JP2000328441A - 赤外線による透視を防ぐ肌面当接用繊維材料及び衣料 - Google Patents
赤外線による透視を防ぐ肌面当接用繊維材料及び衣料Info
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Abstract
して使用する場合の意匠性にも影響することなく、赤外
線透視撮影を阻止する事を目的とする肌面当接用繊維材
料及び衣料を提供する。 【解決手段】 赤外線吸収能または赤外線反射能を有す
る部分を表面積に対して40〜80%偏在させてなる赤
外線による透視を防ぐ肌面当接用繊維材料、及び該繊維
材料からなる衣料もしくは該繊維材料を部分的に有して
なる衣料とする。
Description
・透視撮影が可能なカメラに対し、赤外線を吸収あるい
は反射することにより透視を防ぐ性能を有する肌面当接
用繊維材料及び衣料に関し、特にスポーツ衣料等の薄地
素材といった肌に密着させて着用する衣料に利用される
繊維材料とその衣料に関する。
様な機能が付加され、暗闇での撮影、すなわち暗視撮影
が可能なものも上市されている。この暗視撮影の原理は
次の通りである。現在、一般に普及しているビデオカメ
ラのCCDレンズは、可視光線と赤外線、紫外線を捕ら
えているが、カメラ本体に赤外線と紫外線を吸収するシ
ールドが内蔵されており、このシールドでCCDレンズ
が捕らえた映像の色彩、色調を補正し、自然に近い映像
をファインダーに映し出している。この内蔵されている
赤外線を吸収するシールドを除去することで、赤外線で
の撮影が可能となり、更に可視光線をカットするフィル
ターを装着すると、色彩識別の情報処理が単純化され、
暗闇での素粒子現象が抑えられることで暗闇における暗
視撮影が可能となる。市販されている暗視撮影が可能な
ビデオカメラは、物理的、電気的に上記の赤外線を吸収
するシールドを除去している。また暗視撮影機能を持た
ないカメラも、容易に暗視撮影可能なカメラに改造する
ことができる。
の多い条件下で使用すると、衣料の透視ということにも
利用されてしまうことがわかった。これは、赤外線が衣
料を直進透過してしまうのに対し、人間の肌には反射さ
れ、この反射された赤外線を人間裸体の像として捕らえ
ることにより可能となっていると考えられる。この様に
暗視撮影機能は、暗闇での暗視という目的以外に、水着
などの肌に密着した衣料を透視し、非人道的な行為に利
用される事があり、社会的な問題を生じている。
特に赤外線撮影に使用される780〜1500nmの波
長を持つ赤外線を衣料が吸収あるいは反射し、赤外線を
肌にまで到達させない、または肌側からの赤外線を衣料
の外に出さないようにすることが考えられる。従来、赤
外線吸収あるいは反射能を付与した繊維材料としては、
いわゆる迷彩服が知られている。これは、戦場において
赤外線による偵察から逃れるために、衣服の赤外線反射
率を草木などの自然環境の赤外線反射率に近づける事を
目的とし、赤外線波長領域において特定の赤外線吸収能
を有する染料、顔料などにより迷彩模様を施したもので
ある(特開平5−132879号公報)。迷彩服はその
目的から衣服全面に迷彩模様を有することを必要として
いるため、風合いが損なわれ、高度の屈曲や伸縮、摩耗
に耐えられないばかりでなく、通気性をも阻害するため
に衣料内の快適性が失われ、スポーツ衣料等に応用する
ことは困難である。
ジルコニウム等の赤外線を吸収する無機物を練り込んだ
繊維製品(特開平3−3202号公報)や、また逆に太
陽光を遮断し体温の上昇を防ぐ目的として、無機化合物
を繊維中に練り込み、または含浸させた素材(特開平5
−186942号公報)が開示されている。しかし、炭
化ジルコニウム等及び無機化合物は、極めて固い物質で
あり繊維本来の風合いが損なわれ、また赤外線だけでな
く可視光線をも吸収し濃色品しか得られないといった問
題がある。この様に従来技術は、赤外線による透視を防
ぐことを目的としておらず、またそれら繊維材料の持つ
性能を阻害しないように赤外線吸収能または反射能を付
与した、満足できる繊維材料及び衣料は提案されていな
い。
風合い、性能を損なわず、衣料として使用する場合の意
匠性にも影響することなく、赤外線透視撮影を阻止する
事を目的とする繊維材料及び衣料を提供するものであ
る。
または赤外線反射能を有する部分を表面積に対して40
〜80%偏在させてなる赤外線による透視を防ぐ肌面当
接用繊維材料、及び該繊維材料からなる衣料もしくは該
繊維材料を部分的に有してなる衣料であり、好ましくは
この赤外線吸収能または赤外線反射能を裏面に有するこ
とを特徴とする衣料である。繊維材料に赤外線吸収能ま
たは赤外線反射能を付与するには、近赤外線領域(78
0〜1500nm)の波長を吸収、又は反射する物質を
繊維材料に固着させればよい。
m)の波長を吸収、又は反射する物質を赤外線遮断剤と
する。また肌面当接用繊維材料を単に繊維材料と記載す
る。用いられる繊維素材としては特に限定されず、植物
繊維や動物繊維などの天然繊維、再生繊維、半合成繊維
及び合成繊維などの化学繊維、並びにこれら天然繊維と
化学繊維の混紡品、交織品、交編品などがある。また繊
維材料の形態も、織物、編物、不織布など特に限定され
るものではない。
ロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クロム、
コバルト金属錯塩化合物、ジチオール系金属錯塩化合
物、スクアリリウム化合物、イミニウム系化合物等の有
機化合物や無機錯体、酸化イッテルビウム、リン酸イッ
テルビウム等のイッテルビウム化合物、酸化スズ、酸化
インジウム等の無機化合物、またはそれらの混合物等が
あるが、繊維材料に付与した後の風合いなどを考慮する
と有機化合物が好ましく用いられる。また繊維に親和性
のない赤外線遮断剤を使用する場合は、バインダー樹脂
を使用して固着させる。親和性がある場合は、特にバイ
ンダー樹脂を用いる必要はない。バインダー樹脂は、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂など用い
られる赤外線遮断剤との相溶性が良いものを使用すれば
よい。
い、性能を損なわないために繊維材料全面に固着させな
い模様、例えば点、線、格子などとし、赤外線遮断剤を
偏在させることが重要であり、繊維材料の屈曲性、伸縮
性を阻害しない形状にするのが望ましい。赤外線吸収又
は反射能を有する部分とは赤外線遮断剤の固着部分を指
しており、表面積に対するその固着部分の面積は40〜
80%とする。固着部分の面積が80%以上になると、
繊維の持つ織編組織の自由度を束縛し、繊維の風合いに
影響を与え、また通気性を阻害することになる。逆に固
着部分の面積が40%以下になると、赤外線を透過する
面積が大きくなり透視阻止の効果が低減してしまう。こ
の固着形状の例を図1に示す。また、赤外線吸収または
反射能の付与は、衣料とした場合、その衣料全面に行う
必要はなく、最終製品の形態を加味し、透視を阻止した
い箇所にだけ付与させても良い。水着への付与例を図2
に示す。
材料全面に固着させない方法が採用され、従来の捺染手
法、例えばフラットスクリーンプリント法やロータリー
スクリーンプリント法,ローラープリント法等や、また
グラビア法、インクジェット法などがある。
射能を偏在させることで、繊維本来の風合いや屈曲性、
伸縮性を損なわず、特にスポーツ衣料に使用する場合、
運動への妨げ、胸部や臀部において緊張感や圧迫感を与
えずに、赤外線による透視を阻止することが可能とな
る。また、赤外線吸収または反射能を有する繊維材料を
一部または全面使用して衣料とした場合、赤外線遮断剤
の固着面を衣料の表面、あるいは表面と裏面としても良
いが、好ましくは裏面、つまり肌側とすることで、衣料
の色彩、意匠性を損なうこともない。
競技用及びファッション水着、マリンスポーツウェア
ー、体操着、レオタード、フィットネス着、スポーツウ
ェアー、ゲームウェアー、ブラウス、ポロシャツ、Tシ
ャツ、インナー等の薄地からなる衣料が例示でき、特に
肌に密着して着用するものに対しての効果が顕著であ
る。
80%とポリウレタン糸(44dtex)20%の交編
トリコット生地(目付100g/m2 )に、赤外線吸収
剤としてKayasorb IRG−002(イミニウ
ム系、日本化薬株式会社製)の水分散体0.1%とアク
リル系バインダー樹脂プライマルHA−8(日本アクリ
ル化学株式会社製)10.0%、増粘剤としてプライマ
ルASE−60(日本アクリル化学株式会社製)0.2
%の処理液をグラビアロールにて水玉模様状に片面塗工
し、温度130℃で2分間乾燥固着させた。尚、塗工部
分における固着部分の面積比率を0〜100%(固形換
算固着量:0.1〜1.8g/m2 対生地)に変化させ
た。水玉の直径は3mm以下とした。またここで云う面
積比率0%は未加工品、面積比率100%は全面均一に
塗工することを意味する。(図3)
グリーンに染色後、赤外線吸収剤としてKayasor
b IR−750(アントラキノン系、日本化薬株式会
社製)の水分散体0.1%、元糊(アルギン酸ソーダ8
%含有)60%、尿素10%の処理液を、スクリーン捺
染により片面プリント後、過熱蒸気170℃で2分間処
理し固着させた。そして処理布を洗浄後、加工布を得
た。尚、固着部分の面積比率は、加工例1と同様に変化
させた。
立分光光度計U−3410を用いて、波長1000nm
での赤外線透過率を測定した。固着部分面積率0%(未
加工)における透過率に対し、固着部分面積率40%以
上で透過率は半分以下の値を示すこととなった。結果を
図4に示す。
ビデオカメラでの撮影を行った。加工例1及び2の加工
布を赤外線吸収剤の固着面を裏面としてレオタード着を
作成後、女性に着用してもらい、赤外線撮影可能なソニ
ー株式会社製(製品名:ハンディーカムTRV9)ビデ
オカメラの暗視機能を働かせた状態で撮影した。尚、撮
影には赤外線照射量の多い太陽光下で行った。尚、この
試験の判定基準は以下のとおりである。 ◎:全く透視されない ○:ぼんやり影が見えるが、胸、肉付きなどの確認がで
きない △:胸、肉付きなどが確認できるが、見えにくい ×:透視される
阻止の効果が得られていることがわかる。
の加工布でレオタード着を作製し、女性10人による、
実着テストを行った。このテストに用いたレオタード着
は、上記試験例2(赤外線撮影試験)で透視阻止の効果
が得られた固着部分面積率が40〜100%の加工布の
みで作製した。また、固着面はレオタード着の裏面にな
るように配置した。尚、このテストによる評価項目と判
定基準は次のとおりである。 <ストレッチ性> ◎:良好、○:普通、△:多少動きにくい、×:動きに
くい <圧迫性> ◎:全くない、○:普通、△:多少圧迫感がある、×:
圧迫感がある <蒸れ性> ◎:全くない、○:普通、△:多少蒸れる、×:蒸れる <総合評価> ◎:違和感無く良好、○:普通、△:多少違和感があ
る、×:違和感強く不適当
高く、快適性がある。100%塗工品は繊維本来の性
能、風合いが損なわれ、衣料としては適当でない。
材料に偏在させ、その繊維材料を全面あるいは一部に有
した衣料は、繊維本来の風合いや屈曲性、伸縮性を損な
わず、特にスポーツ衣料に使用する場合、運動への妨
げ、胸部や臀部において緊張感や圧迫感を与えずに、近
年社会的に問題となっている赤外線による透視を阻止す
ることを可能とするものである。また、赤外線吸収又は
反射能の付与を好ましくは裏面、つまり肌側にすること
で、色彩、意匠性を損なうことのない衣料を得ることが
できる。
示す図。
を示す図。
Claims (5)
- 【請求項1】 赤外線吸収能または赤外線反射能を有す
る部分を表面積に対して40〜80%偏在させてなる赤
外線による透視を防ぐ肌面当接用繊維材料。 - 【請求項2】 赤外線吸収能または赤外線反射能を有す
る部分が赤外線吸収剤または赤外線反射剤を固着させた
ことによるものである請求項1記載の肌面当接用繊維材
料。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の繊維材料からな
る衣料。 - 【請求項4】 請求項1または2記載の繊維材料を部分
的に有してなる衣料。 - 【請求項5】 赤外線吸収能または赤外線反射能を裏面
に有することを特徴とする請求項3,4いずれかに記載
の衣料。
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- 1999-05-24 JP JP14253199A patent/JP4080106B2/ja not_active Expired - Fee Related
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