JP2004327905A - 薄膜材料の形成方法および形成装置 - Google Patents

薄膜材料の形成方法および形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低温で有毒ガス等を発生させることなく基板上に薄膜材料を形成することができる薄膜材料の形成方法および形成装置を提供することを目的としている。
【解決手段】液体もしくは固体の材料をプラズマ中に挿入し、この材料表面に直流電圧もしくは交流電圧を印加することによってプラズマ中のイオンを照射し、スパッタリング現象により生じた材料粒子および/または材料粒子とプラズマ中のガス原子との反応生成物粒子を基板表面に堆積させる薄膜材料の形成方法において、基板をプラズマの高電子温度部分近傍に配置するとともに、基板近傍に、少なくともプラズマ中の高電子温度の流れが基板に接触しないように、基板の前面を横切る磁界をかけることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜材料の形成方法および形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウムは、既に発光素子として開発されており、実用化されている。発光素子として利用する場合の窒化ガリウム半導体薄膜作成法は既に公知で基板の温度管理が重要であることが指摘されている。
通常、品質のよい薄膜を形成するには、基板温度を300℃以上の高温に保ち、アンモニアなどの有毒ガスを供給することによって、基板表面で化学反応を生じさせることが必要である(特許文献1等参照)。すなわち、高い基板温度は活発な反応と均一な薄膜材料の実現には不可欠な要素と考えられてきた。
【0003】
しかしながら、これまでの製法のように常温に比べて高い温度にて薄膜材料を作成した場合、窒化ガリウムと基板の熱膨張計数の差に起因して、窒化ガリウム薄膜を常温まで降温する過程において多数のクラックが発生し、半導体としての特性が劣化するという問題があった。この問題により、均一で高品質な窒化ガリウム半導体が供給されないため、窒化ガリウム半導体が持つ高速・高熱伝導性半導体電子材料としての利用分野が限られていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−206520号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、低温で有毒ガス等を発生させることなく基板上に薄膜材料を形成することができる薄膜材料の形成方法および形成装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の発明者は、上記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、熱平衡系とは異なるプラズマ状態を利用し、スパッタリング原子・分子の持つ運動エネルギーやプラズマ内に生成される中性励起分子・原子の励起エネルギーを基板表面に窒化ガリウムを堆積させる際に必要となる化学エネルギーの供給源として利用することができれば、基板を常温に保った状態で薄膜を形成することができることに思い至り、本発明を完成するに到った。
【0007】
したがって、本発明の請求項1に記載の薄膜材料の形成方法(以下、「請求項1の形成方法」と記す)は、液体もしくは固体の材料をプラズマ中に挿入し、この材料表面に直流電圧もしくは交流電圧を印加することによってプラズマ中のイオンを照射し、スパッタリング現象により生じた材料粒子および/または材料粒子とプラズマ中のガス原子との反応生成物粒子を基板表面に堆積させる薄膜材料の形成方法において、基板をプラズマの高電子温度部分近傍に配置するとともに、基板近傍に、少なくともプラズマ中の高電子温度の流れが基板に接触しないように、基板の前面を横切る磁界をかけることを特徴としている。
【0008】
本発明の請求項2に記載の薄膜材料の形成方法(以下、「請求項2の形成方法」と記す)は、請求項1の形成方法において、最小径部が基板の外周と略同じ径で材料側に向かって徐々に拡径する孔が、基板正面部分にのみ設けられ、基板と、材料側とを仕切る仕切りを、基板の近傍に配置するとともに、孔を横切るように磁界をかけることを特徴としている。
【0009】
本発明の請求項3に記載の薄膜材料の形成方法(以下、「請求項3の形成方法」と記す)は、請求項1または請求項2の形成方法において、基板温度を、材料の融点以上で材料が0.001Paの平衡蒸気圧となる温度以下に保持するとともに、スパッタリング現象により生じた材料粒子の運動エネルギーおよびプラズマ中で発生した励起原子・分子の励起エネルギーにより材料粒子を基板上で反応させることを特徴としている。
【0010】
本発明の請求項4に記載の薄膜材料の形成方法(以下、「請求項4の形成方法」と記す)は、請求項1〜請求項3のいずれかの形成方法において、スパッタリング現象により生じた材料粒子が、基板に達する前に、プラズマ中を通してプラズマ内電子によって励起されるとともに、この励起状態を保った状態で基板に到達させることを特徴としている。
【0011】
本発明の請求項5に記載の薄膜材料の形成方法(以下、「請求項5の形成方法」と記す)は、請求項1〜請求項4のいずれかの形成方法において、材料が金属ガリウムで、プラズマ中にて電子衝突にて励起される気体の主要部分が窒素であるとともに、基板表面に窒化ガリクムが生成される系であって、プラズマ中で金属ガリウム表面に形成される窒化ガリウム層をスパッタリング可能なガスをプラズマ中に混入することを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項6に記載の薄膜材料の形成装置(以下、「請求項6の形成装置」と記す)は、内部を高真空状態に維持できるとともに、薄膜材料を堆積させる基板が配置される基板収容部と、基板近傍に配置され最小径部が基板の外周と略同じ径をした孔を有し、基板前方に孔が配置される仕切り板によって基板収容部と仕切られプラズマ発生部とを内部に備え、プラズマ発生部が、その内部に放電を維持する放電機構と、放電によって発生したプラズマ内に材料を保持する材料保持手段とを有しているとともに、基板近傍に、少なくともプラズマ中の高電子温度の流れが基板に接触しないように、基板の前面を横切る磁界を発生させる磁界発生手段が設けられていることを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項7に記載の薄膜材料の形成装置(以下、「請求項7の形成装置」と記す)は、請求項6の形成装置において、仕切り板の孔が、プラズマ発生部側に向かって徐々に拡径していることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項8に記載の薄膜材料の形成装置(以下、「請求項8の形成装置」と記す)は、請求項6または請求項7の形成装置において、放電機構の陰極が、基板に対し材料保持部によってブラインドになる位置に設けられていることを特徴としている。
【0015】
本発明の請求項9に記載の薄膜材料の形成装置(以下、「請求項9の形成装置」と記す)は、請求項6〜請求項8のいずれかの形成装置において、容器内にガスを導入する導入経路を複数備えていることを特徴としている。
【0016】
【作用】
請求項1の形成方法によれば、基板の前面を横切る磁界をかけることによって、プラズマ中の高電子温度の流れが基板に接触しないようにされる。すなわち、通常はプラズマを用いると生成した薄膜がプラズマ中に存在するイオンにより衝撃を受けることにより劣化するのであるが、磁界によって基板近傍のプラズマの密度が下げられ、電子密度が小さくなることによって基板に照射されるイオンの量が減少するとともに、密度とともに電子温度も引き下げられ、電子温度の減少に応じて薄膜に到達するイオンのエネルギーが減少することになる。
【0017】
また、請求項2の形成方法によれば、仕切り板によって、プラズマの影響が仕切り板に設けられた孔のみによって基板側にもたらされようにプラズマの流れを遮断する。そして孔が、材料側に向かってその径が徐々に拡径し、テーパ面になっているので、仕切り板の部分がプラズマイオンに照射されてスパッタリングが生じても、生成された粒子がプラズマ側に戻り、基板側に到達しにくい。
【0018】
請求項3の形成方法のようにすれば、材料が、極力蒸散することなく、スパッタリングされる。
【0019】
請求項4の形成方法のようにすれば、スパッタリングされた材料粒子が効率よく励起され、励起された状態で基板表面に到達する。
【0020】
請求項5の形成方法のようにすれば、窒素ガスのプラズマイオンでスパッタリングしにくいプラズマ中で金属ガリウム表面に形成された窒化ガリウムがアルゴンなどの希ガスのプラズマイオンによってスパッタリングされる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1および図2は本発明にかかる薄膜材料形成装置の1つの実施の形態をあらわしている。
【0022】
図1および図2に示すように、この形成装置1は、円筒を立てた形状の容器2の内部に仕切り板3を介して仕切られた基板収容部11と、プラズマ発生部12とを有し、たとえば、薄膜材料としての窒化ガリウム薄膜を形成するのに用いられるようになっている。
基板収容部11は、薄膜材料を堆積させるシリコン等で形成された基板4がその堆積面をプラズマ発生部12側に向けるように収容され、その壁面に内部を高真空状態に減圧できる排気経路13が開口している。
【0023】
仕切り板3は、ステンテス鋼、窒化ホウ素、石英ガラス等によって形成されていて、基板4を臨む部分に、最小径部が基板4と略同じで、プラズマ発生部側に向かって徐々に拡径している孔31が穿設されている。すなわち、孔31の内壁面がテーパになっている。このテーパの角度は、特に限定されないが、30°〜60°が好ましく45°前後がより好ましい。
また、仕切り板3には、基板4に水平方向に基板4の前方を横切る磁界G1を形成する2つの永久磁石M1が埋め込まれている。
【0024】
なお、この仕切り板3はプラズマ密度を減少させるために用いられるもので、1cm程度以上の厚みを有することが望ましい。
プラズマ発生部12は、その周囲に8つの永久磁石M2がその周囲にプラズマ発生部12側に向かってN極とS極とを交互に向けるように放射状に設けられていて、2点鎖線で示すような磁界G2をプラズマ発生部12の内部に形成するようになっている。
【0025】
また、プラズマ発生部12には、材料保持手段5と、放電機構の一方を構成する陰極6とが設けられている。
材料保持手段5は、円盤状をしていて、上面に材料である金属ガリウム7を受ける凹部53を備えた保持部51が後述するプラズマの略中央部に位置するように支柱部52を介してプラズマ発生部12の底12aに支持されている。
【0026】
また、材料保持手段5は、保持部51が保持される液体金属ガリウムと反応しないモリブデンなどの材質で形成されるとともに、保持部51および支柱部52の外面が、プラズマの直接照射を避けるためにアルミナや石英ガラス等で被覆されている。
なお、基板4と保持部上の金属ガリウム7との距離は、短くすることにより、スパッタされたガリウム流れの基板に到達する割合を増大させることができるが、あまり近づけると保持部51と仕切り板3との間でプラズマが挟まれ、ガリウム前面部分のプラズマ密度が減少し、スパッタの絶対量が減少するために、全体としてガリウムの流れが減少することになる。また、プラズマ密度の減少は窒素イオンや混入したガス種の励起原子・分子の流れも減少させるので距離の設定は運転圧力、プラズマの電子温度、密度に応じて決める必要があるが、スパッタ粒子の平均自由行程などから10cm程度が適切な距離となる場合が多い。
【0027】
陰極6は、基板4に対して材料保持部51がブラインドになる位置に設けられていて、放電機構の一方を構成する陽極であるプラズマ発生部12の周壁面との間で放電するようになっている。
さらに、プラズマ発生部12の底12aには、2つの流量調節機能付きのガス導入経路8が開口している。
【0028】
つぎに、この形成装置1を用いた本発明の薄膜材料の形成方法の1つの実施の形態である窒化ガリウム薄膜の形成方法を詳しく説明する。
この窒化ガリウム薄膜の形成方法は、まず、容器2内が0.00001Pa程度になるまで真空ポンプ(図示せず)によって、排気経路13を介して容器内のガスを排気するとともに、十分な焼きだしを行って容器2内の炭素や酸素不純物を除去した後、0.1Pa程度まで一方のガス導入経路8を用いて流量調整しながら窒素ガスを導入する。また、必要に応じて他方のガス導入経路8を介して流量調整しながらアルゴン等の希ガスを導入する。
【0029】
そして、陰極6と、プラズマ発生部12の壁面との間に直流電圧を印加して放電させ、プラズマ発生部12内にプラズマを発生させる。
発生したプラズマは、プラズマ発生部12の周囲を囲むように配置された永久磁石M2によって生じる磁界G2によって磁界G2内に閉じ込められ、材料保持手段5の保持部51によって保持された金属ガリウム7が位置するその中心部に2eV以上の高電子温度の高プラズマ部が形成され、その周囲に2eV未満の低プラズマ部が形成される。なお、プラズマの閉じ込めは、取り付けられた永久磁石M2により効率の改善が可能であるが、必ずしも必須な要素ではない。このような構造においては、プラズマの空間電位は陽極に対して数ボルト正となる。
【0030】
つぎに、直流電源により金属ガリウム7のプラズマ露出部分に負の電圧を加える。すなわち、電圧が100V以上であれば、プラズマからガリウムイオンが照射され、スパッタリングが起こることによってガリウム原子が金属ガリウム表面に対して垂直な方向に生成される。そして、加える電圧を大きくすることにより、生成されるガリウム原子の流れは大きくなるが、材料保持手段5と容器2との間の直接放電が生じると不純物が生成され、基板4を汚染するので、300Vから500V程度が適切である。生成されるガリウム原子の流れは、材料保持手段5の真上に位置した基板4に到達する。
【0031】
一方、プラズマ中においては、励起された窒素原子及び窒素分子が生成され、この一部が基板4に向かい、基板4上でガリウム原子と化学反応を起こして窒化ガリウムを形成する。そして、この際の化学反応に必要なエネルギーは窒素の励起エネルギー、スパッタ生成されたガリウム原子の運動エネルギーおよびプラズマから放出される光子により得られる。さらに、放電中に希ガスを混入する場合、準安定励起状態の原子も基板表面での反応エネルギー供給源となりえる。
また、プラズマ発生部12と基板収容部11との間には、プラズマの流れを遮断する仕切り板8が設けられ、プラズマの影響が仕切り板3に設けられた孔31のみによって基板4側にもたらされる。しかも、仕切り板3に設けられた孔31が、プラズマ発生部12側に向かってその径が徐々に拡径し、テーパ面になっているので、仕切り板3の部分がプラズマイオンに照射されてスパッタリングが生じても、生成された粒子がプラズマ側に戻る。すなわち、この形状により基板4への不純物堆積量を減少させることができる。
【0032】
さらに、仕切り板3に設けられた永久磁石M1によって、孔31を横切る、つまり、基板4の前面を横切る磁界G1が形成されているので、基板4近傍のプラズマの密度が下げられ、密度とともに電子温度も引き下げられる。これは水素の負イオン源などに多用される磁気フィルター構造であり、電子密度が小さくなることによって基板4に照射されるイオンの量が減少する。また、窒化ガリウムのように抵抗率が大きな薄膜を作成する場合、あるいは基板4が絶縁体である場合には、堆積した薄膜材料である窒化ガリウムの表面電位はプラズマの浮遊電位となるので、電子温度の減少に応じて薄膜に到達するイオンのエネルギーが減少することになる。
【0033】
以上のように、上記形成装置1を用いた本発明の形成方法によれば、基板4の前方を横切る磁界G1を設けることによって、基板4に到達するイオンの流れの量を小さく保ち、基板表面の電位が深い負電位にならぬようにしたので、基板4上に生成した窒化ガリウムをプラズマからのイオン照射により損傷することなく成長させることができる。
【0034】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、窒素ガスには予めスパッタリングを助長する希ガスを混ぜて容器内に導入してもよい。上記の実施の形態では、プラズマ中央部が略無磁界の領域となっているが、後述するように特に中央部の無磁界部分の有無が効果に大きな影響を与えるものではない。また、上記の実施の形態では、電子放出陰極を用いた構造となっているが、マイクロ波や高周波(RF)などの交流放電機構を用いても同様の効果を得ることが可能である。
上記の実施の形態では、永久磁石によって磁界を発生するようにしているが、電磁石を用いるようにしても構わない。
【0035】
上記の実施の形態では、薄膜材料が窒化ガリウムであったが、この形成方法によれば、たとえば、酸化亜鉛等も形成することができる。
また、材料保持手段には、保持部に保持された材料の基板との距離を変更可能にする保持部の位置変更機構を設けるようにしても構わない。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0037】
(実施例1)
上記形成装置1を用いて以下のような形成条件で薄膜材料としての窒化ガリウム薄膜を得た。そして、得られた窒化ガリウム薄膜は、亀裂もなく厚みが ミクロンであった。また、得られた窒化ガリウム薄膜をX線回折により調査したところ図3に示すように単一の構造を示した。そして、図示された角度は立方晶系(1,1,1)、若しくは六方晶系(0,0,0,2)に対応しているが、収束イオンビーム顕微鏡により得られた画像から立方晶系を有していると結論付けされる。また、膜厚から逆算した窒化ガリウム粒子の基板正面到達率は1平方センチメートル、1秒当り10の14乗個程度であり、スパッタリング率と形状因子から計算されるガリウム原子粒子束の値とほぼ一致する値であった。
【0038】
〔形成条件〕
容器の内径:16cm
容器の高さ:20cm
仕切り板の厚み:2cm
仕切り板の孔の最小径:5cm
孔のテーパ:45°
基板の材質:シリコン
基板温度:30℃(常温)
基板とガリウムとの距離:10cm
容器内の窒素ガス圧:0.05Pa
容器内のアルゴンガス圧:0.01Pa
ガリウムへの印加電圧:300V
放電電圧:50V
処理時間:5〜6時間
【0039】
なお、窒素ガス圧は、分光器を用いてガリウム表面周囲のプラズマからの発光を観測することにより、ガリウム原子から放出される線スペクトル強度と励起窒素原子・分子の発光は一定圧力(0.05Pa)付近で緩やかな極大値を取ることが判ったので、この極大値付近に設定した。
【0040】
(実施例2)
窒素ガスとアルゴンガスとの混合比を変化させた場合のGa(417nm),Ga(403nm)およびN(391nm)の励起スペクトル強度の変化を分光器を用いて測定し、その結果を図4に示した。
図4から、窒素ガスのみでは、材料保持手段とプラスマ発生部の壁面とが直接放電を発生しない状況で最大の窒化ガリウム層が表面を覆うため、その抵抗率の高さから表面電位をプラズマ浮遊電位程度に落としてしまう。したがって、大きな負電圧をガリウム保持機構に与えても、窒素イオンによるスパッタ減少によって除去することができない。しかし、窒素プラズマ中にアルゴンなどの希ガスを導入すると、希ガスイオンが窒化層をスパッタリングによって除去しガリウム原子の生成を回復することができることがわかる。すなわち、窒素ガスとアルゴンガスとを混合して用いるが有用であり、好適な成膜条件を実現できることがわかる。
【0041】
【発明の効果】
本発明にかかる薄膜材料の形成方法は、以上のように構成されているので、常温で薄膜材料を形成できる。したがって、温度膨張、収縮に起因するクラックの発生のない良好な窒化ガリウム薄膜の形成が行える。特に下地の材料を選ばないので、様々な基板の上に、所謂バッファ層を形成することなく、窒化ガリウム等の薄膜材料層を形成できるので、窒化ガリウム半導体素子等の製造行程が大幅に簡略化され、多彩な用途への応用が可能となる効果がある。また、プラズマを利用できるので、特に有毒なガス、危険なガスの使用が不必要となるため、安全上においても好ましい技術が実現できる。プラズマ内部の電位分布を適切に制御できるので劣化の少ない薄膜生成を可能とする
【0042】
また、請求項2の形成方法によれば、仕切り板によって、プラズマの影響が仕切り板に設けられた孔のみによって基板側にもたらされようにプラズマの流れを遮断する。そして孔が、材料側に向かってその径が徐々に拡径し、テーパ面になっているので、仕切り板の部分がプラズマイオンに照射されてスパッタリングが生じても、生成された不純物粒子がプラズマ側に戻り、基板側に到達しにくい。
したがって、基板上に薄膜材料の純度を向上させることができる。
【0043】
請求項3の形成方法のようにすれば、材料が、極力蒸散することなく、スパッタリングされる。したがって、材料効率よく薄膜材料を得ることができる。
請求項4の形成方法のようにすれば、スパッタリングされた材料粒子が効率よく励起され、励起された状態で基板表面に到達する。したがって、化学反応に必要なエネルギーを材料粒子から効率よく得ることができる。
【0044】
請求項5の形成方法のようにすれば、窒素ガスのプラズマイオンでスパッタリングしにくいプラズマ中で金属ガリウム表面に形成された窒化ガリウムがアルゴンなどの希ガスのプラズマイオンによってスパッタリングされる。したがって、新しい金属ガリウムが表面に露出し、ガリウム原子が基板側へ効率よく供給される。
【0045】
本発明にかかる薄膜材料の形成装置は、以上のように構成されているので、上記本発明の形成方法を効率よく実施できる。
特に、請求項8の形成装置のようにすれば、陰極からの蒸散物が基板に付着せぬような隠し板としての役割を果たし、薄膜形成にとって悪影響を及ぼす直接的な陰極材付着を防ぐことができる。すなわち、陰極が、たとえば、熱電子放出型の陰極で、陰極材料の蒸散を伴うものである場合、発生した陰極材蒸気が直接陰極から基板に到達する場合もありえる。
【0046】
また、請求項9の形成装置のようにすれば、請求項5のように複数のガスを容器内に導入する場合に便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる薄膜材料形成装置の1つの実施の形態を概略的にあらわす説明図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】実施例1で得た窒化ガリウム薄膜のX線回折データである。
【図4】アルゴン濃度とガリウム原子生成量の変化を調べた分光機によるガリウム線スペクトルデータである。
【符号の説明】
1 形成装置
11 基板収容部
12 プラズマ発生部
2 容器
3 仕切り板
31 孔
4 基板
5 材料保持手段
6 陰極
7 金属ガリウム
8 ガス導入経路
M1,M2 永久磁石(磁界発生手段)
G1,G2 磁界

Claims (9)

  1. 液体もしくは固体の材料をプラズマ中に挿入し、この材料表面に直流電圧もしくは交流電圧を印加することによってプラズマ中のイオンを照射し、スパッタリング現象により生じた材料粒子および/または材料粒子とプラズマ中のガス原子との反応生成物粒子を基板表面に堆積させる薄膜材料の形成方法において、
    基板をプラズマの高電子温度部分近傍に配置するとともに、基板近傍に、少なくともプラズマ中の高電子温度の流れが基板に接触しないように、基板の前面を横切る磁界をかけることを特徴とする薄膜材料の形成方法。
  2. 最小径部が基板の外周と略同じ径で材料側に向かって徐々に拡径する孔が、基板正面部分にのみ設けられ、基板と、材料側とを仕切る仕切りを、基板の近傍に配置するとともに、孔を横切るように磁界をかける請求項1に記載の薄膜材料の形成方法。
  3. 基板温度を、材料の融点以上で材料が0.001Paの平衡蒸気圧となる温度以下に保持するとともに、スパッタリング現象により生じた材料粒子の運動エネルギーおよびプラズマ中で発生した励起原子・分子の励起エネルギーにより材料粒子を基板上で反応させる請求項1または請求項2に記載の薄膜材料の形成方法。
  4. スパッタリング現象により生じた材料粒子が、基板に達する前に、プラズマ中を通してプラズマ内電子によって励起されるとともに、この励起状態を保った状態で基板に到達させる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の薄膜材料の形成方法。
  5. 材料が金属ガリウムで、プラズマ中にて電子衝突にて励起される気体の主要部分が窒素であるとともに、基板表面に窒化ガリクムが生成される系であって、プラズマ中で金属ガリウム表面に形成される窒化ガリウム層をスパッタリング可能なガスをプラズマ中に混入する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の薄膜材料の形成方法。
  6. 内部を高真空状態に維持できるとともに、薄膜材料を堆積させる基板が配置される基板収容部と、基板近傍に配置され最小径部が基板の外周とほぼ同じ径をした孔を有し、基板前方に孔が配置される仕切り板によって基板収容部と仕切られプラズマ発生部とを内部に備え、
    プラズマ発生部が、その内部に放電を維持する放電機構と、放電によって発生したプラズマ内に材料を保持する材料保持手段とを有しているとともに、
    基板近傍に、少なくともプラズマ中の高電子温度の流れが基板に接触しないように、基板の前面を横切る磁界を発生させる磁界発生手段が設けられていることを特徴とする薄膜材料の形成装置。
  7. 仕切り板の孔が、プラズマ発生部側に向かって徐々に拡径している請求項6に記載の薄膜材料の形成装置。
  8. 放電機構の陰極が、基板に対し材料保持部によってブラインドになる位置に設けられている請求項6または請求項7に記載の薄膜材料の形成装置。
  9. 容器内にガスを導入する導入経路を複数備えている請求項6〜請求項8のいずれかに記載の薄膜材料の形成装置。
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