JP2000516811A - 植物の防御応答を調節するポリヌクレオチドおよびそれの使用 - Google Patents

植物の防御応答を調節するポリヌクレオチドおよびそれの使用

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Abstract

(57)【要約】 大麦のMlo遺伝子、mlo突然変異体、並びに米およびシロイヌナズナを含む他の種からの相同体は、植物の病原体防御応答の調節を可能にする。核酸およびポリペプチドは、病原体防御応答が調節される(特に刺激される)トランスジェニック植物の生産に用いられる。様々なアプローチが植物中の感受性または耐性対立遺伝子の存在の診断測定を可能にする。Mloまたはmloタンパク質との相互作用により防御応答を調節することができる化合物を、該タンパク質またはその断片を必要とするアッセイを使って同定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 植物の防御応答を調節するポリヌクレオチドおよびそれの使用 本発明は、増強された病原体耐性を植物に提供するために、植物の防御応答を 刺激することに関する。より詳しくは、本発明は、大麦Mlo遺伝子、様々な変異 型mlo対立遺伝子、および様々な種からの多数の相同体のクローニングに基づく 。Mlo遺伝子は大麦では今まで成功したことのない位置クローニング方法を使っ て単離された。詳細と考察を下記に与える。野性型Mloは病原体防御応答に負の 調節機能を及ぼし、その変異体は病原体の非存在下で病原体防御応答を示す。本 発明によれば、Mlo機能のダウンレギュレーションまたはアウトコンペティショ ンを利用してトランスジェニック植物における防御応答を剌激し、増強された病 原体耐性を付与することができる。 病原体に対する防御応答が構成的に発現されると思われる突然変異が幾つかの 植物について記載されている。大麦のMlo遺伝子座の変異誘発型劣性対立遺伝子( mlo)は葉病斑表現型を示し、そしてうどんこ病菌Erysiphe graminis f sp horde i に対する見かけ上永続的な広域スペクトル耐性を付与する。 うどんこ病病原体に対する耐性応答は遺伝学的に十分特徴づけられている(Wi berg,1974;SPgaard & Jprgensen,1988;JorgenSen,1994)。解析された大多数 の例では、耐性はFlorの遺伝子対遺伝子説の法則に従って品種特異的耐性遺伝子 により特定される(Flor,1971)。この型の植物/病原体相互作用ては、耐性は 1つが宿主からのでもう1つが真菌病原体からのである2つの相補的遺伝子によ り指定され且つ該遺伝子の存在に依存している。この相補的遺伝子 は、それぞれ(病原体)耐性(「R」)遺伝子および非病原性遺伝子と作用上名 付けられた。うどんこ病耐性遺伝子(Mlx)の大部分は優性または半優性形質とし て働く(Jorgensen,1994)。 Mlo遺伝子座の劣性(mlo)対立遺伝子により媒介される−遺伝子性耐性はそれと は異なる。劣性であることの他に、この耐性は(i)それが該病原体のほとんど全 ての既知分離物に対して広域スペクトル耐性を付与すること、(ii)mlo耐性対 立遺伝子が試験した任意の感受性野性型(Mlo)品種の変異原処理により得られた こと、そして(3)mlo耐性対立遺伝子が病原体の不在下で防御模擬表現型を示す ことから、単一病原体株に対する品種特異的耐性とは異なる(Wolter他,1993) 。遺伝情報は、Mlo野性型対立遺伝子が病原体の侵襲に対する防御応答に対して 負の調節機能を果たすことを示す。 mlo対立遺伝子により媒介される耐性は大麦育種において現在広く利用されて おり、ヨーロッパでは見積りで1千万ヘクタールがこの遺伝子型の種子を使って 毎年栽培されている。別の穀物におけるうどんこ病に対する「mlo様」遺伝耐性 は今まで報告されていないか、真菌が小麦(うどんこ病菌Erysiphe graminls f sp triticiにより発病)、エンバク(E.g.f sp avenaeにより発病)およびラ イ麦(E.g.f sp secalisにより発病)における関連病原菌である。穀類は形態 学的に、遺伝学的におよび生化学的に互いに高度に関連している(Moore他,199 5)ので、それらの種に相同遺伝子が存在することは予想されるだろう。小麦や エンバクにおいて「mlo様」遺伝耐性を見出せなかったのは、おそらく、突然変 異誘発による6遺伝子コピーの全部の欠損対立遺伝子の獲得を難しくするそれら の六倍体ゲノムのためであり、そして全てのそのような変異が自然に起こる見込 みはごくわずかである。別の穀類においてmlo同等物を見出せなかったのは、お そらく、それらの種での突然変異分析が不 十分なこととそれらの異系交配性質の結果としての複雑化のためであろう(例、 ライ麦)。 大麦の第4染色体上のMloに密接に連鎖したRFLPマーカーは、6つの遺伝的背 景からmlo対立遺伝子を含むmlo戻し交雑系の収集に基づいて同定された(Hinze 他,1991)。RFLPマーカーに基づいたMloの地図位置は、形態マーカーを使った マッピングにより以前に決定されたそれの染色体位置と一致した(Jorgensen,1 977)。 両端が遺伝子マーカーに隣接したMlo遺伝子を含む〜3cM(センチモルガン)の 遺伝距離が同定されたので、我々は位置クローニングによって該遺伝子の単離を 試みることを決断した。 しかしながら、大麦遺伝子の位置クローニング試験の成功例は一つも報告され ていない。我々は多数の困難に直面した。 第一に、大麦のゲノム(5.3×109 bp/一倍体ゲノム当量;Bennett & Smith, 1991)はヒトゲノムのほぼ2倍のサイズを有し、そして全遺伝地図が〜1,800cM に及ぶ(Becker他,1995)ため、我々は非常に不利な遺伝距離と物理距離の割合 に直面した(1cMが〜3Mbに相当する)。 第二に、0.1cMより高い精密度での連鎖マーカーの位置確認を可能にするMlo周 辺の高分解能遺伝地図を作製しなければならなかった。 第三に、我々は個々の大きな挿入ゲノムクローン上で標的遺伝子と両隣接DN Aマーカーの範囲を物理的に定めようと試みた。この方法は後に「染色体ランデ ィング」と名付けられた(TanKsley他,1995)。このために、大麦のメガ塩基D NAから、500〜600Kbの平均挿入断片サイズを有する完全大麦YACライブラリ ーを作製しなければならなかった。これは先例のないことであった。 第四に、我々は、時間のかかる大麦トランスジェニック植物の作 製や種々の候補遺伝子の試験を必要とすることなく、物理的に範囲か定められた 領域内でMlo遺伝子を同定できるようにする、普通とは違う遺伝材料を調製しな ければならなかった。10種類の特徴付けられた放射線または化学的誘導mlo変異 体(Jorgensen,1992)を我々の研究に使用した。遺伝子単離の一連の決定的証 拠を得るために、我々は、特徴付けられたmlo欠損対立遺伝子から取り掛かり野 性型M1o対立遺伝子の機能回復を当てにすることにした。このために、我々はmlo ヘテロ対立遺伝子間交雑を実施し、そして感受性遺伝子内Mlo組換え体を単離し た。これらの組換え体の配列分析は記載の遺伝子の機能を証明する。 大麦Mlo遺伝子および相同体(他の植物種からの相同体を含む)のクローニン グは多数の実用的用途を引き出し、それが本発明の様々な観点に反映される。 本発明の第一の観点によれば、Mlo機能を有するペプチドをコードするヌクレ オチド配列を含んで成る核酸分子が提供される。当業者は、「Mlo機能」が防御 応答を抑制する能力を指し、前記防御応答が品種および/または病原体に無関係 であり且つ病原体の存在に対し自律性であることを認識するだろう。Mlo機能は 例えば大麦のMlo遺伝子、アブラナ科(Arabldopsis)のAcd遺伝子およびLsd遺伝 子である。 野性型Mloの配列の機能的発現をダウンレギュレートするまたは破壊するmlo変 異は劣性であるので、それらは野性型配列の発現により補完される。よって「Ml o機能」は、構成的防御応答および/または例えばうどんこ病やさび病(例えば 黄さび病)のような病原体に対する植物の感受性のレベルを評価することにより 決定することができる。従って、Mlo機能を有する推定ヌクレオチド配列を適当 なmlo変異体の補完について試験することができる。「mlo機能」 という語句は、植物にmlo変異型表現型を付与する配列を言及するために用いら れる。 「Mlo」の大文字使用および「mlo」の小文字使用は、「野性型」機能と「変異 型」機能とを区別するために用いられる。 mlo変異型表現型は、品種および/または病原体に無関係であり且つ病原体の 存在に対し自律性である、1または複数の病原体に対する増強された耐性の提示 により特徴づけられる。 試験植物は単子葉植物または双子葉植物であってもよい。適当な単子葉植物と しては、大麦、米、小麦、トウモロコシまたはエンバクのいずれかが挙げられる が、特に大麦である。適当な双子葉植物としてはアブラナ科(Arabidopsis)が 挙げられる。 本発明の核酸は、図2に示されるアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド、ま たはそれの対立遺伝子、変異形、誘導体もしくは突然変異体、または相同体をコ ードすることができる。 本発明の核酸は、大麦のMlo遺伝子の配列を有するか、与えられる配列の突然 変異体、変異形(もしくは誘導体)もしくは対立遺伝子、または相同体であるこ とができる。好ましい突然変異体、変異形および対立遺伝子は、野性型遺伝子の 機能的特性、特に本明細書に記載されるような防御応答を抑制する能力、を保持 している配列をコードするものである。別の好ましい突然変異体、変異形および 対立遺伝子は、例えはMlo機能を低下させるかまたは完全にもしくは部分的に廃 止することにより、防御応答の構成的活性化を引き起こすか、または少なくとも 防御応答の活性化を促進する配列(すなわち、mlo変異型配列である)をコード する。mlo変異型配列を与える好ましい変異は表1に示される。突然変異体、誘 導体または変異形を生成する配列変更は、1もしくは複数のアミノ酸の付加、挿 入、欠失および/または置換を引き起こす、核酸中の1もしくは複 数のヌクレオチドの付加、挿入、欠失または置換のいずれか1つまたは複数によ ることができる。もちろん、コードされるアミノ酸配列に全く相違を引き起こさ ない核酸の変更も含まれる。特定の変異形、突然変異体、対立遺伝子および誘導 体、並びに相同体については下記に更に記載される。 本発明の一観点に係る好ましい核酸配列は、推定アミノ酸配列と一緒に図2に 示される。核酸は、コードされるアミノ酸配列の変更を伴うかまたは伴わない( 遺伝暗号の縮重のために)、ヌクレオチドの置換によりおよび/または1もしく は複数のヌクレオチドの付加、挿人および/または置換の組合せにより変更を受 けてもよい。 下記に論じるように、本発明の更なる観点は、米(ゲノム配列:図5の下側の 行、cDNA配列:図10、アミノ酸配列:図13)および大麦(ゲノム配列:図6 の下側の行、cDNA配列:図11、アミノ酸配列:図14)由来のものを含む図2 に示されるMlo配列の相同体を提供する。更には表5B(ヌクレオチド配列)お よび図5A(アミノ酸配列)は米およびシロイヌナズナ由来の相同ESTを示す 。 本発明は、提供される配列のいすれか1つを有する核酸を含んで成るベクター 、好ましくは或る生成物を発現させることができるべクターも提供する。ベクタ ーは好ましくは、植物細胞および/または微生物細胞中への形質転換に適するも のである。本発明は更に、そのようなベクターにより形質転換された宿主細胞、 特に植物細胞または微生物細胞〔例えばアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens) 〕を包含する。従って本発明の核酸を含んで成 る宿主細胞、例えば植物細胞が提供される。細胞内では、核のゲノム、即ち染色 体中に該核酸が組み込まれてもよい。一倍体ゲノムあたり複数の非相同ヌクレオ チド配列が存在してもよい。 本発明の核酸を含んで成るベクターは、特に該ベクターがゲノム中への組換え のために細胞に核酸を導入する目的で使用するつもりである場合には、必ずしも プロモーターを含む必要はない。 本発明に係る核酸分子とベクターは、それらの自然環境から単離されそして/ または精製された形で、関連する配列以外の起源のまたは目的の種の核酸もしく は遺伝子を含まないまたは実質的に含まない、実質的に純粋なもしくは均質な形 で、提供することできる。本発明の核酸はcDNA、RNA、ゲノムDNAを含 んでもよく、完全にまたは部分的に合成であってもよい。「分離物」という語は それらの可能性の全てを包含し得る。 本発明は、開示される核酸配列のいずれかの発現生成物、および適当な宿主細 胞(例えばE.コリ)中での適当な条件下でのコード核酸からの発現により発現 生成物を生産する方法も包含する。当業者は、ベクターを作製することや発現お よび組換え遺伝子発現の生成物の回収のためのプロトコルをデザインすることが 十分できる。1または複数の適当な調節配列、例えばプロモーター配列、ターミ ネーター断片、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および 適宜他の配列を含む、適当なベクターを選択または作製することができる。詳細 については、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual:第2版,Sambrook 他,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。形質転換法は 、使用する宿主細胞によるが、十分に知られている。例えば核酸構成物の調製、 変異誘発、配列決定、細胞へのDNAの導入および遺伝子発現に際しての核酸の 操作、並びにタンパク質の分析のための多数の既知技術およびプロトコルが、Sh ort Protocols in Molecular Biology,第2版,Ausubel他編,John Wiley&Sons ,1992に詳細に記載されている。言及される他の文献に加えて、Sambrook他とAu subel他 の開示が参考として本明細書に組み込まれる。 精製されたMloタンパク質、またはそれの断片、突然変異体もしくは変異形、 例えばそれをコードする核酸からの発現により組換え生産されたものは、当業界 において標準的な技術を使って抗体を惹起せしめるために用いることができる。 抗体および抗体の抗原結合性断片を含んで成るポリペプチドは、後述する通り、 別の種からの相同体を同定する際に使用することができる。 抗体の産生方法は、該タンパク質またはその断片を用いて哺乳類(例えばヒト 、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ヤギ、ヒツジまたはサル)を免疫処置するこ とを含んで成る。当業界で既知の様々な方法のいずれかを使って免疫動物から抗 体を得ることができ、そして好ましくは着目の抗原への抗体の結合を利用して、 抗体をスクリーニングすることができる。例えば、ウエスタンブロット技術また は免疫沈澱法を使うことができる(Armitage他,1992,Nature 357:80-82)。抗 体はポリクローナルでもモノクローナルでもよい。 哺乳類を免疫処置することに代わるものまたは補足として、例え機能的免疫グ ロブリン結合領域を表面上に表示するλバクテリオファージまたは繊維状バクテ リオファージを使って発現された免疫グロブリン可変領域の組換え生産ライブラ リーから、適当な結合特異性を有する抗体を得ることができる。例えばWO 92/01 047を参照のこと。 ポリペプチドまたはペプチドに対して惹起せしめた抗体は、相同ポリペプチド の同定および/または単離に、次いでコード遺伝子の同定および/または単離に 利用することができる。よって、本発明は、Mloもしくはmlo機能を有するポリペ プチドを同定または単離する方法(本明細書中に開示される態様に従う)であっ て、Mloもしくはmloペプチド、ポリペプチドまたはそれらの断片もしくは変 異体を結合することかできる、あるいは好ましくはそのようなペプチドもしくは ポリペプチドに対する結合特異性を有する(例えば本明細書中に同定されたアミ ノ酸配列を有する)、抗体の抗原結合性領域を含んで成るポリペプチド(例えば 完全抗体もしくはその断片)を用いて、候補のペプチドまたはポリペプチドをス クリーニングすることを含んて成る方法を提供する。Mloもしくはmloペプチドも しくはポリペプチドまたはそれらの突然変異体、変異形もしくは誘導体を結合し そして好ましくはそれらに特異的である抗体の抗原結合性領域を含んで成る抗体 およびポリペプチドのような特異的結合メンバーは本発明の別の観点を表し、同 様にそれらの使用およびそれらを使用する方法も本発明の別の観点を表す。 スクリーニング用の候補のペプチドまたはポリペプチドは、例えは、着目の植 物由来の核酸を使って作製された発現ライブラリーの生産物であるか、あるいは 天然源からの精製工程の生産物であってもよい。 抗体を結合することがわかったペプチドまたはポリペプチドを単離し、次いで アミノ酸配列決定にかけることができる。任意の適当な技術を使ってペプチドま たはポリペプチドを完全にもしくは部分的に配列決定することができる(例えば ポリペプチドの断片を配列決定してもよい)。アミノ酸配列情報は、例えば候補 となる核酸へのハイブリダイゼーションの際にプローブもしくはプライマーとし て使われる1もしくは複数のオリゴヌクレオチド(例えばオリゴヌクレオチドの 縮重プール)をデザインすることにより、または下記に記載するようにコンピュ ーター配列データベースを検索することにより、ペプチドまたはポリペプチドを コードする核酸を得るのに利用することができる。 本発明の別の観点は、大麦以外の種を含む植物からMlo相同体を 同定しそしてクローニングする方法であって、図2に示される配列から誘導され たヌクレオチド配列を使用する方法を提供する。更に類似の観点は、添付された 他の図面のいずれかから誘導されたヌクレオチド配列を使用する。当業者に周知 の技術を使って核酸ライブラリーをスクリーニングし、それによって相同配列を 同定し、次いで試験することができる。大麦のMlo遺伝子および様々な相同体に ついての配列情報を提供することにより、大麦や本明細書中に更に例示されるよ うな他の植物種から相同配列を獲得できるようになる。 また、図2(エキリンが強調されている)に提供されるMlo配列との比較によ り同定され得る推定上のエキソン配列に基づいて、PCRプライマーを誘導し、 そして着目の植物(例えば大麦や米)からの全RNAを使って、図5および6に 示される相同体(cDNA配列およびアミノ酸配列は他の図に示される)についてRT −PCRを実施することができる。 ヌクレオチド配列げ与えられておりそしてアミノ酸配列が与えられているかま たは推定可能である相同体は、図2に示される大麦遺伝子について開示されたも のに準じて、本発明の別の観点を提供する。 本発明は、図2に示されるものから誘導されるヌクレオチド配列または図2に 示されるアミノ酸配列を使って得られたMlo相同体をコードする核酸にも及ぶ。 好ましくは、前記ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列は、図2のヌク レオチド配列によりコードされる配列と、好ましくは少なくとも約50%、または 少なくとも約55%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または 少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または 少なくとも約85%、または少なくとも約90%の相同性を有し、最も好ましくは少 なくとも約95%の相同性を有する。アミ ノ酸配列に関する「相同性」とは、同一性または類似性を言い、好ましくは同一 性を言うために用いられる。高レベルのアミノ酸同一性は機能的に重要なドメイ ンまたは領域に限定されてもよい。 本発明に係る突然変異体、対立遺伝子、変異形または誘導体アミノ酸配列とし ては、図2に示される配列内に、図2に示される配列に関して単一アミノ酸変更 、または2,3,4,5,6,7,8もしくは9つの変更、約10,15,20,30, 40もしくは50の変更、または約50,60,70,80もしくは90より多くの変更を含む ことができる。図2に示されるアミノ酸配列中の1または複数の変更に加えて、 突然変異体、対立遺伝子、変異形または誘導体アミノ酸配列はC末端および/ま たはN末端に追加のアミノ酸を含んでもよい。 よく知られているように、アミノ酸レベルでの相同性は、一般にアミノ酸類似 性または同一性として見られる。類似性は「保存的変更」、すなわちイソロイシ ン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンのような或る疎水性残基から別の疎水 性残基への置換、または或る極性残基から別の極性残基への置換、例えばアルギ ニンからリジン、グルタミンからアスパラギン酸、もしくはグルタミンからアス パラギンへの置換を考慮に入れる。類似性は当業界で標準使用されているAltsch ul他(1990)J.Mol.Blo1.215:403-10のTBLASTNプログラムにより限定および 測定することができ、あるいはこれにはWisconsin Package,Version 8,1994年 9月(Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,US A,Wisconsin53711)の一部である標準プログラムBestFitが好ましいかもしれな い。BestFitは2つの配列間の最高類似性セグメントの最適整列を行う。最適整 列は、SmithおよびWatermanの局部相同性演算法を使って対合の数を最大にする ようにギャップを挿入することにより見出される。 相同性は本明細書中に示される関連配列の全長に及んでもよく、あるいはより 好ましくは、場合場合で関連アミノ酸配列またはヌクレオチド配列と比較して、 約20,25,30,33,40,50,67,133,167,200,233,267,300,333,400,45 0,500,550,600もしくはそれ以上のアミノ酸またはコドンの連続配列に及んで もよい。 ここに提供されるEST配列は、図2のMloアミノ酸配列に対して平均70%の 類似性と50%の同一性を有する。我々は、米相同体(図5)と大麦相同体(図6 )が81%のアミノ酸同一性を有することを示す(両アミノ酸配列は図13と図1 4に示される)。 ある態様では、特定配列の対立遺伝子、変異形、誘導体、突然変異体または相 同体がその特定配列に関して、約20%、または約25%、または約30%、または約 35%、または約40%、または約45%というように低い全体的相同性しか示さない ことがある。しかしながら、機能的に重要なドメインまたは領域では、アミノ酸 相同性はずっと高いに違いない。推定上の機能的に重要なドメインまたは領域は 、相同体の配列比較をはじめとする生物情報科学プロセスを使って同定すること ができる。異なるポリペプチドの機能的に重要なドメインまたは領域を組み合わ せて、コード核酸から融合タンパク質として発現させることができる。例えば、 結果として得られるM1oまたはmlo機能を有する発現生成物が種々の親タンパク質 の断片を含むように、異なる相同体の特に有利なまたは望ましい性質をハイブリ ッドタンパク質のなかに組み合わせることができる。 本発明により提供されるヌクレオチド配列情報またはその任意部分を、相同配 列を発見するためのデータベース検索に使用することができ、その相同配列の発 現生成物をMloまたはmlo機能について試験することができる。それらは植物にお いてmlo変異型表現型を補完する能力を有するか、または植物中で発現させるとm lo表現型 を付与することができる。 公開配列データベース中に、最近我々は図2の配列の相同体を幾つか同定した 。我々は米と大麦並びに双子葉植物シロイヌナズナにおいて既に相同体を発見し ている。 相同体を配列決定し、それらの発現パターンを研究し、そしてそれらの発現を 変更することの効果を調べることにより、大麦のMloに類似した機能を果たす遺 伝子を得ることができる。もちろん、それらの配列の突然変異体、変異形および 対立遺伝子も、大麦遺伝子について上述したのと同じ見地から本発明の範囲内に 含まれる。 本明細書中に開示される相同体間の相同性は、例えは配列保存に基づいてデザ インされたオリゴヌクレオチド(例えば縮重プール)を使って、他の相同体の同 定に利用することができる。 更に別の観点によれば、本発明は、例えば大麦以外の種から、Mlo相同体を同 定する方法またはクローニングする方法を提供し、該方法は図2に示されたもの または別の図面のいずれかに示されたものより誘導されたヌクレオチド配列を使 用する。例えば、そのような方法は、相同体を検索するのに、図2および/また は図5および/または図6および/または図10および/または図11および/また は図12の配列間で保存された1もしくは複数のヌクレオチド配列を含んで成るか 、あるいは図2および/または図7および/または図13および/または図14およ び/または図15の間で保存されたアミノ酸配列をコードしている、1もしくは複 数のオリゴヌクレオチドを使用することができる。よって、オリゴヌクレオチド のまたはそのようなオリゴヌクレオチドを含んで成る核酸分子を標的/候補核酸 にハイブリダイスせしめることを含んで成る、核酸を獲得する方法が提供される 。標的または候補核酸は、例えば、そのような核酸を含むことが知られているか または含むと思われる、単子葉植物ま たは双子葉植物のいずれかの生物体より得られるゲノムライブラリーまたはcD NAライブラリーを含んで成る。好結果のハイブリダイゼーションを同定し、そ して更なる研究および/または利用のために標的/候補核酸を単離することがで きる。 ハイブリダイゼーションは、適当に緊縮な条件下で核酸を探査しそして陽性ハ イブリダイゼーションを同定すること(既知技術に従う)および/または核酸増 幅方法(例えばPCR)におけるプライマーとしてのオリゴヌクレオチドの使用 を必要とし得る。探査のための好ましい条件は、更に調査することができるよう な、陽性として同定される少数のハイブリダイゼーションを含む単純なパターン が得られるのに十分な位に緊縮である条件である。少数の陽性クローンだけが残 るまでハイブリダイゼーションの緊縮性を高めることは当業界で周知である。 まだ核酸ハイブリダイゼーションを使用するけれども、探査に代わるものとし て、DNA配列を増幅せしめる目的てデザインされたオリゴヌクレオチドを、常 用手順を用いて、PCR反応においてまたは別の核酸増幅を伴う方法において使 用することができる。例えば“PCR Protocols:A Guide to Methods and Applica tions”,Innis他編,1990,Academic Press,New Yorkを参照のこと。 何らかの目的でプローブまたはPCRプライマーの設計に使用するのに好まし いアミノ酸配列は、植物の防御応答を抑制することができる遺伝子によりコード される少なくとも2つのMloペプチドもしくはポリペプチド間で(完全に、実質 的にまたは部分的に)保存された配列であり、例えば本願の添付図面のいずれか に記載のアミノ酸配列を有しそして/または本願の添付図面のいずれかに記載の ヌクレオチド配列によりコードされる配列である。 アミノ酸配列情報に基づいて、遺伝暗号の縮重、および適当なら は候袖の核酸の起源である生物のコドン使用頻度を考慮に入れながら、オリゴヌ クレオチドプローブまたはプライマーをデザインすることができる。 好ましくは、本発明の或る態様に従ったオリゴヌクレオチド、例えば核酸増幅 用のオリゴヌクレオチドは、長さが約50ヌクレオチドまで、または約40ヌクレオ チドまで、または約30ヌクレオチド以下である(例えば18,21または24)。 そのようなPCR生成物がMlo相同体遺伝子に該当するか否かの評価は様々な 方法で行うことができる。そのような反応からのPCRバンドは生成物の複雑な 混合物を含む可能性がある。個々の生成物をクーニングし、各々を1つずつ個別 にスクリーニングしてもよい。着目の植物への導入時に形質転換により分析して 機能を評価してもよい。 記載の通り、本発明の核酸は、本明細書中に与えられる配列情報に基づいてデ ザインされたオリゴヌクレオチドをプローブまたはプライマーとして使って得る ことができる。大麦または別の植物(上記参照)の1もしくは複数の細胞から単 離および/または精製された核酸を、あるいは前記植物から単離および/または 精製された核酸より誘導された核酸ライブラリー(例えば前記植物から単離され たmRNAより誘導されたcDNAライブラリー)を、選択的ハイブリダイゼー ションの条件下で探査しそして/またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のよう な特異的核酸増幅反応にかけることができる。探査される核酸または増幅反応で 鋳型として使われる核酸は、ゲノムDNA、cDNAまたはRNAであることが できる。必要なら、1または複数の遺伝子断片を連結せしめて全長コード配列を 作製してもよい。 我々は、本明細書中に開示されるMlo配列由来の幾つかのPCR プライマーを試験して、大麦ゲノムDNAとRT−PCR鋳型の両方を使って、 本発明の核酸を増幅させるそれらの特異性について調べた。後者は大麦ポリA+ RNAから合成した。どちらの場合も、PCR生成物のクローニングとその後の DNA配列決定により証明されるように、期待のMlo由来遺伝子断片を増幅させ ることができた。RT−PCR生成物を鋳型として使用した場合、記載の通り5 ’および3’RACE技術によって全長cDNAクローンを得ることができる。 試験したプライマーの例としては以下のものが挙げられる: 種々のプライマ一組合せを試験した:38/39A;38/39;38/33;38/37;38 A/39A;38B/39A;38/25L:38/25LN;25R/25L;25R/25LN;25 R/53。 本発明の種々の観点は、得られる核酸、着目の核酸の存在についての材料(例 えば細胞溶解物、核酸調製物)のスクリーニング方法、核酸の獲得方法並びに上 記に与えたプライマーおよびプライマーの組合せの獲得方法を包含する。 本明細書中に提供する配列情報は、育種計画の中の任意の特定の植物、栽培品 種、品種、個体群、土地品種(landrace)、家系の一部または別の選抜において 、特定のmlo耐性対立遺伝子もしくは感受性対立遺伝子(例えば野性型)または 他のそのような遺伝子型の存在を決定するための、診断試験の設計(デザイン) も可能にする。診断試験は、核酸またはポリペプチドの検出により特定の対立遺 伝子の存否を測定することに基づいてもよい。 核酸レベルでは、これは適当なオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、 例えばMlo遺伝子もしくはその相同体(本明細書に開示されるいずれの相同体も 含む)の断片、または任意の特定の対立遺伝子、例えばmlo表現型を与える対立 遺伝子、例えば本明細書に開示される任意のそのような対立遺伝子のハイブリダ イゼーションを必要とし得る。ハイブリダイゼーションは、mloの特定の対立遺 伝子変異体からの生成物を増幅させるようにデザインされたPCRに続いて、多 数の可能な方法(非限定的例として、ゲル電気泳動、毛管電気泳動、ヌクレオチ ド配列プローブの直接ハイブリダイゼーションなどが挙げられる)のいずれかに よる増幅生成物の検出を伴う。診断試験は、多数の可能な方法〔例として、DN A断片サイズ分画、制限部位変更(例えばCAPS)などが挙げられる〕のいずれか により種々の可能な対立遺伝子を識別する試験を使って、Mlo遺伝子座からの任 意対立遺伝子または種々の対立遺伝子を増幅せしめるようにデザインされたPC Rに基づいて行うことができる。診断試験はまた、当業者に明白であろう多数の 核酸分析の変形、例えばハイブリダイゼーションプローブとして合成mlo由来配 列の使用、に基づいてもよい。 大まかに言えば、上記方法は、核酸配列の存在についてスクリーニングするも のと、ポリペプチドの存否を検出することによるもの とに分かれる。該方法は、核酸配列またはポリペプチドを含むと思われる1種以 上の植物または植物細胞からの生物学的試料を利用する。 核酸またはポリペプチドを検出するための代表的アプローチは、 (a) 植物または植物細胞からの試料中の核酸の配列を図7に示されるヌクレ オチド配列の全部または一部と比較して、被検体からの試料が変異を含むかどう かを決定すること; (b) 図2に示されるアミノ酸配列またはその断片を含むポリペプチドが料中 に存在するかどうか決定し、そして存在するなら、該ポリペプチドが全長である か、そして/または変異形であるか、そして/または正常レベルで発現されるか どうかを決定すること; (C) フィンガープリント法を実施して、制限酵素か試料中の核酸を切断する 時に生じる制限パターンを、図7に示されるヌクレオチド配列からまたはそれの 既知の突然変異体、対立遺伝子もしくは変異形から得られる制限パターンと比較 すること; (d) 図7に示されるヌクレオチド配列もしくはその断片、またはそれの突然 変異体、対立遺伝子もしくは変異形を含んで成る核酸に結合することができる特 異的結合メンバーと試料とを接触せしめ、ここで前記特異的結合メンバーとして は図7の配列とハイブリダイズできる核酸、または図7の配列を含む核酸に対し て特異性を有する結合性領域を含むポリヌクレオチドもしくはそれによりコード されるポリペプチド、またはそれの変異形が挙げられ、そして前記特異的結合メ ンバーの結合を測定すること; (e) 図7に示されるヌクレオチド配列に基づく1または複数のプライマーを 使用したPCRを実施して、図7のヌクレオチド配列またはそれの突然変異体、 対立遺伝子もしくは変異形を含んで成る核酸について前記試料をスクリーニング すること により前記植物または植物細胞からの試料を分析することを含んで成る。 耐性対立遺伝子について核酸をスクリーニングする時は、例えばPCRを使っ て初めに試料中の核酸を増幅させ、試料中に存在する他の配列に比べて分析対象 の量を増加させておくだろう。これにより、試料中に標的配列が存在するならば 高感度で標的配列が検出できるようになる。この初期段階は、当業界で次第に重 要性が増してきている高感度アレイ技術を使うことによって回避することが可能 である。 該遺伝子の変異形は、野性型配列と比較して、遺伝子機能を破壊してもしなく てもよい1もしくは複数のヌクレオチドの挿入、欠失、置換および/または付加 のいずれか1つまたは複数を含む(表1に示されるような)。ヌクレオチドレベ ルでの差異はコードされるポリペプチドのアミノ酸配列の差異に必ずしも反映さ れるとは限らない。しかしながら、遺伝子の突然変異または他の差異が、生産さ れるポリペプチド(もしあるなら)の性質に重大な影響を及ぼし得るフレームシ フトまたは終止コドンを生じさせるか、あるいはコードされるポリペプチドに点 変異または大規模変異(gross mutational change)を生じさせてもよい。その ような変異としては、ポリペプチド中の1もしくは複数のアミノ酸もしくは領域 の挿入、欠失、置換および/または付加が挙げられる。プロモーター配列または 他の調節領域中の変異は、遺伝子からの発現を減少させるかまたはmRNA転写物の プロセシングもしくは安定性に影響を及ぼし得る。 ゲノムDNA、cDNAおよび/またはmRNAを含む調製物に関して試験を 実施することができる。cDNAまたはmRNAを試験することは、イントロン 配列の不在により核酸の複雑さが減るという利点を持つが、調製物を作製するの に過剰な時間と努力が必要 であるという潜在的欠点も有する。RNアーゼが広く散在するためにRNAはD NAよも操作がより難しい。 試験試料中の核酸を配列決定し、その配列を図2または他の図面に示される配 列と比較して差異があるかどうかを決定することができる。もしあるなら、その 差異を既知の感受性対立遺伝子(例えば表1に要約されるような)と比較して試 験核酸が指摘の変異を1つもしくは複数含むかどうかを決定することができ、ま たはその差異を病気耐性との関連性について調べることができる。 次いで増幅された核酸を上記と同様に配列決定しそして/または任意の別の方 法で試験して、特定の特徴の存否を調べることができる。試験用の核酸は、制限 酵素消化や電気泳動といった様々な別の技術を使って、細胞から分離された核酸 からまたはライブラリー中の核酸から調製してもよい。 核酸は変異体特異的または対立遺伝子特異的プローブを使ってスクリーニング することができる。そのようなプローブは、病気耐性と関連することが知られて いる配列変更を含む、遺伝子の一領域またはその相補物に配列が一致する。適当 に緊縮性の条件下での試験核酸へのそのようなプローブの特異的ハイブリダイゼ ーションは、試験核酸中に配列変更が存在することを示す。効率的スクリーニン グのために、同一試験試料について複数のプローブを使用してもよい。 対立遺伝子特異的または変異体特異的オリゴヌクレオチドは、試験試料中に特 定の配列が存在するならば同様にPCRにおいて使用して、その特定の配列を特 異的に増幅させることができる。PCRバドが遺伝子変異体を含むかどうかの評 価は、当業者によく知られている様々な方法で実施することができる。例えば、 変性ポリアクリルアミドDNA配列決定用ゲル上に変異または多形性を表示で きるようにする方法でPCR生成物を処理し、遺伝子変異体に関連する特定のバ ンドを選択することができる。 試験試料中の変異型配列の存在を探査することに代わるものまたは補足は、適 当に特異的なオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを使って、正常配列 の存在を探査することである。 プローブと試験核酸との間のハイブリダイゼーションに続いて不正対合(ミス マッチ)の検出を頼みにするアプローチを使ってもよい。適当な条件(温度、p Hなど)下で、オリゴヌクレオチドプローブは完全には相補的でない配列とハイ ブリダイズするだろう。2つの核酸分子間の塩基対合の程度は、不正対合にもか かわらずそれらをアニールせしめるのに十分なものであろう。アニールしている 2つの核酸分子間の存在を検出するには様々なアプローチが公知である。 例えば、RNアーゼAは不正対合の部位のところを開裂する。開裂は、関連す る1または複数のプローブとアニーリングした試験核酸を電気泳動し、そして全 長プローブ/試験ハイブリッドよりも小さい分子(すなわち高い電気泳動移動度 を有する分子)を探すことにより検出することができる。別のアプローチはリゾ ルベースまたはエンドヌクレアーゼのような酵素の使用に頼る方法である。 かくして、病気耐性に関連する変異が起こることが知られている正常遺伝子( センス鎖かまたはアンチセンス鎖のいずれか)の一領域の配列を有するオリゴヌ クレオチドプローブ(例えば表1参照)を試験核酸にアニーリングさせ、そして 不正対合の存否を検出することができる。不正対合の存在の検出は、病気耐性と 関連する変異が試験核酸中に存在することを表す。他方で、病気耐性と関連する 変異を含む遺伝子の一領域の配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを試験核 酸にアニーリングさせ、そして不正対合の存否を検出 することができる。不正対合の存在の検出は、試験試料中の核酸が正常配列を有 するか、または別の変異配列もしくは対立遺伝子配列を有することを示す。どち らの場合でも、該遺伝子の異なる領域に対して一組のプローブを使用する。 核酸分子の配列差異の存在は、制限酵素消化によって、例えば1または複数の 制限酵素を使って核酸の試料を切断した時に生じる制限パターンを、正常遺伝子 または変異体もしくは対立遺伝子を含む試料を同じ1または複数の制限酵素を使 って消化した時に得られるパターンと比較するというDNAフィンガープリント 法において、検出することもできる。 プロモーターまたは他の調節領域中の傷害(lesion)の存否は、転写によるm RNA産生レベルまたは該mRNAからの翻訳によるポリペプチド産生レベルを 測定することにより、評価することもできる。 植物の細胞から単離および/または精製された核酸、または細胞から単離およ び/または精製された核酸より誘導された核酸ライブラリー(例えば細胞から単 離したmRNAより誘導されたcDNAライブラリー)を、選択的ハイブリダイ ゼーション条件下で探査し、そして/またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の ような特異的核酸増幅反応にかけることかできる。 方法としては、標的核酸への1または複数(例えは2つ)のプローブまたはプ ライマーのハイブリダイゼーションが挙げられる。核酸が二本鎖DNAである場 合、ハイブリダイゼーションより前に一本鎖DNAを生成させるための変性が実 施されるだろう。ハイブリダイゼーションはPCR手順の一部であるか、または PCRを含まない探査手順の一部であろう。典型的手順はPCRと低緊縮性ハイ ブリダイゼーションの組合せである。好結果のハイブリダイゼーシ ョン現象を同定しそしてハイブリダイズした核酸を単離するために、当業者に利 用可能である多数のものから選ばれたスクリーニング方法を用いる。 標的核酸(例えばDNA)へのプローブの結合は、当業者の自由裁量で様々な 技術を使って測定することができる。例えば、プローブを放射性標識、蛍光標識 または酵素標識してもよい。プローブの標識付けを使わない別の方法としては、 制限断片の長さ多形性の調査、PCRを使った増幅、RNアーゼ開裂および対立 遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ探査が挙げられる。 探査には標準サザンブロット技術を使用することができる。例えば細胞からD NAを抽出し、そして種々の制限酵素で消化する。次いで制限断片をアガロース ゲル上での電気泳動により分離した後、変性させそしてニトロセルロースフィル ターに移行する。フィルター上のDNA断片に標識プローブをハイブリダイズせ しめ、そして結合を測定する。探査用のDNAは細胞からのRNA調製物より調 製することができる。 制限酵素で消化したDNAのサザンブロットに低緊縮性条件下で様々なプロー ブをハイブリダイズせしめることにより、予備実験を実施する。バックグラウン ドハイブリダイゼーションが低くて且つ多数のハイブリダイズした断片が得られ た時、最適条件に達したのである。この条件を使って、発現配列の標本である核 酸ライブラリー、例えばcDNAライブラリーを検索することができる。 指摘したように、当業者は、オリゴヌクレオチドの長さ、塩基組成および温度 といった要因を考慮に入れながら、適切な所望の緊縮性条件を選択的ハイブリダ イゼーションに使用することが十分可能である。 本発明の診断アッセイの或る好ましい態様では、図2に示される 配列の断片であるか、または例えば表1に記載されるものような病気耐性に関連 した任意の対立遺伝子の断片である本発明のオリゴヌクレオチドは、長さが少な くとも約10ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約15ヌクレオチド、より好 ましくは少なくとも約20ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約30ヌクレオ チドである。そのような断片はそれ自体、個々に本発明の観点を表す。断片およ び他のオリゴヌクレオチドは、プライマーまたはプローブとして用いられること もあるが、試験試料中の病気耐性を示す配列の存在を測定することに関連した方 法において作製されることもある(例えばPCRにより)。 試験試料中の特定ポリペプチド、例えば図2もしくは別の図面に示されるアミ ノ酸配列を有するポリペプチド、またはそれのアミノ酸配列突然変異体、変異形 もしくは対立遺伝子(例えば表1に示される変更を含む)の存否を測定するには 、様々な方法がある。 図2に示されるポリペプチドの1もしくは複数の特定の変異形(例えば表1参 照)に特異的である、特異的結合メンバー(例えば抗体または抗体の混合物)の 結合相手の存在について、試料を試験してもよい。 そのような場合、特異的結合に適した条件下で特異的結合メンバー(例えば抗 体)と接触せしめることにより試料を試験した後、例えば記載するようなレポー ター系を使って、結合を測定する。抗体のパネルを使う時、各々の結合を測定で きるように各抗体ごとに異なるレポート用標識を使ってもよい。 抗体のような特異的結合メンバーを使って、それの結合相手ポリペプチドが野 性型ポリペプチドの配列および/または性質を有するかあるいはそれの特定の突 然変異体、変異形もしくは対立遺伝子の配列および/または性質を有するのかを 決定するポリペプチドの配 列および/または生化学分析を考慮に入れて、試験試料から前記結合相手ポリペ プチドを単離および/または精製することができる。アミノ酸配列決定は自動配 列決定装置を使って当業界で日常的に行われる。 mlo対立遺伝子についての診断試験を用いると、研究者または植物育種家たち が時間のかかる耐性試験に頼らずに且つ十分な確信をもって、着目の植物(また はその細胞)中に所望の対立遺伝子が存在するか否か、該植物が他の遺伝学的に 同一の植物(例えば近交品種または栽培品種)の集団の代表物であるのかまたは 関連植物(育種家種子)もしくは無関連植物の標本の中の一個体であるのかを確 立できるようになる。所望の病気耐性表現型を付与するmlo対立遺伝子は劣性で あり、従って野性型Mlo対立遺伝子の存在下での異型接合条件の時には完全植物 表現型レベルで検出できない。従って、そのような劣性対立遺伝子の存在につい ての表現型スクリーニングはmlo遺伝子座に対して同型接合である材料において のみ可能であり、それ故に合理的に且つ原価効率良く選択を適用することができ るような植物育種計画の世代を実質的に遅らせる。例えば、育種家か所望のmlo 対立遺伝子を有望な適応性高性能標的遺伝子型に遺伝子移入することを目指して いる戻し交雑育種計画では、自殖を行うまでmlo遺伝子座は永続的に異型接合状 態にあるだろう。劣性対立遺伝子の存在についての核酸またはポリペプチド試験 は、戻し交雑世代個体の自殖子孫を試験する必要性を回避するので、かなりの時 間と費用を節約する。望ましい個体の選抜と自殖に基づく他のタイプの育種法に おいて、本発明により提供される高処理量で低費用のアッセイによる望ましいml o対立遺伝子についての核酸またはポリペプチド診断法は、他の方法で可能であ るよりも早い世代で且つより多くの材料に関して、所望のmlo対立遺伝子につい ての確かな選 抜を行うことができる。これはより早期に且つ費用がかからずに材料を試験でき ることによって選抜の確実性に加えて時間の節約を増大させるので、耐性表現型 スクリーニングは植物育種において大きな価値がある。 核酸試験の一例として、大麦mlo-5耐性対立遺伝子がMlo遺伝子の推定開始コド ン中のGからAへのヌクレオチド置換により特徴づけられる(表1)。この変異 は、次のプライマー(例): を用いたゲノム鋳型DNAからのMlo遺伝子セグメントの標準的PCR増幅の後 、制限酵素PshAlでの消化により、容易に検出することができる。これは、常用 アガロースゲル電気泳動を使って表示することができるCAPS(cleaved amplifie d polymorphic sequence)マーカーを与える。769 bp断片の存在はmlo-5対立遺 伝子の存在を表す。 mlo-9耐性対立遺伝子は、CからTへのヌクレオチド置換により特徴づけられ る(表1)。この対立遺伝子は、しばしば育種材料として使われるので特に重要 である。突然変異現象は次のプライマー(例): を使い、続いてゲノム増幅生成物を制限酵素Hha1で消化することにより、容易に 検出することができる。これは常用アガロースゲル電気泳動を使って表示するこ とができるCAPSマーカーを与える。374 bp断片の存在はmlo-9対立遺伝子の存在 を表す。 第三の特に重要な対立遺伝子はmlo-12であり、これは残基240の置換、具体的 にはPhe24Oからロイシンへの置換により特徴づけられ る。これは、コードするヌクレオチド配列中のC720からAへの置換に起因し得 る(表1)。これは、変更タンパク質か残余野性型活性を保持するという確証が 入手できる、現在報告されている唯一のmlo対立遺伝子である(Hentrich,1979 ,Arch.Zuchtungsvorsch.,Berlin 9,S.283-291)。mlo-12は検出可能な自然 細胞死反応を示さないで、うとんこ病菌のような病原体に対して十分なレベルの 耐性を付与する。従って、有望育種系統へのmlo耐性の遺伝子移入後に最少の多 面作用(自然細胞死)が望ましいならば、mlo-12は育種計画において一般的に好 まれる対立遺伝子である。更に、Mloタンパク質内のアミノ酸置換の分子部位は 、残余野性型活性を有する対立遺伝子の設計、更にはMloタンパク質の機能の完 全な損失からくる望ましくない多面作用を減らす相互作用および/または阻害分 子の獲得も可能にする。 mlo対立遺伝子の存否の核酸検定は、RFLP、微小付随体またはSSRs、AFLPs、RA PDsなどのような確立されたマーカーのセットを使った隣接連鎖ゲノムDNAお よび他の非連鎖ゲノムDNAの遺伝子型の決定と組み合わせることができる。こ れは、研究者または植物育種家が、所望のmlo対立遺伝子の存在だけでなく連鎖 と非連鎖の遺伝的背景の最も望ましい組合せを有する個々の植物または植物の系 統群についても選抜できるようにする。そのような望ましい材料の組換えは、与 えられた育種分離集団または戻し交雑子孫内で稀にしか起こらないことかある。 本発明により提供されるようなmlo遺伝子座の直接アッセイは、まず1つの隣接 マーカーについて固定された個体を同定し、次いで望ましいmlo対立遺伝子がま だ存在するという確信をもっている時は常にmlo遺伝子座の他方の側で固定され た子孫を同定することにより、研究員か隣接マーカーとmlo対立遺伝子との所望 の組合せを固定する(同型接合にする)ことに段 階的に近づけるようにする。 本願明細書は、当業者が任意の特定の新規または現存のmlo対立遺伝子のゲノ ムDNA配列を入手しそして適当な核酸および/またはポリヌクレオチドに基づ く診断アッセイを考案するのに十分な情報を提供する。この情報を応用すること かできる現存mlo対立遺伝子としては、例えば、mlo-1,mlo-3,mlo-4,mlo-5,m lo-6,mlo-7,mlo-8,mlo-9,mlo-10,mlo-12,mlo-13,mlo-16,mlo-17,mlo-26 およびmlo-28が挙げられ、その全てについての配列情報が本明細書中に与えられ る(例えば図2と表1を参照のこと)。核酸アッセイをデザインする時には、特 定の変異型対立遺伝子を特徴づける特有の配列変異を考慮に入れる。従って、本 発明は、別のmlo対立遺伝子と比較してその対立遺伝子に特異的にハイブリダイ ズできるようにする配列を有する、mlo対立遺伝子のオリゴヌクレオチド断片に も及ぶ。そのようなオリゴヌクレオチドは、その場所でmlo変異が起こるヌクレ オチドを包含し、そしてそれの3’もしくは5’末端のところまたはその近くに 変異型ヌクレオチドを含んでもよい。そのようなオリゴヌクレオチドはセンス鎖 またはアンチセンス鎖とハイブリダイズする。変異はmlo遺伝子のコード配列内 であるか、あるいは遺伝子の破壊かうどんこ病耐性表現型を生じるMlo中の傷害 に影響を及ぼすかまたは別の形でそれと関連づけられる、イントロン配列内また は上流もしくは下流非コード配列中に存在してもよい。 mlo-9対立遺伝子は広くしかし排他的にではなく植物育種に利用されており〔J Helms Jorgensen,Euphytica(1992)63:141-152〕、mlo-11も利用されている 。しかし、実際の育種でのmlo変異体の使用は春大麦に大きく限定されている。 何故なら、該変異体対立遺伝子の多数に関連する自然細胞死応答が、多収性冬大 麦遺伝子型に組み込むと植物成長および生産力に不利益を与えるように見えるか ら である。しかしながら、mlo対立遺伝子によって付随の細胞死応答の程度は異な るので、現存するものまたは突然変異誘発プログラムから新たに作製されたもし くは自然変異体として単離されたものは、他のものよりも冬大麦背景への組み込 みに適する。mlo-12対立遺伝子は、十分なレベルの病原体耐性を付与するにもか かわらず検出可能な多面作用が全く起こらないので、特に適当かもしれない。冬 大麦におけるより広範囲でのmlo型うどんこ病耐性の使用は、大麦栽培者にとっ て大きな価値があり、更には殺真菌剤投入の使用を減らすと共にそれらに関連す る処理費用を減らすといった重大な経済的および環境的意味を有するだろう。本 明細書に与えられるような核酸診断法の提供は、冬大麦生殖質中への新規および 現存mlo対立遺伝子の迅速且つ正確な配置を可能にする。 本発明に係る植物細胞を含んで成る植物、更にはそれの任意部分または栄養分 体、種子、自殖もしくは雑種子孫もしくは後代も提供される。本発明に係る植物 は、1または複数の性質について純粋に育種しないものであってもよい。植物品 種、特に植物育種法(PlantBreeders'Rlghts)に従って登録可能な植物品種は除 外される。植物は、植物の細胞またはその子孫に導入されたトランスジェン(tra nsgene)をそのゲノム内に安定に含有するため、単純に1つの「植物品種」であ ると見なされる必要かないことに注意。 植物に加えて、本発明はそのような植物の任意のクローン、種子、自殖または 雑種後代もしくは子孫、並びにそれらのいずれかの任意部分(例えば挿木、種子 )を提供する。本発明は任意の植物栄養分体、すなわち有性または無性の生殖ま たは繁殖に使用することができる任意部分(挿木、種子などを含む)を提供する 。そのような植物の有性もしくは無性繁殖された後代、クローンもしくは子孫、 または前記植物、後代、クローンもしくは子孫の任意部分もしくは栄 養分体である植物も本発明に包含される。 本発明の更なる観点は、植物細胞中に前記配列(例えば適当なベクターの一部 分として)を導入し、そしてベクターと植物細胞ゲノムとの間の組換えを誘発ま たは許容してそのヌクレオチド配列をゲノム内に導入することを含んで成る、植 物細胞の作製方法を提供する。 植物細胞の形質転換に続いて、植物を再生することができる。 本発明は更に、植物の防御応答を調節することができる植物中のMlo発現を調 節する方法であって、植物の細胞内での非相同Mlo遺伝子配列(またはそれの突 然変異体、対立遺伝子、変異形または相同体)の発現を含んで成る方法を提供す る。後述するように、植物の構成的防御応答のレベルの調節または変更は、抑制 、抑圧または低下(野性型Mloの場合)または促進、刺激、活性化、増加、増強 または強調(変異型mloの場合)によることができる。防御応答の活性化または 増強は、植物の病原体耐性、特にうどんこ病および/またはさび病(例えは黄さ び病)に対する耐性を付与または強化することかできる。 「非相同」という語は、問題の遺伝子/ヌクレオチド配列が、遺伝子工学を使 って、すなわち人的介入によって、植物の当該細胞またはその祖先に導入されて いることを示すために用いられる。トランスジェニック植物細胞、すなわち問題 の核酸についてのトランスジェニック体を提供することができる。トランスジェ ンはゲノム外ベクター上にあってもよくゲノム中に組み込まれてもよい(好まし くは安定に)。非相同遺伝子は内因性同等遺伝子、すなわち同じもしくは類似の 機能を通常に実施するものに取って代わってもよく、または挿入された配列が内 因性遺伝子もしくは他の配列への付加物であってもよい。非相同遺伝子の導入の 利点は、好みに応じて発現 に影響を及ぼすことかできる選り抜きのプロモーターの調節下に、例えば特定の 発育的、空間的もしくは時間的調節下にまたは誘導性プロモーターの調節下に、 或る配列の発現を置くことができることである。更に、野性型遺伝子の突然変異 体、変異形および誘導体、例えば野性型よりも高いまたは低い活性を有するもの を内因性遺伝子の代わりに使用できる。 植物細胞にとって非相同または異種または外来である核酸は、そのタイプ、品 種または種の細胞中に天然に存在しないものであることができる。よって、核酸 は、別のタイプまたは種または品種の植物細胞の範囲内に入る、特定の植物の細 胞タイプまたは種または品種のコード配列またはそれに由来するコード配列を包 含し得る。別の可能性としては、ある核酸配列がそれ自体または相同体が天然に 見出される細胞の中に存在しているけれども、該核酸配列はそのタイプまたは種 または品種の植物の細胞中には天然に存在しない核酸に連結および/または隣接 しており、例えば発現調節のための1または複数の調節配列、例えばプロモータ ー配列に作用可能に連結しているというものである。植物または別の宿主細胞内 の配列は確認できるように非相同、異種または外来のものであることができる。 野性型Mlo遺伝子機能のダウンレギュレーションは、構成的防御応答の刺激を 誘導する。これは後述するような多数の異なる方法で達成することができる。 本発明の核酸を誘導性遺伝子プロモーターの調節下に置き、かくして発現を使 用者の制御下に置くことができる。 別の観点によれば、本発明は、本発明により提供されるヌクレオチド配列に作 用可能に連結された誘導性プロモーターを含んで成る遺伝子構成物を提供する。 記載されるように、これは該遺伝子の発現調節を可能にする。本発明はまた、前 記遺伝子構成物により形質 転換された植物、および、そのような遺伝子構成物を植物細胞細胞中に導入しそ して/または例えば適当な刺激物質(例えば効率的外因性誘導物質または内因性 シグナル)の適用により植物細胞内での構成物の発現を誘導することを含んで成 る方法も提供する。 プロモーターに用いられる時の「誘導性」という語は、当業者により十分に理 解されている。本質的に、誘導性プロモーターの調節下での発現は、適用された 刺激物質(これは細胞内て生産されてもよく外因性的に提供されてもよい)に応 答して「スイッチオン」されまたは増大される。刺激物質の性質はプロモーター 間で異なる。ある誘導性プロモーターは適当な刺激物質の不在下ては小さいかま たは検出不可能なレベルでしか発現を引き起こさない(または全く発現を引き起 こさない)。またある誘導性プロモーターは、刺激物質の不在下ても検出可能な 構成的発現を引き起こす。刺激物質の不在下での発現がどのようなレベルであっ ても、正しい刺激物質の存在下ではどんな誘導性プロモーターからの発現でも増 加する。好ましい状況は、表現型形質を変更するのに有効な量による関連刺激物 質の適用とともに発現レベルか増加する場合である。よって、刺激物質の不在下 では基準レベル(そのレベルは所望の表現型を与えるには低すぎ、そして実際に ゼロであってもよい)の発現を引き起こす誘導性(すなわち「スイッチ可能」) プロモーターを使用することができる。刺激物質の適用とともに、発現が所望の 表現型を与えるレベルへと増加(またはスイッチオン)される。 適当なプロモーターとしては、事実上全ての植物組織において高レベルて発現 されるカリフラワーモザイクウイルス35S(CaMV 35S)遺伝子プロモーター〔Be nfey他(1990a)EMBO J 9:1677-1684〕;植物体の栄養成長点(頂端分裂組織) 並びに幾つかの限局化された場所(例えば内師部、花原基、根および茎の分岐点 )で発現される カリフラワーmeri 5プロモーター〔Medfolrd,J.I.(1992)Plant Cell 4,1029 -1039;Medforld他(1991)Plant Cell 3,359-370〕;および花成のごく初期に発 現されるシロイヌナズナ(Arabldopsisthallana)LEAFYプロモーター〔Welgel他 (1992)Cell 69,843-859〕が挙げられる。 本発明の一観点は、トランスジエニック植物の生産における本発明の核酸の使 用である。 遺伝子構成物を細胞に導入する時、当業者に周知の幾つかの考慮すべき事柄を 肘酌しなけれはならない。挿入しようとする核酸を、転写を作動させる効率的な 調節因子を含有する構成物の中で構築することができる。該構成物を細胞中に導 入する方法は入手可能であるに違いない。構成物が一端細胞膜の内側に入ったら 、内因性染色体物質中への組込みが起こってもよくまたは起こらなくてもよい。 最終的に、植物に関する限り、標的細胞のタイプは、細胞を完全な植物に再生す ることかできるようなものでなければならない。 該配列を含むDNAセグメントにより形質転換された植物は、植物の遺伝子操 作について既に知られている標準技術によって作製することができる。任意の適 当な技術、例えば本来の遺伝子伝達能力を利用したアグロバクテリウム(Agroba cterium )所有の武装解除Tiプラスミドベクター〔EP-A-270355,EP-A-0116718, Bevan,NAR12(22)8711-87215,1984〕、微粒子もしくはマイクロプロジェクタイ ル衝撃(US 5100792,EP-A- 444882,EP-A-434616)、マイクロインジェクショ ン〔WO 92/09696,WO 94/00583,EP 331083,EP175966,Green他(1987)Plant T lssue and Cell Culture,Academic Press〕、エレクトロポレーション(EP 2903 95,WO 8706614)、他の形態の直接DNA取込み(DE 4005152,WO 9012096,US 4684611)、リポソーム媒介DNA取込み〔例えば Freeman他,Plant Cell Physiol.29・1353(1984)〕、または渦動攪拌法〔例え はKlndle,PNAS U.S.A.87:1228(1990d)〕を使って、DNAにより植物細胞を形 質転換せしめることができる。植物細胞の物理的形質転換法がOard,1991,Blot ech.Adv.9:1-11に概説されている。 アクロバクテリウム形質転換は、双子葉植物種を形質転換せしめるのに当業者 により広く利用されている。近年、ほとんど全ての経済的に重要な単子葉植物種 における安定な不稔性トランスジェニック植物の日常生産の方向に向かってかな り進歩している〔Toriyama他(1988)Bio/Technology 6,1072-1074;Zhang他(1 988)PlantCell Rep.7,379-384;Zhang他(1988)Theor.Appl.Genet.76,835-840; Shimamoto他(1989)Nature 338,274-276;Datta他(1990)Bio/Technology 8, 736-740;Christou他(1991)Bio/Technology 9,957-962;Peng他(1991)Interna tional RiceResearch Instltute,Manila,Philippines 563-574;Cao他(1992) Plant Cell Rep.11,585-591;Li他(1993)Plant Cell Rep.12,250-255;Rathore 他(1993)Plant Mo1ecular Biology 21,871-884;Fromm他(1990)Bio/Technol ogy 8,833-839;Gordon-Kamm他(1990)Plant Cell 2,603-618;D'Halluin他(19 92)Plant Cell 4,1495-1505;Walters他(1992)Plant Molecular Biology 18,1 89-200;Koziel他(1993)Biotechnology 11,194-200;Vasil,I.K.(1994)Plant Molecular Biology 25,925-937;Weeks他(1993)Plant Physiology 102,1077 -1084;Somers他(1992)Bio/Technology 10,1589-1594;WO 92/14828〕。特に、 アクロバクテリウム媒介形質転換は、単子葉植物種における高度に効率的な代替 形質転換法としても現在浮かび上がってきている〔Hlei他(1994)The Plant Jo urnal 6,271-282〕。 不稔性トランスジェニック植物の作製は米、とうもろこし、小麦、エンバクお よび大麦等の穀類において達成されている〔Shimamoto,K.(1994)Current Opi nion in Biotechnology 5,158-162;Vasil他(1992)Bio/Technology 10,667-6 74,Vain他(1995)Biotech-nology Advances 13(4):653-671;Vasil(1996)Nat ure Biotech-nology 14,p702に概説されている〕。 アグロバクテリウムが非効率的であるかまたは無効である場合にはマイクロプ ロジェクタイル衝撃、エレクトロポレーションまたは直接DNA取込みが好まし い。あるいは、異なる技術の組合せを使って、例えばアグロバクテリウムがコー ティングされた微粒子での衝撃(EP-A-486234)、または外傷を誘発するための マイクロプロジェクタイル衝撃の後のアグロバクテリウムとの共生培養(EP-A-4 86233)を使って、形質転換工程の効率を増大させることができる。 形質転換後、当業界で標準的である方法で、単細胞、カルス組織または葉片か ら植物を再生することかできる。ほとんどどの植物でも植物の細胞、組織および 器官から完全に再生することができる。利用可能な方法は、Vasil他,Cell Cult ure and Somatic CellGenetics of Plants,第I,IIおよびIII巻,Laboratory Proceduresand Their Applications,Academic Press, 1984中と、Weissbach & Weissbach,Methods for Plant Molecular Biology.AcademicPress,1989中 に概説されている。 形質転換技術の特定の選択は、ある植物種を形質転換させるそれの効率並びに 特定の選択方法論を使って本発明を実施する者の経験と好みによって決定される だろう。植物細胞に核酸を導入するための形質転換系の特定の選択は本発明にと って重要てないかまたは本発明の限定とはならず、また植物再生技術の選択もそ うでないことは、当業者には明白であろう。 本発明では、センス方向でのヌクレオチド配列の導入により発現か達成できる 。よって、本発明は、植物の防御応答の調節方法であって、植物の細胞内での本 発明の核酸の発現を誘発するかまたは許容することを含んで成る方法を提供する 。一般に、防御応答を刺激することが望ましく、これはMlo遺伝子機能を破壊す ることによって達成することができる。 標的遺伝子の発現のダウンレギュレーションはアンチセンス技術または「セン スレギュレーション」(「コ・サプレッション」)を使って達成することかでき る。 アンチセンス遺伝子または部分遺伝子配列を使って遺伝子発現をダウンレギュ レートする場合、転写の結果が標的遺伝子の「センス」鎖から転写される正常m RNAに対して相補的であるRNAを与えるように「逆方向」でヌクレオチド配 列がプロモーターの調節下に置かれる。例えば、Rothstein他,1987;Smith他(1 988)Nature 334,724-726;Zhang他(1992)The Plant Cell 4,1575-1588;Engli sh他(1996)The Plant Cell 8,179-188を参照のこと。アンチセンス技術はBou rque(1995)Plant Science 105,125-149とFlavell(1994)PNAS USA 91,3490 -3496にも概説されている。 別法は、センス方向、すなわち標的遺伝子と同一方向で挿入された標的遺伝子 の全部または一部のコピーを使用して、コ・サプレッション(co-supression) により標的遺伝子の発現を減少させることである。例えば、van der Krol他(19 90)The Plant Cell 2,291-299;Napoli他(1990)The Plant Cell 2,279-289;Z hang他(1992)The Plant Cell 4,1575-1588および米国特許第5,231,020号明細 書を参照のこと。 コード配列(アンチセンス鎖に対して逆方向)に該当する完全配列を使用する 必要はない。例えば、十分な長さの断片を使用するこ とができる。アンチセンス阻害レベルを最適にするためにコード配列の様々な部 分からの様々なサイズの断片をスクリ-ニングすることは、当業者の日常的作業 である。メチオニンATG開始コドンと、おそらく開始コドンの上流の1個また は複数個のヌクレオチドを含めることか有利であるだろう。他の可能性は、ある 遺伝子の保存配列、例えば1または複数の遺伝子に特徴的である配列、例えば調 節配列を標的とすることてある。アンチセンス構成物はMloまたは相同体の5’ 末端または3’末端配列を含んでもよい。1つの植物種のなかに複数のMlo相同 体か存在するような場合には、該構成物への5’および3’末端非翻訳配列の包 含か転写の抑制(サイレンシング)の特異性を増強するだろう。 使用する配列は約500ヌクレオチド以下、おそらく約400ヌクレオチド、約300 ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、または約100ヌクレオチドである。もっと短 い鎖長、例えば14〜23ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを使用できるかもしれ ないが、長鎖の断片、できるなら通常は約500ヌクレオチドより長い、例えば約6 00ヌクレオチドより、約700ヌクレオチドより、約800ヌクレオチドより、約1000 ヌクレオチドより、約1200ヌクレオチドより、約1400ヌクレオチドより、または それよりも長い断片が好ましい。 標的配列の発現のダウンレギュレーションに使われる配列と標的配列中には、 完全な配列同一性があることが好ましい場合があるが、配列の全体的相補性また は類似性は必須でない。使用する配列中の1もしくは複数のヌクレオチドが標的 配列と異なっていてもよい。 よって、本発明に従って遺伝子発現のダウンレギュレーションに使われる配列は 、入手可能なものから選択された野性型配列(例えば遺伝子)であるか、または そのような配列の1もしくは複数のヌクレオチドの挿入、付加、欠失もしくは置 換による突然変異体、誘導 体、変異形もしくは対立遺伝子であることができる。前記配列は転写解読枠を含 む必要はなく、また翻訳されるであろうRNAを特定する必要もない。それぞれ のアンチセンスおよびセンスRNA分子がハイブリダイズするのに十分な相同性 があることが好ましい。使用する配列と標的遺伝子との間に約5%、10%、15% または20%以上の不正対合(ミスマッチ)が存在する場合でも、遺伝子発現のダ ウンレギュレーションが起こる場合がある。 一般的には、転写される核酸がMlo遺伝子の断片、例えば図2に示されるヌク レオチド配列を含む断片、もしくはそれの相補物を表すか、またはコード配列に 作製される変更および変更された配列の相同性に関連して上述したのと同じよう な意味で、突然変異体、誘導体、変異形もしくは対立遺伝子であってもよい。転 写されたアンチセンスRNAが植物の細胞内の核酸とハイブリダイズするのに十 分な相同性はあるだろうが、ハイブリダイゼーションが起こるかどうかにかかわ りなく、所望の結果が遺伝子発現のダウンレギュレーションなのである。 アンチセンスレギュレーションは、適当な構成物中で誘導性プロモーターを使 うことによってそれ自体制御することができる。 構成物は生来のプロモーターを使って、例えば構成的に発現されるプロモータ ー、例えばCaMV 35Sプロモーターにより、組織特異的もしくは細胞型特異的プロ モーターにより、または外部シグナルもしくは外部因子によって活性化され得る プロモーターにより、発現させることができる。CaMV 35Sプロモーターだけでな く米のactinlおよびとうもろこしのユビキチンプロモーターも、米のレポーター 遺伝子の高レベル発現を与えることが証明されている〔Fujimoto他(1993)Bio/ Technology 11,1151-1155;Zhang他(1991)PlantCell 3,1155-1165;Cornejo他 (1993)Plant Molecular Biology 23,567-580〕。 アンチセンスレギュレーション用に、Mlo遺伝子のコード配列に相補的である ヌクレオチド配列(すなわち相同体を含む)、または発現のアンチセンスレギュ レーションでの使用に適当である前記コード配列の断片、といった核酸が提供さ れる。これはDNAであってもよく、そして着目の細胞中でのアンチセンス転写 に適当な調節配列の調節下にあってもよい。 よって、本発明は、植物に病原体耐性を付与する方法であって、前記植物の細 胞内での本発明の非相同核酸からのアンチセンス転写を誘発するまたは許容する ことを含んで成る方法も提供する。 本発明は更に、好ましくは植物に病原体耐性を付与する目的での、遺伝子発現 のダウンレギュレーション、特にMlo遺伝子またはその相同体の発現のダウンレ ギュレーションのための、図2のヌクレオチド配列またはそれの断片、突然変異 体、誘導体、対立遺伝子、変異形もしくは相同体、例えば本明細書中に記載また は同定された任意の配列の使用を提供する。 標的遺伝子の追加のコピーをセンス方向で、すなわち標的遺伝子と同一方向で 挿入すると、標的遺伝子からのタンパク質の過剰発現が起こる個体と発現不足が 起こるものとを含む、一定範囲の表現型が産される。挿入された遺伝子が内因性 遺伝子の一部のみである時、トランスジェニック集団中の発現不足の個体の数が 増加する。センスレギュレーション、特にダウンレギュレーションが起こるメカ ニズムは十分解明されていない。しかしながら、この技術は科学文献や特許公報 に多数報告されており、遺伝子制御によく利用されている。例えば、van der Kr ol他(1990)The Plant Cell 2,291-229;Napoli他(1990)The Plant Cell 2 ,279-289;Zhang他(1992)The Plant Cell 4,1575-1588を参照のこと。 同じく、アンチセンスレギュレーションに関して上述したのと同様な意味で断 片、突然変異体等を使用することができる。 よって、本発明は、植物に病原体耐性を付与する方法であって、植物の細胞内 での本発明の核酸からの発現を誘発するまたは許容することを含んで成る方法も 提供する。これはMlo活性を抑制(サプレス)するために用いることができる。 この場合、生成物の活性化は好ましくは植物細胞内での発現不足の結果として抑 制される。 上述した通り、Mloダウンレギュレーションは防御応答の活性を促進すること ができ、これが引いては病原体耐性、特にうどんこ病および/またはさび病(例 えば黄さび病)に対する耐性を付与するかまたは増強することができる。 よって、本発明は、植物のMlo機能を調節する方法であって、前記植物の細胞 内での本発明の核酸からの発現を誘発または許容して内因性Mlo発現を抑制する 方法も提供する。 Mloの変更形を使って内因性Mlo機能をダウンレギュレートしてもよい。例えば 、突然変異体、変異形、誘導体等を使用してもよい。例えば、高レベルでのmlo 変異体配列の発現は内因性Mloの活性と競争(out-compete)し得る。 Mlo野性型活性の低下は、リボザイム、例えば複製リボザイム、例えばシュモ クザメ類のリボザイム(Haseloff & Gerlach,1988,Nature334:585-591;Feyter 他,1996,Mol.Gen.Genet.250:329-338)を使って達成することができる。 植物においてMlo機能を低下させるための別の方法はトランスポゾン変異誘発 を使用する〔Osborne他(1995)Current Opinion in Cell Biology 7,406-413 により概説されている〕。遺伝子の不活性化は、異種ゲノム中て移動性を保持す る内因性可動要素または非相同クローン化トランスポゾンのいずれかを使った「 標的指向型標 識付け(targeted tagging)」によって証明されている。既知配列の任意挿入を 有するMlo対立遺伝子は、挿入配列とMlo相同体の両方に対して結合特異性を有す るPCRプライマーを使うことによって同定することができる。不活性化された 対立遺伝子中のトランスポゾンを安定化するのに「二要素系」を使うことができ る。この二要素法では、切除マーカー中に挿入された選択可能またはスクリーニ ング可能なマーカー遺伝子を含有する非自律性トランスポゾンを有するT−DN Aを作製する。それらのT−DNAを有する植物を、トランスポゾン機能を発現 する第二のT−DNAを有する植物と交雑せしめる。雑種をトランスポゾン内の マーカーの存在についてと切除について二重選抜(double selection)して、入 れ替わった要素を有するF2植物を与える。二要素アプローチはトウモロコシのA c/Dsに関して特に有利である。何故なら、入れ替わったDsがトランスポザーゼ に連鎖しないようであり、Ds挿入の安定化と他殖を容易にするからである〔Jone s他(1994)Science 266,789-793;Osborne他(1995)Current Opinion in Cel l Biology 7,406-413〕。 劣性耐性表現型を生じるMlo野性型対立遺伝子の不活性化によりmloに基づくう どんこ病耐性か引き起こされる。Mlo野性型タンパク質の活性を阻害する物質を 使って耐性表現型を誘導することができる。 Mlo発現の完全な不活性化は必須ではなく有害でさえあり得るという重要なヒ ントが、残余野性型対立遺伝子活性を保持しているようである変異原誘発mlo耐 性対立遺伝子の説明によって提供される。これらの対立遺伝子は、光合成の速度 と収率に悪影響を及ぼす検出可能な量の自然葉壊死を全く示さない〔Hentrich, W(1979)Arch. Mloタンパク質は7本の膜貫通型らせんによって膜に固定されて いると推定される(図7参照)。この構造の推定は、最近、米とシロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana)におけるMlo相同体の分析によって更に強められた。 シロイヌナズナ相同体の構造推定も7本の膜貫通型らせんの存在を示唆している 。その上、Mlo相同体の比較の結果、推定細胞外ループ1と3の中に保存された システイン残基が存在することと、推定膜貫通型らせん3と4に隣接した第2の 細胞内ループ中に高確率で両親媒性らせんがあることが明らかになった。これら のMloタンパク質ファミリーにおいて保存された構造モチーフは、哺乳類系に広 く記載されているGタンパク質結合レセプター(GPCR)を思い出させる。GPCRは リガンドにより活性化されることそしてヘテロ三量体Gタンパク質によって細胞 内でシグナルを増幅することが知られている。本発明のいずれかの観点の性質ま たは範囲に対して少しも限定を与えることなく、Mloはヘテロ三量体Gタンパク 質のGα阻害サブユニットを活性化し、それによって今までのところ知られてい ないエフェクタータンパク質のダウンレギュレーションを引き起こすと推定され る。 本明細書中のMlo配列情報の提供は、Mloタンパク質の機能(例えばGPCR機能) のアンタゴニストの同定を可能にする。Mloのアンタゴニストは、Mlo遺伝子中の 劣性変異を模倣したそれの未知の真正リガンドによるレセプター活性化を阻止す ることかできる。そのようなMloアンタゴニストは作物保護化合物として利用で き、例えば植物もしくは作物に外的に適用されるか、あるいは該化合物がペプチ ド性質であるならば、生物学的ベクター(例えば、標的植物細胞内でアンタゴニ スト分子を発現する組換え感染性ウイルス粒子)を介してまたはトランスジェニ ックルート〔おそらく外的に適用された化合物によって誘導されるプロモーター (例えばトウモロコシ由来のGST-IIプロモーター;Jepson他,Plant Molecular Biology 26:1855-1866,1994)の支配下でアンタゴニスト分子を発現するように遺伝的に 改変された植物または植物細胞〕を介して内的に運ばれて、mlo不活性化表現型 の発現のタイミングを調節できるようにすることができる。 Mlo野性型植物の葉片を、ランダムまたは組合せ化合物ライブラリーからの試 験物質で処理し、うどんこ病菌のような病原体でのチャレンジに対する耐性につ いて試験することができる。うどんこ病菌胞子を接種した時の感受性/耐性につ いて記録する標準試験法として、分離式葉片アッセイが使われる。遺伝子型Mlo Rorlの7日齢実生の葉片を寒天上に、例えば50μlの寒天を含む96ウエルのマイ クロタイタープレートの各ウエル上に置く。各ウエルの寒天表面に、DMSO中に溶 かした種々の化合物を約1ppmの濃度で適用する。分離した葉片に病原体(例え ば毒性うどんこ病菌分離株の胞子)を接種した後7日目あたりに、耐性を誘導す る化合物を、マイクロタイタープレート中の葉片の上に菌糸が無いことにより識 別することができる。 mlo経路で作用する化合物と別の機構により耐性を付与するものまたは直接真 菌毒性活性を示すものとを区別するために、更なる選抜を用いることができる。 このために、mlo耐性に要求され得る遺伝子(Ror遺伝子)の突然変異体〔Freial denhoven他(1996)The Plant Cell 8,5-14〕を使ってもよい。これらの遺伝子 の突然変異体は、mlo耐性対立遺伝子の存在にかかわらずうどんこ病菌侵襲に対 する感受性を付与する。遺伝子型Mlo rorl(野性型Mloタンパク質と欠損型Rorl 遺伝子)の植物を使って例えばMlo Rorl遺伝子型に耐性を誘導するがMlo rorl遺 伝子型には感受性を示す化合物を試験し、それにより候補のMloアンタゴニスト の選択を可能にする。葉片試験によって同定された候補化合物を試験することに より、更に 先の試験管内試験に用いる候補化合物の数を大幅に減らすことが可能である。 候補アンタゴニストの更なる選択段階は、Mloタンパク質またはその断片の非 相同発現(例えばバキュロウイルス−昆虫細胞系中で)およびその後の標識分子 を用いた結合アッセイを含む。野性型Mloタンパク質を発現する細胞系への化合 物の特異的結合はそれらのアンタゴニストの作用形態のよい指標となる。推定Ml oタンパク質配列の分析は、該タンパク質が7本の膜貫通型らせんを介して膜に 固定されそしていわゆるセルペンチンレセプターファミリーの新規メンバーを表 し得るという強固な証拠を提供した。この結論は、大麦、米およびシロイヌナズ ナにおいて同定された相同遺伝子より得られた配列データにより支持される。7 つの膜貫通型タンパク質がバキュロウイルス/昆虫細胞系中で高レベルで発現さ れることが示されている(細胞あたり107分子まで;Tate & Grisshamer,1996,T IBTECH 14:426-430)。Mloタンパク質ファミリーは植物界に限定されているよう であり、これは試験化合物に低バックグラウンド環境を提供する。放射性または 非放射性標識された候補化合物を、組換えバキュロウイルス構成物による感染後 にMloタンパク質を発現するSf9昆虫細胞への特異的結合について試験する。生体 内で耐性を誘導する特徴づけられた変異(例えば表1に記載のような)を担持し ている変異型mloタンパク質のSf9発現により、結合の特異性を更に試験すること ができる。 よって、別の様々な観点において、本発明は、Mlo機能を阻害することかでき る、すなわちmlo変異型表現型を付与することができる物質についてのアッセイ 、そのような物質それ自体、およびそれの使用に関する。 Mlo機能を阻害する物質を同定しそして/または獲得することに おけるMloの使用も本発明により提供され、同じく植物に病原体耐性を誘導する 物質を同定しそして/または獲得することにおけるMloの使用も提供される。 本発明に従って有用である物質は、試験を受ける物質がMlo機能を抑制または 破壊してmlo表現型を誘導するかどうかを測定することを伴うスクリーニング技 術により同定することができる。Mloを結合する物質は阻害剤候補である。 もちろん、アッセイおよびスクリーニングに関して「Mlo」に言及する時は、 当然大麦ではなく、米や小麦をはじめとする他の種に存在する相同体、並びにそ れの適当な断片、変異体、対立遺伝子および誘導体を指すと理解すべきであるこ とを注意すべきである。試験物質がMloタンパク質を結合できるかどうかの評価 は、必ずしも全長Mloタンパク質を使用する必要はない。適当な断片(またはそ れの類似体または変異形)を使ってもよい。 Mloの適当な断片としては、mlo変異型対立遺伝子により同定されるようなMlo 機能にとって有害であるとわかった残基(表1)を含むものg挙げられる。この 断片よりも小さい断片並びにこの断片の類似体および変異形を同様に使用しても よく、例えば、欠失分析またはアラニンスキャニングといった技術を使って同定 されたものを使用してもよい。 更に、Mlo活性を破壊するために使用できる物質の1クラスはそれのペプチド 断片である。そのようなペプチドは短鎖である傾向があり、長さが約40アミノ酸 以下、好ましくは長さが約35アミノ酸以下、より好ましくは長さが約30アミノ酸 以下、より好ましくは長さが約25アミノ酸以下、より好ましくは長さが約20アミ ノ酸以下、より好ましくは長さが約15アミノ酸以下、より好ましくは長さが約10 アミノ酸以下、または長さが9,8,7,6,5アミノ酸以下のこ とがある。本発明は、野性型Mlo配列の配列変異体または誘導体であるがMlo機能 を妨害する能力、例えばmlo変異型表現型を誘導する能力を保持しているペプチ ドも包含する。1または複数の追加のアミノ酸が含まれる場合、そのようなアミ ノ酸はMlo由来であってもよくまたはMloにとって非相同もしくは外来であっても よい。ペプチドがより大型の融合タンパク質、特にペプチドが非Mlo配列(すな わち非相同または外来配列)、例えばポリペプチドまたはタンパク質領域に融合 されている形の融合タンパク質の中に含まれてもよい。 ペプチドは化学合成により部分的にまたは全体的に合成することができる。本 発明の化合物は、十分に確立された標準的液相または好ましくは固相ペプチド合 成法に従って、容易に合成することができる。そのような方法の概説は広く入手 できる〔例えは、J.M.Stewart & J.D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis, 第2版,Pierce Chemical Company,Rockford,Illinois(1984);M.Bondanzs ky & A.Bondanzsky,The Practice of Peptide Synthesis,Springer Verlag, New York(1984);およびApplied Biosystems 430A Users Manual,ABI Inc., Foster City,California〕。あるいはそれらは溶液中で、液相法により、または 固相、液相および溶液化学の任意組合せにより、例えば各々のペプチド部分を仕 上げ、次いで所望および適当ならば、存在している任意の保護基を除去した後、 各々のカルボン酸もしくはスルホン酸またはそれの反応性誘導体の反応によって 残基Xを導入することにより、調製することができる。 本発明に係るペプチド分子(ペプチドまたはポリペプチド)を製造する別の便 利な方法は、本明細書中に記載するように、発現系中での核酸の使用により、該 分子をコードする核酸を発現させること である。この方法は、コード核酸によってトランスジェニックルートでペプチド 物質か植物に運ばれるのを考慮に入れる。使用者の制圃下での発現のために誘導 性プロモーターに連結されるなら、これはmlo表現型と病原体耐性の誘導に際し ての融通性を考慮に入れる。これはMlo機能の妨害に起因する副作用を和らげる よう備える。 1つの一般的観点によれは、本発明は、Mloの関連領域と相互作用することが できる物質についてのアッセイ方法を提供し、該方法は (a) Mloポリペプチドもしくはそれのペプチド断片、またはそれの変異体、誘 導体もしくは類似体と試験化合物とを接触させ;そして (b) 前記ポリペプチドまたはペプチドと試験化合物との相互作用または結合 を測定する ことを含んで成る。 既に上述したように、Mloの関連部分と相互作用することがわかった試験化合 物を、Mlo機能を調節する(例えば破壊するかまたは妨害する)能力について試 験することができる。 本発明の別の一般的観点は、植物においてmlo変異型表現型を誘導することが できる物質についてのアッセイ方法を提供し、該方法は (a) 植物またはそれの部分(例えば葉または葉片)と試験化合物とを接触さ せ;そして (b) 植物のMlo機能および/または病原体耐性および/または防御応答の刺激 を測定する ことを含んで成る。 病原体に対する感受性または耐性は、病原体の増殖、例えばうどんこ病菌の場 合は菌糸の存在もしくは不在、または菌糸の成長の程 度を評価することにより、測定することができる。 植物の防御応答を刺激する試験化合物の能力に加えて、ポリペプチドまたはペ プチドへの試験化合物の結合を評価することができる。そのような試験は並行し て行ってもよいし、またはある1つの試験で陽性結果を示す物質について別の試 験を行ってもよい。 もちろん、当業者は試験アッセイで得られる結果を比較するために任意の適当 な対照実験を考案するだろう。 本発明のアッセイ方法の実施に続いて、Mlo機能を変更する能力および/また は病原体耐性、例えばうどんこ病菌に対する耐性を誘導する能力について試験陽 性である化合物、物質または分子の単離および/または製造および/または利用 を行うことができる。 本発明のアッセイの正確な形式は当業者の通常の能力と知識によって変更可能 である。例えば、ある物質を検出可能標識で標識し、それを固体支持体上に固定 化されている別の物質と接触させることにより、物質間の相互作用を試験管内で 研究することができる。特にペプチド物質用の適当な検出可能標識としては、組 換え生産されるペプチドおよびポリペプチドに組み込むことかできる35S−メチ オニンが挙げられる。組換え生産されるポリペプチドおよびペプチドは、エピト ープ(抗体で標識することができる)を含む融合タンパク質として発現させるこ ともできる。 本発明に係るアッセイは生体内アッセイの形をとってもよい。生体内アッセイ は、細胞中に導入された1または複数のベクターから関連のポリペプチドまたは ペプチドが発現されるという細胞系、例えば酵母株または哺乳類細胞系において 実施することができる。 例えば、Mloの断片を含むポリペプチドもしくはペプチド、またはそれのペプ チド誘導体もしくは変異体を、DNA結合領域、例えば酵母転写因子GAL 4のD NA結合領域に融合することができる。 GAL 4転写因子は2つの機能領域を含む。それらの領域はDNA結合領域(GAL4 DBD)とGAL4転写活性化領域(GAL4TAD)である。そのようなポリペプチドまたは ペプチドを前記領域の1つに融合せしめ、そして別のポリペプチドまたはペプチ ドをもう片方に融合せしめることにより、着目の2つのポリペプチドまたはペプ チドが相互作用した時にだけ機能的GAL 4転写因子が回復される。かくして、レ ポーター遺伝子の転写を活性化することができるGAL 4 DNA結合領域におそ らく連結しているレポーター遺伝子を使うことによって、ポリペプチドまたはペ プチドの相互作用を測定することができる。このアッセイ形式は、Fieldsおよび Song,1989,Nature 340:245-246に記載されている。この型のアッセイ形式は 哺乳類細胞と酵母細胞の両方で用いることができる。DNA結合領域と転写活性 化領域の別の組合せも利用可能であり、例えばLexA DNA結合領域とVP6O転写 活性化領域の組合せが好ましい場合がある。 Mloと相互作用するペプチドまたは他の物質を探すとき、Mloポリペプチドまた はペプチドをLexA DNA結合領域(例)との融合体として使用し、試験ポリペ プチドまたはペプチド(例えばランダムまたは組合せペプチドライブラリー)を VP60(例)との融合体として使用することができる。レポーター遺伝子発現の増 加(例えばβ−ガラクトシダーゼの場合、青色の強化)は、Mloと相互作用する ペプチドの存在に起因するのであり、この相互作用はβ−ガラクトシダーゼ遺伝 子の転写活性化に必要である。 本発明のアッセイに添加できる試験物質または化合物の量は通常、使用する化 合物のタイプに依存して手探り法により決定されるだろう。典型的には、約0.00 1nMから1mMまでまたはそれ以上の濃度、例えば0.01nM〜100μM、例えば0.1〜50 μM、例えば約10μMの濃度の推定阻害剤化合物を使用することができる。試験 物質がペ プチドである時にはより高い濃度を使用できる。効果が弱い分子であっても、そ の先の研究および開発のための有用な先導化合物であることがある。 使用される化合物が、薬剤スクリーニング計画において使われる天然または合 成化学化合物であってもよい。複数の特徴付けられたまたは未だ特徴づけられて いない成分を含有する植物抽出物を使用してもよい。Mloに向けられる抗体また はその断片は、推定阻害剤化合物の別のクラスを構成する。阻害剤候補の抗体を 特徴づけ、そしてそれらの結合領域を決定づけて、相互作用を破壊する原因とな る一本鎖抗体およびその断片を提供することができる。他の候補の阻害剤化合物 は、ポリペプチドまたはペプチド断片の三次元構造をモデル化し、そして合理的 薬剤デザイン法を使って特定の分子形状、サイズおよび電荷特性を有する潜在的 阻害剤化合物を提供することに基づいてもよい。しかしながら、組合せライブラ リー技術が、あるポリペプチドと相互作用しそして/またはペプチドの活性を調 節する能力について潜在的に莫大な数の異なる物質を試験する効率的方法を提供 することは注目に値する。そのようなライプラリーおよびそれらの使用は、あら ゆる種類の天然物、中でも小分子およびペプチドについて当業界で知られている 。ある状況下ではペプチドライブラリーの使用が好ましい。 Mlo機能を変更するかまたは悪影響を及ぼす物質または剤の同定に続いて、そ のような物質または剤を更に調べることができる。更に、それを製造し、そして /または植物に病原体耐性を誘導する組成物の調製、すなわち製造または配合の 際に使用することができる。それらは、例えば病原体耐性、例えばうどんこ病菌 耐性を誘導するために、植物に適用することができる。本発明の更なる観点は、 植物において病原体耐性を誘導する方法であって、前記植物にそのよ うな物質を適用することを含んで成る方法を提供する。ペプチド分子は、記載し た通り、それをコードする核酸からの発現により、トランスジェニックルートで 植物に適用することができる。 Mlo機能を変更または妨害し、植物に病原体耐性を誘導することができるポリ ペプチド、ペプチドもしくは他の物質、またはそのようなペプチド分子をコード する核酸分子は、キットの形、例えば外的環境からその内容物を保護する適当な 容器の中に封入されたキットの形で提供することかできる。そのようなキットは 使用説明書を含んでもよい。 本発明の他の観点および態様は当業者に明白であろう。次の図面を参照しなが ら本発明を説明のつもりで例証する。 図1はMloの位置クローニングを示す。形態マーカー、RFLPマーカーおよひAFL Pマーカーを使って大麦第4染色体の長いアーム上に高い精密度でMlo遺伝子座を マッピングした。この図の上部は、Mloに関するそれらのマーカーの遺伝子連鎖 地図を与える。全ての遺伝距離は、2点評価法により計算されるAFLPマーカー間 の遺伝距離を除いて、多点連鎖分析法に基づきセンチモルガン(cM)で示される 。形態マーカー地図(Jφrgensen,1977)は、有毛性葉しょう(Hs)と光沢性葉 しょう/穂(gsl)に対して20cM以上の距離でMloを位置づける。RFLPマーカー地 図は、Carlsberg II Mlo×Grannenlose Zweizeilige mlo-11の交雑から得られた 257のF2個体の分析に基づく。先に公表された同一交雑のRFLP地図(Hinze他,1 991)はわずか44のF2個体に基づいていた。前記遺伝子はマーカーbAO11とbAL88 により縁取られた2.7cM範囲に境界か定められた。AFLPマーカーは実験手順に記 載の通りに同定されマッピングされた。それらとMloとの遺伝距離はIngrid Mlo ×BC7Ingrid mlo-3の交雑に基づく。AFLP分析の決定的結果は、Mlo遺伝子座を含 む0.64cM範囲を 境界決定する2つのマーカーBpm2とBpm9、並びに4,000以上の減数分裂現象に基 づきMloと共分離する1つのマーカー(Bpm16)の同定であった。BAC F15鋳型D NAから、Mloに対して0.1cMテロメア側に位置するマーカーBxm2が誘導された( 下記参照)。共分離マーカーBpm16と2つの隣接遺伝子座(Bpm2とBpm9)を含む1 つのYACクローンYAC YHV303-A6が、図面の中央部分に示される。マーカーBpm9の 位置は矢印によって示される通りYACクローン内に大まかにしか推定されなかっ た。BAC F15の挿入断片はこの図の下部に示すようなこのYACの60 kb部分断片を 表す。BAC F15中のAFLPマーカーBpm2の同定の後、マーカーBxm2がMloの0.1cMテ ロメア方向に発見され位置づけられた。AFLPマーカーBpm2,Bpm16およびBxm2の およその物理的位置(約30kbの範囲に及ぶ)並びに幾つかの稀に存在する制限部 位の位置が示される。BAC F15 DNAの概略図の下の破線は、確立された最大D NA配列連続物(contigs)の位置を示す。Mlo遺伝子の構造はこの図面の下側の 行に概略的に示される。エキソンは黒いボックスにより強調される。試験した11 個のmlo対立遺伝子について突然変異現象の位置が示される。欠失を有する変異 型対立遺伝子はΔで表示され、残りの変異型対立遺伝子は各々アミノ酸変化を引 き起こす単一ヌクレオチド置換を表す。 図2は、本発明に係るMloコード配列およびコードされるアミノ酸配列を示す 。Ingrid MloからのRT-PCR生成物のDNA配列から推定されるアミノ酸配列が示 される。ヌクレオチド番号は翻訳開始部位に従って与えられる。 図3はMlo転写物蓄積のノーザンブロット分析を示す。1つの野性型(栽培品 種Ingrid Mlo)と2つの変異型(BC Ingrid mlo-1とBC Ingrid mlo-3)栽培品種 の7日齢の未感染大麦初生葉から全RNA(20μg)とポリ(A)+RNA(5μg )を単離し、1.2% ホルムアルデヒドゲル上で分離し、そしてニトロセルロース膜(Hybond)に移行 せしめた。Ingrid Mloに由来する放射性標識全長RT-PCR生成物(図7)を使って 、緊縮条件(Sambrook他,1989)下で該フィルターを探査した。ポリ(A)+RNA を含むレーンのところにだけ明白なシグナルが検出される。このシグナルは約2 kbのサイズに相当する。 図4はmloヘテロ対立遺伝子間交雑から得られた遺伝子内組換え体のサザンブ ロット分析を示す。感受性F2個体かまたは同型接合感受性および同型接合耐性 子孫のいずれかの、反対側でMloに隣接している2つのRFLPマーカーの対立遺伝 子をサザンブロット分析により分析した。そのような個体の植物DNA(10μg )を、標準手順(Sambrook他,1989)に従って、Pst I(A)またはHae III( B)で消化し、そして放射性標識RFLPマーカー WG114(上のパネル;Mloに対し て3.1cMセントロメア方向に位置する;図1参照)とABG366(下のパネル;Mloに 対して0.7cMテロメア方向に位置する;図1参照)とハイブリダイズせしめた。 .親の系統mlo-8およびmlo-1並びに2つの感受性F2植物(個体1および2 と命名)より誘導された2つの同型接合感受性(S,Mlo Mlo)と2つの耐性( R,mlo mlo)子孫のDNAを試験した。レーンSおよびRのDNAは、感受性 F2個体1および2を自殖することにより得られたF2ファミリーからの選抜F3 個体を表す。感受性F2個体はこの選抜スキームにおいてMloのところで異型接合 であると予想される。mlo毒性分離物K1の接種後7日目に感染表現型を記録した 。このヘテロ対立遺伝子交雑の第三の感受性個体からのDNA(表7参照)はこ の図には含まれない。 .親の系統mlo-5およびmlo-1並びに7つの感受性F2植物(個体1〜7と命 名)より誘導された7つの同型接合感受性(S, Mlo Mlo)と7つの耐性(R,mlo mlo)子孫のDNAを試験した。レーンSおよ びRのDNAは、感受性F2個体1〜7を自殖することにより得られたF3ファミ リーからの選抜F3個体を表す。F2世代においてだけこのヘテロ対立遺伝子交雑 の更に2つの感受性個体からのDNAを分析した(8*および9*)。 図5は、大麦Mlo遺伝子、大麦遺伝子特異的プローブを使った交差ハイブリダ イゼーションにより単離された米相同体とを包含するゲノム配列の整列を示す。 上の行は大麦MloゲノムDNA配列を示す(エキソン配列に下線が引かれている )。下の行は米Mlo相同体を含む米ゲノム配列を示す。 図6は、大麦Mlo遺伝子を含むゲノム配列と、大麦遺伝子特異的プローブとの 交差ハイブリダイゼーションにより単離された大麦相同体を含むゲノム配列との 整列を示す。上の行は大麦MloゲノムDNA配列を示す(エキソン配列に下線が 引かれている)。下の行は大麦Mlo相同体を含むゲノム配列を示す。 図7は、大麦Mlo cDNAのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す 。このヌクレオチド配列と推定アミノ酸配列は、栽培品種Ingrid MloのRNAを 使った実験から得られたRT−PCRとRACEの組合せデータに基づく。終止 コドンが星印(*)により示され、推定ポリアデニル化配列に下線が引かれ、そ してRACE産物の推定末端が配列の上の矢印により示される。対応するゲノム クローンとの比較により同定されたイントロンの位置は、核酸配列の下の三角形 により表示される。MEMSAT演算法(Jones他,1994)に従った6つの推定膜貫通 らせんが灰色のボックスに入れられている。タンパク質のカルボキシ末端側半分 における推定核限局化シグナル(K-K-K-V-R)およびカゼインキナーゼII部位(S -I-F-D)は太字体で示される。図8はコード配列と隣接配列を含む、米(Oryza sativa)相同体のゲノム配列 を示す。 図9はコード配列と隣接配列を含む、大麦(Hordeum vulgare)のゲノム配列 を示す。 図10は米相同体のcDNA配列を示す。 図11は大麦相同体のcDNA配列を示す。 図12はシロイヌナズナ相同体のcDNA配列を示す。 図13は米相同体のアミノ酸配列を示す。 図14は大麦相同体のアミノ酸配列を示す。 図15はシロイヌナズナ相同体のcDNA配列を示す。 図16は、Mlo、大麦、米およびシロイヌナズナ相同体のアミノ酸配列の多数の ボックスを示す。 本明細書中に言及される全ての書類は参考として取り込まれる。実施例1:大麦のMloのクローニング Mlo に密接に連鎖したAFLPマーカーの標的指向検索 Mloの周辺のDNAマーカー密度を増加させるための努力を、高分解能局所遺 伝地図を作製する試みと協調させた。特徴付けられたCarlsberg II Mlo×Granne nlose Zweizeilige mlo-11交雑(Hinze他,1991)の母集団サイズを拡大する別 の可能性もあっただろうが、入手可能なBC mlo系統の1つとそれの反復親系統と から出発して高分解能地図を作製することが有利であると思われた。重要なのは 、BC系統のドナー親が反復親系統に比較して異なる遺伝的背景を表すことである 。こうして、同一遺伝子系統間での交雑から大型マッピング集団を作製すること と並行して、連鎖したAFLPマーカーの検索を開始することができた。その上、BC 系統に基づく交雑はCarlberg II Mlo×Grannenlose Zweizeilige mlo-11交雑(H inze他,1991)から決定される、Mloの周辺のDNAマーカーの線状対応性の試 験 を可能にした。新規交雑には、遺伝的背景Ingrid中に7回戻し交雑されたmlo-3 戻し交雑(BC)系(BC7 Ingrid mlo-3;Hinze他,1991)を使用した。この系統 は、大麦第4染色体上に比較的小さい遺伝子移入DNAセグメントを有すると以 前に特徴付けられた。加えて、ドナー親系統Malteria Heda mlo-3は、再現親Ing ridからのDNAと比較して、Mloに連鎖した同定済RFLP遺伝子座の大部分に関し て多形性を示した。よって、わずか2つのDNA鋳型間の多形性を調べることに より、標的指向(ターゲッティング)方式でMloの周辺にAFLPを有するDNAマ ーカーの密度を増加できると期待された。 この同−2系統を交雑して、形式上8回の戻し交雑を表すDNAマーカーの高 分解能マッピング用の分離集団を確立した。分離物K1(Ingrid Mloに毒性でBC7 Ingrid mlo-3に非毒性)を使ったうどんこ病菌接種の後、F2個体をmlo耐性につ いて記録した。最初に、F2個体の小部分(77個体)だけを隣接RFLPマーカーと の組換え現象について分析した。同定された4つの組換え体(8-32-2,7-38-4,1 -34-1および1-49-4と命名)の分析は、以前に分析されたCarlsberg II Mlo×Gra nnenlose Zweizeilige mlo-11交雑(Hlnze他,1991)に比較して、この交雑での マーカー順序の線状対応性を示した。試験した隣接DNAマーカー遺伝子座(bA O11,bAL88/2およびbAP91;Hinze他,1991)に対する異型接合性と感受性表現型 とを示す77のF2実生のうちの幾つかを成熟まで成長させて、F3世代での Mlo /mlo-3に分離する自殖種子材料を提供した。全体で、自殖F2またはF3世代の いずれかより得られた2,026個体から、高分解能マーカーマッピング用の葉材料 を収穫した。 AFLPマーカー候補は、それぞれヌクレオチド位置+2および+3までのゲノム 配列に及ぶ全ての考えられるPst I/Mse Iプライマ ー組合せ(1,024)を試験することにより同定された。同様に、1,900に近いEco RI/Mse Iプライマー組合せ(+3/+3)を分析した。この分析には4つのD NA鋳型を含めた:Ingred Mlo、BC7Ingred mlo-3、表現型上mlo耐性である2つ のF2個体のDNAプール、および表現型上感受性である9つのF2個体のDNA プール。AFLP検索においてDNAプールとして含められた耐性および感受性F2 個体は、77のF2分離物の上記RFLP分析から選抜された。プールしたF2DNAは 、親からの鋳型DNA間に検出された候補多形性がF2に遺伝可能な形質である かどうかを制御できるようにする。全ての同定されたAFLP候補マーカーを8つの DNA鋳型を使って再調査した:Ingrid Mlo;BC7 Ingred mlo-3;K1接種実験に よると表現型上同型接合感受性(MloMlo)であった3つのF3ファミリーの個体 からのDNAプール;3つの耐性F2個体のDNA。選抜操作に基ついて合計18 のPst I/Mse Iプライマーと20のEco RI/Mse Iプライマーが確認された。 同定されたAFLPマーカーの数は、それを最初はMlo周辺のRFLP地図に基づいた マーカー範囲に大まかに割り当てるのに有用な数となるようにした。このアプロ ーチは、以前に同定されたMloに近接したRFLP範囲の中へのAFLPの分布の評価と 、2,026の分離個体中に組換え体を同定することができる一対の隣接AFLPマーカ ーの選択の両方を可能にするだろうと期待された。AFLP割り当てには、Ingrid M lo×BC7 Ingrid mlo-3からの77のF2分離個体の上記少数試料(範囲bAP91-bAL88 中の組換え体2つ、Mlo-bAO11中の組換え体1つ、bAO11-ABG366中の組換え体1 つ)のうちRFLPマーカーを使って同定された4つの組換え体を使用した。Mloを 含む約3.5cMの遺伝距離の中に合計18のAFLPが位置することが判明した。Mlo 周辺の高分解能AFLP地図の作成 高分解能AFLP地図を作成するのに2段階法を使用した。第一に、2,026の分離 個体全部をMloの反対側の2つのAFLPマーカー間での組換え現象についてスクリ ーニングし、続いてごく少数の同定された組換え体を使って3.5cM標的範囲の中 に全ての同定AFLPを位置づけた。Ingrid MloとBC7 Ingrid mlo-3における各対立 遺伝子DNA断片を検出するAFLPマーカーBpm1とBpm9を選択しそしてMloの反対 側に置くことにより、分離個体のDNA鋳型を組換え現象についてスクリーニン グした。あるいは、組換え体の検索は隣接RFLPマーカ−bAO11およひbAL88を使っ て行うことかできた。しかしなから、CAPS(cleaved amplifled polymorphic si tes)中への転移は両マーカーとも好結果であったけれども、大まかに精製した ゲノムDNAから両遺伝子座の対立遺伝子を同時に表示させることの難しさに遭遇 した。合計2,026個体(F2またはF3分離個体)をAFLPマーカーBpm1とBpm9を使 って同時にスクリーニングし、98の組換え体を同定した。続いて、この98の組換 え体の各々のDNA鋳型を使ってAFLP分析を実施して、同定されたAFLP遺伝子座 の各々の対立遺伝子を同定した。組換え体を自殖させ、そしてMlo遺伝子座にお ける前世代の対立遺伝子を推定するために各組換え体ファミリーの少なくとも25 個体を使ってうどんこ病菌分離株K1の接種実験を行った。得られたデータから、 4,000以上の減数分裂現象に基づいたMlo周辺の高分解能地図の作成および2点推 測法による少なくとも0.025cMの分解能が可能であった。重要な結果は、Mloと共 分離するDNAマーカー(Bpm16)と、それぞれ0.25cMと0.4cMの距離のところに 2つの隣接マーカー(Bpm2とBpm9)が同定されたことである(図1)。巨大挿入断片サイズ大麦YACライブラリーの作成、Bpm16を含むYACの単離 、およびMloの物理的境界決定 遺伝的証拠はmlo耐性がMlo野性型対立遺伝子中の機能不全によ るためであることを示す。従って、栽培品種Ingrid MloからのベクターpYAC4(B urke他,1987;hieter,1990)中への大型挿入断片サイズYACライブラリーを 確立することを決めた。Siedler & Graner(1991)により記載された改良プロト コルに従って、5日齢実生の葉肉プロトプラストから、YACクローニング実験 に適するメガ塩基DNAを調製した。該DNAをEco RIメチルトランスフェラー ゼの存在下でEco RIで部分消化し、そして調製用パルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE)の後、500〜600kbのサイズ範囲内のDNA断片を得た。Eco RIで消化し たpYAC4との連結後、DNAを酵母株AB1380中に形質転換せしめ、そしてトリプ トファンとウラシルを欠く固形合成完全培地(Sherman他,1986)上で組換えpYA C4DNAを有するコロニーを選択した。40個の無作為選択した酵母コロニーを、 標識大麦ゲノムDNAを使ってサザンブロット実験により大麦DNAの存在につ いて調べた。YAC挿入断片のサイズは、PFGE分離後に500〜800kbに及ぶことが わかった。平均すると0.2cMの遺伝距離が個々の組換えYACクローン上に提示 されると予想された。4つの大麦ゲノム同等物を提示する合計〜40,000クローン が作製された。 Mloと共分離するマーカーBpm16を使って、4つのYACクローン(303A6,322 G2,400H11および417D1と命名)が単離された。それらの挿入断片サイズはPFGE によりそれぞれ650,710,650および820kbであると測定された。AFLP分析は、そ れらのクローンのうちの3つ(303A6,322G2および417D1)が両方の隣接マーカ ー遺伝子座も含有するのに対して、クローン400H11は遺伝子座Bpm16とBmp2たけ を含むことを示していた。これらの観察結果は、Mlo遺伝子が組換えYACクロ ーン303A6,322G2および417D1上に物理的に境界決定されたことを強く暗示する 。 ユニークEco RI部位を含むBACベクターpECSBAC4(Shizuya他,1992;ベクター pECSBAC4はFrijtersおよひMichelmore,1996により記載されている;寄託)中へ のサブクローニング実験に、YAC 303A6を選んだ。このクローンの全酵母DNA をEco RIで部分消化して、50Kbの平均サイズを有するDNA断片を得、そしてEc o RI消化され脱リン酸されたBACベクター中にそれを連結せしめた。pECSBAC4中 にYAC 303A6由来のDNAを含む細菌コロニーを、レプリカコロニーハイブリダ イゼーション実験により同定した。コロニーを含む1セットの膜をAB1380標識酵 母DNAとハイブリダイズさせ、そして複製セットをPFGE精製済のYAC303A6標識 DNAとハイブリダイズさせた。続いて、コロニーハイブリダイゼーション実験 においてプローブとしてクローン化108 bp Pst I/Mse IゲノムBpm16断片を使 って、AFLP遺伝子座Bpm16を含む組換えBACクローンを同定した。 約60kbの挿入断片を含む1つのBACクローンBAC F15を更に詳細な研究のために 選んだ。この組換えBACクローンはAFLPマーカー遺伝子座Bpm2を更に含むがBpm9 は含まないことかわかった。この時点で、BAC F15挿入断片DNAはテロメア方 向での好結果の物理的境界決定を示した。しかし、この挿入断片がセントロメア 方向に隣接配列を含むかどうかは未解決の問題であった。Bpm16とBpm9の間にBAC 連続配列(contig)を作製する代わりに、BAC F15からの新規多形性マーカーを 開発するという意見を選んだ。親系統Ingrid MloとBC7 Ingrid mlo-3の間に対立 遺伝子Xba I/Mse I多形性(Bxm2と命名)が同定された。 Mlo含有Bpm2-Bpm9範囲内に組換え現象を有する25の組換え個体の分析は、Mlo からセントロメア方向で0.1cMの距離のところでのBxm2のマッピングを可能にし た。Bpm9−Mlo範囲中の入手可能な組換え体16個のうち4個だけがBpm2とMloの間 の組換え現象を示し、 Mlo−Bpm2範囲中の組換え体9個は1つも組換え現象を示さなかった。Mloかマー カー遺伝子座Bp1n2とBxm2の間のBAC F15上に範囲限定されたという結論を下した (図1)。Mlo 遣伝子とmlo変異体の同定 マーカーBxm2を同定しそしてMlo遺伝子をテロメア方向で範囲決定することを 示す前に、BAC F15の〜60kb挿入断片の配列連続物(contig)を決定するために ランダム配列決定計画を開始した。並行して、物理的地図を作製した(図1)。 物理的地図は、隣接マーカーBpm2とBxm2が〜30kbだけ物理的に離れていることを 示した。この配列連続物を、STADENプログラムパッケージのUNIXバージョンを使 って高いコード確率を有する領域について検索した。共分離マーカーBpm16を含 む6kbに近い唯一の配列連続物が、広範囲に渡る高コード確率領域を示した。 栽培品種Ingrid Mlo由来の全葉RNAを使って、高コード確率を示した領域か ら推定した一連のプライマーを用いてRT-PCR反応を実施し、そして各場合に別々 の増幅生成物を得た。最大のRT-PCR生成物の配列分析は、1,602 bpの単一の広大 な転写解読枠を明らかにした(図2)。533アミノ酸の推定タンパク質は60.4キ ロダルトン(KDal)の分子量を有する。〜1.7kbのRT-PCR生成物をハイブリダイ ゼーションプローブとして使用すると、長さ〜1.9Kbの単一RNA転写物が検出され た(図3)。ゲノム配列とこの最大RT-PCR断片との比較は、各々特徴的なスプラ イス部位配列により隣接されている、12個のエキソンと11個のイントロンの存在 を明らかにした(図1)。 マーカーBpm16は上記遺伝子の3’末端に位置し(エキソン11)且つMlo遺伝子 座と共分離するので、我々は様々な利用可能な変異原誘発mlo耐性対立遺伝子の 直接PCR配列決定を開始した。我々は試験した15個の変異型対立遺伝子のうち の14個において、野性型 配列の単一アミノ酸置換、欠失またはフレームシフト変異のいずれかを引き起こ すヌクレオチド変更を同定した(表1)。我々は、変異型対立遺伝子mlo-2がプ ロモーター配列または5’非翻訳配列中に位置すると疑っている。この領域は直 接PCR配列決定によって配列決定するのが難しいと評判であるが、一連の重複 したプライマーを使った実験がこの問題を解決すると思われる。要約すれば、様 々な変異型mlo系列およびそれらの各々のMlo野性型栽培品種からのゲノムDNA の比較配列決定が、強力な証拠を提供した。遺伝子内組換え トランスジェニック大麦植物を経由した補完実験に頼らないMloの分子単離の 一連の証拠を提供することが目的であった。我々は、同定された遺伝子がMloで あることを確証するために普通とは違う遺伝材料を開発することを選んだ。上記 遺伝子中に観察される突然変異がうどんこ病菌に対する耐性を引き起こすならば 、変異型対立遺伝子部位間での組換えが野性型配列を回復させるはずだと推論し た。それらの遺伝子内組換えがうどんこ病菌侵襲に対して感受性を示すだろうと 推測した。 mlo耐性対立遺伝子mlo-1,mlo-5およびmlo-8が関係する交雑スキームを開発し た。変異体対立遺伝子は、遺伝的背景Haisa(mlo-1)とCarlsberg II(mlo-1お よびmlo-8)から始まる。表2に示されるように変異体間交雑を実施して、各場合 に少なくとも10個のF1植物を得た。自家受精(自殖)によりF2集団を得た。親 のMlo野性型栽培品種の各々に対して毒性であるうどんこ病菌分離物K1の接種後 、まれな感受性個体についてF2実生をスクリーニングした。感受性F2個体は〜 6×10-4の頻度で同定された。対照的に、各々のmlo変異体の自殖から得られた 同等数の子孫をK1に対する耐性について試験すると、感受性実生は全く同定され なかった。この観察結 果は、感受性個体の大部分が変異型mlo対立遺伝子の自然復帰現象によるもので ないことを強く示唆した。 F3ファミリー間での自殖後に感受性F2個体の遺伝を調べた。各F2個体は感 受性F3個体と耐性F3個体に分離し、このことは、F2では耐性/感受性を付与 する対立遺伝子が異型接合性であることを示唆した。感受性F2個体の大部分に ついては、F3個体の自殖とその後の感受性涸体のみを検出するF4ファミリーの 同定により、同型接合感受性F3子孫が単離された。 Mlo遺伝子座の両側に近接に連鎮する(<3cM)ことがわかったRFLPマーカー を使って、感受性個体の分子分析を実施した(図4)。RFLPマーカーWG114はMlo に関してセントロメア方向でマッピングし、そしてマーカーABG366はテロメア方 向でマッピングする。変異体間交雑mlo-8×mlo-1(A)およびmlo-1×mlo-5(B )により検出されるRFLP対立遺伝子が示される。感受性F2個体(*により表示) のDNAまたは感受性F2個体の自殖から得られた同型接合感受性(S)および 同型接合耐性(R)F3子孫のDNAを分析した。 mlo-8×mlo-1交雑の感受性F2植物#1からの同型接合感受性F3子孫(図4) は、Mloに対してセントロメア方向で隣接したmlo-1親由来のWG114対立遺伝子と 、Mloに対してテロメア方向にmlo-8親由来のABG366対立遺伝子の存在を明らかに した。この交雑のF2植物#1からの同型接合耐性F3子孫は、対照的に親のmlo- 1由来の隣接マーカー対立遺伝子だけを示した。この結果は、F2植物#1の感受 性か、Mlo野性型対立遺伝子の回復をもたらす第一の染色体の先行減数分裂中の 乗換え型組換えによって引き起こされ、一方個体#1の第二のF2染色体が機能 的に変更されてないmlo-1対立遺伝子を含むことを強く示唆した。感受性F2植物 #1からの 同型接合感受性F3子孫のRFLP遺伝子座の対立形質は、上述したものと同じであ る。しかしながら、この個体の同型接合耐性F3子孫からの隣接マーカー対立遺 伝子はどちらの場合もmlo-8親由来である。再び、乗換え型組換えが感受性F2個 体#2において1つのMlo野性型対立遺伝子を回復させたと断定される。 mlo-1×mlo-5交雑から9つの感受性F2個体を回収した。感受性F2個体#1〜 #7については、DNAレベルで同型接合感受性と同型接合耐性F3子孫の両方 を分析した。個体#8と#9の場合は異型接合感受性F2個体からのDNAだけ を分析したことに注意(*により表示)。隣接RFLP遺伝子座に関して次のような 対立遺伝子パターンが観察された:(i)同型接合耐性F3子孫は、Mloの両側にmlo -1親由来の遺伝子座WG1l4およびABG366の対立形質だけ(個体#1,#3,#6 ,#7)またはmlo-5親由来の対立形質だけ(個体#2,#4,#5)のいずれ かを示した。(ii)対照的に、同型接合感受性F3子孫は、Mloの両側にmlo-5親由 来の両遺伝子座の対立形質だけを示す(#3,#5,#6)かまたはそれらはMl oの両側に異なる対立形質を示す(個体#1,#2,#4,#7)。(iii)両側 に異なる対立形質を有する同型接合感受性F3子孫は、常にセントロメア方向にm lo-1由来のWG114対立遺伝子を含みそしてテロメア方向にmlo-5由来のABG366対立 遺伝子を含む。(iv)異型接合感受性F2個体#8は、Mloに隣接したいずれかの側 にmlo-5親由来の対立遺伝子のみを示す。異型接合感受性個体#9は、セントロ メア方向に両親mlo-1とmlo-5由来の対立遺伝子を含むが、テロメア方向にはmlo- 5由来の対立遺伝子だけが検出される。データの包括的解釈は、F2個体#1,# 2,#4,#7およひ#9の感受性が、Mlo野性型対立遺伝子を回復させる乗換 え型の組換えによって生じることを示唆する。個体#3,#5,#6および#8 にお いては非乗換え型の組換えがMlo野性型対立遺伝子を回復させたのだろう。 単離された全ての感受性F2個体または同型接合F3子孫の検出された隣接RFLP 対立遺伝子を表3にまとめて示す。mlo-8×mlo-1交雑の個体#3は図4に示して ないことに注意。この表は、(i)乗換え型の組換え(CO)と非乗換え型の組換え( NCO)が7:5の比で認められること、(ii)乗換え型の組換えが一方向に分割され ること、および(iii)親のmlo-1に連鎖したRFLP対立遺伝子を有するNCO組換え体 が観察されなかったこと、を明らかにする。 ヘテロ対立遺伝子mlo交雑から単離されたCO型遺伝子内組換え体を使って、Mlo 候補遺伝子の野性型配列が回復されたかどうかを試験した。3つの関連する対立 遺伝子mlo-l,mlo-5,mlo-8について、候補となる突然変異部位が同定された( 表1および4)。ヘテロ対立遺伝子交雑mlo-1×mlo-8およびmlo-1×mlo-5から誘 導された感受性遺伝子内組換え体のゲノムDNAの直接PCR配列分析は、野性 型配列の回復を示した(表4)。この観察結果は、前者の交雑ではヌクレオチド −1と+483の間で、そして後者の交雑では+3と+483の間で(翻訳開始部位に 従ったヌクレオチド番号)遺伝子内乗換え現象が起こったことを強力に示唆する 。よって、2種類のヘテロ対立遺伝子交雑からの7つの遺伝子内組換え体の分子 分析は、上述した候補遺伝子がMloを表すという最終証明を提供する。実施例2:同定されたMlo遺伝子の相同体 米(Oryzae sativa)とシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の入手可能 なEST(expressed sequence tag)データベースを相同タンパク質配列につい て検索した。推定アミノ酸配列がMloタンパク質に対して実質的類似性を示す5 つのシロイヌナズナcDNAクローンが同定された。顕著であるのは、1.2e-45 の偶発確率を示すcDNAクローン205N12T7である。加えて、米においても少な くとも1つの有意な相同体が見つかった(OSR16381A)。 Mloを含む標識大麦ゲノム断片を使って米のBACライブラリー(Wang他,1995) もスクリーニングした。〜23kbの挿入断片を含む1つのBACクローンを単離した 。その後のサブクローニングにより、大麦Mlo遺伝子プローブとの強い交差ハイ ブリダイゼーションを示す2.5kb PstIゲノム米断片を単離することができた。 この断片のDNA配列分析は、大麦Mlo遺伝子のエキソン配列との著しいDNA 配列類似性を明らかにした(図5)。 最後に、Mloを含む標識大麦ゲノム断片を使って栽培品種Igri(Stratagene) 由来の13kbλゲノム大麦クローンを単離した。サブクローニングした2.6kb SacI 断片からのヌクレオチド配列は、同じくMlo遺伝子に対して広範囲に渡る配列類 似性を示した(図6)。このゲノム内の大麦Mlo相同体の位置はBAC F15 DNA 内ではない。 要約すると、単子葉植物種と双子葉植物種の両方にMlo相同体の決定的証拠が ある。考察 Mloおよびmlo核酸およびポリペプチドの作用形態に関するどんな推測も、本発 明のいずれかの観点または態様の性質または範囲に対して制限を加えるものでは ない。 植物では、病原体に対する耐性はしばしば優性耐性遺伝子により 決定され、その生成物が病原体由来の非毒性遺伝子産物を認識すると仮定されて いる。この病原体防御機構はFlorの遺伝子対遺伝子説(F1or,1971)に従う。最 近、「遺伝子対遺伝子」型の耐性遺伝子が幾つか分子的に単離されている(Mart ln他,1993;Bent他,1994;Jones他,1994;Mindrinos他,1994;Whitham他,1 994;Grant他,1995;Lawrence他,1995;Song他,1995)。驚くべき所見は、推 定タンパク質が、ウイルス、真菌および細菌のような種々の病原体に対する耐性 反応を誘発するけれども、それらが顕著な類似構造領域を共有することである( Dangel,1995;Staskawicz他,1995)。単離された遺伝子は、付随のヌクレオチ ド結合領域(NBS)を有するかもしくは有しない高ロイシン領域(LRR)( これはリガンド結合およびタンパク質−タンパク質相互作用の指標である)を含 むタンパク質をコードするか、または単純なセリン/スレオニンキナーゼをコー ドする。LRRとキナーゼ領域の構造的組合せは、米Xa21耐性遺伝子からの推定 タンパク質において報告されている(Song他,1995)。「遺伝子対遺伝子」防御 において耐性遺伝子に構造的類似性があることから、共通の基礎的耐性メカニズ ムが存在しそうである。 Mlo遺伝子の劣性耐性対立遺伝子により媒介される耐性は、「遺伝子対遺伝子 」耐性とは様々な点で異なる(上記の序論を参照のこと)。本明細書中に記載さ れるMlo遺伝子の分子単離および様々な変異誘発mlo対立遺伝子の配列決定は、突 然変異とメンデル遺伝の組合せ研究からの当初の推測(Hentrich,1979;Jorgen sen,1983)を確証する。Mlo遺伝子座の欠損対立遺伝子が、うどんこ病菌のよう な病原体に対する広域スペクトル耐性を媒介すると結論づけられる。これは、品 種特異的耐性遺伝子について提案されたような病原体由来生成物の特異的認識現 象の関与とは一致しない。 mlo対立遺伝子の多面作用は、観察された広域スペクトル耐性応答の分子概念 の発達の方向へ幾つか手掛かりを与えた。 第一に、無菌成長させたmlo植物は、高頻度で葉表皮細胞中に細胞壁並置(C WA)の自然形成を示す(Wolter他,1993)。それらのCWAは通常、真菌付着 器のすぐ下に病原体貫入の試みに応答して形成される。CWAは病原体の進入に 対する物理的障壁を形成すると考えられ、且つmlo媒介耐性に繰り返し関係づけ られている(Bayles,1990)。 第二に、植物は後期になると、巨視的に検出可能な葉壊死小斑を発生する。自 然葉壊死反応は、95の化学的に誘発されたmlo対立遺伝子のユニーク収集物を使 って広く研究されている(Hentrich,1979)。これらの対立遺伝子は、9種のう とんこ病菌分離物の混合物の感染によって段階的に異なる感染表現型を示すもの として分類された。中間的感染表現型(すなわち、接種すると相当数の胞子形成 真菌コロニーの形成)を生じるそれらのmlo対立遺伝子は検出可能な自然葉壊死 を全く示さず、一方で最も有効な耐性対立遺伝子のカテゴリーは病原体の不在下 でも顕著な壊死を示す。よって、mlo対立遺伝子の前者のカテゴリーは残余野性 型対立遺伝子活性を保持し、それらの対立遺伝子が検出可能な自然葉壊死を全く 示さないようである確固たる証拠がある。 第三に、防御関連遺伝子の構成的発現は、うどんこ病菌のない条件下で成長さ せたmlo実生において、10〜11日齢時の初生葉に観察された。これはPR-1ファミ リー、キチナーゼおよびペルオキシダーゼの遺伝子を包含する。 本発明者らは、防御関連遺伝子の構成的発現の開始後に(10〜11日齢のmlo実 生)、タルク粉末と胞子の1:1混合物をmlo大麦植物の葉の上に吹付けた(avi blow)時、大麦のmloが黄さび病菌 (Puccinia struciformis)に対する増強された耐性を付与することを証明した 。 よって、mlo植物において多重防御関連応答が構成的に発現されると思われる 。 それらの現象の時間的関係が興味深い。すなわち、構成的防御関連転写物の蓄 積の開始が11日齢の実生に検出され、次いてCWA形成が起こり、その後で巨視 的に検出できる葉壊死が現れる。しかしながら、重要なのは、mlo耐性を5日齢 の実生ほどの早期に実験的に調べることができ、そしてこの時点で該耐性が十分 機能的であるという点である。我々は、Mloタンパク質が植物防御において負の 調節機能を有し、そして欠損タンパク質を有する植物は防御応答の開始が「前も って用意されている」と結論づける。 Mloの推定アミノ酸配列は、今までに記載された植物耐性遺伝子のいずれとも 全く有意な相同性を示さない。このことは、全く別の分子耐性メカニズムの考え を支持する。Mlo遺伝子はまた、様々なデータベース中のいずれの特徴付けられ た植物または哺乳類遺伝子配列とも顕著な類似性を示さない。しかしながら、米 およびシロイヌナズナからのESTおよびゲノムデータベース中に、高度に有意 な相同配列が同定された(表5および図5)。これは、Mloタンパク質が新規タ ンパク質ファミリーの一員であることを強力に示唆する。該タンパク質の核内限 局化を示唆する、推定核内限局化モチーフ(NLS)がエキソン12中に認められ る(KEKKKVR;Nigg他,1991)。このモチーフの重要性は、NH2末端方向に14アミ ノ酸だけ離れて置かれたカゼインキナーゼIIモチーフ(SIFD;Rihs他,1991)に より支持される。機能試験によりMloタンパク質の推定上の細胞下限局化を調べ ることができる。 別の植物種においても、病原体に対する防御応答が構成的に発現 されるらしい突然変異が記載されている(Walbot他,1983;Pryor,1987;Jones ,1994)。病斑模倣変異体(Les)または壊死変異体(nec)と呼ばれるこの部類の 変異体は、植物防御応答の制御に影響を及ぼす。劣性遺伝する病斑模倣変異体が シロイヌナズナにおいて系統的に分析されている(Greenberg & Ausubel,1993 ;Dietrich他,1994;Greenberg他,1994;Weymann他,1995)。作用遺伝子はacd (accelerated cell death;acd1およびacd2)またはlsd(lesions simulating d isease resistance response;lsd1〜lsd7)と命名されている。 それらの変異体の各々は、病原体の不在下では、植物細胞壁変形や防御関連遺 伝子転写物の蓄積といったHR特性を示す。acd2変異体の葉は高レベルのサリチ ル酸およびシロイヌナズナのフィトアレキシンであるカメレキシンを蓄積するこ とが示されている(Tsuji他,1992)。重要なのは、acdおよびlsd変異体が細菌 (P.シリンゲ)および真菌(P.パラシティカ)病原体に対して高められた耐 性を示すことである。病変陽性状態でのみ高い病原体耐性を示す他の欠損遺伝子 座とは異なり、lsd1変異体は病変前状態で強化された病原体耐性を付与すること から例外的である。この点で、lsd1は大麦のmlo変異体と似ている。lsd1の別の 顕著な特徴は病変の中間的広がりであり、それに対して他の変異体は病変成長が 決定的である。実験手順 植物材料 mlo変異体およびそれらの母系変異体の編集はJorgenSen(1992)により〔mlo- 1,mlo-3,mlo-4,mlo-5,mlo-7,mlo-8,mlo-9,mlo-10,mlo-11〕およびHabek uss & Hentrich(1988)により〔栽培品種Plena変異体2018(mlo-13),2034(mlo-17 ),2118〕記載されて いる。変異体2118は今までに対立遺伝子番号が付与されていないので、我々はGr ainGeneデータベース(gopher://greengenes.clt.cornell.edu:70/77/.graingen es.ndx/index?mlo)における現在の番号付けに従って、対立遺伝子をここでmlo- 26と命名した。 高分解能地図はIngrid Mlo×BC7 Ingrid mlo-3の交雑に基づく。F1植物を自 殖させて約600植物の分離F。集団を得た。Mloの反対側にあるRFLPマーカーにつ いて異型接合性を示す表現型上感受性のF2植物を自殖させ、そして高分解能地 図作成のためのF3世代の更なる分離個体を得た。うどんこ病菌感染試験 真菌分離株K1(Hinze他,1991)は、Mlo対立遺伝子を有するこの実験に使用す る全ての栽培品種に対して毒性であり、そして試験した全てのmlo遺伝子型に対 しては非毒性である。植物成長およびうどんこ病菌(Erysiphe graminis f sp h ordei)の接種は以前に記載された通りに実施した(Freialdenhoven他,1991) 。高分解能地図作成に使用した組換え体のMloの遺伝子型は、少なくとも24個体 を含んで成るF3またはF4ファミリーにおける自殖とその後の接種実験後に決定 された。AFLP 分析 AFLP分析用のゲノムDNAはStewartおよびVia(1993)に従って単離した。AFLP 分析はVos他(1995)により記載されたものを僅かに変更して実施した。Mloに連 鎖したAFLPマーカーのスクリーニング用に、酵素組合せPst I/Mse Iと共に、 増幅断片のゲノム配列中にそれぞれ+2および+3選択塩基を有する増幅プライマ ーを使った。Eco RI/Mse I増幅プライマーにはそれぞれ+3および+3選択塩 基を使用した。次の4つのDNA鋳型から成るセットを使用した:感受性親栽培 品種Ingrid Mlo、耐性親BC7 Ingrld mlo-3、 Mlo×BC7 Ingrid mlo-3交雑から得られる2つの耐性F2個体(mlo-3 mlo-3)の プールおよび9つの感受性F2個体(Mlo Mlo)のプール。AFLPマーカーBpm2,Bp m9およびBpm16を表す増幅ゲノム断片(図1)をクローニングし、そして次のよ うにして配列決定した:増幅ゲノム断片を含むゲル切片(真空乾燥によりWhatma n 3MM紙上に固定したもの)をオートラジオグラフィーにより同定し、続いて切 除した。100μlの水を加え、10分間煮沸し、そして遠心した後、上清5μlを 鋳型として使用して選択AFLPプライマーを使って非放射性再増幅反応(30サイク ル)を行った。増幅生成物をアガロースゲル電気泳動後、DNA単離キット(Je tsorb,Genomed Inc.,USA)を使って単離した。DNAをKlenowポリメラーゼと T4ポリヌクレオチドキナーゼで処理し、続いてpBluescript SK(Stratagene)の EcoRV部位の中にクローニングした。配列決定反応は色素ターミネーターサイク ル配列決定反応キット(Perkin Elmer)を使って実施し、そしてABI 373または3 77自動シークエンサー(Applied Biosystems)上で解析した。大麦YACライブラリーおよびYAC YHV303-A6のBACサブライブラリーの作製 pYAC4ベクター(Burke他,1987;Kuhn & Ludwig,1994)と酵母株AB 1380を使 って大麦栽培品種IngridのYACライブラリーを作製した。該ライブラリーの作製 およびそれの特徴づけの詳細は本明細書中のどこかに記載される。マーカーBpm1 6を含むYACクローンについてのスクリーニングはAFLP分折によって行った。YAC YHV303-A6のBACサブライブラリーの作製には、この酵母クローンの全DNAを使 用した。部分的Eco RI消化と調製用パルスフィールドゲル電気泳動の後、50kbの サイズ範囲のDNA断片を回収し、そしてpECSBAC4ベクター中にサブクローニン グした。YHV303-A6由来の 挿入断片を有するクローンを2段階コロニーハイブリダイゼーション法により同 定した。まず非組換え酵母株AB 1380の全標識DNAをプローブとして使用して 、宿主株由来の挿入DNAを有するクローンの大部分を除去した。次のハイブリ ダイゼーション段階において、残ったクローンを、調製用パルスフィールドゲル 電気泳動による濃縮後に標識組換え染色体YHV303-A6を使って探査した。BACF 15 のDNA配列決定 Sambrook他(1989)に従ったアルカリ溶解大規模プラスミド調製法によりBAC F15のDNAを単離した。精製DNA 50μgを反応容器中でアルゴンガスでの15 0秒間の高圧処理により霧状にした。剪断されそして再沈澱したDNAの末端をT 4 DNAポリメーラーゼ媒介フィルイン反応により平滑末端にした。800bp〜3kbの サイズ範囲のDNA断片をDNA単離キット(Jetsorb,Genomed Inc.,U.S.A. )を使ってアガロースゲルから単離し、pBluescrlpt SKベクター(Stratagene) 中にサブクローニングし、そしてE.コリ DN5α中で増殖させた。BAC F15由来 の挿入断片を有するクローンを、プローブとしてBAC F15の剪断DNAを使った ハイブリダイゼーションにより選択した。配列決定反応は上述した通りに実施し た。配列決定データの評価、配列連続物の作製、およびコード確率の推定は、Un ixユーザー用のSTADENソフトウエアパッケージ(第4版,1994)を使って行った 。コード確率の評価は、試験した配列における不均等塩基配置頻度、塩基配置優 先性および大麦コドン使用頻度の合同評価に基づいた。相同性検索はBLASTソフ トウエアを使って行った。Mlo の対立遺伝子のPCRに基づく配列決定 この分析用の植物染色体DNAはChunwongse他(1993)に従って単離した。P CRに基づく配列決定により、この実験に使用する様 々な大麦変種、mlo変異体、BC系統、および遺伝子内組換え体のMlo対立遺伝子の DNA配列が得られた。該遺伝子の7つの重複部分断片(長さが各々400bp〜600 bp)を、特異的プライマーセットを使ってPCR(35サイクル、60℃アニーリン グ温度)により増幅せしめた。調製用アガロースゲル電気泳動とJetsorbキット (Geromed Inc.,U.S.A.)を使った増幅生成物の単離の後、断片を再増幅せしめ て特異性を増大させた。次いで、得られた生成物をヌクレオチドおよびオリゴヌ クレオチドから精製し(Jetpure,Geromed Inc.,U.S.A.)、DNA配列決定反 応(上述)において鋳型として使用した。変異体対立遺伝子および親系統の対応 する領域並びに遺伝子内組換え体のDNA配列は全て両方の鎖から誘導し、そし て独立した系列の実験において2回ずつ確認した。加えて、栽培品種Ingridの対 応するBC系統においても変異体対立遺伝子mlo-1,mlo-3,mlo-4,mlo-5,mlo-7 ,mlo-8,mlo-9およびmlo-10が確認された。RT−PCRおよびcDNA末端の迅速増幅法(RACE) RT−PCRは第一鎖cDNA合成用のSUPERSCRIPT予備増幅系(Glbco BRL)を 使って行った。7日齢の大麦初生葉(栽培品種Ingrid)の全RNA(1μg)を 鋳型として使用した。オリゴ(dT)プライマーにより第一鎖cDNA合成を開始 させた。続いて、オリゴヌクレオチド25L(GTGCATCTGCGTGTGCGTA)とオリゴヌク レオチド38(CAGAAACTTGTCTCATCCCTG)を使って単一増幅段階(35サイクル、60℃ アニーリング温度)においてMlo遺伝子の推定コード領域を増幅せしめた。得ら れた生成物を直接配列決定により分析した。MlocDNAの5’および3’末端 を、MARATHON cDNA増幅キット(Clontech)を使ってRACE法(Frohman他,19 88)により決定した。対応する実験手順は大体製造業者の説明書に従って実施し た。特異的RACE生成物を得るために、連続2回の増幅(35サイクル、 55℃アニーリング温度)が必要であった。このために、前記キットのアダプター プライマーと共に、次の2セットの繰り込みプライマーを使用した:5’末端に はオリゴヌクレオチド46(AGGGTCAGGATCGCCAC)と55(TTGTGGAGGCCGTGTTCC)、そ して3’末端にはプライマー33(TGCAGCTATATGACCTTCCCCCTC)と37(GGACATGCTG ATGGCTCAGA)。RACE生成物をpBluescript SK(Stratagene)中にサブクロー ニングした。10個の5’末端クローンと8個の3’末端クローンをDNA配列分 析用に選んだ。 ここで用いる用語「AFLP」は「AFLPマーカー」を意味する。 表1は、Mlo遺伝子内の様々な変異体の同定された変異部位を要約する。アミ ノ酸レベルでの変異の起源、変異原および推定効果が示される。 表2は、遺伝子内組換え現象を単離するためのヘテロ対立遺伝子mlo間交雑お よび各々のmlo系列の自殖の結果を示す。 表3は、変異体間交雑からの感受性F2または同型接合F3子孫における隣接RF LPマーカーの遺伝子型を要約する。COおよびNCOは隣接分子マーカーの交換から 推定される乗換え型および非乗換え型組換えを示す。表3は感受性遺伝子内乗換 え型組換え体(同型接合感受性F3子孫から)および対応する親のmlo変異体系の DNA配列分析を要約する。同定された変異部位に隣接する配列が示される。 表4は、ヘテロ対立遺伝子間交雑mlo-1×mlo-8およびmlo-1×mlo-5の両者から 得られた感受性遺伝子内組換え体のゲノムDNAの直接PCR配列決定の結果を 示し、野性型配列の回復を明らかにする。 表5は、Mloタンパク質に対する相同性を有する、幾つかのシロイヌナズナ(A rabidopsis thaliana )および2つのコメのEST(発現配列標識)を示す。 表5Aはアミノ酸配列であって、「query」は相同性が認められたMloタンパク 質配列の部分を示し、「subject」は各々同定されたESTの推定アミノ酸配列 を示す。 表5Bは、表5Aに示されたアミノ酸配列をコードするESTヌクレオチド配 列を示す。GenBank受入れ番号T22145(定義4153シロイヌナズナcDNAクローン 97N 8T7,NCBI Seq ID 932185)、番号T22146(定義4153 シロイヌナズナcDNAクロー ン 97N9T7,NCBI Seq ID 932186)、番号N37544(定義18771 シロイヌナズナcDN Aクローン 205N12T7,NCBI Seq ID 1158686)、番号T88073(定義 11769 シロイヌナズナcDNAクローン155I23T7,NCBI Seq ID 9359322)、番号H76 041(定義17746 シロイヌナズナcDNAクローン 193P6T7,NCBI Seq ID 1053292) 、番号D24287(米cDNA部分配列 R1638_1A,nID g428139)およひD24131(米cDN A部分配列R1408_1A,nID g427985)が示される。シロイヌナズナ配列はNewman 他(1994)Plant Physiol.106,1241-55からのである。米配列は1993年11月2 日にDDBJに提出されたMinobe,Y.およびSasaki,T.からのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 G01N 33/48 N 33/48 33/50 Z 33/50 33/566 33/566 C12N 5/00 C (31)優先権主張番号 9704789.8 (32)優先日 平成9年3月7日(1997.3.7) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 パンストルーガ,ラルフ イギリス国,ノリッジ エヌアール4 7 ユーエイチ,コルニー レーン,ノリッジ リサーチ パーク,セインズバリー ラ ボラトリー (72)発明者 ビィシュゲス,ライナー イギリス国,ノリッジ エヌアール4 7 ユーエイチ,コルニー レーン,ノリッジ リサーチ パーク,セインズバリー ラ ボラトリー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 図2に示されるアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする単離 されたポリヌクレオチド。 2. 前記コード配列が図2に示されるコード配列である、請求項1に記載のポ リヌクレオチド。 3. 前記コード配列が、1もしくは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換お よび/または挿入による、図2に示されるコード配列の突然変異体、対立遺伝子 、変異形または誘導体である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。 4. トランスジェニック植物中で発現されると、該植物の病原体防御応答に対 して負の調節作用を及ぼす単離されたポリヌクレオチドであって、前記防御応答 は病原体に無関係であり且つ病原体の存在に対し自律性であり、前記ポリヌクレ オチドが、図2に示される大麦Mlo配列の突然変異体、対立遺伝子、変異形もし くは誘導体であるか、あるいは別の種の相同体またはそれの突然変異体、対立遺 伝子、変異形もしくは誘導体であるアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコ ードし、前記アミノ酸配列が1もしくは複数のアミノ酸の付加、置換、欠失およ び/または挿入により、図2に示されるものとは異なっていることを特徴とする 、単離されたポリヌクレオチド。 5. 図13に示されるアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする、請 求項4に記載のポリヌクレオチド。 6. 前記コード配列が図10に示されるものである、請求項5に記載のポリヌク レオチド。 7. 前記コード配列が、1もしくは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換お よび/または挿入による、図10に示されるコード配列 の突然変異体、対立遺伝子、変異形または誘導体である、請求項5に記載のポリ ヌクレオチド。 8. 図14に示されるアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする、請 求項4に記載のポリヌクレオチド。 9. 前記コード配列が図11に示されるものである、請求項8に記載のポリヌク レオチド。 10.前記コード配列が、1もしくは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換お よび/または挿入による、図11に示されるコード配列の突然変異体、対立遺伝子 、変異形または誘導体である、請求項8に記載のポリヌクレオチド。 11.図15に示されるアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする、請 求項4に記載のポリヌクレオチド。 12.前記コード配列が図12に示されるものである、請求項11に記載のポリヌク レ才チド。 13.前記コード配列が、1もしくは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換お よび/または挿入による、図12に示されるコード配列の突然変異体、対立遺伝子 、変異形または誘導体である、請求項11に記載のポリヌクレオチド。 14.発現調節配列に作用可能に連結されている、上記請求項のいずれか一項に 記載のポリヌクレオチド。 15. トランスジェニック植物中で発現されると、該植物の防御応答を刺激ま たは維持することができるポリペプチドを産生する、ポリペプチドをコードする 単離されたポリヌクレオチドであって、前記コードされるポリペプチドが、図2 に示される大麦Mlo配列の突然変異体、対立遺伝子、変異形もしくは誘導体であ るか、あるいは別の種の相同体の突然変異体、対立遺伝子、変異形もしくは誘導 体であるアミノ酸配列を含んで成り、前記アミノ酸配列が1もしくは 複数のアミノ酸の付加、置換、欠失および/または挿入により、図2に示される ものとは異なっていることを特徴とする、単離されたポリヌクレオチド。 16.前記植物中で同型接合発現されると前記植物の防御応答を刺激または維持 する、請求項15に記載のポリヌクレオチド。 17.前記アミノ酸配列が表1に同定された変更を含む、請求項15に記載のポリ ヌクレオチド。 18.前記アミノ酸配列が、残基240に置換を含む図2に示されるものである、 請求項17に記載のポリヌクレオチド。 19.前記アミノ酸配列が残基240にロイシンを含む、請求項17に記載のポリヌ クレオチド。 20.発現調節配列に作用可能に連結された、請求項15〜19のいずれか一項に記 載のポリヌクレオチド。 21.請求項1〜13のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列の少なくとも約60 0の連続ヌクレオチドまたはそれの相補物を有する単離されたポリヌクレオチド 。 22.転写調節配列に作用可能に連結された、請求項21に記載のポリヌクレオチ ド。 23.転写調節配列に作用可能に連結された、請求項1〜13のいずれか一項に記 載の配列の少なくとも約300の連続ヌクレオチドまたはそれの相補物を有する単 離されたポリヌクレオチド。 24.前記調節配列が誘導性プロモーターを含む、請求項22または請求項23に記 載のポリヌクレオチド。 25.宿主細胞の形質転換に適当であり且つ上記請求項のいずれか一項に記載の ポリヌクレオチドを含んで成る、核酸ベクター。 26.前記宿主細胞が微生物細胞である、請求項25に記載の核酸ベクター。 27.前記宿主細胞が植物細胞である、請求項25に記載の核酸ベクター。 28.上記請求項のいずれか一項に記載の非相同ポリヌクレオチドまたは核酸ベ クターを含有する宿主細胞。 29.微生物である、請求項28に記載の細胞。 30.植物細胞である、請求項28に記載の細胞。 31.前記非相同ポリヌクレオチドがそのゲノム内に組み込まれている、請求項 30に記載の細胞。 32.一倍体ゲノムあたり1より多くの前記ポリヌクレオチドを有する、請求項 31に記載の細胞。 33.植物中に含まれる、請求項30〜32のいずれか一項に記載の細胞。 34.請求項30〜32のいずれか一項に記載の細胞を含んで成る植物。 35.請求項34に記載の植物の有性もしくは無性繁殖子孫、クローンもしくは後 代であるか、または前記植物、子孫、クローンもしくは後代の任意部分もしくは 栄養分体である植物。 36.請求項35に記載の植物の一部分または栄養分体。 37.真に育種でない、請求項34に記載の植物。 38.植物の生産方法であって、請求項1〜14のいずれか一項に記載の非相同ポ リヌクレオチドを植物細胞中に導入し、そして前記植物細胞から植物を再生させ ることを含んて成る方法。 39.植物の生産方法であって、請求項15〜20のいずれか一項に記載の非相同ポ リヌクレオチドを植物細胞中に導入し、そして前記植物細胞から植物を再生させ ることを含んで成る方法。 40.植物の生産方法であって、請求項21〜24のいずれか一項に記載の非相同ポ リヌクレオチドを植物細胞中に導入し、そして前記植物細胞から植物を再生させ ることを含んで成る方法。 41.前記植物の子孫または後代を有性もしくは無性繁殖または成長させること を含んで成る、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。 42.植物の防御応答を刺激する方法であって、前記植物の細胞内で請求項1〜 14のいずれか一項に記載の非相同ポリヌクレオチドからの転写を誘発または許容 することを含んで成る方法。 43.植物の御紳応答を刺激する方法であって、前記植物の細胞内で請求項15〜 20のいずれか一項に記載の非相同ポリヌクレオチドからの転写を誘発または許容 することを含んで成る方法。 44.植物の防御応答を刺激する方法であって、前記植物の細胞内で請求項21〜 24のいずれか一項に記載の非相同ポリヌクレオチドからの転写を誘発または許容 することを含んで成る方法。 45.トランスジェニック植物中で発現されると、該植物の防御応答を刺激また は維持することができるポリペプチドを産生する、ポリペプチドをコードするポ リヌクレオチドを作製する方法であって、請求項1〜14のいずれか一項に記載の ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列の変更を含んで成る方法。 46.部位特異的配列変異を含む、請求項45に記載の方法。 47.細胞内相同組換えを含む、請求項45に記載の方法。 48.請求項45の方法に従ったヌクレオチド配列の変更後、変更されたヌクレオ チド配列を含むポリヌクレオチドを宿主細胞に導入することを含んで成る方法。 49.前記宿主細胞が植物細胞である、請求項48に記載の方法。 50.請求項49に従った植物細胞中へのポリヌクレオチドの導入後、変更された ヌクレオチド配列を含む細胞またはその子孫から植物を再生することを含んで成 る方法。 51.植物の防御応答を刺激するための、請求項1〜14のいずれか 一項に記載のポリヌクレオチドの使用。 52.植物の防御応答を刺激するための、請求項15〜20のいずれか一項に記載の ポリヌクレオチドの使用。 53.植物の防御応答を刺激するための、請求項21〜24のいずれか一項に記載の ポリヌクレオチドの使用。 54.請求項1〜14のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによりコードされ るポリペプチドをコードする遺伝子の発現のダウンレギュレーションのための、 請求項21〜24のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの使用。 55.トランスジェニック植物の生産における、請求項1〜14のいずれか一項に 記載のポリヌクレオチドの使用。 56.トランスジェニック植物の生産における、請求項15〜20のいずれか一項に 記載のポリヌクレオチドの使用。 57.トランスジェニック植物の生産における、請求項21〜24のいずれか一項に 記載のポリヌクレオチドの使用。 58.植物または植物細胞中の病原体耐性または感受性対立遺伝子の存在を決定 する方法であって、 (a) 植物または植物細胞からの試料中の核酸の配列を図7に示されるヌクレ オチド配列の全部または部分と比較して、被検体からの試料が変異を含むかどう かを決定すること; (b) 試料中の図7に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその断 片の存在を決定し、そして存在するなら、該ポリペプチドか全長であるか、そし て/または変異されているか、そして/または正常レベルで発現されるかを決定 すること; (c) DNAフィンガープリント法を実施して、制限酵素が試料中の核酸を切 断する時に生じる制限パターンを、図7に示されるヌクレオチド配列からまたは それの既知の突然変異体、対立遺伝子もし くは変異形から得られる制限パターンと比較すること; (d) 図7に示されるヌクレオチド配列を含む核酸もしくはその断片、または その突然変異体、対立遺伝子もしくは変異形に結合することができる特異的結合 メンバーと試料とを接触させ、ここで前記特異的結合メンバーは、図7の配列と ハイブリダイズできる核酸、あるいは図7の配列を含む核酸に対して特異性を有 する結合領域を含むポリヌクレオチドまたはそれによりコードされるポリペプチ ド、またはそれの変異形を含んで成り、そして前記特異的メンバーの結合を測定 すること; (e) 図7に示されるヌクレオチド配列に基づいた1もしくは複数のプライマ ーを使用したPCRを実施して、図7のヌクレオチド配列またはそれの突然変異 体、対立遺伝子もしくは変異形を含んで成る核酸について試料をスクリーニング すること により、植物または植物細胞からの試料を分析することを含んで成る方法。 59.植物または植物細胞中の標的核酸の存在を決定する方法であって、図7に 示されるヌクレオチド配列またはそれのオリゴヌクレオチド断片を含む核酸分子 を、前記植物または植物細胞からの試料中の核酸と接触せしめ、そして前記核酸 分子と前記試料中の核酸とのハイブリダイゼーションを評価することを含んで成 る方法。 60.前記核酸分子とハイブリダイズする核酸の増幅を伴う、請求項59に記載の 方法。 61.前記核酸分子が図7に示されるヌクレオチド配列または対応するその断片 と比較して配列変更を含む、請求項59または請求項60に記載の方法。 62.前記変更が表1に示されるものから選択される、請求項61に記載の方法。 63.請求項1〜14のいずれか一項または請求項15〜20のいずれか一項に記載の ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを結合することができる化合 物を同定するためのアッセイ方法であって、 (a) 前記ポリペプチドまたはその断片と試験化合物とを接触させ;そして (b) 前記ポリペプチドまたはその断片と前記試験化合物との間の相互作用ま たは結合を測定する ことを含んで成るアッセイ方法。 64.アミノ酸配列が図2に示されるポリペプチドを結合することができる化合 物が同定される、請求項63に記載のアッセイ方法。 65.請求項1〜14のいずれか一項または請求項15〜20のいずれか一項に記載の ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドとの相互作用により植物の防 御応答を刺激することができる化合物を同定するためのアッセイ方法であって、 (a) 植物または植物部分と試験化合物とを接触させ、そして防御応答の刺激 を測定すること;および (b) 前記ポリペプチドまたはその断片と前記試験化合物を接触させ、そして 前記ポリペプチドまたはその断片と前記試験化合物との相互作用または結合を測 定することを含んで成り、 段階(b)が段階(a)で試験結果が陽性である試験化合物を使って行われ、または 段階(a)が段階(b)で試験結果が陽性である試験化合物を使って行われ、または段 階(a)と段階(b)が並行して行われる、前記アッセイ方法。 66.前記防御応答の刺激が、前記植物または植物部分上での病原体の増殖およ び/または生存力をモニタリングすることにより測定される、請求項65に記載の アッセイ方法。 67.アミノ酸配列が図2に示されるポリペプチドを結合することができる化合 物が同定される、請求項65または請求項66に記載のアッセイ方法。 68.大麦のうどんこ病に対する耐性を刺激することができる化合物が同定され る、請求項65〜67のいずれか一項に記載のアッセイ方法。 69.請求項65〜68のいずれか一項に従って植物の防御応答を刺激することかで きる化合物を同定した後、該化合物を、または場合により該化合物がペプチド化 合物であるならばそれをコードする核酸を、少なくとも1つの追加の成分を含む 組成物に配合することを含んで成る方法。 70.請求項56〜58のいずれか一項に従って植物の防御応答を刺激することがで きる化合物を同定した後、該化合物を、または場合により該化合物がペプチド化 合物であるならばそれをコードする核酸を、植物に適用することを含んで成る方 法。 71.植物の防御応答を刺激することができる化合物についてのスクリーニング における、請求項1〜14のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによりコード されるポリペプチドの使用。 72.植物の防御応答を刺激することができる化合物についてのスクリーニング における、請求項15〜20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによりコード されるポリペプチドの使用。 73.請求項63〜68のいずれか一項に記載の方法により同定された、植物の防御 応答を刺激することができる化合物。
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