JP2000329140A - 液体動圧軸受ユニット - Google Patents

液体動圧軸受ユニット

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JP2000329140A
JP2000329140A JP11138779A JP13877999A JP2000329140A JP 2000329140 A JP2000329140 A JP 2000329140A JP 11138779 A JP11138779 A JP 11138779A JP 13877999 A JP13877999 A JP 13877999A JP 2000329140 A JP2000329140 A JP 2000329140A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】潤滑流体として液体を用いた場合に、少量の潤
滑液を周囲に漏出させることなく循環させながら回転軸
の高速回転を支承することが可能であると共に、簡易な
構成で潤滑液の冷却を行うことができ、それによって高
速回転時における回転側部材と固定側部材の固体接触、
並びに回転軸の寸法精度の悪化を防止することが可能な
液体動圧軸受ユニットを提供する。 【解決手段】動圧軸受の軸受隙間で加圧された潤滑液が
直接排出される気液混合室44を設けると共に、この気
液混合室44から潤滑液を回収すると共に上記軸受隙間
に対して潤滑液を再供給する液供給手段を設け、潤滑液
を軸受隙間から霧状に微細かして気液混合室44に噴出
させることによって該潤滑液の冷却を行う一方、この冷
却された潤滑液を軸受隙間に再供給することにより、剪
断摩擦熱による動圧軸受ひいては回転軸21の温度上昇
を防止するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸の回転に伴
って高圧の流体潤滑膜を発生させ、この流体潤滑膜によ
って上記回転軸の回転を支承する動圧軸受ユニットに係
り、特に、かかる動圧軸受の潤滑流体として水やクーラ
ント液等の液体を用いた液体動圧軸受ユニットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】特開平6−241222号公報、特開平
6−249236号公報、特開平7−19236号公報
等には動圧軸受によって主軸の回転を支承したスピンド
ル装置が開示されている。かかるスピンドル装置は、工
作機械の主軸頭等に固定されるハウジングと、駆動手段
に連結されて回転する主軸と、所定の軸受隙間を介して
対向する回転側部材及び固定側部材から構成されると共
に上記主軸をハウジングに対して回転自在に支承するラ
ジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受とを備えており、
各動圧軸受の回転側部材には深さ10〜15μm程度の
動圧発生用溝が所定のパターンで形成されている。
【0003】このように構成されたスピンドル装置にお
いては、上記主軸の回転に伴って動圧軸受の軸受隙間に
介在する潤滑流体が加圧され、主軸は高圧の流体潤滑膜
によって浮揚状態となり、その状態のままで回転を支承
される。このため、主軸の回転に対しては極僅かな回転
抵抗しか作用せず、しかも回転時における振動も殆ど発
生しないことから、該主軸に対して毎分1万回転以上の
高速回転を与えて使用することも可能といった優れた特
質を有している。
【0004】また、かかるスピンドル装置では主軸の回
転に伴って潤滑流体を加圧していることから、各動圧軸
受の回転側部材と固定側部材との軸受隙間が過大である
と、該軸受隙間において潤滑流体の圧力を十分に高める
ことができず、主軸の外部荷重に対する負荷能力及び剛
性が低下してしまう。このため、前述した従来のスピン
ドル装置では軸受隙間を数μm程度に設定し、主軸の低
速回転においても潤滑流体を十分に加圧できるようにし
ている。
【0005】更に、各動圧軸受の軸受隙間で加圧される
潤滑流体としては、空気等の気体の他に水や工作機械用
のクーラント液等の液体を用いることが可能であるが、
気体の圧縮性に比較して液体のそれの方が小さいことか
ら、液体を潤滑流体として用いた場合の方が主軸の荷重
に対する負荷能力及び剛性は向上することとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、動圧軸受の軸
受隙間を数μmに設定し、しかも潤滑流体として気体よ
りも圧縮性に劣る液体(以下、「潤滑液」という)を用
いた場合には、回転軸が高速で回転した際に、かかる潤
滑液に対してより大きな剪断摩擦力が作用し、潤滑液が
摩擦熱によって大きく昇温することになる。このため、
何ら潤滑液の冷却手段を設けないとすれば、潤滑液の有
する熱量が動圧軸受を構成する回転側部材や固定側部材
に流入し、これら両部材が熱膨張によって固体接触を生
じてしまう危険性が高い他、スピンドル主軸等の回転軸
が熱膨張してしまい、かかる回転軸の寸法精度が悪化し
てしまうといった問題点があった。
【0007】一方、このような不具合を回避するために
は、固定側部材の周囲にウォータジャケットを設ける等
して動圧軸受を直接冷却するか、軸受隙間から排出され
た潤滑液をハウジング外で一旦冷却した後に再度軸受隙
間に供給することが必要とされ、動圧軸受の構造そのも
のが複雑且つ大型化せざるを得ないといった問題点があ
った。
【0008】また、従来の動圧軸受では、上記主軸をハ
ウジングに対して非接触で支承している構造上、各動圧
軸受の軸受隙間がハウジング外の雰囲気と連通されてお
り、軸受隙間で加圧された潤滑液がハウジング外へ漏れ
出してしまい、かかる動圧軸受が組み込まれた装置、例
えば上記スピンドル装置の周辺を汚してしまうといった
問題点があった。このため、潤滑流体として液体を用い
た動圧軸受は、例えばクリーンルーム内における使用
等、潤滑液の漏出による汚染を嫌う環境下では使用する
ことができなかった。
【0009】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、潤滑流体として
液体を用いた場合に、かかる潤滑液を周囲に漏出させる
ことなく、少量の潤滑液を自然循環させながら回転軸の
高速回転を支承することが可能であると共に、簡易な構
成で潤滑液の冷却を行うことができ、それによって高速
回転時における回転側部材と固定側部材の固体接触、並
びに回転軸の寸法精度の悪化を防止することが可能な液
体動圧軸受ユニットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の液体動圧スピンドル装置は、ハウジング
と、このハウジングに対して回転自在に設けられた回転
軸と、この回転軸に固定される回転側部材と、この回転
側部材と所定の軸受隙間を介して対向すると共に上記ハ
ウジングに固定された固定側部材とを備え、かかる回転
側部材の回転に応じて上記軸受隙間に介在する潤滑液を
加圧し、これにより生じた高圧の流体潤滑膜によって上
記回転軸の回転を支承するように構成され、更に、上記
ハウジング内には上記動圧軸受の軸受隙間から潤滑液が
直接噴出すると共にハウジング外から気体が導入される
気液混合室を設ける一方、この気液混合室から潤滑液を
回収すると共に上記軸受隙間に対して潤滑液を再供給す
る液供給手段を設けたことを特徴とするものである。
【0011】このような技術的手段によれば、上記回転
軸が回転を開始すると、回転側部材と固定側部材の軸受
隙間に介在する潤滑液が、かかる回転側部材の回転に伴
って加圧され、軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成され
る。これによって回転軸はその回転を支承される。加圧
された潤滑液は軸受隙間内を流動した後にハウジング内
に設けられた気液混合室に直接噴出するが、この気液混
合室にはハウジング外から気体が導入されていることか
ら、大気圧に略等しい圧力に保たれている。このため、
軸受隙間で極めて高い圧力にまで加圧された潤滑液が大
気圧に略等しい気液混合室に噴出する際には、微細化さ
れた液滴となって霧状に噴出するので、潤滑液の有する
熱量が気化熱となって奪われ、軸受隙間内で高温になっ
た潤滑液を冷却することができる。そして、このように
して冷却された潤滑液を液供給手段によって気液混合室
より回収した後、これを軸受隙間に対して再供給するこ
とで、少量の潤滑液を冷却しながら循環させて使用する
ことが可能となる。
【0012】このような本発明において、潤滑液を回転
側部材と固定側部材の軸受隙間から霧状に噴出させるた
めには、上記気液混合室が軸受隙間よりも大きな空間を
有していることが必要である。より効果的に潤滑液を噴
霧するためには、軸受隙間に面した気液混合室の開口断
面積を軸受隙間の断面積の200倍以上とするのが好ま
しい。もっとも、軸受隙間は5μm〜十数μm程度なの
で、それでも気液混合室の開口断面積は1mm〜3mm
程度で足りることになり、かかる気液混合室を内蔵した
ハウジングが大型化することはない。
【0013】また、気液混合室に噴霧された潤滑液は液
供給手段によって回収された後、固定側部材と回転側部
材の軸受隙間へ再供給されるのだが、かかる潤滑液を一
層効率的に液供給手段に回収するという観点からすれ
ば、気液混合室に加圧気体を導入し、この加圧気体の支
援の下で潤滑液を液供給手段に回収するのが好ましい。
加えて、ハウジングと回転側部材が形成する隙間から上
記気液混合室へ加圧気体を導入するように構成すれば、
気液混合室に噴霧された気体が上記隙間からハウジング
外へ流出するのを完全に防止することも可能となる。
【0014】更に、上記液供給手段としては、気液混合
室から回収された潤滑液を一時的に貯留しておき、回転
軸の回転に応じて回転側部材と固定側部材の軸受隙間に
適宜供給し得るものであれば、貯留するためのタンクを
ハウジング内あるいはハウジング外に設ける等、その設
計を適宜変更して差し支えない。但し、装置のコンパク
ト化の観点からすれば、貯留タンクをハウジング外に設
けるのは好ましくなく、また、ハウジング内に安定的に
潤滑液を貯留するという観点からすれば、繊維交絡体等
から形成された潤滑液の吸蔵体を上記ハウジングに内蔵
させるのが好ましい。上記液供給手段がこのような吸蔵
体を具備すれば、加圧気体に乗って気液混合室から流動
してくる霧状の潤滑液を確実に吸蔵体に吸収させること
ができ、しかも吸蔵体の内部で潤滑液と気体とが自ずか
ら分離するので、潤滑液を軸受隙間に再供給する際にも
便利である。加えて、動圧軸受には回転軸の起動に併せ
て潤滑液を軸受隙間へ自己吸引する機能があるので、か
かる軸受隙間と吸蔵体とを輸液管で連結しておけば、吸
蔵体に貯留されている潤滑液が回転軸の起動に応じて軸
受隙間に吸い出され、ポンプ等によって強制的に潤滑液
を軸受隙間に供給してやる手間が軽減される。
【0015】本発明では、前述のように、潤滑液が自ず
と霧状に変化しながら気液混合室に噴出するのだが、一
部の潤滑液は回転側部材の外周縁に付着して連れ回るう
ちに大きな液滴に成長してしまい、そのままでは十分な
冷却効果を期待することができない。従って、かかる観
点からすれば、気液混合室に面した回転側部材の端部に
はその円周方向に沿って放射状の溝を形成し、回転側部
材に連れ回る潤滑液の液滴をこの放射状の溝によって該
部材から分離するのが好ましい。このように構成すれ
ば、回転側部材から分離された大きな液滴が溝に叩かれ
ることにより、再度細かな液滴となって気液混合室に飛
散するので、軸受隙間から潤滑液を噴霧したのと同様、
潤滑液の冷却効果を高めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の液体動圧軸受ユニットを詳細に説明する。図1は工作
機械の主軸頭等に装着されるスピンドル装置を示すもの
であり、かかる装置のスピンドル主軸の回転を支承する
軸受として本発明の液体動圧軸受ユニットが適用されて
いる。同図において、符号21は軸端にクイル軸(図示
せず)を介して砥石が装着される回転軸としてのスピン
ドル主軸、符号22は上記スピンドル主軸21を駆動す
るモータ、符号23は上記スピンドル主軸の回転を支承
するラジアル動圧軸受、符号24はスピンドル主軸21
の軸方向への移動を規制するスラスト動圧軸受、符号2
5はこれらラジアル動圧軸受23及びスラスト動圧軸受
24に潤滑液を供給する吸蔵体、符号26は上記スピン
ドル主軸21、モータ22、ラジアル動圧軸受23、ス
ラスト動圧軸受24及び吸蔵体25を収容したハウジン
グであり、このハウジング26に形成されたフランジ部
27を介してスピンドル装置全体が工作機械の主軸頭等
に固定されるようになっている。
【0017】上記スピンドル主軸21は、ラジアル動圧
軸受23及びスラスト動圧軸受24によってその回転を
支承されており、かかるラジアル動圧軸受23の内輪と
してのジャーナル部28と、上記クイル軸の取付け孔
(図示せず)を有する先端部29と、上記モータ22を
貫通すると共に該モータ22のロータ31が固定される
連結部30とから構成されている。
【0018】スピンドル主軸21を駆動するモータ22
は、スピンドル主軸21の連結部30に固定されたロー
タ31と、ハウジング26に固定されたステータ32と
から構成されており、ハウジング26に取り付けられた
コネクタ33を介してモータ22駆動信号が外部から上
記ステータ32に入力されるようになっている。また、
このモータ22で発生した熱がスピンドル主軸21に流
入して該スピンドル主軸21が膨張するのを極力防止す
るため、上記ハウジング26にはウォータジャケット3
4が設けられている。
【0019】上記ハウジング26に対してスピンドル主
軸21の回転を支承しているラジアル動圧軸受23は、
かかるスピンドル主軸21のジャーナル部28に固定さ
れた回転側部材としてのスリーブ35と、このスリーブ
35の外側に遊嵌すると共に上記ハウジング26に固定
された固定側部材としての軸受リング36とから構成さ
れており、上記スリーブ35の外周面と軸受リング36
の内周面との間には所定の軸受隙間(例えば5〜15μ
m)が形成されている。尚、ラジアル動圧軸受23の内
輪としてのスリーブ35をスピンドル主軸21のジャー
ナル部28に嵌合させたが、かかるジャーナル部28を
そのまま内輪として機能させ、上記スリーブ35を省略
してラジアル動圧軸受23を構成することもできる。
【0020】一方、上記スラスト動圧軸受24はラジア
ル動圧軸受23を挟むようにして一対設けられており、
これらスラスト動圧軸受24,24によってスピンドル
主軸21の軸方向への移動が規制されている。このスラ
スト動圧軸軸受24は、スピンドル主軸21のジャーナ
ル部28及び上記スリーブ35を挟むようにして該スピ
ンドル主軸21に固定された回転側部材としての一対の
スラスト板37,37と、前述の軸受リング36とから
構成されており、これらスラスト板37,37と軸受リ
ング36の軸方向の端面との間にはラジアル動圧軸受2
3の軸受隙間と連通する所定の軸受隙間が形成されてい
る。
【0021】上記軸受リング36の内周面と対向するス
リーブ35の外周面には、図2に示すように、ヘリング
ボーン状の動圧発生用溝7が形成されており、スピンド
ル主軸21が回転すると、かかる動圧発生用溝7によっ
て軸受リング36とスリーブ35の軸受隙間、すなわち
ラジアル動圧軸受23の軸受隙間に介在する潤滑流体が
加圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成さ
れるようになっている。これにより、スピンドル主軸2
1は軸受リング36に対して非接触の状態でその回転を
支承されることとなる。
【0022】一方、上記軸受リング36の軸方向端面と
対向するスラスト板37の一面には、図3に示すよう
に、スパイラル状の動圧発生用溝8が形成されており、
上記スピンドル主軸21が回転すると、かかる動圧発生
用溝8によって軸受リング36とスラスト板37の軸受
隙間、すなわちスラスト動圧軸受24の軸受隙間に介在
する潤滑流体が加圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体
潤滑膜が形成されるようになっている。その結果、スピ
ンドル主軸21は上記軸受リング36を挟んで設けられ
た一対のスラスト動圧軸受24によってその軸方向の移
動が規制されることとなる。
【0023】この液体動圧軸受ユニットではラジアル動
圧軸受23及びスラスト動圧軸受24の各潤滑流体とし
て、水や機械加工用クーラント液等の液体を使用してお
り、かかる潤滑液は軸受リング36を半径方向に貫通す
るようにして形成された供給流路38から上記ラジアル
動圧軸受23の軸受隙間に供給されるようになってい
る。
【0024】かかる潤滑液は上記吸蔵体25に吸収され
た状態でハウジング26内に貯蔵されている。この吸蔵
体25は高吸水繊維から形成されており、挿入された輸
液管39によって上記供給流路38と連結されている。
従って、上記吸蔵体25に貯蔵された潤滑液はこの輸液
管39を介してラジアル動圧軸受23の軸受隙間に供給
される。尚、吸蔵体25に吸収された潤滑液は重力によ
って該吸蔵体25に下方により多く貯蔵されることにな
るので、上記輸液管39はその先端が吸蔵体25の下部
に達するように挿入されている。
【0025】ここで、上記スリーブ35に形成されたヘ
リングボーン状の動圧発生用溝7は、図2中に矢線で示
す方向へスピンドル主軸21が回転すると、かかる回転
に伴って軸受隙間の潤滑液をスリーブ35の軸方向の両
端に向けて加圧する所謂ポンプアウト型に形成されてい
る。また、スラスト板37に形成されたスパイラル状の
動圧発生用溝8は、図3中に矢線で示す方向へスピンド
ル主軸21が回転すると、かかる回転に伴って軸受隙間
の潤滑液をスラスト板37の内径から外径へ向けて加圧
する所謂ポンプアウト型に形成されている。
【0026】従って、この動圧軸受ユニットでは上記ス
ピンドル主軸21が回転を開始すると、ラジアル動圧軸
受23の軸受隙間に存在する潤滑液が軸受リング36の
両端に配置されたスラスト板37に向けて自ずから流動
するので、これに伴ってかかる軸受隙間には上記吸蔵体
25から供給流路38を経て潤滑液が自然に流入してく
る。また、ラジアル動圧軸受23の軸受隙間はスラスト
動圧軸受24の軸受隙間と連通していることから、ラジ
アル動圧軸受23の軸受隙間で加圧された潤滑液はスラ
スト動圧軸受24の軸受隙間へと流れ込み、スピンドル
主軸21の回転に伴ってスラスト板37の内径から外径
へと流動する。つまり、この動圧軸受ユニットにおいて
は、スピンドル主軸21が回転すると、吸蔵体25に貯
蔵された潤滑液が供給流路38からラジアル動圧軸受2
3の軸受隙間に吸引されると共にスラスト動圧軸受24
の外径側から排出され、潤滑液を各動圧軸受23,24
の隅々にまで行き渡らせることができるようになってい
る。
【0027】一方、スラスト動圧軸受24の外径側から
排出された潤滑液を吸収して回収すべく、上記吸蔵体2
5は一対のスラスト板37の外周側に対応してハウジン
グ26内に収容されており、図4及び図5に示すよう
に、かかる軸受24の外周側から排出された潤滑液が回
収流路40を経て吸蔵体25に吸収されるようになって
いる。
【0028】その結果、この実施例のスピンドル装置で
は、スピンドル主軸21がモータ22の動力によって回
転を開始すると、吸蔵体25に貯蔵されている潤滑液が
ラジアル動圧軸受23の軸受隙間に供給される一方、ス
ラスト動圧軸受24から排出された潤滑液が吸蔵体25
に吸収され、かかる潤滑液をハウジング26外へ殆ど漏
出させることなく循環させながら、スピンドル主軸21
の高速回転を支承することができるものである。
【0029】一方、図4および図5に示すように、上記
スラスト板37の外周側には環状の気液混合室44が形
成されており、スラスト動圧軸受24の軸受隙間はこの
気液混合室44に開口している。この気液混合室44の
一部は上記スラスト板37の外周縁に環状溝10を切り
欠くことによって形成されている。従って、潤滑液はス
ラスト動圧軸受24の軸受隙間から環状の気液混合室4
4に直接排出された後、上記回収流路40を経て吸蔵体
25に回収される。このような気液混合室44を設けた
理由は以下の通りである。
【0030】すなわち、ラジアル動圧軸受23及びスラ
スト動圧軸受24の軸受隙間は十数μmと極めて小さ
く、スピンドル主軸21が高速回転すると、各動圧軸受
23,24の軸受隙間を流動する潤滑液は剪断摩擦熱に
よって高温となってしまう。このため、高温となった潤
滑液を冷却することなくそのまま循環させて使用してい
ると、ラジアル動圧軸受23を構成するスリーブ35が
熱膨張を生じ、軸受隙間が消失して軸受リング36と固
体接触を生じてしまったり、スピンドル主軸21の熱膨
張によってワークの加工精度が悪化する等といったトラ
ブルが発生する。
【0031】しかし、スラスト動圧軸受24で加圧され
た高圧の潤滑液を該軸受隙間よりも大きな開口断面積を
有する気液混合室44に噴出させるように構成した場
合、各動圧軸受23,24の軸受隙間が十数μmである
ことからすれば、高さ3mm程度の気液混合室44でも
スラスト動圧軸受24の軸受隙間の約200倍の広さを
有していることになる。スラスト動圧軸受24において
発生している潤滑液の圧力は数十気圧にも達しているこ
とから、軸受隙間よりも十分に広い気液混合室44に潤
滑液を噴出させると、潤滑液は気体中に噴霧されたのと
同じ状態になる。その結果、潤滑液はスラスト動圧軸受
24から上記気液混合室44へ噴出する際に気化熱を奪
われることとなり、動圧軸受23,24内で高温となっ
た潤滑液の温度を低下させることができるのである。
【0032】このため、本実施例のスピンドル装置で
は、ラジアル動圧軸受23及びスラスト動圧軸受24の
軸受隙間において高温となった潤滑液を、気液混合室4
4で冷却しながら吸蔵体25に回収することができ、ウ
ォータジャケットや潤滑液クーラ等の特別な冷却手段を
設けずとも、吸蔵体25を介して軸受隙間を循環させて
いる潤滑液の温度が累積的に上昇するのを効果的に防止
することができるものである。また、常に冷却された潤
滑液を吸蔵体から各動圧軸受23,24の軸受隙間に供
給し得ることから、スリーブ35やスピンドル主軸21
が熱膨張するのも効果的に防止することができるもので
ある。
【0033】また、本実施例ではスラスト動圧軸受24
の軸受隙間から気液混合室44に噴霧された潤滑液を一
層効果的に上記吸蔵体25に回収するべく、上記気液混
合室44に対して加圧気体を導入し、噴霧された潤滑液
をこの加圧気体に乗せて吸蔵体25へと搬送している。
具体的には、図4に示すように、モータ22が収容され
たハウジング26内の空間41を加圧することで、かか
る加圧空気をモータ22側のスラスト板37とハウジン
グ26との隙間に流入させている。また、図5に示すよ
うに、ハウジング26のクイル軸側にはスラスト板37
の背面側に加圧空気を導入するための吸気流路41を形
成し、やはり加圧空気をクイル軸側のスラスト板37と
ハウジング26との隙間に流入させている。
【0034】このようにスラスト板37の背面側から気
液混合室44に対して加圧気体を作用させると、吸蔵体
25に対する潤滑液の回収が促進される他、気液混合室
44内の潤滑液はスラスト板37の背面側に回り込むこ
とができないので、加圧空気と共に回収流路40に流入
するしかなく、かかる加圧空気の支援の下、潤滑液を完
全に吸蔵体25に吸収させることができるものである。
また、潤滑液は吸蔵体25に吸収されることで加圧気体
と分離されるので、かかる潤滑液を確実に回収して再度
ラジアル動圧軸受23に供給することができるものであ
る。尚、加圧気体を吸蔵体25へと導くため、図1に示
すように、ハウジング26には吸蔵体25とハウジング
26外を連結する脱気孔43が形成されている。
【0035】一方、前述の如く潤滑液をスラスト動圧軸
受24の軸受隙間から気液混合室44に噴霧したとして
も、その一部はスラスト板37の外周縁に付着して該ス
ラスト板37の回転に連れ回ることから、付着した状態
で徐々に大きな液滴を形成してしまい、噴霧による潤滑
液の冷却効果が低減してしまう懸念がある。このため、
本実施例ではスラスト板37に形成した上記環状溝10
の外周縁に対して一定の間隔で放射状の分断溝9を形成
し(図3参照)、スラスト板37が回転した際にその外
周縁に付着した潤滑液をこの分断溝9によって該スラス
ト板37から早期に分離するように構成した。また、ス
ラスト板37から分断される潤滑液の液滴は上記分断溝
9の側壁に衝突して打ち砕かれるので、スラスト板37
に連れ回って成長した液滴を再度微細化して飛散させる
ことができ、噴霧による潤滑液の冷却効果が低減するの
を効果的に防止することができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の液体
動圧軸受ユニットによれば、動圧軸受の軸受隙間で加圧
された潤滑液を気体が導入された気液混合室に排出させ
るのみで、かかる軸受隙間内で高温になった潤滑液を冷
却することができるので、潤滑液を冷却するための特別
な装置が不要となり、高速でかつ長時間継続して運転可
能な液体動圧軸受ユニットを安価に且つコンパクトに製
作することが可能となる他、冷却された潤滑液を液供給
手段によって回収し、これを軸受隙間に対して再供給す
ることで、動圧軸受を構成する回転側部材、固定側部材
および回転軸の熱膨張を抑え、ひいては高速回転時にお
ける回転側部材と固定側部材の固体接触、並びに回転軸
の寸法精度の悪化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体動圧軸受ユニットをスピンドル
主軸の支承に適用したスピンドル装置の実施例を示す概
略図である。
【図2】 実施例に係るラジアル動圧軸受の動圧発生用
溝を示す図である。
【図3】 実施例に係るスラスト動圧軸受のスラスト板
を示す図である。
【図4】 実施例中におけるモータ側のスラスト板の周
辺を示す要部拡大図である。
【図5】 実施例中におけるクイル軸側のスラスト板の
周辺を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
21…スピンドル主軸(回転軸)、25…吸蔵体、35
…スリーブ(回転側部材)、36…軸受リング(固定側
部材)、37…スラスト板(回転側部材)、39…輸液
管、44…気液混合室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 溝渕 庄太郎 山梨県中巨摩郡玉穂町中楯754、テイエチ ケー株式会社甲府工場内 Fターム(参考) 3J011 AA09 BA02 CA01 CA02 JA02 KA04 MA03 MA23 3J017 EA01 GA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、このハウジングに対して
    回転自在に設けられた回転軸と、この回転軸に固定され
    る回転側部材と、この回転側部材と所定の軸受隙間を介
    して対向すると共に上記ハウジングに固定された固定側
    部材とを備え、かかる回転側部材の回転に応じて上記軸
    受隙間に介在する潤滑液を加圧し、これにより生じた高
    圧の流体潤滑膜によって上記回転軸の回転を支承するよ
    うに構成した液体動圧軸受ユニットにおいて、 上記ハウジング内には上記動圧軸受の軸受隙間から潤滑
    液が直接噴出すると共にハウジング外から気体が導入さ
    れる気液混合室を設ける一方、この気液混合室から潤滑
    液を回収すると共に上記軸受隙間に対して潤滑液を再供
    給する液供給手段を設けたことを特徴とする液体動圧軸
    受ユニット。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液体動圧軸受ユニットに
    おいて、上記気液混合室に対し、ハウジングと回転側部
    材が形成する隙間から加圧気体を導入し、かかる気液混
    合室に吐き出された潤滑液を加圧気体と共に上記液供給
    手段に回収するように構成したことを特徴とする液体動
    圧軸受ユニット。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の液体動圧軸受ユニ
    ットにおいて、上記液供給手段は、上記ハウジングに内
    蔵されると共に潤滑液を吸収して貯蔵する吸蔵体と、一
    端がこの吸蔵体に接続されると共に他端が上記軸受隙間
    に開口した輸液管とからなることを特徴とする液体動圧
    軸受ユニット。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液体
    動圧軸受ユニットにおいて、上記気液混合室に面した回
    転側部材の端部には、その円周方向に沿って放射状の溝
    を形成したことを特徴とする液体動圧軸受ユニット。
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