JP2000343209A - ロー付接合体の製造方法 - Google Patents

ロー付接合体の製造方法

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JP2000343209A
JP2000343209A JP11156465A JP15646599A JP2000343209A JP 2000343209 A JP2000343209 A JP 2000343209A JP 11156465 A JP11156465 A JP 11156465A JP 15646599 A JP15646599 A JP 15646599A JP 2000343209 A JP2000343209 A JP 2000343209A
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Japan
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brazing
carburizing
tappet
outer peripheral
steel material
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Hiroyuki Suzuki
啓之 鈴木
Masahito Taniguchi
雅人 谷口
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロー付工程と焼入れ工程とを同時に行うこと
を可能とし、工程数減少による加工コストの低減を実現
できるロー付接合体の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明のタペット1の製造においては、
ステム部2aの外周表面2dに浸炭処理を施すためのブ
ロック体に形成されたグラファイト5と、ステム部2a
内方の溝2cに浸炭処理を施すための粉末状のグラファ
イト6とが用意される。ブロック体に形成されたグラフ
ァイト5は、ステム部2aの外周表面2dの形状に沿っ
た形状の貫通孔5aを有し、この貫通孔5にステム部2
aが挿入され、その外周表面2dがグラファイト5に密
着される。粉末状のグラファイト6は溝2cに充填され
る。そして、この状態で浸炭温度域で熱処理可能な銅を
主成分とするロー材4を用いてタペット本体2とセラミ
ック3とのロー付処理を行うと同時に、ステム部2aの
外周表面2d及び溝2cの表面に炭素を含浸させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材に、ロー材を
介してセラミック部材や鋼材といった他部材をロー付処
理してなるロー付接合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋼材と、セラミック部材や鋼
材といった他部材とをロー材を介してロー付処理する技
術が広く知られている。特に、近年では自動車、船舶、
及び産業機械等に使用される摺動部品に関しては、鋼材
により構成した本体部に、耐摩耗性に優れるセラミック
部材をロー材を介してロー付処理することにより形成さ
れたものが実用に供されている。尚、この摺動部品は、
構造によっては摺動部位を複数持つものがある。この場
合には、その全てに高価なセラミック部材をロー付処理
するのはコスト上好ましくないため、最も高面圧で摺動
する部位に、即ち最も摺動特性が要求される部位にのみ
セラミック部材をロー付処理して、それ以外の鋼材部分
に焼入れを施して硬度を高める等の方法が一般的に取ら
れている。
【0003】しかしながら、鋼材全体に焼入れが施され
たのでは、鋼材(金属)自体が有する靭性が不足してし
まい、高い衝撃強度を必要とする摺動部品に対して衝撃
荷重がかかった際に、脆性破壊の危険性が増すといった
問題があった。また、ロー付処理により接合されたロー
付接合体に焼入れするにあたっては、焼入れの影響によ
りロー付状態を低下させないようにして、焼入れを行う
必要があった。
【0004】そこで、このような問題を解決すべく、鋼
材の必要な部位の表面にのみ部分的に焼入れを施す技術
が、特開平4−12069号公報や特開平4−2672
号公報に開示されている。前者は部分焼入れをロー付工
程後に行うものであり、ロー付部に影響が及ばないよう
にして、鋼材の部分的な表面に高周波焼入れや電子ビー
ム焼入れを施すものである。また、後者は、部分焼入れ
をロー付工程前に行うものであり、鋼材の他部材とロー
付処理が行われる部分に予めメッキ等のマスキング処理
を施した上で、ガス浸炭により浸炭処理(浸炭焼入れ)
を施したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報技術によれば、いずれもロー付処理と焼入れ処理とを
別工程で行うものであり、製造効率の点からみて優れた
ものであるとは言い難かった。
【0006】つまり、前者の公報技術では、高周波や電
子ビームといった焼入れ処理を鋼材に対してのみ部分的
に行う必要があるために、ロー付処理と同時に行うこと
が困難である。一方、後者の公報技術においては、浸炭
ガス雰囲気中で鋼材を浸炭処理するものであるが、ロー
付処理は真空又は不活性ガス雰囲気中で実施する必要が
あることから、ロー付処理を行う上記雰囲気中に浸炭ガ
スを導入することができずに、ロー付処理と浸炭処理と
を同時に行うことは困難である。尚、ロー付処理を行う
上記雰囲気中に浸炭ガスを導入できない理由としては、
ロー材に浸炭ガスが接触することがあると、ロー材に炭
素成分が含浸して硬化してしまうために、ロー材の延性
が損なわれ、十分な接合強度が得られない恐れがあるか
らである。また、浸炭ガス雰囲気中にて浸炭処理を行う
にあたっては、浸炭処理を必要としない部位についても
浸炭ガス雰囲気に晒されるために、浸炭処理を必要とし
ない部位にはマスキング処理を施さなければならず、手
間がかかってしまうことも考えられる。
【0007】本発明は、鋼材に、ロー材を介して他部材
をロー付処理してなるロー付接合体の製造方法にあっ
て、ロー付工程と焼入れ工程とを同時に行うことを可能
とし、工程数減少による加工コストの低減を実現できる
ロー付接合体の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記課題
に鑑みてなされた本願請求項1記載の発明は、鋼材に、
ロー材を介して他部材をロー付処理してなるロー付接合
体の製造方法であって、真空又は不活性ガス雰囲気中に
て、前記ロー付処理を行うのと同時に、前記鋼材の一部
に炭素成分を接触させて浸炭処理を行い、該一部の表面
の硬度を高くしたことを特徴とする。
【0009】本発明のロー付接合体の製造方法では、鋼
材の必要な部位にのみ部分的に炭素成分を接触させるよ
うにして浸炭処理を行うようにしたことにより、同処理
を行うにあたり浸炭ガスを導入する必要がなく、その結
果、ロー付処理が行われるのに必要とされる真空又は不
活性ガス雰囲気を損なうことなく浸炭処理を行うことが
可能となる。即ち、ロー付処理と同時に、焼入れ処理で
ある浸炭処理を行うことが可能となる。また、浸炭ガス
を導入することがないことから、ロー付状態に影響を与
えることなく安定した接合強度を有することができ、さ
らには浸炭処理が必要とされない部位についてマスキン
グ処理を施す必要もない。それにより、ロー付処理と焼
入れ処理とを効率よく同時に行うことができ、工程数減
少によるロー付接合体の製造効率の向上とコストダウン
を図ることができる。また、本発明の製造方法によれ
ば、鋼材の必要な部位にのみ部分的に炭素成分を接触さ
せるようにして浸炭処理を行うことから、鋼材(金属)
全体が焼入れされることがなく、鋼材(金属)自体が有
する靭性を有効に維持することができる。
【0010】ここで、上述した本発明のロー付接合体の
製造方法にあって、鋼材の必要な部位にのみ部分的に炭
素成分を接触させる手段としては、請求項2に記載のよ
うに、前記鋼材の一部に炭素成分からなる粉末もしくは
ブロック体を接触させ、該一部の表面に炭素を含浸させ
ることにより行うとよい。
【0011】このようにして、粉末もしくはブロック体
といった固体状の炭素成分を、鋼材の一部に接触させて
ロー付処理を行うことにより、ロー付処理にかかる熱を
利用して鋼材の一部に浸炭処理を行うことができ、ロー
付処理に必要とされる真空又は不活性ガス雰囲気を損な
うことなく、確実にロー付処理と浸炭処理とを同時に行
うことができるのである。
【0012】尚、本発明に用いられる炭素成分として
は、単体でも化合物であってもよいが、ロー付状態の安
定化や品質等を考慮して炭素成分単体(100%炭素成
分)からなるグラファイトを使用することが好ましい。
また、炭素成分からなる粉末あるいはブロック体のいず
れを採用するかは、鋼材の浸炭処理すべき部位あるいは
形状部位等によって適宜選択すればよい。例えば、鋼材
によりタペット本体を形成し、カムとの摺動面とされる
部位に耐摩耗性に優れるセラミック部材がロー付接合さ
れたエンジン用摺動部品であるタペットに、本発明を適
用する場合について考えてみる。尚、タペットは、最も
高面圧となるカムとの摺動面に、ロー材を介してセラミ
ック部材がロー付処理されるものであるが、タペット本
体を構成する鋼材の一部においてもシリンダブロック内
を摺動することから、鋼材の外周表面に浸炭処理を施す
ことが一般的である。このようなタペットにあっては、
タペット本体の浸炭処理が必要とされる部位が略円柱状
に形成されていることから、炭素成分からなるブロック
体を用いることが好ましい。即ち、このブロック体にタ
ペット本体の外周表面の外径に沿った貫通孔あるいは凹
部を設け、この貫通孔あるいは凹部にタペット本体(即
ち、略円柱状の部分)を挿入して、セラミック部材との
ロー付処理を真空又は不活性ガス雰囲気中にて行うこと
により、ロー付処理と同時に浸炭処理を効率よく行うこ
とが可能となるのである。
【0013】ところで、一般に浸炭処理の熱処理温度と
ロー付処理の熱処理温度とは異なるものである。それに
より、ロー付処理の熱処理温度域が浸炭処理の熱処理温
度域を下回る場合では、ロー付処理と浸炭処理とを同時
に行うにあたり、浸炭処理の熱処理温度域に合わせて熱
処理を行う必要がある。しかしながら、浸炭処理よりも
低い熱処理温度域にロー材の液相点(融点)がある場合
には、浸炭処理時の熱処理温度域においてロー材成分が
ベーパー化したり、ロー材の粘性が低下して融解してし
まったりして、安定したロー付接合体が得られない可能
性がある。
【0014】そこで、請求項3に記載のように、前記ロ
ー付処理に使用されるロー材は、前記浸炭処理の熱処理
温度域以上でロー付可能なものとするとよい。それによ
り、ロー材の適正なロー付温度域(熱処理温度域)内で
浸炭処理を同時に行うことが可能となり、適度な接合強
度を有し、かつ、安定したロー付接合体を得ることがで
きる。
【0015】尚、浸炭処理の熱処理温度域は一般的に9
00℃以上であることから、ロー材としては、請求項4
に記載のように、それ自体の液相点が900℃以上のも
のを使用することが好ましい。さらに、このような条件
を有するロー材としては、請求項5に記載のように、銅
(Cu)を主成分とするものを使用するのが好ましい。
【0016】ここで、ロー付温度域が浸炭処理の熱処理
温度域である900℃以上となるロー材としては、Cu
−Si−Ti系、Cu−Pd−Si−Ti系、Cu−S
i系、Au−Ni−Ti系、Au−Cu−Ti系、Ti
−Ag系等であって、上記条件を満たすべく所定の成分
比率にて形成されたものを使用することができる。そし
て、その中でも特に、900℃以上の耐熱性に優れると
共に経済的で、かつ延性に優れた銅を主成分とするロー
材を使用することにより、浸炭処理が行われる熱処理温
度域(900℃)以上において安定したロー付処理を実
現することができる。尚、ここでいう「主成分」とは、
全てのロー材成分を100重量%とした場合に、銅を少
なくとも80重量%以上(好ましくは90重量%以上)
を含有していることをいう。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施例を図
面に基づいて説明する。なお、本実施例は、自動車エン
ジンのシリンダブロックに組み込まれるタペットに、本
発明を適用した例である。図1は本実施例にかかるタペ
ットの説明図、図2は浸炭処理の説明図(図1のA−A
断面)を示す。
【0018】図1に示すように、タペット1は、鋼材か
らなるタペット本体2の下端面(カムとの摺動面)に、
耐摩耗性に優れるセラミック3をロー材4を用いてロー
付接合して形成される。タペット本体2は、JIS S
NCM439の鋼材を冷間鍛造して形成され、略円柱状
のステム部2aの下端に略円盤状のベース部2bを連接
した形状を有する。タペット本体2の全長は40mm、
ステム部2aは外径15mm、内径10mm、ベース部
2bは直径が30mm、厚み3mmに形成されている。
また、図2に示すように、ステム部2aの内方底部に
は、プッシュロッド(図示せず)との当たり面となる半
球状の溝2cが設けられている。
【0019】ステム部2aは、その外周表面2dがシリ
ンダブロックに設けられたガイド孔(図示せず)に沿っ
て摺動するとともに、その内側で溝2cに当接したプッ
シュロッドを押し上げる。それにより、この外周表面2
d及び溝2cは摩擦により摩耗しやすい部分であるた
め、その表面(摺動面)には硬度を高めるための焼入れ
処理である浸炭処理が施されている。
【0020】なお、鋼材の材質は上記のものに限られ
ず、JIS S45C,同SCr420,同SCM43
5、同SACM645等種々の材料が適用可能である
が、鋼材自体が有する靭性及び硬度、さらには加工性を
考慮して、それらに優れる低炭素鋼を利用するのが好ま
しい。
【0021】セラミック3は、窒化珪素(Si34)9
0w%にY23−Al23系焼結助剤及び成形バインダ
を加え、金型プレスにより成形後、脱脂、焼成を行い、
両端面を研削し、直径30mm、板厚1.5mmの円板
に成形したものである。なお、セラミック材料として
は、上記のものに限られず、ジルコニア、窒化ホウ素、
アルミナ等を適用してもよい。
【0022】本実施例では、上記ロー付処理と浸炭処理
とを同時に行うために(以下「接合/浸炭工程」とい
う)、ロー材の種類の選択、及び浸炭処理の形態に工夫
をこらしている。即ち、上記ロー付処理に際しては、ロ
ー材4として比較的融点の高い銅を主成分としたCu−
Si−Ti系(Cu−93%,Si−3%,Ti−4
%)のものを用いている。その理由としては、一般的に
900℃以上の熱処理温度域で行われる浸炭処理を、ロ
ー材の適正なロー付温度域内でロー付処理と同時に行う
必要があるからである。なお、上記ロー材4としては、
この他にもCu−Pd−Si−Ti系、Cu−Si系、
Au−Ni−Ti系、Au−Cu−Ti系、Ti−Ag
系等であって、液相点が900℃以上となるように所定
の成分比率にて形成されたものを適用することができ
る。
【0023】ついで、図2に示すように、ステム部2a
の外周表面2dに浸炭処理を施すためのブロック体に形
成されたグラファイト5と、ステム部2a内方の溝2c
に浸炭処理を施すための粉末状に形成されたグラファイ
ト6とが用意される。ブロック体に形成されたグラファ
イト5は、ステム部2aの外周表面2dの形状に沿った
形状の貫通孔5aを有する。そして、この貫通孔5にス
テム部2aが挿入され、外周表面2dがグラファイト5
に密着される。また、粉末状に形成されたグラファイト
6が、溝2cに充填される。そして、このように浸炭処
理が必要とされる部位にのみ、固体状の炭素成分(グラ
ファイト)を接触させた状態で熱処理を行うことによ
り、ステム部2aの外周表面2d及び溝2cの表面に炭
素を含浸させるようにしている。
【0024】本実施例の接合/浸炭工程は、上記のよう
にグラファイト5及び6を浸炭処理が必要とされる部位
にのみ接触させた状態で、タペット本体2を炉内に挿入
し、そのタペット本体2の下端面にロー材4を介してセ
ラミック3を載置し、炉内をロー付温度(1050℃)
まで昇温して50分間保持し、その後常温まで徐冷する
ことにより行う。なお、炉内の雰囲気はロー付状態を最
適化させるため、真空状態とした。また、炉内の雰囲気
は不活性ガス状態とすることもできる。ここで、不活性
ガスとは、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が
挙げられる。
【0025】そして、ロー材の適正なロー付温度域内で
浸炭可能な熱処理温度域が設定されることにより、グラ
ファイトと接触した鋼材箇所の表面に、炭素を多く含ん
だ硬化層が形成されて優れた耐摩耗性を得ることがで
き、かつ、適度な接合強度を有し、安定したロー付状態
を有するタペット1を一つの工程にて得ることができ
る。
【0026】発明者らは、上記浸炭処理の効果を確認す
べく、二種類の評価試験を行った。以下、その詳細につ
いて示す。 [硬さ評価試験]上記接合/浸炭工程の効果を評価する
ために、接合/浸炭工程後のステム部2aのビッカース
硬さ試験を行った。この試験では、ステム部2aの外周
表面2dと、溝2cの各々の表面層の所定深さ(外周表
面から0,0.1,0.5,1.0mm)における硬さ
を測定した。また、比較例として、浸炭処理を行わずに
ロー付処理のみを行ったタペットのステム部外周表面に
ついても同様の試験を行った。表1にその試験結果を示
す。
【0027】なお、測定条件は以下の通りである。 圧子押し込み最大荷重:25gf 荷重保持時間:15sec
【0028】
【表1】
【0029】表1より、上記接合/浸炭工程による効果
が確認される。即ち、ブロック状のグラファイトを用い
た浸炭処理により、ステム部2aの外周表面2dの表面
層に炭素が良好に含浸され、その硬度が高められている
ことがわかる。また、粉末状のグラファイトを用いた浸
炭処理により、ステム部2a内方底部の溝2cの表面層
にも炭素が良好に含浸され、その硬度が高められている
ことが分かる。
【0030】また、深さが1.0mm以下の部分におい
て、当該接合/浸炭工程による効果が顕著に表れている
ことが確認できる。このことは、外周表面近傍において
表面層が硬化し耐摩耗性に優れた効果を発揮できる一
方、その内部は硬化しておらず靭性が保持されるため、
十分な衝撃強度を併せ持つことを意味する。 [摩耗評価試験]また、上記接合/浸炭工程による耐摩
耗性への効果を評価するために、接合/浸炭工程後のタ
ペットの摩耗評価試験を行った。この試験は、タペット
を実機エンジンに組み込んで所定の条件で運転した後、
シリンダヘッド部との摩擦により摩耗したステム部の外
周表面の最大摩耗深さを測定することにより行った。ま
た、比較例として浸炭処理が行わていないタペット、及
び、高周波焼き入れがなされた従来のタペットについて
も同様の試験を行った。
【0031】この試験には6気筒の実機エンジンを使用
した。そして、上記3種類のタペットをそれぞれ4個ず
つ用意し、計12個のタペットを、6気筒の吸気側(I
N)及び排気側(EX)に配置して実験を行った。ただ
し、これら各気筒の条件は全て同一である。
【0032】試験条件は加速試験であるため以下の通り
である。 エンジン: 12000cc直列6気筒ディーゼルエン
ジン カム回転: 2500rpm(定格×150%) タペットクリアランス: 1mm(標準×3) 使用エンジンオイル: 劣化オイルを130℃に加熱
(市場5万km走行相当) スプリング荷重: 標準仕様の2倍 耐久:1000h
【0033】
【表2】
【0034】表2から、本実施例にかかる接合/浸炭工
程により、ステム部2aの摩耗量は、焼き入れを行わな
い場合よりもかなり少なくなっていることが分かる。ま
た、高周波焼入れを行った従来品との比較においても遜
色がないことが分かる。このように、本実施例にかかる
セラミックと鋼材との接合方法によれば、浸炭処理とし
て固体状の炭素成分を使用するため、ロー付処理に必要
とされる真空雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気を損なう
ことなく維持することができ、それによりロー材を酸化
させる等の心配もなく、ロー付処理と浸炭処理とを同時
に行うことができる。さらに、上記評価試験により明ら
かにしたように、浸炭処理効果としては従来品と同等の
効果が得られる。したがって、従来別工程で行われてい
たロー付処理と浸炭処理とを同一工程で行うことが可能
となる。この結果、工程数の削減による製造の効率化、
及びこれに伴うタペットの低廉化を実現することができ
る。
【0035】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明の実施の形態は上記実施例に何ら限定される
ことなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態
をとりうる。例えば、上記タペット1の形状、ロー付温
度の条件等は上記のものに限られず、タペットの適用対
象、ロー材の種類等により適宜選択することができるこ
とはいうまでもない。
【0036】また、上記実施例においては、鋼材とセラ
ミックとのロー付接合体としてタペットを例に取り上げ
たが、これに限られず、セラミックロッカーアーム等そ
の他の摺動部品にも適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るタペットの説明図であ
る。
【図2】 本発明の実施例に係るタペットの製造工程の
説明図である。
【符号の説明】
1・・・タペット、 2・・・タペット本体、2a・・
・ステム部、 2b・・・ベース部、2c・・・溝、
2d・・・外周表面、3・・・セラミック、 4・・・
ロー材、 5・・・グラファイト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 8/20 C23C 8/20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材に、ロー材を介して他部材をロー付
    処理してなるロー付接合体の製造方法であって、 真空又は不活性ガス雰囲気中にて、前記ロー付処理を行
    うのと同時に、前記鋼材の一部に炭素成分を接触させて
    浸炭処理を行い、該一部の表面の硬度を高くしたことを
    特徴とするロー付接合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記浸炭処理は、前記鋼材の一部に炭素
    成分からなる粉末もしくはブロック体を接触させ、該一
    部の表面に炭素を含浸させることにより行うことを特徴
    とする請求項1記載のロー付接合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ロー付処理に使用されるロー材は、
    前記浸炭処理の熱処理温度域以上でロー付可能なもので
    あることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロ
    ー付接合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ロー付処理に使用されるロー材は、
    液相点が900℃以上であることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載のロー付接合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ロー材として、銅を主成分とするも
    のを使用したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載のロー付接合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記他部材がセラミック部材であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のロー付接
    合体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113136541A (zh) * 2021-06-22 2021-07-20 中南大学 一种Zr基合金表面梯度ZrC涂层及其制备方法
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