JP3760673B2 - 空気圧式能動型制振器 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、振動を抑制すべき制振対象に装着されて制振対象における振動を能動的に低減する能動型制振器に係り、特に、空気圧変動を利用してマス部材を加振することによって生ぜしめられる加振力を制振対象に及ぼすことによって能動的な制振効果を得るようにした空気圧式の能動型制振器に関するものである。
【0002】
【背景技術】
自動車の車体等のように振動が問題となる制振対象において、その振動を低減するための手段の一つとして、従来から、動的吸振器(ダイナミックダンパ)が、広く知られている。また、近年では、より高度な制振効果を得るために、制振対象に加振力を及ぼすことにより、制振対象の振動を干渉的に抑制乃至は制御するようにした能動型の制振装置が提案されており、その一種として、特開平3−292219号公報や特開平6−235438号公報等には、制振対象に取り付けられる取付部材に対し、ばね部材を介してマス部材を支持せしめて一振動系を構成すると共に、この振動系のマス部材に加振力を及ぼす電磁駆動機構を設けて、振動系の振動作用を利用することにより、制振対象に大きな加振力を及ぼすようにした制振器が開示されている。
【0003】
また、取付部材とマス部材の間に、内部の圧力変化によってマス部材に加振力を及ぼす作用空気室を設け、かかる作用空気室を、駆動用切換弁を介して、負圧源と大気に交互に切換接続することにより、マス部材に対して、駆動用切換弁の切換周期に対応した周波数の加振力を生ぜしめるようにした空気圧式の能動型制振器も、考えられている。このような空気圧式の加振機構を採用すれば、電磁駆動機構等の重くて構造が複雑な部材を制振器内部に組み込む必要がなく、部品点数が減少され得て、制振器の小型,軽量化が可能となると共に、消費電力の減少も図られ得るのである。
【0004】
ところで、かくの如き空気圧式の加振機構を用いた能動型制振器では、制振すべき振動に対して有効な制振効果を得るために、制振対象における制振すべき振動の周波数等に対応することは勿論、制振すべき振動の大きさにも対応した加振力を発生させて制振対象に及ぼすことが必要となる。
【0005】
そこで、例えば、制振対象における制振すべき振動の周波数や大きさ等を、それぞれ、加速度センサ等で検出し、或いは予め設定されたマップデータ等に基づいて推定することによって求め、目的とする周波数等の加振力が得られるように駆動用切換弁等を制御すると共に、目的とする大きさの加振力が得られるように、作用空気室に及ぼされる負圧の大きさを制御することが考えられる。ところが、自動車用の制振器の如く、内燃機関における吸気系等を負圧源として利用する場合には、負圧源自体における負圧の大きさを制御することが難しいために、制振すべき振動に対応した大きさの加振力を得ることが困難であるという問題があり、制振すべき振動の大きさと加振力の大きさの対応が十分でないと、有効な制振効果が得られないばかりか、制振対象における振動が悪化してしまうおそれもあったのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、発生加振力を、簡単な構造で容易に調節することが出来、例えば、作用空気室に接続された空気圧源における空気圧の変化や、制振すべき振動の大きさの変化などに対応して、安定した制振効果を発揮することを可能とする、新規な構造の空気圧式能動型制振器を提供することにある。
【0007】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0008】
本発明の第一の態様は、制振対象に取り付けられる取付部材に対して、マス部材を弾性支持せしめると共に、内部の圧力変化によって該マス部材に加振力を及ぼす作用空気室を設けた空気圧式能動型制振器において、
前記作用空気室を、空気圧変化によって前記マス部材に直接加振力を及ぼす加振用空気室と、該加振用空気室に対して空気連通路によって接続された容積可変の調節用空気室とによって構成すると共に、該調節用空気室の容積を変更するための容積調節手段を設けたことを、特徴とする。
【0009】
このような第一の態様に従う構造とされた能動型制振器においては、作用空気室の容積を変更することによって、発生加振力を調節することが出来る。即ち、作用空気室の容積を大きくすると、所定周期の空気圧変動が作用空気室に及ぼされた際の該作用空気室内の空気圧変動幅を実質的に小さくすることが出来るのであり、それによって、マス部材に及ぼされる加振力を低減することが出来る。一方、作用空気室の容積を小さくすると、所定周期の空気圧変動が作用空気室に及ぼされた際の該作用空気室内の空気圧変動幅を実質的に大きくすることが出来るのであり、それによって、マス部材に及ぼされる加振力を増大することが出来る。要するに、空気圧源における空気圧が同じであっても、作用空気室の容積を変更することによって、発生加振力を調節することが出来るのであり、或いは、空気圧源における空気圧が変動した場合であっても、作用空気室の容積を変更することによって、発生加振力を維持乃至は調節することが出来るのである。
【0010】
なお、作用空気室の容積は、用いられる空気圧源の特性や、要求される制振特性乃至は発生加振力等に応じて、その大きさや変更態様等が適宜に決定されるものであって、限定されるものでない。例えば、2つ以上に分割形成された作用空気室をバルブ等を用いて必要に応じて連通させることにより、作用空気室の容積を、連通される分割作用空気室の数に応じて、段階的にまたは2値的に切換変更したり、或いは、作用空気室の壁部の一部を変位可能な可動壁とし、該可動壁を変位させて作用空気室の容積を、段階的乃至は2値的に、または連続的無段階に変更したりすること等が可能である。また、作用空気室に及ぼす圧力変化としては、大気圧に対して負圧側と正圧側の何れか一方の側だけでの圧力変化を採用する他、大気圧を挟んで負圧側と正圧側の両側での圧力変化を採用することも可能であり、特に好適には、作用空気室を、切換バルブ等を用いて負圧源と大気中とに交互に接続させることにより、作用空気室に負圧と大気圧を交互に及ぼすようにされる。
【0011】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた空気圧式能動型制振器において、前記容積調節手段が、外部から入力される制御信号に基づいて前記調節用空気室の容積を変更するアクチュエータを有することを、特徴とする。このような第二の態様においては、適当な制御信号を採用することによって、作用空気室の容積を自動的に調節することが可能となり、特に、かかる制御信号として、制振すべき振動の大きさや作用空気室に及ぼされる空気圧の大きさ、或いはそれらの両方に対応した信号を採用することにより、有効な制振効果が安定して発揮されるように、発生加振力を自動的に調節することも可能となる。
【0012】
なお、外部から入力される制御信号としては、上述のように、制振すべき振動の大きさや作用空気室に及ぼされる空気圧の大きさ、或いはそれらの両方に対応した信号等が好適に採用され得、電気的信号の他、空気圧や油圧等の圧力信号等も採用可能である。また、アクチュエータとしては、容積調節手段の具体的構造等に応じて各種のものが採用され得、例えば、モータやソレノイド等の電動式や電磁式の他、シリンダ機構等の空気圧式や油圧式の如き公知の各種のアクチュエータが採用可能である。そして、具体的には、そのようなアクチュエータを用いて、例えば、前述の如く、2つ以上の分割作用空気室を採用する場合には、それら分割作用空気室を連通/遮断するバルブ手段を切換作動させたり、或いは、前述の如く、作用空気室の壁部の一部を構成する可動壁を変位駆動させたりすることによって、作用空気室の容積を調節することが出来る。
【0013】
また、本発明の第三の態様は、前記第二の態様に従う構造とされた空気圧式能動型制振器において、前記アクチュエータが、前記調節用空気室に及ぼされる空気圧の大きさを前記制御信号として、該空気圧の大きさに応じて該調節用空気室の容積を変更することを、特徴とする。このような本態様においては、作用空気室に及ぼされる空気圧を制御信号として採用することにより、特別な制御信号の検出および伝達手段を用いる必要がなくなって、制御系の簡略化が有利に達成され得るのであり、例えば、制振すべき振動の大きさが、空気圧源から作用空気室に及ぼされる空気圧の大きさに略対応して変化する場合等に、特に有効である。
【0014】
なお、かかる第三の態様における空気圧作動機構としては、例えば、作用空気室に負圧力変化を及ぼしてマス部材を加振するに際して、作用空気室の壁部の一部を変位可能な可動壁とすると共に、該可動壁を作用空気室側に向かって付勢する付勢手段を設ける一方、該可動壁を挟んで該作用空気室と反対側に、作用空気室に及ぼされる負圧力が作用せしめられる駆動用空気室を形成した構成が、好適に採用され得る。このような構成の空気圧作動機構においては、可動壁の位置、換言すれば作用空気室の容積が、可動壁に及ぼされる付勢手段による付勢力と駆動用空気室の負圧力との釣り合いによって決定されることから、作用空気室に及ぼされる負圧力の大きさに応じて、可動壁の位置が変化し、作用空気室の容積が変更されることとなる。即ち、作用空気室に及ぼされる負圧が大きくなる程、可動壁が吸引側(作用空気室と反対側)に移動せしめられて、作用空気室の容積が増大せしめられるのである。また、その際、作用空気室に及ぼされる負圧力が大きくなった場合に、マス部材を加振するための負圧力の変化範囲内では、作用空気室の容積が略一定に保たれるように、負圧力の大きさに対する付勢手段の付勢力の大きさを調節し、可動壁が吸引位置に吸引保持され得るようにすることが望ましい。
【0015】
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動型制振器において、前記容積調節手段が、前記調節用空気室の容積を、制振すべき振動と相関性を有する信号に同期して変更することを、特徴とする。このような本態様においては、制振すべき振動の大きさに対応して作用空気室の容積が変更されることにより、制振すべき振動が小さい場合には作用空気室の容積を大きくすると共に、制振すべき振動が大きい場合には作用空気室の容積を小さくして、有効な制振効果を得ることが出来る。なお、制振すべき振動と相関性を有する信号としては、例えば、自動車用の制振器においては、エンジンの回転数信号や加速信号,車速の速度信号や加速信号,アクセル開度信号,ブレーキ信号,シフトポジション信号等が挙げられるが、限定されるものでない。また、より具体的には、例えば、自動車の内燃機関において、混合した燃料と空気を燃焼室に供給することにより燃焼室内において混合気を均質に燃焼させる均質燃焼運転と、燃焼室で圧縮された空気中に燃料を直接噴射することにより燃焼室内混合気に層状に変化する濃度分布を与え燃焼させる成層燃焼運転を切り換えて採用するような場合には、負圧源としてのエンジンのインテーク側の負圧が小さくなる(大気圧に近くなる)成層燃焼運転状態ほど制振すべき振動が大きくなるが、均質燃焼運転状態と成層燃焼運転状態の切換信号を、制振すべき振動と相関性のある信号として採用し、均質燃焼運転時に作用空気室の容積を大きくすると共に、成層燃焼運転時に作用空気室の容積を小さくするように、作用空気室の容積を変更することによって、目的とする制振効果を有効に得ることが可能となる。
【0016】
また、本発明の第一の態様においては、加振用空気室によるマス部材に対する加振力作用の機能と、調節用空気室による容積可変の機能とを、分けて設定することが出来る。また、調節用空気室を、加振用空気室から実質的に独立して形成することが可能となることから、制振器の装着スペース等に対応し易い。
【0017】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動型制振器において、前記調節用空気室が、前記加振用空気室に空気圧変動を及ぼす空気圧通路上に接続されて設けられていることを、特徴とする。このような本態様においては、調節用空気室を、取付部材やマス部材を有する制振器本体とは別体で形成することが可能となり、該調節用空気室を、制振器本体から離れた場所に設置することが出来ることから、設置スペースの効率化の点で一層有利となるのである。
【0018】
また、本発明の第六の態様は、前記第五の態様に従う構造とされた空気圧式能動型制振器において、前記調節用空気室が、空気圧波動に対する共鳴減衰作用を有する共鳴管体によって構成されていることを、特徴とする。このような本態様においては、調節用空気室を利用して、加振用の変動空気圧に含まれる不要な高周波成分や高調波成分を、共鳴減衰作用によって低減することが出来るのであり、制振器の加振制御精度の向上と、それによる制振効果の向上が実現可能となる。
【0019】
また、本発明の前記第五又は第六の態様に従う構造とされた空気圧式能動型制振器において、前記空気圧通路を圧力値の異なる二つの空気圧源に交互に切換接続する切換バルブ手段を設けると共に、該切換バルブ手段と前記加振用空気室の間の前記空気圧通路上に、前記調節用空気室を接続して設けることも、好適に採用され得る。これによって、調節用空気室の容積変化による発生加振力の制御効果をより有効に得ることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0021】
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての能動型制振器と、その駆動系が概略的に示されている。この制振器10は、取付部材としての取付金具12に対して、マス部材としてのマス金具14が、ゴム弾性体16によって弾性的に連結支持されており、負圧源18から及ぼされる負圧と、大気中から及ぼされる大気圧とによって、マス金具14を取付金具12に対して空気圧加振することが出来るようになっている。そして、マス金具14とゴム弾性体16からなる振動系を空気圧加振することによって、取付金具12が取り付けられた図示しない制振対象部材に対して、能動的な制振効果を発揮し得るようになっているのであり、特に、マス金具14とゴム弾性体16からなる振動系の共振作用を利用することによって、より有効な制振効果を得ることが可能とされている。
【0022】
より詳細には、取付金具12は、軸方向下方に向かって開口する逆カップ形状を有しており、金属等の硬質材で形成されている。また、この取付金具12の底壁部17の中央には、上方に向かって突出する取付ボルト20が固設されており、この取付ボルト20によって、取付金具12が、自動車のボデーの如き、図示しない制振すべき部材に対して固定的に取り付けられるようになっている。更に、取付金具12の筒壁部19には、金属など硬質材で形成された蓋金具22が圧入固定されており、この蓋金具22によって取付金具12の開口部が覆蓋されて、取付金具12と蓋金具22の間に内部空所26が形成されている。
【0023】
また、かかる内部空所26には、仕切ゴム板24が収容配置されており、該仕切ゴム板24の外周縁部に一体形成された厚肉環状の固定リング部25が、それら取付金具12と蓋金具22の間で挟圧保持されることによって、かかる仕切ゴム板24が、内部空所26内において、軸直角方向に広がって配設されている。そして、この仕切ゴム板24によって、内部空所26が、取付金具12側と蓋金具22側とに流体密に二分されていると共に、仕切ゴム板24が、弾性変形に基づいて、それら取付金具12側と蓋金具22側とに変位可能とされている。
【0024】
また、内部空所26には、仕切ゴム板24で仕切られることにより、仕切ゴム板24を挟んで、取付金具12側には、仕切ゴム板24に変位力を及ぼすアクチュエータを構成する切換用空気室28が画成されている一方、蓋金具22側には、仕切ゴム板24の位置に応じて所定の容積が設定される調節用空気室30が画成されている。なお、切換用空気室28には、取付金具12の底壁部17と仕切ゴム板24の対向面間に、コイルスプリング32が配設されており、このコイルスプリング32の付勢力によって、常時、仕切ゴム板24が、取付金具12の底壁部17から離間する方向に付勢されて、蓋金具22の内面に押し付けられている。また、仕切ゴム板24は、コイルスプリング32の付勢力が、局部的でなく全体的に及ぼされて、局部的乃至は不規則な変形が防止され得る程度の全体ばね剛性を有するように、材質や肉厚寸法等が設定されている。
【0025】
一方、マス金具14は、鉄系金属等の高比重材で形成されて、中実のブロック形状を有しており、取付金具12の軸方向下方に離間して対向配置されている。かかるマス金具14の軸方向一方の側には、リング形状の連結金具33が、同一中心軸上で離間して対向配置されており、これらマス金具14と連結金具33が、環状のゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。なお、ゴム弾性体16は、軸方向下方に向かって次第に小径化するテーパ筒形状を有しており、その小径側端面が、マス金具14の軸方向上端面の中央部分に突設された円錐台形状の連結部36の外周面に加硫接着されている。また、マス金具14の連結部36の外周面に対向位置せしめられた連結金具33の内周側下角部はアール状に面取りされており、このアール面34に対して、ゴム弾性体16の大径側端面が加硫接着されている。要するに、マス金具14の連結部36の外周面と、連結金具33のアール面34とが、互いに離間して対向配置されていると共に、それら連結部36の外周面とアール面34の対向面間にゴム弾性体16が介装されて一体加硫接着されている。
【0026】
そして、連結金具33が、取付金具12又は蓋金具22に対して、ボルト等に固定されることにより、マス金具14が、取付金具12に対して、ゴム弾性体16によって弾性支持されている。特に、本実施形態では、ゴム弾性体16がマス金具14と同一の中心軸上に配設されており、マス金具14の重心が、ゴム弾性体16の弾性主軸上に位置せしめられている。これにより、ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて、取付金具12に対して、マス金具14が中心軸方向で安定して変位せしめられるようになっている。また、本実施形態では、それらゴム弾性体16およびマス金具14の中心軸が、制振すべき振動の入力方向でもある略鉛直方向に延びる状態で、装着されることが望ましく、それによって、マス金具14の変位の更なる安定化が図られ得る。
【0027】
また、取付金具12に対してマス金具14が取り付けられることにより、蓋金具22とマス金具14の対向面間には、周壁部がゴム弾性体16で構成されて、外部空間に対して密閉された加振用空気室38が形成されている。そして、この加振用空気室38は、蓋金具22の中央部分に貫通形成された空気連通路としての接続孔40によって、調節用空気室30に接続されて相互に連通されている。そして、これら加振用空気室38と調節用空気室30によって、協働して、一つの作用空気室が構成されている。
【0028】
さらに、蓋金具22には、接続孔40から軸直角方向外方に延びる加振用エア給排路42が形成されており、この加振用エア給排路42が、該蓋金具22の外周面に突設されたポート44において開口せしめられている。即ち、かかる加振用エア給排路42を通じて、加振用空気室38と調節用空気室30で協働形成された作用空気室に対して、空気圧変動を及ぼすことが出来るようになっているのである。
【0029】
また一方、取付金具12には、切換用空気室28から軸直角方向外方に延びる切換用エア給排路46が形成されており、この切換用エア給排路46が、取付金具12の外周面に突設されたポート48において開口せしめられている。即ち、かかる切換用エア給排路46を通じて、切換用空気室28に対して、空気圧を及ぼすことが出来るようになっているのである。
【0030】
また、このような構造とされた制振器10には、その装着状態下において、図示されているように、各ポート44,48に空気圧管路50が接続せしめられ、この空気圧管路50を通じて、加振用空気室38および調節用空気室30に対して、それぞれ、所定の空気圧源が接続される。特に、本実施形態では、空気圧として、内燃機関の吸気系によって得られる負圧源18と、大気との、圧力値が異なる二つが採用されている。ここにおいて、内燃機関は、特に、均質燃焼運転と成層燃焼運転とを選択的に採用するものが採用されており、均質燃焼運転状態と成層燃焼運転状態では、負圧源18における負圧の大きさや防振すべき振動の大きさ等が変化することとなる。
【0031】
さらに、切換用空気室28は、空気圧管路50を通じて、直接に、負圧源18に接続されている。また一方、加振用空気室38は、空気圧管路50を通じて負圧源18に接続されている共に、加振用空気室38を負圧源18に接続する空気圧管路50上に切換バルブ52が配設されており、この切換バルブ52の切換操作によって、加振用空気室38が、負圧源18と大気中とに、択一的に接続されるようになっている。また、本実施形態では、切換バルブ52の切換駆動用の電磁アクチュエータ54は、リード線56を通じて入力される、防振すべき振動に対応した制御信号によって作動せしめられるようになっている。なお、防振すべき振動に対応した制御信号としては、防振すべき振動の周波数や位相等に対応したものであって、例えば、内燃機関の点火信号や、防振すべき振動のセンサ等による検出信号などが、好適に採用され得る。
【0032】
そして、かかる能動型制振器10は、内燃機関が均質燃焼運転状態にある場合には、負圧源18の負圧力が大きく(負圧側に絶対値が大きく)なることから、この負圧源18の負圧力がそのまま及ぼされる切換用空気室28においては、図2に示されているように、仕切ゴム板24が、コイルスプリング32の付勢力に抗して取付金具12の底壁部17側に負圧吸引されて変位せしめられ、加振用空気室38に連通された調節用空気室30が、最も大きな容積で形成されることとなり、その結果、作用空気室の容積が実質的に最大化されることとなる。
【0033】
また一方、内燃機関が成層燃焼運転状態にある場合には、負圧源18の負圧力が小さく(絶対値が小さくなって、大気圧に近く)なることから、仕切ゴム板24に及ぼされる吸引力がコイルスプリング32の付勢力に打ち勝つことが出来ず、仕切ゴム板24がコイルスプリング32の付勢力に基づいて蓋金具22側に押し付けられた状態に維持される。その結果、調節用空気室30が実質的に消失されると共に、接続孔40が閉塞されることにより、作用空気室が、実質的に加振用空気室38のみで構成されて、最も小さな容積で形成されることとなる。
【0034】
要するに、本実施形態では、切換用エア給排路46を通じて切換用空気室28に及ぼされる負圧力、換言すれば負圧源18の負圧力が、内燃機関の運転状態に伴って変化することにより、内燃機関の運転状態に応じて、作用空気室の容積が、調節用空気室30の分だけ、自動的に、増減されて切り換えられることとなる。
【0035】
そして、いずれの状態下においても、切換バルブ52の切換作動に基づいて作用空気室(加振用空気室38、または加振用空気室38および調節用空気室30)に空気圧変動が及ぼされることにより、マス金具14に対して、取付金具12への接近/離隔方向での加振力が及ぼされて、マス金具14が、ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて中心軸方向(図中の上下方向)に加振変位せしめられることとなる。ここにおいて、コイルスプリング32によって仕切ゴム板24に及ぼされる付勢力は、均質燃焼運転状態下で仕切ゴム板24に及ぼされる負圧源18の負圧吸引力より小さく、且つ成層燃焼運転状態下で仕切ゴム板24に及ぼされる負圧源18の負圧吸引力より大きくなるように設定されている。しかも、切換バルブ52の切換操作によって加振用空気室38に対して、負圧源18の負圧と大気圧との間での圧力変動が生ぜしめられた場合でも、均質燃焼運転状態下で仕切ゴム板24が蓋金具22側に保持されると共に、成層燃焼運転状態下で仕切ゴム板24が取付金具12の底壁部17側に保持されるように、コイルスプリング32の付勢力と負圧源18の負圧が、仕切ゴム板24の弾性特性などを考慮して設定されている。
【0036】
従って、このような構造とされた本実施形態の制振器10においては、自動車の内燃期間の運転状態に応じて切換用空気室28に及ぼされる負圧が自動的に変化せしめられて、加振用空気室38と調節用空気室30からなる作用空気室の容積が自動的に切り換えられるのであり、それに伴って、かかる作用空気室に及ぼされる空気圧変動の大きさ(振幅)、ひいてはマス金具14に及ぼされる加振力の大きさが変化せしめられるのである。より具体的には、図1に示された成層燃焼運転状態では、作用空気室の容積が実質的に加振用空気室38だけとなり、その結果、切換バルブ52の切換操作によって作用空気室を負圧源18と大気中とに交互に接続した場合に、それら負圧源18と大気の各圧力が効率的に伝達されて、作用空気室に対して、負圧源18の負圧と大気圧との間で大きな振幅の空気圧変動が生ぜしめられて、マス金具14に対して、負圧源18の負圧と大気圧との圧力差に基づく加振力が効率的に及ぼされ得る。一方、図2に示された均質燃焼運転状態では、作用空気室の容積が加振用空気室38に調節用空気室30を加えた容積となり、その結果、切換バルブ52の切換操作によって作用空気室を負圧源18と大気中とに交互に接続した場合に、それら負圧源18と大気の各圧力の作用空気室への伝達効率が低くなり、作用空気室に生ぜしめられる空気圧変動の幅が、負圧源18の負圧と大気圧との圧力差に対して小さくなって、マス金具14に対して及ぼされる、負圧源18の負圧と大気圧との圧力差に基づく加振力の伝達効率が低下せしめられる。
【0037】
それ故、制振すべき自動車の発生振動が小さくなる均質燃焼運転状態下では、負圧源18における発生負圧力が大きく(負圧力の絶対値が大きく)なるが、作用空気室の容積が大きくされることにより、発生加振力が小さくされて、必要以上の加振力の発生が回避され、振動に対して有効な制振効果が発揮されるのである。また一方、制振すべき自動車の発生振動が大きくなる成層燃焼運転状態下では、負圧源18における発生負圧力が小さく(大気圧に近く)なるが、作用空気室の容積が小さくされることにより、発生加振力が大きくされて、振動に対して有効な制振効果が発揮されるのである。そして、その結果、自動車の運転状況に応じて、制振すべき振動に対して有効な制振効果が、安定して発揮されることとなるのである。
【0038】
因みに、本実施形態に従う構造とされた能動型制振器10において、実際に発生加振力を測定したデータを、図3にグラフで示す。図3中、負圧力大が、均質燃焼運転状態を示し、負圧力小が、成層燃焼運転状態を示す。この測定データを示すグラフからも、負圧力が大きくなる均質燃焼運転状態下で、必要以上の加振力の発生が抑えられていることが、明らかに認められる。なお、同じ能動型制振器10を用いて、切換用エア給排路46を閉塞させて、調節用空気室30を、常時、消失させることによって、作用空気室の容積が常に一定とされた従来構造の能動型制振器を再現し、この制振器について同様な測定を行った結果を、比較例として、図3に併せ示す。かかる比較例の測定データからも、本実施形態の制振器10が、従来構造の制振器に比して、車両の走行状態に応じた能動的制振効果を有効に発揮し得ることが、明らかである。
【0039】
また、本実施形態の制振器10においては、調節用空気室30が、制振器本体の内部に形成されていることから、制振器10の取扱いが容易であると共に、加振用空気室38と調節用空気室30を接続する接続孔40を十分に短くして、構造上も単一の作用空気室を形成することが出来るという利点がある。
【0040】
更にまた、本実施形態の制振器10においては、仕切ゴム板24が、取付金具12の底壁部17と蓋金具22によって位置決めされることから、発生加振力の安定化が図られ得る。加えて、作用空気室の容積を小さくした場合には、接続孔40を仕切ゴム板24で閉塞させるようになっていることから、調節用空気室30を有利に且つ安定して消失させることが出来、作用空気室の容積を極めて有利に且つ安定して最小状態に保持することが出来る。
【0041】
なお、本実施形態の制振器10においても、加振用空気室38と調節用空気室30を、単一の作用空気室構造をもって形成することも可能である。なお、その場合には、作用空気室の容積を小さくした場合の仕切ゴム板24の位置決め精度を有利に得るために、例えば、蓋金具22に多数の接続孔を十分に大きな通路断面積をもって形成することにより、仕切ゴム板24を、該蓋金具22に当接させて位置決めすること等が有効である。
【0042】
また、前記第一の実施形態の制振器10においては、制振器本体の内部に調節用空気室30が形成されていたが、この調節用空気室30を、制振器本体から独立して形成することも可能である。その一つの具体例が、第二の実施形態として、図4に示されている。なお、本実施形態では、理解を容易するために、前記第一の実施形態における制振器10と同様な構造とされた部材および部位に対して、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付しておく。
【0043】
すなわち、本実施形態の制振器68においては、取付金具12とマス金具14をゴム弾性体16で弾性連結せしめて、それら両金具12,14間に加振用空気室38を形成した制振器本体60とは独立した別体構造をもって、調節用空気室30が、形成されている。詳細には、浅底の有底筒形状のハウジング金具58の開口部に蓋金具60が重ね合わされることによって、内部空所62を有する制振器別体64が形成されており、この制振器別体64の内部空所62が、弾性変形可能に収容配置された仕切ゴム板24によって、ハウジング金具58の底壁部側と蓋金具60側とに流体密に二分されて、調節用空気室30と切換用空気室28が画成されている。そして、調節用空気室30が、空気圧管路50に対して、切換バルブ52と加振用空気室38の間から分岐した分岐管路65によって接続されており、これによって、調節用空気室30には、加振用空気室38と同じ空気圧が及ぼされるようになっている。また、切換用空気室28は、蓋金具60に設けられたポート66を通じて、負圧源18に対して、切換バルブ52を介することなく、直接に接続されている。なお、本実施形態では、仕切ゴム板24に対して、切換用空気室28側に拘束プレート67が重ね合わされている。この拘束プレート67は、金属等の硬質材で形成された薄肉板形状を有しており、仕切ゴム板24の形状の安定化が図られて、作動の安定化や耐久性の向上が実現されるようになっている。
【0044】
このような構造とされた本実施形態の制振器68においても、第一の実施形態と同様な効果が有効に発揮される。しかも、かかる制振器68においては、調節用空気室30を、制振器本体とは別体形成したことにより、制振器本体をコンパクト化することが出来ると共に、空気圧管路50を調節することによって制振器別体64の配設場所を自由に選択することが出来ることから、スペースの有効利用が可能となり、制振器の設置場所の選定自由度が大きくなるといった利点がある。
【0045】
さらに,前記第一及び第二の実施形態においては、いずれも、振動状態等に応じて、作用空気室を構成する調節用空気室30の容積を変更調節するために、負圧源18で及ぼされる負圧力で作動せしめられる空気圧式アクチュエータとしての切換用空気室28を備えていたが、作用空気室の容積調節を、別の構成によって実現することも可能である。その一つの具体例が、図5において、第三の実施形態として示されている。なお、本実施形態では、図4に示された第二の実施形態と同様な構造とされた部材および部位に対して、図中に、第二の実施形態と同一の符号を付しておく。
【0046】
すなわち、本実施形態では、加振用空気室38に負圧源18の負圧力を及ぼす空気圧管路50における切換バルブ52と加振用空気室38の間から分岐して形成された分岐管路65に対して、開閉バルブ70を介して、所定長さの中空管体72が接続されている。なお、中空管体72は、開閉バルブ70と反対側の先端開口部が蓋体74で流体密に封止されており、以て、開閉バルブ70を開いた状態では、分岐管路65と中空管体72の中空内部が一体となり、空気圧管路50から分岐した、長さ:Lの消音器構造をもって、調節用空気室30が形成されるようになっている。
【0047】
そして、このような調節用空気室30にあっては、空気圧管路50に接続されることによって、その容積分だけ、作用空気室の容積が増大せしめられることから、開閉バルブ70を、内燃機関における運転状態信号等の制御信号によって連通/遮断制御することにより、前記第二の実施形態における調節用空気室30と同様な効果を有効に発揮し得る。
【0048】
しかも、かかる調節用空気室30は、その長さ:Lを適当に調節することによって、その長さ:Lに対応した周波数(波長)域の空気振動(空気圧変動)に対して、波動の共鳴減衰作用に基づく有効な低減効果を発揮し得る。それ故、かかる調節用空気室30の長さ:Lが、防振すべき振動、換言すればマス金具14を加振すべき振動の高調波成分に対応するように、中空管体72の長さを設定することによって、制振すべき振動に対してより高精度で有効な制振効果を得ることが可能となるのである。なお、その際、調節用空気室30の容積、換言すれば作用空気室における容積の変化幅は、例えば、中空管体72の断面積によって調節することが出来る。
【0049】
さらに、前記実施形態では、いずれも、調節用空気室30の容積、ひいては作用空気室の容積が、最大容積と最小容積とに2値的に切り換えられるようになっていたが、その容積を、3段階以上、或いは無段階に調節することも可能である。
【0050】
具体的には、例えば、図5に示された前記第三の実施形態において、開閉バルブ70および中空管体72に変えて、図6または図7に示されているように、容積可変のシリンダ型の調節用空気室機構76,78を装着することが出来る。即ち、図6に示された調節用空気室機構76は、電動モータや電磁アクチュエータ等の駆動手段80を備えていると共に、該駆動手段80の出力軸に円盤形状のピストン板82が固設されて、軸方向に移動可能とされている。そして、このピストン板82が、有底円筒形状のハウジング金具84の内部に挿入された状態で配設されており、ハウジング金具84の内周面とピストン板82の外周縁部が、円環板形状の連結ゴム板86で弾性的に連結されることにいる。これにより、ハウジング金具84の開口部が、ピストン板82で流体密に覆蓋されて、分岐管路65に連通された調節用空気室30が形成されていると共に、ピストン板82が駆動手段80で軸方向(図中、上下方向)に変位せしめられることにより、調節用空気室30の容積を、連続的に変化させることが出来るようになっているのである。
【0051】
また、図7に示された調節用空気室機構78においては、駆動手段80で軸方向に往復移動せしめられるピストン88が、有底筒形状のハウジング金具90の内周面に対して流体密に滑動可能とされている。これにより、図6に示された調節用空気機構76よりも、調節用空気室30の容積を、一層安定して、且つ広い範囲で調節可能とされている。
【0052】
このような図6および図7に示された調節用空気室機構76,78を採用した場合でも、振動状態等に応じた制御信号で駆動手段80を作動制御して調節用空気室30の容積を変更,調節することが出来るのであり、それによって、前記第二の実施形態と同様な効果が有効に発揮されるのである。
【0053】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0054】
例えば、制振器本体の内部に単一の作用空気室を形成すると共に、この作用空気室内に、図6や図7に示されている如きピストン機構を配設することにより、単一の作用空気室の容積を、直接に、複数段階でまたは連続的に可変とすることも可能である。
【0055】
また、前記実施形態では、加振力を得る空気圧として、内燃機関で得られる負圧と大気圧を利用したが、利用する空気室は何等限定されるものでなく、少なくとも二つ以上の互いに異なる空気圧であれば良く、例えば大気圧よりも高い正圧を採用することも可能である。
【0056】
更にまた、前記図4〜7に示された実施形態では、いずれも、調節用空気室30が、切換バルブ52と加振用空気室38の間の空気圧管路50に接続されており、それによって、調節用空気室30による空気圧調節作用が十分有効に発揮されるようになっていたが、例えば、図5〜7に示された実施形態のような容積調節手段を採用すれば、かかる調節用空気室30を、切換バルブ52よりも負圧源18側において、空気圧管路50に接続させることも可能である。
【0057】
さらに、前記実施形態では、いずれも、作用空気室の空気圧変動がマス部材に対して加振力として直接に及ぼされるようになっていたが、その他、例えば、取付部材とマス部材の間に、それら取付部材とマス部材を弾性連結するゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて水等の非圧縮性流体が封入された流体室を形成すると共に、この流体室の壁部の別の一部を変位可能な振動板で構成して、該振動板を挟んで流体室と反対側に作用空気室を形成することにより、作用空気室に空気圧変動を生ぜしめて振動板を加振変位することにより、流体室に生ぜしめられる内圧変化を介して、マス部材に加振力を及ぼす流体封入式の制振器構造を採用することも可能である。そして、このような流体封入式の制振器においては、封入流体の共振作用等の流動作用を利用して、マス部材に及ぼされる加振力を一層効率的に得ること等も可能となる。
【0058】
加えて、本発明は、例示の如き、自動車のボデーやその他の各種部材に用いられる制振器以外にも、各種装置に用いられる制振器に対して、いずれも、同様に適用され得るものであることは、勿論である。
【0059】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、いずれも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた空気圧式能動型制振器においては、作用空気室の容積を変更することによって、発生加振力を調節することが出来るのであり、それ故、採用する空気圧の変化や制振すべき振動の変化等に応じて作用空気室の容積を変更することによって、発生加振力を調節し、以て、有効な制振効果を安定して実現することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用制振器を示す概略図である。
【図2】図1に示された自動車用制振器の別の作動状態を示す概略図である。
【図3】図1に示された自動車用制振器の特性の実測データを、比較例と併せて示すグラフである。
【図4】本発明の第二の実施形態としての自動車用制振器を示す概略図である。
【図5】本発明の第三の実施形態としての自動車用制振器を示す概略図である。
【図6】本発明の更に別の実施形態の一部を示す概略図である。
【図7】本発明の更に別の実施形態の一部を示す概略図である。
【符号の説明】
10 制振器
12 取付金具
14 マス金具
16 ゴム弾性体
18 負圧源
24 仕切ゴム板
28 切換用空気室
30 調節用空気室
38 加振用空気室
40 接続孔
50 空気圧管路
52 切換バルブ
54 アクチュエータ
Claims (6)
- 制振対象に取り付けられる取付部材に対して、マス部材を弾性支持せしめると共に、内部の圧力変化によって該マス部材に加振力を及ぼす作用空気室を設けた空気圧式能動型制振器において、
前記作用空気室を、空気圧変化によって前記マス部材に直接加振力を及ぼす加振用空気室と、該加振用空気室に対して空気連通路によって接続された容積可変の調節用空気室とによって構成すると共に、該調節用空気室の容積を変更するための容積調節手段を設けたことを特徴とする空気圧式能動型制振器。 - 前記容積調節手段が、外部から入力される制御信号に基づいて前記調節用空気室の容積を変更するアクチュエータを有する請求項1に記載の空気圧式能動型制振器。
- 前記アクチュエータが、前記調節用空気室に及ぼされる空気圧の大きさを前記制御信号として、該空気圧の大きさに応じて該調節用空気室の容積を変更する空気圧作動機構である請求項2に記載の空気圧式能動型制振器。
- 前記容積調節手段が、前記調節用空気室の容積を、制振すべき振動と相関性を有する信号に同期して変更する請求項1乃至3の何れかに記載の空気圧式能動型制振器。
- 前記調節用空気室が、前記加振用空気室に空気圧変動を及ぼす空気圧通路上に接続されて設けられている請求項1乃至4の何れかに記載の空気圧式能動型制振器。
- 前記調節用空気室が、空気圧波動に対する共鳴減衰作用を有する共鳴管体によって構成されている請求項5に記載の空気圧式能動型制振器。
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