JP3928607B2 - 異方導電性シート、その製造方法およびその応用 - Google Patents

異方導電性シート、その製造方法およびその応用 Download PDF

Info

Publication number
JP3928607B2
JP3928607B2 JP2003298767A JP2003298767A JP3928607B2 JP 3928607 B2 JP3928607 B2 JP 3928607B2 JP 2003298767 A JP2003298767 A JP 2003298767A JP 2003298767 A JP2003298767 A JP 2003298767A JP 3928607 B2 JP3928607 B2 JP 3928607B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anisotropic conductive
conductive sheet
inspection
wafer
inspected
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003298767A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004111378A (ja
Inventor
和夫 井上
克己 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2003298767A priority Critical patent/JP3928607B2/ja
Publication of JP2004111378A publication Critical patent/JP2004111378A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3928607B2 publication Critical patent/JP3928607B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、半導体集積回路などの回路装置の電気的検査にコネクターとして用いられる異方導電性シート、その製造方法およびその応用に関する。
異方導電性エラストマーシートは、厚み方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示す加圧導電性導電部を有するものであり、ハンダ付けあるいは機械的嵌合などの手段を用いずにコンパクトな電気的接続を達成することが可能であること、機械的な衝撃やひずみを吸収してソフトな接続が可能であることなどの特長を有するため、このような特長を利用して、例えば電子計算機、電子式デジタル時計、電子カメラ、コンピューターキーボードなどの分野において、回路装置、例えばプリント回路基板とリードレスチップキャリアー、液晶パネルなどとの相互間の電気的な接続を達成するためのコネクターとして広く用いられている。
また、パッケージIC、MCM等の半導体集積回路装置、集積回路が形成されたウエハ、プリント回路基板などの回路装置の電気的検査においては、検査対象である回路装置の一面に形成された被検査電極と、検査用回路基板の表面に形成された検査電極との電気的な接続を達成するために、電気回路部品の被検査電極領域と検査用回路基板の検査電極領域との間に異方導電性エラストマーシートを介在させることが行われている。
従来、このような異方導電性エラストマーシートとしては、種々の構造のものが知られており、例えば特許文献1等には、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られる異方導電性エラストマーシート(以下、これを「分散型異方導電性エラストマーシート」という。)が開示され、また、特許文献2等には、導電性磁性体粒子をエラストマー中に不均一に分布させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなる異方導電性エラストマーシート(以下、これを「偏在型異方導電性エラストマーシート」という。)が開示され、更に、特許文献3等には、導電部の表面と絶縁部との間に段差が形成された偏在型異方導電性エラストマーシートが開示されている。
そして、偏在型異方導電性エラストマーシートは、接続すべき回路装置の電極パターンと対掌のパターンに従って導電部が形成されているため、分散型異方導電性エラストマーシートに比較して、接続すべき電極の配列ピッチすなわち隣接する電極の中心間距離が小さい回路装置などに対しても電極間の電気的接続を高い信頼性で達成することができる点で、有利である。
しかしながら、従来の異方導電性エラストマーシートにおいては、以下のような問題がある。
半導体集積回路装置などの回路装置の電気的検査においては、潜在的欠陥を有する回路装置を選別するために、高温環境下において回路装置の電気的検査を行うバーンイン試験が行われている。
異方導電性エラストマーシートを使用したバーンイン試験について具体的に説明すると、異方導電性エラストマーシートの一面に被検査回路装置を配置すると共に、当該異方導電性エラストマーシートの他面に検査用回路基板を配置し、更にこれらを厚み方向に加圧することにより、被検査回路装置の被検査電極と検査用回路基板の検査電極との電気的接続が達成される。次いで、被検査回路装置を所定の温度に加熱し、この状態で、所定の時間保持される。その後、当該被検査回路装置の所要の電気的検査が行われる。
しかしながら、異方導電性エラストマーシートを形成する弾性高分子物質例えばシリコーンゴム中には未硬化の低分子量成分が残存しており、当該低分子量成分が異方導電性エラストマーシートの表面にブリードするため、当該異方導電性エラストマーシートに接触する被検査回路装置が汚染する。
また、異方導電性エラストマーシートは、低分子量成分が残存することにより、高い温度で接着性を帯びるため、高温環境下において被検査回路装置に圧接された状態で長時間保持された場合には、異方導電性エラストマーシートが被検査回路装置に接着する結果、両者を剥離させる際には、異方導電性エラストマーシートおよび被検査回路装置のいずれか一方または両方に損傷を与える、という問題がある。
一方、異方導電性エラストマーシートと被検査回路装置との間にシート状コネクターを介在させてバーンイン試験を行う場合には、低分子量成分による被検査回路装置の汚染および被検査回路装置に対する異方導電性エラストマーシートの接着が生ずることを回避することができる。
然るに、このような場合には、異方導電性エラストマーシートがシート状コネクターに接着する結果、両者を剥離させる際には、異方導電性エラストマーシートおよびシート状コネクターのいずれか一方または両方に損傷を与える。また、異方導電性エラストマーシートがシート状コネクターに接着すると、当該シート状コネクターに撓みが生じるため、このような状態で回路装置の電気的検査に使用する場合には、被検査回路装置における全ての被検査電極に対して安定な電気的接続を達成することが困難となる。
また、従来の異方導電性エラストマーシートを、半田よりなる被検査電極を有する回路装置の電気的検査に用いる場合には、以下のような問題がある。
すなわち、半田よりなる被検査電極を有する回路装置のプローブ試験に多数回にわたって繰り返し使用した場合や、高温環境下における試験例えばバーンイン試験に繰り返し使用した場合には、被検査電極を構成する半田物質が異方導電性エラストマーシートの表面に付着し、更には導電性粒子中に拡散する結果、所要の導電性を維持することが困難となる。
このような問題を解決するため、異方導電性エラストマーシートにおける導電部の表面に、半田物質に対して耐拡散性を有する金属層を形成する手段が提案されている(例えば特許文献4参照。)。
然るに、このような手段では、当該金属層の表面に半田物質が付着することを抑制することができないため、結局、長期間にわたって所要の導電性を維持することが困難となる。
更に、従来の偏在型異方導電性エラストマーシートには、以下のような問題がある。
偏在型異方導電性エラストマーシートにおいては、相当に大きい領域の絶縁部が存在するため、当該偏在型異方導電性エラストマーシートの使用方法や使用環境によっては、当該偏在型異方導電性エラストマーシートの絶縁部の表面が静電気を帯びて種々の問題が生じる。
例えば、偏在型異方導電性エラストマーシートを回路装置の電気的検査に用いる場合には、検査すべき回路装置と検査用回路基板との間に偏在型異方導電性エラストマーシートを介在させ、この異方導電性エラストマーシートを加圧することにより、検査すべき回路装置と検査用回路基板との電気的接続を達成して電気的検査が行われるが、加圧動作および剥離動作によって電荷が発生しやすく、多数の回路装置の電気的検査を連続して行うことにより、異方導電性エラストマーシートにおける絶縁部の表面に電荷が蓄積され、高い電圧の静電気を帯びることになる。
そして、当該静電気が異方導電性エラストマーシートの導電部を介して放電することにより、異方導電性エラストマーシートの導電部や検査用回路基板における配線回路だけでなく、検査対象である回路装置にまで悪影響を与えることがあり、その結果、異方導電性エラストマーシートや検査用回路基板が故障したり、検査対象である被検査回路装置が破壊するおそれがある。
特開昭51−93393号公報 特開昭53−147772号公報 特開昭61−250906号公報 特開2002−280092号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、接続対象体を汚染することがなく、また、高温環境下において接続対象体によって加圧された状態で長時間放置された場合にも、当該接続対象体に接着することがなく、しかも、電荷が蓄積されることが防止または抑制されて静電気による悪影響を排除することができ、更に、接続対象電極が半田よりなるものであっても、長期間にわたって所要の導電性が維持される異方導電性シートを提供することにある。
本発明の第2の目的は、接続対象体を汚染することがなく、また、高温環境下において接続対象体によって加圧された状態で長時間放置された場合にも、当該接続対象体に接着することがなく、しかも、電荷が蓄積されることが防止または抑制されて静電気による悪影響を排除することができ、更に、接続対象電極が半田よりなるものであっても、長期間にわたって所要の導電性が維持される異方導電性シートの製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記の異方導電性シートを具えた異方導電性コネクター、回路検査用プローブおよび回路検査装置を提供することにある。
本発明の異方導電性シートは、回路装置の検査にコネクターとして用いられる異方導電性シートであって、
弾性高分子物質により形成されてなり、厚み方向に伸びる複数の導電部およびこれらの導電部を相互に絶縁する絶縁部を有する異方導電性シート本体と、
この異方導電性シート本体における一面全面または両面全面を覆うよう一体的に形成されたDLC膜とを有してなり、
前記DLC膜の表面抵抗率が1×10 8 〜1×10 14 Ω/□であり、
前記DLC膜の厚みが1〜500nmであり、
前記異方導電性シート本体を形成する弾性高分子物質がシリコーンゴムであることを特徴とする。
また、本発明の異方導電性シートは、回路装置の検査にコネクターとして用いられる異方導電性シートであって、
弾性高分子物質により形成されてなり、厚み方向に伸びる複数の導電部およびこれらの導電部を相互に絶縁する絶縁部を有する異方導電性シート本体と、
この異方導電性シート本体における一面に、その導電部を覆うよう一体的に形成された金属層と、
前記異方導電性シート本体における少なくとも絶縁部の一面全面および前記金属層の表面を覆うよう一体的に形成されたDLC膜とを有してなり、
前記DLC膜の表面抵抗率が1×10 8 〜1×10 14 Ω/□であり、
前記DLC膜の厚みが1〜500nmであり、
前記異方導電性シート本体を形成する弾性高分子物質がシリコーンゴムであることを特徴とする。
このような異方導電性シートにおいては、金属層の表面抵抗率が1×10-2Ω/□以下であることが好ましい。
また、金属層の厚みが5〜1000nmであることが好ましい。
本発明の異方導電性シートの製造方法は、回路装置の検査にコネクターとして用いられる異方導電性シートを製造する方法であって、
弾性高分子物質により形成されてなり、厚み方向に伸びる複数の導電部およびこれらの導電部を相互に絶縁する絶縁部を有する異方導電性シート本体を製造し、
得られた異方導電性シート本体における一面または両面に、150℃以下の温度で、PVD法によって、厚みが1〜500nmで表面抵抗率が1×10 8 〜1×10 14 Ω/□のDLC膜を当該異方導電性シート本体の一面全面または両面全面を覆うよう一体的に形成する工程を有することを特徴とする。
本発明の異方導電性シートの製造方法においては異方導電性シート本体におけるDLC膜を形成すべき面に、イオンエッチング処理を行い、その後、DLC膜を形成することが好ましい。
本発明の異方導電性コネクターは、開口を有するフレーム板と、このフレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板の開口縁部によって支持された、上記の異方導電性シートとを具えてなることを特徴とする。
本発明の回路検査用プローブは、検査対象である回路の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された、上記の異方導電性シートまたは上記の異方導電性コネクターとを具えてなることを特徴とする。
また、本発明の異方導電性コネクターは、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる異方導電性コネクターであって、
検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路における被検査電極が配置された領域に対応して複数の開口が形成されたフレーム板と、それぞれ前記フレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板の開口縁部によって支持された複数の異方導電性シートとを具えてなり、前記異方導電性シートは上記のDLC膜を有する異方導電性シートであることを特徴とする。
また、本発明の回路検査用プローブは、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる回路検査用プローブであって、
検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された、上記のウエハ検査用の異方導電性コネクターとを具えてなることを特徴とする。
また、本発明の異方導電性コネクターは、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる異方導電性コネクターであって、
検査対象であるウエハに形成された集積回路の中から選択された複数の集積回路における被検査電極が配置された領域に対応して複数の開口が形成されたフレーム板と、それぞれ前記フレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板の開口縁部によって支持された複数の異方導電性シートとを具えてなり、前記異方導電性シートは上記のDLC膜を有する異方導電性シートであることを特徴とする。
また、本発明の回路検査用プローブは、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる回路検査用プローブであって、
検査対象であるウエハに形成された集積回路の中から選択された複数の集積回路における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された、上記のウエハ検査用の異方導電性コネクターとを具えてなることを特徴とする。
本発明の回路検査用プローブにおいては、絶縁性シートと、この絶縁性シートをその厚み方向に貫通して伸び、検査用回路基板における検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された複数の電極構造体とよりなるシート状コネクターが、異方導電性コネクター上に配置されていてもよい。
本発明の回路検査装置は、上記の回路検査用プローブを具えてなることを特徴とする。
本発明の異方導電性シートによれば、異方導電性シート本体における一面全面または両面全面を覆うようDLC膜が形成されていることにより、異方導電性シート本体を形成する弾性高分子物質中の低分子量成分が表面にブリードすることがないため、低分子量成分によって被検査回路装置を汚染することがなく、また、高温環境下において被検査回路装置によって加圧された状態で長時間放置された場合にも、当該被検査回路装置に接着することがない。しかも、DLC膜は、表面抵抗率が特定の範囲にあるため、その表面に電荷が蓄積されることが防止または抑制されて静電気による悪影響を排除することができる。 また、被検査電極が半田よりなるものであっても、当該半田物質が異方導電性シートの表面に付着することが十分に抑制されるので、長期間にわたって所要の導電性を維持することができる。
本発明の異方導電性シートの製造方法によれば、被検査回路装置を汚染することがなく、また、高温環境下において接続対象体によって加圧された状態で長時間放置された場合にも、当被検査回路装置に接着することがなく、しかも、電荷が蓄積されることが防止または抑制されて静電気による悪影響を排除することができ、更に、被検査電極が半田よりなるものであっても、長期間にわたって所要の導電性が維持される異方導電性シートを製造することができる。
本発明の異方導電性コネクターによれば、上記の異方導電性シートを有するため、被検査回路装置を汚染することがなく、また、高温環境下において被検査回路装置によって加圧された状態で長時間放置された場合にも、当該被検査回路装置に接着することがなく、しかも、表面に電荷が蓄積されることが防止または抑制されて静電気による悪影響を排除することができ、被検査電極が半田よりなるものであっても、長期間にわたって所要の導電性を維持することができる。
本発明の回路検査用プローブおよび回路装置の検査装置によれば、検査対象である回路装置が汚染されることを防止することできると共に、高温環境下において回路装置によって加圧された状態で長時間放置された場合にも、異方導電性シートが回路装置または回路検査用プローブにおける他の部材に接着することを防止することができ、これにより、異方導電性シート、回路装置または回路検査用プローブにおける他の部材に損傷を与えることを回避することができる。更に、異方導電性シートの表面に電荷が蓄積されることを防止または抑制することができるので、静電気による悪影響を排除することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔異方導電性シート〕
図1は、本発明に係る異方導電性シートの一例における構成を示す説明用断面図である。
この異方導電性シート10は、弾性高分子物質によって形成された異方導電性シート本体11を有する。異方導電性シート本体11は、被検査回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電部12と、これらの導電部12を相互に絶縁する絶縁部13とにより構成されている。導電部12には、磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されている。これに対して、絶縁部13は、導電性粒子Pが全く或いは殆ど含有されていないものである。
また、図示の例では、導電部12は、絶縁部13の両面の各々から突出するよう形成されている。
異方導電性シート本体11を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する耐熱性の高分子物質が好ましい。かかる架橋高分子物質を得るために用いることができる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、シリコーンゴム、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、軟質液状エポキシゴムなどが挙げられる。
これらの中では、成形加工性、電気特性および後述するDLC膜15に対する接着性の観点から、シリコーンゴムが好ましい。
シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
これらの中で、ビニル基を含有する液状シリコーンゴム(ビニル基含有ポリジメチルシロキサン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジアルコキシシランを、ジメチルビニルクロロシランまたはジメチルビニルアルコキシシランの存在下において、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。
また、ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
このようなビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる異方導電性シート10の耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
一方、ヒドロキシル基を含有する液状シリコーンゴム(ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジアルコキシシランを、ジメチルヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランの存在下において、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。
また、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
このようなヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mwが10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる異方導電性シート10の耐熱性の観点から、分子量分布指数が2以下のものが好ましい。
本発明においては、上記のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンのいずれか一方を用いることもでき、両者を併用することもできる。
また、異方導電性シートを、ウエハに形成された集積回路についてのプローブ試験またはバーンイン試験に用いる場合には、弾性高分子物質として、付加型液状シリコーンゴムの硬化物(以下、「シリコーンゴム硬化物」という。)であって、その150℃における圧縮永久歪みが10%以下であるものを用いることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。この圧縮永久歪みが10%を超える場合には、得られる異方導電性シートを多数回にわたって繰り返し使用したとき或いは高温環境下において繰り返し使用したときには、導電部12に永久歪みが発生しやすく、これにより、導電部12における導電性粒子の連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となることがある。
ここで、シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪みは、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
また、シリコーンゴム硬化物としては、その23℃におけるデュロメーターA硬度が10〜60のものを用いることが好ましく、さらに好ましくは15〜60、特に好ましくは20〜60のものである。このデュロメーターA硬度が10未満である場合には、加圧されたときに、導電部12を相互に絶縁する絶縁部13が過度に歪みやすく、導電部12間の所要の絶縁性を維持することが困難となることがある。一方、このデュロメーターA硬度が60を超える場合には、導電部12に適正な歪みを与えるために相当に大きい荷重による加圧力が必要となるため、例えば検査対象物の変形や破損が生じやすくなる。
また、シリコーンゴム硬化物として、デュロメーターA硬度が上記の範囲外のものを用いる場合には、得られる異方導電性シートを多数回にわたって繰り返し使用したときには、導電部12に永久歪みが発生しやすく、これにより、導電部12における導電性粒子の連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となることがある。
更に、異方導電性シートをバーンイン試験に用いる場合には、シリコーンゴム硬化物は、その23℃におけるデュロメーターA硬度が25〜40のものであることが好ましい。
シリコーンゴム硬化物として、デュロメーターA硬度が上記の範囲外のものを用いる場合には、得られる異方導電性シートをバーンイン試験に繰り返し使用したときには、導電部12に永久歪みが発生しやすく、これにより、導電部12における導電性粒子の連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となることがある。
ここで、シリコーンゴム硬化物のデュロメーターA硬度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
また、シリコーンゴム硬化物としては、その23℃における引き裂き強度が8kN/m以上のものを用いることが好ましく、さらに好ましくは10kN/m以上、より好ましくは15kN/m以上、特に好ましくは20kN/m以上のものである。この引き裂き強度が8kN/m未満である場合には、異方導電性シートに過度の歪みが与えられたときに、耐久性の低下を起こしやすい。
ここで、シリコーンゴム硬化物の引き裂き強度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
また、付加型液状シリコーンゴムとしては、ビニル基とSi−H結合との反応によって硬化するものであって、ビニル基およびSi−H結合の両方を含有するポリシロキサンからなる一液型(一成分型)のもの、およびビニル基を含有するポリシロキサンおよびSi−H結合を含有するポリシロキサンからなる二液型(二成分型)のもののいずれも用いることができるが、二液型の付加型液状シリコーンゴムを用いることが好ましい。
また、付加型液状シリコーンゴムとしては、その23℃における粘度が100〜1,250Pa・sのものを用いることが好ましく、さらに好ましくは150〜800Pa・s、特に好ましくは250〜500Pa・sのものである。この粘度が100Pa・s未満である場合には、後述する異方導電性シートを得るための成形材料において、当該付加型液状シリコーンゴム中における導電性粒子の沈降が生じやすく、良好な保存安定性が得られず、また、成形材料層に平行磁場を作用させたときに、導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向せず、均一な状態で導電性粒子の連鎖を形成することが困難となることがある。一方、この粘度が1,250Pa・sを超える場合には、得られる成形材料が粘度の高いものとなるため、金型内に成形材料層を形成しにくいものとなることがあり、また、成形材料層に平行磁場を作用させても、導電性粒子が十分に移動せず、そのため、導電性粒子を厚み方向に並ぶよう配向させることが困難となることがある。
このような付加型液状シリコーンゴムの粘度は、B型粘度計によって測定することができる。
高分子物質形成材料中には、当該高分子物質形成材料を硬化させるための硬化触媒を含有させることができる。このような硬化触媒としては、有機過酸化物、脂肪酸アゾ化合物、ヒドロシリル化触媒などを用いることができる。
硬化触媒として用いられる有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジターシャリーブチルなどが挙げられる。
硬化触媒として用いられる脂肪酸アゾ化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
ヒドロシリル化反応の触媒として使用し得るものの具体例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられる。
硬化触媒の使用量は、高分子物質形成材料の種類、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、高分子物質形成材料100重量部に対して3〜15重量部である。
異方導電性シート本体11における導電部12に含有される導電性粒子Pとしては、後述する方法によって、当該異方導電性シート本体11を形成するための成形材料中において当該導電性粒子Pを容易に移動させることができる観点から、磁性を示すものを用いることが好ましい。このような磁性を示す導電性粒子Pの具体例としては、鉄、ニッケル、コバルトなどの磁性を示す金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性体のメッキを施したもの、あるいは芯粒子に、導電性磁性体および導電性の良好な金属の両方を被覆したものなどが挙げられる。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に金や銀などの導電性の良好な金属のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば無電解メッキにより行うことができる。
導電性粒子Pとして、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導電性が得られる観点から、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の2.5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは3.5〜25重量%、特に好ましくは4〜20重量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の3〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは3.5〜25重量%、さらに好ましくは4〜20重量%、特に好ましくは4.5〜10重量%である。また、被覆される導電性金属が銀である場合には、その被覆量は、芯粒子の3〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは4〜25重量%、さらに好ましくは5〜23重量%、特に好ましくは6〜20重量%である。
また、導電性粒子Pの粒子径は、1〜500μmであることが好ましく、より好ましくは2〜400μm、さらに好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜150μmである。
また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜7、さらに好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子Pを用いることにより、得られる異方導電性シート本体11は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該異方導電性シート本体11における導電部12において導電性粒子P間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
また、導電性粒子Pの含水率は、5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。このような条件を満足する導電性粒子Pを用いることにより、後述する製造方法において、成形材料層を硬化処理する際に、当該成形材料層内に気泡が生ずることが防止または抑制される。
導電部12における導電性粒子Pの含有割合は、体積分率で10〜60%、好ましくは15〜50%であることが好ましい。この割合が10%未満の場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電部12が得られないことがある。一方、この割合が60%を超える場合には、得られる導電部12は脆弱なものとなりやすく、導電部12として必要な弾性が得られないことがある。
高分子物質形成材料中には、必要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エアロゲルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含有させることができる。このような無機充填材を含有させることにより、得られる成形材料のチクソトロピー性が確保され、その粘度が高くなり、しかも、導電性粒子Pの分散安定性が向上すると共に、硬化処理されて得られる異方導電性シート10の強度が高くなる。
このような無機充填材の使用量は、特に限定されるものではないが、あまり多量に使用すると、後述する製造方法において、磁場による導電性粒子Pの移動が大きく阻害されるため、好ましくない。
このような異方導電性シート本体11の表面には、DLC膜15が形成されている。図示の例では、DLC膜15は、異方導電性シート本体11の表面全面を覆うよう形成されている。
DLC膜15の厚みは、1〜500nmとされ、好ましくは2〜50nmである。この厚みが1nm未満である場合には、当該DLC膜15が異方導電性シート本体11上に島状に形成されることがあり、当該異方導電性シート本体11における少なくとも絶縁部の表面全面を覆うようDLC膜15を形成することが困難となる。一方、この厚みが500nmを超える場合には、当該DLC膜15によって異方導電性シート本体11における導電部12間の電気抵抗値が低下し、導電部12間に電気的なリークが生ずることがある。
また、DLC膜15は、その表面抵抗率が1×108 〜1×1014Ω/□とされ、好ましくは1×1010〜1×1012Ω/□である。この表面抵抗率が1×108 Ω/□未満である場合には、異方導電性シート本体11における隣接する導電部12間において、所要の絶縁性が得られないことがある。一方、この表面抵抗率が1×1014Ω/□を超える場合には、表面に電荷が蓄積されることを十分に抑制することが困難となる。
また、DLC膜15は、ダイヤモンド結合とグラファイト結合との比率が9:1〜5:5であることが好ましく、より好ましくは8:2〜6:4であり、これにより、上記の範囲の表面抵抗率を有するDLC膜15が確実に得られる。
このような異方導電性シートは、以下のようにして製造することができる。
図2は、異方導電性シート本体11を製造するために用いられる金型の一例における構成を示す説明用断面図である。この金型は、上型50およびこれと対となる下型55が、枠状のスペーサー54を介して互いに対向するよう配置されて構成され、上型50の下面と下型55の上面との間にキャビティが形成されている。
上型50においては、強磁性体基板51の下面に、製造すべき異方導電性シート本体11の導電部12の配置パターンに対掌なパターンに従って強磁性体層52が形成され、この強磁性体層52以外の個所には、当該強磁性体層52の厚みより大きい厚みを有する非磁性体層53が形成されている。
一方、下型55においては、強磁性体基板56の上面に、製造すべき異方導電性シート本体11の導電部12の配置パターンと同一のパターンに従って強磁性体層57が形成され、この強磁性体層57以外の個所には、当該強磁性体層57の厚みより大きい厚みを有する非磁性体層58が形成されている。
上型50および下型55の各々における強磁性体基板51,56を構成する材料としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属を用いることができる。この強磁性体基板51,56は、その厚みが0.1〜50mmであることが好ましく、表面が平滑で、化学的に脱脂処理され、また、機械的に研磨処理されたものであることが好ましい。
また、上型50および下型55の各々における強磁性体層52,57を構成する材料としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属を用いることができる。この強磁性体基板52,57は、その厚みが10μm以上であることが好ましい。この厚みが10μm未満である場合には、金型内に形成される成形材料層に対して、十分な強度分布を有する磁場を作用させることが困難となり、この結果、当該成形材料層における導電部を形成すべき部分に導電性粒子を高密度に集合させることが困難となるため、良好な異方導電性を有するシートが得られないことがある。
また、上型50および下型55の各々における非磁性体層53,58を構成する材料としては、銅などの非磁性金属、耐熱性を有する高分子物質などを用いることができるが、フォトリソグラフィーの手法により容易に非磁性体層53,58を形成することができる点で、放射線によって硬化された高分子物質を用いることが好ましく、その材料としては、例えばアクリル系のドライフィルムレジスト、エポキシ系の液状レジスト、ポリイミド系の液状レジストなどのフォトレジストを用いることができる。
また、非磁性体層53,58の厚みは、強磁性体層52,57の厚み、目的とする異方導電性シート本体11の導電部12の突出高さに応じて設定される。
そして、上記の金型を用い、次のようにして異方導電性シート本体11が製造される。
先ず、硬化されて弾性高分子物質となる高分子形成材料例えば液状シリコーンゴム中に、磁性を示す導電性粒子が分散されてなる流動性の成形材料を調製し、図3に示すように、この成形材料を金型のキャビティ内に注入して成形材料層11Aを形成する。このとき、導電性粒子Pは成形材料層11A中に分散された状態で含有されている。
次いで、上型50における強磁性体基板51の上面および下型55における強磁性体基板56の下面に、例えば一対の電磁石を配置し、当該電磁石を作動させることにより、強度分布を有する平行磁場、すなわち上型50の強磁性体部分52とこれに対応する下型55の強磁性体部分57との間において大きい強度を有する平行磁場を成形材料層11Aの厚み方向に作用させる。その結果、成形材料層11Aにおいては、図4に示すように、当該成形材料層11A中に分散されている導電性粒子Pが、上型50の強磁性体部分52とこれに対応する下型55の強磁性体部分57との間に位置する導電部となるべき部分12Aに集合すると共に、厚み方向に並ぶよう配向する。
そして、この状態において、成形材料層11Aを硬化処理することにより、図5に示すように、全体が弾性高分子物質により形成され、導電性粒子Pが密に充填された導電部12と、導電性粒子Pが全くあるいは殆ど存在しない絶縁部13とよりなる異方導電性シート本体11が製造される。
以上において、成形材料層11Aの硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。
成形材料層11Aに作用される平行磁場の強度は、平均で0.2〜2テスラとなる大きさが好ましい。
また、成形材料層11Aに平行磁場を作用させる手段としては、電磁石の代わりに永久磁石を用いることもできる。永久磁石としては、上記の範囲の平行磁場の強度が得られる点で、アルニコ(Fe−Al−Ni−Co系合金)、フェライトなどよりなるものが好ましい。
成形材料層11Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、成形材料層11Aを構成する高分子形成材料の種類、導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。
次いで、得られた異方導電性シート本体11におけるDLC膜を形成すべき面(この例では表面全面)に、好ましくはイオンエッチング処理を行う。
ここで、イオンエッチング処理において用いられるガスイオンとしては、アルゴンイオンなどを用いることができる。
イオンエッチング処理の処理時間は、5〜20分間である。
そして、異方導電性シート本体11におけるイオンエッチング処理された面に、DLC膜を形成することにより、図1に示す構成の異方導電性シート10が得られる。
ここで、DLC膜を形成する方法としては、PVD法、プラズマCVD法などを利用することができるが、比較的低い温度で所要の厚みのDLC膜を形成することができ、これにより、DLC膜の形成において、異方導電性シート本体11の特性に悪影響を与えることを回避することができる点で、PVD法が好ましい。
DLC膜を形成するためのPVD法としては、固体炭素源を用いる種々の方法、例えばスパッタ法、電子ビーム蒸着法、固体炭素源を陰極としたアーク放電法などを利用することができ、固体炭素源としては、グラファイトなどを用いることができる。
また、PVD法における処理温度は、150℃以下、好ましくは60〜120℃とされ。この範囲において、形成すべきDLC膜の厚み、DLC膜の化学構造などに応じて適宜設定される。このような温度条件を設定することにより、異方導電性シート本体11の特性に悪影響を与えることなしに所要の厚みのDLC膜を形成することができる。
上記の異方導電性シート10によれば、異方導電性シート本体11における表面全面に、DLC膜15が形成されていることにより、異方導電性シート本体11を形成する弾性高分子物質中の低分子量成分が当該異方導電性シート10の表面にブリードすることがないため、低分子量成分によって被検査回路装置が汚染されることを防止することができると共に、高温環境下において被検査回路装置によって加圧された状態で長時間放置された場合にも、被検査回路装置に接着することを防止することができる。
しかも、DLC膜15は、表面抵抗率が特定の範囲にあるため、その表面に電荷が蓄積されることを防止または抑制することができる。
また、被検査電極が半田よりなるものであっても、当該半田物質が異方導電性シート10の表面に付着することが十分に抑制されるので、長期間にわたって所要の導電性を維持することができる。
また、DLC膜15が導電部12の表面を覆うよう形成されていることにより、被検査電極が接触する部分の表面硬度が高くなるため、後述する実施例から明らかなように、小さい加圧力で高い導電性が得られる。
図6は、本発明に係る異方導電性シートの他の例における構成を示す説明用断面図である。この異方導電性シート10においては、異方導電性シート本体11における一面に、金属層14が導電部12を覆うよう一体的に形成されており、異方導電性シート本体11および金属層14の表面全面を覆うよう、DLC膜15が形成されている。異方導電性シート本体11およびDLC膜15は、図1に示す異方導電性シート10における異方導電性シート本体11およびDLC膜15と基本的に同様の構成である。
金属層14を構成する材料としては、チタン、ロジウム、イリジウム、タングステン、ニッケルなどを用いることができるが、被検査電極が半田により形成されている場合には、半田の付着や半田によるマイグレーションを防止する観点から、チタン、ロジウム、タングステンを用いることが好ましい。
金属層14の厚みは、5〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは10〜100nmである。この厚みが5nm未満である場合には、均一な厚みの金属層14を形成することが困難であるため、安定した金属層14の形成が困難となる。一方、この厚みが1000nmを超える場合には、堆積応力の増加に伴い、金属層14の破損や剥離が生じやすくなる。
金属層14は、その表面抵抗率が1×10-2Ω/□以下であることが好ましく、より好ましく1×10-3Ω/□以下である。金属層14の表面抵抗率が1×10-2Ω/□を超える場合には、得られる異方導電性シート10の接触抵抗が増加するため、コンタクトプローブとしての性能の低下を招くことがある。
上記の異方導電性シート10は、金属層14の形成を除き、図1に示す異方導電性シート10と同様にして製造することができる。
そして、金属層14は例えば以下のようにして製造することができる。
先ず、図7に示すように、異方導電性シート本体11における導電部12のパターンに対応するパターンに従って開口17が形成された板状のマスク16を用意し、このマスク16を、異方導電性シート本体11の一面に当該マスク16の各開口17がこれに対応する導電部12上に位置するよう配置する。
ここで、マスク16を構成する材料としては、ステンレスなどの金属材料、樹脂材料を用いることができる。マスク16の開口17を形成する方法としては、エッチング加工、機械加工、レーザー加工などによる方法を利用することができる。
次いで、異方導電性シート本体11の導電部12の表面に対して、マスク16の開口17を介してイオンエッチング処理を行う。その後、図8に示すように、マスク16の開口17を介して異方導電性シート本体11の導電部12の表面に金属層14を形成する。そして、異方導電性シート本体11の一面からマスク16を除去することにより、図9に示すように、導電部12の一面を覆うよう金属層14が形成された異方導電性シート本体11が得られる。
ここで、金属層14を形成する方法としては、金属層14を形成する金属材料よりなる電極を陰極としたアーク放電法、スパッタ法などの方法を利用することができる。
そして、金属層14を含む異方導電性シート本体11の表面全面に、イオンエッチング処理を行った後、PVD法により、DLC膜を形成することにより、図6に示す異方導電性シート10が得られる。
図6に示す構成の異方導電性シート10によれば、図1に示す構成の異方導電性シートと同様の効果が得られると共に、更に以下のような効果が得られる。
すなわち、異方導電性シート本体11の導電部12の表面に金属層14が形成されているため、被検査電極に対する接触抵抗が低くなる。また、導電部12には、導電性粒子Pの連鎖によって複数の導電路が形成されるが、各導電路同士が金属層14によって短絡されるため、接続すべき電極が金属層14に対して電気的に接続されれば、導電部12に形成される全ての導電路が有効に利用されるので、被検査電極と導電部12との位置ずれによる導電性の低下が抑制される。従って、被検査回路装置に対して高い接続信頼性が得られる。
また、導電部12が金属層14に保護されるため、繰り返し耐久性の高い異方導電性シート10が得られる。
本発明の異方導電性シートは、上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、異方導電性シート本体11において、各導電部12が絶縁部13の両面から突出することは必須のことではなく、両面が平坦面なものであっても、導電部12が絶縁部13の片面のみから突出するものであってもよい。
また、異方導電性シート本体11には、接続対象体の電極に電気的に接続される導電部12以外に、当該電極に電気的に接続されない非接続用導電部が形成されていてもよい。 また、DLC膜15は、片面のみに形成されていてもよい
〔異方導電性コネクター〕
図10は、本発明に係る異方導電性コネクターの一例を示す平面図であり、図11は、図10に示す異方導電性コネクターにおける要部を拡大して示す説明用断面図である。
この異方導電性コネクター20は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるものであって、検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路における被検査電極が配置された領域に対応して複数の開口19が形成されたフレーム板18を有する。フレーム板18の開口19の各々には、当該開口19を塞ぐよう異方導電性シート10が配置され、これらの異方導電性シート10の周縁部が、当該フレーム板18の開口縁部に固定されて支持されている。
この例における異方導電性シート10の各々は、検査対象であるウエハに接触する一面(図11において上面)が平坦面とされていること、すなわち異方導電性シート本体11の導電部12がその一面において突出していないことを除き、基本的に図1に示す異方導電性シート10と同様の構成である。
異方導電性コネクター20におけるフレーム板18を構成する材料としては、金属材料、セラミックス材料、樹脂材料などの種々の材料を用いることができ、その具体例としては、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、マグネシウム、マンガン、モリブデン、インジウム、鉛、パラジウム、チタン、タングステン、アルミニウム、金、白金、銀などの金属またはこれらを2種以上組み合わせた合金若しくは合金鋼などの金属材料、窒化珪素、炭化珪素、アルミナなどのセラミックス材料、アラミッド不繊布補強型エポキシ樹脂、アラミッド不繊布補強型ポリイミド樹脂、アラミッド不繊布補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂などの樹脂材料が挙げられる。
また、異方導電性コネクター20をバーンイン試験に使用する場合には、フレーム板18を構成する材料としては、線熱膨張係数が検査対象であるウエハを構成する材料の線熱膨張係数と同等若しくは近似したものを用いることが好ましい。具体的には、ウエハを構成する材料がシリコンである場合には、線熱膨張係数が1.5×10-4/K以下、特に、3×10-6〜8×10-6/Kのものを用いることが好ましく、その具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42アロイなどの金属材料、アラミッド不繊布補強型有機樹脂材料が挙げられる。
また、フレーム板18の厚みは、その形状が維持されると共に、異方導電性シート10を保持することが可能であれば、特に限定されないが、例えば0.03〜1mm、好ましくは0.05〜0.25mmである。
このような異方導電性コネクター20は、以下のようにして製造することができる。
先ず、検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応して複数の開口19が形成されたフレーム板18を作製する。ここで、フレーム板18の開口19を形成する方法としては、例えばエッチング法などを利用することができる。
次いで、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質形成材料中に、磁性を示す導電性粒子が分散されてなる成形材料を調製する。そして、図12に示すように、異方導電性シート本体成形用の金型を用意し、この金型における上型50および下型55の各々の成形面に、調製した成形材料を、所要のパターンすなわち形成すべき異方導電性シート10の配置パターンに従って塗布することによって成形材料層11Bを形成する。ここで、上型50および下型55の成形面に成形材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷法を用いることが好ましい。このような方法によれば、成形材料を所要のパターンに従って塗布することが容易で、しかも、適量の成形材料を塗布することができる。
また、金型について具体的に説明すると、上型50においては、強磁性体基板51の下面に、成形すべき全ての異方導電性シート本体11の導電部12の配置パターンに対掌なパターンに従って強磁性体層52が形成され、この強磁性体層52以外の個所には、非磁性体層53が形成されており、これらの強磁性体層52および非磁性体層53によって成形面が形成されている。
一方、下型55においては、強磁性体基板56の上面に、成形すべき全ての異方導電性シート本体11の導電部12の配置パターンと同一のパターンに従って強磁性体層57が形成され、この強磁性体層57以外の個所には、非磁性体層58が形成されており、これらの強磁性体層57および非磁性体層58によって成形面が形成されている。また、下型55の成形面には、成形すべき異方導電性シート本体の他面における突出部分に対応して凹所58aが形成されている。
強磁性体基板51,56、強磁性体層52,57および被磁性体層53,58の材質その他の条件は、前述の図2に示す金型と同様である。
そして、成形材料層11Bが形成された下型55の成形面上に、それぞれ形成すべき異方導電性シート本体11の平面形状に適合する形状を有する複数の開口Kが形成されたスペーサー54bを介して、フレーム板18を位置合わせして配置すると共に、このフレーム板18上に、それぞれ形成すべき異方導電性シート本体11の平面形状に適合する形状を有する複数の開口Kが形成されたスペーサー54aを介して、成形材料層11Bが形成された上型50を位置合わせして配置し、更に、これらを重ね合わせることにより、図13に示すように、上型50と下型55との間に、目的とする形態(形成すべき異方導電性シート本体11の形態)の成形材料層11Aが形成される。
このようにフレーム板18と上型50および下型55との間にスペーサー54a,54bを配置することにより、目的とする形態の異方導電性シート本体を形成することができると共に、隣接する異方導電性シート本体同士が連結することが防止されるため、互いに独立した多数の異方導電性シート本体を確実に形成することができる。
次いで、上型50における強磁性体基板51の上面および下型55における強磁性体基板56の下面に例えば一対の電磁石を配置してこれを作動させることにより、成形材料層11A中に分散されていた導電性粒子が、上型50の強磁性体層52とこれに対応する下型55の強磁性体層57との間に位置する導電部12となる部分に集合して厚み方向に並ぶよう配向する。そして、この状態において、成形材料層11Aを硬化処理することにより、弾性高分子物質中に導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる複数の導電部12が、導電性粒子が全く或いは殆ど存在しない高分子弾性物質よりなる絶縁部13によって相互に絶縁された状態で配置されてなる複数の異方導電性シート本体11が、フレーム板18の開口縁部に固定された状態で形成され、以て、図14に示すように、検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路における被検査電極が配置された領域に対応して複数の開口19を有するフレーム板18と、このフレーム板18の開口19を塞ぐよう配置され、当該フレーム板18の開口縁部によって支持された複数の異方導電性シート本体11とよりなるコネクター用中間体20Aが製造される。
その後、このコネクター用中間体20Aにおける異方導電性シート本体11の各々の表面にDLC膜を形成することにより、図10および図11に示す異方導電性コネクター20が得られる。
このような異方導電性コネクター20によれば、DLC膜15が形成された異方導電性シート10を有するため、前述した異方導電性シート10による効果が得られると共に、更に以下のような効果が得られる。
すなわち、上記の異方導電性コネクター20によれば、異方導電性シート10がフレーム板18に固定されているため、変形しにくくて取扱いやすく、検査対象であるウエハとの電気的接続作業において、当該ウエハに対する位置合わせおよび保持固定を容易に行うことができる。
また、フレーム板18の開口19の各々は、検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路の被検査電極が配置された電極領域に対応して形成されており、当該開口19の各々に配置される異方導電性シート10は面積が小さいものでよいため、個々の異方導電性シート10の形成が容易である。しかも、面積の小さい異方導電性シート10は、熱履歴を受けた場合でも、当該異方導電性シート10の面方向における熱膨張の絶対量が少ないため、フレーム板18を構成する材料として線熱膨張係数の小さいものを用いることにより、異方導電性シート10の面方向における熱膨張がフレーム板18によって確実に規制される。従って、検査対象が大面積のウエハに形成された多数の集積回路であり、これらの集積回路について一括してバーンイン試験を行う場合においても、良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
本発明の異方導電性コネクターは、上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えばフレーム板に、検査対象であるウエハに形成された集積回路の中から選択された複数の集積回路における被検査電極が配置された領域に対応して複数の開口が形成され、これらの開口の各々を塞ぐよう複数の異方導電性シートが配置された構成であってもよい。ここで、選択される集積回路の数は、ウエハのサイズ、ウエハに形成された集積回路の数、各集積回路における被検査電極の数などを考慮して適宜選択され、例えば16個、32個、64個、128個である。
また、フレーム板に単一の開口が形成され、当該開口を塞ぐよう単一の異方導電性シートが配置された構成であってもよい。
〔回路検査装置〕
次に、本発明に係る回路検査装置について、多数の集積回路が形成されたウエハを電気的に検査するウエハ検査装置として実施した場合を例に挙げて説明する。
図15は、本発明に係るウエハ検査装置の一例における要部の構成を示す説明用断面図であり、このウエハ検査装置は、それぞれ突起状の被検査電極を有する多数の集積回路が形成されたウエハを電気的に検査するためのものである。
このウエハ検査装置は、図16にも拡大して示すように、一面(図15および図16において下面)に検査対象であるウエハにおける突起状の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って多数の検査電極31が配置された検査用回路基板30と、この検査用回路基板30の一面上に配置された、検査対象であるウエハに接触される図10に示す構成の異方導電性コネクター20とよりなる回路検査用プローブ25を有し、この回路検査用プローブ25の下方位置には、検査対象であるウエハ1が載置されるウエハ載置台5が設けられている。
検査用回路基板30の他面(図において上面)には、テスターに接続される多数の接続端子32が適宜のパターンに従って形成されており、これらの接続端子32の各々は、当該検査用回路基板30における内部配線33を介して検査電極31の各々に電気的に接続されている。
検査用回路基板30の基材としては、耐熱性を有するものであれば特に限定されず、プリント回路基板の基板材料として通常使用されている種々のものを用いることができ、その具体例としては、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アラミッド不繊布補強型エポキシ樹脂、アラミッド不繊布補強型ポリイミド樹脂、アラミッド不繊布補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂等の樹脂材料、セラミックス材料、ガラス材料、金属コア材料などを挙げることができるが、バーンイン試験に適用する場合には、その線熱膨張係数が、検査対象であるウエハを構成する材料の線熱膨張係数が同等若しくは近似したものを用いることが好ましい。具体的には、ウエハがシリコンよりなるものである場合には、線熱膨張係数が1.5×10-4/K以下、特に、3×10-6〜8×10-6/Kのものを用いることが好ましい。
このようなウエハ検査装置においては、以下のようにしてウエハ1の検査が実行される。
先ず、ウエハ載置台5上に、検査対象であるウエハ1が、その被検査電極2が上方を向いた状態でかつ被検査電極2の各々が検査用回路基板30の検査電極31の各々の直下に位置するよう配置される。次いで、例えば検査用回路基板30が適宜の加圧手段によって下方に加圧されることにより、異方導電性コネクター20における異方導電性シート10が、ウエハ1の被検査電極2に接触し、更には被検査電極2によって加圧された状態となる。これにより、異方導電性シート10の異方導電性シート本体11における導電部12は、ウエハ1の被検査電極2の突出高さに応じて厚み方向に圧縮するよう弾性的に変形し、当該異方導電性シート本体11の導電部12には、ウエハ1の被検査電極2と検査用回路基板30の検査電極31との間に、導電性粒子Pによって当該異方導電性シート10の厚み方向に伸びる導電路が形成され、その結果、ウエハ1の被検査極極2と検査用回路基板30の検査電極31との電気的接続が達成される。その後、バーンイン試験を行う場合には、ウエハ1が所定の温度に加熱され、この状態で、当該ウエハ1について所要の電気的検査が実行される。
上記のウエハ検査装置によれば、回路検査用プローブ25におけるウエハ1に接触する異方導電性コネクター20が、DLC膜15が形成された異方導電性シート10を有するものであるため、ウエハ1が汚染されることを防止することできると共に、高温環境下においてウエハ1によって加圧された状態で長時間放置された場合にも、異方導電性シート10がウエハ1に接着することを防止することができ、これにより、異方導電性シート10およびウエハ1に損傷を与えることを回避することができる。更に、異方導電性シート10の表面に電荷が蓄積されることを防止または抑制することができるので、静電気による悪影響を排除することができる。
図17は、本発明に係るウエハ検査装置の他の例における要部の構成を示す説明用断面図であり、このウエハ検査装置は、それぞれ平面状の被検査電極を有する多数の集積回路が形成されたウエハを電気的に検査するためのものである。
このウエハ検査装置は、図18にも拡大して示すように、一面(図17および図18において下面)に検査対象であるウエハにおける被検査電極のパターンに対応するパターンに従って多数の検査電極31が配置された検査用回路基板30と、この検査用回路基板30の一面に配置された異方導電性コネクター20と、この異方導電性コネクター20の一面(図17および図18において下面)に配置されたシート状コネクター40とにより構成された回路検査用プローブ25を有し、この回路検査用プローブ25の下方位置には、検査対象であるウエハ1が載置されるウエハ載置台5が設けられている。
検査用回路基板30は、図14および図15に示すウエハ検査装置における検査用回路基板30と同様の構成であり、異方導電性コネクター20は、その異方導電性シート10における異方導電性シート本体11の導電部12が、絶縁部13の両面の各々から突出した状態に形成されていることを除き、図14および図15に示すウエハ検査装置における異方導電性コネクター20と同様の構成である。
シート状コネクター40は、柔軟な絶縁性シート41を有し、この絶縁性シート41には、当該絶縁性シート41の厚み方向に伸びる複数の金属よりなる電極構造体42が、検査用回路基板30の検査電極31のパターンに対応するパターンすなわち検査対象であるウエハ1の被検査電極2のパターンに対応するパターンに従って、当該絶縁性シート41の面方向に互いに離間して配置されている。電極構造体42の各々は、絶縁性シート41の表面(図において下面)に露出する突起状の表面電極部43と、絶縁性シート41の裏面に露出する板状の裏面電極部44とが、絶縁性シート41の厚み方向に貫通して伸びる短絡部45によって互いに一体に連結されて構成されている。
そして、シート状コネクター40は、その電極構造体42の各々が異方導電性コネクター20の異方導電性シート10における導電部12上に位置するよう配置されている。
シート状コネクター40における絶縁性シート41としては、絶縁性を有する柔軟なものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエステル、フッ素系樹脂などよりなる樹脂シート、繊維を編んだクロスに上記の樹脂を含浸したシートなどを用いることができる。
また、絶縁性シート41の厚みは、当該絶縁性シート41が柔軟なものであれば特に限定されないが、10〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。
電極構造体42を構成する金属としては、ニッケル、銅、金、銀、パラジウム、鉄などを用いることができ、電極構造体42としては、全体が単一の金属よりなるものであっても、2種以上の金属の合金よりなるものまたは2種以上の金属が積層されてなるものであってもよい。
また、電極構造体42における表面電極部43および裏面電極部44の表面には、当該電極部の酸化が防止されると共に、接触抵抗の小さい電極部が得られる点で、金、銀、パラジウムなどの化学的に安定で高導電性を有する金属被膜が形成されていることが好ましい。
電極構造体42における表面電極部43の突出高さは、ウエハ1の被検査電極2に対して安定な電気的接続を達成することができる点で、15〜50μmであることが好ましく、より好ましくは20〜35μmである。また、表面電極部43の径は、ウエハ1の被検査電極の寸法およびピッチに応じて設定されるが、例えば30〜80μmであり、好ましくは30〜65μmである。
電極構造体42における裏面電極部44の径は、短絡部45の径より大きく、かつ、電極構造体42の配置ピッチより小さいものであればよいが、可能な限り大きいものであることが好ましく、これにより、異方導電性コネクター20の異方導電性シート10における導電部12に対しても安定な電気的接続を確実に達成することができる。また、裏面電極部44の厚みは、強度が十分に高くて優れた繰り返し耐久性が得られる点で、20〜50μmであることが好ましく、より好ましくは35〜50μmである。
電極構造体42における短絡部45の径は、十分に高い強度が得られる点で、30〜80μmであることが好ましく、より好ましくは30〜65μmである。
シート状コネクター40は、例えば以下のようにして製造することができる。
すなわち、絶縁性シート41上に金属層が積層されてなる積層材料を用意し、この積層材料における絶縁性シート41に対して、レーザ加工、ドライエッチング加工等によって、当該絶縁性シート41の厚み方向に貫通する複数の貫通孔を、形成すべき電極構造体42のパターンに対応するパターンに従って形成する。次いで、この積層材料に対してフォトリソグラフィーおよびメッキ処理を施すことによって、絶縁性シート41の貫通孔内に金属層に一体に連結された短絡部45を形成すると共に、当該絶縁性シート41の表面に、短絡部45に一体に連結された突起状の表面電極部43を形成する。その後、積層材料における金属層に対してフォトエッチング処理を施してその一部を除去することにより、裏面電極部44を形成して電極構造体42を形成し、以てシート状コネクター40が得られる。
このようなウエハ検査装置によれば、回路検査用プローブ25におけるウエハ1に接触する異方導電性コネクター20が、DLC膜15が形成された異方導電性シート10を有するものであるため、当該回路検査用プローブ25が加圧された状態で長時間放置された場合にも、異方導電性シート10がシート状コネクター40に接着することを防止することができ、これにより、シート状コネクターに撓みが生じることが回避され、その結果、繰り返し使用した場合にも、被検査回路装置における全ての被検査電極に対して安定な電気的接続を達成することができる。更に、異方導電性シート10の表面に電荷が蓄積されることを防止または抑制することができるので、静電気による悪影響を排除することができる。
本発明の回路検査用プローブおよび回路検査装置は、上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、検査対象である回路は、多数の集積回路が形成されたウエハに限定されるものではなく、半導体チップや、BGA、CSPなどのパッケージICMCMなどの半導体集積回路装置、プリント回路基板などに形成された回路の検査装置に適用することができる。
また、図15に示す回路検査用プローブ25および図17に示す回路検査用プローブ25の各々は、ウエハ1に形成された全ての集積回路の被検査電極2に対して一括して電気的接続を達成するものであるが、図19に示すように、ウエハ1に形成された各集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極2に電気的に接続されるものであってもよい。選択される集積回路の数は、ウエハ1のサイズ、ウエハ1に形成された集積回路の数、各集積回路における被検査電極の数などを考慮して適宜選択され、例えば16個、32個、64個、128個である。
このような回路検査用プローブ25を有するウエハ検査装置においては、ウエハ1に形成された各集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極2に、回路検査用プローブ25を電気的に接続して検査を行い、その後、他の集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極2に、回路検査用プローブ25を電気的に接続して検査を行う工程を繰り返すことにより、ウエハ1に形成された全ての集積回路の電気的検査を行うことができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
〔成形材料の調製〕
付加型液状シリコーンゴム100重量部に、平均粒子径が20μmの導電性粒子70重量部を添加して混合した後、減圧による脱泡処理を行うことにより、異方導電性シート本体用の成形材料を調製した。
以上において、導電性粒子としては、ニッケル粒子を芯粒子とし、この芯粒子に無電解金メッキが施されてなるもの(平均被覆量:芯粒子の重量の25重量%となる量)を用いた。
〔異方導電性シート製造用金型〕
基本的に図2に示す構成に従って、下記の条件により、異方導電性シート製造用金型を作製した。
強磁性体基板:材質;鉄,厚み;6mm,
強磁性体層:材質;ニッケル,厚み;0.1mm,径;0.6mm,ピッチ(中心間距離);0.12mm,
非磁性体層:材質;液状レジスト硬化物,厚み;0.125mm,
スペーサの厚み;0.2mm
〔異方導電性シート本体の製造〕
上記の金型のキャビティ内に、調製した成形材料を注入することにより、当該金型内に成形材料層を形成した。
そして、成形材料層に対して、電磁石によって厚み方向に1.8テスラの平行磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で当該成形材料層の硬化処理を行うことにより、それそれ厚み方向に伸びる複数の導電部と、これらの導電部を相互に絶縁する絶縁部とを有する異方導電性シート本体を製造した。
得られた異方導電性シート本体は、外径が0.06mmの導電部が、0.12mmのピッチで配列されてなるものであって、絶縁部の厚みは0.2mm、導電部の厚みは0.25mmであり、当該導電部が絶縁部の両面の各々から突出した状態(それぞれの突出高さが0.025mm)に形成されてなるものである。また、導電部における導電性粒子の割合は、体積分率で25%であった。
〔DLC膜の形成〕
異方導電性シート本体の一面全面に、アルゴンガスイオンによって10分間イオンエッチング処理を行った。その後、固体炭素源としてグラファイトを用い、電子ビーム蒸着法によって、処理温度50℃、処理時間20分間の条件で、異方導電性シート本体の表面全面に厚みが10nmのDLC膜を形成し、以て、本発明に係る異方導電性シートを製造した。
得られた異方導電性シートにおけるDLC膜を、カッターナイフによって碁盤目状に切り込むことにより、当該DLC膜に互いに分離された1mm角のエリアを合計100個形成し、スコッチテープによってDLC膜の剥離試験を行ったところ、剥離したエリアは0/100個であった。
また、異方導電性シートをそのDLC膜が形成された面が内側となるよう約180°に折り曲げた後、その表面を観察したところ、DLC膜の剥離は認められなかった。
また、ヒューレットパッカード社製の電気抵抗測定器「High Resistance Meter 4339」および「Resistivity Cell 16008B 」を用い、DLC膜の表面抵抗率を測定したところ、1×1012Ω/□であった。
〈実施例2〉
実施例1と同様にして異方導電性シート本体を製造すると共に、当該異方導電性シート本体における導電部のパターンに対応するパターンに従って開口が形成されたステンレスよりなる板状のマスクを作製した。
そして、このマスクを、異方導電性シート本体の一面に当該マスクの開口の各々がこれに対応する導電部上に位置するよう配置し、マスクの開口から露出した導電部の表面に、アルゴンガスイオンによって10分間イオンエッチング処理を行った。その後、チタンよりなる電極を陰極としたアーク放電法によって、導電部の表面に、厚みが100nmのチタンよりなる金属層を形成した。
次いで、金属層を含む異方導電性シート本体の一面全面に、アルゴンガスイオンによって10分間イオンエッチング処理を行った。その後、固体炭素源としてグラファイトを用い、電子ビーム蒸着法によって、処理温度50℃、処理時間20分間の条件で、異方導電性シート本体の表面全面に厚みが10nmのDLC膜を形成し、以て、本発明に係る異方導電性シートを製造した。
得られた異方導電性シートについて、実施例1と同様にしてDLC膜の剥離試験を行ったところ、剥離したエリアは0/100個であった。
また、異方導電性シートをそのDLC膜が形成された面が内側となるよう約180°に折り曲げた後、その表面を観察したところ、DLC膜の剥離は認められなかった。
また、実施例1と同様にしてDLC膜の表面抵抗率を測定したところ、1×1012Ω/□であった。
〈比較例1〉
実施例1と同様にして異方導電性シート本体を製造し、この異方導電性シート本体を比較用の異方導電性シートとした。
また、ヒューレットパッカード社製の電気抵抗測定器「High Resistance Meter 4339」および「Resistivity Cell 16008B 」を用い、異方導電性シートの一面における表面抵抗率を測定したところ、1×1015Ω/□以上であった。
〔異方導電性シートの特性評価〕
(1)導電特性:
実施例1および比較例1に係る異方導電性シートの各々を、導電部1個当たりの荷重が5gとなるよう厚み方向に加圧し、この状態で、当該導電部の電気抵抗を測定したところ、実施例1に係る異方導電性シートが60mΩで、比較例1に係る異方導電性シートが100mΩであり、実施例1に係る異方導電性シートによれば、比較例1に係る異方導電性シートに比較して、良好な加圧導電性が得られることが確認された。
また、異方導電性シートの導電部に加わる荷重を変えながら、当該導電部の歪み率および電気抵抗値を測定することにより、加圧−歪み曲線図および歪み−抵抗曲線図を作成した。結果を図20に示す。
また、異方導電性シートにおける隣接する導電部間の電気抵抗を測定したところ、実施例1に係る異方導電性シートおよび比較例1に係る異方導電性シートのいずれも1×1014Ω以上であった。
(2)非接着性試験:
実施例1〜2に係る異方導電性シートおよび比較例1に係る異方導電性シートの各々をシリコン基板上に配置し、その導電部の歪み率が30%となるよう加圧した。この状態で、150℃の雰囲気下に48時間放置した後、異方導電性シートとシリコン基板との接着性を調べた。その結果、実施例1〜2に係る異方導電性シートにおいては、シリコン基板に全く接着しておらず、シリコン基板を90°に傾けたところ、異方導電性シートが容易に落下した。一方、比較例1に係る異方導電性シートにおいては、シリコン基板に強固に接着しており、異方導電性シートを剥離させたところ、当該異方導電性シートが破損し、その一部がシリコン基板に接着したままの状態であった。
また、実施例1〜2に係る異方導電性シートを配置したシリコン基板の表面を観察したところ、シリコーンゴムの低分子量成分による汚染は全く認められなかった。
(3)帯電特性:
実施例1〜2に係る異方導電性シートおよび比較例1に係る異方導電性シートの各々を検査用回路基板上に配置して固定することにより、回路検査用プローブを作製した。この回路検査用プローブをシリコン基板上に配置し、温度25℃、相対湿度30%の環境下において、回路検査用プローブを異方導電性シートの導電部の歪み率が25%となるよう厚み方向に加圧し、この状態で1秒間保持した後、回路検査用プローブをシリコン基板から引き離し、更に、2秒間経過後に回路検査用プローブを厚み方向に加圧した。この操作を1サイクルとして合計5000サイクル行い、操作が終了してから40秒間以内に異方導電性シートの表面電位を測定した。その結果、実施例1に係る異方導電性シートの表面電位が100V、実施例2に係る異方導電性シートの表面電位が50V、比較例1に係る異方導電性シートの表面電位が1000Vであり、実施例1〜2に係る異方導電性シートによれば、表面に電荷が蓄積されることを防止することができることが確認された。
〈実施例3〉
〔試験用ウエハの作製〕
(1)作製例1:
図21に示すように、直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハ1上に、それぞれ寸法が6.5mm×6.5mmの正方形の集積回路Lを合計で596個形成した。ウエハ1に形成された集積回路Lの各々は、図22に示すように、その中央に被検査電極領域Aを有し、この被検査電極領域Aには、図23に示すように、それぞれ縦方向(図23において上下方向)の寸法が200μmで横方向(図23において左右方向)の寸法が60μmの26個の被検査電極2が120μmのピッチで横方向に二列(一列の被検査電極7の数が13個)に配列されている。縦方向に隣接する被検査電極7の間の離間距離は、250μmである。また、26個の被検査電極2のうち2個ずつが互いに電気的に接続されている。被検査電極2の各々は矩形の平板状のアルミニウムパッドよりなるものであり、ウエハ1全体の被検査電極2の総数は15496個である。以下、このウエハを「試験用ウエハW1」という。また、この試験用ウエハW1に形成された596個の集積回路のうち、図24において太線で示す縦横に並ぶ64個(縦8個,横8個)の集積回路Lを選択し、これらの64個の集積回路Lが形成された領域を「試験領域E1」とした。
(2)作製例2:
被検査電極として、アルミウニムパッド上に共晶半田(Sb/Sn=4/6)よりなる半球状の突起電極(直径:約80μm,突出高さ:約60μm)を形成したこと以外は作製例1と同様の条件により、ウエハ上に596個の集積回路を形成した。以下、このウエハを「試験用ウエハW2」という。また、この試験用ウエハW2に形成された596個の集積回路のうち、試験用ウエハW1の試験領域E1に対応する領域に形成された64個(縦8個,横8個)の集積回路を選択し、これらの64個の集積回路が形成された領域を「試験領域E2」とした。
〔異方導電性コネクターの製造〕
(1)フレーム板の作製:
図25に示すように、上記の試験用ウエハW1の試験領域E1に形成された64個の集積回路における被検査電極領域に対応して64個の開口19が形成された直径が10cmのフレーム板18を作製した。このフレーム板18の具体的な仕様は、以下のとおりである。
フレーム板18の材質はコバール(飽和磁化1.4Wb/m2 ,線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは60μmである。フレーム板18の開口19の各々は矩形であって、その横方向(図25において左右方向)の寸法が2640μmで縦方向(図25において上下方向)の寸法が900μmである。
(2)スペーサーの作製:
形成すべき異方導電性シートの平面形状に適合する形状の複数の開口が、上記のフレーム板の開口のパターンに対応するパターンに従って形成されたスペーサーを2枚作製した。これらのスペーサーの具体的な仕様は、以下のとおりである。
スペーサーの材質はステンレス(SUS304)で、その厚みは25μmである。スペーサーの開口の各々は矩形であって、その横方向の寸法が3500μmで縦方向の寸法が1600μmである。
(3)金型の作製:
図26および図27に示す構成に従い、下記の条件により、異方導電性シート本体成形用の金型を作製した。
この金型における上型50および下型55は、それぞれ厚みが6mmの鉄よりなる強磁性体基板51,56を有し、この強磁性体基板51,56上には、試験用ウエハW1における被検査電極のパターンに対応するパターンに従ってニッケルよりなる導電部形成用の強磁性体層52,57および非接続用導電部形成用の強磁性体層52a,57aが配置されている。具体的には、導電部形成用の強磁性体層52,57の各々の寸法は60μm(横方向)×200μm(縦方向)×100μm(厚み)で、26個の強磁性体層52,57が120μmのピッチで横方向に二列(一列の強磁性体層52,57の数が13個で、縦方向に隣接する強磁性体層52,57の間の離間距離が250μm)に配列されている。また、強磁性体層52,57が並ぶ方向において、最も外側に位置する強磁性体層52,57の外側には、非接続用導電部形成用の強磁性体層52a,57aが配置されている。各強磁性体層52a,57aの寸法は、60μm(横方向)×200μm(縦方向)×100μm(厚み)である。
そして、26個の導電部形成用の強磁性体層52,57および4個の非接続用導電部形成用の強磁性体層52a,57aが形成された領域が、試験用ウエハW1の試験領域E1における集積回路の被検査電極領域に対応して合計で64個形成され、全体で1664個の導電部形成用の強磁性体層52,57および256個の非接続用導電部形成用の強磁性体層52a,57aが形成されている。
また、非磁性体層53,58は、ドライフィルムレジストを硬化処理することによって形成され、導電部形成用の強磁性体層52,57が位置する凹所53a,58aの各々の寸法は、70μm(横方向)×210μm(縦方向)×35μm(深さ)で、非接続用導電部形成用の強磁性体層52a,57aが位置する凹所53b,58bの各々の寸法は、70μm(横方向)×210μm(縦方向)×35μm(深さ)で、凹所以外の部分の厚みは135μm(凹所部分の厚み100μm)である。
(4)コネクター用中間体の製造:
上記のフレーム板、スペーサーおよび金型を用い、以下のようにしてフレーム板に異方導電性シート本体を形成した。
付加型液状シリコーンゴム100重量部に、導電性粒子30重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、異方導電性シート本体用の成形材料を調製した。
ここで、導電性粒子としては、平均粒子径が18μmのニッケルよりなる芯粒子に20重量%の金メッキが施されてなるものを用いた。
また、付加型液状シリコーンゴムとしては、A液の粘度が250Pa・sで、B液の粘度が250Pa・sである二液型のものであって、硬化物の150℃における永久圧縮歪みが5%、硬化物のデュロメーターA硬度が35、硬化物の引裂強度が25kN/mのものを用いた。
また、上記の付加型液状シリコーンゴムおよびその硬化物の特性は、次のようにして測定した。
(i)付加型液状シリコーンゴムの粘度:
B型粘度計により、23±2℃における粘度を測定した。
(ii)シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪み:
二液型の付加型液状シリコーンゴムにおけるA液とB液とを等量となる割合で攪拌混合した。次いで、この混合物を金型に流し込み、当該混合物に対して減圧による脱泡処理を行った後、120℃、30分間の条件で硬化処理を行うことにより、厚みが12.7mm、直径が29mmのシリコーンゴム硬化物よりなる円柱体を作製し、この円柱体に対して、200℃、4時間の条件でポストキュアを行った。このようにして得られた円柱体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して150±2℃における圧縮永久歪みを測定した。
(iii)シリコーンゴム硬化物の引裂強度:
上記(ii)と同様の条件で付加型液状シリコーンゴムの硬化処理およびポストキュアを行うことにより、厚みが2.5mmのシートを作製した。このシートから打ち抜きによってクレセント形の試験片を作製し、JIS K 6249に準拠して23±2℃における引裂強度を測定した。
(iv)デュロメーターA硬度:
上記(iii)と同様にして作製されたシートを5枚重ね合わせ、得られた積重体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して23±2℃におけるデュロメーターA硬度を測定した。
上記の金型の上型および下型の表面に、調製した成形材料をスクリーン印刷によって塗布することにより、形成すべき異方導電性シートのパターンに従って成形材料層を形成し、下型の成形面上に、下型側のスペーサーを介してフレーム板を位置合わせして重ね、更に、このフレーム板上に、上型側のスペーサーを介して上型を位置合わせして重ねた。
そして、上型および下型の間に形成された成形材料層に対し、強磁性体層の間に位置する部分に、電磁石によって厚み方向に1.8Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、フレーム板の開口の各々に異方導電性シート本体を形成し、以てコネクター用中間体を製造した。
形成された異方導電性シート本体について具体的に説明すると、異方導電性シート本体の各々は、横方向の寸法が3500μm、縦方向の寸法が1600μmである。異方導電性シート本体の各々には、試験用ウエハW1における被検査電極に対応する26個の導電部が120μmのピッチで横方向に二列(一列の導電部の数が13個で、縦方向に隣接する導電部の間の離間距離が250μm)に配列されており、導電部の各々は、横方向の寸法が70μm、縦方向の寸法が210μm、厚みが180μmであり、絶縁部の厚みが110μmである。また、横方向において最も外側に位置する導電部とフレーム板との間には、非接続用導電部が配置されている。非接続用導電部の各々は、横方向の寸法が70μm、縦方向の寸法が210μm、厚みが180μmである。また、異方導電性シート本体の各々におけるフレーム板に支持された部分の厚み(二股部分の一方の厚み)は25μmである。
また、異方導電性シート本体の各々における導電部中の導電性粒子の含有割合を調べたところ、全ての導電部について体積分率で約30%であった。
〔DLC膜の形成〕
得られたコネクター用中間体における異方導電性シート本体の一面全面に、アルゴンガスイオンによって10分間イオンエッチング処理を行った。その後、固体炭素源としてグラファイトを用い、電子ビーム蒸着法によって、処理温度50℃、処理時間20分間の条件で、異方導電性シート本体の一面全面に厚みが10nmのDLC膜を形成し、以て、本発明に係る異方導電性コネクターを製造した。
また、ヒューレットパッカード社製の電気抵抗測定器「High Resistance Meter 4339」および「Resistivity Cell 16008B 」を用い、得られた異方導電性コネクターにおけるDLC膜の表面抵抗率を測定したところ、1×1012Ω/□であった。
〔検査用回路基板の作製〕
基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、試験用ウエハW1の試験領域E1における集積回路の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が形成された検査用回路基板を作製した。この検査用回路基板は、全体の寸法が10cm×10cmの矩形であり、その平面精度は±10μmである。また、検査電極は、横方向の寸法が70μmで縦方向の寸法が210μmである。以下、この検査用回路基板を「検査用回路基板T」という。
〔異方導電性コネクターの評価〕
得られた異方導電性コネクターについて、下記の評価を行った。
(1)初期導電特性:
試験用ウエハW1を試験台に配置し、図28に示すように、試験用ウエハW1における試験領域E1上に、異方導電性コネクターをその導電部の各々が当該試験用ウエハW1の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター上に、検査用回路基板Tをその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターにおける異方導電性シートの導電部上に位置するよう位置合わせして配置した。
そして、室温(25℃)下において、検査用回路基板Tを下方に所定の荷重で加圧し、検査用回路基板Tにおける1664個の検査電極の各々と、当該検査電極に異方導電性コネクターおよび試験用ウエハW1を介して電気的に接続された他の検査電極との間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値の2分の1の値を異方導電性コネクターにおける導電部の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)として算出し、これらの平均値を求めた。結果を表1に示す。
(2)電極物質の付着性:
試験用ウエハW2をヒーターを具えた試験台に配置し、試験用ウエハW2における試験領域E2上に、異方導電性コネクターをその導電部の各々が当該試験用ウエハW2の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター上に、検査用回路基板Tをその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターにおける異方導電性シートの導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に、検査用回路基板Tを下方に25kgの荷重(導電部1個当たりに加わる荷重が平均で約15g)で加圧した。次いで、検査用回路基板Tを加圧したままの状態で、試験台を125℃に加熱し、更にこの状態で24時間保持した後、検査用回路基板に対する加圧を解除し、1時間放置した。この操作を1サイクルとして、合計で5サイクル連続して行った。
そして、異方導電性コネクターの各異方導電性シートにおける被検査電極が接触した部分について、オージェ分析電子分光法により元素分析を行い、被検査電極を構成する物質であるSn並びに導電性粒子を構成する物質であるAuおよびNiの合計の質量に対するSnの質量の割合(以下、この割合を「Snの割合S1」という。)を算出した。結果を表2に示す。
(3)繰り返し使用における導電特性:
試験用ウエハW2を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW2の試験領域E2上に異方導電性コネクターをその導電部の各々が当該試験用ウエハW2の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター上に、検査用回路基板Tをその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に、検査用回路基板Tを下方に25kgの荷重(導電部1個当たりに加わる荷重が平均で約15g)で加圧した。
次いで、検査用回路基板Tを加圧したままの状態で、試験台の温度を85℃に昇温した後、異方導電性コネクターにおける導電部の各々の導通抵抗を順次測定した。そして、検査用回路基板に対する加圧を解除し、その後、試験台を室温まで冷却した。
そして、上記の操作を1サイクルとして、合計で10万サイクル連続して行い、各サイクルにおいて測定した導電部の導通抵抗の平均値を求めた。結果を表3に示す。
(4)非接着性:
異方導電性コネクターを、表面が金メッキされたガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板とシリコン基板との間に介在させ、当該異方導電性コネクターにおける導電部の歪み率が30%となるよう加圧した。この状態で、150℃の雰囲気下に48時間放置した後、異方導電性コネクターにおける異方導電性シートとガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板およびシリコン基板との接着性を調べた。
異方導電性コネクターは、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板およびシリコン基板のいずれにも全く接着しておらず、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板を保持して傾けたところ、いずれの異方導電性コネクターも、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板から容易に剥離して落下した。
また、シリコン基板の表面を観察したところ、シリコーンゴムの低分子量成分による汚染は全く認められなかった。
〈実施例4〉
DLC膜の厚みを5nmとしたこと以外は実施例3と同様にして、本発明に係る異方導電性コネクターを製造した。この異方導電性コネクターにおけるDLC膜の表面抵抗を実施例3と同様にして測定したところ、1×1012Ω/□であった。
得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして初期導電特性、電極物質の付着性および繰り返し使用における導電特性の評価を行った。結果を表1〜表3に示す。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして非接着性の評価を行ったところ、異方導電性コネクターは、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板およびシリコン基板のいずれにも全く接着しておらず、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板を保持して傾けたところ、いずれの異方導電性コネクターも、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板から容易に剥離して落下した。
また、シリコン基板の表面を観察したところ、シリコーンゴムの低分子量成分による汚染は全く認められなかった。
〈比較例2〉
実施例3と同様にしてコネクター用中間体を製造し、このコネクター用中間体を比較用の異方導電性コネクターとした。
また、ヒューレットパッカード社製の電気抵抗測定器「High Resistance Meter 4339」および「Resistivity Cell 16008B 」を用い、異方導電性コネクターにおける異方導電性シート本体の一面における表面抵抗率を測定したところ、1×1015Ω/□以上であった。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして初期導電特性、電極物質の付着性および繰り返し使用における導電特性の評価を行った。結果を表1〜表3に示す。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして非接着性の評価を行った。その結果、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板を保持して180°反転させたところ、異方導電性コネクターは、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板に接着したままで、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板の両方に強固に接着しており、異方導電性コネクターを強制的に剥離させたところ、その異方導電性シートが破損し、その一部がガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板に接着したままの状態であった。
〈実施例5〉
(1)コネクター用中間体の製造:
実施例3と同様にしてコネクター用中間体を製造した。
(2)金属層の形成:
得られたコネクター用中間体の異方導電性シート本体の各々における導電部のパターンに対応するパターンに従って開口が形成されたステンレスよりなるマスクを作製した。
次いで、作製したマスクを、コネクター用中間体における異方導電性シート本体の一面に当該マスクの各開口がこれに対応する導電部上に位置するよう配置し、マスクの開口から露出した導電部の一面に対して、アルゴンガスイオンによって10分間イオンエッチング処理を行った。その後、ルテニウムよりなる電極を陰極としたアーク放電法によって、導電部の一面に厚みが100nmのルテニウムよりなる金属層を形成した。
(3)DLC膜の形成:
金属層が形成されたコネクター用中間体に対して、金属層を含む異方導電性シート本体の一面全面に、アルゴンガスイオンによって10分間イオンエッチング処理を行った。その後、固体炭素源としてグラファイトを用い、電子ビーム蒸着法によって、処理温度50℃、処理時間20分間の条件で、異方導電性シート本体の一面全面に厚みが10nmのDLC膜を形成し、以て、本発明に係る異方導電性コネクターを製造した。
得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして初期導電特性、電極物質の付着性および繰り返し使用における導電特性の評価を行った。但し、電極物質の付着性については、Snの割合S1の代わりに、被検査電極を構成する物質であるSn、導電性粒子を構成する物質であるAuおよびNi並びに金属層を構成する金属の合計の質量に対するSnの質量の割合(以下、この割合を「Snの割合S2」という。)を算出した。結果を表1〜表3に示す。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして非接着性の評価を行ったところ、異方導電性コネクターは、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板およびシリコン基板のいずれにも全く接着しておらず、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板を保持して傾けたところ、いずれの異方導電性コネクターも、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板から容易に剥離して落下した。
また、シリコン基板の表面を観察したところ、シリコーンゴムの低分子量成分による汚染は全く認められなかった。
〈実施例6〉
金属層の形成において、陰極を形成する金属材料をルテニウムからタングステンに変更したこと以外は実施例5と同様にして、本発明に係る異方導電性コネクターを製造した。得られた異方導電性コネクターにおけるタングステンよりなる金属層の厚みは100nmである。
得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして初期導電特性、電極物質の付着性および繰り返し使用における導電特性の評価を行った。但し、電極物質の付着性については、Snの割合S1の代わりにSnの割合S2を算出した。結果を表1〜表3に示す。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして非接着性の評価を行ったところ、異方導電性コネクターは、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板およびシリコン基板のいずれにも全く接着しておらず、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板を保持して傾けたところ、いずれの異方導電性コネクターも、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板から容易に剥離して落下した。
また、シリコン基板の表面を観察したところ、シリコーンゴムの低分子量成分による汚染は全く認められなかった。
〈実施例7〉
金属層の形成において、陰極を形成する金属材料をルテニウムからロジウムに変更したこと以外は実施例5と同様にして、本発明に係る異方導電性コネクターを製造した。得られた異方導電性コネクターにおけるロジウムよりなる金属層の厚みは100nmである。
得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして初期導電特性、電極物質の付着性および繰り返し使用における導電特性の評価を行った。但し、電極物質の付着性については、Snの割合S1の代わりにSnの割合S2を算出した。結果を表1〜表3に示す。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして非接着性の評価を行ったところ、異方導電性コネクターは、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板およびシリコン基板のいずれにも全く接着しておらず、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板を保持して傾けたところ、いずれの異方導電性コネクターも、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板から容易に剥離して落下した。
また、シリコン基板の表面を観察したところ、シリコーンゴムの低分子量成分による汚染は全く認められなかった。
〈比較例3〉
実施例5と同様にしてルテニウムよりなる金属層が形成されたコネクター用中間体を製造し、このコネクター用中間体を比較用の異方導電性コネクターとした。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして初期導電特性、電極物質の付着性および繰り返し使用における導電特性の評価を行った。但し、電極物質の付着性については、Snの割合S1の代わりにSnの割合S2を算出した。結果を表1〜表3に示す。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして非接着性の評価を行った。その結果、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板を保持して180°反転させたところ、異方導電性コネクターは、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板に接着したままで、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板の両方に強固に接着しており、異方導電性コネクターを強制的に剥離させたところ、その異方導電性シートが破損し、その一部がガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板に接着したままの状態であった。
〈比較例4〉
実施例6と同様にしてタングステンよりなる金属層が形成されたコネクター用中間体を製造し、このコネクター用中間体を比較用の異方導電性コネクターとした。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして初期導電特性、電極物質の付着性および繰り返し使用における導電特性の評価を行った。但し、電極物質の付着性については、Snの割合S1の代わりにSnの割合S2を算出した。結果を表1〜表3に示す。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして非接着性の評価を行った。その結果、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板を保持して180°反転させたところ、異方導電性コネクターは、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板に接着したままで、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板の両方に強固に接着しており、異方導電性コネクターを強制的に剥離させたところ、その異方導電性シートが破損し、その一部がガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板に接着したままの状態であった。
〈比較例5〉
実施例7と同様にしてロジウムよりなる金属層が形成されたコネクター用中間体を製造し、このコネクター用中間体を比較用の異方導電性コネクターとした。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして初期導電特性、電極物質の付着性および繰り返し使用における導電特性の評価を行った。但し、電極物質の付着性については、Snの割合S1の代わりにSnの割合S2を算出した。結果を表1〜表3に示す。
また、得られた異方導電性コネクターについて、実施例3と同様にして非接着性の評価を行った。その結果、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂基板を保持して180°反転させたところ、異方導電性コネクターは、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板に接着したままで、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板の両方に強固に接着しており、異方導電性コネクターを強制的に剥離させたところ、その異方導電性シートが破損し、その一部がガラス繊維補強型エポキシ樹脂およびシリコン基板に接着したままの状態であった。

Figure 0003928607

Figure 0003928607

Figure 0003928607
本発明に係る異方導電性シートの一例における構成を示す説明用断面図である。 異方導電性シート本体を製造するために用いられる金型の一例における構成を示す説明用断面図である。 図2に示す金型内に、異方導電性シート本体用の成形材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。 成形材料層中の導電性粒子が当該成形材料層における導電部となる部分に集合した状態を示す説明用断面図である。 異方導電性シート本体の構成を示す説明用断面図である。 本発明に係る異方導電性シートの他の例における構成を示す説明用断面図である。 異方導電性シートの一面にマスクが配置された状態を示す説明用断面図である。 異方導電性シート本体の導電部の表面に金属層が形成された状態を示す説明用断面図である。 導電部の表面に金属層が形成され異方導電性シート本体の構成を示す説明用断面図である。 本発明に係る異方導電性コネクターの一例を示す平面図である。 図10に示す異方導電性コネクターの要部を拡大して示す説明用断面図である。 異方導電性シート本体成形用の金型の上型および下型の間にスペーサーを介してフレーム板が配置された状態を示す説明用断面図である。 金型の上型と下型の間に、目的とする形態の成形材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。 コネクター用中間体の要部の構成を示す説明用断面図である。 本発明に係るウエハ検査装置の一例における要部の構成を示す説明用断面図である。 本発明に係る回路検査用プローブの一例における要部を拡大して示す説明用断面図である。 本発明に係るウエハ検査装置の他の例における要部の構成を示す説明用断面図である。 本発明に係る回路検査用プローブの他の例における要部を拡大して示す説明用断面図である。 本発明に係るウエハ検査装置の更に他の例における要部の構成を示す説明用断面図である。 実施例1および比較例1に係る異方導電性シートの加圧−歪み曲線図および歪み−抵抗曲線図である。 実施例で作製した試験用ウエハW1を示す平面図である。 試験用ウエハW1に形成された集積回路の被検査電極領域の位置を示す説明図である。 試験用ウエハW1に形成された集積回路の被検査電極を示す説明図である。 試験用ウエハW1における試験領域E1を示す説明図である。 実施例で作製したフレーム板を示す平面図である。 実施例で作製した金型の要部を拡大して示す説明用断面図である。 図26に示す金型の成形面を拡大して示す説明図である。 実施例において、試験用ウエハW1の試験領域E1上に異方導電性コネクターを配置した状態を示す説明図である。
符号の説明
1 ウエハ 2 被検査電極
5 ウエハ載置台 10 異方導電性シート
11 異方導電性シート本体
11A,11B 成形材料層
12 導電部 12A 導電部となるべき部分
13 絶縁部 14 金属層
15 DLC膜 16 マスク
17 開口 18 フレーム板
19 開口 20 異方導電性コネクター
25 回路検査用プローブ
30 検査用回路基板
31 検査電極 32 接続端子
33 内部配線 40 シート状コネクター
41 絶縁性シート 42 電極構造体
43 表面電極部 44 裏面電極部
45 短絡部
50 上型 51 強磁性体基板
52 強磁性体層 53 非磁性体層
54 スペーサー 55 下型
56 強磁性体基板 57 強磁性体層
58 非磁性体層 P 導電性粒子

Claims (14)

  1. 回路装置の検査にコネクターとして用いられる異方導電性シートであって、
    弾性高分子物質により形成されてなり、厚み方向に伸びる複数の導電部およびこれらの導電部を相互に絶縁する絶縁部を有する異方導電性シート本体と、
    この異方導電性シート本体における一面全面または両面全面を覆うよう一体的に形成されたDLC膜とを有してなり、
    前記DLC膜の表面抵抗率が1×10 8 〜1×10 14 Ω/□であり、
    前記DLC膜の厚みが1〜500nmであり、
    前記異方導電性シート本体を形成する弾性高分子物質がシリコーンゴムであることを特徴とする異方導電性シート。
  2. 回路装置の検査にコネクターとして用いられる異方導電性シートであって、
    弾性高分子物質により形成されてなり、厚み方向に伸びる複数の導電部およびこれらの導電部を相互に絶縁する絶縁部を有する異方導電性シート本体と、
    この異方導電性シート本体における一面に、その導電部を覆うよう一体的に形成された金属層と、
    前記異方導電性シート本体における少なくとも絶縁部の一面全面および前記金属層の表面を覆うよう一体的に形成されたDLC膜とを有してなり、
    前記DLC膜の表面抵抗率が1×10 8 〜1×10 14 Ω/□であり、
    前記DLC膜の厚みが1〜500nmであり、
    前記異方導電性シート本体を形成する弾性高分子物質がシリコーンゴムであることを特徴とする異方導電性シート。
  3. 金属層の表面抵抗率が1×10 -2 Ω/□以下であることを特徴とする請求項2に記載の異方導電性シート。
  4. 金属層の厚みが5〜1000nmであることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の異方導電性シート。
  5. 回路装置の検査にコネクターとして用いられる異方導電性シートを製造する方法であって、
    弾性高分子物質により形成されてなり、厚み方向に伸びる複数の導電部およびこれらの導電部を相互に絶縁する絶縁部を有する異方導電性シート本体を製造し、
    得られた異方導電性シート本体における一面または両面に、150℃以下の温度で、PVD法によって、厚みが1〜500nmで表面抵抗率が1×10 8 〜1×10 14 Ω/□のDLC膜を当該異方導電性シート本体の一面全面または両面全面を覆うよう一体的に形成する工程を有することを特徴とする異方導電性シートの製造方法。
  6. 異方導電性シート本体におけるDLC膜を形成すべき面に、イオンエッチング処理を行い、その後、DLC膜を形成することを特徴とする請求項5に記載の異方導電性シートの製造方法。
  7. 開口を有するフレーム板と、このフレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板の開口縁部によって支持された、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の異方導電性シートとを具えてなることを特徴とする異方導電性コネクター。
  8. ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる異方導電性コネクターであって、
    検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路における被検査電極が配置された領域に対応して複数の開口が形成されたフレーム板と、それぞれ前記フレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板の開口縁部によって支持された複数の異方導電性シートとを具えてなり、前記異方導電性シートは請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の異方導電性シートであることを特徴とする異方導電性コネクター。
  9. ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる異方導電性コネクターであって、
    検査対象であるウエハに形成された集積回路の中から選択された複数の集積回路における被検査電極が配置された領域に対応して複数の開口が形成されたフレーム板と、それぞれ前記フレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板の開口縁部によって支持された複数の異方導電性シートとを具えてなり、前記異方導電性シートは請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の異方導電性シートであることを特徴とする異方導電性コネクター。
  10. 検査対象である回路の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の異方導電性シートまたは請求項7に記載の異方導電性コネクターとを具えてなることを特徴とする回路検査用プローブ。
  11. ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる回路検査用プローブであって、
    検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された、請求項8に記載の異方導電性コネクターとを具えてなることを特徴とする回路検査用プローブ。
  12. ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる回路検査用プローブであって、
    検査対象であるウエハに形成された集積回路の中から選択された複数の集積回路における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された、請求項9に記載の異方導電性コネクターとを具えてなることを特徴とする回路検査用プローブ。
  13. 絶縁性シートと、この絶縁性シートをその厚み方向に貫通して伸び、検査用回路基板における検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された複数の電極構造体とよりなるシート状コネクターが、異方導電性コネクター上に配置されていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の回路検査用プローブ。
  14. 請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の回路検査用プローブを具えてなることを特徴とする回路検査装置。
JP2003298767A 2002-08-27 2003-08-22 異方導電性シート、その製造方法およびその応用 Expired - Fee Related JP3928607B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003298767A JP3928607B2 (ja) 2002-08-27 2003-08-22 異方導電性シート、その製造方法およびその応用

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002247396 2002-08-27
JP2003298767A JP3928607B2 (ja) 2002-08-27 2003-08-22 異方導電性シート、その製造方法およびその応用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004111378A JP2004111378A (ja) 2004-04-08
JP3928607B2 true JP3928607B2 (ja) 2007-06-13

Family

ID=32301207

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003298767A Expired - Fee Related JP3928607B2 (ja) 2002-08-27 2003-08-22 異方導電性シート、その製造方法およびその応用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3928607B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20210359434A1 (en) * 2018-10-11 2021-11-18 Sekisui Polymatech Co., Ltd. Electrical connection sheet and terminal-equipped glass plate structure

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5017547B2 (ja) * 2006-11-10 2012-09-05 北川工業株式会社 導電コンタクト
JP2008241336A (ja) * 2007-03-26 2008-10-09 Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute アーク発光分光による材料中の微量成分分析法
US8398418B2 (en) * 2010-01-07 2013-03-19 Life Technologies Corporation Electronic connector having a clamping member urging a flow cell toward an electrical circuitry with an electrically conductive membrane disposed in between
JP5523181B2 (ja) * 2010-04-15 2014-06-18 信越ポリマー株式会社 異方導電性シート、回路基板の電気的検査方法および回路基板の電気的検査装置
CN103959567B (zh) * 2012-10-19 2016-03-30 株式会社太阳医疗技术研究所 各向异性导电连接器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20210359434A1 (en) * 2018-10-11 2021-11-18 Sekisui Polymatech Co., Ltd. Electrical connection sheet and terminal-equipped glass plate structure

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004111378A (ja) 2004-04-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3788361B2 (ja) 異方導電性コネクターおよびその応用製品
KR100844627B1 (ko) 이방 도전성 시트, 그의 제조 방법 및 그의 응용
JP3543765B2 (ja) ウエハ検査用プローブ装置
JPWO2007043350A1 (ja) 異方導電性コネクター装置および回路装置の検査装置
JP3788258B2 (ja) 異方導電性コネクターおよびその応用製品
JP2004172588A (ja) シート状コネクターおよびその製造方法並びにプローブ装置
WO2006008784A1 (ja) 異方導電性コネクター装置および回路装置の検査装置
JP2004342597A (ja) 異方導電性シートおよびその製造方法、アダプター装置およびその製造方法並びに回路装置の電気的検査装置
JP3573120B2 (ja) 異方導電性コネクターおよびその製造方法並びにその応用製品
JP3726839B2 (ja) プローブ装置およびこのプローブ装置を具えたウエハ検査装置並びにウエハ検査方法
JP3928607B2 (ja) 異方導電性シート、その製造方法およびその応用
JP4288783B2 (ja) 異方導電性シートおよび回路装置の電気的検査装置
JP2001050983A (ja) プローブカード
JP5104265B2 (ja) プローブ部材およびその製造方法ならびにその応用
JP4470316B2 (ja) 異方導電性シートおよび回路装置の電気的検査装置
JP4479477B2 (ja) 異方導電性シートおよびその製造方法並びにその応用製品
JP2008164476A (ja) 異方導電性コネクター装置およびその製造方法並びに回路装置の検査装置
JP3906068B2 (ja) 異方導電性シート、コネクターおよびウエハ検査装置
JP3879464B2 (ja) 回路装置検査用異方導電性シートおよびその製造方法並びにその応用製品
JP3938117B2 (ja) 異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法
JP2009098065A (ja) プローブ部材およびその製造方法ならびにその応用
JP2006284418A (ja) ウエハ検査用プローブカードおよびウエハ検査装置
JP4385767B2 (ja) 異方導電性コネクターおよびその製造方法並びに回路装置の検査装置
JP3726431B2 (ja) 回路装置検査用治具
JP3873503B2 (ja) 異方導電性シートおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060502

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061017

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3928607

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100316

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100316

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110316

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110316

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120316

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120316

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140316

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees