JP2000344605A - 水棲生物付着防止効果を有する水産資材 - Google Patents

水棲生物付着防止効果を有する水産資材

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JP2000344605A
JP2000344605A JP11151242A JP15124299A JP2000344605A JP 2000344605 A JP2000344605 A JP 2000344605A JP 11151242 A JP11151242 A JP 11151242A JP 15124299 A JP15124299 A JP 15124299A JP 2000344605 A JP2000344605 A JP 2000344605A
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fish
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Takao Shimizu
隆夫 清水
Masahiko Nanjo
正彦 南條
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水棲生物の付着を長期に亘って防止できる、
通水性の良好な構造物を提供する。 【解決手段】 ピリジン−トリフェニルボラン又はその
誘導体を含有する熱可塑性重合体を少なくとも一部に含
む水産資材であって、海中および淡水中における該ボラ
ン化合物の溶出量が、25℃で45mg/cm以下、
15℃で6mg/cm以上である水産資材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、海水や淡水に長期
間接触して使用された時に、水棲生物の付着が極めて少
ない水産資材に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、海水や淡水中で長期間使用されて
いる水産資材としては、例えば漁業分野では定置網、養
殖魚介類用イケス網等の網地、海苔養殖用ポール、ロー
プに使用される繊維製品や金属製品:海運の分野では、
航路浮標、灯浮標、浮き桟橋、ブイ、及びこれらの係留
に使用されるロープ:土木分野では、汚染防止繊維幕、
発電用取水設備:水質データモニター用センサーカバ
ー:船舶の船底等がある。これらの水産資材は、長期間
海中または淡水中に放置されるうちに、その表面に種々
の水棲生物、例えば、アオサやケイソウ等の藻類、イソ
ギンチャクやヒドロ虫等の腔腸動物、イソカイメン等の
海綿動物、カサネカンザシ等の環形動物、フサコケムシ
等の触手動物、アカフジツボ等の節足動物、シロボヤ等
の原索動物、ムラサキイガイ、カキ等の軟体動物などが
付着し、生息するという問題があった。
【0003】そして、水棲生物の付着により、例えば重
量増加に伴う資材の沈下、水流抵抗増大による流失、接
触・屈曲による破損等の問題が生じている。また生け簀
網の場合は、海水や淡水の流動性低下による酸素の欠
乏、寄生虫の発生による蓄養魚介類の被害等の大きな被
害を来すこととなる。
【0004】海水や淡水に長時間接触して使用される繊
維製品における上述の問題に対する対策として、トリブ
チルスズオキシド、トリフェニルスズオキシド、トリフ
ェニルスズアセテート等の有機スズ化合物で、該繊維製
品を処理する方法が広く採用されてきた。しかしなが
ら、有機スズ化合物の使用は、それを用いて繊維製品を
処理する際に、激しい不快臭や刺激臭を伴い作業環境を
劣悪にするという問題があった。しかも、有機スズ化合
物が魚介類の体内に異常に蓄積されると、魚介類の奇形
や死滅等重大な弊害を招き、そして人間がそのような魚
介類を摂取した場合には、人体に多大な悪影響を及ぼす
ことが明らかになっている。さらに近年は内分泌攪乱物
質として環境中に極微量の存在さえも問題となってお
り、有機スズ化合物で処理された水産資材の使用は、世
界的に全面禁止の方向に向かっている。
【0005】そこで、上記のような大きな弊害を生じる
有機スズ化合物に代わり得る技術の一つとして、生物に
対して付着阻害効果のある銅、銀、亜鉛、ニッケル等の
金属や、それらの化合物、または窒素系、硫黄系、ハロ
ゲン系等の有機化合物や、物理的に生物付着阻害効果を
発揮させる目的として、ジメチルポリシロキサン、ジフ
ェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン
等の有機ポリシロキサンを含有させた塗料を塗布する方
法がある。しかしながら、これらの塗料を塗布する方法
では、水棲生物忌避効果は2ヶ月程度しか持続せず、さ
らなる塗料の塗布は、人体に対する危険性、不快感、重
労働等の作業を伴うことになり好ましくない。
【0006】このように、金属あるいはその化合物、有
機化合物を使用した塗料の塗布によって水棲生物の付着
を防止することはできるが、あくまでも短期間であり、
長期間に亘って、例えば永続的にその効果が持続する水
産資材は現在のところ見出されていない。本発明者等
は、防汚剤を含有する樹脂の特性に着目し、樹脂の溶融
粘度、そして樹脂の種類を規定した水産資材の出願を既
に行った(特開平8−214730号公報、特開平10
−248436号公報)。しかしながら、ロープにおい
ては5年間の水棲生物付着防止効果を奏するものの、メ
ッシュ状の構造物のように、繊維表面当たりに接触する
海水、または淡水の量が多い形態の製品は長期に亘る効
果が期待できなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、防汚
性塗料の塗布が不要で、環境や人体、魚介類に対する安
全性が高く耐久性があり、水棲生物の付着を長期間防止
することが可能な水産資材を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ピリ
ジン−トリフェニルボラン又はその誘導体(A)を含有
する熱可塑性重合体組成物を少なくとも一部に含む水産
資材であって、人工海水中における該化合物(A)の溶
出量が、該熱可塑性重合体組成物の単位体積当たり25
℃で45mg/cm以下、15℃で6mg/cm
上であることを特徴とする水産資材である。
【化2】
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるピリジン−ト
リフェニルボランは、先に示した構造を有するものであ
るが、本発明においては該化合物の誘導体も使用するこ
とができ、例えば、米国特許第3211679号明細書
に記載されているような、3−ブロモピリジン−トリフ
ェニルボラン等のハロゲン置換ピリジン−トリフェニル
ボラン、4−メチルピリジン−トリフェニルボラン、4
−エチル−トリフェニルボラン等の低級アルキル置換ピ
リジン−トリフェニルボランを挙げることができる。
【0010】本発明においては、該化合物(A)に加え
て、他の防汚剤を適宜加えることができる。その具体例
としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)
−1,1−ジメチルウレア、マンガニーズエチレンビス
ジチオカーバメート、ジンクエチレンビスジチオカーバ
メート、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレ
ンビスジチオカーバメート、亜鉛化銅、チオシアン酸
銅、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)、N−
(ジクロロフルオロメチルチオ)−N′,N′−ジメチ
ル−N−フェニルスルファイド、4,5−ジクロロ−2
−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、2,3,
5,6−テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジ
ン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等
を挙げることができる。
【0011】また、本発明においては、人工海水中にお
ける化合物(A)の溶出量が、該熱可塑性重合体組成物
の単位体積当たり25℃で45mg/cm以下、15
℃で6mg/cm以上に制御されており、これによっ
て長期にわたり水棲生物付着防止効果が維持されるので
ある。水温が25℃以上の比較的高温時において、溶出
量が45mg/cmを越えると早期に水棲生物の付着
防止効果が消失してしまい、さらに養殖生け簀等では蓄
養魚介類の生育に悪影響を及ぼす恐れがある。また15
℃以下の低水温時においては、溶出量が6mg/cm
未満であると低水温で生育活性の高い水棲生物、例えば
ヒドロ虫、群生ホヤ、アオサ等の付着を防止することが
できない。従って高水温時には溶出量を抑制し、低水温
時には適正な溶出量を溶出するような溶出特性を付与す
ることが、高い水棲生物付着防止効果を長時間維持し続
ける上で重要な点である。
【0012】該化合物(A)の熱可塑性重合体からの溶
出量に影響を与える因子として、水棲生物付着防止性化
合物(以後、防汚剤)の種類とその添加量、添加される
熱可塑性重合体の種類、溶出制御物質(徐放速度調節
剤)の種類とその添加量、水産資材の構造、形状、その
製品の表面状態等が挙げられ、これらを適宜組み合わ
せ、商品設計することで、目的の溶出特性を得ることが
できるのである。
【0013】該化合物(A)の溶出制御物質としては、
例えば液状ポリオレフィン、液状ポリエステル、ポリシ
ロキサン、ポリフェノール、またアジン系化合物等が挙
げられる。ポリフェノールとしては、フェノール樹脂、
クレゾール樹脂、キシレノール樹脂、ブチルフェノール
樹脂、フェニルフェノール樹脂、レゾルシン樹脂等を用
いることができ、2〜10量体程度の物が好ましい。さ
らに溶出制御を行うために製品へ表面処理剤の塗布を行
うことがあり、その処理剤として例えば鉱物油、流動パ
ラフィン、ポリシロキサン、界面活性剤、及び各種樹脂
エマルジョン等を用いることがある。
【0014】上述の該化合物(A)を含有する熱可塑性
重合体としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘ
キサメチレンテレフタレート(PHMT)などの芳香族
ポリエステル、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、
ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート
アジペート、ポリ−3−ヒドロキシブチレンバリレー
ト、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステル、ナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン4な
どのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの
ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコー
ル、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリアク
リロニトリル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブ
タジエン、SBR、スチレン−イソプレン系エラストマ
ー、これらの水添物、ポリエステル系エラストマー、ポ
リエーテル系エラストマー、ポリオレフィン系エラスト
マー、ポリアミド系エラストマーなどの各種エラストマ
ー等が挙げられる。
【0015】高温での溶融成形時における該化合物
(A)の揮散や熱分解、樹脂との均一な混練性等の点
で、テレフタル酸と1,6−ヘキサンジオールからなる
ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHMT)を基本
単位とするポリエステルが好ましく、特に該ポリエステ
ルをイソフタル酸で5〜20モル%共重合したものが、
加工性、熱溶融特性等の点でより好ましい。
【0016】また、ポリエステルに共重合させる成分と
しては、上記のイソフタル酸の他に、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジ
メタノール、トリシクロデカンジメタノール、ポリエチ
レングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジ
オール成分、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカ
ルボン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノ
キシ)エタン、4,4−ジカルボキシジフェニル、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン
酸などの酸成分、及びこれらのエステル類が挙げられ
る。その共重合率は特に限定されないがピリジン−トリ
フェニルボラン又はその誘導体の徐放性、ポリエステル
の結晶性、ガラス転移点、融点または軟化点等、ポリマ
ーの取り扱い性を考慮するとジオール成分、酸成分の各
成分とも5〜50モル%の範囲であることが好ましい。
さらに好ましくは10〜30モル%の範囲である。
【0017】熱可塑性重合体は、融点が150℃以下で
あることが好ましく、160℃、キャピラリー長10m
m、キャピラリー径1mm、剪断速度1000sec-1
条件下での溶融粘度が10000ポイズ以下であること
が好ましく、この条件に調節するためは、上記のように
共重合によって融点を降下させてもよいし、ポリブテ
ン、流動パラフィン等の中分子ポリマーなどの融点降下
剤を適宜含有させることができる。
【0018】さらに上記の熱可塑重合体中には、紫外線
吸収剤、結晶化遅延剤等の改質剤や着色顔料等の添加剤
を適宜含有させることができる。
【0019】該化合物(A)の熱可塑性重合体への含有
量は、該構造物をどのような形態の構造にするかによっ
て一概には決定できないが、構造物への水棲生物の付着
防止効果を考慮して5重量%以上であることが好まし
く、30重量%以下であることが好ましい。なぜなら含
有量を多くしてもその効果は変わりなくなり、逆に少な
すぎると効果を有しない、より好ましい含有量は8〜2
0重量%の範囲である。
【0020】次に、本発明の水産資材の製造方法につい
て説明する。該水産資材は、例えば二軸混練押出機を用
い上述の該化合物(A)、熱可塑性重合体、溶出制御物
質及び必要に応じて改質剤、添加剤を均一に溶融混練し
押出成形してシート状物またはフィルムを製造しこれで
覆ったり、射出成型して所望の形状の立体的な成形物と
したり、紡糸ノズルから押出して繊維化しその繊維から
ロープ、漁網等に加工する等の方法により得ることがで
きる。フィルムを接着剤等で該水産資材に貼り付けても
よい。
【0021】さらには溶融紡糸法によってモノフィラメ
ント、マルチフィラメント、ステープル等を製造し、こ
れらによりロープ、漁網、布帛等の水産資材を製造する
ことができる。また溶融押出し被覆法によって線状構造
物の表面に直接、上述の化合物(A)を含有する重合体
を被覆させることも可能である。線状構造物の素材とし
ては、被覆重合体の加工条件が可能なものであれば特に
限定されるものではなく、天然高分子、合成樹脂、ガラ
ス、炭素、金属等を挙げることができる。
【0022】本発明の水産資材としては、例えば漁業用
定置網、養殖魚介類用イケス網等の網地、ロープ、海苔
養殖用ポール、航路浮標、灯浮標、浮き桟橋、ブイ、そ
の他海運用資材、土木用汚染防止繊維幕、発電用取水設
備、船舶の船底等が挙げられる。しかし、これらに限定
されるものではなく、水棲生物が付着すると困る水産資
材が全て対象である。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが、本
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例中の各評価は、以下の方法により評価
されたものである。 (1)水棲生物付着状況 実施例に記載したサンプルを、瀬戸内海虫明湾の水深1
mの海中に浸漬して、定期的にへの水棲生物付着状況を
観察し、下記の判定基準で評価した。 判定基準 5:生物の付着が全く観察されなかった。 4:対象物の表面全体の10%程度に生物の付着が認め
られた。 3:対象物の表面全体の30%程度に生物の付着が認め
られた。 2:対象物の表面全体の50%程度に生物の付着が認め
られた。 1:対象物の表面全体に生物の付着が見られた。 (2)ピリジン−トリフェニルボラン又はその誘導体
(A)の溶出量 水産資材を構成する、化合物(A)を含有する該熱可塑
性重合体組成物について、電子比重計SD−120L
(ミラージュ貿易)で比重を測定し、また、水産資材か
ら該熱可塑性重合体組成物0.5gを採取して人工海水
(塩化ナトリウム3%、塩化マグネシウム0.5%、蒸
留水96.5%に完全溶解)300ml中に浸漬し、2
5℃及び15℃の恒温槽中で65rpm攪拌した。24
時間毎に人工海水を新しいものと交換すると共に浸漬し
た人工海水を、採取して原子吸光分析でピリジン−トリ
フェニルボラン化合物の溶出量を測定し、これを10日
間実施し、初期10日間の溶出量(mg/cm)を算
出した。 (3)魚毒性評価 30リットルの水槽に20リットルの海水を入れ、水温
25℃、溶存酸素90%以上の条件で資料0.5gとマ
ダイ稚魚(体長4cm)を5尾入れ48時間飼育し、試
供魚の生育状況を観察した。
【0024】実施例1 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500poi
se)100重量部に対し、ピリジン−トリフェニルボラ
ンを12重量部、クレゾールノボラック樹脂(平均重合
度3.6)を8重量部、カーボンブラックを0.5重量
部を含有させた組成物を、溶融押出し被覆装置を用いて
常法に従って、ポリエチレンテレフタレートフィラメン
ト(500d/96f、120t/m片撚)100重量
部に対し、200重量部被覆し、1500dの防汚性重
合体被覆糸を得た。得られた防汚性重合体被覆糸から、
無結節編網機にて、24000d/16本、6節の無結
節網を作製し、一部サンプルを取った後、瀬戸内海虫明
湾の海中に浸漬し、1年間水棲生物の付着状況を観察し
たところ、評価5と防汚効果が持続し、魚毒性評価を行
った結果、48時間試供魚は生育し続けた。また、一部
サンプリングした無結節網から被覆された防汚性重合体
を0.5g採取し人工海水(塩化ナトリウム3%、塩化
マグネシウム0.5%、蒸留水96.5%に完全溶解)
300ml中に浸漬し、25℃及び15℃の恒温槽中で
65rpm攪拌した。24時間毎に人工海水を新しいも
のと交換すると共に浸漬した人工海水を、採取して原子
吸光分析でピリジン−トリフェニルボラン化合物の溶出
量を測定し、初期10日間の化合物の溶出量を測定した
結果、25℃で23.8mg/cm、15℃で15.
4mg/cmであった。
【0025】実施例2 ピリジン−トリフェニルボランを6部、クレゾールノボ
ラック樹脂を4部に変更した以外は実施例1と同様に1
500dの防汚性重合体被覆糸を得た。得られた防汚性
重合体被覆糸から無結節網を作製し、瀬戸内海虫明湾に
浸漬したところ1年間その評価が5と防汚効果が持続
し、魚毒性評価を行った結果、48時間試供魚は生育し
続けた。また、実施例1と同様にして初期10日間の化
合物の溶出量を測定した結果、25℃で18.4mg/
cm、15℃で14.4mg/cmであった。
【0026】実施例3 ピリジン−トリフェニルボランを6部、クレゾールノボ
ラック樹脂を8部ポリブテン(平均分子量3000)6
部に変更した以外は実施例1と同様に1500dの防汚
性重合体被覆糸を得た。得られた防汚性重合体被覆糸か
ら無結節網を作製し、瀬戸内海虫明湾に浸漬したところ
1年間その評価が5と防汚効果が持続し、魚毒性評価を
行った結果、48時間試供魚は生育し続けた。また、実
施例1と同様にして初期10日間の化合物の溶出量を測
定した結果、25℃で26.5mg/cm、15℃で
11.4mg/cmであった。
【0027】実施例4 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500poi
se)をメチルペンタンジオール10%共重合したポリヘ
キサメチレンテレフタレートに変更した以外は、実施例
1と同様にして、1500dの防汚性重合体被覆糸を得
た。得られた防汚性重合体被覆糸から、無結節編網を作
製し、瀬戸内海虫明湾に浸漬したところ1年間その評価
が5と防汚効果が持続し、魚毒性評価を行った結果、4
8時間試供魚は生育し続けた。また、実施例1と同様に
して初期10日間の化合物の溶出量を測定した結果、2
5℃で21.9mg/cm、15℃で15.3mg/
cmであった。
【0028】実施例5 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500poi
se)を低密度ポリエチレン(融点115℃)に変更した
以外は、実施例1と同様にして、1500dの防汚性重
合体被覆糸を得た。得られた防汚性重合体被覆糸から、
無結節編網を作製し、瀬戸内海虫明湾に浸漬したところ
1年間その評価が5と防汚効果が持続し、魚毒性評価を
行った結果、48時間試供魚は生育し続けた。また、実
施例1と同様にして初期10日間の化合物の溶出量を測
定した結果、25℃で42.4mg/cm、15℃で
18.9mg/cmであった。
【0029】実施例6 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500poi
se)100重量%に対し、ピリジン−トリフェニルボラ
ンを12重量部、クレゾールノボラック樹脂(平均重合
度3.6)を8重量部、カーボンブラックを0.5重量
部含有させ、ラボプラストミルフィルム形成機(東洋製
機)を用いて、厚さ300μmのフィルムを作製した。
このフィルムを幅1cmのテープ状に裁断して、直径6
mmのロープに均一に一重巻を行い120℃5分間の熱
有着処理を実施した。得られた防汚性ロープを用い、瀬
戸内海虫明湾の海中に浸漬し、1年間水棲生物の付着状
況を観察したところ、その評価が5と防汚効果が持続し
た。また、該フィルムを0.5g採取して魚毒性評価を
行った結果、48時間試供魚は生育し続けた。また、該
フィルムについて、実施例1と同様にして初期10日間
の溶出量を測定した結果、25℃で23.8mg/cm
、15℃で15.4mg/cmであった。
【0030】比較例1 クレゾールノボラック樹脂8部をフェノールノボラック
樹脂(平均分子量3.8)に変更した以外は、実施例1
と同様に1500dの防汚性重合体被覆糸を得た。得ら
れた防汚性重合体被覆糸から、無結節編網機にて、24
000d/16本、6節の無結節網を作製し、瀬戸内海
虫明湾の海中に浸漬し、水棲生物の付着状況を観察した
ところ、防汚性の評価は2ヶ月目までは5と良好であっ
たが、3ヶ月目には3まで悪化し目的の防汚効果は持続
しなかった。魚毒性評価を行った結果、48時間試供魚
は生育し続けた。また、実施例1と同様にして初期10
日間の化合物の溶出量を測定した結果、25℃で、1
8.7mg/cm、15℃で、4.2mg/cm
あった。
【0031】比較例2 ピリジン−トリフェニルボラン12部を6部に、クレゾ
ールノボラック樹脂8部をポリブテン(平均分子量30
00)8部に変更した以外は実施例1と同様に1500
dの防汚性重合体被覆糸を得た。得られた防汚性重合体
被覆糸から、無結節編網を作製し、瀬戸内海虫明湾の海
水中に浸漬し、水棲生物の付着状況を観察したところ、
防汚性の評価は4ヶ月目までは5と良好であったが、5
ヶ月目には3まで悪化し目的の防汚効果は持続しなかっ
た。魚毒性評価を行った結果、12時間以内に全試供魚
は死亡した。また、実施例1と同様にして初期10日間
の化合物の溶出量を測定した結果、25℃で、48.7
mg/cm、15℃で、16.5mg/cmであっ
た。
【0032】比較例3 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500poi
se)を低密度ポリエチレン(融点115℃)に、ピリジ
ン−トリフェニルボランを12部を6部に、クレゾール
ノボラック樹脂(平均重合度3.6)を8部をポリブテ
ン6部に変更した以外は、実施例1と同様にして、15
00dの防汚性重合体被覆糸を得た。得られた防汚性重
合体被覆糸から、無結節編網を作製し、瀬戸内海虫明湾
に浸漬したところ防汚性の評価は2ヶ月目は5と良好で
あったが、3ヶ月目には3まで悪化し目的の防汚効果は
持続せず、魚毒性評価を行った結果、8時間以内に全試
供魚が死亡した。また、実施例1と同様にして初期10
日間の化合物の溶出量を測定した結果、25℃で54.
7mg/cm、15℃で20.2mg/cm であっ
た。
【0033】比較例4 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500poi
se)をブタンジオール30モル%共重合したポリヘキサ
メチレンテレフタレートに、ピリジン−トリフェニルボ
ランを12部を6部に、クレゾールノボラック樹脂(平
均重合度3.6)を8部をポリブテン6部に変更した以
外は、実施例1と同様にして、1500dの防汚性重合
体被覆糸を得た。得られた防汚性重合体被覆糸から、無
結節編網を作製し、瀬戸内海虫明湾に浸漬したところ防
汚性の評価は1ヶ月目から2まで悪化し目的の防汚効果
は認められなかった。魚毒性評価を行った結果、48時
間試供魚は生存し続けた。また、実施例1と同様にして
初期10日間の化合物の溶出量を測定した結果、25℃
で11.1mg/cm、15℃で1.8mg/cm
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 13/50 D06M 13/50 // D01F 1/10 D01F 1/10 Fターム(参考) 2B106 AA08 EA02 EA16 HA01 HA02 HA14 HA16 4H011 AD01 BA01 BB16 BC19 DA01 DA10 DH02 DH04 DH06 DH27 4L033 AC15 BA95 CA18 CA45 CA49 DA00 4L035 BB31 EE11 EE20 FF02 JJ21 KK05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピリジン−トリフェニルボラン又はその
    誘導体(A)を含有する熱可塑性重合体組成物を少なく
    とも一部に含む水産資材であって、人工海水中における
    該化合物(A)の溶出量が、該熱可塑性重合体組成物の
    単位体積当たり25℃で45mg/cm以下、15℃
    で6mg/cm以上であることを特徴とする水産資
    材。 【化1】
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