JP2000502057A - 膠細胞系由来神経栄養因子(gdnf)蛋白産生物を用いる光受容体の治療方法 - Google Patents

膠細胞系由来神経栄養因子(gdnf)蛋白産生物を用いる光受容体の治療方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)を投与することで、網膜ニューロン、特には光受容体の損傷または変性を治療する方法に関する。本発明は具体的には、色素性網膜炎、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜障害、末梢性硝子体網膜症、光性網膜障害、手術誘発網膜障害、ウィルス性網膜障害、虚血性網膜障害、網膜剥離および外傷性網膜障害など、視力が失われる網膜の状態または疾患を治療する方法に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生物を用いる光受容体の治療方法 発明の属する技術分野 本発明は、膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生物を投与すること で、網膜ニューロンの損傷または変性を治療する方法に関する。本発明は具体的 には、先天性網膜変性および年齢、疾患もしくは損傷関連の網膜障害などの、光 受容体の変性が起こり、視力喪失の原因となる病理状態の治療方法に関するもの である。発明の背景 最近、いくつかの天然蛋白様分子が、各種ニューロンに対するその栄養活性に 基づいて確認されている。これらの分子は、「神経栄養因子」と称される。神経 栄養因子は、内因性の可溶性蛋白であり、発育時の神経の生存および成長、なら びに成熟ニューロンの機能的維持および可塑性において重要な役割を果たす(Fa llon and Laughlin,Neurotrophic Factors,AcademicPress,San Diego,CA(19 93)参照)。それがニューロンの再生 を促進し、ニューロンの死および変性を防止する能力を考慮して、神経栄養因子 は、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症および卒中 などの神経系の神経変性状態の治療に有用である可能性があると推定されている 。 神経損傷は、(1)軸索突起の変性(次に神経細胞死を起こす)および/また は損傷部位付近の神経細胞体の変性を起こす物理的損傷;(2)卒中などの神経 系の一部への血流の一時的または永久的停止(虚血)、(3)それぞれ癌および AIDSの化学療法薬であるシスプラチナムおよびジデオキシシチジンなどの神 経毒への意図的または偶発的曝露、(4)糖尿病または腎臓機能障害などの慢性 代謝疾患、あるいは(5)特定のニューロン群の変性によって生じるパーキンソ ン病、アルツハイマー病および筋萎縮性側索硬化症などの神経変性性疾患などの 1以上の種類の神経細胞の生存および/または適切な機能を障害する状態によっ て起こる。特定の神経栄養因子が神経損傷の治療に有用となるには、損傷を受け た種類の神経細胞がその因子に対して反応性でなければならない。異なる神経栄 養因子は、全く異なった種類の神経細胞に影響を与えるのが普通である。全ての ニューロン群が全ての神経栄養因子に対して反応性であ るとは限らず、それら因子によって等しく影響を受けるとは限らないことが明ら かになっている。 確認された最初の神経栄養因子は、神経成長因子(NGF)であった。NGF は、ニューロトロフィン(neurotrophin)と呼ばれる明確な栄養因子類の最初の ものであり、それには現在、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフ ィン−3(NT−3)、NT−4/5およびNT−6などがある(Thoenen,Tren ds. Neurosci.,14:165-170,1991; Lapchak et al.,Rev.Neurosci.,3:1-1 0,1993; Bothwell,Ann.Rev.Neurosci.,18:223-253,1995)。これらのニュー ロトロフィン類は、trkチロシンキナーゼ受容体類、すなわちtrkA、tr kB)trkCおよび低親和性p75受容体を介して作用することが知られてい る(Lapchak et al.,Rev.Neurosci.,3:1-10,1993;Bothwell,Ann.Rev.Neuros ci.,18:223-253,1995; Chao et al.,TINS 18:321-326,1995)。中枢神経系( CNS)では、NGFの受容体であるtrkAの発現は、p75およびtrkB も発現する前脳基底部にあるコリン作働性ニューロンにほぼ限られている(Vene ro et al.,Neuroreport,4:959-962,1993)。コリン作働性ニューロンの変性 および/または異栄養症はアルツ ハイマー病の顕著な特徴であることから、これらのコリン作働性ニューロンは、 神経学的に特に興味深いものである(Hefti,J.Neurobjo1.,25:1418-1435,1994 ; Olson,Neurochem.Jul.,15:1-3,1994)。前脳基底部コリン作働性ニューロ ンは、アセチルコリンエステラーゼの組織化学を用いた形態標本で、あるいはコ リンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)、アセチルコリンの合成酵素また はp75に対する抗体を用いる免疫組織化学によって容易に確認することができ る(Batchelor et al.,J.Comp.Neurol.,284:187-204,1989; Kiss et al.,Neu roscj.,27:731-748,1988; Woolf et al.,Neuroscience,30:143-152,1989) 。 膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)は最近発見された蛋白であって、in v itroでの中脳ドーパミン作働性ニューロンの生存を刺激し、該ニューロンの伝達 物質表現型を刺激する上でのそれの効力に基づいたアッセイを用いて、確認・精 製されている(Lin et al.,Science,260:1130-1132,1993)。GDNFは糖付 加ジスルフィド結合ホモダイマーであり、神経栄養蛋白のトランスフォーミング 成長因子−β(TGF−β)スーパーファミリーとわずかに関係がある(Kriegl stein et al.,EMBO J., 14:736-742,1995; Poulsen et al.,Neuron,13:1245-1252,1994)。GDNF はクローニングされており、組換えヒトGDNF(rhuGDNF)は、in vit roおよびin vivoで黒質ドーパミン作働性ニューロンおよび脊髄運動ニューロン に対する栄養作用および生存促進作用を行う(Beck et al.,Nature,273:339-3 41,1995;Henderson et al.,Science,266:110-1132,1994; Tomac et al.,Na ture,273:335-339; Yan et al.,Nature,273:341-343; Zurn et al.,Neurore port,6:113-118,1994)。jn vivo での外因性GDNF治療により、ドーパミ ン作働性ニューロンの喪失を特徴とする神経変性性疾患であるパーキンソン病の 動物モデルにおいて、黒質ニューロンのドーパミン作働性表現型が刺激され、軸 索切断術またはドーパミン作働性神経毒誘発の機能障害が回復される(Hudson e t al.,BrainRes.Bu11.,36:425-432,1995; Hoffer et al.,Neurosci. Lett., 182:107-111,1994)。最初はドーパミン作働性ニューロンに対して比較的特異 的であると考えられていたが、少なくともjnvitro でのその後の実験から、GD NFが in vivo および invitro のいずれにおいても、脳幹および脊髄のコリン 作働性運動ニューロンに対して神経栄養的効力を有することが認められ ている(Oppenheim et al.,Nature,373:344-346,1995; Zurnet al.,Neurore port,6:113-118,1994; Yan et al.,Nature,373:341-344,1995; Henderson et al.,Science,266:1062-1064,1994)。従ってGDNFは、筋萎縮性側索硬化 症などの脊髄運動ニューロンの変性性障害の治療に治療効果を持つ可能性のある 因子である。 そのように、GDNFが中脳ドーパミン作働性ニューロンおよび体細胞性運動 ニューロン以外のより広い範囲の神経栄養標的を有する可能性があることを示す 証拠が出始めている(Yanand Matheson, Nature 373:341-344, 1995;Miller e t al.,Soc.Neurosci.Abstr.,20:1300,1994)。GDNFメッセンジャーRNA (mRNA)が、筋肉および末梢神経系のシュワン細胞ならびに中枢神経系のI 型星状細胞(Schaas et al.,Exp.Neuro1.,124:368-371,1993)で検出されてい る。GDNFmRNAは、発達中のラット線条で高レベルで(Stromberg etal., Exp.Neuro1.,124:401-412,1993)、線条、海馬、皮質および脊髄を含む成体ラ ットおよびヒトの中枢神経系の領域で低レベルで(Springer et al.,Exp.Neuro l.,127:167-170,1994)も発現される。 本発明と関係があるものとしては、1993年4月1日公開のWO93/06 116(Lin et al.,Syntex-Synergen NeuroscienceJoint Venture)がある。 該出願においては、GDNFがパーキンソン病に関連する損傷などの神経損傷の 治療に有用であることが報告されている。さらに興味深いものとしては、GDN FmRNAが検出可能となり、ピロカルピン誘発発作後に上昇したという報告( Schmidt-Kastner et al.,Mol.Brain Res.,26:325-330,1994);前脳基底部星 状細胞が培養条件下に中等度のレベルのGDNFmRNAを発現したが、GDN Fは前脳基底部ChAT活性を変えなかったという報告(Schaar et al.,Exp.Ne uro1.,124:368-371,1993 および Schaar et al.,Exp.Neuro1.,130:387-39 3,1994);ならびにGDNFが前脳基底部コリン作働性ニューロンの損傷また は変性の治療に有用であるという1995年9月28日出願で現在係属中の米国 特許出願08/535682号の報告がある。 哺乳動物では、多くの眼科的神経変性状態または疾患に、光受容体の損傷また は変性が関与している。これらニューロンの生存または再生を促進することがで きる栄養因子は、そのような疾患の治療に有用な療法を提供し得るものと考えら れる。 光受容体は、視力を生み出す網膜ニューロンの特殊化した小群である。光受容 体は、網膜の光感受性細胞である桿細胞および円錐細胞から成る。各桿細胞およ び円錐細胞は、光変換機構を有する外節と称される特殊化した毛様体を形成して いる。桿細胞には、特異的光吸収視覚色素であるロドプシンがある。ヒトには、 異なった視覚色素発現を特徴とする青色円錐視覚色素、緑色円錐視覚色素および 赤色円錐視覚色素という3種類の円錐細胞がある。各種類の視覚色素蛋白が調整 されて、各種波長で最大の光吸収を行う。桿細胞ロドプシンは暗所視(薄暗い光 )に介在するが、円錐細胞視覚色素は明所視(明るい光)に関与する。赤色、青 色および緑色の視覚色素は、ヒトにおける色視力の基礎も形成している。桿細胞 および円錐細胞における視覚色素は光に反応し、桿状双極ニューロンである出力 細胞で活動電位を発生し、その活動電位が次に、網膜神経節ニューロンに中継さ れて、視覚野で視覚刺激を生み出す。 ヒトにおいては、多くの網膜疾患に、光受容体の進行性変性および最終的には その死が関与し、容赦なく失明を引き起こす。先天性網膜形成異常(例:色素性 網膜炎)、加齢性黄斑変性および他の黄斑障害あるいは網膜剥離などの光受容器 の変性はい ずれも、進行性萎縮症および光受容体外節の機能喪失を特徴とする。さらに、光 受容体の死または光受容体機能の喪失は、網膜形成異常患者において二次網膜ニ ューロン(桿状双極細胞および水平細胞)の部分的求心路遮断を生じることで、 光受容器によって生じる電気信号の伝達の全体的効率を低下させる。光受容器の 細胞死を回避したり、機能障害のある(萎縮または形成異常の)光受容体の機能 を回復させることができる栄養因子は、そのような状態の治療に対する有用な療 法となり得るものである。 ある種の蛋白因子が光受容体の生存を促進し得ることを示すある程度の証拠が ある。例えば一定光への曝露によって損傷を受けたRCS(Royal College of S urgeons)ラットおよびアルビノラットにおいて、塩基性線維芽細胞成長因子( bFGF)によって、光受容体の死がある程度回避できる(Faktorovich etal. ,Nature,347:83-86,1990)。RCSラットは、網膜色素上皮(RPE)で発 現される遺伝子に先天的突然変異を有するため、光受容体外節の連続的脱落部分 の食作用がRPEで起こらず、光受容体の変性および最終的には細胞死を起こす 。変性発症時に、硝子体あるいは桿細胞および円錐細胞周囲の細胞外 空間である網膜下空間へのbFGFの単回注射により、一時的に光受容体の死亡 が回避される(Faktorovich et al.,Nature,347:83-86,1990)。アルビノラ ットにおける光損傷モデルでは、一定の光照射開始の2日前に網膜下空間または 硝子体にbFGFを注射することで、光受容体が光損傷からかなり保護され、細 胞死が防止される(LaVail et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:11249-11253,1 992)。このモデルでは、酸性FGF(aFGF)、脳由来神経栄養因子(BD NF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)およびインターロイキン−1β(IL −1β)でも光受容体生存が認められている。ニューロトロフィン−3(NT− 3)、インシュリン様成長因子II(IGF−II)および腫瘍壊死因子−α( TNF−α)によっては中等度の効果が認められている。神経成長因子(NGF )、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)およびIGF− 1は効果がなかった(LaVail et al.,Proc.Nat1.Acad.Scj.USA,89:11249-11253 ,1992) (LaVail らのWO93/15608も参照)。 bFGFはRCSラットおよび光誘発損傷ラットモデルで有効であるが、それ のヒトでの治療上の有用性は、降圧活性、突然変異誘発活性および強力な血管形 成活性のために非常に限ら れている。実際、硝子体へのbFGF注射により、網膜内部への血液由来マクロ ファージの侵入が生じ、大量の増殖性硝子体網膜症が生じる場合がある(Faktor ovich et al.,Nature,347:83-86,1990)。さらに、ポリメラーゼ連鎖反応技術 を用いて、生後6日ラットおよび成体ラットの眼球においてGDNFのメッセン ジャーRNAが発現され、それは網膜神経および網膜色素上皮に関連しているこ とが明らかになっている。RPE細胞は、光受容体の生存および機能維持に関与 する各種因子を産生、保存および輸送する。RPE細胞はさらに、光変換プロセ スには不可欠であり、食作用によって光受容体の外節の脱落先端部を清拭し、ビ タミンAを再利用させる。RCSラットの網膜に正常RPE細胞を移植すること で、光受容体細胞死が防止され(Li and Turner,Exp.Eye.Res.,47:911-917,1 988;Mullen and LaVail,Science,192:799-801, 1976)、RPE細胞による光 受容体の拡散可能な栄養因子の産生が示唆される。 光受容体細胞損傷の治療に有用な方法および治療用組成物が常に望まれている 。そのような方法および治療用組成物は理想的には、進行性損傷から光受容体を 保護し、損傷を受けたニューロン群の生存または再生を促進し、しかも重度の副 作用を起 こさないものであると考えられる。発明の概要 本発明は、治療上有効な量の膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生 物を投与することで、光受容体変性による視力喪失を治療する方法を提供するも のである。本発明の1態様によれば、治療上有効量のGDNF蛋白産生物を投与 することで光受容体変性による視力喪失を治療する方法が提供される。そのよう なGDNF蛋白産生物には、配列番号1で示したアミノ酸配列によって描かれる ようなGDNF蛋白、ならびにそれの変異体および誘導体などがあることが想到 される。本発明は、GDNF蛋白産生物を投与することで、失明につながる網膜 変性において損傷を受けた主要ニューロン群である損傷光受容体ニューロンの生 存および再生が促進されるという新規な発見に基づいたものである。 GDNF蛋白産生物は、約0.001mg/日〜10mg/日、好ましくは約 0.01mg/日〜1mg/日、最も好ましくは約0.1mg/日〜0.5mg /日の用量で眼内投与することができる。さらに、脳由来神経栄養因子、ニュー ロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4/5、ニューロトロフィン −6、インシュリン様成長因子、毛様体神経栄養因子、酸性および塩基性の線維 芽細胞成長因子、線維芽細胞成長因子−5、形質転換成長因子−β、ならびにコ カイン−アンフェタミン調節転写物など(これらに限定されるものではないが) の第2の治療薬との併用でGDNF蛋白産生物を投与することで、光受容体の変 性または損傷を治療できることも想到される。眼球の状態または疾患の治療にお けるGDNF蛋白産生物の投与のための投与手段では有利には、局所製剤、眼球 挿入物、眼球注射、眼球インプラント、細胞療法または遺伝子療法が関与するこ とも想到される。 本発明はさらに、光受容体の損傷または変性の治療用の薬剤または医薬組成物 の製造におけるGDNF蛋白産生物の使用を提供するものでもある。そのような 医薬組成物には、局所、経口または非経口投与用のGDNF蛋白産生物製剤など がある。当業者には、投与プロセスは、以下に後述するように、細胞療法および 遺伝子療法を介して行うことができることも明らかであろう。さらに別の態様で は本発明は、光受容体細胞をGDNF蛋白産生物の存在下に培養する植え込み( implant)用の光受容体細胞を提供する方法を含むものである。本発明はさらに 、光受 容体細胞とともに、その光受容体細胞の生存を促進し、継続的に成長させ成熟さ せるだけの量でGDNF蛋白産生物を含む組成物を含むものである。本発明の現 在好ましい実施態様について記載した以下の発明の詳細な説明を検討することで 、当業者には、本発明の多くの別の態様および利点が明らかになる。図面の簡単な説明 図1は、網膜ニューロンの培養物中の光受容体の生存に対する膠細胞由来神経 栄養因子(GDNF)蛋白産生物の効果を示す図である。各値は、3回の培養の 平均±標準偏差である。 図2は、GDNF蛋白産生物による光受容体神経突起成長の促進を示す図であ る。データは、神経突起長さの累積頻度分布プロットとして表してある。所定の 長さ(μm単位)(横軸)より長い神経突起を有する光受容体のパーセント(縦 軸)をプロットしてある。 図3は、光受容体の培養物中のGDNF蛋白産生物によるグルタミン酸塩取り 込みの刺激を示す図である。結果は、対照培養物で認められたグルタミン酸塩取 り込み値(dpm/ウェル)のパーセントとして表してある。各データ点は、代 表的実験からの3個のウェルの平均±標準偏差である。 図4は、網膜ニューロンの培養物中のGDNF蛋白産生物による光受容体の生 存促進を示す図である。18日齢マウスおよび39日齢マウスからの培養物での GDNF蛋白産生物投与に対する応答における光受容体数の変化を示してある。 各値は、2〜3個の培養物の平均士±標準偏差である。 図5は、rd/rdマウス網膜の培養物でのGDNF蛋白産生物による光受容 体の生存促進を示す図である。光受容体生存は、6mmウェル当たりのアレスチ ン(arrestin)陽性ニューロン数を数えることで求めた。各値は、3〜4個の培 養物の平均±標準偏差である。 図6は、ヒヨコ網膜の培養物での光受容体の生存に対するGDNFの効果を示 す図である。光受容体生存は、6mm2の直径方向片(6mmウェルの総面積の 約21%)当たりの円錐細胞数を数えることで求めた。各値は、3個の培養物の 平均±標準偏差である。発明の詳細な説明 本発明は、GDNF蛋白産生物が光受容体に対して神経栄養活性を有するとい う所見に基づいたものである。この所見以前では、GDNFがそのような神経栄 養活性を有することは示唆 も指摘もされていなかった。本発明は、医薬組成物、GDNF発現細胞の植え込 みまたはGDNF遺伝子療法によって、治療上有効量の膠細胞系由来神経栄養因 子(GDNF)蛋白産生物を投与することで、網膜ニューロン、特には光受容体 の損傷または変性を治療する方法を提供するものである。本発明は、配列番号1 に記載のアミノ酸配列を有するGDNF、それの変異体および誘導体などの生理 活性GDNF蛋白産生物を用いて実施することができる。 独特の細胞培養法を開発して、GDNF蛋白産生物投与に対する光受容体の反 応性評価に使用する網膜ニューロン群を得た。その培養法については、以下に詳 細に説明する。GDNF蛋白産生物でこれら光受容体を処理することにより、光 受容体生存の促進に加えて、GDNF蛋白産生物が光受容体の軸索様突起の延長 を刺激することで、光受容体の形態的発達に対する効果を示すことが明らかにな った。グルタミン酸塩取り込みアッセイによってさらに、GDNF蛋白産生物投 与が光受容体の機能的分化を促進することが明らかになった。これらの結果は、 GDNF蛋白産生物療法の効果には、光受容体生存の促進、光受容体の軸索およ び外節の再生、ならびに視覚機能の回復などが あることを示している。そこで、GDNF蛋白産生物の投与が、先天性網膜変性 、加齢性黄斑変性、損傷誘発網膜変性および網膜異栄養症などの光受容体の変性 によって視力が失われる状態に対して効果があると考えられる。 本発明はさらに、GDNF蛋白産生物治療が、先天性網膜変性状態を有するマ ウスからの網膜の培養物で光受容体生存を促進することを示すものである。rd /rdマウスの光受容体についての研究から、GDNF蛋白産生物治療が、光受 容体に対するrd/rd突然変異の有害効果に対する耐性を促進することが明ら かになっている。これは、GDNF蛋白産生物治療が、光受容体の変性および死 亡の低減および防止、さらには例えば色素性網膜炎などの光受容体変性を特徴と するヒトの先天性網膜疾患における光受容体変性の逆戻りにおいても有用である 可能性があることを示している。以下に記載の研究によって明らかなように、G DNF蛋白産生物投与は、光受容体変性が起こって視力喪失の原因となる各種病 理状態に対して有効であると考えられる。そのような状態には、色素性網膜炎、 バーデット-ビードル症候群、バッセン-コーンツバイク症候群(無β-リポ蛋白 血症)、ベスト病(卵黄様ジストロフィー)、先天性脈絡 膜欠如(chroidemia)、回状萎縮(gyrate atrophy)、先天性黒内障、レフサム 症候群、シュタルガルト病およびアッシャー症候群などの先天性網膜変性などが ある。GDNF蛋白産生物治療が有効であると考えられる他の網膜障害には、加 齢性黄斑変性(乾燥型および湿潤型)、糖尿病性網膜障害、末梢性硝子体網膜症 、光性網膜障害、手術誘発網膜障害、ウィルス性網膜障害(AIDSに関連する HIV網膜障害など)、虚血性網膜障害、網膜剥離および外傷性網膜障害などが ある。 現在好ましい本発明の実施態様によると、GDNF蛋白産生物は最も有利には 、約0.001mg/日〜10mg/日の用量、好ましくは約0.01mg/日 〜1mg/日の用量、最も好ましくは約0.1mg/日〜0.5mg/日の用量 で眼内投与する。さらに、GDNF蛋白産生物を、網膜変性または網膜異栄養症 用の有効量の第2の治療薬との併用または組み合わせで投与することも想到され る。そのような第2の治療薬には、インシュリン、インシュリン様成長因子、上 皮成長因子、血管作用性成長因子、下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ポリペ プチド、インターフェロンおよびソマトスタチンなどのマイトジェン;脳由来神 経栄養因子、ニューロトロフィン−3、ニュ ーロトロフィン−4/5、ニューロトロフィン−6、インシュリン様成長因子、 毛様体神経栄養因子、酸性・塩基性線維芽細胞成長因子、線維芽細胞成長因子− 5、トランスフォーミング成長因子−βおよびコカインーアンフェタミン調節転 写物(CART)などの神経栄養因子;ならびに上皮成長因子、白血病阻害因子 、インターロイキン類、インターフェロン類およびコロニー刺激因子などの他の 成長因子;さらには、これら因子と機能的等価物である分子および材料などがあ るが、これらに限定されるものではない。 本発明はさらに、上記の疾患および状態の治療を含む光受容体の損傷または変 性の治療用の医薬品製造におけるGDNF蛋白産生物の使用も提供するものであ る。そのようなGDNF蛋白産生物医薬製剤について、以下でさらに詳細に説明 する。 本明細書で使用する場合、「GDNF蛋白産生物」という用語は、精製した天 然、合成もしくは組換え膠細胞系由来神経栄養因子、生理活性なGDNF変異体 (挿入変異体、置換変異体および欠失変異体など)、ならびにそれらの化学修飾 誘導体などがある。さらに、配列番号1に示したアミノ酸配列を有するヒトGD NFと実質的に相同であるGDNFも含まれる。 GDNF蛋白産生物は、その生理活性型では、ホモダイマーやヘテロダイマーと して存在する場合もある。 本明細書で使用される場合の「生理活性」という用語は、GDNF蛋白産生物 が、配列番号1に示したアミノ酸配列を有するGDNFと類似の神経栄養的性質 を示すが、同一の性質を必ずしも全て示すとは限らず、程度も必ずしも同じでは ないことを意味している。対象とする特定の神経栄養的性質の選択は、GDNF 蛋白産生物の投与を行う用途によって決まる。 本明細書で使用される「実質的に相同」という用語は、配列番号1で示したア ミノ酸配列を有するGDNFと、好ましくは70%超、最も好ましくは80%超 、さらに好ましくは90%または95%超という相同性を有することを意味して いる。例えば、ラット蛋白とヒト蛋白の間の相同度は約93%であり、好ましい 啼乳動物GDNFは同様に高い相同度を有することが想到される。本明細書に記 載の相同パーセントは、アミノ酸100個の長さに4個のギャップを導入して整 列しやすくした場合に、比較対象の配列において同一のアミノ酸残基が並ぶ2個 の配列中の短い方の配列で認められるアミノ酸残基のパーセントとして計算され る(Dayhoff,At1as of Protein Sequence and Structure,Vol.5,p.124,National Biochemical ResearchFoundation,Was hington,D.C.(1972)に記載のもの。該文献は参照によって本明細書に含まれる ものとする)。配列番号1のGDNFに対する抗体との交差反応性によって単離 することができるか、あるいは配列番号1のGDNFをコードする遺伝子または その遺伝子の断片とのハイブリッド形成によって遺伝子が単離できるGDNF蛋 白産生物も実質的に相同のものに含まれる。 本発明によるGDNF蛋白産生物は、当業者には公知の手段によって単離また は生成することができる。本発明で有用なGDNF蛋白産生物を生成する方法の 例としては、1994年5月23日出願の米国特許出願08/182183号お よびそれの親出願;WO93/06116号として公開された1992年9月1 7日出願のPCT出願PCT/US92/07888号(Lin et al.,Syntex-S ynergen Neuroscience Joint Venture);EP610254号として公開された 欧州特許出願92921022.7号;1995年9月28日出願の共有で同時 係属中の米国特許出願08/535681号(「Truncated Glial Cell-Line De rivedNeurotrophic Factor」)に記載のものなどがあり、これらはい ずれも参照によって本明細書に含まれるものとする。 天然GDNF蛋白産生物は、哺乳動物ニューロン細胞調製物あるいはGDNF を分泌もしくは発現する哺乳動物細胞系から単離することができる。例えばWO 93/06116号には、B49神経膠芽細胞腫細胞の血清を含まない成長調整 培地からのGDNFの単離が記載されている。GDNF蛋白産生物は、当業者に は公知の手段によって化学的に合成することもできる。組換え法によると、比較 的高純度で比較的多量の蛋白を得ることができることから、GDNF蛋白産生物 は好ましくは組換え法によって製造する。組換えGDNF蛋白産生物には、糖付 加および非糖付加型の蛋白、ならびに細菌、哺乳動物または昆虫の細胞系で発現 される蛋白などがある。 一般に組換え法には、GDNFをコードする遺伝子の単離;好適なベクターお よび細胞種へのその遺伝子のクローニング;必要に応じた所望の変異体をコード する遺伝子の修飾;GDNF蛋白産生物を生成する遺伝子発現が関与する。別法 として、所望のGDNF蛋白産生物をコードするヌクレオチド配列を化学的に合 成することができる。GDNF蛋白産生物は、遺伝暗号の縮退または対立遺伝子 変種のためにコドン使用において異な るヌクレオチド配列を使用することで発現させ得ることが想到される。WO93 /06116号には、ラットGDNF遺伝子のcDNAクローンの単離および配 列決定、ならびにヒトGDNF遺伝子のゲノムDNAクローンの単離、配列決定 および発現が記載されている。WO93/06116号にはさらに、GDNF蛋 白産生物の発現のためのベクター、宿主細胞および培養成長条件につても記載さ れている。大腸菌におけるGDNF蛋白産生物の発現に好適な別のベクターが、 1991年4月24日公開の欧州特許出願EP0423980号(「Stem Cell Factor」)(引用によって本明細書に含まれるものとする)に開示されている。 成熟ヒトGDNFをコードする遺伝子のDNA配列およびそのGDNFのアミノ 酸配列が、WO93/06116号の図19(配列番号5)に示してある。図1 9には、GDNFのプレ−プロ部分の全コード配列は示されていないが、ヒトプ レ−プロGDNFの最初の50個のアミノ酸がWO93/06116号の図22 (配列番号8)に示してある。 天然GDNFは、その生理活性型ではジスルフィド結合ダイマーである。細菌 系での発現後に単離されたものは実質的に生理活性を持たず、モノマーとして存 在する。生理活性ジスルフ ィド結合ダイマーを得るには、リフォールディングが必要である。細菌系で発現 されたGDNFのリフォールディングおよび天然化(naturation)の方法がWO 93/06116号に記載されている。GDNF活性を測定するための標準的な in vitroアッセイが、WO93/06116号ならびに1995年9月28日出 願の共有かつ同時係属出願の米国特許出願08/535681号に記載されてい る(これらは引用によって本明細書に含まれるものとする)。A.GDNF変異体 本明細書で使用される「GDNF変異体」という用語は、天然GDNFのアミ ノ酸配列中の残基からアミノ酸が欠失したポリペプチド(「欠失変異体」)、該 残基にアミノ酸が挿入されたポリペプチド(「付加変異体」)または該残基でア ミノ酸が置換しているポリペプチド(「置換変異体」)を含むものである。その ような変異体は、そのポリペプチドをコードするDNAへ適切なヌクレオチド修 飾を組み込むことで、あるいは所望のポリペプチドのin vitroでの化学合成によ って得られる。当業者であれば、最終的な分子がGDNF生理活性を持つのであ れば、欠失、挿入および置換の多くの組み合わせが可能であるこ とは明らかであろう。 1以上の特定のアミノ酸残基の置換、挿入または欠失に対する突然変異誘発法 が、当業者には公知である(例:米国特許4518584号;引用によって本明 細書に含まれるものとする)。変異体の構築には、突然変異部位の位置と突然変 異の性質という2つの主要な変数がある。GDNF変異体を形成する場合、突然 変異部と突然変異の性質の選択は、修飾すべきGDNF特性によって決まる。突 然変異の部位は、個別にあるいは連続的に、例えば(1)最初に保存的なアミノ 酸選択によって置換を行い、次に得られた結果に応じて、よりラジカルな選択に よって置換を行うか、(2)標的アミノ酸残基の欠失を行うか、あるいは(3) 指定部位に隣接してアミノ酸残基を挿入することで修飾することができる。1〜 20個のアミノ酸での保存的置換が好ましい。所望のGDNF蛋白産生物のアミ ノ酸配列が決定されたら、蛋白の発現に使用する核酸配列は容易に決定される。 N末端欠失変異体およびC末端欠失変異体を蛋白分解酵素によって得ることもで きる。 GDNF欠失変異体の場合、欠失は一般に、約1〜30個の残基、より普通に は約1〜10個の残基、代表的には約1〜5 個の隣接する残基である。N末端欠失、C末端欠失および内部の配列内欠失が想 到される。他のTGF−βスーパーファミリーのものとの相同性が低い領域に欠 失を導入して、GDNFの活性を変えることができる。他のTGF−βスーパー ファミリー配列と実質的に相同である領域での欠失は、より大幅にGDNF生理 活性を変える可能性が高い。連続欠失の数を選択することで、システイン架橋な どの影響を受けるドメインにおけるGDNF蛋白産生物の三次構造が維持される 。欠失変異体の例としては、1995年9月28日出願の共有で同時係属中の米 国特許出願08/535681号(引用によって本明細書に含まれるものとする )に記載のようなGDNFの1〜40個のN末端アミノ酸を持たない切断GDN F蛋白産生物;GDNFのC末端残基を持たない変異体;あるいはそれらの組み 合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。 GDNF付加変異体の場合、アミノ酸配列の付加には代表的には、1個の残基 から100個以上の残基を有するポリペプチドまでの範囲の長さのNおよび/ま たはC末端融合、ならびに1個または複数のアミノ酸残基の内部配列内付加など がある。内部付加は、約1〜10個の残基、より代表的には約1〜5個 の残基、通常は約1〜3個のアミノ酸残基があり得る。N末端付加変異体の例と しては、[Met-1]GDNFと称されるN末端メチオニン残基を有するGDN F(細菌組換え細胞培養でのGDNFの直接発現のアーチファクト)ならびに組 換え宿主細胞からの成熟GDNFの分泌を促進するための、GDNFのN末端へ の異種N末端シグナル配列の融合などがある。そのようなシグナル配列は、所定 の宿主細胞種から得られることから、それと相同性である。他の神経栄養因子の 配列由来のアミノ酸配列の付加などもあり得る。本発明による使用において好ま しいGDNF蛋白産生物は組換えヒト[Met-1]GDNFである。 GDNF置換変異体では、GDNFアミノ酸配列の少くとも1つのアミノ酸残 基が除去され、異なる残基がその位置に挿入されている。そのような置換変異体 には、1個のアミノ酸変化を生じる場合と生じない場合のある生物群における自 然のヌクレオチド配列変化を特徴とする対立遺伝子変異体などがある。置換変異 体の例としては、1995年9月28日出願の共有で同時係属中の米国特許出願 08/535681号(引用によって本明細書に含まれるものとする)に開示の ものがある(例:配列番号50)。 GDNFアミノ酸配列の特異的突然変異には、糖付加部位への修飾が関与する 場合がある(例:セリン、トレオニンまたはアスパラギン)。糖付加の不在また はごく一部の糖付加は、アスパラギン連結糖付加認識部位あるいはO−連結炭水 化物付加によって修飾された分子のいずれかの部位でのアミノ酸の置換または欠 失によって生じる。アスパラギン連結糖付加認識部位は、適切な細胞糖付加酵素 によって特異的に認識されるトリペプチド配列を有する。そのトリペプチド配列 は、Asn−Xaa−ThrまたはAsn−Xaa−Serのいずれかであり、 その場合XaaはPro以外のアミノ酸である。糖付加認識部位の第1または第 3のアミノ酸位置の一方または両方での各種のアミノ酸置換または欠失(および /または第2位置でのアミノ酸欠失)により、修飾トリペプチド配列での非糖付 加が生じる。そうして、適切に変化させたヌクレオチド配列の発現によって、そ の部位で糖付加していない変種が得られる。別法として、GDNFアミノ酸配列 を変えることで、糖付加部位を加えることができる。 突然変異誘発のためのGDNFアミノ酸残基または領域を確認するための一つ の方法は、カニンガムらの報告に記載の「ア ラニン走査突然変異誘発」と呼ばれるものである(Cunninghamand Wells,Scien ce,244:1081-1085,1989)。この方法では、中性または負電荷を持つアミノ酸 (最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)によって、アミノ酸残基または 標的残基群(例:Arg、Asp、His、LysおよびGluなどの電荷を持 つ残基)が確認・置換されて、細胞内外の周囲の水性環境とそれらアミノ酸との 相互作用に影響を与える。次に、置換部位に追加の残基または別の残基を導入す ることで、置換基に対する官能基的感受性を示すそれらのドメインを強化する。 そうして、アミノ酸配列変化を導入するための標的部位を決定し、DNA配列の 相当する標的コドンまたは領域についてアラニン走査または無作為突然変異誘発 を行い、発現されたGDNF変異体を、所望の活性および活性度の最適な組み合 わせについてスクリーニングする。 置換突然変異誘発に関して最も興味深い部位には、各種生物からのGDNF蛋 白で認められるアミノ酸が、側鎖の大きさ、電荷および/または疎水性に関して かなり異なる部位などがある。他の興味深い部位としては、各種動物から得られ たGDNF様蛋白の特定の残基が同一である部位である。そのような位 置は一般に、蛋白の生理活性にとって重要である。最初に、これらの部位を比較 的保存的な方法で置換する。そのような保存的置換を、好ましい置換という見出 しの下に表1に示してある。そのような置換によって生理活性の変化が生じる場 合、より大幅な変化(置換例)を導入するか、ないしは他の付加または欠失を行 うことができ、得られる生成物について活性のスクリーニングを行う。 表1 アミノ酸置換 最初の残基 好ましい置換 置 換 例 Ala(A) Val Val;Leu;Ile Arg(R) Lys Lys;Gln;Asn Asn(N) Gln Gln;His;Lys;Arg Asp(D) Glu Glu Cys(C) Ser Ser Gln(Q) Asn Asn Glu(E) Asp Asp Gly(G) Pro Pro His(H) Arg Asn;Gln;Lys;Arg Ile(I) Leu Leu;Val;Met;Ala;Phe;ノルロイシン Leu(L) Ile ノルロイシン;Ile;Val;Met;Ala;Phe Lys(K) Arg Arg;Gln;Asn Met(M) Leu Leu;Phe;Ile Phe(F) Leu Leu;Val;Ile;Ala Pro(P) Gly Gly Ser(S) Thr Thr Thr(T) Ser Ser Trp(W) Tyr Tyr Tyr(Y) Phe Trp;Phe;Thr;Ser Val(V) Leu Ile;Leu;Met;Phe;Ala;ノルロイシン アミノ酸配列に対する保存的修飾(およびコード核酸配列に対応する修飾)は 、天然のGDNFのものと類似の機能的・化学的特性を有するGDNF蛋白産生 物を生成すると予想される。それとは対照的に、GDNF蛋白産生物の機能的お よび/または化学的特性における実質的な修飾は、(a)例えばシート状または らせん状コンホメーションとしての置換領域におけるポリペプチド骨格鎖の構造 、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、あるいは(c)側鎖の大きさ の維持に対する効果において大きく異なる置換を選択することで行うことができ る。天然の残基は、一般的な側鎖性質に基づいて以下のように群分けされる。 1)疎水性:ノルロイシン、Met、A1a、Val、Leu、Ile: 2)中性親水性:Cys、Ser、Thr; 3)酸性:Asp、Glu; 4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg; 5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および 6)芳香族:Trp、Tyr、Phe 非保存的置換では、これら分類のある群のものを別のものに 交換する場合がある。そのような被置換残基は、他のTGF−βスーパーファミ リー蛋白と相同性であるGDNF蛋白の領域あるいはその分子の非相同性領域に 導入することができる。B.GDNF誘導体 GDNFまたはGDNF変異体の化学修飾誘導体は、本明細書の開示を考慮し て、当業者であれば製造することができる。誘導体化に最も好適な化学部分には 、水溶性ポリマーなどがある。水溶性ポリマーは、それが付着している蛋白が生 理的環境などの水系環境で沈殿しないことから望ましい。好ましくはそのボリマ ーは、治療薬または治療用組成物の製造において医薬的に許容されるものである 。当業者であれば、ポリマー/蛋白接合体が治療に使用可能か否か、そして使用 可能であれば望ましい用量、循環時間、蛋白分解に対する耐性および他の検討事 項などの検討事項に基づいて望ましいポリマーを選択することができる。誘導体 化の有効性は、望ましい剤型で(すなわち、浸透ポンプにより、あるいはより好 ましくは注射もしくは注入により、さらには経口投与、肺投与その他の投与経路 用に製剤されたものにより)誘導体を投与し、その有効性を測定することで確認 することができる。 好適な水溶性ポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレング リコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デ キストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジ オキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキソラン、エチレン/無水マレイン酸共 重合体、ポリアミン酸類(ホモポリマーまたはランダム共重合体)、ならびにデ キストランもしくはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポ リプロピレングリコールホモポリマー類、ポリプロピレンオキサイド/エチレン オキサイド共重合体、ポリオキシエチル化多価アルコール類(例:グリセリン) 、ポリビニルアルコールならびにそれらの混合物があるが、これらに限定される ものではない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中で安定で あることから、製造において有利であると考えられる。 ポリマーの分子量に制限はなく、分岐であっても直鎖であっても良い。ポリエ チレングリコールの場合、好ましい分子量は、取り扱いやすさおよび製造しやす さから、約2kDa〜約100kDaの範囲である(「約」という用語は、ポリ エチレングリコールの調製において、一部の分子の分子量が指定の分子量よ り大きく、一部の分子ではそれより小さかったりすることを示している)。所望 の治療プロファイルに応じて(例:所望の徐放期間、生理活性がある場合はその 生理活性に対する効果、取り扱いやすさ、抗原性の程度もしくはその欠如、なら びに治療効果のある蛋白もしくは変異体に対するポリエチレングリコールの他の 既知の効果)、それ以外の大きさのものを用いることができる。 そうして付着するポリマー分子の数は多様であることができ、当業者であれば 、機能上の効果を確認することができる。モノ誘導体化を行うことができたり、 あるいは同一もしくは異なる化学部分によって、ジ、トリ、テトラまたは数個の 組み合わせの誘導体化を行うことが可能である(例:分子量の異なるポリエチレ ングリコール類などのポリマー)。蛋白(もしくはペプチド)分子に対するポリ マー分子の割合は、それらの反応混合物中での濃度同様に変動するものである。 一般に、所望の誘導体化程度(例:モノ、ジ、トリなど)、選択されるポリマー の分子量、そのポリマーが分岐であるか直鎖であるか、反応条件などの因子によ って、至適比率(過剰の未反応の蛋白やポリマーがない反応の効率に関して)を 決定する。 ポリエチレングリコール分子(または他の化学部分)は、蛋白の機能性または 抗原性ドメインに対する効果を考慮して蛋白に付着させなければならない。当業 者が使用可能な付着方法が多くある。例えば、EP0401384号(引用によ って本明細書に含まれるものとする)(PEGのG−CSFへの結合)、マリク らの報告(Malik et al.,Exp.Hematol.,20:1028-1035,1992;塩化トレシル( tresyl chloride)を用いるGM−CSFのPEG化について報告)などがある 。例えばポリエチレングリコールは、遊離のアミノ基またはカルボキシル基など の反応性基を介してアミノ酸残基によって共有結合的に結合することができる。 反応性基とは、活性化ポリエチレングリコール分子が結合し得る基である。遊離 アミノ基を有するアミノ酸残基には、リジン残基およびN末端アミノ酸残基など があり得る。遊離カルボキシル基を有するものには、アスパラギン酸残基、グル タミン酸残基、C末端アミノ酸残基などがあり得る。ポリエチレングリコール分 子を付着させるための反応性基として、メルカプト基を使用することもできる。 治療のためには、N末端またはリジン基での付着などのアミノ基での付着が好ま しい。受容体結合が望ましい場合、受容体結合にとって重要な残基で の付着は避けるべきである。 特にN末端で化学修飾された蛋白が望ましい場合がある。本発明の組成物を説 明する上でポリエチレングリコールを用いる場合、各種のポリエチレン分子(分 子量、分岐などによって)、反応混合物中の蛋白(もしくはペプチド)分子に対 するポリエチレングリコール分子の割合、実施するPEG化反応の種類、選択さ れるN末端PEG化蛋白を得る方法から選択することができる。N末端PEG化 品を得る方法は(すなわち、必要に応じてこの部分を他のモノPEG化部分と分 離する方法)、PEG化蛋白分子群からのN末端PEG化品の精製によるもので ある。選択的N末端化学修飾は、特定蛋白における誘導体化に使用可能な各種1 級アミノ基(リジンとN末端)の反応性差を利用する還元的アルキル化によって 行うことができる。適切な反応条件下で、含カルボニル基ポリマーによるN末端 での蛋白の実質的に選択的な誘導体化を行う。例えば、リジン残基のε−アミノ 基と蛋白のN末端残基のα−アミノ基との間のpKa差を利用できるpHで反応 を行うことで、蛋白をN末端で選択的にPEG化することができる。そのような 選択的誘導体化によって、蛋白への水溶性ポリマーの付着が調節され、ポリマー との接合 が蛋白のN末端で支配的に起こり、リジン側鎖アミノ基などの他の反応性基には ほとんど変化が起こらない。還元的アルキル化を用いると、水溶性ポリマーは上 記の種類のものになると考えられ、蛋白への結合のための1個の反応性アルデヒ ドを有するはずである。1個の反応性アルデヒドを有するポリエチレングリコー ルプロピオンアルデヒドを使用することができる。 本発明は、1以上のポリエチレングリコール分子に連結した原核生物発現GD NFである誘導体またはそれの変異体の使用、ならびアシル結合またはアルキル 結合を介して1以上のポリエチレングリコール分子に付着したGDNFまたはそ れの変異体の使用を想到するものである。 PEG化は、当業界で公知のいずれかのPEG化反応によって行うことができ る。それには各種文献がある(例:Focus onGrowth Factors,3(2):4-10,1992 ;EP 0154316 号(引用によって本明細書に含まれるものとする);EP 0401384 号;ならびにPEG化に関連する本明細書で引用の他の刊行物)。PEG化は、 反応性ポリエチレングリコール分子(または類縁の反応性水溶性ポリマー)との アシル化反応またはアルキル化反応によって行うことができる。 アシル化によるPEG化には通常、ポリエチレングリコールの活性エステル誘 導体とGDNF蛋白もしくは変異体との反応が関与する。公知の反応性PEG分 子または今後発見される反応性PEG分子を用いて、GDNF蛋白または変異体 のPEG化を行うことができる。好ましい活性化PEGエステルは、N−ヒドロ キシコハク酸イミドにエステル化したPEGである。本明細書で使用する場合の 「アシル化」とは、治療効果のある蛋白とPEGなどの水溶性ボリマーとの間の アミド、カーバメート、ウレタンなどの形の連結(これらに限定されるものでは ないが)を含むものと理解される(Bioconjugate Chem.,5:133-140,1994 参照 )。反応条件は、PEG化分野で公知のものあるいは今後開発されるものから選 択することができるが、修飾対象のGDNFまたは変異体を失活させると考えら れる温度、溶媒およびpHの条件は回避しなければならない。 アシル化によるPEG化は、ポリPEG化GDNF蛋白または変異体を生じる のが一般的である。好ましくは、連結結合はアミドとする。さらに好ましくは、 得られる生成物は、実質的にモノ、ジまたはトリPEG化したもののみとする( 例:>95%)。しかしながら、使用される具体的反応条件に応じて、 PEG化度がそれより高い一部化学種数種が、いくらか形成される可能性がある 。所望に応じて、特に透析、塩析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、 ゲル濾過クロマトグラフィーおよび電気泳動などの標準的精製方法によって、混 合物、特には未反応化学種から、より精製されたPEG化物を分離することがで きる。 アルキル化によるPEG化には、還元剤存在下でのPEGの末端アルデヒド誘 導体とGDNF蛋白もしくは変異体との反応が関与する。アルキル化によるPE G化によっても、ポリPEG化GDNF蛋白もしくは変異体が得られる。さらに 、反応条件を操作して、実質的にGDNF蛋白もしくは変異体のN末端のa−ア ミノ基のみでのPEG化を指向するようにすることができる(すなわち、モノP EG化蛋白)。モノPEG化またはポリPEG化のいずれの場合も、PEG基は 好ましくは、−CH2−NH−基を介して付着させる。−CH2−基について特に 言及すれば、この種の連結を本明細書で「アルキル」連結と称する。 還元的アルキル化を介しての誘導体化によるモノPEG化生成物取得では、誘 導体化に利用可能な各種1級アミノ基(リジ ンとN末端)の反応性の差を利用する。その反応は、リジン残基のε−アミノ基 と蛋白のN末端残基のα−アミノ基との間のpKa差を利用できるpHで反応を 行う。そのような選択的誘導体化によって、アルデヒドなどの反応性基を有する 水溶性ポリマーの蛋白への付着が調節され、ポリマーとの接合が蛋白のN末端で 支配的に起こり、リジン側鎖アミノ基などの他の反応性基にはほとんど変化が起 こらない。重要な1態様では本発明は、モノポリマー/GDNF蛋白(または変 異体)接合体分子の実質的に均質な製造物(すなわち、ポリマー分子が実質的に 1ヶ所のみ(すなわち>95%)で付着しているGDNF蛋白または変異体)の 使用を想到するものである。より具体的には、ポリエチレングリコールを使用す る場合、本発明は、抗原性となり得る連結基を持たず、GDNF蛋白もしくは変 異体に直接結合したポリエチレングリコール分子を有するPEG化GDNF蛋白 もしくは変異体の使用を含むものでもある。 そこで、本発明に従って使用されるGDNF蛋白産生物には、PEG基がアシ ル基もしくはアルキル基を介して付着したPEG化GDNF蛋白もしくは変異体 などがあり得ることが想到される。前述のように、そのような生成物はモノPE G化または ポリPEG化されたものであることができる(例えば2,6−PEG基および好 ましくは2,5−PEG基を含む)。PEG基は、アミノ酸のα−アミノ基また はε−アミノ基で蛋白に付着するが、好適な反応条件下にPEG基に付着するだ けの反応性を有する蛋白に付着のアミノ基にPEG基を付着させ得ることも想到 される。 アシル化法およびアルキル化法の両方で使用されるポリマー分子は、上記の水 溶性ポリマーから選択することができる。選択されるポリマーは修飾して、アシ ル化用の活性エステルまたはアルキル化用のアルデヒドなどの1個の反応性基を 有するようにして、好ましくは本発明の方法に対して提供されるように重合度を 制御できるようにしなければならない。反応性PEGアルデヒドの例としては、 水安定性のポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、あるいはそれのモノ C1〜C10アルコキシもしくはアリールオキシ誘導体がある(米国特許5252 714号)。そのポリマーは分岐でも直鎖であっても良い。アシル化反応の場合 、選択されるポリマーは、1個の反応性エステル基を持つものでなければならな い。本発明での還元的アルキル化では、選択されるポリマーは、1個の反応性ア ルデヒド 基を持つものでなければならない。天然のグリコシル残基は哺乳動物組換え発現 系によって比較的容易に得られることから、水溶性ポリマーは天然グリコシル残 基からは選択されない。そのポリマーの分子量については制限はなく、分岐また は直鎖であることができる。 本発明での使用に特に好ましい水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコールで ある。本明細書で使用する場合、ポリエチレングリコールとは、モノ−(C1〜 C10)アルコキシまたはアリールオキシポリエチレングリコールなどの他の蛋白 を誘導体化するのに使用されているいずれの形態のPEGも含むものとする。 一般に、化学的誘導体化は、活性化ポリマー分子と生理活性物質とを反応させ るのに使用される好適な条件下に実施することができる。PEG化GDNF蛋白 または変異体を製造する方法は、(a)GDNF蛋白もしくは変異体を、その蛋 白が1以上のPEG基に付着する条件下にポリエチレングリコール(PEGの反 応性エステルもしくはアルデヒド誘導体など)と反応させる段階、ならびに(b )反応生成物を得る段階とを有するものである。一般に、アシル化反応の最適反 応条件は、公知のパラメ ータおよび所望の結果に基づいて個別に決定される。例えば、PEG:蛋白の比 が大きいほど、ポリPEG化生成物のパーセントが高くなる。 還元的アルキル化によって実質的に均質なモノポリマー/GDNF蛋白(また は変異体)接合体分子群を得る工程では、(a)GDNF蛋白または変異体のア ミノ末端でのα−アミノ基の選択的修飾を可能とするのに好適なpHで、還元的 アルキル下条件下に、GDNF蛋白または変異体を反応性PEG分子と反応させ る段階、ならびに(b)反応生成物を得る段階がある。 モノポリマー/GDNF蛋白(または変異体)接合体分子の実質的に均質な群 の場合、還元的アルキル化反応条件は、水溶性ポリマー部分のGDNF蛋白もし くは変異体のN末端への選択的付着を可能とする条件である。そのような反応条 件は通常、リジンアミノ基とN末端のα−アミノ基の間でpKa差を与える(p Kaとは、アミノ酸の50%がプロトン化され、50%がプロトン化されないp Hである)。pHはさらに、使用されるポリマー/蛋白比にも影響を与える。一 般に、pHが低いと、蛋白に対してより過剰のポリマーを使用することが望まし い (すなわち、N末端α−アミノ基の反応性が低いと、至適条件を得るのに必要な ポリマーの量が増える)。pHが高いと、ポリマー:蛋白比は大きくする必要は ない(すなわち、より多くの反応性基が使用可能となることから、必要なポリマ ー分子が少なくなる)。本発明においては、pHは通常3〜9の範囲、好ましく は3〜6の範囲となる。 別の重要な検討事項はポリマーの分子量である。一般に、ポリマーの分子量が 大きくなるほど、蛋白に付着し得るポリマー分子は減少する。同様に、それらの パラメータを至適化する場合には、ポリマーの分岐を考慮しなければならない。 一般に、分子量が大きいほど(あるいは分岐が多いほど)、ポリマー:蛋白比は 大きくなる。一般に、本発明で想到されるPEG化反応の場合、好ましい平均分 子量は約2kDa〜約100kDaである。好ましい平均分子量は約5kDaか ら約50kDaであり、特に好ましくは約12kDa〜約25kDaである。水 溶性ポリマー/GDNF蛋白もしくは変異体の比は1:1〜100:1の範囲で あり、好ましくは(ポリPEG化の場合)1:1〜20:1および(モノPEG 化の場合)1:1〜5:1である。 上記で示した条件を用いると、還元的アルキル化によって、アミノ末端にα− アミノ基を有するGDNF蛋白もしくは変異体に対するポリマーの選択的付着、 ならびにモノポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体の実質的に均質 なものが得られる。「モノポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体」 という用語は本明細書では、GDNF蛋白またはGDNF変異体蛋白の分子に付 着した1個のポリマー分子を含む組成物を意味するものとして用いられる。モノ ポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体は好ましくは、リジンアミノ 側鎖基にではなく、N末端に位置するポリマー分子を有する。その製造物は好ま しくは、モノポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体が90%超、よ り好ましくはモノポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体が95%超 であり、残りの観察される分子は未反応物である(すなわち、ポリマー部分のな い蛋白)。 本発明における還元的アルキル化では、還元剤は水溶液中で安定であり、好ま しくは還元的アルキル化の初期の工程で生成するシッフ塩基のみを還元できるも のでなければならない。好ましい還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水 素化ホウ 素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボランおよびピリジン ボランから選択することができる。特に好ましい還元剤はシアノ水素化ホウ素ナ トリウムである。溶媒、反応時間、温度などの他の反応パラメータならびに生成 物の精製手段は、水溶性ポリマーによる蛋白の誘導体化に関係する発表データに 基づいて個別に決定することができる(本明細書に引用の刊行物参照)。C.GDNF蛋白産生物医薬組成物 GDNF蛋白産生物医薬組成物は代表的には、治療上有用量のGDNF蛋白産 生物を1以上の医薬的および生理的に許容される製剤材料との混合で含有する。 好適な製剤材料には、酸化防止剤、保存剤、着色剤、芳香剤および希釈剤、乳化 剤、懸濁剤、溶媒、充填剤、増量剤、緩衝剤、放出ビヒクル、希釈剤、賦形剤お よび/または医薬補助剤などがあるが、これらに限定されるものではない。例え ば、好適なビヒクルには、注射用水、生理食塩水または人工CSFなどが挙げら れるが、これらには非経口投与用の組成物に一般的な他の材料を補充することも できる。さらに別の例としては、中性緩衝生理食塩水または血清アルブミンと混 合した生理食塩水がある。 ビヒクル中の主要な溶媒は、性質上水系または非水系であることができる。さ らにビヒクルは、製剤のpH、浸透圧、粘度、清澄度、色、無菌性、安定性、溶 解速度または臭気を調整または維持するための医薬的に許容される他の賦形剤を 含有していても良い。同様にビヒクルは、GDNF蛋白産生物の放出速度を調整 または維持したり、あるいは眼球の膜を通ってのGDNF蛋白産生物の吸収もし くは浸透を促進するためのさらに他の医薬的に許容される賦形剤を含有すること ができる。そのような賦形剤は、単位用量または複数用量製剤での非経口投与剤 を製剤するのに一般的かつ慣例的に使用される物質である。 治療用組成物を製剤したら、それを液剤、懸濁液、ゲル、乳剤、固体剤または 脱水もしくは凍結乾燥粉剤として無菌瓶に保管することができる。そのような製 剤は、そのまま使用できる形で、あるいは例えば凍結乾燥品などの投与に先だっ て再生する必要のある形態で保存することができる。 最適な医薬製剤は、投与経路および所望の用量などの検討事項に応じて当業者 が決定する(Remington's PharmaceuticalSciences,18th Ed.,1990,Mack Pub lishing Co.,Easton,PA18042,pp.1435-1712 参照;これは引用によって本明 細書に含 まれるものとする)。そのような製剤は、本発明のGDNF蛋白、変異体および 誘導体の物理的状態、安定性、in vivoでの放出速度およびin vivoでのクリアラ ンス速度に影響を与える場合がある。 非経口徐放製剤、吸入薬ミストまたは経口活性製剤などの他の有効な投与製剤 も含まれる。例えば、持続性放出製剤では、GDNF蛋白産生物をポリマー化合 物(ポリ酢酸、ポリグリコール酸など)またはリポソームの粒子状製剤に結合さ せるか組み込むことができる。ヒアルロン酸も使用することができ、循環系にお ける持続期間を促進する効果を有する場合がある。GDNF蛋白産生物医薬組成 物はさらに、例えば眼内注入または注射によって非経口投与用に製剤することが でき、徐放性または持続性の循環製剤などもあり得る。そのような非経口投与治 療組成物は代表的には、医薬的に許容されるビヒクルに入ったGDNF蛋白産生 物を含む発熱物質を含まない非経口的に許容される水溶液の形である。一つの好 ましいビヒクルは、無菌蒸留水である。 GDNF蛋白産生物を含むある種の製剤は経口投与するものであることも想到 される。その形で投与されるGDNF蛋白産 生物はカプセル剤とすることができ、固体製剤の配合で一般に使用される担体を 含んでまたは含まずに製剤できる。そのカプセルは、生物学的利用能が最大とな り、前全身分解がわずかである時点で消化管の所定の箇所で製剤の活性部分を放 出するよう設計することができる。別の賦形剤を含有させて、GDNF蛋白産生 物の吸収を促進することができる。希釈剤、芳香剤、低融点ロウ、植物油、潤滑 剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤および結合剤を用いることもできる。 点眼液、懸濁液および軟膏などの局所眼科製剤が当業者には公知である(Remi ngton's Pharmaceutical Sciences,18thEdition,Chapter 86,pp.1581-1592, Mack Publishing Company,1990)。他の投与形態が利用でき、それには眼内注 射(前眼房に直接または硝子室に直接注射することができる)、結膜下注射およ び眼球後注射などがあり、そのような形態の投与に好適な眼科製剤を製造するた めの方法および手段も公知である。 本願で使用する場合、「眼球外」という用語は、眼球表面および眼球と眼瞼の 間の(外部)空間を指す。眼球外領域の例としては、眼瞼円蓋または盲嚢(cul- de-sac)、結膜表面および角膜表面などがある。その箇所はいずれの眼球組織に とっても 外部であり、その領域の処置には侵襲的方法は必要ない。眼球外系の例としては 、その領域に治療用物質を放出するために用いることができる挿入物ならびに「 局所」投与点眼液、ゲルまたは軟膏などがある。眼球外医療機器は通常、患者に よってさえ容易に取り外すことができる。 ヒグチら(Higuchi et al.)の米国特許3981303号、3986510号 および3995635号(薬剤を含有する生物分解性眼球挿入物)には、眼球外 領域に薬剤を投与するのに使用される眼球外系が開示されている。その挿入物は 、眼球の盲嚢、すなわち眼球と眼瞼の間の眼球外空間で保持されるよう各種形状 のものとすることができる。いくつかの一般的な生物適合性ボリマーが、その機 器を製造する上で使用するのに好適なものとして開示されている。そのポリマー には、アルギン酸亜鉛、ポリ(乳酸)、ボリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水 物)およびポリ(グリコール酸)などがある。上記の特許ではさらに、薬剤への 浸透が少ない膜コーティング機器および製剤を保持する中空室についても記載さ れている。 米国特許4217898号(Theeuwes)には、薬剤の徐放投与に使用される微 孔性貯液物が開示されている。この機器は、 眼球盲嚢に眼球外で取り付けられる。興味深いポリマー系には、ポリ(塩化ビニ ル)−コポリ(酢酸ビニル)共重合体がある。カウフマン(Kaufman)は、米国 特許4865846号および4882150号において、結膜嚢用の少くとも1 つの生物侵食性材料または軟膏担体を含む眼球薬放出系を開示している。その特 許には、好適な放出系として、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ( ビニルアルコール)および架橋コラーゲンなどのポリマー系が開示されている。 網膜の疾患または損傷の治療におけるGDNF蛋白産生物の本明細書に記載の 使用においては、局所投与用眼科製剤に、眼球への治療薬の浸透または輸送を促 進する薬剤を含有させることも有利である。そのような薬剤は当業界では公知で ある。例えば米国特許5221696号(Ke et al.)は、角膜を通っての眼科 製剤の浸透を促進する材料の使用を開示している。 眼内系とは、眼球自体の組織層内、その間あるいはその周囲におけるいずれの 組織区画での使用にも好適な系である。そのような箇所には、結膜下(眼球に隣 接する眼球粘膜の下)、眼窩(眼球の背後)および眼房内(眼球自体の房内)な どがある。眼球外系とは対照的に、この領域に処置を行うには、注射また は植え込みからなる侵襲的方法が必要である。 以下の特許が、眼内機器を開示している。米国特許4853224号(Wong) には、眼房に投与するための微小カプセル封入薬剤が開示されている。この系で 使用されるポリマーには、ポリエステルおよびポリエーテルがある。米国特許4 863457号(Lee)には、治療薬の徐放のために手術によって眼内に植え込 む生物分解性機器が開示されている。その機器は、結膜(眼球の粘膜)下へ手術 によって植え込むものである。米国特許4188373号(Krezancaki)には、 ヒトの体温でゲル化する医薬ビヒクルが開示されている。このビヒクルは薬剤お よびガムまたはセルロース由来合成誘導体の水系懸濁液である。米国特許447 4751号および4474752号(Haslam etal.)には、室温で液体で体温で ゲル化するポリマー−薬剤系が開示されている。この系で使用される好適なポリ マーには、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンなどがある。米国特 許5384333号(Davis et al.)には、長期薬剤放出を行う生物分解性注射 薬放出ポリマーが開示されている。その薬剤組成物は、生物分解性ポリマー基体 に医薬的に活性な薬剤を含ませたものであり、その場合ポリマー基体は20℃〜 37℃ の範囲の温度で固体であり、38℃〜52℃の範囲の温度で流動性である。その 薬剤運搬ポリマーは、可溶性または液体の薬剤製剤の放出のみに限定されるもの ではない。例えば、そのポリマーを、薬剤を含むミクロスフェア、リポソームそ の他の粒子結合薬剤を注射部位で安定化および保持するための基材として使用す ることができる。 眼内注射に特に好適なビヒクルとしては無菌蒸留水があり、それでGDNF蛋 白産生物を適切に保存処理された無菌の等張液として製剤する。さらに別の眼科 製剤では、蛋白の徐放または持続性放出を行う注射可能なミクロスフェアまたは リポソームなどの薬剤を用いてのGDNF蛋白産生物の製剤を行うことができ、 それを蓄積注射として投与する。GDNF蛋白産生物の眼内投与に好適な他の手 段としては、GDNF蛋白産生物を含む植え込み可能な薬剤投与機器などがある 。 本発明の眼科製剤、特に局所投与製剤には、例えば眼科的に許容される保存剤 、等張化剤、共溶媒、湿展剤、錯化剤、緩衝剤、抗菌剤、酸化防止剤および界面 活性剤などの当業界では公知の他の成分を含有させることができる。例えば好適 な等張性促進剤には、アルカリ金属ハライド(好ましくは塩化ナトリウ ムまたは塩化カリウム)、マニトール、ソルビトールなどがある。十分な等張性 促進剤を加えることで、点眼する製剤が低張または実質的に等張となるようにす ることが有利である。好適な保存剤には、塩化ベンザルコニウム、チメロサール 、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジ ン、ソルビン酸などがあるが、これらに限定されるものではない。過酸化水素も 、保存剤として使用することができる。好適な共溶媒には、グリセリン、プロピ レングリコールおよびポリエチレングリコールなどがあるが、これらに限定され るものではない。好適な錯化剤には、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β− シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなどが ある。好適な界面活性剤または湿展剤には、ソルビタンエステル類、ポリソルベ ート80などのポリソルベート類、トロメタミン、レシチン、コレステロール、 チロキサポールなどがあるが、これらに限定されるものではない。緩衝剤として は、ホウ酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、重炭酸塩またはトリス−HClなどの従 来の緩衝剤を用いることができる。 これら製剤成分は、眼球外または眼内の投与部位に許容され る濃度で存在させる。例えば、緩衝剤を用いて、組成物を生理的pHまたはそれ よりわずかに低いpH、代表的には約5〜約8の範囲のpHに維持する。 別の製剤成分には、眼球外投与治療薬の長期眼球滞留を行うことで、局所接触 を高め、吸収を促進する材料などがあり得る。好適な材料には、眼科製剤の粘度 を上昇させるポリマーまたはゲル形成材料などがある。キトサンは、持続性液体 眼科薬製剤における眼球放出速度調節剤として特に好適な材料である(米国54 22116号;Yen et al.)。眼球での眼科治療薬の放出調節(例:持続性投与 および長期投与)における本発明の製剤の好適性は、当業界で公知の各種方法に よって決定することができる(例:Journal of Controlled Re1ease,6:367-373 ,1987に記載の方法ならびにそれの変法)。 さらに別の眼科製剤では、有効量のGDNF蛋白産生物を、錠剤の製造に好適 な無毒性の眼科的に許容される賦形剤との混合物で用いることができる。無菌水 その他の適切な媒体に錠剤を溶かすことで、眼科液剤を単位製剤にて得ることが できる。好適な賦形剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナ トリウム、乳糖またはリン酸カルシウムなどの不活性 希釈剤;あるいはデンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤;あるいはス テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの潤滑剤などがあるが 、これらに限定されるものではない。D.GDNF蛋白産生物の投与/放出 GDNF蛋白産生物は、皮下投与、筋肉投与、静脈投与、経肺投与、経皮投与 、くも膜下投与または脳内投与によって非経口的に投与することができる。眼科 的状態の治療の場合、GDNF蛋白産生物を有利には、局所投与、挿入物、注射 、インプラント、細胞療法または遺伝子療法によって、前述のように眼球外また は眼球内に投与することもできる。例えば、生物分解性ポリマー基体に包埋され た神経栄養因子を含む徐放性インプラントは、GDNF蛋白産生物を放出するこ とができる。GDNF蛋白産生物は、化学修飾または組み合わせた形で脳外で投 与して、それが血液−脳関門を通過するようにできるか、あるいはGDNF蛋白 産生物による関門通過を促進する能力を有する1以上の薬剤とともにそれを投与 することができる。同様に、GDNF蛋白産生物を眼内投与できるか、あるいは GDNF蛋白産生物の眼球膜を通っての通過または輸送を促進する能力を 有する1以上の薬剤と組み合わせて眼球外に投与することができる。投与の頻度 は、製剤されたGDNF蛋白産生物の薬物動態パラメータならびに投与経路によ って決まる。 具体的な用量は、体重、体表面積または臓器の大きさを考慮して計算すること ができる。上記各製剤が関与する投与に適した用量を決定するのに必要な計算を さらに詳細に行うことは、当業者が通常行うことであり、特に本明細書に開示の 用量データおよびアッセイを考慮すれば、通常行う業務の範囲内である。適切な 用量−応答データとともに、使用用量を決定するための既存のアッセイを用いて 、適切な用量を確認することができる。本発明の現在好ましい実施態様によれば 、GDNF蛋白産生物は最も有利には、約0.001mg/日〜10mg/日の 用量で、好ましくは約0.01mg/日〜1mg/日の用量で、最も好ましくは 約0.1mg/日〜0.5mg/日の用量で眼内投与する。眼内投与製剤で使用 される用量は、全身投与または経口投与で使用される用量と比較して非常に小さ いことは、当業者には明らかであろう。 上記の状態の治療方法に関与する最終的な投与計画は、患者の年齢、状態、体 重、性別および食事、感染の重度、投与時間 ならびに他の臨床的要素などの薬剤作用に影響を与える各種要素を考慮して、担 当医が決定する。試験を行うことで、各種疾患および状態の治療に適した用量レ ベルに関してさらにデータが得られる。 ある種の治療には、GDNFの連続投与または徐放が有利であることが考えら れる。連続投与は注入ポンプなどの機械的手段を介して行うことができるが、連 続投与またはほぼ連続投与の他の形態も想到される。例えば、化学的誘導体化ま たはカプセル封入によって、所定の投与計画に基づいて、予想可能な量にて、連 続的存在の効果を有する蛋白の持続製剤を得ることができる。そのように、GD NF蛋白産生物には、そのような連続投与を行うために、誘導体化その他の形で 製剤された蛋白も含まれる。 GDNF蛋白産生物を産生する細胞の眼内植え込みなどのGDNF蛋白産生物 細胞療法も想到される。この実施態様では、生理活性型のGDNF蛋白産生物を 合成・分泌する能力を有する細胞を患者に植え込むものことになると考えられる 。そのようなGDNF蛋白産生物産生細胞には、GDNF蛋白産生物の天然産生 体である細胞(B49神経膠芽細胞腫細胞に類似のも の)や、あるいは発現および分泌を促進するのに好適なベクターで所望のGDN F蛋白産生物をコードする遺伝子を形質転換することでGDNF蛋白産生物を産 生する能力が高められた組換え細胞などがあり得る。異種動物のGDNF蛋白産 生物投与を受ける患者における免疫反応の可能性を低下させるため、GDNF蛋 白産生物を産生する天然細胞はヒト起源のものとし、ヒトGDNF蛋白産生物を 産生するようにすることが好ましい。同様に、GDNF蛋白産生物を産生する組 換え細胞を、ヒトGDNF蛋白産生物をコードする遺伝子を含む発現ベクターで 形質転換することが好ましい。移植細胞をカプセルに入れて、周囲組織の浸潤を 回避することができる。ヒトまたはヒト以外の動物の細胞を、GDNF蛋白産生 物の放出を行うことができるが患者の免疫系などの周囲組織からの他の有害要素 によるその細胞の破壊を防止する生物適合性で半透性のポリマー性封入物または 膜に入れて患者に植え込むことができる。そのようなインプラントは例えば、強 膜に付着させることで、硝子体液で直接GDNF蛋白産生物を産生・放出するよ うにすることができる。 患者自身の細胞を ex vivo で形質転換することでGDNF蛋 白産生物を産生させ、カプセル封入せずに直接植え込むことも想到される。細胞 を適切なベクターによって形質転換し、患者の網膜に移植し戻して、そのニュー ロンがそこで所望のGDNF蛋白またはGDNF蛋白変異体を産生・放出するよ うにすることができる。 網膜変性の動物モデルで、網膜の疾患または損傷による欠陥細胞または喪失さ れた細胞を置換するよう計画された光受容体移植研究が行われ、奏功している( Silverman and Hughes,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.,30:1684-1690,1989; G ouras etal.,Neuro-Ophthalmol.,10:165-176,1990)。光受容体細胞をドナー 眼球から得て、本明細書に記載の方法に従って培養で維持できることが想到され る。次にその細胞を精製光受容体源として用いて、網膜下空間を介して、網膜の 疾患または損傷を患っている患者の網膜に移植することになろう。その患者には 免疫抑制療法を施して、移植細胞の免疫応答および拒絶を回避する。ex vivoで のドナー網膜をGDNFの存在下に培養して、その成長および生存を促進する。 光受容体細胞移植片に対して、移植光受容体の生存および成熟を促進するのに必 要なGDNFの硝子体内注射を行う。 核酸構築物その他の適切な搬送ベクターの局部注射を行うことで、標的網膜細 胞中にGDNF蛋白産生物をコードする遺伝子を導入することによって、in viv o でのGDNF蛋白産生物遺伝子療法も想到される(Hefti,J.Neurobiol.,25: 1418-1435,1994)。例えば、GDNF蛋白産生物をコードする核酸配列を、網 膜細胞搬送用のアデノ関連ウィルスベクターまたはアデノウィルスベクターに組 み入れることができる。別のウィルスベクターには、レトロウィルスベクター、 単純疱疹ウィルスベクターおよび乳頭腫ウィルスベクターなどがあるが、これら に限定されるものではない。リポソーム介在転写、直接注射(裸DNA)、受容 体介在転写(リガンド−DNA複合体)、電気泳動、リン酸カルシウム沈殿また は微粒子衝撃(遺伝子銃)によって、適宜に in vivo または ex vivo での物理 的転写を行うことも可能である。 生存細胞の膜カプセル封入の方法は当業者には熟知されており、患者における カプセル封入細胞の製造およびそれの植え込みは必要以上の実験を行わずに行う ことができる(例:米国特許4892538号、5011472号および510 6627号;これらはそれぞれ、引用によって具体的に本明細書に含ま れるものとする)。生存細胞をカプセル封入する系については、PCT出願WO 91/10425号(Aebischer et al.;引用によって具体的に本明細書に含ま れるものとする)に記載されている(PCT出願WO91/10470号(Aebi scher etal.);Winn et al.,Exper.Neurol.,113:322-329,1991;Aebischer et al.,Exper.Neurol.,111:269-275,1991;Trescoet al.,ASAIO,38:17-23 ,1992 も参照;これらはそれぞれ引用によって具体的に本明細書に含まれるも のとする)。別の植え込み可能な機器が、WO93/21902号(国際出願番 号PCT/US93/03850号)に記載されており、これは引用によって本 明細書に含まれるものとする。リポソーム担体、生物侵食性粒子またはビーズお よび蓄積注射などの他の各種持続性投与または徐放性投与手段を製剤する方法も 、当業者には公知である。 本明細書に記載のGDNF蛋白産生物製剤は、ヒトでの利用分野だけでなく獣 医的利用分野でも使用可能であること、ならびに「患者」という用語は限定的に 解釈されるべきではないことは留意すべき点である。獣医的利用分野では、用量 範囲は上記のものと同様であるべきである。 本発明の他の態様および利点については、以下の説明のための実施例を考慮す ることで理解されよう。これら実施例は、正常網膜ニューロンおよび突然変異網 膜ニューロンの両方に対するGDNF蛋白産生物の効果を扱うものである。さら に、これら実施例は、網膜細胞を培養するための独特の方法を示すものである。実施例 材料および方法 以下の実施例で使用される材料は、次のように得たものである。細胞培地 高グルコースダルベッコ調製イーグル培地(DMEM;#11965-092)、ハムのF 12培地(F12; #11765-021)、重炭酸ナトリウムを含まないライボビッツ(Le ibovitz)のL15培地(#41300-039)、B27培地補給剤(#17504-010)、 ペニシリン/ストレプトマイシン(#15070-014)、L−グルタミン(#25030-0 16)、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS;#14190-052)、カルシウム 塩およびマグネシウム塩を加えたハンクス液(HBSS;#24020-026)、N−2− ヒドロキシエチルピ ペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES;#15630-015)、マウスラミニ ン(#23017-015)、ウシ血清アルブミンおよび分画V(#110-18-017)はいず れも、GIBCO/BRL社から入手したものである(Grand Island,NY)。加 熱失活ウマ血清は、ハイクローン社(HyClone,Logan,Utah)から入手したもの である。ポリ−L−オルニチン臭化水素酸塩(P-3655)、ウシインシュリン(I- 5500)、ヒトトランスフェリン(T-2252)、プトレシン(P-6024)、プロゲステ ロン(P-6149)および亜セレン酸ナトリウム(S-9133)はいずれも、シグマ・ケ ミカル社(SigmaChemical Company,Saint-Louis,MO)から入手したものであ る。パパイン、デオキシリボヌクレアーゼI(DNAase)および卵白アルブミン( パパイン解離系)は、ウォーシントン・バイオケミカル社(Worthington Bioch emicals,Freehold,NJ)から入手した。ファルコン無菌96ウェルマイクロプ レート(#3072)、組織培養用プラスチック器具およびポリプロピレン製遠心管 は、ベックトン−ディッキンソン社(Beckton-Dickinson,0xnard,CA)から入 手した。ヌンク・ラブテック(Nunc Lab-Tek)組織培養チャンバーカバーグラス (#136439)は、バクスター社(Baxter,Irvine,CA)から入手した。ナイテッ クス(Nitex) 20μmナイロンメッシュ(#460)は、テトコ社(Tetko,Elmsford,NY)から 入手した。4インチ解剖鉗子および4インチ剥離鋏は、ロボズ・サージカル社(R oboz Surgical,Washington,DC)から入手した。抗体、放射性同位元素および関連の試薬 ポリクローナルウサギ抗体およびマウスモノクローナルrho4D2抗ウシロ ドプシン抗体は、ブリティッシュコロンビア大学(University of British Colu mbia,Vancouver,Canada)から入手した。ポリクローナルウサギ抗体は、桿細 胞特異的アレスチンの合成ペプチド配列 Val-Phe-Glu-Glu-Phe-Ala-Arg-Gln-Asn -Leu-Lys-Cys(配列番号2)に対するものであった。ビオチン化ウマ抗マウスI gG、ビオチン化ヤギ抗ウサギIgG、ペルオキシダーゼ接合アビジン/ビオチ ン複合体およびテキサス・レッド(Texas Red)接合ストレプトアビジン(ABC E lite;キット PK-6100)は、ベクター・ラボラトリーズ社(VectorLaboratories ,Burlingame,CA)から入手した。フルオレセイン・イソチオシアネート接合ウ サギ抗マウス免疫グロブリンは、ダコ社(Dako Corporation,Carpinteria,CA )から入手した。3’,3’−ジアミノベンジジンは、カッペル・ラボラトリー ズ社(Cappel Laboratories,West Chester,PA)から入手した。スーパーブロ ック(Superblock)遮断緩衝剤のPBS溶液(#37515)は、ピアス社(Pierce ,Rockford,IL)から入手した。トリトンX−100(X-100)、ノニデット(N onidet)P−40(N6507)および過酸化水素(30%、容量基準;H1009)はシ グマ社から入手した。L−[3,4−3H]−グルタミン酸(NET-490; 40〜8 0Ci/mmol)は、ニューイングランドニュークレア社(New England Nucl ear,Boston,MA)から入手した。オプチファーゼ・スーパーミックス(Optipha seSupermix)シンチレーションカクテルは、ワラック社(Wallac,Turku,Finla nd)から入手した。ホワイトビュープレート(WhiteViewPlate)96ウェルマイ クロプレート(#6005182)は、パッカード・インスツルーメンツ社(Packard I nstrumentsCorporation,Meriden,CT)から入手した。他の試薬はいずれも、別 段の断りがない限り、シグマ・ケミカル社(Saint-Louis,MO)から入手したも のである。培地の調製 DMEMおよびF12培地の1:1混合物として基礎培地を調製し、50倍濃 縮ストック液として加えるB27培地補給剤 を補給した。B27培地補給剤は、ビオチン、L−カルニチン、コルチコステロ ン、エタノールアミン、D(+)−ガラクトース、還元グルタチオン、リノール 酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、酢酸レチニル、セレン、T3( トリヨード−1−チロニン、DL−αートコフェロール(ビタミンE))、酢酸 DL−αートコフェロール、ウシ血清アルブミン、カタラーゼ、インシュリン、 スーパーオキシド・ジスムターゼならびにトランスフェリンからなるものである 。L−グルタミンを最終濃度約2mMで加え、ペニシリンを約100 IU/L )ストレプトマイシンを約100mg/Lで加えた。加熱失活ウマ血清を最終濃 度約2.5%で加え、D−グルコースを最終濃度約5g/Lで加え、HEPES 緩衝剤を最終濃度約20mMで加え、ウシインシュリンを最終濃度約2.5mg /mLで加え、ヒトトランスフェリンを最終濃度約0.1mg/mLで加えた。 混和後、pHを約7.3に調節し、培地を4℃に維持した。培地は使用直前に新 鮮なものを調製して、実験間の変動を小さくした。調製全体を通じてプラスチッ クのピペットおよび容器を使用して、蛋白吸着を少なくした。GDNF蛋白産生物溶液 精製ヒト組換えGDNF蛋白産生物を、ウシ血清アルブミンを5%含有する濃 度1mg/mLのD−PBS(蒸留水で調製したリン酸緩衝生理食塩水)溶液と して調製した。得られた溶液は−85℃で小分けして保存した。96ウェルマイ クロプレートで連続希釈液を調製した。10倍濃縮GDNF蛋白産生物溶液10 μLを、培地(90μL)を含む細胞培地に加えた。対照培地には、アルブミン を5%含むD−PBSを加えた(10μL)。細胞を接種してから1時間後にG DNF蛋白産生物処理を行い、場合によっては2日おきにそれを繰り返した。培養基層 基層への光受容体の付着、外節伸長および神経突起伸長を最大とするために、 以下に記載の手順に従ってポリ−L−オルニチンと次にラミニンによるその順序 でのコーティングを行うことで、マイクロタイタープレート表面(培養基層)の 修飾を行った。プレート表面を、濃度0.1mg/mLのポリオルニチンの0. 1Mホウ酸無菌溶液(pH8.4)で室温にて1時間以上完全に覆い、次にスー パー−Q水(Super-Qwater)を含む無菌洗浄液で覆った。洗浄水を吸引除去し、 1μg/mLのマ ウスラミニンのPBS溶液を加え、37℃で2時間インキュベーションした。こ れらの手順は、プレート使用の直前に行って、結果の再現性を確保するようにし た。ヒヨコおよびマウスの光受容体培養物調製 17日齢白色レグホンヒヨコ胚および5日齢C57Bl/6マウス仔(Jackso n Laboratories,Bar Harbor,Maine から入手)を断頭によって屠殺し、眼球を 無菌的に切除してL15培地に入れた(重炭酸ナトリウムを含まない)。1回の 実験当たり最大24個の眼球を処理した。眼球は1/2に切開し、水晶体および ガラス質を取り出した。網膜神経を注意深く取り出し、色素上皮が混入しないよ うに切開し、小さい(約1mm2以下)断片に刻み、氷冷D−PBSに入れた。 細胞を回収し、分離媒体(パパイン120単位およびDNAase2000単位 のHBSS溶液)10mLに移し入れた。細胞を回転台振盪器で約200rpm にて約37℃で45分間インキュベーションした。次に、細胞を火造り毛細管ピ ペットを用いた磨砕によって分散させ、20μmナイテックスナイロンメッシュ で篩って未分離の組織を廃棄し、IEC臨床遠心管を用いて200×gで5分間 遠心した。得られた細胞ペレットを、卵白アルブミンお よび約500単位のDNAaseを含むHBSSに再懸濁させ、4%卵白アルブ ミン溶液(HBSS溶液)頂部に乗せ、500×gで約10分間遠心した。最終 的に得られたペレットを完全培地(上記参照)に再懸濁させ、約15000個/ mLに調節し、ポリオルニチンおよびラミニンでコーティングしておいた96ウ ェルマイクロプレートの6mmウェルに90μLずつを接種した。細胞の付着は 急速に起こり、平板培養効率は約75%であった。成体マウス網膜からの光受容体の培養物 生後18〜39日のマウスから得た分離網膜細胞を、生後5日マウスの網膜膠 細胞またはラット網膜色素上皮細胞のあらかじめ形成しておいた単層に接種する ことで、成体光受容体培養物を得た。分離方法および培地は、上記と同様とした 。網膜膠細胞および色素上皮細胞の培養物は組織培養フラスコ(225cm2コ スター(Costar)フラスコ)で形成し、集密状態となるまで成長させた。次に、 0.1%トリプシンとともに短時間(約2分間)インキュベーションすることで 細胞を剥離させ、96ウェルマイクロタイターまたは16ウェルカバーグラスチ ャンバーで平板培養した。約3〜5日後に、分離した成体網膜 細胞を加えた。rd/rdマウス網膜からの光受容体の培養物 rd/rdC57Bl/6マウス(Jackson Laboratories,Bar Harbor,Main e)は、ホスホジエステラーゼ(外節に局在し、光変換プロセスに関与する酵素 )のβ−サブユニットにおける突然変異の発現によって生じる先天的光受容体変 性を有する。このマウスは、損傷のある光受容体に対する栄養因子の役割につい て研究する上での有用なモデルを提供する。rd/rdマウスにおける光受容体 死は生後約10日にピークがあった。rd/rd光受容体の培養物を5日齢マウ スから形成し、最大光受容体死の期間を含むように、8日間培養物の状態で保っ た。分離網膜細胞を、6mmウェル当たり約10000個の密度で、形成してお いた網膜膠細胞単層(上記参照)頂部に接種し、上記の培地で維持した。光受容体の免疫組織化学 マウス光受容体の特性決定を行うため、以下のように若干の変更を加えて、ル イスら報告の間接免疫ペルオキシダーゼ法(Louis et al.,J.Pharmacol.Exp.T herap.,262:1274-1283,1992; Science,259:689-692,1993)を行った。光受容 体の培 養物を4%パラホルムアルデヒドのD−PBS溶液(pH7.4)で室温にて約 30分間固定し、次にD−PBS(6mmウェル当たり200μL)3回洗浄し た。固定化培養物を、1%ノニデットP−40を含むスーパーブロック遮断緩衝 剤のPBS溶液中でインキュベーションして、抗体の浸透を増加させた。次に、 抗ロドプシン抗体(ウサギおよびマウス)を同じ緩衝液中1:1000〜1:4 000の希釈度で加え、培養液を回転式振盪器で37℃にて1時間インキュベー ションした。D−PBSで3回洗浄した後、光受容体結合抗体を、希釈度約1: 500のヤギ抗ウサギまたはウマ抗マウスビオチン処理IgG(Vectastain キ ット、Vector Laboratories,Burlingame,CA)を用いて検出した。その二次抗 体を、細胞とともに37℃で約1時間インキュベーションし、次に細胞をD−P BSで3回洗浄した。次に二次抗体を、1:500に希釈したアビジン−ビオチ ン−ペルオキシダーゼ複合体で標識し、細胞を37℃で約45分間インキュベー ションした。D−PBSでさらに3回洗浄した後、標識細胞培養物を、0.04 %3’,3’−ジアミノベンジジン−(HCl)4、0.06%NiCl2およ び0.02%過酸化水素を含む0.1Mトリス−HCl溶液(pH7.4) 中で5〜20分間反応させた。 2連での染色実験のため、培養物をカバーグラスチャンバーで成長させた。パ ラホルムアルデヒド固定、易透化および非特異的部位の遮断後(前述の通り)、 培養物をウサギ抗アレスチン抗体およびマウス抗ロドプシン抗体とともにインキ ュベーションした。ビオチン処理ヤギ抗ウサギIgGとさらにインキュベーショ ンし、次にテキサスレッド接合ストレプトアビジン(1:200希釈)とインキ ュベーションすることで、アレスチンを発色させた。フルオレセインイソチオシ アネート接合ウサギ抗マウスIgGとさらにインキュベーションすることで、ロ ドプシンを発色させた。テキサスレッドおよびフルオレセインに適したフィルタ ーの組み合わせを用いて、落射蛍光下に蛍光を肉眼観察した。光受容体生存の測定 マウス光受容体培養物を、上記のように固定、処理および免疫染色し、光受容 体培養物について、倍率200倍で明光学顕微鏡を用いて検査を行った。6mm ウェルの全表面積の約20%に相当する直径方向の1×6mm片1片について、 染色ニューロン数を数えた。生存光受容体は、規則正しい形状の細胞体を 特徴とし、通常は短い軸索様突起を有していた。不規則で空胞化した細胞体また は寸断された神経突起を有するなどの変性の徴候を示す光受容体は、計数から除 外した(しかしながら、変性光受容体のほとんどは、培養基層から脱離していた )。細胞数は、細胞個数/6mmウェルとして、あるいは対照細胞密度と比較し た倍数変化として表現した。神経突起分析 神経突起(すなわち、光受容体細胞体の突起)発達の形態測定分析を、マウス 網膜の6日齢培養物を用いて行った。6mmウェル当たり約10000個のニュ ーロンを含む培養物をアレスチンについて免疫染色し、明視野光学顕微鏡で調べ た。対照6mmウェル培地および投与6mmウェル培地における光受容体の無作 為に選択した視野の写真を、オプトロニクス(Optronics)ビデオカメラで撮り 、最終倍率800倍まで拡大した。デジタル化プログラム(MacMeasure 1.9)お よびパーソナルコンピュータ(Macintosh Centris 650)を利用して、タブレッ ト装置(SummaSketchII,Summagraphics Corporation,Houston,TX)に連結し たペンによって各光受容体の神経突起の長さを測定することで、神経突起の大き さを測定した。結果 実施例1 生後マウス網膜の培養物における桿状光受容体の生存および発達の促進 マウス網膜の培養物を用いて、光受容体生存に対するGDNF蛋白産生物の効 果を明らかにした。 分離した網膜細胞を、B27培地補給剤、2.5%加熱失活ウマ血清、D−グ ルコース、HEPES)インシュリンおよびトランスフェリンを補給したDME M/F12中、6mmウェル当たり約12500個の密度で、ポリオルニチン− ラミニンコーティングマイクロプレートヘ接種することで、光受容体培養物を形 成した。アレスチン(桿細胞特異的抗原)およびロドプシン(桿細胞特異的視覚 色素)免疫反応性の存在によって、光受容体を確認した。 in vitroで6日後、4%パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、哺乳動 物桿状光受容体を確認するマーカーであるアレスチンを用いて培養物中の光受容 体を免疫染色した。免疫染色後、上記のように、各種網膜細胞の存在についての 選択した視野での位相差顕微鏡検査により、光受容体(アレスチンにつ いての免疫染色後、褐色反応物によって覆われた小さい細胞として確認できる) 、ニューロンおよびミュラー膠細胞を肉眼観察した。所定の視野の明視野検査に より、アレスチン特異的合成ペプチドに対してウサギで形成した抗アレスチン抗 血清が専ら桿状光受容体に結合し、他の網膜ニューロンやミュラー膠細胞には結 合していないことが明らかになった。 アレスチン免疫反応性に基づいて、培養物中の細胞の約90%が光受容体であ ることが明らかになった。残りの細胞は、大型の多極NSE陽性ニューロンおよ びそれより小さい単極NSE陽性ニューロンであった。次に、細胞をロドプシン について免疫染色した。マウスモノクローナル抗ロドプシン抗体による免疫染色 によって測定したところ、光受容体の約50%が桿細胞視覚色素ロドプシンを発 現した。光受容体は、小さい細胞体直径、1個または2個の神経突起および場合 によっては連結毛様体を表す短い垂直突起を有する球形細胞として認められた。 このレベルの解像度では、外節形成を示す証拠はなかった。 次に、生後6日マウスの網膜培養物について、光受容体生存に対するGDNF 蛋白産生物投与の効果を評価した。光受容体培養物(10000個/6mmウェ ル)をヒト組換えGDNF 蛋白産生物(10ng/mL〜1pg/mLの範囲の10倍連続希釈液)で処理 した。6日後に培養物を固定し、アレスチンについて免疫染色した。光受容体生 存は、6mm2視野(6mmウェルの総面積の約21%)当たりのアレスチン陽 性細胞数を数えることで求めた。 GDNF蛋白産生物で処理しなかった培養物では、光受容体数は時間経過に伴 って確実に減少して、培養6日後には最初の数の約25%となった。大腸菌発現 組換えヒトGDNF蛋白産生物で培養物を処理したところ、培養6日後に生存ア レスチン陽性光受容体数に約2倍の上昇があった(図1参照;各値は、3つの培 養物の平均±標準偏差である)。GDNF蛋白産生物の効果は、約200pg/ mLで最高であり、ED50は約30pg/mLであった。 光受容体生存の促進に加えて、GDNF蛋白産生物の添加は、それの軸索様突 起(以下、神経突起と称する)の延長も刺激し、光受容体の形態的発達に対する 効果を示した。光受容体の培養物を、組換えヒトGDNF蛋白産生物(1ng/ mL)存在下または不在下に6日間インキュベーションした。次に、培養物をア レスチンについて免疫染色した。2個の独立の対照培養物 からは約715個の光受容体、2個の独立のGDNF蛋白産生物処理培養物から は710個の光受容体が写真に写り、それらについて神経突起長さを分析した。 光受容体の神経突起長さを測定することで、神経突起伸長に対するGDNF蛋白 産生物投与の効果を定量した。図2には、GDNF蛋白産生物による光受容体神 経突起伸長の促進を示してある。データは、神経突起長さの累積頻度分布プロッ トとして表してある。所定の長さ(μm単位)(横軸)より長い神経突起を有す る光受容体のパーセント(縦軸)をプロットしてある。GDNF蛋白産生物を加 えることで、未処理対照と比較して、神経突起長さの分布が高い値の方に移動し た。GDNF蛋白産生物処理培養物における一部の光受容体は、長さ約180μ mの神経突起を示したが、未処理培養物で認められた最も長い神経突起の長さは 100μmであった。GDNF蛋白産生物処理培地における光受容体の平均神経 突起長さは68μmであり、それに対して対照培養物では27μmであった。 光受容体は、二次ニューロンへの信号に対する神経伝達物質としてグルタミン 酸塩を利用する。90%を超える光受容体から成る培養物では、細胞によるグル タミン酸塩取り込みの程度 が、光受容体に存在する高親和性グルタミン酸塩再取り込み伝達部位の数および 活性を示し、従ってそれの機能的分化を反映している。GDNF蛋白産生物投与 によるグルタミン酸塩取り込みの刺激を評価して、光受容体の機能的分化に対す るそれの効果を評価した。培養物を上記のように成長させ、6日間にわたって未 処理とするかあるいは組換えヒトGDNF蛋白産生物で処理した。次に培養物に ついて[3H]−グルタミン酸塩取り込み(50nM;1.5×106dpm/m L;37℃で1時間インキュベーション)について、以下の手順に従って処理し た。グルタミン酸塩取り込みアッセイ 96ウェルマイクロプレートに形成した5日齢マウス仔からの光受容体の培養 物で、グルタミン酸塩取り込みを測定した。約120mMのNaCl、4.7m MのKCl)1.8mMのCaCl2、1.2mMのMgSO4、32mMのNa HPO4、1.3mMのEDTAおよび5.6mMのD−グルコースを含む調整 クレブス-リンガー液からなる予備加温取り込み緩衝液約100μLで培養物を 洗浄した。次に細胞を、取り込み緩衝液中約10分間にわたり37℃で前インキ ュベーションした。 次に、トリチウム化L−グルタミン酸塩(約60Ci/mmol)を、取り込み 緩衝液75μL中約50nMの濃度で培養物に加え、培養物を37℃で約60分 間インキュベーションした。インキュベーション媒体を吸引し、次に氷冷取り込 み緩衝液約120μLで3回急速洗浄することで取り込みを停止させた。次に、 オプティフェーズ・スーパーミックス(OptiphaseSupermix)シンチレーション カクテル(Wallac)200μLを加えて細胞を溶解させ、ワラック・マイクロベ ータプラス(Wallac MicrobetaPlus)96ウェルマイクロプレートカウンターを 用いて、シンチレーションスペクトル法によって放射能を測定した。結果は、d pm/6mmウェルとして、あるいは対照培地と比較した倍数変化として表して いる。 GDNF蛋白産生物は、用量依存的な形でグルタミン酸塩取り込みを刺激して いるのが認められ、最大活性は約200pg/mLに達し、ED50は約25pg /mLであった。結果を図3に示してある。各データ点は、代表的実験からの3 個のウェルについての平均±標準偏差である。2回の独立の実験で同様の結果が 得られている。結果は、光受容体の生存および形態的発達の促進に加えて、GD NFが、視覚変換プロセスにとって 必須であるグルタミン酸塩取り込みなどの神経伝達関連機能の成熟を促進するこ とを示している。実施例2 成体マウス網膜の培養物における桿状光受容体の生存および再生の促進 生後約3週間で光受容体の発達は完了する。その時期までに光受容体は、視覚 色素を含む光変換に必要な細胞機構が集中する機能性外節を形成している。成熟 ラット光受容体を18日齢網膜および39日齢網膜から分離し、1週間培養状態 に維持した。予め形成しておいた網膜膠細胞の単層の上に、そのニューロンを接 種した(密度約2500個/6mmウェル)。膠細胞は、分離した光受容体の分 離を促進し、それに対して発達に必須の栄養および因子を提供する。網膜膠細胞 とともに培養した成体光受容体を、上記の抗体法および免疫染色法を用いてアレ スチンおよびロドプシンについての二重免疫染色によって確認した。 培養物を組換えヒトGDNF蛋白産生物(0.1、1または10ng/mL) で処理した。7日後に細胞を固定し、アレスチンで免疫染色した。6mmウェル 当たりのアレスチン陽性ニ ューロン数を数えることで、光受容体生存を測定した。18日齢網膜および39 日齢網膜の両方の培養物における桿状光受容体数は、GDNF蛋白産生物で処理 した培養物の方が約3.5倍多かった(図4参照;各値は2〜3個の培養物の平 均±標準偏差である)。GDNF蛋白産生物濃度約300pg/mLで最大支持 が認められ、ED50は約40pg/mLであった。これらの結果は光受容体数変 化を示しており、従ってGDNF蛋白産生物による処理に反応した光受容体生存 促進を示している。 さらに別の試験では、分離網膜細胞を、予め形成しておいたマウス網膜膠細胞 の単層上に接種し(網膜細胞1000個/6mmウェル)、組換えヒトGDNF 蛋白産生物(1または10ng/mL)で処理した。7日後に培養物を固定し、 アレスチンについて免疫染色した。光受容体生存の促進に加えて、軸索突起の伸 長および場合によっては未成熟の外節の短い尖状突起残遺の伸長によって示され るように、光受容体の形態的発達をGDNF蛋白産生物が強力に促進することが 認められた。これらの培養物は、光受容体が十分に発達した成体網膜から得られ たものである。分離手順時に光受容体がその突起を失っていることから、ここで 得られたデータは、GDNF蛋白産生物が光 受容体の再生を促進し、特には視覚プロセスに必須であるその軸索突起および外 節の発達を促進する能力を有することを示している。これらの結果は、GDNF 蛋白産生物投与が、老年斑点性変性、先天性網膜変性および他の網膜異栄養症な どの光受容体の変性のために視力喪失が起こる状態に対する有用な療法である可 能性を示している。実施例3 先天性網膜変性を有するマウス(rd/rd)からの網膜の培養物における桿状 光受容体生存の促進 rd/rdマウスは、ホスホジエステラーゼ(外節に局在し、光変換プロセス に関与する酵素)のβ−サブユニットに突然変異を有するため、それの機能不全 を生じ、早期発症の光受容体変性および光受容体の激症性死を起こす。rd/r dと同様の突然変異がヒトでも認められ、色素性網膜炎症例の一部の群の原因で ある。rd/rdマウスにおける光受容体死は、生後約10日でピークとなる。 これらの突然変異マウスは、rd/rd光受容体の生存に対するGDNF蛋白産 生物の効果を研究する上で有用なモデルを提供する。 rd/rd光受容体の培養物を5日齢マウスから形成し、7 日間培養状態に維持し、光受容体死が最大となる時期をカバーするようにした。 固有の脆弱性があることから、分離したrd4/rd光受容体を、予め形成して おいた網膜膠細胞の単層(上述)上に接種した(密度約2500個/6mmウェ ル)。rd/rd網膜の培養物を、同じ動物齢の動物から得て同じ方法で処理し た正常(野生型)マウス網膜からの細胞の培養物と比較した。培養物を組換えヒ トGDNF蛋白産生物(1ng/mL)で処理し、7日後に固定し、アレスチン について免疫染色した。6mmウェル当たりのアレスチン陽性ニューロン数を数 えることで、光受容体生存を測定した。 GDNF蛋白産生物を加えることで、in vitroで7日後に、光受容体数にわず かではあるが(約15%)有意な増加が生じた(図5参照;各値は、3〜4個の 培養物の平均±標準偏差である)。対照的に、膠細胞支持があるにも拘わらず、 GDNF蛋白産生物を加えなかった場合、rd/rdマウスの培養物における光 受容体数は急峻に低下して、7日後には野生型光受容体の約40%となった。G DNF蛋白産生物(1ng/mL)存在下では、生存rd/rd光受容体数は約 2 5倍まで上昇し、未処理の野生型光受容体の培養物で認められた生存レベル に達した。これらのデータは、GDNF蛋白産生物処理がrd/rd突然変異に よって負荷されたストレスに対する突然変異光受容体の耐性を高めたことを示し ている。これは、GDNF蛋白産生物投与が、色素性網膜炎などの先天性網膜変 性の治療に有用となり得ることを示している。実施例4 胚ヒヨコ網膜の培養物における円錐状光受容体の生存および外節発達の促進 ヒヨコ視覚系の発達は、齧歯類の場合よりかなり早い。光受容体外節伸長は妊 娠約11〜12日で開始し、出生時に光受容体は完全に発達している。従って、 光受容体の生存および再生に対するGDNF蛋白産生物投与の効果を、胚ヒヨコ 網膜培養物で調べることができる。 胎仔齢17日のヒヨコ網膜細胞の培養物を、前述のように96ウェルマイクロ プレートで成長させ、6日後に in vitro で4%パラホルムアルデヒドで固定し た。培養物は、光受容体細胞を約60%および大型の多極ニューロンを40%含 有することが認められた。対照培養物の代表的視野の位相差顕微鏡写真は、細胞 体部の尖状部分における脂肪滴の存在によって確認可能な 円錐状光受容体と網膜ニューロンという2種類の主要な網膜細胞が培養物に存在 することを示していた。光受容体細胞は、ほとんど専ら核によって占有されてい る卵細胞体、小さい脂肪滴を有する短い内節、脂肪滴と反対側の点から始まる1 個の短い未分岐の神経突起、ならびに短い遠位毛様体によって確認した。これら の特徴は、円錐細胞に特徴的である。抗ロドプシン免疫染色を前述のように行い 、6日齢培養物の明視野顕微鏡検査によって桿状光受容体の存在を明らかにした 。光受容体の20%が桿細胞であることが明らかになった。光受容体の残りの8 0%は、ロドプシンを含まない円錐状光受容体であった。 図6には、胎仔齢17日のヒヨコ網膜の培養物における光受容体生存に対する GDNF蛋白産生物の効果を示してある。分離網膜細胞の培養物(約10000 個/6mmウェルの密度で平板培養)を、組換えヒトGDNF蛋白産生物(10 ng/mL〜1pg/mLの範囲の10倍連続希釈液)で処理した。培養物を6 日後に4%パラホルムアルデヒドで固定し、位相差顕微鏡下に観察した。位相明 脂肪滴の存在によって、円錐状光受容体を確認した。脂肪滴は、内節と外節の間 の連結の指標となるものである。6mm2の直径方向片(6mmウェルの総面積 の 約21%に相当)当たりの円錐細胞数を数えることで、光受容体の生存を測定し た。各値は3個の培養物の平均±標準偏差である。ヒヨコ網膜培養物で認められ た円錐細胞数は、未処理培養物の場合より、GDNF蛋白産生物処理培養物の方 が約2倍多かった。最大GDNF蛋白産生物効果が認められたのは約200pg /mLにおいてであり、ED50は約50pg/mLであった。 光受容体細胞の形態を位相差顕微鏡検査によって評価したところ、GDNF蛋 白産生物が、内節および外節の両方ならびに軸索突起の発達を促進することが認 められた。未処理培養物の場合とは対照的に、GDNF蛋白産生物(1ng/m Lで7日間)で処理した培養物には、非常に長く、分極し、区画された細胞とし て認められる円錐状光受容体がかなりの割合で含まれていた。その円錐細胞は、 外節に特徴的な3次元の位相明構造に結合している場合がある長い内節を有して いた。他の円錐細胞は、厚く、長い、分岐の神経突起を形成していた。場合によ っては、2つの外節に伸びる二重円錐細胞(トリ網膜では代表的)が、GDNF 蛋白産生物処理培養物で認められた。細胞の生存/増殖効果に加えて、ヒヨコ培 養物における外節発達に対 するGDNF蛋白産生物投与の効果は、分離法によって損傷を受けた外節の再生 を促進する能力をそれが有することを示している。従ってそれは、GDNF蛋白 産生物投与が、先天性網膜変性状態および網膜障害以外に、網膜異栄養症の治療 にも有用である可能性があることを示している。 本発明の現在好ましい実施態様について前述した内容を考慮して、当業者が本 発明の実施において多くの改良および変法を行うことが予想される。従って、本 発明の範囲に対する限定は、添付の特許請求の範囲に見られるもののみである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 光受容体の損傷または変性を治療するための医薬組成物製造への、膠細胞 系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生物の使用。 2. 光受容体の損傷または変性が、色素性網膜炎、バーデット-ビードル症候 群、バッセン-コーンツバイク症候群(無β-リポ蛋白血症)、ベスト病(卵黄様 ジストロフィー)、先天性脈絡膜欠如、回状萎縮、先天性黒内障、レフサム症候 群、シュタルガルト病およびアッシャー症候群、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜 障害、末梢性硝子体網膜症、光性網膜障害、手術誘発網膜障害、ウィルス性網膜 障害、虚血性網膜障害、網膜剥離または外傷性網膜障害に関連するものである請 求項1に記載の使用。 3. 前記医薬品組成物が、配列番号1に記載のGDNFアミノ酸配列またはそ れの変異体もしくは誘導体を含有する請求項1または2に記載の使用。 4. 前記医薬品組成物が、[Met-1]GDNFを含有する請求項3に記載の 使用。 5. 前記医薬品組成物が、水溶性ポリマーに付着したGDNFを含有する請求 項1または2に記載の使用。 6. 前記医薬品組成物が、切断ヒトGDNF蛋白を含有する請求項1または2 に記載の使用。 7. 前記医薬品組成物が、修飾を受けてGDNF蛋白産生物を産生・分泌する ようになった細胞を含有する請求項1または2に記載の使用。 8. 前記医薬品組成物がさらに、網膜疾患治療用の第2の治療薬を有効量で含 有する請求項1または2に記載の使用。 9. 前記第2の治療薬が、脳由来神経栄養因子、ニューロトロフィン−3、ニ ューロトロフィン−4/5、ニューロトロフィン−6、インシュリン様成長因子 、毛様体神経栄養因子、酸性および塩基性の線維芽細胞成長因子、線維芽細胞成 長因子−5、トランスフォーミング成長因子−β、ならびにコカイン−アンフェ タミン調節転写物から選択される請求項8に記載の使用。 10. 前記医薬組成物が、眼球挿入物、眼球注射または眼球インプラントとし て製剤される請求項1または2に記載の使用。 11. 植え込み用光受容体細胞を提供する方法において、膠 細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生物の存在下に分離光受容体細胞を 培養する段階を有する方法。 12. 光受容体細胞ならびに該光受容体細胞の生存を促進し、継続的成長およ び成熟を行わせるだけの量の膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生物 を含有する組成物。
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