JP3726839B2 - プローブ装置およびこのプローブ装置を具えたウエハ検査装置並びにウエハ検査方法 - Google Patents
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このような理由から、最近において、半導体チップよりなる回路装置の電気的特性の検査をウエハの状態で行うWLBI(Wafer Level Burn−in)試験が注目されている。
一方、ウエハ上に形成された集積回路に対して行われるプローブ試験においては、一般に、ウエハ上に形成された多数の集積回路のうち例えば16個または32個の集積回路について一括してプローブ試験を行い、順次、その他の集積回路についてプローブ試験を行う方法が採用されている。
而して、近年、検査効率を向上させ、検査コストの低減化を図るために、ウエハ上に形成された多数の集積回路のうち例えば64個、124個または全部の集積回路について一括してプローブ試験を行うことが要請されている。
このウエハ検査装置は、表面(図において下面)に多数の検査用電極81が形成された検査用回路基板80を有し、この検査用回路基板80の表面には、コネクター85を介してプローブカード90が配置されている。このプローブカード90は、接続用回路基板91と、この接続用回路基板91の表面(図において下面)に設けられた、検査対象であるウエハWにおける集積回路の被検査電極(図示省略)に接触される多数の接触子(図示省略)を有する接触部材95とにより構成されている。接触部材95の下方には、検査対象であるウエハWが載置される、加熱板を兼ねたウエハトレイ96が配置されている。
ここに、接触部材95としては、例えば、接触子が各々厚み方向に伸びる複数の接続用導電部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる異方導電性シートよりなるもの、絶縁性シートにその厚み方向に貫通して伸びる金属体よりなる接触子が配置されてなるシート状コネクターよりなるもの、異方導電性シートとシート状コネクターとが積層されてなるものなどを用いることができる。
コネクター85においては、「ポゴピン」と称される長さ方向に弾性的に圧縮し得る多数の接続ピン86が、検査用回路基板80の検査用電極81のパターンに対応するパターンに従って配列されている。そして、コネクター85は、接続ピン86の各々が、検査用回路基板80の検査用電極81と接続用回路基板91の端子電極92との間に位置された状態で配置されている。
具体的な一例を示すと、例えば、ウエハトレイ96におけるウエハ載置面の平面精度(その平面内における高さレベルのバラツキの程度)が±20μm程度であり、ウエハW、検査用回路基板80および接続用回路基板91を構成する基板材料それ自体のそりやうねりの程度がそれぞれ±10μm程度である。また、接触部材95として異方導電性シートが用いられる場合には、異方導電性シートそれ自体の厚さバラツキの程度が、厚みが200μmのもので±10μm程度であり、接触部材95として異方導電性シートとシート状コネクターとの積層体が用いられる場合には、異方導電性シートそれ自体の厚さバラツキの他に、シート状コネクターそれ自体の厚さバラツキあり、その程度は、厚みが80μmのもので±5μm程度である。
従って、単に、ウエハトレイ96を上方に移動させてウエハWを加圧するだけでは、ウエハ検査装置全体の傾きによって、例えば接触部材95がウエハWに対して方当たりした状態になるなど、接触部材95における接触子の各々とウエハWにおける被検査電極との間に良好な電気的接続状態を確実に得ることが困難であり、結局、所期の電気的検査を安定的に行うことができない、という問題がある。
スペーサが、当該異方導電性コネクターにおけるフレーム板の両面に配設されており、当該スペーサは、異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜が形成された領域に対応する領域に開口が形成された枠状のものであって、少なくとも検査用回路基板に対する接触面および接続用回路基板に対する接触面に、弾性部材よりなる微小突起部を有するものにより構成することができる。
このような構成のスペーサにおいては、微小突起部を含むスペーサの厚みと異方導電性コネクターにおけるフレーム板の厚みとの合計の厚みが、異方導電性コネクターの全厚の90%以上の大きさである構成とされていることが好ましい。
このような接触部材としては、各々厚み方向に伸びる複数の接続用導電部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる異方導電性シートまたは当該異方導電性シートがフレーム板によって支持されてなる異方導電性コネクターと、当該異方導電性シートまたは当該異方導電性コネクターの表面に配置された、絶縁性シートと、この絶縁性シートをその厚み方向に貫通して伸び、被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された複数の電極構造体とよりなるシート状コネクターとにより構成されてなるものを用いることが好ましい。
検査用回路基板と接続用回路基板との間の離間距離の大きさが大きくなる方向に対する検査用回路基板または接続用回路基板の変位を禁止した状態において、プローブ装置全体をウエハに接触させて電気的検査を行うことを特徴とする。
また、本発明のウエハ検査方法においては、検査初期状態は、異方導電性コネクターにおける接続用導電部の各々の電気抵抗値が0.1Ω以下であって、異方導電性コネクターにおける接続用導電部1個当たりの荷重が0.01〜0.4Nとなる状態に設定されることが好ましい。
図1は、本発明に係るウエハ検査装置の一例における要部の構成の概略を、検査対象であるウエハと共に示す平面図であり、図2は、図1に示すウエハ検査装置を拡大して示す説明用断面図である。
このウエハ検査装置は、表面(図2において下面)に多数の検査用電極31が形成された検査用回路基板30と、以下に詳述する異方導電性コネクター20を介して検査用回路基板30の表面に配置されたプローブカード40とを具えてなるプローブ装置10を具えており、プローブカード40の下方には、検査対象であるウエハWが載置される、加熱板を兼ねたウエハトレイ58が配置されて、構成されている。また、ウエハトレイ58は、適宜の駆動手段(図示せず)によって上下方向に移動可能な状態とされている。
プローブカード40は、裏面(図2において上面)に検査用回路基板30の検査用電極31のパターンに対応するパターンに従って複数の端子電極42が形成された接続用回路基板41と、この接続用回路基板41の表面(図2において下面)に設けられた、検査対象であるウエハWにおける集積回路の被検査電極(図示省略)に接触される多数の接触子(図示省略)を有する接触部材とにより構成されている。
検査用回路基板30および接続用回路基板41を構成する材料としては、例えばガラス、セラミックス、エポキシ樹脂などを例示することができる。
弾性異方導電膜25における接続用導電部26には、磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されている。これに対して、絶縁部27は、導電性粒子Pが全く或いは殆ど含有されていないものである。
また、図示の例では、接続用導電部26は、絶縁部27の両面の各々から突出するよう形成されている。
そして、傾き調整用異方導電性コネクター20が検査用回路基板30およびプローブカード40によって狭圧された状態とされて検査用回路基板30における検査用電極31の各々とプローブカード40における接続用回路基板41の端子電極42の各々とが電気的に接続された状態で固定されて用いられる。
この例においては、図1に示されているように、4つの位置可変機構51がプローブ装置10の平面内における4隅の位置に配置されており、各々の位置可変機構51は、検査用回路基板30または接続用回路基板41の変位量(検査用回路基板30および接続用回路基板41の間の離間距離の大きさ)を互いに独立して調整することができるもの、例えばボルト52とナット53とからなる一対の締結部材により構成されている。
具体的には、位置可変機構51を構成するボルト52が、その頭部が検査用回路基板30の裏面に形成された凹所32の貫通孔33の開口縁部に係止されると共に、軸部が当該貫通孔33に固定または挿通されて下方に伸び、スペーサ55の内部空間内および接続用回路基板41における貫通孔44内を挿通されて当該軸部の基端部がプローブカード40における接続用回路基板41の表面に形成された凹所43内に露出する状態で、配置されており、このボルト52に適合するナット53がボルト52の基端部に螺合されて接続用回路基板41における凹所43の底面に対接された状態で設けられており、これにより、検査用回路基板30およびプローブカード40(接続用回路基板41)が検査用回路基板30およびプローブカード40間の離間距離が大きくなる方向に対する移動(変位)が禁止された状態で固定されると共に、ナット53の締め付け量が調整されることにより、検査用回路基板30またはプローブカード40が傾き調整用異方導電性コネクター20の厚み方向に相対的に変位される。
この例における接触部材は、例えば傾き調整用異方導電性コネクター20と基本的な構成が同一である異方導電性コネクター(以下、「接点形成用異方導電性コネクター」という。)45により構成されている。この接点形成用異方導電性コネクター45は、弾性異方導電膜46における接続用導電部47がウエハWに形成された被検査電極のパターンに対応するパターンに従って形成されており、例えば、接続用導電部47の配設ピッチが傾き調整用異方導電性コネクター20のそれよりも小さいものとされている。図2において、48は絶縁部であり、49はフレーム板である。
具体的には、フレーム板21を構成する材料としては、線熱膨張係数が5×10-4/K以下であるものを用いることが好ましく、例えば検査用回路基板30および接続用回路基板41がガラス基板よりなるものである場合には、線熱膨張係数が3×10-6〜10×10-6/Kのものを用いることが好ましく、また、検査用回路基板30および接続用回路基板41がガラスエポキシ基板などの有機基板よりなるものである場合には、線熱膨張係数が6×10-6〜20×10-6/Kのものを用いることが好ましく、その具体例としては、検査用回路基板41および接続用回路基板41を構成する材料と同一の材料や、ステンレス鋼などの鉄−ニッケル合金やリン青銅などの銅合金などの金属材料、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー樹脂などの樹脂材料が挙げられる。
一方、接点形成用異方導電性コネクター45におけるフレーム板49を構成する材料としては、線熱膨張係数が検査対象であるウエハを構成する材料の線熱膨張係数と同等若しくは近似したものを用いることが好ましい。具体的には、ウエハを構成する材料がシリコンである場合には、線熱膨張係数が1.5×10-4/K以下、特に、3×10-6〜8×10-6/Kのものを用いることが好ましく、その具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42アロイなどの金属材料、アラミッド不繊布補強型有機樹脂材料、アラミド樹脂などの樹脂材料が挙げられる。
また、ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
このようなビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる弾性異方導電膜25,46の耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
また、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
本発明においては、上記のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンのいずれか一方を用いることもでき、両者を併用することもできる。
ここで、シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪みは、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
このデュロメーターA硬度が10未満である場合には、加圧されたときに、接続用導電部26,47を相互に絶縁する絶縁部27,48が過度に歪みやすく、接続用導電部26間または接続用導電部47間の所要の絶縁性を維持することが困難となることがある。また、シリコーンゴム硬化物の未硬化成分量が多くなり、加圧されることにより当該シリコーンゴム硬化物の未硬化成分が検査用回路基板30の検査用電極31および接続用回路基板41の端子電極42に付着し、悪影響を与えることがある。一方、このデュロメーターA硬度が60を超える場合には、接続用導電部26,47に適正な歪みを与えるために相当に大きい荷重による加圧力が必要となるため、例えば検査対象であるウエハに大きな変形や破壊が生じやすくなる。
また、異方導電性コネクターをバーンイン試験に用いる場合には、シリコーンゴム硬化物は、その23℃におけるデュロメーターA硬度が25〜40のものであることが好ましい。シリコーンゴム硬化物として、デュロメーターA硬度が上記の範囲外のものを用いる場合には、得られる異方導電性コネクターをバーンイン試験に繰り返し使用したときには、接続用導電部26,47に永久歪みが発生しやすく、これにより、接続用導電部26,47における導電性粒子Pの連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となることがある。
ここで、シリコーンゴム硬化物のデュロメーターA硬度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
ここで、シリコーンゴム硬化物の引き裂き強度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
硬化触媒として用いられる有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジターシャリーブチルなどが挙げられる。
硬化触媒として用いられる脂肪酸アゾ化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
ヒドロシリル化反応の触媒として使用し得るものの具体例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられる。
硬化触媒の使用量は、高分子物質形成材料の種類、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、高分子物質形成材料100重量部に対して3〜15重量部である。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に金や銀などの導電性の良好な金属のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば無電解メッキにより行うことができる。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の2.5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜45重量%、さらに好ましくは3.5〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜7、さらに好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子Pを用いることにより、得られる弾性異方導電膜25,46は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該弾性異方導電膜25,46の接続用導電部26,47において導電性粒子P間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
カップリング剤の使用量は、導電性粒子Pの導電性に影響を与えない範囲で適宜選択されるが、導電性粒子Pの表面におけるカップリング剤の被覆率(導電性芯粒子の表面積に対するカップリング剤の被覆面積の割合)が5%以上となる量であることが好ましく、より好ましくは上記被覆率が7〜100%、さらに好ましくは10〜100%、特に好ましくは20〜100%となる量である。
このような無機充填材の使用量は、特に限定されるものではないが、あまり多量に使用すると、後述する製造方法において、磁場による導電性粒子Pの移動が大きく阻害されるため、好ましくない。
先ず、接続用回路基板41および検査用回路基板30に係る接続対象電極が形成された電極領域に対応して複数の異方導電膜配置用孔22をフレーム板構成材料に形成すると共に、複数の位置決め孔23をフレーム板構成材料の所定の位置に形成することにより、フレーム板21を作製する。ここで、異方導電膜配置用孔22および位置決め孔23を形成する方法としては、例えばエッチング法などを利用することができる。
一方、下型75においては、強磁性体基板76の上面に、成形すべき全ての弾性異方導電膜25の接続用導電部26の配置パターンと同一のパターンに従って強磁性体層77が形成され、この強磁性体層77以外の個所には、非磁性体層78が形成されており、これらの強磁性体層77および非磁性体層78によって成形面が形成されている。
また、上型70および下型75の成形面の各々には、成形すべき弾性異方導電膜25の接続用導電部26における突出部分26A,26Bのそれぞれに対応して凹所74A,74Bが形成されている。
また、非磁性体層73,78の厚みは、強磁性体層72,77の厚み、目的とする弾性異方導電膜25の接続用導電部26の突出高さに応じて設定される。
このようにフレーム板21と上型70および下型75との間にスペーサー79A,79Bを配置することにより、目的とする形態の弾性異方導電膜を形成することができると共に、隣接する弾性異方導電膜同士が連結することが防止されるため、互いに独立した多数の弾性異方導電膜を確実に形成することができる。
そして、検査対象であるウエハWをウエハトレイ58上に載置し、ウエハトレイ58を上方に移動させてウエハWをプローブカード40に接触させ、この状態からさらに上方に加圧することにより、図6に示されているように、プローブカード40を構成する接点形成用異方導電性コネクター45における接続用導電部47の各々を、ウエハWに形成された一部の集積回路の被検査電極の各々に接触させて電気的に接続させ、この状態において、検査用回路基板30、プローブカード40およびウエハWの三者の平行度を調整する検査初期状態設定操作、すなわち平行度調整処理が行われる。
この検査初期状態においては、傾き調整用異方導電性コネクター20における弾性異方導電膜25のすべての接続用導電部26の電気抵抗値が例えば0.1Ω以下となる状態であって、検査用回路基板30と接続用回路基板41とによる弾性異方導電膜25に対する挟圧力が、接続用導電部26の1個当たり0.01〜0.4Nである状態とされていることが好ましい。この挟圧力の値が過小である場合には、接続用導電部26の電気抵抗値が高くなって所要の電気的検査を行うことが困難となることがある。一方、この挟圧力の値が過大である場合には、検査用回路基板30および接続用回路基板41が変形するため、安定な電気的接続が困難となることがある。
次いで、ウエハトレイ58によってウエハWが所定の温度に加熱され、この状態で、ウエハWについての所要の電気的検査(WLBI試験またはプローブ試験)が行われる。
具体的には、各々の位置可変機構51におけるナット53を所定の大きさで一律に設定された締め付け量で締め付けることにより検査用回路基板30、傾き調整用異方導電性コネクター20およびプローブカード40の三者を仮固定し、プローブ装置10全体をウエハWに接触させた状態から更に加圧して、接点形成用異方導電性コネクター45における接続用導電部47の各々とウエハWに形成された被検査電極の各々とを電気的に接続し、傾き調整用異方導電性コネクター20におけるすべての接続用導電部26の電気抵抗値が実質的に均一となるよう設定された各々の補正量で、各々の位置可変機構51におけるナット53の締め付け量が別個に調整されることにより、ウエハWにおける被検査電極が形成された面との関係において、換言すればウエハWそれ自体のうねりや反りなどを考慮して、検査用回路基板30およびプローブカード40の傾きが調整されるので、ウエハ検査装置の検査初期状態が、検査用回路基板30、プローブカード40(接続用回路基板41)および検査対象であるウエハWの三者が極めて高い平行度を有する状態とされ、これにより、検査用回路基板30と接続用回路基板41との離間距離が大きくなる方向への変位が位置可変機構51によって禁止されてウエハWに対する高い平行度がプローブ装置10全体に維持されながら、接点形成用異方導電性コネクター45における接続用導電部47の各々とウエハWにおける被検査電極の各々とが電気的に接続される結果、所要の電気的接続状態を小さい荷重で安定的に得ることができ、従って、ウエハWについての所期の電気的検査を高い信頼性をもって確実に行うことができる。
すなわち、上記構成のウエハ検査装置によれば、接点形成用異方導電性コネクター45における接続用導電部の各々とウエハWに形成された被検査電極とが、ウエハ検査装置全体の平行度が調整された状態で、電気的に接続されることにより、図7に示されているように、すべての接続用導電部がウエハWにおける被検査電極の各々に接触され始めた状態における荷重、すなわち初期荷重1に小さい荷重で達するが、ウエハ検査装置全体の平行度を調整しない場合には、接点形成用異方導電性コネクターにおいては、すべての接続用導電部がウエハWにおける被検査電極の各々に接触され始めた状態における荷重、すなわち初期荷重2に達するまでに大きな荷重が必要となる。従って、平行度の調整を行うことにより、初期荷重から検査状態における検査時荷重まで加圧が行われるときの弾性異方導電膜の歪み量(以下「オーバードライブ量」という。)δ1を、平行度調整を行わない場合におけるオーバードライブ量δ2に比して十分に大きなものとすることができる。例えば、接点形成用異方導電性コネクター45における弾性異方導電膜46においては、同図7において一点鎖線で示す荷重−歪み曲線に示されているように、平行度調整を行わない場合に比較して、全厚が150μmのもので20〜40%程度大きいオーバードライブ量(δ1/δ2)が得られる。
また、平行度の調整を行うことにより、接点形成用異方導電性コネクター45においては、小さい荷重で、抵抗値(導電特性)が安定した状態、すなわち安定した電気的接続状態を達成することができる(図7において実線で示す荷重−抵抗値曲線参照。)が、平行度の調整を行わない場合であれば、抵抗値(導電特性)が安定した状態に達するまでに大きな荷重が必要とされる(同図7において破線で示す荷重−抵抗値曲線参照。)。
従って、プローブ装置10全体においては、傾き調整用異方導電性コネクター20によるオーバードライブ量(この場合には、検査初期状態における初期荷重1から検査状態における検査時荷重まで加圧されたときの弾性異方導電膜25の歪み量)が得られると共に接点形成用異方導電性コネクター45によるオーバードライブ量δ1が得られ、一層確実に、良好な電気的接続状態を小さい荷重で安定的に得ることができ、これにより、ウエハWについての所期の電気的検査を高い信頼性をもって確実に行うことができる。具体的には、プローブ装置10全体に係るオーバードライブ量の総量を、各々全厚が500μmの傾き調整用異方導電性コネクター20および接点形成用異方導電性コネクター45を用いた場合において、例えば60〜120μm程度確保することができる。
(1)傾き調整用異方導電性コネクター20が、弾性異方導電膜25が金属材料よりなるフレーム板21によって支持されてなるものであることにより、当該フレーム板21を保持したときには傾き調整用異方導電性コネクター20全体が大きく変形することがなく、これにより、当該傾き調整用異方導電性コネクター20の接続対象電極に対する位置合わせ作業を位置可変機構51を利用して、具体的には、ボルト52を位置決め用ピンとして利用して容易に行うことができる。
また、接点形成用異方導電性コネクター45についても同様に、接続対象電極に対する位置合わせ作業を容易に行うことができる。
(2)検査用回路基板30と接続用回路基板41との離間距離が短いため、当該ウエハ検査装置の高さ方向の寸法を小さくすることができ、従って、ウエハ検査装置全体の小型化を図ることができる。
(3)検査用回路基板30の検査用電極31に作用される加圧力が小さいため、当該検査用電極31が損傷することがなく、当該検査用回路基板30の使用寿命が短くなることがない。
(4)検査用回路基板30の検査用電極31は、特定の傾き調整用異方導電性コネクター20によって電気的に接続されることにより、当該検査用電極31を高密度で配置することができ、従って、多数の検査用電極31を形成することができるので、多数の被検査電極についての検査を一括して行うことができる。
(5)異方導電性コネクターによる電気的接続は接触抵抗が小さく、しかも、安定した接続状態を達成することができるため、良好な電気特性が得られる。
(6)検査用回路基板30の検査用電極31と接続用回路基板41の端子電極42とが傾き調整用異方導電性コネクター20における接続用導電部26を介して電気的に接続されているため、信号伝送系の距離が短く、従って、高速処理が必要とされる高機能の集積回路の電気的検査についても対応することができる。
(7)傾き調整用異方導電性コネクター20および接点形成用異方導電性コネクター45におけるフレーム板21,49は線熱膨張係数が小さい材料よりなるため、温度環境の変化に対しても検査用回路基板30と接続用回路基板41との良好な電気的接続状態を安定に維持することができると共に、プローブ装置10とウエハWとの良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
例えば、本発明に係るウエハ検査装置においては、プローブ装置が図8に示す構成のものとされていてもよい。
このプローブ装置について具体的に説明すると、このウエハ検査装置を構成するプローブ装置10においては、傾き調整用異方導電性コネクター20の最大歪み量を規制するスペーサ60が、傾き調整用異方導電性コネクター20の弾性異方導電膜25が形成された領域に対応する領域に開口63を有する矩形枠状のものよりなり、傾き調整用異方導電性コネクター20におけるフレーム板21の両面に配置されて当該傾き調整用異方導電性コネクター20を支持する構成とされている。このウエハ検査装置は、互いに構成が異なるスペーサが用いられていること以外は、基本的な構成は、図2に示すウエハ検査装置と同一のものであり、便宜上、同一の構成部材については同一の符号が付してある。
また、微小突起部分61を含む2つのスペーサ60の厚みと、傾き調整用異方導電性コネクター20におけるフレーム板21の厚みとの合計の厚みは、傾き調整用異方導電性コネクター20の全厚の90%以上の大きさであることが好ましく、より好ましくは90〜95%の大きさである。
このような構成のスペーサ60が用いられることにより、傾き調整用異方導電性コネクター20における弾性異方導電膜25に対する狭圧力の大きさが過大になることが防止されて、接続用導電部26に所要の導電性が確実に得られ、しかも、微小突起部分61による所期の傾き補正機能が確実に得られる。
そして、検査対象であるウエハWをウエハトレイ58上に載置し、ウエハトレイ58を上方に移動させてウエハWをプローブカード40に接触させ、この状態からさらに上方に加圧することにより、図10に示されているように、接点形成用異方導電性コネクター45における接続用導電部47の各々を、ウエハWに形成された一部の集積回路の被検査電極の各々に接触させ、この状態から更に上方に加圧することにより電気的接続が達成された状態において、傾き調整用異方導電性コネクター20における接続用導電部26の各々の電気抵抗値を測定し、得られた電気抵抗値の分布が実質的に均一な状態となるよう、各々の位置可変機構51におけるナット53の締め付け量の補正量が各々のナット53について別個に設定され、これらの補正量に基づいて、各々のナット53の締め付け量がそれぞれ調整される。
次いで、ウエハトレイ58によってウエハWが所定の温度に加熱され、この状態で、ウエハWについての所要の電気的検査(WLBI試験またはプローブ試験)が行われる。
具体的には、この傾き調整用異方導電性コネクター20の弾性異方導電膜25における各々の接続用導電部26は、両端面に例えば複数の柱状の微小突起部分28Aを有する微小突起部が形成されたものとされている。
各々の微小突起部分28Aの突出高さは、傾き調整用異方導電性コネクター20の全厚の例えば5〜10%の大きさとされている。
このような微小突起部分28Aは、上述した異方導電性コネクターの製造方法において、目的とする形態の微小突起部分成形用凹所が形成された成形面を有する弾性異方導電膜成形用の金型を用いることにより、得ることができる。
具体的に説明すると、例えば図15に示されているように、この異方導電性コネクター45Aにおいては、DLC膜46Aが弾性異方導電膜46の表面全面を覆うよう形成されている。DLC膜46Aを具備していること以外の基本的な構成は、図2に示されている異方導電性コネクターと同様のものであり、便宜上、同一の構成部材については同一の符号が付してある。
DLC膜46Aの厚みは、例えば1〜500nmであることが好ましく、より好ましくは2〜50nmである。
また、DLC膜46Aは、その表面抵抗率が1×108 〜1×1014Ω/□であることが好ましく、より好ましくは1×1010〜1×1012Ω/□である。
さらに、DLC膜46Aは、ダイヤモンド結合とグラファイト結合との比率が9:1〜5:5であることが好ましく、より好ましくは8:2〜6:4であり、これにより、上記の範囲の表面抵抗率を有するDLC膜46Aが確実に得られる。
(1)評価用ウエハの作製:
直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハ上に、それぞれ、横方向における寸法が11000μm、縦方向における寸法が6000μmである矩形の集積回路を、縦方向に8個ずつ、横方向に8個ずつ縦横に並ぶよう合計で64個形成した。ウエハに形成された集積回路の各々は、その中央に被検査電極領域を有し、この被検査電極領域には、それぞれ表面に金メッキがなされた銅よりなる60個の被検査電極が120μmのピッチで横方向に一列に配列されている。また、60個の被検査電極のうち2個ずつが互いに電気的に接続されている。各々の被検査電極は、横方向における寸法が80μm、縦方向における寸法が170μmのものであり、ウエハ全体の被検査電極の総数は3840個である。また、全ての被検査電極は、当該ウエハの周縁部に形成された共通の引出し電極(図示省略)に電気的に接続されている。以下、このウエハを「評価用ウエハW1」という。この評価用ウエハW1におけるシリコンウエハ自体の平面精度は±8μmであった。
また、集積回路における60個の被検査電極について、引き出し電極を形成せず、被検査電極の各々が互いに電気的に絶縁されていること以外は、評価用ウエハW1と同様の構成の64個の集積回路をウエハ上に形成した。このウエハ全体の被検査電極の総数は3840個である。以下、このウエハを「評価用ウエハW2」という。この評価用ウエハW1におけるシリコンウエハ自体の平面精度は±10μmであった。
〔接点形成用異方導電性コネクターの作製〕
先ず、図3に示す構成に従って、弾性異方導電膜成形用の金型を下記の条件により作製した。
・強磁性体基板(71,76):材質;鉄、厚み;6000μm
・強磁性体層(72,77):材質;ニッケル、寸法;横60μm,縦150μm,厚み50μm、配置ピッチ(中心間距離);120μm、強磁性体層の数;3840個(60個の強磁性体層が形成された領域が、評価用ウエハW1における集積回路の被検査電極領域に対応して合計で64個形成)
・非磁性体層(73):材質;ドライフィルムレジストを硬化処理したもの、厚み;80μm
・非磁性体層(78):材質;ドライフィルムレジストを硬化処理したもの、厚み;80μm
・凹所(74A):横60μm,縦150μm,深さ30μm
・凹所(74B):横60μm,縦150μm,深さ30μm
一方、付加型液状シリコーンゴム100重量部に、導電性粒子55重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより弾性異方導電膜の成形用材料を調製した。ここで、導電性粒子としては、平均粒子径10μmのニッケル粒子を芯粒子とし、この芯粒子に、その重量の25重量%となる被覆量で金を化学メッキにより被覆したものを用いた。また、付加型液状シリコーンゴムとしては、A液の粘度が500Pa・sで、B液の粘度が500Pa・sである二液型のものであって、硬化物の150℃における永久圧縮歪みが6%、硬化物のデュロメーターA硬度が40、硬化物の引裂強度が30kN/mのものを用いた。
(イ)付加型液状シリコーンゴムの粘度:
B型粘度計により、23±2℃における粘度を測定した。
(ロ)シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪み:
二液型の付加型液状シリコーンゴムにおけるA液とB液とを等量となる割合で攪拌混合した。次いで、この混合物を金型に流し込み、当該混合物に対して減圧による脱泡処理を行った後、120℃、30分間の条件で硬化処理を行うことにより、厚みが12.7mm、直径が29mmのシリコーンゴム硬化物よりなる円柱体を作製し、この円柱体に対して、200℃、4時間の条件でポストキュアを行った。このようにして得られた円柱体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して150±2℃における圧縮永久歪みを測定した。
(ハ)シリコーンゴム硬化物の引裂強度:
上記(ロ)と同様の条件で付加型液状シリコーンゴムの硬化処理およびポストキュアを行うことにより、厚みが2.5mmのシートを作製した。このシートから打ち抜きによってクレセント形の試験片を作製し、JIS K 6249に準拠して23±2℃における引裂強度を測定した。
(ニ)デュロメーターA硬度:
上記(ハ)と同様にして作製されたシートを5枚重ね合わせ、得られた積重体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して23±2℃におけるデュロメーターA硬度を測定した。
そして、上型および下型の間に形成された成形材料層に対し、強磁性体層の間に位置する部分に、電磁石によって厚み方向に1.8Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、フレーム板の弾性異方導電膜配置用孔の各々に弾性異方導電膜を形成した。金型より取り出した後、200℃、4時間の条件で後硬化処理を行うことにより、接点形成用異方導電性コネクターを製造した。
また、この接点形成用異方導電性コネクター全体の厚みバラツキの程度は±5μmであった。
上記接点形成用異方導電性コネクターの作製例において、強磁性体層(72,77)の寸法を直径300μm、厚み100μmに変更すると共に、接続用導電部形成用の凹所(74A,74B)を直径300μm、深さ100μmに変更したこと以外は同様の構成を有する金型を作製した。
フレーム板としては、厚みが100μmのステンレス鋼(SUS304,飽和磁化0.01wb/m2 ,線熱膨張係数:1.73×10-5/K)よりなるものを用意し、弾性異方導電膜成形用の上側スペーサーおよび下側スペーサーとして、各々、厚みが50μmのステンレス鋼(SUS304)よりなるものを用意した。ここに、フレーム板における弾性異方導電膜配置用孔の横方向における寸法が8000μm、縦方向における寸法が4800μmであり、スペーサにおける開口の横方向における寸法が9000μm、縦方向における寸法が5800μmである。
一方、付加型液状シリコーンゴム100重量部に、導電性粒子42重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより弾性異方導電膜の成形用材料を調製した。ここで、導電性粒子としては、平均粒子径40μmのニッケル粒子を芯粒子とし、この芯粒子に、その重量の15重量%となる被覆量で金を化学メッキにより被覆したものを用いた。また、付加型液状シリコーンゴムとしては、A液の粘度が180Pa・sで、B液の粘度が180Pa・sである二液型のものであって、硬化物の150℃における永久圧縮歪みが5%、硬化物のデュロメーターA硬度が23、硬化物の引裂強度が8kN/mのものを用いた。
以上のこと以外は上記と同様にして、フレーム板における弾性導電膜配置用孔の各々に弾性異方導電膜を形成し、以って傾き調整用異方導電性コネクターを製造した。
また、この傾き調整用異方導電性コネクター全体の厚みバラツキの程度は、±10μmであった。
先ず、傾き調整用異方導電性コネクターにおけるフレーム板の4隅の位置に、歪み量規制用のスペーサが嵌合されて配置される位置決め孔を形成する。また、基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、評価用ウエハW1における集積回路の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が形成された検査用回路基板(予め良品であることが確認されたもの)を用意し、この検査用回路基板における、傾き調整用異方導電性コネクターの位置決め孔に対応する位置に、位置可変機構配置用の凹所および貫通孔を形成すると共に、接続用回路基板における、傾き調整用異方導電性コネクターの位置決め孔に対応する位置に、位置可変機構配置用の凹所および貫通孔を形成した。ここに、検査用回路基板は、厚みが5mm、直径が30cmの円板状のものであり、その検査電極が形成された領域の平面精度は±10μmである。また、検査電極の各々は、直径が400μmであるものであり、800μmのピッチで配列されている。また、検査用回路基板および接続用回路基板における位置可変機構配置用の貫通孔の開口径の大きさは、いずれも、3000μmである。
次いで、傾き調整用異方導電性コネクターのフレーム板の位置決め孔の各々に、アルミニウムよりなり、外径が9000μm、内径が3500μm、厚みが250μm(傾き調整用異方導電性コネクターの全厚の55%の大きさ)である円筒状のスペーサを配置し、図2に示されているように、ボルトの各々を、その頭部を検査用回路基板の凹所における貫通孔の開口縁部に係止させると共に軸部を当該貫通孔内、歪み量規制用のスペーサの内部空間内および接続用回路基板の凹所における貫通孔内に挿通させて基端部が接続用回路基板の凹所内に露出するよう、検査用回路基板の一面側から装着し、各々のボルトの基端部にナットを螺合して設け、これにより、傾き調整用異方導電性コネクターがその弾性異方導電膜における接続用導電部の各々がプローブカードの端子電極上に位置するよう位置合わせされた状態で配置されると共に、検査用回路基板がその検査電極の各々が傾き調整用異方導電性コネクターにおける接続用導電部上に位置するよう位置合わせされた状態で配置されてなる本発明に係るプローブ装置を作製した。ここに、位置可変機構を構成するボルトとしては、呼び径が3.0mm、ピッチが0.35mmの精密ネジを用いた。
評価用ウエハW1をヒーターを具えた試験台に配置し、プローブ装置における接点形成用異方導電性コネクターの接続用導電部の各々が評価用ウエハW1における被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置した。ここに、試験台の平面精度は±10μmである。
プローブ装置における位置可変機構を構成するナットの各々を一律の締め付け量で締め付けることにより、傾き調整用異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜が検査用回路基板と接続用回路基板とよって挟圧されて厚み方向に圧縮された状態で、当該検査用回路基板、当該傾き調整用異方導電性コネクターおよび当該接続用回路基板の三者を仮固定し、これにより、当該検査用回路基板における検査用電極の各々と当該接続用回路基板における端子電極の各々とを当該傾き調整用異方導電性コネクターにおける接続用導電部の各々を介して電気的に接続する。
この状態においては、プローブカードの端子電極が形成された面の、評価用ウエハの被検査電極が形成された面に対する高さレベルのバラツキの程度が±15μmであり、検査用回路基板の検査電極が形成された面の、評価用ウエハの被検査電極が形成された面に対する高さレベルのバラツキの程度が±20μmである。
室温(25℃)下において、検査用回路基板における3840個の検査用電極と評価用ウエハW1の引出し電極との間の電気抵抗を、接続用導電部における電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)として順次測定し、導通抵抗が1Ω未満である接続用導電部の割合を算出した。
試験2:
室温(25℃)下において、検査用回路基板における隣接する2つの検査用電極の間の電気抵抗を、隣接する2つの接続用導電部(以下、「導電部対」という。)の間の電気抵抗(以下、「絶縁抵抗」という。)として順次測定し、絶縁抵抗が10MΩ以上である導電部対の割合を算出した。
また、評価用ウエハW2を用い、上記と同様の方法により検査初期状態を設定し、上記と同様の試験2を行ったところ、絶縁抵抗が10MΩ以上である導電部対の割合が0%であり、全ての被検査電極について良好な電気的接続状態が維持されており、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定的に得られることが確認された。
さらに、このプローブ装置においては、接点形用異方導電性コネクターにおける接続用導電部が評価用ウエハにおける被検査電極に接触された状態から検査状態まで加圧されたときの弾性異方導電膜の歪み量(オーバードライブ量)が80μmであり、小さい荷重で所期の凹凸吸収性が得られることが確認された。
実施例1において、歪み量規制用のスペーサとして下記に示す構成のものを用い、当該スペーサを傾き調整用異方導電性コネクターにおけるフレーム板の両面に配置したこと以外は、実施例1において作製したものと同様の構成を有するプローブ装置(図5参照。)を作製した。
〔スペーサの構成〕
スペーサは、傾き調整用異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜が形成された領域に対応する領域に開口を有する矩形枠状の板状部分と、この板状部分の両面に形成された、弾性体よりなる複数の微小突起部分とにより構成されている。
板状部分は、ステンレス鋼よりなり、厚みが50μmのものである。また、微小突起部分は、シリコーンゴムよりなり、直径が50μm,突出高さが40μm(傾き調整用異方導電性コネクターの全厚の20%の大きさ)である円柱状のものである。
傾き調整用異方導電性コネクターにおけるフレーム板を含む2つのスペーサの全厚は、360μm(傾き調整用異方導電性コネクターの全厚の90%の大きさ)である。
このプローブ装置においては、傾き調整用異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜が検査用回路基板と接続用回路基板とよって挟圧されて厚み方向に圧縮された状態で、当該検査用回路基板、当該傾き調整用異方導電性コネクターおよび当該接続用回路基板の三者を仮固定した場合における、プローブカードの端子電極が形成された面の、評価用ウエハW1の被検査電極が形成された面に対する高さレベルのバラツキの程度が±20μmであり、検査用回路基板の検査電極が形成された面の、評価用ウエハW1の被検査電極が形成された面に対する高さレベルのバラツキの程度が±25μmである。
また、評価用ウエハW2を用い、実施例1と同様の試験2を行うことにより評価用ウエハW1の被検査電極に対する検査用回路基板の検査電極の電気的接続状態を調べたところ、絶縁抵抗が10MΩ以上である導電部対の割合が0%であり、全ての被検査電極について良好な電気的接続状態が達成されていることが確認された。
また、評価用ウエハW2を用い、上記と同様の方法により検査初期状態を設定し、上記と同様の試験2を行ったところ、絶縁抵抗が10MΩ以上である導電部対の割合が0%であり、全ての被検査電極について良好な電気的接続状態が維持されており、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定的に得られることが確認された。
さらに、このプローブ装置においては、接点形用異方導電性コネクターにおける接続用導電部が評価用ウエハにおける被検査電極に接触された状態から検査状態まで加圧されたときの弾性異方導電膜の歪み量(オーバードライブ量)が100μmであり、小さい荷重で所期の凹凸吸収性が得られることが確認された。
実施例1において、平行度調整機構を構成する位置可変機構を有さないことの他は実施例1において作製したものと同様の構成を有する比較用のプローブ装置を作製し、このプローブ装置について実施例1と同様の評価を行ったところ、一部の被検査電極について接続不良が認められ、良好な電気的接続状態が得られなかった。
20 傾き調整用異方導電性コネクター
21 フレーム板
22 異方導電膜配置用孔
23 位置決め孔
25 弾性異方導電膜
25A 成形材料層(目的形態)
25B 成形材料層
26 接続用導電部
26A,26B 突出部分
26C 突出部分
27 絶縁部
28A 微小突起部分
28B 微小突起部分
28C ワイヤー
30 検査用回路基板
31 検査用電極
32 凹所
33 貫通孔
40 プローブカード
41 接続用回路基板
42 端子電極
43 凹所
44 貫通孔
45 接点形成用異方導電性コネクター
45A 異方導電性コネクター
46 弾性異方導電膜
46A DLC膜
47 接続用導電部
48 絶縁部
49 フレーム板
50 平行度調整機構
51 位置可変機構
52 ボルト
53 ナット
55 スペーサ
58 ウエハトレイ
60 スペーサ
61 微小突起部分
62 板状部分
63 開口
64 貫通孔
65 シート状コネクター
66 金属体(接触子)
67 絶縁性シート
W ウエハ
70 上型
71 強磁性体基板
72 強磁性体層
73 非磁性体層
74A 凹所
75 下型
76 強磁性体基板
77 強磁性体層
78 非磁性体層
74B 凹所
79A,79B スペーサ
K 開口
80 検査用回路基板
81 検査用電極
85 コネクター
86 接続ピン
90 プローブカード
91 接続用回路基板
92 端子電極
93 ガイドピン
95 接触部材
96 ウエハトレイ
Claims (12)
- ウエハに形成された多数の集積回路の電気的検査を行うためのプローブ装置であって、 表面に多数の検査用電極を有する検査用回路基板と、
裏面に前記検査用回路基板の検査用電極のパターンに対応するパターンに従って複数の端子電極が形成された接続用回路基板、およびこの接続用回路基板の表面に設けられた、検査対象であるウエハにおける集積回路の被検査電極に接触される多数の接触子が配置されてなる接触部材を有し、当該接続用回路基板の端子電極の各々が前記検査用回路基板の検査用電極に対向するよう配置されたプローブカードと、
前記検査用回路基板と前記プローブカードにおける接続用回路基板との間に配置された、当該検査用回路基板と当該接続用回路基板とによって狭圧されることにより、前記検査用電極の各々と前記端子電極の各々とを電気的に接続する異方導電性コネクターと、
前記検査用回路基板のウエハに対する平行度および前記接続用回路基板のウエハに対する平行度を調整する平行度調整機構と
を具えてなり、平行度調整機構は、検査用回路基板または接続用回路基板を異方導電性コネクターの厚み方向に相対的に変位させる位置可変機構を具えていることを特徴とするプローブ装置。 - 平行度調整機構は、複数の位置可変機構を具えており、各々の位置可変機構は、検査用回路基板または接続用回路基板の変位量がそれぞれ独立に設定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプローブ装置。
- 検査用回路基板とプローブカードにおける接続用回路基板との間には、異方導電性コネクターの歪み量を規制するスペーサが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプローブ装置。
- スペーサの全厚は、異方導電性コネクターの全厚の50%以上の大きさであることを特徴とする請求項3に記載のプローブ装置。
- 異方導電性コネクターは、接続用回路基板および検査用回路基板に係る接続対象電極が形成された電極領域に対応してそれぞれ厚み方向に伸びる複数の異方導電膜配置用孔が形成されたフレーム板と、このフレーム板の各異方導電膜配置用孔内に配置され、当該異方導電膜配置用孔の周辺部に支持された複数の弾性異方導電膜とよりなり、
スペーサが異方導電性コネクターにおけるフレーム板の両面に配設されており、当該スペーサは、異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜が形成された領域に対応する領域に開口が形成された枠状のものであって、少なくとも検査用回路基板に対する接触面および接続用回路基板に対する接触面に、弾性部材よりなる微小突起部を有するものであることを特徴とする請求項3に記載のプローブ装置。 - 微小突起部を含むスペーサの厚みと異方導電性コネクターにおけるフレーム板の厚みとの合計の厚みが、異方導電性コネクターの全厚の90%以上の大きさであることを特徴とする請求項5に記載のプローブ装置。
- プローブカードを構成する接触部材が、各々厚み方向に伸びる複数の接続用導電部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる異方導電性シートを具えたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載のプローブ装置。
- プローブカードを構成する接触部材が、各々厚み方向に伸びる複数の接続用導電部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる異方導電性シートまたは当該異方導電性シートがフレーム板によって支持されてなる異方導電性コネクターと、
当該異方導電性シートまたは当該異方導電性コネクターの表面に配置された、絶縁性シートと、この絶縁性シートをその厚み方向に貫通して伸び、被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された複数の電極構造体とよりなるシート状コネクターと
により構成されていることを特徴とする請求項7に記載のプローブ装置。 - ウエハに形成された多数の集積回路の電気的検査を行うための検査装置であって、
請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載のプローブ装置を備えてなることを特徴とするウエハ検査装置。 - 平行度調整機構を構成する位置可変機構によって検査用回路基板または接続用回路基板を相対的に変位させて、検査用回路基板、異方導電性コネクターおよび接続用回路基板の三者を異方導電性コネクターを検査用回路基板と接続用回路基板とによって狭圧した状態で仮固定し、これにより、当該検査用回路基板における検査用電極の各々と当該接続用回路基板における端子電極の各々とを異方導電性コネクターにおける接続用導電部を介して電気的に接続し、この状態からさらに加圧してプローブカードにおける接触部材を検査対象であるウエハに接触させた状態において、検査用回路基板のウエハに対する平行度および接続用回路基板のウエハに対する平行度を測定し、得られた結果に基づいて位置可変機構による変位量の補正量を設定し、当該補正量に基づいて位置可変機構による変位量を調整する検査初期状態設定操作を行うことにより、検査用回路基板のウエハに対する平行度および接続用回路基板のウエハに対する平行度を調整し、
検査用回路基板と接続用回路基板との間の離間距離の大きさが大きくなる方向に対する検査用回路基板または接続用回路基板の変位を禁止した状態において、プローブ装置全体をウエハに接触させて電気的検査を行うことを特徴とするウエハ検査方法。 - 平行度調整機構が複数の位置可変機構を具えており、
プローブカードにおける接触部材を検査対象であるウエハに接触させた状態において、異方導電性コネクターにおける各々の接続用導電部の電気抵抗値を測定し、得られた電気抵抗値の分布が均一な状態となるよう、各々の位置可変機構による変位量の補正量が設定されることを特徴とする請求項10に記載のウエハ検査方法。 - 検査初期状態は、異方導電性コネクターにおける接続用導電部の各々の電気抵抗値が0.1Ω以下であって、異方導電性コネクターにおける接続用導電部1個当たりの荷重が0.01〜0.4Nとなる状態に設定されることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のウエハ検査方法。
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