JP2000314799A - X線レンズ及びその製造方法 - Google Patents

X線レンズ及びその製造方法

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JP2000314799A JP2000041748A JP2000041748A JP2000314799A JP 2000314799 A JP2000314799 A JP 2000314799A JP 2000041748 A JP2000041748 A JP 2000041748A JP 2000041748 A JP2000041748 A JP 2000041748A JP 2000314799 A JP2000314799 A JP 2000314799A
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ray
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、X線吸収が少なく、かつ
焦点距離を短くすることが可能なX線レンズ及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 本発明のX線レンズは、主平面に平行な
直線を母線とする柱面からなる第1の表面を有する。第
1の表面は、主平面に関して面対称である。第1の表面
と、その母線に垂直な仮想平面との交線が滑らかな曲線
であり、この曲線の、主平面との交点における曲率半径
が20μm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線レンズ及びそ
の製造方法に関し、特に焦点距離を短くするのに適した
X線レンズ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、ネイチャ第384巻(1996
年11月7日)の第49〜51頁に開示されているX線
レンズの側面図を示す。ボロンまたはアルミニウム等か
らなる基材100に、図4の紙面に垂直な中心軸を有す
る円柱状の複数の貫通孔101が形成されている。各貫
通孔101の半径は100〜1100μmであり、相互
に隣接する2つの貫通孔101の間隔dは、約25μm
である。
【0003】基材100の図の左端から、X線102が
入射する。入射したX線は、各貫通孔101の内周面で
屈折を繰り返す。X線に対するボロンやアルミニウムの
屈折率は1よりもやや小さいため、基材100の図の右
端から出射するX線103は、収束光線束となる。
【0004】種々の材料のX線領域における屈折率は非
常に1に近いため、焦点距離の短いX線レンズを作製す
ることは困難である。図4のように、複数の貫通孔10
1を形成し複合レンズとすることにより、焦点距離の比
較的短いレンズを得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】焦点距離を短くするた
めにレンズの枚数(図4では貫通孔101の個数に相
当)を多くすると、レンズ材料によるX線の吸収が大き
くなってしまう。例えば、貫通孔101の個数を50、
相互に隣接する2つの貫通孔101の間隔dを0.02
mmとすると、レンズの吸収体の合計の厚さは1mmに
なる。
【0006】また、複合レンズの有効口径ACは、
【0007】
【数1】AC=2R(2/μRN)1/2 と表される。ここで、Rは貫通孔101の半径、μはX
線吸収係数、Nはレンズ枚数である。例えば、アルミニ
ウムのX線吸収係数μは約20cm-1である。R=0.
2mm、N=50、とすると、有効口径ACは0.12
mmになってしまう。
【0008】本発明の目的は、X線吸収が少なく、かつ
焦点距離を短くすることが可能なX線レンズ及びその製
造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点による
と、主平面に平行な直線を母線とする柱面からなる第1
の表面を有し、該第1の表面が前記主平面に関して面対
称であり、該第1の表面と、その母線に垂直な仮想平面
との交線が滑らかな第1の曲線であり、該第1の曲線
の、前記主平面との交点における曲率半径が20μm以
下であるX線レンズが提供される。
【0010】第1の曲線の曲率半径が20μm以下であ
るため、第1の表面を屈折面とする焦点距離の短いX線
レンズが得られる。
【0011】本発明の他の観点によると、ポリテトラフ
ルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体、及びテトラフルオロエチレン
−ペルフルオロビニルエーテル共重合体からなる群より
選択された高分子材料により形成されたX線レンズであ
って、XYZ直交座標係を考えたとき、Y軸に平行な直
線を母線とする柱面からなる第1の表面を有し、該第1
の表面がYZ面に関して面対称な凹面であり、該第1の
表面とZX面との交線が放物線になるX線レンズが提供
される。
【0012】第1の表面とZX面との交線が放物線にな
るような第1の表面を屈折面とすることにより、円柱面
を屈折面とする場合に比べて、有効口径が大きく、かつ
焦点距離の短いレンズを得ることが可能になる。
【0013】本発明のさらに他の観点によると、ポリテ
トラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体、及びテトラフルオロエ
チレン−ペルフルオロビニルエーテル共重合体からなる
群より選択された高分子材料により形成された部材を準
備する工程と、縁の一部に、凹状の放物線部分を含み、
シンクロトロン放射光を透過させないマスクを、前記部
材の表面に密着させ、または該表面からある間隔を隔て
て配置する工程と、前記マスクを介して前記部材にシン
クロトロン放射光を照射し、該部材の、シンクロトロン
放射光の照射された部分をエッチングする工程とを含む
X線レンズの製造方法が提供される。
【0014】本発明のさらに他の観点によると、支持基
板と、該支持基板に密着した高分子膜であって、該高分
子膜が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロ
エチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びテ
トラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエーテル共
重合体からなる群より選択された高分子材料により形成
されている積層基板を準備する工程と、縁の一部に、凸
状の放物線部分を含み、シンクロトロン放射光を透過さ
せないマスクを、前記部材の表面に密着させ、または該
表面からある間隔を隔てて配置する工程と、前記マスク
を介して前記高分子膜にシンクロトロン放射光を照射
し、該高分子膜の、シンクロトロン放射光の照射された
部分をエッチングする工程と、前記高分子膜のエッチン
グされた部分に、金属部材を埋め込む工程と、前記支持
基板上に残っている高分子膜を除去する工程とを有する
X線レンズの製造方法が提供される。
【0015】SR光を用いて高分子材料を加工するた
め、機械的に加工する場合に比べて、曲率半径の小さな
曲面を容易に形成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1(A)は、本発明の実施例に
よるX線レンズの斜視図を示す。XYZ直交座標系を考
える。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からな
る直方体形状の基材50が、各面をXY面、YZ面、及
びZX面に平行にするように配置されている。XY面に
平行な2つの面に、それぞれ溝51A及び51Bが形成
されている。溝51Aの内面(第1の表面52A)及び
溝51Bの内面(第2の表面52B)は、共にY軸に平
行な直線を母線とする柱面であり、YZ面(本明細書に
おいて、YZ面を主平面と呼ぶ)に関して面対称であ
る。
【0017】第1の表面52AはZ軸の負の方向を向
き、第2の表面52BはZ軸の正の方向を向いている。
すなわち、両者は相互に反対方向を向いている。また、
第1及び第2の表面52A及び52Bは、共に凹面であ
る。第1の表面52AとZX面との交線、及び第2の表
面52BとZX面との交線は、共に放物線である。
【0018】PTFEの屈折率をnとすると、
【0019】
【数2】n=1−δ と表すことができる。ここで、δは、屈折率低下分(re
fractive index decrement)である。波長0.7nmの
X線に対するPTFEのδは7.25×10-7であり、
吸収係数μは6cm-1である。
【0020】図1(A)のZ軸の正の向きに進行するX
線60が、第1の表面52Aに入射する。第1の表面5
2Aに入射したX線は、第1の表面52Aで屈折し、さ
らに第2の表面52Bで屈折し、ZX面内に関して収束
するX線61が得られる。すなわち、第1及び第2の表
面52A及び52Bを有する基材50は、X線に対して
集光レンズとして作用する。
【0021】図1(B)は、図1(A)のX線レンズの
ZX面における断面形状を示す。第1の表面52AとZ
X面との交線は、
【0022】
【数3】X2=2R(−Z−d/2) と表され、第2の表面52BとZX面との交線は、
【0023】
【数4】X2=2R(Z−d/2) と表される。ここで、R=2μm、d=10μmであ
る。すなわち、この放物線の、YZ面との交点における
曲率半径は2μmであり、YZ面上において、第1の表
面52Aと第2の表面52Bとの間の厚さは10μmで
ある。このレンズの焦点距離Fは、R/(2δ)で与え
られるため、F=1.4mとなる。
【0024】基材50のZ軸方向の厚さを1200μm
とすると、Z=±600μmの位置における第1及び第
2の表面52A及び52BのX座標は約±49μmにな
る。すなわち、このX線レンズのX軸方向の有効口径は
約98μmになる。このとき、分解能σ=1μmにな
る。焦点距離F=1.4m、有効口径98μmの収束レ
ンズを、1枚の円柱面のレンズで実現することは不可能
である。上記特性の収束レンズを得るためには、図4に
示すように、円柱面レンズを複数用いた複合レンズとし
なければならない。本実施例の場合には、屈折面を放物
面にしているため、1枚のレンズで焦点距離が短く、か
つ有効口径の大きな収束レンズを実現することができ
る。
【0025】実効的にX線を集光させることができ、か
つ大きな有効口径を確保するためには、第1または第2
の表面52Aまたは52BとZX面との交線の、YZ面
との交点における曲率半径を20μm以下とすることが
好ましい。
【0026】また、上記実施例では、基材50としてP
TFEを用いた場合を説明したが、PTFEの外に、テ
トラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合体(例えばデュポン社の登録商標「テフロンFE
P」)やテトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニル
エーテル共重合体(例えばデュポン社の登録商標「テフ
ロンPFA)を用いてもよい。
【0027】また、X線の光軸近傍(YZ面近傍)にお
けるレンズの厚さが10μm程度であるため、X線吸収
量を低減することができる。X線吸収量を十分少なくす
るためには、第1の表面52Aと第2の表面52Bとに
挟まれた部分の最小厚さを50μm以下とすることが好
ましい。
【0028】また、上記実施例では、X線の入射側と出
射側の2つの屈折面を、共に放物面とした場合を説明し
たが、一方の面のみを放物面としてもよい。また、X線
を収束させる作用を奏する曲面であれば、放物面以外の
滑らかな曲面としてもよい。ただし、この場合にも、こ
の曲面とZX面との交線の、YZ面(主平面)との交点
における曲率半径を20μm以下とすることが好まし
い。
【0029】次に、図1(A)に示す実施例によるX線
レンズの製造方法について説明する。
【0030】図2(A)は、実施例によるX線レンズの
加工装置の概略図である。シンクロトロンに蓄積された
電子の軌道1から光軸5に沿ってシンクロトロン放射光
(SR光)2が放射される。光軸5に沿った光源からの
距離Lの位置にPTFE基材4が配置されている。加工
対象物4の前方には、間隔Gだけ離れてマスク3が配置
されている。電子軌道1、基材4及びマスク3は同一の
真空容器内に配置されている。
【0031】マスク3には、SR光を実質的に透過させ
る領域と透過させない領域とが画定されている。なお、
実質的に透過させる領域とは、PTFE基材4を加工す
るのに十分な強さのSR光を透過させる領域を意味し、
実質的に透過させない領域とは、その領域をSR光が透
過しないか、または透過したとしても透過光がPTFE
基材を加工しない程度の強さまで弱められるような領域
を意味する。
【0032】本実施例で使用したマスクは、図2(B)
に示すパターンを有する厚さ10〜100μmの銅板で
ある。すなわち、マスクの縁は、凹状の放物線部分を含
む。なお、銅以外の金属を用いてもよい。なお、マスク
は、2〜10μm程度の厚さのものでもよい。
【0033】SR光2は、マスク3を介してPTFE基
材4の表面に照射される。SR光の照射される面は、図
1(A)のZX面に平行な面である。PTFE基材4の
表面でSR光によるエッチングが生じ、SR光が照射さ
れた部分が剥離される。SR光2は高い平行度を有する
ため、加工されたPTFE基材4は、光軸5に沿って見
たときマスク3とほぼ同一形状になる。このため、図1
(A)に示すようなX線レンズが得られる。
【0034】図2(B)は、加工部の断面図を示す。真
空容器20内に試料保持台14が配置されている。試料
保持台14の試料保持面にPTFE基材4が保持されて
いる。マスク3が、マスク保持手段17によりPTFE
基材4の前面に配置されている。マスク3をPTFE基
材4の表面に密着させてもよいし、ある間隔を隔てて配
置してもよい。加工時には、図の左方からマスク3を通
してPTFE基材4の表面にSR光2を照射する。
【0035】試料保持台14は、例えばセラミックで形
成され、内部にヒータ8が埋め込まれている。ヒータ8
のリード線が、真空容器20の壁に取り付けられたコネ
クタ21の容器内側の端子に接続されている。コネクタ
21の容器外側の端子が、電源7に接続されており、電
源7からヒータ8に電流が供給される。ヒータ8に電流
を流すことにより、PTFE基材4を加熱することがで
きる。
【0036】試料保持台14の試料保持面に熱電対23
が取り付けられている。熱電対23のリード線は、リー
ド線取出口22を通して真空容器20の外部に導出さ
れ、温度制御装置9に接続されている。リード線取出口
22は、例えばハンダ付けにより気密性が保たれてい
る。温度制御装置9は、試料保持面の温度が所望の温度
になるように、電源7を制御しヒータ8を流れる電流を
調節する。
【0037】図2(C)は、試料保持台の他の構成例を
示す。試料保持台15の内部にガス流路16が形成され
ている。ガス流路16に所望の温度のガスを流してガス
とPTFE基材4との熱交換を行わせ、PTFE基材4
を所望の温度に維持することができる。
【0038】最小曲率半径20μm以下の滑らかな曲
面、及び最小の間隔が50μm以下となるような2つの
屈折面を、機械的な加工によって作製することは困難で
ある。図2(A)に示すSR光を利用した加工装置を用
いることにより、最小曲率半径20μm以下の放物面を
容易に形成することができる。また、2つの放物面の最
小間隔が50μm以下となるX線レンズを再現性よく作
製することができる。
【0039】SR光は高い平行度を有するため、図1
(A)のX線レンズのY軸方向の厚さをTとしたとき、
T/Rが5以上のレンズを容易に作製することができ
る。T/Rが5以上となるようにすることにより、レン
ズをY軸方向に大きくしても、焦点距離を短く維持する
ことができる。
【0040】上記実施例では、基材として、PTFE等
の高分子材料を用いた場合を説明したが、X線吸収の少
ない金属を用いてもよい。X線吸収の少ない金属とし
て、例えばAlが挙げられる。以下、Alを用いたX線
レンズの作製方法について説明する。
【0041】図3(A)に示すように、金属膜31とそ
れに密着したPTFE膜32とが積層された基板30を
準備する。基板30は、例えばPTFE膜にNi膜とC
u膜をメッキにより堆積して作製することができる。ま
たは、Cu板の上にPTFE膜を載せ、加熱しながら加
圧して融着させることによっても作製することができ
る。
【0042】PTFE膜32の表面上に一定の間隔を隔
ててマスク33を配置する。マスク33は、図1(B)
に示す断面図を反転させたパターンが形成されたステン
レス製の膜である。すなわち、マスク33の縁は、凸状
の放物線部分を含む。
【0043】マスク33を介してPTFE膜32にSR
光34を照射する。照射された部分のPTFE膜32が
エッチング除去される。金属膜31はエッチングされな
いため、金属膜31の表面が露出した時点でエッチング
が停止する。
【0044】基板温度を200℃とし、光子密度約6×
1015フォトン/s・mm2のSR光を照射したとこ
ろ、約10分で300μmの厚さのPTFE膜32の全
厚さ部分をエッチングすることができた。
【0045】図3(B)は、金属膜31の表面の一部が
露出した状態を示す。PTFE膜32に、マスク33の
パターンに対応した除去部35が形成される。
【0046】図3(C)に示すように、除去部35の底
面に露出した金属膜31の表面上に、電鋳により、Al
を堆積する。除去部35内が、Alからなる金属部材3
6で埋め込まれる。
【0047】残ったPTFE膜32に、SR光または電
子線を照射する。SR光を照射すると、PTFE膜32
がエッチングされる。電子線を照射すると、PTFEが
劣化して粉末状になり、PTFE膜32を容易に除去す
ることが可能になる。
【0048】図3(D)は、PTFE膜32を除去した
後の状態の断面図を示す。金属膜31の表面上に金属部
材36が残る。このようにして、AlからなるX線レン
ズを作製することができる。
【0049】波長9nmのX線に対するAlの屈折率低
下分δは約2.8×10-6であり、吸収係数μは約20
cm-1である。従って、例えば焦点距離1.4mのレン
ズを得るためには、図1(A)の第1及び第2の表面5
2A及び52BとZX面との交線の、YZ面との交点に
おける曲率半径を8μmとすればよい。例えば、分解能
σを1μm程度とするためには、図1(A)のX軸方向
の有効口径を126μmとすればよい。
【0050】図3(A)〜(D)に示した方法の他に、
放電加工によっても金属製のX線レンズを作製すること
ができる。図1に示した実施例によるX線レンズを作製
するためには、曲率半径の小さな局面を精度よく成形し
なければならない。放電加工でこのような曲面を成形す
るためには、微細な工具電極を準備する必要がある。微
細な工具電極は、例えばワイヤ放電研削法(ワイヤ・エ
レクトロディスチャージ・グリンディング)により作製
することができる。ワイヤ放電研削法は、ワイヤガイド
に沿ってゆっくり移動する金属細線を電極として、放電
により細い棒を成形する手法である(例えば、増沢隆久
「マイクロマシニングの研究と手法」精密工学会誌第6
0巻No.1,1994年)。
【0051】ワイヤ放電研削法によって成形した微細な
工具電極を用いて、金属材料を放電加工することによ
り、曲率半径の小さな曲面を有するX線レンズを作製す
ることができる。
【0052】また、X線レンズの材料として、PTFE
や金属の他に、シリコン等の半導体材料を用いてもよ
い。シリコンの微細加工は、例えば、SF6ガスを用い
た極低温反応性イオンエッチングにより行うことができ
る(Masayoshi Esashi et al.,High-rate directional
deep dry etching for bulk silicon micromachining,
J. Micromech. Microeng. 5 (1995) pp.5-10)。
【0053】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
曲率半径の小さい曲面で屈折面を構成することにより、
焦点距離の短いX線レンズを得ることができる。また、
SR光によるエッチングを利用してX線レンズを作製す
ることにより、曲率半径の小さな屈折面を容易に形成
し、薄いレンズを再現性よく作製することが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるX線レンズの斜視図、及
び断面図である。
【図2】実施例で用いる加工装置の概略図、及び基材保
持部の断面図である。
【図3】Alを用いたX線レンズを作製する方法を説明
するための断面図である。
【図4】従来例によるX線レンズの側面図である。
【符号の説明】 1 電子軌道 2 SR光 3 マスク 4 PTFE基材 5 光軸 7 電源 8 ヒータ 9 温度制御装置 14、15 試料保持台 16 ガス流路 17 マスク保持手段 20 真空容器 21 コネクタ 22 リード線取出口 23 熱電対 30 積層基板 31 金属膜 32 PTFE膜 33 マスク 34 SR光 35 除去部 36 金属部材 50 基材 51A、51B 溝 52A 第1の表面 52B 第2の表面 60、61 X線

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主平面に平行な直線を母線とする柱面か
    らなる第1の表面を有し、該第1の表面が前記主平面に
    関して面対称であり、該第1の表面と、その母線に垂直
    な仮想平面との交線が滑らかな第1の曲線であり、該第
    1の曲線の、前記主平面との交点における曲率半径が2
    0μm以下であるX線レンズ。
  2. 【請求項2】 ポリテトラフルオロエチレン、テトラフ
    ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
    及びテトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエー
    テル共重合体からなる群より選択された高分子材料によ
    り形成された請求項1に記載のX線レンズ。
  3. 【請求項3】 前記第1の表面が凹面である請求項1ま
    たは2に記載のX線レンズ。
  4. 【請求項4】 前記第1の曲線が放物線である請求項1
    〜3のいずれかに記載のX線レンズ。
  5. 【請求項5】 さらに、前記第1の表面の母線に平行な
    直線を母線とする柱面からなり、該第1の表面とは反対
    方向を向く第2の表面を有し、該第2の表面が前記主平
    面に関して面対称な凹面であり、該第2の表面と、その
    母線に垂直な仮想平面との交線が滑らかな第2の曲線で
    あり、前記第1の表面と第2の表面とに挟まれた部分の
    最小厚さが50μm以下である請求項1〜4のいずれか
    に記載のX線レンズ。
  6. 【請求項6】 ポリテトラフルオロエチレン、テトラフ
    ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
    及びテトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエー
    テル共重合体からなる群より選択された高分子材料によ
    り形成されたX線レンズであって、XYZ直交座標係を
    考えたとき、Y軸に平行な直線を母線とする柱面からな
    る第1の表面を有し、該第1の表面がYZ面に関して面
    対称な凹面であり、該第1の表面とZX面との交線が放
    物線になるX線レンズ。
  7. 【請求項7】 さらに、前記第1の表面とZX面との交
    線の、YZ面との交点における曲率半径をR、X線レン
    ズのY軸方向の厚さをTとしたとき、T/Rが5以上で
    ある請求項6に記載のX線レンズ。
  8. 【請求項8】 ポリテトラフルオロエチレン、テトラフ
    ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
    及びテトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエー
    テル共重合体からなる群より選択された高分子材料によ
    り形成された部材を準備する工程と、 縁の一部に、凹状の放物線部分を含み、シンクロトロン
    放射光を透過させないマスクを、前記部材の表面に密着
    させ、または該表面からある間隔を隔てて配置する工程
    と、 前記マスクを介して前記部材にシンクロトロン放射光を
    照射し、該部材の、シンクロトロン放射光の照射された
    部分をエッチングする工程とを含むX線レンズの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記マスクの縁のうち前記放物線部分の
    最小曲率半径が20μm以下である請求項8に記載のX
    線レンズの製造方法。
  10. 【請求項10】 支持基板と、該支持基板に密着した高
    分子膜であって、該高分子膜が、ポリテトラフルオロエ
    チレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロ
    ピレン共重合体、及びテトラフルオロエチレン−ペルフ
    ルオロビニルエーテル共重合体からなる群より選択され
    た高分子材料により形成されている積層基板を準備する
    工程と、 縁の一部に、凸状の放物線部分を含み、シンクロトロン
    放射光を透過させないマスクを、前記部材の表面に密着
    させ、または該表面からある間隔を隔てて配置する工程
    と、 前記マスクを介して前記高分子膜にシンクロトロン放射
    光を照射し、該高分子膜の、シンクロトロン放射光の照
    射された部分をエッチングする工程と、 前記高分子膜のエッチングされた部分に、金属部材を埋
    め込む工程と、 前記支持基板上に残っている高分子膜を除去する工程と
    を有するX線レンズの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記マスクの縁のうち前記放物線部分
    の最小曲率半径が20μm以下である請求項10に記載
    のX線レンズの製造方法。
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