JP2000357523A - レドックスフロー電池用炭素電極材 - Google Patents

レドックスフロー電池用炭素電極材

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JP2000357523A
JP2000357523A JP11165649A JP16564999A JP2000357523A JP 2000357523 A JP2000357523 A JP 2000357523A JP 11165649 A JP11165649 A JP 11165649A JP 16564999 A JP16564999 A JP 16564999A JP 2000357523 A JP2000357523 A JP 2000357523A
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carbon electrode
redox flow
flow battery
carbon
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Masanobu Kobayashi
真申 小林
Makoto Inoue
誠 井上
Satoshi Takase
敏 高瀬
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素電極材の表面特性を維持しつつ、炭素電
極材自体の導電性を高めてセル抵抗を小さくすること
で、電池のエネルギー効率を高くすることができるレド
ックスフロー電池用炭素電極材を提供する。 【解決手段】 水溶液系電解液を使用するレドックスフ
ロー電池用の炭素電極材であって、X線広角解析より求
めた<002>回折のピーク強度に基づく積層構造比が
0.50〜0.90である擬黒鉛結晶構造を有し、XP
S表面分析より求めた表面酸性官能基量が全表面炭素原
子数の0.2〜1.2%であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶液系電解液を
使用するレドックスフロー電池用の炭素電極材に関する
ものであり、特に、バナジウム系レドックスフロー電池
に有用である。
【0002】
【従来の技術】従来より、電極は電池の性能を左右する
ものとして重点的に開発されている。電極には、それ自
体が活物質とならず、活物質の電気化学的反応を促進さ
せる反応場として働くタイプのものがあり、このタイプ
には導電性や耐薬品性などから炭素材料がよく用いられ
る。特に電力貯蔵用に開発が盛んなレドックスフロー電
池の電極には、耐薬品性があり、導電性を有し、かつ通
液性のある炭素繊維集合体が用いられている。
【0003】レドックスフロー電池は、正極に鉄の塩酸
水溶液、負極にクロムの塩酸水溶液を用いたタイプか
ら、起電力の高いバナジウムの硫酸水溶液を両極に用い
るタイプに替わり、高エネルギー密度化されたが、最近
さらに活物質濃度を高める開発が進み、一段と高エネル
ギー密度化が進んでいる。
【0004】レドックスフロー型電池の主な構成は、図
1に示すように電解液を貯える外部タンク6,7と電解
槽ECからなり、ポンプ8,9にて活物質を含む電解液
を外部タンク6,7から電解槽ECに送りながら、電解
槽ECに組み込まれた電極上で電気化学的なエネルギー
変換、すなわち充放電が行われる。
【0005】一般に、充放電の際には、電解液を外部タ
ンクと電解槽との間で循環させるため、電解槽は図1に
示すような液流通型構造をとる。該液流通型電解槽を単
セルと称し、これを最小単位として単独もしくは多段積
層して用いられる。液流通型電解槽における電気化学反
応は、電極表面で起こる不均一相反応であるため、一般
的には二次元的な電解反応場を伴うことになる。電解反
応場が二次元的であると、電解槽の単位体積当たりの反
応量が小さいという難点がある。
【0006】そこで、単位面積当りの反応量、すなわち
電流密度を増すために電気化学反応場の三次元化が行わ
れるようになった。図2は、三次元電極を有する液流通
型電解槽の分解斜視図である。該電解槽では、相対する
二枚の集電板1,1間にイオン交換膜3が配設され、イ
オン交換膜3の両側にスペーサ2によって集電板1,1
の内面に沿った電解液の流路4a,4bが形成されてい
る。該流通路4a,4bの少なくとも一方には炭素繊維
集合体等の電極材5が配設されており、このようにして
三次元電極が構成されている。なお、集電板1には、電
解液の液流入口10と液流出口11とが設けられてい
る。
【0007】正極電解液にオキシ硫酸バナジウム、負極
電解液に硫酸バナジウムの各々硫酸酸性水溶液を用いた
レドックスフロー型電池の場合、放電時には、V2+を含
む電解液が負極側の液流路4aに供給され、正極側の流
路4bにはV5+(実際には酸素を含むイオン)を含む電
解液が供給される。負極側の流路4aでは、三次元電極
5内でV2+が電子を放出しV3+に酸化される。放出され
た電子は外部回路を通って正極側の三次元電極内でV5+
をV4+(実際には酸素を含むイオン)に還元する。この
酸化還元反応に伴って負極電解液中のSO4 2-が不足
し、正極電解液ではSO4 2-が過剰になるため、イオン
交換膜3を通ってSO4 2-が正極側から負極側に移動し
電荷バランスが保たれる。あるいは、H+ がイオン交換
膜を通って負極側から正極側へ移動することによっても
電荷バランスを保つことができる。充電時には放電と逆
の反応が進行する。
【0008】バナジウム系レドックスフロー電池用電極
材の特性としては、特に以下に示す性能が要求される。
【0009】1)目的とする反応以外の副反応を起こさな
いこと(反応選択性が高いこと)、具体的には電流効率
(ηI )が高いこと。 2)電極反応活性が高いこと、具体的にはセル抵抗(R)
が小さいこと。すなわち電圧効率(ηV )が高いこと。 3)上記1)、2)に関連する電池エネルギー効率(ηE )が
高いこと。 ηE =ηI ×ηV 4)くりかえし使用に対する劣化が小さいこと(高寿
命)、具体的には電池エネルギー効率(ηE )の低下量
が小さいこと。
【0010】例えば、特開昭60−232669号公報
には、X線広角解析より求めた<002>面間隔が、平
均3.70Å以下であり、またc軸方向の結晶子の大き
さが平均9.0Å以上の擬黒鉛微結晶を有し、かつ全酸
性官能基量が少なくとも0.01meq/gである炭素
質材料をレドックスフロー電池の電解槽用電極材として
用いることが提案されている。
【0011】また、特開平5−234612号公報に
は、ポリアクリロニトリル系繊維を原料とする炭素質繊
維で、X線広角解析より求めた<002>面間隔が3.
50〜3.60Åの擬黒鉛結晶構造を有し、炭素質材料
表面の結合酸素原子数が炭素原子数の10〜25%とな
るような炭素質材をレドックスフロー電池の電解槽用電
極材として用いることが提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
60−232669号公報、特開平5−234612号
公報では、炭素質材料表面と電解液との間に有効な濡れ
性を発現させるために、全酸性官能基量が0.01me
q/g以上か、あるいは炭素質材料表面の結合酸素原子
数が炭素原子数の10%以上必要であったので、電極材
自体の比抵抗が高く、その結果セル抵抗が高くなり、高
いエネルギー効率を得られないことが問題であった。
【0013】そこで、本発明の目的は、かかる事情に鑑
み、炭素電極材の表面特性を維持しつつ、炭素電極材自
体の導電性を高めてセル抵抗を小さくすることで、電池
のエネルギー効率を高くすることができるレドックスフ
ロー電池用炭素電極材を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究したところ、炭素電極材の表面酸
性官能基量を従来より低く抑えつつ、X線広角解析より
求めた<002>回折のピーク強度に基づく積層構造比
を特定の範囲に制御することにより、上記目的が達成で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】即ち、本発明の炭素電極材は、水溶液系電
解液を使用するレドックスフロー電池用の炭素電極材で
あって、X線広角解析より求めた<002>回折のピー
ク強度に基づく積層構造比が0.50〜0.90である
擬黒鉛結晶構造を有し、XPS表面分析より求めた表面
酸性官能基量が全表面炭素原子数の0.2〜1.2%で
あることを特徴とする。
【0016】本発明の炭素電極材によると、積層構造比
が上記の要件を満たすことにより、表面酸性官能基等の
導入のし易さを維持しつつ導電性の高い内部構造を得る
ことができる。また、表面酸性官能基量が上記の要件を
満たすことにより、電極材表面の接触抵抗を低く抑えな
がら、水溶液系電解液との濡れ性を適度に付与すること
ができる。その結果、セル抵抗を小さくして電池のエネ
ルギー効率を高くすることができる。
【0017】上記において、X線広角解析より求めた<
002>面間隔が3.50Å以下で、c軸方向(積層構
造の厚み方向)の結晶子の大きさが20Å以上であるこ
とが好ましい。この場合、これらのパラメータに黒鉛相
の厚みや性質が反映されるため、それらが上記要件を満
たすことにより、より確実に導電性の高い内部構造を得
ることができる。
【0018】また、本発明の炭素電極材は、バナジウム
系レドックスフロー電池に用いられることが好ましい。
バナジウム系のレドックスフロー電池では、上記の電解
液との濡れ性が比較的良好になるため、上記の如き作用
効果がより顕著になる。また、当該電池では電極材を構
成する繊維間や集電板に対する電極材表面の接触抵抗が
特に問題になり易いため、上記作用効果を有する本発明
の炭素電極材が特に有用なものとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のレドックスフロー電池用
炭素電極材は、炭素質材料からなり、その組織、微細構
造等は特に限定されないが、電極表面積を大きくできる
ものが好ましい。具体的には、紡績糸、フィラメント集
束糸、不織布、編地、織地、特殊編織物(特開昭63−
200467号公報に開示されているようなもの)、あ
るいはこれらの混成組織からなる炭素質繊維集合体、又
は多孔質炭素体、炭素−炭素複合体、粒子状炭素材料等
を挙げることができる。これらのうち、炭素質繊維より
なるシート状のものが、取り扱いや加工性、製造性等の
点から好ましい。
【0020】シート状物等の目付量は、その組織にもよ
るが、隔膜と集電板に挟まれた充填状態の厚みを2〜3
mmで使用する場合、100〜1000g/m2 、不織
布組織の場合は200〜600g/m2 が望ましい。ま
た片面に凹溝加工が施された不織布等が通液性から好ん
で用いられる。その場合の溝幅、溝深さは少なくとも
0.3mm、好ましくは0.5mm以上が望ましい。炭
素質繊維シートの厚みは上記充填状態の厚みより少なく
とも大きいこと、不織布等の密度の低いものでは充填状
態の厚みの1.5倍程度が望ましい。しかしながら、厚
みが厚すぎると圧縮応力で膜を突き破ってしまうので、
圧縮応力を1kgf/cm2 以下に設計するのが好まし
い。
【0021】なお、上記の炭素質繊維の平均繊維径は5
〜20μm程度が好ましく、平均長さは30〜100m
m程度が好ましい。
【0022】炭素質繊維シートは、電池の中に圧接され
て組み込まれ、その薄い隙間を電解液が流れるが、電解
液の粘度が高い場合があるため、脱落しないように引張
強度を0.1kg/cm2 以上にすることが形態保持の
ために望ましい。また集電板との接触抵抗を良くするた
めに、不織布組織では隔膜、集電板に挟まれた充填層の
密度を0.05g/cm3 以上に、電極面に対する反発
力を0.1kgf/cm2 以上にすることが好ましい。
【0023】本発明の炭素電極材は、X線広角解析より
求めた<002>回折のピーク強度に基づく積層構造比
が0.50〜0.90である擬黒鉛結晶構造を有する
が、好ましくは積層構造比が0.60〜0.90であ
り、より好ましくは積層構造比が0.70〜0.90で
ある。積層構造比が0.50より小さい場合、その比抵
抗は10-2Ω・cmを越え、電池内部抵抗(セル抵抗)
の内の電極材導電抵抗成分が無視できないようになり、
その結果、セル抵抗が増加し(電圧効率が低下し)、エ
ネルギー効率が低下する。一方、積層構造比が0.90
を超えると、表面酸化処理時に十分な表面酸性官能基を
導入するのが困難になり、また内部構造の歪による積層
構造の破壊を伴うので好ましくない。
【0024】また、上記と同様の理由より、X線広角解
析より求めた<002>面間隔が3.50Å以下で、c
軸方向の結晶子の大きさが20Å以上であるのが好まし
く、より好ましくは、<002>面間隔が3.46〜
3.49Åで、c軸方向の結晶子の大きさが21〜31
Åである。
【0025】本発明の炭素電極材の表面酸性官能基量
は、全表面炭素原子数の0.2%以上であることが必要
であり、好ましくは0.3%以上である。0.2%未満
の場合には、電解液の濡れ性が悪く、セル抵抗が著しく
増加する。これは、炭素原子そのものは疎水性であるた
め、親水基の酸性官能基が少ない場合には水をはじきや
すいためと考えられる。また表面酸性官能基量は、全表
面炭素原子数の1.2%以下であることが必要であり、
好ましくは0.8%以下である。1.2%より大きい場
合には、官能基により表面の導電性が阻害され、集電板
との接触抵抗または繊維間の接触抵抗が悪くなり、セル
抵抗が著しく増加する。
【0026】なお、上記の表面酸性官能基量とは、含酸
素官能基のうち硝酸銀処理によって銀イオン置換されう
る水酸基やカルボキシル基の量を意味し、XPS表面分
析によって検出される表面銀イオン量の表面炭素原子数
に対する割合として表す。
【0027】上記のような優れた内部構造と濡れ性を持
った炭素電極材は、緊張下200〜300℃の初期空気
酸化を経たメソフェーズピッチやポリパラフェニレンベ
ンゾビスオキサゾール(PBO)などの配向性の高い原
料を用いて、不活性雰囲気(又は窒素ガス)下1300
〜1800℃で5時間以上焼成(炭化)し、得られた擬
黒鉛結晶構造を有する炭素材料を乾式酸化処理すること
によって得られる。
【0028】配向性の高い原料を用いないと、積層構造
が低い割合でしか形成されず、また1300〜1800
℃で5時間以上保持しないと、積層構造の成長が十分に
進まないためである。
【0029】乾式酸化処理は、上述の炭素材料を酸素濃
度1〜25%のガス雰囲気下で重量収率にして90〜9
9%、好ましくは93〜99%の範囲になるように実施
される。処理温度は500〜900℃、さらに好ましく
は650〜750℃がよい。しかし処理法はこれに限定
されるものではなく、例えばこの乾式酸化処理の代わり
に電解酸化をおこなっても同様な効果が得られる。な
お、表面酸性官能基量は、黒鉛化の程度にもよるが、乾
式酸化処理の酸素濃度等を調製することで制御できる。
【0030】次に、本発明において採用されるX線広角
解析(積層構造比、<002>面間隔、c軸方向の結晶
子の大きさ)、XPS表面分析(全酸性官能基量)、単
繊維の比抵抗、電極性能の各測定法について説明する。
【0031】1.X線広角解析 電極材をメノウ乳鉢で、粒径10μm程度になるまで粉
砕し、試料に対して約5重量%のX線標準用高純度シリ
コン粉末を内部標準物質として混合し、試料セルに詰
め、CuKα線を線源として、ディフラクトメーター法
によって広角X線を測定する。
【0032】曲線の補正には、いわゆるローレンツ因
子、偏光因子、吸収因子、原子散乱因子等に関する補正
を行わず、次の簡便法を用いる。即ち、<002>回折
に相当するピークのベースラインからの実質強度をプロ
ットし直して<002>補正強度曲線を得る。この曲線
のピーク高さの2/3の高さに引いた角度軸に平行な線
が補正強度曲線と交わる線分の中点を求め、中点の角度
を内部標準で補正し、これを回折角の2倍とし、CuK
αの波長λとから数式1のBraggの式によって<0
02>面間隔を求める。
【0033】
【数1】 ここで、波長λ=1.5418Å、θは<002>回折
角を示す。
【0034】さらに、ピーク高さの1/2の高さに引い
た角度軸に平行な線が、補正強度曲線と交わる線分の長
さ(半値幅β)から、数式2によってc軸方向の結晶子
の大きさLcを求める。
【0035】
【数2】 ここで、波長λ=1.5418Å、構造係数k1=0.
9、θは<002>回折角を、βは<002>回折ピー
クの半値幅を示す。
【0036】また、積層構造比については、上記の補正
された曲線の<002>回折のピーク強度とベースライ
ンの強度から求める。具体的には、<002>回折のピ
ーク強度Im と<002>回折のピークの平均ベースラ
イン強度Ia とから、相対強度SI(=(Im −Ia
/Im )を求め、さらに<002>回折のピークのバッ
クグランドを含まない強度Isp(=0.0606×d
002 ×Lc)とから、積層構造比Ps(=SI/(SI
(1−Isp)+Isp)を求める(詳細は、白石ら、日本
化学会誌、1976、(1)、p.153参照)。
【0037】2.XPS表面分析 ESCAあるいはXPSと略称されているX線光電子分
光法の測定に用いる装置は島津ESCA750で、解析
にはESCAPAC760を用いる。
【0038】各試料を硝酸銀のアセトン溶液に浸漬し、
酸性官能基のプロトンを完全に銀置換し、アセトン及び
水でそれぞれ洗浄後、6mm径に打ち抜き、導電性ペー
ストにより加熱式試料台に貼り付け、分析に供する。予
め、測定前に試料を12O℃に加熱し、3時間以上真空
脱気する。線源にはMgKα線(1253.6eV)を
用い、装置内真空度は10-7torrとする。
【0039】測定はCls,Ag3dピークに対して行
い、各ピークをESCAPAC760(J.H.Sco
fieldによる補正法に基づく)を用いて補正解析
し、各ピーク面積を求める。得られた面積にClsにつ
いては1.00、Ag3dについては10.68の相対
強度を乗じたものの比が原子数比であり、全表面炭素原
子数に対する表面酸性官能基量は(表面銀原子数/表面
炭素原子数)比を百分率(%)で算出する。
【0040】3.単繊維の比抵抗 JIS R7601(1986)に記載の「6.7体積
抵抗率」に従って測定する。
【0041】4.電極性能 上下方向(通液方向)に1cm、幅方向に10cmの電
極面積10cm2 を有する小型のセルを作り、定電流密
度で充放電を繰り返し、電極性能のテストを行う。正極
電解液には2mol/lのオキシ硫酸バナジウムの3m
ol/l硫酸水溶液を用い、負極電解液には2mol/
lの硫酸バナジウムの3mol/l硫酸溶液を用いる。
電解液量はセル、配管に対して大過剰とした.液流量は
毎分6.2mlとし、30℃で測定を行う。
【0042】(a)電流効率:ηI 充電に始まり、放電で終わる1サイクルのテストにおい
て、電流密度を電極幾何面積当たり40mA/cm2
(400mA)として、1.7Vまでの充電に要した電
気量をQ1 クーロン、1.0Vまでの定電流放電、およ
びこれに続く1.2Vでの定電圧放電で取りだした電気
量をそれぞれQ2 、Q3 クーロンとし、数式3で電流効
率ηI を求める。
【0043】
【数3】 (b)セル抵抗:R 負極液中のV3+をV2+に完全に還元するのに必要な理論
電気量Qthに対して、放電により取りだした電気量の比
を充電率とし、数式4で充電率を求める。
【0044】
【数4】 充電率が50%のときの電気量に対応する充電電圧V
C50 、放電電圧VD50 を電気量−電圧曲線からそれぞれ
求め、数式5より電極幾何面積に対するセル抵抗R(Ω
・cm2 )を求める。
【0045】
【数5】 ここで、Iは定電流充放電における電流値0.4Aであ
る。
【0046】(c)電圧効率:ηV 上記の方法で求めたセル抵抗Rを用いて数式6の簡便法
により電圧効率ηV を求める。
【0047】
【数6】 ここで、Eは充電率50%のときのセル開回路電圧1.
432V(実測値)、Iは定電流充放電における電流値
0.4Aである。
【0048】(d)エネルギー効率:ηE 前述の電流効率ηI と電圧効率ηV を用いて、数式7に
よりエネルギー効率η E を求める。
【0049】
【数7】 電流効率、電圧効率が高くなる程、エネルギー効率は高
くなり、従つて充放電におけるエネルギーロスが小さ
く、優れた電極であると判断される。
【0050】本発明の炭素電極材は、水溶液系電解液を
使用するレドックスフロー電池に用いられるものであ
る。当該レドックスフロー電池は、前述のように、例え
ば間隙を介した状態で対向して配設された一対の集電板
間に隔膜が配設され、該集電板と隔膜との間に少なくと
も一方に電極材が配設され、電極材は活物質を含んだ水
溶液からなる電解液を含んだ構造を有する電解槽を備え
る。
【0051】水溶液系電解液としては、前述の如きバナ
ジウム系電解液の他、鉄−クロム系、マンガン−クロム
系、クロム−クロム系、鉄−チタン系などが挙げられる
が、バナジウム系電解液が好ましい。本発明の炭素電極
材は、特に、粘度が25℃にて0.005Pa・s以上
であるバナジウム系電解液、あるいは1.5mol/l
以上のバナジウムイオンを含むバナジウム系電解液を使
用するレドックスフロー電池に用いるのが有用である。
【0052】
【実施例】以下、本発明の構成及び効果を具体的に示
す、実施例等について説明する。
【0053】(実施例1)平均繊維径13μmのメソフ
ェーズピッチ繊維を空気中250〜350℃で不融化し
た後、該不融化繊維の短繊維(長さ約80mm)を用い
てフェルト化して目付量350g/m2 、厚み4.0m
mの不織布を作成した。該不織布を窒素ガス中で10℃
/分の昇温速度で1300℃まで昇温し、この温度で8
時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中700℃
で重量収率93%になるまで処理し炭素質繊維不織布を
得た。X線広角解析結果、XPS表面分析結果、単繊維
の比抵抗および電極性能を表1に示す。
【0054】(実施例2)平均繊維径13μmのメソフ
ェーズピッチ繊維を空気中250〜350℃で不融化し
た後、該不融化繊維の短繊維(長さ約80mm)を用い
てフェルト化して目付量350g/m2 、厚み4.0m
mの不織布を作成した。該不織布を窒素ガス中で10℃
/分の昇温速度で1500℃まで昇温し、この温度で5
時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中700℃
で重量収率93%になるまで処理し炭素質繊維不織布を
得た。X線広角解析結果、XPS表面分析結果、単繊維
の比抵抗および電極性能を表1に示す。
【0055】(比較例1)平均繊維径13μmのメソフ
ェーズピッチ繊維を空気中250〜350℃で不融化し
た後、該不融化繊維の短繊維(長さ約80mm)を用い
てフェルト化して目付量350g/m2 、厚み4.0m
mの不織布を作成した。該不織布を窒素ガス中で10℃
/分の昇温速度で1000℃まで昇温し、この温度で1
時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中700℃
で重量収率93%になるまで処理し炭素質繊維不織布を
得た。X線広角解析結果、XPS表面分析結果、単繊維
の比抵抗および電極性能を表1に示す。
【0056】(比較例2)平均繊維径20μmの再生セ
ルロース短繊維(長さ約80mm)をフェルト化して目
付量500g/m2 、厚み5.0mmの不織布を作成
し、不活性ガス中200〜300℃で耐炎化し、耐炎化
フェルトを得た。これを窒素ガス中で10℃/分の昇温
速度で2700℃まで昇温し、この温度で1時間保持し
炭化を行って冷却し、続いて空気中700℃で重量収率
93%になるまで処理し炭素質繊維不織布を得た。X線
広角解析結果、XPS表面分析結果、単繊維の比抵抗お
よび電極性能を表1に示す。
【0057】(比較例3)平均繊維径13μmのメソフ
ェーズピッチ繊維を空気中250〜350℃で不融化し
た後、該不融化繊維の短繊維(長さ約80mm)を用い
てフェルト化して目付量350g/m2 、厚み4.0m
mの不織布を作成した。該不織布を窒素ガス中で10℃
/分の昇温速度で2000℃まで昇温し、この温度で5
時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中700℃
で重量収率93%になるまで処理し炭素質繊維不織布を
得た。X線広角解析結果、XPS表面分析結果、単繊維
の比抵抗および電極性能を表1に示す。
【0058】(比較例4)平均繊維径13μmのメソフ
ェーズピッチ繊維を空気中250〜350℃で不融化し
た後、該不融化繊維の短繊維(長さ約80mm)を用い
てフェルト化して目付量350g/m2 、厚み4.0m
mの不織布を作成した。該不織布を窒素ガス中で10℃
/分の昇温速度で1100℃まで昇温し、この温度で2
時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中700℃
で重量収率80%になるまで処理し炭素質繊維不織布を
得た。X線広角解析結果、XPS表面分析結果、単繊維
の比抵抗および電極性能を表1に示す。
【0059】
【表1】
【発明の効果】本発明によると、炭素電極材の比抵抗が
小さくなり、しかも表面酸性官能基等の導入のし易さが
維持されているので、適度な官能基が付与され電極活性
は極めて良好である。その結果、導電性と電極活性が反
映されるセル抵抗が減少し、即ち電圧効率が向上し、エ
ネルギー効率は大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】バナジウム系レドックスフロー電池の概略図
【図2】三次元電極を有するバナジウム系レドックスフ
ロー電池の電解槽の分解斜図
【符号の説明】 1 集電板 2 スペーサ 3 イオン交換膜 4a,4b 通液路 5 電極材 6 外部液タンク(正極側) 7 外部液タンク(負極側) 8,9 ポンプ 10 液流入口 11 液流出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高瀬 敏 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 5H018 AA08 AS07 CC06 DD06 DD08 EE05 HH03 HH05 5H026 AA10 CX03 CX04 CX05 EE05 EE18 HH03 HH05 RR01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶液系電解液を使用するレドックスフ
    ロー電池用の炭素電極材であって、X線広角解析より求
    めた<002>回折のピーク強度に基づく積層構造比が
    0.50〜0.90である擬黒鉛結晶構造を有し、XP
    S表面分析より求めた表面酸性官能基量が全表面炭素原
    子数の0.2〜1.2%であることを特徴とする炭素電
    極材。
  2. 【請求項2】 X線広角解析より求めた<002>面間
    隔が3.50Å以下で、c軸方向の結晶子の大きさが2
    0Å以上である請求項1記載の炭素電極材。
  3. 【請求項3】 バナジウム系レドックスフロー電池に用
    いられる請求項1又は2記載の炭素電極材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110504419A (zh) * 2018-06-13 2019-11-26 住友大阪水泥股份有限公司 电极材料及其制造方法
CN113544885A (zh) * 2019-03-13 2021-10-22 东洋纺株式会社 锰/钛系氧化还原液流电池用碳电极材料

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