JP2000313958A - 薄膜形成装置及び薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成装置及び薄膜形成方法

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JP2000313958A
JP2000313958A JP12270199A JP12270199A JP2000313958A JP 2000313958 A JP2000313958 A JP 2000313958A JP 12270199 A JP12270199 A JP 12270199A JP 12270199 A JP12270199 A JP 12270199A JP 2000313958 A JP2000313958 A JP 2000313958A
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substrate
magnetic field
target
sputtering
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Takashi Sudo
崇 須藤
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタリングの際に放出される二次電子
(γ電子)が、薄膜が形成される基板に入射する量を低
減させ、薄膜へのダメージを低減させる。 【解決手段】 スパッタリング法により原子を放出する
ターゲット8と、この原子により薄膜が形成される基板
14の間に磁極板16と磁極板18が配置されている。
この磁極板16,18により、ターゲット8と基板14
の間に基板14の薄膜が形成される面に平行な磁界が発
生している。この磁界により、スパッタリングの際にタ
ーゲット8の近傍で発生する二次電子を軌道修正し基板
14に到達しないようにすることができる。これによっ
て、二次電子が入射することによる薄膜へのダメージを
低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜形成に用いら
れるスパッタリング装置によって、基板上に均質でかつ
緻密な薄膜を速い成膜速度で形成する方法およびその装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、スパッタリング現象を利用した薄
膜形成方法が広く利用されている。しかし、スパッタリ
ング法は、蒸着法と比較して成膜速度が遅いという問題
点がある。スパッタリング法は、放電により放電空間に
含ませたガス(スパッタガス)をイオン化させ、このイ
オンを電界により加速してターゲットに衝突させること
によりターゲットを構成する原子を放出させる方法であ
る。
【0003】この放電を用いたスパッタリング法で成膜
速度を速くできない理由としては、イオンの生成効率を
上げるのが困難であることや、ターゲットからスパッタ
リングされた原子が、放電ガスの原子に散乱され、基板
に到達する割合が減ることなどが挙げられる。
【0004】つまり、スパッタリング法において成膜速
度を速くするためには、スパッタリングされた原子が通
る空間に存在するガスを希薄なものとし、かつこの希薄
なガスに含ませたスパッタガスから多くのイオンを取り
出すことが要求される。
【0005】この要求を満たし、薄膜形成速度を上げる
方法として、マグネトロンスパッタリング法や、3極、
4極スパッタリング法などが提案され実施されている。
【0006】図4にマグネトロンスパッタリング法によ
る原子放出機構37の模式図を示す。図4において、カ
ソード電極31と対向する図示しない電極との間には、
図3上下方向に電界が発生しており、この電界によって
放電する。放電によってイオン化されたスパッタガス3
8がこの電界によって加速され、ターゲット31に衝突
するとスパッタリング現象によりターゲットを構成して
いた原子がスパッタ原子35として放出する。
【0007】円筒状のカソード電極36の中心部と外周
部に配置された磁石30によって、ターゲット31の上
面には磁界が発生している。この磁界の磁力線33は中
心から放射状に伸びて、電界と直交している。スパッタ
リング現象において発生する二次電子(γ電子)34は
この磁界の作用によりサイクロイド曲線状の軌道を描く
ように運動する。この二次電子の運動によって放電が持
続する。このような放電をマグネトロン放電と称する。
【0008】このマグネトロン放電によって、スパッタ
ガスが持続的にイオン化され、ターゲット31の近傍に
は電子と陽イオンとからなるプラズマ32が多量に発生
する。このイオンがスパッタリング現象に寄与すること
により、多量のスパッタ原子35を生成し、成膜速度を
速くすることができる。
【0009】磁界を印加しない場合の直流2極スパッタ
リング法や高周波スパッタリング法では、二次電子34
が基板へ入射することによる基板温度上昇が著しい。こ
れに対して、マグネトロンスパッタリング法では、二次
電子34は前記のようにサイクロイド曲線を描くように
運動する。この際に、二次電子34は気体分子と衝突し
てエネルギーを失って基板に到達する。このため、基板
に二次電子34が入射することによる基板の温度上昇が
相対的に少ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】マグネトロンスパッタ
リング法では、二次電子が描くサイクロイド曲線状の軌
道が終端のない閉じた軌道となるように電界と磁界とを
印加した場合に、マグネトロン放電が安定することが知
られている。このため、発生する磁界を、ターゲット上
の全ての領域で、ターゲットのスパッタガスが入射する
面に対して平行にすることは困難である。磁力線は例え
ば前記の従来例の図3で示したような形となる。したが
って、磁力線が、ターゲットの入射面に対し平行となる
領域と勾配を持つ領域とが発生する。
【0011】ここで、磁力線がターゲットの入射面に対
し勾配を持っている領域で、ターゲットに直行する方向
に運動している二次電子に注目する。この場合、二次電
子の速度の磁力線に直行する方向の成分は小さくなり、
したがって磁界によって二次電子に働くローレンツ力は
小さくなる。このため、ターゲットに対して磁力線の勾
配が特に大きい所では二次電子に対する磁界の影響が小
さくなり、磁界にサイクロイド曲線状の運動をさせられ
ることによってプラズマ内に捕捉されていた二次電子が
磁界から解放され、ターゲットの近傍から飛び出すこと
がある。
【0012】このようにしてターゲットの近傍から飛び
出した二次電子が、ターゲットの入射面に直行する方向
にターゲットに対向して配置された基板に向かって飛
び、基板上に形成されている薄膜に飛び込む。このよう
に薄膜に二次電子が飛び込むことで、薄膜の性能に悪影
響を及ぼすことがあった。
【0013】本発明の目的は、マグネトロンスパッタリ
ング法の利点を活かし、薄膜形成時に発生する二次電子
が基板に到達することを抑制して二次電子が薄膜に飛び
込むことによる悪影響を低減し、均質でかつ緻密な薄膜
を速い速度で形成することができる薄膜形成装置および
薄膜形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による薄膜形成装置は、スパッタリング現象
により原子を放出する原子放出機構を有し、放出した原
子を基板に付着させることにより薄膜を形成する薄膜形
成装置において、原子放出機構の原子放出部位と基板と
の間に、基板の薄膜が形成される面に平行な磁界を発生
する磁界発生機構を有することを特徴とする。
【0015】これにより、原子放出機構においてスパッ
タリングの際に放出する二次電子(γ電子)を、基板の
薄膜が形成される面に平行に発生させた磁界によって軌
道修正させることができる。このため、基板に到達する
二次電子の量を低減することができる。
【0016】磁界発生機構は永久磁石からなる磁極板と
することができる。永久磁石とすることにより、コイル
等を用いるよりも低コストとし、また長期間にわたる使
用を可能にすることができる。
【0017】本発明の薄膜形成装置は、原子放出機構
が、スパッタリングのために発生される電界に直交する
方向に磁界を発生するマグネトロンスパッタリング装置
である場合に基板への二次電子の到達による悪影響をよ
り低減することができる。
【0018】すなわち、マグネトロンスパッタリング装
置では、スパッタリングの際に発生する二次電子は磁界
により軌道修正され、サイクロイド曲線を描くように運
動する。この際に、二次電子は気体分子と衝突してエネ
ルギーを失って基板に到達する。このため、基板に二次
電子が入射することによる基板への影響は小さい。マグ
ネトロンスパッタリング装置のこの特性と、本発明によ
る基板に到達する二次電子の量の低減との相乗効果によ
り、基板への悪影響をより低減することができる。
【0019】薄膜作製の過程で大気が存在すると、薄膜
物質の直進が妨げられ、一様で平らな薄膜の形成が難し
くなる、空気分子が薄膜の中に入り込み不純物となる、
空気中の活性な分子が薄膜物質と化合物を形成する、ス
パッタリング装置やターゲット表面と空気分子とが反応
して化合物を形成し、正常なスパッタリングができなく
なるなどの薄膜作製の障害が生じる。そこで、スパッタ
リング装置のような薄膜作製のための装置では、装置内
から空気分子を排除する必要がある。
【0020】このため、スパッタリング装置には、真空
槽が設けられる。真空槽内の圧力を下げると、真空槽内
に配された部材からは、その材料の内部に貯えられた気
体が脱離ガスとして放出される。そこで、真空槽内の真
空度を高く保つために、真空槽内に配される部材は、で
きるだけAl(アルミニウム)などの気体放出速度の速
い材料から形成されることが好ましい。すなわち、この
ような材料の部材から発生する脱離ガスは、真空槽内の
圧力を低下させる初期の段階で大量に放出され、圧力が
安定した後の発生量は少ないため、安定した真空度を保
つことができる。
【0021】一方、本発明において真空槽内に配される
磁界発生機構の材料には、一般的に炭素鋼が用いられ
る。この炭素鋼は気体放出速度が遅い材料であるため、
磁界発生機構からは長期間に渡って残留ガスが放出され
る。
【0022】そこで、装置を覆う真空槽を有する薄膜形
成装置において、磁界発生機構から離脱するガスを透過
させない性質と透磁性の性質とを有する材質からなり、
磁界発生機構を覆うカバーを設けることにより、磁界発
生機構の磁界を発生させる性能に影響を与えずに、磁界
発生機構から脱離する脱離ガスが真空槽に放出される量
を低減し、真空槽内の真空度を高く保つことができる。
これにより、スパッタリングされた原子が基板に到達す
る割合を高く保ち、薄膜形成速度を高く保つことができ
る。さらに、薄膜の中に不純物が入り込むことを防止で
きる。
【0023】すなわち、スパッタリングされた原子は、
基板に到達するまでの間に真空槽内に残留した気体分子
に散乱される。このため、真空槽内の真空度を高く保た
なければ、基板に到達する原子の割合が低下する。一
方、真空槽内に配された磁界発生機構からは脱離ガスが
発生し、真空槽の真空度を低下させる要因となる。さら
には、スパッタリングされた原子と脱離ガスが結合し、
基板上に形成される薄膜に悪影響を及ぼす要因となる。
そこで、この脱離ガスが真空槽に放出する量を低減する
ことにより、基板に到達する原子の割合を高く保つこと
ができる。さらには、目的とする薄膜を得ることができ
る。
【0024】本発明による薄膜形成方法は、イオン化さ
せたスパッタガスによりターゲットをスパッタリングす
る工程と、ターゲットをスパッタリングすることによっ
て放出した原子を基板に付着させることにより薄膜を形
成する工程とを有する薄膜形成方法において、ターゲッ
トと基板との間に、基板の薄膜が形成される面に平行に
発生させた磁界によって、ターゲットがスパッタリング
される際に放出する二次電子を基板に到達しないように
軌道修正する工程を有することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の特徴を最も良く
表すマグネトロンスパッタリング法を用いた薄膜形成装
置の要部概略図である。図2はこの薄膜形成装置のA−
A’断面を基板ホルダー15の側から見た断面図であ
る。
【0026】図中、薄膜形成装置には真空槽1によって
反応室が形成されている。真空槽1の内部にはカソード
電極7と、カソード電極7に対向する位置に基板14を
保持する基板ホルダー15と、成膜のON/OFF制御を
し、また放電の際にアーク(異常放電)から基板14を
守る役割を担うシャッター板12とが配置されている。
カソード電極7の中には磁石24が、表面にはターゲッ
ト8が取り付けられている。この磁石24は、カソード
電極7が形成する電界に直交する磁力線22を有する磁
界を、ターゲット8の近傍に発生している。これらター
ゲット8とカソード電極7と磁石24とが、マグネトロ
ンスパッタリング法における原子放出機構25の構成要
素となっている。この原子放出機構25の近傍にはマグ
ネトロン放電によりプラズマ23が形成されている。
【0027】真空槽1には、その内部を排気するための
排気手段2と、その内部に各種のガスを導入するガス導
入手段9と、シャッター板12を駆動するためのシャッ
ター駆動手段13とが取り付けられている。
【0028】カソード電極7には、放電インピーダンス
を整合するためのマッチングボックス3を介して高周波
電源4と、高周波成分をカットするローパスフィルター
5を介して直流電源6とが接続されている。
【0029】ガス導入手段9は、イオン化され、ターゲ
ットに衝突してスパッタリング現象を起こすスパッタガ
スの重量流量を制御するマスフローコントローラ10
と、薄膜を形成する化合物を生成するためにスパッタ原
子と反応する反応ガスの重量流量を制御するマスフロー
コントローラ11とを有している。
【0030】ターゲット8と基板14との間には、二つ
の磁極板(永久磁石)16,18が向かい合わせに、図
1の紙面に垂直に配置されている。この2つの磁極板1
6、18が磁界発生機構であり、両者の間に基板14の
薄膜が形成される面に平行な磁界を発生させている。さ
らに、磁極板16,18には、透磁性の性質と、磁極板
から発生した脱離ガスを透過させない性質とを有する材
質からなる磁極板カバー17,19が設けられている。
【0031】カソード電極7の内部には、ターゲット8
を冷却するための冷却配管20が配されている。この冷
却配管20へ冷却水供給装置21から冷却水が供給され
ている。
【0032】次に、本実施形態において磁極板16、1
8および磁極板カバー17、19が本発明の特徴である
効果を達成することについて説明する。
【0033】通常、二次電子は、ターゲット8表面に形
成される磁界により、プラズマ23の中に閉じ込められ
ている。しかしながら、磁力線22がターゲット8に対
し勾配を持つ領域で、磁界に捕捉されていた二次電子が
磁界から解放され、ターゲット8の近傍から飛び出す。
ターゲット8の近傍から飛び出した二次電子は、基板に
向かって飛ぶ。基板上に膜が形成されている過程で、こ
の二次電子が膜に飛び込むと膜に悪影響を及ぼす。
【0034】そこで、磁極板16,18により、基板1
4の真上に、基板14の薄膜が形成される面に平行な磁
界が形成される。ターゲット8より飛んできた二次電子
をこの磁界によって捕捉することにより二次電子が膜に
飛び込むことを防止することができる。すなわち、ター
ゲット8より飛んできた二次電子は磁界によって軌道修
正される。この際、二次電子はサイクロイド曲線状の軌
跡を描いて真空槽1の磁極板16,18の磁界方向に向
かって移動し、基板14には到達しない。
【0035】このように、磁極板16,18を設けるこ
とにより、基板上に形成される膜に二次電子を曝すこと
を防ぐことができる。これにより、二次電子が膜に飛び
込むことによる悪影響を低減し、均質でかつ緻密な薄膜
を形成することができる。
【0036】ここで、この磁極板16,18は真空槽1
の中に磁界を発生させるために真空槽1の中に配されて
いる。この磁極板16,18からは脱離ガスが発生し、
真空槽1内の真空度を低下させる要因となる。さらに、
スパッタリングされた原子が脱離ガスと反応してしま
い、薄膜の純度を低下させる要因となる。
【0037】スパッタリングされた原子は、基板14に
到達するまでの間に真空槽1の中に残留した気体分子に
散乱される。このため、真空槽1内の真空度が高く保た
れなければ、基板14に到達する原子の割合が低下す
る。
【0038】さらに、脱離ガスがスパッタリングされた
原子と反応してしまうことで、薄膜の純度(組成)が低
下する。
【0039】そこで、この磁極板16,18から離脱す
るガスを透過させない性質を有する材質でできた磁極板
カバー17,19を設けることにより、磁極板から脱離
する脱離ガスが真空槽に放出される量を低減し、真空槽
内の真空度を高く保つことができる。さらに、磁極板カ
バー17,19の材質を透磁性の性質を持つ材質とする
ことにより、磁極板16,18の磁界を発生させる性能
に与える影響を小さくすることができる。
【0040】このように、磁極板カバー17,19を設
けることによって、スパッタリングされた原子が基板1
4に到達する割合を高く保つことができる。これによ
り、薄膜形成速度を高く保つことができる。さらに、薄
膜の純度を高く保つことができる。
【0041】次に本装置の構成要素について詳細に説明
する。
【0042】ターゲット8の材料には、基板14に形成
する薄膜が金属薄膜である場合には金属材料が使用さ
れ、薄膜が誘電体薄膜である場合には誘電体材料が使用
される。金属材料としては、アルミニウム(Al),銅
(Cu),チタニウム(Ti)等が使用される。また、
誘電体材料としては、二酸化珪素(SiO2),酸化ア
ルミニウム(Al23),フッ化マグネシウム(MgF
2)等が使用される。
【0043】スパッタガスには、アルゴン(Ar)、酸
素(O2)等が使用される。反応ガスとしては、成膜す
る膜に応じてガス種を変える必要があるが、例えば、酸
素(O2)、窒素(N2)、フッ素(F2)、フッ素を含
むガス(NF3,CF4)等が使用される。
【0044】磁極板16,18の大きさは、真空槽1の
大きさに合わせるのが望ましい。すなわち、二次電子は
散乱されて基板に入射するものもあるので、このような
二次電子も確実に磁極板16,18間で捉えられるよう
に、真空槽1の一横断面の全面を覆う磁界を発生し得る
大きさとすることが望ましい。
【0045】図3(a)に示すように、プラズマ23か
ら生成された二次電子26の大部分は、磁力線22に巻
き付くように存在している。微かな二次電子26が磁力
線22で示した磁界の束縛から開放され、図1の上方か
ら下方に真っ直ぐに形成された電界の方向に沿って基板
14へ向かって進む。図3(b)に示すように、磁極板
16,18をターゲット8の真下の空間に配置すると、
原子放出機構37で発生している磁力線33に悪影響を
与えてしまう。一方、強い磁界を発生させるためには、
磁極板16と磁極板18とは近い方がよい。そこで、磁
極板16,18は放電に影響を与えないよう、ターゲッ
ト8の真下を避けて配置し、磁極板16と磁極板18と
の間の距離はターゲット8の大きさに合わせることが望
ましい。
【0046】ターゲット8と基板14との距離は、基板
14の大きさによるが、スパッタリングされた原子の散
乱を小さくするためには近い方が好ましく、最大でも3
00mm程度である。このターゲット8と基板14との
間に配される磁極板16,18は、磁石24によって形
成される磁界に影響を与えない位置に配置する必要があ
り、かつ、基板14からの高さを10mm以上とするこ
とが好ましい。
【0047】磁極板16,18の磁界強度は、カソード
電極7に与える高周波電源4または直流電源6の出力の
大きさに影響を受けない範囲に設定する必要がある。す
なわち、ターゲット8の近傍から飛び出してくる二次電
子を磁極板16,18の間で発生する磁界によって軌道
修正させる際、二次電子の描く軌道のラーモア半径を二
次電子が基板14に到達しない大きさにするように、磁
界強度を設定する必要がある。
【0048】本実施形態では、二次電子が基板14に到
達しないようにするためには、磁極板16,18の間の
平行な磁界の間に二次電子を捉える必要がある。そこ
で、磁極板16,18の高さが10mm程度の場合、二
次電子のラーモア半径を例えば5mm以下にさせれば二
次電子を捉えることができる。薄膜形成時のターゲット
8の−Vdc[V]が例えば−200Vであるとする。
この時、二次電子は200eVの運動エネルギーを与え
られてターゲット8から基板14に向かって飛び出す。
この運動エネルギーを持った二次電子を磁極板16と磁
極板18との間でラーモア半径を5mm以下とするよう
に運動させるために必要な磁界強度は、6.8×10-2
[Wb/m2](680G)である。したがって、磁極
板間の磁界強度が6.8×10-2[Wb/m2]より低
い場合には、二次電子は、基板14に到達してしまう。
そこで、磁極板間16,18の磁界強度を6.8×10
-2[Wb/m2](680G)以上とすることができる
磁極板16,18を使用する必要がある。
【0049】なお、この磁極板16,18による磁界強
度は、磁石24による磁界に影響を与えないように10
00G程度以下とすることが好ましい。
【0050】さらに、真空槽1の一横断面の全面に渡っ
てこの磁界強度が必要であるため、磁極板16と磁極板
18との間に発生させる磁力線の密度を均一にすること
が望ましい。
【0051】(成膜方法)以下、上述したスパッタリン
グ装置を用いた薄膜形成方法について説明する。まず、
ターゲット8を真空槽1の中のカソード電極7に取り付
け、基板14を基板ホルダー15の上に配置する。
【0052】次に、真空槽1内を排気手段2により排気
し、基板14に形成する薄膜の化学組成や結晶構造など
の特性に応じて基板14を冷却又は加熱する。また、冷
却水供給装置21により、冷却水配管20に冷却水を供
給し、ターゲット8を冷却する。
【0053】次に、ガス導入手段9から真空槽1にスパ
ッタガスと、反応ガスとを供給する。この際、反応室内
の圧力を、0.05〜10Pa、より好ましくは0.1
〜5.0Pa程度に維持した状態とする。
【0054】この状態で、ターゲット8と基板14との
間に、直流電圧または高周波電圧を印加して、ターゲッ
ト8とシャッター板12との間に放電を起こし、プラズ
マ23を生成する。
【0055】成膜を開始する直前に、ターゲット8と基
板14との間を塞がない位置までシャッター板12を移
動する。
【0056】ターゲット8と基板14との間に生成され
たプラズマ23を構成するイオン化したスパッタガスに
より、スパッタリングされたターゲット8の構成原子
と、この原子が反応ガスと反応することによって生成さ
れた反応生成物とは、スパッタリングの際に与えられた
運動エネルギーにより直進し、基板14の表面に達す
る。この際、これらの粒子は、電気的に中性であるた
め、磁極板16,18の間に形成された磁界の影響を受
けずに通過する。基板14の上には、ターゲット8を構
成する原子と前記の反応ガスを構成する原子とを含む膜
が形成される。
【0057】この際、スパッタリングにより発生した二
次電子は、ターゲット8の表面に形成された磁界によ
り、プラズマ23の中に閉じ込められている。しかしな
がら、磁力線22がターゲット8に対し勾配を持つ領域
で、磁界に捕捉されていた二次電子が、磁界から解放さ
れ、ターゲット8の近傍から飛び出す。ターゲット8の
近傍から飛び出した二次電子は、電界によって加速され
ながら基板に向かって飛ぶ。
【0058】ターゲット8の近傍より飛んできた二次電
子は、磁極板16と磁極板18の間で基板14の真上に
形成された磁界により捕捉される。すなわち、磁極板1
6と磁極板18の間に形成された磁界により、基板上に
形成される膜に二次電子を曝すことを防ぐことができ
る。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
薄膜形成時において、スパッタリング時に発生する二次
電子が基板上に形成される膜へ入射する量を低減するこ
とができる。これによって、薄膜への二次電子の入射に
よるダメージを低減し、基板上に均質でかつ緻密な薄膜
を速い成膜速度で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による薄膜形成装置の概略構
成図である。
【図2】本発明の実施形態による薄膜形成装置の断面図
(図1のA−A’面を下方から見た断面図)である。
【図3】磁界による二次電子の運動の説明図であり、
(a)は二次電子が磁力線22に捉えられている状態、
(b)は磁極板16,18が原子放出機構25の磁界に
干渉している状態を示している。
【図4】従来例のマグネトロンスパッタリング装置の原
子放出機構の模式図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 排気手段 3 マッチングボックス 4 高周波電源 5 ローパスフィルター 6 直流電源 7 カソード電極 8 ターゲット 9 ガス導入手段 10 マスフローコントローラー 11 マスフローコントローラー 12 シャッター板 13 シャッター駆動手段 14 基板 15 基板ホルダー 16 磁極板 17 磁極板カバー 18 磁極板 19 磁極板カバー 20 冷却配管 21 冷却水供給装置 22 磁力線 23 プラズマ 24 磁石 25 原子放出機構 26,34 二次電子(γ電子) 30 磁石 31 ターゲット 32 高イオン密度箇所 33 磁力線 35 スパッタ原子 36 カソード電極 37 原子放出機構 38 イオン化されたスパッタガス

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スパッタリング現象により原子を放出す
    る原子放出機構を有し、放出した該原子を基板に付着さ
    せることにより薄膜を形成する薄膜形成装置において、
    前記原子放出機構の原子放出部位と前記基板との間に、
    該基板の薄膜が形成される面に平行な磁界を発生する磁
    界発生機構を有する薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】 前記磁界発生機構が永久磁石からなる磁
    極板である請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】 前記原子放出機構が、スパッタリングの
    ために発生される電界に直交する方向に磁界を発生する
    マグネトロンスパッタリング装置である請求項1または
    2のいずれか1項に記載の薄膜形成装置。
  4. 【請求項4】 装置を覆う真空槽を有する薄膜形成装置
    において、前記磁界発生機構から離脱するガスを透過さ
    せない性質と透磁性の性質とを有する材質からなり、前
    記磁界発生機構を覆うカバーを有する請求項1から3の
    いずれか1項に記載の薄膜形成装置。
  5. 【請求項5】 イオン化させたスパッタガスによりター
    ゲットをスパッタリングする工程と、前記ターゲットを
    スパッタリングすることによって放出した原子を基板に
    付着させることにより薄膜を形成する工程とを有する薄
    膜形成方法において、前記ターゲットと前記基板との間
    に、該基板の薄膜が形成される面に平行に発生させた磁
    界によって、ターゲットがスパッタリングされる際に放
    出する二次電子を該基板に到達しないように軌道修正す
    る工程を有する薄膜形成方法。
  6. 【請求項6】 イオン化させたスパッタガスによりター
    ゲットをスパッタリングし、前記ターゲットをスパッタ
    リングすることによって放出した原子を基板に付着させ
    ることにより薄膜を形成する薄膜形成装置において、前
    記ターゲットと前記基板との間に、該基板の薄膜が形成
    される面に平行に発生させた磁界によって、ターゲット
    がスパッタリングされる際に放出する二次電子を該基板
    に到達しないように軌道修正する薄膜形成装置。
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