JP3184208B2 - 工作機械の主軸冷却機構 - Google Patents

工作機械の主軸冷却機構

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JP3184208B2 JP25886090A JP25886090A JP3184208B2 JP 3184208 B2 JP3184208 B2 JP 3184208B2 JP 25886090 A JP25886090 A JP 25886090A JP 25886090 A JP25886090 A JP 25886090A JP 3184208 B2 JP3184208 B2 JP 3184208B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、工作機械の主軸の冷却機構に関するもので
ある。
〔従来の技術〕
工作機械の主軸軸受装置は、その稼働中に負荷駆動に
よって発熱し、熱伝導によって主軸を加熱・膨張させる
結果、たとえばハウジングに対して主軸が伸びて稼働
中、ワークに対する工具位置が変動するとか、発熱・放
熱の不均等に基づく主軸の姿勢変形が生じる等の不都合
がある。
その対策として従来、主軸軸受のハウジング外周のジ
ャケットに冷媒を通して、主軸軸受から発生する熱エネ
ルギーを吸収させる。
あるいは、主軸軸受に、直接的に冷却空気−油混合ミ
ストを吹き付けて発生熱を吸収する。
また、主軸軸受、それ自体に潤滑・冷却油を直接供
給、循環させて熱発生部分を冷却する。
等々の一つまたは、それ以上の手当を施すことが行わ
れていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、主軸軸受のハウジング外周のみを冷却する
間接方式では、軸受装置の冷却が充分でなく、そのため
主軸の熱変位を低減することができないという欠点があ
る。
主軸軸受を冷却液または気体により直接冷却する方式
では、主軸の一定の回転数以上で冷却効果が優良とはい
えず、また、冷却液の供給−回収孔の間においてハウジ
ング、軸受取付機構等に温度勾配が生じ易く、その為、
主軸に姿勢変形を生じるおそれがある。
また、構造上、冷却液またはミストを回収し易い軸受
と、回収し難い軸受とができ、冷却(潤滑)液を完全に
回収できない軸受では、同装置に滞留する冷却液が連れ
回りして撹拌抵抗が生じ発熱して、主軸の熱変位を起
す。
また、これに伴なって主軸駆動モータの負荷も大きく
なって好ましくない。
軸受ハウジングのジャケット冷却方式と主軸軸受を直
接冷却する方式とを併用することによって、主軸の熱変
位を低減できる技術が開発されているが、主軸軸受の間
接冷却と、前記軸受装置の直接冷却(潤滑)とを別々の
装置〔ジャケット冷却は液冷でもよく、軸受装置の冷却
は一般に気・液混合流体または潤滑油を使用するから、
両者の冷却(潤滑)装置は、別々のものとなる可能性が
高い〕で行うことは、主軸冷却装置の構造を複雑にし
て、トラブル発生の要因を多くさせるばかりでなく、コ
ストアップの原因となる。
そこで本発明は、従来装置に内在する上述のような各
種の問題点を解消し、要するに工作機械における主軸の
熱変位の低減と、主軸駆動モータの不用な負荷の低減と
を目的とした、工作機械の主軸の冷却機構を提供しよう
とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上述目的を達成するため、以下に述べると
おりの各構成要件を具備する。
(1)軸受によりハウジングに主軸を回転支持する工作
機械の主軸冷却機構において、 前記ハウジングに設けたジャケット内に潤滑油を循環
させて前記軸受を外周から間接的に冷却し、前記ジャケ
ット内を循環させた後の潤滑油を前記軸受に噴出させて
前記軸受を直接的に冷却し、前記軸受に噴出する潤滑油
の供給側と前記軸受を挾んだ前記潤滑油の貫通側との前
記軸受の前後両側の空隙に潤滑油排出孔を接続し、各潤
滑油排出孔にそれぞれサクションポンプを連結して前記
軸受を冷却した後の潤滑油を回収したことよりなる工作
機械の主軸冷却機構。
〔作用〕
冷却した潤滑油を軸受ハウジングのジャケット内を通
してハウジング外周部分を均一に、かつ広範囲に間接冷
却すると共に、前記ジャケットと、主軸軸受の各々に対
向して配置されたノズルとの間を連通する。
ノズルから噴出した冷却(潤滑)液は、主軸軸受に供
給され、軸受を潤滑すると共に、直接的に冷却する。そ
して、各主軸軸受を冷却・潤滑した冷却(潤滑)液は、
それぞれの軸受取付部空隙に滞留するが、各軸受に対応
して、それぞれの空隙部に開口する前記冷却液の回収孔
につながる回収ラインには、各別にサクションポンプを
連結して、各軸受毎に独立して冷却特性を従い、また冷
却液の回収を効果的に行えるようにし、結果的には、各
軸受個々の特性に合わせて冷却・給油量の設定を行う。
要するに、冷却(潤滑)液回収の個別系統化を実現す
る。
かくして、主軸軸受の発熱量および、使用済み潤滑液
の滞留によって生じる連れ回り・撹拌等の作用で失われ
る主軸の駆動トルクを最小に押えることができ、主軸の
熱変位も、また減少させることができる。
なお、主軸軸受から回収した冷却・潤滑液は、サクシ
ョンポンプ通過後、潤滑油タンク兼冷却装置に送られ、
前記タンクから再び軸受ハウジングのジャケットに供給
され全体的に循環作用を行うものとなる。
さらに、潤滑油を軸受に噴射供給した側と、貫通した
側との双方から使用済み潤滑油を吸引することにより、
前記潤滑油が確実に軸受に回り込み、かつ、余分に供給
された潤滑油は、軸受装置に滞留せずに回収される。
〔実 施 例〕
以下に、図面に沿って本発明装置の一実施例につき説
明するが、当該実施例を構成する各部材の構成は、本発
明の出願当時、当業界における技術レベル範囲内におい
て適宜の設計変更が可能であるから、格別の理由を示さ
ない限り、以下記載の実施例の構造のみに基づき本発明
の各構成要件を限定して解すべきではない。
第1図は、本発明にかかる工作機械の主軸装置の実施
例の側断面および冷却系統図を示す。
図中、1は、主軸で、その一端は工作機械のハウジン
グ外に伸びて、端面には工具のシャンクを嵌着するテー
パ孔2を開口し、その他端は前記機械に搭載した電動機
3の出力軸4に直結している。
主軸1は、その長手軸方向に沿って不連続に配置され
た複数個のベアリング5〜8によって後述するハウジン
グ12に軸受されており、本実施例の場合は、主軸先端側
から順に、ローラベアリング5、スペーサ9を隔ててボ
ールベアリング6、さらにスペーサ10を隔ててボールベ
アリング7、それから、やや間隔をおいて電動機3寄り
に、ローラベアリング8に続いてスペーサ11が配置され
ている。
上述の各ベアリングおよびスペーサは、いずれも工作
機械のハウジング12に内装され、相互に移動・回動不能
なように取付けられる。
したがって、上記各スペーサによって形成された各軸
受相互間の空間は、それぞれ主軸1周面とハウジング12
の内壁とに囲まれ各ベアリングを隔てて略、独立してい
るものと解して差支えない。
もっとも、主軸1の長手軸方向におけるベアリング7
とベアリング8との間にはスペーサが施されていないけ
れども、主軸1に段差を設けるとか、締付けリングを前
記軸に固着する等の手段によって、当該部分にスペーサ
を施したと同等の構成を実現している。
なお、前記電動機3は、工作機械のハウジング12に取
付けられている。
13および14は、冷却液循環ジャケット15,16を設けた
ハウジングの外被で、前記外被は、それぞれハウジング
12を介してベアリング列5〜7およびベアリング8の取
付位置に対応する外周に隙間なく(部材相互の接触面に
は、それぞれシール材を介在させてある)嵌着してあ
る。
なお、34は、主軸1の外側延長部に遊嵌し、かつハウ
ジング12に固着した主軸軸受5の押え板である。
上述構造の主軸軸受装置に対して、別に設けた、 17は、冷却(潤滑)液の冷却兼供給・送出装置、 18は、下流側をジャケット15とジャケット16とに分岐
・供給する冷却液供給パイプで、供給・送出装置17とハ
ウジングの各ジャケット15,16との間を連結している。
19〜22は、主軸軸受に対向し、各スペーサ空間に設置
された潤滑油供給ノズルで、各ノズル19〜22とジャケッ
ト15,16との間を、それぞれ連結して送油パイプが設け
てある。
23〜27は、それぞれ各スペーサ空間に開口する潤滑油
等の排出孔で、ベアリング5〜8の各両側から潤滑油を
回収できるようになっている。
すなわち、ノズル19から供給された潤滑油は排出孔23
および24から、ノズル20から供給された潤滑油は排出孔
24および25から、ノズル21から供給された潤滑油は排出
孔25および26から、ノズル22から供給された潤滑油は排
出孔26および27から、それぞれ吸引される。
そして、排出孔23〜27に連なる各油排出パイプの下流
側には、各別にインバータモータ付サクションポンプ28
〜32が、それぞれ独立して連結されている。
インバータモータの出力は各スペーサ空間から回収す
る使用済み潤滑油の油温センサからの信号に基づいて制
御され、前記回収油温が所定よりも高い場合にはサクシ
ョンポンプの機能を高めて、その結果、冷却潤滑油の供
給量を増加するよう調整し、比較的に低い場合にはサク
ションポンプを通常運転するよう設けてある。
したがって、主軸軸受の配置、軸受および、その取付
構造などの相違に起因して各軸受部分の発熱量が異なる
とか冷却効果が相違するなどの原因で、各スペーサ空間
から回収する使用済み潤滑油の油温に差異が生じた場合
にも、それに応じて、使用済み潤滑油をスペーサ空間か
ら排出する各サクションポンプの能力を個々に制御する
ことにより、ジャケットによる軸受外周部分の間接冷却
効果と相俟って、稼働中、主軸および各軸受部分のすべ
てが設計値に近い温度範囲に納まるよう冷却・潤滑する
ことができる。
もっとも、定型機種の軸受構造の場合には、経験上、
各軸受部分の発熱量は前もって予測または計測可能であ
るから、冷却潤滑油供給ノズルまたは、これに対応する
サクションポンプ容量を前記発熱量に合わせて、あらか
じめ調整しておくことにより、敢えてインバータモータ
などを設備する必要はない。
かくして、主軸の各軸受温度を所定範囲内に納めるよ
う調整できることは勿論、各スペーサ空間に使用済み潤
滑油が必要量以上滞留して主軸軸受の駆動に応じて連れ
回り撹拌され、それが原因で発熱するとか、主軸の回転
トルクを無用に消費するといった不都合が生じることを
防ぐことができる。
すなわち、稼働中の主軸の熱変形を所定の範囲、最小
限に納めることが可能となると共に、潤滑油の撹拌によ
るロストルクを最小に押えることができる。
サクションポンプ28〜32から排出された潤滑油は、ま
とめて潤滑油タンク33に放出され、潤滑油がタンク33に
残る。
タンク33に滞留した潤滑油は、潤滑油冷却兼供給装置
17に移送され、再び冷却(潤滑)液供給パイプ18を通し
てジャケット15および16に移送され、かくして、冷却・
潤滑油は主軸装置に付設した冷却機構内を循環する。
なお、ジャケット15,16に供給される冷却(潤滑)液
は、必要に応じ、その全部を主軸軸受の冷却・潤滑のた
めに利用する事を要さず、たとえば軸受冷却機構に対し
てバイパス流路を施し、余剰分の冷却液をジャケット1
5,16から直接潤滑油冷却・供給装置17に戻すことも自由
である。
上述のように、本実施例主軸冷却機構は、一種類の冷
却・潤滑油を循環させるだけで効果的に、かつ広範囲に
軸受部分を冷却・潤滑し、殊に、軸受構造とか、その配
置などが異なるために生じる当該個所の発熱または冷却
量の相違に応じ、きめ細かく冷却・潤滑油の供給・排出
を調整でき、また、冷却作用の調整が軸受温度に敏速に
対応するので、主軸の熱変形を所定範囲内に納め、か
つ、使用済み潤滑油撹拌に基づく主軸のロストルクを大
巾に軽減することができた。
〔発明の効果〕
以上のとおりであるから、本発明装置によれば、 (1)主軸軸受(発熱源)を外周から冷却する間接冷却
と、ノズルによる直接冷却とを共用しているために、冷
却効果が良好で、かつ、軸受装置の温度変動に対する応
答速度も速い。
(2)主軸軸受を直接冷却する方式は、冷却(潤滑)液
の出入口の間付近で温度勾配が生じ易いが、ジャケット
による間接冷却方式を併用することによって略、均等に
装置を冷却することができて、主軸の熱変形を低減でき
た。
(3)必要個所(各スペーサ空間)に、それぞれ独立し
てサクション機構を連結したから、各主軸軸受個々の条
件に合わせて冷却・潤滑油の供給量(冷却能力)を設定
・調整することが可能となり、効果的には使用済み潤滑
油撹拌に起因する発熱を減少し、かつ、主軸モータ負荷
を軽減することができる。
(4)潤滑油を軸受に噴射供給する側と、潤滑油が貫通
した側との双方から使用済み潤滑油を吸引することによ
り、潤滑油が確実に軸受に回り込み、かつ、余分に供給
された潤滑油は装置に滞留せず効果的に回収される。
(5)主軸外周の間接冷却も主軸軸受の直接冷却につい
ても、一種類の潤滑油を用いて装置内を循環させるだけ
であるから、潤滑油冷却装置が一個で済み、経済的であ
る。
等々、従来、実施されている工作機械の主軸冷却機構
には期待することができない、格別の作用および効果を
奏するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明、主軸冷却機構の側断面および冷却液
循環系統図を示すものである。 1……主軸、2……テーパ孔、 3……電動機、4……出力軸、 5〜8……主軸軸受、9〜11……スペーサ、 12……ハウジング、13,14……外被、 15,16……ジャケット、 17……潤滑油冷却・供給装置、 18……冷却(潤滑)液供給パイプ、 19〜22……冷却液供給ノズル、 23〜27……潤滑油排出パイプ、 28〜32……インバータモータ付サクションポンプ、 33……潤滑油タンク、34……押え板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−114846(JP,A) 特開 平4−101747(JP,A) 実開 平3−26829(JP,U) 実開 昭52−138480(JP,U) 実開 平2−47150(JP,U) 実公 昭60−23553(JP,Y2) 実公 昭56−25791(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 11/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸受によりハウジングに主軸を回転支持す
    る工作機械の主軸冷却機構において、 前記ハウジングに設けたジャケット内に潤滑油を循環さ
    せて前記軸受を外周から間接的に冷却し、前記ジャケッ
    ト内を循環させた後の潤滑油を前記軸受に噴出させて前
    記軸受を直接的に冷却し、前記軸受に噴出する潤滑油の
    供給側と前記軸受を挾んだ前記潤滑油の貫通側との前記
    軸受の前後両側の空隙に潤滑油排出孔を接続し、各潤滑
    油排出孔にそれぞれサクションポンプを連結して前記軸
    受を冷却した後の潤滑油を回収したことを特徴とする工
    作機械の主軸冷却機構。
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JP2677505B2 (ja) * 1993-07-07 1997-11-17 株式会社牧野フライス製作所 工作機械の主軸装置
JP4993680B2 (ja) * 2006-10-20 2012-08-08 オークマ株式会社 主軸装置
CN115106823A (zh) * 2022-07-26 2022-09-27 武汉重型机床集团有限公司 车铣磨刀架主轴的动力装置

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