JP2000331328A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JP2000331328A
JP2000331328A JP2000137436A JP2000137436A JP2000331328A JP 2000331328 A JP2000331328 A JP 2000331328A JP 2000137436 A JP2000137436 A JP 2000137436A JP 2000137436 A JP2000137436 A JP 2000137436A JP 2000331328 A JP2000331328 A JP 2000331328A
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JP2000137436A
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Nobuhiro Umebayashi
信弘 梅林
Minoru Fujita
稔 藤田
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Maxell Holdings Ltd
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラツキングサーボが適正に行える信頼性の
高い磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 合成樹脂製のベースフィルム9の一方の
面に磁性層10bを形成し、他方の面にトラッキング制
御層10aを形成して、そのトラッキング制御層10a
は、磁気ヘッド30の走行方向に延びるトラッキング用
凹部23と、そのトラッキング用凹部23と隣接する位
置に設けられた凹部のない平面部14とを有し、光ディ
テクタの発光素子31から前記トラッキング用凹部23
と平面部14にトラッキングサーボ用の光を照射して、
その反射光を前記光ディテクタの受光素子32で受光
し、その受光素子32の出力に基づいて前記磁性層10
bと対向している磁気ヘッド30bのトラッキングサー
ボを行なう磁気記録媒体において、前記平面部14の光
反射率をX、前記トラツキング用凹部23の光反射率を
Y、Z=Y/Xとしたとき、Z≦0.49であることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばフレキシブ
ル磁気デイスクなどの磁気記録媒体に係り、特に光学的
に磁気ヘツドのトラツキングができる磁気ヘツドトラツ
キング用光学凹部を設けた磁気記録媒体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピユータやワード
プロセツサなどの著しい普及に伴い、それらに使用する
外部記憶装置の小型、大容量化がさらに要求される。こ
れらの要求に対応するため、フレキシブル磁気デイスク
において、それのドーナツ状記録帯域の最内周にリフア
レンストラツクを形成し、そのリフアレンストラツクか
ら半径方向外側に向けて所定の間隔離れ、かつ前記リフ
アレンストラツクと同心円状の磁気ヘツドトラツキング
用光学凹部をリング状に多数形成し、各リング状磁気ヘ
ツドトラツキング用光学凹部の間をデータトラツクとし
たものが提案されている(例えば特開平2−18796
9号公報参照)。
【0003】図22ならびに図23は、この種磁気デイ
スクを説明するための拡大断面図ならびに平面図であ
る。
【0004】これらの図に示すように、ベースフイルム
100の表面には磁性層101が設けられており、この
磁性層101にはトラツキングサーボ用の溝102が磁
気デイスクの回転方向に延びるように、例えばレーザ加
工などの手段によつて形成されている。この溝102と
溝102との間がデータトラツク103となる(図23
参照)。
【0005】一方、磁気記録再生装置の方には、前記磁
気デイスクの表面にトラツキングサーボ用の光線104
を出射する発光素子(図示せず)と、磁気デイスク表面
からの反射光105を受光する受光素子106a,10
6b,106c,106d(図23参照)とを備えてい
る。
【0006】そして前記発光素子から出射された光線1
04を磁気デイスク表面に当てて、それからの反射光1
05を受光素子106a,106b,106c,106
dで受光する。
【0007】前述のように磁性層101にはトラツキン
グサーボ用の溝102が形成されているため、データト
ラツク103上で反射する光強度と溝102上で反射す
る光強度は異なる。図23に示す例では受光素子106
aと106bの合計出力値と、受光素子106cと10
6dの合計出力値とを常に比較して、両者の出力値が等
しくなるように磁気ヘツド(図示せず)のトラツキング
サーボが行なわれる。従来の磁気デイスクは磁性層10
1の厚みが1〜3μmあり、そのめた磁気デイスク表面
からの反射光105を受光する受光素子106a,10
6b,106c,106dで良好に受光することができ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の磁気記
録媒体は、溝102上での反射強度とデータトラツク1
03上での反射強度の差が十分でなく、そのために適正
なトラツキングサーボが行なわれ難いという問題があ
る。
【0009】本発明の目的は、このような従来技術の問
題点を解消し、トラツキングサーボが適正に行える信頼
性の高い磁気記録媒体およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の本発明は、例えばポリエチレンテレフタレー
トなどの合成樹脂製のベースフィルムの一方の面に磁性
層を形成し、他方の面にトラッキング制御層を形成し
て、そのトラッキング制御層は、磁気ヘッドの走行方向
に延びるトラッキング用凹部と、そのトラッキング用凹
部と隣接する位置に設けられた凹部のない平面部とを有
し、光ディテクタの発光素子から前記トラッキング用凹
部と平面部にトラッキングサーボ用の光を照射して、そ
の反射光を前記光ディテクタの受光素子で受光し、その
受光素子の出力に基づいて前記磁性層と対向している磁
気ヘッドのトラッキングサーボを行なう磁気記録媒体に
おいて、前記平面部の光反射率をX、前記トラツキング
用凹部の光反射率をY、Z=Y/Xとしたとき、Z≦
0.49であることを特徴とするものである。
【0011】上記目的を達成するため、第2の本発明
は、例えばポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂
製のベースフィルムの一方の面に磁性層を形成し、他方
の面にトラッキング制御層を形成して、そのトラッキン
グ制御層は、磁気ヘッドの走行方向に延びるトラッキン
グ用凹部と、そのトラッキング用凹部と隣接する位置に
設けられた凹部のない平面部とを有し、光ディテクタの
発光素子から前記トラッキング用凹部と平面部にトラッ
キングサーボ用の光を照射して、その反射光を前記光デ
ィテクタの受光素子で受光し、その受光素子の出力に基
づいて前記磁性層と対向している磁気ヘッドのトラッキ
ングサーボを行なう磁気記録媒体の製造方法において、
前記トラッキング制御層が例えば塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−ビニルアルコール共重合体やウレタン樹脂などのバ
インダからなる有機化合物を含み、トラッキング用凹部
の形成位置に例えばレーザ光やイオンビームなどのカッ
ト光を照射することによりトラッキング用凹部を形成す
るとともに、トラッキング用凹部内の底部により前記ベ
ースフィルムが露出しないように覆われていることを特
徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】第1の本発明は前述のように、ト
ラッキング制御層における平面部とトラツキング用凹部
の光反射率の比率を前述のように規制することにより、
平面部とトラツキング用凹部の反射強度の差が明確にな
り、トラツキング用凹部による磁気ヘツドのトラツキン
グサーボが適正に行なわれ、磁気記録媒体の信頼性を向
上することができる。
【0013】従来の磁気記録媒体は図22に示すよう
に、溝102の形成によりそれの底部にベースフィルム
100の一部が露出している。ベースフィルム100は
合成樹脂製のフィルムであるから、溝102の底部にお
ける光反射率が高く、そのため磁性層101の表面の光
反射率との差が明確でない。
【0014】これに対して第2の本発明は前述のよう
に、トラッキング制御層にカット光を照射してトラッキ
ング用凹部を形成することにより、トラッキング制御層
中に混在している有機化合物が焼かれて灰分がトラッキ
ング用凹部内の底面に残り、その灰分を有するトラッキ
ング用凹部内の底部によりベースフィルムが露出しない
ように覆われているから、トラッキング制御層の平面部
との反射強度の差が明確になり、トラッキング用凹部に
よる磁気ヘッドのトラッキングサーボが適正に行なわれ
る磁気記録媒体を提供することができる。
【0015】次に本発明の実施形態を図とともに説明す
る。図1は実施形態に係る磁気デイスクカートリツジの
一部を分解した斜視図、図2は磁気シートの拡大断面
図、図3は磁気デイスクの平面図である。
【0016】図1に示すように磁気デイスクカートリツ
ジは、カートリツジケース1と、その中に回転自在に収
納されたフレキシブルな磁気デイスク2と、カートリツ
ジケース1にスライド可能に取り付けられたシヤツタ3
と、カートリツジケース1の内面に溶着されたクリーニ
ングシート(図示せず)とから主に構成されている。前
記カートリツジケース1は、上ケース1aと下ケース1
bとから構成され、これらは例えばABS樹脂などの硬
質合成樹脂で射出成形されている。
【0017】下ケース1bの略中央部には回転駆動軸挿
入用の開口4が形成され、その近くに長方形のヘツド挿
入口5が形成されている。図示していないが、上ケース
1aにも同様にヘツド挿入口5が形成されている。
【0018】上ケース1aと下ケース1bの前面付近に
は、前記シヤツタ3のスライド範囲を規制するために少
し低くなつた凹部6が形成され、この凹部6の中間位置
に前記ヘツド挿入口5が開口している。
【0019】前記磁気デイスク2は図3に示すように、
ドーナツ状のフレキシブルな磁気シート7と、その磁気
シート7の中央孔に挿入されて接着された金属製あるい
は合成樹脂製のセンターハブ8とから構成されている。
【0020】前記磁気シート7は、ベースフイルム9
と、そのベースフイルム9の両面に塗着、形成された磁
性層10a、10bとから構成されている。
【0021】前記ベースフイルム9は、例えばポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ
ート(PEN)あるいはポリイミドなどの合成樹脂フイ
ルムから構成されている。
【0022】前記磁性層10a、10bは、強磁性粉、
バインダ、研磨粉ならびに潤滑剤などの混合物から構成
されている。
【0023】前記強磁性粉としては、例えばバリウムフ
エライト、ストロンチウムフエライト、α−Fe、Co
−Ni、Co−P、γ−Fe2 O3 、Fe3 O4 、Co
含有γ−Fe2 O3 、Co含有γ−Fe3 O4 、CrO
2 、Co、Fe−Niなどの微粉末が使用される。
【0024】前記バインダとしては、例えば塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニ
ルアルコール共重合体、ウレタン樹脂、ポリイソシアネ
ート化合物、放射線硬化性樹脂などが使用される。
【0025】前記研磨粉としては、例えば酸化アルミニ
ウム、酸化クロム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが用い
られる。この研磨粉の添加率は、磁性粉に対して約0.
1〜25重量%が適当である。
【0026】前記潤滑剤としては、例えばステアリン
酸、オレイン酸などの高級脂肪酸、オレイルオレート、
グリセリンオレートなどの高級脂肪酸エステル、流動パ
ラフイン、スクアラン、フツ素樹脂、フツ素オイル、シ
リコンオイルなどが使用可能である。
【0027】磁性塗料の具体的な組成例1を示せば次の
通りである。 磁性塗料組成例1 バリウムフエライト 100重量部 (Hc:530〔Oe〕,飽和磁化量:57〔emu/g〕, 板径:0.05〔μm〕) 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 11.0重量部 ウレタン樹脂 6.6重量部 三官能性イソシアネート化合物 4.4重量部 酸化アルミニウム粉末(平均粒径0.43〔μm〕) 15重量部 カーボンブラツク(平均粒径0.3〔μm〕) 2重量部 カーボンブラツク(平均粒径0.02〔μm〕) 2重量部 オレイルオレイル 6重量部 シクロヘキサノン 150重量部 トルエン 150重量部 磁性塗料の具体的な組成例2を示せば次の通りである。 磁性塗料組成例2 α−Fe 100重量部 (Hc:1650〔Oe〕,飽和磁化量:135〔emu/g〕, 長軸長さ:0.25〔μm〕,平均軸比:8) 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 14.1重量部 ウレタン樹脂 8.5重量部 三官能性イソシアネート化合物 5.6重量部 酸化アルミニウム粉末(平均粒径0.43〔μm〕) 20重量部 カーボンブラツク(平均粒径0.3〔μm〕) 2重量部 カーボンブラツク(平均粒径0.02〔μm〕) 2重量部 オレイルオレイル 6重量部 シクロヘキサノン 150重量部 トルエン 150重量部 前述の磁性塗料組成例1または磁性塗料組成例2の組成
物をボールミル中でよく混合分散して磁性塗料を調整
し、これを62μmのポリエチレンテレフタレート(P
ET)のベースフイルムの両面に、乾燥平均厚みが0.
79μmとなるように塗布し、乾燥したのち、カレンダ
処理を施して磁性層10a、10bをそれぞれ形成す
る。
【0028】このようにして構成された磁気デイスク2
の磁性層10a(トラッキング制御層)の表面に、図3
に示すようにリフアレンストラツク11と、多数の磁気
ヘツドトラツキング用光学トラツク12がエンボス加工
などによつて形成される。これらリフアレンストラツク
11ならびに磁気ヘツドトラツキング用光学トラツク1
2は、磁気デイスク2の回転中心13を中心にして同心
円状に設けられている。
【0029】1つの磁気ヘツドトラツキング用光学トラ
ツク12と隣の磁気ヘツドトラツキング用光学トラツク
12との間に、所望の情報が記録できるデータトラツク
14が形成される。
【0030】図3に示すように、磁気デイスク2上に設
けられる記録帯域15の最内周部に前記リフアレンスト
ラツク11が形成され、それより径方向外側、すなわち
磁気ヘツドの走行方向と直交する方向外側に磁気ヘツド
トラツキング用光学トラツク12とデータトラツク14
が交互に多数形成される。
【0031】前記リフアレンストラツク11は図4に示
すように、磁気ヘツドの走行方向Xに沿つて延びてお
り、リフアレンストラツク11の中心線16上の任意の
点17を中心として点対称に長方形のリフアレンス凹部
領域18Aとリフアレンス凹部領域18Bが一対になつ
て形成されている。このリフアレンス凹部領域18Aの
隣(リフアレンス凹部領域18Bの前方)ならびにリフ
アレンス凹部領域18Bの隣(リフアレンス凹部領域1
8Aの後方)には凹部のない平面部19Aと平面部19
Bとがある。
【0032】これら一組のリフアレンス凹部領域18
A、18B、平面部19A、19Bが、磁気ヘツドの走
行方向Xに沿つて間欠的または連続的に多数形成される
ことにより、リフアレンストラツク11を構成してい
る。
【0033】この実施形態において前記リフアレンス凹
部領域18A、18Bの磁気ヘツド走行方向の長さL1
は2.4mm、幅方向の長さL2は18μmである。
【0034】このリフアレンストラツク11上に所定の
信号が予め磁気的に記録されており、磁気ヘツドでこの
リフアレンストラツク11上を走査し、そのときの出力
波形に基づいて磁気ヘツド(磁気ギヤツプ)の中心位置
をリフアレンストラツク11の中心線16上に導くこと
ができる。
【0035】このようにして磁気ヘツド(磁気ギヤツ
プ)をリフアレンストラツク11の中心線16上、すな
わち基準位置に合わせると同時に、その磁気ヘツドに連
結されている発光素子と受光素子群からなる光デイテク
タ(後述する)で磁気ヘツドトラツキング用光学トラツ
ク12間の光デイテクタの現在位置を検知する。そして
この光学トラツク12に対する光デイテクタの位置的な
ずれ量を演算し、そのずれ量に基づいて以下述べるよう
に磁気ヘツドのトラツキングサーボを行なう。
【0036】その後、磁気ヘツドキヤリツジを移送する
モータを回転して、磁気ヘツドの中心位置を最内周にあ
るデータトラツクの中心線24近くまで移動させる(図
5参照)。
【0037】そして磁気ヘツドのトラツキングサーボ
は、磁気ヘツドトラツキング用光学トラツク12を利用
して各トラツク毎に行なわれる。
【0038】図5ないし図9は、磁気デイスク2のトラ
ツキングサーボを説明するための図である。図5に示す
ように、磁気ヘツドトラツキング用光学トラツク12に
もトラツキング用凹部23が、磁気ヘツドの走行方向X
に沿つて間欠的または連続的に形成されている。
【0039】この実施形態の場合、トラツキング用凹部
23は間欠的に形成され、トラツキング用凹部23の幅
L3は5μm、データトラツク14の幅L4は15μm
である。
【0040】前記リフアレンス凹部領域18A、18B
ならびにトラツキング用凹部23は、図6に示すように
同時にプレス加工によつて形成される。
【0041】同図に示すようにセンターハブ8を取り付
けた磁気デイスク2が、基台25上にセツトされる。こ
の磁気デイスク2は、前工程において磁性層10a,1
0bの表面が所定の表面粗さになるように研摩加工され
ている。
【0042】前記基台25にはセンターハブ8の中央孔
26(図3参照)に挿入されるセンターピン27が突設
されており、センターハブ8の中央孔26にこのセンタ
ーピン27を通して磁気デイスク2を基台25上に位置
決めする。
【0043】基台25の上方には、それと平行にスタン
パ28が上下動可能に配置され、スタンパ28は前記セ
ンターピン27によつて上下動がガイドされるようにな
つている。スタンパ28の下面には前記リフアレンス凹
部領域18A、18Bならびにトラツキング用凹部23
を形成するための微細な突部29が多数形成されてい
る。
【0044】図6の状態からスタンパ28を下げて、磁
気デイスク2を基台25とスタンパ28との間において
所定の圧力で挟持する。これによつてスタンパ28に形
成されている突部29が磁性層10aの表面に食い込
み、圧縮により断面形状がほぼ台形のリフアレンス凹部
領域18A、18Bならびにトラツキング用凹部23が
形成される。
【0045】記録再生時には、図7に示すように磁気デ
イスク2は磁気ヘツド30a、30bの間で挟持された
状態で回転する。前記磁気ヘツド30aの方には、トラ
ツキングサーボ用の光を出力する例えばLEDなどから
なる発光素子31と、磁性層10aからの反射光を受光
する受光素子群32が一体に取り付けられている。
【0046】そしてこの磁気ヘツド30aの発光素子3
1ならびに受光素子群32が取り付けられている部分
は、磁気デイスク2側に向けて開口している。
【0047】受光素子群32は図8に示すように4つの
受光素子32a、32b、32c、32dから構成され
ており、データトラツク14ならびにトラツキング用凹
部23上で反射する光をこの受光素子32a、32b、
32c、32dで受光して、各受光素子32a、32
b、32c、32dの出力は図9に示すようにサーボ信
号演算部33に入力される。そしてこのサーボ信号演算
部33で求められた位置修正信号がヘツド駆動制御部3
4に入力され、それからの制御信号に基づいて磁気ヘツ
ド30のトラツキング制御が成される。
【0048】図8に示すように4つの受光素子32a、
32b、32c、32dは近接して、しかも受光素子3
2aと受光素子32cとが対向するように、また、受光
素子32bと受光素子32dがと対向するようにそれぞ
れ配置されている。そして受光素子32aならびに受光
素子32cは主にデータトラツク14上を走査するよう
に、受光素子32bはそのデータトラツク14を挟んで
一方側のトラツキング用凹部23上を主に走査するよう
に、また受光素子32dはその隣のトラツキング用凹部
23上を主に走査するようになつている。
【0049】そして前記受光素子32aからの出力をP
1 、受光素子32bからの出力をP2 、受光素子32c
からの出力をP3 、受光素子32dからの出力をP4 と
した場合、P2 −P3 =N、P1 −P4 =Qならびに
(N+Q)/2を演算し、(N+Q)/2(V)の出力
がサーボ信号として得られる。
【0050】ここで前記データトラツク14上ならびに
トラツキング用凹部23上の光反射率を種々変えて、
(N+Q)/2の出力の大きさとオフトラツクによるオ
ーバライト(O.W)量との関係について種々検討し、
その結果を下記の表1にまとめた。なおこのオフトラツ
クによるオーバライト(O.W)量は、サイドイレーズ
を行わない状態で、最初、150KHzの信号(1f信
号)を書込み、その上から600KHzの信号(2f信
号)を重ね書きしたときの、残留1f信号と2f信号の
比率である。
【0051】 表 1 (N+Q)/2の出力(V) オーバライト量(dB) 3.0 −23 3.5 −27 3.7 −29 4.0 −30 5.6 −33 6.0 −33 この表から明らかなように、(N+Q)/2の出力が
3.7(V)未満では、信号の出力として不十分であ
り、磁気ヘツドのトラッキング制御が確実に行われず、
オフトラツクによるオーバライト量が大きい。これに対
して(N+Q)/2の出力が3.7(V)以上であれ
ば、出力の大きいサーボ信号が得られ、そのために磁気
ヘツドのトラツキング制御が確実に行われ、オフトラツ
クによるオーバライト量が小さく、動作信頼性が優れて
いる。特に(N+Q)/2の出力が4.0(V)以上、
さらに好ましくは5.6(V)以上であれば、十分に大
きなサーボ信号を得ることができる。
【0052】前述のように(N+Q)/2の出力は、発
光素子31や各受光素子32a〜32dの性能などによ
つて影響を受けるので、(N+Q)/2の出力を3.7
(V)以上にするためには、本発明者の種々の実験結果
から、磁気記録媒体としては、データトラツク14上の
光反射率をX、ヘツドトラツキング用凹部23の光反射
率をY、Z=Y/Zとしたとき、Zの値が0.49以下
に規制すればよいことが明らかになつた。
【0053】図10の(a)に示すようにトラツキング
用凹部23が形成されていない単位面積当たりの反射光
量をaとし、磁性層表面における前記発光素子31から
の照射スポツトの面積をS0 とすると、全反射光量Aは
下式のようになる。
【0054】 A=a・S0 ……(1) また同図の(b)に示すようにトラツキング用凹部23
の単位面積当たりの反射光量をbとし、トラツキング用
凹部23の総面積をS1 とすると、トラツキング用凹部
23の全反射光量Bは下式のようになる。
【0055】 B=b・S1 ……(2) 前記(1),(2)式より、トラツキング用凹部23が
形成された後の照射スポツトS0 における全反射光量C
は下式のようになる。
【0056】 C=(S0 −S1 )・a+b・S1 =a・S0 −a・S1 +b・S1 =A−a・S1 +B ……(3) したがつて、トラツキング用凹部23のみの全反射光量
Bは下式のようになる。
【0057】 B=C−A+a・S1 ……(4) A=a・S0 より、 B=C−A+(S1 /S0 )・A ……(5) 図11に示すように照射スポツトの直径を100μmと
すると、S0 は下式のようになる。
【0058】 S0 =π・(d/2)2 =π・(100/2)2 =853.98 〔μm 2〕 また、トラツキング用凹部23の幅(H)を5μm、デ
ータトラック14のピツチを20μmとし、サーボグル
ーブの円周方向のデューティ比を50%とすると、S1
は下式のようになる。
【0059】 S1 =H(L1 +L 2+L3 +L4 +L5 )×0.5 =5(66+94+99.5+89+61)×0.5 =1023.75〔μm 2〕 してがつて、 S1 /S0 =1023.75/853.98 =0.13 となる。
【0060】前記サーボ信号出力(N+Q)/2=3.
7のとき、磁性層表面でトラツキング用凹部23が形成
されていない平坦部の光反射率をA、トラツキング用凹
部23が形成された後の光反射率Cをそれぞれ測定する
と、下記の通りであつた。 A=11.9% C=11.1% したがつて、 Z=Y/X ={C+(S1 /S0 ー1)・A}/A・(S0 /S1 ) =0.483 より、Z≦0.49を満たすように、前記平坦部に対し
てトラツキング用凹部23を形成すればよい。
【0061】前述のようにデータトラツク14上の光反
射率とトラツキング用凹部の光反射率の比を49%以下
にするための具体的手段としては、データトラツク14
の光反射率を上げること、または(ならびに)トラツキ
ング用凹部23の光反射率を下げることである。
【0062】前者のデータトラツク14の光反射率を上
げるための具体的手段としては、次のような手段があ
り、これらを単独であるいは適宜組み合わせて実施する
ことができる。 .磁性層の厚さを、高反射率が得られるように特定の
範囲に規制する。 .磁性層の表面粗さを規制する。 .データトラツクが形成されるべき磁性層の下方に反
射膜を形成する。 発明者らは、磁性層10の厚さとデータトラツク14上
での光反射率ならびにオーバライト特性との関係につい
て諸種の実験を行つた。
【0063】次に表2は、発光素子31(赤外発光ダイ
オード使用)から出射される光の中心波長を880n
m、その光の入射角を20度にした場合の、データトラ
ツク14上での光反射率とオーバライト特性を測定して
まとめた表である。
【0064】なお、磁性層10の厚さは、透過型電子顕
微鏡(TEM)株式会社 日立製作所社製H−700H
を用いて測定した。後述の各試験においても同装置を用
いて磁性層10の厚さを測定した。
【0065】このオーバライト特性は、最初に150H
zの信号をデータトラツク上に書込み、次いでその信号
が書き込まれたデータトラツク上に600Hzの信号を
重ね書きして、残存する150Hzの信号の再生出力を
測定したものである。
【0066】 表 2 磁性層の厚さ(μm) 反射率(%) オーバライト特性(dB) 0.21 6.2 −42.2 0.28 10.5 −40.5 0.31 11.0 −40.3 0.33 11.3 −40.0 0.38 11.0 −39.5 0.39 10.0 −39.0 0.44 6.4 −38.0 0.48 10.2 −36.2 0.52 11.0 −36.0 0.55 11.3 −35.7 0.59 11.0 −33.5 0.60 10.5 −33.3 0.62 8.1 −33.0 0.66 6.5 −32.8 0.72 10.8 −32.6 0.76 11.0 −31.2 0.79 11.2 −30.3 0.84 11.0 −30.0 0.86 10.4 −29.8 1.02 10.8 −26.5 1.24 11.2 −25.2 1.47 10.7 −23.1 この表2から明らかなように、磁性層10の厚さが1.
15μm以上になると、オーバライト特性が−26dB
を超えて悪いため、磁性層10の厚さは0.86μm以
下に規制する必要がある。
【0067】そして0.86μm以下のうち、0.28
〜0.39μm、0.48〜0.59μm、0.72〜
0.86μmのずれかの範囲に規制すれば、高い光反射
率(10%以上)と良好なオーバライト特性(約−30
dB以下)を得ることができ、特に磁性層10の厚さを
0.31〜0.38μm、0.52〜0.59μm、
0.76〜0.84μmのずれかの範囲に規制すると、
さらに高い光反射率と良好なオーバライト特性が得られ
る。
【0068】次に表3は、発光素子31(赤外発光ダイ
オード使用)から出射される光の中心波長を830n
m、その光の入射角を40度にして、磁性層10の厚さ
を種々変えた場合のデータトラツク14上での反射率を
測定してまとめた表である。
【0069】 表 3 磁性層の厚さ(μm) 反射率(%) 0.21 6.1 0.28 10.7 0.31 11.0 0.33 11.5 0.38 11.0 0.40 10.3 0.44 6.2 0.49 10.3 0.52 11.1 0.55 11.3 0.59 11.0 0.60 10.5 0.62 7.5 0.66 6.0 0.72 10.6 0.76 11.1 0.79 11.2 0.84 11.0 0.86 10.2 1.02 10.5 1.24 11.5 1.47 10.3 次に表4は、発光素子31(半導体レーザ使用)から出
射される光の中心波長を780nm、その光の入射角を
60度にして、磁性層10の厚さを種々変えた場合のデ
ータトラツク14上での反射率を測定してまとめた表で
ある。
【0070】 表 4 磁性層の厚さ(μm) 反射率(%) 0.21 6.5 0.28 10.3 0.31 11.5 0.33 11.3 0.38 11.1 0.40 10.2 0.44 6.0 0.49 10.2 0.52 11.0 0.55 11.5 0.59 11.1 0.60 10.5 0.62 7.8 0.66 6.6 0.72 10.7 0.76 11.0 0.79 11.2 0.84 10.9 0.86 10.4 1.02 10.5 1.24 11.0 1.47 10.6 この表3ならびに表4の結果からもから明らかなよう
に、磁性層10の厚さを0.28〜0.40μm、0.
49〜0.60μm、0.72〜0.86μmのいずれ
かの範囲に規制すれば、高い光反射率(10%以上)を
得ることができ、特に磁性層10の厚さを0.31〜
0.38μm、0.52〜0.59μm、0.76〜
0.84μmのずれかの範囲に規制すると、さらに高い
光反射率が得られる。
【0071】また磁性粉の平均粒径が0.04μmのバ
リウムフエライトを用いて、磁性層10の厚さを0.7
9μmと一定にし、発光素子31として光の平均波長が
880nmの赤外発光ダイオードを使用し、発光素子3
1からの入射角度を20度としたときの、磁性層10の
表面粗さ(Ra)と光反射率のばらつきとの関係につい
て検討し、その結果を次の表5に示す。
【0072】 表 5 磁性層の表面粗さ(Ra) 光反射率(%)のばらつき範囲 0.020 7.0〜 9.5 0.015 10.5〜11.3 0.006 11.2〜12.2 この表から明らかなように、磁性層の表面粗さ(Ra)
が0.015μm以下のものは光反射率のばらつき範囲
が狭く、品質的に一定していることが分かる。なお、こ
の磁性層の表面粗さ(Ra)は、例えば磁気記録媒体製
造時におけるカレンダー工程の処理条件をコントロール
することにより、所望の値に調整することがてきる。
【0073】図12は、本発明の他の実施形態を示す拡
大断面図である。この実施形態の場合、ベースフイルム
9の上に例えばアルミニウム、スズ、ニツケル、銅など
の金属あるいは酸化チタンなどの金属酸化物を主成分と
する光反射膜40が形成され、その上にデータトラツク
14を有する磁性層10が形成されている。
【0074】従来のように磁性層10の厚さが比較的厚
い場合には、磁性層10の下に反射膜を設けても反射膜
設置による光反射率の向上は認められないが、本発明の
ように磁性層10の厚さが薄い場合、反射膜設置による
光反射率の向上が認められる。
【0075】トラツキング用凹部23の光反射率を下げ
るための具体的手段としては、次のような手段があり、
これらを単独であるいは適宜組み合わせて実施すること
ができる。
【0076】.トラツキング用凹部の厚さを、低反射
率が得られるように特定の範囲に規制する。 .トラツキング用凹部の底部に、光が乱反射するため
の凹凸を設ける。 .多数のピツト群からトラツキング用凹部を構成する
場合、そのトラツキング用凹部の単位面積当たりのピツ
ト群の総面積の比率を規制する。 .多数のピツト群からトラツキング用凹部を構成する
場合、各ピツトの短軸ならびに長軸の長さを規制する。
【0077】次に表6は、発光素子31(赤外発光ダイ
オード使用)から出射される光の中心波長を880n
m、その光の入射角を20度にして、トラツキング用凹
部23の底部の厚さを種々変えた場合の、その部分での
反射率を測定してまとめた表である。
【0078】 表 6 トラツキング用凹部の底部の厚さ(μm) 反射率(%) 0.05 13.0 0.15 7.0 0.16 4.0 0.28 5.0 0.32 7.0 0.33 11.0 0.38 11.0 0.39 7.6 0.40 5.3 0.44 4.0 0.52 7.8 0.53 11.0 0.57 11.0 0.62 8.0 0.63 6.0 0.70 5.1 0.74 7.8 0.76 11.0 0.84 11.0 この表6の結果から明らかなように、トラツキング用凹
部23の底部の厚さによつて反射率が大きく異なり、ト
ラツキング用凹部23の底部の厚さが0.05以下、
0.22〜0.29μm、0.44〜0.50μm、
0.67〜0.75μmのものは、凹部であつても反射
率が高い。なぜこのように反射率が高いのか理由は明確
でないが、トラツキング用凹部23の下にあるベースフ
イルム9の反射性が影響していると想定される。
【0079】これに対してトラツキング用凹部23の底
部の厚さを0.15〜0.32μm、0.39〜0.5
2μm、0.62〜0.74μmのいずれかの範囲に規
制すれば、低い反射率(8%以下)を得ることができ、
特にトラツキング用凹部23の底部の厚さを0.16〜
0.28μm、0.40〜0.44μm、0.63〜
0.73μmのいずれかの範囲に規制すれば、さらに低
い反射率が得られる。
【0080】なお、磁性層10に対する光の入射角を変
更しても、また発光素子31から出射される光の中心波
長を830nmに変更しても、前述と同じ特定の範囲で
低い反射率が得られることが実験で確認されている。
【0081】次にトラツキング用凹部23における底部
の表面状態について説明する。前述のようにトラツキン
グ用凹部23は例えばプレス加工などによつて形成され
るわけであるが、それの底部の表面状態が全体にわたつ
て単に平坦であれば、その底部表面で光が正反射してし
まい、反射率の低下に余り関与しない。
【0082】そこで本発明者らは先に図13に示すよう
に、楕円形をした多数のピツト41の集合体でトラツキ
ング用凹部23を構成することを検討した。図14はそ
のピツト41の集合体で構成されたトラツキング用凹部
23を示す拡大断面図であり、このようにトラツキング
用凹部23をピツト41の集合体して、トラツキング用
凹部23(ピツト41)の底面が平坦であれば、同図の
右側に示すように入射光の一部を乱反射するが、十分な
乱反射効果は得られないことが分かつた。
【0083】すなわち、ピツト41を形成するためのス
タンパの先端部がそれぞれフラツトになつているため、
その先端部の平面の状態がそのまま磁性層10側に転写
され図14に示すようにピツト41の底面がフラツトで
あるから、十分な乱反射効果は得られないことが分かつ
た。
【0084】そこで本発明の実施形態では図15に示す
ように、トラツキング用凹部23(ピツト41)の底面
に凹凸42を設けてフラツトな面を無くしている。この
ようにトラツキング用凹部23(ピツト41)の底面に
凹凸42を設けることにより、同図の右側に示すように
入射光の殆どすべてが乱反射する。図16ないし図18
は、この凹凸42の具体例を示す拡大断面図である。
【0085】トラツキング用凹部23(ピツト41)の
底面に多数の凹凸42が設けられているが、図16の例
ではその凹凸42のうちの凸部42aの先端部は、デー
タトラツク14の表面よりは若干突出している。また、
この例の場合、データトラツク14のトラツキング用凹
部23と隣接する部分がデータトラツク14の他の表面
より突出して、トラツキング用凹部23の長手方向(紙
面に向けて垂直な方向)に延びた凸条43が連続して、
あるいは断続的に形成されている。
【0086】図17の例では、前記凸部42aの先端部
位置はデータトラツク14の表面とほぼ同一かあるいは
それよりも若干低くなつている。
【0087】図16ならびに図17において、凸部42
aの先端部と凹部42bの底部との段差Gは、0.01
〜0.5μmの範囲に規制されている。この段差Gが
0.01μm未満であると、実質的に反射率低減の効果
が不十分であり、一方、前記段差Gが0.5μmを超え
るとスペーシングロスで出力低下を起こすため好ましく
ない。したがつて前記段差Gは、0.01〜0.5μm
の範囲に規制されている。
【0088】図16の例では、トラツキング用凹部23
の底面に小さな凹凸42がほぼ一様に形成されており、
前述のような凸条43は形成されていない。トラツキン
グ用凹部23の底面の最大表面粗さRmaxが0.1〜
1μm程度の凹凸面となつている。前述のように凸条4
3を設けない理由は、この凸条43によつて磁気記録媒
体と磁気ヘツドとの間にスペーシングロスが形成される
のを避けるためである。
【0089】このような凹凸42は、レーザ光やイオン
ビームをトラツキング用凹部23の形成位置に直接照射
して、磁性層10a中のバインダなどの有機化合物の分
子間結合を切断して除去することにより形成される。
【0090】さらに前記実施例のように磁性層10a中
にカーボンブラックが混在していると、カーボンブラッ
クがレーザ光やイオンビームの熱を吸収し(蓄熱効
果)、温度上昇が速いためトラツキング用凹部23の形
成がスムーズである。
【0091】また、例えば合金工具鋼、高炭素鋼、高速
度鋼、ばね鋼などの鉄鋼材料で作られたスタンパのトラ
ツキング用凹部23を形成する突部の表面を、例えば放
電加工、サンドブラスト、イオンビームスパツタリン
グ、レーザ加工、プラズマエツチングなどにより不規則
に粗し、その不規則面を比較的低い加圧力で磁性層10
に転写することによつても形成することができる。
【0092】図16ないし図18に示されているよう
に、断面形状が山形の凸部42a、凹部42bならびに
凸条43が多数存在すれば、発光素子31からの光がそ
れぞれの表面に照射されて、無方向、不規則条に乱反射
することができる。
【0093】本発明の実施形態では、多数のピツト41
を列設することにより、そのピツト41の集合体でトラ
ツキング用凹部23を形成しているが、次にトラツキン
グ用凹部23の単位面積当たりのピツト41群の総面積
の割合について説明する。
【0094】図19に示すように、例えば楕円形のピツ
ト41を列設することによりトラツキング用凹部23を
形成し、トラツキング用凹部23の単位面積(W×D)
をSt、ピツト41群の総面積をSpとすると、トラツ
キング用凹部23の単位面積St当たりのピツト41群
の総面積Spの割合(Sp/St)について検討した結
果、(Sp/St)≧0.25であることが望ましく、
さらに0.23以上であると好適である。
【0095】この割合(Sp/St)が0.25未満で
あると、トラツキング用凹部23内にピツト41が形成
されていない平坦面の影響が出てきて、トラツキング用
凹部23での反射率が高くなるため好ましくない。従つ
て(Sp/St)≧0.25に規制するとよい。
【0096】前述のように楕円形のピツト41群でトラ
ツキング用凹部23を構成する場合、図20に示すよう
に各ピツト41の短軸の長さL1は0.7μm以下、長
軸の長さL2は1.3μm以下である方が好ましい。
【0097】前記ピツト41の短軸の長さL1が0.7
μmより長くなるとトラッキング用凹部23内の突出部
43が大きくなり、また長軸の長さL2も1.3μmよ
り長くなると同様に、突出部43が大きくなり、出力低
下を生じるなどの弊害があるため、L1、L2は前述の
ように規制する方がよい。
【0098】なおこの実施形態では平面形状が楕円形の
ピツト41を列設した例を示したが、ピツトの形状はこ
れに限定されるものではなく、例えば円形、三角、四角
など他の形状のものも使用可能である。
【0099】ピツト41の長軸長さL2と、ピツト41
のピツチLと、磁気デイスクの性能と、スタンパの寿命
などについて検討した結果を図21に示す。
【0100】この図において、●はサーボ信号が5.0
Vを超える点を示す。また、○はサーボ信号が4.4〜
5.0Vの点を示す。さらに、×はサーボ信号が4.4
V未満の点を示す。×の部分ではS/Nが低くなり、信
頼性が問題となる。
【0101】即ち、ピツト41の長軸長さL2と、ピツ
ト41のピツチLとの関係を種々検討した結果、以下の
点が明らかになつた。
【0102】(1)ピツト41の長軸長さL2とピツチ
Lの関係が、L2>(4/5)Lとなると、スタンプさ
れた磁気デイスクにおいて、ピツトとピツトの間の磁性
層が著しく盛り上がり、スペーシングロスを生じて、電
気出力、オーバーライトの低下を起こす。
【0103】(2)ピツト41の長軸長さL2とピツチ
Lの関係が、L2<L/5となると、充分なサーボ出力
が得られなくなる。
【0104】(3)ピツチLがL<1.0となると、ス
タンプしたとき、スタンパのピツトとピツトの間に磁性
粉、フイラー、バインダ等が容易にかみ込み、スタンパ
の寿命が低下する。
【0105】(4)ピツチLがL>7.0となると、L
/5≦L2≦(4/5)Lを満たしても、スタンパのピ
ツト1個に係る圧力が小さくなるため、忠実にピツト4
1を形成することができない。
【0106】従つて、L2とLの関係は、1.0≦L≦
7.0およびL/5≦L2≦(4/5)Lとなる必要が
あり、さらに望ましくは下記の関係になる必要がある。
【0107】1.0≦L≦5.0およびL/4≦L2≦
(5/7)L
【0108】
【発明の効果】請求項1記載の第1の本発明は前述のよ
うに、トラッキング制御層における平面部とトラツキン
グ用凹部の光反射率の比率を前述のように規制すること
により、平面部とトラツキング用凹部の反射強度の差が
明確になり、トラツキング用凹部による磁気ヘツドのト
ラツキングサーボが適正に行なわれ、磁気記録媒体の信
頼性を向上することができる。
【0109】従来の磁気記録媒体は図22に示すよう
に、溝102の形成によりそれの底部にベースフィルム
100の一部が露出している。ベースフィルム100は
合成樹脂製のフィルムであるから、溝102の底部にお
ける光反射率が高く、そのため磁性層101の表面の光
反射率との差が明確でない。
【0110】これに対して請求項10記載の第2の本発
明は前述のように、トラッキング制御層にカット光を照
射してトラッキング用凹部を形成することにより、トラ
ッキング制御層中に混在している有機化合物が焼かれて
灰分がトラッキング用凹部内の底面に残り、その灰分を
有するトラッキング用凹部内の底部によりベースフィル
ムが露出しないように覆われているから、トラッキング
制御層の平面部との反射強度の差が明確になり、トラッ
キング用凹部による磁気ヘッドのトラッキングサーボが
適正に行なわれる磁気記録媒体を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気デイスクカートリ
ツジの一部を分解した斜視図である。
【図2】磁気シートの拡大断面図である。
【図3】磁気デイスクの平面図である。
【図4】リフアレンストラツクの一部拡大平面図であ
る。
【図5】リフアレンストラツクならびに磁気ヘツドトラ
ツキング用光学トラツクを説明するための図である。
【図6】リフアレンストラツクならびに磁気ヘツドトラ
ツキング用光学トラツクを形成する装置を示す断面図で
ある。
【図7】磁気ヘツドのトラツキングサーボを説明するた
めの断面図である。
【図8】受光素子の配置状態を示す説明図である。
【図9】磁気ヘツドのトラツキング制御を説明するため
の断面図である。
【図10】照射スポツトの総面積ならびにその照射スポ
ツト内のトラツキング用凹部の総面積の比率などを説明
するための図である。
【図11】照射スポツト、データトラツクならびにトラ
ツキング用凹部の大きさを示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る磁気記録媒体の
拡大断面図である。
【図13】ピツト群で構成されるトラツキング用凹部の
拡大平面図である。
【図14】トラツキング用凹部の底部が平坦な場合の磁
気記録媒体の拡大断面図である。
【図15】トラツキング用凹部の底部が平坦でない場合
の磁気記録媒体の拡大断面図である。
【図16】トラツキング用凹部の拡大断面図である。
【図17】トラツキング用凹部の拡大断面図である。
【図18】トラツキング用凹部の拡大断面図である。
【図19】ピツト群で構成されるトラツキング用凹部の
拡大平面図である。
【図20】そのピツトの拡大平面図である。
【図21】ピツトの長軸長さL2とピツトのピツチLと
の関係からその性能を示す説明図である。
【図22】従来提案された磁気記録媒体の拡大断面図で
ある。
【図23】この従来の磁気記録媒体上での受光素子の配
置状態を示す説明図である。
【符号の説明】
2 磁気デイスク 7 磁気シート 9 ベースフイルム 10a 磁性層(トラッキング制御層) 10b 磁性層 11 リフアレンストラツク 12 磁気ヘツドトラツキング用光学トラツク 14 データトラツク(平面部) 15 記録帯域 23 トラツキング用凹部 30 磁気ヘツド 31 発光素子 32 受光素子群 32a,32b,32c,32d 受光素子 33 サーボ信号演算部 34 ヘツド駆動制御部 40 反射膜 41 ピツト 42 凹凸 42a 凸部 42b 凹部 43 凸条

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂製のベースフィルムの一方の面
    に磁性層を形成し、他方の面にトラッキング制御層を形
    成して、 そのトラッキング制御層は、磁気ヘッドの走行方向に延
    びるトラッキング用凹部と、そのトラッキング用凹部と
    隣接する位置に設けられた凹部のない平面部とを有し、 光ディテクタの発光素子から前記トラッキング用凹部と
    平面部にトラッキングサーボ用の光を照射して、その反
    射光を前記光ディテクタの受光素子で受光し、その受光
    素子の出力に基づいて前記磁性層と対向している磁気ヘ
    ッドのトラッキングサーボを行なう磁気記録媒体におい
    て、 前記平面部の光反射率をX、前記トラツキング用凹部の
    光反射率をY、Z=Y/Xとしたとき、Z≦0.49で
    あることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、前記平面部上の
    光反射率Xが5%以上であることを特徴とする磁気記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載において、
    前記平面部の表面粗さRaが0.015μm以下に規制
    されていることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかの記
    載において、前記平面部が形成されている部分のトラッ
    キング制御層の下方に光反射膜が形成されていることを
    特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項4記載において、
    前記トラツキング用凹部の底部表面に凹凸が形成されて
    平坦部がないことを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項5記載において、前記平面部のト
    ラツキング用凹部と隣接する部分が平面部の他の表面か
    ら突出していることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項5記載において、前記トラツキン
    グ用凹部の底部に形成された凸部の先端部と凹部の底部
    との段差が0.01〜0.5μmの範囲に規制されてい
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし請求項7のいずれかの記
    載において、前記トラツキング用凹部の底部表面の最大
    表面粗さRmaxが0.1〜1μmの範囲に規制されて
    いることを特徴とする磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項請求項1または請求項2記載にお
    いて、前記平面部の表面粗さRaが0.015μm以下
    に規制され、かつ前記トラツキング用凹部の底部表面の
    最大表面粗さRmaxが0.1〜1μmの範囲に規制さ
    れていることを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 合成樹脂製のベースフィルムの一方の
    面に磁性層を形成し、他方の面にトラッキング制御層を
    形成して、 そのトラッキング制御層は、磁気ヘッドの走行方向に延
    びるトラッキング用凹部と、そのトラッキング用凹部と
    隣接する位置に設けられた凹部のない平面部とを有し、 光ディテクタの発光素子から前記トラッキング用凹部と
    平面部にトラッキングサーボ用の光を照射して、その反
    射光を前記光ディテクタの受光素子で受光し、その受光
    素子の出力に基づいて前記磁性層と対向している磁気ヘ
    ッドのトラッキングサーボを行なう磁気記録媒体の製造
    方法において、 前記トラッキング制御層が有機化合物を含み、トラッキ
    ング用凹部の形成位置にカット光を照射することにより
    トラッキング用凹部を形成するとともに、トラッキング
    用凹部内の底部により前記ベースフィルムが露出しない
    ように覆われていることを特徴とする磁気記録媒体の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載において、前記平面部
    の光反射率をX、前記トラツキング用凹部の光反射率を
    Y、Z=Y/Xとしたとき、Z≦0.49であることを
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10記載において、前記トラッ
    キング制御層中にカーボンブラックが混在していること
    を特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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