JP3945083B2 - 異方導電性シートおよびその製造方法 - Google Patents

異方導電性シートおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子部品などの回路装置相互間の電気的接続や、プリント回路基板、半導体集積回路などの回路装置の検査装置におけるコネクターとして好ましく用いられる異方導電性シートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
異方導電性シートは、厚み方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示す加圧導電性導電部を有するものであり、ハンダ付けあるいは機械的嵌合などの手段を用いずにコンパクトな電気的接続を達成することが可能であること、機械的な衝撃やひずみを吸収してソフトな接続が可能であることなどの特長を有するため、このような特長を利用して、例えば電子計算機、電子式デジタル時計、電子カメラ、コンピューターキーボードなどの分野において、回路装置、例えばプリント回路基板とリードレスチップキャリアー、液晶パネルなどとの相互間の電気的な接続を達成するためのコネクターとして広く用いられている。
【0003】
また、プリント回路基板や半導体集積回路などの回路装置の電気的検査においては、検査対象である回路装置の一面に形成された被検査電極と、検査用回路基板の表面に形成された検査用電極との電気的な接続を達成するために、回路装置の被検査電極領域と検査用回路基板の検査用電極領域との間に異方導電性シートを介在させることが行われている。
【0004】
従来、このような異方導電性シートとしては、種々の構造のものが知られており、例えば特開昭51−93393号公報等には、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られる異方導電性シートが開示され、また、特開昭53−147772号公報等には、導電性磁性体粒子をエラストマー中に不均一に分布させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなる異方導電性シート(以下、「偏在型異方導電性シート」という。)が開示され、更に、特開昭61−250906号公報等には、導電部の表面と絶縁部との間に段差が形成された偏在型異方導電性シートが開示されている。
【0005】
これらの異方導電性シートにおいては、弾性高分子物質よりなる基材中に導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されており、多数の導電性粒子の連鎖によって導電路が形成されている。
そして、これらの異方導電性シートの中でも、偏在型異方導電性シート、特に導電部の表面が絶縁部の表面より突出した状態で形成されてなる偏在型異方導電性シートは、接続すべき電極が小さいピッチで配置されている回路装置などに対しても、電極間の電気的接続を高い信頼性で達成することができるため、好適である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の異方導電性シートにおいては、以下のような問題がある。
(1)異方導電性シートによって、接続すべき電極間、例えば検査対象である回路装置(以下、「被検査回路装置」ともいう。)の被検査電極と検査用回路基板の被検査電極との間の電気的接続を行う場合には、被検査回路装置と検査用回路基板との間に異方導電性シートを介在させた状態で、当該異方導電性シートがその厚み方向に圧縮されるよう加圧することが必要である。このとき、異方導電性シートにおいては、導電部が被検査回路装置の被検査電極によって加圧されることにより、当該導電部を形成する基材が厚み方向に圧縮されて面方向に伸びるよう変形する。その結果、導電部中に含有された導電性粒子は基材の変形に追従して移動し、当該導電性粒子の連鎖が湾曲した状態となる。
そして、異方導電性シートの導電部の各々に作用する加圧力にバラツキが生じた場合には、高い加圧力が作用した導電部において、導電性粒子の連鎖が過剰に湾曲し、これにより、当該導電部の電気抵抗が増大するため、安定な電気的接続状態を確実に達成することが困難となる。
【0007】
(2)偏在型異方導電性シートにおいては、接続すべき回路装置との電気的接続作業において、当該回路装置に対して特定の位置関係をもって保持固定すること、具体的には回路装置の電極上に異方導電性シートの導電部が位置された状態で保持固定することが必要である。
一方、半導体集積回路などの回路装置の電気的検査においては、回路装置の潜在的欠陥を発現させるため、高温度環境下における試験いわゆるバーンイン試験が行われている。
然るに、このようなバーイン試験において異方導電性シートを用いる場合には、一旦は回路装置と異方導電性シートとの所要の位置合わせおよび保持固定が実現された場合であっても、温度変化による熱履歴を受けると、熱膨張係数が被検査回路装置を構成する材料例えばシリコンと異方導電性シートを構成する弾性高分子物質との間で大きく異なるため、被検査回路装置の被検査電極と異方導電性シートの導電部との間に位置ずれが生じる結果、電気的接続状態が変化して安定な接続状態が維持されない。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、導電部に過剰に加圧力が作用した場合であっても、安定な電気的接続状態を確実に達成することができ、しかも、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定に維持され、従って、高い接続信頼性が得られる異方導電性シートおよびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の異方導電性シートは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の貫通孔が形成されたフレーム板と、
弾性高分子物質中に導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電部およびこの導電部にその外周を覆うよう一体に形成された、当該導電部と同一の種類の弾性高分子物質よりなる絶縁部により構成され、前記フレーム板の貫通孔の各々に当該フレーム板の表面から突出した状態で保持された異方導電素子と
この異方導電素子と一体にかつ前記フレーム板の表面を覆うよう形成された、当該異方導電素子の絶縁部と同一の種類の弾性高分子物質よりなる絶縁層と
を具えてなることを特徴とする。
【0010】
本発明の異方導電性シートにおいては前記異方導電素子における導電部が絶縁部の表面から突出した状態で形成されていることが好ましい。
本発明の異方導電性シートにおいては、前記フレーム板の厚みが前記異方導電素子における導電部の厚みの10%以上であることが好ましい。
また、前記異方導電素子における導電部の径が前記フレーム板の貫通孔の径の30%以上であることが好ましい。
【0011】
本発明の異方導電性シートにおいては、前記フレーム板は、ロックウェル硬さ試験法(JIS Z 2245−1981)により測定したロックウェル硬さが30以上の材料により構成されていることが好ましい。
また、前記フレーム板は、線熱膨張係数が1.5×10 -4 /K以下の材料により構成されていることが好ましい。
【0012】
本発明の異方導電性シートの製造方法は、上記の異方導電性シートを製造する方法であって、
強磁性体基板の下面に、目的とする異方導電性シートの異方導電素子における導電部の配置パターンに対掌なパターンに従って強磁性体層が形成され、この強磁性体層以外の個所には非磁性体層が形成された上型と、強磁性体基板の上面に、目的とする異方導電性シートの異方導電素子における導電部の配置パターンと同一のパターンに従って強磁性体層が形成され、この強磁性体層以外の個所には非磁性体層が形成された下型とよりなる金型を用い、
この金型のキャビティ内に硬化性の高分子形成材料中に磁性を示す導電性粒子が分散されてなる成形材料層を形成すると共に、フレーム板を、その貫通孔が上型の強磁性体層とこれに対応する下型の強磁性体層との間に位置された状態で、成形材料層中に埋設し、
上型の強磁性体層とこれに対応する下型の強磁性体層との間において大きい強度を有する平行磁場を成形材料層の厚み方向に作用させることにより、導電性粒子を、上型の強磁性体層とこれに対応する下型の強磁性体層との間に位置する導電部となるべき部分に集合させると共に、当該成形材料層の厚み方向に並ぶよう配向させ、この状態において、成形材料層を硬化処理することにより、導電部およびその外周を覆うよう一体に形成された絶縁部よりなる異方導電素子を形成すると共に、当該異方導電素子の絶縁部と一体の絶縁層をフレーム板の表面を覆うよう形成することを特徴とする。
【0013】
【作用】
(1)厚み方向に伸びる導電部の周囲に絶縁部が形成されてなる異方導電素子が、フレーム板の貫通孔に保持されているため、当該異方導電素子における導電部に過剰に加圧力が作用した場合であっても、当該導電部の面方向における変形がフレーム板の貫通孔の内壁によって抑制され、これにより、導電部中の導電性粒子の連鎖が過剰に湾曲することが防止される。
(2)フレーム板は、その線熱膨張係数が異方導電素子の基材を構成する弾性高分子物質の線熱膨張係数より十分に小さいものであるため、このようなフレーム板の貫通孔に異方導電素子が保持されることにより、異方導電性シート全体としての温度変化に対する熱膨張および熱収縮が小さいものとなり、その結果、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても、良好な電気的接続状態が安定に維持される。
(3)絶縁層が異方導電素子における絶縁部と一体に形成されることにより、異方導電素子がフレーム板の貫通孔に安定に保持されるので、異方導電素子がフレーム板の貫通孔から脱落することを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の異方導電性シートの実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の異方導電性シートの一例における構成を示す説明用断面図であり、図2は、図1に示す異方導電性シートの平面図である。
この異方導電性シートにおいては、特定のパターンに従って厚み方向に伸びる複数の断面矩形の貫通孔11が形成された、例えば硬質材料よりなるフレーム板10が設けられている。このフレーム板10の貫通孔11における特定のパターンは、接続すべき電極例えば検査対象である回路装置の被検査電極のパターンと対掌のパターンである。
【0015】
このフレーム板10の貫通孔11の各々には、異方導電素子20が当該フレーム板10の表面から突出した状態で保持されている。この異方導電素子20は、当該異方導電性シートの厚み方向に伸びる円柱状の導電部21と、この導電部21の外周を覆うよう形成された筒状の絶縁部22とにより構成されており、導電部21は、絶縁部22の表面から突出した状態で形成されている。導電部21は、弾性高分子物質中に導電性粒子が当該異方導電性シートの厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されて構成され、この導電性粒子の連鎖により、当該異方導電素子20の厚み方向に導電路が形成される。一方、絶縁部22は、絶縁性の弾性高分子物質により構成されている。
【0016】
また、この例においては、絶縁性の弾性高分子物質よりなる絶縁層25がフレーム板10の表面を覆うよう形成されており、これにより、フレーム板10が絶縁層25内に埋設された状態とされている。この絶縁層25は、異方導電素子20の絶縁部22に一体に形成されている。
【0017】
フレーム板10の厚みdは、異方導電素子20がフレーム板10の表面から突出した状態で保持されることが必要であることから、当該異方導電素子20の全厚(この例では導電部21の厚みD)より小さいものとされるが、異方導電素子20の導電部21の厚みDの10%以上、特に12%以上であることが好ましい。フレーム板10の厚みdが導電部21の厚みDの10%未満である場合には、異方導電素子20が加圧されたときに、導電部21中の導電性粒子の連鎖が湾曲することを十分に抑制することが困難となることがある。
具体的には、フレーム板10の厚みDは、0.03〜0.5mm、特に0.05〜0.2mmであることが好ましい。
【0018】
異方導電素子20の導電部21の径rは、フレーム板10の貫通孔11の径(断面が矩形のものである場合には一辺の長さを意味する。)Rの30%以上であることが好ましく、さらに好ましくは30〜80%、特に好ましくは50〜75%である。導電部21の径rがフレーム板10の貫通孔11の径Rの20%未満である場合には、絶縁部22の面方向における肉厚が過大となるため、導電部21中の導電性粒子の連鎖が湾曲することを十分に抑制することが困難となることがある。一方、導電部21の径rがフレーム板10の貫通孔11の径Rの90%を超える場合には、絶縁部22の面方向における肉厚が過小となるため、異方導電素子20が加圧されたときには、導電部21の面方向における変形が過剰に抑制され、これにより、当該導電部21には相当に大きいストレスが作用するので、導電部21に早期に永久歪みが生じやすくなる。
ここで、フレーム板10の貫通孔11の径は、0.2〜2mmであることが好ましく、さらに好ましくは0.25〜1mm、特に好ましくは0.3〜0.7mmである。
【0019】
具体的には、異方導電素子20の導電部21の径rは、接続すべき電極例えば検査対象である回路装置の被検査電極の径に応じて適宜設定されるが、通常、0.1〜1mm、好ましくは0.15〜0.7mm、さらに好ましくは0.2〜0.6mmである。
異方導電素子20の導電部21の厚みDは、通常、0.1〜2mm、好ましくは0.15〜1mm、さらに好ましくは0.2〜0.8mmである。
【0020】
また、図示の例のように、導電部21が絶縁部22の表面から突出した状態で形成されている場合には、導電部21における絶縁部22の表面からの突出高さhは、絶縁部22の厚みD1の5〜50%、特に10〜30%であることが好ましい。具体的には、この導電部21における突出高さhは、0.01〜0.1mm、特に0.04〜0.06mmであることが好ましい。
このように、導電部21が絶縁部22の表面から突出した状態で形成されることにより、当該導電部21には良好な荷重−歪み特性が得られるため、異方導電素子20が加圧されたときには、導電部21に所要の導電性が確実に得られる。また、接続すべき電極の面積が小さく、しかも、その周囲に当該電極よりも高く突出したレジスト層が形成された回路装置に対しても、安定した電気的接続を確実に達成することができる。
【0021】
また、絶縁層25の厚みD2は、当該絶縁層25の表面が異方導電素子20の導電部21の表面より突出しない範囲で設定されることが好ましく、具体的には、0.3mm以下、特に0.05〜0.1mmであることが好ましい。
このような絶縁層25を形成することにより、接続すべき対象物例えば被検査回路装置に電気的に接続する際には、絶縁層25の弾性によって、当該被検査回路装置に損傷を与えることを防止することができる。
また、フレーム板10が金属によって構成されている場合には、当該絶縁層25によって所要の絶縁性を確実に達成することができる。
更に、絶縁層25が異方導電素子20における絶縁部22と一体に形成されることにより、異方導電素子20がフレーム板10の貫通孔11に安定に保持されるので、異方導電素子20がフレーム板10の貫通孔11から脱落することを防止することができる。
【0022】
フレーム板10を構成する硬質材料としては、そのロックウェル硬さ試験法(JIS Z 2245−1981)により測定したロックウェル硬さが30以上のものを用いることが好ましく、さらに好ましくは40以上、特に好ましくは45以上のものである。
【0023】
また、フレーム板10を構成する硬質材料としては、線熱膨張係数が1.5×10-4/K以下、特に、1×10-4〜1×10-7/Kのものを用いることが好ましい。このような硬質材料を用いることにより、得られるフレーム板10は、異方導電素子20における導電部21が面方向に変形してもこれに追従して変形することがなく、その結果、導電部21の面方向における変形を確実に抑制することができる。
この線熱膨張係数が2×10-4/Kを超える場合には、温度変化による熱履歴を受けると、異方導電性シート全体が大きく熱膨張するため、被検査回路装置の被検査電極と異方導電性シートの導電部との間に位置ずれが生じる結果、安定な接続状態を維持することが困難となることがある。
また、フレーム板10を構成する硬質材料としては、接続すべき対象物例えば被検査回路装置や検査用回路基板の基材を構成する材料の線熱膨張係数と同等若しくは近似したもの、具体的には、接続すべき対象物の基材を構成する材料の線熱膨張係数との差が1×10-5/K以下の線熱膨張係数を有するものを用いることが好ましい。
【0024】
このようなフレーム板10を構成する硬質材料の具体例としては、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、モリブデン、インジウム、鉛、チタン、タングステン、アルミニウム、金、銀またはこれらの2種以上の合金等の金属材料、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリエステル樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂等の複合樹脂材料、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド繊維、フッ素繊維などが挙げられる。
【0025】
異方導電素子20における導電部21を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
以上において、得られる異方導電性シートに耐候性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特に、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0026】
シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105 ポアズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
【0027】
これらの中で、ビニル基を含有する液状シリコーンゴム(ビニル基含有ポリジメチルシロキサン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジアルコキシシランを、ジメチルビニルクロロシランまたはジメチルビニルアルコキシシランの存在下において、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。
また、ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
このようなビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる導電路素子の耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2.0以下のものが好ましい。
【0028】
一方、ヒドロキシル基を含有する液状シリコーンゴム(ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジアルコキシシランを、ジメチルヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランの存在下において、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。
また、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
このようなヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mwが10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる異方導電素子20の耐熱性の観点から、分子量分布指数が2以下のものが好ましい。
本発明においては、上記のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンのいずれか一方を用いることもでき、両者を併用することもできる。
【0029】
本発明においては、高分子形成材料を硬化させるために適宜の硬化触媒を用いることができる。このような硬化触媒としては、有機過酸化物、脂肪酸アゾ化合物、ヒドロシリル化触媒などを用いることができる。
硬化触媒として用いられる有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジターシャリーブチルなどが挙げられる。
硬化触媒として用いられる脂肪酸アゾ化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
ヒドロシリル化反応の触媒として使用し得るものの具体例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられる。
硬化触媒の使用量は、高分子形成材料の種類、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、高分子形成材料100重量部に対して3〜15重量部である。
【0030】
また、高分子形成材料中には、必要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エアロゲルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含有させることができる。このような無機充填材を含有させることにより、当該高分子形成材料のチクソトロピー性が確保され、その粘度が高くなり、しかも、後述する成形材料の調製において、導電性粒子の分散安定性が向上すると共に、硬化処理されて得られる導電部21の強度が高くなる。
このような無機充填材の使用量は、特に限定されるものではないが、あまり多量に使用すると、後述する製造方法において、磁場による導電性粒子の配向を十分に達成することができなくなるため、好ましくない。
【0031】
異方導電素子20における導電部21に用いられる導電性粒子としては、後述する方法により当該粒子を容易に配向させることができる観点から、磁性を示す導電性粒子を用いることが好ましい。このような導電性粒子の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性を示す金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性体のメッキを施したもの、あるいは芯粒子に、導電性磁性体および導電性の良好な金属の両方を被覆したものなどが挙げられる。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に金や銀などの導電性の良好な金属のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば化学メッキまたは電解メッキにより行うことができる。
【0032】
導電性粒子として、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導電性が得られる観点から、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは3〜25重量%、特に好ましくは4〜20重量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の0.5〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは3〜15重量%、特に好ましくは4〜10重量%である。また、被覆される導電性金属が銀である場合には、その被覆量は、芯粒子の4〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。
【0033】
また、導電性粒子の粒子径は、1〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは2〜500μm、さらに好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜200μmである。
また、導電性粒子の粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、得られる導電部21は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該導電部21において導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子の形状は、特に限定されるものではないが、高分子形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
【0034】
また、導電性粒子の含水率は、5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、とくに好ましくは1%以下である。このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、後述する製造方法において、成形材料層を硬化処理する際に、当該成形材料層内に気泡が生ずることが防止または抑制される。
【0035】
また、導電性粒子の表面がシランカップリング剤などのカップリング剤で処理されたものを適宜用いることができる。導電性粒子の表面がカップリング剤で処理されることにより、当該導電性粒子と弾性高分子物質との接着性が高くなり、その結果、得られる導電部21は、繰り返しの使用における耐久性が高いものとなる。
カップリング剤の使用量は、導電性粒子の導電性に影響を与えない範囲で適宜選択されるが、導電性粒子表面におけるカップリング剤の被覆率(導電性芯粒子の表面積に対するカップリング剤の被覆面積の割合)が5%以上となる量であることが好ましく、より好ましくは上記被覆率が7〜100%、さらに好ましくは10〜100%、特に好ましくは20〜100%となる量である。
【0036】
このような導電性粒子は、高分子形成材料に対して体積分率で30〜60%、好ましくは35〜50%となる割合で用いられることが好ましい。この割合が30%未満の場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電部21が得られないことがある。一方、この割合が60%を超える場合には、得られる導電部21は脆弱なものとなりやすく、導電部21として必要な弾性が得られないことがある。
【0037】
異方導電素子20における絶縁部22を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
以上において、得られる異方導電性シートに耐候性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特に、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
また、絶縁部22を形成する弾性高分子物質は、導電部21を形成する弾性高分子物質と同一の種類のものが用いられ、絶縁部22は、導電部21と一体とされている。
【0038】
絶縁層25を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子形成材料の具体例としては、前述の異方導電素子20における絶縁部22を形成する弾性高分子物質を得るための高分子形成材料として例示したものを挙げることができる。
また、絶縁層25を形成する弾性高分子物質は、異方導電素子20の絶縁部22を形成する弾性高分子物質と同一の種類のものが用いられ、絶縁層25は、異方導電素子20の絶縁部22と一体とされている。
【0039】
このような異方導電性シートは、例えば次のようにして製造することができる。
図3は、本発明の異方導電性シートを製造するために用いられる金型の一例における構成を示す説明用断面図である。この金型は、上型50およびこれと対となる下型55が、枠状のスペーサー54を介して互いに対向するよう配置されて構成され、上型50の下面と下型55の上面との間にキャビティが形成されている。
上型50においては、強磁性体基板51の下面に、目的とする異方導電性シートの異方導電素子20における導電部21の配置パターンに対掌なパターンに従って強磁性体層52が形成され、この強磁性体層52以外の個所には、当該強磁性体層52の厚みより大きい厚みを有する非磁性体層53が形成されている。
一方、下型55においては、強磁性体基板56の上面に、目的とする異方導電性シートの異方導電素子20における導電部21の配置パターンと同一のパターンに従って強磁性体層57が形成され、この強磁性体層57以外の個所には、当該強磁性体層57の厚みより大きい厚みを有する非磁性体層58が形成されている。
【0040】
上型50および下型55の各々における強磁性体基板51,56を構成する材料としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属を用いることができる。この強磁性体基板51,56は、その厚みが0.1〜50mmであることが好ましく、表面が平滑で、化学的に脱脂処理され、また、機械的に研磨処理されたものであることが好ましい。
【0041】
また、上型50および下型55の各々における強磁性体層52,57を構成する材料としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属を用いることができる。この強磁性体基板52,57は、その厚みが10μm以上であることが好ましい。この厚みが10μm未満である場合には、金型内に形成される成形材料層に対して、十分な強度分布を有する磁場を作用させることが困難となり、この結果、当該成形材料層における導電部となるべき部分に導電性粒子を高い密度で集合させることが困難となるため、良好な異方導電性を有するシートが得られないことがある。
【0042】
また、上型50および下型55の各々における非磁性体層53,58を構成する材料としては、銅などの非磁性金属、耐熱性を有する高分子物質などを用いることができるが、フォトリソグラフィーの手法により容易に非磁性体層53,58を形成することができる点で、放射線によって硬化された高分子物質を用いることが好ましく、その材料としては、例えばアクリル系のドライフィルムレジスト、エポキシ系の液状レジスト、ポリイミド系の液状レジストなどのフォトレジストを用いることができる。
また、非磁性体層53,58の厚みは、強磁性体層52,57の厚み、目的とする異方導電性シート10の導電部11の突出高さに応じて設定される。
【0043】
そして、上記の金型を用い、次のようにして異方導電性シートが製造される。
先ず、硬化性の高分子形成材料中に磁性を示す導電性粒子を分散させることにより、流動性の成形材料を調製し、図4に示すように、この成形材料を金型のキャビティ内に充填して成形材料層20Aを形成すると共に、フレーム板10を、その貫通孔11が上型50の強磁性体層52とこれに対応する下型55の強磁性体層57との間に位置された状態で、成形材料層20A中に埋設する。
次いで、上型50における強磁性体基板51の上面および下型55における強磁性体基板56の下面に、例えば一対の電磁石(図示省略)を配置し、当該電磁石を作動させることにより、強度分布を有する平行磁場、すなわち上型50の強磁性体層52とこれに対応する下型55の強磁性体層57との間において大きい強度を有する平行磁場を成形材料層20Aの厚み方向に作用させる。その結果、成形材料層20Aにおいては、図5に示すように、当該成形材料層20A中に分散されていた導電性粒子が、上型50の強磁性体層52とこれに対応する下型55の強磁性体層57との間に位置する導電部となるべき部分21Aに集合すると共に、当該成形材料層20Aの厚み方向に並ぶよう配向する。
【0044】
そして、この状態において、成形材料層20Aを硬化処理することにより、上型50の強磁性体層52とこれに対応する下型55の強磁性体層57との間に配置された、弾性高分子物質中に導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に充填された導電部21と、この導電部21の周囲を覆うよう形成された、導電性粒子が全くあるいは殆ど存在しない絶縁部22とを有する異方導電素子20が、フレーム板10の貫通孔11の各々に保持された状態で形成されると共に、当該異方導電素子20の絶縁部22と一体の絶縁層25がフレーム板10の表面を覆うよう形成され、以て、図1に示す構成の異方導電性シート製造される。
【0045】
以上において、成形材料層20Aの硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。
成形材料20Aに作用される平行磁場の強度は、平均で200〜10000ガウスとなる大きさが好ましい。
また、成形材料層20Aに平行磁場を作用させる手段としては、電磁石の代わりに永久磁石を用いることもできる。永久磁石としては、上記の範囲の平行磁場の強度が得られる点で、アルニコ(Fe−Al−Ni−Co系合金)、フェライトなどよりなるものが好ましい。
成形材料層20Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、成形材料層20Aを構成する高分子形成材料などの種類、導電性粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。
【0046】
本発明の異方導電性シートは、プリント回路基板や半導体集積回路などの回路装置の電気的検査に好適に用いることができる。以下、本発明の異方導電性シートを使用して回路装置の電気的検査を行う場合について説明する。
回路装置の電気的検査においては、図6に示すように、被検査回路装置1の被検査電極2と対掌なパターンに従って配置された検査用電極6を表面に有する検査用回路基板5が用意される。そして、この検査用回路基板5の表面上に、異方導電性シートが、その異方導電素子20における導電部21が検査用電極6上に位置されるよう配置され、この異方導電性シート上に、被検査回路装置1が、その被検査電極2が当該異方導電性シート10の異方導電素子20における導電部11上に位置されるよう配置される。
【0047】
次いで、例えば検査用回路基板5を被検査回路装置1に接近する方向に移動させることにより、異方導電性シートの異方導電素子20における導電部21が被検査回路装置1の被検査電極2と検査用回路基板5の検査用電極6とにより加圧された状態となり、その結果、被検査回路装置1の被検査電極2と検査用回路基板5の検査用電極6との間の電気的接続が達成される。
その後、被検査回路装置1における潜在的欠陥を発現させるため、環境温度を所定の温度例えば150℃に上昇させ、この状態で、当該被検査回路装置1について所要の電気的検査が行われる。
【0048】
以上において、異方導電性シートの異方導電素子20における導電部21は、被検査回路装置1の被検査電極2と検査用回路基板5の検査用電極6とによって加圧されることにより、厚み方向に圧縮されて面方向に伸びるよう変形すると共に、当該導電部21における導電性粒子が基材の変形に追従して移動する結果、当該導電性粒子の連鎖が湾曲した状態となる。また、異方導電素子20の基材は、線熱膨張係数が大きい弾性高分子物質よりなるため、環境温度を上昇させることにより、異方導電素子20が大きく熱膨張する。
【0049】
而して、本発明の異方導電性シートによれば、厚み方向に伸びる導電部21の周囲に絶縁部22が形成されてなる異方導電素子20が、硬質材料よりなるフレーム板10の貫通孔11に保持されているため、当該異方導電素子20における導電部21に過剰に加圧力が作用した場合であっても、当該導電部21の面方向における変形がフレーム板10の貫通孔11の内壁によって抑制されるので、これにより、導電部21中の導電性粒子の連鎖が過剰に湾曲することを防止することができる。
しかも、フレーム板10を構成する硬質材料は、その線熱膨張係数が異方導電素子20の基材を構成する弾性高分子物質の線熱膨張係数より小さいものであるため、このようなフレーム板10の貫通孔11に異方導電素子20が保持されることにより、異方導電性シート全体としての温度変化に対する熱膨張および熱収縮が小さいものとなり、その結果、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても、良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
従って、被検査回路装置との電気的接続において、高い接続信頼性を得ることができる。
【0050】
本発明の異方導電性シートは、上記の実施の形態に限定されず種々の変更を加えることが可能である。
(1)フレーム板10の貫通孔11は、例えば断面が円形のものであってもよい。
(2)異方導電素子20における導電部21は、絶縁部22の表面から突出した状態に形成される必要はなく、導電部21が絶縁部22と同等の厚みを有し、当該導電部21の表面が絶縁部22の表面と同一の平面上に位置するよう形成されていてもよい。
(3)絶縁層25を有する構成において、当該絶縁層25は、フレーム板10の表面の全面を覆うよう形成される必要はなく、フレーム板10の表面の一部例えばフレーム板10の周辺部以外の部分を覆うよう形成され、当該フレーム板10の周辺部が露出されていてもよい。
【0051】
【発明の効果】
請求項1に記載の異方導電性シートによれば、厚み方向に伸びる導電部の周囲に絶縁部が形成されてなる異方導電素子が、硬質のフレーム板の貫通孔に保持されているため、当該異方導電素子における導電部に過剰に加圧力が作用した場合であっても、当該導電部の面方向における変形がフレーム板の貫通孔の内壁によって抑制されるので、これにより、導電部中の導電性粒子の連鎖が過剰に湾曲することを防止することができる。
しかも、フレーム板を構成する硬質材料は、その線熱膨張係数が異方導電素子の基材を構成する弾性高分子物質の線熱膨張係数より小さいものであるため、このようなフレーム板の貫通孔に異方導電素子が保持されることにより、異方導電性シート全体としての温度変化に対する熱膨張および熱収縮が小さいものとなり、その結果、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても、良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
従って、接続すべき対象物に対する電気的接続において、高い接続信頼性を得ることができる。
また、弾性高分子物質よりなる絶縁層が硬質のフレーム板の表面を覆うよう形成されているため、電気的接続作業において、接続すべき対象物に損傷を与えることを防止することができる。
また、フレーム板が金属によって構成されている場合には、当該絶縁層によって所要の絶縁性を確実に達成することができる。
更に、絶縁層が異方導電素子における絶縁部と一体に形成されているため、異方導電素子がフレーム板の貫通孔に安定に保持されるので、異方導電素子がフレーム板の貫通孔から脱落することを防止することができる。
【0052】
請求項2に記載の異方導電性シートによれば、異方導電素子における導電部が絶縁部の表面から突出した状態で形成されているため、導電部には良好な荷重−歪み特性が得られ、その結果、異方導電素子が加圧されたときには、導電部に所要の導電性が確実に得られる。また、接続すべき電極の面積が小さく、しかも、その周囲に当該電極よりも高く突出したレジスト層が形成された回路装置に対しても、安定した電気的接続を確実に達成することができる。
【0053】
請求項3に記載の異方導電性シートによれば、フレーム板の厚みが十分に大きいものであるため、導電部の面方向における変形を確実に抑制することができる。
【0054】
請求項4に記載の異方導電性シートによれば、フレーム板の貫通孔の径が導電部の径との関係で特定の範囲にあるため、導電部の面方向における変形を確実に抑制することができると共に、導電部に大きいストレスが作用することを防止することができる。
【0055】
請求項5に記載の異方導電性シートによれば、フレーム板を構成する材料が十分に硬いものであるため、当該フレーム板は、異方導電素子における導電部が面方向に変形してもこれに追従して変形することがなく、その結果、導電部の面方向における変形を確実に抑制することができる。
【0056】
請求項6に記載の異方導電性シートによれば、フレーム板は線熱膨張係数が十分に小さい材料により構成されているため、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても、良好な電気的接続状態を一層安定に維持することができる。
【0057】
請求項7に記載の異方導電性シートの製造方法によれば、上記の異方導電性シートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の異方導電性シートの一例における構成を示す説明用断面図である。
【図2】図1に示す異方導電性シートの平面図である。
【図3】本発明の異方導電性シートを製造するために用いられる金型の一例における構成を示す説明用断面図である。
【図4】図3に示す金型内に、フレーム板が配置されると共に、成形材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図5】成形材料層中の導電性粒子が導電部となるべき部分に集合して更に厚み方向に並ぶよう配向した状態を示す説明用断面図である。
【図6】本発明の異方導電性シートが、検査対象である回路装置と検査用回路基板との間に介在された状態を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
1 被検査回路装置 2 被検査電極
5 検査用回路基板 6 検査用電極
10 フレーム板 11 貫通孔
20 異方導電素子 20A 成形材料層
21 導電部 21A 導電部となるべき部分
22 絶縁部 25 絶縁層
50 上型 51 強磁性体基板
52 強磁性体層 53 非磁性体層
54 スペーサー 55 下型
56 強磁性体基板 57 強磁性体層
58 非磁性体層

Claims (7)

  1. それぞれ厚み方向に伸びる複数の貫通孔が形成されたフレーム板と、 弾性高分子物質中に導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電部およびこの導電部にその外周を覆うよう一体に形成された、当該導電部と同一の種類の弾性高分子物質よりなる絶縁部により構成され、前記フレーム板の貫通孔の各々に当該フレーム板の表面から突出した状態で保持された異方導電素子と
    この異方導電素子と一体にかつ前記フレーム板の表面を覆うよう形成された、当該異方導電素子の絶縁部と同一の種類の弾性高分子物質よりなる絶縁層と
    を具えてなることを特徴とする異方導電性シート。
  2. 異方導電素子における導電部が絶縁部の表面から突出した状態で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性シート。
  3. フレーム板の厚みが異方導電素子における導電部の厚みの10%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異方導電性シート。
  4. 異方導電素子における導電部の径がフレーム板の貫通孔の径の30%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の異方導電性シート。
  5. フレーム板は、ロックウェル硬さが30以上の材料により構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の異方導電性シート。
  6. フレーム板は、線熱膨張係数が1.5×10 -4 /K以下の材料により構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の異方導電性シート。
  7. 請求項1に記載の異方導電性シートを製造する方法であって、
    強磁性体基板の下面に、目的とする異方導電性シートの異方導電素子における導電部の配置パターンに対掌なパターンに従って強磁性体層が形成され、この強磁性体層以外の個所には非磁性体層が形成された上型と、強磁性体基板の上面に、目的とする異方導電性シートの異方導電素子における導電部の配置パターンと同一のパターンに従って強磁性体層が形成され、この強磁性体層以外の個所には非磁性体層が形成された下型とよりなる金型を用い、
    この金型のキャビティ内に硬化性の高分子形成材料中に磁性を示す導電性粒子が分散されてなる成形材料層を形成すると共に、フレーム板を、その貫通孔が上型の強磁性体層とこれに対応する下型の強磁性体層との間に位置された状態で、成形材料層中に埋設し、
    上型の強磁性体層とこれに対応する下型の強磁性体層との間において大きい強度を有する平行磁場を成形材料層の厚み方向に作用させることにより、導電性粒子を、上型の強磁性体層とこれに対応する下型の強磁性体層との間に位置する導電部となるべき部分に集合させると共に、当該成形材料層の厚み方向に並ぶよう配向させ、この状態において、成形材料層を硬化処理することにより、導電部およびその外周を覆うよう一体に形成された絶縁部よりなる異方導電素子を形成すると共に、当該異方導電素子の絶縁部と一体の絶縁層をフレーム板の表面を覆うよう形成することを特徴とする異方導電性シートの製造方法。
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