JP2000304085A - 空気圧式能動型防振装置 - Google Patents

空気圧式能動型防振装置

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JP2000304085A JP11112902A JP11290299A JP2000304085A JP 2000304085 A JP2000304085 A JP 2000304085A JP 11112902 A JP11112902 A JP 11112902A JP 11290299 A JP11290299 A JP 11290299A JP 2000304085 A JP2000304085 A JP 2000304085A
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    • F16F13/00Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs
    • F16F13/04Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper
    • F16F13/26Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper characterised by adjusting or regulating devices responsive to exterior conditions
    • F16F13/264Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper characterised by adjusting or regulating devices responsive to exterior conditions comprising means for acting dynamically on the walls bounding a working chamber

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作用空気室に空気圧変動を及ぼすことによっ
て加振力を生ぜしめて、能動的な防振効果を発揮するよ
うにした空気圧式能動型防振装置において、発生加振力
を簡単な構造で調節可能とすることにより、作用空気室
に及ぼされる空気圧の変化や、防振すべき振動の大きさ
の変化などがあった場合にも、目的とする防振効果が安
定して発揮されるようにすること。 【解決手段】 空気圧変動が生ぜしめられて、第一の取
付部材13と第二の取付部材15の間に加振力を及ぼす
作用空気室63,53の容積を、該作用空気室63,5
3に及ぼされる空気圧の変化や、防振すべき振動の大き
さの変化等に対応して、調節可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、防振連結される部材間に介装さ
れて、それら両部材間における振動の伝達を能動的に低
減し得る能動型防振装置に係り、特に、空気圧変動を利
用して、防振連結される部材間に加振力を生ぜしめるよ
うにした空気圧加振式の能動型防振装置に関するもので
ある。
【0002】
【背景技術】振動伝達系を構成する部材間に介装される
防振連結体や防振支持体等としての防振装置の一種とし
て、互いに防振連結される部材に取り付けられる第一の
取付部材と第二の取付部材を離間配置せしめて、本体ゴ
ム弾性体で連結する一方、それら第一の取付部材と第二
の取付部材の間に加振力を及ぼす加振力発生手段を設け
て防振特性を調節するようにした能動型防振装置が、知
られている。例えば、特開昭60−8540号公報や特
開昭61−2939号公報、実開昭61−191543
号公報等に記載の防振装置が、それである。このような
能動型防振装置は、例えば、防振連結される部材に対し
て、防振すべき振動に対応した加振力を及ぼすことによ
り、振動を相殺的に抑制したり、或いは防振装置のばね
特性を入力振動に応じて積極的に変更して防振性能の向
上を図ること等が出来るのであり、例えば、自動車用エ
ンジンマウントやボデーマウント等への適用が考えられ
ている。
【0003】また、内部の圧力変化によって第一の取付
部材と第二の取付部材の間に加振力を及ぼす作用空気室
を設け、かかる作用空気室を、駆動用切換弁を介して、
負圧源と大気に交互に切換接続することにより、第一の
取付部材と第二の取付部材の間に対して、駆動用切換弁
の切換周期に対応した周波数の加振力を生ぜしめるよう
にした空気圧式の能動型防振装置も、考えられている。
このような空気圧式の加振機構を採用すれば、電磁駆動
機構等の重くて構造が複雑な部材を防振装置の内部に組
み込む必要がなく、部品点数が減少され得て、防振装置
の小型,軽量化が可能となると共に、消費電力の如き必
要エネルギの減少も図られ得るのである。
【0004】ところで、かくの如き空気圧式の加振機構
を用いた能動型防振装置では、防振すべき振動に対して
有効な防振効果を得るために、防振すべき振動の周波数
等に対応することは勿論、防振すべき振動の大きさにも
対応した加振力を発生させることが必要となる。
【0005】そこで、例えば、防振対象における防振す
べき振動の周波数や大きさ等を、それぞれ、加速度セン
サ等で検出し、或いは予め設定されたマップデータ等に
基づいて推定することによって求め、目的とする周波数
等の加振力が得られるように駆動用切換弁等を制御する
と共に、目的とする大きさの加振力が得られるように、
作用空気室に及ぼされる負圧の大きさを制御することが
考えられる。ところが、自動車用の防振装置の如く、内
燃機関における吸気系等を負圧源として利用する場合に
は、負圧源自体における負圧の大きさを制御することが
難しいために、防振すべき振動に対応した大きさの加振
力を得ることが困難であるという問題があり、防振すべ
き振動の大きさと加振力の大きさの対応が十分でない
と、有効な防振効果が得られないばかりか、防振対象に
おける振動が悪化してしまうおそれもあったのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、発生加振力を、簡単な構造で容易に調節す
ることが出来、例えば、作用空気室に接続された空気圧
源における空気圧の変化や、防振すべき振動の大きさの
変化などに対応して、安定した防振効果を発揮すること
を可能とする、新規な構造の空気圧式能動型防振装置を
提供することにある。
【0007】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様は、任意の組み合わせで採用可能である。また、本
発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限
定されることなく、明細書全体および図面に記載され、
或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る
発明思想に基づいて認識されるものであることが理解さ
れるべきである。
【0008】本発明の第一の態様は、互いに防振連結さ
れる部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付
部材を離間配置せしめて本体ゴム弾性体で連結する一
方、内部の圧力変化によってそれら第一の取付部材と第
二の取付部材の間に加振力を及ぼす作用空気室を設けた
空気圧式能動型防振装置において、前記作用空気室の容
積を変更するための容積調節手段を設けたことを、特徴
とする。
【0009】このような第一の態様に従う構造とされた
能動型防振装置においては、作用空気室の容積を変更す
ることによって、発生加振力を調節することが出来る。
即ち、作用空気室の容積を大きくすると、所定周期の空
気圧変動が作用空気室に及ぼされた際の該作用空気室内
の空気圧変動幅を実質的に小さくすることが出来るので
あり、それによって、第一の取付部材と第二の取付部材
の間に及ぼされる加振力を低減することが出来る。一
方、作用空気室の容積を小さくすると、所定周期の空気
圧変動が作用空気室に及ぼされた際の該作用空気室内の
空気圧変動幅を実質的に大きくすることが出来るのであ
り、それによって、第一の取付部材と第二の取付部材の
間に及ぼされる加振力を増大することが出来る。要する
に、空気圧源における空気圧が同じであっても、作用空
気室の容積を変更することによって、発生加振力を調節
することが出来るのであり、或いは、空気圧源における
空気圧が変動した場合であっても、作用空気室の容積を
変更することによって、発生加振力を維持乃至は調節す
ることが出来るのである。
【0010】なお、作用空気室の容積は、用いられる空
気圧源の特性や、要求される防振特性乃至は発生加振力
等に応じて、その大きさや変更態様等が適宜に決定され
るものであって、限定されるものでない。例えば、2つ
以上に分割形成された作用空気室をバルブ等を用いて必
要に応じて連通させることにより、作用空気室の容積
を、連通される分割作用空気室の数に応じて、段階的に
または2値的に切換変更したり、或いは、作用空気室の
壁部の一部を変位可能な可動壁とし、該可動壁を変位さ
せて作用空気室の容積を、段階的乃至は2値的に、また
は連続的無段階に変更したりすること等が可能である。
また、作用空気室に及ぼす圧力変化としては、大気圧に
対して負圧側と正圧側の何れか一方の側だけでの圧力変
化を採用する他、大気圧を挟んで負圧側と正圧側の両側
での圧力変化を採用することも可能であり、特に好適に
は、作用空気室を、切換バルブ等を用いて負圧源と大気
中とに交互に接続させることにより、作用空気室に負圧
と大気圧を交互に及ぼすようにされる。
【0011】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に従う構造とされた空気圧式能動型防振装置におい
て、前記容積調節手段が、外部から入力される制御信号
に基づいて前記作用空気室の容積を変更するアクチュエ
ータを有することを、特徴とする。このような第二の態
様においては、適当な制御信号を採用することによっ
て、作用空気室の容積を自動的に調節することが可能と
なり、特に、かかる制御信号として、防振すべき振動の
大きさや作用空気室に及ぼされる空気圧の大きさ、或い
はそれらの両方に対応した信号を採用することにより、
有効な防振効果が安定して発揮されるように、発生加振
力を自動的に調節することも可能となる。
【0012】なお、外部から入力される制御信号として
は、上述のように、防振すべき振動の大きさや作用空気
室に及ぼされる空気圧の大きさ、或いはそれらの両方に
対応した信号等が好適に採用され得、電気的信号の他、
空気圧や油圧等の圧力信号等も採用可能である。また、
アクチュエータとしては、容積調節手段の具体的構造等
に応じて各種のものが採用され得、例えば、モータやソ
レノイド等の電動式や電磁式の他、シリンダ機構等の空
気圧式や油圧式の如き公知の各種のアクチュエータが採
用可能である。そして、具体的には、そのようなアクチ
ュエータを用いて、例えば、前述の如く、2つ以上の分
割作用空気室を採用する場合には、それら分割作用空気
室を連通/遮断するバルブ手段を切換作動させたり、或
いは、前述の如く、作用空気室の壁部の一部を構成する
可動壁を変位駆動させたりすることによって、作用空気
室の容積を調節することが出来る。
【0013】また、本発明の第三の態様は、前記第二の
態様に従う構造とされた空気圧式能動型防振装置におい
て、前記アクチュエータが、前記作用空気室に及ぼされ
る空気圧の大きさを前記制御信号として、該空気圧の大
きさに応じて該作用空気室の容積を変更する空気圧作動
機構であることを、特徴とする。このような本態様にお
いては、作用空気室に及ぼされる空気圧を制御信号とし
て採用することにより、特別な制御信号の検出および伝
達手段を用いる必要がなくなって、制御系の簡略化が有
利に達成され得るのであり、例えば、防振すべき振動の
大きさが、空気圧源から作用空気室に及ぼされる空気圧
の大きさに略対応して変化する場合等に、特に有効であ
る。
【0014】なお、かかる第三の態様における空気圧作
動機構としては、例えば、作用空気室に負圧力変化を及
ぼしてマス部材を加振するに際して、作用空気室の壁部
の一部を変位可能な可動壁とすると共に、該可動壁を作
用空気室側に向かって付勢する付勢手段を設ける一方、
該可動壁を挟んで該作用空気室と反対側に、作用空気室
に及ぼされる負圧力が作用せしめられる駆動用空気室を
形成した構成が、好適に採用され得る。このような構成
の空気圧作動機構においては、可動壁の位置、換言すれ
ば作用空気室の容積が、可動壁に及ぼされる付勢手段に
よる付勢力と駆動用空気室の負圧力との釣り合いによっ
て決定されることから、作用空気室に及ぼされる負圧力
の大きさに応じて、可動壁の位置が変化し、作用空気室
の容積が変更されることとなる。即ち、作用空気室に及
ぼされる負圧が大きくなる程、可動壁が吸引側(作用空
気室と反対側)に移動せしめられて、作用空気室の容積
が増大せしめられるのである。また、その際、作用空気
室に及ぼされる負圧力が大きくなった場合に、マス部材
を加振するための負圧力の変化範囲内では、作用空気室
の容積が略一定に保たれるように、負圧力の大きさに対
する付勢手段の付勢力の大きさを調節し、可動壁が吸引
位置に吸引保持され得るようにすることが望ましい。
【0015】また、本発明の第四の態様は、前記第一乃
至第三の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動
型防振装置において、前記容積調節手段が、前記作用空
気室の容積を、防振すべき振動と相関性を有する信号に
同期して変更することを、特徴とする。このような本態
様においては、防振すべき振動の大きさに対応して作用
空気室の容積が変更されることにより、防振すべき振動
が小さい場合には作用空気室の容積を大きくすると共
に、防振すべき振動が大きい場合には作用空気室の容積
を小さくして、有効な防振効果を得ることが出来る。な
お、防振すべき振動と相関性を有する信号としては、例
えば、自動車用のエンジンマウントの如き防振装置にお
いては、エンジンの回転数信号や加速信号,車速の速度
信号や加速信号,アクセル開度信号,ブレーキ信号,シ
フトポジション信号等が挙げられるが、限定されるもの
でない。また、より具体的には、例えば、自動車の内燃
機関において、混合した燃料と空気を燃焼室に供給して
燃焼させるストイキ運転と、燃焼室で圧縮された空気中
に燃料を直噴する直噴運転を切り換えて採用するような
場合には、負圧源としてのエンジンのインテーク側の負
圧が小さくなる(大気圧に近くなる)直噴運転状態ほど
防振すべき振動が大きくなるが、ストイキ運転状態と直
噴運転状態の切換信号を、防振すべき振動と相関性のあ
る信号として採用し、ストイキ運転時に作用空気室の容
積を大きくすると共に、直噴運転時に作用空気室の容積
を小さくするように、作用空気室の容積を変更すること
によって、目的とする防振効果を有効に得ることが可能
となる。
【0016】また、本発明の第五の態様は、前記第一乃
至第四の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動
型防振装置において、前記作用空気室が、空気圧変化に
よって前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の間に
加振力を及ぼす加振用空気室と、該加振用空気室に対し
て空気連通路によって接続された容積可変の調節用空気
室とによって構成されていることを、特徴とする。この
ような本態様においては、加振用空気室によるマス部材
に対する加振力作用の機能と、調節用空気室による容積
可変の機能とを、分けて設定することが出来る。また、
調節用空気室を、加振用空気室から実質的に独立して形
成することが可能となることから、防振装置の装着スペ
ース等に対応し易い。
【0017】また、本発明の第六の態様は、前記第五の
態様に従う構造とされた空気圧式能動型防振装置におい
て、前記調節用空気室が、前記加振用空気室に空気圧変
動を及ぼす空気圧通路上に接続されて設けられているこ
とを、特徴とする。このような本態様においては、調節
用空気室を、取付部材やマス部材を有する防振装置本体
とは別体で形成することが可能となり、該調節用空気室
を、防振装置本体から離れた場所に設置することが出来
ることから、設置スペースの効率化の点で一層有利とな
るのである。
【0018】また、本発明の第七の態様は、前記第六の
態様に従う構造とされた空気圧式能動型防振装置におい
て、前記調節用空気室が、空気圧波動に対する共鳴減衰
作用を有する共鳴管体によって構成されていることを、
特徴とする。このような本態様においては、調節用空気
室を利用して、加振用の変動空気圧に含まれる不要な高
周波成分や高調波成分などを、共鳴減衰作用によって低
減することが出来るのであり、防振装置の加振制御精度
の向上と、それによる防振効果の向上が実現可能とな
る。
【0019】また、本発明の第八の態様は、前記第一乃
至第七の何れかの態様に従う構造とされた防振装置にお
いて、前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の間
に、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧
縮性流体が封入された流体室を形成すると共に、該流体
室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材を
挟んで該流体室と反対側に前記作用空気室を設けること
により、該作用空気室の圧力変化によって、該流体室の
圧力変化を介して、前記第一の取付部材と前記第二の取
付部材の間に加振力を及ぼすようにしたことを、特徴と
する。このような本態様においては、作用空気室におけ
る圧力変化が、流体室の圧力変化を介して、第一の取付
部材と第二の取付部材の間に加振力として及ぼされる
際、流体室に生ぜしめられる流体の共振作用などの流動
作用を利用して、より優れた防振効果を得ることも可能
である。
【0020】また、本発明の第九の態様は、前記第一乃
至第八の何れかの態様に従う構造とされた防振装置にお
いて、壁部の一部が可撓性膜で構成されて内部に非圧縮
性流体が封入された容積可変の平衡室を形成すると共
に、該平衡室を前記流体室に連通するオリフィス通路を
形成したことを、特徴とする。このような本態様におい
ては、自動車のパワーユニット荷重等の初期荷重が装着
状態下で及ぼされる場合に、流体室の圧力変化が、流体
室と平衡室の間での流体移動に基づいて軽減乃至は解消
され得ることから、目的とする防振効果を安定して得る
ことが可能となる。また、オリフィス通路を適当にチュ
ーニングすることにより、オリフィス通路を流動せしめ
られる流体の共振作用等の流動作用に基づいて、受動的
な防振効果を得ることも可能となる。
【0021】〔発明の詳細な説明〕以下、本発明を更に
具体的に明らかにするために、本発明の実施形態につい
て、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0022】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての能動型防振装置としての自動車用エンジンマウ
ント11と、その駆動系が概略的に示されている。この
エンジンマウント11は、第一の取付部材としての第一
の取付金具13と第二の取付部材としての第二の取付金
具15が、本体ゴム弾性体17によって互いに弾性的に
連結されており、負圧源19から及ぼされる負圧と、大
気中から及ぼされる大気圧とによって、それら第一の取
付金具13と第二の取付金具15に対して加振力が及ぼ
されるようになっている。そして、パワーユニットとボ
デーの間に装着された状態下、第一の取付金具13と第
二の取付金具15の間に及ぼされる加振力に基づいて、
防振すべき振動に対して相殺的な防振効果を発揮し、或
いは低動ばね効果を発揮することによって、ボデーにお
ける防振すべき振動に対して能動的な防振効果を得るこ
とが出来るようになっている。なお、装着状態下では、
第一の取付金具13と第二の取付金具15の間にパワー
ユニット荷重による静的な初期荷重が及ぼされることに
より、本体ゴム弾性体17が弾性変形して、それら第一
の取付金具13と第二の取付金具15が互いに接近方向
に所定量だけ変位せしめられると共に、略同じ方向に、
防振すべき主たる振動が入力されることとなる。なお、
以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上
下方向をいう。
【0023】より詳細には、第一の取付金具13は、そ
れぞれ略有底円筒形状を有する上金具21と下金具23
が、各開口側で互いに軸方向に重ね合わされることによ
り、中空構造をもって形成されている。なお、上下金具
21,23の各開口部には、径方向外方に広がるフラン
ジ状部が一体形成されており、それらのフランジ状部が
互いに重ね合わされてボルト連結されることにより、上
下金具21,23が相互に固着されている。なお、上金
具21の底壁部には、上方に突出する取付ボルト25が
突設されており、この取付ボルト25によって、第一の
取付金具13が、図示しないパワーユニットに取り付け
られるようになっている。
【0024】また、第一の取付金具13の内部空間に
は、可撓性膜としてのゴム弾性膜27が収容配置されて
おり、外周縁部を上下金具21,22間で流体密に挟持
されることによって、第一の取付金具13の中空内部
が、ゴム弾性膜27を挟んで、上金具21側と下金具2
3側に流体密に仕切られている。このゴム弾性膜27
は、変形容易な可撓性膜の略円板形状乃至は浅底の有底
円筒形状を有しており、該ゴム弾性膜27と下金具23
の間には、非圧縮性流体が封入されてゴム弾性膜27の
変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室29
が形成されていると共に、ゴム弾性膜27と上金具21
の間には、外部空間に連通されてゴム弾性膜27の変形
を許容する空気室31が形成されている。なお、封入流
体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレ
ングリコール,シリコーン油等がいずれも採用可能であ
るが、流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るた
めには、0.1Pa・s以下の粘度を有する低粘性流体
が望ましい。
【0025】さらに、第一の取付金具13を構成する下
金具23の底壁部には、円板形状の通路形成金具33が
重ね合わされてボルト固定されている。そして、これら
下金具23と通路形成金具33の重ね合わせ面間におい
て、周方向に一周弱の長さで延びるオリフィス通路35
が形成されており、このオリフィス通路35の一方の端
部が、平衡室29に連通されていると共に、他方の端部
が、下金具23の底壁下面に開口せしめられている。
【0026】また一方、第二の取付金具15は、底金具
37と、支持金具39と、連結金具41が、互いに軸方
向に同一軸上で重ね合わされて相互にボルト固定される
ことによって形成されている。底金具37は、厚肉の有
底円筒形状を有しており、中央部分において上方に向か
って開口する凹所を備えている。また、かかる底金具3
7の凹所の開口部には、厚肉の円板形状を有する蓋金具
45が圧入固定されており、この蓋金具45によって凹
所の開口部が覆蓋されて、底金具37内に密閉された内
部空所43が形成されている。
【0027】また、この内部空所43には、所定厚さの
円板形状を有する仕切ゴム板47が収容配置されてお
り、該仕切ゴム板47の外周縁部に一体形成された厚肉
環状の固定リング部49が、底金具37と蓋金具45の
間で挟圧保持されることによって、かかる仕切ゴム板4
7が、内部空所43内において、軸直角方向に広がって
配設されている。そして、この仕切ゴム板47によっ
て、内部空所43が、底金具37側と蓋金具45側とに
流体密に二分されていると共に、仕切ゴム板47が、弾
性変形に基づいて、それら底金具37側と蓋金具45側
とに変位可能とされている。
【0028】さらに、内部空所43には、仕切ゴム板4
7で仕切られることにより、仕切ゴム板47を挟んで、
底金具37側には、仕切ゴム板47に変位力を及ぼすア
クチュエータを構成する切換用空気室51が形成されて
いる一方、蓋金具45側には、仕切ゴム板47の位置に
応じて所定の容積が設定される調節用空気室53が形成
されている。なお、切換用空気室51には、底金具37
の底壁部と仕切ゴム板47の対向面間に、コイルスプリ
ング55が配設されており、このコイルスプリング55
の付勢力によって、常時、仕切ゴム板47が、底金具3
7の底壁部から離間する方向に付勢されて、蓋金具45
の下面に押し付けられている。また、仕切ゴム板47
は、コイルスプリング55の付勢力が、局部的でなく全
体的に及ぼされて、局部的乃至は不規則な変形が防止さ
れ得る程度の全体ばね剛性を有するように、材質や肉厚
寸法等が設定されている。
【0029】また、前記支持金具39は、厚肉の円環板
形状を有しており、中心軸上に貫設された中央孔57の
内部中央には、円板形状の加振部材としての加振板59
が、軸直角方向に広がって配設されている。また、この
加振板59の外径寸法が、中央孔57の内径寸法よりも
小さくされており、それら加振板59の外周縁部と中央
孔57の内周縁部とが、円環形状の連結ゴム弾性体61
によって弾性的に連結されている。これにより、加振板
59は、連結ゴム弾性体61の弾性変形に基づいて、上
下方向に変位可能に且つ所定位置に復元し得る状態で、
第二の取付金具15によって支持されている。
【0030】更にまた、これら加振板59と連結ゴム弾
性体61によって、支持金具39の中央孔57が流体密
に覆蓋されており、以て、蓋金具45と加振板59の対
向面間には、密閉された加振用空気室63が形成されて
いる。そして、この加振用空気室63は、蓋金具45の
中央部分に貫通形成された空気連通路としての接続孔6
5によって、調節用空気室53に接続されて相互に連通
されている。これにより、これら加振用空気室63と調
節用空気室53によって、協働して、一つの作用空気室
が構成されている。
【0031】さらに、蓋金具45には、接続孔65から
軸直角方向外方に延びる加振用エア給排路67が形成さ
れており、この加振用エア給排路67が、支持金具39
の周壁部を貫通して、該周壁部の外周面に突設されたポ
ート69において開口せしめられている。即ち、かかる
加振用エア給排路67を通じて、加振用空気室63と調
節用空気室53で協働形成された作用空気室に対して、
空気圧変動を及ぼすことが出来るようになっているので
ある。
【0032】また一方、底金具37には、切換用空気室
51から軸直角方向外方に延びる切換用エア給排路71
が形成されており、この切換用エア給排路71が、底金
具37の外周面に突設されたポート73において開口せ
しめられている。即ち、かかる切換用エア給排路71を
通じて、切換用空気室51に対して、空気圧を及ぼすこ
とが出来るようになっているのである。
【0033】また、前記連結金具41は、厚肉の円環形
状を有しており、連結金具41の上面外周縁部に重ね合
わされて固定されている。そして、第一の取付金具13
に対して、第二の取付金具15が軸方向に離間して対向
位置せしめられて、第一の取付金具13を構成する下金
具23の外周面と、第二の取付金具15を構成する連結
金具41の内周面とが、互いに斜め軸方向で離間して対
向位置するテーパ面とされており、これらの対向面間
に、本体ゴム弾性体17が介装されている。
【0034】すなわち、本体ゴム弾性体17は、軸方向
下方に向かって次第に拡開する厚肉のテーパ円筒形状を
有しており、その小径側端面に対して下金具23のテー
パ状外周面が加硫接着されていると共に、その大径側端
面に対して連結金具41のテーパ状内周面が加硫接着さ
れている。要するに、本体ゴム弾性体17は、下金具2
3と連結金具41を備えた一体加硫成形品として形成さ
れている。なお、本体ゴム弾性体17の軸方向中央部分
には、不規則な変形を抑制するための環状の拘束金具7
5が加硫接着されている。
【0035】そして、このようにして第一の取付金具1
3と第二の取付金具15が本体ゴム弾性体17で弾性連
結されることにより、本体ゴム弾性体17の軸方向上側
の開口部が第一の取付金具13で流体密に覆蓋されてい
ると共に、本体ゴム弾性体17の軸方向下側の開口部が
第二の取付金具15で流体密に覆蓋されており、以て、
それら第一の取付金具13と第二の取付金具15の対向
面間に、壁部の一部が本体ゴム弾性体17と加振板59
で構成されて、振動が入力される流体室としての受圧室
77が形成されている。そして、この受圧室77には、
前記平衡室29と同様な非圧縮性流体が封入されている
と共に、該受圧室77が、オリフィス通路35を通じ
て、平衡室29に連通されている。これにより、第一の
取付金具13と第二の取付金具15の間に振動が入力さ
れた際には、受圧室77と平衡室29の間に惹起される
圧力差に基づいてオリフィス通路35を通じての流体流
動が生ぜしめられるようになっており、この流体の共振
作用に基づいて、例えばシェイク等の所定の振動に対し
て有効な防振効果が発揮されるようになっている。ま
た、マウント装着状態下でパワーユニット荷重が及ぼさ
れることにより、本体ゴム弾性体17が弾性変形せしめ
られた際にも、受圧室77から平衡室29へのオリフィ
ス通路35を通じての流体流動に基づいて、受圧室77
の圧力変化が解消されてマウントばね特性の著しい変化
が防止されるようになっている。
【0036】また、このような構造とされたエンジンマ
ウント11には、その装着状態下において、図示されて
いるように、各ポート69,73に空気圧管路79が接
続せしめられ、この空気圧管路79を通じて、加振用空
気室63および調節用空気室53に対して、それぞれ、
所定の空気圧源が接続される。特に、本実施形態では、
空気圧源として、内燃機関の吸気系によって得られる負
圧を利用した負圧源19と、大気との、圧力値が異なる
二つが採用されている。ここにおいて、内燃機関は、特
に、混合気によるストイキ運転と燃料直噴による直噴運
転とを選択的に採用するものが採用されており、ストイ
キ運転状態と直噴運転状態では、負圧源19における負
圧の大きさや防振すべき振動の大きさ等が変化すること
となる。
【0037】さらに、切換用空気室51は、空気圧管路
79を通じて、直接に、負圧源19に接続されている。
また一方、加振用空気室63は、空気圧管路79を通じ
て負圧源19に接続されている共に、加振用空気室63
を負圧源19に接続する空気圧管路79上に切換バルブ
81が配設されており、この切換バルブ81の切換操作
によって、加振用空気室63が、負圧源19と大気中と
に、択一的に切換接続されるようになっている。また、
本実施形態では、切換バルブ81の切換駆動用の電磁ア
クチュエータ83が、リード線85を通じて入力され
る、防振すべき振動に対応した制御信号によって作動せ
しめられるようになっている。なお、防振すべき振動に
対応した制御信号としては、防振すべき振動の周波数や
位相等に対応したものであって、例えば、内燃機関の点
火信号や、防振すべき振動のセンサ等による検出信号な
どが、好適に採用され得る。
【0038】そして、かかるエンジンマウント11は、
内燃機関がストイキ運転状態にある場合には、負圧源1
9の負圧力が大きく(負圧側に絶対値が大きく)なるこ
とから、この負圧源19の負圧力がそのまま及ぼされる
切換用空気室51においては、図2に示されているよう
に、仕切ゴム板47が、コイルスプリング55の付勢力
に抗して底金具37の底壁部側に負圧吸引されて変位せ
しめられ、加振用空気室63に連通された調節用空気室
53が、最も大きな容積で形成されることとなり、その
結果、作用空気室の容積が実質的に最大化されることと
なる。
【0039】また一方、内燃機関が直噴運転状態にある
場合には、負圧源19の負圧力が小さく(絶対値が小さ
くなって、大気圧に近く)なることから、仕切ゴム板4
7に及ぼされる吸引力がコイルスプリング55の付勢力
に打ち勝つことが出来ず、仕切ゴム板47がコイルスプ
リング55の付勢力に基づいて蓋金具45側に押し付け
られた状態に維持される。その結果、調節用空気室53
が実質的に消失されると共に、接続孔65が閉塞される
ことにより、作用空気室が、実質的に加振用空気室63
のみで構成されて、最も小さな容積で形成されることと
なる。
【0040】要するに、本実施形態では、切換用エア給
排路71を通じて切換用空気室51に及ぼされる負圧
力、換言すれば負圧源19の負圧力が、内燃機関の運転
状態に伴って変化することにより、内燃機関の運転状態
に応じて、作用空気室の容積が、調節用空気室53の分
だけ、自動的に、増減されて切り換えられることとな
る。
【0041】そして、いずれの状態下においても、切換
バルブ81の切換作動に基づいて作用空気室(加振用空
気室63、または加振用空気室63および調節用空気室
53)に空気圧変動が及ぼされることにより、受圧室7
7の壁部の一部を構成する加振板59に軸方向の加振力
が及ぼされて、該加振板59が受圧室77の内外方に往
復変位せしめられることにより、受圧室77に対して、
加振板59の変位に対応した分だけの圧力変化が及ぼさ
れることとなる。そして、この受圧室77の圧力変化
が、受圧室77に封入された非圧縮性流体によって、第
一の取付金具13と第二の取付金具15の間に相対的な
加振力として伝達されるようになっているのであり、そ
れ故、かかる加振力をボデーに及ぼすことによって振動
に対する相殺的な防振効果を得ることが出来、或いは、
受圧室77の圧力変化を積極的に低減せしめて動的ばね
特性を低下させることによって積極的な振動絶縁効果を
得ることが出来るのである。なお、そのような相殺的乃
至は積極的な能動的防振効果によって防振すべき振動周
波数は、オリフィス通路35のチューニング周波数より
も十分に高周波数域となるように設定することが望まし
く、それによって、能動的防振効果を、オリフィス通路
35を通じての流体流動による影響を受けることなく、
より有効に発揮させることが出来る。
【0042】ここにおいて、コイルスプリング55によ
って仕切ゴム板47に及ぼされる付勢力は、ストイキ運
転状態下で仕切ゴム板47に及ぼされる負圧源19の負
圧吸引力より小さく、且つ直噴運転状態下で仕切ゴム板
47に及ぼされる負圧源19の負圧吸引力より大きくな
るように設定されている。しかも、切換バルブ81の切
換操作によって加振用空気室63に対して、負圧源19
の負圧と大気圧との間での圧力変動が生ぜしめられた場
合でも、直噴運転状態下で仕切ゴム板47が蓋金具45
側に保持されると共に、ストイキ運転状態下で仕切ゴム
板47が底金具37の底壁部側に保持されるように、コ
イルスプリング55の付勢力と負圧源19の負圧が、仕
切ゴム板47の弾性特性などを考慮して設定されてい
る。
【0043】従って、このような構造とされた本実施形
態のエンジンマウント11においては、自動車の内燃期
間の運転状態に応じて切換用空気室51に及ぼされる負
圧が自動的に変化せしめられて、加振用空気室63と調
節用空気室53からなる作用空気室の容積が自動的に切
り換えられるのであり、それに伴って、かかる作用空気
室に及ぼされる空気圧変動の大きさ(振幅)、ひいては
受圧室77の内圧変動を介して第一の取付金具13と第
二の取付金具15の間に及ぼされる加振力の大きさが変
化せしめられるのである。より具体的には、図1に示さ
れた直噴運転状態では、作用空気室の容積が実質的に加
振用空気室63だけとなり、その結果、切換バルブ81
の切換操作によって作用空気室を負圧源19と大気中と
に交互に接続した場合に、それら負圧源19と大気の各
圧力が効率的に伝達されて、作用空気室に対して、負圧
源19の負圧と大気圧との間で大きな振幅の空気圧変動
が生ぜしめられ、加振板59に対して、負圧源18の負
圧と大気圧との圧力差に基づく加振力が効率的に及ぼさ
れ得る。一方、図2に示されたストイキ運転状態では、
作用空気室の容積が加振用空気室63に調節用空気室5
3を加えた容積となり、その結果、切換バルブ81の切
換操作によって作用空気室を負圧源19と大気中とに交
互に接続した場合に、それら負圧源19と大気の各圧力
の作用空気室への伝達効率が低くなり、作用空気室に生
ぜしめられる空気圧変動の幅が、負圧源19の負圧と大
気圧との圧力差に対して小さくなって、加振板59に対
して及ぼされる、負圧源19の負圧と大気圧との圧力差
に基づく加振力の伝達効率が低下せしめられる。
【0044】それ故、防振すべき自動車の発生振動が小
さくなるストイキ運転状態下では、負圧源19における
発生負圧力が大きく(負圧力の絶対値が大きく)なる
が、作用空気室の容積が大きくされることにより、発生
加振力が小さくされて、必要以上の加振力の発生が回避
され、振動に対して有効な能動的防振効果が発揮される
のである。また一方、防振すべき自動車の発生振動が大
きくなる直噴運転状態下では、負圧源19における発生
負圧力が小さく(大気圧に近く)なるが、作用空気室の
容積が小さくされることにより、発生加振力が効率的に
大きくされて、振動に対して有効な能動的防振効果が発
揮されるのである。そして、その結果、自動車の運転状
況に応じて、防振すべき振動に対して有効な能動的防振
効果が、安定して発揮されることとなるのである。
【0045】因みに、本実施形態に従う構造とされたエ
ンジンマウント11において、実際に発生加振力を測定
したデータを、図3にグラフで示す。図3中、負圧力大
が、ストイキ運転状態を示し、負圧力小が、直噴運転状
態を示す。この測定データを示すグラフからも、負圧力
が大きくなるストイキ運転状態下で、必要以上の加振力
の発生が抑えられていることが、明らかに認められる。
なお、同じエンジンマウント11を用い、切換用エア給
排路71を遮断して、調節用空気室53を、常時、消失
させることによって、作用空気室の容積が常に一定とさ
れた従来構造の能動型エンジンマウントを再現し、この
エンジンマウントについて同様な測定を行った結果を、
比較例として、図3に併せ示す。かかる比較例の測定デ
ータからも、本実施形態のエンジンマウント11が、従
来構造のエンジンマウントに比して、車両の走行状態に
対応して能動的防振効果を有効に且つ安定して発揮し得
ることが、明らかである。
【0046】また、本実施形態のエンジンマウント11
においては、調節用空気室53が、マウント本体の内部
に形成されていることから、エンジンマウント11の取
扱いが容易であると共に、加振用空気室63と調節用空
気室53を接続する接続孔65を十分に短くして、構造
上も単一の作用空気室を形成することが出来るという利
点がある。
【0047】更にまた、本実施形態のエンジンマウント
11においては、仕切ゴム板47が、底金具37の底壁
部と蓋金具45によって位置決めされることから、発生
加振力の安定化が図られ得る。加えて、作用空気室の容
積を小さくした場合には、接続孔65を仕切ゴム板47
で閉塞させるようになっていることから、調節用空気室
53を有利に且つ安定して消失させることが出来、作用
空気室の容積を極めて有利に且つ安定して最小状態に保
持することが出来る。
【0048】なお、本実施形態のエンジンマウント11
においても、加振用空気室63と調節用空気室53を、
単一の作用空気室構造をもって形成することも可能であ
る。なお、その場合には、作用空気室の容積を小さくし
た場合の仕切ゴム板47の位置決め精度を有利に得るた
めに、例えば、蓋金具45に多数の接続孔を十分に大き
な通路断面積をもって形成することにより、仕切ゴム板
47を、該蓋金具45に当接させて位置決めすること等
が有効である。
【0049】また、前記第一の実施形態のエンジンマウ
ント11においては、その本体の内部に調節用空気室5
3が形成されていたが、この調節用空気室53を、マウ
ント本体から独立して形成することも可能である。その
一つの具体例が、第二の実施形態として、図4に示され
ている。なお、本実施形態では、理解を容易するため
に、前記第一の実施形態におけるエンジンマウント11
と同様な構造とされた部材および部位に対して、それぞ
れ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付してお
く。
【0050】すなわち、本実施形態のエンジンマウント
87においては、第一の取付金具13と第二の取付金具
15を本体ゴム弾性体17で弾性連結すると共に、該第
二の取付金具15の内部に加振用空気室63を形成した
マウント本体とは独立した別体構造をもって、調節用空
気室53が、形成されている。詳細には、浅底の有底筒
形状のハウジング金具89の開口部に蓋金具91が重ね
合わされることによって、内部空所93を有するマウン
ト別体95が形成されており、このマウント別体95の
内部空所93が、弾性変形可能に収容配置された仕切ゴ
ム板47によって、ハウジング金具89の底壁部側と蓋
金具91側とに流体密に二分されて、調節用空気室53
と切換用空気室51が画成されている。そして、調節用
空気室53が、空気圧管路79に対して、切換バルブ8
1と加振用空気室63の間から分岐した分岐管路97に
よって接続されており、これによって、調節用空気室5
3には、加振用空気室63と同じ空気圧が及ぼされるよ
うになっている。また、切換用空気室51は、蓋金具9
1に設けられたポート99を通じて、負圧源19に対し
て、切換バルブ81を介することなく、直接に接続され
ている。なお、本実施形態では、仕切ゴム板47に対し
て、切換用空気室51側に拘束プレート101が重ね合
わされている。この拘束プレート101は、金属等の硬
質材で形成された薄肉板形状を有しており、仕切ゴム板
47の形状の安定化が図られて、作動の安定化や耐久性
の向上が実現されるようになっている。
【0051】このような構造とされた本実施形態のエン
ジンマウント87においても、第一の実施形態と同様な
効果が有効に発揮される。しかも、かかるエンジンマウ
ント87においては、調節用空気室53を、マウント本
体とは別体形成したことにより、マウント本体をコンパ
クト化することが出来ると共に、空気圧管路79を調節
することによってマウント別体95の配設場所を自由に
選択することが出来ることから、スペースの有効利用が
可能となり、エンジンマウントの設置場所の選定自由度
が大きくなるといった利点がある。
【0052】さらに,前記第一及び第二の実施形態にお
いては、いずれも、振動状態等に応じて、作用空気室を
構成する調節用空気室53の容積を変更調節するため
に、負圧源19で及ぼされる負圧力にて作動せしめられ
る空気圧式アクチュエータとしての切換用空気室51を
備えていたが、作用空気室の容積調節を、別の構成によ
って実現することも可能である。その一つの具体例が、
図5において、第三の実施形態として示されている。な
お、本実施形態では、図4に示された第二の実施形態と
同様な構造とされた部材および部位に対して、図中に、
第二の実施形態と同一の符号を付しておく。
【0053】すなわち、本実施形態では、加振用空気室
63に負圧源19の負圧力を及ぼす空気圧管路79にお
ける切換バルブ81と加振用空気室63の間から分岐し
て形成された分岐管路97に対して、開閉バルブ103
を介して、所定長さの中空管体105が接続されてい
る。なお、中空管体105は、開閉バルブ103と反対
側の先端開口部が蓋体107で流体密に封止されてお
り、以て、開閉バルブ103を開いた状態では、分岐管
路97と中空管体105の中空内部が一体となり、空気
圧管路79から分岐した、長さ:Lの消音器構造をもっ
て、調節用空気室51が形成されるようになっている。
【0054】そして、このような調節用空気室51にあ
っては、空気圧管路79に接続されることによって、そ
の容積分だけ、作用空気室の容積が増大せしめられるこ
とから、開閉バルブ103を、内燃機関における運転状
態信号等の制御信号によって連通/遮断制御することに
より、前記第二の実施形態における調節用空気室53と
同様な効果を有効に発揮し得る。
【0055】しかも、かかる調節用空気室53は、その
長さ:Lを適当に調節することによって、その長さ:L
に対応した周波数(波長)域の空気振動(空気圧変動)
に対して、波動の共鳴減衰作用に基づく有効な低減効果
を発揮し得る。それ故、かかる調節用空気室53の長
さ:Lが、防振すべき振動、換言すれば加振板59を加
振すべき振動の高調波成分等に対応するように、中空管
体105の長さを設定することによって、防振すべき振
動に対してより高精度で有効な防振効果を得ることが可
能となるのである。なお、その際、調節用空気室53の
容積、換言すれば作用空気室における容積の変化幅は、
例えば、中空管体105の断面積によって調節すること
が出来る。
【0056】さらに、前記実施形態では、いずれも、調
節用空気室53の容積、ひいては作用空気室の容積が、
最大容積と最小容積とに2段階に切り換えられるように
なっていたが、その容積を、3段階以上、或いは無段階
に調節することも可能である。
【0057】具体的には、例えば、図5に示された前記
第三の実施形態において、開閉バルブ103および中空
管体105に変えて、図6または図7に示されているよ
うに、容積可変のシリンダ型の調節用空気室機構10
9,111を装着することが出来る。即ち、図6に示さ
れた調節用空気室機構109は、電動モータや電磁アク
チュエータ等の駆動手段113を備えていると共に、該
駆動手段113の出力軸に円盤形状のピストン板115
が固設されて、軸方向に移動可能とされている。そし
て、このピストン板115が、有底円筒形状のハウジン
グ金具117の内部に挿入された状態で配設されてお
り、ハウジング金具117の内周面とピストン板115
の外周縁部が、円環板形状の連結ゴム板119で弾性的
に連結されることにいる。これにより、ハウジング金具
117の開口部が、ピストン板115で流体密に覆蓋さ
れて、分岐管路97に連通された調節用空気室53が形
成されていると共に、ピストン板115が駆動手段11
3で軸方向(図中、上下方向)に変位せしめられること
により、調節用空気室53の容積を、連続的に変化させ
ることが出来るようになっているのである。
【0058】また、図7に示された調節用空気室機構1
11においては、駆動手段113で軸方向に往復移動せ
しめられるピストン121が、有底筒形状のハウジング
金具123の内周面に対して流体密に滑動可能とされて
いる。これにより、図6に示された調節用空気機構10
9よりも、調節用空気室53の容積を、一層安定して、
且つ広い範囲で調節可能とされている。
【0059】このような図6および図7に示された調節
用空気室機構109,111を採用した場合でも、振動
状態等に応じた制御信号で駆動手段113を作動制御し
て調節用空気室53の容積を変更,調節することが出来
るのであり、それによって、前記第二の実施形態と同様
な効果が有効に発揮されるのである。
【0060】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、
限定的に解釈されるものでない。
【0061】例えば、マウント本体の内部に単一の作用
空気室を形成すると共に、この作用空気室内に、図6や
図7に示されている如きピストン機構を配設することに
より、単一の作用空気室の容積を、直接に、複数段階で
または連続的に可変とすることも可能である。
【0062】また、前記実施形態では、加振力を得る空
気圧として、内燃機関で得られる負圧と大気圧を利用し
たが、利用する空気室は何等限定されるものでなく、少
なくとも二つ以上の互いに異なる空気圧であれば良く、
例えば大気圧よりも高い正圧を採用することも可能であ
る。
【0063】更にまた、前記図4〜7に示された実施形
態では、いずれも、調節用空気室51が、切換バルブ8
1と加振用空気室63の間の空気圧管路79に接続され
ており、それによって、調節用空気室51による空気圧
調節作用が十分有効に発揮されるようになっていたが、
例えば、図6〜7に示された実施形態のような容積調節
手段を採用すれば、かかる調節用空気室51を、切換バ
ルブ81よりも負圧源19側において、空気圧管路79
に接続させることも可能である。
【0064】また、前記実施形態におけるエンジンマウ
ントでは、いずれも、受圧室77の壁部の一部が本体ゴ
ム弾性体17と加振板59によって構成されていたが、
例えば、第二の取付金具15で支持された仕切部材によ
って、加振板59によって壁部の一部が構成された副液
室を、本体ゴム弾性体17で壁部の一部が構成されて振
動が入力される受圧室から独立して形成すると共に、そ
れら副液室と受圧室を相互に連通する流体流路を設ける
ことにより、加振板59の加振によって副液室に生ぜし
められる圧力変化を、流体流路を通じての流体流動によ
って受圧室に伝達するようにしたマウント構造を採用す
ることも可能である。このようなマウント構造を採用す
れば、流体流路を通じて流動せしめられる流体の共振作
用を利用して、加振板59の加振によって副液室に生ぜ
しめられる圧力変化を増幅させて受圧室に伝達し、以
て、より大きな加振力や内圧制御効果を効率的に得るこ
とが可能となる。
【0065】更にまた、本発明において、非圧縮性流体
が封入された流体室は、必須でなく、作用空気室の圧力
変化を、直接、第一の取付金具13と第二の取付金具1
5に及ぼしめて加振力を得る構造のマウント本体も採用
可能である。
【0066】また、例示の如き、第一の取付金具13と
第二の取付金具15が、一方向だけで離間して対向配置
されてなる構造のマウント本体の他、例えばFF型自動
車用エンジンマウント等に好適に採用される、互いに径
方向に離間配置された軸部材と外筒部材が、それらの間
に配設された本体ゴム弾性体によって弾性的に連結され
た筒型構造のマウント本体等も、本発明において有利に
採用され得る。
【0067】加えて、本発明は、例示の如き、自動車用
のエンジンマウントの他、自動車用ボデーマウントやデ
フマウント、或いは自動車以外の各種装置に用いられる
能動型防振装置に対して、いずれも、同様に適用され得
るものであることは、勿論である。
【0068】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、いずれも、本発明の範囲内に含まれるものであるこ
とは、言うまでもない。
【0069】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた空気圧式能動型防振装置において
は、作用空気室の容積を変更することによって、発生加
振力を調節することが出来るのであり、それ故、採用す
る空気圧の変化や防振すべき振動の変化等に応じて作用
空気室の容積を変更することによって、発生加振力を調
節し、以て、有効な防振効果を安定して実現することが
可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用エン
ジンマウントを示す概略図である。
【図2】図1に示された自動車用エンジンマウントの別
の作動状態を示す概略図である。
【図3】図1に示された自動車用エンジンマウントの特
性の実測データを、比較例と併せて示すグラフである。
【図4】本発明の第二の実施形態としての自動車用エン
ジンマウントを示す概略図である。
【図5】本発明の第三の実施形態としての自動車用エン
ジンマウントを示す概略図である。
【図6】本発明の更に別の実施形態の一部を示す概略図
である。
【図7】本発明の更に別の実施形態の一部を示す概略図
である。
【符号の説明】
11 エンジンマウント 13 第一の取付金具 15 第二の取付金具 17 本体ゴム弾性体 19 負圧源 47 仕切ゴム板 51 切換用空気室 53 調節用空気室 63 加振用空気室 65 接続孔 79 空気圧管路 81 切換バルブ 83 アクチュエータ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに防振連結される部材に取り付けら
    れる第一の取付部材と第二の取付部材を離間配置せしめ
    て本体ゴム弾性体で連結する一方、内部の圧力変化によ
    ってそれら第一の取付部材と第二の取付部材の間に加振
    力を及ぼす作用空気室を設けた空気圧式能動型防振装置
    において、 前記作用空気室の容積を変更するための容積調節手段を
    設けたことを特徴とする空気圧式能動型防振装置。
  2. 【請求項2】 前記容積調節手段が、外部から入力され
    る制御信号に基づいて前記作用空気室の容積を変更する
    アクチュエータを有する請求項1に記載の空気圧式能動
    型防振装置。
  3. 【請求項3】 前記アクチュエータが、前記作用空気室
    に及ぼされる空気圧の大きさを前記制御信号として、該
    空気圧の大きさに応じて該作用空気室の容積を変更する
    空気圧作動機構である請求項2に記載の空気圧式能動型
    防振装置。
  4. 【請求項4】 前記容積調節手段が、前記作用空気室の
    容積を、防振すべき振動と相関性を有する信号に同期し
    て変更する請求項1乃至3の何れかに記載の空気圧式能
    動型防振装置。
  5. 【請求項5】 前記作用空気室が、空気圧変化によって
    前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の間に加振力
    を及ぼす加振用空気室と、該加振用空気室に対して空気
    連通路によって接続された容積可変の調節用空気室とに
    よって構成されている請求項1乃至4の何れかに記載の
    空気圧式能動型防振装置。
  6. 【請求項6】 前記調節用空気室が、前記加振用空気室
    に空気圧変動を及ぼすための空気圧通路上に接続されて
    設けられている請求項5に記載の空気圧式能動型防振装
    置。
  7. 【請求項7】 前記調節用空気室が、空気圧波動に対す
    る共鳴減衰作用を有する共鳴管体によって構成されてい
    る請求項6に記載の空気圧式能動型防振装置。
  8. 【請求項8】 前記第一の取付部材と前記第二の取付部
    材の間に、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成され
    て非圧縮性流体が封入された流体室を形成すると共に、
    該流体室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振
    部材を挟んで該流体室と反対側に前記作用空気室を設け
    ることにより、該作用空気室の圧力変化によって、該流
    体室の圧力変化を介して、前記第一の取付部材と前記第
    二の取付部材の間に加振力を及ぼすようにした請求項1
    乃至7の何れかに記載の空気圧式能動型防振装置。
  9. 【請求項9】 壁部の一部が可撓性膜で構成されて内部
    に非圧縮性流体が封入された容積可変の平衡室を形成す
    ると共に、該平衡室を前記流体室に連通するオリフィス
    通路を形成した請求項8に記載の空気圧式能動型防振装
    置。
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