JP2000517039A - 摩擦ディスク及び摩擦クラッチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、乾式摩擦クラッチのための、特に、自動車用乾式摩擦クラッチのための摩擦ディスクに関する。摩擦ディスクは、その回転により圧力空気を発生するための手段を有する２つの摩擦プレートを備えている。摩擦プレートに設けた円周溝（２０）は、内周寄りに設けた複数の径方向溝（３０）と連通している。

Description

【発明の詳細な説明】 摩擦ディスク及び摩擦クラッチ 本発明は、乾式摩擦クラッチのための、特に、自動車用乾式摩擦クラッチのた めの摩擦ディスク、及び摩擦ディスクを取り付けるための摩擦材からなる冠状の 摩擦プレートに関する。 自動車の乾式摩擦クラッチは、一般的に、２枚の摩擦プレートからなる摩擦デ ィスクを備えている。各摩擦プレートは、共通の、または別個の支持体で支持さ れ、この支持体は、ギヤボックス入力シャフトに係合しているスプラインハブに 連結されている。トーションダンパーが、摩擦プレートの支持体とスプラインハ ブとの間に取り付けられている。特殊な構成の支持体により、または追加の装置 を設けることにより構成された斬新的係合装置が、２枚の摩擦プレートの間に配 置されている。 摩擦ディスクは、自動車のエンジンのクランクシャフトに、直接的にまたは間 接的に取付けられているリアクションプレートと、リアクションプレート及び弾 性システムを収容するカバープレートからなるクラッチ機構のプレッシャープレ ートとの間に配置されている。弾性手段は、ブレッシャープレートに軸方向の押 圧力を付与しているばね、もしくはダイヤフラムである。ダイヤフラムは、カバ ープレートに対して一定範囲だけ軸方向に偏位可能であり、回転してカバープレ ートと協働する。 クラッチが係合している状態では、摩擦ディスクの摩擦プレートは、リアクシ ョンプレートとプレッシャープレートとの間にある弾性手段により押圧され、こ れによりエンジンの回転トルクがギヤボックスの入力シャフトに伝達される。 クラッチ解放手段は、ダイヤフラムに設けられたフィンガである。クラッチ解 放手段は、力が印加されると、プレッシャープレートとカバープレートとの間で 動作しているプレッシャープレートの戻り手段により、弾性手段の押圧力を相殺 する。プレッシャープレートは、リアクションプレートから離れ、摩擦ディスク の摩擦プレートが押圧から解放される。ギヤボックスの入力シャフト上を軸方向 に移動可能に取り付けられた摩擦ディスクは、リアクションプレートとプレッシ ャープレートとの間に位置し、これにより、エンジンからのトルクが上述の入力 シャフトに伝達されなくなる。 トルクを全く伝達しないためには、クラッチを完全に解放させなければならな い。すなわち、摩擦プレートは、リアクションプレート及びプレッシャープレー トに接触させてはならない。 本出願人は、摩擦プレートを適切に解放できないことがあることに気付いた。 近接するプレート（例えばリアクションプレートやプレッシャープレート）か ら摩擦プレートが不均衡に解放されたり、プレートに対して継続して近接するこ とが、しばしば発生する。これにより、残留トルクがギヤボックスの入力シャフ トに伝達されてしまう。その結果、最初はギヤの切換えが不具合になり、次には 、ギヤボックスの部材が摩耗してしまう。 本発明の目的は、上述の欠点を補うことができる摩擦ディスク及び摩擦プレー トを提供することにある。 本発明は、乾式摩擦クラッチのための、特に、自動車のためのクラッチ摩擦デ ィスクであって、２枚の円形の摩擦プレートを備え、これらの摩擦プレートは、 その回転により圧力空気を発生するための手段として、クラッチのリアクション プレート及びプレッシャープレートのそれぞれに接触するようになっている各摩 擦プレートの表面に形成された、摩擦プレートの内周縁において開口する複数の 径方向溝と、この径方向溝に連通する円周溝とを有することを特徴としている。 このような構成により、摩擦プレート及び摩擦ディスクを、係合状態から確実 に解除することができる。 本発明のさらなる特徴によれば、、次の事項、またはそれらの技術的な結合が 含まれる。 ・溝は、一方の摩擦プレートと他方の摩擦プレートに、摩擦ディスクの中間面 に対して対称的に形成される。このように形成することで、実質上同等で、かつ 反対の圧力空気が、各回転摩擦ディスクの面に発生する。 ・少なくとも１本の径方向溝の断面は、摩擦プレートの外周方向に向かって径 方向に広くなっている。 ・上述の円周溝は、摩擦プレートの外周縁から離して形成されている。 ・上述の円周溝は、摩擦プレートの外周方向に向かって径方向に広くなってい く断面を有する少なくとも１本の溝を介して、摩擦プレートの外周縁と連通して いる。 ・上述の円周溝は、エネルギー損失を発生する部分を介して、摩擦プレートの 外周縁と連通している。 ・エネルギー損失を発生する上述の部分は、上記円周溝及び/または径方向溝 よりも小さい断面の少なくとも１本の溝からなっている。 ・エネルギー損失を発生する上述の部分は、くびれを有する少なくとも１本の 溝からなっている。 ・単一の円周溝が、摩擦プレートに形成されている。 ・上述の円周溝は、摩擦プレートの径方向の中間点から外周縁に至る領域に形 成されている。 ・上述の円周溝は、摩擦プレートの内周縁より外周縁寄りに、径方向の約２/ ３付近に形成されている。 ・上述の円周溝の断面は、台形状である。 ・上述の径方向溝の断面は、台形状である。 本発明によれば、クラッチ解放動作中に、摩擦ディスクの各摩擦プレートとク ラッチの関連するプレート（例えば、リアクションプレートやプレッシャープレ ート）との間において、同じ圧力値の空気層が提供され、これにより、摩擦プレ ートのクラッチ解放を、効果的に、かつ均一に行うことができ、また、クラッチ を、完全かつ全体的に解放することができる。 上記以外の本発明の特徴及び利点は、以下の実施例の説明により明らかとなる と思う。次に、本発明による摩擦プレートの部分正面図である図１を参照して、 実施例を説明する。 乾式摩擦クラッチの摩擦ディスクは、公知のように、２枚の摩擦プレートを備 え、各摩擦プレートは、それらに共通であり、かつ好ましくは、斬新的係合装置 を形成するか、または斬新的係合装置を備える金属支持体に、直接的にまたは間 接的に固定されている。 トーションダンパーは、好ましくは、摩擦プレートの支持体とスプラインハブ との間に配置され、スプラインハブは、ギヤボックス入力シャフトに取付けられ るようになっている。 各摩擦プレート（１０）（図１参照）は、摩擦ディスクの回転により圧力空気 を発生する手段を備えている。 上述の圧力空気を発生する上述の手段とは、各摩擦プレート（１０）の表面（ １１）に形成されている円周溝（２０）及び径方向溝（３０）である。摩擦プレ ート（１０）は、クラッチのリアクションプレート及びプレッシャープレートに それぞれ接触するようになっている。溝は、２枚の摩擦プレートに、摩擦ディス クの中間面に対して対称的に形成されている。このように形成することにより、 摩擦ディスクが回転する時、その各面に、同等で、かつ反対の圧力空気が発生す るようにしてある。 従来、溝を有する摩擦プレートは提案されている。しかしこの場合の溝は、摩 擦プレートを構成する摩擦材が摩耗して発生する塵を収集して排出することを目 的として形成されており、結合されている摩擦プレートの解放には何ら効力がな い。また、時として有害となることもある。 図１から分かるように、上述の溝は、摩擦プレート（１０）の外周縁（１２） から離れて位置する円周溝（２０）と、円周溝（２０）に開口し、かつ摩擦プレ ート（１０）の内周縁（１３）に接している複数の径方向溝（３０）とである。 図示しない他の実施例では、円周溝（２０）は、エネルギー損失を発生する部 分を介して、摩擦プレートの外周縁（１２）と連通している。例えば、少なくと も１本の溝の一部分は、円周溝（２０）及び/または径方向溝（３０）よりも細 い断面を有している。 円周溝（２０）は、摩擦プレート（１０）の径方向の中間点と外周縁（１２） との間に形成されている。例えば円周溝（２０）は、図示のように、摩擦プレー ト（１０）の内周縁から外周縁（１２）寄りに、径方向の約２/３付近に形成さ れている。 円周溝（２０）及び/または径方向溝（３０）の断面、もしくはその両方の断 面は、台形状であるのが好ましい。 本出願人は、溝がこのような断面を有していると、溝により捕捉された空気の 塊りの重心が外側方へ移動し、クラッチの関連するプレートから各摩擦プレート （２０）を解放するための反発力は大きく増加させられ、これにより、クラッチ を完全かつ全体的に解放しうることを発見した。 実験によると、クラッチが回転している時に、円周溝（２０）は、加圧状態の 空気の塊りをつかみ、径方向溝（３０）は、遠心効果によって、円周溝（２０） 内に空気を送り込むことが認められた。 図示しないその他の実施例は、以下のようである。 ・径方向溝の全体または一部の断面を、摩擦プレートの外周縁に向かうに従っ て径方向に広がる断面とする。 ・円周溝を、摩擦プレートの外周縁方向に向かうに従って径方向に広がってい く断面を有する少なくとも１本の径方向溝を介して、摩擦プレートの外周縁と連 通させる。 ・径方向溝（３０）を傾斜溝とする。その場合、一方の摩擦プレートと他方の 摩擦プレートの溝は、摩擦ディスクの中間面に対して対称とする。 ・摩擦ディスクが大きな径の時には、径方向溝を介して互いに連通する複数の 円周溝を設ける。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．乾式摩擦クラッチのための、特に、自動車用乾式摩擦クラッチのための摩 擦ディスクであって、２枚の円形の摩擦プレート（１０）を備え、上記摩擦プレ ート（１０）は、その回転により圧力空気を発生するための手段として、クラッ チのリアクションプレート及びプレッシャープレートのそれぞれに接触するよう になっている各摩擦プレートの表面（１１）に形成された、摩擦プレートの内周 縁（１３）において開口する複数の径方向溝（３０）と、上記径方向溝（３０） に連通する円周溝（２０）とを有することを特徴とする摩擦ディスク。 ２．圧力空気を発生する上記手段は、クラッチのリアクションプレート及びプ レッシャープレートのそれぞれに接触するようになっている各摩擦プレートの表 面（１１）に形成された円周溝（２０）及び径方向溝（３０）であり、上記円周 溝（２０）及び径方向溝（３０）は、一方の摩擦プレートと他方の摩擦プレート に、摩擦ディスクの中間面に対して対称的に形成され、回転している各摩擦ディ スクの面に、同等かつ反対の圧力空気を発生するようになっている請求項１記載 の摩擦ディスク。 ３．少なくとも１本の径方向溝は、摩擦プレートの外周方向に向かって広くな る断面を有することを特徴とする請求項１または２記載の摩擦ディスク。 ４．上記円周溝は、摩擦プレートの外周縁（１２）から離れて設けられている ことを特徴とする請求項１または３記載の摩擦ディスク。 ５．上記円周溝（２０）は、摩擦プレートの外周方向に向かって広くなる断面 を有する少なくとも１本の径方向溝を介して、摩擦プレートの外周縁（１２）と 連通していることを特徴とする請求項１または３記載の摩擦ディスク。 ６．上記円周溝（２０）は、エネルギー損失を発生する部分を介して、摩擦プ レートの外周縁（１２）と連通していることを特徴とする請求項１または３記載 の摩擦ディスク。 ７．エネルギー損失を発生する上記部分は、上記円周溝及び/または径方向溝 よりも小さい断面の少なくとも１本の溝からなる請求項６記載の摩擦ディスク。 ８．エネルギー損失を発生するための上記部分は、くびれを有する少なくとも １本の溝からなることを特徴とする請求項６記載の摩擦ディスク。 ９．単一の円周溝（２０）が、摩擦プレートに形成されていることを特徴とす る請求項１〜８のいずれかに記載の摩擦ディスク。 １０．上記円周溝（２０）は、摩擦プレートの径方向の中間点と外周縁（１２ ）との間に形成されることを特徴とする請求項９記載の摩擦ディスク。 １１．上記円周溝（２０）は、摩擦プレートの内周縁から外周縁（１２）寄り に、径方向の約２/３付近に形成されていることを特徴とする請求項１０記載の 摩擦ディスク。 １２．上記円周溝（２０）は、台形状の断面を有することを特徴とする請求項 １〜１１のいずれかに記載の摩擦ディスク。 １３．上記径方向溝（３０）は、台形状の断面を有することを特徴とする請求 項１〜１２のいずれかに記載の摩擦ディスク。 １４．乾式摩擦クラッチの摩擦ディスクの摩擦プレートであって、クラッチの リアクションプレートまたはプレッシャープレートと接触するようになっている 表面に、摩擦プレートの内周縁（１３）に開口する複数の径方向溝（３０）と、 上記径方向溝（３０）と連通する円周溝（２０）とを有することを特徴とする摩 擦プレート。 １５．少なくとも１本の径方向溝は、摩擦プレートの外周方向に向かって広く なっていく断面を有することを特徴とする請求項１４記載の摩擦プレート。 １６．上記円周溝（２０）は、摩擦プレートの外周緑（１２）から離れて形成 されていることを特徴とする請求項１４または１５記載の摩擦プレート。 １７．上記円周溝（２０）は、摩擦プレートの外周方向に向かって広くなって いく路を有する少なくとも１本の径方向溝を介して、摩擦プレートの外周縁（１ ２）と連通していることを特徴とする請求項１４または１５記載の摩擦プレート 。 １８．上記円周溝（２０）は、エネルギー損失を発生する部分を介して、摩擦 プレートの外周縁（１２）と連通していることを特徴とする請求項１４または１ ５記載の摩擦プレート。 １９．エネルギー損失を発生する上記部分は、上記円周溝及び/または径方向 溝よりも細い断面を有する少なくとも１本の溝からなることを特徴とする請求項 １８記載の摩擦プレート。 ２０．エネルギー損失を発生する上記部分は、くびれを有する少なくとも１本 の溝からなることを特徴とする請求項１８記載の摩擦プレート。 ２１．単一の円周溝（２０）が摩擦プレートに形成されていることを特徴とす る請求項１４〜２０のいずれかに記載の摩擦プレート。 ２２．上記円周溝（２０）は、摩擦プレートの径方向の中間点と外周縁（１２ ）との間に形成されていることを特徴とする請求項２１記載の摩擦プレート。 ２３．上記円周溝は、摩擦プレートの内周縁から外周縁奇りに、径方向の２/ ３付近に形成されていることを特徴とする請求項２２記載の摩擦プレート。 ２４．上記円周溝（２０）は、台形状の断面を有することを特徴とする請求項 １４〜２３のいずれかに記載の摩擦プレート。 ２５．上記径方向溝（３０）は、台形状の断面を有することを特徴とする請求 項１４〜２４のいずれかに記載の摩擦プレート。