JP3818893B2 - X線レンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線レンズに関し、特に放射光を利用して作製するのに適したX線レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に、ネイチャ第384巻(1996年11月7日)の第49〜51頁に開示されているX線レンズの側面図を示す。ボロンまたはアルミニウム等からなる基材100に、図6の紙面に垂直な中心軸を有する円柱状の複数の貫通孔101が形成されている。各貫通孔101の半径は100〜1100μmであり、相互に隣接する2つの貫通孔101の間隔dは、約25μmである。
【0003】
基材100の図の左端から、X線102が入射する。入射したX線は、各貫通孔101の内周面で屈折を繰り返す。X線に対するボロンやアルミニウムの屈折率は1よりもやや小さいため、基材100の図の右端から出射するX線103は、収束光線束となる。
【0004】
種々の材料のX線領域における屈折率は非常に1に近いため、焦点距離の短いX線レンズを作製することは困難である。図6のように、複数の貫通孔101を形成し複合レンズとすることにより、焦点距離の比較的短いレンズを得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
焦点距離を短くするためにレンズの枚数(図6では貫通孔101の個数に相当)を多くすると、レンズ材料によるX線の吸収が大きくなってしまう。例えば、貫通孔101の個数を50、相互に隣接する2つの貫通孔101の間隔dを0.02mmとすると、レンズの吸収体の合計の厚さは1mmになる。
【0006】
また、複合レンズの有効口径ACは、
【0007】
【数1】
AC=2R(2/μRN)1/2
と表される。ここで、Rは貫通孔101の半径、μはX線吸収係数、Nはレンズ枚数である。例えば、アルミニウムのX線吸収係数μは約20cm-1である。R=0.2mm、N=50、とすると、有効口径ACは0.12mmになってしまう。
【0008】
本発明の目的は、X線吸収が少なく、かつ焦点距離を短くすることが可能なX線レンズ及びその製造に適した加工方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によると、平坦な加工開始表面を有する基材と、前記基材に設けられた第1の凹部であって、該第1の凹部は、前記加工開始表面と交差する第1の仮想平面に平行な直線を母線とする第1の柱面を画定し、該第1の柱面の母線が前記加工開始表面まで達し、該加工開始表面に対して傾き、該第1の柱面と該加工開始表面との交線が、第1の向きに凸の曲線である前記第1の凹部と、前記基材に設けられた第2の凹部であって、該第2の凹部は、前記第1の仮想平面に平行な直線を母線とする第2の柱面を画定し、該第2の柱面の母線が前記加工開始表面まで達し、該加工開始表面に対して傾き、該第2の柱面と該加工開始表面との交線が、第1の向きとは反対の向きに凸の曲線であり、前記第1の仮想平面の法線に平行な視線で見たとき、前記第1の柱面と該第2の柱面とが交差し、交差箇所において該第2の柱面が該第1の柱面から、前記第1の仮想平面の法線方向に第1の距離だけ離れている前記第2の凹部とを有するX線レンズが提供される。
【0010】
第1の仮想平面の法線に平行な視線で見たときに第1の柱面と第2の柱面とが交差する箇所が、X線レンズとして作用する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を説明する前に、図1及び図2を参照して、本発明者が先に提案したX線レンズ及びその製造方法について説明する。
【0014】
図1(A)は、先に提案されたX線レンズの斜視図を示す。XYZ直交座標系を考える。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる直方体形状の基材50が、各面をXY面、YZ面、及びZX面に平行にするように配置されている。XY面に平行な2つの面に、それぞれ溝51A及び51Bが形成されている。溝51Aの内面(第1の表面52A)及び溝51Bの内面(第2の表面52B)は、共にY軸に平行な直線を母線とする柱面であり、YZ面に関して面対称である。
【0015】
第1の表面52AはZ軸の負の方向を向き、第2の表面52BはZ軸の正の方向を向いている。すなわち、両者は相互に反対方向を向いている。また、第1及び第2の表面52A及び52Bは、共に凹面である。第1の表面52AとZX面との交線、及び第2の表面52BとZX面との交線は、共に放物線である。
【0016】
PTFEの屈折率をnとすると、n=1−δと表すことができる。ここで、δは、屈折率低下分(refractive index decrement)である。波長0.7nmのX線に対するPTFEの屈折率低下分δは7.25×10-7であり、吸収係数μは6cm-1である。
【0017】
図1(A)のZ軸の正の向きに進行するX線60が、第1の表面52Aに入射する。第1の表面52Aに入射したX線は、第1の表面52Aで屈折し、さらに第2の表面52Bで屈折し、ZX面内に関して収束するX線61が得られる。すなわち、第1及び第2の表面52A及び52Bを有する基材50は、X線に対して集光レンズとして作用する。
【0018】
図1(B)は、図1(A)のX線レンズのZX面における断面形状を示す。第1の表面52AとZX面との交線は、X2=2R(−Z−d/2)と表され、第2の表面52BとZX面との交線は、X2=2R(Z−d/2)と表される。ここで、R=2μm、d=10μmである。すなわち、この放物線の、YZ面との交点における曲率半径は2μmであり、YZ面上において、第1の表面52Aと第2の表面52Bとの間の厚さは10μmである。このレンズの焦点距離Fは、R/(2δ)で与えられるため、F=1.4mとなる。
【0019】
基材50のZ軸方向の厚さを1200μmとすると、Z=±600μmの位置における第1及び第2の表面52A及び52BのX座標は約±49μmになる。すなわち、このX線レンズのX軸方向の有効口径は約98μmになる。このとき、分解能σ=1μmになる。焦点距離F=1.4m、有効口径98μmの収束レンズを、1枚の円柱面のレンズで実現することは不可能である。図1に示したX線レンズでは、屈折面を放物柱面にしているため、1枚のレンズで焦点距離が短く、かつ有効口径の大きな収束レンズを実現することができる。
【0020】
実効的にX線を集光させることができ、かつ大きな有効口径を確保するためには、第1または第2の表面52Aまたは52BとZX面との交線の、YZ面との交点における曲率半径を20μm以下とすることが好ましい。
【0021】
次に、図1(A)に示した先の提案によるX線レンズの製造方法について説明する。
【0022】
図2(A)は、X線レンズの加工装置の概略図である。シンクロトロンに蓄積された電子の周回軌道1から光軸5に沿ってシンクロトロン放射光(SR光)2が放射される。光軸5に沿った光源からの距離Lの位置にPTFE基材4が配置されている。加工対象物4の前方には、間隔Gだけ離れてマスク3が配置されている。電子軌道1、基材4及びマスク3は同一の真空容器内に配置されている。
【0023】
マスク3には、SR光を実質的に透過させる領域と透過させない領域とが画定されている。なお、実質的に透過させる領域とは、PTFE基材4を加工するのに十分な強さのSR光を透過させる領域を意味し、実質的に透過させない領域とは、その領域をSR光が透過しないか、または透過したとしても透過光がPTFE基材を加工しない程度の強さまで弱められるような領域を意味する。
【0024】
マスク3は、図1(B)に示すパターンを有する厚さ10〜100μmの銅板である。すなわち、マスク3の縁は、凹状の放物線部分を含む。なお、銅以外の金属を用いてもよい。なお、マスク3は、2〜10μm程度の厚さのものでもよい。
【0025】
SR光2は、マスク3を介してPTFE基材4の表面に照射される。SR光の照射される面は、図1(A)のZX面に平行な面である。PTFE基材4の表面でSR光によるエッチングが生じ、SR光が照射された部分が剥離される。SR光2は高い平行度を有するため、加工されたPTFE基材4は、光軸5に沿って見たときマスク3とほぼ同一形状になる。このため、図1(A)に示すようなX線レンズが得られる。
【0026】
図2(B)は、加工部の断面図を示す。真空容器20内に試料保持台14が配置されている。試料保持台14の試料保持面にPTFE基材4が保持されている。マスク3が、マスク保持手段17によりPTFE基材4の前面に配置されている。マスク3をPTFE基材4の表面に密着させてもよいし、ある間隔を隔てて配置してもよい。加工時には、図の左方からマスク3を通してPTFE基材4の表面にSR光2を照射する。
【0027】
試料保持台14は、例えばセラミックで形成され、内部にヒータ8が埋め込まれている。ヒータ8のリード線が、真空容器20の壁に取り付けられたコネクタ21の内側の端子に接続されている。コネクタ21の外側の端子が、電源7に接続されており、電源7からヒータ8に電流が供給される。ヒータ8に電流を流すことにより、PTFE基材4を加熱することができる。
【0028】
試料保持台14の試料保持面に熱電対23が取り付けられている。熱電対23のリード線は、リード線取出口22を通して真空容器20の外部に導出され、温度制御装置9に接続されている。リード線取出口22は、例えばハンダ付けにより気密性が保たれている。温度制御装置9は、試料保持面の温度が所望の温度になるように、電源7を制御しヒータ8を流れる電流を調節する。
【0029】
図2(C)は、試料保持台の他の構成例を示す。試料保持台15の内部にガス流路16が形成されている。ガス流路16に所望の温度のガスを流してガスとPTFE基材4との熱交換を行わせ、PTFE基材4を所望の温度に維持することができる。
【0030】
最小曲率半径20μm以下の滑らかな曲面、及び最小の間隔が50μm以下となるような2つの屈折面を、機械的な加工によって作製することは困難である。図2(A)に示すSR光を利用した加工装置を用いることにより、最小曲率半径20μm以下の放物面を容易に形成することができる。また、2つの放物面の最小間隔が50μm以下となるX線レンズを再現性よく作製することができる。
【0031】
SR光は高い平行度を有するため、図1(A)のX線レンズのY軸方向の厚さをTとしたとき、T/Rが5以上のレンズを容易に作製することができる。T/Rが5以上となるようにすることにより、レンズをY軸方向に大きくしても、焦点距離を短く維持することができる。
【0032】
次に、図3を参照して、本願発明者によって先に提案された他のX線レンズの斜視図を示す。PTFE等のフッ素系ポリマーからなる基材30の第1の面31と、その反対側の第2の面32とが、相互に平行に配置されている。xy面が第1の面31と平行になり、第2の面32の法線ベクトルの向きをz軸の正の向きとするxyz直交座標系を考える。
【0033】
第1の面31に、y軸に平行な3本の同一形状の溝33が形成されている。第2の面32に、x軸に平行な2本の同一形状の溝34が形成されている。これらの溝33及び34は、図1(A)に示した溝52Aや52Bと同様の方法で形成することができる。すなわち、溝33及び34の各々の内面は柱面になる。溝33の内面とzx面との交線は、z軸の正の向きに向かって凸、すなわち基材30の内部に向かって凸の放物線になる。また、溝34の内面とyz面との交線は、z軸の負の向きに向かって凸、すなわち基材30の内部に向かって凸の放物線になる。溝33及び34の各々の幅は、例えば約50μmであり、相互に隣り合う溝の間隔も、約50μmである。
【0034】
溝33と溝34との交差箇所において、溝33の底と溝34の底とが、所定の間隔を隔てて配置される。X線吸収量を十分少なくするために、溝33の底と溝34の底との間隔を50μm以下とすることが好ましい。また、図1に示したXレンズの場合と同様に、溝33及び34の最深部の曲面の曲率半径を20μm以下とすることが好ましい。
【0035】
z軸の正の向きに伝搬するX線が、図3に示したX線レンズに入射すると、溝33の内面で屈折し、zx面内に関して収束される3本の帯状のX線ビームが得られる。これらの帯状のX線ビームは、溝34の内面で屈折し、yz面内に関して収束される。これにより、6本の収束X線マイクロビームが得られる。すなわち、溝33と34との交差箇所の各々が、X線収束レンズとして作用する。溝33の本数をN、溝34の本数をMとすると、N×Mの行列状に配列したX線レンズアレイが得られる。
【0036】
以下、図3に示したX線レンズアレイの製造方法を説明する。zx面に平行な表面上にマスクを配置して第1回目のSR光照射を行うことにより、y軸に平行な溝33を形成する。次に、yz面に平行な表面上にマスクを配置して第2回目のSR光照射を行うことにより、x軸に平行な溝34を形成する。2回のSR光の照射によって、溝33と34が形成される。
【0037】
第1回目のSR光照射で形成された溝33と、第2回目のSR光照射時のマスクとのz軸方向の位置合わせを行う必要がある。溝33の底と溝34の底との間隔を50μm以下とすることが好ましいため、この位置合わせには、ミクロンオーダの位置決め精度が要求される。ところが、このように高精度の位置合わせを行うのは困難である。以下に説明する実施例による加工方法では、2つの溝の深さ方向の位置合わせを容易に行うことができる。
【0038】
図4に、本発明の実施例によるX線レンズの斜視図を示す。PTFEからなる直方体形状の基材40の一つの第1表面45に溝(凹部)41が形成され、第1表面45の反対側の第2表面46に、溝(凹部)42が形成されている。溝41及び42の一方の端部が、第1表面45と第2表面46とを接続する加工開始表面47まで達している。zx面を加工開始表面47に平行にし、xy面を第1表面45及び第2表面46と平行にするxyz直交座標系を考える。
【0039】
溝41は、xy面に平行な直線を母線とする柱面41aを画定している。柱面41aの母線は、加工開始表面47まで達しており、加工開始表面47に対して傾いている。加工開始表面47と、柱面41aの母線とのなす角は45°である。柱面41aと加工開始表面47との交線は、z軸の負の向きに凸で、z軸に平行な中心軸を持つ放物線である。
【0040】
溝42も、xy面に平行な直線を母線とする柱面42aを画定している。柱面42aの母線も加工開始表面47まで達しており、加工開始表面47に対して、柱面41aの母線の傾いている向きとは反対の向きに傾いている。加工開始表面47と、柱面42aの母線とのなす角は45°である。柱面42aと加工開始表面47との交線は、z軸の正の向きに凸で、z軸に平行な中心軸を持つ放物線である。
【0041】
柱面41aと、その母線に垂直な平面との交線が、X2=RZ(Rは定数)で表される放物線である場合、柱面41aと加工開始表面47との交線は、X2=2RZで表される放物線になる。
【0042】
図4において、z軸に平行な視線で見たとき、柱面41aと柱面42aとが交差しており、両者の母線が相互に直交する。柱面41aと柱面42aとが最も接近する位置(交差する位置)において、両者は距離dだけ離れている。溝41及び42が、それぞれ図3に示したX線レンズアレイの溝33及び34に対応する。溝41と42との交差箇所が、X線レンズとして作用する。X線の透過率を高めるために、柱面41aと柱面42aとの間隔dを50μm以下とすることが好ましい。
【0043】
次に、図5を参照して、図4に示した実施例によるX線レンズの製造方法を説明する。
【0044】
図5(A)は、実施例によるX線レンズの製造方法で使用されるマスク70の平面図を示す。マスク70に、SR光を透過させる第1の領域72と第2の領域73とが画定されている。マスク70は、例えばポリイミド製の基板の表面に厚さ1〜4μmの金膜を蒸着し、この金膜をパターニングして、第1の領域72及び第2の領域73に相当する開口を形成することにより得られる。金膜のパターニングは、周知のフォトリソグラフィ技術を用いて行うことができる。
【0045】
図4に示した基材40を図2(B)の試料保持台5に取り付け、マスク70をマスク保持手段17で保持する。マスク70の外周に、直線部分71が設けられている。マスク70が基材40の加工開始表面47と平行になり、直線部分50が、図4に示したx軸と平行になるように、マスク70と基材40との相対位置を固定する。第1の領域72及び第2の領域73が、それぞれ図4の溝41及び42に対応する。すなわち、第1の領域72は、柱面41aと加工開始表面47との交線に相当する放物線を画定し、第2の領域73は、柱面42aと加工開始表面47との交線に相当する放物線を画定している。
【0046】
第2の領域73によって画定された放物線を、x軸(直線部分50)に平行な方向に並進移動させ、その中心軸を、第1の領域72によって画定された放物線の中心軸と一致させたとき、両者の先端同士の間隔が、図4に示した柱面41aと柱面42aとの間隔dと等しくなる。また、第1の領域72及び第2の領域73で画定される放物線の中心軸は、z軸に平行である。
【0047】
図5(B)に示すように、基材40とマスク70との相対位置を固定した状態で、基材40に定義されたz軸がSR光2の進行方向と直交し、加工開始表面47へのSR光の入射角が45°になるように、基材40とマスク70とを設置する。マスク70の第2の領域73を遮蔽し、マスク70を介して基材40にSR光2を照射する。第1の領域72を通過したSR光により、基材40に溝41が形成される。
【0048】
図5(C)に示すように、基材40とマスク70とを、両者の相対位置を固定した状態で、z軸に平行な回転軸を中心として90°だけ回転移動させる。第1の領域72を遮蔽し、第2の領域73をSR光が透過し得る状態にする。マスク70を介して基材40にSR光を照射することにより、溝42が形成される。
【0049】
上記実施例による方法で形成された2つの溝41と42との最も近接した点の間隔dは、マスク70に形成されている第1の領域72と第2の領域73との相対的な位置関係によって決定さる。1回目のSR光の照射後、2回目のSR光の照射を行うまで、基材40とマスク70との相対位置が固定されているため、1回目のSR光の照射時に形成された溝71と、マスク70との位置合わせを行う必要がない。このため、間隔dが50μm以下であっても、再現性よく2つの溝41及び42を形成することができる。
【0050】
上記実施例では、図4において、柱面41aの母線と加工開始表面47とのなす角、及び柱面42aの母線と加工開始表面47とのなす角が共に45°である場合を示した。z軸に平行な視線で見たとき、柱面41aの母線と柱面42aの母線とが、相互に直交するような相対位置関係であれば、加工開始表面47と母線とのなす角が45°である必要はない。例えば、柱面41aの母線と加工開始表面47とのなす角を35°とし、柱面42aの母線と加工開始表面47とのなす角を55°としてもよい。
【0051】
柱面41aの母線と加工開始表面47とのなす角が変化すると、柱面41aと加工開始表面47との交線で画定される放物線の広がりが変化する。放物線の広がりの変化に応じて、マスク70の第1の領域72及び第2の領域73の形状、具体的には外周を画定する放物線の広がりを変化させる必要がある。
【0052】
図4に示した第1表面45に形成された溝41を複数本にし、第2表面46に形成された溝42を複数本にすることにより、図3に示したX線レンズアレイと同様に、複数のX線レンズが格子状に配置されたX線レンズアレイとすることができる。
【0053】
また、上記実施例では、図4に示したように、柱面41aを画定する溝41が加工開始表面47及び第1表面45に開口していたが、溝41の代わりに、加工開始表面47のみに開口する凹部を形成してもよい。この凹部の側面が、放物柱面41aを画定する。凹部の側面のうち柱面41aに対向する部分は、平面にしてもよいし、柱面41aとは反対向きに凸の放物柱面としてもよい。同様に、溝42の代わりに、加工開始表面47のみに開口する凹部を形成してもよい。
【0054】
上記実施例では、図4に示した基材50としてPTFEを用いた場合を説明したが、PTFEの外に、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えばデュポン社の登録商標「テフロンFEP」)やテトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエーテル共重合体(例えばデュポン社の登録商標「テフロンPFA」を用いてもよい。
【0055】
また、図4では、X線の入射側と出射側の2つの屈折面を、共に放物柱面とした場合を説明したが、一方の面のみを放物柱面としてもよい。また、X線を収束させる作用を奏する曲面であれば、放物柱面以外の滑らかな柱面としてもよい。
【0056】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基材にSR光を照射して凹部を形成することにより、X線レンズを作製することができる。X線レンズの入射側と出射側の表面は、基材とマスクとの相対位置関係を固定したままSR光の進行方向と基材との相対位置関係を変えてSR光を2回照射することにより形成される。このため、入射側の表面と出射側の表面との位置関係を、高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明者の先の提案によるX線レンズの斜視図及び正面図である。
【図2】 X線レンズの加工装置の概略図、及び試料保持台回りの断面図である。
【図3】 本発明者の先の提案によるX線レンズアレイの斜視図である。
【図4】 本発明の実施例によるX線レンズの斜視図である。
【図5】 本発明の実施例によるX線レンズの製造方法で用いられるマスクの平面図、及び基材とマスクとSR光との位置関係を示す概略図である。
【図6】 従来のX線レンズの正面図である。
【符号の説明】
1 電子軌道
2 SR光
3 マスク
4 PTFE基材
5 光軸
7 電源
8 ヒータ
9 温度制御装置
14、15 試料保持台
16 ガス流路
17 マスク保持手段
20 真空容器
21 コネクタ
22 リード線取出口
23 熱電対
30 PTFE基材
31 第1の面
32 第2の面
33 第1の溝
34 第2の溝
40 基材
41、42 溝
45 第1表面
46 第2表面
47 加工開始表面
50 基材
51A、51B 溝
52A 第1の表面
52B 第2の表面
60、61 X線
70 マスク
71 直線部分
72、73 SR光透過領域
Claims (4)
- 加工開始表面を有する基材と、
前記基材に設けられた第1の凹部であって、該第1の凹部は、前記加工開始表面と交差する第1の仮想平面に平行な直線を母線とする第1の柱面を画定し、該第1の柱面の母線が前記加工開始表面まで達し、該加工開始表面に対して傾き、該第1の柱面と該加工開始表面との交線が、第1の向きに凸の曲線である前記第1の凹部と、
前記基材に設けられた第2の凹部であって、該第2の凹部は、前記第1の仮想平面に平行な直線を母線とする第2の柱面を画定し、該第2の柱面の母線が前記加工開始表面まで達し、該加工開始表面に対して傾き、該第2の柱面と該加工開始表面との交線が、第1の向きとは反対の向きに凸の曲線であり、前記第1の仮想平面の法線に平行な視線で見たとき、前記第1の柱面と該第2の柱面とが交差し、交差箇所において該第2の柱面が該第1の柱面から、前記第1の仮想平面の法線方向に第1の距離だけ離れている前記第2の凹部と
を有するX線レンズ。 - 前記第1の距離が50μm以下である請求項1に記載のX線レンズ。
- 前記第1の仮想平面の法線に平行な視線で見たとき、前記第1の柱面の母線と前記第2の柱面の母線とが相互に直交する請求項1または2に記載のX線レンズ。
- 前記第1の仮想平面が前記加工開始表面と直交し、前記第1の柱面と前記加工開始表面との交線、及び前記第2の柱面と前記加工開始表面との交線が、前記第1の仮想平面の法線に平行な中心軸を持つ放物線である請求項1〜3のいずれかに記載のX線レンズ。
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