【発明の詳細な説明】
カチオン性層状化合物、その製法および そのハロゲン含有プラスチック用安定化剤としての使用 発明の属する技術分野
本発明は、ハイドロタルサイト系の特異的なカチオン性層状化合物、その製法
および、そのハロゲン含有プラスチック用安定化剤としての使用に関する。
ハロゲン含有プラスチックや、このプラスチックから製造される成型コンパウ
ンドは、熱や高エネルギー線、例えば紫外線にさらされると、崩壊したり、分解
する傾向を示すことが知られている。これを防止するには、通常、鉛系、バリウ
ム系またはカドミウム系の重金属化合物で上記プラスチックやコンパウンドを処
理している。しかしながら、工場での衛生管理のため、非常に有効なこのような
安定化剤をより健康を損なわない物質によって置換する必要がある。重金属化合
物に代わりうる安定化剤は、例えばカルシウムおよび亜鉛セッケンであるが、残
念なことに、これらのセッケンは、前記した重金属化合物と同等の作用を発揮し
ないため、共安定化剤を使用してその安定化作用を向上させる必要がある。
ドイツ特許DE-C-30 19 632(Kyowa Chemical Ind.)は、ハロゲン含有熱可
塑性樹脂の熱または紫外線崩壊を抑制するため、ハイドロタルサイトの使用を開
示する。この特許明細書に開示の試験結果によれば、市場で容易に入手可能なハ
イドロタルサイトは、例えば塩化ビニル樹脂中に混入すると、加熱によって塩化
ビニル樹脂の脱塩素化を促進すると共に、この樹脂の分解、黒色化または発泡さ
え引き起こすことがわかっている。加えて、このようなハイドロタルサイトは、
塩化ビニル樹脂への分散性が乏しく、かつ成型の間の樹脂レオロジー特性や、得
られる成型品の外観に悪影響を与えることがわかった。これらの試験結果は、通
常のハイドロタルサイトの結晶寸法が小さいこと、BET比表面積(少なくとも
約50m2/g)が大きいこと、および水によってハイドロタルサイト粒子が被覆
されることに起因する。このため、ドイツ特許DE-C-30 19 632では、大きい
結晶寸法および30m2/g以下のBET比表面積を有すると共に、所望によりス
テ
アリン酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤を被覆してもよいハイドロタ
ルサイトの使用が提案されている。
またEP-A-189 899(Kyowa Chemical Ind.)は、30m2/gよりも小さいB
ET比表面積のハイドロタルサイトを含有する樹脂組成物を記載する。このヨー
ロッパ特許出願は、ハイドロタルサイトを高級脂肪酸エステル、アニオン性界面
活性剤およびシラン型またはチタン型カップリング剤によって変性して、ハイド
ロタルサイトと樹脂との相溶性を改善できることを開示する。このEP-A-189
899によれば、ハイドロタルサイトは、純粋形または溶解形の変性剤との機械的
混合によって変性されると称している。
DE-C-33 06 822(Giulini Chemie)の教示によれば、式:[Mg6Al2(O
H)12](CO3)3・xH2O(x≧2)は、水酸化アルミニウムを水酸化マグネシウ
ムまたは酸化マグネシウムと、炭酸イオン供与体としての塩基性炭酸マグネシウ
ムの存在下に温度50〜100℃で反応させ、次いでその懸濁液から噴霧乾燥させる
ことによって得られる。この水酸化アルミニウムは、特に「活性」水酸化アルミ
ニウムである。
US-A-4,656,156(Aluminum Company of America)は、バイヤー法からのア
ルミン酸塩液をアルミニウム成分として用いるハイドロタルサイトの製法を開示
する。このバイヤー液を、例えば炭酸マグネシウムの焼成によって得られうる「
活性」酸化マグネシウムと反応させる。この方法は、バイヤー液自体が蓄積しう
るような場所でもっぱら経済的に使用できるにすぎない。なぜなら、他の場所で
は比較的多量の水を再度輸送する必要があるからである。
DE-A-15 92 126(Kyowa Chemical Ind.)は、種々の出発物質、例えば固体
水酸化アルミニウム、固体水酸化マグネシウムおよび炭酸水素ナトリウムからハ
イドロタルサイトを製造する方法を開示する。その反応はバッチ式で行い、生成
物は、ろ過または遠心分離することによって水相から分離し、次いで洗浄、乾燥
する。
DE-C-44 25 266(Metallgesellschaft AG)によれば、通常の課題である
ハロゲン含有プラスチックの安定化法についての概要は、次の通りである:ハロ
ゲン
含有熱可塑性樹脂、例えばポリ塩化ビニルを、溶融物形成処理の間にポリエン構
造に変換すると共に、塩化水素(HCl)を除去する。ポリマーは、変色してし
まう。熱安定性を改善するため、金属カルボン酸塩(「金属セッケン」)を共安
定化剤として樹脂中に通常混入する。しかしながら、このような物質を単独の安
定化剤として混入すると、溶融物形成処理が比較的長い場合いわゆる金属焼け(
metal burning)につながって、ポリマーの黒色化が生じるため、共安定化剤を
添加することが標準的な方法となっている。代表的な共安定化剤は、例えばポリ
オール、有機リン酸エステルまたはエポキシ化合物である。DE-C-44 25 266
の教示によれば、特定のリチウム含有層状格子化合物は、特にポリ塩化ビニル用
の安定化剤として使用できる。加えて、DE-A-44 25 275(Metallgesellschaf
t AG)は、また同様なハロゲン含有プラスチック安定化用リチウム含有層状格
子化合物の使用を教示する。
本発明が解決しようとする課題は、先行技術よりも改善された作用特性を特徴
とするハロゲン含有プラスチック用安定化剤を提供することである。本発明の安
定化剤は、特に以下の特性を有する。
・カルシウムおよび/または亜鉛化合物との相溶性
・ハロゲン含有プラスチックにおいて、そのレオロジー特性に悪影響を与えるこ
とのない分散性
・ハロゲン含有プラスチックの分解生成物を有効に閉じ込める、著しい能力。こ
れは、とりわけ塩化水素吸収能に関して改善された特性を意味する。
・ハロゲン含有プラスチック、特にポリ塩化ビニル(PVC)の長期安定性の改
善
第1に本発明は、カチオン性層状化合物を製造する方法であって、
式:[EeZzDdVv(OH-)x](An-)a・qH2O (I)
〔式中、Eは、アルカリ金属からなる群から選ばれる一価カチオン、
eは、0〜2の数、
Zは、二価金属カチオン、
zは、0〜6の数、
Dは、三価金属カチオン、
dは、0〜3の数、
Vは、四価金属カチオン、
vは、0〜1の数、
(An-)は、電荷n−の酸アニオン、
nは、1〜3の整数、
qは、1〜10の数、
ただし、x>aであって、e+2z+3d+4v=x+na〕
で示される層状化合物を、水性媒体においてアルカリ誘発熟成処理に付すことを
含んでなる方法を提供する。水性媒体のアルカリ金属水酸化物含量は、1〜6モル
の範囲に調節し、熟成温度は、60〜100℃の範囲に調節し、熟成時間は、2.5〜50
時間の範囲に調節する。
本発明の方法の特に有利な点は、加圧せずに開放型反応器によって実施できる
ことである。これは、処理技術の観点から特に経済的である。特にこれに関し、
本発明の方法は、熱水条件(即ち100℃を超える温度および1気圧を超える圧力
)を必要としないことが注目される。
一具体例によれば、vが0である式(I)の層状化合物を本発明の方法の実施
に用いる。従って、この場合の層状化合物は、式:
[EeZzDd(OH-)x](An-)a・qH2O (I*)
〔式中、Eは、アルカリ金属からなる群から選ばれる一価カチオン、
eは、0〜2の数、
Zは、二価金属カチオン、
zは、0〜6の数、
Dは、三価金属カチオン、
dは、0〜3の数、
(An-)は、電荷n−の酸アニオン、
nは、1〜3の整数、
qは、1〜10の数、
ただし、x>aであって、e+2z+3d=x+na〕
で示すことができる。
別の具体例によれば、eが0である式(I)の層状化合物を本発明の方法の実
施に用いる。従って、この場合の層状化合物は、式:
[ZzDdVv(OH-)x](An-)a・qH2O (I**)
〔式中、
Zは、二価金属カチオン、
zは、0〜6の数、
Dは、三価金属カチオン、
dは、3の数、
Vは、四価金属カチオン、
vは、0〜1の数、
dは、0〜3の数、
(An-)は、電荷n−の酸アニオン、
nは、1〜3の整数、
qは、1〜10の数、
ただし、x>aであって、2z+3d+4v=x+na〕
で示すことができる。
好適な一具体例によれば、eおよびvの両方が0である式(I)の層状化合物
を本発明の方法の実施に用いる。従って、この場合の層状化合物は、式:
[ZzDdVv(OH-)x](An-)a・qH2O (I***)
〔式中、Zは、二価金属カチオン、
zは、0〜6の数、
Dは、三価金属カチオン、
dは、0〜3の数、
(An-)は、電荷n−の酸アニオン、
nは、1〜3の整数、
qは、1〜10の数、
ただし、x>aであって、2z+3d=x+na〕
で示すことができる。
式(I***)の層状化合物は、これまでに当業者に知られた通常のハイドロタル
サイトである。これらハイドロタルサイトのうち、Dがアルミニウムで、dが1
の数で、zが1〜5の数であるものが好適である。この特定のハイドロタルサイト
は、式:
[ZzAl(OH-)x](An-)a・qH2O (I****)
〔式中、Zは、二価金属カチオン、
zは、1〜5の数、
(An-)は、電荷n−の酸アニオン、
nは、1〜3の整数、
qは、1〜10の数、
ただし、x>aであって、2z+3=x+na〕
で示される。
式(I)のカチオン性層状化合物、特に式(I***)および(I****)の通常のハ
イドロタルサイトについての格子構造は、一方で層状化合物の結晶化度を改善し
、他方でハロゲン含有プラスチック用共安定化剤として得られる層状化合物の作
用を永久的に改善するような、アルカリ誘発変性に付される。用いられる式(I
)の層状化合物の供給源には、制限がない。この供給源は、天然源であってよく
、また合成によって調製することもできる。合成層状化合物(I)の場合、この
化合物が固体として用いられるか否かや、この化合物がアルカリ誘発熟成処理の
直前に系内で製造されるか否か、よって水性懸濁液の形態で存在するか否かは、
問題とならない。
熟成媒体は、1〜6モルアルカリ金属水酸化物水溶液である。しかしながら、3
〜5モル水溶液が好適に使用される。基本的には、水性アルカリ媒体の製造に使
用されるアルカリ金属水酸化物の種類は、制限されない。しかしながら、水酸化
ナトリウムが一般に使用される。
熟成温度は、60〜100℃、好適には70〜90℃の温度範囲である。
基本的には、熟成時間は2.5〜100時間である。この範囲の下限をしたまわれば
、層状化合物の作用スペクトルについて所望の改善が保証されない。また、この
範囲の上限を超えれば、付加的な作用スペクトルの改善は、非常に限られたもの
となり、その結果この上限を超えれば、不経済となる。好適な結晶化時間は、10
〜20時間である。
カチオン性層状化合物(I)は、既知化合物であり、その構造および製造は、
例えば、W.T.Reichle,Chemetec,1986年1月、58〜63頁に記載されている。カ
チオン性層状化合物の原型は、鉱物ハイドロタルサイト[Mg6Al2(OH)16]
(CO3)・4H2Oである。構造的に言えば、ハイドロタルサイトは、ブルーサイト
[Mg(OH)2]から由来する。ブルーサイトは、層構造に結晶化し、六角形に緊
密充填した(OH-)イオンの2つの層の間において、八面体形空間内に金属イオ
ンを有する。八面体形空間の第2層ごとのみに、金属イオンMが占有し、その結
果、層充填(OH)-M-(OH)が形成されている。ブルーサイトでは、中間層
は空である。ハイドロタルサイトでは、いくつかのMg(II)イオン(第2〜第
5イオンごとと言われている)がAl(III)イオンによって統計学的に置換され
ている。従って、全体的に見て層充填部分は、正電荷を受ける。この正電荷は、
容易に着脱自在な結晶水と一緒に中間層に存在するアニオンによって、平衡状態
になる。以下の構造図1は、ハイドロタルサイトの層構造を模式的に示す。
構造図1
ハイドロタルサイトは、約150m2/gまでのBET比表面積を有するタルク様
触感の粉末を形成する。2つの基本的合成法が文献に開示されている。第1の合
成法は、対応するアルカリ金属塩水溶液で処理して、形成したハイドロタルサイ
トを沈殿させる。第2の合成法は、水不溶性出発化合物、例えば金属酸化物およ
び金属水酸化物から出発する。この反応は、通常オートクレーブ中で実施される
不均一系反応を伴う。
前記したように、ハイドロタルサイトは、カチオン性層状化合物の原型である
。しかしながら、ハイドロタルサイトについて既知の合成法は、一般にカチオン
性層状化合物の合成に使用される。当業者に知られているように、これらの合成
法は、ごく一般的には熱水合成法として分類することができる。通常の用語とし
ての熱水合成法は、高温(>100℃/1気圧)に加熱した水性懸濁液からの無機物
質の合成である。ハイドロタルサイトの合成は、一般に加圧容器中で実施される
。なぜなら、適用される温度が水の沸点よりも非常に高く、殆どの場合、水の臨
界温度よりも高いからである(Roempps Chemie-Lexikon,71973,1539頁)。
Zがマグネシウム、カルシウムおよび亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも
1つの二価金属イオンであるカチオン性層状化合物(I)が、本発明の目的に好
適である。好適な一具体例によれば、Zは、前記した化合物からなる群から選ば
れるただ1つの二価金属イオン、特にマグネシウムである。An-が炭酸イオン、
炭酸水素イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、酒石酸イオン、シ
ュウ酸イオンおよびヨウ化物イオンからなる群から選ばれる電荷n−の酸アニオ
ン、好適には炭酸イオンである、式(I)のカチオン性層状化合物が最も好適で
ある。前記式(I)の説明において、少なくとも1つの二価金属イオンについて
言及する場合、異なる二価金属イオンは、カチオン性層状化合物において相互に
並んで存在しうることを意味する。添字x、yおよびzは、前記した範囲内の整
数または端数を意味することができる。Zがマグネシウムで、An-が炭酸イオン
である式(I)のカチオン性層状化合物が、特に有利である。
基本的には、本発明に使用するカチオン性層状化合物(I)のBET比表面積
には、制限がない。しかしながら、50m2/gを超える比表面積の層状化合物(I
)が好適に使用される。本発明の好適な具体例は、平均粒径20〜50μmの層状化
合物(I)の使用を特徴とする。
好適なカチオン性層状化合物の例は、基本的な炭酸アルミニウム/マグネシウ
ムとして知られている合成ハイドロタルサイトであり、これは、DE-B-15 92
126、DE-A-20 61 114またはDE-A-29 05 256記載の方法によって製造され
る。
二価金属イオンの好適な供給源は、それらの炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、
酸化物またはそれらの水溶性の塩、例えば硝酸塩、塩化物、硫酸塩または過塩素
酸塩である。予めアニオンAn-を含んだ二価金属イオンの供給源が特に好適であ
る。この場合、このようなアニオンの供給源を付加的に添加する必要がない。例
えば、二価金属イオンの少なくとも一部として、炭酸塩または炭酸水素塩を用い
ることが特に好適である。酸化物または水酸化物のみを二価金属イオンの供給源
として用いる場合、アニオンAn-の付加的な供給源は、例えばアルカリ金属塩の
形態で使用する必要がある。炭酸および/またはハロゲンのオキソ酸(例えば過
塩素酸)のアルカリ金属塩が好適であり、これを、アルミニウム含量を基準に1
〜100モル%の量で反応混合物に添加することができる。例えば、炭酸ナトリウ
ムを反応混合物に添加することができる。
微粒子活性水酸化アルミニウム(III)と水酸化ナトリウムとの組み合わせおよ
びNaAlO2の両者は、アルミニウム供給源として使用することができる。塩
化、臭化、硝酸および硫酸アルミニウムも使用することができる。
本発明は、また式:
[EeZzDdVv(OH-)x](An-)a・qH2O (I)
〔式中、Eは、アルカリ金属からなる群から選ばれる一価カチオン、
eは、0〜2の数、
Zは、二価金属カチオン、
zは、0〜6の数、
Dは、三価金属カチオン、
dは、0〜3の数、
Vは、四価金属カチオン、
vは、0〜1の数、
(An-)は、電荷n−の酸アニオン、
nは、1〜3の整数、
qは、1〜10の数、
ただし、x>aであって、e+2z+3d+4v=x+na〕
で示される層状化合物を、アルカリ金属水酸化物含量を1〜6モルの範囲に調節し
た水性媒体において、60〜100℃の範囲に調節した結晶化温度および2.5〜50時間
の範囲に調節した結晶化時間でアルカリ誘発熟成処理に付すことによって得られ
るカチオン性層状化合物を提供する。
本発明は、また式:
[EeZzDdVv(OH-)x](An-)a・qH2O (I)
〔式中、Eは、アルカリ金属からなる群から選ばれる一価カチオン、
eは、0〜2の数、
Zは、二価金属カチオン、
zは、0〜6の数、
Dは、三価金属カチオン、
dは、0〜3の数、
Vは、四価金属カチオン、
vは、0〜1の数、
(An-)は、電荷n−の酸アニオン、
nは、1〜3の整数、
qは、1〜10の数、
ただし、x>aであって、e+2z+3d+4v=x+na〕
で示される層状化合物を、アルカリ金属水酸化物含量を1〜6モルの範囲に調節し
た水性媒体において、60〜100℃の範囲に調節した結晶化温度および2.5〜50時間
の範囲に調節した結晶化時間でアルカリ誘発熟成処理に付すことによって得られ
るカチオン性層状化合物を含む、熱分解または光化学分解に対するハロゲン含有
プラスチックの安定化用組成物を提供する。
本発明に従い製造した物質は、有利にはハロゲン含有熱可塑性樹脂用の安定化
剤として使用される。このような樹脂の例は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、塩素化またはクロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンまた
は塩素化エチレン/酢酸ビニルコポリマーである。本発明のカチオン性層状格子
化合物は、ポリ塩化ビニル型の樹脂、即ち一方で塩化ビニルホモポリマー用およ
び他方で塩化ビニルと他のモノマーとのコポリマー用の安定化剤として特に適し
ている。
したがって、本発明は、式:
[EeZzDdVv(OH-)x](An-)a・qH2O (I)
〔式中、Eは、アルカリ金属からなる群から選ばれる一価カチオン、
eは、0〜2の数、
Zは、二価金属カチオン、
zは、0〜6の数、
Dは、三価金属カチオン、
dは、0〜3の数、
Vは、四価金属カチオン、
vは、0〜1の数、
(An-)は、電荷n−の酸アニオン、
nは、1〜3の整数、
qは、1〜10の数、
ただし、x>aであって、e+2z+3d+4v=x+na〕
で示される層状化合物を、アルカリ金属水酸化物含量を1〜6モルの範囲に調節し
た水性媒体において、60〜100℃の範囲に調節した結晶化温度および2.5〜50時間
の範囲に調節した結晶化時間でアルカリ誘発熟成処理に付すことによって得られ
るカチオン性層状化合物についての、熱分解または光化学分解に対するハロゲン
含有プラスチック安定化のための使用を提供する。
本発明に従い製造したカチオン性層状化合物は、好適には、炭素数6〜22のカ
ルボン酸のカルシウム塩および/または亜鉛塩と共に、ハロゲン含有プラスチッ
ク用の共安定化剤として使用される。特に、本発明に従い製造したカチオン性層
状化合物は、ポリ塩化ビニルの共安定化剤として使用される。この目的のため、
カチオン性層状化合物は、存在しうる有機添加剤を除く合成樹脂100重量部当た
り0.01〜5重量部、好適には0.1〜3重量部の量で添加される。一般に、カチ
オン性層状化合物は、成形前に粒状形で存在するプラスチックと共に、例えばカ
レンダー成形または押出成形によって機械的に混合される。市販されている炭素
数6〜22のカルボン酸の亜鉛塩および/またはカルシウム塩は、通常の安定化剤
として、一般にカチオン性層状化合物と同時に混入される。他の既知の添加剤、
例えば、EP-A-189 899に記載の熱安定化剤も使用することができる。安定化
剤および共安定化剤の使用量は、要すれば変化させることができる。ただし、添
加される安定化剤の総量は、合成樹脂100重量部当たり0.5〜5重量部の限度内で
ある。したがって、カチオン性層状化合物の最小量は少なくとも0.01重量%であ
る。
ハロゲン含有プラスチック用の安定化剤としての亜鉛および/またはカルシウ
ムセッケンの作用は、本発明のカチオン性層状化合物の使用によって向上させる
ことができる。加えて、共安定化剤としてのカチオン性層状化合物は、ハロゲン
含有プラスチック中にそのレオロジー特性に悪影響を与えることなく容易に混入
させることができる。
所望により、本発明に従い製造したカチオン性層状化合物は、その後、以下に
示す群A)〜F)に属する物質からなる群から選ばれる少なくとも1つの液体ま
たは低融点分散用添加剤を用い、室温(15℃〜25℃)またはカチオン性層状化合
物および/または低融点分散用添加剤の分解温度未満の温度、好適には300℃未
満の温度での強力な混合によって変性することができる。添加剤群A)〜F)は
、次のとおりである。
A)3〜30の炭素原子および少なくとも2つのヒドロキシ基を含むポリオール
、
B)部分的または完全にエポキシ化した、炭素数6〜22の不飽和カルボン酸の
エステル、
C)3〜30の炭素原子および2〜12のヒドロキシ基を含有するポリオールと、炭
素数6〜22のカルボン酸との完全または部分エステル、
D)亜リン酸アルキルおよびアリール、
E)炭素数6〜22の飽和または不飽和脂肪酸のアニオン、
F)8を越えるpH値の水に可溶性である、分子量500〜50,000のポリマー。
好適な群A)の添加剤は、合計3〜30の炭素原子および少なくとも2つのヒド
ロキシ基を含むポリオールである。このようなポリオールの例は、3〜30の炭素
原子を有するジオール、例えばブタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカンジ
オールおよびポリオール、例えばトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、グリセロールおよびそれらの工業的オリゴマー混合物(平均縮合度2〜10)
である。特に好適な群A)の添加剤は、3〜30の炭素原子を含みかつ炭素骨格に
おいて3つの炭素原子ごとに少なくとも1つのヒドロキシ基または少なくとも1
つのエーテル酸素を有するポリオール、好適にはグリセロールおよび/または工
業的オリゴグリセロール混合物(平均縮合度2〜10)である。「THEIC」(E
P-B-377 428)として既知のトリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
もこのような添加剤としての使用に特に適している。
群B)の添加剤は、部分的または完全にエポキシ化した、炭素数6〜22の不飽
和カルボン酸のエステルである。好適なエステルは、炭素数6〜22のエポキシ化
不飽和カルボン酸で完全にエステル化した一価、二価または三価アルコールのエ
ステル、例えば、エポキシ化ラウロレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、
リシノール酸、リノール酸および/またはリノレン酸のメチル、2-エチルヘキシ
ル、エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロ
ールおよび/またはトリメチロールプロパンのエステルである。三価アルコール
と完全にエポキシ化した炭素数12〜22の不飽和カルボン酸とのエステルが好適で
あり、グリセロールと完全にエポキシ化した炭素数12〜22の不飽和カルボン酸と
のエステルが特に好適である。カルボン酸成分は、例えばパルミトレイン酸、オ
レイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リシノール酸、リノレン酸、ガドレ
イン酸またはエルカ酸から誘導することができる。不飽和カルボン酸は、常法で
エポキシ化される。油脂化学の通例のように、エポキシ化カルボン酸グリセリド
は、また天然不飽和油脂のエポキシ化によって得られる工業的混合物であってよ
い。新鮮な植物からのエポキシ化菜種油、エポキシ化不飽和大豆油および/また
はエポキシ化ヒマワリ油も好適に使用される。
群C)の添加剤は、有機工業化学の適切な方法、例えばポリオールとカルボン
酸との酸触媒反応によって得られうる完全または部分エステルである。ポリオー
ル成分は、群A)に関し前記したものから選択することができる。好適な酸成分
は、脂肪族、飽和および/または不飽和で炭素数6〜22のカルボン酸、例えばカ
プロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸
、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、
リノレン酸、ベヘン酸またはエルカ酸である。油脂化学の通例のように、カルボ
ン酸成分は、天然油脂の加圧加水分解において堆積する種類の工業的混合物であ
ってもよい。グリセロールの部分エステル、特に、工業的オリゴグリセロール混
合物(平均縮合度2〜10)および炭素数6〜22の飽和および/または不飽和脂肪カ
ルボン酸が好適である。
好適な群D)の添加剤は、亜リン酸アルキルおよびアリール、好適には式:
R1-O-P(OR3)-OR2 (II)
〔式中、R1、R2およびR3は、相互に独立して炭素数1〜18のアルキル基または
フェニル基である。〕で示される。群D)添加剤の代表例は、亜リン酸トリブチ
ル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジメチルフェニルおよび/または亜リン酸
ジメチルステアリルである。亜リン酸ジフェニルデシルが好適である。
好適な群E)の添加剤は、直鎖または分岐鎖であってよい、炭素数6〜22の飽
和またはモノもしくはポリ不飽和脂肪酸のアニオンである。入手が容易なため直
鎖脂肪酸が適している。純粋な脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイ
ン酸、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸が好適である。しかしながら、
天然油脂の加水分解によって得られうる種類の脂肪酸混合物の使用も、経済的に
魅力的である。脂肪酸をそのままの形態または好適には水溶性塩、例えばナトリ
ウム塩またはカリウム塩の形態で使用するか否かは問題ではない。反応混合物は
、アルカリ性が高いため、いずれの場合も脂肪酸をそのアニオンの形態で含むこ
とができる。
群F)の添加剤は、8を越えるpH値、好適には9〜12のpH値の水に可溶性
である、平均分子量(数平均分子量)500〜50,000のポリマーである。本明細書
において用いられる「可溶性」なる語は、0.01重量%を越えるポリマー添加剤、
好適には少なくとも0.1重量%のポリマー添加剤が、とりわけ上記条件下、特に2
0℃にてアルカリ金属水酸化物でpH値10に調節した水溶液中に完全に透明に溶
解することを意味する。原則として、顔料分散剤として当業者に既知のいずれの
ポリマーも、溶解度および分子量の要件を充足すれば、ポリマー添加剤として使
用することができる〔Kirk-Othmer“Encyclopedia of Chemical Technology”、
7巻、3版、1979年、840〜841頁またはUllmann's“Encyclopedia of Industrial
Chemistry”A8巻、5版、1987年、586〜601頁を参照されたし〕。アクリル酸およ
びメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、リグニンスルホネートおよび
脂肪酸三量体が好適なポリマー添加剤である。特に適したポリマー添加剤は、ア
クリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびそれらと以下の物質とのコポリマ
ーからなる群から選ばれるものである:スルホン酸基含有不飽和モノマー、ホス
ホン酸基含有不飽和モノマー、炭素数3〜5の不飽和脂肪カルボン酸、炭素数3〜5
の不飽和脂肪カルボン酸のアミド、アミノ基含有不飽和モノマーおよび/または
その塩、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、1,3-ブ
タジエン、スチレン、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルスチレン。この
ようなポリマー添加剤の例は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸(以下、アク
リル酸およびメタクリル酸およびそれらの誘導体を、単に(メタ)アクリル酸ま
たは誘導体と言う。)および/またはそれらの塩、例えばポリナトリウム(メタ
)アクリレートであり、(メタ)アクリル酸と、マレイン酸、無水マレイン酸、
スチレンスルホン酸、α-メチルスチレン、2-ビニルピリジン、1-ビニルイミダ
ゾール、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-(メタ)アクリル
アミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシ
ジメチル(メタ)アクリルアミドおよび/またはそれらの塩とのコポリマーも例
示される。ポリマー添加剤のうち、主としてアニオン特性を示すもの、即ち主と
して酸基を遊離形態またはその塩形態のいずれかの形態で含むものが特に好適で
ある。(メタ)アクリル酸のポリマーおよび、(メタ)アクリル酸と、スチレン
、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルスチレン、スチレン
スルホン酸、マレイン酸および/またはそれらの塩、特にナトリウム塩、および
無水マレイン酸とのコポリマーが特に好適である。ポリマー添加剤は、好適には
分子量1,000〜10,000を有する。ポリマー添加剤は、常法、例えば塊状重合法ま
たは溶液重合法で製造することができる〔Ullmann's“Encyclopaedie der techn
ischen Chemie”19巻、4版、2〜11頁、1980年参照を参照されたい〕。リグニン
スルホン酸およびその塩の製法も次の文献に記載される:Ullmann's“Encyclopa
edie der technischen Chemie”16巻、4版、254〜257頁、1978年。脂肪酸三量体
は、脂肪酸二量体の釜残として得られる市販の製品、例えばPripolt(登録商標
)1040(Unichema)またはEmery(登録商標)1000(Emery)である。
本明細書に用いられる「群A)〜F)の低融点添加剤」なる語は、前記した分
解温度未満の温度および常圧で液体状態に変換しうる添加剤を意味する。強力な
混合に代えて、製造後に得られたカチオン性層状化合物は、その後、所望により
群A)〜F)の低融点添加剤からなる群から選ばれる1またはそれ以上の添加剤
を用い、極性有機溶媒または水の存在下に、好適には粉砕機、特にボールミルに
よって粉砕し、乾燥し、所望により後乾燥することができる。本明細書に用いら
れる「極性有機溶媒」なる語は、炭素よりも電気的陰性度が強くかつ室温(15〜25
℃)で液体の少なくとも1つの置換基を含む炭化水素化合物を意味する。対応す
る炭化水素化合物には、塩素化炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、エー
テルおよび/またはグリコールエーテルが包含される。好適な極性有機溶媒は、
メタノール、エタノール、n-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノール、イソホロン、酢酸エチル、乳酸エチ
ルエステル、酢酸2-メトキシエチル、テトラヒドロフラン、エチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルである。このよ
うなその後の変性、即ち粉末形成のための、本発明によって製造したカチオン性
層状化合物の乾燥後の変性については、有機添加剤は、カチオン性層状化合物を
基準に約5〜約100重量%の量で使用することができる。
カチオン性層状化合物に関する添加剤A)〜F)の使用はWO92/06135、
WO92/20732およびWO92/20619によって知られている。
本発明に従い製造したカチオン性層状格子化合物は、ハロゲン含有熱可塑性樹
脂用の単独の安定化剤として使用することができる。しかしながら、カチオン性
層状格子化合物は、好適には他の安定化剤と組み合わせて使用される。前記した
金属セッケンの他に、好適な共安定化剤は、とりわけ1,3-ジケトン化合物、亜リ
ン酸、ポリオールおよびアミノ酸の有機エステルである。
1,3-ジケトン化合物の例は、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメ
タン、パルミトイルベンゾイルメタン、ミリストイルベンジルメタン、ラウロイ
ルベンゾイルメタン、ベンゾイルアセトン、アセチルアセトン、トリベンゾイル
メタン、ジアセチルアセトベンゼン、p-メトキシおよびステアロイルアセトフェ
ノン、アセト酢酸エステルである。
亜リン酸エステルの好適な例は、亜リン酸トリアリールエステル、例えば亜リ
ン酸トリフェニル、亜リン酸トリス-(p-ノニルフェニル)(TNPP)、亜リン酸
アルキルアリール酸エステル、例えば亜リン酸モノアルキルジフェニルエステル
、例えば亜リン酸ジフェニルイソオクチル、亜リン酸ジフェニルイソデシル、亜
リン酸ジアルキルモノフェニルエステル、例えば亜リン酸フェニルジイソオクチ
ル、亜リン酸フェニルジイソオクチル、亜リン酸フェニルジイソデシル、亜リン
酸トリアルキルエステル、例えば亜リン酸トリイソオクチル、亜リン酸トリステ
アリルなどである。
好適なポリオールの例は、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロ
パン)、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソ
ルビトール、マンニトールなどである。
アミノ酸誘導体の例は、グリシン、アラニン、リジン、トリプトファン、アセ
チルメチオニン、ピロリジノカルボン酸、β-アミノクロトン酸、α-アミノアク
リル酸、α-アミノアジピン酸、およびそれから得られるエステルである。これ
らエステルのアルコール成分には、一価アルコール、例えばメタノール、エタノ
ール、プロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、オクタノール、イソ
オクタノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコールおよびポリオール、
例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリ
セロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
ジペンタエリスリトール、ソルビトールおよびマンニトールである。
エポキシ化合物の好適な例は、エポキシ化大豆油、エポキシ化菜種油、不飽和
脂肪酸のエポキシ化エステル、例えばオレイン酸エポキシメチル、オレイン酸エ
ポキシブチル、エポキシ化脂環式物質、グリシジルエーテル、例えばビスフェノ
ールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、グリシ
ジルエーテル、例えばアクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルであ
る。
実施例
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらに
制限されるものではない。
A)カチオン性層状化合物の製造 実施例1 材料 溶液A
AlCl3・6H2O(10.128Kg、42.0モル)、MgCl2・6H2O(10.212K
g、50.4モル)およびZnCl2(1.680Kg、12.0モル)を脱イオン水42l中に
、穏やかに加熱しながら溶解した(溶液の容量:約561)。
懸濁液B
Na2CO3(4.452Kg、42.0モル)を脱イオン水21l中に溶解し、得られた
溶液に50%NaOH(20.04Kg、249.6モル)を添加した。NaOHの添加によ
って、部分的な沈殿が生じた(懸濁液の容量:約361)。
方法
溶液Aを懸濁液Bに、30〜45分の期間にわたり、連続的に撹拌しながら(800
〜1,100r.p.m./翼付撹拌機)添加した。粘度が増加するにつれて粗生成物が
沈殿すると共に、温度がわずかに上昇した。これを、ブルーバンド(Blueband)
フィルタによって真空ろ過し、水36lで洗浄した。フィルタケーキを4
モル水酸化ナトリウム水溶液(50%水酸化ナトリウム水溶液17.6lおよび脱イオ
ン水66.4lから形成)841中に取り、80℃で撹拌しながら16時間結晶化した(凝縮
器付き三口フラスコ、撹拌機回転速度:300r.p.m.)。次いで、生成物をブル
ーバンドフィルタによって真空ろ過し、完全に水洗した。付着した水を生成物か
ら真空乾燥キャビネットによって110℃で除去して、乾燥生成物5.2Kgを得た。
B)特性試験
本発明に従い製造した実施例1の物質を、DIN 5033に従い、高温での色彩
安定性について試験した。試験は、試験片として圧延シート(Walzfelle)を用
い、180℃で行った。安定化剤として実施例1製造の生成物を含む試験片につい
ての長期間の色彩安定性は、市販の安定化剤、例えばAlcamizer形式4(Kyowa C
hemical Inc.の製品)を含む対応する試験片についての長期間の安定性よりも良
好であった。180分の試験期間の後にのみ、試験片の黒色化が生じた(比較例につ
いては、Alcamizer4を含む試験片は、わずか150分後に黒色になった)。
DIN5033の試験のために、以下の試験組成物を用いた。
ポリ塩化ビニル(Solvic268,Solvay) 100.0部
ステアリン酸カルシウム 0.5部
ステアリン酸亜鉛 0.5部
Rhodiastab50(Rhoene Poulenc) 0.2部試験物質a) 1.0部
a)本発明:実施例1の物質
比較例:Alcamizer4
試験片は、実験用混合ロールによって170℃で5分間、前記したポリ塩化ビニ
ルおよび添加剤の均一化および可塑化によって作製した。15mm幅の試験片を、
得られた約0.5mm厚のシートから切断し、加熱オーブンによって180℃で試験し
た。試験片を15分間の間隔でオーブンから取り出し、黒色化が生じるまで観察し
た。
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(72)発明者 フェル,ユルゲン
ドイツ連邦共和国デー―40472デュッセル
ドルフ、ノゼンベルガー・シュトラーセ34
番
(72)発明者 ヴェドル,ペーター
ドイツ連邦共和国デー―27568ブレーマー
ハーフェン、レニングシュトラーセ13番
(72)発明者 マルクス,ディーター
ドイツ連邦共和国デー―27612ロクスシュ
テット、ケーニヒスベルクシュトラーセ26
番