JP2000322937A - 異方導電性シートおよびその製造方法並びに回路装置の電気的検査装置および電気的検査方法 - Google Patents

異方導電性シートおよびその製造方法並びに回路装置の電気的検査装置および電気的検査方法

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JP2000322937A
JP2000322937A JP11132844A JP13284499A JP2000322937A JP 2000322937 A JP2000322937 A JP 2000322937A JP 11132844 A JP11132844 A JP 11132844A JP 13284499 A JP13284499 A JP 13284499A JP 2000322937 A JP2000322937 A JP 2000322937A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚みが大きくても高い導電性を有し、しか
も、高い接続信頼性が得られる異方導電性シートおよび
その製造方法の提供。検査対象である回路装置が突起状
電極を有するものであっても、接続信頼性が高くて所要
の電気的検査を確実に実行することができる回路装置の
電気的検査装置および検査方法の提供。 【解決手段】 本発明の異方導電性シートは、厚み方向
に伸びる複数の導電部が、絶縁部によって相互に絶縁さ
れた状態で配置されてなり、導電部の各々は、厚み方向
に貫通して伸びる筒状の金属部材とを有する。本発明の
電気的検査装置は、一面に多数の検査電極を有する検査
用回路基板と、その一面上に配置された上記の異方導電
性シートとを具える。本発明の電気的検査方法は、回路
装置の被検査電極と検査用回路基板の検査電極とを、上
記の異方導電性シートを介して電気的に接続させた状態
で電気的検査を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電子部品な
どの回路装置相互間の電気的接続や、プリント回路基
板、半導体集積回路などの回路装置の電気的検査に用い
られるコネクターとして好適な異方導電性シートおよび
その製造方法並びにこの異方導電性シートを用いた回路
装置の電気的検査装置および電気的検査方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】異方導電性エラストマーシートは、厚み
方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧さ
れたときに厚み方向にのみ導電性を示す加圧導電性導電
部を有するものであり、ハンダ付けあるいは機械的嵌合
などの手段を用いずにコンパクトな電気的接続を達成す
ることが可能であること、機械的な衝撃やひずみを吸収
してソフトな接続が可能であることなどの特長を有する
ため、このような特長を利用して、例えば電子計算機、
電子式デジタル時計、電子カメラ、コンピューターキー
ボードなどの分野において、回路装置、例えばプリント
回路基板とリードレスチップキャリアー、液晶パネルな
どとの相互間の電気的な接続を達成するためのコネクタ
ーとして広く用いられている。
【0003】また、プリント回路基板や半導体集積回路
などの回路装置の電気的検査においては、検査対象であ
る回路装置の一面に形成された被検査電極と、検査用回
路基板の表面に形成された検査用電極との電気的な接続
を達成するために、回路装置の被検査電極領域と検査用
回路基板の検査用電極領域との間に異方導電性エラスト
マーシートを介在させることが行われている。
【0004】従来、このような異方導電性エラストマー
シートとしては、種々の構造のものが知られており、例
えば特開昭51−93393号公報等には、金属粒子を
エラストマー中に均一に分散して得られる異方導電性エ
ラストマーシート(以下、これを「分散型異方導電性エ
ラストマーシート」という。)が開示され、また、特開
昭53−147772号公報等には、導電性磁性体粒子
をエラストマー中に不均一に分布させることにより、厚
み方向に伸びる多数の導電部と、これらを相互に絶縁す
る絶縁部とが形成されてなる異方導電性エラストマーシ
ート(以下、これを「偏在型異方導電性エラストマーシ
ート」という。)が開示され、更に、特開昭61−25
0906号公報等には、導電部の表面と絶縁部との間に
段差が形成された偏在型異方導電性エラストマーシート
が開示されている。
【0005】そして、偏在型異方導電性エラストマーシ
ートは、回路基板等の電極パターンと対掌のパターンに
従って導電部が形成されているため、分散型異方導電性
エラストマーシートに比較して、接続すべき電極が小さ
いピッチで配置されている回路装置などに対しても電極
間の電気的接続を高い信頼性で達成することができる点
で、有利であり、特に、導電部が絶縁部から突出する状
態に形成されてなるものは、被検査電極に対する接触が
確実に行われるため、より好ましい。
【0006】而して、例えばBGA(Ball Gli
d Array)などの半導体集積回路には、半田バン
プと称される突起状電極が形成されており、このような
突起状電極を有する回路装置の電気的検査において、高
い接続信頼性を得るためには、大きい厚みを有する異方
導電性シートを用いることが肝要である。しかしなが
ら、上記の異方導電性シートにおいては、導電部に形成
される導電路は、多数の導電性粒子によるものであっ
て、連続した一体の導体によるものではないため、シー
トの厚みが大きい場合には、導電部の電気抵抗が大きく
なる結果、所要の導電性が得られない、という問題があ
った。
【0007】一方、異方導電性シートとしては、弾性高
分子材料よりなるシート体中に厚み方向に貫通して伸び
る金属線が設けられてなるものが知られている。このよ
うな異方導電性シートによれば、導電路が連続した一体
の導体である金属線により形成されているため、厚みが
大きくても高い導電性が得られる。然るに、このような
異方導電性シートにおいては、導電路を形成する金属線
が剛性を有するものであるため、シート体の弾性が損な
われる結果、高い接続信頼性を得ることが困難となる。
また、厚み方向に大きい押圧力が加わると、金属線が破
損して断線するため、所要の導電性を維持することがで
きない、という問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであり、本発明の第1の
目的は、厚みが大きくても高い導電性を有し、しかも、
高い接続信頼性が得られる異方導電性シートを提供する
ことにある。本発明の第2の目的は、上記の異方導電性
シートを有利にかつ確実に製造することができる方法を
提供することにある。本発明の第3の目的は、検査対象
である回路装置が突起状電極を有するものであっても、
接続信頼性が高くて所要の電気的検査を確実に実行する
ことができる回路装置の電気的検査装置を提供すること
にある。本発明の第4の目的は、検査対象である回路装
置が突起状電極を有するものであっても、接続信頼性が
高くて所要の電気的検査を確実に実行することができる
回路装置の電気的検査方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の異方導電性シー
トは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電部が、絶縁
部によって相互に絶縁された状態で配置されてなる異方
導電性シートであって、前記導電部の各々は、弾性高分
子材料よりなる基材と、この基材に厚み方向に貫通して
伸びるよう設けられた筒状の金属部材とを有してなるこ
とを特徴とする。
【0010】本発明の異方導電性シートにおいては、前
記金属部材の肉厚が2〜300μmであることが好まし
く、さらに3〜100μmであることか好ましい。ま
た、前記導電部における金属部材の筒孔内に弾性高分子
材料よりなる芯材が設けられていることが好ましく、特
に、当該芯材を構成する弾性高分子材料中に導電性粒子
が含有されていることが好ましい。
【0011】本発明の異方導電性シートの製造方法は、
上記の異方導電性シートを製造する方法であって、金型
内に、形成すべき導電部に対応して並ぶよう、複数の金
属部材用パイプを配置し、当該金型内に硬化されて弾性
高分子物質となる高分子物質用材料を注入して当該高分
子物質用材料を硬化処理する工程を有することを特徴と
する。
【0012】本発明の異方導電性シートの製造方法にお
いては、前記金属部材用パイプとして、形成すべき金属
部材より大きい肉厚を有するものを用い、前記金型内に
注入された高分子物質用材料を硬化処理した後、前記金
属部材用パイプの内面をエッチング処理することによ
り、金属部材を形成することが好ましい。
【0013】本発明の回路装置の電気的検査装置は、一
面に検査対象である回路装置の被検査電極に対応するパ
ターンに従って配置された多数の検査電極を有する検査
用回路基板と、この検査用回路基板の一面上に配置され
た上記の異方導電性シートとを具えてなることを特徴と
する。
【0014】本発明の回路装置の電気的検査方法は、一
面に検査対象である回路装置の被検査電極に対応するパ
ターンに従って配置された多数の検査電極を有する検査
用回路基板を用い、検査対象である回路装置の被検査電
極と、前記検査用回路基板の検査電極とを、上記の異方
導電性シートを介して電気的に接続させ、この状態で前
記回路装置の電気的検査を行うことを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明の異方導電性シートによれば、連続した
一体の導体である金属部材によって導電路が形成されて
いるため、厚みが大きくても高い導電性が確実に得られ
る。しかも、金属部材は筒状であるため、弾性高分子材
料よりなる基材に追従して弾性的に変形するので、十分
な弾性を有する導電部が得られ、その結果、高い接続信
頼性が得られる。また、金属部材の筒孔内に弾性高分子
材料よりなる芯材を設けることにより、金属部材が基材
から剥離することが防止されるため、耐久性の高い導電
部が得られる。更に、芯材として、導電性粒子を含有す
る弾性高分子材料よりなるものを用いることにより、仮
に金属部材に破損などの故障が生じたとしても、当該芯
材における導電性粒子による導電路を介して電気的接続
が維持されるので、長い使用寿命が得られる。このよう
に、厚みが大きくても高い導電性を有し、しかも、十分
な弾性を有する導電部が形成された異方導電性シート
を、回路装置の電気的検査に用いることにより、検査対
象である回路装置が突起状電極を有するものであって
も、接続信頼性が高くて所要の電気的検査を確実に実行
することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。 〈異方導電性シート〉 (1)第1の実施の形態:図1は、本発明の異方導電性
シートに係る第1の実施の形態における要部の構成を示
す説明用断面図である。この異方導電性シート10は、
それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電部11と、これら
の導電部11を相互に絶縁する絶縁部16とにより構成
されている。
【0017】導電部11の各々においては、絶縁性の弾
性高分子材料よりなる基材12に、その厚み方向に貫通
して伸びるよう、筒状の金属部材13が設けられ、この
金属部材13の筒孔内には、絶縁性の弾性高分子材料よ
りなる芯材14が設けられている。図示の例における導
電部11の各々は、その上面および下面が絶縁部16の
上面および下面から突出した状態に形成されており、当
該異方導電性シート10の面方向に沿って、接続すべき
電極のパターンに対応するパターンに従って配置されて
いる。
【0018】金属部材13の肉厚dは、2〜300μm
であることが好ましく、さらに3〜100μmが好まし
く、特に5〜50μmであることが好ましい。金属部材
13の肉厚dが2μm未満である場合には、当該金属部
材13の強度が低いものとなるため、早期に破損しやす
くなる。一方、金属部材13の肉厚dが300μmを超
える場合には、当該金属部材13は弾性的に変形しにく
いものとなるため、十分な弾性を有する導電部11が得
られないことがある。また、金属部材13の外径は、導
電部11の径に応じて適宜選定されるが、通常0.02
〜4mm、好ましくは0.1〜1mmである。
【0019】導電部11の厚みは、0.1mm以上、特
に0.3〜5mmであることが好ましく、これにより、
当該導電部11に接続される電極が突起状のものであっ
ても、高い接続信頼性が確実に得られる。また、図示の
例のように、導電部11を絶縁部16から突出した状態
に形成する場合には、その突出高さは導電部11の厚み
の25%以下、特に5〜15%であることが好ましい。
また、導電部11の径は、例えば0.02〜1mmであ
り、好ましくは0.05〜0.5mmである。
【0020】導電部11における基材12および芯材1
4を構成する絶縁性の弾性高分子材料としては、架橋構
造を有する高分子物質からなるものを用いることが好ま
しい。架橋高分子物質を得るための硬化性の高分子物質
用材料としては、種々のものを用いることができ、その
具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリ
イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役
ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブ
タジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イ
ソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴム
およびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴ
ム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シ
リコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エ
チレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げら
れる。以上において、得られる異方導電性シートに耐候
性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のもの
を用いることが好ましく、特に、成形加工性および電気
特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好まし
い。
【0021】シリコーンゴムとしては、液状シリコーン
ゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコ
ーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105
アズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のも
の、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのい
ずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン
生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニ
ルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
【0022】これらの中で、ビニル基を含有する液状シ
リコーンゴム(ビニル基含有ポリジメチルシロキサン)
は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジア
ルコキシシランを、ジメチルビニルクロロシランまたは
ジメチルビニルアルコキシシランの存在下において、加
水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の
繰り返しによる分別を行うことにより得られる。また、
ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オ
クタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキ
サンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止
剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、そ
の他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重
合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。こ
こで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチ
ルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムな
どのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用
いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃で
ある。このようなビニル基含有ポリジメチルシロキサン
は、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分
子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000の
ものであることが好ましい。また、得られる導電路素子
の耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレ
ン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平
均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同
じ。)が2.0以下のものが好ましい。
【0023】一方、ヒドロキシル基を含有する液状シリ
コーンゴム(ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサ
ン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチル
ジアルコキシシランを、ジメチルヒドロクロロシランま
たはジメチルヒドロアルコキシシランの存在下におい
て、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−
沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。
また、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン
重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロ
ロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチル
ヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件
(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)
を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニ
オン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニ
ウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカ
リまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることが
でき、反応温度は、例えば80〜130℃である。この
ようなヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンは、
その分子量Mwが10000〜40000のものである
ことが好ましい。また、得られる導電路素子の耐熱性の
観点から、分子量分布指数が2.0以下のものが好まし
い。本発明においては、上記のビニル基含有ポリジメチ
ルシロキサンおよびヒドロキシル基含有ポリジメチルシ
ロキサンのいずれか一方を用いることもでき、両者を併
用することもできる。
【0024】導電部11における金属部材13を構成す
る材料としては、真鍮、銅、ステンレス(SUS)、ア
ルミニウム、燐青銅、ニッケル、金、銀、パラジウムな
どを用いることができる。また、金属部材13は、異な
る種類の金属層が半径方向(肉厚方向)に積層されてな
るものであってもよい。
【0025】絶縁部16は、絶縁性の弾性高分子材料に
より構成されており、図示の例では、導電部11におけ
る基材12に一体に形成されている。絶縁部16の厚み
は、例えば0.05〜10mm、好ましくは0.2〜5
mmである。絶縁部16を構成する絶縁性の弾性高分子
材料としては、前述の導電部11における基材12およ
び芯材14を構成する弾性高分子材料として例示したも
のと同様のものを用いることができる。
【0026】上記の異方導電性シートは、例えば以下の
ような方法によって製造することができる。図2は、本
発明の異方導電性シートを製造するために用いられる金
型の一例を示す説明用断面図である。この金型20にお
いては、それぞれ形成すべき導電部11に対応して開口
21H,22Hが形成された一方の型板21および他方
の型板22が、互いに対向するよう配置され、一方の型
板21と他方の型板22との間には、成形空間を形成す
るための枠状のスペーサー23が、一方の型板21およ
び他方の型板22の周辺部に沿って配置されている。こ
のスペーサー23には、金型20内に高分子物質用材料
を注入するための注入孔(図示省略)が形成されてい
る。
【0027】そして、図3に示すように、目的とする金
属部材13の肉厚dより大きい肉厚Dを有し、目的とす
る金属部材13より大きい全長を有する複数の金属部材
用パイプ13Aを用意し、これらの金属部材用パイプ1
3Aの各々を一方の型板21および他方の型板22の開
口21H,22Hに挿通させることにより、金型20内
に、形成すべき導電部11に対応して並ぶよう、金属部
材用パイプ13Aを配置する。次いで、スペーサ23の
注入孔から金型20内に高分子物質用材料を注入するこ
とにより、図4に示すように、金型20内に高分子物質
用材料層10Aを形成する。そして、高分子物質用材料
層10Aの硬化処理を行うことにより、図5に示すよう
に、導電部の基材12および絶縁部16が一体に形成さ
れる。
【0028】以上において、金属部材用パイプ13Aと
しては、エッチング可能な材料、例えば真鍮、銅、アル
ミニウム、ニッケル、ステンレンス(SUS)、燐青銅
などよりなる筒状体の外周面に、エッチングされにくい
材料、例えば金、銀、パラジウムなどがメッキされてな
るものを用いることが好ましい。このような金属部材用
パイプ13Aを用いることにより、後述するエッチング
処理によって所要の肉厚dを有する金属部材dを確実に
形成することができる。また、金属部材用パイプ13A
は、その外周面がプライマーによって処理されているこ
とが好ましく、これにより、基材12に対して密着性の
高い金属部材13が得られる。
【0029】金属部材用パイプ13Aの肉厚Dは、好ま
しくは5〜300μm、さらに好ましくは10〜200
μm特に好ましくは30〜150μmであることが好ま
しい。この肉厚Dが5μm未満である場合には、当該金
属部材用パイプ13Aは、変形しやすくて取扱性の低い
ものとなるため、金属部材用パイプ13Aを金型20内
に配置する作業が煩雑となるため、好ましくない。一
方、この肉厚Dが300μmを超える場合には、当該金
属部材用パイプ13Aの内径が小さいものとなるため、
後述するエッチング処理において、均一な厚みを有する
金属部材13を形成することが困難となることがあり、
また、金属部材13の形成に要する時間が長くなるた
め、好ましくない。
【0030】高分子物質用材料中には、必要に応じて硬
化触媒を含有させることができる。このような硬化触媒
としては、有機過酸化物、脂肪酸アゾ化合物、ヒドロシ
リル化触媒などを用いることができる。硬化触媒として
用いられる有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベン
ゾイル、過酸化ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミ
ル、過酸化ジターシャリーブチルなどが挙げられる。硬
化触媒として用いられる脂肪酸アゾ化合物の具体例とし
ては、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
ヒドロシリル化反応の触媒として使用し得るものの具体
例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基
含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白
金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラ
メチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノ
ホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレッ
クス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと
白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられ
る。硬化触媒の使用量は、高分子物質用材料の種類、硬
化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選
択されるが、通常、高分子物質形成材料100重量部に
対して3〜15重量部である。
【0031】高分子物質用材料の粘度は、温度25℃に
おいて100000〜1000000cpの範囲内であ
ることが好ましい。また、高分子物質用材料中には、必
要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エア
ロゲルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含有させる
ことができる。このような無機充填材を含有させること
により、当該高分子物質用材料のチクソトロピー性が確
保されると共に、その粘度を上記の範囲に調整すること
ができ、更に、無機充填材が補強材として作用するた
め、強度の高い異方導電性シートが得られる。
【0032】高分子物質用材料層10Aの硬化処理は、
使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱
処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時
間は、高分子物質用材料層10Aに用いられる高分子物
質用材料などの種類などを考慮して適宜選定される。
【0033】次いで、図6に示すように、金属部材用パ
イプ13Aの両端面を研磨することにより、当該金属部
材用パイプ13Aにおける型板の開口から突出する部分
を除去し、更に金属部材用パイプ13Aの内面をエッチ
ング処理することにより、図7に示すように、所要の肉
厚を有する筒状の金属部材13が形成される。そして、
金属部材13の内面をプライマーによって処理した後、
図8に示すように、金属部材13の筒孔内に高分子物質
用材料を充填して高分子物質用材料層14Aを形成し、
当該高分子物質用材料層14Aの硬化処理を行うことに
より、図9に示すように、芯材12が形成されて導電部
11が形成される。この高分子物質用材料層14Aの硬
化処理の条件は、前述の高分子物質用材料層10Aの硬
化処理の条件と同様である。その後、金型20を離型さ
せることにより、図1に示す構成の異方導電性シートが
得られる。
【0034】上記の異方導電性シート10においては、
接続すべき電極に、当該異方導電性シート10における
導電部11を接触させ、あるいは更に押圧して当該導電
部11を変形させることにより、当該導電部11におけ
る金属部材13を介して、所要の電気的接続が達成され
る。このとき、導電部11における金属部材13は、基
材12に追従して弾性的に変形する。而して、このよう
な異方導電性シート10によれば、連続した一体の導体
である金属部材13によって導電路が形成されているた
め、厚みが大きくても高い導電性を確実に得られる。し
かも、金属部材13は筒状であるため、弾性高分子材料
よりなる基材12に追従して容易に弾性的に変形するの
で、十分な弾性を有する導電部が得られ、その結果、高
い接続信頼性が得られる。また、金属部材13の筒孔内
に弾性高分子材料よりなる芯材14が設けられているた
め、導電部11に押圧力が加わっても、金属部材13が
基材12から剥離することがなく、その結果、耐久性の
高い導電部11が得られる。
【0035】(2)第2の実施の形態:図10は、本発
明の異方導電性シートに係る第2の実施の形態における
要部の構成を示す説明用断面図である。この異方導電性
シート10においては、導電部11における金属部材1
3の筒孔内に導電性粒子を有する弾性高分子材料よりな
る芯材(以下、「導電性芯材」という)15が設けられ
ている。この例においては、導電性芯材15を構成する
弾性高分子材料中の導電性粒子は、厚み方向に並ぶよう
配向した状態で含有されている。その他の具体的構成
は、前述の第1の実施の形態に係る異方導電性シート1
0と同様である。
【0036】導電性芯材15に用いられる導電性粒子と
しては、後述する方法により当該粒子を適宜の方向に容
易に配向させることができる観点から、導電性磁性体粒
子を用いることが好ましい。この導電性磁性体粒子の具
体例としては、ニッケル、鉄、コバルトなどの磁性を示
す金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれら
の金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子と
し、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウム
などの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、ある
いは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物
質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の
表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性体のメッ
キを施したもの、あるいは芯粒子に、導電性磁性体およ
び導電性の良好な金属の両方を被覆したものなどが挙げ
られる。これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、
その表面に金や銀などの導電性の良好な金属のメッキを
施したものを用いることが好ましい。芯粒子の表面に導
電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば化学メッキまたは無電解メッキによ
り行うことができる。
【0037】導電性粒子として、芯粒子の表面に導電性
金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導
電性が得られる観点から、粒子表面における導電性金属
の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面
積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに
好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%で
ある。また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜
50重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜
30重量%、さらに好ましくは3〜25重量%、特に好
ましくは4〜20重量%である。被覆される導電性金属
が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の2.5〜
30重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜
20重量%、さらに好ましくは3.5〜15重量%、特
に好ましくは4〜10重量%である。また、被覆される
導電性金属が銀である場合には、その被覆量は、芯粒子
の3〜50重量%であることが好ましく、より好ましく
は4〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、
特に好ましくは6〜20重量%である。
【0038】また、導電性粒子の粒子径は、1〜100
0μmであることが好ましく、より好ましくは2〜50
0μm、さらに好ましくは5〜300μm、特に好まし
くは10〜200μmである。また、導電性粒子の粒子
径分布(重量平均粒子径Dw/数平均粒子径Dn)は、
1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.0
1〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましく
は1.1〜4である。このような条件を満足する導電性
粒子を用いることにより、得られる導電性芯材15は、
加圧変形が容易なものとなり、また、当該導電性芯材1
5において導電性粒子間に十分な電気的接触が得られ
る。また、導電性粒子の形状は、特に限定されるもので
はないが、高分子物質用材料中に容易に分散させること
ができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれ
らが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好
ましい。
【0039】また、導電性粒子の含水率は、5%以下で
あることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに
好ましくは2%以下、とくに好ましくは1%以下であ
る。このような条件を満足する導電性粒子を用いること
により、後述する製造方法において、高分子物質用材料
を硬化処理する際に、当該高分子物質用材料内に気泡が
生ずることが防止または抑制される。
【0040】また、導電性粒子として、その表面がシラ
ンカップリング剤などのカップリング剤で処理されたも
のを適宜用いることができる。導電性粒子の表面がカッ
プリング剤で処理されることにより、当該導電性粒子と
弾性高分子物質との接着性が高くなり、その結果、得ら
れる導電性芯材15は、繰り返しの使用における耐久性
が高いものとなる。カップリング剤の使用量は、導電性
粒子の導電性に影響を与えない範囲で適宜選択される
が、導電性粒子表面におけるカップリング剤の被覆率
(導電性芯粒子の表面積に対するカップリング剤の被覆
面積の割合)が5%以上となる量であることが好まし
く、より好ましくは上記被覆率が7〜100%、さらに
好ましくは10〜100%、特に好ましくは20〜10
0%となる量である。
【0041】このような導電性粒子は、導電性芯材15
中に体積分率で30〜60%、特に35〜50%となる
割合で含有されていることが好ましい。この割合が30
%未満である場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電
性基材15が得られないことがある。一方、この割合が
60%を超える場合には、得られる導電性基材15は脆
弱なものとなりやすく、必要な弾性が得られないことが
ある。
【0042】上記の異方導電性シート10は、例えば以
下の方法によって製造することができる。先ず、図2に
示す金型20を用い、前述の第1の実施の形態と同様に
して基材12、金属部材13および絶縁部16を形成し
(図3〜図7参照)、更に金属部材13の内面をプライ
マーによって処理した後、図11に示すように、金属部
材13の筒孔内に導電性粒子を含有してなる高分子物質
用材料層(以下、「導電性高分子物質用材料層」とい
う。)15Aを形成する。この導電性高分子物質用材料
層15Aを形成する方法としては、導電性粒子を含有し
てなる高分子物質用材料を金属部材13の筒孔内に充填
する方法、金属部材13の筒孔内に導電性粒子を充填し
た後、更に当該金属部材13の筒孔内に高分子物質用材
料を充填する方法などを利用することができる。
【0043】次いで、図12に示すように、金型20の
一方の型板21の上面に一方の磁極板30を配置すると
共に、他方の型板22の下面に他方の磁極板35を配置
し、更に、一方の磁極板30の上面および他方の磁極板
35の下面に一対の電磁石31,36を配置する。ここ
で、一方の磁極板30は、目的とする導電部11の配置
パターンに対掌なパターンに従って強磁性体部分Mが形
成され、この強磁性体部分M以外の部分には非磁性体部
分Nが形成されており、当該強磁性体部分Mが金属部材
13の上方に位置するよう配置される。また、他方の磁
極板35は、目的とする導電部11の配置パターンと同
一のパターンに従って強磁性体部分Mが形成され、この
強磁性体部分M以外の部分には非磁性体部分Nが形成さ
れており、当該強磁性体部分Mが金属部材13の下方に
位置するよう配置される。
【0044】一方の磁極板30および他方の磁極板35
の各々における強磁性体部分Mを構成する材料として
は、鉄、ニッケル、コバルトまたはこれらの合金などを
用いることができる。また、一方の磁極板30および他
方の磁極板35の各々における非磁性体部分Nを構成す
る材料としては、銅などの非磁性金属、ポリイミドなど
の耐熱性樹脂などを用いることができる。
【0045】そして、電磁石31,36を作動させるこ
とにより、一方の磁極板30の強磁性体部分Mからこれ
に対応する他方の磁極板35の強磁性体部分Mに向かう
方向に平行磁場が作用する。その結果、導電性高分子物
質用材料15Aにおいては、導電性磁性体粒子が、磁力
によって移動して厚み方向に並ぶよう配向する。そし
て、この状態において、導電性高分子物質用材料15A
の硬化処理を行うことにより、図13に示すように、弾
性高分子材料中に導電性磁性体粒子が厚み方向に並ぶよ
う配向した状態で含有されてなる導電性芯材15が形成
され、以て導電部11が形成される。そして、金型20
を離型させることにより、図10に示す構成の異方導電
性シート10が得られる。
【0046】以上において、導電性高分子物質用材料1
5Aの硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で
行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に
行うこともできる。導電性高分子物質用材料15Aに作
用される平行磁場の強度は、平均で200〜10000
ガウスとなる大きさが好ましい。また、平行磁場を作用
させる手段としては、電磁石の代わりに永久磁石を用い
ることもできる。このような永久磁石としては、上記の
範囲の平行磁場の強度が得られる点で、アルニコ(Fe
−Al−Ni−Co系合金)、フェライトなどよりなる
ものが好ましい。
【0047】導電性高分子物質用材料15Aの硬化処理
は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、
加熱処理によって行われる。加熱により導電性高分子物
質用材料15Aの硬化処理を行う場合には、電磁石3
1,36にヒーターを設ければよい。具体的な加熱温度
および加熱時間は、導電性高分子物質用材料層15Aに
用いられる高分子物質用材料などの種類、導電性磁性体
粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜選定され
る。
【0048】このような異方導電性シートによれば、前
述の第1の実施の形態に係る異方導電性シートと同様の
効果が得られると共に、更に、以下のような効果が得ら
れる。すなわち、金属部材13の筒孔内に導電性芯材1
5が設けられているため、仮に長時間の使用によって金
属部材13に破損などの故障が生じたとしても、当該導
電性芯材15における導電性粒子による導電路を介して
電気的接続を維持することができ、その結果、長い使用
寿命が得られる。
【0049】〈回路装置の電気的検査装置〉図14は、
本発明に係る回路装置の電気的検査装置の一例における
要部の構成を、検査対象である回路装置と共に示す説明
図である。この図において、1は検査対象である回路装
置であって、その表面には、被検査電極である多数の突
起状電極2が形成されている。40は検査用回路基板で
あって、その上面には、検査対象である回路装置1の突
起状電極2と対掌なパターンに従って配置された多数の
検査電極41が形成され、その下面には、例えばピッチ
が2.54mm、1.80mm若しくは1.27mmの
格子点配列に従って配置された多数の端子電極42が形
成されており、検査電極41は、内部配線43を介して
端子電極42に電気的に接続されている。50は、それ
ぞれ格子点位置に配置された複数の検査ピン51を有す
る検査ヘッドであって、検査用回路基板40の下方に、
異方導電性シート45を介して配置されている。この異
方導電性シート45としては、従来公知の種々の構成の
ものを用いることができる。そして、検査用回路基板4
0の上面には、図10に示す構成の異方導電性シート1
0が配置されている。
【0050】上記の回路装置の電気的検査装置において
は、異方導電性シート10上に、回路装置1が、その被
検査電極2が検査用回路基板40の検査電極41の上方
に位置されるよう配置され、その後、検査ヘッド50を
接近する方向(図示の例では上方)に移動させることに
より、異方導電性シート10が回路装置1に圧接され
る。その結果、検査用回路基板40の検査電極41の各
々が、異方導電性シート10の導電部11を介して、対
応する回路装置1の突起状電極2の各々に電気的に接続
され、この状態で回路装置1について所要の電気的検査
が行われる。
【0051】このような回路装置の電気的検査装置によ
れば、厚みが大きくても高い導電性を有し、しかも、十
分な弾性を有する導電部11が形成された異方導電性シ
ート10を使用しているため、検査対象である回路装置
1が突起状電極2を有するものであっても、接続信頼性
が高くて所要の電気的検査を確実に実行することができ
る。
【0052】本発明は、上記の実施の形態に限定され
ず、種々の変更を加えることが可能である。 (1)絶縁部16は、導電部11における基材12と別
体のものであってもよい。この場合には、絶縁部16を
構成する弾性高分子材料は、基材12を構成する弾性高
分子材料と同一の種類のものであっても異なる種類のも
のであってもよい。 (2)第1の実施の形態において、芯材14は必須のも
のではない。但し、前述したように、金属部材13の剥
離を防止する観点から、芯材14を設けることが好まし
い。 (3)第2の実施の形態において、導電性芯材15中の
導電性粒子は、弾性高分子材料中に不規則に分散された
状態で含有されていてもよく、或いは、当該異方導電性
シート10の面方向に並ぶよう配向した状態で含有され
ていてもよい。 (4)本発明の異方導電性シートの用途は、回路装置の
電気的検査装置に限定されず、電子部品などの回路装置
相互間の電気的接続、例えばプリント回路基板とリード
レスチップキャリアー、液晶パネルなどとの相互間の電
気的な接続を達成するためのコネクターとして利用する
ことができる。
【0053】
【発明の効果】請求項1に記載の異方導電性シートによ
れば、連続した一体の導体である金属部材によって導電
路が形成されているため、厚みが大きくても高い導電性
が確実に得られる。しかも、金属部材は筒状であるた
め、弾性高分子材料よりなる基材に追従して弾性的に変
形するので、十分な弾性を有する導電部が得られ、その
結果、高い接続信頼性が得られる。請求項2に記載の異
方導電性シートによれば、金属部材の肉厚が特定の範囲
にあるため、十分な強度を有し、しかも、容易に弾性的
に変形する金属部材が得られる。
【0054】請求項3に記載の異方導電性シートによれ
ば、金属部材の筒孔内に弾性高分子材料よりなる芯材が
設けられているため、金属部材が基材から剥離すること
が防止され、その結果、耐久性の高い導電部が得られ
る。請求項4に記載の異方導電性シートによれば、芯材
が導電性粒子を含有する弾性高分子材料によれ構成され
ているため、仮に金属部材に破損などの故障が生じたと
しても、当該芯材における導電性粒子による導電路を介
して電気的接続が維持されるので、長い使用寿命が得ら
れる。
【0055】請求項5に記載の異方導電性シートの製造
方法によれば、上記のような異方導電性シートを有利に
かつ確実に形成することができる。請求項6に記載の異
方導電性シートの製造方法によれば、導電部における基
材に所要の肉厚を有する金属部材を確実にかつ容易に形
成することができる。
【0056】請求項7に記載の回路装置の電気的検査装
置によれば、厚みが大きくても高い導電性を有し、しか
も、十分な弾性を有する導電部が形成された異方導電性
シートが設けられているため、検査対象である回路装置
が突起状電極を有するものであっても、接続信頼性が高
くて所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0057】請求項8に記載の回路装置の電気的検査方
法によれば、厚みが大きくても高い導電性を有し、しか
も、十分な弾性を有する導電部が形成された異方導電性
シートを用いるため、検査対象である回路装置が突起状
電極を有するものであっても、接続信頼性が高くて所要
の電気的検査を確実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る異方導電性シートの要
部の構成を示す説明用断面図である。
【図2】本発明の異方導電性シートの製造方法に用いら
れる金型の一例を示す説明用断面図である。
【図3】金型内に金属部材用パイプが配置された状態を
示す説明用断面図である。
【図4】金型内に高分子物質用材料が注入された状態を
示す説明用断面図である。
【図5】高分子物質用材料が硬化処理されて絶縁部およ
び導電部の基材が形成された状態を示す説明用断面図で
ある。
【図6】金属部材用パイプの両端が研磨されて金型から
突出する部分が除去された状態を示す説明用断面図であ
る。
【図7】金属部材用パイプの内面がエッチング処理され
て金属部材が形成された状態を示す説明用断面図であ
る。
【図8】金属部材の筒孔内に高分子物質用材料が充填さ
れた状態を示す説明用断面図である。
【図9】金属部材の筒孔内に芯材が形成された状態を示
す説明用断面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る異方導電性シートの
要部の構成を示す説明用断面図である。
【図11】金属部材の筒孔内に導電性高分子物質用材料
が充填された状態を示す説明用断面図である。
【図12】導電性高分子物質用材料に平行磁場を作用さ
せた状態を示す説明用断面図である。
【図13】金属部材の筒孔内に導電性芯材が形成された
状態を示す説明用断面図である。
【図14】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の一
例における要部の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 回路装置 2 突起状電極 10 異方導電性シート 10A 高分子物質用材料層 11 導電部 12 基材 13 金属部材 13A 金属部材用パイプ 14 芯材 14A 高分子物質用材料層 15 導電性芯材 15A 導電性高分子物質用材料層 16 絶縁部 20 金型 21 一方の型板 21H 開口 22 他方の型板 22H 開口 23 スペーサー 30 一方の磁極板 31 電磁石 35 他方の磁極板 35 電磁石 M 強磁性体部分 N 非磁性体部分 40 検査用回路基板 41 検査電極 42 端子電極 43 内部配線 45 異方導電性シート 50 検査ヘッド 51 検査ピン

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電部
    が、絶縁部によって相互に絶縁された状態で配置されて
    なる異方導電性シートであって、 前記導電部の各々は、厚み方向に貫通して伸びるよう設
    けられた筒状の金属部材を有してなることを特徴とする
    異方導電性シート。
  2. 【請求項2】 金属部材の肉厚が2〜300μmである
    ことを特徴とする請求項1に記載の異方導電性シート。
  3. 【請求項3】 導電部における金属部材の筒孔内に弾性
    高分子材料よりなる芯材が設けられていることを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載の異方導電性シー
    ト。
  4. 【請求項4】 芯材を構成する弾性高分子材料中には、
    導電性粒子が含有されていることを特徴とする請求項3
    に記載の異方導電性シート。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の異方導電性シートを製造する方法であって、 金型内に、形成すべき導電部に対応して並ぶよう、複数
    の金属部材用パイプを配置し、当該金型内に硬化されて
    弾性高分子物質となる高分子物質用材料を注入して当該
    高分子物質用材料を硬化処理する工程を有することを特
    徴とする異方導電性シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 金属部材用パイプとして、形成すべき金
    属部材より大きい肉厚を有するものを用い、金型内に注
    入された高分子物質用材料を硬化処理した後、前記金属
    部材用パイプの内面をエッチング処理することにより、
    金属部材を形成する工程を有することを特徴とする請求
    項5に記載の異方導電性シートの製造方法。
  7. 【請求項7】 一面に検査対象である回路装置の被検査
    電極に対応するパターンに従って配置された多数の検査
    電極を有する検査用回路基板と、 この検査用回路基板の一面上に配置された請求項1乃至
    請求項4のいずれかに記載の異方導電性シートとを具え
    てなることを特徴とする回路装置の電気的検査装置。
  8. 【請求項8】 一面に検査対象である回路装置の被検査
    電極に対応するパターンに従って配置された多数の検査
    電極を有する検査用回路基板を用い、 検査対象である回路装置の被検査電極と、前記検査用回
    路基板の検査電極とを、請求項1乃至請求項4のいずれ
    かに記載の異方導電性シートを介して電気的に接続さ
    せ、この状態で前記回路装置の電気的検査を行うことを
    特徴とする回路装置の電気的検査方法。
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