態は良好であっ
た。道路マーキング材として良好に使用できることが判
った。
【0092】
【発明の効果】本発明は、コンクリート、金属等の基材
との密着性に優れ、かつ靭性、耐熱性、耐溶剤性、耐磨
耗性、速硬化性、表面硬度、作業時の取り扱い性等が良
好な(メタ)アクリル系被覆材組成物に関するものであ
る。本発明の(メタ)アクリル系被覆材組成物は、各種
基材への被覆材、床面のライニング材、塗り床材、コン
クリートの防蝕コーティング材、道路マーキング材や、
バスタブ、洗面カウンタートップ、キッチンカウンター
トップ、防水パン等の成形品に適したゲルコート材、化
粧板のトップコート材、UV硬化塗料などに使用するこ
とができる。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J027 AA01 AA02 AC03 AC04 AE01 AJ05 BA05 BA06 BA07 BA10 BA11 BA12 BA13 BA14 BA17 BA18 BA19 BA20 BA21 BA22 BA23 BA26 BA28 BA29 CA10 CA18 CA22 CA24 CA25 CA29 CA32 CB03 CB09 CC01 CD08 4J038 FA012 FA082 FA122 FA231 GA01 GA06 MA14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合性二重結合を分子内に複数個有する
    (メタ)アクリル系重合体(A)と重合性単量体(B)
    を含み、(A)および/または(B)に含まれるカルボ
    キシル基の量の総和が、(A)と(B)の混合物1gに
    対して1×10-6モル〜30×10-4モルである事を特
    徴とする架橋性(メタ)アクリルシラップを含む被覆材
    用組成物。
  2. 【請求項2】上記、被覆材組成物中に含まれる(メタ)
    アクリル系重合体(A)と重合性単量体(B)の合計量
    が5〜100重量%である事を特徴とする請求項1記載
    の被覆材組成物。
  3. 【請求項3】上記、重合性二重結合を分子内に複数個有
    する(メタ)アクリル系重合体(A)の二重結合1つ当
    たりの分子量が500〜20,000である請求項1ま
    たは2に記載の被覆材用組成物。
  4. 【請求項4】上記、重合性単量体(B)の中に、沸点が
    140℃以上の重合性単量体を、重合性単量体(B)の
    総量に対して20重量%以上含有していることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の被覆材用組成
    物。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002256220A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Mitsubishi Rayon Co Ltd 被覆用硬化性組成物、多層硬化塗膜、被覆物品、自動車用外板、および活性エネルギー線硬化性組成物
JP2003039609A (ja) * 2001-07-27 2003-02-13 Sumitomo Chem Co Ltd 樹脂積層体およびその製造方法
KR100855938B1 (ko) * 2007-01-25 2008-09-02 엘지엠엠에이 주식회사 아스팔트 도로 피복용 시럽 조성물
JP2009161589A (ja) * 2007-12-28 2009-07-23 Mitsubishi Rayon Co Ltd シラップ組成物、その硬化物および被覆方法
JP2010001343A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Mitsubishi Rayon Co Ltd 配合物およびその硬化物
KR101007231B1 (ko) 2010-05-10 2011-01-12 박문선 변성 아크릴 시럽 조성물 및 이의 제조 방법

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