JP3873503B2 - 異方導電性シートおよびその製造方法 - Google Patents

異方導電性シートおよびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子部品などの回路装置相互間の電気的接続や、プリント回路基板、半導体集積回路などの回路装置の検査装置におけるコネクターとして好ましく用いられる異方導電性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
異方導電性エラストマーシートは、厚み方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示す加圧導電性導電部を有するものであり、ハンダ付けあるいは機械的嵌合などの手段を用いずにコンパクトな電気的接続を達成することが可能であること、機械的な衝撃やひずみを吸収してソフトな接続が可能であることなどの特長を有するため、このような特長を利用して、例えば電子計算機、電子式デジタル時計、電子カメラ、コンピューターキーボードなどの分野において、回路装置、例えばプリント回路基板とリードレスチップキャリアー、液晶パネルなどとの相互間の電気的な接続を達成するためのコネクターとして広く用いられている。
【0003】
また、プリント回路基板や半導体集積回路などの回路装置の電気的検査においては、検査対象である回路装置の一面に形成された被検査電極と、検査用回路基板の表面に形成された検査用電極との電気的な接続を達成するために、回路装置の被検査電極領域と検査用回路基板の検査用電極領域との間に異方導電性エラストマーシートを介在させることが行われている。
【0004】
従来、このような異方導電性エラストマーシートとしては、種々の構造のものが知られており、例えば特開昭51−93393号公報等には、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られる異方導電性エラストマーシート(以下、これを「分散型異方導電性エラストマーシート」という。)が開示され、また、特開昭53−147772号公報等には、導電性磁性体粒子をエラストマー中に不均一に分布させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなる異方導電性エラストマーシート(以下、これを「偏在型異方導電性エラストマーシート」という。)が開示され、更に、特開昭61−250906号公報等には、導電路形成部の表面と絶縁部との間に段差が形成された偏在型異方導電性エラストマーシートが開示されている。
【0005】
そして、偏在型異方導電性エラストマーシートは、回路基板等の電極パターンと対掌のパターンに従って導電路形成部が形成されているため、分散型異方導電性エラストマーシートに比較して、接続すべき電極が小さいピッチで配置されている回路装置などに対しても電極間の電気的接続を高い信頼性で達成することができる点で、有利であり、特に、導電路形成部が絶縁部から突出する状態に形成されてなるものは、被検査電極に対する接触が確実に行われるため、より好ましい。
【0006】
しかしながら、このような偏在型異方導電性エラストマーシートを、例えば半導体集積回路の電気的検査におけるコネクターとして用いる場合には、以下のような問題がある。
(1)半導体集積回路の表面電極は、一般に、アルミウニムにより構成されており、このような表面電極には、当該アルミニウムの酸化膜が形成されている。而して、異方導電性エラストマーシートの導電路形成部は、当然のことながらエラストマーにより構成されているために柔軟なものであることから、酸化膜が形成された電極に接続する際に、導電路形成部によって酸化膜を突き破ることが困難であり、その結果、所要の電気的接続を達成することができない。
【0007】
(2)異方導電性エラストマーシートを構成する弾性高分子物質としては、一般に、シリコーンゴムが用いられているが、このシリコーンゴム中には、低分子量のシリコーン(オイル状のもの)が含有されている。そして、このような異方導電性エラストマーシートを例えば回路装置の検査に長時間使用すると、異方導電性エラストマーシートの表面に低分子量のシリコーンがブリードアウトし、これにより、検査対象である回路装置の被検査電極の表面が汚染される。その結果、当該回路装置を実装する際に、ボンディングを行うことができなかったり、所要の電気的接続を達成することができなかったりする。
【0008】
このような問題を解決するために、導電路形成部上に例えば金属よりなる接点用導電材料が設けられた異方導電性エラストマーシートが提案されている。
しかしながら、このような異方導電性エラストマーシートにおいては、当該異方導電性エラストマーシートを構成する弾性高分子物質と接点用導電材料を構成する金属との接着性が低いため、以下のような問題があることが判明した。
すなわち、異方導電性エラストマーシートを電極に電気的に接続する際には、導電路形成部が押圧されて圧縮変形されることにより、接点用導電材料に相当に高い応力が加わるため、当該異方導電性エラストマーシートを繰り返して使用した場合には、早期に接点用導電材料が導電路形成部から剥離したり、接点用導電材料にクラックが発生したりする結果、長い使用寿命が得られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、本発明の第1の目的は、表面に酸化膜が形成された電極に対しても所要の電気的接続が確実に達成され、接続される電極の表面を汚染することがなく、しかも、多数回にわたり繰り返して使用した場合であっても、長い使用寿命が得られる異方導電性シートを提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記の異方導電性シートを有利に製造することができる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の異方導電性シートは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の弾性を有する導電路形成部が、絶縁部によって相互に絶縁された状態で配置されてなるシート基材を有する異方導電性シートであって、
前記シート基材における導電路形成部上に、硬化性樹脂中に導電性粉末が分散されてなる導電性接着層を介して、金属シートまたは金属膜よりなる接点用導電材料が一体的に設けられており、
前記導電性接着層が、シート基材の表面から突出するよう設けられており、接点用導電材料が、前記導電性接着層の上面および側面を覆うよう設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の異方導電性シートにおいては、導電性接着層の厚みが0.15〜0.25mmであることが好ましい。
【0012】
本発明の異方導電性シートの製造方法は、それぞれ厚み方向に伸びる複数の弾性を有する導電路形成部が、絶縁部によって相互に絶縁された状態で配置されてなるシート基材を有し、このシート基材における導電路形成部上に、硬化性樹脂中に導電性粉末が分散されてなる導電性接着層を介して、接点用導電材料が一体的に設けられている異方導電性シートを製造する方法であって、
接点用導電材料を形成するための導電材料層上に、硬化性樹脂中に導電性粉末が分散されてなる複数の導電性接着層を形成し、
この導電性接着層上において、当該導電性接着層に一体的に形成されたそれぞれ厚み方向に伸びる複数の弾性を有する導電路形成部と、この導電路形成部を相互に絶縁する絶縁部とよりなるシート基材を形成し、
その後、前記導電材料層の一部を除去することにより、前記導電性接着層上に、当該導電材料層の残部による接点用導電材料を形成する工程を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の異方導電性シートの製造方法においては、前記導電材料層は、易剥離性支持板上に支持されており、前記シート基材を形成した後、前記易剥離性支持板を前記導電材料層から剥離することが好ましい。
また、前記導電性接着層上に形成される前記接点用導電材料が金属シートまたは金属膜よりなるものであることが好ましい。
【0014】
【作用】
(1)シート基材における導電路形成部上には、導電性接着層を介して金属シートまたは金属膜よりなる接点用導電材料が形成されているため、接続すべき電極がその表面に酸化膜を有するものであっても、接点用導電材料によって当該酸化膜を突き破ることができるため、所要の電気的接続が確実に達成される。
(2)接続すべき電極には、シート基材における導電路形成部が直接接触することがないため、導電路形成部を構成する弾性高分子物質中に含有される低分子量成分により、電極の表面が汚染されることがない。
(3)導電性接着層を構成する硬化性樹脂は、弾性高分子物質および金属の両方に対して高い接着性を有し、更に、接点用導電材料が、導電性接着層の上面および側面を覆うよう設けられており、しかも、当該導電性接着層自体が変形することがないため、多数回にわたって繰り返し使用した場合であっても、導電路形成部からの導電性接着層の剥離および導電性接着層からの接点用導電材料の剥離が生ずることがなく、長い使用寿命が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〈第1の実施の形態〉
図1は、本発明の製造方法によって得られる、第1の実施の形態に係る異方導電性シートにおける要部の構成を示す説明用断面図である。この異方導電性シートは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11と、これらの導電路形成部11を相互に絶縁する絶縁部12とよりなるシート基材10を有する。このシート基材10における導電路形成部11の各々は、弾性を有する導電性材料により構成され、当該シート基材10の面方向に沿って、接続すべき電極のパターンに対応するパターンに従って配置されている。
そして、導電路形成部11上には、導電性接着層20を介して、接点用導電材料30が一体的に設けられている。
この第1の実施の形態において、導電路形成部11の各々は、絶縁部12の厚みと同一の厚みを有し、その上面が絶縁部12の上面と同一平面上に位置するよう配置されており、これにより、導電性接着層20および接点用導電材料30が、シート基材10における絶縁部12の表面から突出した状態とされている。
【0016】
シート基材10における導電路形成部11は、絶縁性の弾性高分子物質中に導電性粒子が含有されて構成され、好ましくは弾性高分子物質中に導電性粒子が厚み方向に並んだ状態で配向されており、この導電性粒子により、当該導電路形成部の厚み方向に導電路が形成される。
この導電路形成部11は、厚み方向に加圧されて圧縮されたときに抵抗値が減少して導電路が形成される、加圧導電路形成部とすることもできる。
【0017】
導電路形成部11に用いられる絶縁性の弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。架橋高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。以上において、得られる異方導電性シートに耐候性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特に、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0018】
シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105 ポアズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
【0019】
これらの中で、ビニル基を含有する液状シリコーンゴム(ビニル基含有ポリジメチルシロキサン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジアルコキシシランを、ジメチルビニルクロロシランまたはジメチルビニルアルコキシシランの存在下において、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。
また、ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
このようなビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる導電路素子の耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2.0以下のものが好ましい。
【0020】
一方、ヒドロキシル基を含有する液状シリコーンゴム(ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジアルコキシシランを、ジメチルヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランの存在下において、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。
また、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
このようなヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mwが10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる導電路素子の耐熱性の観点から、分子量分布指数が2.0以下のものが好ましい。
本発明においては、上記のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンのいずれか一方を用いることもでき、両者を併用することもできる。
【0021】
導電路形成部11に用いられる導電性粒子としては、後述する方法により当該粒子をシート基材10の厚み方向に容易に配向させることができる観点から、導電性磁性体粒子を用いることが好ましい。この導電性磁性体粒子の具体例としては、ニッケル、鉄、コバルトなどの磁性を示す金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性体のメッキを施したもの、あるいは芯粒子に、導電性磁性体および導電性の良好な金属の両方を被覆したものなどが挙げられる。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に金や銀などの導電性の良好な金属のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば化学メッキまたは無電解メッキにより行うことができる。
【0022】
導電性粒子として、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導電性が得られる観点から、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは3〜25重量%、特に好ましくは4〜20重量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の2.5〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは3.5〜15重量%、特に好ましくは4〜10重量%である。また、被覆される導電性金属が銀である場合には、その被覆量は、芯粒子の3〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは4〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは6〜20重量%である。
【0023】
また、導電性粒子の粒子径は、1〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは2〜500μm、さらに好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜200μmである。
また、導電性粒子の粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、得られる導電路形成部11は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該導電路形成部11において導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子の形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質用材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
【0024】
また、導電性粒子の含水率は、5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、とくに好ましくは1%以下である。このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、後述する製造方法において、高分子物質用材料層を硬化処理する際に、当該高分子物質用材料層内に気泡が生ずることが防止または抑制される。
【0025】
また、導電性粒子として、その表面がシランカップリング剤などのカップリング剤で処理されたものを適宜用いることができる。導電性粒子の表面がカップリング剤で処理されることにより、当該導電性粒子と弾性高分子物質との接着性が高くなり、その結果、得られる導電路形成部11は、繰り返しの使用における耐久性が高いものとなる。
カップリング剤の使用量は、導電性粒子の導電性に影響を与えない範囲で適宜選択されるが、導電性粒子表面におけるカップリング剤の被覆率(導電性芯粒子の表面積に対するカップリング剤の被覆面積の割合)が5%以上となる量であることが好ましく、より好ましくは上記被覆率が7〜100%、さらに好ましくは10〜100%、特に好ましくは20〜100%となる量である。
【0026】
このような導電性粒子は、導電路形成部11中に体積分率で30〜60%、好ましくは35〜50%となる割合で含有されていることが好ましい。この割合が30%未満の場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電路形成部11が得られないことがある。一方、この割合が60%を超える場合には、得られる導電路形成部11は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部として必要な弾性が得られないことがある。
【0027】
シート基材10における絶縁部12は、絶縁性を有する弾性高分子物質により構成されている。かかる弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられ、得られる異方導電性シートに耐候性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましい。
【0028】
絶縁部12を構成する弾性高分子物質としては、導電路形成部12を構成する弾性高分子物質と同一の種類のものあるいは異なる種類のものを用いることができる。
また、絶縁部12は、導電路形成部11と一体であってもよく、また、別体のものであってもよい。
【0029】
シート基材10の厚みは、例えば0.1〜2mmであり、好ましくは0.2〜1mmである。
また、導電路形成部11の径は、例えば0.02〜1mmであり、好ましくは0.05〜0.5mmである。
【0030】
導電性接着層20は、硬化性樹脂中に導電性粉末が分散されてなるものである。
導電性接着層20を構成する硬化性樹脂としては、種々の熱硬化性樹脂または放射線硬化性樹脂を用いることができ、その具体例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
導電性接着層20を構成する導電性粉末としては、種々の金属粉末を用いることができ、その具体例としては、銀粉末、パラジウム粉末、銀−パラジウム合金の粉末、金粉末、銅粉末またはこれらの金属粉末の混合物などが挙げられる。
導電性接着層20の厚みは、例えば0.05〜0.5mmであり、好ましくは0.15〜0.25mmである。
【0031】
導電性接着層20における導電性粉末の含有割合は、体積分率で30〜70%、特に40〜60%であることが好ましい。
この含有割合が過小である場合には、所要の導電性を有する導電性接着層20を得ることが困難となることがある。一方、この含有割合が過大である場合には、得られる導電性接着層20は、強度の低いものとなりやすく、繰り返し使用した場合に、早期に破損してしまい、長い使用寿命が得られないことがある。
【0032】
接点用導電材料30としては、導電性ポリマーなどの有機物よりなるものやこれに金属が混合された組成物よりなるもの、金属シートまたは金属膜等の金属よりなるものなどを用いることができる。これらの中でも、接続すべき電極の表面に形成された酸化膜を確実に突き破ることができる点で、金属シートまたは金属膜等の金属よりなるものを用いることが好ましく、かかる金属の具体例としては、銅、金、ロジウム、白金、パラジウム、ニッケルまたはそれらのメッキあるいはそれらの合金などを用いることができる。このような接点用導電材料30は、例えばニッケル層/銅層/金層などの積層体により構成されていてもよい。
また、接点用導電材料30の厚みは、例えば0.01〜0.5mmであり、好ましくは0.025〜0.1mmである。
【0033】
上記の異方導電性シートは、例えば以下の方法によって製造することができる。
先ず、図2に示すように、平滑な一面41を有する易剥離性支持板40を用意し、この易剥離性支持板40の一面41に、接点用導電材料30を形成するための例えば金属よりなる導電材料層30Aを形成する。
次いで、図3に示すように、易剥離性支持板40の一面41上に支持された導電材料層30A上に、フォトリソグラフィーの手法により、目的とする導電路形成部11の配置パターンに対応するパターンに従って形成された孔46を有するレジスト層45を形成する。
そして、レジスト層45の孔46内に、硬化性樹脂材料中に導電性粉末が分散されてなる流動性の導電性接着層形成材料を充填し、当該導電性接着層形成材料の硬化処理を行うことにより、図4に示すように、レジスト層45の孔46内に導電性接着層20が形成される。
【0034】
以上において、易剥離性支持板40を構成する材料としては、ステンレス(SUS)が好ましく用いられる。
また、易剥離性支持板40の一面41に金属よりなる導電材料層30Aを形成する方法としては、スパッタリング法、蒸着法、その他のメッキ法などを利用することができる。
レジスト層45の孔46内に導電性接着層形成材料を充填する方法としては、スクリーン印刷等の印刷法、多孔印刷法などを利用することができる。
【0035】
次いで、レジスト層45および導電性接着層20の上面に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質用材料中に導電性磁性体粒子が分散されてなるシート基材形成材料を塗布することにより、図5に示すように、レジスト層45および導電性接着層20の上面にシート基材形成材料層10Aが形成される。
【0036】
シート基材形成材料中には、高分子物質形成材料を硬化させるための硬化触媒を含有させることができる。このような硬化触媒としては、有機過酸化物、脂肪酸アゾ化合物、ヒドロシリル化触媒などを用いることができる。 硬化触媒として用いられる有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジターシャリーブチルなどが挙げられる。
硬化触媒として用いられる脂肪酸アゾ化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
ヒドロシリル化反応の触媒として使用し得るものの具体例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられる。
硬化触媒の使用量は、高分子物質形成材料の種類、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、高分子物質形成材料100重量部に対して3〜15重量部である。
【0037】
また、シート基材形成材料中には、必要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エアロゲルシリカ、ナルミナなどの無機充填材を含有させることができる。このような無機充填材を含有させることにより、当該シート基材形成材料のチクソトロピー性が確保され、その粘度が高くなり、しかも、導電性粒子の分散安定性が向上すると共に、得られるシート基材の強度が高くなる。
このような無機充填材の使用量は、特に限定されるものではないが、多量に使用すると、後述する製造方法において、磁場による導電性磁性体粒子の配向を十分に達成することができなくなるため、好ましくない。
また、シート基材形成材料の粘度は、温度25℃において100000〜1000000cpの範囲内であることが好ましい。
【0038】
次いで、図6に示すように、シート基材形成材料層10Aの上面に一方の磁極板50を配置すると共に、易剥離性支持板40の下面に他方の磁極板55を配置し、更に、一方の磁極板50の上面および他方の磁極板55の下面に一対の電磁石51,56を配置する。
ここで、一方の磁極板50は、目的とする導電路形成部11の配置パターンに対掌なパターンに従って強磁性体部分Mが形成され、この強磁性体部分M以外の部分には非磁性体部分Nが形成されており、当該強磁性体部分Mが導電性接着層20の上方に位置するよう配置される。
また、他方の磁極板55は、目的とする導電路形成部11の配置パターンと同一のパターンに従って強磁性体部分Mが形成され、この強磁性体部分M以外の部分には非磁性体部分Nが形成されており、当該強磁性体部分Mが導電性接着層20の下方に位置するよう配置される。
【0039】
一方の磁極板50および他方の磁極板55の各々における強磁性体部分Mを構成する材料としては、鉄、ニッケル、コバルトまたはこれらの合金などを用いることができる。
また、一方の磁極板50および他方の磁極板55の各々における非磁性体部分Nを構成する材料としては、銅などの非磁性金属、ポリイミドなどの耐熱性樹脂などを用いることができる。
【0040】
そして、電磁石51,56を作動させることにより、一方の磁極板50の強磁性体部分Mからこれに対応する他方の磁極板55の強磁性体部分Mに向かう方向に平行磁場が作用する。その結果、シート基材形成材料層10Aにおいては、当該シート基材形成材料層10A中に分散されていた導電性磁性体粒子が、一方の磁極板50の強磁性体部分Mとこれに対応する他方の磁極板55の強磁性体部分Mとの間に位置する部分に集合し、更に好ましくは当該シート基材形成材料層10Aの厚み方向に配向する。
そして、この状態において、シート基材形成材料層10Aを硬化処理することにより、図7に示すように、一方の磁極板50の強磁性体部分Mとこれに対応する他方の磁極板55の強磁性体部分Mとの間に配置された、導電性磁性体粒子が密に充填された導電路形成部11と、導電性磁性体粒子が全くあるいは殆ど存在しない絶縁部12とよりなるシート基材10が形成される。
【0041】
以上において、シート基材形成材料層10Aの硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。
シート基材形成材料層10Aに作用される平行磁場の強度は、平均で200〜10000ガウスとなる大きさが好ましい。
また、平行磁場を作用させる手段としては、電磁石の代わりに永久磁石を用いることもできる。このような永久磁石としては、上記の範囲の平行磁場の強度が得られる点で、アルニコ(Fe−Al−Ni−Co系合金)、フェライトなどよりなるものが好ましい。
このようにして得られる導電路形成部11は、導電性粒子がシート基材10の厚み方向に並ぶよう配向しているため、導電性粒子の割合が小さくても良好な導電性が得られる。
【0042】
シート基材形成材料層10Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。加熱によりシート基材形成材料層10Aの硬化処理を行う場合には、電磁石51,56にヒーターを設ければよい。具体的な加熱温度および加熱時間は、シート基材形成材料層10Aを構成する高分子物質用材料などの種類、導電性磁性体粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。
【0043】
このようにしてシート基材10が形成された易剥離性支持板40を、一方の磁極板50と他方の磁極板55との間から取り出し、更に、図8に示すように、易剥離性支持板40を導電材料層30Aから剥離させる。
そして、この導電材料層30Aに対して、フォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施してその一部を除去することにより、図9に示すように、導電性接着層20上に導電材料層30Aの残部による例えば金属シートまたは金属膜よりなる接点用導電材料30が形成され、更にシート基材10上に形成されたレジスト層45を除去することにより、図1に示す構成の異方導電性シートが得られる。
【0044】
このような方法によれば、接点用導電材料30を形成するための導電材料層30A上に、導電性接着層形成材料を塗布してその硬化処理を行うため、接点用導電材料30に対する接着性の高い導電性接着層20が確実に得られると共に、この導電性接着層20にシート基材形成材料層10Aを形成してその硬化処理を行うため、導電性接着層20に対する接着性の高い導電路形成部11を有するシート基材10が確実に得られる。
また、導電材料層30Aが易剥離性支持板40上に支持されているため、当該導電材料層30A上に導電性接着層20を容易に形成することができると共に、当該導電性接着層20上においてシート基材10を容易に形成することができる。
【0047】
上記の異方導電性シートにおいては、接続すべき電極に、当該異方導電性シートにおける接点用導電材料30を接触させ、更に押圧することにより、接点用導電材料30、導電性接着層20およびシート基材10における導電路形成部11を介して、所要の電気的接続が達成される。
【0048】
而して、このような異方導電性シートによれば、シート基材10における導電路形成部11上に、導電性接着層20を介して接点用導電材料30が形成されているため、接続すべき電極がその表面に酸化膜を有するものであっても、接点用導電材料30によって当該酸化膜を突き破ることができるため、所要の電気的接続を確実に達成することができる。
また、接続すべき電極には、シート基材10における導電路形成部11が直接接触することがないため、シート基材10を構成する弾性高分子物質中に含有される低分子量成分により、電極の表面が汚染されることがない。
更に、導電性接着層20を構成する硬化性樹脂は、シート基材10を構成する弾性高分子物質および接点用導電材料30を構成する材料例えば金属の両方に対して高い接着性を有し、しかも、当該導電性接着層20自体が変形することがないため、多数回にわたって繰り返し使用した場合であっても、シート基材10からの導電性接着層20の剥離および導電性接着層20からの接点用導電材料30の剥離が生ずることがなく、長い使用寿命が得られる。
【0049】
〈第2の実施の形態〉
図10は、本発明の製造方法によって得られる、第2の実施の形態に係る異方導電性シートにおける要部の構成を示す説明用断面図である。この異方導電性シートは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11と、これらの導電路形成部11を相互に絶縁する絶縁部12とよりなるシート基材10を有する。このシート基材10における導電路形成部11の各々は、弾性を有する導電性材料により構成され、当該シート基材10の面方向に沿って、接続すべき電極のパターンに対応するパターンに従って配置されている。
そして、導電路形成部11上には、導電性接着層20を介して、接点用導電材料30が一体的に設けられている。
この第2の実施の形態において、導電路形成部11の各々は、絶縁部12の厚みより小さい厚みを有し、その上面が絶縁部12の上面より下方に位置するよう配置されることにより、当該導電路形成部11上に凹所15が形成されている。そして、導電路形成部11上に形成された凹所15内に導電性接着層20が収容されることにより、当該導電性接着層20は、その上面が絶縁部12の上面と同一平面上に位置するよう配置されており、これにより、接点用導電材料30が、シート基材10における絶縁部12の表面から突出した状態とされている。
以上において、シート基材10、導電性接着層20および接点用導電材料30の各々の具体的構成は、前述の第1の実施の形態に係る異方導電性シートと同様である。
【0050】
上記の異方導電性シートは、例えば以下の方法によって製造することができる。
先ず、前述の第1の実施の形態における製造方法と同様にして、平滑な一面41を有する易剥離性支持板40を用意し、図2に示すように、この易剥離性支持板40の一面41に、接点用導電材料30を形成するための例えば金属よりなる導電材料層30Aを形成する。
次いで、この易剥離性支持板40の一面41上に支持された導電材料層30A上に、硬化性樹脂材料中に導電性粉末が分散されてなる流動性の導電性接着層形成材料を、目的とする導電路形成部11の配置パターンに対応するパターンに従って塗布し、当該導電性接着層形成材料の硬化処理を行うことにより、図11に示すように、導電材料層30Aの上面に導電性接着層20が形成される。
そして、導電性接着層20および導電材料層30Aの上面に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質用材料中に導電性磁性体粒子が分散されてなるシート基材形成材料を塗布することにより、図12に示すように、導電性接着層20および導電材料層30Aの上面にシート基材形成材料層10Aが形成される。
以上において、導電性接着層形成材料およびシート基材形成材料の具体的構成は、第1の実施の形態における製造方法と同様である。
【0051】
このようにして形成されたシート基材形成材料層10Aに対し、第1の実施の形態と同様にして平行磁場を作用させると共に、当該シート基材形成材料層10Aの硬化処理を行うことにより、図13に示すように、一方の磁極板50の強磁性体部分Mとこれに対応する他方の磁極板55の強磁性体部分Mとの間に配置された、導電性磁性体粒子が密に充填された導電路形成部11と、導電性磁性体粒子が全くあるいは殆ど存在しない絶縁部12とよりなるシート基材10が形成される。
【0052】
このようにしてシート基材10が形成された易剥離性支持板40を、一方の磁極板50と他方の磁極板55との間から取り出し、更に、図14に示すように、易剥離性支持板40を導電材料層30Aから剥離させる。
そして、この導電材料層30Aに対して、フォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施してその一部を除去することにより、導電性接着層20上に例えば金属シートまたは金属膜よりなる接点用導電材料30が形成され、以て図10に示す構成の異方導電性シートが得られる。
【0053】
このような異方導電性シートによれば、前述の第1の実施の形態に係る異方導電性シートと同様の効果が得られると共に、更に、導電性接着層20が、シート基材10における導電路形成部11上に形成された凹所15内に収容された状態で形成されているため、シート基材10に対する接着性が一層高い導電性接着層20が得られる。
【0054】
〈第3の実施の形態〉
図15は、本発明の製造方法によって得られる、第3の実施の形態に係る異方導電性シート(本発明に係る異方導電性シート)における要部の構成を示す説明用断面図である。この異方導電性シートは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11と、これらの導電路形成部を相互に絶縁する絶縁部12とよりなるシート基材10を有する。このシート基材10における導電路形成部11の各々は、弾性を有する導電性材料により構成され、当該シート基材10の面方向に沿って、接続すべき電極のパターンに対応するパターンに従って配置されている。
そして、導電路形成部11上には、導電性接着層20を介して、接点用導電材料30が一体的に設けられている。
この第3の実施の形態において、導電路形成部11の各々は、絶縁部12の厚みと同一の厚みを有し、その上面が絶縁部12の上面と同一平面上に位置するよう配置されており、これにより、導電性接着層20および接点用導電材料30が、シート基材10における絶縁部12の表面から突出した状態とされている。
また、接点用導電材料30は、導電性接着層20の上面および側面を覆うよう設けられている。
以上において、シート基材10、導電性接着層20および接点用導電材料30の各々の具体的構成は、前述の第1の実施の形態に係る異方導電性シートと同様である。
【0055】
上記の異方導電性シートは、例えば以下の方法によって製造することができる。
先ず、前述の第1の実施の形態における製造方法と同様にして、平滑な一面41を有する易剥離性支持板40を用意し、図16に示すように、この易剥離性支持板40の一面41に、フォトリソグラフィーの手法により、目的とする導電路形成部11の配置パターンに対応するパターンに従って形成された孔46を有するレジスト層45を形成する。
次いで、図17に示すように、このレジスト層45および易剥離性支持板40上に、接点用導電材料30を形成するための例えば金属よりなる導電材料層30Aを形成し、その後、レジスト層45の孔46内に、硬化性樹脂材料中に導電性粉末が分散されてなる流動性の導電性接着層形成材料を充填し、当該導電性接着層形成材料の硬化処理を行うことにより、図18に示すように、レジスト層45の孔46内に導電性接着層20が形成される。
そして、導電性接着層20および導電材料層30Aの上面に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質用材料中に導電性磁性体粒子が分散されてなるシート基材形成材料を塗布することにより、図19に示すように、導電性接着層20および導電材料層30Aの上面にシート基材形成材料層10Aが形成される。
以上において、導電性接着層形成材料およびシート基材形成材料の具体的構成は、第1の実施の形態における製造方法と同様である。
【0056】
このようにして形成されたシート基材形成材料層10Aに対し、第1の実施の形態と同様にして平行磁場を作用させると共に、当該シート基材形成材料層10Aの硬化処理を行うことにより、図20に示すように、一方の磁極板50の強磁性体部分Mとこれに対応する他方の磁極板55の強磁性体部分Mとの間に配置された、導電性磁性体粒子が密に充填された導電路形成部11と、導電性磁性体粒子が全くあるいは殆ど存在しない絶縁部12とよりなるシート基材10が形成される。
【0057】
このようにしてシート基材10が形成された易剥離性支持板40を、一方の磁極板50と他方の磁極板55との間から取り出し、更に、図21に示すように、易剥離性支持板40を導電材料層30Aから剥離させる。
そして、レジスト層45を除去することにより、図22に示すように、導電材料層30Aの全面を露出させ、この導電材料層30Aに対して、フォトリソグラフィーおよびエッチング処理を施してその一部を除去することにより、導電性接着層20上に導電材料層30Aの残部による例えば金属シートまたは金属膜よりなる接点用導電材料30が形成され、以て図15に示す構成の異方導電性シートが得られる。
【0058】
このような異方導電性シートによれば、前述の第1の実施の形態に係る異方導電性シートと同様の効果が得られると共に、更に、接点用導電材料30が、導電性接着層20の上面および側面を覆うよう設けられているため、導電性接着層20に対する接着性が一層高い接点用導電材料30が得られる。
【0059】
本発明においては、上記の実施の形態に限定されず、以下のような種々の変更を加えることが可能である
【0060】
(1)図23に示すように、導電性接着層20の上面および側面を覆うと共に、シート基材10における導電性接着層20の周辺部を覆うよう、接点用導電材料30が設けられていてもよい。この異方導電性シートは、第3の実施の形態における製造方法において、フォトリソグラフィーおよびエッチング処理によって、金属よりなる導電材料層30Aにおける導電性接着層20の周辺部に形成された部分を残すよう、当該導電材料層30Aの一部を除去することにより、製造することができる。このような異方導電性シートによれば、接点用導電材料30がシート基材10にも接着しているため、当該接点用導電材料30の接着強度が向上する結果、より長い使用寿命が得られる。
【0061】
(2)図24に示すように、基層部分21と、この基層部分21から突出するよう形成された、当該基層部分21より小さい外径を有する柱状の突出部分22とよりなる導電性接着層20が設けられると共に、突出部分22の上面および側面並びに基層部分21の上面およひ側面を覆うよう、接点用導電材料10が設けられていてもよい。この異方導電性シートは、第3の実施の形態における製造方法において、前記導電性接着層20の形状に適合する形状の孔を有するレジスト層を形成することにより、製造することができる。このような異方導電性シートによれば、導電性接着層20は、小さい外径の突出部分22を有するため、酸化膜を有する電極に対する電気的接続を更に確実に達成することができる。
【0062】
【発明の効果】
請求項1または請求項2に記載の異方導電性シートによれば、シート基材における導電路形成部上に、導電性接着層を介して金属シートまたは金属膜よりなる接点用導電材料が形成されているため、接続すべき電極がその表面に酸化膜を有するものであっても、接点用導電材料によって当該酸化膜を確実に突き破ることができるため、所要の電気的接続を確実に達成することができる。
また、接続すべき電極には、シート基材における導電路形成部が直接接触することがないため、シート基材を構成する弾性高分子物質中に含有される低分子量成分により、電極の表面が汚染されることがない。
更に、導電性接着層を構成する硬化性樹脂は、弾性高分子物質および金属の両方に対して高い接着性を有し、更に、接点用導電材料が、導電性接着層の上面および側面を覆うよう設けられており、しかも、導電性接着層自体が変形することがないため、多数回にわたって繰り返し使用した場合であっても、シート基材からの導電性接着層の剥離および導電性接着層からの接点用導電材料の剥離が生ずることがなく、長い使用寿命が得られる。
【0064】
請求項3乃至請求項5に記載の異方導電性シートの製造方法によれば、接点用導電材料を形成するための導電材料層上に導電性接着層を形成するため、接点用導電材料に対する接着性の高い導電性接着層が確実に得られると共に、当該導電性接着層上において、シート基材を形成するため、導電性接着層に対する接着性の高い導電路形成部を有するシート基材が確実に得られる。
請求項4に記載の異方導電性シートの製造方法によれば、導電材料層が易剥離性支持板上に支持されているため、当該導電材料層上に導電性接着層を容易に形成することができると共に、当該導電性接着層上において、シート基材を容易に形成することができる。
請求項5に記載の異方導電性シートの製造方法によれば、導電性接着層上に形成される接点用導電材料が金属シートまたは金属膜よりなるため、接続すべき電極の表面に形成された酸化膜を確実に突き破ることができる接点用導電材料を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法によって得られる、第1の実施の形態に係る異方導電性シートの要部の構成を示す説明用断面図である。
【図2】 易剥離性支持板の一面に導電材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図3】 導電材料層上にレジスト層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図4】 レジスト層の孔内に導電性接着層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図5】 レジスト層および導電性接着層上にシート基材形成材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図6】 シート基材形成材料層に平行磁場を作用させた状態を示す説明用断面図である。
【図7】 レジスト層および導電性接着層上にシート基材が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図8】 導電材料層から易剥離性支持板が剥離された状態を示す説明用断面図である。
【図9】 導電性接着層上に接点用導電材料が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図10】 本発明の製造方法によって得られる、第2の実施の形態に係る異方導電性シートの要部の構成を示す説明用断面図である。
【図11】 易剥離性支持板の一面上に導電材料層を介して導電性接着層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図12】 導電材料層および導電性接着層上にシート基材形成材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図13】 導電材料層および導電性接着層上にシート基材が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図14】 導電材料層から易剥離性支持板が剥離された状態を示す説明用断面図である。
【図15】 本発明の製造方法によって得られる、第3の実施の形態に係る異方導電性シートの要部の構成を示す説明用断面図である。
【図16】 易剥離性支持板の一面にレジスト層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図17】 レジスト層および易剥離性支持板上に導電材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図18】 レジスト層の孔内に導電性接着層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図19】 導電材料層および導電性接着層上にシート基材形成材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図20】 導電材料層および導電性接着層上にシート基材が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図21】 導電材料層およびレジスト層から易剥離性支持板が剥離された状態を示す説明用断面図である。
【図22】 導電材料層上からレジスト層が除去された状態を示す説明用断面図である。
【図23】 本発明に係る異方導電性シートの他の例における要部の構成を示す説明用断面図である。
【図24】 本発明に係る異方導電性シートの更に他の例における要部の構成を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
10 シート基材
10A シート基材形成材料層
11 導電路形成部 12 絶縁部
15 凹所 20 導電性接着層
21 基層部分 22 上層部分
30 接点用導電材料 30A 導電材料層
40 易剥離性支持板
41 易剥離性支持板の一面
45 レジスト層 46 レジスト層の孔
50 一方の磁極板 51 電磁石
55 他方の磁極板 55 電磁石
M 強磁性体部分 N 非磁性体部分

Claims (5)

  1. それぞれ厚み方向に伸びる複数の弾性を有する導電路形成部が、絶縁部によって相互に絶縁された状態で配置されてなるシート基材を有する異方導電性シートであって、
    前記シート基材における導電路形成部上に、硬化性樹脂中に導電性粉末が分散されてなる導電性接着層を介して、金属シートまたは金属膜よりなる接点用導電材料が一体的に設けられており、
    前記導電性接着層が、シート基材の表面から突出するよう設けられており、接点用導電材料が、前記導電性接着層の上面および側面を覆うよう設けられていることを特徴とする異方導電性シート。
  2. 導電性接着層の厚みが0.15〜0.25mmであることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性シート。
  3. それぞれ厚み方向に伸びる複数の弾性を有する導電路形成部が、絶縁部によって相互に絶縁された状態で配置されてなるシート基材を有し、このシート基材における導電路形成部上に、硬化性樹脂中に導電性粉末が分散されてなる導電性接着層を介して、接点用導電材料が一体的に設けられている異方導電性シートを製造する方法であって、
    接点用導電材料を形成するための導電材料層上に、硬化性樹脂中に導電性粉末が分散されてなる複数の導電性接着層を形成し、
    この導電性接着層上において、当該導電性接着層に一体的に形成されたそれぞれ厚み方向に伸びる複数の弾性を有する導電路形成部と、この導電路形成部を相互に絶縁する絶縁部とよりなるシート基材を形成し、
    その後、前記導電材料層の一部を除去することにより、前記導電性接着層上に、当該導電材料層の残部による接点用導電材料を形成する工程を有することを特徴とする異方導電性シートの製造方法。
  4. 導電材料層は、易剥離性支持板上に支持されており、シート基材を形成した後、前記易剥離性支持板を前記導電材料層から剥離することを特徴とする請求項3に記載の異方導電性シートの製造方法。
  5. 導電性接着層上に形成される接点用導電材料が金属シートまたは金属膜よりなるものであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の異方導電性シートの製造方法。
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