JP2000336305A - 難燃性エポキシ樹脂粉体塗料 - Google Patents
難燃性エポキシ樹脂粉体塗料Info
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Abstract
燃性を有し、電気絶縁性塗料として重要な硬化性、耐湿
性に優れた難燃性エポキシ樹脂粉体塗料を提供するこ
と。 【解決手段】 エポキシ樹脂,硬化剤,充填材及び難燃
剤を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物におい
て、難燃成分として一般式1で示される含リン化合物を
配合する。この含リン化合物はエポキシ樹脂と硬化剤の
合計量に対してリン含有率で1.5〜3.5重量%配合
することが好ましい。 【化1】
Description
を使用しなくても優れた難燃性を有する難燃性エポキシ
樹脂粉体塗料に関するものである。
用されているエポキシ樹脂粉体塗料は、部品の火災に対
する安全性を確保するために高度の難燃性を有すること
が要求されている。このため粉体塗料の成分中には難燃
性を賦与する様々な化合物が配合されている。可燃性の
樹脂成分を少なくし不燃性の無機充填材、特に結晶水を
含有して燃焼時にはこれを放出することで難燃効果を発
現するような水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム
などの無機充填材を多く配合する方法、燃焼性の低いシ
リコーン樹脂やシアヌレート環含有樹脂で変性する方法
など、さまざまな方法が提案、実施されているが、最も
広く実施されているのは各種のハロゲン系難燃剤を配合
する方法である。
化合物は燃焼時に発生する臭化水素が不燃性の重い気体
で可燃物周辺を酸素から遮蔽し、燃焼性ガスを希釈する
ことにより著しい消火作用を示すが、反面この臭化水素
は腐食性を有すること、酸素存在下で熱分解した場合は
猛毒のダイオキシン構造に近似の毒性の高いポリブロム
ジベンゾフラン、ポリジブロムジベンゾオキシンを形成
するとの指摘がある。このような状況の下でハロゲンを
含まない難燃系が望まれている。
燃剤として燃焼時に脱水作用とともにチャー生成による
熱遮蔽効果を示すリン化合物が広く検討され、無機系の
赤リンや有機系の各種リン酸エステルが使用されてい
る。しかしながら、赤リン配合物は色調が濃赤褐色を呈
するため、エポキシ粉体塗料に使用された場合、エポキ
シ樹脂粉体塗料の特長の一つの青、黄、緑など淡色には
不適で黒色系の濃色に限定される不都合がある。各種リ
ン酸エステルの配合物では、いずれも硬化性が低下する
とともに、リン酸エステル化合物が吸湿処理下で分解し
やすいため、塗膜の耐湿性も低下し実用には適さない。
リンやリン酸エステル以外にも各種のものが提案されて
いる。例えば無機系化合物としてはリン酸アンモニウム
などのリン酸塩も一部の用途で難燃性効果有りとされて
いるが、高度の難燃性賦与を必要とする粉体塗料では有
効な結果を得ることはできない。一方、構造中にリンを
含有する各種の新規エポキシ樹脂を合成しこの適用を図
ることが提案されているが、これらの樹脂はいずれもリ
ン含有率が3%以下で低いために難燃性が不十分であ
る。
決すべく他のリン含有化合物を鋭意研究したところ、プ
ラスチックの着色防止剤として使用されているリン化合
物の中で式2で示される9,10−ジヒドロ−9−オキ
サ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドが
難燃性賦与の効果が高いことを見いだした。
性の高いP−H結合を有するためエポキシ樹脂と反応
し、エポキシ樹脂と硬化剤成分との硬化反応を阻害し
て、エポキシ粉体塗料の硬化性を著しく低下させる。こ
の反応活性を除去するため、式3に例示したような予め
ノボラック型エポキシ樹脂と付加反応させた化合物を難
燃剤として配合する試みも行われているが、分子量が増
加してリン含有率が低下するため、十分な難燃性を賦与
するためにはこの難燃剤を多量に配合する必要があり、
粉体塗料製品の各種特性の低下を招く。
脂を配合した硬化物は、加熱処理を施すと徐々に変色し
濃色になるために、鮮明な塗装外観を要望される用途に
は適合できないという問題がある。
した結果、式2の化合物に低分子量アルデヒド類を付加
反応して得られるリン含有化合物を難燃剤として適用す
ることにより、少量の添加で高度の難燃性を賦与しなが
ら、硬化性及び硬化物特性も従来品と遜色がなく、変色
作用もないことを見いだし、この知見に基づいて鋭意研
究した結果、本発明を完成するに至った。本発明は、ハ
ロゲン含有化合物を配合することなく高度な難燃性を有
し、かつ硬化性や耐湿性などの特性を損なうことのない
エポキシ樹脂粉体塗料を提供することにある。
脂,硬化剤,充填材及び難燃剤を必須成分として含有す
るエポキシ樹脂組成物において、難燃剤として一般式1
で示される含リン化合物を配合することを特徴とする難
燃性エポキシ樹脂粉体塗料である。
量アルデヒド類を付加反応することにより容易に得られ
る。式2の化合物と付加反応するアルデヒド類として
は、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどが例示さ
れるが、少量の配合で高度な難燃性を付与するためにリ
ン含有率を高める必要があるため、なるべく低分子量の
アルデヒドが望ましく、一般式1においてn=0となる
ホルムアルデヒドがもっとも好ましい。一般式1で示さ
れる含リン化合物は、十分な難燃性を賦与しつつもでき
る限り配合量を少なくして粉体塗料特性に与える影響を
小さくするため、エポキシ樹脂と硬化剤の総量(重量
比)に対してリン含有率で1.5〜3.5%配合するこ
とが望ましい。
分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有しかつ非ハロ
ゲンエポキシ樹脂であれば一般のエポキシ粉体塗料に適
用される室温下で固形のものであればよく、例えば、ビ
スフェノールA型,ビスフェノールF型,ビスフェノー
ルS型,フェノールノボラック型,クレゾールノボラッ
ク型,ビフェニル型,ナフタレン型,芳香族アミン型な
どが例示されるが、特にこれらに限定されるものではな
い。なお、これらは単独又は複数を組み合わせ使用する
ことができる。
ではなく、エポキシ樹脂粉体塗料が適用される目的に応
じて種々のものを単独または複数を組み合わせ使用する
ことができる。一例をあげれば、ジアミノジフェニルメ
タンやアニリン樹脂などの芳香族アミン,脂肪族アミン
と脂肪族ジカルボン酸との縮合物,ジシアンジアミド及
びその誘導体,各種イミダゾールやイミダゾリン化合
物,アジピン酸,セバチン酸,フタル酸,マレイン酸,
トリメリット酸,ベンゾフェノンジカルボン酸,ピロメ
リット酸などのポリジカルボン酸またはその酸無水物,
アジピン酸やフタル酸などのジヒドラジッド,フェノー
ル,クレゾール,キシレノール,ビスフェノールAなど
のノボラック類,カルボン酸アミド,メチロール化メラ
ミン類,ブロック型イソシアヌレート類などである。
は、使用するエポキシ樹脂及び硬化剤の種類により適宜
決定されるが、硬化物特性を考慮して一般的にはエポキ
シ樹脂に対して0.6〜1.2当量の範囲で使用するの
が適当である。なお、これらの硬化剤に対して必要によ
り3級アミン類,イミダゾール類,有機リン化合物など
の硬化促進剤を使用してもよい。
カルシウム,硫酸バリウム,水酸化アルミニウム,水酸
化マグネシウム,酸化アルミニウム,結晶又は溶融シリ
カ,タルク,カオリン,クレー,マイカ,ドロマイト,
ワォラストナイト,ガラス繊維やガラスビーズ,ジルコ
ン,チタン化合物,モリブデン化合物などを単独又は複
数組み合わせ使用する。この他、各種顔料,レベリング
剤,カップリング剤や消泡剤などの添加剤などを適宜配
合する。また、難燃性を高めるためにシリコーン樹脂,
メラミン樹脂などのシアヌレート環骨格を有する樹脂、
あるいは三酸化アンチモン,ホウ酸亜鉛,膨張性黒鉛な
どの非ハロゲンの難燃性助剤も適宜使用することができ
る。
特別に限定されるものではなく、一般的な方法でよい。
一例としては、所定の組成比に配合した原料成分をミキ
サーによって十分に均一混合した後、エクストルーダー
や2軸混練機などで溶融混合し、ついで粉砕機により適
当な粒度に粉砕、分級して得られる。
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。原料成分を表1で示す組成比(重量部)でミキサー
により混合し溶融混練後、粉砕機にて粉砕して平均粒度
40〜60μmのエポキシ樹脂粉体塗料を得た。
ポキシ製、エポキシ当量800 2.硬化剤 ・BTDA:ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、
硬化剤当量160 ・2MZ:2ーメチルイミダゾール 3.充填材 ・溶融シリカ:龍森製、RD−8 ・水酸化アルミニウム:住友化学製、CL−310 4.顔料 ・白顔料(酸化チタン):石原産業製、TTO−55 ・青顔料(シアニンブルー):住友化学製、シアニンブ
ルーGH 5.添加剤 ・シランカップリング剤:日本ユニカー製、A−187 6.難燃剤 ・リン酸エステル:大八化学製、PX−200 ・9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフ
ェナントレン−10−オキサイド(式2の化合物) ・式2化合物のホルムアルデヒド付加物(式1において
n=0のもの)
61による) 2.難燃性:UL94法(試験板厚み:1mm) 3.耐湿性:0.6mm厚の粉体塗装したセラミックコ
ンデンサを121℃,2時間処理し、その後の絶縁抵抗
で判定した。 ○:1012Ω超、 △:1012〜1011Ω、 ×:10
11Ω未満 4.熱変色性:硬化物片を121℃,2時間処理し、色
の変化を観察した。 ○:色変化極小、 ×:色変化大
して芳香族酸無水物を0.8当量配合し、さらに一般式
1において、n=0の化合物をエポキシ樹脂と硬化剤の
合計量に対してリン含有率で2.7%配分したものであ
り、実施例2は実施例1の処方のうち、硬化剤として2
ーメチルイミダゾール、充填剤として水酸化アルミニウ
ムを適用したものであり、いずれも高度の難燃性を有し
ており、硬化性や耐湿性が良好であり、加熱処理時に変
色しにくいといった粉体塗料に要求される各種特性に優
れている。
問題があり、粉体塗料に適用することは困難である。比
較例1は難燃性賦与効果の高いリン酸エステルを配合し
たものであるが、耐湿性が大きく低下している。比較例
2は式2の化合物を難燃剤として配合したもので、難燃
性は高いものの硬化が遅く、さらに加熱時に変色が生じ
る。比較例3は式3の化合物を難燃剤として配合したも
ので、分子量が大きくリン含有率が低いために十分な難
燃性を得られず、さらに加熱時の変色も生じる。比較例
4は難燃剤として水酸化アルミニウムのみを用いたもの
で十分な難燃性が得られず、さらに耐湿性も低下してい
る。
体塗料で難燃性賦与のために環境上の問題が指摘されて
いる臭素などハロゲン含有化合物やアンチモン系難燃剤
を使用することなく優れた難燃性を賦与するとともに、
硬化性,耐湿性,耐加熱変色性などの特性にも優れた難
燃性エポキシ樹脂粉体塗料を提供するものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 エポキシ樹脂,硬化剤,充填材及び難燃
剤を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物におい
て、難燃剤として一般式1で示される含リン化合物を配
合することを特徴とする難燃性エポキシ樹脂粉体塗料。 【化1】 - 【請求項2】 含リン化合物をエポキシ樹脂と硬化剤の
合計量に対してリン含有率で1.5〜3.5重量%配合
することを特徴とする請求項1記載の難燃性エポキシ樹
脂粉体塗料。 - 【請求項3】 含リン化合物が、一般式1においてn=
0である請求項1又は2記載の難燃性エポキシ樹脂粉体
塗料。
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