JP2000334867A - 積層体、該積層体を有する構造体、前記積層体の製造方法、および前記構造体の製造方法 - Google Patents

積層体、該積層体を有する構造体、前記積層体の製造方法、および前記構造体の製造方法

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JP2000334867A
JP2000334867A JP11152490A JP15249099A JP2000334867A JP 2000334867 A JP2000334867 A JP 2000334867A JP 11152490 A JP11152490 A JP 11152490A JP 15249099 A JP15249099 A JP 15249099A JP 2000334867 A JP2000334867 A JP 2000334867A
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Toshio Inoue
敏夫 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2つのスキン層の間に、空気を含むコア層が
接合されてなる構造体で、構造体全体の弾性率および衝
撃エネルギー吸収特性を高める。 【解決手段】 サンドイッチ構造体1が、2つの親低融
点樹脂板3の間にコア層2が挟まれて構成され、コア層
2が、ポリエステルかなる網状の微細格子不織布4と、
ポリエチレンからなる網状の粗格子不織布5とを交互に
積層して構成される。微細格子不織布4を介して隣り合
う2つの粗格子不織布5同士が微細格子不織布4の微細
な穴4aを通して融着され、粗格子不織布5を介して隣
り合う2つの微細格子不織布4同士が粗格子不織布5の
穴5aを通して融着されている。サンドイッチ構造体1
に衝撃が加わった際における粗格子不織布5同士の相互
作用、および微細格子不織布4同士の相互作用が充分に
得られるので、サンドイッチ構造体1の弾性率および衝
撃エネルギー吸収特性が高くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量性、保温性、
断熱性および衝撃エネルギー吸収性などに優れている、
空気を含んだ積層体、その積層体がコア層として用いら
れた構造体、その積層体の製造方法、およびその構造体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の積層体として、空気層(気泡)を
含んだコア層が2つのスキン層の間に挟まれて構成され
た樹脂製サンドイッチ構造体は、スキン層の強度や、コ
ア層における軽量性、保温性、断熱性、および衝撃エネ
ルギーの吸収性などで優れた特性を有している。これら
の優れた特性を得るための目的に使用されるコア層とし
ては、それぞれが独立した複数の気泡を含有する発泡体
が用いられることがある。
【0003】しかしながら、従来のサンドイッチ構造体
のコア層として用いられる発泡体は、弾性率が極めて低
く、サンドイッチ構造体全体に高い弾性率が要求される
ときには、そのコア層を厚くして、サンドイッチ構造体
全体の厚みを増加させなければならない。また、発泡体
からなるコア層を含むサンドイッチ構造体は、面衝撃に
対する反発特性に優れるものの、サンドイッチ構造体が
破壊に至ったときの衝撃吸収特性が低く、特に、サンド
イッチ構造体に衝突した衝突物がサンドイッチ構造体を
貫通することを妨げる特性が低いという問題点がある。
【0004】上記のようにコア層として発泡体を用いる
のに対して、コア層として織布層または不織布層などの
繊維層を用いたサンドイッチ構造体がある。繊維からな
るコア層を含んだサンドイッチ構造体では、コア層とし
て発泡体が用いられたものと比較して、サンドイッチ構
造体が破壊に至ったときの衝撃吸収特性、特に、衝突物
がサンドイッチ構造体を貫通することを妨げる特性が優
れており、コア層として発泡体が用いられたサンドイッ
チ構造体における上記の問題点を、ある程度解決するこ
とができる。このようにコア層として織布層または不織
布層などの繊維層が用いられたサンドイッチ構造体で
は、コア層となる織布層内または不織布層に空気層を含
ませるには、そのコア層を構成する織布または不織布を
積層構造にすればよい。
【0005】一方、第28回FRPシンポジウム講演論
文集の79頁〜82頁には、繊維関連企業から廃棄され
た種々の形態の繊維屑の有効な使用方法(リサイクルの
方法)について、木村照夫、寺田堂彦による「漁網繊維
屑を用いたサンドイッチ積層板の圧縮成形と成形品特
性」(II−4B)の文献が記載されている。この、木村
照夫、寺田堂彦による文献には、単一素材の繊維屑集合
体の表面近傍のみを遠赤外線加熱方式で溶融させた後に
圧縮固化させて、表面層がプラスチック板、コア層が空
気を含んだ繊維層からなる強度と断熱性に優れたサンド
イッチ積層板の成形手法が記載されている。そのサンド
イッチ積層板の成形方法では、表面層として、コア層よ
りも低融点の素材を配置して、低融点の素材のみを加熱
溶融した後に圧縮固化させている。具体的には、融点の
大きく異なるひも状のポリエステルおよびポリエチレン
漁網屑を用いて、低融点のポリエチレンを表面層に、高
融点のポリエステルをコア層に配置し、表面のポリエチ
レン層のみを溶融固化させることによってサンドイッチ
状の断熱板の成形が行われている。
【0006】上記の文献には、低融点のポリエチレンの
編み布からなる2つスキン層の間に、高融点のポリエス
テルの編み布からなる、空気を含んだコア層を挟み込
み、2つのスキン層のみを溶融固化させることによって
構成された3層構造体が記載されている。その3層構造
体とは別に、5層構造体として、低融点のポリエチレン
編み布層の両側にそれぞれポリエステル編み布層が配置
されたものを、それぞれがポリエチレンの編み布からな
る2つスキン層の間に挟み込み、ポリエステル層の間の
ポリエチレン編み布層、および2つのスキン層を溶融固
化して構成されたものが記載されている。この5層構造
体は、断熱性の向上を目的として、2つのスキン層の間
のコア層における空気を含んだ部分を増加させるため
に、そのコア層として2つのポリエステルの編み布層を
用いたものであり、この5層構造体では、それら2つの
ポリエステルの編み布層同士を接着して5層構造体の強
度を上げるために、2つのポリエステル編み布層の間
に、接着剤の役目を果たすポリエチレン層が挿入されて
いる。このような手法により、内部に多くの空気層を含
むサンドイッチ状の板材の成形が可能となり、また、非
常に柔軟性のある成形品が得られ、その成形品における
表面ポリエチレン層の厚みを増すことによって大きな曲
げ強度を得ることができる。
【0007】また、第28回FRPシンポジウム講演論
文集の75頁〜78頁には、繊維関連工場から生じた大
量の繊維屑を粉砕・分別しないで再利用する手法に関し
て、木村照夫、江森功一による「塩ビコーティングされ
たガラス布端材を用いた繊維強化複合材料の圧縮成形と
成形品特性」(II−3B)の文献が記載されている。こ
の、木村照夫、江森功一による文献は、廃棄処分が困難
となっている塩ビコーティングされたガラス繊維端材の
有効利用法を開発するために、この端材を数枚積層して
加熱圧縮することによる繊維強化複合材の成形について
記載されたものである。具体的には、繊維屑として、塩
ビコーティングされたガラス繊維織布端材を金型内に所
定の枚数積層し、積層されたものを、ホットプレスを用
いて加熱圧縮することにより厚さ7mmの板材の成形を
行うことが記載されている。その繊維屑の材料の構成と
しては、JIS-17Bガラスの繊維織布(130g/mm2)に、軟
質塩ビ(PVC)が300g/mm2の割合でコーティングされ
ている。この文献には、塩ビコーティングされたガラス
布端材を用いて作製された成形品の特性は、成形温度や
成形時間に大きく影響されるものの、強度を持ち合わせ
た非常に柔軟性のある材料が得られると記載されてい
る。また、このような成形品が衝撃緩和材、制振防音材
などととしての活用が考えられると記載されている。
【0008】さらに、第28回FRPシンポジウム講演
論文集の143,144頁には、船舶などの海洋構造物
用材料として広く使用されている強化繊維の形態として
機械的特性に優れた織物構造に関して、東藤貢、藤井幹
成、高橋清による「ガラス長繊維強化不飽和ポリエステ
ルの衝撃特性−四軸組布による強化の影響−」(I−2
1A)の文献が記載されている。この文献において、供
試材として作製されるガラス長繊維強化不飽和ポリエス
テルの構造として、四軸組布、平織り、ランダムの3種
類のものが用いられ、それぞれの構造に対応する複合材
料が、厚さ3mmの積層板として作製されている。ま
た、四軸組布材と平織り材を、それぞれランダム材では
さんだ、サンドイッチ構造を成す積層板も作製されてい
る。それら2つの積層板と、前記3種類の積層板のそれ
ぞれから約100mm×100mmの正方形板を切り出し、切り出
されたそれぞれのものを衝撃試験片として計装化落錘衝
撃試験機を用いて衝撃試験が行われている。
【0009】上記の衝撃試験では、上述したように強化
構造が異なる5種類のガラス繊維強化不飽和ポリエステ
ルのそれぞれにおける衝撃吸収エネルギーを測定するこ
とで耐衝撃性の比較が行われている。その結果として、
クロス材に比べ、より低コストでの製造が可能な、四軸
組布を強化構造とする複合材料は、特に低エネルギーに
対して、クロス材に匹敵する耐衝撃性を示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようにコア層となる織布層内に空気層を含ませるよう
に、その織布層を構成する織布を積層構造にしたサンド
イッチ構造体では、コア層とスキン層との接着は、コア
層内で最も外側に配置された織布とスキン層との間で行
われ、コア層内で積層された織布の中では、最も外側の
織布のみがスキン層との接着に関与するので、スキン層
とコア層との相互作用は、コア層内の最も外側の織布の
みを経由して生じているだけにすぎない。従って、スキ
ン層およびコア層の積層方向ではスキン層とコア層との
相互作用が少なく、このため、その積層方向におけるサ
ンドイッチ構造体内の応力に関しては機械的特性が極め
て弱いという問題点がある。よって、織布または不織布
を積層して構成されたコア層を含むサンドイッチ構造体
は、その構造体を衝突物が貫通して構造体が破壊したと
きにおける繊維の破壊時の伸び特性を最大限に利用する
ことができないので、衝撃エネルギー吸収部材として最
良のものではない。
【0011】本発明の目的は、布部材からなる、空気を
含むコア層が2つのスキン層の間に挟まれて構成された
構造体において、その構造体の積層方向におけるコア層
とスキン層との相互作用が充分に得られることで構造体
全体の弾性率および衝撃エネルギー吸収特性を高くする
ことが可能なコア層として用いられる積層体、その積層
体を有する構造体、前記積層体の製造方法、および前記
構造体の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、空気を含む気体含有層を構成するために
第1および第2の網状部材が交互にそれぞれ複数積層さ
れてなる積層体であって、前記第1の網状部材を介して
隣り合う2つの前記第2の網状部材同士が前記第1の網
状部材の穴を通して接合され、前記第2の網状部材を介
して隣り合う2つの前記第1の網状部材同士が前記第2
の網状部材の穴を通して接合されている。
【0013】上記の発明では、気体含有層を構成するよ
うに第1および第2の網状部材が交互にそれぞれ複数積
層され、第1の網状部材を介して隣り合う2つの第2の
網状部材同士が第1の網状部材の穴を通して接合され、
かつ、第2の網状部材を介して隣り合う2つの第1の網
状部材同士が第2の網状部材の穴を通して接合されてい
ることにより、その積層体の内部に空気を含ませるため
に積層体の内部を積層構造にする際にも、積層体に衝撃
が加わったときの第1の網状部材同士の相互作用および
第2の網状部材同士の相互作用が充分に得られるので、
積層体の衝撃エネルギー吸収特性、特に面衝撃に対する
エネルギー吸収特性が向上する。また、積層体の内部に
は連続した空気が含まれているので、軽量性、保温性、
断熱性などに加え、特に衝撃エネルギー吸収特性に優れ
た積層体が実現される。また、前記の、第1の網状部材
同士の相互作用および第2の網状部材同士によって、積
層体を衝突物が貫通する際における積層体の衝撃エネル
ギー吸収特性も向上し、このように構成された積層体は
衝撃吸収部材として特に有効なものとなる。この積層体
は、例えばサンドイッチ構造体における板部材などの2
つのスキン層の間に挟まれるコア層として用いられ、上
記の積層体をコア層として用いて構成された構造体で
は、構造体に衝撃が加わった場合などにおけるコア層の
内部とスキン層との相互作用が充分に得られるので、構
造体全体の弾性率および衝撃エネルギー吸収特性が高め
られる。
【0014】また、本発明は、空気を含む気体含有層を
構成するために第1および第2の網状部材が交互にそれ
ぞれ複数積層されてなる積層体と、該積層体の積層方向
における前記積層体の上面および下面にそれぞれ接合さ
れた2つの板部材とを有する構造体であって、前記第1
の網状部材を介して隣り合う2つの前記第2の網状部材
同士が前記第1の網状部材の穴を通して接合され、前記
第2の網状部材を介して隣り合う2つの前記第1の網状
部材同士が前記第2の網状部材の穴を通して接合されて
いる。
【0015】上記の発明では、積層体の上面および下面
に板部材が接合されてなる構造体において、気体含有層
を構成するように第1および第2の網状部材が交互にそ
れぞれ複数積層され、第1の網状部材を介して隣り合う
2つの第2の網状部材同士が第1の網状部材の穴を通し
て接合され、かつ、第2の網状部材を介して隣り合う2
つの第1の網状部材同士が第2の網状部材の穴を通して
接合されて積層体が構成されたことにより、上述したの
と同様に、構造体に衝撃が加わったときに積層体内での
第1の網状部材同士の相互作用および第2の網状部材同
士の相互作用が充分に得られるので、積層体の内部と板
部材との相互作用も充分に得られる。これにより、構造
体全体の弾性率が高くなり、また、構造体全体の衝撃エ
ネルギー吸収特性、特に面衝撃に対するエネルギー吸収
特性が向上する。積層体の内部には連続した空気が含ま
れているので、軽量性、保温性、断熱性などに加え、特
に衝撃エネルギー吸収特性に優れた構造体が実現され
る。また、上記の、第1の網状部材同士の相互作用およ
び第2の網状部材同士の相互作用によって、構造体を衝
突物が貫通する際における構造体の衝撃エネルギー吸収
特性も向上し、このように構成された構造体は衝撃吸収
部材として特に有効なものとなる。
【0016】具体的には、前記第1および第2の網状部
材がそれぞれ、不織布であり、前記第1の網状部材が、
一方向に配列および延伸された複数の第1のフィラメン
トと、前記一方向と略直行する方向に配列および延伸さ
れた複数の第2のフィラメントとから構成された格子状
の不織布であることが好ましい。あるいは、前記第1の
網状部材が、一方向に配列および延伸された複数のフィ
ラメントから構成された不織布であってもよい。この場
合、前記第2の網状部材を介して隣り合う2つの前記第
1の網状部材のフィラメントの配列方向が略直行してい
ることが好ましい。
【0017】さらに、前記第1または第2の網状部材の
うち少なくもといずれか一方の網状部材に、前記一方の
網状部材を介して隣り合う2つの他方の網状部材同士を
接合するための補助用の貫通穴が形成され、前記一方の
網状部材を介して隣り合う前記2つの他方の網状部材同
士が前記貫通穴を通して接合されていてもよい。
【0018】さらに、前記積層体の内部における最下層
および最上層に前記第2の網状部材が配置され、前記最
下層および最上層に配置されたそれぞれの前記第2の網
状部材が前記板部材と接合されていることが好ましい。
【0019】前記第1の網状部材の表層の材質と前記第
2の網状部材の表層の材質は異なる熱可塑性樹脂組成物
である。また、第1の網状部材同士および第2の網状部
材同士の接合としては、積層体全体の加熱圧縮加工、部
分的加熱圧縮加工、超音波融着のような樹脂の溶融を利
用した接合方法を用いる。
【0020】前記第1および第2の網状部材の表層の主
成分である熱可塑性樹脂は、融着条件下で相互に強固な
融着接合を生じてコア層での不織布構造を消失すること
を避けるために、両者の親和性を制御しておくことが好
ましい。一般に、熱可塑性樹脂は、分子構造が異なれ
ば、上記のような接合方法では接合しないので組み合わ
せは実質的に自由であるが、好ましい具体例として、非
極性のポリオレフィン系樹脂と、極性の高いポリエステ
ルまたはポリアミド系樹脂との組み合わせ、非芳香属系
のポリオレフィン系樹脂と芳香属系のポリスチレン系樹
脂の組合わせが挙げられる。このように第1および第2
の網状部材の両材質の親和性を低くすることで、第1の
網状部材の穴を通して第2の網状部材同士が接合し、第
2の網状部材の穴を通して第1の網状部材同士が接合し
ても、第1および第2の網状部材の不織布構造を保つこ
とが可能となり、コア層での空気層の存在が確保され
る。
【0021】なお、前記第1の網状部材の表層の主成分
である熱可塑性樹脂が結晶性樹脂であるときはその結晶
部溶融温度、非結晶性樹脂であるときはそのガラス転移
点温度をTm1とし、前記第2の網状部材の表層におけ
る、結晶性樹脂であるときの結晶部溶融温度、または非
結晶性樹脂であるときのガラス転移点温度をTm2とした
とき、Tm1とTm2との差が20℃以上である場合は、積
層体全体の加熱圧縮加工を避け、加熱された点状の凸部
を備えたロールと、表面が平滑なロールの間を通すこと
で点状に熱圧着するような部分的加熱圧縮加工、超音波
融着のような樹脂の部分融着を利用した接合方法、また
は接着剤を使用した部分接合を用いることが好ましい。
【0022】また、板材の材質としては、前記第1また
は第2の網状部材のうちいずれか一方の網状部材との溶
融時の圧着で、その一方の網状部材と接着可能な親和性
を有しているものを用いることが好ましい。また、公知
のポリマーブレンド技術を利用して、前記第1および第
2の網状部材の両方との溶融時の圧着で、それらと接着
可能な親和性を有する材料を使用すると本発明の効果が
さらに発揮できる。本発明におけるポリマーブレンド技
術を利用した具体例としては、ポリエチレンとSEBS
(スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体)
のブレンドが挙げられる。
【0023】さらに、前記第1の網状部材の材質とし
て、第1の融点を有する第1の樹脂、例えばポリエステ
ルが用いられ、前記第2の網状部材の材質として、前記
第1の融点より低い第2の融点を有する第2の樹脂、例
えばポリエチレンが用いられ、前記第1の網状部材を介
して隣り合う2つの前記第2の網状部材同士、および前
記2の網状部材を介して隣り合う2つの前記第1の部材
同士が、超音波融着によって接合されていることが好ま
しい。
【0024】さらに、本発明は、空気を含む気体含有層
を構成するために第1および第2の網状部材が交互にそ
れぞれ複数積層されてなる積層体の製造方法であって、
前記第1の網状部材と前記第2の網状部材とを交互に重
ね合わせて積層する工程と、前記第1の網状部材を介し
て隣り合う2つの前記第2の網状部材同士を、前記第1
の網状部材の穴を通して接合し、前記第2の網状部材を
介して隣り合う2つの前記第1の網状部材同士を、前記
第2の網状部材の穴を通して接合する工程とを有する。
【0025】上記の発明により、軽量性、保温性、断熱
性などに加え、特に衝撃エネルギー吸収特性に優れた積
層体を製造することが可能となる。
【0026】さらに、本発明は、空気を含む気体含有層
を構成するために第1および第2の網状部材が交互にそ
れぞれ複数積層されてなる積層体と、該積層体の積層方
向における前記積層体の上面および下面にそれぞれ接合
された2つの板部材とを有する構造体の製造方法であっ
て、前記第1の網状部材と前記第2の網状部材とを交互
に重ね合わせて積層する工程と、前記第1の網状部材を
介して隣り合う2つの前記第2の網状部材同士を、前記
第1の網状部材の穴を通して接合し、前記第2の網状部
材を介して隣り合う2つの前記第1の網状部材同士を、
前記第2の網状部材の穴を通して接合することにより前
記積層体を作製する工程と、前記積層体の上面および下
面に前記板部材を接合する工程とを有する。
【0027】上記の発明により、軽量性、保温性、断熱
性などに加え、特に弾性率および衝撃エネルギー吸収特
性が高い構造体を製造することが可能となる。
【0028】前記第1の網状部材を介して隣り合う2つ
の前記第2の網状部材同士を接合し、前記第2の網状部
材を介して隣り合う2つの前記第1の網状部材同士を接
合する工程では、超音波融着により2つの前記第2の網
状部材同士および2つの前記第1の網状部材同士を接合
することが好ましい。また、前記第1の網状部材と前記
第2の網状部材とを交互に重ね合わせる工程で、前記積
層体の内部における最下層および最上層に前記第2の網
状部材を配置させることが好ましい。
【0029】さらに、前記第1の網状部材として、一方
向に配列および延伸された複数のフィラメントから構成
された不織布を用い、前記布部材と前記網状部材とを交
互に重ね合わせる工程で、前記第1の網状部材と前記第
2の網状部材とを交互に重ね合わせる工程で、前記第2
の網状部材を介して隣り合う2つの前記第1の網状部材
のフィラメントの配列方向を略直行させてもよい。
【0030】さらに、前記積層体の上面および下面に前
記板部材を接合する工程で、前記積層体の前記最下層お
よび最上層に配置させた前記第2の網状部材を前記板部
材と融着させることが好ましい。さらに、前記第1の網
状部材の材質として、第1の融点を有する第1の樹脂、
例えばポリエステルを用い、前記第2の網状部材および
前記板部材の材質として、前記第1の融点より低い第2
の融点を有する第2の樹脂、例えばポリエチレンを用い
ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0032】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施形態の、積層体を有する構造体を示す断面図で
ある。図2は、図1に示される構造体の内側に配置され
たコア層を示す断面図である。
【0033】図1に示すように、本実施形態の構造体で
あるサンドイッチ構造体1は、サンドイッチ構造体1の
最も外側の層となるスキン層を構成するための板部材で
ある2つの親低融点樹脂板3と、2つの親低融点樹脂板
3の間に挟まれてそれぞれの親低融点樹脂板3に接合さ
れた、積層体であるコア層2とから構成されている。図
1および図2に示すようにコア層2は、図3に基づいて
後述するように構成された、第1の網状部材である微細
格子不織布4と、図4に基づいて後述するように構成さ
れた第2の網状部材である粗格子不織布5とを交互に積
層して構成されたものである。コア層2の内部における
最下層および最上層にそれぞれ、粗格子不織布5が配置
されている。コア層2では、その積層方向に微細格子不
織布4を介して隣り合う2つの粗格子不織布5同士が、
それら隣り合う粗格子不織布5の間に挟まれる網状の微
細格子不織布4の複数の穴4aを通して融着されてい
る。また、コア層2の積層方向に粗格子不織布5を介し
て隣り合う2つの微細格子不織布4同士が、それら隣り
合う微細格子不織布4の間に挟まれる網状の粗格子不織
布5の複数の穴5aを通して融着されている。
【0034】複数の穴4aはそれぞれ、微細格子不織布
4の微細な格子穴であるが、2つの粗格子不織布5同士
を確実に接合するために、後述するようにその格子穴と
は別に補助用の穴として微細格子不織布4に貫通穴を設
けた場合には、その貫通穴を通して2つの粗格子不織布
5同士が接合されていてもよい。その補助用の貫通穴
は、微細格子不織布4を作製した後に微細格子不織布4
に形成される。複数の穴4aが全てそのような貫通穴で
あってもよい。
【0035】微細格子不織布4および粗格子不織布5は
それぞれ、シート状の布部材であり、微細格子不織布4
の材質としては融点が267℃のポリエステルが用いら
れ、粗格子不織布5の材質としては融点が137℃のポ
リエチレンが用いられている。従って、微細格子不織布
4の材質として、粗格子不織布5の材質よりも融点が高
い、第1の融点を有する高融点の第1の樹脂が用いら
れ、粗格子不織布5の材質として、微細格子不織布4の
材質よりも融点が低い、第2の融点を有する低融点の第
2の樹脂が用いられている。
【0036】また、親低融点樹脂板3は、粗格子不織布
5との融着において粗格子不織布5に対する親和性が高
いものであり、親低融点樹脂板3の材質として、粗格子
不織布5の材質と同じポリエチレンが用いられている。
親低融点樹脂板3の材質としては、ポリエステルに限ら
ず、粗格子不織布5との融着で粗格子不織布5の材質と
親和性の高いものであり、ある程度の剛性を有するもの
であればどのようなものを用いてもよい。
【0037】また、親低融点樹脂板3の材質としては、
このように、少なくとも、粗格子不織布5または微細格
子不織布4のいずれかの不織布との溶融時の圧着で接着
可能な親和性を有しているものを用いることが好まし
い。また、公知のポリマーブレンド技術を利用して、粗
格子不織布5および微細格子不織布4の両不織布と溶融
時の圧着で接着可能な親和性を有する材料を使用すると
本発明の効果がさらに発揮できる。本実施形態でポリマ
ーブレンド技術を利用した具体例としては、ポリエチレ
ンとSEBS(スチレン−エチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体)のブレンドが挙げられる。なお、親低融点
樹脂板3に代えて、粗格子不織布5および微細格子不織
布4の両不織布との溶融時の圧着で接着が不可能な材料
を使用する場合は、接着剤を使用することで本発明の効
果を得ることができる。
【0038】図3は、図1および図2に示した微細格子
不織布4の一部を拡大して示す平面図であり、図4は、
図1および図2に示した粗格子不織布5の一部を拡大し
て示す平面図である。
【0039】図3に示すように微細格子不織布4は、不
織布6a,6bから構成されている。不織布6aは、そ
れぞれがほぼ一方向に配列されて延伸された複数の第1
のフィラメントからなるものであり、不織布7aは、そ
れぞれがほぼ一方向に配列されて延伸された複数の第2
のフィラメント7bからなるものである。第1のフィラ
メントの配列方向と、第2のフィラメント7bの配列方
向とがほぼ直行するように不織布6aと7aとが張り合
わされることで、微細格子不織布4が構成されている。
【0040】不織布6a,7aはそれぞれ、フィラメン
ト同士の間の微小な隙間を部分的に有している。従っ
て、微細格子不織布4は、第1のフィラメント6bと第
2のフィラメント7bとが格子状に重ね合わせられて構
成されていることで、微細な穴4aを複数有する網状の
ものとなっている。
【0041】第1のフィラメント6bおよび第2のフィ
ラメント7bは長繊維フィラメントである。ここでいう
長繊維フィラメントとは、実質的に長繊維であればよ
く、すなわち平均長さが100mmを越えているものを
いう。また、第1のフィラメント6bおよび第2のフィ
ラメント7bの径が50μm以上では剛直で交絡が不十
分になる。望ましくは30μm以下、さらに望ましくは
25μm以下である。特に強度の強い不織布を目的とす
る場合は、フィラメント径が5μm以上であることが望
ましい。第1のフィラメント6bおよび第2のフィラメ
ント7bの径および長さは、顕微鏡写真により測定す
る。
【0042】微細格子不織布4の格子密度が極めて高い
場合には、微細格子不織布4を介して隣り合う2つの粗
格子不織布5同士を確実に接合するために、微細格子不
織布4の格子穴とは別に、補助用の穴として貫通穴を微
細格子不織布4に設けてもよい。
【0043】図7は、微細格子不織布4に貫通穴を形成
した例について説明するための図である。図7(a)
は、微細格子不織布4の平面図であり、図7(b)は、
貫通穴が形成された微細格子不織布4の平面図である。
微細格子不織布4に貫通穴を形成する場合には、例え
ば、図7(a)に示される微細格子不織布4に対して、
図7(b)に示すように、マトリクス状に配置された複
数の補助用の貫通穴8を形成する。それぞれの貫通穴8
は微細格子不織布4の格子穴よりも大きくなっている。
貫通穴8の形状は正方形になっているが、どのような形
状であってもよく、また、貫通穴8の配置もどのような
ものであってもよい。
【0044】一方、図4に示すように粗格子不織布5
は、微細格子不織布4の第1のフィラメント6bおよび
第2のフィラメント7bの径よりも幅の広い部材によっ
て構成された格子状、すなわち網状のものであり、粗格
子不織布5の格子は、微細格子不織布4の格子よりも粗
くなっている。従って、粗格子不織布5の目は微細格子
不織布4よりも粗くなっており、粗格子不織布5は、微
細格子不織布4の穴4aよりも大きな穴5aを複数有し
ている。
【0045】図2に示すように、微細格子不織布4と粗
格子不織布5との間には、部分的または全体的に空気層
が形成され、また、微細格子不織布4を構成する第1の
フィラメント6bおよび第2のフィラメント7bの隙間
や、粗格子不織布5の穴にも空気が存在しており、コア
層2の内部には連続した空気が含まれている。従って、
コア層2全体が、微細格子不織布4および粗格子不織布
5から構成された空気含有層となっている。これによ
り、コア層2およびサンドイッチ構造体1全体は、軽量
性、保温性、断熱性、および衝撃エネルギー吸収特性に
優れている。
【0046】図5は、図3に示した微細格子不織布4
と、図4に示した粗格子不織布5とを重ね合わせた状態
を示す平面図である。図6は、微細格子不織布4と粗格
子不織布5とを交互に重ね合わせて積層した状態を示す
側面図である。なお、この側面図では7層のみが図示さ
れている。実際の積層数は、要求特性によって任意に設
定する。
【0047】コア層2を作製する際には、まず、図5に
示すように微細格子不織布4と粗格子不織布5とを重ね
合わせて積層する。本実施形態では、図6に示すように
微細格子不織布4および粗格子不織布5の積層方向にお
ける最下層および最上層にそれぞれ、粗格子不織布5が
配置されるように、4つの粗格子不織布5と3つの微細
格子不織布4とをそれぞれ交互に重ね合わせて、それら
を積層する。次に、微細格子不織布4および粗格子不織
布5を重ね合わせた積層体を4cm2毎に1個所の割合
で超音波融着することにより、その積層方向に微細格子
不織布4を介して隣り合う粗格子不織布5同士を、それ
ら隣り合う粗格子不織布5の間に挟まれる網状の微細格
子不織布4の穴4aを通して融着し、積層方向に粗格子
不織布5を介して隣り合う微細格子不織布4同士を、そ
れら隣り合う微細格子不織布4の間に挟まれる網状の粗
格子不織布5の穴5aを通して融着する。このように微
細格子不織布4および粗格子不織布5に超音波を当て、
それらを発熱させて微細格子不織布4同士および粗格子
不織布5同士をそれぞれ溶融接着する、いわゆる超音波
融着を行うことにより、微細格子不織布4を介して隣り
合う粗格子不織布5同士が微細格子不織布4の穴4aを
通して融着され、粗格子不織布5を介して隣り合う微細
格子不織布4同士が粗格子不織布5の穴5aを通して融
着されて、図2に示したコア層2が作製される。
【0048】本実施形態のサンドイッチ構造体1では、
コア層2内における最も外側に粗格子不織布5が配置さ
れているが、粗格子不織布5ではなく微細格子不織布4
を外側に配置させてもよい。そのように微細格子不織布
4を外側に配置させる場合には、親低融点樹脂板3の材
質として、微細格子不織布4の材質と同じポリエステル
など、微細格子不織布4との融着で微細格子不織布4の
材質と親和性の高いものを用いればよい。あるいは、微
細格子不織布4を外側に配置させる場合に、親低融点樹
脂板3の材質として粗格子不織布5の材質と同じポリエ
チレンを用い、親低融点樹脂板3と粗格子不織布5と
を、微細格子不織布4の穴4aを通して融着させてもよ
い。
【0049】コア層2を作製した後に、コア層2の積層
方向におけるコア層2の下面および上面のそれぞれに親
低融点樹脂板3を接触させて、120℃で5分間予熱後
に140℃の温度で6分間加熱圧縮成形することによ
り、コア層2の両側に配置されたそれぞれの粗格子不織
布5が親低融点樹脂板3と接合すると同時に、微細格子
不織布4を介して隣り合う2つの粗格子不織布5同士が
微細格子不織布4の格子穴を貫通して接合する。これに
より、コア層2の上面および下面のそれぞれに親低融点
樹脂板3が接合されてなる、図1に示したサンドイッチ
構造体1が作製される。
【0050】本実施形態のサンドイッチ構造体1では、
微細格子不織布4の表層の材質と粗格子不織布5の表層
の材質として異なる熱可塑性樹脂組成物を用いることが
できる。また、微細格子不織布4同士および粗格子不織
布5同士の接合としては、コア層2全体の加熱圧縮加
工、部分的加熱圧縮加工、超音波融着のような樹脂の溶
融を利用した接合方法を用いることができる。
【0051】この場合、微細格子不織布4および粗格子
不織布5の表層の主成分である熱可塑性樹脂は、融着条
件下で相互に強固な融着接合を生じてコア層での不織布
構造を消失することを避けるために、両者の親和性を制
御しておくことが好ましい。一般に、熱可塑性樹脂は、
分子構造が異なれば、上記のような接合方法では接合し
ないので組み合わせは実質的に自由であるが、好ましい
具体例として、非極性のポリオレフィン系樹脂と、極性
の高いポリエステルまたはポリアミド系樹脂との組み合
わせ、非芳香属系のポリオレフィン系樹脂と芳香属系の
ポリスチレン系樹脂の組合わせが挙げられる。このよう
に微細格子不織布4および粗格子不織布5の両材質の親
和性を低くすることで、微細格子不織布4の穴を通して
粗格子不織布5同士が接合し、粗格子不織布5の穴を通
して微細格子不織布4同士が接合しても、微細格子不織
布4および粗格子不織布5のそれぞれの不織布構造を保
つことが可能となり、コア層2での空気層の存在が確保
される。
【0052】なお、微細格子不織布4の表層の主成分で
ある熱可塑性樹脂が結晶性樹脂であるときはその結晶部
溶融温度、非結晶性樹脂であるときはそのガラス転移点
温度をTm1とし、粗格子不織布5の表層における、結晶
性樹脂であるときの結晶部溶融温度、または非結晶性樹
脂であるときのガラス転移点温度をTm2としたとき、T
m1とTm2との差が20℃以上である場合は、コア層2全
体の加熱圧縮加工を避け、加熱された点状の凸部を備え
たロールと、表面が平滑なロールの間を通すことで点状
に熱圧着するような部分的加熱圧縮加工、超音波融着の
ような樹脂の部分融着を利用した接合方法、または接着
剤を使用した部分接合を用いることが好ましい。
【0053】上述したサンドイッチ構造体1では、コア
層2において2つの粗格子不織布5の間に挟まれた微細
格子不織布4の穴4aを通して、さらに微細格子不織布
4に貫通穴8を形成した場合にはその貫通穴8を通して
それら2つの粗格子不織布5同士が接合され、かつ、2
つの微細格子不織布4の間に挟まれた粗格子不織布5の
穴5aを通してそれら2つの微細格子不織布4同士が接
合されていることにより、サンドイッチ構造体1に衝撃
が加わったときに、コア層2内における粗格子不織布5
同士の相互作用および微細格子不織布4同士の相互作用
が充分に得られ、コア層2の内部と親低融点樹脂板3と
の相互作用が充分に得られる。これにより、サンドイッ
チ構造体1全体の弾性率が高くなり、また、サンドイッ
チ構造体1全体の衝撃エネルギー吸収特性、特に面衝撃
に対するエネルギー吸収特性が向上する。上述したよう
にコア層2の内部には連続した空気が含まれているの
で、軽量性、保温性、断熱性などに加え、特に衝撃エネ
ルギー吸収特性に優れたサンドイッチ構造体1が実現さ
れる。また、粗格子不織布5同士が微細格子不織布4の
穴4aを通して接合されていることによる上記の相互作
用によって、サンドイッチ構造体1を衝突物が貫通する
際におけるサンドイッチ構造体1の衝撃エネルギー吸収
特性も向上し、サンドイッチ構造体1は衝撃吸収部材と
して特に有効なものとなる。
【0054】また、コア層2単体でも、気体含有層を構
成するための微細格子不織布4および粗格子不織布5に
おいて、微細格子不織布4を介して隣り合う2つの粗格
子不織布5同士が接合され、かつ、粗格子不織布5を介
して隣り合う2つの微細格子不織布4同士が接合されて
いることにより、コア層2の内部に空気を含ませるため
にコア層2内の布部材を積層構造にする際にも、コア層
2に衝撃が加わったときにおけるコア層2内の布部材同
士の相互作用が充分に得られるので、コア層2の衝撃エ
ネルギー吸収特性、特に面衝撃に対するエネルギー吸収
特性が向上する。上述したように、コア層2の内部には
連続した空気が含まれているので、軽量性、保温性、断
熱性などに加え、特に衝撃エネルギー吸収特性に優れた
積層体が実現される。
【0055】また、コア層2のみに着目すると、粗格子
不織布5同士が微細格子不織布4の穴4aを通して接合
されていることによる粗格子不織布5同士の相互作用、
および微細格子不織布4同士が粗格子不織布5の穴5a
を介して接合されていることによる微細格子不織布4同
士の相互作用によって、コア層2を衝突物が貫通する際
におけるコア層2の衝撃エネルギー吸収特性も向上し、
このように構成された積層体としてのコア層2は衝撃吸
収部材として特に有効なものとなる。
【0056】上述したような特性を有するサンドイッチ
構造体1は、微細格子不織布4および粗格子不織布5の
それぞれの格子密度、微細格子不織布4および粗格子不
織布5の互いの構成材料における融点の相対的な関係を
適切に選定することにより可能となる。このサンドイッ
チ構造体1は、各種の軽量構造部材、断熱材、防音材、
衝撃吸収部材、制振材として用いることができる。制振
材としては、畳や寝具などの芯材にサンドイッチ構造体
1を用いることができる。
【0057】本実施形態のサンドイッチ構造体1におけ
るコア層2は、4つの粗格子不織布5と3つの微細格子
不織布4とから構成された7層構造のものであるが、コ
ア層2が少なくとも2つの微細格子不織布4と2つの粗
格子不織布5とを有し、微細格子不織布4を介して隣り
合う2つの粗格子不織布5同士、および粗格子不織布5
を介して隣り合う2つの微細格子不織布4同士がそれぞ
れ接合されてコア層2が構成されていればよい。
【0058】図8は、図4に示した粗格子不織布5の一
例であるテープ不織布の構成を示す平面図である。図8
に示すように、テープ不織布50は、縦方向に等間隔で
配列された複数の合成樹脂テープ52と、複数の合成樹
脂テープ52の上面で横方向に等間隔で配列された複数
の合成樹脂テープ54とから構成されている。合成樹脂
テープ52,54としては、一方向に延伸されたものを
用いることができる。このように構成されたテープ不織
布50を粗格子不織布5として用いてもよい。合成樹脂
テープ52,54はそれぞれ、単層構造のものである
が、3層構造のものであってもよい。例えば、合成樹脂
テープ52,54がそれぞれ、低融点樹脂からなる2つ
の層の間に、高融点樹脂からなる中間層が形成されてな
るものであってもよい。
【0059】図9は、粗格子不織布5の他の例である網
状部材の構成を示す平面図である。図10は、図9に示
した網状部材を作製するために用いられる合成樹脂フィ
ルムを示す斜視図である。また、図11は、図9に示し
た網状部材を構成する割繊不織布の斜視図である。
【0060】図9に示される網状部材31は割繊不織布
と呼ばれるものであり、この網状部材31は網状の縦割
繊ウエブ32と網状の横割繊ウエブ34とを積層してな
るものである。図10では、縦割繊ウエブ32を作る途
中の段階にある、合成樹脂フィルム32aが示されてお
り、縦割繊ウエブ32は、図10に示すように、縦延伸
されたポリエチレンの合成樹脂フィルム32aに縦方向
に割目36を形成し、その合成樹脂フィルム32aを横
拡幅して作製される。この合成樹脂フィルム32aは、
原反ロールから繰り出された後、縦延伸され、それから
刃付き割繊具(不図示)によって合成樹脂フィルム32
aに縦方向に長い割目36が所定のパターンで無数に形
成されている。図11に示される縦割繊ウエブ32は、
図10に示した合成樹脂フィルム32aを縦方向Lとは
垂直な横方向に拡幅することにより得られる。
【0061】図11に示すように縦割繊ウエブ32で
は、主糸状部分38およびそれと交差する細い斜め糸状
部分38aが概略縦方向Lに、正確には縦方向Lに対し
てわずかに傾斜して延びている。この網状部材31の例
においては、縦割繊ウエブ32がフィルム32h,32
i,32jの3層構造として構成され、中間層のフィル
ム32iが高融点樹脂からなるものであり、両側層のフ
ィルム32h,32jが低融点樹脂からなるものであ
る。
【0062】図9に示すように網状部材31は、縦割繊
ウエブ32と横割繊ウエブ34のそれぞれの繊維の延び
る方向が互いに直交するように構成されている。すなわ
ち、図9に示される網状部材31の例では、横割繊ウエ
ブ34は縦割繊ウエブ32と同様の構造であり、縦割繊
ウエブ32の主糸状部分38および斜め糸状部分38a
と同様な主糸状部分および斜め糸状部分を有する。そし
て、縦割繊ウエブ32と横割繊ウエブ34とを積層する
際、横割繊ウエブ34は、横割繊ウエブ34の主糸状部
分および斜め糸状部分がそれぞれ、縦割繊ウエブ32の
主糸状部分38および斜め糸状部分38aに対して交差
するように配置される。このような構成の網状部材31
としては、出願人によりワリフSS−Tとして商業的に
提供されている割繊不織布を用いることができる。
【0063】図12は、粗格子不織布5の他の例である
網状部材の構成を示す平面図である。図13は、図12
に示した横スリットウエブを作製するために用いられる
合成樹脂フィルムを示す斜視図である。また、図14
は、図12に示した横スリットウエブの斜視図である。
【0064】図12に示される網状部材41は、図11
に示した縦割繊ウエブ32と、横スリットウエブ40と
を積層してなるものである。すなわち、網状部材41
は、図9に示した網状部材31の例において、縦割繊ウ
エブ32に対して横割繊ウエブ34の代わりに横スリッ
トウエブ40を積層したものである。
【0065】図13では、横スリットウエブ40を作る
途中の段階にある、合成樹脂フィルム40aが示されて
おり、横スリットウエブ40は、図13に示すようにポ
リエチレンの合成樹脂フィルム40aに横方向にスリッ
ト42を形成し、その合成樹脂フィルム40aを横方向
に延伸して作られる。この合成樹脂フィルム40aは、
原反ロールから繰り出された後、スリット刃を備えた回
転工具(不図示)により縦方向(フィルム搬送方向)L
とは垂直な横方向に千鳥状に配列されたスリット42が
合成樹脂フィルム40aに形成されている。この合成樹
脂フィルム40aを縦方向Lとは垂直な横方向に延伸す
ると、図14に示すような横スリットウエブ40が得ら
れる。
【0066】横スリットウエブ40は、格子状に交差し
つつ概略横方向に延びる糸状部分44を含んでいる。ま
た、この網状部材41の例においては、横スリットウエ
ブ40がフィルム40h,40i,40jの3層構造と
して構成され、中間層のフィルム40iが高融点樹脂か
らなるものであり、両側層のフィルム40h,40jが
低融点樹脂からなるものである。
【0067】図12では、縦割繊ウエブ32の主糸状部
分38や横スリットウエブ40の糸状部分44の大きさ
などの縮尺を変えて網状部分41が示されているが、実
質的に図9とは同等の図である。また、粗格子不織布5
を、直交配置された2つの横スリットウエブ40を積層
してなるものとすることもできる。さらに、図9に示し
た網状部材31の縦割繊ウエブ32および横割繊ウエブ
34や、図14に示した横スリットウエブ40はそれぞ
れ3層構造のものであるが、それらのウエブがそれぞ
れ、一枚のフィルムから作製された単層構造のものであ
ってもい。
【0068】さらに、本実施形態のサンドイッチ構造体
1では、コア層2を構成する繊維層として微細格子不織
布4および粗格子不織布5が用いられているが、それら
の不織布の代わりに織布を用いてもよく、微細格子不織
布4の代わりとなる網状の微細格子織布、およびその微
細格子織布と比較して格子が粗くなった、粗格子不織布
5の代わりとなる網状の粗格子織布を用いてコア層を構
成してもよい。
【0069】図15は、粗格子不織布5の代わりに用い
られる網状の織布の一例を示す斜視図である。図15に
示されるテープ織布56が、粗格子不織布5の代わりに
用いられる網状の織布の一例である。テープ織布56
は、縦方向に等間隔で配列された複数の合成樹脂テープ
58と、横方向に等間隔で配列された複数の合成樹脂テ
ープ60とをそれぞれ互いに交互に重ね合わせて構成さ
れたものである。合成樹脂テープ58,60をそれぞ
れ、図9に示した網状部材31の縦割繊ウエブ32およ
び横割繊ウエブ34や、図14に示した横スリットウエ
ブ40のように3層構造のものとすることができるが、
それらのテープが単層構造のものであってもい。また、
合成樹脂テープ58,60として、一方向に延伸された
ものを用いてもよい。
【0070】(第2の実施の形態)図16は、本発明の
第2の実施形態の、積層体を有する構造体を示す断面図
である。図17は、図16に示される構造体の内側に配
置されたコア層を示す断面図である。
【0071】本実施形態の構造体では、第1の実施形態
のものと比較して、コア層を構成する2つの不織布のう
ちの一方が異なっており、本実施形態の構造体は、第1
の実施形態のサンドイッチ構造体1においてコア層2を
構成する微細格子不織布4の代わりに、一方向に配列さ
れた複数のフィラメントからなる微細間隔不織布が用い
られたものである。図16では、第1の実施形態の構成
部品と同一のものに同一の符号を付してあり、以下で
は、第1の実施形態のサンドイッチ構造体1と異なる点
を中心に説明する。
【0072】図16に示すように、本実施形態の構造体
であるサンドイッチ構造体11は、サンドイッチ構造体
11の最も外側の層となるスキン層を構成するための板
部材である2つの親低融点樹脂板3と、2つの親低融点
樹脂板3の間に挟まれてそれぞれの親低融点樹脂板3に
接合された、積層体であるコア層12とから構成されて
いる。図1および図2に示すようにコア層12は、図1
8に基づいて後述するように構成された、第1の網状部
材である縦延伸不織布14と、第1の実施形態で用いた
第2の網状部材である粗格子不織布5とを交互に積層し
て構成されたものである。コア層12の最下層および最
上層にそれぞれ、粗格子不織布5が配置されている。コ
ア層12では、その積層方向に隣り合う粗格子不織布5
同士が、それら隣り合う粗格子不織布5の間に挟まれる
網状の縦延伸不織布14のスリットなどの穴14aを通
して融着されている。また、コア層12の積層方向に粗
格子不織布5を介して隣り合う縦延伸不織布14同士
が、それら隣り合う縦延伸不織布14の間に挟まれる網
状の粗格子不織布5の穴5aを通して融着されている。
【0073】本実施形態においても、第1の実施形態で
用いた微細格子不織布4に補助用の貫通穴8を形成した
場合と同様に、縦延伸不織布14を介して隣り合う2つ
の粗格子不織布5同士を確実に接合するために、縦延伸
不織布14に補助用の貫通穴を形成してもよい。縦延伸
不織布14は、上述したように一方向に配列された複数
のフィラメントからなるものであり、粗格子不織布5を
介して隣り合う2つの縦延伸不織布14同士のフィラメ
ントの配列方向は、後述するように互いに直交してい
る。
【0074】図18は、図16および図17に示した縦
延伸不織布14の一部を拡大して示す平面図である。図
18に示すように縦延伸不織布14は、それぞれがほぼ
一方向に配列されて延伸された複数のフィラメント16
bからなるものであって、フィラメント16b同士の間
に微細な間隔を有する微細間隔延伸繊維である。フィラ
メント16b同士の間の微細な間隔が、スリットなどの
穴14aとなっている。フィラメント16bは、第1の
実施形態で用いた微細格子不織布4の第1のフィラメン
ト6bおよび第2のフィラメント7bと同様な長繊維フ
ィラメントである。縦延伸不織布14の材質、すなわち
フィラメント16bの材質としては、ポリエチレンより
も高融点のポリエステルが用いられている。
【0075】図17に示すように、縦延伸不織布14と
粗格子不織布5との間には、部分的または全体的に空気
層が形成され、また、縦延伸不織布14を構成するフィ
ラメント16bの隙間や、粗格子不織布5の穴にも空気
が存在しており、コア層12の内部には連続した空気が
含まれている。従って、コア層12全体が、縦延伸不織
布14および粗格子不織布5から構成された空気含有層
となっている。これにより、コア層12およびサンドイ
ッチ構造体11全体が、軽量性、保温性、断熱性、およ
び衝撃エネルギー吸収特性に優れている。
【0076】図19は、図18に示した縦延伸不織布1
4と、図4に示した粗格子不織布5とを重ね合わせた状
態を示す平面図である。図20は、図19に示した状態
と同様に縦延伸不織布14と粗格子不織布5とを重ね合
わせたものを90°回転させた状態を示す平面図であ
る。また、図21は、図19に示した縦延伸不織布14
および粗格子不織布5と、図20に示した90°回転し
た縦延伸不織布14および粗格子不織布5とを重ね合わ
せた状態を示す平面図である。図22は、縦延伸不織布
14と粗格子不織布5とを交互に重ね合わせて積層した
状態を示す側面図である。
【0077】コア層12を作製するためには、図19に
示すように縦延伸不織布14と粗格子不織布5とを重ね
合わせて積層する。次に、図19に示した縦延伸不織布
14および粗格子不織布5とは別に、図19に示した状
態と同様に重ね合わされた縦延伸不織布14および粗格
子不織布5を、図20に示すように90°回転させる。
そして、図19に示した縦延伸不織布14および粗格子
不織布5と、図20に示した縦延伸不織布14および粗
格子不織布5とを、図21に示すように互いの縦延伸不
織布14のフィラメントの配列方向がほぼ直行するよう
に重ね合わせる。これにより、粗格子不織布5を介して
隣り合う2つの縦延伸不織布14同士のフィラメントの
配列方向が互いに直交するように、縦延伸不織布14と
粗格子不織布5とを交互に積層することができる。
【0078】本実施形態では、図22に示すように縦延
伸不織布14および粗格子不織布5の積層方向における
最下層および最上層にそれぞれ、粗格子不織布5が配置
されるように、4つの粗格子不織布5と3つの縦延伸不
織布14とをそれぞれ交互に重ね合わせて、それらを積
層する。図19〜図21に基づいて説明した縦延伸不織
布14および粗格子不織布5の積層方法以外でもそれら
の不織布を積層してもよく、最終的に積層された縦延伸
不織布14および粗格子不織布5の位置関係が上述した
ようになれば、どのような方法で不織布を積層してもよ
い。例えば、粗格子不織布5を介して隣り合う2つの縦
延伸不織布14同士のフィラメントの配列方向が互いに
直交するように、縦延伸不織布14と粗格子不織布5と
を交互に順番に積層してもよい。
【0079】次に、縦延伸不織布14および粗格子不織
布5を重ね合わせた積層体を4cm 2毎に1個所の割合
で超音波融着することにより、その積層方向に縦延伸不
織布14を介して隣り合う粗格子不織布5同士を、それ
ら隣り合う粗格子不織布5の間に挟まれる網状の縦延伸
不織布14の穴14aを通して融着し、積層方向に粗格
子不織布5を介して隣り合う縦延伸不織布14同士を、
それら隣り合う縦延伸不織布14の間に挟まれる網状の
粗格子不織布5の穴5aを通して融着する。このように
縦延伸不織布14および粗格子不織布5に超音波を当
て、それらを発熱させて縦延伸不織布14同士および粗
格子不織布5同士をそれぞれ溶融接着する超音波融着を
行うことにより、縦延伸不織布14を介して隣り合う粗
格子不織布5同士が縦延伸不織布14の穴14aを通し
て融着され、粗格子不織布5を介して隣り合う縦延伸不
織布14同士が粗格子不織布5の穴5aを通して融着さ
れて、図17に示したコア層12が作製される。
【0080】本実施形態のサンドイッチ構造体11で
は、コア層12内における最も外側に粗格子不織布5が
配置されているが、粗格子不織布5ではなく縦延伸不織
布14を外側に配置させてもよい。そのように縦延伸不
織布14を外側に配置させる場合には、親低融点樹脂板
3の材質として、縦延伸不織布14の材質と同じポリエ
ステルなど、縦延伸不織布14との融着で縦延伸不織布
14の材質と親和性の高いものを用いればよい。あるい
は、縦延伸不織布14を外側に配置させる場合に、親低
融点樹脂板3の材質として粗格子不織布5の材質と同じ
ポリエチレンを用い、親低融点樹脂板3と粗格子不織布
5とを、縦延伸不織布14の穴14aを通して融着させ
てもよい。
【0081】コア層12を作製した後に、コア層12の
積層方向におけるコア層12の下面および上面のそれぞ
れに親低融点樹脂板3を接触させて、120℃で5分間
予熱後に140℃の温度で6分間加熱圧縮成形すること
により、コア層12の両側に配置されたそれぞれの粗格
子不織布5が親低融点樹脂板3と接合すると同時に、縦
延伸不織布14を介して隣り合う2つの粗格子不織布5
同士が縦延伸不織布14の穴を貫通して接合する。これ
により、コア層12の上面および下面のそれぞれに親低
融点樹脂板3が接合されてなる、図16に示したサンド
イッチ構造体11が作製される。
【0082】以上で説明したように、第1または第2の
実施形態のサンドイッチ構造体では、粗格子不織布同士
が微細格子不織布または縦延伸不織布の穴を通して接合
され、微細格子不織布同士または縦延伸不織布同士が粗
格子不織布の穴を通して接合されてコア層が構成されて
いるので、サンドイッチ構造体を衝撃吸収部材として用
いることができる。特に、サンドイッチ構造体を貫通す
るような衝撃に対して、本発明によるサンドイッチ構造
体は特に有効である。また、コア層が、連続した空気を
含んでいるので、サンドイッチ構造体の用途としては、
各種の軽量構造部材、断熱材、防音材や、特に面衝撃に
有効な衝撃吸収部材が挙げられる。
【0083】さらに、それぞれのサンドイッチ構造体の
コア層は、コア層に対して垂直な方向の応力、すなわち
コア層の積層方向の応力に対して補強材として機能する
が、コア層と平行な方向の応力には補強材として機能し
ないという異方性を有しているので、畳や寝具などの芯
材など、制振材としてサンドイッチ構造体を用いてもよ
い。さらに、コア層を構成するそれぞれの部材が微振動
に対して自由に運動することができるので、それぞれの
サンドイッチ構造体を制振材として用いることによっ
て、制振材として大きな効果が得られる。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、気体含有
層を構成するための第1および第2の網状部材が交互に
それぞれ複数積層され、第1の網状部材を介して隣り合
う2つの第2の網状部材同士が第1の網状部材の穴を通
して接合され、かつ、第2の網状部材を介して隣り合う
2つの第1の網状部材同士が第2の網状部材の穴を通し
て接合されていることにより、積層体に衝撃が加わった
ときの第1の網状部材同士の相互作用および第2の網状
部材同士の相互作用が充分に得られるので、積層体の衝
撃エネルギー吸収特性、特に面衝撃に対するエネルギー
吸収特性が向上するという効果がある。また、積層体の
内部には連続した空気が含まれているので、軽量性、保
温性、断熱性などに加え、特に衝撃エネルギー吸収特性
に優れた積層体が実現される。また、上記の、第1の網
状部材同士の相互作用および第2の網状部材同士の相互
作用によって、積層体を衝突物が貫通する際における積
層体の衝撃エネルギー吸収特性も向上する。
【0085】また、本発明は、積層体の上面および下面
に板部材が接合されてなる構造体において、気体含有層
を構成するように第1および第2の網状部材が交互にそ
れぞれ複数積層され、第1の網状部材を介して隣り合う
2つの第2の網状部材同士が第1の網状部材の穴を通し
て接合され、かつ、第2の網状部材を介して隣り合う2
つの第1の網状部材同士が第2の網状部材の穴を通して
接合されて積層体が構成されたことにより、構造体全体
の弾性率が高くなり、また、構造体全体の衝撃エネルギ
ー吸収特性、特に面衝撃に対するエネルギー吸収特性が
向上するという効果がある。また、積層体の内部には連
続した空気が含まれているので、軽量性、保温性、断熱
性などに加え、特に衝撃エネルギー吸収特性に優れた構
造体が実現される。さらに、第1の網状部材を介して隣
り合う2つの第2の網状部材同士接合されていることに
よる2つの第2の網状部材同士の相互作用、および第2
の網状部材を介して隣り合う2つの第1の網状部材同士
が接合されていることによる2つの第1の網状部材同士
の相互作用によって、構造体を衝突物が貫通する際にお
ける構造体の衝撃エネルギー吸収特性も向上し、このよ
うに構成された構造体は衝撃吸収部材として特に有効な
ものとなる。
【0086】さらに、本発明の積層体の製造方法によ
り、上述したような衝撃エネルギー吸収特性の高い積層
体を製造することが可能となる。さらに、本発明の構造
体の製造方法により、上述したような弾性率およびエネ
ルギー吸収特性の高い構造体を製造することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の、積層体を有する構
造体を示す断面図である。
【図2】図1に示される構造体の内側に配置されたコア
層を示す断面図である。
【図3】図1および図2に示した微細格子不織布の一部
を拡大して示す平面図である。
【図4】図1および図2に示した粗格子不織布の一部を
拡大して示す平面図である。
【図5】図3に示した微細格子不織布と、図4に示した
粗格子不織布とを重ね合わせた状態を示す平面図であ
る。
【図6】微細格子不織布と粗格子不織布を交互に重ね合
わせて積層した状態を示す側面図である。
【図7】図3に示した微細格子不織布に貫通穴を形成し
た例について説明するための図である。
【図8】図4に示した粗格子不織布の一例であるテープ
不織布の構成を示す平面図である。
【図9】図4に示した粗格子不織布の他の例を示す平面
図である。
【図10】図9に示した網状部材を作製するために用い
られる合成樹脂フィルムを示す斜視図である。
【図11】図9に示した網状部材を構成する割繊不織布
の斜視図である。
【図12】図4に示した粗格子不織布の他の例を示す平
面図である。
【図13】図12に示した横スリットウエブを作製する
ために用いられる合成樹脂フィルムを示す斜視図であ
る。
【図14】図12に示した横スリットウエブの斜視図で
ある。
【図15】図4に示した粗格子不織布の代わりに用いら
れる網状の織布の一例を示す斜視図である。
【図16】本発明の第2の実施形態の、積層体を有する
構造体を示す断面図である。
【図17】図16に示される構造体の内側に配置された
コア層を示す断面図である。
【図18】図1および図2に示した縦延伸不織布の一部
を拡大して示す平面図である。
【図19】図18に示した縦延伸不織布と、図4に示し
た粗格子不織布とを重ね合わせた状態を示す平面図であ
る。
【図20】図19に示した状態と同様に縦延伸不織布と
粗格子不織布とを重ね合わせたものを90°回転させた
状態を示す平面図である。
【図21】図19に示した縦延伸不織布および粗格子不
織布と、図20に示した90°回転した縦延伸不織布お
よび粗格子不織布とを重ね合わせた状態を示す平面図で
ある。
【図22】縦延伸不織布と粗格子不織布を交互に重ね合
わせて積層した状態を示す側面図である。
【符号の説明】 1、11 サンドイッチ構造体 2、12 コア層 3 親低融点樹脂板 4 微細格子不織布 4a、14a 穴 5 粗格子不織布 6a、7a 不織布 6b 第1のフィラメント 7b 第2のフィラメント 8 貫通穴 16b フィラメント 14 縦延伸不織布 31、41 網状部材 32 縦割繊ウエブ 32a、40a 合成樹脂フィルム 32h、32i、32j、40h、40i、40j
フィルム 34 横割繊ウエブ 36 割目 38 主糸状部分 38a 斜め糸状部分 40 横スリットウエブ 42 スリット 44 糸状部分 50 テープ不織布 52、54、58、60 合成樹脂テープ 56 テープ織布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01C AK04B AK04D AK12 AK41 AK46 AT00E BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA10A BA10B BA10C BA10D BA13 BA25 BA33 DC16A DC16B DC16C DC16D DG04A DG04C DG15A DG15C EC032 EH012 EJ252 JA04A JA04B JA04C JA04D JH02 JJ02 JK07 JK11 JL03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気を含む気体含有層を構成するために
    第1および第2の網状部材が交互にそれぞれ複数積層さ
    れてなる積層体であって、 前記第1の網状部材を介して隣り合う2つの前記第2の
    網状部材同士が前記第1の網状部材の穴を通して接合さ
    れ、前記第2の網状部材を介して隣り合う2つの前記第
    1の網状部材同士が前記第2の網状部材の穴を通して接
    合されている積層体。
  2. 【請求項2】 前記第1の網状部材が、一方向に配列お
    よび延伸された複数の第1のフィラメントと、前記一方
    向と略直行する方向に配列および延伸された複数の第2
    のフィラメントとから構成された格子状の不織布である
    請求項1に記載の積層体。
  3. 【請求項3】 前記第1の網状部材が、一方向に配列お
    よび延伸された複数のフィラメントから構成された不織
    布である請求項1に記載の積層体。
  4. 【請求項4】 前記第2の網状部材を介して隣り合う2
    つの前記第1の網状部材のフィラメントの配列方向が略
    直行している請求項3に記載の積層体。
  5. 【請求項5】 前記第1または第2の網状部材のうち少
    なくもといずれか一方の網状部材に、前記一方の網状部
    材を介して隣り合う2つの他方の網状部材同士を接合す
    るための補助用の貫通穴が形成され、前記2つの他方の
    網状部材同士が前記貫通穴を通して接合されている請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 【請求項6】 前記第1の網状部材の材質として、第1
    の融点を有する第1の樹脂が用いられ、前記第2の網状
    部材の材質として、前記第1の融点より低い第2の融点
    を有する第2の樹脂ポリエチレンが用いられ、前記第1
    の網状部材を介して隣り合う2つの前記第2の網状部材
    同士、および前記2の網状部材を介して隣り合う2つの
    前記第1の部材同士が、超音波融着によって接合されて
    いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 【請求項7】 空気を含む気体含有層を構成するために
    第1および第2の網状部材が交互にそれぞれ複数積層さ
    れてなる積層体と、該積層体の積層方向における前記積
    層体の上面および下面にそれぞれ接合された2つの板部
    材とを有する構造体であって、 前記第1の網状部材を介して隣り合う2つの前記第2の
    網状部材同士が前記第1の網状部材の穴を通して接合さ
    れ、前記第2の網状部材を介して隣り合う2つの前記第
    1の網状部材同士が前記第2の網状部材の穴を通して接
    合されている構造体。
  8. 【請求項8】 空気を含む気体含有層を構成するために
    第1および第2の網状部材が交互にそれぞれ複数積層さ
    れてなる積層体の製造方法であって、 前記第1の網状部材と前記第2の網状部材とを交互に重
    ね合わせて積層する工程と、 前記第1の網状部材を介して隣り合う2つの前記第2の
    網状部材同士を、前記第1の網状部材の穴を通して接合
    し、前記第2の網状部材を介して隣り合う2つの前記第
    1の網状部材同士を、前記第2の網状部材の穴を通して
    接合する工程とを有する積層体の製造方法。
  9. 【請求項9】 空気を含む気体含有層を構成するために
    第1および第2の網状部材が交互にそれぞれ複数積層さ
    れてなる積層体と、該積層体の積層方向における前記積
    層体の上面および下面にそれぞれ接合された2つの板部
    材とを有する構造体の製造方法であって、 前記第1の網状部材と前記第2の網状部材とを交互に重
    ね合わせて積層する工程と、 前記第1の網状部材を介して隣り合う2つの前記第2の
    網状部材同士を、前記第1の網状部材の穴を通して接合
    し、前記第2の網状部材を介して隣り合う2つの前記第
    1の網状部材同士を、前記第2の網状部材の穴を通して
    接合することにより前記積層体を作製する工程と、 前記積層体の上面および下面に前記板部材を接合する工
    程とを有する構造体の製造方法。
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