JP2000329772A - 走査型プローブ顕微鏡、その光軸調整方法、および光軸調整用補助具 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡、その光軸調整方法、および光軸調整用補助具

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JP2000329772A
JP2000329772A JP11139326A JP13932699A JP2000329772A JP 2000329772 A JP2000329772 A JP 2000329772A JP 11139326 A JP11139326 A JP 11139326A JP 13932699 A JP13932699 A JP 13932699A JP 2000329772 A JP2000329772 A JP 2000329772A
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optical axis
optical
scanning probe
probe microscope
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Takashi Morimoto
高史 森本
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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    • G01QSCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カンチレバーの背面を利用して構成される光テ
コ式の光学式変位検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡
でカンチレバーの背面での光軸設定を容易に行える光軸
調整方法、この光軸調整法に適した光軸調整用補助具、
およびこの光軸調整の構成を有する走査型プローブ顕微
鏡を提供する。 【解決手段】着脱自在なカンチレバー101とカンチレ
バー背面を利用して構成される光学式変位検出系10
7,108を備える走査型プローブ顕微鏡で光学式変位
検出系のカンチレバーでの光軸調整方法であり、カンチ
レバーの代わりにカンチレバーの背面の面積よりも広い
照射面11aを有するレーザ光観察部材11を、カンチ
レバーの取付け位置と同位置に取付け、レーザ光観察部
材の照射面を光学顕微鏡110で観察し、光学顕微鏡の
観察視野内でレーザ光観察部材の照射面に照射された検
出光のスポットを基準位置に移動させる方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自由端に探針を備
えたカンチレバーの背面を反射面として利用して構成さ
れる光テコ式の光学式変位検出系を備えた走査型プロー
ブ顕微鏡に関し、特に、カンチレバーの背面における光
軸の設定を容易に行えるようにした光軸調整方法、およ
びこの光軸調整法に適した光軸調整用補助具に関する。
【0002】
【従来の技術】原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微
鏡の要部構成を図6を参照して説明する。この走査型プ
ローブ顕微鏡は光テコ式の光学式変位検出系を備えてい
る。この光学式変位検出系は、先端に探針を備えるカン
チレバーの背面をレーザ光の反射面として利用して光学
系を形成し、カンチレバーのたわみ変形の変位量を検出
して試料の表面情報を得るものである。なお図6の図示
では、探針やカンチレバーの大きさは、他の構成要素と
の関係で誇張して示されている。また制御系、XY走査
回路、信号処理装置、表示装置等の図示は省略されてい
る。図6に示された走査型プローブ顕微鏡の例は原子間
力顕微鏡であるとする。
【0003】カンチレバー101の先端の自由端には探
針102が形成され、基端にはカンチレバーを支持する
支持ベース103が形成されている。支持ベース103
はカンチレバーホルダ104に取り付けられている。探
針102の先端は試料105の表面に対して原子レベル
の極めて微小な距離に接近させられている。試料105
は3次元移動機構106で支持されている。3次元移動
機構106によって試料を直交するX軸,Y軸,Z軸の
各軸方向に移動される。探針と試料が接近された状態
で、両者の間には原子間力が作用している。かかる位置
関係に基づき、探針・試料間に距離を一定に保持しなが
ら3次元移動機構106によって試料105を移動させ
て探針102で試料表面を走査するとき、試料表面から
受ける作用に対応してカンチレバー101がたわみ変形
する。カンチレバー101に対しては、レーザ光源10
7と位置検出用フォトダイオード108からなる光学式
変位検出系が設けられる。レーザ光源107から出射さ
れたレーザ光109は、カンチレバー101の背面で反
射され、フォトダイオード108へ入射される。カンチ
レバー101のたわみ変形による変位量を光学式変位検
出系で検出することによって、試料表面の微細な凹凸に
関する情報を得ることができる。
【0004】光テコを利用した光学式変位検出系で試料
105の表面凹凸を測定する場合、測定開始前に、カン
チレバー101の背面に照射されるレーザ光109をカ
ンチレバー101の先端に位置合せすることが必要であ
る。この作業をカンチレバーの背面での光軸調整とい
う。この光軸調整では、一般的にカンチレバーの長手方
向の長さは0.1mmから0.5mm程度であるので、
0.1mm以下のレベルでレーザ光の位置を調整しなけ
ればならない。そのため光学式変位検出系を備えた走査
型プローブ顕微鏡は、光軸調整作業に使用される観察用
の光学顕微鏡110あるいは倍率の高いCCDカメラと
組み合わせて構成されている。
【0005】またカンチレバー101は、その厚みが
0.1μm〜数μmの程度であるので、単独でつかむ等
の取扱いを行うことができない。そこでカンチレバー1
01は、前述のごとく、一般的に、ピンセットで取り扱
える大きさである数mm程度の支持ベース103の先部
に形成されている。従って、走査型プローブ顕微鏡の装
置本体にカンチレバー101を取り付ける構成として
は、支持ベース103に対し、カンチレバーホルダ10
4を用意し、カンチレバーホルダ104に支持ベース1
03を取り付け、さらに、これらの、探針102を含む
カンチレバー101、支持ベース103およびカンチレ
バーホルダ104で構成されるユニット10を装置本体
のユニット取付け部200に取り付けるという構成が一
般的に採用されている。例えば、カンチレバーホルダ1
04には位置合せ面104a,104bが形成され、ま
たユニット取付け部200にはこれらの位置合せ面のそ
れぞれに対応する合せ面200a,200bが形成さ
れ、この合せ面同士が精密に接触させられて、ユニット
取付け部200に設けられたマグネット201によって
ユニット10に正確に位置決め・固定されている。な
お、104cはカンチレバーホルダ104に備えられた
ユニット10の把持部であり、取付け・取外しの便に供
するものである。
【0006】図7と図8に、カンチレバーホルダ104
の一例と、カンチレバーの取付け構造の一例を示す。こ
れらの図においても、ユニット10を構成するカンチレ
バー101、支持ベース103等はカンチレバーホルダ
104に比して非常に小さなものであるが、その部分は
説明の便宜上誇張して模式的に示され、また把持部10
4cは省略して示されている。これらの図で示されたカ
ンチレバーホルダ104の上面は、図6で示された下面
部分に対応している。カンチレバーホルダ104は、測
定者が手で容易に取り扱うことができる程度の大きさに
作られている。カンチレバーホルダ104には、カンチ
レバー101が形成された支持ベース103を配置する
ための溝111が形成されている。支持ベース103は
溝111内に置かれる。支持ベース103がカンチレバ
ーホルダ104の溝111内に置かれると、図示しない
ばねで張られたワイヤ112で支持ベース103を押さ
え、支持ベース103をカンチレバーホルダ104に固
定する。こうしてカンチレバー101はカンチレバーホ
ルダ104に取り付けられる。図8において支持ベース
103の寸法a,bについて、aは例えば2mm、bは
例えば3mmである。
【0007】以上の構成によれば、カンチレバー101
は、カンチレバーホルダ104に対して取付け・取外し
自在である。走査型プローブ顕微鏡の測定の実際におい
ては、このような取付け構造に基づいて、測定の途中
で、カンチレバーを交換することが頻繁に行われる。カ
ンチレバー101の交換が行われるとき、上記の取付け
構造で明らかなように、交換前に設定されていたレーザ
光の位置と交換後のカンチレバーの位置でずれが生じる
ので、レーザ光の位置合せ作業、すなわち、新たに取り
付けられたカンチレバーの背面の反射面にレーザ光が適
切に照射されるようにするための光軸調整作業を行う必
要がある。
【0008】交換されたカンチレバーに関する光軸調整
は例えば光学顕微鏡110を利用して行われる。従来の
光軸調整の方法を図9に示す。この図は、光学顕微鏡に
よる観察視野を示している。観察視野113において、
101はカンチレバー、103は支持ベースである。交
換されたカンチレバー101は、その後、観察視野11
3の中心の位置にセットされるように調整が行われる。
この調整は、図6に示すごとく光学顕微鏡110に付設
された調整機構114によって光学顕微鏡110の観察
視野113の側を動かすことによって行われる。調整機
構114は測定者によって手動で操作される。その状態
が図9に示された状態である。このときカンチレバーの
交換前、もともと観察視野113の中心にセットされて
いたレーザ光のスポットがその中心からずれてしまう。
図9では、仮に115としてスポットが示されている
が、その場所は空間であってレーザ光が照射されるもの
が存在しないので、実際に測定者は見ることができな
い。仮にスポットが115のごとく見ることができるの
であれば、矢印116のごとく、スポット115をカン
チレバー101の背面の先端位置に移動させ、光軸調整
を行うことができる。この光軸調整は、レーザ光源10
7に付設された光軸調整機構117によって行われる。
光軸調整機構117は測定者によって手動で操作され
る。
【0009】ところが、従来では、実際にスポット11
5を見ることができないので、適宜にレーザ光の位置を
移動させて、レーザ光がカンチレバー101やカンチレ
バーの支持ベース103に当たるようにし、それにより
光軸調整を行っていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来のカンチレバーの
背面における光軸調整において、図9に示すごとく、レ
ーザ光のスポットの位置が115の箇所に存在すると
き、そこには実際にレーザ光を散乱させるものがないの
で、レーザ光のスポットを観察することができず、従来
の光軸調整ではレーザ光の位置を動かしてレーザ光がカ
ンチレバー等に当たるようにして光軸調整を行ってお
り、さらにレーザ光がカンチレバー等に当たらない限り
光軸調整を行うことはできなかった。このようにカンチ
レバーにおける光軸調整作業は、ほとんど測定者の経験
と勘に基づいて調整を行っていたので、非常に多くの時
間を要し、労力を要するという問題を有していた。
【0011】さらに上記のごとく走査型プローブ顕微鏡
におけるカンチレバーを交換するときに光テコ式の光学
式変位検出系におけるカンチレバーの背面の反射面での
光軸調整が行われるが、光学顕微鏡の観察視野にカンチ
レバーが必ず入る訳ではない。このような場合にも上記
光軸調整について同様な問題を有していた。
【0012】本発明の目的は、上記問題を解決すること
にあり、カンチレバーの背面を利用して構成される光テ
コ式の光学式変位検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡
においてカンチレバーの背面における光軸設定を容易に
行える光軸調整方法、この光軸調整法に適した光軸調整
用補助具、およびこの光軸調整の構成を有する走査型プ
ローブ顕微鏡を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、上
記目的を達成するために、次のように構成される。
【0014】本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の光軸
調整方法は、着脱自在なカンチレバーとこのカンチレバ
ーの背面を利用して構成される光学式変位検出系を備え
る走査型プローブ顕微鏡で、光学式変位検出系のカンチ
レバーでの光軸調整方法であり、カンチレバーの代わり
にカンチレバーの背面の面積よりも広い照射面を有する
検出光観察部材を、カンチレバーの背面と同一傾斜平面
(水平平面も含む)に取付け、検出光観察部材の照射面
を光学顕微鏡で観察し、光学顕微鏡の観察視野内で検出
光観察部材の照射面に照射された検出光のスポットを基
準位置に移動させる方法である。
【0015】本発明に係る走査型プローブ顕微鏡は、カ
ンチレバーとこのカンチレバーの背面を利用して構成さ
れる光学式変位検出系を備え、カンチレバーは支持ベー
スを有し、この支持ベースを介してカンチレバーをカン
チレバーホルダに着脱自在とし、さらにカンチレバーホ
ルダを装置本体の取付け部に着脱自在とした走査型プロ
ーブ顕微鏡であり、カンチレバーの背面の面積よりも広
い照射面を有し、かつこの照射面は前記カンチレバーホ
ルダの背面と同一傾斜平面であり、装置本体の取付け部
に着脱自在である検出光観察部材を装備し、この検出光
観察部材を、光学式変位検出系のカンチレバーでの光軸
調整に利用するように構成される。
【0016】本発明に係る光軸調整用補助具は、着脱自
在なカンチレバーとこのカンチレバーの背面を利用して
構成される光学式変位検出系を備える走査型プローブ顕
微鏡において光学式変位検出系のカンチレバーでの光軸
調整に用いられる光軸調整用補助具であり、走査型プロ
ーブ顕微鏡に取り付けたとき、カンチレバーの背面と同
一傾斜平面および同一位置に設定され、カンチレバーの
背面の面積よりも広いレーザ光照射面を有する検出光観
察部材を備えることを特徴とする。
【0017】カンチレバーとカンチレバーホルダとから
なるユニットを装置本体に対して着脱自在の構造を有
し、装置本来と取り付けられたカンチレバーの背面を利
用し、さらにレーザ光源とフォトダイオードを含んでな
る光テコ式の光学式変位検出系を備える走査型プローブ
顕微鏡において、上記ユニットと同等の位置合せ構成部
を有して装置本体に着脱自在であり、さらにカンチレバ
ーの背面よりも相当に広いレーザ光照射面を有する検出
光観察部材を装備することによって、カンチレバー交換
時のカンチレバー背面におけるレーザ光の光軸調整作業
を容易に行うようにしている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて説明する。
【0019】図1は、本発明に係る走査型プローブ顕微
鏡の要部の構成を概略的に示す。走査型プローブ顕微鏡
の例として原子間力顕微鏡について説明する。図1にお
いて原子間力顕微鏡における従来の基本構成の部分は、
図6に示した構成と同じである。図1において、図6で
説明した要素と同一の要素には同一の符号を付してい
る。
【0020】すなわち、105は観察対象である試料、
106は、試料105を支持し、試料105をX,Y,
Zの各方向に移動させる3次元移動機構、107はレー
ザ光源、108は位置検出用フォトダイオードである。
レーザ光源107からはレーザ光109が出射される。
レーザ光109は、通常、カンチレバーの背面で反射さ
れ、フォトダイオード108の受光面に入射されるよう
に設定される。試料105の上方位置には光学顕微鏡1
10が配置されている。光学顕微鏡110によって試料
105の表面を観察できるようになっている。レーザ光
源107から出射されたレーザ光109は、試料105
の表面に近づけて配置されたカンチレバーの背面に照射
されるように設定される。レーザ光109の照射位置
は、レーザ光源107に付設された光軸調整機構117
によって調整される。光軸調整機構117は手動で操作
される機構である。また光学顕微鏡110で観察し得る
箇所も、光学顕微鏡110に付設された調整機構114
によって任意に変更することができる。
【0021】原子間力顕微鏡では、試料105の測定を
行うとき、図6で説明したように、探針102と支持ベ
ース103を有するカンチレバー101をカンチレバー
ホルダ104に取り付けてなるユニット10を、さらに
原子間力顕微鏡の装置本体における取付け部200に取
り付ける。この状態で、カンチレバー101を試料10
5に対して近づけたり離したりする移動機構(図示せ
ず)によって、カンチレバー101を試料105に対し
て探針・試料間で所定の原子間力が生じる程度に近づけ
る。測定が開始される直前では、レーザ光109がカン
チレバー101の背面の先端の所定箇所に照射されるよ
うに光軸調整が行われる。レーザ光源107から出射さ
れたレーザ光109は、カンチレバー101の背面の所
定箇所で反射され、フォトダイオード108に入射され
るように設定される。この構成によって光テコ式の光学
式変位検出系が形成される。その後、例えば、3次元移
動機構106によって試料105の側をX軸方向および
Y軸方向に移動させることによって、探針102が試料
105の表面を走査し、測定が行われる。この測定で
は、フォトダイオード(変位検出器)108から出力さ
れる変位信号(カンチレバーの変位に関する信号)が基
準値と比較され、探針・試料間の間隔(探針・試料間の
原子間力)が、予め当該基準値で決まる一定値に保持さ
れるように、3次元移動機構106のZ軸方向駆動素子
に対してフィードバック制御が行われる。上記のカンチ
レバーの移動機構やフィードバック制御を行う制御系の
構成はよく知られているので、図1においてその図示は
省略される。また試料105の表面情報を取り出し、表
示するための信号処理装置および表示装置の図示も省略
される。
【0022】前述のごとく、カンチレバー101とカン
チレバーホルダ104からなるユニット10は、原子間
力顕微鏡の装置本体のユニット取付け部200に対して
取付け・取外しを自在に行える構造となっている。例え
ばカンチレバーホルダを金属材料で形成すると共に装置
本体におけるユニット10の取付け部200にマグネッ
ト201を付設することによって、装置本体に対してユ
ニット10を自在に取付け、取外すことが可能となる。
【0023】以上の原子間力顕微鏡において、その装置
本体の取付け部200にカンチレバーを取り付けると
き、すなわちユニット10を取り付けるとき、前述のご
とく光テコ式の光学式変位検出系が形成されるように光
軸調整を行うことが必要である。光軸調整は、特にカン
チレバーを交換するときに必要とされる。次に本実施形
態に係る光軸調整方法について説明する。
【0024】本実施形態による光軸調整ではレーザ光観
察部材11を使用することが必須である。レーザ光観察
部材11は光軸調整を調整する道具として使用される。
レーザ光観察部材11の側方から見た全体的形状は、図
6との対比で明らかなように、ユニット10の側方から
見た形状とほぼ同じであるが、レーザ光観察部材11の
平面形状は以下のような特徴を持っている。すなわちレ
ーザ光観察部材11は、レーザ光が照射される照射面1
1aを備えている。照射面11aは、図1と図6とを比
較すると、カンチレバー101の図示が誇張されている
ので正確でないが、カンチレバー101よりも相当に広
い面積を有している。照射面11aの大きさは、例えば
上記ユニット10のカンチレバー101の長さは100
〜200μm程度に設定されるが、照射面11aの長さ
はこれより長くかつ面積としてはカンチレバー104の
先端位置を含み、カンチレバー背面の面積の数倍程度に
設定されている。ただしこの大きさは一例であり、光学
式変位検出系、カンチレバーの製造や位置合せ機構等の
精度、さらには走査型プローブ顕微鏡の使い勝手等によ
って大きくまたは小さく設定されればよいものであり、
この例に限定されるものではない。レーザ光観察部材1
1には原子間力顕微鏡の装置本体のユニット取付け部2
00に設けられた合せ面200aと200bにそれぞれ
対応する合せ面11bおよび11cが形成され、レーザ
光観察部材11は、これらの合せ面11b,11cによ
ってユニット取付け部200へ位置合せされると共に、
マグネット201によってユニット取付け部200に固
定される。このように、レーザ光観察部材11を装置本
体に取り付けると、レーザ光観察部材11の照射面11
aがカンチレバーの背面と実質的に同一の面に来るよう
に配置される。すなわち、レーザ光観察部材11は、カ
ンチレバー背面と同一傾斜平面(水平平面も含む)にな
るように取り付けられる。本実施形態では、上記のよう
に位置合せ面を設けて取付け部を構成したが、この構成
に限定されるものではなく、レーザ光観察部材11の照
射面11aがカンチレバーの背面と実質的に同一の面に
来るように配置される構成であればよい。
【0025】図2を参照してレーザ光観察部材11を利
用した本実施形態による光軸調整の方法を説明する。図
2(a)は、カンチレバーの交換に伴って、新しいカン
チレバー101を支持ベース103を介してカンチレバ
ーホルダ104に取付け、さらにユニット10としてカ
ンチレバーホルダ104を、原子間力顕微鏡の装置本体
のユニット取付け部200に取り付けた直後の光学顕微
鏡110の観察視野12の画像を示している。カンチレ
バー交換前の段階では、交換前のカンチレバーの背面の
レーザ光照射面は観察視野12の中心位置12aにセッ
トされ、さらにレーザ光109の照射スポットも観察視
野12の中心位置12aにセットされていたが、カンチ
レバーが交換された後にはカンチレバーの取付け位置に
関して位置ズレが生じる。その結果、図2(a)に示さ
れるように交換後のカンチレバー101は観察視野12
において中心12aからずれた場所に存在する。カンチ
レバー交換後のユニット10の取付け位置は、実際に位
置ズレの量がどの程度であるのか不明であるために、光
学顕微鏡110による観察視野12内のどの位置に来る
かが不明となる。しかし、従来のカンチレバーホルダ1
04を使用すれば、ほぼ0.1〜0.2mm程度の再現
性を得ることができ、さらにカンチレバーの長さが0.
1mm程度であるので、図2(a)に示した程度のズレ
に抑えることができる。カンチレバーホルダの構成によ
っては、より大きく位置ズレが生じることもあり得る
が、カンチレバーホルダ104を装置本体に取り付ける
ときには、カンチレバーホルダの大きさを寸法的に測定
者の手で取り扱える程度の大きさに形成できることか
ら、例えば前述の取付けの合せ面等を設けることによ
り、上記0.1mm程度の取付け精度を得ることは容易
である。
【0026】図2(a)の状態において、光学顕微鏡1
10の調整機構114を操作することによって光学顕微
鏡110の位置を調整し、観察視野12の中心位置12
aにカンチレバー101の先端が一致するように位置合
せを行う。この位置合せの状態を図2(b)に示す。こ
の位置合せ作業は、カンチレバー101の先端がほぼ視
野中心に一致するような位置合せで十分である。なお図
1に示された構成では、光学顕微鏡110に調整機構1
14を設けた例を示しているが、カンチレバー側に調整
機構を設けてもよい。なお図2(a)において、カンチ
レバー交換前の段階で、レーザ光の照射スポットは観察
視野12の中心位置12aにセットされていたため、図
2(b)に示すごとく上記位置合せ作業が行われると、
レーザ光の照射スポットも破線13に示される位置に移
動することになる。しかし、破線13の位置は、空間で
あるので、観察視野12において照射スポット13を観
察することはできない。
【0027】次の段階では、交換後のカンチレバーに関
するユニット10を装置本体の取付け部から取外し、前
述のレーザ光観察部材11を装置本体の取付け部200
に取り付ける。このとき、レーザ光観察部材11の照射
面11aはカンチレバーの背面と同一の面に来る。レー
ザ光観察部材11の照射面11aはカンチレバーの背面
よりも十分に広い面積を有しているので、図2(c)に
示すように観察視野12において照射面11a上のレー
ザ光109の照射スポット13を観察することが可能に
なる。従って測定者は、観察視野12を見ながら照射ス
ポット13の存在位置を確認し、当該照射スポット13
を観察視野12の中心位置12aに矢印14のごとく移
動させることが可能となる。また照射スポット13が顕
微鏡110の観察視野12の範囲外に大きくずれる場合
も起こり得るが、このような場合には、光学顕微鏡11
0の倍率を小さくすれば、観察視野が広くなって十分に
広範囲を観察することができるようになるため、観察視
野12内に照射スポットを入れることは容易である。こ
のようにレーザ光観察部材11を使用する限り、照射ス
ポット13を観察することは非常に容易である。このよ
うにレーザ光観察部材11を利用することによって、光
学顕微鏡110の観察視野12でレーザ光109の照射
スポット13を視野中心12aに容易に位置合せするこ
とができ、かつ位置合せ作業を短時間で行うことができ
る。
【0028】その後、装置本体の取付け部からレーザ光
観察部材11を取外し、再度、交換後のカンチレバー1
01を含むユニット10を装置本体の取付け部200に
取り付ける。図2(b)で既にカンチレバー101の先
端と視野中心12aの位置合せを行っているので、図2
(d)に示すごとく、カンチレバー101の先端とレー
ザ光109の照射スポット13との位置合せが行われ
る。再度のユニット10の装置本体への取付けにおい
て、カンチレバーホルダは前述のごとく装置本体に対し
て再現性良くセットされるので、位置ズレが生じること
がない。
【0029】次に図3〜図5を参照して本発明に係る光
軸調整用補助具であるレーザ光観察部材の具体例を説明
する。これらの図も各構成要素同士の相対的大きさは説
明の便宜上あまり考慮していないが、これまでに説明し
たものと同じまたは同等の部分には同じ符号を付して示
し、その説明は省略することもある。
【0030】図3には、前述したカンチレバー101、
探針102、支持ベース103、カンチレバーホルダ1
04に関して具体的な構造が示されている。カンチレバ
ーホルダ104は例えば金属で作られ、装置本体側に設
けられたマグネット201で装置本体に着脱自在に取り
付けられる。図3において、破線で示された15はカン
チレバー101の背面を含む平面を表している。
【0031】図4と図5はレーザ光観察部材の具体例を
示し、図4は平面図、図5は側面図である。図3と図5
の比較で明らかなように、このレーザ光観察部材21に
おけるホルダ部分22の側面形状はカンチレバーホルダ
104の側面形状と実質的に同じである。すなわち、装
置本体のカンチレバーホルダ取付け部200の合せ面2
00aと200bのそれぞれに対応する合せ面22a,
22bが設けられており、位置合せされて固定される。
22cは把持部である。ホルダ部分22の先部側に照射
部23が設けられている。照射部23の上面には矩形の
照射面23aが形成されている。照射面23aが含まれ
る平面24は、装置本体に取り付けた状態において、前
述の平面11aと一致している。照射部23の大きさ
は、側面形状で比較すると、上記支持ベース103がカ
ンチレバーホルダ104の合せ面104aから突出して
いる部分の長さとカンチレバー101を加えてなる部分
の長さよりも少なくともカンチレバー101の先端の位
置をさらに越える長さ分長く設定されている。図4およ
び図5において、例えば、cはほぼ5.5mm、dはほ
ぼ5mm、eはほぼ35mmである。上記形態を有する
レーザ光観察部材21によれば、原子間力顕微鏡の装置
本体の取付け部200に取り付けると、光学顕微鏡11
0によってその観察視野内に照射面23aを見ることが
でき、レーザ光が照射面23aに当たっていると、その
照射スポットを観察視野で確認することができる。なお
上記の例では、照射部23をホルダ部分22と一体的に
構成する例で示したが、カンチレバーホルダ104の溝
部11に、支持部材103と同等に取り付ける構成とし
てもよい。
【0032】前述の実施形態では原子間力顕微鏡につい
て説明したが、本発明は、光テコ式の光学系位置検出系
を有する走査型プローブ顕微鏡に一般的に適用すること
ができる。
【0033】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、カンチレバーとカンチレバーホルダとからなるユ
ニットを装置本体に対して着脱自在の構造を有し、装置
本体と取り付けられたカンチレバーを含んでなる光テコ
式の光学式変位検出系を備える走査型プローブ顕微鏡に
おいて、上記ユニットとほぼ同形であって装置本体に着
脱自在であり、かつカンチレバーの背面よりも相当に広
い照射面を有する検出光観察部材を装備するようにした
ため、カンチレバー交換時のカンチレバー背面における
レーザ光の光軸調整作業を容易に行うことができる。ま
たそれによってカンチレバーの交換作業に要する時間を
短縮でき、測定作業の熟練度に関係なく誰でも容易に交
換作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光軸調整方法を実施する装置と光
軸調整用補助具の使用状態を説明する概略構成図であ
る。
【図2】本発明に係る光軸調整方法を説明するための観
察視野を示す図である。
【図3】カンチレバーおよびカンチレバーホルダの具体
的構造を示す側面図である。
【図4】具体的なレーザ光観察部材の平面図である。
【図5】具体的なレーザ光観察部材の側面図である。
【図6】従来の走査型プローブ顕微鏡の要部構成を示す
図である。
【図7】従来のカンチレバーホルダの一例を示す斜視図
である。
【図8】従来のカンチレバーホルダにカンチレバーを取
り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】従来の光軸調整方法の問題を説明するための観
察視野の図である。
【符号の説明】
11 レーザ光観察部材 11a 照射面 21 レーザ光観察部材 22 ホルダ部分 23 照射部 23a 照射面 105 試料 107 レーザ光源 108 フォトダイオード 109 レーザ光 114 調整機構 117 光軸調整機構

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着脱自在なカンチレバーとこのカンチレ
    バーの背面を利用して構成される光学式変位検出系を備
    える走査型プローブ顕微鏡で、前記光学式変位検出系の
    前記カンチレバーでの光軸調整方法であり、 前記カンチレバーの代わりに前記カンチレバーの前記背
    面の面積よりも広い照射面を有する検出光観察部材を、
    前記カンチレバーの背面と同一傾斜平面に取付ける段階
    と、 前記検出光観察部材の前記照射面を光学顕微鏡で観察す
    る段階と、 前記光学顕微鏡の観察視野内で前記検出光観察部材の前
    記照射面に照射された前記検出光のスポットを基準位置
    に移動させる段階と、 からなることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡の光軸
    調整方法。
  2. 【請求項2】 カンチレバーとこのカンチレバーの背面
    を利用して構成される光学式変位検出系を備え、前記カ
    ンチレバーは支持ベースを有し、この支持ベースを介し
    て前記カンチレバーをカンチレバーホルダに着脱自在と
    し、さらに前記カンチレバーホルダを装置本体の取付け
    部に着脱自在とした走査型プローブ顕微鏡において、 前記カンチレバーの前記背面の面積よりも広い照射面を
    有し、かつこの照射面は前記カンチレバーの背面と同一
    傾斜平面であり、前記装置本体の前記取付け部に着脱自
    在である検出光観察部材を装備し、この検出光観察部材
    を、前記光学式変位検出系の前記カンチレバーでの光軸
    調整に利用することを特徴とする走査型プローブ顕微
    鏡。
  3. 【請求項3】 着脱自在なカンチレバーとこのカンチレ
    バーの背面を利用して構成される光学式変位検出系を備
    える走査型プローブ顕微鏡において、前記光学式変位検
    出系の前記カンチレバーでの光軸調整に用いられる光軸
    調整用補助具であり、 前記走査型プローブ顕微鏡に取り付けたとき、前記カン
    チレバーの背面と同一傾斜平面および同一位置に設定さ
    れ、前記カンチレバーの背面の面積よりも広いレーザ光
    照射面を有する検出光観察部材を備えたことを特徴とす
    る光軸調整用補助具。
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