JP2000336499A - 基板の処理方法及び製造方法並びに陽極化成装置 - Google Patents

基板の処理方法及び製造方法並びに陽極化成装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】導電性隔壁からのパーティクルの発生を防止す
る。 【解決手段】陰電極104と陽電極106との間に導電
性隔壁108が配置された陽極化成装置100によって
Si基板101に多孔質層を形成する。まず、陰電極1
04とSi基板101とを第1の電解質溶液131を介
して電気的に接触させると共に導電性隔壁108とSi
基板101とを第2の電解質溶液141を介して電気的
に接触させる。次いで、陰電極104と陽電極106と
の間に電流を流すことによりSi基板101に多孔質層
を形成する。第1の電解質溶液131として、Si基板
101を多孔質化する能力を有する電解質溶液を使用
し、第2の電解質溶液141として、実質的に導電性隔
壁108を多孔質化する能力を有しない電解質溶液を使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板の処理装置及
び製造装置並びに陽極化成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】絶縁層上に単結晶Si層を有する基板と
して、SOI(silicon on insulator)構造を有する基
板(SOI基板)が知られている。このSOI基板を採
用したデバイスは、通常のSi基板では到達し得ない数
々の優位点を有する。この優位点としては、例えば、以
下のものが挙げられる。 (1)誘電体分離が容易で高集積化に適している。 (2)放射線耐性に優れている。 (3)浮遊容量が小さく、素子の動作速度の高速化が可
能である。 (4)ウェル工程が不要である。 (5)ラッチアップを防止できる。 (6)薄膜化による完全な空乏型電界効果トランジスタ
の形成が可能である。
【0003】SOI構造は、上記のような様々な優位点
を有するため、ここ数十年、その形成方法に関する研究
が進められている。
【0004】SOI技術としては、古くは、単結晶サフ
ァイア基板上にSiをCVD(化学気相成長)法でヘテ
ロエピタキシ成長させて形成するSOS(silicon on s
apphire)技術が知られている。このSOS技術は、最
も成熟したSOI技術として一応の評価を得たものの、
Si層と下地のサファイア基板との界面における格子不
整合による大量の結晶欠陥の発生、サファイア基板を構
成するアルミニュームのSi層への混入、基板の価格、
大面積化への遅れ等により実用化が進んでいない。
【0005】比較的近年には、サファイア基板を使用せ
ずにSOI構造を実現しようという試みがなされてい
る。この試みは、次の2つに方法に大別される。
【0006】第1の方法は、Si単結晶基板の表面を酸
化した後に、その酸化膜(SiO層)に窓を形成する
ことによりSi基板を部分的に表出させ、その部分をシ
ードとして横方向へ単結晶Siをエピタキシャル成長さ
せて、これによりSiO上にSi単結晶層を形成する
方法である(この方法では、SiO層上にSi層を堆
積させる)。
【0007】第2の方法は、Si単結晶基板そのものを
活性層として使用し、その下部にSiO層を形成する
方法である(この方法では、Si層を堆積させない)。
【0008】上記の第1の方法を実現する手段として、
CVD法により直接的に単結晶Si層から横方向に単結
晶Siをエピタキシャル成長させる方法(CVD法)、
非晶質Siを堆積して熱処理により固相横方向エピタキ
シャル成長させる方法(固相成長法)、非晶質或いは多
結晶Si層に電子線やレーザー光等のエネルギービーム
を収束させて照射して溶融再結晶によりSiO層上に
単結晶Si層を成長させる方法(ビームアニ−ル法)、
棒状ヒータにより帯状に溶融領域を走査する方法(Zone
Melting Recrystallization法)が知られている。
【0009】これらの方法にはそれぞれ一長一短がある
が、その制御性、生産性、均一性、品質に多大の問題を
残しており、未だに、工業的に実用化されたものはな
い。例えば、CVD法では、平坦化・薄膜化するために
犠牲酸化が必要となり、固相成長法では結晶性が悪い。
また、ビームアニール法では、収束ビームを走査するの
に要する処理時間、ビームの重なり具合や焦点調整など
の制御性に問題がある。このうち、Zone Melting Recry
stallization法が最も成熟しており、比較的大規模な集
積回路が試作されてはいるが、亜粒界等の結晶欠陥が多
数残留するという問題があり、少数キャリヤデバイスを
作成するまでに至っていない。
【0010】上記の第2の方法、すなわち、Si基板を
エピタキシャル成長のシードとして用いない方法として
は、次の4つの方法が挙げられる。
【0011】第1に、異方性エッチングによりV型の溝
が表面に形成された単結晶Si基板に酸化膜を形成し、
該酸化膜上に単結晶Si基板の厚さと同程度の厚さの多
結晶Si層を堆積させた後に、単結晶Si基板の裏面か
ら単結晶Siを研磨することによって、厚い多結晶Si
層上にV溝に囲まれて誘電分離されたSi単結晶領域を
有する基板を形成する方法がある。この方法では、結晶
性が良好な基板を形成することができるが、多結晶Si
を数百ミクロンも厚く堆積する工程や、単結晶Si基板
を裏面から研磨して分離されたSi活性層を残す工程に
関して、制御性や生産性の問題がある。
【0012】第2に、SIMOX(Separation by Ion
Implanted Oxygen)法がある。この方法は、単結晶Si
基板中に酸素イオンを注入することによりSiO層を
形成する方法である。この方法では、 基板の内部にS
iO層を形成するために、1018(ions/cm
)以上の酸素イオンを注入する必要があり、その注入
時間が長大であるため生産性が低い。また、製造コスト
が高い。更に、多数の結晶欠陥が生じるため、少数キャ
リヤデバイスを作製するための充分な品質に至っていな
い。
【0013】第3に、多孔質Siの酸化による誘電体分
離によりSOI構造を形成する方法がある。この方法
は、プロトンイオン注入(イマイ他,J.Crysta
l Growth,vol 63,547(198
3))により、若しくは、エピタキシャル成長工程及び
パターニング工程により、P型単結晶Si基板の表面に
N型Si層を島状に形成し、この基板をHF溶液中で陽
極化成することにより、このN型Si島を囲むようにP
型Si基板のみを多孔質化した後に、増速酸化によりN
型Si島を誘電体分離する方法である。この方法では、
分離すべきSi領域をデバイス工程の前に決定する必要
があるため、デバイス設計の自由度を制限する点におい
て問題がある。
【0014】第4に、単結晶Si基板を、熱酸化した別
の単結晶Si基板に、熱処理又は接着剤により貼り合わ
せて、SOI構造を形成する方法がある。この方法で
は、デバイスを形成するための活性層を均一に薄膜化す
る必要がある。すなわち、数百ミクロンもの厚さを有す
る単結晶Si基板をミクロンオーダー或いはそれ以下に
薄膜化する必要がある。
【0015】薄膜化の方法としては、研磨による方法
と、選択エッチングによる方法とがある。
【0016】研磨による方法では、単結晶Siを均一に
薄膜化することが困難である。特にサブミクロンオーダ
ーへの薄膜化では、ばらつきが数十%になる。ウェハの
大口径化が進めば、その困難性は増す一方である。
【0017】選択エッチングによる方法は、均一な薄膜
化という点では有効であるが、選択比が10程度しか
得られない点、エッチング後の表面性が悪い点、SOI
層の結晶性が悪い点で問題がある。
【0018】ところで、ガラスに代表される光透過性基
板は、受光素子であるコンタクトセンサや投影型液晶表
示装置を構成する上で重要である。そして、センサや表
示装置の画素(絵素)をより一層、高密度化、高解像度
化、高精細化するには、高性能の駆動素子が必要とな
る。そこで、光透過性基板上に優れた結晶性を有する単
結晶Si層を形成する技術が求められている。
【0019】しかしながら、ガラスに代表される光透過
性基板上にSi層を堆積した場合、そのSi層は、非晶
質若しくは多結晶にしかならない。これは、光透過性基
板の結晶構造が非晶質であり、その上に形成されるSi
層が、光透過性基板の結晶構造の無秩序性を反映するた
めである。
【0020】本出願人は、特開平5−21338号にお
いて、新たなSOI技術を開示した。この技術は、単結
晶Si基板に多孔質層を形成し、その上に非多孔質層単
結晶層を形成した第1の基板を、絶縁層を介して第2の
基板に貼り合わせ、その後、貼り合わせ基板を多孔質層
で2枚に分離することにより、第2の基板に非多孔質単
結晶層を移し取るものである。この技術は、SOI層の
膜厚均一性が優れていること、SOI層の結晶欠陥密度
を低減し得ること、SOI層の表面平坦性が良好である
こと、高価な特殊仕様の製造装置が不要であること、数
100Å〜10μm程度の範囲のSOI膜を有するSO
I基板を同一の製造装置で製造可能なこと等の点で優れ
ている。
【0021】更に、本出願人は、特開平7−30288
9号において、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせ
た後に、第1の基板を破壊することなく第2の基板から
分離し、その後、分離した第1の基板の表面を平滑化し
て再度多孔質層を形成し、これを再利用する技術を開示
した。この技術は、第1の基板を無駄なく使用できるた
め、製造コストを大幅に低減することができ、製造工程
も単純であるという優れた利点を有する。
【0022】貼り合わせた基板を第1及び第2の基板の
双方を破壊することなく2枚に分離する方法としては、
例えば、貼り合わせ面に対して垂直な方向に力が加わる
ようにして両基板を互いに反対方向に引っ張る方法、貼
り合わせ面に対して平行に剪断応力を加える方法(例え
ば、貼り合わせ面に平行な面内で両基板を互いに反対方
向に移動させる方法や、円周方向に力が加わるようにし
て両基板を反対方向に回転させる方法など)、貼り合わ
せ面に対して垂直な方向に加圧する方法、分離領域に超
音波などの波動エネルギーを印加する方法、分離領域に
対して貼り合わせ基板の側面側から貼り合わせ面に平行
に剥離用部材(例えばナイフのような鋭利なブレード)
を挿入する方法、分離領域として機能する多孔質層に染
み込ませた物質の膨張エネルギーを利用する方法、分離
領域として機能する多孔質層を貼り合わせ基板の側面か
ら熱酸化させることにより、該多孔質層を体積膨張させ
て分離する方法、分離領域として機能する多孔質層を貼
り合わせ基板の側面から選択的にエッチングして分離す
る方法などがある。
【0023】多孔質Siは、Uhlir等によって1956年に半
導体の電解研磨の研究過程において発見された(A.Uhli
r, Bell Syst.Tech.J., vol.35, 333(1956))。多孔質S
iは、Si基板をHF溶液中で陽極化成(Anodization)する
ことにより形成することができる。
【0024】ウナガミ等は、陽極化成におけるSiの溶解
反応を研究し、HF溶液中のSiの陽極反応には正孔が必要
であり、その反応は、次の通りであると報告している
(T.ウナカ゛ミ、J.Electrochem.Soc., vol.127, 476(198
0))。 Si+2HF+(2-n)e+ → SiF2+2H++ne- SiF2+2HF → SiF4+H2 SiF4+2HF → H2SiF6 または、 Si+4HF+(4-λ)e+ → SiF4+4H++λe- SiF4+2HF → H2SiF6 ここで、e+およびe-は、それぞれ正孔と電子を表してい
る。また、nおよびλは、それぞれSiの1原子が溶解する
ために必要な正孔の数であり、n>2又はλ>4なる条件
が満たされた場合に多孔質Siが形成されるとしている。
【0025】以上のことから、正孔の存在するP型Siは
多孔質化されるが、N型Siは多孔質化されないと考える
ことができる。この多孔質化における選択性は長野等及
び今井によって報告されている(長野、中島、安野、大
中、梶原、電子通信学会技術研究報告、vol.79, SSD79-
9549(1979))、(K. Imai, Solid-State Electronics, vo
l.24,159(1981))。
【0026】しかしながら、高濃度のN型Siであれば
多孔質化されるとの報告もある(R.P. Holmstrom and
J. Y. Chi, Appl. Phys. Lett., vol. 42, 386(198
3))。したがって、P型、N型の別にこだわらず、多孔質
化が可能な基板を選択することが重要である。
【0027】Si基板に多孔質層を形成するには、HF
溶液を満たした処理槽内に一対の電極を支持すると共に
該電極間にSi基板を保持して、該電極間に電流を流せ
ばよい。この場合、問題になるのは、陽電極を構成する
金属元素がHF溶液中に溶け出すことによりSi基板が
汚染されることである。
【0028】本出願人は、特開平6−275598号に
おいて、この問題を解決するための陽極化成装置を開示
している。特開平6−275598号に開示された陽極
化成装置では、Si基板と陽電極との間にSi材料から
なる導電性隔壁を配置し、陽電極を構成する金属元素に
よるSi基板の汚染を該導電性電極により遮断する。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】特開平6−27559
8号に係る陽極化成装置のように、処理対象のSi基板
と陽電極との間にSi材料からなる導電性隔壁を配置し
て該Si基板に陽極化成処理を施すと、陽極化成の条件
によっては、処理対象のSi基板の表面のみならず、導
電性隔壁の表面も多孔質化されることがある。
【0030】製造を効率的に行うためには、導電性隔壁
は、多数回の陽極化成処理に耐えられることが好まし
い。しかしながら、導電性隔壁が多孔質化される条件の
下で、導電性隔壁を多数回の陽極化成処理において使用
すると、導電性隔壁の表面の多孔質化が進み、最終的に
は、導電性隔壁の表面付近が崩壊し、Siのパーティク
ルが導電性隔壁から脱落する。このパーティクルによ
り、処理対象のSi基板や陽極化成槽が汚染される。
【0031】本発明は、上記の背景に鑑みてなされたも
のであり、例えば、導電性隔壁からのパーティクルの発
生を防止することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の側面に係
る基板の処理方法は、陰電極と陽電極との間に該陽電極
と電気的に接続された導電性隔壁が配置された陽極化成
装置を利用し、前記陰電極と前記導電性隔壁との間に基
板を配置して、陽極化成反応によって該基板に多孔質層
を形成するための処理方法であって、前記陰電極と処理
対象の基板とを第1の電解質溶液を介して電気的に接触
させると共に前記導電性隔壁と該基板とを第2の電解質
溶液を介して電気的に接触させる準備工程と、前記陰電
極と前記陽電極との間に電流を流すことにより前記基板
の前記陰電極側の面に多孔質層を形成する陽極化成工程
とを含み、前記第1の電解質溶液として、前記基板を多
孔質化する能力を有する電解質溶液を使用し、前記第2
の電解質溶液として、実質的に前記導電性隔壁を多孔質
化する能力を有しない電解質溶液を使用することを特徴
とする。
【0033】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記第2の電解質溶液として、前記
導電性隔壁を電解エッチングする能力を有する電解質溶
液を使用することが好ましい。
【0034】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記導電性隔壁は、処理対象の基板
と同質の材料で構成されていることが好ましい。
【0035】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記導電性隔壁は、Si材料で構成
されていることが好ましい。
【0036】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記第1の電解質溶液及び前記第2
の電解質溶液は、共に弗化水素を含有する溶液であるこ
とが好ましい。
【0037】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記第1の電解質溶液と前記第2の
電解質溶液とは、弗化水素の濃度が異なることが好まし
い。
【0038】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記第1の電解質溶液は、前記第2
の電解質溶液よりも、弗化水素の濃度が高いことが好ま
しい。
【0039】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記第1の電解質溶液は、弗化水素
の濃度が10〜50%であることが好ましい。
【0040】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記第2の電解質溶液は、弗化水素
の濃度が10%以下であることが好ましい。
【0041】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記第2の電解質溶液は、弗化水素
の濃度が2%以下であることが好ましい。
【0042】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記陽電極から前記基板に供給され
る電流は、全て前記導電性隔壁を介して供給されること
が好ましい。
【0043】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記陽極化成工程では、前記基板
に、互いに多孔度が異なる2以上の層からなる多層構造
の多孔質層を形成することが好ましい。
【0044】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記陽極化成工程では、前記陰電極
と前記陽電極との間に流す電流の大きさを変更すること
により多層構造の多孔質層を形成することが好ましい。
【0045】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記陽極化成工程は、前記第1の電
解質溶液を他の電解質溶液に交換することにより多層構
造の多孔質層を形成することが好ましい。
【0046】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記準備工程は、前記陰電極と前記
陽電極との間に処理対象の基板を基板ホルダによって保
持する工程と、前記陰電極と前記基板との間に前記第1
の電解質溶液を満たすと共に前記導電性隔壁と前記基板
との間に前記第2の電解質溶液を満たす工程とを含むこ
とが好ましい。
【0047】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、処理対象の基板に多孔質層が形成さ
れた後に、前記第1及び第2のの電解質溶液を排出する
工程と、前記基板を前記基板ホルダから取り外す工程と
を更に含むことが好ましい。
【0048】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記陽極化成工程では、基板の表面
から数えて2番目以降の層の全部又は一部の層の多孔度
が基板の表面から数えて1番目の層の多孔度よりも高く
なるように多層構造の多孔質層を形成することが好まし
い。
【0049】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記陽極化成工程では、前記1番目
の層の多孔度を30%以下とし、前記2番目以降の層の
全部又は一部の層の多孔度を30%以上とすることが好
ましい。
【0050】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記陽極化成工程では、前記2番目
の層の厚さを5μm以下とすることが好ましい。
【0051】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、処理対象の基板に多孔質層が形成さ
れた後に、該基板を洗浄する洗浄工程を更に含むことが
好ましい。
【0052】本発明の第1の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記洗浄工程において洗浄された基
板を乾燥させる乾燥工程を更に含むことが好ましい。
【0053】本発明の第2の側面に係る基板の処理方法
は、陰電極と陽電極とを有し、処理対象の基板によって
前記陰電極側と前記陽電極側とに分離される陽極化成槽
の前記陰電極と前記陽電極との間に基板を配置し、陽極
化成反応によって該基板に多孔質層を形成するための処
理方法であって、前記陽極化成槽の前記陰電極側に第1
の電解質溶液を満たすと共に前記陽電極側に第2の電解
質溶液を満たす工程と、前記陰電極と前記陽電極との間
に電流を流すことにより前記基板の前記陰電極側の面に
多孔質層を形成する陽極化成工程とを含み、前記第1の
電解質溶液と前記第2の電解質溶液とは、陽極化成反応
の観点において、異なる性質を有する電解質溶液である
ことを特徴とする。
【0054】本発明の第2の側面に係る基板の処理方法
において、例えば、前記陽極化成槽は、前記陽電極と処
理対象の基板とを隔離するための導電性隔壁を有するこ
とが好ましい。
【0055】本発明の第3の側面に係る陽極化成装置
は、陽極化成反応により基板に多孔質層を形成するため
の陽極化成装置であって、陰電極と、陽電極と、前記陰
電極と前記陽電極との間で処理対象の基板を保持する基
板ホルダと、前記陽電極と前記基板とを隔離すると共に
前記陽電極と電気的に接続される導電性隔壁と、前記陰
電極と前記基板との間に第1の電解質溶液を供給する第
1の供給手段と、前記導電性隔壁と前記基板との間に第
2の電解質溶液を供給する第2の供給手段と、前記陰電
極と前記基板との間の前記第1の電解質溶液を排出する
第1の排出手段と、前記導電性隔壁と前記基板との間の
前記第2の電解質溶液を排出する第2の排出手段と、前
記第1の電解質溶液と前記第2の電解質溶液とが混合し
ないような手順に従って前記第1及び第2の供給手段並
びに前記第1及び第2の排出手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0056】本発明の第4の側面に係る基板の製造方法
は、上記のいずれかの基板の処理方法に従って基板の表
面に多孔質層を形成する第1の形成工程と、前記多孔質
層上に非多孔質層を形成する第2の形成工程と、前記第
2の形成工程によって得られる基板を第1の基板とし
て、該第1の基板と別途用意した第2の基板とを前記非
多孔質層を挟むようにして貼り合わせて貼り合わせ基板
を作成する貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ基板よ
り、前記第1の基板の裏面から前記多孔質層までの部分
を除去する除去工程とを含むことを特徴とする。
【0057】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
は、上記のいずれかの基板の処理方法に従って基板の表
面に多孔質層を形成する第1の形成工程と、前記多孔質
層上に非多孔質層を形成する第2の形成工程と、前記第
2の形成工程によって得られる基板を第1の基板とし
て、該第1の基板と別途用意した第2の基板とを前記非
多孔質層を挟むようにして貼り合わせて貼り合わせ基板
を作成する貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ基板を前
記多孔質層の部分で分離する分離工程と、分離後の第2
の基板上に残留する多孔質層を除去する除去工程とを含
むことを特徴とする。
【0058】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記分離工程では、前記多孔質層に
向けて流体を打ち込むことにより前記貼り合わせ基板を
2枚の基板に分離することが好ましい。
【0059】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記分離工程では、前記貼り合わせ
基板に対して、該貼り合わせ基板の面に実質的に垂直な
方向に、力を印加することにより、該貼り合わせ基板を
2枚の基板に分離することが好ましい。
【0060】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記分離工程では、前記貼り合わせ
基板に対して、面方向にせん断応力を印加することによ
り、該貼り合わせ基板を2枚の基板に分離することが好
ましい。
【0061】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記分離工程では、前記貼り合わせ
基板の前記多孔質層の周辺部分を酸化させて体積膨張さ
せることにより、該貼り合わせ基板を2枚の基板に分離
することが好ましい。
【0062】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記流体として液体を利用すること
が好ましい。
【0063】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記流体として気体を利用すること
が好ましい。
【0064】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、分離後の第1の基板の表面に残留す
る多孔質層を除去して該基板を再利用可能にする工程を
更に含むことが好ましい。
【0065】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第1の形成工程では、互いに多
孔度が異なる多層構造の多孔質層を形成することが好ま
しい。
【0066】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記分離工程では、前記多層構造の
多孔質層のうち内側の層を分離用の層として利用するこ
とが好ましい。
【0067】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第1の形成工程では、Si基板
の表面に多孔質層を形成することが好ましい。
【0068】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記非多孔質層は、半導体層を含む
ことが好ましい。
【0069】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記非多孔質層は、単結晶Si層を
含むことが好ましい。
【0070】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記非多孔質層は、内側から順に、
単結晶Si層及び絶縁層を含むことが好ましい。
【0071】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記絶縁層は、SiO層であるこ
とが好ましい。
【0072】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、記非多孔質層は、化合物半導体層を
含むことが好ましい。
【0073】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、Si基板である
ことが好ましい。
【0074】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、表面に酸化膜を
有するSi基板であることが好ましい。
【0075】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、光透過性の基板
であることが好ましい。
【0076】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、絶縁性の基板で
あることが好ましい。
【0077】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、石英基板である
ことが好ましい。
【0078】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記除去工程に次いで、分離後の第
2の基板を平坦化する平坦化工程を更に含むことが好ま
しい。
【0079】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記平坦化工程は、水素を含む雰囲
気中での熱処理を含むことが好ましい。
【0080】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記除去工程では、a)弗酸、b)
弗酸にアルコール及び過酸化水素水の少なくとも一方を
添加した混合液、c)バッファード弗酸、d)バッファ
ード弗酸に弗酸にアルコール及び過酸化水素水の少なく
とも一方を添加した混合液、のいずれかをエッチング液
として多孔質層を選択的にエッチングすることが好まし
い。
【0081】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記除去工程では、化合物半導体を
エッチングする速度よりも多孔質層をエッチングする速
度が速いエッチング液により多孔質層を選択的にエッチ
ングすることが好ましい。
【0082】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記除去工程では、前記非多孔質層
をストッパとして多孔質層を選択的に研磨することが好
ましい。
【0083】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記貼り合わせ工程は、前記非多孔
質層が形成された第1の基板を前記第2の基板に密着さ
せる工程であることが好ましい。
【0084】本発明の第5の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記貼り合わせ工程は、前記非多孔
質層が形成された第1の基板を前記第2の基板に密着さ
せた後に、陽極接合、加圧若しくは熱処理又はこれらの
組み合わせの中から選ばれる処理を施す工程であること
が好ましい。
【0085】本発明の第6の側面に係る半導体薄膜の製
造方法は、上記のいずれかの基板の処理方法に従って基
板の表面に多孔質層を形成する第1の形成工程と、前記
多孔質層上に半導体薄膜を形成する第2の形成工程と、
前記第2の形成工程によって得られる基板を前記多孔質
層の部分で分離する分離工程とを含むことを特徴とす
る。
【0086】本発明の第6の側面に係る半導体薄膜の製
造方法において、例えば、前記分離工程では、前記第2
の形成工程によって得られる基板の前記半導体薄膜にフ
ィルムを貼り付けて該フィルムを引き剥がすことによ
り、該基板を前記多孔質層の部分で分離することが好ま
しい。
【0087】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明の好適な実施の形態を説明する。
【0088】まず、本発明の第1の実施の形態に係る半
導体基板の製造工程を説明する。図1は、本発明の第1
の実施の形態に係る半導体基板の製造工程を示す図であ
る。
【0089】まず、図1(a)に示す工程では、単結晶
Si基板11を用意して、その表面側に1層の多孔質層
12を形成する。
【0090】次いで、図1(b)に示す工程では、多孔
質層12上に少なくとも1層の非多孔質層を形成し、こ
れを第1の基板10とする。図示の例では、2層の非多
孔質層13,14を形成したものである。下側の非多孔
質層13としては、例えば単結晶Si層が好適である。
この単結晶Si層は、例えばSOI基板における活性層
として使用され得る。また、表面側の非多孔質層14と
しては、例えばSiO (絶縁層)層が好適である。こ
のSiO層は、活性層を貼り合わせ界面から離すため
に好適である。
【0091】なお、非多孔質層としては、上記の他、多
結晶Si層、非晶質Si層、金属層、化合物半導体層、
超伝導層等も好適である。また、非多孔質層に、この時
点でMOSFET等の素子を形成してもよい。
【0092】図1(c)に示す工程では、第1の基板1
0と別途用意した第2の基板20とを非多孔質層13,
14を挟むようにして室温で密着させる。その後、陽極
接合、加圧若しくは熱処理又はこれらを組み合わせた処
理により第1の基板10と第2の基板20とを貼り合せ
て貼り合わせ基板30を作成する。
【0093】ここで、非多孔質層13として単結晶Si
層を形成した場合には、該単結晶Si層の表面に、前述
のように、熱酸化等の方法でSiO層を形成した後
に、第1の基板10と第2の基板20とを貼り合せるこ
とが好ましい。
【0094】また、第2の基板20としては、Si基板
の他、例えば、Si基板上にSiO 層を形成した基
板、石英等の光透過性基板や絶縁性基板、サファイア基
板等が好適である。ただし、第2の基板の材料は、これ
らに限定されず、貼り合わせ面が十分に平坦な基板であ
る限り、他の種類の基板を採用することもできる。更
に、第2の基板20の代わりに、例えばフレキシブルな
フィルム等を採用することもできる。
【0095】なお、非多孔質層13をSiで構成しない
場合、或いは、第2の基板20としてSi基板を採用し
ない場合には、絶縁層としての非多孔質層14を形成す
る必要はない。
【0096】また、貼り合わせに際して、第1の基板1
0と第2の基板20との間に別途絶縁性の薄板を挟んで
3枚重ねにすることも可能である。
【0097】図1(d)に示す工程では、貼り合わせ基
板30を多孔質層12の部分で2枚に分離する。分離の
方法としては、例えば、流体を多孔質層12に打ち込む
方法、貼り合わせ基板30に対して、その面に垂直な方
向に力(例えば、押圧力、引張り力)を印加する方法、
貼り合わせ基板30に対して面方向にせん断力等の外圧
を印加する方法、多孔質Si層12を周辺部から酸化さ
せて膨張させ、多孔質Si層12内に内圧を発生させる
方法、貼り合わせ基板30にパルス状に変化する熱を印
加して多孔質層12に熱応力を加える方法、多孔質層1
2を軟化させる方法、或いは、貼り合わせ基板30を構
成する2枚の基板間に楔を挿入する方法等があるが、他
の方法を採用することもできる。ここで、多孔質層12
に流体を打ち込む方法において、流体としては、例えば
純水等の液体、窒素ガス、空気ガス、酸素ガス、水素ガ
ス、炭酸ガス、不活性ガス等の気体等が好適である。
【0098】なお、貼り合わせ基板30を2枚の基板に
分離する代わりに、貼り合わせ基板30における第1の
基板10の裏面から多孔質層12までを研削、研磨等に
より除去してもよい。
【0099】この分離工程により、貼り合わせ基板30
は、単結晶Si基板11上に多孔質層12’を有する基
板10’と、第2の基板20上に非多孔質層(例えば、
絶縁層)14、非多孔質層(例えば、単結晶Si層)1
3、多孔質層12”を順に有する基板(20+10”)
とに分離される。
【0100】図1(e)に示す工程では、第2の基板2
0上の多孔質層12”を除去する。非多孔質層13が単
結晶Si層である場合には、例えば、Siをエッチング
するための通常のエッチング液、或いは、多孔質Siを
選択的にエッチングするためのエッチング液である弗酸
若しくは弗酸にアルコール及び過酸化水素水の少なくと
も一方を添加した混合液、或いは、バッファード弗酸若
しくはバッファード弗酸にアルコール及び過酸化水素水
の少なくとも一方を添加した混合液の中から選択される
少なくとも1種類のエッチング液を使用して多孔質Si
層12”のみを無電解湿式化学エッチングすることによ
り、第2の基板20上に非多孔質層14,13を残すこ
とができる。多孔質Siは膨大な表面積を有するため、
上記のように、通常のSiのエッチング液を用いても選
択的に多孔質Siのみをエッチングすることが可能であ
る。
【0101】非多孔質層13を研磨ストッパーとして、
多孔質Si層12”を研磨により選択的に除去する方法
もある。
【0102】非多孔質層13として化合物半導体層を形
成した場合は、例えば、化合物半導体をエッチングする
速度よりもSiをエッチングする速度が速いエッチング
液を用いることにより、多孔質Si層12”のみを選択
的に化学エッチングして第2の基板20上に薄膜化した
単結晶化合物半導体層(非多孔質層13)を残すことが
できる。また、単結晶化合物半導体層(非多孔質層1
3)を研磨ストッパーとして多孔質Si層12”を研磨
により選択的に除去する方法もある。
【0103】図1(e)は、上記の工程で製造される半
導体基板を示している。上記の工程によれば、第2の基
板20上の全域に、平坦かつ均一な膜厚を有する非多孔
質薄膜(例えば、単結晶Si薄膜)を形成することがで
きる。
【0104】例えば、表面側の非多孔質層13として単
結晶Si層、内部の非多孔質層14としてSiO層を
形成した半導体基板は、SOI基板として使用され得
る。また、第2の基板20として絶縁性基板を採用する
と、絶縁分離された電子素子を作製する上で好適な半導
体基板を作成することができる。
【0105】図1(f)に示す工程では、単結晶Si基
板11上に残った多孔質層12’を除去する。そして、
表面平坦性が許容できないほど荒れている場合には単結
晶Si基板11の表面を平坦化することにより、この基
板を第1の基板10の形成するための単結晶Si基板1
1、或いは、第2の基体20として利用することができ
る。
【0106】次いで、本発明の第2の実施の形態に係る
半導体基板の製造工程を説明する。図2は、本発明の第
2の実施の形態に係る半導体基板の製造工程を示す図で
ある。
【0107】まず、図2(a)に示す工程では、単結晶
Si基板11を用意して、その表面側に、多孔度の異な
る2層の多孔質層12a,12bを形成する。なお、3
層以上の多孔質層を形成してもよい。
【0108】最表面層の多孔質層12aは、その上に高
品質のエピタキシャル層を形成するために、例えば30
%以下の多孔度にすることが好ましい。一方、2層目の
多孔質層12bは、分離を容易にするために、例えば3
0%以上の多孔度にすることが好ましい。
【0109】図2(b)に示す工程では、最表面層の多
孔質層12a上に少なくとも1層の非多孔質層を形成
し、これを第1の基板10とする。図示の例では、2層
の非多孔質層13,14を形成したものである。下側の
非多孔質層13としては、例えば単結晶Si層が好適で
ある。この単結晶Si層は、例えばSOI基板における
活性層として使用され得る。また、表面側の非多孔質層
14としては、例えばSiO(絶縁層)層が好適であ
る。このSiO層は、活性層を貼り合わせ界面から離
すために好適である。
【0110】なお、非多孔質層としては、上記の他、多
結晶Si層、非晶質Si層、金属層、化合物半導体層、
超伝導層等も好適である。また、非多孔質層に、この時
点でMOSFET等の素子を形成してもよい。
【0111】図2(c)に示す工程では、第1の基板1
0と別途用意した第2の基板20と非多孔質層を挟むよ
うにしてを室温で密着させる。その後、陽極接合、加圧
若しくは熱処理又はこれらを組み合わせた処理により第
1の基板10を第2の基板20とを貼り合せて貼り合わ
せ基板30を作成する。
【0112】ここで、非多孔質層13として単結晶Si
層を形成した場合には、該単結晶Siの表面に、前述の
ように、熱酸化等の方法でSiO層を形成した後に、
第1の基板10と第2の基板20とを貼り合せることが
好ましい。
【0113】また、第2の基板20としては、Si基板
の他、例えば、Si基板上にSiO 層を形成した基
板、石英等の光透過性基板や絶縁性基板、サファイア基
板等が好適である。ただし、第2の基板の材料は、これ
らに限定されず、貼り合わせ面が十分に平坦な基板であ
る限り、他の種類の基板を採用することもできる。更
に、第2の基板20の代わりに、例えばフレキシブルな
フィルム等を採用することもできる。
【0114】なお、非多孔質層13をSiで構成しない
場合、或いは、第2の基板20としてSi基板を採用し
ない場合には、絶縁層としての非多孔質層14を形成す
る必要はない。
【0115】また、貼り合わせに際して、第1の基板1
0と第2の基板20との間に別途絶縁性の薄板を挟んで
3枚重ねにすることも可能である。
【0116】図2(d)に示す工程では、貼り合わせ基
板30を多孔質層12a及び12bの部分、特に下層の
多孔質層12bの部分で2枚に分離する。分離の方法と
しては、例えば、流体を多孔質層12a及び12bに打
ち込む方法、貼り合わせ基板30に対して、その面に垂
直な方向に力(例えば、押圧力、引張り力)を印加する
方法、貼り合わせ基板30に対して面方向にせん断力等
の外圧を印加する方法、多孔質Si層12a及び12b
を周辺部から酸化させて膨張させ、多孔質Si層12a
及び12b内に内圧を発生させる方法、貼り合わせ基板
30にパルス状に変化する熱を印加して多孔質層12a
及び12bに熱応力を加える方法、多孔質層12a及び
12bを軟化させる方法、或いは、貼り合わせ基板30
を構成する2枚の基板間に楔を挿入する方法等がある
が、他の方法を採用することもできる。ここで、多孔質
層12a及び12bに流体を打ち込む方法において、流
体としては、例えば純水等の液体、窒素ガス、空気ガ
ス、酸素ガス、水素ガス、炭酸ガス、不活性ガス等の気
体等が好適である。
【0117】なお、貼り合わせ基板30を2枚の基板に
分離する代わりに、貼り合わせ基板30における第1の
基板10の裏面から多孔質層12a及び12bまでを研
削、研磨等により除去してもよい。
【0118】この分離工程により、貼り合わせ基板30
は、単結晶Si基板11上に多孔質層12b’を有する
基板10’と、第2の基板20上に非多孔質層(例え
ば、絶縁層)14、非多孔質層(例えば、単結晶Si
層)13、多孔質層12a、多孔質層12b”を順に有
する基板(20+10”)とに分離される。
【0119】図2(e)に示す工程では、第2の基板2
0上の多孔質層12a及び12b”を除去する。非多孔
質層13が単結晶Si層である場合には、例えば、Si
をエッチングするための通常のエッチング液、或いは、
多孔質Siを選択的にエッチングするためのエッチング
液である弗酸若しくは弗酸にアルコール及び過酸化水素
水の少なくとも一方を添加した混合液、或いは、バッフ
ァード弗酸若しくはバッファード弗酸にアルコール及び
過酸化水素水の少なくとも一方を添加した混合液の中か
ら選択される少なくとも1種類のエッチング液を使用し
て多孔質Si層12a及び12b”のみを無電解湿式化
学エッチングすることにより、第2の基板20上に非多
孔質層14,13を残すことができる。多孔質Siは膨
大な表面積を有するため、上記のように、通常のSiの
エッチング液を用いても選択的に多孔質Siのみをエッ
チングすることが可能である。
【0120】非多孔質層13を研磨ストッパーとして、
多孔質Si層12a及び12b”を研磨により選択的に
除去する方法もある。
【0121】非多孔質層13として化合物半導体層を形
成した場合は、例えば、化合物半導体をエッチングする
速度よりもSiをエッチングする速度が速いエッチング
液を用いることにより、多孔質Si層12a及び12
b”のみを選択的に化学エッチングして第2の基板20
上に薄膜化した単結晶化合物半導体層(非多孔質層1
3)を残すことができる。また、単結晶化合物半導体層
(非多孔質層13)を研磨ストッパーとして多孔質Si
層12a及び12b”を研磨により選択的に除去する方
法もある。
【0122】図2(e)は、上記の工程で製造される半
導体基板を示している。上記の工程によれば、第2の基
板20上の全域に、平坦かつ均一な膜厚を有する非多孔
質薄膜(例えば、単結晶Si薄膜)を形成することがで
きる。
【0123】例えば、表面側の非多孔質層13として単
結晶Si層、内部の非多孔質層14としてSiO層を
形成した半導体基板は、SOI基板として使用され得
る。また、第2の基板20として絶縁性基板を採用する
と、絶縁分離された電子素子を作製する上で好適な半導
体基板を作成することができる。
【0124】図2(f)に示す工程では、単結晶Si基
板11上に残った多孔質層12b’を除去する。そし
て、表面平坦性が許容できないほど荒れている場合には
単結晶Si基板11の表面を平坦化することにより、こ
の基板を第1の基板10の形成するための単結晶Si基
板11、或いは、第2の基体20として利用することが
できる。
【0125】以下、図1(a)又は図2(a)に示す工
程、即ち、単結晶Si基板の表面に多孔質Si層を形成
するための本発明の好適な実施の形態に係る陽極化成装
置について説明する。。
【0126】図3は、本発明の好適な実施の形態に係る
陽極化成装置の概略構成を示す図である。
【0127】この陽極化成装置100は、陰電極104
と陽電極106との間に、該陽電極106による処理対
象のSi基板101や電解質溶液の汚染を防止するため
の導電性隔壁108を有する。この導電性隔壁108
は、例えばSi基板、特に、処理対象のSi基板101
と同程度の比抵抗を有するSi基板で構成することが好
ましい。このように、導電性隔壁108を処理対象のS
i基板101と同質の材料で構成することにより、処理
対象のSi基板101が汚染されることを防止すること
ができる。
【0128】この導電性隔壁108は、着脱可能である
ことが好ましい。図3に示す例では、例えば、導電性隔
壁108を着脱するための機構として、陽電極106の
表面或いは陽電極ホルダ107に真空吸着機構を設ける
ことが好ましい。なお、導電性隔壁108と陽電極10
6とは、電気的に接続する必要がある。したがって、導
電性隔壁108と陽電極106との間に隙間がある場合
には、その隙間に導電性の溶液や導電性の材料等を満た
すことが必要である。
【0129】陰電極104は、陰電極ホルダ105によ
って保持されている。
【0130】この陽極化成装置100では、陽極化成槽
102は、処理対象のSi基板101によって、陰電極
104側の槽と導電性隔壁108(陽電極106)側の
槽との2槽に分離される。従って、処理対象のSi基板
101の表面側に供給する第1の電解質溶液131と、
該Si基板101の裏面側に供給する第2の電解質溶液
141とを互いに異なる性質を有する電解質溶液とする
ことができる。
【0131】ここで、互いに異なる性質を有する電解質
溶液とは、例えば、含有するイオンの種類が互いに異な
る電解質溶液や、含有するイオンの濃度が互いに異なる
電解質溶液等をいう。
【0132】この陽極化成装置100では、陽極化成槽
102の陰電極104側、即ち、陰電極104と処理対
象のSi基板101の表面側(多孔質Si層を形成すべ
き面)との間には、第1の電解質溶液131として、該
Si基板101を多孔質化する能力を有する電解質溶液
を満たす。
【0133】一方、陽極化成槽102の陽電極106
側、即ち、導電性隔壁108と処理対象のSi基板10
1の裏面側(多孔質Si層を形成しない面)との間に
は、第2の電解質溶液141として、例えば、実質的に
導電性隔壁108を多孔質化する能力を有しない電解質
溶液を満たすことが好ましい。ここで、実質的に導電性
隔壁108と多孔質化する能力を有しない電解質溶液に
は、導電性隔壁108を多孔質化する能力が低く、実用
上、導電性隔壁108を多孔質化する能力がないと看做
すことができる電解質溶液も含まれる。
【0134】このような第2の電解質溶液141の一例
として、例えば、導電性隔壁108を電解エッチング
(或いは電解研磨)し得る電解質溶液が挙げられる。導
電性隔壁108を電解エッチングし得る電解質溶液を用
いた場合、導電性隔壁108は、その表面が多孔質化さ
れることなく、その表面が全体的にエッチングされる。
また、このような第2の電解質溶液141の他の例とし
て、例えば、導電性隔壁108の構成材料と反応しない
イオンのみを含む電解質溶液が挙げられる。
【0135】具体的には、第1の電解質溶液131とし
ては、例えば、濃度が10〜50%のHF溶液が好適で
ある。また、第2の電解質溶液141としては、例え
ば、濃度が10%以下のHF溶液が好適であり、濃度が
2%以下のHF溶液が更に好適である。
【0136】以上のように、導電性隔壁108とSi基
板101との間には、第2の電解質溶液141として、
実質的に導電性隔壁108を多孔質化する能力を有しな
い電解質溶液を満たすことにより、Si基板101の多
孔質化(陽極化成)の際に導電性隔壁108が多孔質化
されることを防止し、更に導電性隔壁108からパーテ
ィクルが発生する可能性を低減することができる。
【0137】これに対して、従来のように、Si材料か
らなる導電性隔壁(108)と処理対象のSi基板(1
01)との間に、陰電極(104)とSi基板(10
1)との間に満たす電解質溶液と同一の電解質溶液、或
いは、導電性隔壁(108)が処理対象のSi基板(1
01)と同様に多孔質化され得る電解質溶液を満たす場
合は、当然に、導電性隔壁(108)がその表面から多
孔質化される。従って、1つの導電性隔壁(108)を
陽極化成槽(102)に取り付けて、多数枚のSi基板
(101)について陽極化成処理を実施すると、その処
理枚数に応じて分厚い多孔質層が導電性隔壁に形成され
る。
【0138】分厚い多孔質層が形成された導電性隔壁を
使用し続けると、最終的には、多孔質層が物理的に崩壊
し、導電性隔壁の構成材料又はその反応物からなるパー
ティクルが発生する。このパーティクルは、処理対象の
Si基板や陽極化成槽を汚染すると共に電解質溶液を汚
染する。
【0139】導電性隔壁(108)が多孔質化される条
件の下では、特に、処理対象のSi基板(101)に多
孔度の異なる多層構造の多孔質層を形成する場合におい
て、導電性隔壁の崩壊(パーティクルの発生)が顕著に
起こる。この原因は、次の2点にあると考えられる。
【0140】1)導電性隔壁に多孔度が異なる多孔質層
が層状に形成されるために、孔壁が応力に耐えられなく
なる。
【0141】2)多孔度が低い多孔質層の下に多孔度が
高い多孔質層が形成される際に、該多孔度の高い多孔質
層の多孔度は、導電性隔壁の表面から当該層までの深さ
(多孔質層の全体の厚さ)の深さが深いほど高くなる。
したがって、Si基板の処理枚数が多くなると、導電性
隔壁の最深部に形成される多孔質層の多孔度が限界値ま
で達して、孔壁の崩壊が起こる。
【0142】以下、本発明の好適な実施の形態に係る陽
極化成装置100を使用してSi基板に多孔質Si層を
形成する場合の好適な処理手順を説明する。
【0143】まず、陽極化成槽102内の電解質溶液が
空の状態で、搬送ロボット等により、処理対象のSi基
板101を基板ホルダ103の吸着部(例えば、吸着パ
ッド)に当接させ、基板ホルダ103に吸着させる。こ
の基板ホルダ103は、Si基板101を保持するため
の吸着部として、真空吸着機構を有する。
【0144】次いで、ポンプ112により第1のタンク
114から第1の電解質溶液131を汲み上げ、フィル
タ111を通して陽極化成槽102の陰電極104とS
i基板101との間に供給する。また、これと並行し
て、ポンプ122により第2のタンク124から第2の
電解質溶液141を汲み上げ、フィルタ121を通して
陽極化成槽102の導電性隔壁108とSi基板101
との間に供給する。
【0145】なお、前述のように、第1の電解質溶液1
31は、処理対象のSi基板101の表面を多孔質化す
る能力を有する電解質溶液であり、第2の電解質溶液1
41は、実質的に導電性隔壁108を多孔質化する能力
を有しない電解質溶液である。
【0146】第1の電解質溶液131、第2の電解質溶
液141が夫々陽極化成槽102の陰電極104側、陽
電極106側に満たされたら、陰電極104と陽電極1
06との間に所定の大きさの電流を流して、処理対象の
Si基板101の表面に所定の多孔度を有する多孔質層
を形成する。この時、導電性隔壁108は、その表面が
多孔質化されることなく、その表面が全体的に電解エッ
チングされる。
【0147】次いで、ポンプ113により、陽極化成槽
102の陰電極104側の下部から第1の電解質溶液1
31を引き抜いて第1のタンク114に排出する。ま
た、これと並行してポンプ123により、陽極化成槽1
01の陽電極106側の下部から第2の電解質溶液14
1を引き抜いて第2のタンク124に排出する。
【0148】次いで、搬送ロボット等により処理済みの
Si基板101を基板ホルダ103から取り外し所定の
位置(例えば、キャリア)に搬送する。
【0149】以上の処理は、図1に示すように、Si基
板11(101)の表面に1層の多孔質層12を形成す
る処理である。
【0150】次いで、図2に示すように、Si基板11
(101)に2層の多孔質層12a及び12bを形成す
るための方法、或いは、3層以上の多孔質層を形成する
ための方法として、好適な2つの方法を挙げる。
【0151】第1の方法は、陰電極105と陽電極10
6との間に第1の電流値の電流を流して第1層(上層)
の多孔質層12aを形成した後に、陰電極105と陽電
極106との間に第2の電流値の電流を流して第2層
(下層)の多孔質層12bを形成する方法である。3層
以上の多孔質層を形成する場合には、陰電極105と陽
電極106との間に流す電流の大きさを更に変更して処
理を繰り返せばよい。
【0152】第2の方法は、Si基板101に第1層
(上層)の多孔質層12aを形成した後に、陰電極10
4側の第1の電解質溶液131を第3の電解質溶液に交
換し、該第3の電解質溶液によってSi基板101に第
2層(下層)の多孔質層12bを形成する方法である。
3層以上の多孔質層を形成する場合には、該第3の電解
質溶液を更に他の電解質溶液に変更して処理を繰り返せ
ばよい。
【0153】図4は、図3に示す陽極化成装置100の
変形例に係る陽極化成装置の概略構成を示す図である。
なお、図3に示す陽極化成装置100と実質的に同一の
構成要素には同一の符号を付している。
【0154】この陽極化成装置200の陽極化成槽20
1には、導電性隔壁108を固定するための専用のホル
ダである導電性隔壁ホルダ103aが設けられている。
この陽極化成槽201は、導電性隔壁108と陽電極1
06との間に導電性溶液151を満たした状態で使用さ
れる。なお、この導電性溶液151は、単に導電性隔壁
108と陽電極106とを電気的に接続するために使用
される。
【0155】この陽極化成装置200によるSi基板1
01の処理は、図3に示す陽極化成装置100による処
理と同様である。
【0156】図5は、図4に示す陽極化成装置100の
変形例に係る陽極化成装置の概略構成を示す図である。
この陽極化成装置300は、多数枚のSi基板を一括し
て処理する能力を有する。具体的には、この陽極化成装
置300では、陽極化成槽301に、多数の基板ホルダ
103が取り付けられている。
【0157】この陽極化成装置300によるSi基板1
01の処理は、図4に示す陽極化成装置100による処
理と同様である。
【0158】更に、図3に示す陽極化成装置を、多数の
基板ホルダ103を備えることにより多数枚の基板を一
括して処理し得るように変更した変形例も好適である。
【0159】図6は、図3に示す陽極化成装置100を
組み込んだ自動処理ラインの概略構成を示す図である。
なお、図6では、陽極化成層102の外部の構成要素で
ある第1タンク131や第2のタンク141等は省略さ
れている。
【0160】図3に示す陽極化成装置100に代えて、
図4に示す陽極化成装置200又は図5に示す陽極化成
装置300を採用してもよい。
【0161】以下、この自動製造ライン700における
処理手順を説明する。この自動製造ライン700は、操
作パネル等の入力部をを有するコンピュータ750によ
って制御される。
【0162】この自動製造ライン700では、処理対象
のSi基板101を収容したウェハキャリア702がロ
ーダ701上に載置され、コンピュータ750の操作パ
ネルを介してオペレ−タから処理の開始が指示されるこ
とにより、以下の一連の処理を開始する。なお、処理の
開始前の状態においては、陽極化成槽102内には、電
解質溶液が満たされてない。
【0163】まず、第1搬送ロボット721が、コンピ
ュータ750の制御の下、その吸着部によりウェハキャ
リア702内のSi基板101の裏面を吸着して取り出
して、陽極化成槽102内の陰電極104側に移動させ
る。そして、コンピュータ750の制御の下、第2搬送
ロボット722が、基板ホルダ103の開口部を通して
吸着部をSi基板101の裏面に当接させ、該吸着部に
よりSi基板101を吸着して第1搬送ロボット721
から受け取り、Si基板101を基板ホルダ103の吸
着部に接触する位置まで移動させる。この状態で、コン
ピュータ750の制御の下、基板ホルダ103の真空吸
着機構により、その吸着部にSi基板102が吸着され
る。
【0164】次いで、コンピュータ750の制御の下、
陽極化成槽102の陰電極104とSi基板101との
間に第1の電解質溶液131が満たされる共に導電性隔
壁108とSi基板101との間に第2の電解質溶液1
41が満たされる。
【0165】次いで、コンピュータ750の制御の下、
陽極化成装置100の陰電極104と陽電極106との
間に所定の大きさの電流が流され、Si基板101の表
面に多孔質層が形成される。ここで、前述のように、S
i基板101の表面に多層構造の多孔質層を形成しても
よい。
【0166】次いで、コンピュータ750の制御の下、
陰電極104とSi基板101との間の第1の電解質溶
液131が排出されると共に導電性隔壁108とSi基
板101との間の第2の電解質溶液141が排出され
る。
【0167】次いで、コンピュータ750の制御の下、
第2搬送ロボット722が陽極化成槽102内のSi基
板101の裏面を吸着し、基板ホルダ103による真空
吸着が解除された後に、第2搬送ロボット722が基板
ホルダ103からSi基板101を引き離す。そして、
コンピュータ750の制御の下、第2搬送ロボット72
2が第1搬送ロボット721にSi基板101を引き渡
す。
【0168】次いで、コンピュータ750の制御の下、
第1搬送ロボット721が、Si基板101を水洗槽7
03内に予め浸漬されたウェハキャリア702に収容す
る。
【0169】以上の処理を繰り返して、ローダー701
上のウェハキャリア702内の全てのSi基板101が
処理され、水洗槽703内のウェハキャリア702内に
収容されると、コンピュータ750の制御の下、Si基
板101が洗浄される。
【0170】次いで、コンピュータ750の制御の下、
第3搬送ロボット731が、水洗槽703内のSi基板
101をウェハキャリア702に収容したまま取り出し
て、スピンドライヤ704に搬送する。そして、コンピ
ュータ750の制御の下、スピンドライヤ704により
Si基板101を乾燥させる。
【0171】次いで。コンピュータ750の制御の下、
Si基板をウェハキャリア702に収容したまま、第3
搬送ロボット731が、アンローダ705上に搬送す
る。
【0172】次に、上記の陽極化成装置による陽極化成
処理の実施例を挙げる。
【0173】[実施例1]上記のいずれかの陽極化成装
置に単結晶Si基板をセットし、1層の多孔質Si層を
形成した。この時の陽極化成条件等は、次の通りであ
る。なお、電流密度は、陰電極104と陽電極106と
の間に流す電流の電流密度、第1の電解質溶液は、陰電
極104と処理対象の単結晶Si基板との間に満たす電
解質溶液131、第2の電解質溶液は、導電性隔壁10
8と処理対象の単結晶Si基板との間に満たす電解質溶
液141を意味する(他の実施例において同じ)。
【0174】 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :11(min) 多孔質Si厚(目標):12(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパティクルの発生はなかった。100枚のSi基板を
処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッチ
ングによって、厚さが145μm程度減少した。
【0175】[実施例2]上記のいずれかの陽極化成装
置に単結晶Si基板をセットし、電流密度を変更するこ
とにより3層構造の多孔質層を形成した。第1〜3層の
各多孔質層を形成する際の陽極化成条件等は、次の通り
である。
【0176】<第1層の多孔質層の形成のための陽極化
成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :11(min) 多孔質Si厚(目標) :12(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第2層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :20(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :3(min) 多孔質Si厚(目標) :3(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第3層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :1(min) 多孔質Si厚(目標) :1.1μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパティクルの発生はなかった。100枚のSi基板を
処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッチ
ングによって、厚さが271μm程度減少した。
【0177】なお、以上の結果は、各Si基板に第1層
〜第3層の多孔質層を連続的に形成しながら100枚の
Si基板に多孔質層を形成した場合においても、100
枚のSi基板に第1層の多孔質層を形成し、次いで、そ
の100枚のSi基板に第2層の多孔質層を形成し、次
いで、そのSi基板に第3層の多孔質層を形成した場合
においても同様であった。
【0178】[実施例3]上記のいずれかの陽極化成装
置に単結晶Si基板をセットし、電流密度を変更するこ
とにより2層構造の多孔質層を形成した。第1層及び第
2層の多孔質層を形成する際の陽極化成条件等は、次の
通りである。
【0179】<第1層の多孔質層の形成のための陽極化
成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :5(min) 多孔質Si厚(目標) :6(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第2層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :30(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :110(sec) 多孔質Si厚(目標) :3(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパティクルの発生はなかった。100枚のSi基板を
処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッチ
ングによって、厚さが169μm程度減少した。
【0180】なお、以上の結果は、各Si基板に第1
層、第2層の多孔質層を連続的に形成しながら100枚
のSi基板に多孔質層を形成した場合においても、10
0枚のSi基板に第1層の多孔質層を形成し、次いで、
その100枚のSi基板に第2層の多孔質層を形成た場
合においても同様であった。
【0181】[実施例4]上記のいずれかの陽極化成装
置に単結晶Si基板をセットし、電流密度を変更するこ
とにより2層構造の多孔質層12a及び12bを形成し
た(図2(a))。第1層及び第2層の多孔質層を形成
する際の陽極化成条件等は、次の通りである。
【0182】<第1層の多孔質層の形成のための陽極化
成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :11(min) 多孔質Si厚(目標) :12(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第2層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :20(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :3(min) 多孔質Si厚(目標) :3(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパーティクルの発生はなかった。100枚のSi基板
を処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッ
チングによって、厚さが145μm程度減少した。
【0183】なお、以上の結果は、各Si基板に第1
層、第2層の多孔質層を連続的に形成しながら100枚
のSi基板に多孔質層を形成した場合においても、10
0枚のSi基板に第1層の多孔質層を形成し、次いで、
その100枚のSi基板に第2層の多孔質層を形成た場
合においても同様であった。
【0184】次いで、このようにして多孔質化された基
板を酸素雰囲気中において400℃で1時間酸化した。この
酸化により多孔質Si層12a及び12bの孔の内壁は
熱酸化膜で覆われた。
【0185】次いで、多孔質Si層上にCVD(Chemical V
apor Deposition)法により0.3μm厚の単結晶Si層13を
エピタキシャル成長させた(図2(b))。この成長条
件は以下の通りである。なお、エピタキシャル成長の前
段では、H2中に多孔質Si層の表面が晒されるため、表面
の孔が埋まり、表面が平坦になる。
【0186】<エピタキシャル成長条件> ソ−スガス:SiH2Cl2/H2 ガス流量 :0.5/180(l/min) ガス圧力 :80(Torr) 温度 :950(℃) 成長速度 :0.3(μm/min) 次いで、エピタキシャル成長させた単結晶Si層13の表
面に熱酸化により200nm厚のSiO2層14を形成した(図
2(b))。
【0187】次いで、このSiO2層の表面と別に用意した
Si基板(第2の基板)20の表面とを密着させた後に、
1000℃で1時間の熱処理を行って貼り合わせて、貼り合
わせ基板30を作成した(図2(c))。この熱処理
は、N2或いは不活性ガス中で行ってもよいし、酸化雰囲
気中で行ってもよいし、或いは、それらを組み合わせて
行ってもよい。
【0188】次いで、貼り合わせ基板30を第1の基板
10の裏面側から多孔質Si層12bが表出するまで、
研削、研磨又はエッチングによって除去した(図2
(d))。
【0189】次いで、貼り合わせ基板30に残った多孔
質Si層12a及び12b”を49%弗酸と30%過酸化水素
水と水との混合液でエッチングした(図2(e))。こ
の際、単結晶Si層13はエッチストップとして機能し、
多孔質Si層が選択的にエッチングされる。
【0190】該エッチング液による非多孔質の単結晶Si
のエッチング速度は極めて低いため、多孔質の単結晶Si
と非多孔質の単結晶Siとのエッチングの選択比は10
以上にも達し、非多孔質層におけるエッチング量(数十
オングストローム程度)は、実用上無視することができ
る。
【0191】以上の工程により、Si酸化膜14上に0.2
μmの厚みを持った単結晶Si層13を有するSOI基板(図
2(e))が得られる。このSOI基板の単結晶Si層の膜
厚を面内全面にわたって100点について測定したとこ
ろ、膜厚の均一性は201nm±4nmであった。
【0192】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時間施
した。表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50
μm角の領域での平均2乗粗さは、およそ0.2nmであり、
通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0193】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、Si
層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結晶
性が維持されていることが確認された。
【0194】なお、エピタキシャル成長させた単結晶Si
層の表面に酸化膜を形成しない場合においても同様の結
果が得られた。
【0195】[実施例5]この実施例は、上記の実施例
4の変形例である。具体的には、実施例4における製造
条件を以下のように変更した。 1)エピタキシャルSi層の厚さ:2μm 2)エピタキシャルSi層の表面の熱酸化膜の厚さ:0.1
μm 3)第2の基板:1.9μmのSiO2層を形成したSi基板 4)貼り合わせ工程:第1及び第2の基板の表面を窒素
プラズマに曝した後に両基板を密着させ、400℃で10時
間アニールする。
【0196】[実施例6]この実施例は、上記の実施例
4の変形例である。具体的には、実施例4における製造
条件を以下のように変更した。 1)第2の基板:石英基板 2)貼り合わせ工程:第1及び第2の基板の表面を窒素
プラズマに曝した後に両基板を密着させ、200℃で24時
間アニールする。 3)水素中の熱処理:さらに水素中で970℃で熱処理を2
時間施す(表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したとこ
ろ、50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nmであ
り、通常市販されているSiウエハと同等であった)。
【0197】[実施例6]上記のいずれかの陽極化成装
置に単結晶Si基板11をセットし、1層の多孔質層1
2を形成した(図1(a))。この時の陽極化成条件等
は、次の通りである。
【0198】 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :5(min) 多孔質Si厚(目標) :6(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパーティクルの発生はなかった。100枚のSi基板
を処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッ
チングによって、66μm程度減少した。
【0199】次いで、このようにして多孔質化された基
板を酸素雰囲気中において400℃で1時間酸化した。この
酸化により多孔質Si層12の孔の内壁は熱酸化膜で覆わ
れた。
【0200】次いで、多孔質Si層12上にMOCVD(Metal
Organic Chemical Vapor Deposition)法により1μm厚の
単結晶GaAs層13をエピタキシャル成長させた(図1
(b))。この成長条件は以下の通りである。
【0201】<エピタキシャル成長条件> ソ−スガス:TMG/AsH3/H2 ガス圧力 :80(Torr) 温度 :700(℃) 次いで、GaAs層13の表面と別に用意したSi基板(第2
の基板)20の表面とを密着させて、貼り合わせ基板3
0を作成した(図1(c))。
【0202】次いで、貼り合わせ基板30を第1の基板
10の裏面側から多孔質Si層12が表出するまで、研
削、研磨又はエッチングによって除去した(図1
(d))。
【0203】次いで、貼り合わせ基板30に残った多孔
質Si層12”を、エチレンジアミン/ピロカテコール/
水(17ml:3g:8mlの比率)の混合液(エッチング液)によ
り110℃でエッチングした。単結晶GaAs層13はエッチ
・ストップとして機能し、多孔質Siが選択的にエッチン
グされた。
【0204】該エッチング液によるGaAs単結晶のエッチ
ング速度は、極めて低く、 GaAs単結晶におけるエッチ
ング量(数十オングストローム程度)は、実用上無視す
ることができる。
【0205】以上の工程により、単結晶Si基板20上に
1μmの厚みを持った単結晶GaAs層13を有する基板が得
られる。この基板の単結晶GaAs層の膜厚を面内全面にわ
たって100点について測定したところ、膜厚の均一性は1
μm±29.8nmであった。
【0206】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、Ga
As層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0207】支持基板として酸化膜付きのSi基板を用い
ることにより、絶縁膜上にGaAs層を有する基板を形成す
ることもできた。
【0208】[実施例8]上記のいずれかの陽極化成装
置に単結晶Si基板をセットし、1層の多孔質層12を
形成した(図1(a))。この時の陽極化成条件等は、
次の通りである。
【0209】 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :11(min) 多孔質Si厚(目標):12(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパティクルの発生はなかった。100枚のSi基板を
処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッチ
ングによって、145μm程度減少した。
【0210】次いで、このようにして多孔質化された基
板を酸素雰囲気中において400℃で1時間酸化した。この
酸化により多孔質Si層12の孔の内壁は熱酸化膜で覆わ
れた。
【0211】次いで、多孔質Si層12上にMOCVD(Metal
Organic Chemical Vapor Deposition)法により1μm厚の
単結晶InP層13をエピタキシャル成長させた(図1
(b))。
【0212】次いで、このInP層13の表面と別に用意
した石英基板(第2の基板)20の表面とを夫々窒素プ
ラズマに曝した後に密着させ、200℃で10時間アニール
することにより貼り合わせ基板30を作成した(図1
(c))。
【0213】次いで、貼り合わせ基板30のベベリング
の隙間に向けて0.2mm径のウォータージェットを噴射し
て、これにより貼り合わせ基板30を多孔質Si層12の
部分で2枚に分離した(図1(d))。
【0214】次いで、第2の基板側に残った多孔質Si層
12”を49%弗酸と30%過酸化水素水と水とのの混合液で
撹拌しながら選択的にエッチングした(図1(e))。
この際、単結晶InP層13はエッチ・ストップとして機
能し、多孔質Si層12”が選択エッチングされる。
【0215】該エッチング液によるInP単結晶のエッチ
ング速度は、極めて低く、 単結晶InP層13におけるエ
ッチング量(数十オングストローム程度)は、実用上無
視することができる。
【0216】以上の工程により、石英基板20上に1μm
の厚みを持った単結晶InP層13を有する基板(図1
(e)))が得られる。この基板の単結晶InP層の膜厚
を面内全面にわたって100点について測定したところ、
膜厚の均一性は1μm±29.0nmであった。
【0217】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、In
P層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0218】[実施例9]この実施例は、実施例4乃至
実施例8において、第1の基板を構成する単結晶Si基
板の両面に対して、夫々の実施例に記載した処理を施
す。
【0219】[実施例10]上記のいずれかの陽極化成
装置に単結晶Si基板11をセットし、電流密度を変更
することにより2層構造の多孔質層12a及び12bを
形成した(図2(a))。第1層及び第2層の各多孔質
層を形成する際の陽極化成条件等は、次の通りである。
【0220】<第1層の多孔質層を形成するための陽極
化成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :11(min) 多孔質Si厚(目標) :12(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第2層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :20(mA・cm-2) 第1の陽極化成溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :3(min) 多孔質Si厚(目標) :3(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパティクルの発生はなかった。100枚のSi基板を
処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッチ
ングによって、厚さが258μm程度減少した。
【0221】なお、以上の結果は、各Si基板に第1
層、第2層の多孔質層を連続的に形成しながら100枚
のSi基板に多孔質層を形成した場合においても、10
0枚のSi基板に第1層の多孔質層を形成し、次いで、
その100枚のSi基板に第2層の多孔質層を形成た場
合においても同様であった。
【0222】次いで、このようにして多孔質化された基
板を酸素雰囲気中において400℃で1時間酸化した。この
酸化により多孔質Si層12a及び12bの孔の内壁は
熱酸化膜で覆われた。
【0223】次いで、多孔質Si層12a上にCVD(Chem
ical Vapor Deposition)法により0.3μm厚の単結晶Si層
13をエピタキシャル成長させた(図2(b))。この
成長条件は以下の通りである。なお、エピタキシャル成
長の前段では、H2中に多孔質Si層の表面が晒されるた
め、表面の孔が埋まり、表面が平坦になる。
【0224】<エピタキシャル成長条件> ソ−スガス:SiH2Cl2/H2 ガス流量 :0.5/180(l/min) ガス圧力 :80(Torr) 温度 :950(℃) 成長速度 :0.3(μm/min) 次いで、エピタキシャル成長させた単結晶Si層13の表
面に熱酸化により200nm厚のSiO2層14を形成した(図2
(b))。
【0225】次いで、このSiO2層14の表面と別に用意
したSi基板(第2の基板)20の表面とを密着させた後
に、1000℃で1時間の熱処理を行って貼り合わせて、貼
り合わせ基板30を作成した(図2(c))。
【0226】次いで、貼り合わせ基板30のベベリング
の隙間に向けて0.2mm径のウォータージェットを噴射し
て、これにより貼り合わせ基板30を第2層のの多孔質
Si層12bの部分で2枚の基板に分離した(図2
(d))。
【0227】次いで、第2の基板側に残った多孔質Si層
12a及び12b”を49%弗酸と30%過酸化水素水と水と
の混合液でエッチングした(図2(e))。この際、単
結晶Si層13はエッチストップとして機能し、多孔質Si
層12a及び12b”が選択的にエッチングされる。
【0228】該エッチング液による非多孔質の単結晶Si
のエッチング速度は極めて低いため、多孔質の単結晶Si
と非多孔質の単結晶Siとのエッチングの選択比は10
以上にも達し、非多孔質層におけるエッチング量(数十
オングストローム程度)は、実用上無視することができ
る。
【0229】以上の工程により、Si酸化膜14上に0.2
μmの厚みを持った単結晶Si層13を有するSOI基板(図
2(e))が得られる。このSOI基板の単結晶Si層の膜
厚を面内全面にわたって100点について測定したとこ
ろ、膜厚の均一性は201nm±4nmであった。
【0230】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時間施
した。表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50
μm角の領域での平均2乗粗さは、およそ0.2nmであり、
通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0231】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、Si
層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結晶
性が維持されていることが確認された。
【0232】なお、エピタキシャル成長させた単結晶Si
層の表面に酸化膜を形成しない場合においても同様の結
果が得られた。
【0233】更に、第1の基板側に残った多孔質Siに関
しても、49%弗酸と30%過酸化水素水と水との混合液で選
択的にエッチングした。この際、単結晶Siはエッチ・ス
トップとして機能し、多孔質Siが選択的にエッチングさ
れる。この基板は、再び第1の基板を形成するための基
板として陽極化成工程に投入、或いは第2の基板として
貼り合わせ工程に投入することができる。
【0234】第1の基板の形成用として上記基板を再利
用する前に、水素中において1100℃で熱処理を1時間施
して微小孔に起因する表面荒れ(マイクロラフネス)を
回復してもよい。ただし、第1の基板の形成用として上
記の基板を再利用する場合には、エピタキシャル成長工
程の前段における水素中でのプリベーク中に多孔質Si層
の表面の孔のシールと同時に表面平坦化が行われるた
め、マイクロラフネスの平坦化は必ずしも必要ではな
い。
【0235】ここで、水素中での熱処理の代わりに、表
面タッチポリシュで微小孔に起因するマイクロラフネス
を平坦化してもよい。
【0236】[実施例11]この実施例は、上記の実施
例10の変形例である。具体的には、第1層及び第2層
の各多孔質層を形成する際の陽極化成条件等を次のよう
に変更した。
【0237】<第1層の多孔質層の形成のための陽極化
成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :11(min) 多孔質Si厚(目標) :12(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第2層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :30(mA・cm-2) 第1の陽極化成溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :3(min) 多孔質Si厚(目標) :3(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパティクルの発生はなかった。100枚のSi基板を
処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッチ
ングによって、厚さが169μm程度減少した。
【0238】[実施例12]この実施例は、上記の実施
例10の変形例である。具体的には、実施例4における
製造条件を以下のように変更した。 1)エピタキシャルSi層の厚さ:2μm 2)エピタキシャルSi層の表面の熱酸化膜の厚さ:0.1
μm 3)第2の基板:1.9μmのSiO2層を形成したSi基板 4)貼り合わせ工程:第1及び第2の基板の表面を窒素
プラズマに曝した後に両基板を密着させ、400℃で10時
間アニールする。
【0239】[実施例13]この実施例は、上記の実施
例10の変形例である。具体的には、実施例4における
製造条件を以下のように変更した。 1)第2の基板:石英基板 2)貼り合わせ工程:第1及び第2の基板の表面を窒素
プラズマに曝した後に両基板を密着させ、200℃で24時
間アニールする。 3)水素中の熱処理:さらに水素中で970℃で熱処理を2
時間施す(表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したとこ
ろ、50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nmであ
り、通常市販されているSiウエハと同等であった)。 4)再利用:分離した後の第1基板側を、第1の基板の形
成用として陽極化成工程に投入する。
【0240】[実施例14]上記のいずれかの陽極化成
装置に単結晶Si基板11をセットし、電流密度を変更
することにより2層構造の多孔質層12a及び12bを
形成した。第1層及び第2層の各多孔質層を形成する際
の陽極化成条件等は、次の通りである。
【0241】<第1層の多孔質層の形成のための陽極化
成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :5(min) 多孔質Si厚(目標) :6(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第2層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :30(mA・cm-2) 第1の陽極化成溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :110(sec) 多孔質Si厚(目標) :3(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパティクルの発生はなかった。100枚のSi基板を
処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッチ
ングによって、厚さが169μm程度減少した。
【0242】次いで、このようにして多孔質化された基
板を酸素雰囲気中において400℃で1時間酸化した。この
酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われた。
【0243】次いで、多孔質Si層12a上にMOCVD(Meta
l Organic Chemical Vapor Deposition)法により1μm厚
の単結晶GaAs層13をエピタキシャル成長させた(図2
(b))。この成長条件は以下の通りである。
【0244】<エピタキシャル成長条件> ソ−スガス:TMG/AsH3/H2 ガス圧力 :80(Torr) 温度 :700(℃) 次いで、GaAs層13の表面と別に用意したSi基板(第2
の基板)20の表面とを密着させて貼り合わせ基板30
を作成した(図2(c))。
【0245】次いで、貼り合わせ基板30のベベリング
の隙間に向けて0.2mm径のウォータージェットを噴射し
て、これにより貼り合わせ基板20を第2層の多孔質層
12bの部分で2枚に分離した(図2(d))。
【0246】次いで、第2の基板側に残った多孔質Si層
12b”を、エチレンジアミン/ピロカテコール/水(1
7ml:3g:8mlの比率)の混合液(エッチング液)により110
℃でエッチングした。単結晶GaAs層13はエッチ・スト
ップとして機能し、多孔質Si層12a及び12b”が選
択的にエッチングされた。
【0247】該エッチング液によるGaAs単結晶のエッチ
ング速度は、極めて低く、 GaAs単結晶13におけるエ
ッチング量(数十オングストローム程度)は、実用上無
視することができる。
【0248】以上の工程により、単結晶Si基板20上に
1μmの厚みを持った単結晶GaAs層13を有する基板が得
られる。この基板の単結晶GaAs層の膜厚を面内全面にわ
たって100点について測定したところ、膜厚の均一性は1
μm±29.8nmであった。
【0249】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、Ga
As層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0250】支持基板20として酸化膜付きのSi基板を
用いることにより、絶縁膜上にGaAs層を有する基板を形
成することもできた。
【0251】更に、第1の基板側に残った多孔質Siに関
しても、49%弗酸と30%過酸化水素水と水との混合液で撹
拌しながら選択的にエッチングした。この際、単結晶Si
はエッチ・ストップとして機能し、多孔質Siが選択的に
エッチングされる。この基板は、再び第1の基板を形成
するための基板として陽極化成工程に投入、或いは第2
の基板として貼り合わせ工程に投入することができる。
【0252】第1の基板の形成用として上記基板を再利
用する前に、水素中において1100℃で熱処理を1時間施
して微小孔に起因する表面荒れ(マイクロラフネス)を
回復してもよい。ただし、第1の基板の形成用として上
記の基板を再利用する場合には、エピタキシャル成長工
程の前段における水素中でのプリベーク中に多孔質Si層
の表面の孔のシールと同時に表面平坦化が行われるた
め、マイクロラフネスの平坦化は必ずしも必要ではな
い。
【0253】ここで、水素中での熱処理の代わりに、表
面タッチポリシュで微小孔に起因するマイクロラフネス
を平坦化してもよい。
【0254】[実施例15]上記のいずれかの陽極化成
装置に単結晶Si基板11をセットし、電流密度を変更
することにより2層構造の多孔質層12a及び12bを
形成した(図2(a))。第1層及び第2層の各多孔質
層を形成する際の陽極化成条件等は、次の通りである。
【0255】<第1層の多孔質層を形成するための陽極
化成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :11(min) 多孔質Si厚(目標) :12(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第2層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :20(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :3(min) 多孔質Si厚(目標) :3(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパティクルの発生はなかった。100枚のSi基板を
処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッチ
ングによって、厚さが258μm程度減少した。
【0256】なお、以上の結果は、各Si基板に第1
層、第2層の多孔質層を連続的に形成しながら100枚
のSi基板に多孔質層を形成した場合においても、10
0枚のSi基板に第1層の多孔質層を形成し、次いで、
その100枚のSi基板に第2層の多孔質層を形成た場
合においても同様であった。
【0257】次いで、このようにして多孔質化された基
板を酸素雰囲気中において400℃で1時間酸化した。この
酸化により多孔質Si層の孔の内壁は熱酸化膜で覆われ
た。
【0258】次いで、多孔質Si層上にMOCVD(Metal Orga
nic Chemical Vapor Deposition)法により1μm厚の単結
晶InP層13をエピタキシャル成長させた(図2
(b))。
【0259】次いで、このInP層13の表面と別に用意
した石英基板(第2の基板)20の表面とを夫々窒素プ
ラズマに曝した後に密着させ、200℃で10時間アニール
することにより貼り合わせ基板30を作成した(図2
(c))。
【0260】次いで、貼り合わせ基板30のベベリング
の隙間に向けて0.2mm径のウォータージェットを噴射し
て、これにより貼り合わせ基板20を第2層の多孔質層
12bの部分で2枚に分離した(図2(d))。
【0261】次いで、第2の基板側に残った多孔質Si層
を49%弗酸と30%過酸化水素水と水との混合液で撹拌しな
がら選択的にエッチングした(図2(e))。この際、
単結晶InP層13はエッチ・ストップとして機能し、多
孔質Si層12a及び12b”が選択エッチングされる。
【0262】該エッチング液による単結晶InPのエッチ
ング速度は、極めて低く、 単結晶InP層13におけるエ
ッチング量(数十オングストローム程度)は、実用上無
視することができる。
【0263】以上の工程により、石英基板20上に1μm
の厚みを持った単結晶InP層13を有する基板が得られ
る。この基板の単結晶InP層の膜厚を面内全面にわたっ
て100点について測定したところ、膜厚の均一性は1μm
±29.0nmであった。
【0264】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、In
P層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0265】更に、第1の基板側に残った多孔質Siに関
しても、49%弗酸と30%過酸化水素水と水との混合液で撹
拌しながら選択的にエッチングした。この際、単結晶Si
はエッチ・ストップとして機能し、多孔質Siは選択的に
エッチングされる。この基板は、再び第1の基板を形成
するための基板として陽極化成工程に投入することがで
きる。
【0266】第1基板の形成用として上記基板を再利用
する前に、水素中において1100℃で熱処理を1時間施し
て微小孔に起因する表面荒れ(マイクロラフネス)を回
復してもよい。ただし、第1の基板の形成用として上記
の基板を再利用する場合には、エピタキシャル成長工程
の前段における水素中でのプリベーク中に多孔質Si層の
表面の孔のシールと同時に表面平坦化が行われるため、
マイクロラフネスの平坦化は必ずしも必要ではない。
【0267】ここで、水素中での熱処理の代わりに、表
面タッチポリシュで微小孔に起因するマイクロラフネス
を平坦化してもよい。
【0268】[実施例16]この実施例では、実施例1
0乃至実施例15における貼り合わせ基板の分離方法を
変更するものである。具体的には、ウォータジェット法
を用いる代わりに、この実施例では、貼り合わせ基板の
ベベリングの隙間へ樹脂性の薄い楔を挿入することによ
り、貼り合わせ基板30を第2層(下層)の多孔質Si
層12bで2枚に分離する。
【0269】[実施例17]この実施例は、実施例10
乃至実施例15において、第1の基板を構成する単結晶
Si基板の両面に対して、夫々の実施例に記載した処理
を施す。
【0270】[実施例18]上記のいずれかの陽極化成
装置に単結晶Si基板をセットし、第1の電解質溶液及
び電流密度を変更することにより4層構造の多孔質層を
形成した。第1層〜第4層の各多孔質層を形成する際の
陽極化成条件等は、次の通りである。
【0271】<第1層の多孔質層の形成のための陽極化
成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :5(min) 多孔質Si厚(目標) :6(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第2層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :10(mA・cm-2) 第1の陽極化成溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:2:2 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :3(min) 多孔質Si厚(目標) :3(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第3層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :5(min) 多孔質Si厚(目標) :6(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第4層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :20(mA・cm-2) 第1の陽極化成溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:2:2 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :80(sec) 多孔質Si厚(目標) :1(μm) 導電性隔壁の材料 :Si この陽極化成条件の下で、導電性隔壁108を交換する
ことなく、100枚のSi基板を処理した。導電性隔壁
108には、多孔質層は形成されず、その表面が電解エ
ッチング(電解研磨)された。従って、導電性隔壁から
のパティクルの発生はなかった。100枚のSi基板を
処理することにより、導電性隔壁108は、電解エッチ
ングによって、208μm程度減少した。
【0272】なお、以上の結果は、各Si基板に第1層
〜第4層の多孔質層を連続的に形成しながら100枚の
Si基板に多孔質層を形成した場合においても、100
枚のSi基板に第1層の多孔質層を形成し、次いで、そ
の100枚のSi基板に第2層の多孔質層を形成し、次
いで、そのSi基板に第3層の多孔質層を形成し、次い
で、そのSi基板に第4層の多孔質層を形成した場合に
おいても同様であった。
【0273】第1の電解質溶液131を変更しながら単
結晶Si基板に対する多層構造の多孔質層の形成する方
法としては、例えば、1つの陽極化成装置を使用し、陰
電極104と処理対象の単結晶Siとの間に満たす第1
の電解質溶液131を必要に応じて交換する方法や、複
数の陽極化成装置を使用し、処理対象のSi基板を該当
する陽極化成槽に移す方法等がある。
【0274】[実施例19]上記のいずれかの陽極化成
装置に単結晶Si基板をセットし、電流密度を変更しな
がら3段階の陽極化成処理を実施することにより4層構
造の多孔質層を形成した。第1段階〜第3段階の各多孔
質層を形成する際の陽極化成条件等は、次の通りであ
る。
【0275】<第1段階の陽極化成条件等> 電流密度 :1(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:2 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :8(min) 多孔質Si厚(目標) :10(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第2段階の陽極化成条件等> 電流密度 :7(mA・cm-2) 第1の陽極化成溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:2 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :8(min) 多孔質Si厚(目標) :10(μm) 導電性隔壁の材料 :Si <第3段階の陽極化成条件等> 電流密度 :100(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=1:1:2 第2の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=0.5:67:33 処理時間 :4(sec) 導電性隔壁の材料 :Si 以上の処理によれば、第1及び第2段階の陽極化成処理
によって共に約10μm厚の第1層(上層)及び第2層
(下層)からなる2層構造の多孔質層が形成され、第3
段階の陽極化成処理により第2層中に1μm以下の厚さ
の新たな層が形成され、全体で4層構造の多孔質層が単
結晶Si基板に形成される。 [実施例20]上記のいずれかの陽極化成装置に単結晶
Si基板をセットし、電流密度を変更することにより2
層構造の多孔質層12a及び12bを形成した(図2
A)。第1層及び第2層の多孔質層を形成する際の陽極
化成条件等は、次の通りである。
【0276】 <第1層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :8.15(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=17:21:13 (HF=35.6wt%,C2H5OH=18.6wt%) 第2の電解質溶液 :HF(1wt%、1.5wt%又は2.0wt%) 処理時間 :5(min) 多孔質Si厚(目標) :6(μm) 導電性隔壁の材料 :Si(比抵抗=0.01Ω〜0.02Ω) <第2層の多孔質層の形成のための陽極化成条件等> 電流密度 :30.6(mA・cm-2) 第1の電解質溶液 :HF:H2O:C2H5OH=17:21:13 (HF=35.6wt%,C2H5OH=18.6wt%) 第2の電解質溶液 :HF(1wt%、1.5wt%又は2.0wt%) 処理時間 :80(sec) 多孔質Si厚(目標) :3(μm) 導電性隔壁の材料 :Si(比抵抗=0.01Ω〜0.02Ω) この3つの陽極化成条件(HF=1wt%、1.5wt%又は2.0wt
%)の下で、導電性隔壁108を交換することなくSi
基板を処理した。
【0277】第2の電解質溶液のHF濃度を1wt%及び1.5
wt%とした場合には、導電性隔壁108には多孔質層は
形成されず、その表面が電解エッチング(電解研磨)さ
れていることが電子顕微鏡を用いて観察することによっ
て確認された。従って、導電性隔壁からのパーティクル
の発生はなかった。5枚のSi基板を処理することによ
り、導電性隔壁108は、電解エッチングによって、厚
さが1μm程度減少した。これらの陽極化成条件を採用
することにより、導電性隔壁108の崩壊を防止しつ
つ、処理時間を短縮することによりスループットを向上
させることができる。
【0278】一方、第2の電解質溶液のHF濃度を2wt%
とした場合には、Si基板に第1層の多孔質層を形成す
る際に導電性隔壁108に多孔質層が形成され、Si基
板に第2層の多孔質層を形成する際に導電性隔壁108
が崩壊する現象が観察された。
【0279】なお、以上の結果は、各Si基板に第1
層、第2層の多孔質層を連続的に形成しながら5枚のS
i基板に多孔質層を形成した場合においても、5枚のS
i基板に第1層の多孔質層を形成し、次いで、その5枚
のSi基板に第2層の多孔質層を形成た場合においても
同様であった。
【0280】次いで、このようにして多孔質化された基
板を酸素雰囲気中において400℃で1時間酸化した。この
酸化により多孔質Si層12a及び12bの孔の内壁は
熱酸化膜で覆われた。
【0281】次いで、多孔質Si層上にCVD(Chemical V
apor Deposition)法により0.3μm厚の単結晶Si層13を
エピタキシャル成長させた(図2B)。この成長条件は
以下の通りである。なお、エピタキシャル成長の前段で
は、H2中に多孔質Si層の表面が晒されるため、表面の孔
が埋まり、表面が平坦になる。
【0282】<エピタキシャル成長条件> ソ−スガス:SiH2Cl2/H2 ガス流量 :0.5/180(l/min) ガス圧力 :80(Torr) 温度 :950(℃) 成長速度 :0.3(μm/min) 次いで、エピタキシャル成長させた単結晶Si層13の表
面に熱酸化により200nm厚のSiO2層14を形成した(図
2B)。
【0283】次いで、このSiO2層の表面と別に用意した
Si基板(第2の基板)20の表面とを密着させた後に、
1100℃で1時間の熱処理を行って貼り合わせて、貼り合
わせ基板30を作成した(図2C)。この熱処理は、N2
或いは不活性ガス中で行ってもよいし、酸化雰囲気中で
行ってもよいし、或いは、それらを組み合わせて行って
もよい。
【0284】次いで、貼り合わせ基板30を第1の基板
10の裏面側から多孔質Si層12bが表出するまで、
研削、研磨又はエッチングによって除去した(図2
D)。
【0285】次いで、貼り合わせ基板30に残った多孔
質Si層12a及び12b”を49%弗化水素酸と30%過酸
化水素水と水との混合液でエッチングした(図2E)。
この際、単結晶Si層13はエッチストップとして機能
し、多孔質Si層が選択的にエッチングされる。
【0286】該エッチング液による非多孔質の単結晶Si
のエッチング速度は極めて低いため、多孔質の単結晶Si
と非多孔質の単結晶Siとのエッチングの選択比は10
以上にも達し、非多孔質層におけるエッチング量(数十
オングストローム程度)は、実用上無視することができ
る。
【0287】以上の工程により、Si酸化膜14上に0.2
μmの厚みを持った単結晶Si層13を有するSOI基板(図
2E)が得られる。このSOI基板の単結晶Si層の膜厚を
面内全面にわたって100点について測定したところ、膜
厚の均一性は201nm±4nmであった。
【0288】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時間施
した。表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50
μm角の領域での平均2乗粗さは、およそ0.2nmであり、
通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0289】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、Si
層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結晶
性が維持されていることが確認された。
【0290】なお、エピタキシャル成長させた単結晶Si
層の表面に酸化膜を形成しない場合においても同様の結
果が得られた。
【0291】[その他]上記の実施例において、多孔質
Si層上に単結晶Si層等の非多孔質層をエピタキシャル
成長させる工程では、CVD法の他、例えば、MBE法、スパ
ッタ法、液相成長法等を採用することもできる。
【0292】また、多孔質Si層を選択的にエッチングす
るためのエッチング液は、49%弗酸と30%過酸化水素水と
水との混合液に限らず、例えば、 1)弗酸と水との混合液、 2)弗酸と水との混合液に、アルコール若しくは過酸化
水素水の少なくとも一方を添加した混合液、 3)バッファード弗酸、 4)バッファード弗酸にアルコール若しくは過酸化水素
水の少なくとも一方を添加した混合液、 5)弗酸、硝酸及び酢酸の混合液、 等を採用することができる。多孔質Siは、膨大な表面積
を有するため、上記のように、種々のエッチング液によ
り選択的にエッチングすることができる。
【0293】また、貼り合わせ基板の分離工程には、ウ
ォータージェット法を適用した流体による分離方法の
他、種々の方法を採用することができる。例えば、貼り
合わせ基板の面に垂直な方向に該貼り合わせ基板に対し
て力(例えば、押圧力、引張り力)を印加する方法、貼
り合わせ基板に対して面方向にせん断力等の外圧を印加
する方法、多孔質Si層を周辺部から酸化させて膨張さ
せ、多孔質Si層内に内圧を発生させる方法、貼り合わ
せ基板にパルス状に変化する熱を印加して多孔質層に熱
応力を加える方法、多孔質層を軟化させる方法、或い
は、貼り合わせ基板を構成する2枚の基板間に楔を挿入
する方法等があるが、他の方法を採用することもでき
る。
【0294】また、陰電極104と処理対象の基板との
間に満たす第1の電解質溶液としては、上記の各実施例
に限定されず、含有するイオンやその濃度が異なる他の
電解質溶液を採用することもできる。また、導電性隔壁
108と処理対象の基板との間に満たす第2の電解質溶
液141として、上記の各実施例では、HF、HO、
OHを0.5:67:33の比率で混合した電
解質溶液を利用しているが、この比率は、例えば、1:
67:33、0.3:67:33、1:100:0、
0.5:50:50等に変更することもできる。また、
第2の電解質溶液141としては、例えば、KOH溶液
も好適である。
【0295】他の工程に関しても、上記の実施例に限定
されず、種々の方法を採用することができる。
【0296】上記のような思想、即ち、第1の電解質溶
液と第2の電解質溶液として、陽極化成反応の観点にお
いて、互いに性質の異なる電解質溶液を使用するという
思想は、導電性隔壁を備えない陽極化成装置を利用する
場合にも適用され得る。例えば、第1の溶液として、処
理対象の基板の表面を多孔質化し得る電解質溶液を使用
し、第2の電解質溶液として、陽電極から汚染物質を溶
出させない電解質溶液或いは陽電極からパーティクルを
発生させない電解質溶液等を使用することができる。
【0297】
【発明の効果】本発明によれば、例えば、導電性隔壁か
らのパーティクルの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体基板の
製造工程を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る半導体基板の
製造工程を示す図である。
【図3】本発明の好適な実施の形態に係る陽極化成装置
の概略構成を示す図である。
【図4】図3に示す陽極化成装置の変形例に係る陽極化
成装置の概略構成を示す図である。
【図5】図3に示す陽極化成装置の他の変形例に係る陽
極化成装置の概略構成を示す図である。
【図6】図3に示す陽極化成装置100を組み込んだ自
動処理ラインの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
10 第1の基板 11 単結晶Si基板 12,12a,12b 多孔質層 14,15 非多孔質層 20 第2の基板 30 貼り合わせ基板 100,200,300 陽極化成装置 101 Si基板 102 陽極化成槽 103 基板ホルダ 103a 導電性隔壁ホルダ 104 陰電極 105 陰電極ホルダ 106 陽電極 107 陽電極ホルダ 108 導電性隔壁 111,121 フィルタ 112,122 ポンプ 113,123 ポンプ 114 第1のタンク 124 第2のタンク 131 第1の電解質溶液 141 第2の電解質溶液 201,301 陽極化成槽 701 ローダー 702 ウェハキャリア 703 水洗槽 704 スピンドライヤ 705 アンローダー 710 駆動軸 721 第1搬送ロボット 722 第2搬送ロボット 731 第3搬送ロボット
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 27/12 H01L 21/306 L

Claims (55)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰電極と陽電極との間に該陽電極と電気
    的に接続された導電性隔壁が配置された陽極化成装置を
    利用し、前記陰電極と前記導電性隔壁との間に基板を配
    置して、陽極化成反応によって該基板に多孔質層を形成
    するための処理方法であって、 前記陰電極と処理対象の基板とを第1の電解質溶液を介
    して電気的に接触させると共に前記導電性隔壁と該基板
    とを第2の電解質溶液を介して電気的に接触させる準備
    工程と、 前記陰電極と前記陽電極との間に電流を流すことにより
    前記基板の前記陰電極側の面に多孔質層を形成する陽極
    化成工程と、 を含み、前記第1の電解質溶液として、前記基板を多孔
    質化する能力を有する電解質溶液を使用し、前記第2の
    電解質溶液として、実質的に前記導電性隔壁を多孔質化
    する能力を有しない電解質溶液を使用することを特徴と
    する処理方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の電解質溶液として、前記導電
    性隔壁を電解エッチングする能力を有する電解質溶液を
    使用することを特徴とする処理方法。
  3. 【請求項3】 前記導電性隔壁は、処理対象の基板と同
    質の材料で構成されていることを特徴とする請求項1又
    は請求項2に記載の処理方法。
  4. 【請求項4】 前記導電性隔壁は、Si材料で構成され
    ていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれ
    か1項に記載の処理方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の電解質溶液及び前記第2の電
    解質溶液は、共に弗化水素を含有する溶液であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載
    の処理方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の電解質溶液と前記第2の電解
    質溶液とは、弗化水素の濃度が異なることを特徴とする
    請求項5に記載の処理方法。
  7. 【請求項7】 前記第1の電解質溶液は、前記第2の電
    解質溶液よりも、弗化水素の濃度が高いことを特徴とす
    る請求項6に記載の処理方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の電解質溶液は、弗化水素の濃
    度が10〜50%であることを特徴とする請求項7に記
    載の処理方法。
  9. 【請求項9】 前記第2の電解質溶液は、弗化水素の濃
    度が10%以下であることを特徴とする請求項7又は請
    求項8に記載の処理方法。
  10. 【請求項10】 前記第2の電解質溶液は、弗化水素の
    濃度が2%以下であることを特徴とする請求項7又は請
    求項8に記載の処理方法。
  11. 【請求項11】 前記陽電極から前記基板に供給される
    電流は、全て前記導電性隔壁を介して供給されることを
    特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記
    載の処理方法。
  12. 【請求項12】 前記陽極化成工程では、前記基板に、
    互いに多孔度が異なる2以上の層からなる多層構造の多
    孔質層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項
    11のいずれか1項に記載の処理方法。
  13. 【請求項13】 前記陽極化成工程では、前記陰電極と
    前記陽電極との間に流す電流の大きさを変更することに
    より多層構造の多孔質層を形成することを特徴とする請
    求項12に記載の処理方法。
  14. 【請求項14】 前記陽極化成工程は、前記第1の電解
    質溶液を他の電解質溶液に交換することにより多層構造
    の多孔質層を形成することを特徴とする請求項12に記
    載の処理方法。
  15. 【請求項15】 前記準備工程は、 前記陰電極と前記陽電極との間に処理対象の基板を基板
    ホルダによって保持する工程と、 前記陰電極と前記基板との間に前記第1の電解質溶液を
    満たすと共に前記導電性隔壁と前記基板との間に前記第
    2の電解質溶液を満たす工程と、 を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項14のいず
    れか1項に記載の処理方法。
  16. 【請求項16】 処理対象の基板に多孔質層が形成され
    た後に、 前記第1及び第2のの電解質溶液を排出する工程と、 前記基板を前記基板ホルダから取り外す工程と、 を更に含むことを特徴とする請求項15に記載の処理方
    法。
  17. 【請求項17】 前記陽極化成工程では、基板の表面か
    ら数えて2番目以降の層の全部又は一部の層の多孔度が
    基板の表面から数えて1番目の層の多孔度よりも高くな
    るように多層構造の多孔質層を形成することを特徴とす
    る請求項12に記載の処理方法。
  18. 【請求項18】 前記陽極化成工程では、前記1番目の
    層の多孔度を30%以下とし、前記2番目以降の層の全
    部又は一部の層の多孔度を30%以上とすることを特徴
    とする請求項17に記載の処理方法。
  19. 【請求項19】 前記陽極化成工程では、前記2番目の
    層の厚さを5μm以下とすることを特徴とする請求項1
    7に記載の処理方法。
  20. 【請求項20】 処理対象の基板に多孔質層が形成され
    た後に、該基板を洗浄する洗浄工程を更に含むことを特
    徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載
    の処理方法。
  21. 【請求項21】 前記洗浄工程において洗浄された基板
    を乾燥させる乾燥工程を更に含むことを特徴とする請求
    項20に記載の処理方法。
  22. 【請求項22】 陰電極と陽電極とを有し、処理対象の
    基板によって前記陰電極側と前記陽電極側とに分離され
    る陽極化成槽の前記陰電極と前記陽電極との間に基板を
    配置し、陽極化成反応によって該基板に多孔質層を形成
    するための処理方法であって、 前記陽極化成槽の前記陰電極側に第1の電解質溶液を満
    たすと共に前記陽電極側に第2の電解質溶液を満たす工
    程と、 前記陰電極と前記陽電極との間に電流を流すことにより
    前記基板の前記陰電極側の面に多孔質層を形成する陽極
    化成工程と、 を含み、前記第1の電解質溶液と前記第2の電解質溶液
    とは、陽極化成反応の観点において、異なる性質を有す
    る電解質溶液であることを特徴とする処理方法。
  23. 【請求項23】 前記陽極化成槽は、前記陽電極と処理
    対象の基板とを隔離するための導電性隔壁を有すること
    を特徴とする請求項22に記載の処理方法。
  24. 【請求項24】 陽極化成反応により基板に多孔質層を
    形成するための陽極化成装置であって、 陰電極と、 陽電極と、 前記陰電極と前記陽電極との間で処理対象の基板を保持
    する基板ホルダと、 前記陽電極と前記基板とを隔離すると共に前記陽電極と
    電気的に接続される導電性隔壁と、 前記陰電極と前記基板との間に第1の電解質溶液を供給
    する第1の供給手段と、 前記導電性隔壁と前記基板との間に第2の電解質溶液を
    供給する第2の供給手段と、 前記陰電極と前記基板との間の前記第1の電解質溶液を
    排出する第1の排出手段と、 前記導電性隔壁と前記基板との間の前記第2の電解質溶
    液を排出する第2の排出手段と、 前記第1の電解質溶液と前記第2の電解質溶液とが混合
    しないような手順に従って前記第1及び第2の供給手段
    並びに前記第1及び第2の排出手段を制御する制御手段
    と、 を備えることを特徴とする陽極化成装置。
  25. 【請求項25】 基板の製造方法であって、 請求項1乃至請求項11に記載の処理方法に従って基板
    の表面に多孔質層を形成する第1の形成工程と、 前記多孔質層上に非多孔質層を形成する第2の形成工程
    と、 前記第2の形成工程によって得られる基板を第1の基板
    として、該第1の基板と別途用意した第2の基板とを前
    記非多孔質層を挟むようにして貼り合わせて貼り合わせ
    基板を作成する貼り合わせ工程と、 前記貼り合わせ基板より、前記第1の基板の裏面から前
    記多孔質層までの部分を除去する除去工程と、 を含むことを特徴とする基板の製造方法。
  26. 【請求項26】 基板の製造方法であって、 請求項1乃至請求項11に記載の処理方法に従って基板
    の表面に多孔質層を形成する第1の形成工程と、 前記多孔質層上に非多孔質層を形成する第2の形成工程
    と、 前記第2の形成工程によって得られる基板を第1の基板
    として、該第1の基板と別途用意した第2の基板とを前
    記非多孔質層を挟むようにして貼り合わせて貼り合わせ
    基板を作成する貼り合わせ工程と、 前記貼り合わせ基板を前記多孔質層の部分で分離する分
    離工程と、 分離後の第2の基板上に残留する多孔質層を除去する除
    去工程と、 を含むことを特徴とする基板の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記分離工程では、前記多孔質層に向
    けて流体を打ち込むことにより前記貼り合わせ基板を2
    枚の基板に分離することを特徴とする請求項26に記載
    の基板の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記分離工程では、前記貼り合わせ基
    板に対して、該貼り合わせ基板の面に実質的に垂直な方
    向に、力を印加することにより、該貼り合わせ基板を2
    枚の基板に分離することを特徴とする請求項26に記載
    の基板の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記分離工程では、前記貼り合わせ基
    板に対して、面方向にせん断応力を印加することによ
    り、該貼り合わせ基板を2枚の基板に分離することを特
    徴とする請求項26に記載の基板の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記分離工程では、前記貼り合わせ基
    板の前記多孔質層の周辺部分を酸化させて体積膨張させ
    ることにより、該貼り合わせ基板を2枚の基板に分離す
    ることを特徴とする請求項26に記載の基板の製造方
    法。
  31. 【請求項31】 前記流体として液体を利用することを
    特徴とする請求項27に記載の基板の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記流体として気体を利用することを
    特徴とする請求項27に記載の基板の製造方法。
  33. 【請求項33】 分離後の第1の基板の表面に残留する
    多孔質層を除去して該基板を再利用可能にする工程を更
    に含むことを特徴とする請求項26乃至請求項32のい
    ずれか1項に記載の基板の製造方法。
  34. 【請求項34】 前記第1の形成工程では、互いに多孔
    度が異なる多層構造の多孔質層を形成することを特徴と
    する請求項26乃至請求項34のいずれか1項に記載の
    基板の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記分離工程では、前記多層構造の多
    孔質層のうち内側の層を分離用の層として利用すること
    を特徴とする請求項34に記載の基板の製造方法。
  36. 【請求項36】 前記第1の形成工程では、Si基板の
    表面に多孔質層を形成することを特徴とする請求項26
    乃至請求項35のいずれか1項に記載の基板の製造方
    法。
  37. 【請求項37】 前記非多孔質層は、半導体層を含むこ
    とを特徴とする請求項26乃至請求項36のいずれか1
    項に記載の基板の製造方法。
  38. 【請求項38】 前記非多孔質層は、単結晶Si層を含
    むことを特徴とする請求項26乃至請求項36のいずれ
    か1項に記載の基板の製造方法。
  39. 【請求項39】 前記非多孔質層は、内側から順に、単
    結晶Si層及び絶縁層を含むことを特徴とする請求項2
    6乃至請求項36のいずれか1項に記載の基板の製造方
    法。
  40. 【請求項40】 前記絶縁層は、SiO層であること
    を特徴とする請求項39に記載の基板の製造方法。
  41. 【請求項41】 前記非多孔質層は、化合物半導体層を
    含むことを特徴とする請求項26乃至請求項36のいず
    れか1項に記載の基板の製造方法。
  42. 【請求項42】 前記第2の基板は、Si基板であるこ
    とを特徴とする請求項26乃至請求項41のいずれか1
    項に記載の基板の製造方法。
  43. 【請求項43】 前記第2の基板は、表面に酸化膜を有
    するSi基板であることを特徴とする請求項26乃至請
    求項41のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  44. 【請求項44】 前記第2の基板は、光透過性の基板で
    あることを特徴とする請求項26乃至請求項41のいず
    れか1項に記載の基板の製造方法。
  45. 【請求項45】 前記第2の基板は、絶縁性の基板であ
    ることを特徴とする請求項26乃至請求項41のいずれ
    か1項に記載の基板の製造方法。
  46. 【請求項46】 前記第2の基板は、石英基板であるこ
    とを特徴とする請求項26乃至請求項41のいずれか1
    項に記載の基板の製造方法。
  47. 【請求項47】 前記除去工程に次いで、分離後の第2
    の基板を平坦化する平坦化工程を更に含むことを特徴と
    する請求項26乃至請求項46のいずれか1項に記載の
    基板の製造方法。
  48. 【請求項48】 前記平坦化工程は、水素を含む雰囲気
    中での熱処理を含むことを特徴とする請求項47に記載
    の基板の製造方法。
  49. 【請求項49】 前記除去工程では、 a)弗酸、 b)弗酸にアルコール及び過酸化水素水の少なくとも一
    方を添加した混合液、 c)バッファード弗酸、 d)バッファード弗酸に弗酸にアルコール及び過酸化水
    素水の少なくとも一方を添加した混合液、 のいずれかをエッチング液として多孔質層を選択的にエ
    ッチングすることを特徴とする請求項26乃至請求項4
    8のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  50. 【請求項50】 前記除去工程では、化合物半導体をエ
    ッチングする速度よりも多孔質層をエッチングする速度
    が速いエッチング液により多孔質層を選択的にエッチン
    グすることを特徴とする請求項41に記載の基板の製造
    方法。
  51. 【請求項51】 前記除去工程では、前記非多孔質層を
    ストッパとして多孔質層を選択的に研磨することを特徴
    とする請求項26乃至請求項49のいずれか1項に記載
    の基板の製造方法。
  52. 【請求項52】 前記貼り合わせ工程は、前記非多孔質
    層が形成された第1の基板を前記第2の基板に密着させ
    る工程であることを特徴とする請求項26乃至請求項5
    1のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  53. 【請求項53】 前記貼り合わせ工程は、前記非多孔質
    層が形成された第1の基板を前記第2の基板に密着させ
    た後に、陽極接合、加圧若しくは熱処理又はこれらの組
    み合わせの中から選ばれる処理を施す工程であることを
    特徴とする請求項26乃至請求項51のいずれか1項に
    記載の基板の製造方法。
  54. 【請求項54】 半導体薄膜の製造方法であって、 請求項1乃至請求項11に記載の処理方法に従って基板
    の表面に多孔質層を形成する第1の形成工程と、 前記多孔質層上に半導体薄膜を形成する第2の形成工程
    と、 前記第2の形成工程によって得られる基板を前記多孔質
    層の部分で分離する分離工程と、 を含むことを特徴とする薄膜の製造方法。
  55. 【請求項55】 前記分離工程では、前記第2の形成工
    程によって得られる基板の前記半導体薄膜にフィルムを
    貼り付けて該フィルムを引き剥がすことにより、該基板
    を前記多孔質層の部分で分離することを特徴とする請求
    項54に記載の薄膜の製造方法。
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