JP2000506369A - 抱卵トレイ - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
孵化させる卵(3)を収容するための抱卵トレイ(1)は、各卵(3)ごとに個別の剛体支持手段(6)を有し、この支持手段(6)は、その下面に開口(2)を画定するとともに、支持手段(6)によって安定抱卵位置に支持された卵(3)が、部分的に開口(2)内に位置づけられ且つ開口(2)内に位置する卵の一部(5)に作用する回転手段(10)によって、卵(3)の長手方向軸(4)を中心として、予め定められたスケジュールに従って、支持手段(6)内で定期的に回転できるように形成され、各卵(3)ごとの支持手段(6)が互いに離れて設けられた2つの曲線状支持部(6a、6b)を有し、開口(2)は2つの曲線状支持部(6a、6b)の間に位置づけられている。
Description
【発明の詳細な説明】
抱卵トレイ
本発明は、各卵ごとに個別の剛体支持手段を有し、この支持手段はその下面に
開口を画定するとともに、支持手段によって安定抱卵位置に支持された卵が部分
的に開口内に位置し、且つ、開口内に位置する上記卵の一部に作用する回転手段
によって、予め定められたスケジュールに従って、支持手段内で定期的に卵の長
手方向軸のまわりに回転できるように形成された、孵化させる卵を収容するため
の抱卵トレイに関する。
この種の抱卵トレイは、ヨーロッパ特許公開公報第0670111号に開示さ
れている。この公報は、卵の形状に適合する多数の開口を設けた平板からなる卵
ホルダによって卵を支持することのできる抱卵トレイを開示している。この卵ホ
ルダ板は、特別なすかし箱内の二箇所に配置することができる。第一の箇所、い
わゆる搬送位置では、卵ホルダはすかし箱の底と接触しないようにすかし箱内に
吊され、その結果、卵はその全重量を開口の縁にかけることになる。第二の箇所
、いわゆる抱卵位置では、卵ホルダ板はすかし箱の底に置かれる。卵ホルダ板は
全く薄いことから、この位置では卵はその全重量をすかし箱の底にかけることに
なり、開口の縁と縁の間で自由に移動可能である。そこで、孵化プロセスのあい
だ、卵ホルダ板とすかし箱の底の相対運動によって、卵をその長手方向軸のまわ
りに回転させることができる。この場合にはすかし箱の底により、開口内に位置
している卵の部分に摩擦力があたえられる。
この公知の抱卵トレイの欠点は、その中に置かれた卵が卵ホルダ板の開口から
たやすく転がり出ることである。この問題は特に抱卵位置で起こり、この位置で
は卵が開口の縁と縁のあいだで自由に移動可能であり、開口から外に出るには、
卵ホルダ板の厚さに対応する距離だけ上方に転動するだけでよい。さらに、隣接
する卵の間の距離は、少なくとも回転動作中に互いに接触しない程度に大きくな
ければならない。もしそれらが接触してしまうと、卵同士の間に摩擦力が生じ、
回転操作中に全ての卵を所望の回転角度で回転させることができなくなる。この
理由のため、開口は互いにより遠くに離して設けられ、このことは、抱卵トレイ
の収納密度を減少させる。更に、この抱卵トレイは、トレイの頂部から底部へ、
またはその逆方向への、加熱空気と冷却空気の良好な循環ができない。これは主
に、抱卵トレイを孵化トレイとしても使用するという観点から、卵ホルダ板が閉
鎖板であることによる。加熱空気と冷却空気の循環がより少なくなると、特に、
全抱卵プロセスにわたって、卵の温度を制御することがより困難となる。この問
題を克服するためには、特に、ひとつの抱卵器に多数の抱卵トレイを入れる場合
には、不相応に大量の空気を入れ替えなければならない。大量の空気は、一定で
層状ではなく、乱流として流れているため、空気の速度は不均一になり、これに
より温度と空気の湿度を制御することがさらに困難になる。その結果、特に、抱
卵プロセスは継続して三週間近く行われるため、最適な質のひよこが得られない
。また、卵ホルダは、すかし箱内の搬送位置に配置されているときには、非常に
破損しやすい。すなわち、薄い卵ホルダ板は抱卵トレイを実質的には全く補強せ
ず、卵の重量のもとでかなり曲がってしまう。
本発明の目的は、これらの問題点を排除した抱卵トレイを提供することにある
。
本発明によれば、この目的は、各卵ごとの支持手段が互いに距離をおいて設け
た2つの曲線状支持部を有し、2つの曲線状支持部の間に開口を設けることで達
成される。抱卵トレイの抱卵位置に置かれた卵は、両方の曲線状支持部により支
持されていることにより、抱卵トレイ内に非常に安定して置かれる。卵は、下方
向に支持されるだけでなく、2つの曲線状支持部によって、側面でも支持される
。利点として、回転手段によって伝達された摩擦力を、開口内に位置している卵
の部分に作用させることにより、卵を長手方向軸のまわりに回転させることも依
然として可能である。回転操作中であっても、2つの曲線状支持部によって、卵
は安定した抱卵位置に正しく保持される。2つの曲線状支持部とそれらの間の開
口によって、卵の周囲に、加熱空気と冷却空気が卵の周囲を自由に循環すること
を可能にするための充分な空間が残される。このことにより、卵全体に対して良
好な温度制御を達成することが可能になる。抱卵期間の第二段階では、温度を制
御することがとりわけ重要であり、ここでは、卵が非常に大量の熱を発するため
、
卵の冷却の程度をますます大きくしなければならない(この抱卵期の第二段階で
は、熱の発生は次第に5度増加する)。本発明による抱卵トレイ内の卵に対して
は、加熱空気または冷却空気の吹き付けはより少なくて済むため、部分的には一
定の層状空気流の使用の結果として、エネルギーをかなり節約することができる
。温度や湿度などの、多様なパラメータの制御がかなり向上することにより、本
発明の抱卵トレイは、孵化率が高く、孵化したひよこの品質が高く、ひよこの孵
化が実質的に同時に起きるという特徴を示す。抱卵トレイは、例えば列状に配置
された多数の対の曲線状支持部を有する。すなわち、全ての曲線状支持部は互い
に接続され、強固で軽量の枠組みを構成する。曲線状支持部の縁は丸みづけられ
、卵を圧迫する鋭い縁はない。
すなわち、第一の曲線状支持部の最下支持点は、第二の曲線状支持部の最下支
持点より高い所に位置しているため、2つの曲線状支持部により、安定抱卵位置
に支持された卵の長手方向軸は、水平に対して鋭角に位置付けられる。抱卵プロ
セスは、卵の長手方向軸を水平に対して鋭角に位置付けることにより、さらに改
善することが実際にわかっている。
都合良く、個別の支持手段の曲線状支持部は、長手方向において互いに前後に
位置しており、互いに非常に短い距離しか離れていないため、安定抱卵位置に支
持された1つの卵の頂部は、やはり安定抱卵位置に支持されたもうひとつの卵の
底部の下に位置している。このことにより、卵の充填密度を非常に高くすること
ができるため、かなりのスペースが節約される。ここで注目すべきことは、良好
な抱卵結果を維持しながら高い充填密度を達成することが可能なのは、良好な空
気循環に加えて多様なパラメータを非常に正確に制御できるからにほかならない
。
第一の曲線状支持部を頂部に向けて開けることにより、それ自体知られている
吸引箱によって、卵を上方から支持手段内に容易に配置することができる。
都合良く、第二の曲線状支持部は頂部に向けて閉じているため、それに支持さ
れている卵は特に回転動作中に、頂部に向かってはね返り、その安定抱卵位置に
とどまる。このことは特に、卵が水平に対して鋭角な位置にある場合に有利であ
る。なぜならこの場合には、卵の重心が第二の曲線状支持部に接近しているから
である。
ある態様において、第二の曲線状支持部は垂直に対してわずかな角度をなして
いる。その結果、第二の曲線状支持部を底部へ向けて開けてもよく、卵はやはり
底部に向けて垂直方向に支持される。このことにより、抱卵トレイを製造する際
に材料を特段に節約できる。
公知のように、抱卵トレイは直立した側壁を有していてもよい。好ましくは、
少なくとも長手方向の側壁は、すかし加工設計である。従って、わずかな抵抗で
、水平空気流を、特に卵の長手方向軸を横切る方向において、卵の上部や卵の間
に導くことができる。
一態様において、多数の曲線状支持部はその頂部に、上部に配置される抱卵ト
レイのための支持点を有する。さらに、互いに隣接する曲線状支持部を、フレー
ム部や支柱等で互いに接続しても良い。この場合には、これらのフレーム部の上
端に支持点を設けてもよい。そこで、抱卵トレイの上部に配置されるひとつ以上
の抱卵トレイの重量は、抱卵トレイの側壁によってのみ支えるのではなく、支持
点によっても支えるられる。
好ましくは、回転手段は、抱卵トレイの下面に、移動可能なように接続されて
いる。この場合には回転手段は、おおむね平坦な回転板により構成することがで
きる。回転板と、開口内に位置している卵の部分との摩擦力を増加させるために
、回転板には、回転のための移動方向に延在する肉厚部が設けられている。この
肉厚部は、例えば、歯形加工などによって設けられる。
回転板には更に凹部を設けることができ、この凹部は、回転操作のための移動
方向に、すなわち卵の長手方向軸を横切って、互いにある距離をおいて設けられ
、この距離は卵の所望の回転角度に対応している。抱卵トレイの下面に対して回
転板を上記の距離だけ移動させることにより、卵が一つの凹部から別の凹部へ移
動し、同時に回転する。回転板、特にそれに設けられた肉厚部は、回転操作中に
、開口内に位置する卵の部分にのみ接触するため、卵は支持手段の中でわずかに
持ち上げられるにすぎず、その結果、回転操作中の支持手段と卵の間の摩擦はよ
り小さくなる。回転操作の終了時に、卵は落下して支持手段に戻り凹部に入る。
詳しくは、回転板の幅は抱卵トレイの下面よりも狭く、抱卵トレイに固定接続
された2つのストッパの間で移動可能である。これらのストッパは、回転板が回
転動作中に抱卵トレイの周縁部の外側へ移動することのないような位置に配置さ
れている。回転板は、卵の所望の回転角度に対応した上記一定の距離を前後に移
動可能でなければならないため、回転板は、上記一定の距離だけ抱卵トレイの下
面より狭くなっている。この結果、抱卵トレイが必要とするスペースが最適な状
態で使用される。というのは、抱卵トレイの全面に卵を詰めることができるから
である。さらに、トレイの間に回転板の往復動作のための距離を設けることなく
、複数個の卵トレイを互いに隣接して配置することができる。
回転板が回転動作中に抱卵トレイの周縁部の外側へ移動しないこと、またこの
目的のためにより狭く設計されていることの結果として、抱卵トレイ内の長手方
向側方領域内の卵に対して特別な対策を施すことが好ましい。なぜなら、回転板
がより狭いため、回転動作中にこれらの卵に摩擦力が加えられる時間はより短く
、その結果、これらの卵は所望されるよりも小さい回転角度だけしか回転しない
からである。従って、回転板の長手方向端部に回転カムを設けることが好ましい
。これらの回転カムは、回転動作中に、抱卵トレイの長手方向端部の領域内に支
持された卵に対して余分な回転を与える。このことは、回転カムは卵をさらに起
立させるため、卵がカムから離れてころがる際に、卵が余分な回転を行なうとい
うことにより説明される。このことによって、回転角度が小さいことを部分的に
補償している。
2つの曲線状支持部は開口の縁を含むとともに、少なくとも局部的には円形形
状を構成し、その大きさは、その内部に、安定垂直搬送位置すなわち卵の長手方
向軸がほとんど垂直になる位置に支持された卵が、部分的に開口内に位置づけら
れるような大きさである。そこで、本発明の抱卵トレイは、卵を搬送するための
トレイならびに、卵を孵化させるためのトレイの両方の目的として用いることが
できる。卵を垂直搬送位置に良好に支持するために、2つの曲線状支持部の間に
延在する保持手段が設けられる。
抱卵トレイの下面には、支持手段内に置かれた卵を垂直搬送位置から安定抱卵
位置に傾動させるための傾動手段が設けられ、この傾動手段は、傾動操作中に、
開口内に位置している卵の部分に作用するように設計されている。垂直搬送位置
では、卵の長手方向軸は概ね垂直であるほうが好ましいため、開口内に位置して
いる卵の部分は、卵の尖端または鈍端のいずれかになるが、ただし、尖端の方が
好ましい。この傾動操作中には、第二の曲線状支持部が底面に向かって開いてい
ることが特に好ましい。この場合には、卵を最初にわずかに持ち上げる必要はな
く、卵の尖端が第二の曲線状支持部のこの開き部分を通って自由に傾動すること
ができる。
驚くべきことに、回転手段によって傾動手段をも構成できることが実際にわか
っている。抱卵トレイの下面にたいして回転手段を一回以上移動させることによ
って、垂直搬送位置に支持されている卵を、容易に安定抱卵位置に移すことがで
きる。回転板の動作方向は、この場合には、回転操作に用いられる方向と同じと
することができる。
以下、添付図面を参照して以下に本発明を詳細に説明する。
第1図は本発明の卵トレイの一部を示す斜視図である。
第2図は第1図に示す卵トレイの長手方向断面面である。
第3図は第1図に示す卵トレイの上面図である。
第4図、第5図、および第6図は、第1図に示す卵トレイにおいて、卵を、垂
直搬送位置から概ね横たわった抱卵位置へ傾動させるプロセスを示す。
第7図は支持手段が2つの曲線状支持部から構成された卵トレイの一部の例を
示す図である。
第8図および第9図は第7図の側面図である。
第10図は第7図〜第9図に示す回転板の上面図である。
第11図は本発明の卵トレイアセンブリの断面図である。
第12図は本発明の卵トレイを組み込んだ支持構造を示す。
第1図〜第3図は、卵トレイ1の一部を示す。好ましくは、卵トレイ1は、そ
の中に最大数の卵を配置できるように構成されている。第2図に、2つの卵3を
概略的に示す。卵トレイ1には支持手段6が設けられ、それぞれ、抱卵すべき卵
の寸法に適合した大きさを持つ。支持手段6の形状は、卵3の長手方向軸4が水
平に対してほぼ20°の角度αをなすような形状である。になる。各卵の支持手
段6は、主に、互いに間隔をおいて配置された2つの曲線状支持部6aおよび6
bによって形成される。各組の曲線状支持部6aおよび6bの間には、卵トレイ
1の底面に開口2が設けられている。開口2によって、卵3の一部5が、図示の
安定抱卵位置において支持手段6の下側に突出することが可能となる。曲線状支
持部は多様な形状を有することができる。卵を抱卵位置に安定して支持すること
ができ、同時に卵の殻自体との接触が最小限であることが必要条件である。この
種の態様によれば、より軽量な構造を提供するとともに、卵と空気の接触が最適
化され、これにより、抱卵プロセス全体にわたってより良好な温度制御が可能と
なる。
卵トレイ1の下側に、回転板10の一部が示されている。第3図の上面図では
、回転板10には明瞭にするためにハッチングが施され、卵トレイ1のその他の
部分から回転板10を容易に区別することができる。回転板10には、凹部11
と歯形肉厚部12が設けられ、後に第10図を参照してその目的を説明する。回
転板10を卵トレイ1に充分近づけて配置することにより、回転操作中に卵3は
支持手段6内でわずかに持ち上げられる。そこで、卵3は、それぞれの曲線状支
持部6aおよび6bからある程度離れることになり、その結果、より容易に回転
できる。卵トレイ1に対して回転板10を第2図の紙面に直交する方向に移動さ
せることにより、卵3は自身の長手方向軸4の周りを転動する。これは主に、回
転板10の歯形肉厚部12が、卵の殻に及ぼす摩擦力によるものである。この移
動は、手作業で行なっても、比較的簡単な機構を用いてもよい。この目的ため、
卵トレイ1は右側に突出し、卵トレイ1の側壁に設けた凹部の縁部によって形成
される2つのストッパの間で把持部材8を有する。卵トレイ1内の全ての卵を同
時に回転させるために、回転板は、回転のための移動方向において卵トレイより
も長くなければならない。必要とされる余分な長さの最小値は、この場合、卵の
所望回転角度βに依存する。さらに、回転板の代わりに、例えば卵の所望回転角
度βに対応する限定された幅を有する回転部材を用いることもできる。全ての卵
を回転させるためには、この回転部材を卵トレイ全体の下側を通過させなければ
ならない。
第1図に示す卵トレイ1の長手方向の端部において回転板10には、いわゆる
回転カム14が設けられ、卵トレイ1よりも狭い。回転カム14は、卵トレイ1
の長手方向端部の領域内に支持された卵を、回転操作中にさらに上方に持ち上げ
る。逆向き回転操作において、回転板10が反対方向に移動するとき、これらの
卵はカムから離れてころがる際に余分な回転を行なう。したがって、回転板10
はより狭く設計され、卵トレイ1の周縁部の外側に移動させる必要はない。回転
プロセスは好ましくは一時間に1回、回転角度βが90°と120°の間である
ように行なわれる。好適には、卵を毎時間ごとに反対方向に回転させる。この場
合、卵の鈍端がわずかに上方を向いている場合に、最良の抱卵結果が達成される
。
卵トレイ1の底面は部分的に開いているため、また、本発明による回転操作の
結果として、その都度卵の殻の異なる部分が支持手段6と接触するため、卵の周
囲の温度と湿度をより良好に制御することができる。
第一の曲線状支持部6aは頂部に向かって開き、底部に向かって閉じている。
一方、第二の曲線状支持部6bは頂部に向かって閉じ、底部に向かって開いてい
る。第二の曲線状支持部6bは、垂直に対して僅かな角度をなしているため、下
向き方向にも卵を支持できる。第一の曲線状支持部6aの最下支持点は、第二の
曲線状支持部6bの最下支持点よりも高い所に位置している。そこで、2つの曲
線状支持部6aおよび6bは卵3の長手方向軸4を、水平に対して鋭角αに位置
付けることになる。さらに、個別の支持手段6の曲線状支持部は、長手方向にお
いて互いに短い距離しか離れていないため、ひとつの卵3の尖端は、別の卵3の
鈍端の下に位置することになる(第2図参照)。
卵トレイ1の長手方向の側壁はすかし加工設計になっている。そのため、支持
手段6および回転手段10を含む卵トレイ1の全体では、卵トレイ1の充填密度
が非常に高い場合でも、水平空気流を、少ない抵抗で、卵の上や卵同士の間に導
くことが可能である。
曲線状支持部6aおよび6bは互いに相互的に接続され、強固で軽量な枠組み
を構成する。すなわち、互いに隣接する曲線状支持部6aおよび6bはフレーム
部により相互に接続されている。これらのフレーム部の頂部には、頂部に配置さ
れる別の卵トレイを支持するための支持点13が設けられている。
卵3を搬送する際に、卵が垂直位置に直立していることが好ましい。この目的
は、前述した開口2によって達成される。卵3を開口2内に、好ましくは尖端を
下向きにして位置づけることにより、卵3の一部が支持手段6の下側に突出する
。搬送後に、卵3を抱卵器内で抱卵する前に、卵3をまず、垂直搬送位置から、
概ね横たわった抱卵位置に傾動させなければならない。この目的のため、第4図
〜第6図は傾動部材15を用いた方法を示している。卵トレイ1に対して、第4
図および5に矢印16で示す方向に傾動部材15を移動させることにより、卵3
は、いわゆる卵3の短軸のまわりに、垂直搬送位置から概ね横たわった安定抱卵
位置に傾動する。この傾動方向を矢印16で示す。傾動板15上に示されている
斜面は、傾動操作の開始と同時に卵3をわずかに持ち上げるために用いらる。こ
れがなければ、卵3は開口2の縁に押しつけられ割れてしまうことがある。
第7図〜第9図は、卵トレイ20内の支持手段の別の例を示す。卵3は、底板
21上に設けられた2つの曲線状支持部26によって支持されている。卵3の一
部を突出させる開口は、支持部26の間で底板21内に設けられている。卵3の
鈍端を支持するための支持部26aは、この場合、頂部に向かって開いている。
一方、卵3の尖端を支持する支持部26bはぐるっとひとまわり閉じている。こ
の結果、卵3はしっかりと支持され、支持部26内に容易に配置することができ
る。卵3と支持部26のあいだの摩擦表面積は、回転操作中には最小であり、こ
れは、回転操作に必要とされる労力がわずかであることを意味する。さらに、卵
トレイ20は全体構造が軽量であり、取り扱いが容易である。2つの保持手段2
9は、各支持部26の一方の側に配置されている。これらの保持手段29は、垂
直搬送位置において卵3が支持手段26の間から落下するのを防ぐために用いら
れる。
第10図は第7図〜第9図に示す回転板30の一部の例を示す。回転板30に
は互いに距離をおいて配置された凹部31が設けられている。この場合の距離は
卵の所望回転角度に対応している。これらの凹部によって、各回転操作の終了後
に、卵が支持手段上に再び載置されることが保証される。この結果、回転手段3
0は回転操作の終了後に卵トレイの下側の位置にとどまり、安定抱卵位置を乱す
ことがない。さらに、卵はやはり自由にプロセス空気に接触できる。また、回転
手段30がすでに卵トレイの下側の位置にあっても、卵を垂直搬送位置に置くこ
とができる。好ましくは、回転手段30は卵トレイに移動可能に接続されている
。回転板30上に設けられ、回転操作のための移動方向に延在する肉厚部32が
、第7図および第10図に同様に示されている。この肉厚部32は、回転操作中
に卵を支持手段26からある程度持ち上げるために用いられる。肉厚部32は好
ましくは卵3の重心の下側で、上向きに開いた支持部26a側に位置している。
このことの重要性は、卵3がわずかに持ち上げられる回転操作中に、上向きに閉
じている支持部26bに卵3が押しつけられることにより割れることのないこと
である。
第11図は、本発明に係る卵トレイ40が互いの上に積み重ねられてなる複数
個との卵トレイアセンブリを示す。このアセンブリは一単位として抱卵器内に配
置することができる。この場合、好ましくは、移動可能な回転手段50が下側に
接続された卵トレイ40が用いられる。同一スタック内の卵トレイ40の間の距
離は、卵トレイ40の一部分を形成する相互スペーサ42の高さによって定めら
れる。複数個のスタックが互いに隣接して置かれる場合、より幅広の回転板を持
つ態様においては、これらのスタックは、回転板の余分な長さのために互いにあ
る距離をおいて配置しなければならない。この目的のため、卵トレイ40の側壁
にもスペーサが配置される。これらのスペーサは、好ましくは、回転板50の余
分な長さと同じ長さを持つ。このことにより、一平面上で互いに前後に位置する
回転板50が、回転操作中に互いを押し進めることが可能になる。第11図から
も分かるように、回転板50はアリ継ぎ接合部53によって、移動可能に卵トレ
イ40に接続されている。この結果、回転板50は、卵トレイ40に対して図の
平面に対して直交する方向にのみ移動可能である。この態様においてもまた、回
転板50は回転操作中に卵を回転させると同時にわずかに持ち上げるための肉厚
部52が設けられている。
第12図は複数個の卵トレイ83のための支持構造80を示す。卵トレイ83
はこの構成の側端部に支持手段82によって支持されている。支持構造80には
ホイール81が設けられているため、ユニット全体を容易に移動させることがで
きる。本発明に係る卵回転方法を利用することにより、ある大きさの空間内に多
くの卵トレイ83を上下に配置することができる。このことにより、従来技術に
対して、床面積にして約33%の空間が節約される。さらに、互いに上下に位置
する卵トレイ83内の卵同士の相互距離は常に同一である。この結果、加熱空気
および/または冷却空気を常時卵に対して均一に導くことが可能である。空気流
は好ましくは層状である。
支持構造80には回転手段と傾動手段の両方が設けられている。傾動手段は、
例えば、各卵トレイ83が導入される側に設けられたレール(図示せず)によっ
て形成され、このレールには適当な斜面が設けられている。卵トレイ83が支持
構造80内に置かれた場合、最初に卵トレイ83をレールでスライドさせること
により、卵は垂直搬送位置から安定抱卵位置に自動的に傾動する。支持構造の別
の例(図示せず)において、各卵トレイは平板により支持される。この場合、平
板は回転手段を構成してもよい。この平板は支持構造80の一部をなしており、
回転操作のためには、卵トレイ83を支持板に大して移動させなければならない
ことを意味している。第11図を参照して既に述べたように、下側で移動可能に
トレイに接続された回転手段を有する支持構造80内の卵トレイ83を用いるこ
ともできることはもちろんである。回転操作のため卵トレイ83を支持構造80
から取り外してもよく、その場合には、卵3を回転させるために、例えばテーブ
ルトップなどのような外部の回転手段が用いられ、その後で卵トレイ83は支持
構造80内に戻される。好便に、支持構造80を、搬送目的および抱卵器内の両
方に用いてもよい。
図示の実施例においては、卵の長手方向軸は各場合において水平に対してわず
かな角度をなし、これにより最適な抱卵結果がもたらされる。しかし、本発明は
、卵を水平方向に横たえる卵トレイにも関している。なぜなら、本発明に係る好
便な曲線状支持部と回転方法はこの場合にも適用できるからである。さらに、図
示の実施例では、卵の一部は常に支持手段の下側に延在している。このことは、
概ね平坦な回転手段を用いることが可能になるという利点をもたらす。しかし、
本発明はまた、卵の一部が開口内にありながら、卵がその下方に突出することが
ない卵トレイにも関している。この場合には、回転手段を、底部から各開口に突
出させなけければならない。この場合、例えば、不規則輪郭(プロファイル)を
設けた回転可能な回転ホイールを考えることができる。
このように、本発明は、必要とされる床面積、冷却および/または加熱に要求
されるプロセス空気の量や、回転操作に要求されるエネルギーの節約を可能にす
る。さらに、抱卵プロセス全体における改善が実現され、その結果、抱卵される
ひよこの孵化率を高くすることができる。回転手段を有する簡単な卵トレイによ
って、抱卵器において最適な衛生状態を実現できる。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
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Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
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L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK
,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,
VN
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.孵化させる卵(3)を収容するための抱卵トレイ(1)であって、各卵( 3)ごとに個別の剛体支持手段(6)を有し、上記支持手段(6)は、その下面 に開口(2)を画定するとともに、上記支持手段(6)によって安定抱卵位置に 支持された上記卵(3)が、部分的に上記開口(2)内に位置づけられ且つ上記 開口(2)内に位置する上記卵の一部(5)に作用する回転手段(10)によっ て、上記卵(3)の長手方向軸(4)を中心として、予め定められたスケジュー ルに従って、上記支持手段(6)内で定期的に回転できるように形成された抱卵 トレイ(1)において、各卵(3)ごとの支持手段(6)が互いに離れて設けら れた2つの曲線状支持部(6a、6b)を有し、上記開口は上記2つの曲線状支 持部(6a、6b)の間に位置づけられていることを特徴とする抱卵トレイ(1 )。 2.第一の曲線状支持部(6a)は第二の曲線状支持部(6b)よりも高い位 置にあり、安定抱卵位置に支持された上記卵(3)の長手方向軸(4)は、上記 2つの曲線状支持部(6a、6b)により水平に対して鋭角αに位置付けられる ことを特徴とする請求項1に記載の抱卵トレイ。 3.長手方向において互いに前後に配置された、上記個別の支持手段(6)の 上記曲線状支持部(6a、6b)は、安定抱卵位置に支持された1つの卵(3) の頂部を、やはり安定抱卵位置に支持された別の卵(3)の底部の下に位置づけ ることを特徴とする請求項2に記載の抱卵トレイ。 4.上記第一の曲線状支持部(6a)は頂部に向かって開いていることを特徴 とする請求項1〜3のいずれかに記載の抱卵トレイ。 5.上記第二の曲線状支持部(6b)は垂直に対してわずかな角度をなすこと を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の抱卵トレイ。 6.上記第二の曲線状支持部(6b)は底部に向かって開いていることを特徴 とする請求項5に記載の抱卵トレイ。 7.直立した側壁を有し、少なくとも長手方向の側壁は、すかし加工設計をも つことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の抱卵トレイ。 8.上記曲線状支持部(6a、6b)はその頂部に、上部に配置される抱卵( 3)トレイのための支持点(13)を有することを特徴とする請求項1〜7のい ずれかに記載の抱卵トレイ。 9.上記回転手段(10)は、上記抱卵トレイ(1)の下面に移動可能に接続 されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の抱卵トレイ。 10.上記回転手段は、概ね平坦な回転板(10)により構成され、上記回転 板(10)には、回転のための移動方向に延在する肉厚部(12)が設けられて いることを特徴とする請求項9に記載の抱卵トレイ。 11.上記回転手段(10)は、概ね平坦な回転板により構成され、上記回転 板(10)には、回転のための移動方向において互いにある一定の距離をおいた 凹部(11)が設けられ、上記一定の距離は、上記卵(3)の所望の回転角度β に対応することを特徴とする請求項9に記載の抱卵トレイ。 12.上記回転板(10)は、上記抱卵トレイ(1)の下面よりも概ね上記一 定の距離だけ幅が狭く、上記抱卵トレイ(1)に固定接続された2つのストッパ の間で移動可能であり、上記回転板(10)は、回転動作中に上記抱卵トレイ( 1)の周縁部の外側へ移動することがないことを特徴とする請求項10あるいは 11に記載の抱卵トレイ。 13.上記回転板(10)には、その長手方向両端部に、回転動作中に、上記 抱卵トレイ(1)の長手方向両側の部分に支持された上記卵に対して余分な回転 を与えるための回転カム(14)が設けられていることを特徴とする請求項12 に記載の抱卵トレイ。 14.上記2つの曲線状支持部(6a、6b)は、上記開口(2)の縁部とと もに、少なくとも局部的に円形形状を構成し、その大きさは、上記支持部内にお いて安定垂直搬送位置すなわち上記卵の長手方向軸(4)が略垂直になる位置に 支持された上記卵(3)が、部分的に開口(2)内に位置付けられるような大き さであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の抱卵トレイ。 15.上記2つの曲線状支持部(26a、26b)の間に延在する保持手段( 29)を設けたことを特徴とする請求項14に記載の抱卵トレイ。 16.上記抱卵トレイ(1)の下面には、上記支持手段(6)内に置かれた上 記卵(3)を上記垂直搬送位置から上記安定抱卵位置に傾動させるための傾動手 段(15)が設けられ、上記傾動手段(15)は、傾動操作中に、上記開口(2 )内に位置している上記卵の部分に作用するように設計されていることを特徴と する請求項14あるいは15に記載の抱卵トレイ。 17.上記回転手段は上記傾動手段をも構成することを特徴とする請求項16 に記載の抱卵トレイ。
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