JP2001002761A - セルフレベリング材 - Google Patents

セルフレベリング材

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JP2001002761A
JP2001002761A JP17539899A JP17539899A JP2001002761A JP 2001002761 A JP2001002761 A JP 2001002761A JP 17539899 A JP17539899 A JP 17539899A JP 17539899 A JP17539899 A JP 17539899A JP 2001002761 A JP2001002761 A JP 2001002761A
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ruthenium
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leveling
norbornene
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Masafumi Nakatani
政史 中谷
Nobuhiro Goto
信弘 後藤
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温領域においても、硬化性が良好で作業性
良くレベリングを行うことができるセルフレベリング材
及び低温領域においても、高精度のレベリングを行うこ
とができるセルフレベリング材を提供すること。 【解決手段】 ノルボルネン型モノマー及びルテニウム
系メタセシス反応触媒を含有し、例えば、5℃における
粘度が2000cps以下であるセルフレベリング材、
及び、ノルボルネン型モノマーがジシクロペンタジエン
の他に更にエチリデンノルボルネン、メチルシクロペン
タジエン(ダイマー)、ビニルノルボルネン又はシクロ
ペンタジエンを含有し、必要により、ルテニウム系メタ
セシス反応触媒が特定の一般式(1)で表わされるルテ
ニウム−カルベン錯体であるセルフレベリング材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,各種建築物におい
て不陸のある床の不陸調整(レベリング)や、建築物建
立時にコンクリート等の基礎地盤に鉄骨柱等を垂直に立
てるために基礎地盤の表面平滑性を発現する(レベリン
グ)目的で用いられる、セルフレベリング材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より,セルフレベリング材として
は、石膏系あるいはセメント系等の無機質系セルフレベ
リング材が用いられていたが、これらは、硬化時に突起
や気泡跡が発生するため平滑な表面が得られにくく、ま
た、高比重であるため、床のレベリングを行う際に下地
の不陸が大きい場合は、高負荷荷重となり建物の耐久面
で問題となっていた。
【0003】一方、エポキシ樹脂にシリカ、アルミナ等
の無機質系骨材を添加混入した合成樹脂系セルフレベリ
ング材も知られている(特公平6−78682号公報参
照)。合成樹脂系セルフレベリング材では,主剤として
はビスフェノールAタイプ,ビスフェノールFタイプ等
の常温において液状のエポキシ樹脂が、硬化剤としては
ジエチレントリアミン,トリエチレンテトラミンなど、
常温で液状で且つ常温硬化するアミン類が用いられてい
る。ところが,この様なエポキシ樹脂/アミン系の合成
樹脂系セルフレベリング材は、一般に,特に低温領域に
おいて、硬化性が非常に悪いため作業性が悪く且つ粘度
が高いため高精度のレベリングを行うことが困難である
という問題があった。
【0004】この様なエポキシ樹脂系セルフレベリング
材は,溶剤を添加することで低粘度化することもできる
が,取扱中あるいは樹脂硬化後に揮発する溶剤が人体,
環境に与える影響を考慮すると,溶剤添加による低粘度
化は好ましいものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
セルフレベリング材の問題点に鑑み、低温領域において
も、硬化性が良好で作業性良くレベリングを行うことが
できるセルフレベリング材を提供することを目的とす
る。又、本発明は、低温領域においても、高精度のレベ
リングを行うことができるセルフレベリング材を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、ノルボルネン型モノマー及
びルテニウム系メタセシス反応触媒を含有することを特
徴とするセルフレベリング材を提供する。又、請求項2
記載の発明は、5℃における粘度が2000cps以下
であることを特徴とする請求項1記載のセルフレベリン
グ材を提供する。又、請求項3記載の発明は、ノルボル
ネン型モノマーがジシクロペンタジエンであることを特
徴とする請求項2記載のセルフレベリング材を提供す
る。又、請求項4記載の発明は、ノルボルネン型モノマ
ーとして、更に、エチリデンノルボルネン、メチルシク
ロペンタジエン(ダイマー)、ビニルノルボルネン又は
シクロペンタジエンを含有するものであることを特徴と
する請求項3記載のセルフレベリング材を提供する。
又、請求項5記載の発明は、ルテニウム系メタセシス反
応触媒が一般式(1)で表わされるルテニウム−カルベ
ン錯体であることを特徴とする請求項1〜4何れか1項
記載のセルフレベリング材を提供する。
【化2】
【0007】(式中、Ru はルテニウムを表わし、R1
及びR2 は、互いに独立に、水素、C2 〜C20−アルケ
ニル基、C1 〜C20−アルキル基、アリール基、C1 〜
C20−カルボン酸エステルもしくはカルボン酸塩、C1
〜C20−アルコキシ基、C2 〜C20−アルケニルオキシ
基、アリールオキシ基、C2 〜C20−アルコキシカルボ
ニル基、C1 〜C20−アルキルチオ基(これらは、C1
〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキ
シ基によって置換されていてもよいし、あるいはC1 〜
C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ
基によって置換されたフェニル基によって置換されてい
てもよい)を表わし、また、X1 及びX2は、互いに独
立に、任意のアニオン性配位子を表わし、L1 及びL2
は、互いに独立に、任意の中性電子供与体を表わし、X
1 、X2 、L1 及びL2 の内、2個又は3個は、一緒に
多座キレート化配位子を形成していてもよい。)
【0008】又、請求項6記載の発明は、アミン化合物
が第3級複素環アミンである請求項1〜5何れか1項記
載のセルフレベリング材を提供する。
【0009】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明において用いられるノルボルネン型モノマーとして
は,ノルボルネンやノルボルナジエンのような二環体,
ジシクロペンタジエンやジヒドロジシクロペンタジエン
などの三環体,テトラシクロドデセン,エチリデンテト
ラシクロドデセン,フェニルテトラシクロドデセンなど
の四環体,トリシクロペンタジエンなどの五環体,テト
ラシクロペンタジエンなどの七環体,及びこれらのアル
キル基置換体(例えば,メチル基,エチル基,プロピル
基,ブチル基置換体など),アルキリデン置換体(例え
ば,エチリデン基置換体),アルケニル基置換体(例え
ばビニル基置換体)、アリール基置換体(例えば,フェ
ニル基,トリル基置換体)はもちろんのこと,エポキシ
基,メタクリル基,水酸基,アミノ基,カルボキシル
基,シアノ基,ハロゲン基,エーテル基,エステル結合
含有基等の極性基を有する誘導体が挙げられる。これら
は,単独で使用しても良いし,2種以上を混合して用い
ても良い。また、上記ノルボルネン型モノマーの1種以
上と共に開環重合可能なシクロブテン、シクロペンテ
ン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデ
セン等の単環シクロオレフィンなどを、本発明の目的を
損なわない範囲で使用することができる。
【0010】ルテニウム系メタセシス反応触媒は,上記
ノルボルネン系モノマーをメタセシス重合することが可
能なものなら何を用いても良い。尚、メタセシス重合と
は、代表的には、2分子の不飽和オレフィンが互いにア
ルキリデン基を交換し、新しいオレフィンを生成する反
応をいう。
【0011】ルテニウム系メタセシス反応触媒として
は、例えば、特にこれらに限られるわけではないが,ル
テニウム金属のアリル錯体,アルキリデン錯体,アルキ
ン錯体,アルケン錯体,イソシアニド錯体,オキソ錯
体,カルビン錯体,カルベン錯体,カルボニル錯体,ク
ロロ錯体,シアノ錯体,チオカルボニル錯体,ニトロシ
ル錯体,二窒素錯体,ビニリデン錯体等が挙げられる。
【0012】これらを一般式で表わせば、上記一般式
(1)で表わされるルテニウム−カルベン錯体や一般式
(2)で表わされるルテニウム−ビニリデン錯体が挙げ
られる。
【0013】
【化3】
【0014】一般式(2)のルテニウム−ビニリデン錯
体については、式中,L3 はトリシクロヘキシルホスフ
ィン,トリイソプロピルホスフィン,又は,トリフェニ
ルホスフィンを表わす。一般式(1)のルテニウム−カ
ルベン錯体については,後に詳述する。
【0015】本発明のセルフレベリング材には骨材が含
有されていても良い。骨材としてはシリカ,アルミナ,
酸化マグネシウム,炭酸カルシウム等を主成分とする無
機質骨材,ポリエチレン,ポリ塩化ビニル,ポリふっ化
ビニル等の有機質骨材,ガラスバルーン,シリカバルー
ン,アルミナバルーン,フェノールバルーン,塩化ビニ
リデンバルーン等の無機質系あるいは有機質系中空体等
があり,これらは,金属メッキや有機あるいは無機物に
よるコーティングがなされていても良い。
【0016】又、本発明のセルフレベリング材は溶媒を
含んでいても良い。溶媒としては,例えば,芳香族炭化
水素,脂肪族炭化水素,塩素化炭化水素,エーテル,ア
ルコール,水,またはこれらの混合物が挙げられる。具
体的には、ベンゼン,トルエン,p−キシレン,塩化メ
チレン,ジクロロエタン,ジクロロベンゼン,クロロベ
ンゼン,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル,ペン
タン,メタノール,エタノール,水,またはこれらの混
合物である。また、連鎖移動剤を添加することにより分
子量や反応速度を調整することがでる。連鎖移動剤とし
ては炭素―炭素二重結合を有する化合物、具体的には、
C2〜C12アルケン、アリルエーテル、アルキルアリ
ルエーテル、スチレン等が挙げられる。
【0017】高精度のレベリングを行うためには,請求
項2記載の如く、本発明のセルフレベリング材は5℃に
おける粘度が2000cps以下であることが好まし
い。より高精度のレベリングを行うためには,粘度は5
00cps以下であることが好ましく,更に好ましくは
200cps以下である。ノルボルネン系モノマーは,
種類によっては低温時においても、特別な添加剤を用い
ることなく、非常に低粘度の配合とすることができ,5
℃においても高精度のレベリングを行うのに必要な20
00cps以下の粘度にすることができる。これにより
低温時においても高精度なレベリングを行うことが可能
である。
【0018】また,粘度調整剤を用いて粘度を調整する
ことも出来る。粘度調整剤として、オレフィン性不飽和
基を有するポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げら
れ、このような粘度調整剤はメタセシス重合時に重合物
内に組み込まれ得る。粘度調整剤の含有量は重合性モノ
マー全量中0. 1〜50重量%の範囲が好ましく、更に
好ましくは0. 1〜20重量%の範囲である。
【0019】これらのノルボルネン型モノマーの内で
も、3環体以上のノルボルネン型モノマー、特に請求項
3記載の如く、ジシクロペンタジエンが価格・反応性・
物性・入手の容易さの点から好ましく用いられる。ま
た,ジシクロペンタジエンの重合体は、耐衝撃性、耐熱
性等に優れるという特性を有している他、レベリング材
として重要な、圧縮強度に優れているという特性をもゆ
うする。
【0020】ジシクロペンタジエンは融点が33.6℃
であり常温で固体状であるが,他のノルボルネン型モノ
マーを添加することによって,常温において液体状で取
り扱うことが出来る。ジシクロペンタジエンに添加する
ノルボルネン型モノマーは,具体的な一例を挙げると,
エチリデンノルボルネン,メチルシクロペンタジエン
(ダイマー)、シクロペンタジエン又はビニルノルボル
ネン等である。この様なジシクロペンタジエンに添加す
るノルボルネン型モノマーは単独で用いても良いし,2
種類以上を併用して用いても良い。添加量はジシクロペ
ンタジエン100重量部に対して,2重量部〜90重量
部が好ましく,さらに好ましくは5重量部〜50重量部
である。
【0021】また,消泡剤,揺変性付与剤,酸化防止
剤,帯電防止剤,光安定剤,充填材,着色剤,分子量調
整剤,高分子改質剤,難燃剤,潤滑剤,離型剤などの各
種添加剤を本発明のセルフレベリング材に配合しても良
く,それによってより広範な用途に適したセルフレベリ
ング材とすることが出来る。本発明のセルフレベリング
材の使用可能な温度範囲は,−30℃〜130℃,好ま
しくは−2 0℃〜90℃,更に好ましくは−10℃〜5
0℃である。
【0022】本発明のセルフレベリング材の使用用途
は,特にこれに限定されないが,各種建築物において不
陸のある床の不陸調整(レベリング)や、建築物建立時
にコンクリート等の基礎地盤に鉄骨柱等を垂直に立てる
ために基礎地盤の表面平滑性を発現する(レベリング)
目的で用いられる。基礎地盤の材質は特に限定されず,
コンクリート,セメントモルタル等の無機質地盤の他
に,合成樹脂,木材等のいかなる材質で出来た地盤にも
用いることが出来る。
【0023】セルフレベリング材の使用方法は,上記モ
ノマー及び触媒を良好に混合撹拌でき,目的とする用途
に対して確実に注入,塗布できる方法なら何でも良く,
例えば,予めミキサー等を用いて上記モノマー及び触媒
を混合し,得られたセルフレベリング材を施工部に流し
込む方法や,塗布直前にミキシングヘッド等によって混
合撹拌する方法等が挙げられる。
【0024】このようなノルボルネン型モノマーに、例
えば、請求項5記載の如く、上記一般式(1)で表わさ
れる錯体を配合することにより、メタセシス重合と呼ば
れる開環重合が進行して、ノルボルネン系ポリマーとな
る。
【0025】上記一般式(1)で表わされるルテニウム
系メタセシス反応触媒としてのルテニウム−カルベン錯
体の内、好ましい錯体は以下のものである。すなわち、
式中、R1 及びR2 が、互いに独立に、水素、C2 〜C
5 −アルケニル基、C1 〜C5 −アルキル基、フェニル
基、C1 〜C5 −カルボン酸エステルもしくはカルボン
酸塩、C1 〜C5 −アルコキシ基、フェノキシ基、C2
〜C5 −アルコキシカルボニル基(これらは、C1 〜C
5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基
によって置換されていてもよく、あるいはC1 〜C5−
アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によ
って置換されたフェニル基によって置換されていてもよ
い)であり、また、X1 及びX2 が、互いに独立に、C
l、Br、C1 〜C5 −カルボン酸エステルもしくはカ
ルボン酸塩、C1 〜C5 −アルコキシ基、フェノキシ
基、C1 〜C5 −アルキルチオ基(これらは、C1 〜C
5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基
によって置換されていてもよく、あるいはC1 〜C5 −
アルキル基、ハロゲン、 C1 〜C5−アルコキシ基によ
って置換されたフェニル基によって置換されていてもよ
い)の群からのアニオン性配位子であり、さらに、L1
及びL2 が、互いに独立に、アリール基またはC1 〜C
10−アルキルホスフィン基(これらは、C1 〜C5 −ア
ルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によっ
て置換されていてもよく、あるいはC1 〜C5 −アルキ
ル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置
換されたフェニル基によって置換されていてもよい)の
群からの中性配位子である、ルテニウム−カルベン錯体
が好ましい。
【0026】更に好ましい一般式(1)のルテニウム−
カルベン錯体としては、式中、R1及びR2 が、互いに
独立に、水素、メチル基、エチル基、フェニル基、また
はメチル基、エチル基もしくはフェニル基によって必要
に応じて置換されたビニル基であり、また、X1 及びX
2 が、互いに独立に、ClまたはBrであり、さらに、
L1 及びL2 が、互いに独立に、トリメチルホスフィン
基、トリエチルホスフィン基、トリフェニルホスフィン
基またはトリシクロヘキシルホスフィン基である錯体が
挙げられる。これらの錯体の中でも、ビス(トリシクロ
ヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ドが反応活性及び貯蔵安定性に優れている点で好ましく
用いられる。
【0027】上記一般式(1)のルテニウム−カルベン
錯体については,ノルボルネン型モノマーに均一分散さ
せる為に予め液状にすることが好ましい。そのために、
例えば溶媒に希釈して用いることが好ましく,溶媒の例
としては,トルエン,ベンゼン,テトラヒドロフラン
(THF),ジクロロメタンなどが挙げられる。活性水
素のある溶媒あるいは酸に溶解させるのは錯体の安定性
を損なうので好ましくない。
【0028】ノルボルネン型モノマー1モルに対する一
般式(1)のルテニウム−カルベン錯体の混合量は1/
5〜1/100000モルの範囲が好ましい。更に好ま
しくは,1/1000〜1/20000モルの範囲であ
る。ルテニウム系メタセシス反応触媒を用いるメタセシ
ス反応は触媒の種類によっては重合活性が極めて高く,
長いポットライフを必要とするレベリング用途には適用
できない,言い換えればセルフレベリング材の適用範囲
が限定されるという問題がある。例えば,広いスペース
のレベリングを行う際,ノルボルネン系モノマーとルテ
ニウム系メタセシス反応触媒とからなるセルフレベリン
グ材が,型枠内に完全に充填される前に硬化してしま
い,完全なレベリングを行うことが出来ないということ
がある。
【0029】この様なノルボルネン系モノマーとルテニ
ウム系メタセシス反応触媒からなるセルフレベリング材
に,更に、第3級複素環アミンを用いることにより、重
合活性を低くし重合を遅延化することが出来る。第3級
複素環アミンは特に限定されず,飽和化合物であっても
不飽和化合物であってもよい。また,環を構成する窒素
原子の数は限定されず,さらに別種の複素原子と環を共
有していても良い。
【0030】第3級複素環アミンは取扱温度範囲におい
て固体状,液体状,気体状のいずれであっても良いが,
反応性組成物中への均一分散性を考慮すると液体状であ
ることが好ましい。なお,固体状の第3級複素環アミン
は反応性組成物中に均一分散させるために予め液状にす
ることが好ましい。このために、固体状の第3級複素環
アミンは溶媒に希釈して用いることが好ましく,溶媒の
例としてはトルエン,ベンゼン,テトラヒドロフラン,
メタノール,イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0031】この様な第3級複素環アミンの一例を挙げ
ると,ピリジン,γ- シアノピリジン,γ- ピコリン,
ピラジン,ピペラジン,ピペリジン,ピロリジン,1,
3,5- トリアジン,イミダゾール,2- アミノチアゾ
ール等が挙げられる。これらの第3級複素環アミンは単
独で用いても良いし,2種類以上のものを併用して用い
ることもできる。
【0032】第3級複素環アミンの混合方法は特に限定
されず,ノルボルネン系モノマーとルテニウム系メタセ
シス反応触媒を混合する際,予め少なくとも一方に第3
級複素環アミンを混合しておいても良いし,両者の混合
と同時に第3級複素環アミンを混合しても良い。また,
両者を混合した後に第3級複素環アミンを混合すること
もできる。
【0033】ルテニウム系メタセシス反応触媒1モルに
対する第3級複素環アミンの混合量は10000〜1/
100モルの範囲が好ましい。更に好ましくは,100
0〜1/10モルの範囲である。ただし,ノルボルネン
系モノマー1モルに対する第3級複素環アミンの混合量
は,1〜1/100000モルの範囲が好ましく,更に
好ましくは1/2〜1/50000モルの範囲である。
ここで,第3級複素環アミンの混合量が多すぎるとメタ
セシス反応が十分に進行せず,良好な物性を有する成型
物を得られなくなる可能性があり,逆に,第3級複素環
アミンの混合量が少なすぎると十分な遅延効果が得られ
ない。
【0034】(作用)本発明のセルフレベリング材は,
ノルボルネン型モノマー及びルテニウム系メタセシス反
応触媒を含有するので、低温時においても硬化性良好で
作業性良くレベリングを行うことができる。また、請求
項2記載のセルフレベリング材は、5℃でにおける粘度
が2000cps以下と非常に低粘度であるので、高精
度の平面を作製することが出来る。また、請求項3記載
のセルフレベリング材は、ノルボルネン型モノマーがジ
シクロペンタジエンであるので、反応性・物性・価格・
入手の容易さ等の点で好ましい。
【0035】また、請求項4記載のセルフレベリング材
は、ノルボルネン型モノマーとしてジシクロペンタジエ
ンの他に、更に、エチリデンノルボルネン、メチルシク
ロペンタジエン(ダイマー)、シクロペンタジエン又は
ビニルノルボルネンを含有するものであるので、常温下
で液体状で取り扱うことができるため、作業性良く高精
度のレベリングを行うことができる。また、請求項5記
載のセルフレベリング材は、 ルテニウム系メタセシス
反応触媒が上述の一般式(1)で表わされるルテニウム
−カルベン錯体であるので、低温時においても更に一層
硬化性良好で、作業性良くレベリングを行うことができ
る。
【0036】また、請求項6記載のセルフレベリング材
は、ノルボルネン型モノマー、ルテニウム系メタセシス
反応触媒の他に更に第3級複素環アミンが含有されてな
るものであるので、メタセシス反応において大きな遅延
効果を得ることができる点で好ましい。例えば,広いス
ペースのレベリングを行う際,ノルボルネン系モノマー
とルテニウム系メタセシス反応触媒とからなるセルフレ
ベリング材が,型枠内に完全に充填される前に硬化して
しまい,完全なレベリングを行うことが出来ないという
問題点がある。
【0037】
【実施例】(実施例1)ノルボルネン系モノマーとし
て,ジシクロペンタジエンモノマーと5-エチリデン2-ノ
ルボルネンモノマーを、ルテニウム系メタセシス反応触
媒として上述の一般式(1)で表わされるルテニウム−
カルベン錯体であるビス(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリドを、第3級複素
環アミンとしてピリジンを用いて得たオレフィンセルフ
レベリング材を調製し、コンクリート地盤上でレベリン
グを行った。
【0038】すなわち、ノルボルネン系モノマーとして
は、ジシクロペンタジエンモノマーと5-エチリデン2-ノ
ルボルネンモノマーをモル比で9:1で混合したものを
用い、予め,ピリジンをこのノルボルネン系モノマー混
合物1モルに対して13/10000モル混合し,撹拌
しておいた。次に,非極性溶媒であるトルエン200部
にビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデン
ルテニウムジクロリド10部を溶解させた溶液を,ビス
(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニ
ウムジクロリドのノルボルネン系モノマー混合物に対す
るモル比が1/10000になるように添加し,撹拌を
行うことにより本発明のセルフレベリング材を得た。こ
のセルフレベリング材の各種物性を表1に示した。
【0039】得られたセルフレベリング材を,周囲を型
枠で囲った水平精度約12mm,100cm四方のコン
クリート地盤上に流し込み、2時間養生した。セルフレ
ベリング施工後の水平精度は0.5mmであり,非常に
高精度なレベリング結果が得られた。また,硬化後のセ
ルフレベリング材とコンクリート地盤は剥離することな
く非常に強固に接合していた。試験時の環境温度は23
℃であった。尚、表面の水平精度は接触型の変位計を用
い,平面方向に沿って10cm間隔で11個所(両端含
む)スキャンすることによって測定した。また、水平精
度等の結果を表1に併せて示した。
【0040】(比較例1)特公平6−78682号公報
記載の実施例に従って、ビスフェノールAグリシジルエ
ーテル型エポキシ樹脂、ブチルグリシジルエーテル(反
応性希釈剤)、ベンジルエチレンジアミン(硬化剤)、
軽量骨材としての微小中空球状体(日本フィライト
(株)製フィライト52/7S、粒子径150μm)等
を用いてセルフレベリング材を調製し、コンクリート地
盤上でレベリングを行った。
【0041】すなわち、ビスフェノールAグリシジルエ
ーテル型エポキシ樹脂70重量部,ブチルグリシジルエ
ーテル30重量部,ベンジルエチレンジアミン65重量
部,軽量骨材としての微小中空球状体170重量部,そ
の他,シリコーン系消泡剤0.2重量部,フッ素系界面
活性剤0.5重量部を混合し,よく混練してエポキシ樹
脂系セルフレベリング剤を得た。このセルフレベリング
材の各種物性を表1に示した。得られたセルフレベリン
グ材を,周囲を型枠で囲った水平精度約12mm,10
0cm四方のコンクリート地盤上に流展し,24時間養
生した。セルフレベリング施工後の水平精度は3.0m
mであった。尚、試験時の環境温度は22℃であった。
水平精度等の結果を表1に併せて示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明のセルフレベリング材は、ノルボ
ルネン型モノマー及びルテニウム系メタセシス反応触媒
を含有するので、低温時においても硬化性が良好で作業
性良くレベリングを行うことができ、各種建築物におい
て不陸のある床の不陸調整(レベリング)や、建築物建
立時にコンクリート等の基礎地盤に鉄骨柱等を垂直に立
てるために基礎地盤の表面平滑性を発現させる(レベリ
ング)際に、高精度のレベリングを行うことが出来る。
5℃における粘度が2000cps以下と非常に低粘度
である場合は、常温時のみならず低温時においても高精
度に,かつ硬化性が良好であるために作業効率良くレベ
リングを行うことが出来る。ノルボルネン型モノマーが
ジシクロペンタジエンである場合、特に、更にエチリデ
ンノルボルネン、メチルシクロペンタジエン(ダイマ
ー)、シクロペンタジエン又はビニルノルボルネンを含
有する場合は、常温下で液体状で取り扱うことができる
ため、作業性良く高精度のレベリングを行うことができ
る。ルテニウム系メタセシス反応触媒が、高活性で安定
な一般式(1)で表わされるルテニウム−カルベン錯体
である場合は、低温時においても更に一層硬化性が良好
で、作業性良くレベリングを行うことができる。本発明
のセルフレベリング材に、更に第3級複素環アミンが含
有されている場合は、重合活性を低くし重合を遅延化す
るという大きな遅延効果を得ることができる。従って、
例えば、広いスペースのレベリングを行う際にも、完全
なレベリングを行うことが出来るという実用的に重要な
効果を奏し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 111:62

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノルボルネン型モノマー及びルテニウム
    系メタセシス反応触媒を含有することを特徴とするセル
    フレベリング材。
  2. 【請求項2】 5℃における粘度が2000cps以下
    であることを特徴とする請求項1記載のセルフレベリン
    グ材。
  3. 【請求項3】 ノルボルネン型モノマーがジシクロペン
    タジエンであることを特徴とする請求項2記載のセルフ
    レベリング材。
  4. 【請求項4】 ノルボルネン型モノマーとして、更に、
    エチリデンノルボルネン、メチルシクロペンタジエン
    (ダイマー)、シクロペンタジエン又はビニルノルボル
    ネンを含有するものであることを特徴とする請求項3記
    載のセルフレベリング材。
  5. 【請求項5】 ルテニウム系メタセシス反応触媒が一般
    式(1)で表わされるルテニウム−カルベン錯体である
    ことを特徴とする請求項1〜4何れか1項記載のセルフ
    レベリング材。 【化1】 (式中、Ru はルテニウムを表わし、R1 及びR2 は、
    互いに独立に、水素、C2 〜C20−アルケニル基、C1
    〜C20−アルキル基、アリール基、C1 〜C20−カルボ
    ン酸エステルもしくはカルボン酸塩、C1 〜C20−アル
    コキシ基、C2 〜C20−アルケニルオキシ基、アリール
    オキシ基、C2 〜C20−アルコキシカルボニル基、C1
    〜C20−アルキルチオ基(これらは、C1 〜C5 −アル
    キル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって
    置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −アルキ
    ル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置
    換されたフェニル基によって置換されていてもよい)を
    表わし、また、式中、X1 及びX2 は、互いに独立に、
    任意のアニオン性配位子を表わし、L1 及びL2 は、互
    いに独立に、任意の中性電子供与体を表わし、X1 、X
    2 、L1 及びL2 の内、2個又は3個は、一緒に多座キ
    レート化配位子を形成していてもよい。)
  6. 【請求項6】 更に、第3級複素環アミンを含有するも
    のであることを特徴とする請求項1〜5何れか1項記載
    のセルフレベリング材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10240594A1 (de) * 2002-08-28 2004-03-11 Deutsches Zentrum für Luft- und Raumfahrt e.V. Ventilklappe und Verfahren zur Herstellung einer Ventilklappe

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10240594A1 (de) * 2002-08-28 2004-03-11 Deutsches Zentrum für Luft- und Raumfahrt e.V. Ventilklappe und Verfahren zur Herstellung einer Ventilklappe

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